JPWO2009151121A1 - 感覚呈示システム及び感覚呈示装置 - Google Patents

感覚呈示システム及び感覚呈示装置 Download PDF

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Abstract

視覚を介して認識させた仮想的な身体疑似画像に基づいてユーザに対し所望の触覚刺激を知覚させ得る感覚呈示システム及び感覚呈示装置を提供することを目的とする。触覚部5によりユーザ2の手背3に触覚刺激を与え、身体疑似画像25と触覚部疑似画像26とを仮想空間内に表示し、触覚部疑似画像26が身体疑似画像26に仮想触覚刺激を与えるような動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える際に、触覚部5が手背3に対し前記触覚刺激を与える動作とは異なる動作映像を呈示し、この動作映像により与える視覚刺激と、触覚部5により与える触覚刺激とに基づいて、仮想触覚刺激に相当する触覚刺激をユーザ2に知覚させるようにしたことにより、視覚を介して認識させた仮想的な身体疑似画像25に基づいてユーザ2に対し所望の触覚刺激を知覚させることができる。

Description

本発明は感覚呈示システム及び感覚呈示装置に関する。
近年、触覚フィードバックを備えた入力デバイスとして、データグローブをはじめさまざまな方式が開発・市販されるようになってきた。例えば、米国SensAble Technologies社のPHANToM(商品名)では、仮想物体の質感をステック型のインターフェースによって多様に表現可能となっている。しかしながら、これらの装置は、現実世界の反力や皮膚感覚を正確に再現しようとすることを主眼としており、その皮膚感覚等を再現するために複雑な駆動系が必要となるため、構成が複雑になり生産コストがかかるという問題があった。
そこで、発明者らはこうした問題点に対して、仮想空間内における人間の身体感覚に着目した感覚呈示装置の発明や、身体感覚の操作による作業者の意識バランスの改善を意図したシミュレーション装置の発明等を行ってきた(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2003―330582号公報 特開2007―304973号公報
そして、エンターテイメント等の分野や生産分野等この他種々の分野おいては、一段と高度な仮想現実の世界を演出することが望まれていることから、どのようにすれば、視覚を介して認識させた仮想的な身体疑似画像に基づいてユーザに対し所望の触覚刺激を知覚させることができるかについての研究が行われている。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、視覚を介して認識させた仮想的な身体疑似画像に基づいてユーザに対し所望の触覚刺激を知覚させ得る感覚呈示システム及び感覚呈示装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載は、触覚部によりユーザの身体所定部位に触覚刺激を与える触覚呈示手段と、前記身体所定部位に対応する身体疑似画像と、前記触覚部に対応する触覚部疑似画像とを仮想空間内に表示し、前記触覚部疑似画像が前記身体疑似画像に仮想触覚刺激を与えるような動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える視覚呈示手段とを備え、前記視覚呈示手段は、前記触覚部によって前記身体所定部位に対し前記触覚刺激を与える動作とは異なる動作映像を呈示し、前記動作映像により与える前記視覚刺激と、前記触覚部により与える前記触覚刺激とに基づいて、前記仮想触覚刺激に相当する触覚刺激を前記ユーザに知覚させることを特徴とする。
本発明の請求項2記載は、前記触覚呈示手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触させた状態で移動させることにより前記触覚刺激を与え、前記視覚呈示手段は、前記仮想空間内で前記身体疑似画像に対して前記触覚部疑似画像を重ねて表示した状態で、前記触覚部の移動距離とは異なる移動距離だけ前記触覚部疑似画像を移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与えることを特徴とする。
本発明の請求項3記載は、前記触覚呈示手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触及び非接触させて前記触覚刺激を与え、前記視覚呈示手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部が非接触のとき、前記仮想空間内に表示した前記身体疑似画像に対して前記触覚部疑似画像を重ね、前記身体所定部位に対して前記触覚部が接触のとき、前記触覚部疑似画像を前記身体疑似画像から離す動作映像を呈示して前記視覚刺激を与えることを特徴とする。
本発明の請求項4記載は、前記触覚呈示手段は、前記身体所定部位に前記触覚部を接触させた状態で静止させて前記触覚刺激を与え続け、前記視覚呈示手段は、前記仮想空間内に表示した前記触覚部疑似画像を所定方向に移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与えることを特徴とする。
本発明の請求項5記載は、前記触覚呈示手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触させた状態で所定方向に移動させて前記触覚刺激を与え、前記視覚呈示手段は、前記仮想空間内に表示した前記触覚部疑似画像を静止させた状態のまま、前記身体疑似画像を前記所定方向に移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与えることを特徴とする。
本発明の請求項6記載は、触覚部によりユーザの身体所定部位に触覚刺激を与える触覚呈示手段と、前記身体所定部位に対応する身体疑似画像と、前記触覚部に対応する触覚部疑似画像とを仮想空間内に表示し、前記触覚部疑似画像が前記身体疑似画像に仮想触覚刺激を与えるような動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える視覚呈示手段とを制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記触覚部によって前記身体所定部位に対し前記触覚刺激を与える動作とは異なる動作映像を前記視覚呈示手段に呈示させ、前記動作映像により与える前記視覚刺激と、前記触覚部により与える前記触覚刺激とに基づいて、前記仮想触覚刺激に相当する触覚刺激を前記ユーザに知覚させるを備えることを特徴とする。
本発明の請求項7記載は、前記制御手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触させた状態で移動させることにより前記触覚刺激を与える動作命令を前記触覚呈示手段に送出し、前記仮想空間内で前記身体疑似画像に対して前記触覚部疑似画像を重ねて表示した状態で、前記触覚部の移動距離とは異なる移動距離だけ前記触覚部疑似画像を移動させる動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える映像データを前記視覚呈示手段に送出することを特徴とする。
本発明の請求項8記載は、前記制御手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触及び非接触させて前記触覚刺激を与える動作命令を前記触覚呈示手段に送出し、前記身体所定部位に対して前記触覚部が非接触のとき、前記仮想空間内に表示した前記身体疑似画像に対して前記触覚部疑似画像を重ね、前記身体所定部位に対して前記触覚部が接触のとき、前記触覚部疑似画像を前記身体疑似画像から離す動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える映像データを前記視覚呈示手段に送出することを特徴とする。
本発明の請求項9記載は、前記制御手段は、前記身体所定部位に前記触覚部を接触させた状態で静止させて前記触覚刺激を与え続ける動作命令を前記触覚呈示手段送出し、前記仮想空間内に表示した前記触覚部疑似画像を所定方向に移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える映像データを前記視覚呈示手段に送出することを特徴とする。
本発明の請求項10記載は、前記制御手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触させた状態で所定方向に移動させて前記触覚刺激を与える動作命令を前記触覚呈示手段に送出し、前記仮想空間内に表示した前記触覚部疑似画像を静止させた状態のまま、前記身体疑似画像を前記所定方向に移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える映像データを前記視覚呈示手段に送出することを特徴とする。
本発明の請求項11記載は、前記触覚呈示手段と前記視覚呈示手段は、筐体に設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項1記載の感覚呈示システム及び請求項6記載の感覚呈示装置によれば、視覚を介して認識させた仮想的な身体疑似画像に基づいてユーザに対し所望の触覚刺激を知覚させ得る感覚呈示システム及び感覚呈示装置を提供できる。
本発明の請求項2記載の感覚呈示システム及び請求項7記載の感覚呈示装置によれば、触覚部の移動距離と、仮想空間上での触覚部疑似画像の移動距離とが異なっても、触覚刺激と視覚刺激とに基づいて、仮想空間上での触覚部疑似画像の移動距離に相当する移動距離だけ、当該触覚部が移動しているかのような触覚刺激を知覚させることができる。
本発明の請求項3記載の感覚呈示システム及び請求項8記載の感覚呈示装置によれば、実際には触覚部により身体所定部位が接触させているだけにもかかわらず、身体疑似画像に対して触覚部疑似画像が離れる動作映像を視認させることにより与えられる視覚刺激により、あたかも触覚部が身体所定部位を引っ張っているかのような触覚刺激をユーザに対して知覚させることができる。
本発明の請求項4記載の感覚呈示システム及び請求項9記載の感覚呈示装置によれば、実際には触覚部が静止しているだけにもかかわらず、触覚刺激と視覚刺激とに基づいて、あたかも当該触覚部が触覚部疑似画像と同じように移動しているかのような触覚刺激をユーザに対して知覚させることができる。
本発明の請求項5記載の感覚呈示システム及び請求項10記載の感覚呈示装置によれば、実際には身体所定部位を動かさずに触覚部が身体所定部位上を移動しているだけにもかかわらず、触覚部による触覚刺激と、身体疑似画像が触覚部疑似画像を基準に移動する動作映像とに基づいて、あたかもユーザ自らが身体所定部位を移動しているかのような感覚をユーザに対して知覚させることができる。
本発明の請求項11記載の感覚呈示システムによれば、筐体に設けられた触覚呈示手段と視覚呈示手段により、視覚を介して認識させた仮想的な身体疑似画像に基づいてユーザに対し所望の触覚刺激を知覚させることができる。
本発明による感覚呈示システムの全体構成を示す概略図である。 触覚装置の全体構成を示す概略図である。 設置台に配置させたユーザの手に触覚部を接触させたときの様子を示す概略図である。 仮想空間内に表示された身体疑似画像及び触覚部疑似画像を示す概略図である。 反射体及び液晶シャッター眼鏡を介してユーザに対し呈示される身体疑似画像を示す概略図である。 なぞり刺激錯覚処理を実行する感覚呈示システムの概要を示す概略図である。 叩き刺激錯覚処理を実行する感覚呈示システムの概要を示す概略図である。 疑似触覚発生処理を実行する感覚呈示システムの概要を示す概略図である。 移動錯覚処理を実行する感覚呈示システムの概要を示す概略図である。 携帯端末装置の構成を示す概略図である。 携帯端末装置の他面構成と側面構成を示す概略図である。 携帯端末装置の回路構成を示すブロック図である。 仮想空間内に表示された身体疑似画像及び触覚部疑似画像を示す概略図である。 他の実施の形態による身体擬似画像を示す概略図である。 実験に用いられた板材画像を示す概略図である。 主観評価結果を示すグラフである。 光ファイバホルダの装着位置と、光ファイバホルダの構成を示す概略図である。 脳機能計測結果を示すグラフである。
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を詳述する。
(1)感覚呈示システムの全体構成
図1において、1は全体として本発明による感覚呈示システムを示し、この感覚呈示システム1は、例えばユーザ2の手背3にアーム4先端の触覚部5を接触させて所定の刺激を与える触覚装置6と、この触覚装置6で触覚刺激を与える手背3の立体的な疑似画像(以下、身体疑似画像と呼ぶ)及び触覚部5の立体的な疑似画像(以下、これを触覚部疑似画像と呼ぶ)をユーザ2に対して呈示する画像呈示装置7と、これら触覚装置6及び画像呈示装置7を統括的に制御するコンピュータ8とから構成されている。
そして、この感覚呈示システム1は、触覚装置6が設けられた設置台9の前にユーザ2を着座させ、触覚装置6がユーザ2の身体所定部位(この場合、手背3)の皮膚に触覚刺激を与えるとともに、画像呈示装置7が仮想空間内において、あたかもユーザ2の身体所定部位に対し触覚刺激を与えているかのような動作映像を呈示して視覚を介した刺激(以下、これを視覚刺激と呼ぶ)を与えるようになされている。なお、触覚装置6及び画像呈示装置7の操作は別の操作者によって手動で行われてもよく、機械的な機構によって自動的に行ってもよい。また、ここで触覚とは外の物に触れることによって生物体に起こる感覚をいう。
実際上、この感覚呈示システム1は、設置台9の前に着座したユーザ2が、設置台9と、画像呈示装置7を構成する反射体11との間の空間に例えば一方の手3aを配置させることにより、ユーザ2の視点と手背3とを結ぶ直線上に反射体11が配置され、当該反射体11がユーザ2の視界を遮り手背3を目視し得ないようになされている。
図2に示すように、触覚装置6は、設置台9に設置された基台12上に回動部13が設けられ、先端に触覚部5を備えたアーム4が回動部13に設けられており、回動部13をx軸に沿って回動させることによりアーム4をユーザ2に対して左右方向(すなわちx軸方向)側に移動し得るようになされている。
また、アーム4は、第1アーム部材15と第2アーム部材16とが回動自在に連結された構成を有し、当該第1アーム部材15の一端が回動部13にz軸に沿って回動自在に設けられている。第2アーム部材16は、一端に第1アーム部材15の他端がy軸に沿って回動自在に設けられ、他端に棒状の触覚部5がy軸に沿って回動自在に設けられている。
これより触覚装置6は、第1アーム部材15及び第2アーム部材16を回動させることにより触覚部5をユーザ2に対して上下方向(すなわちz軸方向)に移動させるとともに、当該触覚部5をユーザ2に対して近づける方向、或いは遠ざける方向(すなわちy軸方向)に移動させ得るようになされている。また、触覚装置6は、第2アーム部材16に対して触覚部5を回動させることにより触覚部5の先端をユーザ2に対して近づける方向、或いは遠ざける方向に移動させ得る。
このようにして触覚装置6は、回動部13、第1アーム部材15、第2アーム部材16及び触覚部5を移動させることにより、図3に示すように、当該触覚部5の先端を手背3の所定位置に接触させてユーザ2に触覚刺激を与えるとともに、触覚部5を所望の方向に移動させて他の種々の触覚刺激をユーザ2に与えるようになされている。
一方、図1に示したように、画像呈示装置7は、設置台9から所定高さの位置で水平状に配置された反射体11と、当該反射体11に対して斜め上方に設けられたディスプレイ装置20と、ユーザ2の頭部に装着される液晶シャッター眼鏡21とから構成されており、当該ディスプレイ装置20の表示部22に表示された動作映像を反射体11の鏡面部23に反射させ、設置台9の前に着座しているユーザ2に液晶シャッター眼鏡21を介して視認させ得るようになされている。
ここでディスプレイ装置20には、コンピュータ8が接続されており、当該コンピュータ8に予め記憶されている身体疑似画像及び触覚部疑似画像(後述する)が映像データとして送出され、これら身体疑似画像及び触覚部疑似画像を表示部22に表示し得る。実際上、このディスプレイ装置20には、右目用の映像データと左目用の映像データとが時分割で入力され、左目に認識させる左目用映像と右目に認識させる右目用映像とが表示部22に交互に表示され得る。
反射体11は、板状からなり、ディスプレイ装置20の表示部22に表示された身体疑似画像及び触覚部疑似画像を、鏡面部23を介してユーザ2の頭部に向けて反射させ、ユーザ2に液晶シャッター眼鏡21を介して視認させ得るようになされている。因みに、この画像呈示装置7では、板状で厚みの薄い反射体11を設置台9上方に設けるようにしたことにより、設置台9と反射体11との間にユーザ2の手3aを配置できる空間を確実に形成し得るようになされている。
液晶シャッター眼鏡21は、コンピュータ8に接続されており、ユーザ2の左目前に配置される左目用シャッターと、当該ユーザ2の右目前に配置される右目用シャッターとを映像データに同期させ、光りの透過と遮断とが行われることにより、ユーザ2が左目と右目とで認識する映像に違いを生じさせ得る。
その結果、画像呈示装置7は、図4に示すように、仮想空間内において、手背3の立体的な疑似画像である身体疑似画像25と、触覚部5の立体的な疑似画像である触覚部疑似画像26とをユーザ2に対し視認させ得るようになされている。これにより、画像呈示装置7は、反射体11で反射されている身体疑似画像25を液晶シャッター眼鏡21を介して目視確認させることにより、図5(A)及び(B)に示すように、仮想空間内の身体疑似画像25をあたかも自分の身体の一部であるかのように知覚させ、臨場感や没入感を与えるようになされている。
コンピュータ8は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)46、ROM(Read Only Memory)等から構成された制御部8aを有し、制御手段としての制御部8aがコンピュータ8を統括的に制御し得るようになされている。
制御部8aは、図示しない記憶部に記憶された映像データをディスプレイ装置20に送出し、これにより仮想空間内において触覚部疑似画像26を身体疑似画像25に接触させた状態で移動させて仮想的な触覚刺激(以下、これを仮想触覚刺激と呼ぶ)を与える動作映像をディスプレイ装置20の表示部22に呈示し、当該動作映像を基に、あたかもユーザ2に所定の触覚刺激が与えられているかのような視覚刺激をユーザ2に与えるようになされている。
また、このとき制御部8aは、ディスプレイ装置20において呈示された動作映像に対応した所定の動作命令を触覚装置6に送出し、当該動作命令に応じて触覚装置6の触覚部5を移動させ得るようになされている。具体的に触覚装置6は、コンピュータ8から所定の動作命令を受け取ると、当該動作命令に基づいて、ユーザ2に対し視覚を介して呈示した触覚部疑似画像26の動作映像とは異なる単純な動作を触覚部5に行わせ、あたかも触覚部疑似画像26の動作映像と同じ触覚刺激が与えられているかのような錯覚を与えるようになされている。
ここで、本発明による感覚呈示システム1では、このような視覚を介してユーザ2に錯覚を与える動作処理として、なぞり刺激錯覚処理、叩き刺激錯覚処理、疑似触覚発生処理及び移動錯覚処理の4つを実行し得るようになされており、以下これら各処理内容について順次説明する。
(2)なぞり刺激錯覚処理
この場合、感覚呈示システム1では、図6に示すように、反射体11と設置台9との間にユーザ2の一方の手3aを配置させるとともに、ユーザ2の手背3が反射体11側に位置するようにして当該設置台9上にユーザ2の手3aを載置させる。コンピュータ8は、図示しない操作部から動作命令としてなぞり刺激錯覚処理命令が与えられると、これを触覚装置6へ送出する(図1)。
触覚装置6は、コンピュータ8からのなぞり刺激錯覚処理命令に基づいて、設置台9上に配置されたユーザ2の手背3に触覚部5を接触させて、この状態のまま触覚部5をユーザ2から遠ざける方向及び近づける方向に周期的に移動させ、触覚部5がユーザ2の手背3を「なぞる」ような動作を周期的に実行し得る(図6)。
このとき、コンピュータ8は、触覚装置6の回動部13、アーム4及び触覚部5の位置データを取得し、これら位置データに基づいて触覚部5のx軸、y軸及びz軸における座標位置を特定し得るようになされている。これによりコンピュータ8の制御部8aは、特定した触覚部5の座標位置に基づいて触覚部疑似画像26の表示位置を調整した映像データを生成し、これをディスプレイ装置20に送出する。
これにより、ディスプレイ装置20には、映像データに基づいて、手背3を立体的に表した身体疑似画像25が表示部22に表示されるとともに、仮想空間内において触覚部5の座標位置に対応する表示位置に触覚部疑似画像26が表示され得るようになされている。
これにより画像呈示装置7は、ユーザ2に対して反射体11及び液晶シャッター眼鏡21を介してディスプレイ装置20に表示された身体疑似画像25及び触覚部疑似画像26を視認させることにより、自身の手背3と触覚部5とを、あたかも直接目視確認しているかのように知覚させ得るようになされている。
また、このとき液晶シャッター眼鏡21を介してユーザ2に呈示される動作映像S1では、触覚部5の移動するタイミングに合わせて、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25に重ねた状態でユーザ2から遠ざかる方向及び近づく方向に周期的に移動し、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25に仮想触覚刺激を与えるような動作がなされる。また、この動作映像S1では、実際に触覚部5が移動する移動速度よりも僅かに速く触覚部疑似画像26が移動し、実際に手背3に対して触覚部5が移動する移動距離H1よりも、触覚部疑似画像26の移動距離H2が長くなるように当該触覚部疑似画像26が移動する。
このように感覚呈示システム1は、触覚部5によってユーザ2の手背3を「なぞる」ような触覚刺激を与えるとともに、触覚部5の実際の移動距離H1とは異なる長い移動距離H2まで移動させる触覚部疑似画像26の動作映像S1をユーザ2に対し呈示し得る。
これにより感覚呈示システム1では、触覚部5の実際の移動距離H1が、動作映像S1中の移動距離H2よりも短いにもかかわらず、触覚刺激及び視覚刺激に基づいて総合的にユーザ2が知覚する知覚内容P1を、あたかも触覚部5が実際の移動距離H1よりも大きい移動距離H2だけ移動しているかのような感覚にさせることができる。
(3)叩き刺激錯覚処理
次に感覚呈示システム1では、図7に示すように、反射体11と設置台9との間にユーザ2の一方の手3aを配置させるとともに、ユーザ2の手背3が反射体11側に位置するようにして当該設置台9上にユーザ2の手3aを載置させる。コンピュータ8は、図示しない操作部から動作命令として叩き刺激錯覚処理命令が与えられると、これを触覚装置6へ送出する。
触覚装置6は、コンピュータ8からの叩き刺激錯覚処理命令に基づいて、設置台9上に配置されたユーザ2の手背3に触覚部5を接触させた後、当該手背3から触覚部5を離して非接触にさせて、当該触覚部5によりユーザ2の手背3を「叩く」ような動作を周期的に実行し得る。
また、コンピュータ8は、触覚装置6の回動部13、アーム4及び触覚部5の位置データを取得し、これら位置データに基づいて触覚部5のx軸、y軸及びz軸における座標位置を特定し得るようになされている。これによりコンピュータ8の制御部8aは、特定した触覚部5の座標位置に基づいて触覚部疑似画像26の表示位置を調整した映像データを生成し、これをディスプレイ装置20に送出する。
これにより、ディスプレイ装置20には、映像データに基づいて、手背3を立体的に表した身体疑似画像25が表示部22に表示されるとともに、仮想空間内において触覚部5の座標位置に対応する表示位置に触覚部疑似画像26が表示され得るようになされている。
これにより画像呈示装置7は、ユーザ2に対して反射体11及び液晶シャッター眼鏡21を介してディスプレイ装置20に表示された身体疑似画像25及び触覚部疑似画像26を視認させることにより、自身の手背3と触覚部5とを、あたかも直接目視確認しているかのような錯覚を与えるようになされている。
このとき、液晶シャッター眼鏡21を介してユーザ2に呈示される動作映像S2では、触覚部5が上下方向に移動するタイミングとずらして、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25に重ねて上下方向に移動し、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25に仮想触覚刺激を与えるような動作がなされる。すなわち、この動作映像S2では、触覚部5が手背3に接触したとき、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25から離れるように移動し、触覚部5が手背3から離れて非接触になったとき、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25に接触するように移動する。
このように感覚呈示システム1は、触覚部5がユーザ2の手背3を叩くような触覚刺激を与えるとともに、触覚部5によりユーザ2の手背3が叩かれて触覚刺激が与えられる瞬間に、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25から離れるような動作映像S2をユーザ2に対し呈示し得る。
これにより感覚呈示システム1では、実際には触覚部5により手背3を叩いているにもかかわらず、触覚刺激及び視覚刺激に基づいて総合的にユーザ2が知覚する知覚内容P2を、あたかも触覚部5によって手背3が引っ張られているかのような感覚にさせることができる。
(4)疑似触覚発生処理
次に感覚呈示システム1では、図8に示すように、反射体11と設置台9との間にユーザ2の一方の手3aを配置させるとともに、ユーザ2の手背3が反射体11側に位置するようにして当該設置台9上にユーザ2の手を載置させる。コンピュータ8は、図示しない操作部から動作命令として疑似触覚発生処理命令が与えられると、これを触覚装置6へ送出する。
触覚装置6は、コンピュータ8からの疑似触覚発生処理命令に基づいて、設置台9上に配置されたユーザ2の手背3に触覚部5を押し付けた状態のまま静止させる動作を実行し得る。
また、コンピュータ8は、触覚装置6の回動部13、アーム4及び触覚部5の位置データを取得し、これら位置データに基づいて触覚部5のx軸、y軸及びz軸における座標位置を特定し得るようになされている。これによりコンピュータ8の制御部8aは、特定した触覚部5の座標位置に基づいて触覚部疑似画像26の表示位置を調整した映像データを生成し、これをディスプレイ装置20に送出する。
これにより、ディスプレイ装置20には、映像データに基づいて、手背3を立体的に表した身体疑似画像25が表示部22に表示されるとともに、仮想空間内において触覚部5の座標位置に対応する表示位置に触覚部疑似画像26が表示され得るようになされている。このとき、液晶シャッター眼鏡21を介してユーザ2に呈示される動作映像S3では、触覚部疑似画像26がユーザ2から遠ざかる方向及び近づく方向と、ユーザ2に対して左右方向とに十字状に移動し、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25に仮想触覚刺激を与えるような動作がなされる。
このように感覚呈示システム1は、触覚部5をユーザ2の手背3の一点に接触させた状態で静止させ触覚刺激を与えるとともに、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25に対して十字状に移動するような動作映像S3をユーザ2に対し呈示し得る。
これにより感覚呈示システム1では、実際には触覚部5を手背3上に接触させた状態で静止しているにもかかわらず、触覚刺激及び視覚刺激に基づいて総合的にユーザ2が知覚する知覚内容P3を、あたかも触覚部5が手背3上を十字状に移動しているかのような感覚にさせることができる。
(5)移動錯覚処理
次に感覚呈示システム1では、図9に示すように、反射体11と設置台9との間にユーザ2の一方の手3aを配置させるとともに、ユーザ2の手背3が反射体11側に位置するようにして当該設置台9上にユーザ2の手3aを載置させる。コンピュータ8は、図示しない操作部から動作命令として移動錯覚処理命令が与えられると、これを触覚装置6へ送出する。
触覚装置6は、コンピュータ8からの移動錯覚処理命令に基づいて、設置台9上に配置されたユーザ2の手背3に触覚部5を押し付け、この状態のまま触覚部5をユーザ2に対して左右方向に周期的に移動させ、触覚部5がユーザ2の手背3を「なぞる」ような動作を周期的に実行し得る。
このとき、コンピュータ8は、触覚装置6の回動部13、アーム4及び触覚部5の位置データを取得し、これら位置データに基づいて触覚部5のx軸、y軸及びz軸における座標位置を特定し得るようになされている。これによりコンピュータ8の制御部8aは、特定した触覚部5の座標位置に基づいて触覚部疑似画像26の表示位置を調整した映像データを生成し、これをディスプレイ装置20に送出する。
これにより、ディスプレイ装置20には、映像データに基づいて、手背3を立体的に表した身体疑似画像25が表示部22に表示されるとともに、仮想空間内において触覚部5の座標位置に対応する表示位置に触覚部疑似画像26が表示され得るようになされている。
これにより画像呈示装置7は、ユーザ2に対して反射体11及び液晶シャッター眼鏡21を介してディスプレイ装置20に表示された身体疑似画像25及び触覚部疑似画像26を視認させることにより、自身の手背3と触覚部5とを、あたかも直接目視確認しているかのように知覚させ得るようになされている。
このとき、液晶シャッター眼鏡21を介してユーザ2に呈示される動作映像S4では、触覚部5の移動するタイミングに合わせて、触覚部疑似画像26を身体疑似画像25に重ねた状態で、触覚部疑似画像26を基準に身体疑似画像25がユーザ2に対して左右方向に周期的に移動し、触覚部疑似画像26が身体疑似画像25に仮想触覚刺激を与えるような動作がなされる。
このように感覚呈示システム1は、触覚部5がユーザ2の手背3を「なぞる」ように移動して触覚刺激を与えるとともに、当該触覚部5の動作と同期して触覚部疑似画像26を基準に身体疑似画像25がユーザに対し左右方向に移動するような動作映像S4をユーザ2に対し呈示し得る。
これにより感覚呈示システム1では、実際には触覚部5が手背3上をなぞるように移動し、手背3自体が動かされていないにもかかわらず、触覚刺激及び視覚刺激に基づいて総合的にユーザ2が知覚する知覚内容P4を、あたかもユーザ2自らが手背3を左右方向に移動しているかのような感覚にさせることができる。
(6)動作及び効果
以上の構成において、感覚呈示システム1では、ユーザ2自身の手背3を仮想空間内に立体的に表現した身体疑似画像25と、仮想空間内を3次元に移動可能な触覚部疑似画像26とによる動作映像を画像呈示装置7によってユーザ2に呈示することにより、当該身体疑似画像25を、あたかも自分の手のように知覚させ、臨場感や没入感を高めることができる。
これにより、感覚呈示システム1では、画像呈示装置7に呈示される身体疑似画像25に対し触覚部疑似画像26が仮想触覚刺激を与える動作映像をユーザ2が視認することにより、あたかもユーザ2自身の手背3に対し、仮想触覚刺激に相当する触覚刺激が与えられているかのような感覚を与えることができる。
また、この感覚呈示システム1では、なぞり刺激錯覚処理として、触覚装置6の触覚部5をユーザ2の手背3に接触させた状態のまま周期的に往復させ、触覚部5により触覚刺激をユーザ2に与えるとともに、当該触覚部5の動作に同期して触覚部疑似画像26が身体疑似画像25上を周期的に往復するように移動させて仮想触覚刺激を与える動作映像をディスプレイ装置20に呈示して視覚刺激をユーザ2に与える。
このとき、感覚呈示システム1では、触覚部5の移動距離H1を、仮想空間上での触覚部疑似画像26の移動距離H2よりも短くしても、触覚刺激と視覚刺激とに基づいて、仮想空間上での触覚部疑似画像26の移動距離H2に相当する移動距離H2だけ、当該触覚部5が移動しているかのような仮想触覚刺激に相当する触覚刺激を知覚させることができる。
また、感覚呈示システム1では、叩き刺激錯覚処理として、触覚装置6の触覚部5をユーザ2の手背3に周期的に接触及び非接触させ、当該触覚部5により触覚刺激を周期的にユーザ2に与える。このとき、画像呈示装置7では、触覚部5が手背3と接触したとき、当該身体疑似画像25に対して触覚部疑似画像26が離れ、当該触覚部5が手背3から離れて非接触になったとき、当該身体疑似画像25に対して触覚部疑似画像26が接触するように移動させ仮想触覚刺激を与える動作映像をディスプレイ装置20に呈示してユーザ2に視認させる。
これにより、感覚呈示システム1では、実際には触覚部5により手背3が叩かれているにもかかわらず、身体疑似画像25に対して触覚部疑似画像26が離れる動作映像を視認していることにより与えられる視覚刺激により、あたかも触覚部5が手背3を引っ張っているかのような仮想触覚刺激に相当する触覚刺激をユーザ2に対して知覚させることができる。
さらに、感覚呈示システム1では、疑似触覚発生処理として、触覚装置6の触覚部5をユーザ2の手背3に接触させた状態で静止させて触覚刺激を継続的にユーザ2に与えるとともに、身体疑似画像25上に触覚部疑似画像26が所定方向になぞるように移動させ仮想触覚刺激を与える動作映像をディスプレイ装置20に呈示してユーザ2に視認させる。
これにより、感覚呈示システム1では、実際には触覚部5が一点で静止しているにもかかわらず、触覚刺激と視覚刺激とに基づいて、あたかも当該触覚部5が触覚部疑似画像26と同じように移動しているかのような仮想触覚刺激に相当する触覚刺激をユーザ2に対して知覚させることができる。
このように感覚呈示システム1では、触覚部5の可動範囲を狭めても、触覚部疑似画像26が移動する動作映像を基に、触覚刺激の錯覚を起こさせることができるので、ユーザ2に対して所定の触覚刺激を知覚させつつ、触覚部5の可動範囲を狭めることができ、その結果、その分だけ設置スペースを小さくし得、装置全体として簡易な構成にできる。
さらに、感覚呈示システム1では、移動錯覚処理として、ユーザ2の手背3を動かさずに、触覚装置6の触覚部5を当該手背3に接触させた状態のまま周期的に往復させて触覚刺激をユーザ2に与えるとともに、触覚部疑似画像26を静止させたまま、当該触覚部5の動作に同期して身体疑似画像25を周期的に往復するように移動させ仮想触覚刺激を与える動作映像をディスプレイ装置20に呈示して視覚刺激をユーザ2に与える。
これにより、感覚呈示システム1では、実際には手背3自体を動かさずに触覚部5が手背3上をなぞるように移動しているにもかかわらず、触覚部5による触覚刺激と、身体疑似画像25が触覚部疑似画像26を基準に移動する動作映像とに基づいて、あたかもユーザ2自らが手背3を左右方向に移動しているかのような仮想触覚刺激に相当する触覚刺激をユーザ2に対して知覚させることができる。
このように感覚呈示システム1では、ユーザ2に対して実際に与えられている触覚刺激の知覚を変化させ、またユーザ2に対して実際に与えられていない触覚刺激を知覚させるようにしたことにより、エンタテインメントや福祉医療分野等へ応用することができる。
また、このような視覚刺激である動作映像と触覚刺激との組み合わせによる呈示は、コンピュータゲームやバーチャルリアリティなどのインタラクティブなデジタルコンテンツにおいて、その表現の幅を拡張できることが期待できる。そして、このような感覚呈示システム1では、福祉医療分野等において、感覚代替による情報呈示システムとしての応用や、リハビリテーションの補助や効率の向上、さらには医師による診察や手術のトレーニングシステムへ利用することができ、教育分野においては、多感覚刺激を用いた情報呈示によるコンテンツの開発等へ応用することができる。
以上の構成によれば、触覚部5によりユーザ2の手背3に触覚刺激を与え、身体疑似画像25と触覚部疑似画像26とを仮想空間内に表示し、触覚部疑似画像26が身体疑似画像26に仮想触覚刺激を与えるような動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える際に、触覚部5が手背3に対し前記触覚刺激を与える動作とは異なる動作映像を呈示し、この動作映像により与える視覚刺激と、触覚部5により与える触覚刺激とに基づいて、仮想触覚刺激に相当する触覚刺激をユーザ2に知覚させるようにしたことにより、視覚を介して認識させた仮想的な身体疑似画像25に基づいてユーザ2に対し所望の触覚刺激を知覚させることができる。
そして、このような感覚呈示システム1は、種々の分野に利用されることが考えられており、例えばリハビリテーションに用いる場合、手を動かすことができないユーザ2に対して上述した「(5)移動錯覚処理」を実行することにより、ユーザ2自身の手があたかも移動しているかのような錯覚を起こさせ、ユーザ2のリハビリテーション時のモチベーションの向上を図ることができる。
(7)第2の実施の形態
図10において、60は第2の実施の形態による感覚呈示システムとしての携帯端末装置を示し、全体としてユーザの片手の掌に載る程度の長方形形状からなり、所定の厚みを有する外形形状に選定された筐体61を備え、当該筐体61をユーザが片手で携行可能な構成を有する。
この筐体61の一面61aの全面には、例えばユーザが指先で触れることにより操作可能なタッチパネル62と、LCD(Liquid Crystal Display)63とからなる表示部64が配置されており、電源をオン制御することにより表示部64にメイン画面が表示され得る。メイン画面には、後述する制御部が実行する制御プログラムに応じて、例えば電話機能やデータ通信機能、スケジユール機能、カレンダ機能、ゲーム機能、ナビゲーション機能等の各種機能を実行するためのメニュー項目(図示せず)が表示され得る。
実際上、この携帯端末装置60は、図11(A)及び(B)に示すように、一面61aと対向する他面61bが平面状に形成されており、当該他面61bがユーザの片手の掌に載せられた状態で、例えば筐体61の所定の側面に当該片手の親指が当接されるとともに、当該側面と異なるいずれかの他の側面に当該片手の人指し指及び中指、薬指、小指が当接されることでユーザに把持され得る。この状態で携帯端末装置60は、表示部64に表示された内容をユーザに視認させながら他方の手の指先で表示部64の所望のメニュー項目等が押下されることにより、各種機能を実行し得るようになされている。
かかる構成に加えて筐体61には、他面61bの所・BR>闊ハ置に当該他面61Bから突出した触覚呈示部66が設けられている。この触覚呈示部66は、筐体61の他面61B中央付近に設けられており、ユーザの掌に筐体61の他面61Bを載せたときに、触覚部としての先端がユーザの掌に当接してユーザに対して触覚刺激を与えるように形成されている。この実施の形態の場合、触覚呈示部66は、先端が僅かに丸みを帯びた円錐状からなり、当該先端がユーザの掌に当接することによりユーザに対して触覚刺激を与えるように構成されている。
そして、この携帯端末装置60は、上述した第1の実施の形態における「(4)擬似触覚発生処理」と同じ原理を用いて、触覚呈示部66によりユーザに与えられる触覚刺激と、表示部64によりユーザに与えられる視覚刺激とを基に、表示部64に表示された触覚部疑似画像(後述する)がユーザの掌をあたかも移動しているかのような触覚刺激をユーザが感じるようになされている。 実際上、この携帯端末装置60は、図12に示すように、タッチパネル62及びLCD63からなる表示部64と、記憶部70と、電話機能やデータ通信機能等の各種機能の実行に必要な回路部からなる機能処理部71とが制御部72にバス73を介して接続されている。制御部72は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Processing)、ROM(Read Only Memory)等で構成されており、ROMに格納された基本プログラム及び感覚呈示処理プログラム等の各種プログラムを、各種命令に応じて適宜RAMに読み出すことにより所定の処理を実行する。

ここで記憶部70には、図13に示すように、筐体61がユーザによって片手で把持されて表示部64が視認される際に、筐体61が妨げとなり直接視認し得ないはずのユーザの掌を模した身体擬似画像75と、この身体擬似画像75上に重なるようにして表示される触覚部疑似画像76とからなる動作映像データが予め記憶されている。そして、制御部72は、記憶部70に記憶された動作映像データを読み出して表示部64に動作映像を表示させることにより、筐体61が妨げとなり直接視認し得ないはずのユーザ自身の掌79が、表示部64の枠内からあたかも視認できているかのような錯覚をユーザに対して起こさせ得るようになされている。
実際上、この実施の形態の場合には、筐体61の他面61bがユーザの片手の掌79に載せられた状態で、側面の所定位置に当該片手の掌79の母指球79aや手根部79b、親指80、人指し指81、中指82、薬指83、小指84がそれぞれ当接されてユーザに把持されることを想定しており、このときユーザの掌79のうち小指球85及び母指球79aの一部と、人指し指81及び中指82、薬指83、小指84の各根元部分とが表示部64の枠内に隠れる。
このことから表示部64には、当該表示部64に隠れているユーザの掌79の小指球85及び母指球79aから、人指し指81及び中指82、薬指83、小指84の各根元部分までを模した身体擬似画像75が表示され得る。これにより携帯端末装置60では、表示部64に表示された身体擬似画像75をユーザに対して視認させることにより、ユーザ自身の掌79が表示部64の枠内から直接視認し得るかのような錯覚をユーザに対して起こさせ得るようになされている。
また、このとき身体擬似画像75と同時に表示される触覚部擬似画像76は、筐体61の他面61bに設けられた触覚呈示部66(図11(A)及び(B))とほぼ同じ大きさからなり、かつ当該触覚呈示部66と対向する位置に表示され、この触覚呈示部66と対向した表示位置を中心にして身体擬似画像75上を所定方向へ移動するように表示部64に表示され得る。
触覚部擬似画像76は、初めの表示位置(一面61aにおける他面61bの触覚呈示部66と対向する位置)を中心に身体疑似画像75上で例えば左右方向に移動し、あたかも身体疑似画像75に対し触覚刺激を与えているかのような仮想触覚刺激をユーザに与えるように表示される。このように携帯端末装置60では、ユーザの掌79に触覚呈示部66を接触させて一定の触覚刺激を与えた状態のまま、これと同時に触覚部擬似画像76が身体疑似画像75に対して所定方向に移動するような動作映像を表示部64を介してユーザ2に視認させ得る。
これにより携帯端末装置60では、触覚刺激及び視覚刺激に基づいて総合的にユーザが知覚する知覚内容として、実際には触覚呈示部66が動かずに掌79の一点にだけ接触させた状態であるにもかかわらず、あたかも触覚呈示部66が触覚部擬似画像76の動きに合わせて掌79の上を移動しているかのような感覚を知覚させることができる。
以上の構成において、携帯端末装置60では、ユーザが筐体61を把持している状態の掌79を仮想空間内に立体的に表現した身体疑似画像75を表示部64に表示することにより、当該身体疑似画像75があたかも自分の手のように知覚させ、臨場感や没入感を高めることができる。
このとき携帯端末装置60では、表示部64の領域内において、他面61bに設けられた触覚呈示部66と対向する位置に触覚部擬似画像76が表示され、この表示位置を中心にして触覚部擬似画像76が身体擬似画像75上を移動し、身体疑似画像75に対し触覚部疑似画像76が仮想触覚刺激を与えるような動作映像をユーザに対して視認させる。これにより携帯端末装置60では、視覚刺激に基づいて、あたかもユーザ自身の掌79に対し、仮想触覚刺激に相当する触覚刺激が与えられているかのような感覚をユーザに対して与えることができる。
このとき携帯端末装置60では、触覚呈示部66によりユーザの掌79の一点にのみ触覚刺激が与えられているにもかかわらず、視覚刺激に基づいて、ユーザの掌79の上であたかも触覚部疑似画像76が移動しているかのような触覚刺激に相当する感覚をユーザに対して与えることができる。
また、この実施の形態の場合には、触覚呈示部66を振動させる振動手段や、触覚呈示部66を移動させる移動手段等この他種々の駆動手段を携帯端末装置60に設けることなく、装置全体として構成を簡易化できると共に、表示部64に表示された動作映像を基に仮想触覚刺激に相当する触覚刺激が与えられているかのような感覚をユーザに対して与えることができる。
以上の構成によれば、触覚呈示部66によりユーザの掌79に触覚刺激を与え、身体疑似画像75と触覚部疑似画像76とを仮想空間内に表示し、触覚部疑似画像76が身体疑似画像75に仮想触覚刺激を与えるような動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える際、触覚呈示部66が掌79に対し触覚刺激を与える動作とは異なる動作映像を呈示する。これにより携帯端末装置60では、この動作映像により与える視覚刺激と、触覚呈示部66により与える触覚刺激とに基づいて、仮想触覚刺激に相当する触覚刺激をユーザに知覚させるようにしたことにより、視覚を介して認識させた仮想的な身体疑似画像75に基づいてユーザ2に対し所望の触覚刺激を知覚させることができる。
また、この携帯端末装置60では、ユーザの片手の掌79に載る程度に選定された筐体61に、触覚呈示部66及び表示部64を設けることで、上述した第1の実施の形態における感覚呈示システム1を例えば携帯電話機や携帯ゲーム機にも搭載させることもできる。
なお、上述した実施の形態においては、触覚部擬似画像として、円錐状の触覚部擬似画像76を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、棒状や、仮想生物を表したキャラクタ等この他種々の触覚部擬似画像を適用してもよい。この場合、携帯端末装置60では、例えば触覚部擬似画像76を仮想生物で現したキャラクタに代えることで、キャラクタがあたかも掌79で動いているかのような映像が表示部64に表示されることによりユーザに視覚刺激を与える。かくして携帯電話機等の携帯端末装置における仮想生物を用いたゲーム等のエンタテインメント性を向上させることができる。
また、上述した実施の形態においては、第1の実施の形態による「(4)疑似触覚発生処理」を携帯端末装置60に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯端末装置に触覚呈示部66を振動させたり、或いは触覚呈示部66を任意の方向に移動させる駆動手段を設け、第1の実施の形態による「(3)叩き刺激錯覚処理」や「(2)なぞり刺激錯覚処理」と同じ原理を基にユーザに対して所望の触覚刺激を与えるようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、筐体61を片手の掌に載せて使用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、筐体61を上腕や大腿等この他種々の部位に載せて使用するようにしてもよく、この場合、表示部64には、筐体61が載せられる上腕や大腿等の部位を模した身体擬似画像が表示され得る。
さらに、上述した実施の形態においては、ユーザの片手の掌に載る程度の外形形状に選定された筐体61を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ユーザが両手でしか保持し得ない程度の外形形状に選定された筐体等この他種々の大きさでなる外形形状を有する筐体を適用してもよい。
(8)他の実施の形態
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば上述した実施の形態においては、身体所定部位として手背3に対して触覚刺激を与えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば前腕や下腿、足等この他種々の身体所定部位や、複数の身体所定部位に対して触覚刺激を与えるようにしてもよい。なお、この場合、触覚装置6で触覚刺激を与える身体所定部位に似せた疑似画像が身体疑似画像となり得る。
さらに、上述した実施の形態においては、身体所定部位に対応する身体疑似画像として、身体所定部位を模した立体的に見える画像を身体擬似画像として適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像がユーザ2自身の身体所定部位であると錯覚されれば、図14に示すように、当該身体所定部位を変形させた形状の画像90や、当該身体所定部位と異なる形状の画像等この他種々の画像を身体擬似画像としてもよい。なお、図14における91は触覚部擬似画像を示している。
さらに、上述した実施の形態においては、一人のユーザ2に対して1つの身体疑似画像25が表示されたディスプレイ装置20を視認させ、当該身体疑似画像25がユーザ自身の身体であるかのような錯覚を起こさせて、当該ユーザ2に対して触覚部5により触覚刺激を与える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数のユーザに対して複数の身体疑似画像25が表示されたディスプレイ装置20を視認させ、各身体疑似画像25がそれぞれユーザ毎の身体であるかのような錯覚を起こさせ、各ユーザ2に対して個別に触覚部5により触覚刺激を与えるようにしてもよく、この場合、複数のユーザによって行われる様々な共同作業の状況を再現させることができる。
さらに、上述した実施の形態においては、触覚部により与える触覚刺激として、触覚部5を皮膚に接触させることで与える触覚刺激を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、皮膚に対する触覚刺激の替わりに、熱による触覚刺激や、冷感による触覚刺激、振動による触覚刺激、電気的な触覚刺激等この他種々の触覚刺激を適用するようにしてもよく、これら触覚感覚によりユーザ2に対して苦痛や快感を与えてもよい。
また、上述した実施の形態においては、液晶シャッター眼鏡21を用いたディスプレイ装置20を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、裸眼方式の立体ディスプレイ装置や、偏光メガネ方式のディスプレイ装置等を適用するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、視覚呈示手段として、設置台9から所定高さの位置に反射体11を設け、当該反射体11の斜め上方に配置したディスプレイ装置20からの動作映像を反射体11で反射させ、液晶シャッター眼鏡21を介してユーザに間接的に視認させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、設置台9から所定高さの位置にディスプレイ装置20を設置し、液晶シャッター眼鏡21を介してユーザに動作映像を直接的に視認させるようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、視覚呈示手段として、反射体11とディスプレイ装置20と液晶シャッター眼鏡21とからなる画像呈示装置7を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)を適用してもよく、この場合、コンピュータに接続したHMDをユーザの頭部に装着させるだけで、当該HMDを通して動作映像だけでなく、これに応じたサウンドもユーザに対し容易に呈示できる。
また、感覚呈示システムにおいては 、視覚呈示手段として、反射体11に換えてハーフミラーを用いたり、或いはカメラ付きHMDを用いることにより、仮想空間内の触覚部疑似画像26を現実空間の身体所定部位(例えば、手背3)に合成して表示する、いわゆる強化現実(AR:Augmented Reality(オーグメンテッドリアリティ))タイプの視覚刺激呈示方法を適用するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、コンピュータ8に予め記憶した身体疑似画像25を予め設定した仮想空間内の所定位置に呈示するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばデータグローブ等の身体運動を取得するデバイスをユーザに装着させ、その動きを立体的な画像で呈示したり、或いはユーザ2の身体所定部位を撮像手段により撮像した画像をデータベースに記憶しておき、当該画像を再生して呈示したり、ユーザ2の身体所定部位を撮像手段により撮像した画像をリアルタイムで呈示するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、なぞり刺激錯覚処理、叩き刺激錯覚処理、疑似触覚発生処理及び移動錯覚処理において、触覚部5や、身体疑似画像25、触覚部疑似画像26をユーザに対して左右方向等に移動させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、触覚部5や、身体疑似画像25、触覚部疑似画像26をユーザに対して斜め左右方向等この他種々の方向に移動させるようにしてもよい。
さらに、上述した第2の実施の形態においては、ユーザの片手の掌に載る程度の長方形形状からなる筐体61を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ユーザの片手の掌に載る程度の四辺形状や円形形状等この他種々の形状からなる筐体を適用してもよい。
(9)実施例
次に、本発明による第1の実施の形態の感覚呈示システム1によってユーザ2に対し触覚刺激と視覚刺激とを与えて錯覚を体験させ、錯覚強度の主観評価と、近赤外分光法(NIRS:Near Infra-red Spectroscopy)による脳機能計測とによって客観的に観察する実験を行った。
具体的には、図1に示した感覚呈示システム1を用い、触覚刺激及び視覚刺激の組み合わせを変えた第1〜第3の条件を設定して実験を行った。各条件における呈示時間は20秒とし、その間に20秒の安静時間を設けた。
第1の条件(以下、これを同期条件と呼ぶ)の刺激呈示としては、図4に示したような右側の手3aの立体的な疑似画像である身体疑似画像25をディスプレイ装置20に表示して、触覚部疑似画像26が移動する動作映像を表示した。また、このとき、触覚装置6は、触覚部5によって手背3に触覚刺激を与える動作を、ディスプレイ装置20に表示される動作映像と同期させ、視覚刺激に触覚刺激を一致させた。
次に第2の条件(以下、これを錯覚条件と呼ぶ)の刺激呈示としては、触覚部疑似画像26が移動する動作映像と、触覚部5によって触覚刺激を与える動作とを約10秒同期させて、同じ触覚刺激及び視覚刺激を与えた後、触覚部5の動作だけを停止させて手背3に触覚部5を押し付けた状態のまま10秒静止させた。
第3の条件(以下、これを板条件と呼ぶ)の刺激呈示としては、身体疑似画像25に換えて、図15に示すように、単色からなる板部材の画像(以下、板材画像と呼ぶ)30をディスプレイ装置20に表示させて、上述した錯覚条件と同じように、触覚部疑似画像26が板材画像30上を移動する動作映像と、触覚部5によって触覚刺激を与える動作とを約10秒同期させた後、触覚部5の動作だけを停止させて手背3に触覚部5を押し付けた状態のまま10秒静止させた。
また、この実験の手順としては、被験者に同期条件、錯覚条件及び板条件の各刺激呈示手法を1度体験させ、同期条件、錯覚条件及び板条件の各刺激呈示手法の内容について被験者に説明した。実験において同期条件、錯覚条件及び板条件による各刺激呈示の順序はランダムとした。また、同期条件、錯覚条件及び板条件の3つを1セッションとし、合計4セッションの刺激呈示を行った。そして、この実験では、同期条件、錯覚条件及び板条件の各刺激呈示後に5件法(後述する)による主観評価を求め、これら同期条件、錯覚条件及び板条件の各刺激呈示後に内省報告を求めた。
なお、主観評価としては、実験実施者が被験者に対して「視覚刺激にあわせて触覚刺激が与えられたように感じたか」との質問を口頭で行い、これに対する回答を被験者に口頭で行わせて評価した。具体的には、被験者の回答としては、「何も感じなかった」を1点とし、「わずかに感じた」を2点とし、「感じた」を3点とし、「よく感じた」を4点とし、手背への刺激を「はっきりと感じた」を5点として5段階に分けて集計する5件法を用い、同期条件、錯覚条件及び板条件をそれぞれ4回ずつ被験者に試行させ、当該被験者毎に試行における主観評価の平均値(評点)を求めた。なお、この実験では右利きの男性6名を被験者とした。
その結果、この実験では、図16に示すような主観評価結果が得られた。なお、図16は、被験者をA、B、C、D、E及びFとして横軸に表し、各被験者の評点を縦軸に表している。この実験では、錯覚の感じ方に個人差があるものの、主観評価結果に基づいて、視覚刺激によって触覚刺激が感じられるという錯覚がはっきりと知覚されることが確認できた。
また、脳機能計測を行う実験では、図17に示すように、触覚刺激及び視覚触覚の同期や動作映像、触覚刺激に対する被験者の反応を測定するため、当該被験者の頭部50の左側頭葉から頭頂葉、後頭葉にかけての部位に光ファイバホルダ51を装着させて、上述した同期条件、錯覚条件及び板条件の各刺激呈示を行った。ここで光ファイバホルダ51の頭部50への装着は、国際10−20法におけるT13の位置を基準とした。なお、図17において、四辺状に記載されている領域52は光ファイバプローブの位置を示しており、等間隔で格子状に配置されている。また、図17において光ファイバホルダ51に記載された数はチャンネルを示す。
この実験によって例えば被験者Bでは、図18に示すような脳機能計測結果が得られた。図18に示すように、被験者Bはほぼ全ての条件(同期条件、錯覚条件及び板条件)で錯覚を感じたとの結果が得られた。なお、光ファイバホルダ51の23chの角回近傍は身体の映像に反応する。

Claims (11)

  1. 触覚部によりユーザの身体所定部位に触覚刺激を与える触覚呈示手段と、
    前記身体所定部位に対応する身体疑似画像と、前記触覚部に対応する触覚部疑似画像とを仮想空間内に表示し、前記触覚部疑似画像が前記身体疑似画像に仮想触覚刺激を与えるような動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える視覚呈示手段とを備え、
    前記視覚呈示手段は、前記触覚部によって前記身体所定部位に対し前記触覚刺激を与える動作とは異なる動作映像を呈示し、前記動作映像により与える前記視覚刺激と、前記触覚部により与える前記触覚刺激とに基づいて、前記仮想触覚刺激に相当する触覚刺激を前記ユーザに知覚させる
    ことを特徴とする感覚呈示システム。
  2. 前記触覚呈示手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触させた状態で移動させることにより前記触覚刺激を与え、
    前記視覚呈示手段は、前記仮想空間内で前記身体疑似画像に対して前記触覚部疑似画像を重ねて表示した状態で、前記触覚部の移動距離とは異なる移動距離だけ前記触覚部疑似画像を移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える
    ことを特徴とする請求項1記載の感覚呈示システム。
  3. 前記触覚呈示手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触及び非接触させて前記触覚刺激を与え、
    前記視覚呈示手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部が非接触のとき、前記仮想空間内に表示した前記身体疑似画像に対して前記触覚部疑似画像を重ね、前記身体所定部位に対して前記触覚部が接触のとき、前記触覚部疑似画像を前記身体疑似画像から離す動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える
    ことを特徴とする請求項1記載の感覚呈示システム。
  4. 前記触覚呈示手段は、前記身体所定部位に前記触覚部を接触させた状態で静止させて前記触覚刺激を与え続け、
    前記視覚呈示手段は、前記仮想空間内に表示した前記触覚部疑似画像を所定方向に移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える
    ことを特徴とする請求項1記載の感覚呈示システム。
  5. 前記触覚呈示手段は、前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触させた状態で所定方向に移動させて前記触覚刺激を与え、
    前記視覚呈示手段は、前記仮想空間内に表示した前記触覚部疑似画像を静止させた状態のまま、前記身体疑似画像を前記所定方向に移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える
    ことを特徴とする請求項1記載の感覚呈示システム。
  6. 触覚部によりユーザの身体所定部位に触覚刺激を与える触覚呈示手段と、
    前記身体所定部位に対応する身体疑似画像と、前記触覚部に対応する触覚部疑似画像とを仮想空間内に表示し、前記触覚部疑似画像が前記身体疑似画像に仮想触覚刺激を与えるような動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える視覚呈示手段とを制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記触覚部によって前記身体所定部位に対し前記触覚刺激を与える動作とは異なる動作映像を前記視覚呈示手段に呈示させ、前記動作映像により与える前記視覚刺激と、前記触覚部により与える前記触覚刺激とに基づいて、前記仮想触覚刺激に相当する触覚刺激を前記ユーザに知覚させる
    を備えることを特徴とする感覚呈示装置。
  7. 前記制御手段は、
    前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触させた状態で移動させることにより前記触覚刺激を与える動作命令を前記触覚呈示手段に送出し、
    前記仮想空間内で前記身体疑似画像に対して前記触覚部疑似画像を重ねて表示した状態で、前記触覚部の移動距離とは異なる移動距離だけ前記触覚部疑似画像を移動させる動作映像を呈示してユーザに対し視覚刺激を与える映像データを前記視覚呈示手段に送出する
    ことを特徴とする請求項6記載の感覚呈示装置。
  8. 前記制御手段は、
    前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触及び非接触させて前記触覚刺激を与える動作命令を前記触覚呈示手段に送出し、
    前記身体所定部位に対して前記触覚部が非接触のとき、前記仮想空間内に表示した前記身体疑似画像に対して前記触覚部疑似画像を重ね、前記身体所定部位に対して前記触覚部が接触のとき、前記触覚部疑似画像を前記身体疑似画像から離す動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える映像データを前記視覚呈示手段に送出する
    ことを特徴とする請求項6記載の感覚呈示装置。
  9. 前記制御手段は、
    前記身体所定部位に前記触覚部を接触させた状態で静止させて前記触覚刺激を与え続ける動作命令を前記触覚呈示手段送出し、
    前記仮想空間内に表示した前記触覚部疑似画像を所定方向に移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える映像データを前記視覚呈示手段に送出する
    ことを特徴とする請求項6記載の感覚呈示装置。
  10. 前記制御手段は、
    前記身体所定部位に対して前記触覚部を接触させた状態で所定方向に移動させて前記触覚刺激を与える動作命令を前記触覚呈示手段に送出し、
    前記仮想空間内に表示した前記触覚部疑似画像を静止させた状態のまま、前記身体疑似画像を前記所定方向に移動させる動作映像を呈示して前記視覚刺激を与える映像データを前記視覚呈示手段に送出する
    ことを特徴とする請求項6記載の感覚呈示装置。
  11. 前記触覚呈示手段と前記視覚呈示手段は、筐体に設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項記載の感覚呈示システム
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