JPWO2010061539A1 - 補聴器 - Google Patents

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Abstract

装着時にハウリングの発生を抑える補聴器を提供する。周囲音を集音する集音部101と、音を出力する音出力部106と、耳に装着可能な形状を有する本体101と、を備え、本体100は、集音部101が集音した周囲音に補聴処理を施す補聴処理部102と、周囲音に基づいて、本体100が耳に装着されたか否かを判定する装着判定部104と、所定信号を生成する特定音生成部103と、装着判定部104の判定結果に基づいて、補聴処理部102が補聴処理を施した音と、特定音生成部103が生成した音と、のいずれかを選択して音出力部106へ出力する選択部105と、を備える。

Description

本発明は、補聴器のハウリングを防止する技術に関する。
補聴器は、耳に装着するために本体が小さく形成され、本体の周囲音を集音するマイクと、補聴処理により増幅された音を出力するスピーカーが、近い位置に配置されている。そのため、スピーカーが出力した音が、本体を回りこんで再びマイクに集音される、音響ループが形成され、スピーカーから不快な音を出力してしまう、ハウリングが発生しやすい。とりわけ、補聴器を耳に装着していない時に発生しやすい。これは、本体を回り込む音を遮るものが無いためである。
そこで、本体の電源を投入してから耳に装着するまでの時間を予め設定しておき、本体の電源を投入してから設定した時間が経過した後に、スピーカーが補聴処理した音の出力を開始する補聴器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
日本国特開2001−145197号公報
このように、電源投入後所定の時間が経過するまで、補聴処理により増幅された音を出力させないという技術は、ハウリング抑制に貢献するが、装着時にハウリングを発生させないという観点では、まだ不十分である。上述した文献には、補聴器の電源を投入してから装着するまでの時間は、使用者によって異なるため、その使用者に合わせて、所定の時間を変更できることが開示されているが、これでは、使用者が普段の装着手順と異なる動作を行い、補聴器の電源を投入してから装着までに時間がかかると、補聴器を装着する前に補聴処理により増幅された音が出力されてしまうことがあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、使用者が補聴器の電源を投入してから装着するまでに時間がかかっても、補聴器を装着する前に、補聴処理により増幅された音が出力されることを防止可能な補聴器を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明の補聴器は、周囲音を集音する集音部と、音を出力する音出力部と、耳に装着可能な形状を有する本体と、を備え、前記本体は、前記集音部が集音した周囲音に補聴処理を施す補聴処理部と、前記周囲音に基づいて、前記本体が耳に装着されたか否かを判定する装着判定部と、所定信号を生成する特定音生成部と、前記装着判定部の判定結果に基づいて、前記補聴処理部が補聴処理を施した音と、特定音生成部が生成した音と、のいずれかを選択して前記音出力部へ出力する選択部と、を備えることを特徴としたものである。
本発明の補聴器によれば、補聴処理を施した音もしくは所定信号を選択して音出力部に出力可能とし、補聴器の装着を判定するまでは、所定信号(例えば補聴器内部で生成した音)を選択して、音出力部に出力するようにしたので、使用者が補聴器の本体を装着する前に、補聴処理を施した音が出力されず、この結果として、補聴器装着時に補聴処理を施した音が回り込むことによって生じる、ハウリングの発生を防ぐことが可能となり、使用者にとっての快適性を高めることの出来るものとなる。
本発明の実施の形態1における補聴器のブロック構成を示す図 本発明の実施の形態1における補聴処理部のブロック構成図 本発明の実施の形態1における装着判定部のブロック構成図 本発明の実施の形態1における装着判定部の動作を管理する状態遷移図 本発明の実施の形態1における補聴器使用者の耳と外耳道付近の断面と補聴器の本体とを示す図 本発明の実施の形態1における補聴器の本体から出力される音と、出力された音が再び補聴器の本体に入力されて周波数分析した結果を示す図 図6における信号の特定の周波数に関する信号レベルの変化を示す図 本発明の実施の形態2における補聴器のブロック構成を示す図 本発明の実施の形態2における装着判定部のブロック構成図
以下に、本発明の補聴器の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における補聴器のブロック構成を示す図である。図1に示すように、本発明の補聴器は、本体100内に集音部101と、補聴処理部102と、特定音生成部103と、装着判定部104と、選択部105と、音出力部106を備えている。
後で詳細に説明するが、補聴器の本体100の電源(図示せず)を投入後、この本体100を補聴器使用者が耳に装着するまでの間は、特定音生成部103により生成された所定信号(特定音、例えば単一周波数の音)を選択部105が選択して、音出力部106に出力する。そして、装着判定部104は、音出力部106が出力した単一周波数の音を集音部101が集音した音の中から識別すると、本体100が耳に装着されていないと判定する。
一方、装着判定部104は、音出力部106が出力した上記単一周波数の音を集音部101が集音した音の中から識別しなかった場合には、音出力部106から集音部101へのフィードバックが途切れていると判定し、即ち、本体100が耳に装着されていると判定する。このように、本体100が耳に装着されたと装着判定部104が判定すると、選択部105は、補聴処理部102が補聴処理を施した音を選択して、音出力部106へ出力するようになり、補聴器使用者に対して、補聴処理を施した音の提供を開始する。
まず、集音部101は、補聴器の本体100上に設けられた音口と、この音口に入ってきた周囲音を集音するマイクロホンと、で構成される。周囲音は音響信号として音口に入り、マイクロホンはこの音響信号をアナログの電気信号に変換して補聴処理部102に出力する(周囲音を集音する)。本実施の形態では、集音部101には、補聴器使用者に指向性を提供するために、音口とマイクロホンとが2組備えられ、それぞれアナログ入力信号111aと111bを出力する。
補聴処理部102は、集音部101から出力されたアナログ入力信号111a、111bに補聴処理を施して、補聴器使用者の聴力特性に適合するよう調整された音信号である、アナログ補聴信号113を選択部105に出力する。さらに、後述するパワー値群112を、装着判定部104に出力する。
ここで、補聴処理部102について図2を用いて詳細に説明する。図2にそのブロック図を示すように、補聴処理部102は、A/D(Analog to Digital)変換部201と、指向性合成部202と、周波数分析部203と、パワー算出部204と、ゲイン制御部205と、ゲイン調整部206と、周波数合成部207と、D/A(Digital to Analog)変換部208と、で構成されている。
A/D変換部201は、集音部101が出力するアナログ入力信号111a、111bをそれぞれデジタルサンプリングし、デジタル入力信号211a、211bとして指向性合成部202へ出力する。ここで本実施の形態では、A/D変換部201におけるサンプリング周波数を32kHzとする。即ち31.25マイクロ秒間隔でアナログ入力信号111a、111bをサンプリングして、デジタル入力信号211a、211bに変換する。
指向性合成部202は、補聴器使用者に対して特定の方向からの音を拡大したり、特定の方向以外の音を小さくしたりする。即ち特定の方向に補聴器の指向性を向けるように、デジタル入力信号211a、211bを加工して合成する。合成された信号は、合成信号212として周波数分析部203へ出力される。この指向性合成部202は、複数の適応フィルタと加算器とで構成され、その演算係数を変更することで、任意の向きに指向性を向けることが可能である。また、全方向の音が均等に聞こえる無指向とすることも出来る。
周波数分析部203は、時系列に入力される合成信号212を、時間領域の信号から周波数領域の信号へと変換し、複数の周波数帯域に分割して、周波数信号群213として出力する。この方法としては、フーリエ変換した結果を分割する方式、またはサブバンド分割方式が用いられる。この時、変換の演算はA/D変換部201でデジタルサンプリングされた信号の複数サンプルを用いて行われる。例えば、128点FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行う場合、1フレームを64サンプルと規定すると、2つの連続するフレーム(2x64=128サンプル)を用いてフーリエ変換を行う。この演算に用いたフレームが、n番目及びn+1番目のフレーム(nは自然数)であるとすると、次のフーリエ変換は、n+1番目及びn+2番目のフレームに対して行われ、フーリエ変換の結果は毎フレーム更新される。また、各フレームのデータはそれぞれ2回フーリエ変換の演算に用いられるため、オーバーラップ率は50%となる。
また分割は、補聴器が扱う周波数の上限から下限の間を、複数に分けることで行われる。本実施の形態においては、A/D変換部201において32kHzでサンプリングを行っているので、サンプリング定理により、補聴処理が有効な周波数帯の範囲は0Hzから16kHzとなる。これを250Hzで等分し、65個の周波数信号を周波数信号群213として出力する。なお、全周波数領域を等分するのではなく、ウェーブレット変換を用いて低域周波数側の周波数分解能を高く、高域周波数側の周波数分解能を低くするようにしても良い。
パワー算出部204は、周波数分析部203から出力される周波数信号群213の各帯域の周波数信号それぞれについて、パワー値を1フレーム毎に計算する。ここでパワー値とは、周波数分析部203に入力された信号の電力であり、集音部101に入力される音響信号の音圧レベルと相関を有する。即ち、音圧レベルが小さければパワー値は小さく、音圧レベルが大きければパワー値は大きくなる。パワー値は、各帯域の周波数信号毎に実数部と虚数部の二乗和を計算して求められる。計算された各帯域のパワー値は、パワー値群112としてゲイン制御部205へと出力される。さらに、このパワー値群112は、装着判定部104へと出力される。
ゲイン制御部205は、パワー値群112に基づいて、各帯域の周波数信号に対するゲインを決定する。ゲインの決定には、ゲインテーブルが用いられる。聴覚のダイナミックレンジは補聴器使用者によって異なり、入力される音響信号の音圧レベルに対して、その補聴器使用者に応じた、非線形なゲイン調整が必要となる。そこで、予めオージオグラム等で求めた補聴器使用者に必要なゲイン特性に基づいて、入力音圧レベル即ちパワー値毎にゲインを定めたゲインテーブルを作成する。ゲイン制御部205は、周波数分析部203で分割された全ての周波数帯域についてこのゲインテーブルを備え、パワー値群112が入力されると、ゲインテーブルを参照して対応するゲインを決定する。そしてこれらは、ゲイン制御信号群214として、ゲイン調整部206へと出力される。
ゲイン調整部206は、ゲイン制御信号群214に基づいて各帯域の周波数信号である周波数信号群213にゲイン演算を行い、周波数信号のゲイン調整を行う。ゲイン調整が施された周波数信号は、調整済周波数信号群215として周波数合成部207に出力される。
周波数合成部207は、分割された65個の周波数信号からなる調整済周波数信号群215を合わせて、周波数領域の信号から時間領域の信号へ変換する。周波数合成は、周波数分析がフーリエ変換であったならば逆フーリエ変換で、サブバンド分割であったならばサブバンド合成によって行われる。周波数合成された信号は、デジタル補聴信号216としてD/A変換部208に出力される。
D/A変換部208は、A/D変換部201と逆の変換を行い、デジタル信号であるデジタル補聴信号216を、アナログ信号であるアナログ補聴信号113へと変換する。
本実施の形態の特徴の一つである特定音生成部103は、所定信号(例えば単一の周波数の音)を生成して特定音信号114として出力する。本実施の形態では、この音の周波数を2kHzとする。この音の周波数は、サンプリング周波数の1/2である16kHz未満であれば、どの周波数でも良い。特定音の音圧レベルは、大きすぎると使用者が不快と感じ、小さすぎると周囲音との区別がつきにくくなり検出精度が低下するため、その中間となるレベルに設定するのが望ましい。本実施の形態では、人間の普通の会話音の大きさである62dBSPLの音圧で出力する。ここでdBSPLは音圧を示す指標値であり、一般的に人間が聞こえる最小の音圧レベルが0dBSPL、60〜70dBSPLが普通の会話音、130dBSPLが大多数の人が不快と感じる指標値である。
一般的に補聴器使用者の聴力特性は個人毎に異なるため、補聴器購入時や購入後に、図示しないフィッティング装置により補聴器の本体100を構成するハードウェアやソフトウェアの設定を変更する作業(フィッティング)を行い、後述する補聴処理部102における補聴処理の最適化が行われる。このとき、特定音生成部103から出力される特定音の周波数や音圧レベルの設定も使用者の好みに合わせて変えることが可能である。
なお、特定音生成部103は、本体100の電源投入後、装着判定部104から出力される特定音生成許可信号がLowからHighに変化すると、特定音信号114を生成して出力し、補聴処理開始時に特定音生成許可信号がHighからLowに変化すると特定音の生成を停止する。これにより、補聴処理開始後の特定音生成部103における電力消費を削減することが可能となる。
次に、装着判定部104について図3を用いて詳細に説明する。装着判定部104は、図3にそのブロック図を示すように、LPF(Low Pass Filter)300と、初期パワー値保持部301と、隣接平均演算部302と、閾値決定部303と、パワー判定部304と、パワー継続カウント部305と、継続時間判定部306と、装着状態管理部307と、切替信号生成部308と、で構成される。
装着判定部104には、補聴処理部102から出力されたパワー値群112が入力される。LPF300は、それぞれのパワー値に対して高域遮断処理を実施し、平滑化された平滑パワー値群311をフレーム毎に出力する。パワー値群112が更新されるのはフレーム単位である2ミリ秒であるが、使用者が補聴器を装着するのに必要な時間は秒単位の動作であり、その動作を検出するためには、数十から数百ミリ秒単位でのパワー値の変化が得られれば、装着動作の検出が可能となる。LPF300は、2ミリ秒間隔で入力されるパワー値群112に対して、時間軸方向に高域遮断処理を施すことによって、装着動作の検出に不必要な外部ノイズの影響を軽減するものである。
初期パワー値保持部301は、補聴器の本体100に電源が投入されて起動した後、補聴器全体の回路が立ち上がり定常状態になった直後の1フレームで、平滑パワー値群311から周波数2kHzを含む周波数帯のパワー値を取り出して保持する。後述するが、この時はまだ、音出力部106からは音が出力されていない。本実施の形態では、補聴処理が有効な0Hzから16kHzまでの周波数帯の範囲を250Hz刻みで分割しているため、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値を保持する。そしてこの保持したパワー値を、初期パワー値312として閾値決定部303へと出力する。
隣接平均演算部302は、平滑パワー値群311から特定音生成部103で生成した音の周波数帯に隣接する、周波数帯のパワー値の平均値をフレーム毎に求めるものである。これは、特定音生成部103で生成した音以外に、この周波数付近で発生している雑音(周囲音)を測定するために行われる。本実施の形態では、2kHzから2.25kHzと、その周波数帯に隣接する1.75kHzから2kHz、2.25kHzから2.5kHzの、3つの周波数帯のパワー値の平均値を求めて、隣接パワー平均値313として閾値決定部303へ出力する。この隣接パワー平均値313の演算は、上述した初期パワー値保持部301の処理と同じタイミングで行われる。そのため、隣接パワー平均値313には、特定音生成部103が生成した音のパワーは含まれていない。
閾値決定部303は、フレーム毎に初期パワー値保持部301から出力される初期パワー値312と、隣接平均演算部302で求めた隣接パワー平均値313の大きさと、装着状態管理部307から出力される装着状態信号314とから閾値を決定し、パワー閾値315として、パワー判定部304へと出力する。この閾値は、補聴器が使用者の耳に装着されているかどうかを判定するパワー判定部304において、入力されたパワー値と比較するために用いられる。パワー閾値315の決定方法に関する詳細な説明は後述する。
パワー判定部304は、パワー閾値315と、平滑パワー値群311に含まれる2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とを比較して、比較結果を閾値比較信号316として、パワー継続カウント部305と装着状態管理部307へと出力する。この2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値がパワー閾値315以上の時は、閾値比較信号316はLowとなり、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値がパワー閾値315よりも小さい時には、閾値比較信号316はHighとなる。
パワー継続カウント部305は、1フレームで1インクリメントされるカウンタであり、カウンタ値317を継続時間判定部306へと出力する。このパワー継続カウント部305は、装着状態信号314の示す状態が特定の状態を示す時のみ動作し、閾値比較信号316がLowの間は0にリセットされ、閾値比較信号316がLowからHighに切り替わった時から、カウントが開始される。
継続時間判定部306は、カウンタ値317を所定の値(継続時間判定部306内部に設けた記憶手段(図示せず)にあらかじめ設定した任意の値であり、以下「装着安定待ち時間」と称す)と比較し、選択部105が選択する信号を特定音信号114からアナログ補聴信号113へと切り替えることを促す切替トリガ信号318を、切替信号生成部308と装着状態管理部307へ出力する。切替トリガ信号318は、初期値がLowであり、カウンタ値317が装着安定待ち時間以上になるとHighへと切り替わる信号である。ここで、装着安定待ち時間には、閾値比較信号316がLowからHighに切り替わってからの経過時間、即ち、補聴器の本体100が耳に装着されて、特定音生成部103が生成した音が集音部101で集音されず、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値が、パワー閾値315よりも小さくなってからの経過時間を指定するものである。例えば、補聴器が耳に装着されてから約1秒後に補聴処理を施した音を出力するようにするためには、本実施の形態ではフレーム周期が2ミリ秒であるので、1÷0.002=500の計算式より、装着安定待ち時間は500になる。
補聴器使用者は、補聴器の本体100を耳に挿入しながら捻るなどして、ジャストフィットする位置を探りながら装着することが多い。この場合には、一旦補聴器の本体100と耳とが密着して、特定音生成部103が生成する音の回り込みが途切れた後に、補聴器の本体100の位置調整のために、再び補聴器の本体100と耳との間に隙間が出来て、音の回り込みが発生する可能性がある。
そのため、このカウンタ値317と比較する装着安定待ち時間を小さくして、特定音生成部103が生成する音を集音部101が集音しなくなるとすぐに、選択部105がアナログ補聴信号113を選択するようにすると、補聴器の本体100の位置調整により補聴器の本体100と耳との間に隙間が出来た時に、ハウリングを発生してしまう恐れがある。
そこで、このような補聴器装着時の動作を考慮して、継続時間判定部306における装着安定待ち時間が設定される。例えば、補聴器を新規に購入したり、作り変えたりした場合には、補聴器の本体100を耳に挿入してから補聴器の本体100の位置を微調整するために、少しずつずらす動作が長く発生すると仮定して、約5秒後に補聴処理された音が出力されるように、継続時間判定部306における装着安定待ち時間を5÷0.002の計算式より2500とする。なお、この装着安定待ち時間は、フィッティング装置等から変更可能とし、補聴器使用者の熟練度に応じて調整出来るようにする。
装着状態管理部307は、図4に示すS0からS5に示す補聴器装着時の各状態を管理し、各状態に応じて変化する装着状態信号314と特定音生成許可信号118を出力する。S0は初期状態、S1は周囲音判定状態、S2は装着開始状態、S3は装着直前状態、S4は装着完了後安定待ち状態、S5は補聴処理動作状態である。
これらS0からS5の状態に対応して、装着状態信号314は、S0のときは0、S1のときは1、S2のときは2、S3のときは3、S4のときは4、S5のときは5となり、特定音生成許可信号118はS0、S1、S5のときはLow、S2、S3、S4のときはHighとなる。
図4は、装着状態管理部307における状態の遷移を示したものである。状態S1からS5の各状態からは、電源投入時もしくは電源リセット時にS0にリセットされ、補聴処理動作開始まで、図4に示す状態を遷移する。各状態間を遷移するための詳細な説明は後述する。
切替信号生成部308は、選択部105がアナログ補聴信号113または特定音信号114のどちらかを選択するための切替信号115を出力する。切替信号生成部308は、補聴器の本体100の電源が投入されると、切替信号115をHighにする。そして、切替トリガ信号318がLowからHighに切り替わった時に、切替信号115をHighからLowへと切り替える。切替信号生成部308は、切替信号115をHighからLowへ切り替えると、その後補聴器の本体100の電源が遮断されるまで、切替信号115をLowのまま保持する。
選択部105は、装着判定部104が出力する切替信号115がLowの時は、補聴処理部102が出力するアナログ補聴信号113を選択し、切替信号115がHighの時は、特定音生成部103が出力する特定音信号114を選択して、選択出力信号116として音出力部106へ出力する。
即ち、装着判定部104により、特定音生成部103が生成する音を集音部101が集音していると判定されている間は、特定音生成部103が生成する音が選択されて、音出力部106へと出力される。そして、装着判定部104において、特定音生成部103が生成する音を集音部101が集音しなくなったと判定されると、補聴処理部102により補聴処理が施された音が選択されて、音出力部106へと出力される。
音出力部106は、導音口とスピーカーとで構成される。スピーカーは、選択部105が出力する選択出力信号116を音響信号に変換して出力する。補聴器が耳穴型の場合には、導音口は、スピーカーが出力する音響信号を補聴器本体の外へ導くように設けられた孔である。補聴器が耳かけ型の場合には、導音口は、補聴器が出力する音を補聴器使用者の耳に導く、チューブの中に設けられた導音路と接続する孔である。
次に、本実施の形態の補聴器を、耳に装着する際の動作について、図5を用いて説明する。図5は、補聴器を装着する際の本体100と耳との位置関係及び音の回り込みを説明するために、補聴器使用者の耳と外耳道付近の断面と補聴器の本体100とを示したものである。図5において、符号500は補聴器使用者の耳、符号501は本体100の音出力部106から出力されて集音部101へ回り込む音の様子、符号502は本体100の音出力部106から出力された音が、耳500で反射して集音部101方向へ回り込む音の様子を表している。
まず、補聴器の使用を開始するにあたり、本体100に電源が投入されると、図1の装着判定部104から出力される切替信号115が、上述したようにHighに設定され、音出力部106からは、特定音生成部103が生成する音が出力され、図5(a)に示した回り込む音501が、集音部101によって集音される。装着判定部104は、集音部101が集音した音を特定音生成部103が生成した音であると判定して、切替信号115のHighを継続し、引き続き特定音生成部103が生成する音を音出力部106から出力するようにする。
次に、図5(b)のように、本体100を耳500に近づけると、音出力部106が出力する音が耳500で反射することにより反射音502が発生し、集音部101が集音する音量は大きくなる。装着判定部104は、特定音生成部103が生成した音を集音したと判断し、音出力部106は、引き続き特定音生成部103が生成する音を出力する。
次に、図5(c)のように、本体100が耳500の外耳道に完全に装着されると、本体100と耳500の外耳道が密着することにより、音響ループが遮られる。すると集音部101は、音出力部106が出力する音を集音しなくなるため、装着判定部104は、装着状態と判定して切替信号115をLowに切り替える。これにより、音出力部106からは、集音部101が集音した音に補聴処理を施したものが出力され、補聴器として機能するようになる。
次に、本実施の形態1の補聴器を耳に装着する際の、装着判定部104の詳細な動作の説明にあたり、図6と図7の示す内容について説明する。
図6は、横軸が周波数(Frequencyと表記)[Hz]、縦軸が音圧レベル(Powerと表記)[dBSPL]となるグラフを示したものであり、図6(a)は、特定音信号114が選択部105を経由して、音出力部106から音として出力された時の音圧レベルである。また、図6(b)、(c)、(d)は、特定音信号114が選択部105を経由して、音出力部106から出力されている時に、集音部101が集音した音の平滑パワー値群311を示している。ここで、図6(b)、(c)、(d)は、補聴器装着動作の次の条件における測定例を示している。
図6(b)は、比較的静かな環境下の室内において、補聴器の本体100の電源を投入した後、本体100を手で持ち、耳に対して10cmの距離まで近づけた状態1である。図6(c)は、耳穴に本体100が一部入っている状態2である。図6(d)は、本体100が耳穴に完全に入った状態3である。
図7は、図6(b)、(c)、(d)に示した平滑パワー値群311から、それぞれ2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値を抜き出したものである。
続いて、図4、図6、図7を用いて、装着判定部104の詳細な動作の説明を行う。ここからは、装着状態管理部307における状態S0〜S5の遷移に沿って説明を行う。本実施の形態では、使用者が本体100を装着するときに、周囲音が比較的小さい、静かな環境にいる時を例として説明を行う。
〔S0:初期状態〕
本体100の電源が投入されると、装着状態管理部307は、図4に示す状態S0になる。この時、装着判定部104の各ブロック(図3参照)も初期化される。例えば、閾値決定部303内部には、0と1のどちらかを示すステータスフラグを保持する手段(図示せず)を設けており、状態S0では0にセットする。即ち、装着状態信号314が0の時に、初期化が実行される。そして、補聴器全体の回路が立ち上がり、定常状態になると、装着状態管理部307は状態S1に移る。この状態S0からS1への遷移は、経過時間により管理されるものでも、他のブロックの立ち上がりの情報を基準にしたものでも良い。例えば、経過時間により管理されるものであれば、電源が投入されてから最も立ち上がりが遅いブロックの立ち上がり時間を予め設定しておき、その時間が経過すると状態S1へ移る。あるいは、電源が投入されてから最も立ち上がりが遅いブロックから、装着状態管理部307へ信号を接続しておき、その信号により当該ブロックが立ち上がったことを識別するとS1へ移る。
〔S1:周囲音判定状態〕
装着状態管理部307において、状態S1に移ると、装着状態信号314が1となる。すると、閾値決定部303は、初期パワー値312と隣接パワー平均値313から閾値を決定して、パワー閾値315として出力する。具体的には、隣接パワー平均値313が初期パワー値312よりも小さい場合は、閾値を初期パワー値312よりも大きく、特定音の音圧レベルよりも小さい値に設定する。このとき、閾値決定部303内部のステータスフラグは0を保持する。本実施の形態では、上記条件より、45dBSPLより大きく、62dBSPLより小さい値である57dBSPLのレベルに設定し(図7参照)、以下この状態S1で決定する閾値をTHAと表現する。
THAは、本体100が耳500に近付き、反射音502の影響によって集音部101が集音する音量が大きくなる状態(図5(b))を判定するための閾値である。そのため、THAが初期パワー値312よりも大きく、特定音の音圧レベルよりも小さい範囲内において、小となる方向に設定すると、周囲音の影響を受け易くなるために誤判定の発生確率が高くなる。一方、大となる方向に設定すると周囲音の影響を受けにくくなるが、個人差の大きい耳介の形状や、装着時における補聴器の本体100と耳500との位置関係によって反射音502の大きさが異なるため、本体100が耳500に近付いたことを判定できなくなる可能性が生じる。
以上より、THAを変化させた場合の長所・短所のトレードオフの関係から、THAは設定可能な範囲内で比較的大となるような範囲に設定するのが望ましく、本実施の形態1では、説明例としてTHAを特定音の音圧レベルである62dBSPLよりも5dB小さな値である57dBSPLに設定する。ここで、状態S1において設定するTHAの値は、フィッティング装置等から使用者に最も適した値に調整することが可能である。
一方、隣接パワー平均値313が初期パワー値312以上である場合は、THAを隣接パワー平均値313のレベルに設定し、閾値決定部303内部のステータスフラグを1に変更する。THAの設定が完了すると、状態S2に移る。状態S2に移ると、閾値決定部303は、次にS0となるまでTHAを保持する。
〔S2:装着開始状態〕
パワー判定部304は、THAが出力されるパワー閾値315と、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とをフレーム毎に比較して、閾値比較信号316を出力する。その結果、閾値比較信号316がHighであれば、装着状態管理部307は、S2の状態を継続し、閾値比較信号316がLowになると状態S3に移る。
また、状態S3に移るタイミングで、閾値決定部303はパワー閾値315を変更する。具体的には、装着状態信号314が2から3に変わった時に、閾値決定部303内部のステータスフラグが0の場合は閾値を、初期パワー値312より大きくTHA未満となる範囲に設定し、ステータスフラグが1の場合は閾値をTHAと同じレベルに設定する。以下、本実施の形態では、この状態S2からS3への遷移で決定する閾値をTHBと表現し、47dBSPLのレベルに設定する(図7参照)。THBは、本体100が耳500の外耳道に完全に装着された状態(図5(c))を判定するための閾値である。この状態になると、集音部101は音出力部106が出力する音を集音しなくなるため、特に2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値が小さくなる。そのため、THBが初期パワー値312より大きくTHA未満となる範囲において、大となる方向に設定すると、本体100の一部が耳500の外耳道に入ってから完全に装着するまでの途中過程で反射音502の影響が次第に小となるために、装着されたと誤判定する可能性が高くなる。一方、小となる方向に設定すると誤判定の確率は小さくなるが、使用者の装着習熟度によって本体100が耳500の外自動に完全に装着できていない場合、反射音502の影響が残るため状態S2から状態S3に遷移しない可能性が高くなる。
以上より、THBを変化させた場合の長所・短所のトレードオフの関係から、THBは設定可能な範囲内で比較的小となるような範囲に設定するのが望ましい。ここで、状態S2において設定するTHBの値は、フィッティング装置等から使用者に最も適した値に調整することが可能である。
このとき、閾値決定部303はTHBをパワー閾値315として出力する。
〔S3:装着直前状態〕
パワー判定部304は、THBが出力されるパワー閾値315と、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とをフレーム毎に比較して閾値比較信号316を出力する。その結果、装着状態管理部307は、状態S3である時に、閾値比較信号316がLowであれば、S3の状態を継続し、閾値比較信号316がHighになると状態S4に移る。
〔S4:装着完了後安定待ち状態〕
装着状態管理部307における状態がS3からS4に移ると、パワー継続カウント部305は、カウントを開始する。即ち、装着状態管理部307からの装着状態信号314が4になるとともに、パワー判定部304からの閾値比較信号316が、LowからHighに変わるため、パワー継続カウント部305は、0からカウントを開始する。このカウンタ値317は、継続時間判定部306へ入力される。なお、パワー継続カウント部305は、装着状態信号314が0、1、2または3の時は、カウンタ値317を0にして出力する。そして、継続時間判定部306では、カウンタ値317と上述した装着安定待ち時間の比較が行われ、カウンタ値317が装着安定待ち時間以上になると、切替トリガ信号318がLowからHighに変化する。この切替トリガ信号318は、切替信号生成部308と装着状態管理部307へ入力される。装着状態管理部307は、切替トリガ信号318がLowからHighに変化すると、状態S4からS5に移る。
ここで、状態S4にある時に、閾値比較信号316がHighからLowに変わった時、即ち、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値が、パワー閾値315よりも大きくなったら、装着状態管理部307は、状態S4から状態S3に移る。即ち、使用者が補聴器を一旦耳に装着した後、装着安定待ち時間が経過する前に、補聴器を装着しなおした場合には、装着直前状態に戻る。
〔S5:補聴処理動作状態〕
切替信号生成部308は、切替トリガ信号318がLowからHighに変化すると、切替信号115をHighからLowに変更して、選択部105へ出力する。そして、選択部105は補聴処理部102が出力するアナログ補聴信号113を選択し、通常の補聴動作が開始される。
以上のように本実施の形態によれば、集音部101と音出力部106を有するとともに、耳に装着可能な形状となった本体100内に、集音部101が集音した周囲音に補聴処理を施す補聴処理部102と、周囲音に基づいて本体100が耳に装着されたか否かを判定する装着判定部104と、装着判定部104の判定結果に基づいて、補聴処理部102が補聴処理を施した音と、特定音生成部103が生成した音のどちらかを選択して音出力部106に出力する選択部105と、を設けるようにしたので、補聴処理を施した音と、補聴器内部で生成した音とを選択して音出力部106に出力可能となる。そのため、補聴器内部で生成した音により補聴器の装着を判定するまでは補聴器内部で生成した音を選択して音出力部106に出力するように出来るので、使用者が補聴器の本体を装着する前に補聴処理を施した音が出力されず、この結果として、補聴器装着時に補聴処理を施した音が回り込むことによって生じるハウリングの発生を防ぐことが可能となり、使用者にとっての快適性を高めることの出来るものとなる。
なお、特定音生成部103は、単一周波数の音を生成するだけでなく、可聴帯域のガイダンス音声も合わせて出力するようにしてもよい。このガイダンス音声は、予め補聴器使用者の補聴特性に合わせたものにする。例えば、「補聴器装着確認中」と言った可聴帯域の周波数である音声を、音出力部106から出力する。また、ガイダンス音声以外に、音楽データを出力しても良い。特定音生成部103が生成する音が可聴帯域であることで、補聴器使用者にとって、音出力部106から音が出力されていない無音状態であり、その際に補聴器の電源投入忘れなのか、装着判定を行っているのかが分からないという状態を回避できる。つまり、補聴器使用者は、補聴器が起動していることが分かり、装着判定が完了するのを待つことが出来る。
また、特定音生成部103は、連続音ではなく、任意のパターンでオン、オフを繰り返す間欠音を出力するようにしてもよい。例えば、本実施の形態において、250フレーム周期(250×2ミリ秒=500ミリ秒)の間、単一周波数の音を出力した後、250フレーム周期の間、無音状態となるようなパターンを出力し、装着判定部104が、単一周波数の音が特定音生成部103から出力されている期間のパワー値群112を用いて、装着状態を判定すればよい。この単一周波数の音のオン、オフのタイミングは、特定音生成部103にて制御されているため、装着判定部104に入力されるパワー値群112を有効利用するか否かのタイミング制御は、容易に実現可能である。
なお、この方法は、任意のパターンでオン、オフを繰り返す間欠音のみならず、音声や音楽を出力する場合にも適応できる。例えば、音楽を出力する場合は、特定音生成部103内部にメモリ等の記憶手段を設けておき、フィッティング装置等によって音楽データをあらかじめ記憶しておく。このとき、どの周波数が時間軸方向でどのタイミングに出力されるのかという情報も合わせて記憶しておく。また、図示していないが、補聴処理部102内部の各ブロックから特定音生成部103内部に設けたメモリ等の記憶手段に対してリードライトアクセスが可能となるようにすると、例えば状態S0における初期化が終了してから状態S1に移るまでの間に、音楽データに含まれる周波数成分を分析することによって、どの周波数が時間軸方向でどのタイミングに出力されるかという情報を得ることも可能である。
音楽を出力する場合には、単一周波数ではなく逐次変化する周波数を出力することになるが、以上の方法により、どの周波数を出力しているか等を特定音生成部103で認識することができる。したがって、上記と同様に装着判定部104に入力されるパワー値群112を有効利用するタイミング制御は、容易に実現可能である。
なお、特定音生成部103から音声を出力する場合も、上記音楽を出力する場合と同様の方法で装着判定が可能である。
また、特定音生成部103により、単一周波数の音の信号と同時に、本体100を耳に装着中であることを示す音声、音楽の信号の少なくとも一方を生成するようにしてもよい。また、ここでは、特定音生成部103が音声、音楽の信号を出力することは、これらを生成することに含まれるものとする。
また、籠もり感を解消するために、本体100が大きな径のベント等を有するオープンフィッティングタイプである場合には、装着状態であっても、音出力部106から集音部101に向かって音が回り込む経路が残り、音響ループが形成される。これにより、装着判定部104において、特定音生成部103が生成した音の周波数帯域で、所定のパワー値が検出される。ただし、ベント等の開口径にもよるが、このパワー値は、未装着の状態と比較して小さくなり、そのパワー値のレベルは前もって把握することが出来る。そこで、装着判定部104の閾値決定部303で求めたパワー閾値315に、オープンフィッティングで残るパワー値を加算した値を、閾値として用いる。このようにオープンフィッティングタイプであっても、閾値を変更することによって、本発明の方法が有効に作用する。
また、本実施の形態では、本体100を耳穴型として説明したが、音響ループに起因してハウリングが発生する補聴器全てにおいて同様であり、例えば耳かけ型の補聴器などにも適用可能である。
また、本実施の形態では、特定音生成部103が生成した音を2kHzとして説明したが、より人間の可聴帯域の上限に近くなるような高い周波数に設定してもよい。さらにサンプリング周波数を上げることによって、人間の可聴帯域の上限を超える周波数に設定することも可能である。このようにすれば、特定音生成部103が生成した音を本体100外へ出力しても、補聴器使用者または周囲の人は聞き取りにくく、出力する音の音量を大きくしても不快感を与えない。さらに、可聴帯域よりも高い周波数の音が定常的に存在するのは特殊な環境下であり、通常はあまり発生しない。そのため、この帯域の音に基づいて補聴器の装着判定を行うと、周囲の音による誤判定を起こしにくいのである。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における補聴器のブロック構成を示す図であり、装着判定部107と特定音生成部108は、それぞれ図1の装着判定部104と特定音生成部103に置き換わるものである。なお、これら装着判定部107と特定音生成部108以外については、その構成要素と同一の名称を有する、実施の形態1の構成要素と同等の機能を有するものとし、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
上述した実施の形態1と大きく異なる点は、まず、装着判定部107が、補聴処理部102から出力されたパワー値群112を用いて、切替信号115と特定音出力増加量信号117と特定音生成許可信号118を作成し、切替信号115を選択部105に出力し、特定音出力増加量信号117と特定音生成許可信号118とを特定音生成部108に出力する点である。そして、特定音生成部108が、特定音出力増加量信号117を元に出力レベルを決定した特定音信号114を、選択部105に出力する点である。
図9は、装着判定部107の構成を示すブロック構成図である。図9においても、図3に示した装着判定部104と同じ構成動作のものは、同じ符号を付して説明を省略する。図3に示した装着判定部104と異なるのは、特定音出力パワー決定部309を追加し、閾値決定部310における閾値の決定方法を変更した点である。
特定音出力パワー決定部309は、初期パワー値312と隣接パワー平均値313とから、特定音の音圧レベルを決定するための特定音出力増加量信号117を作成し、閾値決定部310と特定音生成部108に出力する。そして、閾値決定部310は、この特定音出力増加量信号117を用いて、パワー閾値315として出力する閾値を決定する。
続いて、図4、図5、図8、図9を用いて、装着判定部107の詳細な動作の説明を行う。ここからは、装着状態管理部307における状態S0〜S5の遷移に沿って、説明を行う。本実施の形態では、使用者が本体100を装着するときに、周囲音が比較的大きな環境にいる時を例として説明を行う。
〔S0:初期状態〕
本体100の電源が投入されると、装着状態管理部307は、図4に示す状態S0になる。この時、装着判定部107の各ブロックも初期化される。例えば、閾値決定部310内部には、0と1のどちらかを示すステータスフラグを保持する手段(図示せず)を設けており、状態S0では0にセットする。即ち、装着状態信号314が0の時に初期化が実行される。そして、補聴器全体の回路が立ち上がり、定常状態になると、装着状態管理部307は状態S1に移る。この状態S0からS1への遷移は、実施の形態1に示したものと同じである。
特定音の音圧レベルは、小さすぎると周囲音との区別がつきにくくなり検出精度が低下する。そのため、本実施の形態では、装着状態信号314が0の時に行う初期化において、人間の普通の会話音の大きさである62dBSPLの音圧にあらかじめ設定する。以下の説明において、ここで設定した62dBSPLの音圧レベルを初期音圧レベルとして説明する。また、初期音圧レベルは補聴器の本体100内のレジスタもしくはメモリ等の記憶手段(図示せず)に保存され、装着判定部107及び特定音生成部108を構成する各ブロックからリードできるものとする。
〔S1:周囲音判定状態〕
装着状態管理部307において、状態S1に移ると、装着状態信号314が1となる。すると、特定音出力パワー決定部309は、初期パワー値312と隣接パワー平均値313とから、特定音出力増加量信号117を決定する。この特定音出力増加量信号117と初期音圧レベルを加えた大きさを最終的な特定音の音圧レベルとする。
ここで、隣接パワー平均値313が初期パワー値312よりも小さい場合は、周囲音による影響が小であるため、特定音出力増加量信号117を0に設定する。このとき、特定音の音圧レベルは初期音圧レベル62dBSPL+0dBSPL=62dBSPLとなる。また、閾値決定部310においても、隣接パワー平均値313と初期パワー値312の比較を行い、隣接パワー平均値313が初期パワー値312よりも小さいため、内部のステータスフラグに0を保持する。
次に、隣接パワー平均値313が初期パワー値312以上である場合について説明を行う。例えば、初期パワー値312が45dBSPL、隣接パワー平均値313が50dBSPLであるとすると、特定音出力パワー決定部309は隣接パワー平均値313に対して20dBSPLの増加となるレベル(以下、ターゲットレベルとする)を設定する。つまり、ターゲットレベルは50dBSPL+20dBSPL=70dBSPLとなる。
続いて、特定音出力パワー決定部309は、ターゲットレベルと初期音圧レベルの差分(70dBSPL−62dBSPL=8dBSPL)を特定音出力増加量信号117として出力する。
また、閾値決定部310においても、隣接パワー平均値313と初期パワー値312の比較を行い、隣接パワー平均値313が初期パワー値312よりも大きい場合は、内部のステータスフラグを1に変更する。
閾値決定部310では、初期パワー値312と隣接パワー平均値313と特定音出力増加量信号117とから閾値THCを決定する。
THCは、本体100が耳500に近付き、反射音502の影響によって集音部101が集音する音量が大きくなる状態(図5(b))を判定するための閾値である。そのため、THCが隣接パワー平均値313よりも大きく、特定音の音圧レベルよりも小さい範囲内において、小となる方向に設定すると、周囲音の影響を受け易くなるために誤判定(本体100が耳500に近付いていないにもかかわらず、本体100が耳500に近付いたと判定すること)の発生確率が高くなる。一方、大となる方向に設定すると周囲音の影響を受けにくくなるが、個人差の大きい耳介の形状や、装着時における補聴器の本体100と耳500との位置関係によって反射音502の大きさが異なるため、本体100が耳500に近付いたことを判定できなくなる可能性が生じる。以上より、THCを変化させた場合の長所・短所のトレードオフの関係から、THCは設定可能な範囲内で比較的大となるような範囲に設定するのが望ましく、本実施の形態では、説明例としてステータスフラグが0の場合は、閾値を初期パワー値312よりも大きい値である57dBSPLに設定し、ステータスフラグが1の場合は、特定音出力増加量信号117が示す8dBSPLを加えた65dBSPLに設定する。
ここで、状態S1において設定するTHCの値は、フィッティング装置等から使用者に最も適した値に調整することが可能である。
以上の方法により閾値THCを設定した後、装着状態管理部307は状態S1から状態S2に移る。
〔S2:装着開始状態〕
パワー判定部304は、THCが出力されるパワー閾値315と、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とをフレーム毎に比較して、閾値比較信号316を出力する。その結果、閾値比較信号316がHighであれば、装着状態管理部307は、S2の状態を保持し、閾値比較信号316がLowになると状態S3に移る。また、状態S3に移るタイミングで、閾値決定部310はパワー閾値315を変更する。
具体的には、装着状態信号314が2から3に変わった時に、閾値決定部310内部のステータスフラグが0の場合には、閾値を初期パワー値312より大きくTHC未満となる47dBSPLに設定し、ステータスフラグが1の場合は、閾値を47dBSPLに特定音出力増加量信号117の示す8dBSPLを追加した、55dBSPLに設定する。以下、本実施の形態では、この状態S2からS3への遷移で決定する閾値をTHDと表現し、55dBSPLのレベルに設定されるものとする。
THDは、本体100が耳500の外耳道に完全に装着された状態(図5(c))を判定するための閾値である。この状態になると、集音部101は音出力部106が出力する音を集音しなくなるため、特に2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値が小さくなる。そのため、THDが隣接パワー平均値313より大きくTHC未満となる範囲において、大となる方向に設定すると、本体100の一部が耳500の外耳道に入ってから完全に装着するまでの途中過程で反射音502の影響が次第に小となるために、装着されたと誤判定する可能性が高くなる。一方、小となる方向に設定すると誤判定の確率は小さくなるが、使用者の装着習熟度によって本体100が耳500の外自動に完全に装着できていない場合、反射音502の影響が残るため状態S2から状態S3に遷移しない可能性が高くなる。
以上より、THDを変化させた場合の長所・短所のトレードオフの関係から、THDは設定可能な範囲内で比較的小となるような範囲に設定するのが望ましい。ここで、状態S2において設定するTHDの値は、フィッティング装置等から使用者に最も適した値に調整することが可能である。
〔S3:装着直前状態〕
パワー判定部304は、THDが出力されるパワー閾値315と、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とをフレーム毎に比較して、閾値比較信号316を出力する。その結果、装着状態管理部307は、状態S3である時に、閾値比較信号316がLowであれば、S3の状態を継続し、閾値比較信号316がHighになると状態S4に移る。
〔S4:装着完了後安定待ち状態〕
装着状態管理部307における状態がS3からS4に移ると、パワー継続カウント部305は、カウントを開始する。この状態S4における各ブロックの動作は、実施の形態1で示したものと同じである。そして、継続時間判定部306が出力する切替トリガ信号318がLowからHighに変化すると、装着状態管理部307は、状態S4からS5に移る。
〔S5:補聴処理動作状態〕
切替信号生成部308は、切替トリガ信号318がLowからHighに変化すると、切替信号115をHighからLowに変更して選択部105へ出力する。そして、選択部105は、補聴処理部102が出力するアナログ補聴信号113を選択し、通常の補聴動作が開始される。
以上のように本実施の形態によれば、実施の形態1に示した構成に加えて、補聴器内部で生成する音の音圧レベルを、補聴器周囲の音のレベルに応じて変更するようにしたので、補聴器周囲で比較的大きな音が発生している状況においても、使用者が補聴器の本体を装着する前に補聴処理を施した音が出力されず、この結果として、補聴器装着時に補聴処理を施した音が回り込むことによって生じるハウリングの発生を防ぐことが可能となり、使用者にとっての快適性を高めることの出来るものとなる。
なお、本実施の形態では、隣接パワー平均値313に対して20dBSPLの増加となるレベルをターゲットレベルとしているが、周囲音が一定レベル以上の環境においてターゲットレベルを一定値以上増加しないようにすることも可能である。これは、周囲音が非常に大きな環境で使用者が補聴器の本体100を装着しようとする場合に、特定音の音圧レベルが周囲音に応じて大きくなりすぎると使用者が不快と感じるためである。具体的には特定音出力パワー決定部309内に設けたレジスタ(図示せず)を用いて最大パワーレベルを状態S0の初期化の時に設定しておき、特定音出力パワー決定部309においてターゲットレベルと最大パワーレベルを常時比較し、ターゲットレベルが最大パワーレベルよりも大きくなった場合は、ターゲットレベルを最大パワーレベルに置き換えることによって実現できる。具体的に数値で説明すると、最大パワーレベルを75dBSPLと設定した場合、隣接パワー平均値313が55dBSPL以下の場合のターゲットレベルは、隣接パワー平均値313に20dBSPLを加えた音圧になり、隣接パワー平均値313が55dBSPLより大きい場合のターゲットレベルは最大パワーレベルと等しい75dBSPLとなる。
また、本実施の形態では、使用者が本体100を装着するときに、周囲音が比較的大きな環境にいる時を例として説明を行っているため、THCを特定音の音圧レベルである70dBSPLよりも5dB小さな値である65dBSPLに設定している。状態S1において隣接パワー平均値313が初期パワー値312以上である場合に設定するTHCの値は、補聴器の本体100を構成するハードウェアによるレジスタ設定や、図示していない補聴器の本体100内部もしくはCPU等でソフトウェアによる制御を行う他に、フィッティングを行う際に設定を更新することも可能である。
また、ターゲットレベル及び最大パワーレベルも閾値THCの設定と同様に、ハードウェアもしくはソフトウェアによる設定や、フィッティングを行う際に設定を更新することが可能である。
また、特定音生成部108は、単一周波数の音を生成するだけでなく、可聴帯域のガイダンス音声も合わせて出力するようにしてもよい。このガイダンス音声は、予め補聴器使用者の補聴特性に合わせたものにする。例えば、「補聴器装着確認中」と言った可聴帯域の周波数である音声を、音出力部106から出力する。また、ガイダンス音声以外に音楽データを出力しても良い。特定音生成部108が生成する音が可聴帯域であることで、補聴器使用者にとって、音出力部106から音が出力されていない無音状態であり、その際に補聴器の電源投入忘れなのか、装着判定を行っているのかが分からないという状態を回避できる。つまり、補聴器使用者は、補聴器が起動していることが分かり、装着判定が完了するのを待つことが出来る。
また、特定音生成部108は、連続音ではなく任意のパターンでオン、オフを繰り返す間欠音を出力するようにしてもよい。例えば、本実施の形態において、250フレーム周期(250×2ミリ秒=500ミリ秒)の間、単一周波数の音を出力した後、250フレーム周期の間、無音状態となるようなパターンを出力し、装着判定部107では単一周波数の音が特定音生成部108から出力されている期間の、パワー値群112を用いて装着状態を判定すればよい。この単一周波数の音のオン、オフのタイミングは、特定音生成部108にて制御されているため、装着判定部107に入力されるパワー値群112を有効利用するか否かのタイミング制御は、容易に実現可能である。
なお、この方法は、任意のパターンでオン、オフを繰り返す間欠音のみならず、音声や音楽を出力する場合にも適応できる。例えば、音楽を出力する場合は、特定音生成部108内部にメモリ等の記憶手段を設けておき、フィッティング装置等によって音楽データをあらかじめ記憶しておく。このとき、どの周波数が時間軸方向でどのタイミングに出力されるのかという情報も合わせて記憶しておく。また、図示していないが、補聴処理部102内部の各ブロックから特定音生成部108内部に設けたメモリ等の記憶手段に対してリードライトアクセスが可能となるようにすると、例えば状態S0における初期化が終了してから状態S1に移るまでの間に、音楽データに含まれる周波数成分を分析することによって、どの周波数が時間軸方向でどのタイミングに出力されるかという情報を得ることも可能である。
音楽を出力する場合は、単一周波数ではなく逐次変化する周波数を出力することになるが、以上の方法により、どの周波数を出力しているか等を特定音生成部108で認識することができる。したがって、上記と同様に装着判定部107に入力されるパワー値群112を有効利用するタイミング制御は、容易に実現可能である。
なお、特定音生成部108から音声を出力する場合も、上記音楽を出力する場合と同様の方法で装着判定が可能である。
また、籠もり感を解消するために、本体100が大きな径のベント等を有するオープンフィッティングタイプである場合には、装着状態であっても、音出力部106から集音部101に向かって、音が回り込む経路が残り、音響ループが形成される。これにより、装着判定部107において、特定音生成部108が生成した音の周波数帯域で、所定のパワー値が検出される。ただし、ベント等の開口径にもよるが、このパワー値は未装着の状態と比較して小さくなり、そのパワー値のレベルは、前もって把握することが出来る。そこで、装着判定部107の閾値決定部310で求めたパワー閾値315に、オープンフィッティングで残るパワー値を加算した値を閾値として用いる。このように、オープンフィッティングタイプであっても、閾値を変更することによって、本発明の方法が有効に作用する。
また、本実施の形態では、本体100を耳穴型として説明したが、音響ループに起因してハウリングが発生する補聴器全てにおいて同様であり、例えば耳かけ型の補聴器などにも適用可能である。
また、本実施の形態では、特定音生成部108が生成した音を2kHzとして説明したが、より人間の可聴帯域の上限に近くなるような高い周波数に設定してもよい。さらに、サンプリング周波数を上げることによって、人間の可聴帯域の上限を超える周波数に設定することも可能である。このようにすれば、特定音生成部108が生成した音を本体100外へ出力しても、補聴器使用者または周囲の人は聞き取りにくく、出力する音の音量を大きくしても不快感を与えない。さらに、可聴帯域よりも高い周波数の音が定常的に存在するのは特殊な環境下であり、通常はあまり発生しない。そのため、この帯域の音に基づいて補聴器の装着判定を行うと、周囲の音による誤判定を起こしにくいのである。
なお、先に説明した実施形態において記載した周波数、音の大きさ(パワー値、音圧レベル)、フレーム周期、閾値等に関する数値は一例であり、これに限られるものではない。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2008年11月28日出願の日本特許出願No.2008-303979に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
以上のように、本発明にかかる補聴器は、使用者が補聴器の本体を耳に装着するまでの間、補聴処理により増幅された音を出力しないようにできるため、使用者に不快なハウリングが発生しない聴覚補助装置等として有用である。
100 本体
101 集音部
102 補聴処理部
103、108 特定音生成部
104、107 装着判定部
105 選択部
106 音出力部
111a、111b アナログ入力信号
112 パワー値群
113 アナログ補聴信号
114 特定音信号
115 切替信号
116 選択出力信号
117 特定音出力増加量信号
118 特定音生成許可信号
201 A/D変換部
202 指向性合成部
203 周波数分析部
204 パワー算出部
205 ゲイン制御部
206 ゲイン調整部
207 周波数合成部
208 D/A変換部
211a、211b デジタル入力信号
212 合成信号
213 周波数信号群
214 ゲイン制御信号群
215 調整済周波数信号群
216 デジタル補聴信号
300 LPF
301 初期パワー値保持部
302 隣接平均演算部
303、310 閾値決定部
304 パワー判定部
305 パワー継続カウント部
306 継続時間判定部
307 装着状態管理部
308 切替信号生成部
309 特定音出力パワー決定部
311 平滑パワー値群
312 初期パワー値
313 隣接パワー平均値
314 装着状態信号
315 パワー閾値
316 閾値比較信号
317 カウンタ値
318 切替トリガ信号
500 補聴器使用者の耳
501 集音部101へ回り込む音
502 耳500で反射して集音部101方向へ回り込む音
本発明は、補聴器のハウリングを防止する技術に関する。
補聴器は、耳に装着するために本体が小さく形成され、本体の周囲音を集音するマイクと、補聴処理により増幅された音を出力するスピーカーが、近い位置に配置されている。そのため、スピーカーが出力した音が、本体を回りこんで再びマイクに集音される、音響ループが形成され、スピーカーから不快な音を出力してしまう、ハウリングが発生しやすい。とりわけ、補聴器を耳に装着していない時に発生しやすい。これは、本体を回り込む音を遮るものが無いためである。
そこで、本体の電源を投入してから耳に装着するまでの時間を予め設定しておき、本体の電源を投入してから設定した時間が経過した後に、スピーカーが補聴処理した音の出力を開始する補聴器が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−145197号公報
このように、電源投入後所定の時間が経過するまで、補聴処理により増幅された音を出力させないという技術は、ハウリング抑制に貢献するが、装着時にハウリングを発生させないという観点では、まだ不十分である。上述した文献には、補聴器の電源を投入してから装着するまでの時間は、使用者によって異なるため、その使用者に合わせて、所定の時間を変更できることが開示されているが、これでは、使用者が普段の装着手順と異なる動作を行い、補聴器の電源を投入してから装着までに時間がかかると、補聴器を装着する前に補聴処理により増幅された音が出力されてしまうことがあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、使用者が補聴器の電源を投入してから装着するまでに時間がかかっても、補聴器を装着する前に、補聴処理により増幅された音が出力されることを防止可能な補聴器を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明の補聴器は、周囲音を集音する集音部と、音を出力する音出力部と、耳に装着可能な形状を有する本体と、を備え、前記本体は、前記集音部が集音した周囲音に補聴処理を施す補聴処理部と、前記周囲音に基づいて、前記本体が耳に装着されたか否かを判定する装着判定部と、所定信号を生成する特定音生成部と、前記装着判定部の判定結果に基づいて、前記補聴処理部が補聴処理を施した音と、特定音生成部が生成した音と、のいずれかを選択して前記音出力部へ出力する選択部と、を備えることを特徴としたものである。
本発明の補聴器によれば、補聴処理を施した音もしくは所定信号を選択して音出力部に出力可能とし、補聴器の装着を判定するまでは、所定信号(例えば補聴器内部で生成した音)を選択して、音出力部に出力するようにしたので、使用者が補聴器の本体を装着する前に、補聴処理を施した音が出力されず、この結果として、補聴器装着時に補聴処理を施した音が回り込むことによって生じる、ハウリングの発生を防ぐことが可能となり、使用者にとっての快適性を高めることの出来るものとなる。
本発明の実施の形態1における補聴器のブロック構成を示す図 本発明の実施の形態1における補聴処理部のブロック構成図 本発明の実施の形態1における装着判定部のブロック構成図 本発明の実施の形態1における装着判定部の動作を管理する状態遷移図 本発明の実施の形態1における補聴器使用者の耳と外耳道付近の断面と補聴器の本体とを示す図 本発明の実施の形態1における補聴器の本体から出力される音と、出力された音が再び補聴器の本体に入力されて周波数分析した結果を示す図 図6における信号の特定の周波数に関する信号レベルの変化を示す図 本発明の実施の形態2における補聴器のブロック構成を示す図 本発明の実施の形態2における装着判定部のブロック構成図
以下に、本発明の補聴器の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における補聴器のブロック構成を示す図である。図1に示すように、本発明の補聴器は、本体100内に集音部101と、補聴処理部102と、特定音生成部103と、装着判定部104と、選択部105と、音出力部106を備えている。
後で詳細に説明するが、補聴器の本体100の電源(図示せず)を投入後、この本体100を補聴器使用者が耳に装着するまでの間は、特定音生成部103により生成された所定信号(特定音、例えば単一周波数の音)を選択部105が選択して、音出力部106に出力する。そして、装着判定部104は、音出力部106が出力した単一周波数の音を集音部101が集音した音の中から識別すると、本体100が耳に装着されていないと判定する。
一方、装着判定部104は、音出力部106が出力した上記単一周波数の音を集音部101が集音した音の中から識別しなかった場合には、音出力部106から集音部101へのフィードバックが途切れていると判定し、即ち、本体100が耳に装着されていると判定する。このように、本体100が耳に装着されたと装着判定部104が判定すると、選択部105は、補聴処理部102が補聴処理を施した音を選択して、音出力部106へ出力するようになり、補聴器使用者に対して、補聴処理を施した音の提供を開始する。
まず、集音部101は、補聴器の本体100上に設けられた音口と、この音口に入ってきた周囲音を集音するマイクロホンと、で構成される。周囲音は音響信号として音口に入り、マイクロホンはこの音響信号をアナログの電気信号に変換して補聴処理部102に出力する(周囲音を集音する)。本実施の形態では、集音部101には、補聴器使用者に指向性を提供するために、音口とマイクロホンとが2組備えられ、それぞれアナログ入力信号111aと111bを出力する。
補聴処理部102は、集音部101から出力されたアナログ入力信号111a、111bに補聴処理を施して、補聴器使用者の聴力特性に適合するよう調整された音信号である、アナログ補聴信号113を選択部105に出力する。さらに、後述するパワー値群112を、装着判定部104に出力する。
ここで、補聴処理部102について図2を用いて詳細に説明する。図2にそのブロック図を示すように、補聴処理部102は、A/D(Analog to Digital)変換部201と、指向性合成部202と、周波数分析部203と、パワー算出部204と、ゲイン制御部205と、ゲイン調整部206と、周波数合成部207と、D/A(Digital to Analog)変換部208と、で構成されている。
A/D変換部201は、集音部101が出力するアナログ入力信号111a、111bをそれぞれデジタルサンプリングし、デジタル入力信号211a、211bとして指向性合成部202へ出力する。ここで本実施の形態では、A/D変換部201におけるサンプリング周波数を32kHzとする。即ち31.25マイクロ秒間隔でアナログ入力信号111a、111bをサンプリングして、デジタル入力信号211a、211bに変換する。
指向性合成部202は、補聴器使用者に対して特定の方向からの音を拡大したり、特定の方向以外の音を小さくしたりする。即ち特定の方向に補聴器の指向性を向けるように、デジタル入力信号211a、211bを加工して合成する。合成された信号は、合成信号212として周波数分析部203へ出力される。この指向性合成部202は、複数の適応フィルタと加算器とで構成され、その演算係数を変更することで、任意の向きに指向性を向けることが可能である。また、全方向の音が均等に聞こえる無指向とすることも出来る。
周波数分析部203は、時系列に入力される合成信号212を、時間領域の信号から周波数領域の信号へと変換し、複数の周波数帯域に分割して、周波数信号群213として出力する。この方法としては、フーリエ変換した結果を分割する方式、またはサブバンド分割方式が用いられる。この時、変換の演算はA/D変換部201でデジタルサンプリングされた信号の複数サンプルを用いて行われる。例えば、128点FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行う場合、1フレームを64サンプルと規定すると、2つの連続するフレーム(2x64=128サンプル)を用いてフーリエ変換を行う。この演算に用いたフレームが、n番目及びn+1番目のフレーム(nは自然数)であるとすると、次のフーリエ変換は、n+1番目及びn+2番目のフレームに対して行われ、フーリエ変換の結果は毎フレーム更新される。また、各フレームのデータはそれぞれ2回フーリエ変換の演算に用いられるため、オーバーラップ率は50%となる。
また分割は、補聴器が扱う周波数の上限から下限の間を、複数に分けることで行われる。本実施の形態においては、A/D変換部201において32kHzでサンプリングを行っているので、サンプリング定理により、補聴処理が有効な周波数帯の範囲は0Hzから16kHzとなる。これを250Hzで等分し、65個の周波数信号を周波数信号群213として出力する。なお、全周波数領域を等分するのではなく、ウェーブレット変換を用いて低域周波数側の周波数分解能を高く、高域周波数側の周波数分解能を低くするようにしても良い。
パワー算出部204は、周波数分析部203から出力される周波数信号群213の各帯域の周波数信号それぞれについて、パワー値を1フレーム毎に計算する。ここでパワー値とは、周波数分析部203に入力された信号の電力であり、集音部101に入力される音響信号の音圧レベルと相関を有する。即ち、音圧レベルが小さければパワー値は小さく、音圧レベルが大きければパワー値は大きくなる。パワー値は、各帯域の周波数信号毎に実数部と虚数部の二乗和を計算して求められる。計算された各帯域のパワー値は、パワー値群112としてゲイン制御部205へと出力される。さらに、このパワー値群112は、装着判定部104へと出力される。
ゲイン制御部205は、パワー値群112に基づいて、各帯域の周波数信号に対するゲインを決定する。ゲインの決定には、ゲインテーブルが用いられる。聴覚のダイナミックレンジは補聴器使用者によって異なり、入力される音響信号の音圧レベルに対して、その補聴器使用者に応じた、非線形なゲイン調整が必要となる。そこで、予めオージオグラム等で求めた補聴器使用者に必要なゲイン特性に基づいて、入力音圧レベル即ちパワー値毎にゲインを定めたゲインテーブルを作成する。ゲイン制御部205は、周波数分析部203で分割された全ての周波数帯域についてこのゲインテーブルを備え、パワー値群112が入力されると、ゲインテーブルを参照して対応するゲインを決定する。そしてこれらは、ゲイン制御信号群214として、ゲイン調整部206へと出力される。
ゲイン調整部206は、ゲイン制御信号群214に基づいて各帯域の周波数信号である周波数信号群213にゲイン演算を行い、周波数信号のゲイン調整を行う。ゲイン調整が施された周波数信号は、調整済周波数信号群215として周波数合成部207に出力される。
周波数合成部207は、分割された65個の周波数信号からなる調整済周波数信号群215を合わせて、周波数領域の信号から時間領域の信号へ変換する。周波数合成は、周波数分析がフーリエ変換であったならば逆フーリエ変換で、サブバンド分割であったならばサブバンド合成によって行われる。周波数合成された信号は、デジタル補聴信号216としてD/A変換部208に出力される。
D/A変換部208は、A/D変換部201と逆の変換を行い、デジタル信号であるデジタル補聴信号216を、アナログ信号であるアナログ補聴信号113へと変換する。
本実施の形態の特徴の一つである特定音生成部103は、所定信号(例えば単一の周波数の音)を生成して特定音信号114として出力する。本実施の形態では、この音の周波数を2kHzとする。この音の周波数は、サンプリング周波数の1/2である16kHz未満であれば、どの周波数でも良い。特定音の音圧レベルは、大きすぎると使用者が不快と感じ、小さすぎると周囲音との区別がつきにくくなり検出精度が低下するため、その中間となるレベルに設定するのが望ましい。本実施の形態では、人間の普通の会話音の大きさである62dBSPLの音圧で出力する。ここでdBSPLは音圧を示す指標値であり、一般的に人間が聞こえる最小の音圧レベルが0dBSPL、60〜70dBSPLが普通の会話音、130dBSPLが大多数の人が不快と感じる指標値である。
一般的に補聴器使用者の聴力特性は個人毎に異なるため、補聴器購入時や購入後に、図示しないフィッティング装置により補聴器の本体100を構成するハードウェアやソフトウェアの設定を変更する作業(フィッティング)を行い、後述する補聴処理部102における補聴処理の最適化が行われる。このとき、特定音生成部103から出力される特定音の周波数や音圧レベルの設定も使用者の好みに合わせて変えることが可能である。
なお、特定音生成部103は、本体100の電源投入後、装着判定部104から出力される特定音生成許可信号がLowからHighに変化すると、特定音信号114を生成して出力し、補聴処理開始時に特定音生成許可信号がHighからLowに変化すると特定音の生成を停止する。これにより、補聴処理開始後の特定音生成部103における電力消費を削減することが可能となる。
次に、装着判定部104について図3を用いて詳細に説明する。装着判定部104は、図3にそのブロック図を示すように、LPF(Low Pass Filter)300と、初期パワー値保持部301と、隣接平均演算部302と、閾値決定部303と、パワー判定部304と、パワー継続カウント部305と、継続時間判定部306と、装着状態管理部307と、切替信号生成部308と、で構成される。
装着判定部104には、補聴処理部102から出力されたパワー値群112が入力される。LPF300は、それぞれのパワー値に対して高域遮断処理を実施し、平滑化された平滑パワー値群311をフレーム毎に出力する。パワー値群112が更新されるのはフレーム単位である2ミリ秒であるが、使用者が補聴器を装着するのに必要な時間は秒単位の動作であり、その動作を検出するためには、数十から数百ミリ秒単位でのパワー値の変化が得られれば、装着動作の検出が可能となる。LPF300は、2ミリ秒間隔で入力されるパワー値群112に対して、時間軸方向に高域遮断処理を施すことによって、装着動作の検出に不必要な外部ノイズの影響を軽減するものである。
初期パワー値保持部301は、補聴器の本体100に電源が投入されて起動した後、補聴器全体の回路が立ち上がり定常状態になった直後の1フレームで、平滑パワー値群311から周波数2kHzを含む周波数帯のパワー値を取り出して保持する。後述するが、この時はまだ、音出力部106からは音が出力されていない。本実施の形態では、補聴処理が有効な0Hzから16kHzまでの周波数帯の範囲を250Hz刻みで分割しているため、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値を保持する。そしてこの保持したパワー値を、初期パワー値312として閾値決定部303へと出力する。
隣接平均演算部302は、平滑パワー値群311から特定音生成部103で生成した音の周波数帯に隣接する、周波数帯のパワー値の平均値をフレーム毎に求めるものである。これは、特定音生成部103で生成した音以外に、この周波数付近で発生している雑音(周囲音)を測定するために行われる。本実施の形態では、2kHzから2.25kHzと、その周波数帯に隣接する1.75kHzから2kHz、2.25kHzから2.5kHzの、3つの周波数帯のパワー値の平均値を求めて、隣接パワー平均値313として閾値決定部303へ出力する。この隣接パワー平均値313の演算は、上述した初期パワー値保持部301の処理と同じタイミングで行われる。そのため、隣接パワー平均値313には、特定音生成部103が生成した音のパワーは含まれていない。
閾値決定部303は、フレーム毎に初期パワー値保持部301から出力される初期パワー値312と、隣接平均演算部302で求めた隣接パワー平均値313の大きさと、装着状態管理部307から出力される装着状態信号314とから閾値を決定し、パワー閾値315として、パワー判定部304へと出力する。この閾値は、補聴器が使用者の耳に装着されているかどうかを判定するパワー判定部304において、入力されたパワー値と比較するために用いられる。パワー閾値315の決定方法に関する詳細な説明は後述する。
パワー判定部304は、パワー閾値315と、平滑パワー値群311に含まれる2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とを比較して、比較結果を閾値比較信号316として、パワー継続カウント部305と装着状態管理部307へと出力する。この2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値がパワー閾値315以上の時は、閾値比較信号316はLowとなり、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値がパワー閾値315よりも小さい時には、閾値比較信号316はHighとなる。
パワー継続カウント部305は、1フレームで1インクリメントされるカウンタであり、カウンタ値317を継続時間判定部306へと出力する。このパワー継続カウント部305は、装着状態信号314の示す状態が特定の状態を示す時のみ動作し、閾値比較信号316がLowの間は0にリセットされ、閾値比較信号316がLowからHighに切り替わった時から、カウントが開始される。
継続時間判定部306は、カウンタ値317を所定の値(継続時間判定部306内部に設けた記憶手段(図示せず)にあらかじめ設定した任意の値であり、以下「装着安定待ち時間」と称す)と比較し、選択部105が選択する信号を特定音信号114からアナログ補聴信号113へと切り替えることを促す切替トリガ信号318を、切替信号生成部308と装着状態管理部307へ出力する。切替トリガ信号318は、初期値がLowであり、カウンタ値317が装着安定待ち時間以上になるとHighへと切り替わる信号である。ここで、装着安定待ち時間には、閾値比較信号316がLowからHighに切り替わってからの経過時間、即ち、補聴器の本体100が耳に装着されて、特定音生成部103が生成した音が集音部101で集音されず、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値が、パワー閾値315よりも小さくなってからの経過時間を指定するものである。例えば、補聴器が耳に装着されてから約1秒後に補聴処理を施した音を出力するようにするためには、本実施の形態ではフレーム周期が2ミリ秒であるので、1÷0.002=500の計算式より、装着安定待ち時間は500になる。
補聴器使用者は、補聴器の本体100を耳に挿入しながら捻るなどして、ジャストフィットする位置を探りながら装着することが多い。この場合には、一旦補聴器の本体100と耳とが密着して、特定音生成部103が生成する音の回り込みが途切れた後に、補聴器の本体100の位置調整のために、再び補聴器の本体100と耳との間に隙間が出来て、音の回り込みが発生する可能性がある。
そのため、このカウンタ値317と比較する装着安定待ち時間を小さくして、特定音生成部103が生成する音を集音部101が集音しなくなるとすぐに、選択部105がアナログ補聴信号113を選択するようにすると、補聴器の本体100の位置調整により補聴器の本体100と耳との間に隙間が出来た時に、ハウリングを発生してしまう恐れがある。
そこで、このような補聴器装着時の動作を考慮して、継続時間判定部306における装着安定待ち時間が設定される。例えば、補聴器を新規に購入したり、作り変えたりした場合には、補聴器の本体100を耳に挿入してから補聴器の本体100の位置を微調整するために、少しずつずらす動作が長く発生すると仮定して、約5秒後に補聴処理された音が出力されるように、継続時間判定部306における装着安定待ち時間を5÷0.002の計算式より2500とする。なお、この装着安定待ち時間は、フィッティング装置等から変更可能とし、補聴器使用者の熟練度に応じて調整出来るようにする。
装着状態管理部307は、図4に示すS0からS5に示す補聴器装着時の各状態を管理し、各状態に応じて変化する装着状態信号314と特定音生成許可信号118を出力する。S0は初期状態、S1は周囲音判定状態、S2は装着開始状態、S3は装着直前状態、S4は装着完了後安定待ち状態、S5は補聴処理動作状態である。
これらS0からS5の状態に対応して、装着状態信号314は、S0のときは0、S1のときは1、S2のときは2、S3のときは3、S4のときは4、S5のときは5となり、特定音生成許可信号118はS0、S1、S5のときはLow、S2、S3、S4のときはHighとなる。
図4は、装着状態管理部307における状態の遷移を示したものである。状態S1からS5の各状態からは、電源投入時もしくは電源リセット時にS0にリセットされ、補聴処理動作開始まで、図4に示す状態を遷移する。各状態間を遷移するための詳細な説明は後述する。
切替信号生成部308は、選択部105がアナログ補聴信号113または特定音信号114のどちらかを選択するための切替信号115を出力する。切替信号生成部308は、補聴器の本体100の電源が投入されると、切替信号115をHighにする。そして、切替トリガ信号318がLowからHighに切り替わった時に、切替信号115をHighからLowへと切り替える。切替信号生成部308は、切替信号115をHighからLowへ切り替えると、その後補聴器の本体100の電源が遮断されるまで、切替信号115をLowのまま保持する。
選択部105は、装着判定部104が出力する切替信号115がLowの時は、補聴処理部102が出力するアナログ補聴信号113を選択し、切替信号115がHighの時は、特定音生成部103が出力する特定音信号114を選択して、選択出力信号116として音出力部106へ出力する。
即ち、装着判定部104により、特定音生成部103が生成する音を集音部101が集音していると判定されている間は、特定音生成部103が生成する音が選択されて、音出力部106へと出力される。そして、装着判定部104において、特定音生成部103が生成する音を集音部101が集音しなくなったと判定されると、補聴処理部102により補聴処理が施された音が選択されて、音出力部106へと出力される。
音出力部106は、導音口とスピーカーとで構成される。スピーカーは、選択部105が出力する選択出力信号116を音響信号に変換して出力する。補聴器が耳穴型の場合には、導音口は、スピーカーが出力する音響信号を補聴器本体の外へ導くように設けられた孔である。補聴器が耳かけ型の場合には、導音口は、補聴器が出力する音を補聴器使用者の耳に導く、チューブの中に設けられた導音路と接続する孔である。
次に、本実施の形態の補聴器を、耳に装着する際の動作について、図5を用いて説明する。図5は、補聴器を装着する際の本体100と耳との位置関係及び音の回り込みを説明するために、補聴器使用者の耳と外耳道付近の断面と補聴器の本体100とを示したものである。図5において、符号500は補聴器使用者の耳、符号501は本体100の音出力部106から出力されて集音部101へ回り込む音の様子、符号502は本体100の音出力部106から出力された音が、耳500で反射して集音部101方向へ回り込む音の様子を表している。
まず、補聴器の使用を開始するにあたり、本体100に電源が投入されると、図1の装着判定部104から出力される切替信号115が、上述したようにHighに設定され、音出力部106からは、特定音生成部103が生成する音が出力され、図5(a)に示した回り込む音501が、集音部101によって集音される。装着判定部104は、集音部101が集音した音を特定音生成部103が生成した音であると判定して、切替信号115のHighを継続し、引き続き特定音生成部103が生成する音を音出力部106から出力するようにする。
次に、図5(b)のように、本体100を耳500に近づけると、音出力部106が出力する音が耳500で反射することにより反射音502が発生し、集音部101が集音する音量は大きくなる。装着判定部104は、特定音生成部103が生成した音を集音したと判断し、音出力部106は、引き続き特定音生成部103が生成する音を出力する。
次に、図5(c)のように、本体100が耳500の外耳道に完全に装着されると、本体100と耳500の外耳道が密着することにより、音響ループが遮られる。すると集音部101は、音出力部106が出力する音を集音しなくなるため、装着判定部104は、装着状態と判定して切替信号115をLowに切り替える。これにより、音出力部106からは、集音部101が集音した音に補聴処理を施したものが出力され、補聴器として機能するようになる。
次に、本実施の形態1の補聴器を耳に装着する際の、装着判定部104の詳細な動作の説明にあたり、図6と図7の示す内容について説明する。
図6は、横軸が周波数(Frequencyと表記)[Hz]、縦軸が音圧レベル(Powerと表記)[dBSPL]となるグラフを示したものであり、図6(a)は、特定音信号114が選択部105を経由して、音出力部106から音として出力された時の音圧レベルである。また、図6(b)、(c)、(d)は、特定音信号114が選択部105を経由して、音出力部106から出力されている時に、集音部101が集音した音の平滑パワー値群311を示している。ここで、図6(b)、(c)、(d)は、補聴器装着動作の次の条件における測定例を示している。
図6(b)は、比較的静かな環境下の室内において、補聴器の本体100の電源を投入した後、本体100を手で持ち、耳に対して10cmの距離まで近づけた状態1である。図6(c)は、耳穴に本体100が一部入っている状態2である。図6(d)は、本体100が耳穴に完全に入った状態3である。
図7は、図6(b)、(c)、(d)に示した平滑パワー値群311から、それぞれ2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値を抜き出したものである。
続いて、図4、図6、図7を用いて、装着判定部104の詳細な動作の説明を行う。ここからは、装着状態管理部307における状態S0〜S5の遷移に沿って説明を行う。本実施の形態では、使用者が本体100を装着するときに、周囲音が比較的小さい、静かな環境にいる時を例として説明を行う。
〔S0:初期状態〕
本体100の電源が投入されると、装着状態管理部307は、図4に示す状態S0になる。この時、装着判定部104の各ブロック(図3参照)も初期化される。例えば、閾値決定部303内部には、0と1のどちらかを示すステータスフラグを保持する手段(図示せず)を設けており、状態S0では0にセットする。即ち、装着状態信号314が0の時に、初期化が実行される。そして、補聴器全体の回路が立ち上がり、定常状態になると、装着状態管理部307は状態S1に移る。この状態S0からS1への遷移は、経過時間により管理されるものでも、他のブロックの立ち上がりの情報を基準にしたものでも良い。例えば、経過時間により管理されるものであれば、電源が投入されてから最も立ち上がりが遅いブロックの立ち上がり時間を予め設定しておき、その時間が経過すると状態S1へ移る。あるいは、電源が投入されてから最も立ち上がりが遅いブロックから、装着状態管理部307へ信号を接続しておき、その信号により当該ブロックが立ち上がったことを識別するとS1へ移る。
〔S1:周囲音判定状態〕
装着状態管理部307において、状態S1に移ると、装着状態信号314が1となる。すると、閾値決定部303は、初期パワー値312と隣接パワー平均値313から閾値を決定して、パワー閾値315として出力する。具体的には、隣接パワー平均値313が初期パワー値312よりも小さい場合は、閾値を初期パワー値312よりも大きく、特定音の音圧レベルよりも小さい値に設定する。このとき、閾値決定部303内部のステータスフラグは0を保持する。本実施の形態では、上記条件より、45dBSPLより大きく、62dBSPLより小さい値である57dBSPLのレベルに設定し(図7参照)、以下この状態S1で決定する閾値をTHAと表現する。
THAは、本体100が耳500に近付き、反射音502の影響によって集音部101が集音する音量が大きくなる状態(図5(b))を判定するための閾値である。そのため、THAが初期パワー値312よりも大きく、特定音の音圧レベルよりも小さい範囲内において、小となる方向に設定すると、周囲音の影響を受け易くなるために誤判定の発生確率が高くなる。一方、大となる方向に設定すると周囲音の影響を受けにくくなるが、個人差の大きい耳介の形状や、装着時における補聴器の本体100と耳500との位置関係によって反射音502の大きさが異なるため、本体100が耳500に近付いたことを判定できなくなる可能性が生じる。
以上より、THAを変化させた場合の長所・短所のトレードオフの関係から、THAは設定可能な範囲内で比較的大となるような範囲に設定するのが望ましく、本実施の形態1では、説明例としてTHAを特定音の音圧レベルである62dBSPLよりも5dB小さな値である57dBSPLに設定する。ここで、状態S1において設定するTHAの値は、フィッティング装置等から使用者に最も適した値に調整することが可能である。
一方、隣接パワー平均値313が初期パワー値312以上である場合は、THAを隣接パワー平均値313のレベルに設定し、閾値決定部303内部のステータスフラグを1に変更する。THAの設定が完了すると、状態S2に移る。状態S2に移ると、閾値決定部303は、次にS0となるまでTHAを保持する。
〔S2:装着開始状態〕
パワー判定部304は、THAが出力されるパワー閾値315と、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とをフレーム毎に比較して、閾値比較信号316を出力する。その結果、閾値比較信号316がHighであれば、装着状態管理部307は、S2の状態を継続し、閾値比較信号316がLowになると状態S3に移る。
また、状態S3に移るタイミングで、閾値決定部303はパワー閾値315を変更する。具体的には、装着状態信号314が2から3に変わった時に、閾値決定部303内部のステータスフラグが0の場合は閾値を、初期パワー値312より大きくTHA未満となる範囲に設定し、ステータスフラグが1の場合は閾値をTHAと同じレベルに設定する。以下、本実施の形態では、この状態S2からS3への遷移で決定する閾値をTHBと表現し、47dBSPLのレベルに設定する(図7参照)。THBは、本体100が耳500の外耳道に完全に装着された状態(図5(c))を判定するための閾値である。この状態になると、集音部101は音出力部106が出力する音を集音しなくなるため、特に2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値が小さくなる。そのため、THBが初期パワー値312より大きくTHA未満となる範囲において、大となる方向に設定すると、本体100の一部が耳500の外耳道に入ってから完全に装着するまでの途中過程で反射音502の影響が次第に小となるために、装着されたと誤判定する可能性が高くなる。一方、小となる方向に設定すると誤判定の確率は小さくなるが、使用者の装着習熟度によって本体100が耳500の外自動に完全に装着できていない場合、反射音502の影響が残るため状態S2から状態S3に遷移しない可能性が高くなる。
以上より、THBを変化させた場合の長所・短所のトレードオフの関係から、THBは設定可能な範囲内で比較的小となるような範囲に設定するのが望ましい。ここで、状態S2において設定するTHBの値は、フィッティング装置等から使用者に最も適した値に調整することが可能である。
このとき、閾値決定部303はTHBをパワー閾値315として出力する。
〔S3:装着直前状態〕
パワー判定部304は、THBが出力されるパワー閾値315と、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とをフレーム毎に比較して閾値比較信号316を出力する。その結果、装着状態管理部307は、状態S3である時に、閾値比較信号316がLowであれば、S3の状態を継続し、閾値比較信号316がHighになると状態S4に移る。
〔S4:装着完了後安定待ち状態〕
装着状態管理部307における状態がS3からS4に移ると、パワー継続カウント部305は、カウントを開始する。即ち、装着状態管理部307からの装着状態信号314が4になるとともに、パワー判定部304からの閾値比較信号316が、LowからHighに変わるため、パワー継続カウント部305は、0からカウントを開始する。このカウンタ値317は、継続時間判定部306へ入力される。なお、パワー継続カウント部305は、装着状態信号314が0、1、2または3の時は、カウンタ値317を0にして出力する。そして、継続時間判定部306では、カウンタ値317と上述した装着安定待ち時間の比較が行われ、カウンタ値317が装着安定待ち時間以上になると、切替トリガ信号318がLowからHighに変化する。この切替トリガ信号318は、切替信号生成部308と装着状態管理部307へ入力される。装着状態管理部307は、切替トリガ信号318がLowからHighに変化すると、状態S4からS5に移る。
ここで、状態S4にある時に、閾値比較信号316がHighからLowに変わった時、即ち、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値が、パワー閾値315よりも大きくなったら、装着状態管理部307は、状態S4から状態S3に移る。即ち、使用者が補聴器を一旦耳に装着した後、装着安定待ち時間が経過する前に、補聴器を装着しなおした場合には、装着直前状態に戻る。
〔S5:補聴処理動作状態〕
切替信号生成部308は、切替トリガ信号318がLowからHighに変化すると、切替信号115をHighからLowに変更して、選択部105へ出力する。そして、選択部105は補聴処理部102が出力するアナログ補聴信号113を選択し、通常の補聴動作が開始される。
以上のように本実施の形態によれば、集音部101と音出力部106を有するとともに、耳に装着可能な形状となった本体100内に、集音部101が集音した周囲音に補聴処理を施す補聴処理部102と、周囲音に基づいて本体100が耳に装着されたか否かを判定する装着判定部104と、装着判定部104の判定結果に基づいて、補聴処理部102が補聴処理を施した音と、特定音生成部103が生成した音のどちらかを選択して音出力部106に出力する選択部105と、を設けるようにしたので、補聴処理を施した音と、補聴器内部で生成した音とを選択して音出力部106に出力可能となる。そのため、補聴器内部で生成した音により補聴器の装着を判定するまでは補聴器内部で生成した音を選択して音出力部106に出力するように出来るので、使用者が補聴器の本体を装着する前に補聴処理を施した音が出力されず、この結果として、補聴器装着時に補聴処理を施した音が回り込むことによって生じるハウリングの発生を防ぐことが可能となり、使用者にとっての快適性を高めることの出来るものとなる。
なお、特定音生成部103は、単一周波数の音を生成するだけでなく、可聴帯域のガイダンス音声も合わせて出力するようにしてもよい。このガイダンス音声は、予め補聴器使用者の補聴特性に合わせたものにする。例えば、「補聴器装着確認中」と言った可聴帯域の周波数である音声を、音出力部106から出力する。また、ガイダンス音声以外に、音楽データを出力しても良い。特定音生成部103が生成する音が可聴帯域であることで、補聴器使用者にとって、音出力部106から音が出力されていない無音状態であり、その際に補聴器の電源投入忘れなのか、装着判定を行っているのかが分からないという状態を回避できる。つまり、補聴器使用者は、補聴器が起動していることが分かり、装着判定が完了するのを待つことが出来る。
また、特定音生成部103は、連続音ではなく、任意のパターンでオン、オフを繰り返す間欠音を出力するようにしてもよい。例えば、本実施の形態において、250フレーム周期(250×2ミリ秒=500ミリ秒)の間、単一周波数の音を出力した後、250フレーム周期の間、無音状態となるようなパターンを出力し、装着判定部104が、単一周波数の音が特定音生成部103から出力されている期間のパワー値群112を用いて、装着状態を判定すればよい。この単一周波数の音のオン、オフのタイミングは、特定音生成部103にて制御されているため、装着判定部104に入力されるパワー値群112を有効利用するか否かのタイミング制御は、容易に実現可能である。
なお、この方法は、任意のパターンでオン、オフを繰り返す間欠音のみならず、音声や音楽を出力する場合にも適応できる。例えば、音楽を出力する場合は、特定音生成部103内部にメモリ等の記憶手段を設けておき、フィッティング装置等によって音楽データをあらかじめ記憶しておく。このとき、どの周波数が時間軸方向でどのタイミングに出力されるのかという情報も合わせて記憶しておく。また、図示していないが、補聴処理部102内部の各ブロックから特定音生成部103内部に設けたメモリ等の記憶手段に対してリードライトアクセスが可能となるようにすると、例えば状態S0における初期化が終了してから状態S1に移るまでの間に、音楽データに含まれる周波数成分を分析することによって、どの周波数が時間軸方向でどのタイミングに出力されるかという情報を得ることも可能である。
音楽を出力する場合には、単一周波数ではなく逐次変化する周波数を出力することになるが、以上の方法により、どの周波数を出力しているか等を特定音生成部103で認識することができる。したがって、上記と同様に装着判定部104に入力されるパワー値群112を有効利用するタイミング制御は、容易に実現可能である。
なお、特定音生成部103から音声を出力する場合も、上記音楽を出力する場合と同様の方法で装着判定が可能である。
また、特定音生成部103により、単一周波数の音の信号と同時に、本体100を耳に装着中であることを示す音声、音楽の信号の少なくとも一方を生成するようにしてもよい。また、ここでは、特定音生成部103が音声、音楽の信号を出力することは、これらを生成することに含まれるものとする。
また、籠もり感を解消するために、本体100が大きな径のベント等を有するオープンフィッティングタイプである場合には、装着状態であっても、音出力部106から集音部101に向かって音が回り込む経路が残り、音響ループが形成される。これにより、装着判定部104において、特定音生成部103が生成した音の周波数帯域で、所定のパワー値が検出される。ただし、ベント等の開口径にもよるが、このパワー値は、未装着の状態と比較して小さくなり、そのパワー値のレベルは前もって把握することが出来る。そこで、装着判定部104の閾値決定部303で求めたパワー閾値315に、オープンフィッティングで残るパワー値を加算した値を、閾値として用いる。このようにオープンフィッティングタイプであっても、閾値を変更することによって、本発明の方法が有効に作用する。
また、本実施の形態では、本体100を耳穴型として説明したが、音響ループに起因してハウリングが発生する補聴器全てにおいて同様であり、例えば耳かけ型の補聴器などにも適用可能である。
また、本実施の形態では、特定音生成部103が生成した音を2kHzとして説明したが、より人間の可聴帯域の上限に近くなるような高い周波数に設定してもよい。さらにサンプリング周波数を上げることによって、人間の可聴帯域の上限を超える周波数に設定することも可能である。このようにすれば、特定音生成部103が生成した音を本体100外へ出力しても、補聴器使用者または周囲の人は聞き取りにくく、出力する音の音量を大きくしても不快感を与えない。さらに、可聴帯域よりも高い周波数の音が定常的に存在するのは特殊な環境下であり、通常はあまり発生しない。そのため、この帯域の音に基づいて補聴器の装着判定を行うと、周囲の音による誤判定を起こしにくいのである。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における補聴器のブロック構成を示す図であり、装着判定部107と特定音生成部108は、それぞれ図1の装着判定部104と特定音生成部103に置き換わるものである。なお、これら装着判定部107と特定音生成部108以外については、その構成要素と同一の名称を有する、実施の形態1の構成要素と同等の機能を有するものとし、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
上述した実施の形態1と大きく異なる点は、まず、装着判定部107が、補聴処理部102から出力されたパワー値群112を用いて、切替信号115と特定音出力増加量信号117と特定音生成許可信号118を作成し、切替信号115を選択部105に出力し、特定音出力増加量信号117と特定音生成許可信号118とを特定音生成部108に出力する点である。そして、特定音生成部108が、特定音出力増加量信号117を元に出力レベルを決定した特定音信号114を、選択部105に出力する点である。
図9は、装着判定部107の構成を示すブロック構成図である。図9においても、図3に示した装着判定部104と同じ構成動作のものは、同じ符号を付して説明を省略する。図3に示した装着判定部104と異なるのは、特定音出力パワー決定部309を追加し、閾値決定部310における閾値の決定方法を変更した点である。
特定音出力パワー決定部309は、初期パワー値312と隣接パワー平均値313とから、特定音の音圧レベルを決定するための特定音出力増加量信号117を作成し、閾値決定部310と特定音生成部108に出力する。そして、閾値決定部310は、この特定音出力増加量信号117を用いて、パワー閾値315として出力する閾値を決定する。
続いて、図4、図5、図8、図9を用いて、装着判定部107の詳細な動作の説明を行う。ここからは、装着状態管理部307における状態S0〜S5の遷移に沿って、説明を行う。本実施の形態では、使用者が本体100を装着するときに、周囲音が比較的大きな環境にいる時を例として説明を行う。
〔S0:初期状態〕
本体100の電源が投入されると、装着状態管理部307は、図4に示す状態S0になる。この時、装着判定部107の各ブロックも初期化される。例えば、閾値決定部310内部には、0と1のどちらかを示すステータスフラグを保持する手段(図示せず)を設けており、状態S0では0にセットする。即ち、装着状態信号314が0の時に初期化が実行される。そして、補聴器全体の回路が立ち上がり、定常状態になると、装着状態管理部307は状態S1に移る。この状態S0からS1への遷移は、実施の形態1に示したものと同じである。
特定音の音圧レベルは、小さすぎると周囲音との区別がつきにくくなり検出精度が低下する。そのため、本実施の形態では、装着状態信号314が0の時に行う初期化において、人間の普通の会話音の大きさである62dBSPLの音圧にあらかじめ設定する。以下の説明において、ここで設定した62dBSPLの音圧レベルを初期音圧レベルとして説明する。また、初期音圧レベルは補聴器の本体100内のレジスタもしくはメモリ等の記憶手段(図示せず)に保存され、装着判定部107及び特定音生成部108を構成する各ブロックからリードできるものとする。
〔S1:周囲音判定状態〕
装着状態管理部307において、状態S1に移ると、装着状態信号314が1となる。すると、特定音出力パワー決定部309は、初期パワー値312と隣接パワー平均値313とから、特定音出力増加量信号117を決定する。この特定音出力増加量信号117と初期音圧レベルを加えた大きさを最終的な特定音の音圧レベルとする。
ここで、隣接パワー平均値313が初期パワー値312よりも小さい場合は、周囲音による影響が小であるため、特定音出力増加量信号117を0に設定する。このとき、特定音の音圧レベルは初期音圧レベル62dBSPL+0dBSPL=62dBSPLとなる。また、閾値決定部310においても、隣接パワー平均値313と初期パワー値312の比較を行い、隣接パワー平均値313が初期パワー値312よりも小さいため、内部のステータスフラグに0を保持する。
次に、隣接パワー平均値313が初期パワー値312以上である場合について説明を行う。例えば、初期パワー値312が45dBSPL、隣接パワー平均値313が50dBSPLであるとすると、特定音出力パワー決定部309は隣接パワー平均値313に対して20dBSPLの増加となるレベル(以下、ターゲットレベルとする)を設定する。つまり、ターゲットレベルは50dBSPL+20dBSPL=70dBSPLとなる。
続いて、特定音出力パワー決定部309は、ターゲットレベルと初期音圧レベルの差分(70dBSPL−62dBSPL=8dBSPL)を特定音出力増加量信号117として出力する。
また、閾値決定部310においても、隣接パワー平均値313と初期パワー値312の比較を行い、隣接パワー平均値313が初期パワー値312よりも大きい場合は、内部のステータスフラグを1に変更する。
閾値決定部310では、初期パワー値312と隣接パワー平均値313と特定音出力増加量信号117とから閾値THCを決定する。
THCは、本体100が耳500に近付き、反射音502の影響によって集音部101が集音する音量が大きくなる状態(図5(b))を判定するための閾値である。そのため、THCが隣接パワー平均値313よりも大きく、特定音の音圧レベルよりも小さい範囲内において、小となる方向に設定すると、周囲音の影響を受け易くなるために誤判定(本体100が耳500に近付いていないにもかかわらず、本体100が耳500に近付いたと判定すること)の発生確率が高くなる。一方、大となる方向に設定すると周囲音の影響を受けにくくなるが、個人差の大きい耳介の形状や、装着時における補聴器の本体100と耳500との位置関係によって反射音502の大きさが異なるため、本体100が耳500に近付いたことを判定できなくなる可能性が生じる。以上より、THCを変化させた場合の長所・短所のトレードオフの関係から、THCは設定可能な範囲内で比較的大となるような範囲に設定するのが望ましく、本実施の形態では、説明例としてステータスフラグが0の場合は、閾値を初期パワー値312よりも大きい値である57dBSPLに設定し、ステータスフラグが1の場合は、特定音出力増加量信号117が示す8dBSPLを加えた65dBSPLに設定する。
ここで、状態S1において設定するTHCの値は、フィッティング装置等から使用者に最も適した値に調整することが可能である。
以上の方法により閾値THCを設定した後、装着状態管理部307は状態S1から状態S2に移る。
〔S2:装着開始状態〕
パワー判定部304は、THCが出力されるパワー閾値315と、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とをフレーム毎に比較して、閾値比較信号316を出力する。その結果、閾値比較信号316がHighであれば、装着状態管理部307は、S2の状態を保持し、閾値比較信号316がLowになると状態S3に移る。また、状態S3に移るタイミングで、閾値決定部310はパワー閾値315を変更する。
具体的には、装着状態信号314が2から3に変わった時に、閾値決定部310内部のステータスフラグが0の場合には、閾値を初期パワー値312より大きくTHC未満となる47dBSPLに設定し、ステータスフラグが1の場合は、閾値を47dBSPLに特定音出力増加量信号117の示す8dBSPLを追加した、55dBSPLに設定する。以下、本実施の形態では、この状態S2からS3への遷移で決定する閾値をTHDと表現し、55dBSPLのレベルに設定されるものとする。
THDは、本体100が耳500の外耳道に完全に装着された状態(図5(c))を判定するための閾値である。この状態になると、集音部101は音出力部106が出力する音を集音しなくなるため、特に2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値が小さくなる。そのため、THDが隣接パワー平均値313より大きくTHC未満となる範囲において、大となる方向に設定すると、本体100の一部が耳500の外耳道に入ってから完全に装着するまでの途中過程で反射音502の影響が次第に小となるために、装着されたと誤判定する可能性が高くなる。一方、小となる方向に設定すると誤判定の確率は小さくなるが、使用者の装着習熟度によって本体100が耳500の外自動に完全に装着できていない場合、反射音502の影響が残るため状態S2から状態S3に遷移しない可能性が高くなる。
以上より、THDを変化させた場合の長所・短所のトレードオフの関係から、THDは設定可能な範囲内で比較的小となるような範囲に設定するのが望ましい。ここで、状態S2において設定するTHDの値は、フィッティング装置等から使用者に最も適した値に調整することが可能である。
〔S3:装着直前状態〕
パワー判定部304は、THDが出力されるパワー閾値315と、2kHzから2.25kHzの周波数帯のパワー値とをフレーム毎に比較して、閾値比較信号316を出力する。その結果、装着状態管理部307は、状態S3である時に、閾値比較信号316がLowであれば、S3の状態を継続し、閾値比較信号316がHighになると状態S4に移る。
〔S4:装着完了後安定待ち状態〕
装着状態管理部307における状態がS3からS4に移ると、パワー継続カウント部305は、カウントを開始する。この状態S4における各ブロックの動作は、実施の形態1で示したものと同じである。そして、継続時間判定部306が出力する切替トリガ信号318がLowからHighに変化すると、装着状態管理部307は、状態S4からS5に移る。
〔S5:補聴処理動作状態〕
切替信号生成部308は、切替トリガ信号318がLowからHighに変化すると、切替信号115をHighからLowに変更して選択部105へ出力する。そして、選択部105は、補聴処理部102が出力するアナログ補聴信号113を選択し、通常の補聴動作が開始される。
以上のように本実施の形態によれば、実施の形態1に示した構成に加えて、補聴器内部で生成する音の音圧レベルを、補聴器周囲の音のレベルに応じて変更するようにしたので、補聴器周囲で比較的大きな音が発生している状況においても、使用者が補聴器の本体を装着する前に補聴処理を施した音が出力されず、この結果として、補聴器装着時に補聴処理を施した音が回り込むことによって生じるハウリングの発生を防ぐことが可能となり、使用者にとっての快適性を高めることの出来るものとなる。
なお、本実施の形態では、隣接パワー平均値313に対して20dBSPLの増加となるレベルをターゲットレベルとしているが、周囲音が一定レベル以上の環境においてターゲットレベルを一定値以上増加しないようにすることも可能である。これは、周囲音が非常に大きな環境で使用者が補聴器の本体100を装着しようとする場合に、特定音の音圧レベルが周囲音に応じて大きくなりすぎると使用者が不快と感じるためである。具体的には特定音出力パワー決定部309内に設けたレジスタ(図示せず)を用いて最大パワーレベルを状態S0の初期化の時に設定しておき、特定音出力パワー決定部309においてターゲットレベルと最大パワーレベルを常時比較し、ターゲットレベルが最大パワーレベルよりも大きくなった場合は、ターゲットレベルを最大パワーレベルに置き換えることによって実現できる。具体的に数値で説明すると、最大パワーレベルを75dBSPLと設定した場合、隣接パワー平均値313が55dBSPL以下の場合のターゲットレベルは、隣接パワー平均値313に20dBSPLを加えた音圧になり、隣接パワー平均値313が55dBSPLより大きい場合のターゲットレベルは最大パワーレベルと等しい75dBSPLとなる。
また、本実施の形態では、使用者が本体100を装着するときに、周囲音が比較的大きな環境にいる時を例として説明を行っているため、THCを特定音の音圧レベルである70dBSPLよりも5dB小さな値である65dBSPLに設定している。状態S1において隣接パワー平均値313が初期パワー値312以上である場合に設定するTHCの値は、補聴器の本体100を構成するハードウェアによるレジスタ設定や、図示していない補聴器の本体100内部もしくはCPU等でソフトウェアによる制御を行う他に、フィッティングを行う際に設定を更新することも可能である。
また、ターゲットレベル及び最大パワーレベルも閾値THCの設定と同様に、ハードウェアもしくはソフトウェアによる設定や、フィッティングを行う際に設定を更新することが可能である。
また、特定音生成部108は、単一周波数の音を生成するだけでなく、可聴帯域のガイダンス音声も合わせて出力するようにしてもよい。このガイダンス音声は、予め補聴器使用者の補聴特性に合わせたものにする。例えば、「補聴器装着確認中」と言った可聴帯域の周波数である音声を、音出力部106から出力する。また、ガイダンス音声以外に音楽データを出力しても良い。特定音生成部108が生成する音が可聴帯域であることで、補聴器使用者にとって、音出力部106から音が出力されていない無音状態であり、その際に補聴器の電源投入忘れなのか、装着判定を行っているのかが分からないという状態を回避できる。つまり、補聴器使用者は、補聴器が起動していることが分かり、装着判定が完了するのを待つことが出来る。
また、特定音生成部108は、連続音ではなく任意のパターンでオン、オフを繰り返す間欠音を出力するようにしてもよい。例えば、本実施の形態において、250フレーム周期(250×2ミリ秒=500ミリ秒)の間、単一周波数の音を出力した後、250フレーム周期の間、無音状態となるようなパターンを出力し、装着判定部107では単一周波数の音が特定音生成部108から出力されている期間の、パワー値群112を用いて装着状態を判定すればよい。この単一周波数の音のオン、オフのタイミングは、特定音生成部108にて制御されているため、装着判定部107に入力されるパワー値群112を有効利用するか否かのタイミング制御は、容易に実現可能である。
なお、この方法は、任意のパターンでオン、オフを繰り返す間欠音のみならず、音声や音楽を出力する場合にも適応できる。例えば、音楽を出力する場合は、特定音生成部108内部にメモリ等の記憶手段を設けておき、フィッティング装置等によって音楽データをあらかじめ記憶しておく。このとき、どの周波数が時間軸方向でどのタイミングに出力されるのかという情報も合わせて記憶しておく。また、図示していないが、補聴処理部102内部の各ブロックから特定音生成部108内部に設けたメモリ等の記憶手段に対してリードライトアクセスが可能となるようにすると、例えば状態S0における初期化が終了してから状態S1に移るまでの間に、音楽データに含まれる周波数成分を分析することによって、どの周波数が時間軸方向でどのタイミングに出力されるかという情報を得ることも可能である。
音楽を出力する場合は、単一周波数ではなく逐次変化する周波数を出力することになるが、以上の方法により、どの周波数を出力しているか等を特定音生成部108で認識することができる。したがって、上記と同様に装着判定部107に入力されるパワー値群112を有効利用するタイミング制御は、容易に実現可能である。
なお、特定音生成部108から音声を出力する場合も、上記音楽を出力する場合と同様の方法で装着判定が可能である。
また、籠もり感を解消するために、本体100が大きな径のベント等を有するオープンフィッティングタイプである場合には、装着状態であっても、音出力部106から集音部101に向かって、音が回り込む経路が残り、音響ループが形成される。これにより、装着判定部107において、特定音生成部108が生成した音の周波数帯域で、所定のパワー値が検出される。ただし、ベント等の開口径にもよるが、このパワー値は未装着の状態と比較して小さくなり、そのパワー値のレベルは、前もって把握することが出来る。そこで、装着判定部107の閾値決定部310で求めたパワー閾値315に、オープンフィッティングで残るパワー値を加算した値を閾値として用いる。このように、オープンフィッティングタイプであっても、閾値を変更することによって、本発明の方法が有効に作用する。
また、本実施の形態では、本体100を耳穴型として説明したが、音響ループに起因してハウリングが発生する補聴器全てにおいて同様であり、例えば耳かけ型の補聴器などにも適用可能である。
また、本実施の形態では、特定音生成部108が生成した音を2kHzとして説明したが、より人間の可聴帯域の上限に近くなるような高い周波数に設定してもよい。さらに、サンプリング周波数を上げることによって、人間の可聴帯域の上限を超える周波数に設定することも可能である。このようにすれば、特定音生成部108が生成した音を本体100外へ出力しても、補聴器使用者または周囲の人は聞き取りにくく、出力する音の音量を大きくしても不快感を与えない。さらに、可聴帯域よりも高い周波数の音が定常的に存在するのは特殊な環境下であり、通常はあまり発生しない。そのため、この帯域の音に基づいて補聴器の装着判定を行うと、周囲の音による誤判定を起こしにくいのである。
なお、先に説明した実施形態において記載した周波数、音の大きさ(パワー値、音圧レベル)、フレーム周期、閾値等に関する数値は一例であり、これに限られるものではない。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2008年11月28日出願の日本特許出願No.2008-303979に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
以上のように、本発明にかかる補聴器は、使用者が補聴器の本体を耳に装着するまでの間、補聴処理により増幅された音を出力しないようにできるため、使用者に不快なハウリングが発生しない聴覚補助装置等として有用である。
100 本体
101 集音部
102 補聴処理部
103、108 特定音生成部
104、107 装着判定部
105 選択部
106 音出力部
111a、111b アナログ入力信号
112 パワー値群
113 アナログ補聴信号
114 特定音信号
115 切替信号
116 選択出力信号
117 特定音出力増加量信号
118 特定音生成許可信号
201 A/D変換部
202 指向性合成部
203 周波数分析部
204 パワー算出部
205 ゲイン制御部
206 ゲイン調整部
207 周波数合成部
208 D/A変換部
211a、211b デジタル入力信号
212 合成信号
213 周波数信号群
214 ゲイン制御信号群
215 調整済周波数信号群
216 デジタル補聴信号
300 LPF
301 初期パワー値保持部
302 隣接平均演算部
303、310 閾値決定部
304 パワー判定部
305 パワー継続カウント部
306 継続時間判定部
307 装着状態管理部
308 切替信号生成部
309 特定音出力パワー決定部
311 平滑パワー値群
312 初期パワー値
313 隣接パワー平均値
314 装着状態信号
315 パワー閾値
316 閾値比較信号
317 カウンタ値
318 切替トリガ信号
500 補聴器使用者の耳
501 集音部101へ回り込む音
502 耳500で反射して集音部101方向へ回り込む音

Claims (8)

  1. 周囲音を集音する集音部と、
    音を出力する音出力部と、
    耳に装着可能な形状を有する本体と、
    を備え、
    前記本体は、
    前記集音部が集音した周囲音に補聴処理を施す補聴処理部と、
    前記周囲音に基づいて、前記本体が耳に装着されたか否かを判定する装着判定部と、
    所定信号を生成する特定音生成部と、
    前記装着判定部の判定結果に基づいて、前記補聴処理部が補聴処理を施した音と、特定音生成部が生成した音と、のいずれかを選択して前記音出力部へ出力する選択部と、
    を備える補聴器。
  2. 請求項1に記載の補聴器であって、
    前記所定信号は、単一周波数の音、音声、音楽の信号の少なくとも1つである補聴器。
  3. 請求項1または2に記載の補聴器であって、
    前記特定音生成部は、前記所定信号として、前記単一周波数の音の信号と同時に、前記本体を前記耳に装着中であることを示す音声、音楽の信号の少なくとも一方を生成する補聴器。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の補聴器であって、
    前記所定信号は、可聴帯域の周波数信号である補聴器。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の補聴器であって、
    前記所定信号は、非可聴帯域の周波数信号である補聴器。
  6. 請求項1に記載の補聴器であって、
    前記装着判定部は、前記集音部が集音した周囲音のうち、前記特定音生成部が生成した信号と同一周波数帯の信号の信号レベルが前記第一の閾値よりも大きくなった後、前記第二の閾値よりも小さい状態が所定の期間継続した時に、前記本体が耳に装着されたと判定する補聴器。
  7. 請求項1に記載の補聴器であって、
    前記装着判定部は、前記特定音生成部が出力する音のレベルを、前記集音部が集音した周囲音のレベルよりも大きく設定し、前記特定音生成部が出力する音のレベルと初期音圧レベルとの差の情報を前記特定音生成部に通知する補聴器。
  8. 請求項1に記載の補聴器であって、
    前記選択部は、
    前記本体の電源が投入されてから前記装着判定部により前記本体が耳に装着されたと判定されるまで、前記特定音生成部が生成した音を選択して前記音出力部に出力し、
    前記本体が耳に装着されたと判定された後には、前記補聴処理部が補聴処理を施した音を選択して前記音出力部に出力する補聴器。
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