JPWO2010021375A1 - プロテアーゼの製造方法、並びにプロテアーゼ溶液およびプロテアーゼのプロ体溶液 - Google Patents

プロテアーゼの製造方法、並びにプロテアーゼ溶液およびプロテアーゼのプロ体溶液 Download PDF

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Abstract

プロテアーゼのプロ体をコードするDNAを宿主細胞に導入し、封入体として発現させるプロ体発現工程と、封入体状態のプロ体を変性させ、変性プロ体を得る変性工程と、カルシウムイオンを含み、かつ、pH5以上の溶液中で、変性プロ体をリフォールディングさせるリフォールディング工程と、リフォールディング後のプロ体をアルカリ条件下で成熟化させ、活性を有するプロテアーゼを得る成熟化工程とを包含するプロテアーゼの製造方法は、製造過程における自己分解を抑制し、プロ体から生成される成熟体を高効率で回収可能なプロテアーゼの製造方法である。

Description

本発明は、プロテアーゼの製造方法、並びに当該製造方法により製造されるプロテアーゼ溶液およびプロテアーゼのプロ体溶液に関するものである。
プロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素の総称であり、微生物、動物および植物に広く分布している。また、プロテアーゼは、洗剤、皮革加工、食品加工、機能性ペプチド生産において幅広く利用されている代表的な産業用酵素である。特に医療器具の二次感染予防の観点から、感染性タンパク質汚れのプロテアーゼによる分解は、代替の難しい技術となっている。産業用酵素としての実用面で一番重要視されるのは、酵素の安定性および利用条件下での活性の高さである。特に、物理的・化学的に高い熱安定性が要求される場合が多く、それゆえ、産業用プロテアーゼには耐熱性プロテアーゼが広く使用されている。現在、産業用に使用されている耐熱性プロテアーゼとして、Subtilisin CarlsbergやProteinaseKなどのサチライシンファミリープロテアーゼ(subtilisin family protease)が知られている。また、他にはアルカリフィルス・トランスバーレンシス由来のプロテアーゼ(特許文献1)、パイロコッカス・ホリコシ由来のプロテアーゼ(特許文献2)、ピロコッカス・フリオサス由来のプロテアーゼ(特許文献3)が知られている。
特に医療器具の酵素洗浄剤として使用されるプロテアーゼは、強い洗浄力が求められるため高温域での安定性と活性の高さが必要となる。機械洗浄で使用される医療用洗浄剤は、洗浄と同時に滅菌できることが望まれており、滅菌処理温度の93℃においても活性を保持するプロテアーゼが求められている。医療機器の洗浄において二次感染の防止は重要な問題であり、なかでもプリオン病といわれる感染症は、病原菌ではなく異常プリオンタンパク質が二次感染を引き起こすことが知られている。異常プリオンタンパク質は通常の医療洗浄では、感染性を不活化することができない。現在では、異常プリオンタンパク質に汚染された医療機器は、廃棄や洗浄後、過酷な物理的条件として例えば3%SDS存在下、100℃、5分の条件で処理することで感染性の不活化を行っている。また感染性の不活化までは担保できないが、異常プリオンタンパク質を分解除去できる酵素洗浄剤としてPrionzyme(米国Genencor社)が開発されている。
本発明者らは、超好熱菌の1つであるThermococcus kodakaraensis KOD1株由来のサチライシンファミリーに属するプロテアーゼ(以下「Tk−サチライシン」という)を見出し、当該Tk−サチライシンがpH9.5、温度80℃〜100℃で最も高い活性を示すこと、公知のプロテアーゼのなかで最も高い熱安定性を有し、アルカリ条件下におけるタンパク質分解活性が最も高いことを報告している(非特許文献1および2参照)。したがって、Tk−サチライシンは、産業利用上有利な高い温度、高いpH条件下での利用が可能であり、しかも公知のプロテアーゼより当該条件下における活性が顕著に高いため、従来プロテアーゼを用いることができなかった用途への適用が期待されている。
特開2006−141259号公報 特開2006−149307号公報 特許3516455号公報
Kannan, Y., Koga, Y., Inoue, Y., Haruki, M., Takagi, M., Imanaka, T. et al. Active subtilisin-like protease from a hyperthermophilic archaeon in a form with a putative prosequence. Appl. Environ. Microbiol. 67, 2445?2552. (2001). Pulido, M., Saito, K., Tanaka, S., Koga, Y., Takano, K. & Kanaya, S. Ca2+-dependent maturation of Tksubtilisin from a hyperthermophilic archaeon: propeptide is a potent inhibitor of the mature domain but is not required for its folding. Appl. Environ. Microbiol. 72, 4154?4162. (2006).
Tk−サチライシンを大量生産する場合、遺伝子組換え技術により、大腸菌を用いてそのプロ体を組換えタンパク質として発現させ、リフォールディングおよび成熟化を経て精製および回収する方法が一般的である(非特許文献2参照)。しかしながら、Tk−サチライシンは、活性が高いことに起因して、リフォールディングおよび成熟化の段階で自己分解が生じるため成熟体の回収効率が低く、リフォールディングしたプロ体の約20%しかTk−サチライシンを回収することができなかった。また、自己分解が生じずに構造の安定性を維持した状態で保存可能なTk−サチライシン溶液は未だ実現できていなかった。さらに、Tk−サチライシンの濃縮を試みた場合、一定以上の濃度になると直ちに自己分解反応が生じ、高濃度のTk−サチライシン溶液を調製することができなかった。このように、Tk−サチライシンは製造および保存に関する種々の問題点を有しており、産業用プロテアーゼとして利用するためにはこれらの課題を解決する必要があった。
そこで、本発明は、製造過程における自己分解を抑制し、プロ体から生成される成熟体を高効率で回収可能なプロテアーゼの製造方法、並びに、自己分解が生じることなく高濃度で安定に保存可能なプロテアーゼ溶液およびプロテアーゼのプロ体溶液を提供することを目的とする。さらに、当該製造方法で得られるプロテアーゼ、特にTk−サチライシンの新規な産業用途を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の発明を包含する。
[1]プロテアーゼのプロ体をコードするDNAを宿主細胞に導入し、封入体として発現させるプロ体発現工程と、封入体状態のプロ体を変性させ、変性プロ体を得る変性工程と、カルシウムイオンを含み、かつ、pH5以上の溶液中で、変性プロ体をリフォールディングさせるリフォールディング工程と、リフォールディング後のプロ体を成熟化させ、活性を有するプロテアーゼを得る成熟化工程とを包含し、前記成熟化工程に供したプロ体の50%以上が活性を有するプロテアーゼとして回収されることを特徴とするプロテアーゼの製造方法。
[2]前記成熟化工程の後に、さらにpH2〜6のプロテアーゼ溶液を調製するプロテアーゼ溶液調製工程を包含することを特徴とする前記[1]に記載の製造方法。
[3]前記プロテアーゼ溶液が、0.1mg/ml以上のプロテアーゼ濃度を有する前記[2]に記載の製造方法。
[4]前記リフォールディング工程の直後に、リフォールディング後のプロ体を含有し、pH2〜6の溶液を調製するプロ体含有溶液調製工程をさらに包含することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記プロテアーゼが、以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
[6]前記プロテアーゼのプロ体が、以下の(e)または(f)に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
(e)配列番号3に示されるアミノ酸配列
(f)配列番号3に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
[7]以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼを含有し、pHが2〜6の範囲であることを特徴とするプロテアーゼ溶液。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
[8]プロテアーゼ濃度が0.1mg/ml以上である前記[7]に記載のプロテアーゼ溶液。
[9]以下の(e)または(f)に記載のアミノ酸配列からなるプロ体を含有し、pHが2〜6の範囲であることを特徴とするプロテアーゼのプロ体溶液。
(e)配列番号3に示されるアミノ酸配列
(f)配列番号3に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
[10]以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼを含有する洗剤。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
[11]さらに、界面活性剤を含有する前記[10]に記載の洗剤。
[12]医療器具洗浄用である前記[10]または[11]に記載の洗剤。
[13]以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼを含有する異常プリオンタンパク質分解剤。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
[14]異常プリオンタンパク質が付着した被洗浄物と、以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼとを接触させる工程を包含する異常プリオンタンパク質の不活化方法。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
[15]前記被洗浄物と前記プロテアーゼとをタンパク質変性条件下で接触させる前記[14]に記載の異常プリオンタンパク質の不活化方法。
本発明によれば、製造過程において自己分解を抑え、プロ体から生成される成熟体を従来と比較して顕著に高い効率で回収可能なプロテアーゼの製造方法を提供することができる。また、自己分解が生じることなく高濃度で安定に保存可能なプロテアーゼ溶液およびプロテアーゼのプロ体溶液を提供することができる。本発明の製造方法により製造されるプロテアーゼは、高温かつ高アルカリ条件下でも高い活性を有し、界面活性剤やタンパク質変性剤に対しても安定であるので、異常プリオンをはじめとする難分解性タンパク質を物理的に変性(感染性を不活化)させながら分解し除去することが可能であり、各種産業用洗剤として非常に有用である。さらに、本発明の製造方法により製造されるプロテアーゼは、異常プリオンタンパク質を分解することができるので、異常プリオンタンパク質分解剤として非常に有用である。
Tk−サチライシンの温度依存性を検討した結果を示すグラフである。 Tk−サチライシンのpH依存性を検討した結果を示すグラフである。 Tk−サチライシンの構造安定性に及ぼすpHの影響を検討した結果を示すグラフである。 プロTk−サチライシンの各pH条件下でのリフォールディング効率を比較・検討した結果を示すグラフである。 Tk−サチライシンの熱安定性を検討した結果を示すグラフである。 Tk−サチライシンのTritonX−100に対する安定性を検討した結果を示すグラフである。 Tk−サチライシンのTween−20に対する安定性を検討した結果を示すグラフである。 Tk−サチライシンのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に対する安定性を検討した結果を示すグラフである。 Tk−サチライシンの塩酸グアニジン(Guanidine HCl)に対する安定性を検討した結果を示すグラフである。 Tk−サチライシンの尿素(Urea)に対する安定性を検討した結果を示すグラフである。 本発明の製造方法および従来法における成熟体の回収効率を比較した図である。 Tk−サチライシン溶液の濃縮に伴う自己分解の有無を調べた結果を示す図である。 ネイティブ構造を有するプロTk−サチライシン含有溶液の調製を試みた結果を示す図である。 各種界面活性剤存在下において、100℃、10分間の反応条件でTk−サチライシンのBSA分解活性を確認した結果を示す図である。 各種界面活性剤存在下において、65℃、10分間の反応条件でTk−サチライシンのBSA分解活性を確認した結果を示す図である。 各種界面活性剤存在下において、37℃、10分間の反応条件でTk−サチライシンのBSA分解活性を確認した結果を示す図である。 各種界面活性剤存在下において、25℃、10分間の反応条件でTk−サチライシンのBSA分解活性を確認した結果を示す図である。 各種界面活性剤存在下において、100℃、5分間の反応条件でTk−サチライシンのBSA分解活性を確認した結果を示す図である。 各種界面活性剤存在下において、100℃、5分間の反応条件でProteinaseKのBSA分解活性を確認した結果を示す図である。 各種界面活性剤存在下において、100℃、5分間の反応条件でSubtilisinAの分解活性を確認した結果を示す図である。 3%SDS存在下100℃におけるTk−サチライシンの残存活性を確認した結果を示す図である。 1〜7%SDS存在下において、100℃、5分間の反応条件でTk−サチライシンのBSA分解活性を確認した結果を示す図である。 アルカリ性条件においてTk−サチライシンによる異常プリオンタンパク質の分解を検討した結果を示す図である。 中性付近の条件においてTk−サチライシンによる異常プリオンタンパク質の分解を検討した結果を示す図である。 Tk−サチライシンによる異常プリオンタンパク質の分解において、反応後のTk−サチライシン不活化の影響を検討した結果を示す図である。
〔プロテアーゼの製造方法〕
本発明のプロテアーゼの製造方法は、以下の(1)〜(4)の工程を包含し、成熟化工程に供したプロ体の50%以上が活性を有するプロテアーゼとして回収されるものであればよい。
(1)プロテアーゼのプロ体をコードするDNAを宿主細胞に導入し、封入体として発現させるプロ体発現工程
(2)封入体状態のプロ体を変性させ、変性プロ体を得る変性工程
(3)カルシウムイオンを含み、かつ、pH5以上の溶液中で、変性プロ体をリフォールディングさせるリフォールディング工程
(4)リフォールディング後のプロ体をアルカリ条件下で成熟化させ、活性を有するプロテアーゼを得る成熟化工程
本発明のプロテアーゼの製造方法は、成熟化工程の後に、さらに(5)pH2〜6のプロテアーゼ溶液を調製するプロテアーゼ溶液調製工程、を設けることが好ましい。プロテアーゼ溶液調製工程を設けることにより、自己分解を起こすことなく安定に長期間保存できる高濃度のプロテアーゼ溶液を調製することができる。
また、本発明のプロテアーゼの製造方法は、リフォールディング工程の後、成熟化工程の前に、さらに(6)リフォールディング後のプロ体を含有し、pH2〜6の溶液を調製するプロ体含有溶液調製工程、を設けてもよい。プロ体含有溶液調製工程を設けることにより、正しくフォールディングしたネイティブ構造を有するプロ体と、自己切断により生じたプロ配列と成熟配列とが結合した構造を有する複合体と、成熟体を含有し、これらを安定に保存可能なプロ体含有溶液を調製することができる。
本発明の製造方法は、超好熱菌Thermococcus kodakaraensis KOD1株(Morikawa M et al. Appl Environ Microbiol, 1994 Dec;60(12):4559-66、以下「KOD1株」という)由来のTk−サチライシンの製造に特に適した方法である。ただし、本発明により製造されるプロテアーゼはTk−サチライシンに限定されるものではなく、Tk−サチライシンと生化学的特性(特に、カルシウムイオン、温度、pHに関する生化学的特性)が類似したプロテアーゼであれば、本発明の製造方法により効率よく製造することができる。Tk−サチライシンは、上述のように本発明者らが見出したサチライシンファミリーに属するプロテアーゼであり(非特許文献1参照)、プレ配列、プロ配列および成熟配列を有する前駆体として発現され、分泌および成熟化を経て最終的にプレ配列およびプロ配列のない成熟体(プロテアーゼ活性を有するTk−サチライシン)となる。プレ配列(シグナル配列とも称する)は、酵素の菌体外への分泌に必要な配列であり、プロ配列は酵素の活性型立体構造を形成する際に必要な配列であるとされている。Tk−サチライシン前駆体をコードする遺伝子の塩基配列(配列番号6)および推定アミノ酸配列(配列番号5)はDDBJに登録されており、そのアクセッション番号はAB056701である。
本発明の製造方法により製造されるプロテアーゼは、以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるものであることが好ましい。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
配列番号1に示されるアミノ酸配列は、Tk−サチライシン(成熟体)のアミノ酸配列であり、Tk−サチライシン前駆体のアミノ酸配列(配列番号5)の第94位〜第422位に該当する。配列番号2に示されるアミノ酸配列は、Tk−サチライシン(成熟体)のアミノ酸配列のうち、N末端から13アミノ酸残基が欠失したものであり、Tk−サチライシン前駆体のアミノ酸配列(配列番号5)の第107位〜第422位に該当する。なお、Tk−サチライシン(成熟体)のアミノ酸配列(配列番号1)のN末端から1〜12アミノ酸残基のいずれかが欠失し、かつ、プロテアーゼ活性を有するタンパク質も、本発明の製造方法により好適に製造することができる。
また、本発明の製造方法により、組換えタンパク質として発現されるプロ体は、以下の(e)または(f)に記載のアミノ酸配列からなるものであることが好ましい。なお、本明細書において「プロ体」とは、プレ配列がなくプロ配列および成熟配列を含むプロテアーゼ前駆体を意味する。
(e)配列番号3に示されるアミノ酸配列
(f)配列番号3に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
配列番号3に示されるアミノ酸配列は、Tk−サチライシンのプロ体(以下、「プロTk−サチライシン」という)のアミノ酸配列であり、Tk−サチライシン前駆体のアミノ酸配列(配列番号5)の第25位〜第422位に該当する。
「1または数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ペプチド作製法により欠失、置換もしくは付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、さらに好ましくは5個以下)のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されることを意味する。このような変異タンパク質は、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するタンパク質に限定されるものではなく、天然に存在するタンパク質を単離精製したものであってもよい。タンパク質のアミノ酸配列中のいくつかのアミノ酸が、このタンパク質の構造または機能に有意に影響することなく容易に改変され得ることは、当該分野において周知である。さらに、人為的に改変させるだけでなく、天然のタンパク質において、当該タンパク質の構造または機能を有意に変化させない変異体が存在することもまた周知である。
好ましい変異体は、保存性もしくは非保存性アミノ酸置換、欠失、または添加を有する。好ましくは、サイレント置換、添加、および欠失であり、特に好ましくは、保存性置換である。これらは、本発明に係るポリペプチド活性を変化させない。代表的に保存性置換と見られるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIleの中での1つのアミノ酸の別のアミノ酸への置換、ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGlnの間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、ならびに芳香族残基Phe、Tyrの間の置換である。
本発明のプロテアーゼおよびプロテアーゼ前駆体は付加的なペプチドを含むものであってもよい。付加的なペプチドとしては、例えば、ポリヒスチジンタグ(His−tag)やMyc、Flag等のエピトープ標識ペプチドが挙げられる。
以下、本発明の製造方法によりTk−サチライシンを製造する場合を例に挙げて、各工程を詳細に説明するが、本発明により製造されるプロテアーゼはTk−サチライシンに限定されるものではなく、Tk−サチライシン以外のプロテアーゼについても以下の説明に準じて容易に製造することができる。
(1)プロ体発現工程
プロ体発現工程では、プロテアーゼのプロ体をコードするDNAを宿主細胞に導入し、封入体として発現させる。プロテアーゼのプロ体をコードするDNAは、本発明の製造方法により製造しようとするプロテアーゼのプロ体をコードするDNAであればよく、一般的な遺伝子工学的手法を用いることにより、容易に取得することができる。Tk−サチライシンを製造する場合、プロTk−サチライシンをコードするDNAとしては、以下の(A)または(B)のDNAを好適に用いることができる。
(A)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるプロTk−サチライシンをコードするDNA
(B)配列番号3に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるプロTk−サチライシンをコードするDNA
また、プロTk−サチライシンをコードするDNAとしては、以下の(C)または(D)のDNAを用いることが好ましい。
(C)配列番号4に示される塩基配列からなるDNA
(D)配列番号4に示される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、プロTk−サチライシンをコードするDNA
配列番号4に示される塩基配列はTk−サチライシン前駆体をコードする遺伝子の塩基配列(配列番号6)の第134位〜第1327位に該当する。
ハイブリダイゼーションは、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,3rd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(2001)に記載されている方法のような周知の方法で行うことができる。通常、温度が高いほど、塩濃度が低いほどストリンジェンシーは高く(ハイブリダイズし難く)なり、より相同なDNAを取得することができる。適切なハイブリダイゼーション温度は、塩基配列やその塩基配列の長さによって異なり、例えば、アミノ酸6個をコードする18塩基からなるDNAフラグメントをプローブとして用いる場合、50℃以下の温度が好ましい。
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ」とは、ハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む)中にて42℃で一晩インキュベーションした後、約65℃にて0.1×SSC中でフィルターを洗浄することが意図される。
プロTk−サチライシンをコードするDNAとしては、配列番号4に示される塩基配列と相補的な塩基配列と少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%または99%同一である塩基配列からなるDNAであって、プロTk−サチライシンをコードするDNAが好ましい。
任意の特定のDNAが、配列番号4に示される塩基配列に対して、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるか否かは、公知のコンピュータープログラム(例えば、Bestfit program(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)を使用して決定することができる。
プロTk−サチライシンをコードするDNAを取得する方法としては、PCR等の増幅手段を用いる方法を挙げることができる。例えば、配列番号4に示される塩基配列の5’側および3’側の配列(またはその相補配列)に基づいてそれぞれプライマーを設計し、これらプライマーを用いてゲノムDNAまたはcDNA等を鋳型にしてPCR等を行い、両プライマー間に挟まれるDNA領域を増幅することで、プロTk−サチライシンをコードするDNAを含むDNA断片を大量に取得することができる。
得られたDNAの宿主細胞への導入は、例えば当該DNAを宿主細胞で発現させるための発現ベクターを構築し、これを宿主細胞に導入して形質転換体を得ることにより行うことができる。発現ベクターは特に限定されず、宿主細胞中で発現可能なベクターを適宜選択することができる。すなわち、宿主細胞の種類に応じて、確実にプロTk−サチライシンを発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これとプロTk−サチライシンをコードするDNAを各種プラスミド等に組み込んだベクターを発現ベクターとして用いればよい。
宿主細胞も特に限定されず、組換えタンパク質の発現に使用可能な従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。中でも低コストかつ高生産効率であり、工業的な大量生産が可能である点から、大腸菌を宿主細胞とすることが好ましい。発現ベクターを宿主細胞に導入する方法、すなわち形質転換法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法等の従来公知の方法を好適に用いることができる。
プロTk−サチライシンをコードするDNAを発現可能に組み込んだ発現ベクターで形質転換した大腸菌等の宿主細胞を培養することにより、プロTk−サチライシンを封入体として発現させることができる。ここで、封入体とは、組換えタンパク質が宿主細胞内で凝集により不溶化した凝集体のことであり、インクルージョンボディ(Inclusion Body)とも称される。
宿主細胞として大腸菌を用いた場合、培養終了後集菌し、超音波処理等により細胞を破砕後、遠心分離して得られる沈殿画分に封入体を回収することができる。
(2)変性工程
変性工程では、封入体状態のプロ体を変性させ変性プロ体を得る。具体的には、上記プロ体発現工程で沈殿として回収した封入体状態のプロ体を変性バッファーで溶解することにより、封入体状態のプロ体を変性させ可溶化した変性プロ体を得ることができる。変性用バッファーに用いるタンパク質変性剤としては、例えば、尿素(例えば2M〜8M)、塩酸グアニジン(例えば2M〜6M)等を好適に用いることができる。また、SDS等の界面活性剤を用いることもできる。また、Tk−サチライシンのようにジスルフィド結合を有する場合には、変性剤以外に還元剤を添加することが好ましい。還元剤としては、例えば、ジチオスレイトール(DTT、例えば1mM〜10mM)、β−メルカプトエタノール(βME例えば1%〜2%)等を好適に用いることができる。
変性バッファーのベースとなるバッファーは特に限定されない。例えば、本発明者らは、20mM Tris−HCl(pH9.0)、5mM EDTA、8M Ureaを用いている。この変性バッファーを選択した理由は、等電点から離れたpHを維持し、イオン交換カラムクロマトグラフィーでの精製が容易になるからである。また、金属要求性の酵素(プロテアーゼ)の作用で溶液が変質するのを防ぐ目的でEDTAを添加している。
変性工程において、封入体に含まれる宿主由来の種々の分子(核酸、脂質、タンパク質等)を除去するために、変性状態のプロ体を精製することが好ましい。本発明者らは、陰イオン交換カラムを用いて変性状態のプロTk−サチライシンを精製しているが、これに限定されず、公知のタンパク質精製方法から適宜選択して用いればよい。
(3)リフォールディング工程
リフォールディング工程では、カルシウムイオンを含み、かつ、pH5以上の溶液中で、変性プロ体をリフォールディングさせる。リフォールディングとは、変性剤などにより可溶化した封入体をネイティブな構造へ巻き戻すことをいう。リフォールディングは、変性プロ体をリフォールディングバッファーで希釈または透析し、変性剤を除去することにより行うことができる。
リフォールディングバッファーにはカルシウムイオンが含まれる。また、Tk−サチライシンはシステイン残基を2つ持つことから、異なる分子間での不適切なジスルフィド結合の形成を防ぐために、リフォールディングバッファーには還元剤(DTT、βME等)が含まれる。従来の製造方法では、カルシウムイオンを含まないリフォールディングバッファーを用いてリフォールディングさせることで、一旦プロ配列を含む不活性な中間体を形成させ、その後成熟化を行っていたが、この方法では成熟化の過程で自己分解が起こり、回収可能なTk−サチライシン(成熟体)量は非常に少なかった。そこで、本発明の製造方法では、リフォールディングバッファーにカルシウムイオンおよびDTTを含ませることで、不活性な中間体を形成させることなくネイティブ構造のプロTk−サチライシンを形成させ、これを成熟化に供することにより、成熟体の回収効率を顕著に向上させ、多量のTk−サチライシン(成熟体)を回収することが可能となった。
リフォールディングバッファー中のカルシウムイオン濃度は、1mM〜50mMが好ましく、5mM〜10mMがより好ましい。1mM〜50mMの範囲であれば、正しくフォールディングしたネイティブ構造を有するプロTk−サチライシンを形成することができる。
また、リフォールディングバッファーはpH5以上のものを使用する。これは、本発明者らが、プロTk−サチライシンのリフォールディング効率は、リフォールディングバッファーのpHが5より低い場合に格段に悪くなることを新たに見出したことに基づく。
リフォールディングバッファーのベースとなるバッファーは特に限定されない。好適なリフォールディングバッファーとしては、例えば、1mM DTT、10mM Ca2+を含むpH5.2以上のバッファー(溶質は問わない)が挙げられる。
(4)成熟化工程
成熟化工程では、リフォールディング後のプロ体を成熟化させ、活性を有するプロテアーゼを得る。成熟化とは、プロ体からプロ配列が自己切断により離れ、引き続き自己分解により消化されて成熟配列からなる成熟体(プロテアーゼ活性を有するタンパク質)が生成することをいう。
成熟化は、リフォールディング後のプロ体を、成熟体がプロテアーゼ活性を発現可能なpHの溶液環境に移すことにより進行させることができる。したがって、プロTk−サチライシンを成熟化させる場合は、pH7以上の成熟化バッファーを用いることが好ましい。また、成熟体がより高いプロテアーゼ活性を発現可能なpHの成熟化バッファーを用いること(Tk−サチライシンの場合はpH8以上)、リフォールディング後のプロ体ができるだけ低濃度になるように成熟化バッファーで希釈すること、成熟化バッファーを加熱すること、等により成熟化の効率を上げることができる。
成熟化バッファーのベースとなるバッファーは特に限定されない。例えば、Tris−HCl、CAPS−NaOH、Glycine−NaOHなどを好適に用いることができる。また、Tk−サチライシンに結合しているカルシウムイオンを維持するために成熟化バッファーにカルシウムイオンを添加することが好ましい。成熟化に供するプロ体の濃度は終濃度で300nM以下であることが好ましい。300nMを超えると、自己分解が生じるからである。一例を挙げると、本発明者らは、50mM CAPS−NaOH pH9.5、5mM CaClを用いて、プロTk−サチライシンを約300nMに希釈し、80℃で15分間熱処理することで成熟化を行っている。ただし、これに限定されるものではない。
上記(1)〜(4)の工程を包含する本発明の製造方法によれば、成熟化工程に供したプロ体の50%以上が活性を有するプロテアーゼ(成熟体)として回収される。ここで、「成熟化工程に供したプロ体の50%以上が活性を有するプロテアーゼ(成熟体)として回収される」とは、成熟化工程に供したプロ体のモル数と回収された成熟体のモル数の比が50%以上であることを意味する。成熟化工程に供したプロ体の50%以上が活性を有するプロテアーゼ(成熟体)として回収されたか否かは、簡便には、成熟化前後の成熟化バッファーの一定量をSDS-PEGEに供し、プロ体のバンドの濃さと成熟体のバンドの濃さをデンシトメーター等で比較することにより行うことができる。また、正確には、成熟化前後の成熟化バッファーを用いて、波長280nmの紫外光の吸光度を測定し、モル吸光係数を使って成熟化前後のタンパク質濃度を計算し、これを比較することにより確認することができる。
本発明の製造方法において、成熟化工程に供したプロ体に対する回収された成熟体の比率は、少なくとも50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
(5)プロテアーゼ溶液調製工程
本発明の製造方法において、成熟化工程の後にpH2〜6のプロテアーゼ溶液を調製するプロテアーゼ溶液調製工程を設けることが好ましい。本発明者らは、pH6以下ではTk−サチライシンの活性が顕著に低いこと、および、Tk−サチライシンはpH2〜12の範囲で構造が安定しているがpHが2より低いと構造を維持できないことを新たに見出し、この新規知見に基づいてpH2〜6の溶液状態でTk−サチライシンを安定に保存することに成功した。
プロテアーゼ溶液調製工程では、成熟化工程で得られたTk−サチライシンをpH2〜6のバッファーに移行させる。移行方法は特に限定されないが、例えば、Tk−サチライシンをpH2〜6のバッファーで希釈する方法や透析する方法を用いることができる。
また、プロテアーゼ溶液調製工程では、Tk−サチライシンをpH2〜6のバッファーに移行させた後、濃縮を行ってもよい。濃縮することにより、高濃度のTk−サチライシン溶液を調製することができる。濃縮の方法は特に限定されず、公知のタンパク質溶液の濃縮方法を用いればよい。例えば、限外ろ過が挙げられる。また、Tk−サチライシン溶液を一度凍結乾燥した後に、少容量のバッファーに再溶解してもよい。
得られたプロテアーゼ溶液のTk−サチライシン濃度は0.1mg/ml以上であることが好ましい。従来の方法で製造したTk−サチライシンを濃縮した場合、自己分解反応を起こして0.1mg/ml以上のTk−サチライシン溶液を調製することができなかった。本発明の製造方法で得られるTk−サチライシン溶液は、構造の安定性を維持しながら活性の発現を抑えることができるpH2〜6のTk−サチライシン溶液であるため、Tk−サチライシン濃度を0.1mg/ml以上としても自己分解を起こさず、安定に保存することが可能である。
(6)プロ体含有溶液調製工程
本発明の製造方法において、リフォールディング工程の直後に、リフォールディング後のプロ体を含有し、pH2〜6の溶液を調製するプロ体含有溶液調製工程を設けてもよい。本発明者らは、変性させたプロTk−サチライシンはpH5以上で正しいフォールディングを効率よくできること、pH6以下ではTk−サチライシンの活性が顕著に低いこと、および、Tk−サチライシンはpH2〜12の範囲で構造が安定しているがpHが2より低いと構造を維持できないことを新たに見出した。そして、この新規知見に基づいて、正しくフォールディングしたネイティブ構造を有するプロ体を含有し、安定に保存可能な溶液の調製を試みたところ、ネイティブ構造を有するプロ体、当該プロ体の自己切断により生じたプロ配列と成熟配列とが結合した構造を有する複合体、およびTk−サチライシン(成熟体)の3種類のタンパク質を含有する混合物が得られ、これらの成熟化の進行を抑えてpH2〜6の溶液中で安定に保存することに成功した。
プロ体含有溶液調製工程では、リフォールディング工程で得られたネイティブ構造を有するプロ体を含有する混合物をpH2〜6のバッファーに移行させる。さらに、引き続き濃縮を行ってもよい。pH2〜6のバッファーへの移行および濃縮には、上記プロテアーゼ溶液調製工程に記載の方法を用いることができる。得られたプロ体含有溶液中のプロ体と複合体の混合物を成熟化工程に供すれば、プロテアーゼ活性を有する成熟体(Tk−サチライシン)を得ることができる。
〔プロテアーゼ溶液〕
本発明のプロテアーゼ溶液は、以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼを含有し、pHが2〜6の範囲であるプロテアーゼ溶液である。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
(c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
(d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
つまり、本発明のプロテアーゼ溶液は、上記本発明の製造方法のプロテアーゼ溶液調製工程で得られるTk−サチライシン溶液である。このTk−サチライシン溶液は、Tk−サチライシンが自己分解を起こすことなく、安定に長期間保存できる。また、従来実現できなかった0.1mg/ml以上の高濃度Tk−サチライシン溶液を提供することができる。
本発明のプロテアーゼ溶液は、高濃度のTk−サチライシンを含有させることができるので、保存コストや輸送コストを低く抑えることが可能となり、流通の経済性を向上させることができる。また、使用時にプロテアーゼを添加して用いる用途において、用事調製用の溶液として利用できる。
〔プロ体含有溶液〕
本発明のプロ体溶液は、以下の(e)または(f)に記載のアミノ酸配列からなるプロ体を含有し、pHが2〜6の範囲であるプロテアーゼのプロ体溶液である。
(e)配列番号3に示されるアミノ酸配列
(f)配列番号3に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
つまり、上記本発明の製造方法のプロ体含有溶液調製工程において調製されるプロTk−サチライシン含有溶液である。このプロTk−サチライシン含有溶液は、正しくフォールディングしたネイティブ構造を有するプロ体、当該プロ体の自己切断により生じたプロ配列と成熟配列とが結合した構造を有する複合体、およびTk−サチライシン(成熟体)の3種類のタンパク質を含有する混合物溶液であり、これらの成熟化の進行を抑えて安定に保存することができきる。
本発明のプロ体含有溶液は、Tk−サチライシン製造における中間体を供給するものである。すなわち、Tk−サチライシン製造の中間体を流通させることができるため、Tk−サチライシンを含有する最終製品を製造する現場で、目的物であるTk−サチライシンを製造することが可能となる。また、本発明のプロ体含有溶液は保存安定性が高い溶液であるが、溶液中のプロ体の量をチェックすることにより、自己分解が進んでいないことを容易に確認することができる。すなわち、流通過程や保存中の品質管理を容易に行うことができるという利点を有する。
〔Tk−サチライシンの用途〕
以下、本発明の製造方法により得られるプロテアーゼの代表例としてTk−サチライシンの用途について説明するが、本発明の製造方法により得られるプロテアーゼはTk−サチライシンに限定されるものではなく、本発明の製造方法により得られる他のプロテアーゼも同様の用途に使用できる。また、本発明の製造方法以外の方法により製造されたTk−サチライシンも同様の用途に使用できることは言うまでもない。Tk−サチライシンは、既に実用化されているSubtilisin CarlsbergやProteinaseKと比較して、高温域(70℃〜100℃)で顕著に高い活性を有し、それより低い温度域においても他のプロテアーゼより高い活性を有するプロテアーゼである。今回、本発明者らはTk−サチライシンはpH8〜12で非常に高い活性を有すること、Subtilisin CarlsbergやProteinaseKと比較して、顕著に高い熱安定性を有すること、および、界面活性剤やタンパク質変性剤に対する安定性が高いことを新たに見出した。それゆえ、Tk−サチライシンは、難分解産業廃棄物(羽毛、獣毛などケラチンを含むもの)の分解、生理活性ペプチド生産、繊維加工、羊毛加工、皮革加工、食品加工(魚油加工、食肉加工等)、飼料加工、核酸精製、コンタクトレンズ洗浄、配管洗浄等の用途に好適に利用することができる。また、Tk−サチライシンは、常温から高温の広い範囲で高い活性を示すことから、分解対象の材料、利用目的に最適な温度条件に合わせて用いることができる。さらに、反応性が高いので少量で既存品と同程度の効果が得られる。特に、高アルカリかつ高温条件(例えばpH12、80℃など)を必要とするような、今まで酵素が利用できなかった分野での新しい活用(医療機器の洗浄、難分解物の高効率分解)に利用できる。したがって、Tk−サチライシンは、高温かつ高アルカリ条件で使用され、界面活性剤を含有する洗剤に配合して洗浄力の増強を図ることができる。特に、従来使用されている産業用プロテアーゼと比較して顕著に高い活性を有していることから、二次感染が問題となる医療器具の感染性タンパク質汚れを強力に分解・洗浄することが可能であり、医療器具用洗剤に高い有用性を有している。また、食器洗浄機用洗剤や洗濯用洗剤等の各種洗剤にも好適に用いることができる。
(1)洗剤
本発明は、Tk−サチライシンを含有する洗剤(洗浄用組成物)を提供する。洗剤中のTk−サチライシンの含有量は特に限定されないが、他のプロテアーゼと比較して高い活性を有することから、少量の添加で高い洗浄力を発揮することができる。好ましい含有量として、例えば0.1〜10重量%が挙げられる。含有量が少なすぎると十分な洗浄効果が得られず、また逆に多すぎる場合には含有量に比した洗浄効果の向上が得られないため、経済性の点で好ましくない。Tk−サチライシンは、公知の任意の洗剤に対して、その洗剤の組成を何ら変更することなく配合することができる。また、Tk−サチライシンを含有する洗剤の成分については特に限定はない。そのような洗剤の代表的例としては、洗剤重量当たり10〜50重量%の界面活性剤、0〜50重量%のビルダー、1〜50重量%のアルカリ剤あるいは無機電解質、0.1〜5重量%の再汚染防止剤、酵素、漂白剤、蛍光染料、ケーキング防止剤および酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の配合成分からなる洗剤が挙げられる。
Tk−サチライシンを含有する洗剤は、さらに界面活性剤を含有することが好ましい。洗剤に含有される界面活性剤は特に限定されず、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤(例えば、エーテル型非イオン性界面活性剤、脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤、酸化エチレン付加脂肪アミンなど)、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも好適に用いることができる。本発明者らは、少なくとも19種類の界面活性剤の存在下においてTk−サチライシンがプロテアーゼ活性を維持できることを確認しており(実施例5および表1参照)、Tk−サチライシンは、界面活性剤を含有する洗剤に配合して用いることに特に適していると言える。界面活性剤の含有量は特に限定されないが、被洗浄物に存在するタンパク質が変性する程度の量を含有することが好ましい。したがって、用いる界面活性剤に応じて、適切な含有量を選択して使用することが好ましい。例えば、約1〜50重量%が好ましく、約1〜30重量%がより好ましく、約3〜10重量%がさらに好ましい。
既存のアルカリプロテアーゼであるアルカリフィルス・トランスバーレンシス由来のプロテアーゼ(特許文献1)は、高アルカリ活性、界面活性剤耐性、カルシウム非依存性の耐熱性などの特徴ある性質を有しているが、最適温度が70℃であるため、より高温の洗浄には適していない。またパイロコッカス・ホリコシ由来のプロテアーゼ(特許文献2)は、至適温度約98℃以上で、至適pH約5〜約6である特徴を有しているが、中性、アルカリ条件では活性が低く、界面活性剤への耐性について記載がない。一方、ピロコッカス・フリオサス由来のプロテアーゼ(特許文献3)は、アセトニトリル、尿素、SDSに対して耐性を有している。SDSに対する耐性については、終濃度1%SDSの存在下、95℃、3時間の処理の後も処理前の約80%の活性を有しているが、高温条件でSDS1%以上の濃度における分解活性の記載はなく、またSDS以外の界面活性剤に対する耐性の記載はない。
本発明の洗剤は、既存の洗剤と比較して洗浄力およびタンパク質分解力が格段に優れるので、上述のように、医療器具用洗剤として高い有用性がある。特に酵素洗浄剤では、これまで使用できなかった高温で界面活性剤を含有した状態で洗浄できるため、短時間で洗浄、滅菌の処理を行うことが可能となる。また異常プリオンタンパク質の不活化条件である、3%SDS存在下、100℃、3分においても80%以上の活性を有しており、プリオン病の二次感染防止において異常プリオンタンパク質の分解除去と不活化が同時に行える洗剤を提供できる。同様に、ウォッシャーディスインフェクターを用いた噴射・加熱式洗浄などの用途にも高い有用性を発揮する。つまり、本発明の洗剤は、ウォッチャーディスインフェクターなどの既存設備をそのまま使うことが可能である点で、非常に有用である。高温条件で使用する場合、酵素量を少なくできることからプリオン不活化後のプロテアーゼの除去が容易になる。中性で利用できるため、既存のアルカリ洗剤に比べ作業者の安全性が高いほか、アルカリ洗浄に弱い内視鏡などの製品に対しても利用できる。プリオン汚染の可能性が高く、使い捨ても難しい内視鏡に対する、効果的なプリオン不活化法はまだないが、本洗浄剤によりそれが可能となる。さらに、コンタクトレンズ洗浄用洗剤としても有用性が高い。
(2)異常プリオンタンパク質分解剤
本発明者らは、Tk−サチライシンが異常プリオンタンパク質を分解することができることを見出した。したがって、本発明は、Tk−サチライシンを含有する異常プリオンタンパク質分解剤を提供する。本発明の異常プリオンタンパク質分解剤は、Tk−サチライシンを含有するものであればよく、これ以外の組成は特に限定されない。好ましくは界面活性剤を含有する。本発明の異常プリオンタンパク質分解剤は、上記本発明の洗剤に準じて製造することができる。また、後述する「異常プリオンタンパク質の不活化方法」に従って、使用することができる。
(3)異常プリオンタンパク質の不活化方法
本発明の異常プリオンタンパク質の不活化方法は、異常プリオンタンパク質が付着した被洗浄物と、Tk−サチライシンとを接触させる工程を包含するものであればよい。「接触」は特に限定されず、Tk−サチライシンを含有する溶液に被洗浄物を浸漬してもよく、被洗浄物にTk−サチライシンを含有する溶液を塗布、噴射、噴霧等してもよい。なお、上記接触させる工程の後に、水等で被洗浄物十分にすすぐ工程を行い、被洗浄物にTk−サチライシンが残留していない状態にすることが好ましい。また、界面活性剤を含有するTk−サチライシン溶液を用いることにより、被洗浄物の異常プリオンタンパク質の不活化と、被洗浄物の洗浄を同時に行うことができる。また、Tk−サチライシンは、100℃で3%SDS界面活性剤の存在下、5分の条件で異常プリオンタンパク質を効果的に分解できるため、異常プリオンタンパク質の分解除去と不活化が同時にできる。この点は、市販の異常プリオンタンパク質の汚染除去剤である「プリオザイム(登録商標)」が、被洗浄物の洗浄後、プリオザイムを溶解した溶液に被洗浄物を浸漬することが必須であることと比較して、極めて利便性が高い。
また、プリオザイムはアルカリ性溶液に60℃で1時間、被洗浄物を浸漬する必要があるが、本発明に用いるTk−サチライシンは中性付近のpHでも十分異常プリオンタンパク質を不活化(分解)することができる。Tk−サチライシンは、25℃〜100℃で高い活性を有することから、低温域から高温域の広い範囲で異常プリオンタンパク質分解剤として利用できる。従って高温域での使用は分解活性が高くなることから短時間で異常プリオンタンパク質を分解除去することが可能である。プリオザイムは、異常プリオンタンパク質の分解除去は可能であるが、感染性の除去すなわち不活化までは担保されていない。一方でTk−サチライシンは、異常プリオンタンパク質を感染除去できる不活化条件(3%SDS、100℃、3分)で分解活性を有するため、プリオザイムでは不可能な、異常プリオンタンパク質の分解除去および不活化が可能となる点で、本発明の異常プリオンタンパク質の不活化方法は極めて優れている。
本発明の異常プリオンタンパク質の不活化方法において、被洗浄物とTk−サチライシンとをタンパク質変性条件下で接触させることが好ましい。例えば、異常プリオンタンパク質は3%SDS溶液で100℃、3分間処理すると完全に感染性が消滅することが知られている(参考文献:厚生労働省、厚生労働省遅発性ウイルス感染調査研究班、「クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル 改訂版」、48−49頁、2002年)。その他、異常プリオンタンパク質の感染性を消滅させるタンパク質変性条件としては、例えば、7M塩酸グアニジン2時間処理、3Mグアニジンチオシアネート2時間処理、3Mトリクロロアセテート2時間処理、50%以上のフェノール2時間処理などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1:Tk−サチライシンの生化学的特性〕
(1)プロTk−サチライシンの発現および精製
Tk−サチライシン前駆体をコードする塩基配列(ACCESSION:AB056701、配列番号6)に基づいて、プロTk−サチライシンをコードする部分配列を増幅するためのプライマーペアを設計した。すなわち、NdeIサイトを含むフォワードプライマー(5'-AGTCCCTGCACATATGGGAGAGCAGAATACAATA-3'(配列番号7))と、BamHIサイトを含むリバースプライマー(5'-AGTGGATCCAATCAGCCCAGGGC-3'(配列番号8))である。Thermococcus kodakaraensis KOD1株のゲノムDNAを鋳型とし、上記プライマーペアを用いてPCRを行い、DNA断片を増幅した。得られたDNA断片をNdeIおよびBamHIで消化し、このDNA断片をpET25b(Novagen社製)のNdeI/BamHIサイトに挿入した。このプラスミドを用いて、大腸菌BL21(DE3)CodonPlusを形質転換した。
得られた菌株を50μg/mlのアンピシリンを含むNZCYM培地を用いて37℃で培養した。OD660が0.5に達した段階で、終濃度0.5mMのIPTGを添加し、さらに4時間培養を続けることで、プロTk−サチライシンを封入体として大量発現させた。集菌し、20mM Tris−HCl(pH9.0)に懸濁し、超音波破砕後、遠心分離(15,000×g、30min)により沈殿画分を回収した。この沈澱を変性バッファー(20mM Tris−HCl(pH9.0)、5mM EDTA、8M Urea)に溶解し、遠心分離(15,000×g、30min)を行って上清を得、陰イオン交換カラムHitrap Q(GE Healthcare社)にかけて変性状態のプロTk−サチライシンの精製を行った。精製度の確認はSDS−PAGEおよびクマシー染色を用いて行った。
(2)プロTk−サチライシンのリフォールディングおよびTk−サチライシン(成熟体)の調製
Hitrap Qによる精製後、変性状態のプロTk−サチライシン(1.0mg/ml、10ml)を1Lのリフォールディングバッファー(20mM Tris−HCl pH 9.0)で2回透析(1回目;2時間、2回目;12時間)し、Ureaを抜くことでリフォールディングを行った。その後、終濃度300nM(約0.0124mg/ml)となるように、13μlのリフォールディング後のプロTk−サチライシンを987μlの成熟化バッファー(50mM CAPS−NaOH pH9.5、5mM CaCl)で希釈し、80℃で15分間熱処理することにより、プロペプチドの自己切断(Autoprocessing)およびプロペプチドの分解(Degradation)を経てTk−サチライシン(成熟体)を得た。
(3)活性測定方法
(3-1) アゾカゼインを基質とする場合
30μlのTk−サチライシン(100nM)を270μlの反応バッファー(50mM CAPS−NaOH pH9.5、5mM CaCl、2% アゾカゼイン)に添加し、各温度条件下、20分間インキュベーションした。200μlの15%TCAを添加し、氷中15分間静置することで酵素反応を停止した。15,000×g、15分間遠心分離を行い、得られた80μlの上清液に20μlの2M NaOHを添加し、440nmの吸光度を測定した。このとき、0.3mlの反応液の440nmの吸光度を1分間に1上昇させるのに必要な酵素量を、「1単位」として定義した。また、比較対照のSubtilisin CarlsbergおよびProteinaseKについては、反応バッファーとして50mM CAPS−NaOH pH8.0、5mM CaCl、2%アゾカゼインを用いた。
(3-2) 合成基質Suc−AAPF−pNAを用いる場合
300nMのTk−サチライシンを、終濃度6nMとなるように酵素活性測定用バッファー(20mM Tris−HCl(pH 8.0)、1mM CaCl2、1mM Suc−AAPF−pNA)で50倍希釈し、20℃で4分間インキュベーションした。10μlの100%酢酸を添加して酵素反応を停止させ、波長410nmでの吸光度変化を測定した。この測定系において、Suc−AAPF−pNAから生成されるパラニトロアニリン(p-nitroaniline)の量を8900M-1cm-1の吸光係数を用いて決定し、1分間に1μmolのパラニトロアニリンを生成する酵素量を、「1単位」として定義した。また、比較対照のSubtilisin CarlsbergおよびProteinaseKについても同じ反応バッファーを用いた。
(4)活性の温度依存性
上記(3-1)の活性測定方法に従い、20℃から100℃までの各温度におけるTk−サチライシンの酵素活性を測定した。また、比較対照としてSubtilisin Carlsberg(Sigma)およびProteinaseK(Wako)を用いて同様の実験を行った。
結果を図1に示した。図1から明らかなように、Tk−サチライシンは90℃で最も高い活性を示し、100℃においても顕著に高い活性を有していた。一方、比較対照のSubtilisin Carlsbergは60℃、ProteinaseKは65℃で最も活性が高かったが、これらの温度においてもTk−サチライシンのほうが2〜3倍高い活性を示した。
(5)活性のpH依存性
上記(3-2)の活性測定方法に従い、各pH条件での酵素活性を測定した。用いたバッファーは以下のとおりである。
pH4.0〜5.6:50mM Sodium Acetate
pH5.5〜7.0:50mM MES−NaOH
pH7.0〜7.5:50mM HEPES−NaOH
pH7.0〜9.0:50mM Tris−HCl
pH8.5〜10.0:50mM CAPS−NaOH
pH9.0〜11.5:50mM Glycine−NaOH
結果を図2に示した。図2からわかるように、Tk−サチライシンの至適pH範囲はpH8〜12であり、高アルカリ環境での利用に適した酵素であることが明らかとなった。
(6)構造安定性に及ぼすpHの影響
300nMのTk−サチライシンを、各pH条件のバッファー内にて30℃で一晩インキュベーションし、上記(3-2)の活性測定方法に従い残存活性を測定した。用いたバッファーは以下のとおりである。
pH1.0〜1.5:50mM KCl−HCl
pH2.0〜3.0:50mM Glycine−HCl
pH4.0〜5.0:50mM Sodium Acetate
pH6.0 :50mM MES−NaOH
pH7.0 :50mM HEPES−NaOH
pH8.0〜9.0:50mM Tris−HCl
pH10.0〜11.0:50mM Glycine−NaOH
pH12.0〜13.0:50mM KCl−NaOH
結果を図3に示した。図3から明らかなように、TK−サチライシンはpH2〜12の範囲で構造安定性を有していることが示された。
(7)各pH条件下でのリフォールディング効率の比較
4M塩酸グアニジン存在下で変性させたプロTk−サチライシン(2.0mg/ml)を、各pH条件のバッファー(10mM CaCl、1mM DTTを含む)で100倍希釈することでリフォールディングさせ、その効率を円偏光二色性(CD)スペクトル測定により解析した。用いたバッファーは以下のとおりである。
pH3.0 :50mM Glycine−HCl
pH4.0〜5.6:50mM Sodium Acetate
pH5.5〜6.0:50mM MES−NaOH
pH7.0 :50mM HEPES−NaOH
pH8.0〜9.0:50mM Tris−HCl
結果を図4に示した。図4から明らかなように、プロTk−サチライシンはpH5を超えるpH条件で効率よくリフォールディングを行うことが示された。
(8)熱安定性
300nMのTk−サチライシンを、20mM Tris−HCl(pH 8.0)、1mM CaCl2、のバッファー条件下にて、20℃から110℃までの各温度で10分間熱処理を行い、上記(3-2)の活性測定方法に従い残存活性を測定した。また、比較対照としてSubtilisin Carlsberg(Sigma)およびProteinaseK(Wako)を用いて同様の実験を行った。
結果を図5に示した。図5から明らかなように、Tk−サチライシンは110℃、10分間の熱処理によっても活性の低下が認められなかった。一方、比較対象のSubtilisin Carlsbergは70℃、ProteinaseKは80℃で失活した。この結果から、Tk−サチライシンは熱安定性が極めて高い酵素である事が明らかになった。
(9)界面活性剤およびタンパク質変性剤に対する安定性
300nMのTk−サチライシンを、様々な濃度の界面活性剤(TritonX−100、Tween−20、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))およびタンパク質変性剤(塩酸グアニジン(Guanidine HCl)、尿素(Urea))存在下、55℃でインキュベーションし、上記(3-2)の活性測定方法に従い、時間間隔ごとに残存活性を測定した。また、比較対照としてSubtilisin Carlsberg(Sigma)およびProteinaseK(Wako)を用いて同様の実験を行った。
TritonX−100の結果を図6に示した。図6中(a)はTk−サチライシン、(b)はSubtilisin Carlsberg、(c)はProteinaseKの結果である。図6から明らかなように、いずれの酵素も10%のTritonX−100で60分間処理しても活性の低下は認められなかった。
Tween−20の結果を図7に示した。図7中(a)はTk−サチライシン、(b)はSubtilisin Carlsberg、(c)はProteinaseKの結果である。図7から明らかなように、Tk−サチライシンは10%のTween−20で60分間処理しても活性の低下は認められなかった。一方、Subtilisin CarlsbergおよびProteinaseKは活性の低下が認められた。
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の結果を図8に示した。図8中(a)はTk−サチライシン、(b)はSubtilisin Carlsberg、(c)はProteinaseKの結果である。図8から明らかなように、Tk−サチライシンは5%のSDSで60分間処理しても活性の低下は認められなかった。一方、Subtilisin CarlsbergおよびProteinaseKは活性の低下が認められた。
塩酸グアニジン(Guanidine HCl)の結果を図9に示した。図9中(a)はTk−サチライシン、(b)はSubtilisin Carlsberg、(c)はProteinaseKの結果である。図9から明らかなように、Tk−サチライシンは6Mの塩酸グアニジンで60分間処理しても活性の低下は認められなかった。一方、Subtilisin CarlsbergおよびProteinaseKは活性の低下が認められた。
尿素(Urea)の結果を図10に示した。図10中(a)はTk−サチライシン、(b)はSubtilisin Carlsberg、(c)はProteinaseKの結果である。図10から明らかなように、Tk−サチライシンは8%の尿素で60分間処理しても活性の低下は認められなかった。一方、Subtilisin CarlsbergおよびProteinaseKは活性の低下が認められた。
以上の結果から、Tk−サチライシンは各種の界面活性剤およびタンパク質変性剤に対して高い安定性を有していることが明らかとなった。
〔実施例2:Tk−サチライシン(成熟体)の高効率製造方法〕
実施例1(1)および(2)の方法によりTk−サチライシン(成熟体)を調製する方法(従来法)で得られるTk−サチライシン(成熟体)量は、成熟化に供したプロTk−サチライシン量の約20%であり、成熟体の回収効率が非常に低かった。そこで、成熟体の回収効率を向上させるための試みを行った。
上記実施例1の(1)と同様にして、8M Ureaにより変性させたプロTk−サチライシンを精製した。用いたリフォールディングバッファーは、実施例1と異なり、DTTおよびカルシウムイオンを添加したものを使用した。すなわち、変性状態のプロTk−サチライシン(1.0mg/ml、10ml)を、1Lのリフォールディングバッファー(20mM Tris−HCl pH 7.0、1mM DTT、10mM CaCl)で2回透析(1回目;2時間、2回目;12時間)し、Ureaを抜くことでリフォールディングを行った。その後、終濃度300nM(約0.0124mg/ml)となるように、13μlのリフォールディング後のプロTk−サチライシンを987μlの成熟化バッファー(50mM CAPS−NaOH pH9.5、5mM CaCl)で希釈し、80℃で15分間熱処理することにより、プロペプチドの自己切断(Autoprocessing)およびプロペプチドの分解(Degradation)を経てTk−サチライシン(成熟体)を得た。
プロTk−サチライシンを含有する上記加熱前の成熟化バッファー、および加熱後(成熟化後)の成熟化バッファーからサンプルを採取し、SDS−PAGEに供した。また、比較対照として、実施例1の方法(従来法)で行った場合のサンプルも、同時にSDS−PAGEに供した。
結果を図11に示した。レーン1は従来法による加熱前サンプル、レーン2は従来法による加熱後サンプル、レーン3は本発明の製造方法による加熱前サンプル、レーン4は本発明の製造方法による加熱後サンプルである。レーン3および4より明らかなように、本発明の製造方法によれば加熱前のプロTk−サチライシン量の約90%がTk−サチライシン(成熟体)として回収できた(成熟体回収効率約90%)。一方、レーン1および2より従来法では、成熟体回収効率は約20%であった。この結果から、本発明の方法によれば、成熟体の回収効率が格段に向上することが明らかとなった。
〔実施例3:Tk−サチライシン(成熟体)の濃縮および保存〕
上記実施例1(1)および(2)の方法(従来法)で調製したTk−サチライシン(成熟体)について、セントリプラス(Millipore社製)を用いて濃縮を試みた場合、0.1mg/ml以上の濃度条件になると直ちに自己分解反応を起こした。したがって、これまで高濃度のTk−サチライシン(成熟体)溶液を調製することができなかった。そこで、上記実施例1(5)および(6)により得られた新規知見、すなわち、pH6以下ではTk−サチライシンの活性が顕著に低いこと(図2参照)、および、Tk−サチライシンは、pH2以上で構造が安定していること(図3参照)を利用して、pH2〜6の条件でTk−サチライシンを濃縮し、保存することを試みた。
上記実施例2の方法で製造されたTk−サチライシン(成熟体)をバッファー(50mM Sodium Acetate(pH4.6)、10mM Ca(OAc))で透析し、サンプルAを得た(濃度:0.0115 mg/ml)。このサンプルAをセントリプラス(Millipore社製)を用いて10倍濃縮し、サンプルB(0.115 mg/ml)を調製した。同様にサンプルAを100倍濃縮し、サンプルC(1.15mg/ml)を調製した。得られたサンプルA,BおよびCを、それぞれ4℃で一夜放置した。サンプルBおよびサンプルCに上記バッファー(50mM Sodium Acetate(pH4.6)、10mM Ca(OAc))を加えて、それぞれ10倍および100倍に希釈し、サンプルA並びに、希釈後のサンプルBおよびCをそれぞれ1.0ml取り、112μlの100%TCAを添加してタンパク質を沈殿として回収し、得られた沈殿を20μlのSDSサンプルバッファーに溶解した。この10μlをSDS−PAGEに供し、Tk−サチライシンの濃縮に伴う自己分解の有無を調べた。
結果を図12に示した。図12からわかるように、濃縮に伴う自己分解は無く、タンパク質量の変化は無いことが明らかとなった。
なお、濃縮・保存に用いるバッファーは、酸性pH(2.0〜6.0)に調整可能なものであればよく、上記Sodium Acetateに限定されない。例えば、Glycine−HClなどを好適に用いることができる。濃縮には、上記セントリプラスに代表される遠心式限外ろ過ユニットを好適に用いることができる。またTk−サチライシン(成熟体)の等電点が4.42であることから、pH4.0以下のバッファーで透析した後であれば陽イオン交換カラムHitrap SP(GE Healthcare社)等に結合させ、pH5.0以上のバッファーで透析した後であれば陰イオン交換カラムHitrap Q(GE Healthcare社)等に結合させ、いずれも食塩による溶出により濃縮することが可能である。
〔実施例4:Tk−サチライシンのプロ体含有溶液の製造〕
上記実施例1(5)および(7)により、変性させたプロTk−サチライシンは、pH5.2〜6.0の範囲では正しくリフォールディングできるが(図4参照)、当該pH範囲ではTk−サチライシンの活性が顕著に低かった(図2参照)。これらの結果から、pH5.2〜6.0の範囲でリフォールディングさせれば、得られたプロ体が成熟化しても当該pH環境下ではTk−サチライシンの活性が抑えられ、自己分解が起こらないものと考えられた。そこで、これを確認するために、以下の実験を行った。
4M塩酸グアニジン存在下で変性させたプロTk−サチライシン(1.24mg/ml)を、各pH条件のバッファー(10mM CaCl、1mM DTTを含む)で100倍希釈することでリフォールディングさせ、4℃または室温で12時間放置した後のプロペプチドの切断(オートプロセシング)効率を15% SDS−PAGEにより解析した。用いたバッファーは以下のとおりである。
pH4.0〜5.6:50mM Sodium Acetate
pH6.0 :50mM MES−NaOH
pH7.0 :50mM HEPES−NaOH
pH8.0 :50mM Tris−HCl
結果を図13に示した。図13中、各レーンの上部の数字は用いたバッファーのpHを表し、Cはカルシウムイオンを含まないバッファーを用いたコントロールを表し、LMWは分子量マーカーを表す。図13から明らかなように、リフォールディングバッファー中で12時間放置後においては、ネイティブ構造を有するプロ体と、当該プロ体の自己切断により生じたプロ配列と成熟配列とが結合した構造を有する複合体と、Tk−サチライシン(成熟体)の3種類のタンパク質が存在していた。また、プロ体と複合体と成熟体の割合は、いずれのpHでも変化がなかった。この結果は、Tk−サチライシンの活性が顕著に低いpH6以下でも自己切断が進行することを示したものであり、大変予想外な結果であった。なお、上記のプロ体と複合体と成熟体との3種類のタンパク質が存在する溶液(プロ体含有溶液)のpHを2〜6とすることにより、Tk−サチライシンの活性が抑えられ、成熟化がほとんど進まず、安定に保存可能であった。また、使用の際には、プロ体含有溶液中のタンパク質の終濃度が300nMとなるようにアルカリpH条件のバッファーで希釈し、80℃以上(ボイルでも可)で、10分間熱処理を行うことにより、約300nMのTk−サチライシン(成熟体)を調製することができる。
〔実施例5:界面活性剤存在下におけるTk−サチライシンのBSA分解活性〕
上記実施例2および3の方法で製造および調製したTk−サチライシン(成熟体)溶液を本実施例に供した。また、界面活性剤は、表1に示す19種類を用いた。各製品中の界面活性剤の含有量に応じて、それぞれ1%界面活性剤溶液を調製した。溶媒には100mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM CaCl2溶液を用いた。ネオぺレックスGSには6M NaOHを1/50量添加してpHを中性付近に調整した。レオドールSP−010V、エマノーン3299Vおよびアセタミン86は水溶性でないため、水を50%エタノールに変えて調製した。エマノーン3299Vは、固体を80℃で融解し、エタノールに懸濁した後、調製した。
(1)反応温度によるBSA分解活性の確認
1.5mlチューブに、1%界面活性剤溶液44μlと50mg/ml BSA溶液5μlとを加えた。コントロールとしてバッファーのみ44μlと50mg/ml BSA溶液5μlとを加えたチューブを2本用意した。コントロールの1本には水を1μl加え、これ以外のチューブにはTk−サチライシン溶液(25mg/ml)を1μl加えてふたをし、直ちに、100℃、65℃、37℃または25℃で10分間インキュベーションした。10分後、0.5M EDTAを1μl加えて反応を停止した。反応液に4×SDSサンプルバッファー16μlと1×SDSサンプルバッファー66μlを加えて5分間ボイリングし、SDS−PAGE(12%アクリルアミドゲルを使用)に供した。
反応温度100℃の結果を図14に示した。反応温度65℃の結果を図15に示した。反応温度37℃の結果を図16に示した。反応温度25℃の結果を図17に示した。図14〜17中Markerは分子量マーカーを、C1はコントロール1(界面活性剤なし、Tk−サチライシンあり)を、C2はコントロール2(界面活性剤あり、Tk−サチライシンなし)を、各レーンの数字は表1のレーン番号に対応する界面活性剤をそれぞれ表す。
反応温度100℃では、レーン3(ドデシルベンゼンスルホン酸)を除き10分間でほぼ完全にBSAが分解された(図14参照)。反応温度65℃では、反応速度に差があるものの、用いたすべての界面活性剤はTk−サチライシンのBSA分解活性を阻害しないことが示された(図15参照)。反応温度37℃および25℃の場合も同様に、反応速度に差があるものの、用いたすべての界面活性剤はTk−サチライシンのBSA分解活性を阻害しないことが示された(図16および図17参照)。
これらの結果から、Tk−サチライシンは界面活性剤の存在下においても室温から高温(100℃)に至るまで活性を維持できることが示された。また、高温の方が反応速度が速いことが明らかとなった。
(2)100℃、5分間の反応条件におけるBSA分解活性(他のプロテアーゼとの比較)
1.5mlチューブに、1%界面活性剤溶液88μlと50mg/ml BSA溶液10μlとを加えた。コントロールとしてバッファーのみ88μlと50mg/ml BSA溶液10μlとを加えたチューブを2本用意した。100℃のヒートブロックで5分間プレインキュベーションした。コントロールの1本には水を2μl加え、これ以外のチューブにはTk−サチライシン溶液(25mg/ml)を2μl加えてふたをし、直ちに、100℃で10分間インキュベーションした。10分後、0.5M EDTAを2μlと2×SDSサンプルバッファー98μlとの混和物100μlを加えて5分間ボイリングし、SDS−PAGE(12%アクリルアミドゲルを使用)に供した。
Tk−サチライシンに変えて、ProteinaseK(Wako)またはSubtilisinA(Sigma)の25mg/ml水溶液を用いて同様の実験を行った。
Tk−サチライシンの結果を図18に、ProteinaseKの結果を図19に、SubtilisinAの結果を図20にそれぞれ示した。図18〜20中Markerは分子量マーカーを、C1はコントロール1(界面活性剤なし、プロテアーゼあり)を、C2はコントロール2(界面活性剤あり、プロテアーゼなし)を、各レーンの数字は表1のレーン番号に対応する界面活性剤をそれぞれ表す。
Tk−サチライシンはレーン3(ドデシルベンゼンスルホン酸)、レーン4(半硬化牛脂脂肪酸カリ石鹸)を除き100℃、5分間でほぼ完全にBSAを分解した(図18参照)。一方、ProteinaseKではレーン5(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)のみBSAを分解したがこれ以外はBSAを分解しなかった(図19参照)。また、SubtilisinAではレーン8(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、レーン10(ポリオキシエチレン(40)ソルビトールテトラオレエート)およびレーン14(塩化セチルトリメチルアンモニウム)において、多少BSAの部分的分解が認められたが、これら以外はBSAを分解しなかった(図20参照)。
これらの結果から、Tk−サチライシンは他のプロテアーゼと比較して、界面活性剤存在下において高温での活性が極めて高いことが明らかとなった。
(3)3%SDS存在下100℃におけるTk−サチライシンの残存活性の確認
バッファー(100mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM CaCl2)を用いて3%SDSを調製した。これを1.5mlチューブ6本に49μlずつ分注した。別途、バッファーのみ(0%SDS)を1.5mlチューブ3本に49μlずつ分注した。3%SDS群には、さらにプレインキュベーションあり群(3本)とプレインキュベーションなし群(3本)を設けた。各群3本のチューブはそれぞれ反応時間0分用、5分用、10分用とした。プレインキュベーションあり群の5分用および10分用チューブは、100℃で2分間プレインキュベーションした。
Tk−サチライシン溶液を、終濃度0.5mg/mlとなるように200mM Tris−HCl(pH8.0)、2mM CaCl2に希釈し、各チューブに1μl添加した。0分用のチューブはそのまま置き、5分用および10分用はそれぞれ5分間および10分間100℃で加熱した後、氷上に30秒間置いた。
酵素活性測定用溶液(50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM Suc−AAPF−pNA)99μlに各反応液を1μl加え、30℃で20分間インキュベーションした。5μlの酢酸を加えて反応を止め、波長410nmで吸光度を測定した。ブランクとして酵素活性測定用溶液の吸光度を測定した。
結果を図21に示した。図21から明らかなように、通常、タンパク質が変性すると考えられる3%SDS存在下100℃、10分間という過酷な条件においても、Tk−サチライシンは約35%〜約50%の残存活性を有することが示された。
(4)タンパク質変性条件下でのTk−サチライシンのBSA分解活性の確認
1.5mlチューブにバッファー(125mM Tris−HCl(pH6.8)、5%2−メルカプトエタノール、1〜7% SDS)と240μgのBSAを液量39μlとなるように加え、100℃で5分間加熱したのち、1.4mg/mlのプロテアーゼ溶液(Tk−サチライシン、Subtilisin Carlsberg、ProteinaseK、またはバッファーのみ)を1μl加えた。100℃で5分間加熱し、SDS−PAGE(12%アクリルアミドゲル使用)に供した。
結果を図22に示した。図22から明らかなように、Tk−サチライシンは7%SDS存在下であっても、100℃5分間でBSAを分解できることが示された。この結果から、Tk−サチライシンは、タンパク質変性条件下でのタンパク質分解に有効であることが明らかとなった。
〔実施例6:Tk−サチライシンによる異常プリオンタンパク質の分解〕
上記実施例2および3の方法で製造および調製したTk−サチライシン(成熟体)溶液を本実施例に供し、バッファーA[10mM Sodium Acetate(pH5.0)、10mM CaCl]を用いて使用濃度に調製した。
異常プリオンタンパク質試料は、異常プリオンタンパク質(マウスアダプトスクレイピーChandler株)を感染させたマウスから脳を採取し、脳のホモジネートをPBSで希釈して調製した。タンパク質濃度は、DCプロテインアッセイ(バイオラッド社製)を用いて測定した。なお、本実施例ではChandler株についての結果のみを示すが、本発明者らはObihiro株についても同様の結果を得ている。
ウエスタンブロッティングは以下の方法で実施した。
ブロッティング:電圧50V、電流140mAに設定し、90分間ブロッティングした。
ブロッキング:5%スキムミルク(in PBS−T)で4℃一晩ブロッキングした。
1次抗体処理:SAF83(IgG)を0.5%スキムミルクで1000倍希釈し(総量4ml)、室温で1時間処理した。
Wash:PBS−Tで10分間のWashを3回行った。
2次抗体処理:α−mouse−HRPを0.5%スキムミルクで10000倍希釈し(総量4ml)、室温で1時間処理した。
Wash:PBS−Tで10分間のWashを3回行った。
感光:ECLキットを用いてHRP酵素反応を行い、Filmに感光させた。
(1)実験1
チューブに0.5M KCl−NaOH(pH12.0)を20μl、マウス脳ホモジネート(8mg/ml)7.5μl、水17.5μlを加えて混合し、65℃で5分間加温した。これに水またはTk−サチライシン溶液(35.6mg/ml)を5μl添加し(終濃度3.56mg/ml)、65℃で30分間加温した。0.5M EDTAを5μL添加して反応を停止させ、氷中に移した。
各サンプルを等量ずつ分注し、「ProteinaseK処理をするサンプル」または「ProteinaseK処理をしないサンプル」に分け、「ProteinaseK処理をするサンプル」に関しては、ProteinaseK溶液(200μg/ml)をサンプル量の10分の1量を加え、37℃で1時間加温した。各サンプルに4×SDSサンプルバッファーを加え、100℃で5分間ボイリングを行った後、SDS−PAGE(15%アクリルアミドゲルを使用)に供し、電気泳動後、上記の方法でウエスタンブロッティングを行った。
結果を図23に示した。ProteinaseKは異常プリオンタンパク質を分解することができないので、ProteinaseK処理のみを行ったサンプルのレーンには異常プリオンタンパク質のバンドが残っている。一方、Tk−サチライシン処理を行ったサンプルは、ProteinaseK処理の有無に関わらず、異常プリオンタンパク質を含む全てのタンパク質が分解されていた。すなわち、Tk−サチライシンは異常プリオンタンパク質を分解できることが明らかとなった。なお、本実験1の反応条件は、文献(Proteolytic inactivation of the bovine spongiform encephalopathy agent, Biochem Biophys Res Commun., 2004 May 14;317(4):1165-70.)を参考にして、先行研究と比較しやすいように設定したものである。
(2)実験2
反応液のpHを8.0に変更して実験を行った。すなわち、4本のチューブに0.5M Tris−HCl(pH8.0)を20μl、マウス脳ホモジネート(8mg/ml)7.5μl、水17.5μlを加えて混合し、65℃で5分間加温した。これにバッファーAまたはTk−サチライシン溶液(20.0mg/ml)を5μlずつ各2本のチューブに添加し(終濃度2mg/ml)、65℃で30分間加温した。0.5M EDTAを5μL添加して反応を停止させ、氷中に移した。Tk−サチライシンを添加したサンプルおよび添加していないサンプルの各1本ずつにProteinaseK溶液(200μg/ml)をサンプル量の10分の1量を加え、残りの各1本ずつにはPBSを同量加え、37℃で1時間加温した。各サンプルに4×SDSサンプルバッファーを加え、100℃で5分間ボイリングを行った後、SDS−PAGE(15%アクリルアミドゲルを使用)に供し、電気泳動後、上記の方法でウエスタンブロッティングを行った。
結果を図24に示した。実験1と同様に、ProteinaseK処理のみを行ったサンプルには異常プリオンタンパク質のバンドが残ったが(レーン2)、Tk−サチライシン処理を行ったサンプルは、ProteinaseK処理の有無に関わらず、異常プリオンタンパク質を含む全てのタンパク質が分解された(レーン3および4)。すなわち、Tk−サチライシンは、pHが中性付近でも十分に異常プリオンタンパク質を分解することができることが明らかとなった。したがって、Tk−サチライシンを含有する異常プリオン分解剤は、アルカリ性溶液中に浸漬することが必須であるプリオザイム(登録商標、異常プリオンタンパク質汚染除去剤)に比べて、取扱いや廃棄の点で利便性が高いことが示された。
(3)実験3
4本のチューブに0.5M Tris−HCl(pH8.0)を20μl、マウス脳ホモジネート(8mg/ml)7.5μl、水17.5μlを加えて混合し、65℃で5分間加温した。これにバッファーAまたはTk−サチライシン溶液(20.0mg/ml)を5μlずつ各2本のチューブに添加し(終濃度2mg/ml)、65℃で30分間加温した。0.5M EDTAを5μL添加して反応を停止させ、氷中に移した。Tk−サチライシンを添加したサンプルおよび添加していないサンプルの各1本ずつに0.5M DFP(ジイソプロピルフルオロリン酸)を5μl加え、室温で15分間処理した。残りの各1本ずつには、コントロールとして溶媒である2−プロパノールを5μl加えた。各サンプルに4×SDSサンプルバッファーを加え、100℃で5分間ボイリングを行った後、SDS−PAGE(15%アクリルアミドゲルを使用)に供し、電気泳動後、上記の方法でウエスタンブロッティングを行った。このとき、サンプル中のSDSの終濃度はプリオンが不活化しやすいといわれる3%になるように調整した。
結果を図25に示した。図24から明らかなように、レーン3(Tk−サチライシン、DFP処理なし)では異常プリオンタンパク質を含む全てのタンパク質が分解されたが、レーン4(Tk−サチライシン、DFP処理あり)では一部のタンパク質が分解されていなかった。この結果は、Tk−サチライシンの65℃、30分の処理ではすべてのタンパク質が完全に分解しておらず、その後SDSサンプルバッファーを加えて100℃で5分間処理することで、完全にタンパク質が分解されることを示すものである。すなわち、Tk−サチライシンは、3%SDS存在下、100℃というプリオンが変性する過酷な条件下でプロテアーゼ活性を示し、異常プリオンを完全に分解することができることが明らかになった。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (15)

  1. プロテアーゼのプロ体をコードするDNAを宿主細胞に導入し、封入体として発現させるプロ体発現工程と、
    封入体状態のプロ体を変性させ、変性プロ体を得る変性工程と、
    カルシウムイオンを含み、かつ、pH5以上の溶液中で、変性プロ体をリフォールディングさせるリフォールディング工程と、
    リフォールディング後のプロ体を成熟化させ、活性を有するプロテアーゼを得る成熟化工程と
    を包含し、
    前記成熟化工程に供したプロ体の50%以上が活性を有するプロテアーゼとして回収されることを特徴とするプロテアーゼの製造方法。
  2. 前記成熟化工程の後に、さらにpH2〜6のプロテアーゼ溶液を調製するプロテアーゼ溶液調製工程を包含することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記プロテアーゼ溶液が、0.1mg/ml以上のプロテアーゼ濃度を有する請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記リフォールディング工程の直後に、リフォールディング後のプロ体を含有し、pH2〜6の溶液を調製するプロ体含有溶液調製工程をさらに包含することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記プロテアーゼが、以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
    (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
    (c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
    (d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
  6. 前記プロテアーゼのプロ体が、以下の(e)または(f)に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
    (e)配列番号3に示されるアミノ酸配列
    (f)配列番号3に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
  7. 以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼを含有し、pHが2〜6の範囲であることを特徴とするプロテアーゼ溶液。
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
    (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
    (c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
    (d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
  8. プロテアーゼ濃度が0.1mg/ml以上である請求項7に記載のプロテアーゼ溶液。
  9. 以下の(e)または(f)に記載のアミノ酸配列からなるプロ体を含有し、pHが2〜6の範囲であることを特徴とするプロテアーゼのプロ体溶液。
    (e)配列番号3に示されるアミノ酸配列
    (f)配列番号3に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
  10. 以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼを含有する洗剤。
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
    (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
    (c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
    (d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
  11. さらに、界面活性剤を含有する請求項10に記載の洗剤。
  12. 医療器具洗浄用である請求項10または11に記載の洗剤。
  13. 以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼを含有する異常プリオンタンパク質分解剤。
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
    (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
    (c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
    (d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
  14. 異常プリオンタンパク質が付着した被洗浄物と、以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるプロテアーゼとを接触させる工程を包含する異常プリオンタンパク質の不活化方法。
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
    (b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
    (c)配列番号2に示されるアミノ酸配列
    (d)配列番号2に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列
  15. 前記被洗浄物と前記プロテアーゼとをタンパク質変性条件下で接触させる請求項14に記載の異常プリオンタンパク質の不活化方法。
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