JP6086378B2 - 組み換えヒト膵臓リパーゼの調製方法 - Google Patents
組み換えヒト膵臓リパーゼの調製方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6086378B2 JP6086378B2 JP2012263442A JP2012263442A JP6086378B2 JP 6086378 B2 JP6086378 B2 JP 6086378B2 JP 2012263442 A JP2012263442 A JP 2012263442A JP 2012263442 A JP2012263442 A JP 2012263442A JP 6086378 B2 JP6086378 B2 JP 6086378B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rechpl
- hpl
- strep
- coli
- tagii
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Description
(1)以下の(a)〜(d)の工程を備えることを特徴とする組換えヒト膵臓リパーゼ(recHPL)の調製方法。
(a)HPL cDNAに、Strep−tagIIをC末側に付加した発現プラスミドを構築する工程;
(b)構築した発現プラスミドを大腸菌に導入した後に培養して、大腸菌内にHPLを発現させる工程;
(c)前記大腸菌を破砕した大腸菌溶解物から、ストレプタクチンを担持した吸着体を用いてHPLをワンステップで精製する工程;
(d)精製したHPLを、尿素濃度を段階的に低下させるグリセロール添加段階透析法を用いて活性化するリフォールディング工程;
(2)ストレプタクチンを担持した吸着体が、ストレプタクチンを担持したセファロースであることを特徴とする上記(1)記載のrecHPLの調製方法。
(3)グリセロール添加段階透析法が、グリセロールに加えてCa2+を添加する段階透析法であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のrecHPLの調製方法。
(4)尿素濃度を8Mから0Mに段階的に低下させることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載のrecHPLの調製方法。
(5)10%グリセロールを用いることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載のrecHPLの調製方法。
(6)2.5〜5mM Ca2+を用いることを特徴とする上記(3)〜(5)のいずれか記載のrecHPLの調製方法。
(7)グリセロール添加段階透析法が、酸化剤/還元剤としてシスチン/システインを用いる段階透析法であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載のrecHPLの調製方法。
(1)HPL cDNAのPCR法による増幅
効率良くHPL cDNAを増幅するため、まずは制限酵素認識配列がないDNAを合成し、次に制限酵素認識配列を付加することとし、HPLの塩基配列(配列番号4)に基づいて、プライマー1(配列番号5)、プライマー2(配列番号6)、プライマー3(配列番号7)、プライマー4(配列番号8)を作製した。
ヒト膵臓cDNAテンプレート(Clontech社製)を鋳型とし、プライマー1及びプライマー2を用い、PCR法により配列番号4の塩基配列がコードする遺伝子を増幅した。PCR反応はPTC-200 Peltier Thermal Cycler(MJ Research社製)を用い、95℃で1分、55℃で1分、72℃で1分を30サイクル行った。得られたDNA断片は、アガロースゲル電気泳動法を用いて精製した。
得られたHPL cDNAを増幅するため、ライゲーション効率の良いTOPO TAクローニングを行った。まず、Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen社製)を用い、HPL cDNAの3’末にアデニンを付加した。得られた生成物とpGEM−T easy(Promega社製)をライゲーションし、プラスミド(pGEM−Teasy−HPL)を得た。得られたプラスミドを大腸菌DH5α(タカラバイオ社製)に形質転換させ、大量培養を行った後に、アルカリ法、エタノール沈殿法を行い、プラスミドを精製した。
制限酵素認識配列をつけたpGEM−Teasy−HPLを制限酵素BamHI(タカラバイオ社製)及びNdeI(タカラバイオ社製)で切断し、インサートを得た。pET22b(+)プラスミド(Novagen社製)も同様にBamHIとNdeIを用いて切断し、ベクターを作成した。得られたインサートとプラスミドをライゲーションし、プラスミド(pET−22b(+)−HPL)を得た。得られたプラスミドを大腸菌DH5α(タカラバイオ社製)に形質転換させ、大量培養を行った後に、QIAGEN Plasmid Midi Kit(QIAGEN社製)を用いてプラスミドを抽出、精製した。
得られたpET−22b(+)−HPLは、オートシークエンサー(3100-Avant Genetic Analyzer、Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列を確認した。
(1)His6タグを付けたrecHPL発現ベクターの調製
リパーゼはN末ドメインに活性部位があり、N末端側にHis6タグ(6つのヒスチジンから成る)をつけると活性が下がることが知られている(Di Lorenzo, M., et al., Appl Environ Microbiol, 71: p8974-7, 2005)。pET22b(+)はインサートのC末端側にHis6タグが付加されるように設計されているが、終止コドンが存在するとヒスチジンが発現されない。そのため、部位特異的変異を行い、HPL cDNAの終止コドンをセリンに変えた。
プライマー5(配列番号9)、プライマー6(配列番号10)を作製し、QuikChange TMSite-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)を用い、付属の説明書に従ってpET−22b(+)−HPL(制限酵素認識配列あり)に変異を起こした。PCR反応はPTC-200 Peltier Thermal Cycler(MJ Research社製)を用い、95℃で30秒、55℃で1分、68℃で7分を12サイクル行った。
得られたPCR産物を用いて、大腸菌DH5αを形質転換した。得られた大腸菌の大量培養を行った後、アルカリ法を行い、プラスミド(pET−22b(+)−recHPL(制限酵素認識配列あり))を精製した。得られたプラスミドは、オートシークエンサー(3100-Avant Genetic Analyzer、Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列確認を確認した。作製したベクターマップを図1に示す。
得られたpET−22b(+)−recHPLを、大腸菌Origami(DE3)に導入し、目的タンパク質の発現を行った。
pET−22b(+)−recHPLを、大腸菌Origami(DE3)(Novagen社製)に導入した。得られた大腸菌をLBプレートに捲き、37℃で一晩培養後、コロニーを採り、LB液体培地に植え、さらに培養した。OD550=0.4〜1に達するまで培養した後、イソプロピル1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)(和光純薬製)を加えてさらに培養した。培地を遠心しペレットを回収した後、洗浄バッファー(50mMTBS、2mMベンズアミジン、0.25mMフッ化フェニルメチルスルホニル、pH8.0)で洗浄し、遠心した。得られたペレットを洗浄バッファーに溶解し、超音波破砕機(SONI FIER250、BRANSON社製)を用いて超音波破砕を行った。得られたライセートを再び遠心し、ペレットを回収した。
大量培養し回収した大腸菌に超音波破砕を行い、得られたペレットに、0.5%(v/v)Triton X−100/洗浄バッファーを加えて可溶化し、遠心で上清を除去した。得られたペレットを洗浄バッファーで洗浄し、尿酸バッファー(8M尿酸、50mMリン酸バッファー、300mM塩化ナトリウム、2mMベンズアミド、0.25mMフッ化フェニルメチルスルホニル、pH8.0)を加え可溶化後、遠心してrecHPL−His6が溶解している上清を得た。
図2において、「+H」はrecHPL−His6、「−H」は上記方法と同様にしてタグの付いていないrecHPLを、それぞれ発現させた大腸菌の抽出物を示している。また、「O」は、形質転換を行っていない大腸菌の抽出物を示している。抗ヒトリパーゼ抗体により、recHPL−His6及びrecHPLが、形質転換を行った大腸菌それぞれに発現していることが示された。
可溶化したrecHPL−His6は、尿素またはジチオトレイトール(DTT)を用いてリフォールディングした(Role of arginine in protein refolding, solubilization, and purification. Biotechnol Prog, 20(5): p1301-1308, 2004)。
可溶化したrecHPL−His6溶液に、DTT(終濃度10mM)を加え、37℃、30分間反応させ、ジスルフィド結合を切断した。その後、塩酸グアニジンまたは尿素濃度を段階的に希釈しながら4℃で透析することにより、recHPL−His6のリフォールディングを行った。尿素を用いる場合には、尿素濃度を8M、4M、2M、1M、0.5M、0Mと、段階的に希釈した。また、尿素濃度が1M及び0.5Mの際には、リフォールディング促進剤として、400mM L-アルギニン塩酸塩及び、酸化剤/還元剤として0.1mMシスチン/1mMシステインを加えた。尿素濃度が0Mである最後の透析は、3回行った。
図3における「peak1〜3」の溶出画分の銀染色を行ったのが、図4の「peak1〜3」である。図4を見ると、図3のピーク3部分の溶出画分より、recHPL−His6相当分子量のバンドが検出されている。しかし、メジャーバンドが他にも多く見られており、均一性、recHPL−His6の収率共に、満足な結果を得ることは出来なかった。
(1)GSTタグを付けたrecHPL発現ベクターの調製
pET−22b(+)−HPLを鋳型とし、プライマー7(配列番号11)、プライマー8(配列番号12)を用いてPCRを行った。反応にはサーマルサイクラー(ZYMOREACTORII、ATTO社製)を用い、94℃で15秒、65℃で30秒、68℃で1分を25サイクル行った。得られたPCR産物は、アガロースゲル電気泳動法を用いて精製した後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて精製した。
得られたpGEX−6P−1−HPLは、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いたPCRにより増幅した後、BigDye XTerminator精製キット(Applied Biosystems社製)を用いて精製し、DNAシーケンサーABI PRISM 3100-Avant Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で解析し、塩基配列を調べた。さらに、得られた結果を遺伝情報処理ソフトウェアGENETYX(ゼネッティックス社製)で分析した。作製したベクターマップを図5に示す。
得られたpGEX−6P−1−HPLを、大腸菌DH5α(タカラバイオ社製)に導入し、目的タンパク質の発現を行った。大腸菌への導入、タンパクの発現及び回収は、recHPL−His6と同様に行った。
得られたペレット内にはGST−recHPLが封入体として存在しているため、可溶化を行った。可溶化剤にはTriton X−100を用いた。これは、Triton X−100を用いた可溶化では、タンパク質の高次構造を保ったまま可溶化することが可能であり、リフォールディングを行う必要がなくなるためである。
大量培養し回収した大腸菌に超音波破砕を行い、得られたペレットに、可溶化バッファー(1%Triton X−100、10mM TBS(pH7.5))を加え可溶化後、遠心してGST−recHPLが溶解している上清を得た。
得られたGST−recHPL溶解画分を、SDS−PAGE法及びウエスタンブロット法を用いてPVDF膜に転写し、ウサギ抗GST抗体(発明者が作製)及び抗ヒトリパーゼ抗体IgGs(THE BINDING SITE LTD社製)を用いて染色し、GST−recHPLの発現を確認した。
可溶化したGST−recHPLにGSHセファロースを加え、バッチ法により吸着させた。溶出液には還元型GSH溶液(10mM還元型GSH、50mM Tris−HCl(pH 8.0))を用い、溶出した。紫外可視分光光度計Ubest-55(日本分光社製)を用い、各溶出画分の280nmにおける吸光度を測定し、吸光度の高かった溶出画分を精製水に対して透析した。
図6より、GST−recHPLが含まれるとみられる溶出画分のピークはごく低く、GST−recHPLの収量が低いことが示された。また、図7において、「抽」は可溶化したGST−recHPL画分、「溶出」は図6におけるピークの画分をそれぞれ、銀染色、抗ヒトリパーゼ抗体IgGsによる染色、及び抗GST抗体による染色を行った結果を示している。いずれの染色方法においてもGST−recHPL相当分子量のバンドが検出されたが、溶出画分の各バンドはいずれも薄く、GST−recHPLの収率では満足な結果を得ることは出来なかった。
recHPLの活性測定は、自動電位差滴定装置AT-510(京都電子工業社製)を用い、pH−stat法により測定した。
基質にはトリブチリン(和光純薬工業社製)を用いた。トリブチリンをエマルジョン溶液(1mM Tris−HCl(pH7.5)、4mMタウロデオキシコール酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム)にて希釈し、終濃度を0.11Mとした。この溶液を攪拌しているところに、予め37℃で15分間インキュベートしておいた酵素溶液(0.13mg/mL recHPL、1mg/mL コリパーゼ1μL含エマルジョン溶液)を加えた。37℃の下、pH7.53±0.03を維持するように、0.01M水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定した。酵素溶液を加えた5分後から15分後までの10分間における水酸化ナトリウム滴定速度、すなわち脂肪酸遊離速度を求め、1U=単位時間当たりの遊離脂肪酸量(μmol/min)として、リパーゼの比活性を求めた。
脂肪酸遊離速度(μmol/min)=水酸化ナトリウム濃度(μM)×水酸化ナトリウム滴定速度(L/min)
比活性(U/mg)=脂肪酸遊離速度(μmol/min)÷リパーゼ量(mg)
(1)Strep−tagIIタグを付けたrecHPL発現ベクターの調製
pGEX−6P−1−HPLを鋳型とし、プライマー9(配列番号13)、プライマー10(配列番号14)を用いてPCRを行った。反応にはサーマルサイクラー(ZYMOREACTORII、ATTO社製)を用い、94℃で2分、98℃で10秒、68℃で6分を30サイクル行った。得られたPCR産物にDpn I(BIO-RAD社製)を加えて反応させ、pGEX−6P−1−HPLを分解した。
得られたDpn I消化物をLigation high Ver2(TOYOBO社製)を用いてライゲーションして環状プラスミド(EcoRIサイトを導入するため、pGEX−6P−1−HPLの93番目のT→Aに変異させたベクター)を得た。得られたプラスミドを大腸菌JM109(タカラバイオ社製)に形質転換させ、大量培養を行った後に精製し、塩基配列分析を行った。
得られたpASK−IBA 3Plus−HPLを、大腸菌DH5α(タカラバイオ社製)に導入し、pASK−IBA 3Plus−HPLを大量発現させた。大腸菌への導入、プラスミドの発現及び回収は、pTA2−HPLと同様に行った。
得られたpASK−IBA 3Plus−HPLを大腸菌DH5α(タカラバイオ社製)に導入し、目的タンパク質recHPL−Strep−tagIIの発現誘導を行った。大腸菌への導入、タンパクの発現及び回収はpGEX−6P−1−HPLでの発現誘導時と同様に行ったが、タンパク質の発現誘導には無水テトラサイクリン(AHT)を用いた。
得られた上清は、0.4M L−アルギニンバッファーを用いて透析を行い、尿素を除いた。この上清を、SDS−PAGE法、及びウエスタンブロット法を用いてPVDF膜に転写した。膜は、抗Strep−tagII抗体(IBA社製)及び抗ヒトリパーゼ抗体IgGs(THE BINDING SITE LTD社製)を用いて染色し、recHPL−Strep−tagIIの発現を確認した。(図10)
可溶化したrecHPL−Strep−tagIIにストレプタクチンセファロース(IBA社製)を加え、振とう吸着を行った。溶出液にはデスチオビオチン溶液(2.5mMデスチオビオチン、0.4M L−アルギニン)を用い、溶出した。吸光度の測定にはマイクロプレートリーダー(Model 680、Bio-Rad社製)を用い、各溶出画分の280nmにおける吸光度を測定し、吸光度の高かった溶出画分を回収した。
得られた溶出画分の吸光度をグラフにしたものが図11である。図11は、縦軸が吸光度、横軸が溶出体積を示している。得られたrecHPL−Strep−tagII精製画分に対し、SDS−PAGE及びウエスタンブロット法を行い、精製を確認した。(図12)
また、図12において、「抽」は可溶化したrecHPL−Strep−tagII画分、「溶出」は図11におけるピークの画分をそれぞれ、CBB染色、抗ヒトリパーゼ抗体IgGsによる染色、及び抗Strep−tagII抗体による染色を行った結果を示している。いずれの染色方法においても抗Strep−tagII抗体相当分子量のバンドが検出され、recHPL−Strep−tagIIが精製されたことが示された。
得られたrecHPL−Strep−tagII精製画分を0.1mg/mLに希釈し、8M尿素溶液となるように調製した。DTTを終濃度が10mMになるように加え、37℃で振とうすることで変性させ、ジスルフィド結合を切断した。
リフォールディングは透析によって、段階的に尿素を取り除く段階透析法で行った。透析は、尿素を含むリフォールディング溶液(10mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM塩化ナトリウム)に対して行い、尿素濃度を6M、4M、2M、1M、0.5M、0Mと段階的に下げて行った。それぞれの段階における透析時間は3時間とした。尿素濃度が1M、0.5Mの際には0.1mMシスチン/1mMシステインを加え、ジスルフィド結合の形成を促進した。
添加物は、尿素濃度が6Mから0Mのリフォールディング溶液すべてに添加した。添加物の添加濃度はそれぞれ、0.5%PEG3400、1Mグリシン、0.4M L−アルギニン、0.75Mスクロース、10%グリセロール、10%グリセロールかつ2.5mM Ca2+、とした。透析後、得られたrecHPL−Strep−tagIIの比活性を測定した。比活性は、前述の同様、Ca2+濃度の検討と同様、pH−stat法により測定した。この結果を図14に示す。
最適条件でリフォールディングを行ったrecHPL−Strep−tagIIの酵素活性を測定した。測定には前述の方法と同様に、自動電位差滴定装置AT-510(京都電子工業社製)を用い、pH−stat法により測定した。
最適条件でリフォールディングを行い活性化させたrecHPL−Strep−tagIIを、サンプルとして用い、HPLC法による再精製を試みた。対照として、活性化させたrecHPL−Strep−tagIIを100℃で5分間ボイルした、変性処理recHPL−Strep−tagIIを用いた。
カラムは、Protein KW 802.5とProtein KW 804(共にshodex社製)を連結させ使用した。バッファーは、10mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM塩化ナトリウムを用いた。カラム温度37℃、流速1mL/minで平衡化を行った後に分析を行った。検出は、280nmにおける吸光度の測定により行った。得られたピークに対し、それぞれ酵素活性を測定した。測定には前述の方法と同様に、自動電位差滴定装置AT-510(京都電子工業社製)を用い、pH−stat法により測定した。
図16において、ピーク1の画分では、pHが一定に保たれているにもかかわらず水酸化ナトリウム溶液の滴定量は一定の割合で増加しており、これは、ピーク1に含まれるrecHPL−Strep−tagIIに酵素活性があることを示している。これに対し、ピーク2では水酸化ナトリウム溶液の滴定は起こっておらず、これは、ピーク2に含まれるrecHPL−Strep−tagIIには酵素活性が見られないことを示している。すなわち、段階透析法を用い最適条件でリフォールディングを行い活性化させたrecHPL−Strep−tagIIのうち、それらの約半量にしか酵素活性がないこと、ならびにそれらはHPLC法により分離可能であることが示された。
HPLC法を用いて精製を行った活性化recHPL−Strep−tagIIの二次構造を解析した。
解析には、光路長0.2mmの2つ口石英セルを用い、円二色性分散計J-820(Jasco)(日本分光社製)で測定を行った。10mM Tris−HCl(pH7.5)をバッファーとして使用した。測定条件は、タンパク濃度0.5mg/mL、スキャン範囲190−250nm、走査速度10nm/min、積算回数4で行った。
recHPL−His6、GST−recHPL、recHPL−Strep−tagIIの収量と比活性を比較した(表1)。比活性の測定には、GST−recHPLはアフィニティカラムにより精製した画分、recHPL−Strep−tagIIは段階透析法を用い最適条件でリフォールディングを行い活性化させた画分をそれぞれ用いた。
これより、本発明にて発現させたrecHPL−Strep−tagIIは、品質面において他の発現法に遜色のないことが示された。
Claims (1)
- (a)ヒト膵臓リパーゼ(HPL)のcDNAに、Strep−tagIIをC末側に付加した発現プラスミドを構築する工程;
(b)構築した発現プラスミドを大腸菌に導入した後に培養して、大腸菌内にHPLを発現させる工程;
(c)前記大腸菌を破砕した大腸菌溶解物から、ストレプタクチンを担持したセファロースを用いてHPLをワンステップで精製する工程;及び、
(d)精製したHPLを、グリセロール添加段階透析法を用いて活性化するリフォールディング工程;
を備え、
前記グリセロール添加段階透析法が、10%グリセロール及び2.5〜5mM Ca 2+ を添加し、酸化剤/還元剤としてシスチン/システインを用い、及び、尿素濃度を8Mから0Mに段階的に低下させるグリセロール添加段階透析法であることを特徴とする組換えヒト膵臓リパーゼ(recHPL)の調製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012263442A JP6086378B2 (ja) | 2012-11-30 | 2012-11-30 | 組み換えヒト膵臓リパーゼの調製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012263442A JP6086378B2 (ja) | 2012-11-30 | 2012-11-30 | 組み換えヒト膵臓リパーゼの調製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014108073A JP2014108073A (ja) | 2014-06-12 |
JP6086378B2 true JP6086378B2 (ja) | 2017-03-01 |
Family
ID=51029098
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012263442A Expired - Fee Related JP6086378B2 (ja) | 2012-11-30 | 2012-11-30 | 組み換えヒト膵臓リパーゼの調製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6086378B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101813703B1 (ko) * | 2016-07-20 | 2017-12-29 | 연세대학교 산학협력단 | 모노아실글리세롤 리파아제의 대량생산 방법 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69940891D1 (de) * | 1998-12-28 | 2009-06-25 | Ajinomoto Kk | Verfahren zur herstellung von transglutaminase |
RU2319503C2 (ru) * | 2001-11-07 | 2008-03-20 | Цитос Байотекнолоджи Аг | Композиция для иммунизации (варианты), способ ее получения и применение для лечения аллергических эозинофильных заболеваний |
US7250274B2 (en) * | 2002-12-13 | 2007-07-31 | Zymogenetics, Inc. | IL-21 production in prokaryotic hosts |
MY157941A (en) * | 2005-01-19 | 2016-08-15 | Vaxinnate Corp | Compositions of pathogen-associated molecular patterns and methods of use |
ES2357152T3 (es) * | 2005-10-04 | 2011-04-19 | Zymogenetics, L.L.C. | Producción y purificación de il-29. |
JP5252365B2 (ja) * | 2007-11-06 | 2013-07-31 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | リゾチームの機能賦活・回復方法 |
WO2010021375A1 (ja) * | 2008-08-22 | 2010-02-25 | 国立大学法人大阪大学 | プロテアーゼの製造方法、並びにプロテアーゼ溶液およびプロテアーゼのプロ体溶液 |
SG179101A1 (en) * | 2009-09-15 | 2012-05-30 | Alomone Preclinical Ltd | Novel peptides isolated from spider venom, and uses thereof |
-
2012
- 2012-11-30 JP JP2012263442A patent/JP6086378B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014108073A (ja) | 2014-06-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6726243B2 (ja) | フルクトシルヘキサペプチドに作用する改変型アマドリアーゼ | |
Jia et al. | A D-psicose 3-epimerase with neutral pH optimum from Clostridium bolteae for D-psicose production: cloning, expression, purification, and characterization | |
You et al. | A HECT domain E3 enzyme assembles novel polyubiquitin chains | |
JP5442432B2 (ja) | 糖化ヘキサペプチドの測定方法 | |
US11078517B2 (en) | Hemoglobin A1c measurement method and measurement kit | |
Liu et al. | Purification and characterization of a hyperthermostable Mn-superoxide dismutase from Thermus thermophilus HB27 | |
DK2601291T3 (en) | new glucose oxidase | |
Kenny et al. | Bacterial expression, purification, and characterization of rat kidney-type mitochondrial glutaminase | |
Chien et al. | Purification, characterization, and genetic analysis of a leucine aminopeptidase from Aspergillus sojae | |
di Salvo et al. | Alanine racemase from Tolypocladium inflatum: a key PLP-dependent enzyme in cyclosporin biosynthesis and a model of catalytic promiscuity | |
Muramatsu et al. | Characterization of ergothionase from Burkholderia sp. HME13 and its application to enzymatic quantification of ergothioneine | |
CN104271739A (zh) | 经修饰的亮氨酸脱氢酶 | |
Wu et al. | Cloning of amadoriase I isoenzyme from Aspergillus sp.: Evidence of FAD covalently linked to Cys342 | |
US6280993B1 (en) | Gene encoding class I collagenase | |
Yunus et al. | Purification of SUMO conjugating enzymes and kinetic analysis of substrate conjugation | |
Bao et al. | Direct over-expression, characterization and H 2 O 2 stability study of active Pleurotus eryngii versatile peroxidase in Escherichia coli | |
WO2014157705A1 (ja) | 改変グリシン酸化酵素 | |
JP6086378B2 (ja) | 組み換えヒト膵臓リパーゼの調製方法 | |
Nedeva et al. | Purification and partial characterization of Cu/Zn superoxide dismutase from Kluyveromyces marxianus yeast | |
Sundram et al. | Domain truncation studies reveal that the streptokinase-plasmin activator complex utilizes long range protein-protein interactions with macromolecular substrate to maximize catalytic turnover | |
Bayar et al. | Construction, investigation and application of TEV protease variants with improved oxidative stability | |
WO2016159384A1 (ja) | 比活性が向上したアマドリアーゼ | |
Madoori et al. | Purification, crystallization and preliminary X-ray diffraction analysis of the lytic transglycosylase MltF from Escherichia coli | |
Kawakami et al. | First characterization of an archaeal amino acid racemase with broad substrate specificity from the hyperthermophile Pyrococcus horikoshii OT-3 | |
RU2497948C2 (ru) | Композиция, способ и набор для получения плазмина |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20151127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20161025 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20161226 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170123 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170124 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6086378 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |