JPWO2009148010A1 - 光導波路の製造方法およびそれに用いる型 - Google Patents
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Abstract
光導波路において、基板、クラッド材料あるいは型のいずれかの剛性が低い場合であっても、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを容易に制御することが可能な光導波路の製造方法およびそれに用いる型を提供すること。光導波路の製造方法は、ソフトリソグラフィーを利用し、第2の型(凸型)を用いて、基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する。次いで、コア溝にコア材料を注入して充填し、硬化させてコア層を形成する。さらに、スペーサ溝にクラッド材料を注入して充填し、かつ、コア層を埋め込むように下部クラッド層上にクラッド材料を塗布した後、硬化させて上部クラッド層を形成する。この製造方法に用いられる型は、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凹部または各凸部を有する。
Description
本発明は、光導波路の製造方法およびそれに用いる型に関する。
光通信システムの実用化に伴い、その基本構成としての光導波路に関する技術が注目を集めている。光導波路とは、代表的には、屈折率が高いコア層を屈折率が低いクラッド層が取り囲んだ埋め込み型構造をなすか、あるいは、屈折率が低い下部クラッド層の上に屈折率が高いコア層を形成し、上部クラッド層を空気層としたリッジ型構造をなし、光導波路のコア層に入射した光は該コア層と該クラッド層との界面や該コア層と該空気層との界面で反射しながら該コア層中を伝播する。
光導波路を製造する方法としては、例えば、基板上にクラッド材料を塗布し、硬化させて下部クラッド層を形成し、次いで、下部クラッド層上にコア材料を塗布し、マスクを被せて硬化させ、未硬化部分を除去することにより、コア層を形成するか、あるいは、下部クラッド層上にコア材料を塗布した後、硬化させてから、パターニングされたレジスト層を形成し、非被覆部分を除去することにより、コア層を形成した後、コア層を埋め込むように下部クラッド層上にクラッド材料を塗布し、硬化させて上部クラッド層を形成する方法が採用されてきた。
この方法に対し、最近、光導波路を簡便かつ安価に製造する方法として、スタンパ法が検討されている。例えば、特許文献1、2および3には、ガラス基板上にクラッド材料を滴下し、表面にコア層と同じ形状のパターンを有するスタンパ型を押圧してコア溝を形成した後、クラッド材料を硬化させて、コア溝を有する下部クラッド層を形成し、次いで、コア溝にコア材料を注入して充填し、コア材料を硬化させてコア層を形成した後、コア層を埋め込むように、下部クラッド層上にクラッド材料を滴下し、ベース基板を接着してから、クラッド材料を硬化させて上部クラッド層を形成する方法が開示されている。
このスタンパ法では、コア溝を有する下部クラッド層を形成する際に、剛性が高いガラス基板を用いているので、ガラス基板上にクラッド材料を滴下し、表面にコア層と同じ形状のパターンを有するスタンパ型を押圧しても、ガラス基板が撓むことがなく、コア層の下側に位置する部分が略均一な厚さを有する下部クラッド層を形成することができる。コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層が略均一な厚さを有すれば、得られた光導波路のコア層内を光が低損失で伝播することができ、光を伝送する効率が向上する。
しかし、上記従来のスタンパ法は、ガラス基板を用いているので、光導波路を1枚ずつ製造する枚葉プロセスに限定されてしまい、光導波路を製造する効率が悪い。そこで、光導波路を製造する効率を向上するために、フィルム基板のロールを用意しておき、このロールからフィルム基板を引き出しながら、フィルム基板上に下部クラッド層、コア層および上部クラッド層を順次形成して、光導波路を連続的に製造する連続プロセスを採用することが求められている。また、光導波路から光電気混載モジュールを製造する場合には、光が基板を通過するので、光の伝送効率を考えると、ガラス基板に比べて、厚さが薄く、それゆえ光の行路長が短く、かつ、光導波路フィルムと屈折率が近く、それゆえ光の反射が少ないフィルム基板を用いる方が好ましい。
ところが、フィルム基板は、ガラス基板に比べて剛性が低いので、フィルム基板上にクラッド材料を滴下し、表面にコア層と同じ形状のパターンを有するスタンパ型を押し付けると、フィルム基板が撓んでしまい、コア層の下側に位置する部分が略均一な厚さを有する下部クラッド層を形成することができないという問題点がある。
また、同様に、スタンパ型が柔軟性のある材料で構成されている場合にも、クラッド材料を滴下した基板表面にスタンパ型を押し付けるとスタンパ型が撓んでしまい、均一な厚さを有する下部クラッド層を形成することができないという問題点があり、基板、クラッド材料あるいはスタンパ型のいずれかの剛性が低い場合には、下部クラッド層の厚みを均一に形成し難く、導波損失の小さい光導波路が得られ難いという問題があった。
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、光導波路において、基板、クラッド材料あるいはスタンパ型のいずれか1つ以上が剛性の低い材料で構成されていても、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを容易に制御することが可能な光導波路の製造方法およびそれに用いる型を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、コア溝に対応する凸部だけを有する凸型ではなく、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する凸型を用いて、基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成すれば、スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)の存在により、基板または凸型が支持されて撓むことなく、略平行に保持されるので、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを容易に制御できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を用いて、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する工程と;該コア溝にコア材料を注入して充填し、該コア材料を硬化させてコア層を形成する工程と;該スペーサ溝にクラッド材料を注入して充填し、かつ、該コア層を埋め込むように該下部クラッド層上にクラッド材料を塗布した後、該クラッド材料を硬化させて上部クラッド層を形成する工程と;を包含することを特徴とする光導波路の製造方法を提供する。
上記下部クラッド層を形成する工程は、基板上に、クラッド材料を滴下し、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を載置した後、該クラッド材料を硬化させ、該第2の型を取り除いて、該基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する工程であるのが好ましい。
上記下部クラッド層を形成する工程は、基板上に、クラッド材料を滴下し、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を載置した後、該クラッド材料を硬化させ、該第2の型を取り除いて、該基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する工程であるのが好ましい。
本発明による光導波路の製造方法において、前記基板はフィルム基板であるのが好ましく、また、前記コア溝と前記スペーサ溝との間隔(x)に対する前記スペーサ溝の深さ(y)の比率(y/x)は、好ましくは1/10以上、3/1以下である。また、前記基板上に、前記クラッド材料を滴下し、前記第2の型を載置した後、前記第2の型を前記基板上に押し付けて、前記スペーサ溝に対応する凸部を前記基板に密着させてから、前記クラッド材料を硬化させることが好ましい。なお、前記第2の型は、前記コア溝と前記スペーサ溝とに対応する各凹部を有する第1の型を用いて作製すればよい。また、前記クラッド材料および/または前記コア材料は、好ましくは、UV硬化型エポキシ樹脂である。
また、本発明は、上記のような光導波路の製造方法に用いる型であって、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凹部または各凸部を有することを特徴とする型を提供する。
本発明による光導波路の製造方法に用いる本発明の型において、前記コア溝に対応する凹部と前記スペーサ溝に対応する凹部との間隔(x)に対する前記スペーサ溝に対応する凹部の深さ(y)の比率(y/x)、または、前記コア溝に対応する凸部と前記スペーサ溝に対応する凸部との間隔(x)に対する前記スペーサ溝に対応する凸部の高さ(y)の比率(y/x)は、好ましくは1/10以上、3/1以下である。
本発明による光導波路の製造方法は、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型(凸型)を用いて、基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成するので、フィルム基板のような剛性が低い基板を用いても、また、剛性の低い材料からなるクラッド材料やコア溝に相当する凸部を有する型を用いても、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層が制御された略均一な厚さを有し、導波損失が非常に小さい光導波路を簡便に製造することができる。
また、ロール状のフィルム基板を連続して引き出して走行させながら、第2の型を貼り付けたロールを接触させて、下部クラッド層を形成し、引き続いて、コア層および上部クラッド層を順次形成することにより、凹版印刷の要領で、光導波路を大量生産することが可能になる。
さらに、得られた光導波路は、下部クラッド層、コア層および上部クラッド層がフィルム基板上に形成されているので、基板として、電気配線付きのフィルム基板を用いれば、発光素子および/または受光素子を実装する部分をダイシングソーでV字状に切断して45°ミラーを形成することにより、光電気混載モジュールを簡便に製造することができる。
≪光導波路の製造方法≫
本発明による光導波路の製造方法(以下「本発明の製造方法」ということがある。)は、基板上に、クラッド材料を滴下し、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を載置した後、あるいは、基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を載置し、該基板と該第2の型との間隙にクラッド材料を注入して充填した後、該クラッド材料を硬化させ、該第2の型を取り除いて、該基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する工程と;該コア溝にコア材料を注入して充填し、該コア材料を硬化させてコア層を形成する工程と;該スペーサ溝にクラッド材料を注入して充填し、かつ、該コア層を埋め込むように該下部クラッド層上にクラッド材料を塗布した後、該クラッド材料を硬化させて上部クラッド層を形成する工程と;を包含することを特徴とする。
本発明による光導波路の製造方法(以下「本発明の製造方法」ということがある。)は、基板上に、クラッド材料を滴下し、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を載置した後、あるいは、基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を載置し、該基板と該第2の型との間隙にクラッド材料を注入して充填した後、該クラッド材料を硬化させ、該第2の型を取り除いて、該基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する工程と;該コア溝にコア材料を注入して充填し、該コア材料を硬化させてコア層を形成する工程と;該スペーサ溝にクラッド材料を注入して充填し、かつ、該コア層を埋め込むように該下部クラッド層上にクラッド材料を塗布した後、該クラッド材料を硬化させて上部クラッド層を形成する工程と;を包含することを特徴とする。
本発明の製造方法は、ソフトリソグラフィーを利用し、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型(凸型)を用いて、基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成するものである。なお、ソフトリソグラフィーとは、スタンパ法の一種であり、シリコーン系ゴムやウレタン系ゴムなどの柔らかい材料から形成された第2の型(凸型)を用いて、下部クラッド層を転写する方法である。
以下に、図1を参照しながら、本発明の製造方法の代表例について詳しく説明するが、本発明の製造方法は下記の代表例に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
まず、図1(a)に示すように、例えば、リン青銅などの金属または合金を切削し、コア溝に対応する凹部7、コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する凹部8を形成して、第1の型(凹型)5を作製する。
次いで、第1の型5に、例えば、二液硬化型の硬化性ポリシロキサンなどの硬化性シリコーン材料を塗布し、硬化させた後、第1の型5を取り外して、図1(b)に示すように、コア溝に対応する凸部9とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)10とを有する第2の型(凸型)6を作製する。
なお、第2の型6を作製する際には、第1の型5から第2の型6が容易に離型するように、第1の型5上に、剥離剤を塗布しておいてもよい。剥離剤としては、従来公知の剥離剤を用いればよく、特に限定されるものではない。
次いで、図1(b)に示すように、例えば、ポリイミドフィルムなどの基板1上に、適量のクラッド材料を滴下した後、例えば、平行度を持たせたステージ上で、スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)10が基板1に接触するように、第2の型6を接近させる。このとき、第2の型6のスペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)10が基板1に接触する前に、第2の型6を一旦停止させ、真空に引いて脱泡処理を施して、クラッド材料から泡を除去することが好ましい。あるいは、基板1上に、スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)10が基板1に接触するように第2の型6を載置した後、基板1と第2の型6との間隙にクラッド材料を注入して充填してもよい。いずれの場合も、第2の型6を基板1に押し付けて、図1(c)に示すように、スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)10を基板1に密着させることが好ましい。
基板1としては、無機材料、有機材料を問わず、公知の材料はいずれも使用することができるが、例えば、シリコン基板;石英、パイレックス(登録商標)等のガラス基板;Al,Cu等の金属基板;金属酸化物基板;ポリイミド、ポリエーテルケトン等の樹脂基板;有機無機ハイブリッド基板等を使用することが好ましい。中でも、樹脂基板が好ましく、樹脂フィルムからなるフィルム基板がより好ましい。
フィルム基板としては、従来公知の光導波路材料から構成される樹脂フィルムであればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、オキセタン系樹脂、シラン系樹脂、シリコーン系樹脂などから構成される樹脂フィルムが挙げられる。これらの樹脂フィルムのうち、光電気混載モジュールの製造を考慮すると、耐熱性(特に、半田付けを想定した耐熱性、具体的には200〜250℃の耐熱性)の観点からは、ポリイミド系樹脂から構成されるフィルム、すなわちポリイミドフィルム(ハロゲン化ポリイミドフィルムを含む)が好ましい。また、フィルム基板として、ポリイミドフィルムを用いる場合には、市販品を利用してもよい。ポリイミドフィルムの市販品としては、例えば、東レ・デュポン株式会社の商品名「カプトン(登録商標)」シリーズが挙げられる。
基板1の厚さは、光導波路の用途や、光電気混載フレキシブルモジュールを製造した場合に使用する光の波長などに応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。基板1の厚さが小さすぎると、基板の強度が低下することがある。逆に、基板1の厚さが大きすぎると、光電気混載モジュールを製造した場合に、基板の透明性が低下することがある。
本発明の製造方法では、第2の型6に、コア溝に対応する凸部9に加えて、コア溝の両側に間隔を開けて平行に併設されるスペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)10が設けられているので、フィルム基板のような剛性が低い基板を用いても、基板1上に第2の型6を載置した際に、基板1または第2の型6が撓むことがなく、コア溝に対応する凸部9と基板1との間隔が略均一に保持される。しかも、スペーサ溝の深さ、すなわちスペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)10の高さを適宜設定することにより、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層2の厚さを容易に制御することができる。
そして、基板1と第2の型6との間隙に充填されたクラッド材料を硬化させた後、第2の型6を取り除いて、図1(d)に示すように、基板1上に、コア溝11とコア溝11の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝12とを有する下部クラッド層2を形成する。下部クラッド層2を構成するクラッド材料は、従来公知の光導波路材料であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線(または光)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂および熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂のうち、紫外線(または光)硬化性樹脂が好適である。
下部クラッド層2において、コア溝11とスペーサ溝12との間隔(x)に対するスペーサ溝12の深さ(y)の比率(y/x)は、好ましくは1/10以上、より好ましくは1/8以上、さらに好ましくは1/7以上であり、また、好ましくは3/1以下、より好ましくは2/1以下、さらに好ましくは3/2以下である。比率(y/x)が小さすぎると、充分な厚さのコア層を形成しようとすると、コア溝11とスペーサ溝12との間隔が広すぎるので、コア層の両側に下部クラッド層2の不必要な部分が多くなり、製造コストが上昇することがある。また、第2の型6において、コア溝11に対応する凸部9とスペーサ溝12に対応する凸部10との間隔が大きくなり、基板1上に第2の型6を載置する際に、第2の型6が撓みやすいので、コア層の下側に位置する下部クラッド層2の厚さが略均一にできないことがある。逆に、比率(y/x)が大きすぎると、充分な厚さのコア層を形成することができるが、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層2の厚さが大きくなり、やはり製造コストが上昇することがある。
下部クラッド層2において、スペーサ溝12の深さは、下部クラッド層2の厚さと略等しくなるように設定される。また、スペーサ溝12の幅は、下部クラッド層2の厚さなどに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、スペーサ溝12の深さを1とすると、これに対して、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であり、また、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下である。スペーサ溝12の幅がスペーサ溝12の深さに対して小さすぎると、第2の型6におけるスペーサ溝12に対応する凸部(スペーサ)10の幅が小さくなるので、第2の型6を基板1に押し付ける際に、基板1または第2の型6が撓むことがある。逆に、スペーサ溝12の幅がスペーサ溝12の深さに対して大きすぎると、第2の型6におけるスペーサ溝12に対応する凸部(スペーサ)10の幅が大きくなるので、第2の型6を構成する材料や、下部クラッド層2のスペーサ溝12に注入して充填するクラッド材料が不必要に多くなり、製造コストが上昇することがある。
下部クラッド層2の厚さは、光導波路の用途や使用する光の波長などに応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、コア溝11の下側を除いて、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下である。下部クラッド層2の厚さが小さすぎると、充分な厚さのコア層3を形成できないことがある。逆に、下部クラッド層2の厚さが大きすぎると、光電気混載モジュールを製造した場合に、下部クラッド層2の透明性が低下することがある。
下部クラッド層2の屈折率は、コア層3の屈折率より低い限り、特に限定されるものではないが、例えば、1.45〜1.65の範囲内で、クラッド材料の種類や組成を選択することにより、任意に調節することができる。
なお、第2の型6がシリコーン系ゴムで形成され、下部クラッド層2が熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂あるいは紫外線(または光)硬化性樹脂で形成されている場合には、第2の型6を用いて、数十回程度、下部クラッド層2を形成すると、熱や経時変化などにより、第2の型6が劣化してくることがある。また、下部クラッド層2を形成した後、クラッド材料の残滓により汚染されることがある。このような場合には、第1の型5から第2の型6を再度作製して用いればよい。
次いで、図1(e)に示すように、コア溝11にコア材料を注入して充填し、このコア材料を硬化させてコア層3を形成する。なお、図1(e)において、コア層3は、1個しか形成されていないが、光導波路の用途などに応じて、2個またはそれ以上形成されていてもよい。また、コア層3は、紙面に対して垂直方向に伸びる直線状に形成されているが、光導波路の用途などに応じて、所定のパターン状に形成されていてもよい。コア層3を構成するコア材料は、下部クラッド層2を構成するクラッド材料および上部クラッド層4を構成するクラッド材料より屈折率が高い限り、従来公知の光導波路材料であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線(または光)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂のうち、紫外線(または光)硬化性樹脂が好適である。
コア層3の厚さは、光導波路の用途や使用する光の波長などに応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。コア層3の厚さが小さすぎると、コア層3を伝播する光の量が低下することがある、逆に、コア層3の厚さが大きすぎると、下部クラッド層2の厚さを大きくする必要があり、コア層3の両側に下部クラッド層2の不必要な部分が多くなり、製造コストが上昇することがある。また、光導波路を構成する下部クラッド層2やコア層3の厚さが大きくなるので、基板1上に形成される光導波路フィルムの厚さが大きくなることがある。
コア層3は、長手方向に対して垂直な断面の形状が矩形であることが好ましく、正方形であることが最も好ましい。すなわち、コア層3のアスペクト比(幅/厚さ)は、好ましくは1/2以上、より好ましくは2/3以上、さらに好ましくは5/6以上であり、また、好ましくは2/1以下、より好ましくは3/2以下、さらに好ましくは6/5以下である。最も好ましくは1/1である。コア層3のアスペクト比が小さすぎるか、あるいは、大きすぎると、コア層3の長手方向に対して垂直な断面の形状が扁平になるので、コア層3に光が入射したり、コア層3から光が出射したりする際に光損失が生じることがある。
コア層3の屈折率は、下部クラッド層2および上部クラッド層4の屈折率より高い限り、特に限定されるものではないが、例えば、1.45〜1.65の範囲内で、コア材料の種類や組成を選択することにより、任意に調節することができる。
次いで、図1(f)に示すように、スペーサ溝12にクラッド材料を注入して充填し、かつ、コア層3を埋め込むように下部クラッド層2およびコア層3上にクラッド材料を塗布した後、このクラッド材料を硬化させて上部クラッド層4を形成する。上部クラッド層4を構成するクラッド材料は、下部クラッド層2を構成するクラッド材料と同一であっても、異なっていてもよく、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線(または光)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂および熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂のうち、紫外線(または光)硬化性樹脂が好適である。
上部クラッド層4の厚さは、光導波路の用途や使用する光の波長などに応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。上部クラッド層4の厚さが小さすぎると、上部クラッド層4の強度が低下することがある。逆に、上部クラッド層4の厚さが大きすぎると、不必要な部分が多くなり、製造コストが低下することがある。
上部クラッド層4の屈折率は、コア層3の屈折率より低い限り、特に限定されるものではないが、例えば、1.45〜1.65の範囲内で、クラッド材料の種類や組成を選択することにより、任意に調節することができる。
本発明に用いる硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、オキセタン系樹脂、シラン系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらの樹脂は、溶剤に溶解した溶液型であっても溶剤を含まない無溶剤型であってもよいが、無溶剤型がより好ましい。さらに、これらの樹脂を硬化性樹脂として用いる場合には、硬化剤や架橋剤などを併用することができる。
クラッド材料やコア材料として、紫外線(または光)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂のうち、粘度が低い硬化性樹脂を用いる場合は、液状の硬化性樹脂をフィルム基板1と第2の型6との間隙や下部クラッド層2に設けられたコア溝11に充填した後、あるいは、下部クラッド層2に設けられたスペーサ溝12に充填し、かつ、下部クラッド層2上に塗布した後、紫外線(または光)や熱により硬化させて、下部クラッド層2やコア層3、上部クラッド層4を形成する。また、熱可塑性樹脂を用いる場合や、紫外線(または光)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂のうち、粘度が高い樹脂を用いる場合は、加熱して流動状態もしくは融液状態にした樹脂を基板1と第2の型6との間隙や下部クラッド層2に設けられたコア溝11に充填した後、あるいは、下部クラッド層2に設けられたスペーサ溝12に充填し、かつ、下部クラッド層2上に塗布した後、熱可塑性樹脂の場合は冷却することにより、硬化性樹脂の場合は紫外線(または光)や熱により硬化させて、下部クラッド層2やコア層3、上部クラッド層4を形成する。作業効率の観点からは、充填する際の各材料の粘度は、好ましくは0.0001Pa・s以上、より好ましくは0.001Pa・s以上であり、また、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以下である。充填する際の各材料の粘度が低すぎると、硬化するのに長時間を要するので、作業効率が低下することがある。逆に、充填する際の各材料の粘度が高すぎると、取り扱い性が悪くなるので、作業効率が低下したり、空気が入り込んで欠陥部分が生じたりすることがある。
かくして、図1(f)に示すように、基板1上に形成された下部クラッド層2と、下部クラッド層2のコア溝11内に形成されたコア層3と、コア層3を埋め込むように下部クラッド層2およびコア層3上に形成された上部クラッド層4とを有する光導波路が得られる。
なお、上記では、図1(a)に示すマスター型(第1の型5)を用いて、1個の光導波路を製造する方法について説明したが、複数個の光導波路に対応するマスター型(第1の型)を用いて、複数個の光導波路を製造することもできる。この場合、フィルム基板1上に下部クラッド層2を形成した段階で、例えば、ダイシングすることにより、個々のチップに切り出して、その後は、上記と同様にして、個々の光導波路を製造すればよい。
本発明の製造方法によれば、コア層3の下側に位置する部分の下部クラッド層2が制御された略均一な厚さを有し、導波損失が非常に小さい光導波路を簡便に製造することができる。
また、図1(b)に示す樹脂製の型(第2の型6)をロール表面に貼り付けて、凹版印刷の要領で、光導波路を大量生産することもできる。
さらに、得られた光導波路は、下部クラッド層2、コア層3および上部クラッド層4が基板1上に形成されているので、基板1として、電気配線付きのフィルム基板を用いれば、発光素子および/または受光素子を実装する部分をダイシングソーでV字状に切断して45°ミラーを形成することにより、光電気混載モジュールを簡便に製造することができる。
また、本発明の製造方法において、図1(a)に示すマスター型(第1の型5)に、コア溝に対応する凹部7と直列(紙面に垂直な方向)に光ファイバ固定溝に対応する凹部を設けておけば、光ファイバ固定溝付き光導波路基板が得られる。
なお、光ファイバ固定溝とコア溝との間には、好ましくは、堰が設けられるが、堰は下部クラッド層を構成するクラッド材料で形成され、適度な厚さ(光ファイバ固定溝とコア溝との間隔)を有するので、光ファイバ固定溝に装着される光ファイバのコアとコア溝内に形成されたコア層との間における光信号の授受に支障はない。
堰の厚さは、好ましくは5μm以上、50μm以下である。堰の厚さが小さすぎると、堰に対応する凹部を有する第2の型(凸型)を用いて、下部クラッド層を形成する際に、堰を綺麗に転写できないことがある。逆に、堰の厚さが大きすぎると、光ファイバ固定溝に装着される光ファイバのコアとコア溝内に形成されたコア層との間における光信号の伝送損失が大きくなることがある。なお、堰の高さ(すなわち、コア溝の底面からの高さ)は、光ファイバ固定溝に装着される光ファイバの外径やコア径などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
また、光ファイバ固定溝の上端面部に対して、コア溝の上端面部が低くなっていることが好ましい。光ファイバ固定溝の上端面部とコア溝の上端面部との段差は、好ましくは、上部クラッド層の厚さに相当する。
<UV硬化型エポキシ樹脂>
本発明の製造方法に用いるクラッド材料およびコア材料としては、上記したような硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のうち、エポキシ系樹脂が好適であり、UV硬化型エポキシ樹脂がより好適であり、フレキシブル光導波路が得られることから、ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物を含有するUV硬化型エポキシ樹脂が特に好適である。
本発明の製造方法に用いるクラッド材料およびコア材料としては、上記したような硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のうち、エポキシ系樹脂が好適であり、UV硬化型エポキシ樹脂がより好適であり、フレキシブル光導波路が得られることから、ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物を含有するUV硬化型エポキシ樹脂が特に好適である。
ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物において、ポリアルキレングリコール鎖を構成するオキシアルキレン基は、好ましくは炭素数2以上、より好ましくは炭素数3以上、さらに好ましくは炭素数4以上であり、また、好ましくは炭素数12以下、より好ましくは炭素数8以下、さらに好ましくは炭素数6以下であり、最も好ましくは炭素数4のオキシアルキレン基である。これらのオキシアルキレン基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよく、また、置換基を有していてもよい。さらに、これらのオキシアルキレン基は、すべて同一のオキシアルキレン基であってもよいし、あるいは、異なる種類のオキシアルキレン基の組合せであってもよい。ポリアルキレングリコール鎖を構成するオキシアルキレン基の繰り返し数は、好ましくは1以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。
ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物としては、具体的には、例えば、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリペンタメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオールのジグリシジルエーテル;コポリ(テトラメチレン・ネオペンチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2−メチルブチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2,2−ジメチルブチレン)エーテルジオール、コポリ(テトラメチレン・2,3−ジメチルブチレン)エーテルジオールなどのコポリエーテルポリオールのジグリシジルエーテル;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどの脂肪族ポリオールのトリグリシジルエーテル;などが挙げられる。これらのポリグリシジル化合物のうち、ポリエーテルポリオールのジグリシジルエーテルが好適であり、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルが特に好適である。
上記のようなポリグリシジル化合物は、従来公知の方法により、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオールや、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの脂肪族トリオールを、必要に応じて、脱水縮合させた後、末端のヒドロキシ基にエピクロルヒドリンを反応させることにより製造することができる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルは、下記式(1):
[式中、nは1以上、30以下の整数である]
で示され、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは250以上、さらに好ましくは500以上であり、また、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下、さらに好ましくは1,000以下である。このようなポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルは、従来公知の製造方法により得ることができる。より詳しくは、数平均分子量が好ましくは200以上、より好ましくは250以上、さらに好ましくは500以上であり、また、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下、さらに好ましくは1,000以下であるポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エピクロルヒドリンとを、硫酸、三フッ化ホウ素エチルエーテル、四塩化スズなどの酸性触媒の存在下で、あるいは、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、クラウンエーテル類などの相間移動触媒の存在下で反応させてクロルヒドリンエーテル体を得た後、このクロルヒドリンエーテル体を水酸化ナトリウムなどの脱ハロゲン化水素剤と反応させて閉環させる2段階法により得ることができる。このとき、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が低すぎると、エポキシ系樹脂フィルムの可撓性が低下することがある。逆に、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が高すぎると、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルが固体となり、取り扱い性が悪くなることがある。なお、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算で求めることができる。
で示され、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは250以上、さらに好ましくは500以上であり、また、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下、さらに好ましくは1,000以下である。このようなポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルは、従来公知の製造方法により得ることができる。より詳しくは、数平均分子量が好ましくは200以上、より好ましくは250以上、さらに好ましくは500以上であり、また、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下、さらに好ましくは1,000以下であるポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エピクロルヒドリンとを、硫酸、三フッ化ホウ素エチルエーテル、四塩化スズなどの酸性触媒の存在下で、あるいは、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、クラウンエーテル類などの相間移動触媒の存在下で反応させてクロルヒドリンエーテル体を得た後、このクロルヒドリンエーテル体を水酸化ナトリウムなどの脱ハロゲン化水素剤と反応させて閉環させる2段階法により得ることができる。このとき、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が低すぎると、エポキシ系樹脂フィルムの可撓性が低下することがある。逆に、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が高すぎると、ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルが固体となり、取り扱い性が悪くなることがある。なお、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算で求めることができる。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルは、上記の製造方法により、合成してもよいが、市販品を利用することもできる。ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジグリシジルエーテルの市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名「jER(登録商標)YL7417」、「jER(登録商標)YL7217」などが挙げられる。
UV硬化型エポキシ樹脂には、屈折率や粘度調整のために、必要に応じて、ビスフェノール型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂を配合してもよい。ただし、より低粘度のエポキシ樹脂が取り扱い性に優れるので、好適である。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、これらのハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、フッ素化ビスフェノール型エポキシ樹脂、塩素化ビスフェノール型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂)などが挙げられる。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂のうち、入手の容易さや取り扱い性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好適である。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名「jER(登録商標)828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER(登録商標)5050」(臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)などが挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の配合量は、UV硬化型エポキシ樹脂から得られるエポキシ系樹脂フィルムが所望の屈折率を有するように適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物100質量部に対して、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは5,000質量部以下、さらに好ましくは1,000質量部以下である。ビスフェノール型エポキシ樹脂の配合量が多すぎると、UV硬化型エポキシ樹脂から得られるエポキシ系樹脂フィルムの可撓性が低下することがある。
脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−ビニルシクロヘキセン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、リモネンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール、ジシクロペンタジエンジエポキシド、オリゴマー型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「エポリード(登録商標)GT300」、「エポリード(登録商標)GT400」、「EHPE(登録商標)3150」)などのオレフィンを酸化することにより得られるエポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、水添ナフタレン型エポキシ樹脂などの芳香族エポキシを直接水添したエポキシ樹脂または多価フェノール類を水添した後、エピクロルヒドリンと反応させることにより得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの脂環式エポキシ樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの脂環式エポキシ樹脂のうち、入手の容易さや低粘度で作業性に優れることから、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好適である。
脂環式エポキシ樹脂の配合量は、UV硬化型エポキシ樹脂が所望の粘度を有するように適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、ポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物100質量部に対して、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは5,000質量部以下、さらに好ましくは1,000質量部以下である。脂環式エポキシ樹脂の配合量が多すぎると、UV硬化型エポキシ樹脂から得られるエポキシ系樹脂フィルムが硬くて脆くなることがある。
UV硬化型エポキシ樹脂を硬化させるために、このUV硬化型エポキシ樹脂には、光カチオン重合開始剤が配合される。光カチオン重合開始剤としては、例えば、米国特許第3,379,653号に記載されているような金属フルオロホウ素錯塩および三フッ化ホウ素錯化合物;米国特許第3,586,616号に記載されているようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3,708,296号に記載されているようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4,058,400号に記載されているようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4,069,055号に記載されているようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4,068,091号に記載されているようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4,139,655号に記載されているようなチオピリリウム塩;米国特許第4,161,478号に記載されているようなMF6 −陰イオン(ここで、Mは、リン、アンチモンおよびヒ素から選択される)の形のVIb元素;米国特許第4,231,951号に記載されているようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4,256,828号に記載されているような芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、ポリマー・ケミストリー(Polymer Chemistry)版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されているようなビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば、リン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩など);鉄化合物の混合配位子金属塩;シラノール−アルミニウム錯体;などが挙げられる。これらの光カチオン重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光カチオン重合開始剤のうち、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族ヨードニウム錯塩または芳香族スルホニウム錯塩、II族、V族およびVI族元素の芳香族オニウム塩が好適である。これらの塩のいくつかは、例えば、商品名「UVI−6976」、「UVI−6992」(以上、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製)、商品名「FX−512」(スリーエム・カンパニー製)、商品名「UVR−6990」、「UVR−6974」(以上、ユニオン・カーバイド・コーポレーション製)、商品名「UVE−1014」、「UVE−1016」(以上、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー製)、商品名「KI−85」(デグサ・アクチエンゲゼルシャフト製)、商品名「SP−150」、「SP−170」(以上、株式会社ADEKA製)、商品名「サンエイド(登録商標)SI−60L」、「サンエイド(登録商標)SI−80L」、「サンエイド(登録商標)SI−100L」、「サンエイド(登録商標)SI−110L」、「サンエイド(登録商標)SI−180L」(以上、三新化学工業株式会社製)などの市販品を入手することができる。
また、これらの光カチオン重合開始剤のうち、取り扱い性に優れ、潜在性と硬化性とのバランスに優れることから、オニウム塩が好適であり、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩が特に好適である。
光カチオン重合開始剤の配合量は、硬化するエポキシ樹脂成分の配合量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
UV硬化型エポキシ樹脂は、原料であるポリアルキレングリコール鎖と少なくとも2個のグリシジル基とを有するポリグリシジル化合物、必要に応じて配合されるビスフェノール型エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂などの分子量を適宜選択することにより、溶剤を用いることなく、粘度を、温度23℃で、10mPa・s以上、100,000mPa・s以下の範囲内に調整することができる。
UV硬化型エポキシ樹脂は、常温で液状であるので、基板上に第2の型を載置し、その間隙に適量注入して充填した後、あるいは、基板上に適量滴下し、第2の型を載置した後、あるいは、コア溝に注入して充填した後、あるいは、スペーサ溝に注入して充填し、かつ、コア層を埋め込むように下部クラッド層上に塗布した後、例えば、照射積算光量(露光エネルギー)0.01J/cm2以上、10J/cm2以下の紫外線を照射して硬化させることにより、下部クラッド層、コア層または上部クラッド層を構成する硬化したエポキシ系樹脂フィルムが得られる。
≪光導波路の製造方法に用いる型≫
本発明による光導波路の製造方法に用いる本発明の型は、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凹部または各凸部を有することを特徴とする。
本発明による光導波路の製造方法に用いる本発明の型は、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凹部または各凸部を有することを特徴とする。
上記したように、本発明の製造方法では、ソフトリソグラフィーを利用して、フィルム基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する。この際に用いるマスター型(第1の型)の代表例を図1(a)の符号5に示し、このマスター型(第1の型)から作製した樹脂製の型(第2の型)の代表例を図1(b)の符号6に示す。
図1(a)に示すように、第1の型5は、コア溝に対応する凹部7とコア溝の両側に間隔をあけて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する凹部8とを有する。第1の型5を構成する材料としては、有機材料(例えば、永久レジスト、ポリメチルメタクリレート、エポキシ系樹脂など)および無機材料(例えば、リン青銅などの金属または合金、石英ガラスなど)が挙げられる。第1の型5を作製する方法としては、有機材料の場合は、例えば、フォトリソグラフィー、切削などが挙げられる。無機材料の場合は、例えば、切削、エッチング、エアーブラスト、貼り合わせなどが挙げられる。これらの材料および作製方法のうち、マスター型(第1の型)としての耐久性を考慮すると、無機材料および切削が特に好適である。
第1の型5において、コア溝に対応する凹部7とスペーサ溝に対応する凹部8との間隔(x)に対するスペーサ溝に対応する凹部8の深さ(y)の比率(y/x)は、好ましくは1/10以上、3/1以下である。
なお、図1(a)に示す第1の型5において、コア溝に対応する凹部7は、1個しか形成されていないが、光導波路の用途などに応じて、2個またはそれ以上形成されていてもよい。また、コア溝に対応する凹部7は、紙面に対して垂直方向に伸びる直線状に形成されているが、光導波路の用途などに応じて、所定のパターン状に形成されていてもよい。さらに、図1(a)に示す第1の型5は、1個の光導波路を製造するように構成されているが、複数個の光導波路を製造するように構成されていてもよい。
なお、図1(a)には示されていないが、第1の型5において、光導波路の用途などに応じて、コア溝に対応する凹部7に直列(紙面に垂直な方向)に光ファイバ固定溝に対応する凹部が形成されていてもよい。また、コア溝にコア材料を注入して充填する際に、光ファイバ固定溝にコア材料が侵入しないように、コア溝に対応する凹部7と光ファイバ固定溝に対応する凹部との間には、堰に対応する凸部が形成されていることが好ましい。さらに、光ファイバ固定溝に対応する凹部の上端面部に対して、コア溝に対応する凹部7の上端面部が低くなっていることが好ましい。
図1(b)に示すように、第2の型6は、コア溝に対応する凸部9とコア溝の両側に間隔をあけて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)10とを有する。第2の型6を構成する材料としては、第1の型5を用いて、成型することができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線(または光)硬化性樹脂、熱(または二液)硬化性樹脂などの硬化性樹脂および熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば、硬化性樹脂を用いる場合には、硬化性樹脂を第1の型5に形成された凹部が埋まるように流し込み、これを硬化させることにより、第2の型6を作製することができる。また、熱可塑性樹脂を用いる場合には、加熱して流動状態もしくは融液状態にした熱可塑性樹脂を、第1の型5の凹部が形成された側に載置するか、あるいは、第1の型5の凹部が埋まるように流し込み、必要に応じて、加圧しながら、冷却することにより、第2の型6を作製することができる。
第2の型6を構成する材料のうち、形成される下部クラッド層の剥離性が向上することから、シリコーン材料が特に好適である。シリコーン材料のうち、硬化後にシリコーン系ゴムまたはシリコーン系樹脂となる硬化性シリコーン系ゴムオリゴマーもしくはモノマー、または、硬化性シリコーン系樹脂オリゴマーもしくはモノマーなどの硬化性シリコーン材料が好適であり、硬化性ポリシロキサンが特に好適である。硬化性シリコーン材料としては、通常、液状シリコーンと称されるものが用いられるが、形成される下部クラッド層の剥離性に優れ、かつ機械的強度に優れることから、硬化剤と組み合わせて用いる二液混合型が好適である。また、低粘度の硬化性シリコーン材料を用いれば、型の作製時に巻き込む泡の除去などの加工性に優れると共に、転写パターンの精密な型取りをすることができる。さらに、硬化性ポリシロキサンは、一液硬化型または二液硬化型のいずれでもよく、熱硬化型または室温硬化型のいずれでもよい。
硬化性シリコーン材料の具体例としては、例えば、アルキルシロキサン、アルケニルシロキサン、アルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキル水素シロキサンなどを含有するものが挙げられる。特に、アルキルアルケニルシロキサンおよびポリアルキル水素シロキサンの二成分混合系であり、低粘度で室温硬化型のものが剥離性および硬化性の観点から好適である。
第2の型6において、コア溝に対応する凸部9とスペーサ溝に対応する凸部10との間隔(x)に対するスペーサ溝に対応する凸部10の高さ(y)の比率(y/x)は、好ましくは1/10以上、3/1以下である。
なお、図1(b)に示す第2の型6において、コア溝に対応する凸部9は、1個しか形成されていないが、光導波路の用途などに応じて、2個またはそれ以上形成されていてもよい。また、コア溝に対応する凸部9は、紙面に対して垂直方向に伸びる直線状に形成されているが、光導波路の用途などに応じて、所定のパターン状に形成されていてもよい。さらに、図1(b)に示す第2の型6は、1個の光導波路を製造するように構成されているが、複数個の光導波路を製造するように構成されていてもよい。
なお、図1(b)に示されていないが、第2の型6において、光導波路の用途などに応じて、コア溝に対応する凸部9に直列(紙面に垂直な方向)に光ファイバ固定溝に対応する凸部が形成されていてもよい。また、コア溝にコア材料を注入して充填する際に、光ファイバ固定溝にコア材料が侵入しないように、コア溝に対応する凸部9と光ファイバ固定溝に対応する凸部との間には、堰に対応する凹部が形成されていることが好ましい。さらに、光ファイバ固定溝に対応する凸部の下端面部に対して、コア溝に対応する凸部9の下端面部が低くなっていることが好ましい。
第1の型から作製した第2の型を用いて、下部クラッド層に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて併設されたスペーサ溝とを形成する理由は、以下の通りである。下部クラッド層に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて併設されたスペーサ溝とを形成する際に、各溝に対応する凸部を有する第1の型(凸型)を用いて、下部クラッド層を形成すると、第1の型(凸型)と下部クラッド層との離型性が悪い場合に、型欠けなどが生じて寸法精度が低下する。また、剥離剤を塗布して、第1の型(凸型)と下部クラッド層との離型性を向上させたとしても、剥離剤の除去が難しいという問題がある。それゆえ、下部クラッド層を形成するためには、マスター型である第1の型(凹型)を用いて、樹脂製の第2の型(凸型)を作製し、これを使用することが有利である。
また、第2の型がシリコーン系ゴムなどの透明で柔軟性のある材料で構成されている場合は、スペーサ溝のように、幅が狭くて深い溝であっても、下部クラッド層を構成するクラッド材料の硬さに依存することなく、綺麗に転写することができる。それゆえ、下部クラッド層を構成するクラッド材料の選択範囲が広く、また、紫外線(または光)硬化性樹脂を用いた場合、紫外線(または光)硬化させる際に紫外線(または光)を透過させるために、下部クラッド層を形成するフィルム基板を構成する材料を透明な材料に制限する必要がなくなるなどの利点がある。
本発明の型を用いれば、ソフトリソグラフィーを利用して、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層が制御された略均一な厚さを有し、導波損失が非常に小さい光導波路を簡便に製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
まず、実施例および比較例においてクラッド材料およびコア材料として用いたUV硬化型エポキシ樹脂の調製について説明する。
≪UV硬化型エポキシ樹脂(1)の調製≫
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)YL7417」;数平均分子量700〜800)48質量部、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「セロキサイド(登録商標)2081」)30質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)828EL」)15質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、商品名「UVI−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、クラッド材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(1)を調製した。
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)YL7417」;数平均分子量700〜800)48質量部、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「セロキサイド(登録商標)2081」)30質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)828EL」)15質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、商品名「UVI−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、クラッド材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(1)を調製した。
≪UV硬化型エポキシ樹脂(2)の調製≫
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)YL7417」;数平均分子量700〜800)9質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)828EL」)43.5質量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)5050」)43.5質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、商品名「UVI−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、コア材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(2)を調製した。
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)YL7417」;数平均分子量700〜800)9質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)828EL」)43.5質量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)5050」)43.5質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、商品名「UVI−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、コア材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(2)を調製した。
≪UV硬化型エポキシ樹脂(3)調製≫
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)YL7417」;数平均分子量700〜800)18質量部、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「セロキサイド(登録商標)2021P」)78質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、商品名「UVI−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、クラッド材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(3)を調製した。
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)YL7417」;数平均分子量700〜800)18質量部、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「セロキサイド(登録商標)2021P」)78質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、商品名「UVI−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、クラッド材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(3)を調製した。
≪UV硬化型エポキシ樹脂(4)の調製≫
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)YL7417」;数平均分子量700〜800)15質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)828EL」)81質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、商品名「UVI−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、コア材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(4)を調製した。
ポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)YL7417」;数平均分子量700〜800)15質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「jER(登録商標)828EL」)81質量部、光重合開始剤であるトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、商品名「UVI−6992」)4質量部を、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用いて混合し、コア材料として用いるUV硬化型エポキシ樹脂(4)を調製した。
次に、光導波路を実際に作製した実施例および比較例について説明する。
≪光導波路の作製≫
<実施例1>
本実施例では、フレキシブル光導波路を作製した。
<実施例1>
本実施例では、フレキシブル光導波路を作製した。
1)リン青銅板(厚さ10mm)の表面を切削し、コア溝に対応する幅50μm、深さ50μmの凹部と、この凹部の両側に間隔100μmを開けて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する幅1.5mm、深さ75μmの凹部とを形成して、図1(a)に示すような第1の型(凹型)を作製した。なお、図1(a)において、スペーサ溝に対応する凹部8は、紙面の都合により、深さに比べて幅が小さく描かれている。
2)ガラス基板(厚さ2mm)上に、間隙を開けて、第1の型を載置し、ガラス基板と第1の型との間隙に、気泡を挟み込むことなく、二液硬化型シリコーン系ゴム(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「SILPOT 184」)を注入して充填し、室温で24時間静置して硬化させて、シリコーン系ゴム製の第2の型(凸型)を作製した。得られた第2の型は、図1(b)に示すように、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有していた。なお、図1(b)において、スペーサ溝に対応する凸部10は、紙面の都合により、高さに比べて幅が小さく描かれている。
3)フィルム基板としてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名「カプトン(登録商標)Hタイプ」;厚さ25μm)上に、クラッド材料として、UV硬化型エポキシ樹脂(1)を適量滴下した後、平行度を持たせたステージ上で、スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)がフィルム基板に接触するように、第2の型を接近させた。第2の型のスペーサがフィルム基板に接触する前に、第2の型を一旦停止させ、真空に引いて脱泡処理を施して、クラッド材料から泡を除去した。
次いで、図1(c)に示すように、第2の型のスペーサがフィルム基板に密着するように、第2の型をフィルム基板上に押し付けた。この状態で、第2の型側からUV照射を行って硬化させた後、第2の型を取り除いて、図1(d)に示すように、フィルム基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成した。下部クラッド層の厚さは、スペーサ溝の深さに等しく、75μm(コア溝の下側は厚さ25μm)であった。なお、図1(c)において、スペーサ溝に対応する凸部10は、紙面の都合により、高さに比べて幅が小さく描かれている。また、図1(d)において、スペーサ溝12は、紙面の都合により、深さに比べて幅が小さく描かれている。プリズムカプラ(サイロン・テクノロジ・インコーポレイテッド製、商品名「SPA−4000」)を用いて、下部クラッド層の屈折率を測定したところ、波長830nmにおける屈折率は1.50であった。
4)下部クラッド層が形成されたフィルム基板をホットプレート上に載置し、下部クラッド層に形成されたコア溝の両端に、コア材料として、UV硬化型エポキシ樹脂(2)を滴下し、毛細管現象を利用して、コア溝全体にコア材料を充填した。コア材料の充填が完了した時点で加熱を止め、UV照射を行って硬化させて、図1(e)に示すように、コア溝内に幅50μm、厚さ50μmのコア層を形成した。なお、図1(e)において、スペーサ溝12は、紙面の都合により、深さに比べて幅が小さく描かれている。プリズムカプラ(サイロン・テクノロジ・インコーポレイテッド製、商品名「SPA−4000」)を用いて、コア層の屈折率を測定したところ、波長830nmにおける屈折率は1.58であった。
5)コア層が形成された下部クラッド層上に、クラッド材料として、UV硬化型エポキシ樹脂(1)を適量滴下し、離型処理したガラス基板を載置した。次いで、下部クラッド層とガラス基板との間隔が所望の値になる前に、真空に引いて脱泡処理を施し、完全に泡が存在しなくなった時点で、所望の値になるまでガラス基板を密着させた。この状態で、ガラス基板側からUV照射を行って硬化させて、厚さ25μmの上部クラッド層を形成することにより、図1(f)に示すようなフレキシブル光導波路を得た。なお、図1(f)において、スペーサ溝12を埋めるクラッド材料の硬化物は、紙面の都合により、厚さに比べて幅が小さく描かれている。プリズムカプラ(サイロン・テクノロジ・インコーポレイテッド製、商品名「SPA−4000」)を用いて、上部クラッド層の屈折率を測定したところ、波長830nmにおける屈折率は1.50であった。
なお、工程3)〜5)において、UV硬化型エポキシ樹脂の硬化は、高圧水銀ランプを光源とする露光機(ミカサ株式会社製、商品名「MA−60F」)を用いて、照度10mW/cm2で15分間、すなわち露光エネルギー9J/cm2の条件で行った。
6)得られたフレキシブル光導波路について、他端に波長850nmのLED光源に接続した光ファイバを用いて、コア層の一端に波長850nmの光を入射させると共に、コア層の他端に光量計を接続した光ファイバを接触させることにより、コア層中を伝播した光の強度を測定したところ、導波損失が0.1dB/cmという非常に小さい値であった。
また、半径1mmで±90度に折り曲げても、折り曲げ線やクラックなどが発生せず、良好な外観を示した。
<比較例1>
本比較例では、フレキシブル光導波路を作製した。
本比較例では、フレキシブル光導波路を作製した。
実施例1において、コア溝に対応する凹部は有するが、コア溝に対応する凹部の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する凹部を有しない第1の型(凹型)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル光導波路を作製しようとしたところ、第2の型(凸型)が撓むことにより、コア溝の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを制御することができず、コア溝への毛細管現象によるコア材料の注入が困難であった。また、時間をかけて上部クラッド層まで形成したものの、各層の厚さが不均一であり、フレキシブル光導波路全体の厚さが均一ではなかった。
得られたフレキシブル光導波路について、実施例1と同様にして、導波損失を測定したところ、0.5dB/cmという大きい値であった。
また、半径1mmで±90度に折り曲げたところ、クラックは発生しなかったが、折り曲げ線が発生した。
<実施例2>
本実施例では、光ファイバ固定溝付き光導波路基板を作製した。
本実施例では、光ファイバ固定溝付き光導波路基板を作製した。
1)リン青銅板(厚さ10mm)の表面を切削し、コア溝に対応する幅50μm、深さ50μmの凹部と、この凹部の両側に間隔0.55mmを開けて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する幅1.5mm、深さ87.5μmの凹部と、光ファイバ固定溝に対応する幅130μm、深さ112.5μmの凹部と、コア溝に対応する凹部と光ファイバ固定溝に対応する凹部との間に、堰に対応する厚さ50μm、高さ112.5μmの凸部とを形成して、第1の型(凹型)を作製した。
2)ガラス基板(厚さ2mm)上に、間隙を開けて、第1の型を載置し、ガラス基板と第1の型との間隙に、気泡を挟み込むことなく、二液硬化型シリコーン系ゴム(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「SILPOT 184」)を注入して充填し、室温で24時間静置して硬化させて、シリコーン系ゴム製の第2の型(凸型)を作製した。得られた第2の型は、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝と光ファイバ固定溝とに対応する各凸部、および、コア溝に対応する凸部と光ファイバ固定溝に対応する凸部との間に、堰に対応する凹部を有していた。
3)フィルム基板としてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名「カプトン(登録商標)Hタイプ」;厚さ25μm)上に、クラッド材料として、UV硬化型エポキシ樹脂(3)を適量滴下した後、平行度を持たせたステージ上で、スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)がフィルム基板に接触するように、第2の型を接近させた。第2の型のスペーサがフィルム基板に接触する前に、第2の型を一旦停止させ、真空に引いて脱泡処理を施し、クラッド材料から泡を除去した。
次いで、第2の型のスペーサがフィルム基板に密着するように、第2の型をフィルム基板上に押し付けた。この状態で、第2の型側からUV照射を行って硬化させた後、第2の型を取り除いて、フィルム基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝と光ファイバ固定溝と、コア溝と光ファイバ固定溝との間に形成された堰とを有する下部クラッド層を形成した。下部クラッド層の厚さは、スペーサ溝の深さに等しく、87.5μm(コア溝の下側は厚さ37.5μm)であった。プリズムカプラ(サイロン・テクノロジ・インコーポレイテッド製、商品名「SPA−4000」)を用いて、下部クラッド層の屈折率を測定したところ、波長830nmにおける屈折率は1.51であった。
4)下部クラッド層が形成されたフィルム基板をホットプレート上に載置し、下部クラッド層に形成されたコア溝の両端に、コア材料として、UV硬化型エポキシ樹脂(4)を滴下し、毛細管現象を利用して、コア溝全体にコア材料を充填した。コア材料の充填が完了した時点で加熱を止め、UV照射を行って硬化させて、コア溝内に幅50μm、厚さ50μmのコア層を形成した。プリズムカプラ(サイロン・テクノロジ・インコーポレイテッド製、商品名「SPA−4000」)を用いて、コア層の屈折率を測定したところ、波長830nmにおける屈折率は1.56であった。
5)コア層が形成された下部クラッド層上に、クラッド材料として、UV硬化型エポキシ樹脂(3)を適量滴下し、離型処理したガラス基板を載置した。この際に用いるガラス基板は、光ファイバ固定溝に紫外線が照射されないようにマスクされたガラス基板を用いた。次いで、下部クラッド層とガラス基板との間隔が所望の値になる前に、真空に引いて脱泡処理を施し、完全に泡が存在しなくなった時点で、所望の値になるまでガラス基板を密着させた。この状態で、ガラス基板側からUV照射を行って硬化させて、厚さ25μmの上部クラッド層を形成した後、未硬化部分をアセトンで除去し、超純水で洗浄し、乾燥させることにより、光ファイバ固定溝付き光導波路基板を得た。プリズムカプラ(サイロン・テクノロジ・インコーポレイテッド製、商品名「SPA−4000」)を用いて、上部クラッド層の屈折率を測定したところ、波長830nmにおける屈折率は1.51であった。
なお、工程3)〜5)において、UV硬化型エポキシ樹脂の硬化は、高圧水銀ランプを光源とする露光機(ミカサ株式会社製、商品名「MA−60F」)を用いて、照度10mW/cm2で5分間、すなわち露光エネルギー3J/cm2の条件で行った。
6)得られた光ファイバ固定溝付き光導波路基板の光ファイバ固定溝に、GI光ファイバ(外径125μm、コア径50μm、長さ1m、一方の端部が芯線のままであり、他方の端部に波長850nmのLED光源が接続されている)の芯線側を挿入し、コア層の一端に波長850nmの光を入射させると共に、コア層の他端に光量計を接続した光ファイバを接触させることにより、コア層中を伝播した光の強度を測定したところ、導波損失が0.1dB/cmという非常に小さい値であった。
<比較例2>
本比較例では、光ファイバ固定溝付き光導波路基板を作製した。
本比較例では、光ファイバ固定溝付き光導波路基板を作製した。
実施例2において、コア溝と光ファイバ固定溝とに対応する各凹部、および、堰に対応する凸部は有するが、コア溝に対応する凹部の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する凹部を有しない第1の型(凹型)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、光ファイバ固定溝付き光導波路基板を作製しようとしたところ、第2の型(凸型)が撓むことにより、コア溝の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを制御することができず、コア溝への毛細管現象によるコア材料の注入が困難であった。また、時間をかけて上部クラッド層まで形成したものの、各層の厚さが不均一であり、光ファイバ固定溝付き光導波路基板全体の厚さが均一ではなかった。
得られた光ファイバ固定溝付き光導波路基板の光ファイバ固定溝に光ファイバを挿入したところ、光ファイバと光導波路のコア層との位置制御が不充分であることによる光軸のずれが発生した。また、得られた光ファイバ固定溝付き光導波路基板について、実施例2と同様にして、導波損失を測定したところ、1dB/cmという大きい値であった。
≪評価≫
以上のように、実施例1のフレキシブル光導波路および実施例2の光ファイバ固定溝付き光導波路基板は、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する凸型を用いて、フィルム基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成したので、スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)の存在により、フィルム基板または凸型が支持されて撓むことなく、略平行に保持されることにより、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを制御することができ、その結果、非常に小さい導波損失を示した。しかも、実施例1のフレキシブル光導波路は、下部クラッド層、コア層および上部クラッド層の厚さが均一であるので、半径1mmで±90度に折り曲げても、折り曲げ線やクラックなどが発生せず、良好な外観を示した。
以上のように、実施例1のフレキシブル光導波路および実施例2の光ファイバ固定溝付き光導波路基板は、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する凸型を用いて、フィルム基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成したので、スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)の存在により、フィルム基板または凸型が支持されて撓むことなく、略平行に保持されることにより、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを制御することができ、その結果、非常に小さい導波損失を示した。しかも、実施例1のフレキシブル光導波路は、下部クラッド層、コア層および上部クラッド層の厚さが均一であるので、半径1mmで±90度に折り曲げても、折り曲げ線やクラックなどが発生せず、良好な外観を示した。
これに対し、比較例1のフレキシブル光導波路および比較例2の光ファイバ固定溝付き光導波路基板は、コア溝に対応する凸部は有するが、コア溝に対応する凸部の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝に対応する凸部を有しない凸型を用いて、フィルム基板上に、コア溝を有する下部クラッド層を形成したので、凸型が撓むことにより、コア溝の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを制御することができず、その結果、大きい導波損失を示した。しかも、比較例1のフレキシブル光導波路は、下部クラッド層、コア層および上部クラッド層の厚さが不均一であるので、半径1mmで±90度に折り曲げたところ、クラックは発生しなかったが、折り曲げ線が発生した。
かくして、光導波路の製造方法において、コア溝に対応する凸部だけを有する凸型ではなく、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する凸型を用いて、フィルム基板上に、コア溝とコア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成すれば、フィルム基板のような剛性が低い基板を用いても、また、柔軟性のある材料で形成された凸型を用いても、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層の厚さを容易に制御することができ、導波損失が非常に小さい高性能の光導波路が簡便に得られることがわかる。
本発明による光導波路の製造方法およびそれに用いる型は、フィルム基板のような剛性が低い基板を用いても、また、当該型としてシリコーン系ゴムなどの柔軟性のある材料で構成されたものを用いても、コア層の下側に位置する部分の下部クラッド層が制御された略均一な厚さを有し、導波損失が非常に小さい光導波路を簡便に製造することを可能にするので、高性能の光導波路を製造する際に、製造コストの大幅な低減を図ることができる。それゆえ、本発明は、導波損失が非常に小さい高性能の光導波路の適用が期待される様々な光学関連分野や電子機器分野で多大の貢献をなすものである。
本出願は、特願2008−147315の優先権を主張するものであり、特願2008−147315の内容は全て本出願に含まれる。
本出願は、特願2008−147315の優先権を主張するものであり、特願2008−147315の内容は全て本出願に含まれる。
1 基板
2 下部クラッド層
3 コア層
4 上部クラッド層
5 第1の型(凹型)
6 第2の型(凸型)
7 コア溝に対応する凹部
8 スペーサ溝に対応する凹部
9 コア溝に対応する凸部
10 スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)
11 コア溝
12 スペーサ溝
2 下部クラッド層
3 コア層
4 上部クラッド層
5 第1の型(凹型)
6 第2の型(凸型)
7 コア溝に対応する凹部
8 スペーサ溝に対応する凹部
9 コア溝に対応する凸部
10 スペーサ溝に対応する凸部(スペーサ)
11 コア溝
12 スペーサ溝
Claims (11)
- 基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を用いて、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する工程と;
該コア溝にコア材料を注入して充填し、該コア材料を硬化させてコア層を形成する工程と;
該スペーサ溝にクラッド材料を注入して充填し、かつ、該コア層を埋め込むように該下部クラッド層上にクラッド材料を塗布した後、該クラッド材料を硬化させて上部クラッド層を形成する工程と;
を包含することを特徴とする光導波路の製造方法。 - 基板上に、クラッド材料を滴下し、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を載置した後、該クラッド材料を硬化させ、該第2の型を取り除いて、該基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝とを有する下部クラッド層を形成する工程を包含する請求項1に記載の製造方法。
- 該基板がフィルム基板である請求項1または2に記載の光導波路の製造方法。
- 前記コア溝と前記スペーサ溝との間隔(x)に対する前記スペーサ溝の深さ(y)の比率(y/x)が1/10以上、3/1以下である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記基板上に、前記クラッド材料を滴下し、前記第2の型を載置した後、前記第2の型を前記基板上に押し付けて、前記スペーサ溝に対応する凸部を前記基板に密着させてから、前記クラッド材料を硬化させる請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記第2の型が、前記コア溝と前記スペーサ溝とに対応する各凹部を有する第1の型を用いて作製される請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 前記クラッド材料および/または前記コア材料がUV硬化型エポキシ樹脂である請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
- 基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を用いて、該基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝を有する下部クラッド層を形成する工程を包含する光導波路の製造方法に用いる型であって、
コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有することを特徴とする型。 - 前記コア溝に対応する凸部と前記スペーサ溝に対応する凸部との間隔(x)に対する前記スペーサ溝に対応する凸部の高さ(y)の比率(y/x)が1/10以上、3/1以下である請求項8記載の型。
- 基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凸部を有する第2の型を用いて、該基板上に、コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されたスペーサ溝を有する下部クラッド層を形成する工程を包含する光導波路の製造方法に用いる型であって、
コア溝と該コア溝の両側に間隔を開けて略平行に併設されるスペーサ溝とに対応する各凹部を有することを特徴とする型。 - 前記コア溝に対応する凹部と前記スペーサ溝に対応する凹部との間隔(x)に対する前記スペーサ溝に対応する凹部の深さ(y)の比率(y/x)が1/10以上、3/1以下である請求項10記載の型。
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