JPWO2010008069A1 - 細胞増殖阻害剤 - Google Patents

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Abstract

本発明者らは、マスター調節因子TTF-1が制御する分子メカニズムを解明することで、TTF-1特異的な発癌プロセスを明らかにし、lineage-specific survival signalという新しい癌化シグナルの本態を解明することに着目し、マスター調節因子TTF-1による、受容体型チロシンキナーゼであるROR1の発現誘導を見出し、特徴的な癌化シグナル伝達システムが存在することを明らかにした。

Description

本発明は、細胞増殖阻害剤に関する。
細胞の癌化システムは、シグナル伝達機構の異常が発癌メカニズム・プロセスを惹起させることに、もはや疑念の余地はない。近年、特定の系統細胞の分化プロセスに関与するシグナルの持続が、lineage-specific survival signalとして、発癌プロセスに関与するという新しい概念が提唱され、組織特異的な発癌メカニズムの解明に寄与するものとして大きな注目を集めている。
本発明者らは、末梢肺の分化に関与するTTF-1(thyroid transcription factor-1)遺伝子が、マスター調節因子として細胞分化に寄与する一方で、その発現持続が肺腺癌の生存に必須であり、発癌と進展に大きく関与することを、世界に先駆けて報告している(非特許文献1)。
WO2007/146957
Tanaka H., et al., Cancer Res. 67: 6007-6011, 2007 MacKeigan JP, et. al., Nat. Cell Biol. 7: 591-600, 2005
本発明は、ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸とその利用を提供する。より詳細には、ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を含む細胞増殖阻害剤または癌を治療および/または予防するための薬剤を提供する。さらに、本発明は細胞増殖阻害剤をスクリーニングするための方法を提供する。
本発明者らは、マスター調節因子TTF-1が制御する分子メカニズムを解明することで、TTF-1特異的な発癌プロセスを明らかにし、lineage-specific survival signalという新しい癌化シグナルの本態を解明することに着目した。
本発明者らは、肺腺癌の発癌と進展に大きく関与するマスター調節因子TTF-1によって、受容体型チロシンキナーゼROR1(receptor tyrosine kinase-like orphan receptor 1)遺伝子の発現が誘導されることを明らかにし、このROR1遺伝子の発現を阻害することにより、特定のlineageの癌細胞の増殖を阻害できることを明らかにした。本発明は、これらの知見に基づくものである。
本発明は、より具体的には以下の〔1〕〜〔17〕を提供するものである。
〔1〕ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を含む、細胞の増殖を阻害するための組成物。
〔2〕ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸が、siRNA、siRNAを発現するベクター、アンチセンスRNA、アンチセンスRNAを発現するベクター、アンチセンスDNA、リボザイム、又は、リボザイムを発現するベクターである、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕siRNAが、ROR1遺伝子のmRNAのいずれかの領域のセンス鎖RNA及び該センス鎖RNAのアンチセンス鎖RNAを有するsiRNAである、〔2〕に記載の組成物。
〔4〕細胞が癌細胞である、〔1〕に記載の組成物。
〔5〕細胞が、肺癌細胞、肺腺癌細胞、中皮腫細胞、膵臓癌細胞、または骨肉腫細胞である、〔1〕に記載の組成物。
〔6〕以下の(1)から(3)に記載の工程を含む、細胞増殖阻害活性を有する候補化合物のスクリーニング方法;
(1)ROR1タンパク質と試験化合物を接触させる工程、
(2)該ROR1タンパク質と試験化合物の結合レベルを測定する工程、及び、
(3)該ROR1タンパク質に結合する試験化合物を選択する工程。
〔7〕以下の(1)から(3)に記載の工程を含む、細胞増殖阻害活性を有する候補化合物のスクリーニング方法;
(1)ROR1遺伝子を発現する細胞又は細胞抽出液と試験化合物を接触させる工程、
(2)ROR1遺伝子の発現レベルを測定する工程、及び、
(3)試験化合物の非存在下と比較して、試験化合物の存在下におけるROR1遺伝子の発現レベルを減少させる試験化合物を選択する工程。
〔8〕以下の(1)から(3)に記載の工程を含む、細胞増殖阻害活性を有する候補化合物のスクリーニング方法;
(1)ROR1遺伝子の転写調節領域及び該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞又は細胞抽出液と試験化合物を接触させる工程、
(2)レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程、及び、
(3)試験化合物の非存在下と比較して、試験化合物の存在下におけるレポーター遺伝子の発現レベルを減少させる試験化合物を選択する工程。
〔9〕以下の(1)から(3)に記載の工程を含む、細胞増殖阻害活性を有する化合物のスクリーニング方法;
(1)ROR1遺伝子を発現する細胞と試験化合物を接触させる工程、
(2)細胞の増殖レベルを測定する工程、及び、
(3)試験化合物の非存在下と比較して、試験化合物の存在下における細胞の増殖レベルを減少させる試験化合物を選択する工程。
〔10〕ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を含む癌を治療または予防するための組成物。
〔11〕癌が、肺癌、肺腺癌、中皮腫、膵臓癌、または骨肉腫である、〔10〕に記載の組成物。
〔12〕ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を対象に投与する工程を含む、癌を治療または予防する方法。
〔13〕癌が、肺癌、肺腺癌、中皮腫、膵臓癌、または骨肉腫である、〔12〕に記載の方法。
〔14〕癌を治療または予防するための組成物を製造するための、ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸の使用。
〔15〕癌が、肺癌、肺腺癌、中皮腫、膵臓癌、または骨肉腫である、〔14〕に記載の使用。
〔16〕癌を治療または予防するための方法に使用するための、ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸。
〔17〕癌が、肺癌、肺腺癌、中皮腫、膵臓癌、または骨肉腫である、〔16〕に記載の核酸。
TTF-1発現によるマイクロアレイ解析を示す図および写真である。TTF-1による下流標的遺伝子の同定のため、マイクロアレイ解析を行った結果、HPL1D-CVと比較してHPL1D-TTF-1において、5倍以上の発現上昇が認められる遺伝子として、ROR1(receptor tyrosine kinase-like orphan receptor 1)を同定した。 TTF-1によるROR1の発現誘導を示す図および写真である。リアルタイムPCR法およびウエスタンブロッティング法により、TTF-1の発現によってROR1のmRNAおよびタンパク質レベルでの発現変化を調べた結果、TTF-1一過性発現系(transient)及び、本発明者らが作製したTTF-1恒常的発現系(stable)、どちらにおいても、HPL1D-CVと比較してHPL1D-TTF-1において、有意な発現上昇が認められた。このことから、ROR1の発現(mRNA、タンパク質レベル共に)は、TTF-1の発現によって特異的に誘導されることが判明した。 TTF-1発現抑制によるROR1の発現低下を示す写真である。TTF-1、ROR1ともに発現が認められる肺腺癌細胞株であるSK-LC-5及びNCI-H1975を使って、siRNAを用いたTTF-1の発現抑制を行った結果、ウエスタンブロッティング法により、どちらの肺腺癌細胞株においても、コントロールsiRNA(scramble)と比較して、TTF-1 siRNA(siTTF-1)において、TTF-1の有意な発現抑制が認められ、特異的なROR1の発現低下が観察された。このことから、肺腺癌細胞において、内因性のROR1の発現は、TTF-1の発現によって特異的に調節・制御されていることが判明した。 TTF-1による転写レベルでのROR1の発現調節を示す図である。ROR1のプロモーター領域を組み込んだ発現ベクターを使って、ルシフェラーゼアッセイを行った結果、TTF-1を恒常的に発現している細胞株(TTF-1-stable)において、CV (Control Vector)を恒常的に発現している細胞株(CV-stable)と比較して、有意なルシフェラーゼ活性が認められた。このことから、TTF-1の発現によってROR1の発現が誘導されることが分かり、ROR1の発現は、TTF-1によって転写レベルで制御されていることが判明した。 臨床検体を用いた肺腺癌組織におけるTTF-1とROR1の局在を示す写真である。肺腺癌組織の臨床検体を用いた免疫組織染色を行った結果、TRU (terminal respiratory unit)型肺腺癌において、特異的にTTF-1とROR1が局在することが明らかとなった。これに対して、より中枢側に由来する肺腺癌(non-TRU-type)では、TTF-1、ROR1ともに局在しないことが確認できた。このことは、TTF-1の発現が認められるTRU型肺腺癌では、TTF-1によってROR1が制御されている可能性を示すものである。 種々の癌細胞におけるROR1とTTF-1の発現を示す写真である。種々の細胞におけるROR1とTTF-1の発現をウエスタンブロッティング法により調べた結果、ROR1は、様々な癌由来細胞において発現が認められ、TTF-1は、肺腺癌特異的に発現が認められた。また、ROR1は癌由来の細胞ではない正常な細胞においては、発現が認められないことが分かった。このことから、ROR1の発現は癌細胞特異的であり、様々な癌由来の細胞において発現が認められるのに対して、TTF-1の発現は肺腺癌特異的であることが判明した。 デザインプログラムRNAi Central (siRNA design) softwareによりデザインした、ROR1におけるsiRNA標的配列の位置を示す図である。下線は標的配列を示す。 Human ROR1 siRNAの肺腺癌細胞における発現抑制効果を示す写真である。Human ROR1 siRNA (#1, #2, #3)を使って、それぞれのROR1発現抑制の効果を調べた結果、siROR1-#1、siROR1-#2、siROR1-#3いずれにおいてもROR1の発現低下を認めた。使用した細胞は、肺腺癌由来の細胞としてNCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、子宮頚癌由来の細胞としてHeLaであり、それぞれにおいてROR1の発現が検出される細胞である。このことから、使用した3つのROR1 siRNAは、いずれにおいてもROR1の発現抑制の効果を示し、また、各々の細胞で特異的にROR1の発現を抑制することが判明した。 ROR1発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞の割合の低下を示す図である。各々の肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、NCI-H23、A549)にROR1 siRNA (#1, #2, #3)をトランスフェクションし、MTT法により、生細胞の割合を測定した結果、ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1)において、それぞれのROR1 siRNAで顕著な生細胞の割合の低下が認められた。これとは対照的に、ROR1の発現が認められない肺腺癌細胞株(NCI-H23、A549)では、ROR1 siRNAの影響は認められなかった。また、子宮頚癌由来の細胞(HeLa)についても同様の効果を得ることが分かった。このことから、ROR1は(TTF-1によって調節され)発現が認められる肺腺癌の生存に関与する非常に重要な制御因子であることが判明した。 ROR1発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞数の減少を示す図である。各々の肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、NCI-H23、A549)にROR1 siRNA (#1, #2, #3)をトランスフェクションし、細胞数を測定することにより、細胞数の変動を調べた結果、ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1)において、それぞれのROR1 siRNAで顕著な細胞数の減少が認められた。これとは対照的に、ROR1の発現が認められない肺腺癌細胞株(NCI-H23、A549)では、ROR1 siRNAの影響は認められなかった。また、子宮頚癌由来の細胞(HeLa)についても同様にROR1 siRNAによって、細胞数の減少を認めた。ROR1は発現が認められる肺腺癌の生存に関与する非常に重要な制御因子であることが生細胞数の減少からも確認できた。 ROR1発現抑制による肺腺癌細胞のアポトーシス細胞の割合の増加を示す図である。各々の肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、NCI-H23、A549)にROR1 siRNA (#1, #2, #3)をトランスフェクションし、アポトーシスの細胞をTUNEL法によって測定することにより、細胞死の割合を調べた結果、ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1)において、それぞれのROR1 siRNAで顕著なアポトーシスの細胞の増加、細胞死の割合の上昇が認められた。これとは対照的に、ROR1の発現が認められない肺腺癌細胞株(NCI-H23、A549)では、ROR1 siRNAの影響は認められなかった。また、子宮頚癌由来の細胞(HeLa)についても同様にROR1 siRNAによって、アポトーシスの細胞の割合の増加を認めた。ROR1は発現が認められる肺腺癌の生存に関与する非常に重要な制御因子であることがアポトーシスの細胞の増加からも確認できた。 ROR1発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞数低下を示す写真である。各々の肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、NCI-H23、A549)にROR1 siRNA (#1, #2, #3)をトランスフェクションし、その時の細胞の状態を観察した結果、ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1)において、それぞれのROR1 siRNAで顕著な生細胞の割合の低下、生細胞数の減少を観察した。また、ROR1の発現が認められない肺腺癌細胞株(NCI-H23、A549)では、ROR1 siRNAの影響は認められなかった。また、子宮頚癌由来の細胞(HeLa)についても、同様にROR1 siRNAによって、生細胞の割合の低下、生細胞数の減少を観察した。ROR1は発現が認められる肺腺癌の生存に関与する非常に重要な制御因子であることが生細胞数低下の観察からも確認できた。 Human ROR1 siRNAの様々な癌細胞株における発現抑制効果を示す写真である。Human ROR1 siRNA (#2)の発現抑制の効果を調べるために、ウエスタンブロッティング法によりROR1の発現を調べた結果、様々な癌由来の細胞において特異的なROR1の発現低下を認めた。使用した細胞は、中皮腫由来の細胞としてNCI-H28、NCI-H2052、NCI-H2452、膵臓癌由来の細胞としてMIA PaCa-2、SW-1990、骨肉腫由来の細胞としてU-2 OSであり、それぞれにおいてROR1の発現が検出される細胞である。このことから、独自にデザインしたROR1 siRNA(#2)は、ROR1の発現抑制の効果を示し、また、様々な癌由来の細胞において特異的にROR1の発現を抑制することが判明した。 ROR1発現抑制による様々な癌細胞での生細胞の割合の低下を示す図である。様々な癌由来の細胞 (中皮腫細胞:NCI-H28、NCI-H2052、NCI-H2452、膵臓癌細胞:MIA PaCa-2、SW-1990、骨肉腫細胞:U-2 OS)にROR1 siRNA (siRNA-#2)をトランスフェクションし、MTT法により、生細胞の割合を測定した結果、ROR1の発現が認められる各々の癌由来の細胞において、ROR1 siRNAで生細胞の割合の低下が認められた。また、今回本発明者らがデザインしたROR1 siRNA(siROR1-#2)は、顕著な生細胞の低下を引き起こすことが判明した。このことから、ROR1の発現は、様々な癌細胞の生存に関与する非常に重要な制御因子であることが判明した。ROR1の発現抑制は、肺癌や骨肉腫、極めて治療が困難である中皮腫や膵臓癌に対して臨床応用としてのROR1をターゲットとした治療法への応用が期待でき、RNAi干渉法を用いた新規癌治療システムの開発等が考えられる。 肺腺癌細胞(NCI-H1975)において、ROR1 siRNA(#2)を用いて、ROR1の発現を抑制させた際のAKT及びp38のリン酸化反応の影響を示す写真である。ROR1の発現抑制により、肺腺癌細胞において最も重要な生存シグナルであるAKTのリン酸化反応の低下が引き起こされ、さらには、細胞死の最も重要なアポトーシスシグナルであるp38のリン酸化反応の上昇が引き起こされることが判明した。この結果は、細胞増殖阻害剤としての核酸組成物(ROR1 siRNA)が癌治療法において有用であることを示唆する結果である。 ROR1恒常的発現細胞株の樹立(NIH3T3細胞株及びMSTO細胞株)とその細胞株における癌関連タンパク質(c-myc、cyclinD1、c-jun)の発現上昇を示す写真である。ROR1遺伝子の発現は、特異的に癌関連タンパク質であるc-mycやcyclinD1、c-junのタンパク質の発現量を増加させることが判明した。この結果は、肺腺癌で特異的に発現しているROR1は、癌遺伝子である可能性が高く、c-mycやcyclinD1、c-junを調節していると考えられ、また、本発明が、ROR1遺伝子をターゲットとしていることから、ROR1を標的とすることが癌の治療法として有用であること示唆する結果である。 肺腺癌細胞(NCI-H1975)において、ROR1 siRNA(#2)を用いて、ROR1の発現を抑制させた際の癌関連タンパク質(c-myc、cyclinD1、c-jun)の発現低下を示す写真である。ROR1の発現抑制により、肺腺癌細胞において主要な癌関連タンパク質(c-myc、cyclinD1、c-jun)の発現低下を引き起こすことが判明した。この結果は、肺腺癌細胞株におけるROR1の発現が、特異的に、c-mycやcyclinD1、c-junに代表される癌関連タンパク質の発現を調節していることが分かり、さらには、このROR1 siRNA(#2)により、肺腺癌細胞株における主要な癌関連タンパク質(c-myc、cyclinD1、c-jun)の有意な発現低下が示されたことから、本発明の意図とする細胞増殖阻害剤としての核酸組成物(ROR1 siRNA) が癌治療法において有用であることを示唆する結果である。 癌遺伝子ROR1発現における少数細胞集団からの細胞増殖能及びコロニー形成能の亢進を示す図及び写真である。ROR1恒常的発現細胞株(MSTO細胞株)を用いて、増殖能及びコロニー形成能を調べたところ、細胞数の増加、増殖能の亢進を認め、さらには、コロニー形成能が亢進していることが判明した。この結果から、ROR1の発現が、癌特性の1つである増殖能に関与していることが分かり、"少ないポピュレーション(細胞集団)からの増殖能"を獲得することが分かった。このような特性を有するROR1遺伝子をターゲットとすることが、癌を治療する上で非常に重要であり、このROR1遺伝子を標的とした核酸組成物(ROR1 siRNA)が癌治療法において有用であることを示唆する結果である。 癌遺伝子ROR1発現における足場非依存性増殖能の亢進を示す図である。ROR1恒常的発現細胞株(MSTO細胞株)を用いて、足場非依存性増殖能を調べたところ、コロニー数の増加、つまりは、足場非依存性増殖能が亢進していることが判明した。この結果から、ROR1の発現が、癌特性の1つである足場非依存性増殖能に関与していることが分かった。このような特性を有するROR1遺伝子をターゲットとすることが、癌を治療する上で非常に重要であり、このROR1遺伝子を標的とした核酸組成物(ROR1 siRNA)が癌治療法において有用であることを示唆する結果である。
本発明は、ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を含む、細胞の増殖を阻害するための組成物を提供する。該組成物は例えば、医薬組成物または試薬組成物として、さらにROR1遺伝子に関連する生理状態の解明のための試験研究用組成物としても使用され得る。
ヒトROR1の遺伝子情報、cDNA配列およびアミノ酸配列は公知であり、例えば、GenBank Gene ID:4919の遺伝子情報、GenBankアクセッション番号NM_005012に記載のcDNAおよびGenBankアクセッション番号NP_005003に記載のアミノ酸配列を用いることができる。ヒトROR1のcDNA配列を配列番号:1に、アミノ酸配列を配列番号:2に示す。また、プロモーター領域1000bpを含むcDNA配列を配列番号:3に示す。
本明細書における「ROR1遺伝子の発現を阻害」には、遺伝子の転写の阻害およびタンパク質への翻訳の阻害が含まれる。また、DNAの発現の完全な停止のみならず発現の減少も含まれる。
本発明の組成物に配合されるオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、あるいはDNA-RNAキメラ分子を含む。更に、DNAとRNAがハイブリダイズした分子、あるいはヌクレオチドの誘導体を含むDNAやRNAなども、本発明におけるオリゴヌクレオチドに含まれる。たとえば、ヌクレアーゼ耐性を付与するために末端を修飾したオリゴヌクレオチドが公知である。あるいは、蛍光性の分子を導入したオリゴヌクレオチドも公知である。これらの人工的に合成されたオリゴヌクレオチドも、本発明のオリゴヌクレオチドに含まれる。
たとえばRNAは、本発明の組成物に配合するオリゴヌクレオチドとして好ましい。該RNAは、天然のRNAを構成するリボヌクレオチド核酸に加え、人工的な塩基に置換したものや、その誘導体を含む。したがって、天然の塩基であるa、u、c、およびgに代えて、イノシン(i)を有するRNAを複合体形成に用いることができる。あるいはリン酸結合をチオエート結合やボラノフォスフェート結合に置換した核酸誘導体を人工的に合成する方法も公知である。リボヌクレオチド核酸の糖構造を修飾することもできる。糖構造の修飾方法として、2’-O-メチル修飾、2’-フルオロ修飾、あるいはlocked nucleic acid (LNA)修飾等を用いることもできる。また、部分的にDNAを導入したDNA-RNAキメラ分子も公知である。
RNAは、さまざまな機能を有することが明らかにされている。たとえば、RNAi効果やアンチセンス効果は、遺伝子に相補的な塩基配列を含むRNAが有する、遺伝子発現の抑制効果である。同様に、さまざまな構造を有するリボザイムが細胞内において、遺伝子発現を抑制することも明らかにされている。これらの遺伝子発現抑制作用を有するRNAは、いずれも本発明に利用することができる。あるいは、特定の塩基配列を有するRNAが、蛋白質などの高分子化合物に特異的に結合する現象も明らかにされている。核酸以外の物質に対する結合活性を有するRNAは、アプタマーと呼ばれる。アプタマーは、蛋白質への結合によって、その活性を調節する作用を有する場合がある。アプタマーとして機能するRNAを、本発明に利用することもできる。
これらの、遺伝暗号の伝達以外の機能を有するRNAを、本発明においては特に機能性RNA(functional RNA)と呼ぶ場合がある。本発明において、機能性RNAとは、遺伝暗号をアミノ酸配列に翻訳する機能以外の、機能を有するRNAを言う。遺伝暗号の翻訳機能には、DNAの塩基配列の転写とアミノ酸の移送が含まれる。したがって、たとえば以下のような機能を有するRNAは、機能性RNAに含まれる。
核酸の切断
蛋白質の合成阻害
核酸以外の物質に対する結合
なお遺伝暗号の翻訳機能は、細胞内においては、通常、mRNAとtRNAによって支えられている。本発明においては、mRNAやtRNAと同じ塩基配列を含むRNAであっても、そのRNAが翻訳以外の機能を有する場合には、機能性RNAに含まれる。これらの機能性RNAは、目的とするRNAの塩基配列をコードするDNAを適当なプロモーターの下流に連結し、RNAポリメラーゼによって転写することによって合成することができる。RNAへの転写は、細胞内で行っても良いし、適当な環境を与えれば、in vitroにおける転写反応によって合成することもできる。鋳型となるDNAのコード配列の3'側には、好ましくは転写終結シグナルを配置することができる。以下に各種の機能性RNAについて更に具体的に説明する。
RNAi効果を有するRNA:
本発明の機能性RNAの一つの態様は、内因性のROR1遺伝子の転写産物と相補的なdsRNAである。RNAi(RNA interference;RNA干渉)は、標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有する二重鎖RNA(以下dsRNA)を細胞内に導入すると、標的遺伝子mRNAの破壊を誘導し、標的遺伝子の発現が抑制される現象である。
細胞に約40〜数百塩基対のdsRNAが導入されると、ヘリカーゼドメインを持つダイサー(Dicer)と呼ばれるRNaseIII様のヌクレアーゼがATP存在下で、dsRNAを3’末端から約21〜23塩基対ずつ切り出し、siRNA(short interference RNA)を生じる。このsiRNAに特異的なタンパク質が結合して、ヌクレアーゼ複合体(RISC:RNA-induced silencing complex)が形成される。この複合体はsiRNAと同じ配列を認識して結合し、RNaseIII様の酵素活性によってsiRNAの中央部で標的遺伝子のmRNAを切断する。また、この経路とは別にsiRNAのアンチセンス鎖がmRNAに結合してRNA依存性RNAポリメラーゼ(RsRP)のプライマーとして作用し、dsRNAが合成される。このdsRNAが再びダイサーの基質となって、新たなsiRNAを生じて作用を増幅する経路も考えられている。
本発明のRNAiにおいては、dsRNAとしてsiRNAが使用されてもよい。「siRNA」とは、細胞内で毒性を示さない範囲の短鎖からなる二重鎖RNAを意味しており、siRNAが発現を抑制する効率は、その二量体の長さ等によって決まることを1999年にTuschlらが報告している(Tuschl T., et al., Genes Dev. 13; 3191-3197, 1999)。Tuschlらの報告によれば、siRNAの適切な長さは19〜23塩基程度の短鎖RNAあるいは二重鎖RNA(dsRNA)であるとしている。その後、Bohulaらの結果によると19〜27塩基までの長さでは活性が変わらない事が報告されている(Bohula EA, et al., J. Biol. Chem. 278: 15991-15997, 2003)。そこで本発明の実施例においては、ROR1 siRNAの作製に関して、Tuschlらの条件に従い、19〜23塩基程度のsiRNAをデザインする2つのsiRNA design database [software](RNAi Central(19塩基)、siRNA Target Finder(21塩基))を用いてROR1 siRNAの候補を検出した。
しかしながら、そのままの長さではRNAi効果を有さないような長鎖のRNAであっても、細胞においてRNAi効果を有するsiRNAへ分解されるため、本発明における2本鎖RNAの長さは、特に制限されない。例えば、15〜49塩基対、好適には15〜35塩基対、さらに好適には21〜30塩基対とすることができる。あるいは、発現されるsiRNAが転写され最終的な二重鎖RNA部分の長さを、例えば、15〜49塩基対、好適には15〜35塩基対、さらに好適には21〜30塩基対とすることができる。
また、標的遺伝子のmRNAの全長もしくはほぼ全長の領域に対応する長鎖二本鎖RNAを、例えば、予めDICERで分解させ、その分解産物をRNAi効果を有するRNAとして利用することもできる。このような分解産物には、RNAi効果を有する二本鎖RNA分子(siRNA)が含まれることが期待される。この方法によれば、RNAi効果を有することが期待されるmRNA上の領域を、特に選択しなくともよい。
RNAiによる遺伝子抑制実験を行う際には、標的遺伝子特異的に遺伝子抑制を起こさせる必要があるため、siRNA配列は対象遺伝子に特異的な配列であることが重要となる(Jackson AL, et al., Nat Biotechnol. 21: 635-637, 2003)。RNAiに用いるDNAは、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列の相同性を有する。該DNAは、相同性が高くなるにつれて、そのsiRNAの遺伝子発現抑制効果は増加するものであることから、本発明の実施例におけるROR1 siRNAの作製に関しては、2つのsiRNA design database [software](RNAi Central、siRNA Target Finder)を用いて、標的遺伝子に対して完全相補的な配列であることを前提に、siRNAとして機能するROR1 siRNAの候補を検出した。
dsRNAにおけるRNA同士が対合した二重鎖RNAの部分は、完全に対合しているものに限らず、ミスマッチ(対応する塩基が相補的でない)、バルジ(一方の鎖に対応する塩基がない)などにより不対合部分が含まれていてもよい。本発明においては、dsRNAにおけるRNA同士が対合する二重鎖RNA領域中に、バルジおよびミスマッチの両方が含まれていてもよい。
また、末端に数塩基のオーバーハングを有する二本鎖RNAは、RNAi効果が高いことが知られている。したがってRNAi効果を有する二本鎖RNAは、末端に数塩基のオーバーハングを有することが望ましい。このオーバーハングを形成する塩基の長さは特に制限されない。オーバーハングの塩基の数は、好ましくは、2塩基である。本発明においては例えば、TT(チミンが2個)、UU(ウラシルが2個)、その他の塩基のオーバーハングを有する二本鎖RNAが好ましい。たとえばヒトにおいては、19塩基の二本鎖RNAと2塩基(TT)のオーバーハングを有する分子は、RNAi効果が高いといわれている。RNAi効果を有する二本鎖RNAには、オーバーハングを形成する塩基がDNAであるようなキメラ分子も含まれる。
ここでいう2本鎖RNAは、相補配列が互いにハイブリダイズした構造を含むRNAを言う。したがって、先に述べたように1本鎖RNA中に相補的な塩基配列を含み、それが互いにハイブリダイズすることによって2本鎖構造を取った場合には、2本鎖RNAに含まれる。すなわちステムループ構造を取る1本鎖RNAは、2本鎖構造(ステム部分)を含むため、2本鎖RNAに含まれる。
siRNAは、単一の転写物が標的遺伝子由来のセンス配列及び相補的アンチセンス配列の両方を有するよう、例えばヘアピンとして構築される。
任意のヌクレオチド配列からなるループ配列は、ヘアピンループ構造を形成するためにセンス配列とアンチセンス配列の間に配置され得る。従って、本発明はまた、一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有するsiRNAを提供する。式中、[A]はROR1 mRNA又はcDNAに特異的にハイブリダイズする配列に対応するリボヌクレオチド配列である。好ましい態様において、[A]はROR1遺伝子の配列に対応するリボヌクレオチド配列であり、[B]は約3〜約23ヌクレオチドからなるリボヌクレオチド配列であり、かつ[A']は[A]の相補配列からなるリボヌクレオチド配列である。領域[A]は[A']とハイブリダイズし、次いで、領域[B]からなるループが形成される。ループ配列は好ましくは3〜23ヌクレオチド長であり得る。ループ配列は、例えば、(www.ambion.com/techlib/tb/tb_506.htmlに見られる)以下の配列から選択され得る。さらに、23ヌクレオチドからなるループ配列もまた活性なsiRNAを提供する(Jacque, J.M. et al., Nature 418 : 435-8, 2002)。CCC、CCACC、又はCCACACC:Jacque, J. M. et al., Nature, 418: 435-8, 2002。UUCG: Lee, N.S. et al., Nature Biotechnology 20 : 500-5, 2002; Fruscoloni, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100: 1639-44, 2003。UUCAAGAGA: Dykxhoorn, D. M. et al., Nature Reviews Molecular Cell Biology 4: 457-67, 2003。
例えば、本発明のヘアピンループ構造を有する好ましいsiRNAを以下に示す。従って、いくつかの態様において、ループ配列[B]は、CCC、UUCG、CCACC、CCACACC、及び UUCAAGAGAからなる群より選択され得る。好ましいループ配列は、UUCAAGAGA(DNA上は「ttcaagaga」)である。
当業者は、標的遺伝子に対してRNAi効果を有する二本鎖RNAを、その塩基配列をもとに、適宜デザインすることができる。すなわち、標的遺伝子の塩基配列をもとに、該配列の転写産物であるmRNAの任意の連続するRNA領域を選択し、この領域に対応する二本鎖RNAを作製することができる。また、該配列の転写産物であるmRNA配列から、より強いRNAi効果を有するsiRNA配列を選択する方法も公知である。例えば、Reynoldsらが発表した論文(Reynolds A. et al. Nature biotechnology 22. 326-330, 2004)や、Ui-Teiらが発表した論文(Ui-Tei K. et al. Nucleic Acids Res. 32. 936-948, 2004)等に基づいて、siRNAに必要な塩基配列を予測することができる。
siRNAは、遺伝子の部分的な塩基配列に基づいてデザインすることもできる。siRNAの塩基配列を特定するためには、選択すべき任意の連続する塩基配列が判明していればよい。必要な塩基配列の長さは、たとえば、少なくとも20〜30塩基である。つまり、全長配列が明らかでない標的遺伝子に対して、siRNAをデザインすることもできる。従って、EST(Expressed Sequence Tag)等のようにmRNAの一部は判明しているが、全長が判明していない遺伝子断片からも、該断片の塩基配列を基に当該遺伝子の発現を抑制する二本鎖RNAを作製することができる。
本発明のsiRNAは、具体的には以下の方法で作成・デザインできる。ヒトROR1の遺伝子情報、cDNA配列は公知であり、例えば、GenBank Gene ID: 4919の遺伝子情報、GenBankアクセッション番号NM_005012に記載のヌクレオチド配列を用いて、siRNAをデザインすることができる(ヒトROR1のcDNA配列を配列番号:1に示す)。GenBankより得られたROR1のヌクレオチド配列(NM_005012)を各々のsiRNA design database [software](RNAi Central、siRNA Target Finder)に入力し(アクセッション番号からも入力可)、ROR1に対するsiRNAを各々独自のアルゴリズム(siRNAデザインプログラム)に従い、デザインを行う。この際、ターゲット領域をORF(Open Reading Frame)に指定し、目的外の遺伝子への交叉抑制反応を最小にするために、生物種をヒトに特定する。また、目的のsiRNAのGC含量の値を選択することも可能である。これら一連の作業により、RISC(RNA 誘導型サイレンシング複合体)に効率よく取り込まれ、オフターゲット効果を最小限に抑制した高効率なsiRNAを候補として検出できる(本出願においては、RNAi Centralにおいて293配列、siRNA Target Finderについては174配列をROR1のsiRNAの候補として検出)。また、RNAi Centralに関しては、設計されたsiRNAは抑制能の高い順(オフターゲットの可能性が低い順)に表示される。
各々の2つのsiRNAデザインデータベースシステムは非営利目的の研究機関には無償公開されており、誰でも制限なくインターネットウェブ上から使用可能である。また、個々のsiRNA配列設計法は、当業者に公知である。
本発明のRNAは、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域に対するアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスDNAと、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域のセンスRNAをコードしたセンスDNAより発現させることができる。また、これらのアンチセンスRNAおよびセンスRNAよりdsRNAを作成することもできる。
本発明のdsRNAを発現させるためのDNAを、ベクター等に保持させる場合の構成としては、同一のベクターからアンチセンス鎖RNA、センス鎖RNAを発現させる場合と、異なるベクターからそれぞれアンチセンス鎖RNA、センス鎖RNAを発現させる場合がある。例えば、同一のベクターからアンチセンス鎖RNA、センス鎖RNAを発現させる構成としては、アンチセンスDNAおよびセンスDNAの上流にそれぞれpolIII系のような短いRNAを発現し得るプロモーターを連結させたアンチセンス鎖RNA発現カセット、センス鎖RNA発現カセットをそれぞれ構築し、これらカセットを同方向にあるいは逆方向にベクターに挿入することにより構成することができる。また、異なる鎖上に対向するようにアンチセンスDNAとセンスDNAを逆向きに配置したDNAを構成することもできる。この構成では、アンチセンス鎖RNAコード鎖とセンス鎖RNAコード鎖とが対となった一つの二本鎖DNA(siRNAコードDNA)が備えられ、その両側にそれぞれの鎖からアンチセンス鎖RNA、センス鎖RNAとを発現し得るようにプロモーターを対向して備えられる。この場合には、センス鎖RNA、アンチセンス鎖RNAの下流に余分な配列が付加されることを避けるために、それぞれの鎖(アンチセンス鎖RNAコード鎖、センス鎖RNAコード鎖)の3'末端にターミネーターをそれぞれ備えることが好ましい。このターミネーターは、A(アデニン)塩基を4つ以上連続させた配列などを用いることができる。また、このパリンドロームスタイルの発現システムでは、二つのプロモーターの種類を異ならせることが好ましい。
また、異なるベクターからアンチセンス鎖RNA、センス鎖RNAを発現させる構成としては、例えば、アンチセンスDNAおよびセンスDNAの上流にそれぞれ polIII系のような短いRNAを発現し得るプロモーターを連結させたアンチセンスRNA発現カセット、センスRNA発現カセットをそれぞれ構築し、これらカセットを異なるベクターに保持させることにより構成することができる。
本発明は、ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を含む細胞増殖阻害剤を提供する。ROR1の発現は、例えば、ROR1遺伝子を特異的に標的とする一つ又は複数の低分子干渉RNA(siRNA)オリゴヌクレオチドによって阻害される。このようなsiRNAとしては、ROR1遺伝子のmRNAのいずれかの領域のセンス鎖RNA及び該センス鎖RNAのアンチセンス鎖RNAを有するsiRNAを挙げることができる。標的には、例えば、配列番号:1に記載のヌクレオチドが含まれる。
本発明のsiRNAとしては、具体的には実施例8に記載のsiRNA(配列番号:4〜471)、好ましくは配列番号:5、6、471(実施例9)を挙げることができる。
アンチセンス効果を有するRNA:
本発明における機能性RNAとして、遺伝子に対してアンチセンス効果を有するRNAを用いることもできる。特定の遺伝子の発現を阻害(抑制)する方法として、アンチセンス技術を利用する方法が公知である。アンチセンス核酸による標的遺伝子の発現阻害には、以下のような複数のメカニズムが関与している。
アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造がつくられた部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンとの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始抑制、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制などである。これらは、転写、スプライシング、または翻訳の過程を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する(平島および井上「新生化学実験講座2 核酸IV 遺伝子の複製と発現」,日本生化学会編,東京化学同人, pp.319-347, 1993)。
本発明で用いられるアンチセンス効果を有するRNAには、これらのいずれかの作用によって標的遺伝子の発現を阻害しうるRNAが含まれる。一つの態様としては、標的遺伝子のmRNAの5'端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的と考えられる。また、コード領域もしくは3'側の非翻訳領域に相補的な配列も使用することができる。このように、標的遺伝子の翻訳領域だけでなく、非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むRNAも、本発明におけるアンチセンス効果を有するRNAに含まれる。
本発明におけるアンチセンスRNAは、任意の方法によって合成することができる。具体的には、RNAポリメラーゼによる転写反応、あるいは化学合成によって、必要な塩基配列からなるRNAを得ることができる。合成RNAオリゴマーとしてアンチセンスRNAを合成する場合には、リン酸エステル結合部のO(酸素)をS(硫黄)に置換したSオリゴ(ホスホロチオエート型オリゴヌクレオチド)とすることができる。Sオリゴとすることによって、ヌクレアーゼ分解に対する耐性を付与することができる。したがって本発明において、Sオリゴは、機能性RNAとして好ましい。
アンチセンスRNAの配列は、標的遺伝子またはその一部と相補的な配列であることが好ましい。ただし、遺伝子の発現を有効に抑制できる限り、アンチセンスRNAを構成する塩基配列は、標的遺伝子の塩基配列に対して完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の相補性を有する。アンチセンスRNAを用いて標的遺伝子の発現を効果的に抑制するには、アンチセンスRNAの長さは少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常、用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは2.5kbよりも短い。
リボザイム活性を有するRNA:
本発明における機能性RNAとして、リボザイム活性を有するRNAを利用することもできる。リボザイムとは触媒活性を有するRNA分子を指す。リボザイムには種々の活性を有するものが存在する。たとえば、RNAを部位特異的に切断するリボザイムを設計することもできる。リボザイムには、グループIイントロン型やRNase Pに含まれるM1 RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある(小泉誠および大塚栄子、蛋白質核酸酵素、35、2191、1990年)。
例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自己切断ドメインは、G13U14C15という配列のC15の3'側を切断する。その切断活性にはU14とA9との塩基対形成が重要とされている。また、C15の代わりにA15またはU15でも切断されることも示されている(Koizumi M., et al., FEBS Lett. 228: 228-230, 1988)。基質結合部位が標的部位近傍のRNA配列と相補的なリボザイムを設計すれば、標的RNA中のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRNA切断リボザイムを人工的に作り出すことができる(Koizumi M., et al. FEBS Lett. 239: 285-288, 1988、小泉誠および大塚栄子、蛋白質核酸酵素、35、2191、1990年、Koizumi M., et al. Nucleic Acids Res, 17: 7059-7071,1989)。
また、ヘアピン型リボザイムもRNAの切断に有用である。ヘアピン型リボザイムは、例えばタバコリングスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見出される(Buzayan JM, Nature, 323: 349-353, 1986)。ヘアピン型リボザイムに基づいて、標的配列特異的なRNA切断リボザイムを作り出すことができる(Kikuchi Y., et al. Nucleic Acids Res, 19: 6751-6755, 1991、菊池洋、化学と生物、30、112、1992年)。このように、標的遺伝子の転写産物を特異的に切断することができるリボザイム活性を有するRNAをデザインし、本発明に利用することもできる。
本発明の組成物を構成する核酸には、種々の機能を有する核酸を用いることができる。具体的には、遺伝子の発現や蛋白質の機能を修飾する作用を有する核酸を本発明に利用することができる。本発明において、遺伝子の発現や蛋白質の機能を修飾する作用を有する核酸を、機能性核酸という。更に、核酸がDNAやRNAである場合には、それぞれ、機能性DNAや機能性RNAと記載することがある。本発明において、機能性核酸は、蛋白質の発現の調節、あるいは蛋白質への結合によるその活性の調節などによって、その機能を修飾することができる。
本発明における核酸として、機能性核酸を利用することによって、細胞の増殖を阻害するための組成物を得ることができる。すなわち本発明は、機能性核酸を有効成分として含有する、細胞の増殖を阻害するための組成物に関する。あるいは本発明は、細胞の増殖を阻害するための組成物の製造における、機能性核酸の使用に関する。
本発明者らによって、ROR1遺伝子は特定のlineageの癌細胞に特異的に発現することが明らかとなった。従って、本発明の機能性核酸を含有する組成物が増殖を阻害する細胞としては癌細胞、好ましくは肺癌細胞 (肺腺癌)、中皮腫細胞、膵臓癌細胞、骨肉腫細胞を挙げることができる。これら細胞には対象生物(ヒト含む)の体内における細胞、あるいは一定に安定化した細胞として株化された細胞等が含まれるがこれらに限定されない。
本発明の細胞として、より好ましい細胞としては、TTF-1-ROR1+の各種癌細胞が挙げられ、一部の肺癌細胞(偏平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌)、難治癌である中皮腫細胞や膵臓癌細胞、または骨肉腫細胞、結腸直腸腺癌細胞、など表2に記載の癌細胞がそれにあたる。本発明の細胞として、最も好ましい細胞は、ROR1 siRNA組成物による細胞増殖抑制効果が最大限に認められる、肺癌細胞、特にTTF-1+ROR1+の肺腺癌細胞が挙げられる。
後述の実施例(特に図9および図14)にも記載されているように、ROR1 siRNA組成物による細胞増殖抑制効果を比較した場合、TTF-1-ROR1+を示す細胞群よりもTTF-1+ROR1+を示す細胞群の方が、よりその効果が顕著である。このことは、TTF-1の調節下にあるROR1の機能を特異的に抑制することがより効果的であることを示しており、TTF-1+ROR1+の特異性が認められる。
また、本発明の細胞として、ROR1 siRNA組成物による細胞増殖抑制効果が認められない細胞としては、気管支上皮細胞や末梢気管上皮細胞、中皮細胞、胚性腎細胞などの正常細胞が挙げられる。
本発明においてTTF-1+ROR1+は、TTF-1、ROR1ともに発現が認められる細胞を表しており、TTF-1-ROR1+は、TTF-1の発現は認められず、ROR1の発現が認められる細胞を表している(詳細は実施例7、表2を参照)。
本発明は、ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を含む癌を治療または予防するための組成物に関する。また、本発明はROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を対象に投与する工程を含む、癌を治療または予防する方法に関する。
また、本発明は、癌を治療または予防するための組成物を製造するためのROR1遺伝子の発現を阻害する核酸の使用に関する。さらに、本発明は、癌を治療または予防するための方法に使用するためのROR1遺伝子の発現を阻害する核酸に関する。
本発明の機能性核酸を遺伝子治療剤として使用する場合は、本発明の機能性核酸を含む組成物を注射により対象に直接投与する方法のほか、核酸が組込まれたベクターを対象に投与する方法が挙げられる。上記ベクターとしては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター等が挙げられ、これらのウイルスベクターを用いることにより効率よく投与することができる。
また、本発明の機能性核酸をリポソームなどのリン脂質小胞体に導入し、その小胞体を対象に投与することも可能である。siRNAやshRNAを保持させた小胞体をリポフェクション法により所定の細胞に導入する。そして、得られる細胞を例えば静脈内、動脈内等に全身投与する。また癌組織等に局所的に投与することもできる。siRNAはin vitroにおいては非常に優れた特異的転写後抑制効果を示すが、in vivoにおいては血清中のヌクレアーゼ活性により速やかに分解されてしまい、持続時間が限られるため、より最適で効果的なデリバリーシステム開発が求められてきた。一つの例としては、Ochiya TらのNature Med. 5: 707-710,1999、Curr.Gene Ther. 1: 31-52, 2001より生体親和性材料であるアテロコラーゲンを核酸と混合し複合体を形成させると、生体中の分解酵素から核酸を保護する作用があり、siRNAのキャリアーとして非常に適していると報告されているが、本発明の薬剤の導入の方法はこれには限られない。
本発明の薬剤は、安全とされている投与量の範囲内において、ヒトを含む哺乳動物に対して、必要量(有効量)が投与される。本発明の薬剤の投与量は、剤型の種類、投与方法、患者の年齢や体重、患者の症状等を考慮して、最終的には医師または獣医師の判断により適宜決定することができる。一例を示せば、年齢、性別、症状、投与経路、投与回数、剤型によって異なるが、例えばアデノウイルスの場合の投与量は1日1回あたり106〜1013個程度であり、1週〜8週間隔で投与される。
また、siRNAまたはshRNAを目的の組織または器官に導入するために、市販の遺伝子導入キット(例えばアデノエクスプレス:クローンテック社)を用いることもできる。
本発明者らは、ROR1遺伝子の発現を阻害することにより癌細胞の増殖が阻害されることを見出した。この結果は、細胞増殖阻害活性を有する候補化合物のスクリーニングが可能であることを示す。
本発明のスクリーニング方法に用いる被検化合物は特に限定されず、例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、タンパク質、抗体、ペプチドなどの単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物等を挙げることができる。
本発明のスクリーニング方法の第一の態様は、ROR1タンパク質またはその断片と結合する化合物のスクリーニングに関するものである。このスクリーニングにおいては、まず、ROR1タンパク質またはその断片に被検化合物を接触させる。次いで、該ROR1タンパク質またはその断片と被検化合物との結合を検出する。次いで、該ROR1タンパク質またはその断片と結合する被検化合物を選択する。この方法によって、単離された化合物は、細胞増殖阻害活性剤の候補化合物になりうる。また、後述のスクリーニング方法の被検化合物として使用することもできる。
ROR1タンパク質を用いて、これに結合するタンパク質をスクリーニングする方法としては、当業者に公知の多くの方法を用いることが可能である。例えば、Skolnikらの方法(Skolnik EY, et al., Cell 65: 83-90, 1991)を用いて行うことができる。すなわち、ROR1タンパク質またはその断片と結合すると予想されるタンパク質を発現している細胞、組織よりファージベクター(λgt11, ZAPなど)を用いたcDNAライブラリーを作製し、これをLB-アガロース上で発現させ、フィルターに発現させたタンパク質またはその断片を固定し、精製して標識したROR1タンパク質またはその断片と上記フィルターとを反応させ、ROR1タンパク質またはその断片と結合したタンパク質を発現するプラークを標識により検出すればよい。ROR1タンパク質またはその断片を標識する方法としては、ビオチンとアビジンの結合性を利用する方法、ROR1タンパク質もしくはその断片又はROR1タンパク質もしくはその断片に融合したタンパク質(例えばGSTなど)に特異的に結合する抗体を利用する方法、ラジオアイソトープを利用する方法又は蛍光を利用する方法等が挙げられる。
また、本発明のスクリーニング方法の第一の態様としては、細胞を用いた2-ハイブリッドシステム(Fields S and Sternglanz R, Trends. Genet. 10: 286-292, 1994、Dalton S and Treisman R Characterization of SAP-1, a protein recruited by serum response factor to the c-fos serum response element. Cell 68: 597-612, 1992、「MATCHMARKER Two-Hybrid System」,「Mammalian MATCHMAKER Two-Hybrid Assay Kit」,「MATCHMAKER One-Hybrid System」(いずれもクロンテック社製)、「HybriZAP Two-Hybrid Vector System」(ストラタジーン社製))を用いて行う方法が挙げられる。
2-ハイブリッドシステムにおいては、ROR1タンパク質またはその断片(部分ペプチド)をSRF DNA結合領域またはGAL4 DNA結合領域と融合させて酵母細胞の中で発現させ、ROR1タンパク質またはその断片と結合するタンパク質を発現していることが予想される細胞より、VP16またはGAL4転写活性化領域と融合する形で発現するようなcDNAライブラリーを作製し、これを上記酵母細胞に導入し、検出された陽性クローンからライブラリー由来cDNAを単離する(酵母細胞内でROR1タンパク質と結合するタンパク質が発現すると、両者の結合によりレポーター遺伝子が活性化され、陽性のクローンが確認できる)。単離したcDNAを大腸菌に導入して発現させることにより、該cDNAがコードするタンパク質を得ることができる。これによりROR1タンパク質に結合するタンパク質またはその遺伝子を調製することが可能である。
2-ハイブリッドシステムにおいて用いられるレポーター遺伝子としては、例えば、HIS3遺伝子の他、Ade2遺伝子、LacZ遺伝子、CAT遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、PAI-1(Plasminogen activator inhibitor type1)遺伝子等が挙げられるが、これらに制限されない。2ハイブリッド法によるスクリーニングは、酵母の他、哺乳動物細胞などを使って行うこともできる。
ROR1タンパク質またはその断片と結合する化合物のスクリーニングは、アフィニティクロマトグラフィーを用いて行うこともできる。例えば、ROR1タンパク質またはその断片をアフィニティーカラムの担体に固定し、ここにROR1タンパク質またはその断片と結合するタンパク質を発現していることが予想される被検化合物を加える。この場合の被検化合物としては、例えば細胞抽出物、細胞溶解物等が挙げられる。被検化合物を適用した後、カラムを洗浄し、ROR1タンパク質またはその断片に結合したタンパク質を調製することができる。
得られたタンパク質は、そのアミノ酸配列を分析し、それを基にオリゴDNAを合成し、該DNAをプローブとしてcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、該タンパク質をコードするDNAを得ることができる。
また、タンパク質に限らず、ROR1タンパク質またはその断片に結合する化合物を単離する方法としては、例えば、固定したROR1タンパク質またはその断片に、合成化合物、天然物バンク、もしくはランダムファージペプチドディスプレイライブラリーを作用させ、ROR1タンパク質またはその断片に結合する分子をスクリーニングする方法や、コンビナトリアルケミストリー技術によるハイスループットを用いたスクリーニング方法(Wrighton NC; Farrell FX; Chang R; Kashyap AK; Barbone FP; Mulcahy LS;Johnson DL; Barrett RW; Jolliffe LK; Dower WJ, Small peptides as potent mimetics of the protein hormone erythropoietin, Science 273: 458-64, 1996、Verdine GL, The combinatorial chemistry of nature. Nature 384: 11-13, 1996、Hogan JC Jr., Directed combinatorial chemistry. Nature 384: 17-9, 1996)が当業者に公知である。
本発明において、結合した化合物を検出又は測定する手段として表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを使用することもできる。表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーは、ROR1タンパク質またはその断片と被検化合物との間の相互作用を微量のタンパク質を用いてかつ標識することなく、表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である(例えばBIAcore、Pharmacia製)。
本発明のスクリーニング方法の第二の態様は、ROR1タンパク質をコードするDNAの発現レベルを減少させる化合物のスクリーニングに関するものである。ROR1タンパク質をコードするDNAの発現レベルを減少させる化合物は細胞増殖阻害活性を有する候補化合物となりうる。
このスクリーニングにおいては、まず、ROR1タンパク質をコードするDNAを有する細胞(ヒト細胞を含む)またはその抽出液に被検化合物を接触させる。ROR1タンパク質をコードするDNAを有する細胞(ヒト細胞を含む)としては、例えば、COS細胞、HEK293T細胞、マウスBalb細胞、定常的にROR1を発現させた細胞、または癌患者由来の細胞等が挙げられる。
また、本発明において「接触」は、例えば、細胞の培養液に被検化合物を添加することにより行うことができる。このスクリーニングにおいては、次いで、該細胞におけるROR1タンパク質をコードするDNAの発現レベルを測定し、被検化合物を接触させていない場合と比較して、該DNAの発現レベルを減少させる化合物を選択する。
DNAの発現レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば、mRNAを定法に従って抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法、またはRT-PCR法を実施することによってDNAの発現レベルの測定を行うことができる。さらに、DNAアレイ技術を用いて、DNAの発現レベルを測定することも可能である。また、ROR1タンパク質を含む画分を定法に従って回収し、該ROR1タンパク質の発現をSDS-PAGE等の電気泳動法で検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うこともできる。また、ROR1タンパク質に対する抗体を用いて、ウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、免疫沈降法、酵素結合免疫測定法(ELISA)、および免疫蛍光法などを実施し、該ROR1タンパク質の発現を検出することにより、遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも可能である。
本発明のスクリーニング方法の第三の態様として、ROR1遺伝子の発現レベルを減少させる化合物のスクリーニングは、レポーター遺伝子を用いた系でも行うことができる。まず、ROR1遺伝子のプロモーター領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDNAを有する細胞または細胞抽出液を提供する。ここで、「機能的に結合した」とは、ROR1遺伝子のプロモーター領域に転写因子が結合することにより、レポーター遺伝子の発現が誘導されるように、ROR1遺伝子のプロモーター領域とレポーター遺伝子とが結合していることをいう。従って、レポーター遺伝子が他の遺伝子と結合しており、他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成する場合であっても、ROR1遺伝子のプロモーター領域に転写因子が結合することによって、該融合タンパク質の発現が誘導されるものであれば、上記「機能的に結合した」の意に含まれる。
ROR1遺伝子のプロモーター領域としては、例えば、配列番号:3に記載の塩基配列の第1位〜第1000位を含む領域を挙げることができる。
上記レポーター遺伝子としては、その発現が検出可能なものであれば特に制限されず、例えば、当業者において一般的に使用されるCAT遺伝子、lacZ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、β-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)およびGFP遺伝子等を挙げることができる。
このスクリーニングにおいては、次いで、上記細胞または上記細胞抽出液に被検化合物を接触させる。次いで、該細胞または該細胞抽出液における上記レポーター遺伝子の発現レベルを測定する。レポーター遺伝子の発現レベルは、使用するレポーター遺伝子の種類に応じて、当業者に公知の方法により測定することができる。例えば、レポーター遺伝子がCAT遺伝子である場合には、該遺伝子産物によるクロラムフェニコールのアセチル化を検出することによって、レポーター遺伝子の発現レベルを測定することができる。レポーター遺伝子がlacZ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による色素化合物の発色を検出することにより、また、ルシフェラーゼ遺伝子である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用による蛍光化合物の蛍光を検出することにより、また、β-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)である場合には、該遺伝子発現産物の触媒作用によるGlucuron(ICN社)の発光や5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-グルクロニド(X-Gluc)の発色を検出することにより、さらに、GFP遺伝子である場合には、GFPタンパク質による蛍光を検出することにより、レポーター遺伝子の発現レベルを測定することができる。
このスクリーニングにおいては、次いで、被検化合物を接触させていない場合と比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルを減少させる化合物を選択する。
本発明のスクリーニング方法の第四の態様は、ROR1遺伝子を発現する細胞の増殖レベルを減少させる化合物のスクリーニングに関するものである。ROR1遺伝子を発現する細胞の増殖レベルを減少させる化合物は細胞増殖阻害活性を有する候補化合物となりうる。
このスクリーニングにおいては、まず、ROR1タンパク質をコードするDNAを有する細胞(ヒト細胞を含む)に被検化合物を接触させる。ここで、ROR1遺伝子を発現する細胞とは、ROR1遺伝子を天然に発現する細胞であってもよいし、人為的に強制発現させた細胞であってもよい。細胞と被検化合物との「接触」は、上述の方法で行うことができる。
このスクリーニングにおいては、次いで、該細胞の増殖レベルを測定し、被検化合物を接触させていない場合と比較して、該細胞の増殖を阻害する化合物を選択する。細胞増殖レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことが可能である。
なお、本明細書において引用されたすべての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕マイクロアレイを使ったTTF-1による発現誘導遺伝子ROR1の同定
HPL1D細胞によるTTF-1の発現、RNAの調整、マイクロアレイ解析の実施
ヒト正常末梢肺細胞由来細胞株HPL1D細胞にTTF-1(pCMV-puro-TTF-1)を遺伝子導入し(以下、HPL1D-TTF-1)、強制発現させた。HPL1D株に空ベクター(pCMV-puro-control vector)を導入したものを対照とした(以下、HPL1D-CV)。TTF-1及び、空ベクターを導入後、puromycin(1.5 μg/ml)でselectionを行い、3日後に細胞を回収し、RNeasyキット(Qiagen社)を用いてトータルRNAを抽出し、DNaseIで処理した。RNA量はNanoDrop ND-1000UV-Vis分光光度計(NanoDrop Technologies社)を用いて測定し、RNAの品質はAgilent 2100 bioanalyzer(Agilent社)を用いて測定した。各細胞から抽出したトータルRNA 500 ngから、Low RNA Fluorescent Linear Amplification kit(Agilent Technologies、カリフォルニア州パロアルト)を用いて、Cy3またはCy5で標識したcRNAを作成した(より詳細には、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素と及びT7プロモーターを含むポリdTプライマーを用いて二本鎖cDNAを合成した後、T7 RNAポリメラーゼとCy3またはCy5を用いて、Cy3またはCy5で標識されたcRNAを作成した)。41000個のプローブを有するマイクロアレイ(Agilent社製 Whole Human Genome)を用いて、HPL1D-TTF-1株とHPL1D-CV株の網羅的な発現解析を行った。マイクロアレイにcRNAをハイブリダイズした後、洗浄し、G2505Bマイクロアレイスキャナー(Agilent社)を用いてマイクロアレイのスライドをスキャンした。発現データはFeature Extraction 9.5.1ソフトウェア(Agilent社)を用いて取得した。HPL1D-CVと比較して、HPL1D-TTF-1にて5倍以上の発現上昇を認める遺伝子として、ROR1を見出した。
結果と考察(図1)
TTF-1による下流標的遺伝子(target molecule)の同定のため、マイクロアレイ解析を行った結果、HPL1D-CVと比較してHPL1D-TTF-1において、3倍以上の発現変化を示す8つの遺伝子群を同定した。それらのうち、5倍以上の発現変化(発現上昇)が認められる遺伝子として、ROR1(receptor tyrosine kinase-like orphan receptor 1)を同定した(表1)。この結果から、受容体型チロシンキナーゼの1つであるROR1がTTF-1による下流標的遺伝子である可能性が示唆された。
Figure 2010008069
〔実施例2〕TTF-1によるROR1の発現誘導
HPL1D細胞によるTTF-1の発現、cDNAの調整、リアルタイムPCR、ウェスタンブロッティング
ヒト正常末梢肺細胞由来細胞株HPL1D細胞にTTF-1(HPL1D-TTF-1)あるいは空ベクター(HPL1D-CV)を強制発現させた。TTF-1及び、空ベクターを導入後、puromycin(1.5 μg/ml)でselectionを行い、3日後に細胞を回収し、RNeasyキット(Qiagen社)を用いてトータルRNAを抽出し、DNaseIで処理を行った。その後、ランダムプライマーを用いて逆転写酵素Super Script II(invitrogen社)により、cDNAを抽出した。また、細胞回収後、一部についてはSDSサンプルバッファーを用いてライセートを作製した。同様に、本発明者らが樹立したTTF-1恒常的発現株(HPL1D-TTF-1 stable)、空ベクター恒常的発現株(HPL1D-CV stable)についても、cDNAを抽出し、ライセートを作製した。Primer 3 software(プライマー作製ソフトウェア: http://primer3.sourceforge.net/)によってROR1プライマーの設計を行い、各々のcDNAに対して、real-time PCRを行った(内部標準としてribosome18Sを選択)実際の数値については、何も発現させていないHPL1D細胞を基準とし、ΔΔCT法によって発現量比の算定を行った(3回実施)。各々のライセートについては、SDS-PAGEを行い、抗ROR1抗体(Cell signaling社)及び抗TTF-1抗体(WAKO)を使って、ウェスタンブロッティングを行った。
結果と考察
リアルタイムPCR法により、TTF-1の発現によってROR1のmRNAレベルでの発現変化を調べた結果、TTF-1一過性発現系(transient)及び、本発明者らが作製したTTF-1恒常的発現系(stable)、どちらにおいても、HPL1D-CVと比較してHPL1D-TTF-1において、有意な発現上昇が認められた(図2左図)。
TTF-1一過性発現系においては、約6倍、TTF-1恒常的発現系においては、約34倍のROR1 mRNAの発現上昇がみられた。
また、同様に、ウエスタンブロッティング法により、TTF-1の発現によってROR1のタンパク質レベルでの発現変化を調べた結果、TTF-1一過性発現系及びTTF-1恒常的発現系、どちらにおいても、HPL1D-CVと比較してHPL1D-TTF-1において、ROR1のタンパク質レベルでの発現を検出した(ヒト正常末梢肺細胞由来細胞株HPL1D細胞はもともとROR1を発現しておらず、HPL1D-CVにおいてもROR1の発現は認められない。図2右図)。
リアルタイムPCR法及びウエスタンブロッティング法の結果から、ROR1の発現(mRNA、タンパク質レベル共に)は、TTF-1の発現によって特異的に誘導されることが判明した。
〔実施例3〕TTF-1発現抑制によるROR1の発現低下
TTF-1の発現抑制(RNA干渉法の実施)、ウェスタンブロッティング
TTF-1、ROR1ともに発現が認められる肺腺癌細胞株SK-LC-5、NCI-H1975について、ScrambleおよびTTF-1 siRNA(QIAGEN社)を最終濃度20nMで各々の細胞にRNAiMAX(invitrogen社)を使ってトランスフェクションを行った。トランスフェクション後、72hr後にSDSサンプルバッファーを用いてライセートを回収した。その時、何も処理を施していないサンプルも調整した。SDS-PAGEに引き続き、抗ROR1抗体(Cell signaling社)及び抗TTF-1抗体(WAKO社)、抗α-tubulin抗体(Cell signaling社)を使って、ウェスタンブロッティングを行った。
結果と考察(図3)
TTF-1、ROR1ともに発現が認められる肺腺癌細胞株であるSK-LC-5及びNCI-H1975を使って、RNA干渉法(RNAi)によるsiRNAを用いたTTF-1の発現抑制を行った結果、ウエスタンブロッティング法により、どちらの肺腺癌細胞株においても、コントロールsiRNA(scramble)と比較して、TTF-1 siRNA(siTTF-1)において、TTF-1の有意な発現抑制が認められ、特異的なROR1の発現低下が観察された(何も処理を行っていない無処理のnon-transfectedにおいてTTF-1及びROR1共に、各々の肺腺癌細胞株でバンドが検出されることから、SK-LC-5及びNCI-H1975では発現が認められる)。
α-tubulinの発現は、non-transfected、scramble、siTTF-1の三者間においてタンパク質量が均一であることを示すとともに、siTTF-1によって他のタンパク質量が影響を受けていないことを示すものである。
この結果から、肺腺癌細胞において、内因性のROR1の発現は、TTF-1の発現によって特異的に調節・制御されていることが判明した。
〔実施例4〕TTF-1による転写レベルでのROR1の発現調節
pGL4.1-ROR1プロモーターの作製、ルシフェラーゼアッセイ(レポーターアッセイ)
ルシフェラーゼアッセイを行うためにpGL4.1ルシフェラーゼレポーターベクター(Promega社)にhuman genome cDNAから抽出したROR1プロモーターを約1000 bpを組み込んだpGL4.1-ROR1プロモーターを作製した。CV(Control Vector)あるいはTTF-1を恒常的に発現している細胞株(CV-stableあるいはTTF-1-stable)を2×105 cellsで6 well plateにそれぞれ撒き、Dual-Luciferase Reporter Assay System (Promega社)に基づき、24時間後にpGL4.1-ROR1プロモーター1.8 μgをpRL-TKベクター0.2 μgとともに、各々の細胞にFuGENE6 Transfection Reagent (ロッシュ・ダイアグノスティックス社)を使ってトランスフェクションを行った。トランスフェクション後、24時間後に、培養メディウムを取り除き、さらに、48時間後にPLB溶液を用いてライセートを回収した。回収したサンプル20μlに対して、LARII溶液30μlを加え、firefly luciferase activityをMinirumat LB9506を用いて測定した(M1)。次に、Stop & Glo溶液30μlを加え、Renilla luciferase activityを同様にMinirumat LB9506を用いて測定した(M2)。ルシフェラーゼ活性の測定値は、M=(M1-M2)で算出し、3回の測定値の平均をグラフ化した。
結果と考察(図4)
ROR1の発現がTTF-1によって転写レベルで調節されていることを調べるために、ROR1のプロモーター領域を組み込んだ発現ベクターを作製し、レポーターアッセイの1つであるルシフェラーゼアッセイを行った結果、TTF-1を恒常的に発現している細胞株(TTF-1-stable)において、CV (Control Vector)を恒常的に発現している細胞株(CV-stable)と比較して、有意なルシフェラーゼ活性(約8倍)が認められた。
この結果から、TTF-1の発現によってROR1の発現が誘導されることが分かり、ROR1の発現は、TTF-1によって転写レベルで制御されていることが判明した。
〔実施例5〕臨床検体を用いた肺腺癌組織におけるTTF-1とROR1の局在
臨床検体を用いた免疫組織化学染色(TTF-1およびROR1)
各々の肺腺癌の臨床検体は、抗ROR1抗体(Cell Signaling社)、抗TTF-1抗体(WAKO社)、いずれの抗体を用いた染色においてもホルマリン固定後パラフィン包埋組織切片を用いた。抗ROR1抗体による免疫組織化学染色については、脱パラフィン後、1mM EDTA液(pH8.0)に切片を浸し、98℃10分間マイクロウェーブ処理により抗原賦活化を行った。次に、3%過酸化水素加メタノール処理にて内因性ペルオキシダーゼを不活化させ、さらに10%ヤギ正常血清(ヒストファインSAB-PO(R)キット)にてブロッキングを行った。抗ROR1抗体は、100倍に希釈して1時間反応させ、二次抗体はビオチン標識抗ウサギ抗体IgG抗体(ヒストファインSAB-PO(R)キット)を用い,10分間反応させた。ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(ヒストファインSAB-PO(R)キット)を反応させDABにて発色させた。さらにヘマトキシリンにて対比染色を行った。抗TTF-1抗体による免疫組織化学染色については、自動免疫染色装置であるベンタナNXに基づいて行い、賦活化はTarget Retrieval Solution S1700(Dako Cytomation社)に切片を浸し、95℃30分間マイクロウェーブ処理を行った。ブロッキング反応の後、抗TTF-1抗体は、200倍に希釈して1時間反応させ、二次抗体反応、DAB等の試薬はベンタナi-view DABユニバーサルキットを用いた。最後にヘマトキシリンにて対比染色を行った。
結果と考察(図5)
実際の臨床検体を用いた肺腺癌組織におけるTTF-1とROR1の組織内局在を調べるために、免疫組織染色を行った結果、TRU (terminal respiratory unit)型肺腺癌において、特異的にTTF-1とROR1が局在することが明らかとなった。これに対して、より中枢側に由来する肺腺癌(non-TRU-type)では、TTF-1、ROR1ともに局在しないことが確認できた。
この結果から、TTF-1の発現が認められるTRU型肺腺癌では、TTF-1によってROR1が制御されている可能性を示すものであり、ROR1が重要な役割を担っていることを伺うことができる。また、この結果は、臨床応用としてROR1をターゲットにした治療法への応用が期待できる。
また、他の腫瘍においてもROR1の高発現が検出されるので、同様に、それらは、ROR1陽性癌細胞の生存に関わる重要な因子であり、治療標的になることが考えられる。
〔実施例6〕種々の癌細胞におけるROR1とTTF-1の発現
種々の癌細胞のサンプル調整、ウェスタンブロッティング
各種の肺癌細胞(肺腺癌、偏平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌)、骨肉腫細胞、結腸直腸腺癌細胞、乳癌細胞、慢性骨髄性白血病細胞、子宮頚癌細胞、肝臓癌細胞、膵臓癌細胞、中皮腫細胞について60mm dishにおいて細胞を増殖させ、SDSサンプルバッファーを用いてライセートを調整した。同様に気管支上皮細胞、末梢気管上皮細胞、中皮細胞、胚性腎細胞などの正常細胞についても60mm dishにおいて細胞を増殖させ、SDSサンプルバッファーを用いてライセートを調整した。また、ポジティブコントロール(Positive Control: P.C.)として、末梢気管上皮細胞株であるHPL1D細胞にpCMV-puro-ROR1(OriGene社からhuman ROR1 cDNAを購入し、pCMV-puroベクターに組み込んだプラスミド)を一過性に発現させ、2日間のpuromycin(1.5 μg/ml)のセレクションの後、SDSサンプルバッファーを用いて、同様にライセートを調整した。SDS-PAGEに引き続き、抗ROR1抗体(Cell Signaling社)および抗TTF-1抗体(WAKO社)を使って、ウェスタンブロッティングを行った。
結果と考察(図6)
種々の細胞におけるROR1とTTF-1のタンパク質レベルでの発現を確かめるために、ウエスタンブロッティング法により、それぞれの発現を調べた結果、ROR1は、様々な癌由来細胞において発現が認められ、TTF-1は、肺腺癌特異的に発現が認められた。また、ROR1は癌由来の細胞ではない正常な細胞においては、発現が認められないことが分かった。
この結果から、ROR1の発現は癌細胞特異的であり、様々な癌由来の細胞において発現が認められるのに対して、TTF-1の発現は肺腺癌特異的であることが判明した。
〔実施例7〕種々の癌細胞におけるROR1とTTF-1の発現一覧
種々の癌細胞株におけるTTF-1およびROR1の発現一覧
実施例6におけるウェスタンブロッティングの結果に基づき、タンパク質レベルでのTTF-1およびROR1の発現結果を総括した(表2)。
Figure 2010008069
結果と考察
種々の細胞におけるROR1とTTF-1のタンパク質レベルでの発現と相関関係について、実施例6の結果を総括したところ、ROR1は様々な癌由来の細胞、例えば、骨肉腫由来の細胞(U-2 OS)や結腸直腸腺癌由来の細胞(SW-620)、膵癌由来の細胞(MIA PaCa2、PANC-1 etc)、中皮腫由来の細胞(NCI-H28、NCI-H226、NCI-H2052 etc)、様々な肺癌由来の細胞においてその発現が認められる。しかし、正常細胞、例えば、気管支上皮細胞(BEAS-2B)や末梢気管上皮細胞(HPL1D、HPL1A)、中皮細胞(MeT-5A)などでは、ROR1の発現は、認められないことが分かった。
ROR1は、様々な癌由来の細胞において一様に発現している一方で、正常細胞ではその発現がほとんど認められないことから、その阻害による臨床応用への展望、癌細胞特異的な治療法への応用が期待できる。また、TTF-1は肺腺癌由来の細胞に発現していることが確認でき、肺腺癌においては、ROR1の発現はTTF-1によって調節されていると考えられる。他の腫瘍においては、ROR1は他の転写因子による転写活性化を受けているものと考えられる。
〔実施例8〕Human ROR1 siRNAのデザイン
種々のソフトウェアを用いたHuman ROR1 siRNAのデザイン
Human ROR1 siRNAをデザインすることを目的として、2つのsiRNA design database[software](RNAi Central、siRNA Target Finder)を用いて、Human ROR1(NM_005012)に対するsiRNAの候補を検出した。それぞれのソフトウェアによって同定されたHuman ROR1 siRNAは、個々のsiRNA作製アルゴリズム(siRNA program)によって検出されたものであり、Human ROR1の発現抑制が見込める可能性のあるものとして見出されたものである。RNAi Centralについては、Human ROR1 siRNAとして発現抑制効果が期待できると思われるものをランキング形式で示してあり、293個のHuman ROR1 siRNAを検出した。siRNA Target Finderについては、Human ROR1 siRNAとして発現抑制効果が期待できると思われるものとして、174個のHuman ROR1 siRNAを検出した。
結果と考察
2つのsiRNA design database[software](RNAi Central、siRNA Target Finder)を用いて、Human ROR1(NM_005012)に対するROR1 siRNAをデザインし、候補を見出した。その結果、各々のsiRNAプログラムによってHuman ROR1 siRNAとして発現抑制効果が期待できると想定されるものを、RNAi Centralについては293個(図7)、siRNA Target Finderについては174個同定した。
以下、詳細に示す。
(1)RNAi Central (siRNA design) software
[Hannon Lab; Maintained by Sachidanandam Lab]
(http://katahdin.cshl.org:9331/homepage/portal/scripts/main2.pl)
以下にHuman ROR1(NM_005012: target sequence)に対するセンス鎖のsiRNAを示す。
NM_005012 Start position: 924
GATTGCATGTGCAAGATTT(配列番号:4)
NM_005012 Start position: 2727
CCCAGTGAGTAATCTCAGT(配列番号:5)
NM_005012 Start position: 1269
CCCAGAAGCTGCGAACTGT(配列番号:6)
NM_005012 Start position: 1394
GCCAGTGCCAGCCATGGAA(配列番号:7)
NM_005012 Start position: 1174
CTGTGTCAAACAGAGTACA(配列番号:8)
NM_005012 Start position: 1368
GACCGTCAGTGTGACCAAA(配列番号:9)
NM_005012 Start position: 1305
CATGGCAGATCCTATAAAT(配列番号:10)
NM_005012 Start position: 501
GTCAGTCAGTGCTGAATTA(配列番号:11)
NM_005012 Start position: 1950
GACGGAATTTCAACAAGAA(配列番号:12)
NM_005012 Start position: 2270
GAGAGCAACTTCATGTAAA(配列番号:13)
NM_005012 Start position: 1163
TGGAGAATGTCCTGTGTCA(配列番号:14)
NM_005012 Start position: 2400
CAAATTCTCTTCTGATTCA(配列番号:15)
NM_005012 Start position: 2647
GAGGGACTCTCAAGTCACA(配列番号:16)
NM_005012 Start position: 2921
CTCCCAGAGTGATTCAGCA(配列番号:17)
NM_005012 Start position: 520
GTGCCTACCTCATCATGGA(配列番号:18)
NM_005012 Start position: 1654
GCTTTACTCTTCTTCTTCA(配列番号:19)
NM_005012 Start position: 1033
TCCAGTCACTTATCTGATA(配列番号:20)
NM_005012 Start position: 956
CCGTCTATATGGAGTCTTT(配列番号:21)
NM_005012 Start position: 658
CCCACCATCCGCTGGTTCA(配列番号:22)
NM_005012 Start position: 1082
GCCACTATGCCTTCCCGTA(配列番号:23)
NM_005012 Start position: 2865
CCCAATACCTCCTGGATAT(配列番号:24)
NM_005012 Start position: 1140
GTGTCGCGATGAATGTGAA(配列番号:25)
NM_005012 Start position: 1038
TCACTTATCTGATAAGTGT(配列番号:26)
NM_005012 Start position: 2851
CCCATCAATGGATACCCAA(配列番号:27)
NM_005012 Start position: 2729
CAGTGAGTAATCTCAGTAA(配列番号:28)
NM_005012 Start position: 1772
CATATAAACCCAAGAGCAA(配列番号:29)
NM_005012 Start position: 785
TCCAGTGCGTGGCAACAAA(配列番号:30)
NM_005012 Start position: 2554
CCCAGAATGTACAGCCTCA(配列番号:31)
NM_005012 Start position: 1836
GGGTGAGTGTGCCTTTGGA(配列番号:32)
NM_005012 Start position: 545
CAAGTGAACTCAACAAAGA(配列番号:33)
NM_005012 Start position: 740
CTCGGCTGCGGATTAGAAA(配列番号:34)
NM_005012 Start position: 636
CAAAGTCTCTGGGAATCCA(配列番号:35)
NM_005012 Start position: 3181
CACACCGAATCTATGATTT(配列番号:36)
NM_005012 Start position: 1676
GCGTCTGTCGGAATAACCA(配列番号:37)
NM_005012 Start position: 2474
CATATTATGGATTCAGTAA(配列番号:38)
NM_005012 Start position: 2993
CTGGCCATGTGACTAGCTT(配列番号:39)
NM_005012 Start position: 706
CGGAGGCTCTCCTTTCGGT(配列番号:40)
NM_005012 Start position: 918
CAGAGGGATTGCATGTGCA(配列番号:41)
NM_005012 Start position: 2874
TCCTGGATATGCAGCGTTT(配列番号:42)
NM_005012 Start position: 1567
GCGTGCGATTCAAAGGATT(配列番号:43)
NM_005012 Start position: 1205
CAAATCCCATGATTCTGAT(配列番号:44)
NM_005012 Start position: 1211
CCATGATTCTGATGAGGCT(配列番号:45)
NM_005012 Start position: 781
TACTTCCAGTGCGTGGCAA(配列番号:46)
NM_005012 Start position: 2472
GCCATATTATGGATTCAGT(配列番号:47)
NM_005012 Start position: 2561
TGTACAGCCTCATGACAGA(配列番号:48)
NM_005012 Start position: 2398
GGCAAATTCTCTTCTGATT(配列番号:49)
NM_005012 Start position: 3055
CCACACATGTCAATTCCAA(配列番号:50)
NM_005012 Start position: 2841
GCGATTCATTCCCATCAAT(配列番号:51)
NM_005012 Start position: 1913
TCAAGACCTTGAAAGACTA(配列番号:52)
NM_005012 Start position: 1577
CAAAGGATTCCAAGGAGAA(配列番号:53)
NM_005012 Start position: 2193
GATTGCAGCTGGCATGGAA(配列番号:54)
NM_005012 Start position: 2910
GCCAACAGGTCCTCCCAGA(配列番号:55)
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TGGAGTCTTTGCACATGCA(配列番号:58)
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CAGATCACAGCTGCCTTCA(配列番号:205)
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GATCAAATCCCATGATTCT(配列番号:206)
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TGTCAATGCTGAATGCATA(配列番号:215)
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GTGCTTCACCTTGGATGAA(配列番号:242)
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CACACAAGCTCTACTACTC(配列番号:243)
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CCTTCACTATGATTGGCAC(配列番号:244)
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ACCAGCGATTCATTCCCAT(配列番号:245)
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CTGCCAAACTGTGAAGATC(配列番号:246)
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CCGCCCTTCGTTTCCCAGA(配列番号:247)
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TGAAGAAGATGGATTCTGT(配列番号:248)
NM_005012 Start position: 1960
CAACAAGAAGCCTCCCTAA(配列番号:249)
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TGCCCACCCAGAATGTACA(配列番号:250)
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ACCGCACCGTCTATATGGA(配列番号:251)
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TTTACTACCACACATGTCA(配列番号:255)
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CCAGATTGCTGGTTTCATT(配列番号:256)
NM_005012 Start position: 3036
AGCAAATATTCCTTTACTA(配列番号:257)
NM_005012 Start position: 882
AGATGAGTATGAAGAAGAT(配列番号:258)
NM_005012 Start position: 826
ACTGGAGTCTTGTTTGTCA(配列番号:259)
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TTCATTTGCGTCTGTCGGA(配列番号:260)
NM_005012 Start position: 2012
TTCTAGGTGCCGTCACTCA(配列番号:261)
NM_005012 Start position: 1582
GATTCCAAGGAGAAGAATA(配列番号:262)
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TTCCTACTGCCGCAACCCA(配列番号:265)
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NM_005012 Start position: 2856
CAATGGATACCCAATACCT(配列番号:277)
NM_005012 Start position: 2580
GTGCTGGAATGAGATTCCT(配列番号:278)
NM_005012 Start position: 1806
TCTTTCTGCTGTACGCTTT(配列番号:279)
NM_005012 Start position: 2704
CAGACAACCTCCCTCAGTG(配列番号:280)
NM_005012 Start position: 783
CTTCCAGTGCGTGGCAACA(配列番号:281)
NM_005012 Start position: 813
GGTGGTTTCTTCCACTGGA(配列番号:282)
NM_005012 Start position: 2751
CAGATATCCTAATTACATG(配列番号:283)
NM_005012 Start position: 1463
TGAATGGAGGCCATTCCTA(配列番号:284)
NM_005012 Start position: 2845
TTCATTCCCATCAATGGAT(配列番号:285)
NM_005012 Start position: 738
CTCTCGGCTGCGGATTAGA(配列番号:286)
NM_005012 Start position: 2264
TAATCGGAGAGCAACTTCA(配列番号:287)
NM_005012 Start position: 876
ATACTCAGATGAGTATGAA(配列番号:288)
NM_005012 Start position: 2383
GAAGCCATCATGTATGGCA(配列番号:289)
NM_005012 Start position: 3158
TAGGAGACGCCAATATTCA(配列番号:290)
NM_005012 Start position: 1027
GGCACTTCCAGTCACTTAT(配列番号:291)
NM_005012 Start position: 1649
CCATTGCTTTACTCTTCTT(配列番号:292)
NM_005012 Start position: 2810
GTTTCATTGGCCCGCCAAT(配列番号:293)
NM_005012 Start position: 1337
GTTATAACAGCACAGGTGT(配列番号:294)
NM_005012 Start position: 736
GGCTCTCGGCTGCGGATTA(配列番号:295)
NM_005012 Start position: 2605
AGACCAAGATTTAAAGATA(配列番号:296)
(2)siRNA Target Finder software
[Applied Biosystems.]
(http://www.ambion.com/techlib/misc/siRNA_finder.html)
以下にHuman ROR1(NM_005012: target sequence)に対するセンス鎖のsiRNAを示す。
GGGAUCGCGCUCGCGGCAU(配列番号:297)
AGAGCUUUGCAGACGUCCC(配列番号:298)
GAGCCCGUGGAUGUUCUGC(配列番号:299)
UGCACCGGCCGCGCCGCCG(配列番号:300)
GAAACAGAGCUGUCAGUCA(配列番号:301)
ACAGAGCUGUCAGUCAGUG(配列番号:302)
UUAGUGCCUACCUCAUCAU(配列番号:303)
CAUCUCAAGUGAACUCAAC(配列番号:304)
GUGAACUCAACAAAGAUUC(配列番号:305)
CUCAACAAAGAUUCUUACC(配列番号:306)
CAAAGAUUCUUACCUGACC(配列番号:307)
AGAUUCUUACCUGACCCUC(配列番号:308)
CCAAUGAAUAACAUCACCA(配列番号:309)
UGAAUAACAUCACCACGUC(配列番号:310)
UAACAUCACCACGUCUCUG(配列番号:311)
CAUCACCACGUCUCUGGGC(配列番号:312)
CUGCACUGCAAAGUCUCUG(配列番号:313)
AGUCUCUGGGAAUCCACCU(配列番号:314)
UCCACCUCCCACCAUCCGC(配列番号:315)
AAAUGAUGCUCCUGUGGUC(配列番号:316)
AUGAUGCUCCUGUGGUCCA(配列番号:317)
ACCUCGACACCACAGACAC(配列番号:318)
CAAACGGCAAGGAGGUGGU(配列番号:319)
GGAGGUGGUUUCUUCCACU(配列番号:320)
GUUUGGCCCCCCUCCCACU(配列番号:321)
GUCCAGGAUACUCAGAUGA(配列番号:322)
GAAGAUGGAUUCUGUCAGC(配列番号:323)
GAUGGAUUCUGUCAGCCAU(配列番号:324)
GAUUUAUUGGCAACCGCAC(配列番号:325)
CCGCACCGUCUAUAUGGAG(配列番号:326)
GGGGAAAUAGAAAAUCAGA(配列番号:327)
AUAGAAAAUCAGAUCACAG(配列番号:328)
AAUCAGAUCACAGCUGCCU(配列番号:329)
UCAGAUCACAGCUGCCUUC(配列番号:330)
GUGUUCUCAGUUCGCCAUU(配列番号:331)
ACUUCAUCCGUCCCAAAGC(配列番号:332)
AGCCCCGUGACUUGUGUCG(配列番号:333)
UGUGAAAUCCUGGAGAAUG(配列番号:334)
AUCCUGGAGAAUGUCCUGU(配列番号:335)
UGUCCUGUGUCAAACAGAG(配列番号:336)
ACAGAGUACAUUUUUGCAA(配列番号:337)
GAUCAAAUCCCAUGAUUCU(配列番号:338)
AUCCCAUGAUUCUGAUGAG(配列番号:339)
ACUGCCAAACUGUGAAGAU(配列番号:340)
ACUGUGAAGAUCUCCCCCA(配列番号:341)
GAUCUCCCCCAGCCAGAGA(配列番号:342)
GCUGCGAACUGUAUCCGGA(配列番号:343)
CUGUAUCCGGAUUGGAAUU(配列番号:344)
UUCCCAUGGCAGAUCCUAU(配列番号:345)
AUAAAAAUCACAAGUGUUA(配列番号:346)
AAAUCACAAGUGUUAUAAC(配列番号:347)
AUCACAAGUGUUAUAACAG(配列番号:348)
GUGUUAUAACAGCACAGGU(配列番号:349)
CAGCACAGGUGUGGACUAC(配列番号:350)
AUCAGGGCGCCAGUGCCAG(配列番号:351)
UUCCCAGUAUCCCCACACA(配列番号:352)
UGGAGGCCAUUCCUACUGC(配列番号:353)
CCCAGGGAAUCAAAAGGAA(配列番号:354)
UCAAAAGGAAGCUCCCUGG(配列番号:355)
AAGGAAGCUCCCUGGUGCU(配列番号:356)
GGAAGCUCCCUGGUGCUUC(配列番号:357)
GCUCCCUGGUGCUUCACCU(配列番号:358)
AACUUUAAGUCUGAUCUGU(配列番号:359)
CUUUAAGUCUGAUCUGUGU(配列番号:360)
GUCUGAUCUGUGUGACAUC(配列番号:361)
AGGAUUCCAAGGAGAAGAA(配列番号:362)
GGAGAAGAAUAAAAUGGAA(配列番号:363)
GAAUAAAAUGGAAAUCCUG(配列番号:364)
UAAAAUGGAAAUCCUGUAC(配列番号:365)
AAUGGAAAUCCUGUACAUA(配列番号:366)
UGGAAAUCCUGUACAUACU(配列番号:367)
AUCCUGUACAUACUAGUGC(配列番号:368)
GUGUGGCCAUUCCCCUGGC(配列番号:369)
UAACCAGAAGUCAUCGUCG(配列番号:370)
CCAGAAGUCAUCGUCGGCA(配列番号:371)
GUCAUCGUCGGCACCAGUC(配列番号:372)
CCAAAACACGUCAGAGGUC(配列番号:373)
AACACGUCAGAGGUCAAAA(配列番号:374)
CACGUCAGAGGUCAAAAUG(配列番号:375)
AAUGUAGAGAUGUCAAUGC(配列番号:376)
UGUAGAGAUGUCAAUGCUG(配列番号:377)
UGCUGAAUGCAUAUAAACC(配列番号:378)
UGCAUAUAAACCCAAGAGC(配列番号:379)
ACCCAAGAGCAAGGCUAAA(配列番号:380)
GAGCAAGGCUAAAGAGCUA(配列番号:381)
GGCUAAAGAGCUACCUCUU(配列番号:382)
AGAGCUACCUCUUUCUGCU(配列番号:383)
GAAUUGGGUGAGUGUGCCU(配列番号:384)
UUGGGUGAGUGUGCCUUUG(配列番号:385)
AAAUCUAUAAAGGCCAUCU(配列番号:386)
AUCUAUAAAGGCCAUCUCU(配列番号:387)
AGGCCAUCUCUAUCUCCCA(配列番号:388)
GACCUUGAAAGACUAUAAC(配列番号:389)
AGACUAUAACAACCCCCAG(配列番号:390)
CAACCCCCAGCAAUGGACG(配列番号:391)
CCCCCAGCAAUGGACGGAA(配列番号:392)
UGGACGGAAUUUCAACAAG(配列番号:393)
UUUCAACAAGAAGCCUCCC(配列番号:394)
CAAGAAGCCUCCCUAAUGG(配列番号:395)
GAAGCCUCCCUAAUGGCAG(配列番号:396)
GCCUCCCUAAUGGCAGAAC(配列番号:397)
UGGCAGAACUGCACCACCC(配列番号:398)
CUGCACCACCCCAAUAUUG(配列番号:399)
UAUUGUCUGCCUUCUAGGU(配列番号:400)
CAACCUGUGUGCAUGCUUU(配列番号:401)
CCUGUGUGCAUGCUUUUUG(配列番号:402)
UCAGGGGGAUCUCCAUGAG(配列番号:403)
GAUGGGACUGUGAAAUCCA(配列番号:404)
AUCCAGCCUGGACCACGGA(配列番号:405)
UUCAGAUUGCAGCUGGCAU(配列番号:406)
UACCUGUCUAGUCACUUCU(配列番号:407)
GGACCUUGCAGCUCGCAAU(配列番号:408)
UAUUUUAAUCGGAGAGCAA(配列番号:409)
UCGGAGAGCAACUUCAUGU(配列番号:410)
CUUCAUGUAAAGAUUUCAG(配列番号:411)
AGAUUUCAGACUUGGGGCU(配列番号:412)
AUUUACUCCGCUGAUUACU(配列番号:413)
GUCCUUGCUGCCCAUUCGC(配列番号:414)
GCCAUCAUGUAUGGCAAAU(配列番号:415)
AUUCUCUUCUGAUUCAGAU(配列番号:416)
CCAGGAAGUGAUUGAGAUG(配列番号:417)
GUGAUUGAGAUGGUGAGAA(配列番号:418)
AACGGCAGCUCUUACCAUG(配列番号:419)
CGGCAGCUCUUACCAUGCU(配列番号:420)
GACUGCCCACCCAGAAUGU(配列番号:421)
UGUACAGCCUCAUGACAGA(配列番号:422)
UGAGAUUCCUUCUAGGAGA(配列番号:423)
GAUUUAAAGAUAUUCACGU(配列番号:424)
AGAUAUUCACGUCCGGCUU(配列番号:425)
GUCACACAAGCUCUACUAC(配列番号:426)
GCUCUACUACUCCUUCAGG(配列番号:427)
AUGCCACCACACAGACAAC(配列番号:428)
CCUCCCUCAGUGCCAGCCC(配列番号:429)
UCUCAGUAACCCCAGAUAU(配列番号:430)
CCCCAGAUAUCCUAAUUAC(配列番号:431)
UUACAUGUUCCCGAGCCAG(配列番号:432)
UACCUCAGAACCAGCGAUU(配列番号:433)
CCAGCGAUUCAUUCCCAUC(配列番号:434)
UGGAUACCCAAUACCUCCU(配列番号:435)
UACCUCCUGGAUAUGCAGC(配列番号:436)
CAGGUCCUCCCAGAGUGAU(配列番号:437)
GAGUCGGUCCCCAAGCAGU(配列番号:438)
GCAGUGCCAGUGGGUCGAC(配列番号:439)
UCAGGAAGCAAAUAUUCCU(配列番号:440)
GCAAAUAUUCCUUUACUAC(配列番号:441)
AUAUUCCUUUACUACCACA(配列番号:442)
UUCCAAAUCAUCCUGGUGG(配列番号:443)
AUCAUCCUGGUGGAAUGGG(配列番号:444)
UGGGUAUCACCGUUUUUGG(配列番号:445)
CAAAUCUCAAAAACCCUAC(配列番号:446)
AUCUCAAAAACCCUACAAA(配列番号:447)
AAACCCUACAAAAUUGACU(配列番号:448)
ACCCUACAAAAUUGACUCA(配列番号:449)
AAUUGACUCAAAGCAAGCA(配列番号:450)
UUGACUCAAAGCAAGCAUC(配列番号:451)
AGCAAGCAUCUUUACUAGG(配列番号:452)
GCAUCUUUACUAGGAGACG(配列番号:453)
UAUUCAUGGACACACCGAA(配列番号:454)
UCUAUGAUUUCUGCAGAAC(配列番号:455)
CUGUAAAAUGCACAACUUU(配列番号:456)
AAUGCACAACUUUUGUAAA(配列番号:457)
UGCACAACUUUUGUAAAUG(配列番号:458)
CUUUUGUAAAUGUGGUAUA(配列番号:459)
AUGUGGUAUACAGGACAAA(配列番号:460)
ACUAGACGGCCGUAGAAAA(配列番号:461)
AAGAUUUAUAUUCAAAUGU(配列番号:462)
GAUUUAUAUUCAAAUGUUU(配列番号:463)
AUGUUUUUAUUAAAGUAAG(配列番号:464)
AGUAAGGUUCUCAUUUAGC(配列番号:465)
GGUUCUCAUUUAGCAGACA(配列番号:466)
CAAGUACCUUCUGUGAAGU(配列番号:467)
GUACCUUCUGUGAAGUUUC(配列番号:468)
GUUUCACUGUGUCUUACCA(配列番号:469)
GCAGGACAGACACUCGGCC(配列番号:470)
〔実施例9〕Human ROR1 siRNAの肺腺癌細胞における発現抑制効果
Human ROR1 siRNAの肺腺癌細胞における発現抑制効果の確認
Human ROR1 RNA干渉法を行うために、ROR1 siRNAを作製した。siROR1-#1およびsiROR1-#2については、RNAi Central (siRNA design) Database[software] (siRNA & shRNAプロトコール: http://katahdin.cshl.org:9331/homepage/portal/scripts/main2.pl)により、同定した293個のHuman ROR1 siRNAのうち、上位にランキングされてきたものを採用した。デザインしたsiRNA-#1およびsiRNA-#2は、SIGMA GENOSYS社によって合成を行った。siROR1-#3(配列番号:471)については、human ROR1のターゲットsiRNAであろうと思われるHP GenomeWide siRNAをQIAGEN社から購入した。また、同様にsiRNAの効果を示さないネガティブコントロールsiRNA (scramble; All Stars Negative Control siRNA)としてQIAGEN社から購入した。ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、および子宮頚癌細胞株HeLaについて、それぞれのROR1 siRNA (#1、#2、#3)およびscrambleを最終濃度40nMで各々の細胞株にRNAiMAX (invitrogen社)を使ってトランスフェクションを行った。トランスフェクション後、72時間後にSDSサンプルバッファーを用いてライセートを調整した。その時、何も処理を施していないサンプル(non-transfected)も調整した。SDS-PAGEに引き続き、抗ROR1抗体(Cell Signaling社)を使って、ウェスタンブロッティングを行った。
結果と考察(図8)
Human ROR1 siRNA (#1, #2, #3)を使って、それぞれの発現抑制の効果をタンパク質レベルで確かめるためにウエスタンブロッティング法によりROR1の発現を調べた結果、siROR1-#1、siROR1-#2、siROR1-#3いずれにおいてもROR1の発現低下を認めた。
また、同様にsiRNAの効果を示さないネガティブコントロールsiRNA (scramble)で処理した場合は、ROR1の発現抑制を示さないことが分かった。
今回使用した細胞は、肺腺癌由来の細胞としてNCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、子宮頚癌由来の細胞としてHeLaであり、それぞれにおいてROR1の発現が検出される細胞株である(non-transfected)。
この結果から、作製した3つのROR1 siRNAは、いずれにおいてもROR1の発現抑制の効果を示し、また、各々の細胞で特異的にROR1の発現を抑制することが判明した。
〔実施例10〕ROR1発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞の割合の低下
肺腺癌細胞におけるROR1の発現抑制(siRNAを用いたRNA干渉法の実施)、MTTアッセイ
TTF-1、ROR1の発現がともに認められる肺腺癌細胞株NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、およびTTF-1、ROR1の発現がともに認められない肺腺癌細胞株NCI-H23、A549、また、子宮頚癌細胞株HeLaについて、1×105 cellsで6 well dishに種々の細胞を撒き、scrambleおよび各々のROR1 siRNA (#1、#2、#3)を最終濃度40nMで各々の細胞にRNAiMAX (invitrogen社)を使ってトランスフェクションを行った。また、このとき、何も処理を施していない(non-transfected)コントロール群も設定した。トランスフェクション後、120時間後に、Cell Proliferation Assay System (生化学バイオビジネス社)に基づき、TetraColor ONEを培養メディウムの1/10量加え、1時間37℃でインキュベーションした。その後、吸光度測定器(ARVOmx-fa system; PerkinElmer社)を用いて、吸光度450nmおよび630nmを測定し、アッセイ値(450nm-630nm)-バックグラウンド(450nm-630nm)で測定値を算出し、グラフ化した。
結果と考察(図9)
ROR1の発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞の割合を調べるために、それぞれの細胞 (NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、NCI-H23、A549)にROR1 siRNA (#1, #2, #3)をトランスフェクションし、MTT法により、生細胞の割合を測定した結果、ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1)において、それぞれのROR1 siRNAで顕著な生細胞の割合の低下が認められた。これとは対照的に、ROR1の発現が認められない肺腺癌細胞株(NCI-H23、A549)では、ROR1 siRNAの影響は認められなかった。
non-transfectedは、何も処理を施していないコントロールであり、また、scrambleはsiRNAの効果を示さないネガティブコントロールsiRNAとして処理したものであり、どちらにおいても生細胞の割合に変化が見られないことが分かった。
また、子宮頚癌由来の細胞(HeLa)については、ROR1 siRNAにより、細胞生存率の低下が報告されており(MacKeigan JP, et al., Nat.Cell Biol. 2005)、本発明者らの作製した各々のROR1 siRNAにおいても同様の効果を得ることが分かった。
この結果から、ROR1は(TTF-1によって調節され)発現が認められる肺腺癌の生存に関与する非常に重要な制御因子であることが判明した。
〔実施例11〕ROR1発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞数の減少
肺腺癌細胞におけるROR1の発現抑制(siRNAを用いたRNA干渉法の実施)、生細胞数の測定
TTF-1、ROR1の発現がともに認められる肺腺癌細胞株NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、およびTTF-1、ROR1の発現がともに認められない肺腺癌細胞株NCI-H23、A549、また、子宮頚癌細胞株HeLaについて、1×105 cellsで6 well dishに種々の細胞を撒き、scrambleおよび各々のROR1 siRNA (#1、#2、#3)を最終濃度40nMで各々の細胞にRNAiMAX (invitrogen社)を使ってトランスフェクションを行った。また、このとき、何も処理を施していない(non-transfected)コントロール群も設定した。トランスフェクション後、120時間後に、細胞剥離のためのトリプシン処理を行い、non-transfected、scramble、siROR1-1、siROR1-2、siROR1-3について、それぞれの細胞ごとに計測盤を用いてカウンターで測定し、グラフ化した。
結果と考察(図10)
ROR1の発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞数を調べるために、それぞれの細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、NCI-H23、A549)にROR1 siRNA (#1, #2, #3)をトランスフェクションし、細胞数を測定することにより、細胞数の変動を調べた結果、ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1)において、それぞれのROR1 siRNAで顕著な細胞数の減少が認められた。これとは対照的に、ROR1の発現が認められない肺腺癌細胞株(NCI-H23、A549)では、ROR1 siRNAの影響は認められなかった(non-transfectedやscrambleと非常に類似した細胞数の変化を示している)。
また、子宮頚癌由来の細胞(HeLa)についても同様にROR1 siRNAによって、細胞数の減少を認めた。
実施例10と同様に、ROR1は発現が認められる肺腺癌の生存に関与する非常に重要な制御因子であることが生細胞数の減少からも確認できた。
〔実施例12〕ROR1発現抑制による肺腺癌細胞のアポトーシス細胞の割合の増加
肺腺癌細胞におけるROR1の発現抑制(siRNAを用いたRNA干渉法の実施)、TUNEL法(アポトーシス・細胞死測定法)
TTF-1、ROR1の発現がともに認められる肺腺癌細胞株NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、およびTTF-1、ROR1の発現がともに認められない肺腺癌細胞株NCI-H23、A549、また、子宮頚癌細胞株HeLaについて、1×105 cellsでカバーガラスの入った6 well dishに種々の細胞を撒き、scrambleおよび各々のROR1 siRNA (#1、#2、#3)を最終濃度40nMで各々の細胞にRNAiMAX (invitrogen社)を使ってトランスフェクションを行った。また、このとき、何も処理を施していない(non-transfected)コントロール群も設定した。トランスフェクション後、72時間後に、培養メディウムを取り除き、細胞固定のために、3.7%ホルマリン溶液に10分間室温で反応させ、その後、PBSで洗浄後、試料の浸透化のために、0.1%トライトンX-100溶液に10分間室温で反応させ、またPBSで洗浄を行った。その後、PBSで溶かした1%BSA溶液でブロッキングを行った。In situ Cell Detection kit, Fluorescein (ロッシュ・ダイアグノスティックス社)に基づき、TUNEL反応液による標識・細胞染色を1時間室温で行った。PBSで洗浄後、細胞核を染色するために、核蛍光色素であるPI(Propidium Iodide; SIGMA ALDRICH社)をPBSで最終濃度1 μg/mlで溶解し30分室温で反応させた。その後、PBSで洗浄した後、免疫組織化学染色試薬Perma Fluor Aquaous Mounting Medium(Thermo Shandon社)を用いて、スライドガラスに固定し、それぞれプレパラートを作製した。その後、共焦点レーザー顕微鏡(μRadiance)にて観察を行い、染色されている細胞についてカウンターを用いて測定し、割合を算出し、グラフ化した。
結果と考察(図11)
ROR1の発現抑制による肺腺癌細胞のアポトーシスの細胞の割合を調べるために、それぞれの細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、NCI-H23、A549)にROR1 siRNA (#1, #2, #3)をトランスフェクションし、アポトーシスの細胞をTUNEL法によって測定することにより、細胞死の割合を調べた結果、ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1)において、それぞれのROR1 siRNAで顕著なアポトーシスの細胞の増加、細胞死の割合の上昇が認められた。これとは対照的に、ROR1の発現が認められない肺腺癌細胞株(NCI-H23、A549)では、ROR1 siRNAの影響は認められなかった(non-transfectedやscrambleでは、アポトーシスが引き起こされていない)。
また、子宮頚癌由来の細胞(HeLa)についても同様にROR1 siRNAによって、アポトーシスの細胞の割合の増加を認めた。
実施例10および実施例11と同様に、ROR1は発現が認められる肺腺癌の生存に関与する非常に重要な制御因子であることがアポトーシスの細胞の増加からも確認できた。
〔実施例13〕ROR1発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞数低下の観察
肺腺癌細胞におけるROR1の発現抑制(siRNAを用いたRNA干渉法の実施)、画像の取得
TTF-1、ROR1の発現がともに認められる肺腺癌細胞株NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、およびTTF-1、ROR1の発現がともに認められない肺腺癌細胞株NCI-H23、A549、また、子宮頚癌細胞株HeLaについて、1×105 cellsで6 well dishに種々の細胞を撒き、scrambleおよび各々のROR1 siRNA (#1、#2、#3)を最終濃度40nMで各々の細胞にRNAiMAX (invitrogen社)を使ってトランスフェクションを行った。また、このとき、何も処理を施していない(non-transfected)コントロール群も設定した。トランスフェクション後、120時間後に、細胞の状態を観察するために、オールインワンデジタル顕微鏡(Nikon社)により、画像を取得した。
結果と考察(図12)
実施例10と同様に、ROR1の発現抑制による肺腺癌細胞の生細胞の割合を調べるために、それぞれの細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1、NCI-H23、A549)にROR1 siRNA (#1, #2, #3)をトランスフェクションし、その時の細胞の状態を観察した結果、non-transfectedやscrambleと比較して、ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株(NCI-H358、SK-LC-5、NCI-H1975、SK-LU-1)において、それぞれのROR1 siRNAで顕著な生細胞の割合の低下、生細胞数の低下を観察した。
また、ROR1の発現が認められない肺腺癌細胞株(NCI-H23、A549)では、ROR1 siRNAの影響は認められず、non-transfectedやscrambleと同様の結果であった。
子宮頚癌由来の細胞(HeLa)についても、同様にROR1 siRNAによって、生細胞の割合の低下、生細胞数の減少を観察した。
実施例10−12と同様に、ROR1は発現が認められる肺腺癌の生存に関与する非常に重要な制御因子であることが生細胞数低下の観察からも確認できた。
〔実施例14〕Human ROR1 siRNAの様々な癌細胞における発現抑制効果
Human ROR1 siRNAの様々な癌細胞における発現抑制効果の確認
Human ROR1 RNA干渉法を行うために、独自にデザイン(RNAi Central: siRNA design)したsiROR1-#2を使用した(SIGMA GENOSYS社により合成)。同様にsiRNAの効果を示さないネガティブコントロールsiRNA (scramble; All Stars Negative Control siRNA)をQIAGEN社から購入した。中皮腫細胞として、NCI-H28(中皮腫細胞)、NCI-H2052(中皮腫細胞)、NCI-H2452(中皮腫細胞)、また、膵臓癌細胞として、MIA PaCa-2(膵臓癌細胞)、SW-1990(膵臓癌細胞)、さらに、骨肉腫細胞として、U-2 OS(骨肉腫細胞)について、ROR1 siRNA (#2)およびscrambleを最終濃度40nMで各々の細胞にRNAiMAX (invitrogen社)を使ってトランスフェクションを行った。トランスフェクション後、72時間後にSDSサンプルバッファーを用いてライセートを調整した。その時、何も処理を施していないサンプル(non-transfected)も調整した。SDS-PAGEに引き続き、抗ROR1抗体(Cell Signaling社)を使って、ウェスタンブロッティングを行った。
結果と考察(図13)
Human ROR1 siRNA (#2)の発現抑制の効果をタンパク質レベルで確かめるためにウエスタンブロッティング法によりROR1の発現を調べた結果、様々な癌由来の細胞において特異的なROR1の発現低下を認めた。
また、同様にsiRNAの効果を示さないネガティブコントロールsiRNA (scramble)で処理した場合は、ROR1の発現抑制を示さないことが分かった。
今回使用した細胞は、中皮腫由来の細胞としてNCI-H28、NCI-H2052、NCI-H2452、膵臓癌由来の細胞としてMIA PaCa-2、SW-1990、骨肉腫由来の細胞としてU-2 OSであり、それぞれにおいてROR1の発現が検出される細胞株である(non-transfected)。
この結果から、独自にデザインしたROR1 siRNA(#2)は、ROR1の発現抑制の効果を示し、また、様々な癌由来の細胞において特異的にROR1の発現を抑制することが判明した。
〔実施例15〕ROR1発現抑制による様々な癌細胞での生細胞の割合の低下
様々な癌細胞におけるROR1の発現抑制(siRNAを用いたRNA干渉法の実施)、MTTアッセイ
ROR1の発現が認められる中皮腫細胞NCI-H28、NCI-H2052、TTFNCI-H2452、また膵臓癌細胞MIA PaCa-2、SW-1990、骨肉腫細胞U-2 OS-1について、1×105 cellsで6 well dishに種々の細胞を撒き、scrambleおよびROR1 siRNA (siRNA-#2)を最終濃度40nMで各々の細胞にRNAiMAX (invitrogen社)を使ってトランスフェクションを行った。また、このとき、何も処理を施していない(non-transfected)コントロール群も設定した。トランスフェクション後、120時間後に、Cell Proliferation Assay System (生化学バイオビジネス社)に基づき、TetraColor ONEを培養メディウムの1/10量加え、1時間37℃でインキュベーションした。その後、吸光度測定器(ARVOmx-fa system; PerkinElmer社)を用いて、吸光度450nmおよび630nmを測定し、アッセイ値(450nm-630nm)-バックグラウンド(450nm-630nm)で測定値を算出し、グラフ化した。
結果と考察(図14)
ROR1の発現抑制による様々な癌由来の細胞での生細胞の割合を調べるために、それぞれの細胞 (中皮腫細胞:NCI-H28、NCI-H2052、NCI-H2452、膵臓癌細胞:MIA PaCa-2、SW-1990、骨肉腫細胞:U-2 OS)にROR1 siRNA (siRNA-#2)をトランスフェクションし、MTT法により、生細胞の割合を測定した結果、ROR1の発現が認められる各々の癌由来の細胞において、ROR1 siRNAで生細胞の割合の低下が認められた。また、今回本発明者らがデザインしたROR1 siRNA(siROR1-#2)は、顕著な生細胞の割合の低下を引き起こすことが判明した。
non-transfectedは、何も処理を施していないコントロールであり、また、scrambleはsiRNAの効果を示さないネガティブコントロールsiRNAとして処理したものであり、どちらにおいても生細胞の割合に変化が見られないことが分かった。
この結果から、ROR1の発現は、様々な癌細胞の生存に関与する非常に重要な制御因子であることが判明した。さらに、ROR1の発現抑制(siRNAを用いたRNAi干渉)により、これらの癌由来の細胞株が死滅することから、肺癌や骨肉腫、極めて治療が困難である中皮腫や膵臓癌に対して臨床応用としてのROR1をターゲットとした治療法への応用が期待でき、RNAi干渉法を用いた新規癌治療システムの開発等が考えられる。
〔実施例16〕ROR1発現抑制による肺腺癌細胞の生存シグナルの低下
肺腺癌細胞でのROR1発現抑制によるAKT及びp38のリン酸化反応の影響
ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株NCI-H1975を用いて、1×105 cellsで6 well dishに細胞を撒き、scramble siRNA及びROR1 siRNA(#2)を最終濃度40nMで、トランスフェクション試薬RNAiMAX(invitrogen)を使って、トランスフェクションを行った。トランスフェクション後、48時間後にSDSサンプルバッファーを用いて、ライセートを調製した。SDS-PAGEに引き続き、抗ROR1抗体(Cell Signaling社)、抗リン酸化AKT(セリン473)抗体(Cell Signaling社)、抗AKT抗体(Cell Signaling社)、抗リン酸化p38(スレオニン180及びチロシン182)抗体(Cell Signaling社)、抗p38抗体(Cell Signaling社)、抗α-tubulin抗体(SIGMA)を使って、ウエスタンブロッティング(WB)を行った。
結果と考察(図15)
肺腺癌細胞株を用いて、ROR1の発現抑制によるAKT及びp38のリン酸化反応の影響を調べるために、NCI-H1975でのROR1の発現抑制を行った。その結果、ROR1発現抑制下において、コントロール(対照群)として用いたscramble siRNAと比較して、AKTのリン酸化反応(セリン473)の有意な低下を認めた。また、p38のリン酸化反応(スレオニン180及びチロシン182)の有意な上昇を認めた。
以上の結果から、癌細胞株におけるROR1の発現抑制は、その癌細胞にとって最も重要な生存シグナルであるAKTのリン酸化反応の低下を引き起こし、さらには、細胞死の最も重要なアポトーシスシグナルの指標であるp38のリン酸化反応の上昇を引き起こすことが判明した。この結果は、細胞増殖阻害剤としての核酸組成物(ROR1 siRNA)の、癌を対象とした治療法としての有用性を示唆する。
〔実施例17〕ROR1恒常的発現細胞株の樹立と癌関連タンパク質の発現の上昇
ROR1恒常的発現細胞株におけるc-myc、cyclinD1、c-junの発現上昇
NIH3T3細胞株(マウス胚由来の線維芽細胞株)及び、MSTO細胞株(ヒト中皮腫由来の細胞株)を用いて、ROR1恒常的発現細胞株を作製した。なお、両細胞株とも、TTF-1、ROR1の内因性の発現は認められない。NIH3T3細胞株及びMSTO細胞株を用いて、ROR1(CMVプロモーター搭載)あるいは、空ベクター(VC)を強制発現させた(10 cm dish)。ROR1、空ベクターを導入24時間後に、それぞれの細胞株に対してpuromycinでselectionを行った(NIH3T3: 6μg/ml、MSTO: 1μg/ml)。selectionの後(NIH3T3: 6days、MSTO: 3days)、各々の細胞塊(コロニー)の形成を確認し、それぞれのコロニーを増殖・成長させることで、ROR1を恒常的に発現した純粋な細胞株を樹立した。図に示してある細胞株は、NIH3T3細胞株として、VC#8及び、ROR1#24であり、MSTO細胞株として、VC#1、VC#2、ROR1#1、ROR1#2である。なお、NIH3T3細胞株におけるmockとは、トランスフェクションを行う前のNIH3T3細胞株そのものである。次に、これらの細胞株を使って、SDSサンプルバッファーにより、ライセートを調製した。SDS-PAGEに引き続き、抗ROR1抗体(Cell Signaling社)、抗c-myc抗体(SantaCruz社)、抗cyclinD1抗体(BD Bioscience社)、抗c-jun抗体(Calbiochem社)、抗α-tubulin抗体(SIGMA)を使って、ウエスタンブロッティング(WB)を行った。
結果と考察(図16)
TTF-1及びROR1をともに発現していない細胞株(NIH3T3、MSTO)を用いて、ROR1恒常的発現細胞株を樹立した。これらの細胞株を用いて、癌関連タンパク質の発現を調べたところ、両細胞株において、ベクターコントロール(VC)細胞株と比較して、ROR1の発現特異的に、代表的な癌関連タンパク質であるc-mycやcyclinD1、c-junの発現上昇が認められた。
以上の結果から、ROR1遺伝子は、特異的に癌関連タンパク質であるc-mycやcyclinD1、c-junを調節しており、ROR1の特異的な発現は、これらのタンパク質の発現量を増加させることが判明した。この結果から、癌で特異的に発現しているROR1は、癌遺伝子である可能性が高く、c-mycやcyclinD1、c-junを調節していると考えられる。また、本発明が、ROR1遺伝子をターゲットとしていることから、癌におけるROR1を臨床的治療の対象とすることが適切であることを示唆するものである。
〔実施例18〕肺腺癌細胞でのROR1発現抑制による癌関連タンパク質の発現低下
肺腺癌細胞でのROR1発現抑制によるc-myc、cyclinD1、c-junの発現低下
ROR1の発現が認められる肺腺癌細胞株NCI-H1975を用いて、1×105 cellsで6 well dishに細胞を撒き、scramble siRNA及びROR1 siRNA(#2)を最終濃度40nMで、トランスフェクション試薬RNAiMAX(invitrogen)を使って、トランスフェクションを行った。トランスフェクション後、48時間後にSDSサンプルバッファーを用いて、ライセートを調製した。SDS-PAGEに引き続き、抗ROR1抗体(Cell Signaling社)、抗c-myc抗体(SantaCruz社)、抗cyclinD1抗体(BD Bioscience社)、抗c-jun抗体(Calbiochem社)、抗α-tubulin抗体(SIGMA)を使って、ウエスタンブロッティング(WB)を行った。
結果と考察(図17)
肺腺癌細胞株を用いて、ROR1の発現抑制における癌関連タンパク質の影響を調べるために、NCI-H1975でのROR1の発現抑制を行った。その結果、ROR1発現抑制下において、コントロール(対照群)として用いたscramble siRNAと比較して、主要な癌関連タンパク質である、c-mycやcyclinD1、c-junの有意な発現低下を認めた。
以上の結果から、癌細胞株におけるROR1の発現は、特異的に、c-mycやcyclinD1、c-junに代表される癌関連タンパク質の発現を調節していることが分かり、実施例17で行った、ROR1恒常的発現細胞株を用いた実験の結果を支持するものである。さらに、このROR1 siRNA(#2)により、癌細胞株における主要な癌関連タンパク質(c-myc、cyclinD1、c-jun)の有意な発現低下を示したことから、本発明の意図とする細胞増殖阻害剤としての核酸組成物(ROR1 siRNA)の、癌の治療法としての有用性を強く示唆する結果である。
〔実施例19〕癌遺伝子ROR1発現における細胞増殖能及びコロニー形成能の亢進
ROR1恒常的発現細胞株での少数細胞集団からの増殖能・コロニー形成能の亢進
実施例17で作製したROR1の恒常的発現細胞株であるMSTO細胞株を使って、ROR1の癌特性としての増殖能に対する評価を、コロニーフォーメーションアッセイ及びMTT法(生細胞の測定)を用いて行った。ROR1恒常的発現細胞株であるMSTO細胞株(VC#1、VC#2、VC#5、ROR1#1、ROR1#2、ROR1#5)を10 cm dishにそれぞれ、1×103 cellずつ撒き、経時的な細胞数の変化とコロニー形成能を2種類の方法で、評価した。まず、各々の細胞を撒いてから、0日目、11日目、18日目、21日目において、Cell Proliferation Assay System(生化学バイオビジネス社)に基づき、TetraColor ONEを培養メディウムの1/10量加え、1時間37℃でインキュベーションを行った。その後、吸光度測定器(ARVOmx-fa system; PerkinElmer社)を用いて、吸光度450nm及び630nmを測定し、アッセイ値(450nm-630nm)-バックグラウンド(450nm-630nm)で測定値を算出し、Microsoft Excelを用いて、グラフ化した。また、各々の細胞を撒いてから、21日目において、全ての培養メディウムを抜き取り、ギムザ染色液(MERCK社)を用いて、1時間室温で作用させたのち、水道水で2〜3回洗浄したのち、乾燥させることで、コロニー(細胞塊)を染色し、コロニー形成能として評価した。
結果と考察(図18)
ROR1恒常的発現悪性中皮腫細胞株(MSTO細胞株)を用いて、ROR1の癌特性としての生理的機能、増殖能を調べた。その結果、測定開始時の細胞数として、1×103 cellという少ない細胞数から開始したところ、18日後、あるいは21日後において、ベクターコントロール(VC#1、VC#2、VC#5)と比べて、有意にROR1恒常的発現細胞株(ROR1#1、ROR1#2、ROR1#5)の細胞数の増加、増殖能の亢進を認めた(21日後の場合、約4.5倍[MTTアッセイ])。また、21日後のコロニーフォーメーションアッセイの結果により、有意に、ROR1恒常的発現細胞株においてコロニー形成能が亢進していることが判明した。
ROR1恒常的発現悪性中皮腫細胞株を用いた実験から、ROR1の発現は、癌特性の1つである増殖能に関与していることが分かり、また、癌として最も重要視される、"少ないポピュレーション(細胞集団)からの増殖能"を獲得することが分かった。このことから、このような特性を有するROR1遺伝子をターゲットとすることが、癌を治療する上で非常に重要であり、このROR1遺伝子を標的とした核酸組成物(ROR1 siRNA)が治療法として有用と考えられる。
〔実施例20〕癌遺伝子ROR1発現における足場非依存性増殖能の亢進
ROR1恒常的発現細胞株での足場非依存性増殖能(anchorage-independent growth)の亢進
実施例17で作製したROR1の恒常的発現細胞株である悪性中皮腫細胞株MSTO細胞株を使って、ROR1の癌特性としての足場非依存性増殖能に対する評価を、Soft agar assayを用いて行った。まず、Soft agar assayを行うために、100mLの滅菌水に対して1gのAgar Noble(BD Bioscience社)を溶解し、1% agar溶液を作製し、45℃で浴槽にて保温した。2×RPMI medium(SIGMA社)を作製し、1% agar溶液と混ぜ合わせることで、soft agar溶液とし、6 cm dishに適量加えた。そこに、ROR1の恒常的発現細胞株であるMSTO細胞株(VC#1、VC#5、ROR1#2、ROR1#5)をトリプシン処理にて、1つ1つの細胞(single cell)にさせた後、3×104 cellずつ、細胞を撒き、37℃で培養した。2週間後、ギムザ染色液(MERCK社)を用いて、室温で一昼夜作用させ、コロニー(細胞塊)を染色し、コロニー数の測定を行った。
結果と考察(図19)
ROR1恒常的発現悪性中皮腫細胞株(MSTO細胞株)を用いて、ROR1の癌特性としての生理的機能、足場非依存性増殖能を調べた。その結果、14日後において、ベクターコントロール(VC#1、VC#5)と比べて、有意にROR1恒常的発現細胞株(ROR1#2、ROR1#5)のコロニー数の増加、つまりは、足場非依存性増殖能の亢進を認めた(約6倍)。
ROR1恒常的発現細胞株を用いた実験から、ROR1の発現は、癌特性の1つである足場非依存性増殖能に関与していることが判明した。このことから、実施例19の結果と同様に、このような特性を有するROR1遺伝子をターゲットとすることが、癌を治療する上で非常に重要であり、このROR1遺伝子を標的とした核酸組成物(ROR1 siRNA)が有用な治療法の開発につながると考えられる。
マスター調節因子TTF-1による、受容体型チロシンキナーゼROR1を介する癌化シグナル伝達の機能解析を推進することによって、新たな概念の癌化メカニズムの本態解明が可能となるばかりでなく、特定のlineageの癌細胞のみを標的とした、より安全な癌治療への道を開く鍵になるものと期待され、臨床的な診断と治療への応用を見据えた臨床応用に発展するものと期待される。
本発明によって、ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を含む、細胞増殖阻害剤が提供された。これまで、ROR1遺伝子が種々の癌細胞で発現することは明らかにされていなかった。一方、本発明者らは、ROR1遺伝子は、様々な癌由来の細胞株において一様に発現している一方で、正常細胞では発現をほとんど認めないという知見を明らかにした。さらに、本発明者らはRNAi干渉法により、種々の癌細胞でROR1遺伝子の発現が阻害されることを明らかにした。
従って、本発明のROR1遺伝子の発現を阻害する核酸は、特定の癌細胞のみを標的とした安全性の高い癌治療法に応用することができる。
また、癌化シグナル伝達経路において重要な役割を担っていると考えられるROR1は、受容体型チロシンキナーゼであることから、癌化シグナルの出発点であり、癌細胞の生存に関わることから、ROR1が受容体として機能する前に、遺伝子レベルでROR1遺伝子の発現を阻害することで、ROR1の下流のシグナルも阻害され、結果として副作用の少ないROR1特異的な癌治療が可能となる。

Claims (9)

  1. ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸を含む、細胞の増殖を阻害するための組成物。
  2. ROR1遺伝子の発現を阻害する核酸が、siRNA、siRNAを発現するベクター、アンチセンスRNA、アンチセンスRNAを発現するベクター、アンチセンスDNA、リボザイム、又は、リボザイムを発現するベクターである、請求項1に記載の組成物。
  3. siRNAが、ROR1遺伝子のmRNAのいずれかの領域のセンス鎖RNA及び該センス鎖RNAのアンチセンス鎖RNAを有するsiRNAである、請求項2に記載の組成物。
  4. 細胞が癌細胞である、請求項1に記載の組成物。
  5. 細胞が、肺癌細胞、肺腺癌細胞、中皮腫細胞、膵臓癌細胞、または骨肉腫細胞である、請求項1に記載の組成物。
  6. 以下の(1)から(3)に記載の工程を含む、細胞増殖阻害活性を有する候補化合物のスクリーニング方法;
    (1)ROR1タンパク質と試験化合物を接触させる工程、
    (2)該ROR1タンパク質と試験化合物の結合レベルを測定する工程、及び、
    (3)該ROR1タンパク質に結合する試験化合物を選択する工程。
  7. 以下の(1)から(3)に記載の工程を含む、細胞増殖阻害活性を有する候補化合物のスクリーニング方法;
    (1)ROR1遺伝子を発現する細胞又は細胞抽出液と試験化合物を接触させる工程、
    (2)ROR1遺伝子の発現レベルを測定する工程、及び、
    (3)試験化合物の非存在下と比較して、試験化合物の存在下におけるROR1遺伝子の発現レベルを減少させる試験化合物を選択する工程。
  8. 以下の(1)から(3)に記載の工程を含む、細胞増殖阻害活性を有する候補化合物のスクリーニング方法;
    (1)ROR1遺伝子の転写調節領域及び該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞又は細胞抽出液と試験化合物を接触させる工程、
    (2)レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程、及び、
    (3)試験化合物の非存在下と比較して、試験化合物の存在下におけるレポーター遺伝子の発現レベルを減少させる試験化合物を選択する工程。
  9. 以下の(1)から(3)に記載の工程を含む、細胞増殖阻害活性を有する化合物のスクリーニング方法;
    (1)ROR1遺伝子を発現する細胞と試験化合物を接触させる工程、
    (2)細胞の増殖レベルを測定する工程、及び、
    (3)試験化合物の非存在下と比較して、試験化合物の存在下における細胞の増殖レベルを減少させる試験化合物を選択する工程。
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