JPWO2010026883A1 - リニアモータおよびリニアモータを備えた携帯機器 - Google Patents
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Abstract
薄型化を図ることが可能なリニアモータが得られる。このリニアモータ100では、渦巻状のコイル(141)は、第1部分(141a、141b)と第2部分(141c、141d)とを有し、第1部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさが、第2部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさよりも大きくなるように構成されている。
Description
本発明は、リニアモータおよびリニアモータを備えた携帯機器に関する。
従来、コイルからの電磁力により振動する可動部を備えた振動モータが知られている。
特開2006−68688号公報には、円板状のマグネットからなる可動子と、可動子を取り囲むように配置されたコイルとを備えた振動アクチュエータ(振動モータ)が開示されている。特開2006−68688号公報に記載の振動アクチュエータでは、円板状の可動部を取り囲むように上下方向に厚みが大きいコイルが配置されているとともに、そのコイルからの電磁力により円板状の可動部を上下方向(可動部の厚み方向)に直線移動させるように構成されている。
また、特開2004−174309号公報には、永久磁石と、永久磁石に対向するように配置された振動子と、振動子に連結されるとともに筒状に形成された可動コイルとを備えた振動装置が開示されている。特開2004−174309号公報に記載の振動装置では、可動コイルは、振動子の移動方向に延びる棒状のガイドレールに対して直交する方向にコイルの巻き面が配置されるとともに、ガイドレールに沿った方向に振動子とともに振動するように構成されている。
特開2006−68688号公報に開示された振動アクチュエータでは、上下方向に厚みが大きいコイルを用いて円板状の可動部が上下方向(可動部の厚み方向)に移動するように構成されているので、装置の薄型化を図ることが困難であるという問題点がある。
特開2004−174309号公報に開示された振動装置では、可動コイルの移動方向(ガイドレールに沿った方向)に対して直交する方向に筒状の可動コイルの巻き面が配置されることになる。このため、可動コイルの巻き面の高さ方向の長さが大きくなるので、装置の薄型化を図ることが困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、薄型化を図ることが可能なリニアモータを提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるリニアモータは、渦巻状のコイルと、渦巻状のコイルと対向する磁極面を有し、渦巻状のコイルの表面に沿った方向に沿って移動可能に設けられる可動部とを備え、渦巻状のコイルは、平面的に見て、可動部が移動する方向と交差する方向に沿って延びる第1部分と、可動部が移動する方向に沿って延びる第2部分とを有し、第1部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさが、第2部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさよりも大きくなるように構成されている。
この発明の第2の局面による携帯機器は、渦巻状のコイルと、渦巻状のコイルと対向する磁極面を有し、渦巻状のコイルの表面に沿った方向に沿って移動可能に設けられる可動部とを備え、渦巻状のコイルは、平面的に見て、可動部が移動する方向と交差する方向に沿って延びる第1部分と、可動部が移動する方向に沿って延びる第2部分とを有し、第1部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさが、第2部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさよりも大きくなるように構成されているリニアモータを備える。
この発明の第1の局面によるリニアモータでは、上記の構成により、薄型化を図ることができる。
この発明の第2の局面による携帯機器では、上記の構成により、薄型化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるリニアモータ(リニア駆動型振動モータ)100は、図1および図2に示すように、収納部110aが設けられた枠体110と、収納部110aに配置された可動部120と、可動部120を支持する一対の板バネ130とを備えている。
本発明の第1実施形態によるリニアモータ(リニア駆動型振動モータ)100は、図1および図2に示すように、収納部110aが設けられた枠体110と、収納部110aに配置された可動部120と、可動部120を支持する一対の板バネ130とを備えている。
枠体110は、平面的に見て、矢印X1およびX2方向に延びる第1側壁部110bと矢印Y1およびY2方向に延びる第2側壁部110cとにより実質的に矩形形状(正方形形状)に形成されているとともに、枠体110の収納部110aは、上下方向(矢印Z1およびZ2方向)に貫通する矩形形状の開口部からなる。また、枠体110には、収納部110aの上方向側(矢印Z1方向側)の開口部を塞ぐようにプリント基板140が配置されているとともに、下方向側(矢印Z2方向側)の開口部を塞ぐように底板150が配置されている。また、枠体110、プリント基板140および底板150は、ガラスエポキシ樹脂により形成されている。なお、枠体110、プリント基板140および底板150は、本発明の「筐体」の一例である。
可動部120は、図2に示すように、平面的に見て角部が面取りされた矩形形状(長方形状)に形成されているとともに、平板状の永久磁石(フェライトやネオジウムなどの強磁性材料からなる磁石)により構成されている。可動部120は、矢印X1およびX2方向に沿って約8mmの長さを有するとともに、矢印Y1およびY2方向に沿って約10mmの長さを有する。また、可動部120は、平面的に見て、枠体110の収納部110aの略中央に位置するように一対の板バネ130により側面が支持されている。また、図3に示すように、可動部120は、収納部110aの高さよりも低い高さ(小さい厚み)を有している。
可動部120は、図3に示すように、第1磁石121および第2磁石122からなる2つの永久磁石により構成されている。具体的には、可動部120の中心線C1−C1近傍(図2参照)を境界として矢印X1方向側に第1磁石121が配置されるとともに、矢印X2方向側に第2磁石122が配置されるように構成されている。第1磁石121のプリント基板140に対向する側には、厚み方向にN極に着磁されたN極面121aが設けられている。また、第2磁石122のプリント基板140に対向する側には、厚み方向にS極に着磁されたS極面122aが設けられている。なお、N極およびS極は、それぞれ、本発明の「第1の極性」および「第2の極性」の一例であるとともに、N極面121aおよびS極面122aは、それぞれ、本発明の「第1磁極面」および「第2磁極面」の一例である。
第1磁石121の底板150に対向する側には、厚み方向にS極に着磁されたS極面121bが設けられている。同様に、第2磁石122の底板150に対向する側には、厚み方向にN極に着磁されたN極面122bが設けられている。
また、第1磁石121と第2磁石122とは、プリント基板140側の表面において、N極面121aとS極面122aとが隣接するとともに、底板150側の表面において、S極面121bとN極面122bとが隣接するように配置されている。そして、第1磁石121と第2磁石122とは、それぞれ、互いに隣接するN極面121aおよびS極面122a間による引力と、S極面121bおよびN極面122b間による引力とにより密着した状態で保持されているとともに、接着剤などにより互いに固定されている。
以上により、可動部120は、一対の板バネ130に支持された状態で、収納部110aの内部においてプリント基板140に対して平行な矢印X1およびX2方向に直線移動する。ここで、平行とは、互いに平行な状態だけでなく、可動部120が直線移動する際の妨げにならない程度に平行な状態からずれた状態(所定の角度傾斜した状態)を含んでいる。また、このとき、第1側壁部110b(図2参照)は、可動部120が矢印X1およびX2方向に移動する際のガイドとしての機能を有する。
一対の板バネ130は、図1および図2に示すように、それぞれ、枠体110の第2側壁部110cの内側面に配置されている。具体的には、一対の板バネ130は、それぞれ、枠体110に固定される固定部130aと、撓み部130bと、可動部120の支持部130cとにより構成されている。固定部130aは、矢印Y1およびY2方向に沿って延びるように形成されているとともに、枠体110の第2側壁部110cに接着剤などにより固定されている。また、撓み部130bは、固定部130aとの境界部分から支持部130cまでの間に複数回(2回)折り曲げられることによって、一対の板バネ130の支持部130cの軌跡が中心線C2−C2上を矢印X1およびX2方向に沿って直線的に移動するように撓み可能に構成されており、可動部120を互いに他方側の板バネ130に付勢する機能を有している。また、各板バネ130の支持部130cは、それぞれ、枠部110の収納部110aの中心線C2−C2上近傍において可動部120を挟むようにして支持するように構成されている。
第1磁石121および第2磁石122における底板150に対向する側の表面には、鉄板などからなるヨーク160aが設けられている。なお、ヨーク160aは、本発明の「可動部側ヨーク」の一例である。また、プリント基板140の可動部120と対向する側とは反対側の表面にも、同様に、鉄板などからなるヨーク160bが設けられている。なお、ヨーク160bは、本発明の「コイル側ヨーク」の一例である。ヨーク160aおよび160bは、装置本体から外部へ磁気が漏れるのを抑制するための磁気シールドとしての機能を有する。
プリント基板140の内部には、図3〜図5に示すように、2層配線構造からなる扁平形状(平坦面状)の平面コイル141および142が配置されている。平面コイル141および142は、それぞれ、平面的に見て、矩形形状の輪郭を有するとともに、内側から外側に向かってXY面(矢印X1(X2)方向と矢印Y1(Y2)方向とにより形成される面)方向に広がるように渦巻状に形成されている。なお、平面コイル141および142は、それぞれ、本発明の「コイル」の一例である。
平面コイル141および142は、1本の電流線143により互いに電気的に直列接続されている。具体的には、平面コイル141を構成する第1層目電流線143aは、図4に示すように、外側から内側に向かって反時計回りに渦巻状に巻回されている。平面コイル141の第1層目電流線143aの外側の端部は、プリント基板140上に設けられた電極パッド170aに接続されている。
平面コイル142を構成する第2層目電流線143bは、図5に示すように、内側から外側に向かって反時計回りに渦巻状に巻回されている。平面コイル142の第2層目電流線143bの外側の端部は、プリント基板140上に設けられた電極パッド170bに接続されている。そして、平面コイル141を構成する第1層目電流線143aの内側の端部と、平面コイル142を構成する第2層目電流線143bの内側の端部とが、それぞれの中心部分近傍においてプリント基板140に設けられたコンタクトホールを介して互いに接続されている。なお、ヨーク160bには、プリント基板140上の電極パッド170aおよび170bに対応する位置にそれぞれ開口部160cおよび160dが設けられており、ヨーク160bと、電極パッド170aおよび170bとは接触していない。
図4に示すように、平面コイル141は、それぞれ、矢印Y1およびY2方向に延びる第1部分141aおよび141bと、矢印X1およびX2方向に延びる第2部分141cおよび141dとを有している。つまり、第1部分141aおよび141bは、プリント基板140において、可動部120が移動する矢印X1方向および矢印X2方向のそれぞれの側に設けられている。第2部分141cおよび141dを構成する電流線143aの幅W2が、平面コイル141の第1部分141aおよび141bを構成する電流線143aの幅W1よりも小さくなるように形成されている。これにより、第2部分141cおよび141dを構成する電流線143aのピッチ(隣接する電流線143aの中心間の距離)L2が、第1部分141aおよび141bを構成する電流線143aのピッチL1よりも小さくなる。その結果、第1部分141aおよび141bに流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさが、第2部分141cおよび141dに流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさよりも大きくなる。
また、平面的に見て、第2部分141cおよび141dの少なくとも一部は、それぞれ、枠体110の第1側壁部110bに重なるように配置されている。つまり、平面コイル141の配置領域は、平面的に見て可動部120よりも大きく、可動部120全体を覆っている。
図5に示すように、平面コイル142も、平面コイル141と同様の構成であり、矢印Y1およびY2方向に延びるとともに幅W1を有する第1部分142aおよび142bと、矢印X1およびX2方向に延びるとともに幅W2を有する第2部分142cおよび142dとを有している。また、平面的に見て、第2部分142cおよび142dの一部は、それぞれ、枠体110の第1側壁部110bに重なるように配置されている。なお、第1側壁部110bは、本発明の「側壁部」の一例である。
また、平面的に見て、静止状態における、平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)は、可動部120のN極面121aと重畳しており、第1部分141b(142b)は、S極面122aと重畳している。
以上により、平面コイル141および142に駆動電流が供給された際には、第1部分141a(142a)と第1部分141b(142b)とにおいて電流方向は相反する方向となる。また、上層の平面コイル141の部分と、上層の平面コイル141の部分に対応する下層の平面コイル142の部分とに、同じ方向に電流が流れるように、上層の平面コイル141と下層の平面コイル142とが接続される。そして、第1部分141a(142a)、および、第1部分141b(142b)による電磁力が、可動部120を移動させるための駆動力となる。
次に、図4〜図7を参照して、本発明の第1実施形態によるリニアモータ100の動作を説明する。
まず、電極パッド170aおよび170bを介して、電流線143に駆動電流が供給される。これにより、図6に示すように、平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)には、紙面奥側から手前側に電流が流れる。また、平面コイル141(142)の第1部分141b(142b)には、紙面手前側から奥側に電流が流れる。
ここで、可動部120のN極面121aとS極面122aとの間において発生する磁界の向きは、図6の破線矢印で示すように、N極面121a上においては、N極面121aの表面からプリント基板140に向かった方向、すなわちZ1方向となる。また、S極面122a上においては、プリント基板140からS極面122aに向かった方向、すなわちZ2方向となる。このように、可動部120のN極面121aとS極面122aとの間において発生する磁界の向きは、平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)および第1部分141b(142b)の電流の流れる方向と直交することとなる。そのため、平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)を流れる電流は、第1磁石121のN極面121aの磁界から矢印X1方向に力を受ける。同時に、平面コイル141(142)の第1部分141b(142b)を流れる電流は、第2磁石122のS極面122aの磁界から矢印X1方向に力を受ける。しかしながら、平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)および平面コイル141(142)の第1部分141b(142b)は、プリント基板140に固定されているので、可動部120は、反作用により矢印X2方向に直線移動される。
そして、所定時間後、図7に示すように、図6に示す状態とは反対方向の駆動電流を供給することによって、上記と同様の作用により、可動部120が矢印X1方向に直線移動される。このようにして、所定の周波数で駆動電流の方向を切り替えることによって、可動部120は、矢印X1方向と矢印X2方向とに交互に直線移動されて共振運動される。この際、第1磁石121のS極面121bと第2磁石122のN極面122bとの間に発生する磁束は、ヨーク160aに吸収されてヨーク160a内を選択的に通過するので、底板150を貫いて外側にまで及ぶようには発生しない。また、第1磁石121のN極面121aと第2磁石122のS極面122aとの間に発生する磁束は、プリント基板140を貫いた場合にヨーク160bに吸収されてヨーク160b内を選択的に通過するので、ヨーク160bの外側にまで及ぶようには発生しない。
また、このとき、可動部120には、平面コイル141(142)において互いに対向する第2部分141c(142c)および141d(142d)から発生する電磁力により、それぞれ、矢印Y1およびY2方向に沿った中心に向かう方向の力、または、中心から矢印Y1およびY2方向に沿った外側に引っ張る方向の力が加えられている。
本発明の第1実施形態によるリニアモータ100では、以下の効果を得ることができる。
(1)横振動(矢印X1およびX2方向の振動)のリニアモータ100を構成することによって、縦振動(矢印Z1およびZ2方向の振動)のリニアモータに比べて薄型化を図りやすい。
(2)平面コイル141および142の表面に沿った方向(矢印X1およびX2方向)に沿って移動可能な可動部120を設けた。これによって、上下方向(Z方向)に厚みが大きいコイルを用いて上下方向に可動部120を直線移動させる場合に比べて、可動部120の移動範囲(上下方向への移動空間)を設ける必要がないので、その方向の厚みを小さくするための設計の自由度を確保することができる。その結果、薄型化を図ることが可能なリニアモータ100を提供することができる。
(3)平面コイル141および142を可動部120の移動方向に沿って扁平状になるように渦巻状にした。これによって、コイルの巻き面が可動部の移動方向に対して直交する方向に配置される場合に比べて、コイルの巻き面による高さ方向(高さ方向)への領域を設ける必要がなくなり、矢印Z1およびZ2方向の厚みを小さくすることができる。したがって、リニアモータ100の薄型化を図ることができる。
(4)平面コイル141(142)に対向する側の表面に互いに異なる極性のN極面121aおよびS極面122aを含む可動部120を備え、N極面121aおよびS極面122aにそれぞれ対応する位置に、互いに電流の流れる方向が反対である平面コイル141(142)の第1部分141aおよび141b(142aおよび142b)を配置した。これにより、平面コイル141(142)に電流が流れた際に発生する電磁力によりN極面121aおよびS極面122aに加わる力が同じ方向になるので、その方向に可動部120を移動させることができる。すなわち、1つの渦巻状の平面コイルによりリニアモータを構成することができるので、その分、装置を小型化(小面積化)することが可能になる。
なお、コイルに対向する側の永久磁石の極性が1種類のみからなる場合では、可動部を一方方向および他方方向に移動させるために両側にそれぞれコイルを配置する必要があるため、装置の小型化(小面積化)には一定の限界がある。
(5)平面コイル141(142)の表面に対向するように、可動部120のN極面121aおよびS極面122aが配置されるように構成した。これにより、可動部120側から発生する磁力線(磁力線が生じる磁極面)と平面コイル141(142)に電流を流すことにより発生する磁束線(磁束線が生じるコイル面)とが平行になる。これに対して、上記特開2004−174309号公報に記載の構成では、磁石からの磁力線とコイルからの磁束線とは直交する。したがって、上記特開2004−174309号公報に記載の構成に比べてリニアモータ100における構成は、磁力線と磁束線とが重なる量が大きいので、その分、可動部120を移動させる際の駆動力を大きくすることができる。
(6)可動部120の平面コイル141(142)と対向する面とは反対側の面において、N極面121aに対応する位置にS極面121bを設けるとともに、S極面122aに対応する位置にN極面122bを設けた。これによって、可動部120のN極面121a、S極面122a、S極面121bおよびN極面122bは、互いに、可動部120の移動方向(矢印X1およびX2方向)および厚み方向(矢印Z1およびZ2方向)において異なる磁極が隣接するように配置される。したがって、それぞれの磁極面の間において発生する磁束の長さが小さくなるので、その分、リニアモータ100の外部に磁束が漏れるのを抑制することができる。その結果、リニアモータ100を種々の装置内に配置した場合に、リニアモータ100からの磁束漏れに起因して装置の動作不良が発生するのを抑制することができる。
(7)可動部120のS極面121bおよびN極面122bの表面に磁気シールドとしての機能を有するヨーク160aを設けることによって、S極面121bおよびN極面122b間に発生する磁束がリニアモータ100の底板150側から外部に漏れるのを確実に抑制することができる。また、プリント基板140の表面にもヨーク160bを配置することによって、N極面121aおよびS極面122a間において、平面コイル141および142を貫きつつ、ヨーク160b内を通過するようにして磁束が発生する。したがって、N極面121aおよびS極面122a間に発生する磁束がプリント基板140側から外部に漏れるのを確実に抑制することができる。以上により、リニアモータ100からの外部への磁束漏れを容易に抑制することができる。
(8)可動部120を両側から支持する一対の板バネ130を、可動部120との支持部130cが可動部120の移動方向(矢印X1およびX2方向)に沿って撓むように折り曲げられた形状に設けることによって、板バネ130は、支持部130cの軌跡が矢印X1およびX2方向に沿って直線的に移動する。これによって、支持部130cが矢印X1およびX2方向に沿って直線的に移動しながら可動部120を支持するので、可動部120が移動する際に支持部130cと可動部120との接触部分にずれが発生するのを抑制することができる。その結果、可動部120が移動しながら回転するのを抑制することができるので、リニアモータ100を安定して動作させることができる。
(9)可動部120を角部が面取りされた矩形形状にすることによって、面取りしない場合に比べて、可動部120が移動する際に、枠部110の第1側壁部110bとの間に引っかかりが生じるのを抑制することができる。したがって、こうした引っかかりに起因して可動部120が回転するのをより確実に抑制することができる。
(10)平面コイル141(142)に、可動部120が移動する方向と交差する方向(矢印Y1方向および矢印Y2方向)に延びる第1部分141a、141b(142a、142b)と、可動部120が移動する方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に延びる第2部分141c、141d(142c、142d)とを設けた。そして、第2部分141c、141d(142c、142d)の隣接する電流線143a(143b)のピッチL2が、第1部分141a、141b(142a、142b)の隣接する電流線143a(143b)のピッチL1よりも小さくなるように構成した。
これにより、第2部分141c、141d(142c、142d)のピッチL2が小さくなった分、第1部分141a、141b(142a、142b)の矢印Y1方向および矢印Y2方向の長さが大きくなるので、可動部120を移動するための電磁力を増大させることができるとともに、可動部120の応答時間を短縮することができる。
(11)第2部分141c、141d(142c、142d)の電流線143a(143b)の幅W2を小さくすることにより、第2部分141c、141d(142c、142d)の隣接する電流線143a(143b)間のピッチL2が、第1部分141a、141b(142a、142b)の隣接する電流線143a(143b)間のピッチL1よりも小さくなるように構成した。これによって、第1部分141a、141b(142a、142b)の電流線143a(143b)の幅W1が大きい分、電流線143a(143b)の抵抗を小さくすることができるので、電流線143a(143b)を流れる電流量を大きくすることができる。その結果、可動部120の駆動力を増大させることができる。
(12)平面的に見て、平面コイル141(142)の第2部分141c(142c)および141d(142d)の一部を第1側壁部110bに重なるように配置した。これによって、可動部120に矢印Y1およびY2方向の力が作用する領域を小さくすることができるので、可動部120が矢印X1およびX2方向に直線移動する際に、矢印Y1およびY2方向の力に起因して直線状の移動経路からずれるのを抑制することができる。その結果、リニアモータ100を安定して動作させることができる。また、第2部分141c、141d(142c、142d)の一部が枠体110の第1側壁部110bに重なる分、可動部120を移動するための電磁力の発生に寄与する第1部分141a、141b(142a、142b)の長さをより大きくすることができるので、可動部120の駆動力を増大させることができる。
(13)N極面121aと対向する平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)に流れる電流の方向と、S極面122aと対向する平面コイル141(142)の第1部分141b(142b)に流れる電流の方向とは、略反対の方向である。これによって、N極面121aと対向する平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)と、S極面122aと対向する平面コイル141(142)の第1部分141b(142b)とには、同じ方向の力が働くので、容易に可動部120を駆動することができる。
(14)平面コイル141(142)を、平面的に見て、略矩形形状に形成した。これにより、平面コイル141(142)を、平面的に見て、可動部120が移動する方向と交差する方向に沿って延びる第1部分141aおよび141b(142aおよび142b)と、可動部120が移動する方向に沿って延びる第2部分141cおよび141d(142cおよび142d)とを有するように容易に構成することができる。
(15)平面コイル141(142)の第1部分141aおよび141b(142aおよび142b)を、プリント基板140において、可動部120が移動する方向の一方方向側と他方方向側との両方に設けた。これにより、第1部分を、可動部120が移動する方向の片方側だけに設ける場合と比べて、可動部120を移動させる際の駆動力を大きくすることができる。
(16)上層の平面コイル141の部分と、上層の平面コイル141の部分に対応する下層の平面コイル142の部分とに、同じ方向に電流が流れるように、上層の平面コイル141と下層の平面コイル142とを接続した。これにより、上層の平面コイル141と、下層の平面コイル142との両方のコイルに同じ方向の磁束を発生させることができる。その結果、上層の平面コイル141、または、下層の平面コイル142の一方を設ける場合と比べて、より大きい磁束を発生させることができる。
(第2実施形態)
図8を参照して、第2実施形態では、角部が面取りされた矩形形状の可動部120を用いた第1実施形態とは異なり、円形形状の両端が切り落とされたような形状の可動部220を用いた例について説明する。
図8を参照して、第2実施形態では、角部が面取りされた矩形形状の可動部120を用いた第1実施形態とは異なり、円形形状の両端が切り落とされたような形状の可動部220を用いた例について説明する。
可動部220は、平面的に見て、円形形状の両端が切り落とされた形状に構成されている。可動部220は、第1実施形態と同様に、平面コイル141および142に対向する側の面には、厚み方向にN極に着磁されたN極面221aと、厚み方向にS極に着磁されたS極面222aとを有する。また、可動部220は、平面コイル141(142)に対向する面とは反対側の面に、N極面221aに対応する領域において厚み方向にS極に着磁されたS極面221bが設けられているとともに、S極面222aに対応する領域には、厚み方向にN極に着磁されたN極面222bが設けられている。
なお、第2実施形態のその他の構成および動作は第1実施形態と同様である。
本発明の第2実施形態によるリニアモータ200では、上記(1)〜(16)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(17)平面的に見て、可動部220を円形形状の両端を切り落とした形状とした。これにより、円形形状の可動部を用いる場合に比べて、切り落とした部分の範囲だけ可動部220の移動量(移動範囲)が広がるので、その分、可動部220を加速させる範囲を広げることができる。したがって、リニアモータ200の振動量を増加させることができる。
(18)可動部220を矢印X1およびX2方向に移動させる場合に、ガイドとしての機能を有する第1側壁部110bに対して面接触する第1実施形態の可動部120に比べて、第2実施形態の可動部220は第1側壁部110bに対して線接触するので、その分、摩擦抵抗を小さくすることができる。したがって、可動部220をより安定に動作させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態におけるリニアモータ300では、図9に示すように、枠部110、底板150およびヨーク160bをそれぞれ別途形成した第1実施形態とは異なり、枠部、底部およびヨークに対応する部分を一体的に形成する例について説明する。
第3実施形態におけるリニアモータ300では、図9に示すように、枠部110、底板150およびヨーク160bをそれぞれ別途形成した第1実施形態とは異なり、枠部、底部およびヨークに対応する部分を一体的に形成する例について説明する。
リニアモータ300は、矩形状の筒状に形成された筐体310の内部に可動部120およびプリント基板140が配置されている。筐体310は、たとえば、鉄からなるとともに、可動部120から発生される磁気が外部に漏れるのを抑制するための磁気シールドとしての機能を有する。なお、この場合、プリント基板140は、筐体310の開口部310aからスライドさせて内部に配置した後に、開口部310aに蓋部(図示せず)などが取り付けられる。また、筐体310には、プリント基板140の電極パッド170aおよび170bに対応する位置に開口部310bおよび310cが形成されている。
なお、第3実施形態のその他の構成および動作は、第1実施形態と同様である。
本発明の第3実施形態によるリニアモータ300では、上記(1)〜(16)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(19)磁気シールドとしての機能を有する筐体310を、永久磁石からなる可動部120を覆うように設けることによって、可動部120から発生する磁束が外部に漏れるのを容易に抑制することができる。また、枠部、底板およびヨークとしての筐体を一体的に設けることによって、それぞれ別個に設ける場合に比べて部品点数を抑制することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、図10および図11を参照して、平面コイル141の第1部分141a(141b)と第2部分141c(141d)とを異なる大きさの幅に形成した第1実施形態とは異なり、平面コイル441の第1部分441a(441b)と第2部分441c(441d)との幅の大きさを等しくする例について説明する。
第4実施形態では、図10および図11を参照して、平面コイル141の第1部分141a(141b)と第2部分141c(141d)とを異なる大きさの幅に形成した第1実施形態とは異なり、平面コイル441の第1部分441a(441b)と第2部分441c(441d)との幅の大きさを等しくする例について説明する。
リニアモータ400では、図10に示すように、電流線443からなる平面コイル441は、矢印Y1およびY2方向に延びる第1部分441aおよび441bと、矢印X1およびX2方向に延びる第2部分441cおよび441dとを有している。平面コイル441の第1部分441aおよび441bを構成する第1層目電流線443aの幅W3は、第2部分441cおよび441dを構成する電流線443aの幅W4と略等しい。なお、第2部分441cおよび441dを構成する電流線443aのピッチL4(隣接する電流線443aの中心間の距離)が第1部分441aおよび441bを構成する電流線443aのピッチL3より小さくなるように構成されている。
また、平面的に見て、第2部分441cおよび441dの一部は、それぞれ、枠体110の第1側壁部110bに重なるように配置されている。つまり、平面コイル441の配置領域は、平面的に見て可動部120よりも大きく、可動部120全体を覆うように配置されている。なお、図11に示す第2層目電流線443b(平面コイル442)の構造は、上記1層目電流線443a(平面コイル441)と同様である。また、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
本発明の第4実施形態によるリニアモータ400では、上記(1)〜(9)、および、(12)〜(16)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(20)平面コイル441に、可動部120が移動する方向と交差する方向(矢印Y1方向および矢印Y2方向)に延びる第1部分441aおよび441bと、可動部120が移動する方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に延びる第2部分441cおよび441dとを設けた。そして、第2部分441cおよび441dの隣接する電流線443aのピッチL4が、第1部分441aおよび441bの隣接する電流線443aのピッチL3よりも小さくなるように構成した。
これにより、第2部分441cおよび441dのピッチL4が小さくなった分、第1部分441aおよび441bの矢印Y1方向および矢印Y2方向の長さが大きくなるので、可動部120を移動するための電磁力を増大させることができるとともに、可動部120の応答時間を短縮することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態では、上記第1〜第4実施形態の可動部と異なり、永久磁石21の表面上に、フッ素樹脂を含有するニッケルめっき層22bが形成された可動部20を用いた例について説明する。
第5実施形態では、上記第1〜第4実施形態の可動部と異なり、永久磁石21の表面上に、フッ素樹脂を含有するニッケルめっき層22bが形成された可動部20を用いた例について説明する。
可動部20は、図12に示すように、永久磁石(フェライトやネオジウムなどの強磁性材料からなる磁石)21とその表面に形成されたニッケルめっき層22とにより構成されている。また、図13に示すように、ニッケルめっき層22は、永久磁石21の表面に形成された無電解ニッケルめっき層22aとその表面に形成された粒子状のポリテトラフルオロエチレンからなるフッ素樹脂を含有するニッケルめっき層(フッ素共析ニッケルめっき層)22bとにより構成されている。ここで、無電解ニッケルめっき層22aは、ニッケルめっき液を用いて一般的に行われる外部電源を用いない化学還元法により形成しためっき層であり、永久磁石21とフッ素樹脂を含有するニッケルめっき層22bとの間の接着層として機能する。また、フッ素樹脂を含有するニッケルめっき層22bは、上述のニッケルめっき液に替えて、ニッケルめっき液中にポリテトラフルオロエチレン粒子を分散させためっき液を用いて形成しためっき層であり、永久磁石21の酸化防止とともに、永久磁石21の表面の摩擦係数を低減する機能を有する。なお、無電解ニッケルめっき層22aは、本発明の「接着金属めっき層」の一例である。また、フッ素樹脂を含有するニッケルめっき層22bは本発明の「フッ素樹脂を含む金属めっき層」の一例である。なお、第5実施形態のその他の構成は、上記第1〜第4実施形態と同様である。
本発明の第5実施形態による可動部20では、以下の効果を得ることができる。
(21)可動部20の表面に粒子状のフッ素樹脂を含有するニッケルめっき層22bを設けたことにより、フッ素樹脂の潤滑作用によって可動部20のプリント基板140に対する摩擦抵抗を軽減することができる。これにより、可動部20の移動の際に、摩擦抵抗の軽減量に対応する推力の分だけ、平面コイル141、142に供給する電流(駆動電流)を低減できる。その結果、消費電力の低減を図ることが可能なリニアモータを提供することができる。また、電気エネルギーを振動へ変換する効率が向上するために、可動部20の応答時間(可動部20が所定の振動量に達するまでの時間)を短縮することができる。
(第6実施形態)
本発明の第1〜第5実施形態のいずれかによるリニアモータを用いた携帯機器の一例を説明する。
本発明の第1〜第5実施形態のいずれかによるリニアモータを用いた携帯機器の一例を説明する。
本発明の第1〜第5実施形態のいずれかによるリニアモータ100(200〜400)は、図14および図15に示すように、携帯電話500などに用いることが可能である。携帯電話500は、リニアモータ100(200〜400)と、CPU510(図15参照)と、表示部520とを備えている。リニアモータ100(200〜400)は、携帯電話500の表示部520が配置された側とは反対側の面に配置されている。表示部520は、タッチパネル方式のパネルにより構成され、表示部520に表示されたボタン部520aを押圧することにより携帯電話500を操作するように構成されている。そして、リニアモータ100(200〜400)は、表示部520に表示されたボタン部520aが押圧されたことを検知した場合や電話を着信した際にマナーモードに設定されている場合などに振動するようにCPU510で制御される。なお、携帯電話500は、本発明の「携帯機器」の一例である。
本発明の第6実施形態によるリニアモータ100(200〜400)を備えた携帯電話500では、以下の効果を得ることができる。
(22)上記のリニアモータ100(200〜400)を振動源として備えることによって、上記リニアモータ100(200〜400)が薄型化される分、携帯電話500の薄型化を図ることができる。
(23)上記のリニアモータ100(200〜400)を備えることによって、リニアモータ100(200〜400)からの磁束漏れが抑制されている分、携帯電話500に鉄などの強磁性体が近づいた場合でも、それによるリニアモータ100(200〜400)の動作への影響を軽減することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、第1実施形態では、可動部の一例として、平面的に見て角部が面取りされた矩形状の可動部120を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、面取りされていない矩形状の可動部を用いてもよい。また、可動部120をたとえば円形形状など矩形状以外の形状にしてもよい。
また、第1〜第4実施形態では、可動部120を、N極面121a、S極面122a、S極面121bおよびN極面122bにより構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、可動部120をN極面121aおよびS極面122aのみから構成し、S極面121bおよびN極面122bは設けないようにしてもよい。つまり、平面コイル141および142に対向する面に沿って、互いに異なる磁性に着磁された磁極面が設けられていればよい。
また、第1〜第4実施形態では、可動部120を第1磁石121と第2磁石122とを隣接させるように設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、第1磁石121と第2磁石122との間に、たとえば、タングステンなどの錘を配置してもよい。この場合、錘を配置した分、可動部120をより安定して動作させることができる。また、このとき、可動部120の容積を変えずに錘を配置することにより、錘を配置していない場合に比べて同じ容積のまま可動部120の重量を増加させることができる。これにより、可動部120の振動量を容易に増加させることができる。
また、第1〜第4実施形態では、ヨーク160aを、可動部120のS極面121bおよびN極面122bの表面上に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、ヨーク160aを、S極面121bおよびN極面122bの表面から側面の部分にまで延びるように配置してもよい。この場合、可動部120の側面方向(図3の矢印X1およびX2方向)の磁束漏れを確実に抑制することができる。
また、第1〜第4実施形態では、弾性部材の一例として2つの板バネ130により可動部120を移動可能に支持する例を示したが、本発明はこれに限らず、コイルバネまたはゴム部材などの板バネ以外の弾性部材であってもよい。また、3つ以上の板バネ130により可動部120を支持してもよい。
また、第1〜第4実施形態では、平面コイル141および142が配置されたプリント基板140を可動部120の一方の表面側にのみ配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、可動部120の両側の表面にそれぞれ配置してもよい。これにより、可動部120の両側から駆動されるので、可動部120の駆動力を向上させることができる。その結果、可動部120の応答時間(可動部120が所定の振動量に達するまでの時間)を短縮させることができる。なお、プリント基板140を可動部120の両側の表面に配置する場合には、可動部120にヨーク160aを取りつけず、その代わりにヨーク160bを装置本体の両側に設けることにより、リニアモータ100(200〜400)からの外部への磁束漏れを抑制することが好ましい。
また、第1〜第4実施形態では、一対の板バネ130の支持部130cにより可動部120を挟むように支持する例を示したが、本発明はこれに限らず、板バネ130の支持部130cと可動部120との接触部分を接着してもよい。なお、可動部120が円形に近い形状であるほど接着した方が好ましい。
また、第1〜第4実施形態では、可動部120を直接板バネ130により支持する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、可動部120の表面に磁性流体を配置した状態で板バネ130により支持してもよい。この場合、磁性流体を配置した分、可動部120と第1側壁部110bとの間の摩擦力、および、可動部120と底板150との間の摩擦力がそれぞれ低減されるので、可動部120の応答時間を短縮することができる。
また、第1〜第4実施形態では、平面的に見て、平面コイル141の第2部分141c(141d)の全てのピッチL2が、第1部分141a(141b)のピッチL1よりも小さくなるように形成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、第2部分141c(141d)の一部分のピッチL2を第1部分141a(141b)のピッチL1よりも小さくなるように形成してもよい。
また、第1〜第4実施形態では、平面的に見て、平面コイル141の第2部分141c(141d)の一部を、それぞれ、枠体110の第1側壁部110bに重なるように配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、第2部分141c(141d)の全てを枠体110の第1側壁部110bと重なるように設けてもよい。
また、第1〜第4実施形態では、平面コイル141(142)を矩形状の輪郭を有する渦巻状に形成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、図16に示すように、平面コイル141の矩形状の輪郭のコーナ部141eが斜めに形成されるなど、直角以外の角度に形成されてもよい。特に第2実施形態の場合、可動部220は円形形状の両端を切り落とした形状であり、コーナ部が直角に形成されている平面コイル141において、コーナ部は可動部220と重畳することなく、このコーナ部からの磁束線は可動部220の駆動には寄与しない。したがって、図16の平面コイル141のようにコーナ部141eを斜めにすることによって、その分、平面コイル141を構成する電流線143aの全長を短くすることができる。これにより、平面コイル141全体の抵抗値を低減することができるので、平面コイル141を流れる電流を増大させることができる。その結果、平面コイル141と可動部220(永久磁石)との間に働く力(電磁力)を増大させることができるので、可動部220の駆動力を増大させることができるとともに、可動部220の応答時間を短縮することができる。
また、第1〜第4実施形態では、平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)および141b(142b)の幅よりも、第2部分141c(142c)および141d(142d)の幅を小さくする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図17に示すように、第1部分141fおよび141gと第2部分141hおよび141iとの幅を同じ大きさ(W5)にしてもよい。また、第1部分141aおよび141bと、第2部分141cおよび141dとの幅の大きさが同じで、かつ、第1部分141aおよび141bの線間隔と第2部分141cおよび141dの線間隔とが異なっていてもよい。
また、第1〜第4実施形態では、平面コイル141(142)の第1部分141a(142a)および141b(142b)の幅よりも、第2部分141c(142c)および141d(142d)の幅を小さくする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1部分141aおよび141bと、第2部分141cおよび141dとのピッチが同じ大きさで、かつ、第1部分141aおよび141bの幅が、第2部分141cおよび141dの幅よりも大きくなっていてもよい。これにより、第1部分141aおよび141bを流れる電流量が大きくなるので、可動部120の駆動力をより増大させることができる。また、可動部120を移動経路(矢印X1およびX2方向)以外の方向に移動させる電磁力が発生する第2部分141cおよび141dの幅が小さくなる分、その電磁力も小さくなるので、可動部120が移動経路からずれるのを抑制することができる。したがって、リニアモータ100(200、300、400)を安定して動作させることができる。
上記第5実施形態では、永久磁石21の表面に形成するニッケルめっき層22として、無電解ニッケルめっき層22aと、フッ素樹脂を含有するニッケルめっき層22bとを積層したものを採用した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、フッ素樹脂を含有するニッケルめっき層22bのみを永久磁石21の表面に形成するようにしてもよい。
上記第5実施形態では、一対の平面コイル(平面コイル14aおよび平面コイル14b)により可動部20を往復移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、3つ以上の平面コイルを並べた状態で可動部20を往復移動させるようにしてもよい。
上記第5実施形態では、プリント基板13の下面に電流線14を配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、プリント基板13の下面および上面の両面に電流線を積層配置するようにしてもよい。この場合には、電流線から発生する磁界を増強することができるので、可動部20の駆動力が向上し、可動部20の応答時間を短縮することができる。
上記第5実施形態では、プリント基板13側に電流線14を配置する例を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、プリント基板12側にも電流線を配置するようにしてもよい。この場合には、可動部20がその両磁極面側から駆動されるので、可動部20の駆動力が向上し、可動部20の応答時間を短縮することができる。
上記第5実施形態では、制御部15から電流線14(平面コイル14a、14b)に駆動電流(交流電流)を供給する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、外部(携帯電話側)から直接電流線14に駆動電流を供給するようにしてもよい。この場合には、制御部15が不要となり、部品点数が削除されるので、リニアモータの低コスト化を図ることができる。
上記第5実施形態において、プリント基板12の可動部20と対向する側(上面側)の表面に対して、プリント基板12を構成する一般的なエポキシ樹脂よりも摩擦係数の小さい低摩擦層を形成してもよい。こうした低摩擦層を構成する材料としては、炭素系材料であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)やフラーレンなど、フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など、ポリオレフィン樹脂であるポリエチレン、ポリプロピレンなど、チタン系材料であるチタン、窒化チタン、酸化チタンなど、が挙げられる。このような構成とした場合には、可動部20と固定部10(プリント基板12)との間の摩擦抵抗がさらに低減されるために、可動部20の応答時間をさらに短縮することができる。
上記第5実施形態では、可動部20の一例として、平面的に見て、円形形状の可動部を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図18に示すように、平面的に見て、円形形状の両端を切り落とした形状(円板から2つの互いに平行な弦に沿って2つの部分を切り落とした形状)の可動部620を用いてもよい。この場合には、円形形状の可動部を用いた場合に比べて、切り落とした部分だけ可動部620の移動量(移動範囲)が拡がるので、その分、可動部620がさらに加速されるようになり、リニアモータの振動量が増加する。
Claims (17)
- 渦巻状のコイル(141、142、441、442)と、
前記渦巻状のコイルと対向する磁極面を有し、前記渦巻状のコイルの表面に沿った方向に沿って移動可能に設けられる可動部(120、220)とを備え、
前記渦巻状のコイルは、平面的に見て、前記可動部が移動する方向と交差する方向に沿って延びる第1部分(141a、141b、141f、141g、142a、142b、441a、441b)と、前記可動部が移動する方向に沿って延びる第2部分(141c、141d、141h、141i、142c、142d、441c、441d)とを有し、
前記第1部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさが、前記第2部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさよりも大きくなるように構成されている、リニアモータ。 - 前記第2部分の少なくとも一部の隣接する配線の幅方向の中心の間隔が、前記第1部分の隣接する配線の幅方向の中心の間隔よりも小さくなるように構成されている、請求項1に記載のリニアモータ。
- 前記第2部分の配線の配線幅、または、前記第2部分の配線の配線間の間隔を小さくすることにより、前記第1部分に流れる電流と前記可動部との間に働く電磁力の大きさが、前記第2部分に流れる電流と前記可動部との間に働く電磁力の大きさよりも大きくなるように構成されている、請求項1に記載のリニアモータ。
- 前記渦巻状のコイルが配置される筐体(110、140、150)をさらに備え、
前記渦巻状のコイルの前記第2部分は、平面的に見て、前記筐体の側壁部(110b)に前記第2部分の少なくとも一部が重なるように配置されている、請求項1に記載のリニアモータ。 - 前記可動部は、前記渦巻状のコイルと対向する面において第1の極性を有する第1磁極面(121a、221a)および前記第1の極性とは異なる第2の極性を有する第2磁極面(122a、222a)を含むとともに、前記コイルの表面に沿った方向に沿って直線的に移動するように構成され、
前記可動部の第1磁極面は前記可動部の移動方向のうちの一方方向側に形成されているとともに、前記第2磁極面は前記可動部の移動方向のうちの他方方向側に形成されており、
平面的に見て、前記第1磁極面と対向する前記渦巻状のコイルの前記第1部分に流れる電流の方向と、前記第2磁極面と対向する前記渦巻状のコイルの前記第1部分に流れる電流の方向とは、略反対の方向である、請求項1に記載のリニアモータ。 - 前記可動部の前記渦巻状のコイルと対向する側の面の少なくとも一方には、粒子状のフッ素樹脂を含む金属めっき層(22b)が形成されている、請求項1に記載のリニアモータ。
- 前記可動部と前記粒子状のフッ素樹脂を含む金属めっき層との間には、接着層としての接着金属めっき層(22a)が設けられている、請求項6に記載のリニアモータ。
- 前記可動部は、永久磁石(21)を含み、
前記粒子状のフッ素樹脂を含む金属めっき層は、前記永久磁石の少なくとも前記固定部と接触する側の部分に形成されている、請求項6に記載のリニアモータ。 - 前記渦巻状のコイルは、渦巻状の平坦面状のコイルを含む、請求項1に記載のリニアモータ。
- 前記渦巻状のコイルは、平面的に見て、略矩形形状に形成されている、請求項1に記載のリニアモータ。
- 前記渦巻状のコイルが配置される筐体をさらに備え、
前記渦巻状のコイルの第1部分は、前記筐体の前記可動部が移動する方向の一方方向側と他方方向側との両方に設けられている、請求項1に記載のリニアモータ。 - 前記渦巻状のコイルが配置される筐体をさらに備え、
前記渦巻状のコイルは、前記筐体の前記可動部の厚み方向の少なくとも一方方向側に配置されている、請求項1に記載のリニアモータ。 - 前記可動部の前記渦巻状のコイルに対向する面と反対側の面に設けられた可動部側ヨーク(160a)をさらに備える、請求項1に記載のリニアモータ。
- 前記渦巻状のコイルの前記可動部と反対側に設けられたコイル側ヨーク(160b)をさらに備える、請求項1に記載のリニアモータ。
- 前記渦巻状のコイルは、平面的に見て、外側から内側に向かって渦巻状に巻かれた上層の前記渦巻状のコイル(141、441)と、内側から外側に向かって渦巻状に巻かれた下層の前記渦巻状のコイル(142、442)との2層構造に形成されており、
前記上層の渦巻状のコイルの部分と、前記上層の渦巻状のコイルの部分に対応する前記下層の渦巻状のコイルの部分とには、同じ方向に電流が流れるように、前記上層の渦巻状のコイルと前記下層の渦巻状のコイルとが接続されている、請求項1に記載のリニアモータ。 - 前記可動部は、平面的に見て、角部が面取りされた矩形形状を有する、請求項1に記載のリニアモータ。
- 渦巻状のコイル(141、142、441、442)と、前記渦巻状のコイルと対向する磁極面を有し、前記渦巻状のコイルの表面に沿った方向に沿って移動可能に設けられる可動部(120、220)とを備え、前記渦巻状のコイルは、平面的に見て、前記可動部が移動する方向と交差する方向に沿って延びる第1部分(141a、141b、141f、141g、142a、142b、441a、441b)と、前記可動部が移動する方向に沿って延びる第2部分(141c、141d、141h、141i、142c、142d、441c、441d)とを有し、前記第1部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさが、前記第2部分に流れる電流により発生する磁場の磁束の大きさよりも大きくなるように構成されているリニアモータ(100、200、300、400)を備えた、携帯機器。
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