JPWO2009090935A1 - 光増幅器 - Google Patents

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Abstract

光増幅器(10)は、第1および第2の多重パス増幅器(11,12)と、励起光源(13)と、ビームスプリッタ(15)とを備える。第2の多重パス増幅器(12)は、光パルスが光増幅媒質を複数回通過するように進むための光路に設けられ、入力された光パルスのエネルギーを減衰させる光減衰部を含む。さらに、励起光源(13)からの励起光パルスはビームスプリッタ(15)によって2つの光パルスに分割される。これら2つのパルスが第1および第2の多重パス増幅器(11,12)にそれぞれ入力される。これにより、光増幅器(10)から出力される光パルスのエネルギーの変動を、励起光パルスのエネルギーの変動よりも小さくできる。

Description

本発明は光増幅器に関し、特に、レーザ発振器から出力された光パルスを増幅する光増幅器に関する。
現在、レーザ光(以下、「レーザ」と呼ぶ場合がある)はさまざまな分野で利用される。またレーザ光に関する研究および開発も盛んに行なわれている。たとえば、パルスレーザの出力を増加させる方法、あるいはその出力を安定化させる方法が研究されている。
パルスレーザの出力を増加させる技術として、MOPA(Master Oscillation Power Amplifier)が知られている。MOPAとは、レーザ発振器(以下、単に「発振器」と呼ぶ場合がある)からの微弱パルスを増幅器により増幅する方法あるいはその方式を採用したシステムのことである。
MOPAに用いられる増幅器は、一般的に、多重パス増幅方式あるいは再生増幅方式を用いて光パルスを増幅する。多重パス増幅方式とは、増幅器内部の光増幅媒質に光パルスを複数回通すことによって、その光パルスを増幅する方式である。また、再生増幅方式とは、たとえば偏光の制御等により、所望のパス回数まで光パルスを増幅器中に閉じ込めることによって光パルスを増幅する方式である。
パルスレーザから発せられる光パルスのパルス幅が数百ナノ秒以下である場合、増幅器の内部ではマイクロ秒以下の時間内に光増幅が終了する。このため光増幅器から出力される光パルスのエネルギーを安定させることは容易ではない。
光パルスのエネルギーを安定化させる技術について、たとえば、非特許文献1(Strohkendl et al, "High stable amplification of femtosecond pulses", J.Opt.Soc.Am.B,Vol.11,No.5,pp742-749(1994))では、1段の多重パス増幅器を有するMOPAシステムにおいて、パスの多重度を最適化することにより出力エネルギーを安定化させる方法が開示されている。
たとえば非特許文献2(Chu et al, "A versatile 10-TW laser system with robust passive controls to achieve high stability and spatiotemporal quality", Appl.Phys.B79,pp193-201(2004))では、増幅器の利得を十分に飽和させることによって、励起光源の出力変動に対する増幅器への影響を抑える方法が開示されている。
たとえば非特許文献3(Oksenhendler et al, "Femtosecond laser pulse energy self-stabilization", Appl.Phys.B79,pp933-935(2004))では、パルスレーザ装置から出力される光パルスの強度を検出して、超高速で動作する光変調器によりそのパルスのエネルギーを調整する方法が開示されている。
Strohkendl et al, "High stable amplification of femtosecond pulses", J.Opt.Soc.Am.B,Vol.11,No.5,pp742-749(1994) Chu et al, "A versatile 10-TW laser system with robust passive controls to achieve high stability and spatiotemporal quality", Appl.Phys.B79,pp193-201(2004) Oksenhendler et al, "Femtosecond laser pulse energy self-stabilization", Appl.Phys.B79,pp933-935(2004)
図6は、MOPAを採用した従来の増幅方法を説明する図である。図6を参照して、光パルス増幅システム200は、発振器101と、増幅器111〜113と、拡大レンズ116,117と、励起光源121〜123とを含む。
発振器101は、シードパルスを発生する。上述したように、このシードパルスは微弱な光パルス(たとえばエネルギーが1(nJ)の光)である。増幅器111〜113の各々は、多重パス増幅器である。増幅器111〜113の各々には光増幅媒質(図示せず)が含まれる。励起光源121〜123は、増幅器111〜113にそれぞれ対応して設けられ、対応する増幅器に含まれる光増幅媒質に励起光を照射する。これにより、光増幅媒質が励起される。励起状態にある光増幅媒質は、自身に入力された光パルスを増幅する。
拡大レンズ116は増幅器111と増幅器112との間に設けられ、増幅器111から出力された光パルスの径を広げる。同様に、拡大レンズ117は増幅器112と増幅器113との間に設けられ、増幅器112から出力された光パルスの径を広げる。
なお、増幅器111の利得は増幅器112の利得および増幅器113の利得に比較して極めて大きく設定される。ここでは利得を(増幅後の光パルスのエネルギー)/(増幅前の光パルスのエネルギー)と定義する。たとえば増幅器111の利得、増幅器112の利得、増幅器113の利得を、それぞれ、10、10、10とする。したがって、シードパルスのエネルギーが1(nJ)である場合、光パルス増幅システム200は、1(J)のエネルギーを有する光パルスを出力する。このように、光パルス増幅システム200は、複数の増幅器を備えることによって、微弱なパルスから大きなエネルギーを有する光パルスを生成することが可能になる。
ここで、1段目の増幅器(増幅器111)の利得は大きいので、非特許文献1に開示される方法を適用すれば、増幅器111から出力される光パルスのエネルギーを安定化させることが可能になると考えられる。
しかし、2段目の増幅器および3段目の増幅器では、その利得が小さいために、出力される光パルスのエネルギーの変動を抑制することは困難と考えられる。したがって、光パルス増幅システム200から出力される光パルスのエネルギーの変動を抑制することが困難と考えられる。この理由に付き説明する。
図7は、パス多重度と出力パルスのエネルギーとの関係を説明する図である。なお、図7は上述の非特許文献1に詳細に説明されている。したがって以下ではパス多重度と出力パルスのエネルギーとの関係の概略を説明する。
図7を参照して、曲線は、パスの多重度(Pass Number)に対する出力(Jout/Jsat)の関係を表す。Joutは出力フルーエンス(Output fluence)であり、Jsatは、光増幅媒質の飽和フルーエンス(saturation fluence)である。
図7では、5本の曲線を1つの単位として、各単位に数値(10−3,10−5等)が付与されている。この数値は、増幅器の入力フルーエンス(Jin)に対する飽和フルーエンスの比(Jin/Jsat)を表す。数値が大きいほど増幅器に入力されるパルスのエネルギーが大きいことを表す。
また、各単位に対応する5本の曲線は、励起エネルギーの変動を表わす。5本の曲線が互いに重なりあうことは、励起エネルギーの変動によらず、出力パルスのエネルギーが安定していることを表している。たとえば(Jin/Jsat)が10−9の場合、パスの多重度を約40以上に設定することにより、出力パルスのエネルギーを安定させることが可能になる。
一方、増幅器112、113の各々に入力される光パルスのエネルギーは比較的大きい。さらに、増幅器112、113の各々に求められる利得が小さいため、各増幅器112、113のパス多重度は小さい(たとえば4〜5)。図7に示したパス多重度と光増幅器の出力との関係から、入力パルスのエネルギーが大きく、かつ、パス多重度が小さい場合には、励起エネルギーの変動に応じて出力パルスのエネルギーが変動することが分かる。したがって、増幅器112、113の各々に入力される励起光パルスのエネルギーが変動すると、各増幅器から出力される光パルスのエネルギーも変動する。
以上の理由により、非特許文献1に示された方法によれば、多段の増幅器を含む光パルス増幅システムから出力される光パルスのエネルギーを安定化させることは困難である。
さらに、非特許文献2に示された方法では、増幅器の出力の変動を励起エネルギーの変動より小さくすることが困難である。
さらに、非特許文献3に示された方法を適用する場合、光伝導スイッチの寿命が短いという課題がある。また、この方法を適用するための光パルスの波長およびエネルギーの条件が制限される。
本発明は、上述の課題を解決するものであって、その目的は、出力を安定化させることが可能な光増幅器を提供することである。
本発明は要約すれば、光増幅器であって、第1の増幅器と、第2の増幅器とを備える。第1の増幅器は、第1の光パルスにより励起され、かつ、その励起状態において、入力されるレーザ光パルスを増幅する第1の光増幅媒質と、レーザ光パルスが第1の光増幅媒質を複数回通過するための第1の光路を形成する第1の光学系とを含む。第2の増幅器は、第2の光パルスにより励起され、かつ、その励起状態において、入力される増幅光を増幅する第2の光増幅媒質と、増幅光が第2の光増幅媒質を複数回通過するための第2の光路を形成する第2の光学系と、第2の光路に設けられて、自身に入射した増幅光のエネルギーを減衰させる光減衰部とを含む。光増幅器は、第1および第2の光増幅媒質を励起するための励起光パルスを発生させる励起光源と、励起光源からの前記励起光パルスを、前記第1および第2の光パルスに分割する第1のパルス分割部とをさらに備える。
好ましくは、第1の光路に沿って進むレーザ光パルスが第1の光増幅媒質を通過する回数は、第2の光路に沿って進む増幅光が第2の光増幅媒質を通過する回数と同じである。
好ましくは、光増幅器は、強度調整部をさらに備える。強度調整部は、第1の光増幅媒質に入力される第1の光パルスのエネルギーと、第2の光増幅媒質に入力される第2の光パルスのエネルギーとの比が所定値となるように、第1および第2の光パルスの少なくとも一方のパルスの強度を調整する。
より好ましくは、第1の光路に沿って進むレーザ光パルスが第1の光増幅媒質を通過する回数は、第2の光路に沿って進む増幅光が第2の光増幅媒質を通過する回数と同じである。
さらに好ましくは、強度調整部は、第1の増幅器から出力される増幅光の強度の所定時間内における平均値および第2の増幅器から出力される出力光の強度の所定時間内における平均値が一定となるように、少なくとも一方のパルスの強度を調整する。
好ましくは、光増幅器は、第2のパルス分割部と、第3の増幅器とをさらに備える。第2のパルス分割部は、第2の光パルスから第3の光パルスを抽出する。第3の増幅器は、第2の増幅器と同じ構成を有する。第3の増幅器は、第3の光パルスと第2の増幅器からの出力光とを受けることにより出力光を増幅する。
本発明に係る光増幅器に含まれる増幅器の個数の最大値は3に限定されるものではなく、3より多くてもよい。すなわち、本発明に係る光増幅器は、たとえば上記第1から第3の増幅器に加えて第4の増幅器あるいは第4および第5の増幅器を含んでもよい。
本発明によれば、複数の多重パス増幅器を含む光増幅器において、その光増幅器から出力される光パルスのエネルギーを安定化させることが可能になる。
実施の形態1に従う光増幅器10を含む光パルス増幅システム100の概略構成図である。 Franz-Nodvikの式を用いた数値解析結果を示した図である。 図2に示した数値解析結果を説明するための概念図である。 図1に示した光パルス増幅システム100の構成の具体例を示す図である。 図4に示す光パルス増幅システム100において、多重パス増幅器12に入力される励起パルスのエネルギーを変化させたときの、平均出力エネルギーと、出力エネルギーの標準偏差とを測定した結果を示す図である。 MOPAを採用した従来の増幅方法を説明する図である。 パス多重度と出力パルスのエネルギーとの関係を説明する図である。 実施の形態2に係る光パルス増幅システムの具体例を示す図である。 減衰器17および18の具体的な構成の例を示す第1の図である。 減衰器17および18の具体的な構成の例を示す第2の図である。 実施の形態3に従う光増幅器を含む光パルス増幅システム100Bの概略構成図である。
符号の説明
1,101 発振器、2 パルス伸長器、5 光アイソレータ、6A,6B 凸レンズ、7A,7B 光増幅媒質、8A〜8D 凹面鏡、9A〜9D,93 偏光子、10 光増幅器、11,12,12A 多重パス増幅器、13,121〜123 励起光源、14,15A,15C,23〜25,31〜39,41,42,51,53〜55,61〜68,82 反射鏡、15,15B,22,52 ビームスプリッタ、16,16A,116,117 拡大レンズ、17,17A,18 減衰器、20A,20B,95 ポッケルスセル、21,91 1/2波長板、45 凸面鏡、71〜74 石英板、81,83 受光素子、84 制御装置、92 モータ、96 ドライバ、100,100A,200 光パルス増幅システム、111〜113 増幅器、P1,P2 光路。
以下において、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に従う光増幅器10を含む光パルス増幅システム100の概略構成図である。
図1を参照して、光パルス増幅システム100は、シードパルス(レーザ光パルス)を発生させる発振器1と、発振器1からのシードパルスを増幅して出力する光増幅器10とを備える。
光増幅器10は、多重パス増幅器11、12と、励起光源13と、ビームスプリッタ15と、拡大レンズ16と、減衰器17とを含む。
発振器1からのシードパルスは、多重パス増幅器11によって増幅される。多重パス増幅器11から出力された光パルス(増幅光)は、拡大レンズ16を通り、多重パス増幅器12に入力される。多重パス増幅器12は、入力された光パルス(増幅光)を増幅して出力する。拡大レンズ16は多重パス増幅器11と多重パス増幅器12との間に設けられ、多重パス増幅器11からの光パルスの径を広げる。
このように、光パルス増幅システム100は、複数の増幅器を備えることによって、微弱なパルスから大きなエネルギーを有する光パルスを生成することが可能になる。多重パス増幅器11の利得および多重パス増幅器12の利得は、光増幅器10に求められる利得に応じて適切に定められる。
多重パス増幅器11、12の各々は光増幅媒質(図示せず)を含む。光増幅媒質は固体、液体、気体のいずれであってもよい。たとえば固体の光増幅媒質として、チタンサファイアあるいはNd:YAG(Yttrium Aluminum Garnet)などを用いることができる。
励起光源13は、その光増幅媒質を励起するための光パルスを発する。ビームスプリッタ15は、励起光源13からの励起光パルスを第1および第2の光パルスに分割する。第1の光パルスのエネルギーと第2の光パルスのエネルギーとの比率は、たとえば実験結果に基づいて定められる。なお、この比率は、第2の励起光パルスのエネルギーが第1の励起光パルスのエネルギーより大きくなるように定められる。これは多重パス増幅器11から出力される光パルスのエネルギーよりも、多重パス増幅器12から出力される光パルスのエネルギーを大きくするためである。
第1の光パルスは、多重パス増幅器11に入力され、多重パス増幅器11に含まれる光増幅媒質を励起する。第2の光パルスは減衰器17を通過することにより、その強度(エネルギー)が弱められる。減衰器17を通過した第2の光パルスは多重パス増幅器12に入力され、多重パス増幅器12に含まれる光増幅媒質を励起する。
多重パス増幅器11、12の各々の内部では、レーザ光パルスが励起状態の光増幅媒質を複数回通ることにより、その光パルスが増幅される。この増幅方式は、多重パス増幅方式および再生増幅方式のいずれでもよい。したがって、本明細書ではこれらの方式を「多重パス増幅方式」と総称することにする。
一般的には、第1の光パルスのエネルギーと第2の光パルスのエネルギーとの比率が予め設計した値とおりになるようにビームスプリッタ15を製作することは困難である。減衰器17によって、その第2の光パルスを減衰させることにより多重パス増幅器11および多重パス増幅器12にそれぞれ入力される2つの光パルスのエネルギーの比率を所定の比率に保つことが可能になる。なお減衰器17は、入力される光パルスのエネルギーを無段階に調整できる(減衰できる)ことが好ましい。
また、減衰器17に加えて、あるいは減衰器17に代えて、第1の光パルスのエネルギーを調整できる(減衰できる)減衰器が設けられていてもよい。
本実施の形態では、励起光源13からの励起光パルスがビームスプリッタ15によって第1および第2の光パルスに分割されることにより、その励起光パルスのエネルギーの変動が第1および第2の光パルスのエネルギーの変動に反映される。すなわち励起光パルスのエネルギーが上昇した場合には、第1の光パルスのエネルギーおよび第2の光パルスのエネルギーはともに上昇する。一方、励起光パルスのエネルギーが低下した場合には、第1の光パルスのエネルギーおよび第2の光パルスのエネルギーはともに低下する。
さらに、多重パス増幅器12の内部には、レーザ光パルスが通る光路に設けられて、自身に入射したレーザ光パルスのエネルギーを減衰させる光減衰部が設けられる。これによって、光増幅器10から出力される光パルスのエネルギーを安定化させることが可能になる。
なお、図1には、第2の光パルスは、反射鏡15Aにより減衰器17に導かれる。ただし、第2の光パルスを減衰器17に直接的に入力してもよい。この場合には反射鏡15Aは不要である。
次に、本実施の形態に従う光増幅器10についてより詳しく説明する。多重パス増幅器11,12の各々による光パルスの増幅については、Franz-Nodvikの式を用いて説明することができる。Franz-Nodvikの式は、以下の式(1)に従って表わされる。
Figure 2009090935
ここで、pはパス多重度(pass number)であり、Jinは入力フルーエンス(input fluence)であり、Joutは出力フルーエンス(output fluence)であり、Jsatは飽和フルーエンス(saturation fluence)である。G0 (p)は小信号利得(small signal gain)であり、以下の式(2)によって示される。
Figure 2009090935
Jsto (p)は光増幅媒質に蓄積され、増幅作用によって取り出すことが可能なフルーエンスを表わす。
本実施の形態では、このFranz-Nodvikの式において、Jin(p+1)=Jout(p)×Tとする。Tは、透過率である(0<T<1)。つまり、本実施の形態では、光増幅媒質を通過したレーザ光パルスを減衰させて、その減衰した光を光増幅媒質に再度入力する。
図2は、Franz-Nodvikの式を用いた数値解析結果を示した図である。なお、図2は、1段目の多重パス増幅器および2段目の多重パス増幅器にチタンサファイア多重パス増幅器(パス多重度は4)を用いた光増幅器により光パルスを増幅する場合の数値解析結果を示した図である。
図2を参照して、図中の「Loss」は2段目の多重パス増幅器でのパス毎の損失を示す。なお、1段目の多重パス増幅器ではパス毎の損失はゼロである。
図2に示した結果を得るための計算条件についてさらに説明する。1段目の多重パス増幅器の励起フルーエンスを2段目の多重パス増幅器の励起フルーエンスの2倍に設定した。図2のグラフにおける上側の横軸のスケールは、1段目の増幅器の励起フルーエンスを示す。一方、グラフの下側のスケールは、2段目の増幅器の励起フルーエンスを示す。
また、1段目の多重パス増幅器による光パルスの増幅後に、ビーム(光パルス)の直径が4倍に広げられる(フルーエンスが元の1/16になる)とともに、その広げられたビームが2段目の多重パス増幅器に入射される場合を想定している。1段目の多重パス増幅器に入射するシードパルスのフルーエンスは10−7[J/cm2]である。
図2に示されるように、2段目の多重パス増幅器からの出力フルーエンスは小信号利得係数に応じて変化する。まず2段目の多重パス増幅器においてパス毎にレーザ光パルスのエネルギーの損失が生じない場合(損失が0%の場合)について説明する。小信号利得係数が約1.5以上となる場合、小信号利得係数と出力フルーエンスとの関係を示す曲線は原点を通る直線(図中、破線で示す)と重なる。このことは、飽和増幅の場合、多重パス増幅器から出力されるパルスのエネルギーの安定性が、小信号利得係数の安定性に依存することを表わす。つまり、損失が0%の場合、2段目の多重パス増幅器から出力されるパルスのエネルギーの変動を、励起エネルギーの変動より小さくすることは困難である。
一方、損失を5%、10%、15%と変化させることにより、小信号利得係数によらず多重パス増幅器から出力されるパルスのエネルギーを安定させることが可能になる。たとえば損失が30%の場合には、小信号利得係数がおよそ2.2の付近で出力フルーエンスが変化しない安定領域が現れる。この領域に含まれる小信号利得係数で2段目の多重パス増幅器を動作させることによって、励起光パルスのエネルギーが多少変動しても、2段目の多重パス増幅器から出力されるパルスのエネルギーの変動を抑制することができる。言い換えると、励起光源の出力変動に対する増幅器の出力の安定化を実現できる。
図3は、図2に示した数値解析結果を説明するための概念図である。図3および図1を参照して、まず、励起光源13の出力変動により、1段目の増幅器(多重パス増幅器11)に入力される励起光パルス(第1の光パルス)のエネルギーが変動する。したがって、多重パス増幅器11の出力が変動する。
多重パス増幅器12の内部においてパス毎の損失が生じない場合には、多重パス増幅器12における出力は破線に示されるように変動する。2段目の増幅器(多重パス増幅器12)に入力される励起光パルス(第2の光パルス)のエネルギーは第1の光パルスのエネルギーと同様に変動する。つまり、第1の光パルスのエネルギーが増加すると第2の光パルスのエネルギーも増加するので、多重パス増幅器12から出力されるパルスのエネルギーは大きくなる。一方、第1の光パルスのエネルギーが低下すると第2の光パルスのエネルギーも低下するので、多重パス増幅器12から出力されるパルスのエネルギーは小さくなる。これにより各パスにおける利得が変動する。
なお、各パス(光パルスが光増幅媒質を通過した回数)における直線の傾きは光パルスの利得を表わす。パス数が大きくなるにつれて利得が小さくなる。これは、光パルスが励起状態の光増幅媒質を通過することによって光増幅媒質に蓄積されるエネルギーの一部が取り出されるため、光パルスが増幅される一方、光増幅媒質に蓄積されたエネルギーが次第に減少するためである。
次に、多重パス増幅器12の内部においてパス毎の損失が生じる場合について説明する。図3中の実線は、多重パス増幅器12の内部においてパス毎の損失が生じる場合のパルスのエネルギーの変化を示す。
多重パス増幅器11からの出力がその変動範囲における最大値である場合、パス数が1および2のときには、光増幅媒質から多くのエネルギーが取り出される。パス数が3および4のときには、光増幅媒質に残るエネルギーが少ないので、光増幅媒質の利得が小さくなる。一方、光パルスが光増幅媒質を通過するたびに光パルスが増幅されるものの、光パルスのエネルギーの損失も発生する。この結果、パス数が1および2の場合には光パルスは増幅されるものの、パス数が3および4の場合には、光パルスが減衰する。
一方、多重パス増幅器11からの出力がその変動範囲における最小値である場合、パス数が2のときに光増幅媒質に入力される光パルスのエネルギーは、1パス〜3パスの各々において損失が生じる場合の光パルスのエネルギーよりも小さい。したがって、光増幅媒質から取り出されたエネルギーも、パスごとの損失がない場合に光増幅媒質から取り出されたエネルギーより小さい。これにより、パス数が3および4の場合においても光パルスが増幅される。この結果、多重パス増幅器11の出力の変動に比較して、多重パス増幅器12の出力の変動を小さくすることが可能になる。
なお、1パスあたりの光パルスのエネルギーの損失の割合、および励起エネルギーの変動等に応じて、光パルスのエネルギーの損失が生じるパスの数が定められる。したがって、すべてのパスにおいて損失を生じさせる必要はない。
図4は、図1に示した光パルス増幅システム100の構成の具体例を示す図である。なお図4では光パルスの光路を矢印によって示す。
図4を参照して、発振器1は、たとえばフェムト秒レベルのパルス幅を有する光パルスを発生させる。パルス伸長器2は、発振器1からのパルスを受けて、そのパルスの幅を広げる。パルス伸長器2からのパルスがシードパルスとして光増幅器10に入力される。
光増幅器10は、多重パス増幅器11,12と、励起光源13と、反射鏡14と、ビームスプリッタ15と、拡大レンズ16と、減衰器17,18と、反射鏡41,42とを含む。
多重パス増幅器11は、光アイソレータ5と、凸レンズ6A,6Bと、光増幅媒質7Aと、凹面鏡8A,8B,8Cと、偏光子9A,9Bと、ポッケルスセル20Aと、1/2波長板21と、ビームスプリッタ22と、反射鏡23〜25,31〜39とを含む。
光増幅媒質7Aは、チタンサファイア結晶である。励起光源13は励起光パルスを発生させる。
励起光源13は、たとえばQスイッチNd:YAGレーザ、およびQスイッチNd:YAGレーザから発せられる光の高調波を発生させる非線形素子により構成される。励起光源13からの励起光パルスは、反射鏡14により反射され、ビームスプリッタ15により2つの光パルスに分割される。2つの光パルスのうちの一方は、減衰器18を通り、ビームスプリッタ22により2つの光パルスに分割される。ビームスプリッタ22から出力される2つの光パルスの一方は、反射鏡23,24によって、チタンサファイア結晶(光増幅媒質7A)の一方の端面に入力される。ビームスプリッタ15から出力される2つの光パルスの他方は、反射鏡25によって、チタンサファイア結晶(光増幅媒質7A)の他方の端面に入力される。光増幅媒質7Aに入力される2つの光パルスによって光増幅媒質7Aが励起される。
図4では、多重パス増幅器11における光パルスの光路を光路P1と示す。パルス伸長器2からのシードパルスは、この光路P1を通る。
パルス伸長器2からのシードパルスは、反射鏡31で反射して、光アイソレータ5、凸レンズ6A、6Bを通る。光アイソレータ5は、光パルスを反射鏡31から反射鏡32の方向にのみ通すためのものである。凸レンズ6Bを通った光パルスは、反射鏡32,33によって光増幅媒質7Aに入力され、かつ光増幅媒質7Aを通過する(1パス)。
光増幅媒質7Aを通過した光は、凹面鏡8Aに達する。凹面鏡8Aに達した光パルスは、反射鏡34、凹面鏡8Bの各々で反射して光増幅媒質7Aを通過する(2パス)。
光増幅媒質7Aを通過した光は、凹面鏡8Cに達する。凹面鏡8Cに達した光パルスは、凹面鏡8C、反射鏡36および反射鏡37の各々で反射して偏光子9Aに入力される。偏光子9Aに入力された光パルスは、偏光子9A、ポッケルスセル20A、1/2波長板21、偏光子9Bを通過する。ポッケルスセル20Aは、電気的に光パルスの偏光方向を切り換える。偏光子9A、ポッケルスセル20A、1/2波長板21、偏光子9Bは、シードパルスを間引く役割を果たす。
偏光子9Bを通過した光パルスは、反射鏡38,39の各々で反射することにより凹面鏡8Cに達する。光パルスは凹面鏡8Cで反射することにより光増幅媒質7Aを通過する(3パス)。
光増幅媒質7Aを通過した光パルスは、凹面鏡8B、反射鏡35、凹面鏡8Aの各々で反射して、光増幅媒質7Aを通過する(4パス)。
光増幅媒質7Aを通過した光パルスは、反射鏡41および42によって、拡大レンズ16に導かれる。
拡大レンズ16は、凸面鏡45および凹面鏡8Dを含む。反射鏡41で反射した光パルスは、凸面鏡45および凹面鏡8Dで反射することにより、その径が広げられる。凹面鏡8Dで反射した光パルスは、多重パス増幅器12に入力される。
多重パス増幅器12は、光増幅媒質7Bと、偏光子9C,9Dと、ポッケルスセル20Bと、ビームスプリッタ52と、反射鏡51,53〜55,61〜68と、石英板71〜74とを含む。
図4では、多重パス増幅器12における光パルスの光路を光路P2と示す。凹面鏡8Dからの光パルスは、この光路P2を通る。
光増幅媒質7Bは、光増幅媒質7Aと同様に、チタンサファイア結晶である。上述したようにビームスプリッタ15からの2つの光パルスの一方は、減衰器18を通る。これに対し、これら2つの光パルスの他方は、減衰器17を通る。減衰器17を通った光パルスは反射鏡51によって反射され、さらにビームスプリッタ52により2つの光パルスに分割される。ビームスプリッタ52から出力される2つの光パルスの一方は、反射鏡54,55によって、チタンサファイア結晶(光増幅媒質7B)の一方の端面に入力される。ビームスプリッタ52から出力される2つの光パルスの他方は、反射鏡53によって、チタンサファイア結晶(光増幅媒質7B)の他方の端面に入力される。光増幅媒質7Bに入力される2つの光パルスによって光増幅媒質7Bが励起される。
凹面鏡8Dからの光パルス(増幅光)は偏光子9Cに入力される。偏光子9Cに入力された光パルスは、偏光子9C、ポッケルスセル20B、および偏光子9Dを通過する。偏光子9Dから出力された光パルスは、反射鏡61,62の各々で反射して光増幅媒質7Bに入力され、かつ光増幅媒質7Bを通過する(1パス)。
光増幅媒質7Bを通過した光パルスは、石英板72,71を通過する。石英板72,71は、各々の表面が光パルスの光路P2に対して斜めとなるように設置される。これにより石英板72,71を通過した光パルスが減衰する。石英板71を通過した光パルスは、反射鏡63,64の各々で反射して光増幅媒質7Bに入力され、かつ光増幅媒質7Bを通過する(2パス)。
光増幅媒質7Bを通過した光パルスは、石英板74,73を通過する。石英板74,73は、各々の表面が光パルスの光路P2に対して斜めとなるように設置される。これにより石英板74,73を通過する光パルスが減衰する。石英板73を通過した光パルスは、反射鏡65,66の各々で反射して光増幅媒質7Bに入力され、かつ光増幅媒質7Bを通過する(3パス)。
光増幅媒質7Bを通過した光は、石英板72,71を通過することによって減衰される。石英板71を通過した光パルスは、反射鏡67,68の各々で反射して光増幅媒質7Bに入力され、かつ光増幅媒質7Bを通過する(4パス)。光増幅媒質7Bを通過した光は光増幅器10から出力される。
図4に示す光パルス増幅システム100から出力される光パルス(出力光)のエネルギーの変動を測定した。なお、測定に関する条件を以下に示す。発振器1には、チタンサファイアモードロック発振器を用いた。チタンサファイアモードロック発振器から出力されるパルスの中心波長は約800(nm)であり、そのパルス幅(時間幅)は約100(fs)であり、その繰り返し周波数は80(MHz)であった。さらに、このパルスのエネルギーは10(nJ)であった。パルス伸長器2から出力されるパルスのパルス幅は約400(ps)であった。
励起光源13には、QスイッチNd:YAGレーザ発振器、およびNd:YAGレーザ発振器からの光パルスを受けて、その光パルスの2倍高調波を発生させる非線形素子を用いた。励起光源13から発せられる励起光パルスの波長は約532(nm)であった。ビームスプリッタ15により、励起光源13からの光パルスは、約90(mJ)のエネルギーを有する光パルスと約450(mJ)のエネルギーを有する光パルスとに分割された。ビームスプリッタ22および52には、1:1ビームスプリッタを用いた。
さらに、ポッケルスセル20Aによりパルスを間引くことにより、パルスの繰り返し周波数を10(Hz)に設定した。多重パス増幅器11から出力される光パルスのエネルギーは7(mJ)であった。
多重パス増幅器12において、石英板72,71によるエネルギーの損失の割合、および石英板74,73によるエネルギーの損失の割合は30%であった。
上述の条件に従って光パルス増幅システム100を動作させたときの出力パルスのエネルギーの変動を測定した結果を図5に示す。
図5は、多重パス増幅器12に入力される励起光パルスのエネルギーを変化させたときの、平均出力エネルギーと、出力エネルギーの標準偏差とを測定した結果を示す図である。なお、平均出力エネルギーを算出するためのパルス数を500とした。
図5を参照して、励起エネルギーの増加に応じて出力パルスのエネルギーが増加するとともに、標準偏差が低下する。なお、励起光パルスエネルギーが約450mJであるとき、出力パルスのエネルギーの平均値は約93mJであり、標準偏差はその平均値の0.3%となった。励起光パルスのエネルギーの標準偏差は約1.7%であった。つまり出力パルスのエネルギーの標準偏差は、多重パス増幅器12に入力される励起光パルスのエネルギーの標準偏差の約1/5となった。
なお、励起光源13からの励起光パルスのエネルギーは、ビームスプリッタ15によって所定の比率で分割される。同様に減衰器17は、所定の減衰率で入力される光パルスを減衰させる。したがって、励起光源13からの励起光パルスのエネルギーの標準偏差は、多重パス増幅器12に入力される励起光パルスのエネルギーの標準偏差と同程度と考えられる。したがって、図5の結果は、光増幅器10より出力される光パルスのエネルギーの変動を、励起光源13から発せられた励起光パルスのエネルギーの変動よりも小さくできることを示している。
このように本実施の形態によれば、光増幅器10は、多重パス増幅器11,12と、励起光源13と、ビームスプリッタ15とを備える。多重パス増幅器12の内部では、光パルスが光増幅媒質を複数回通過するように進むための光路に設けられ、入力された光パルスのエネルギーを減衰させる光減衰部を含む。さらに、励起光源13からの励起光パルスはビームスプリッタ15によって2つの光パルスに分割される。これら2つのパルスが多重パス増幅器11,12にそれぞれ入力される。これにより、光増幅器10から出力される光パルスのエネルギーの変動を、励起光パルスのエネルギーの変動よりも小さくできる。
また、本実施の形態では、多重パス増幅器11におけるパス数と多重パス増幅器12におけるパス数とが同じである。したがって、多重パス増幅器11,12を、ほぼ同じ構成とすることができる。これにより、光増幅器10の構成を簡素化することができる。
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2に係る光パルス増幅システムの具体例を示す図である。図8および図4を参照して、光パルス増幅システム100Aは、受光素子81,83と、反射鏡82と、制御装置84とをさらに備える点において光パルス増幅システム100と異なる。光パルス増幅システム100Aの他の部分の構成は、光パルス増幅システム100の対応する部分の構成と同様であるので、以後の説明は繰返さない。
受光素子81,83は、たとえばフォトダイオードにより構成される。受光素子81は、反射鏡41を透過した光を受光するとともに、受けた光の強度を示す信号S1を出力する。反射鏡82は、多重パス増幅器12からの出力光を反射させる。ただし、多重パス増幅器12からの出力光の一部は反射鏡82を透過する。受光素子83は、反射鏡82を透過した光を受光するとともに、受けた光の強度を示す信号S2を出力する。
受光素子81が受ける光の強度は、多重パス増幅器11から出力される光の強度に応じて変化する。よって、信号S1の強度は多重パス増幅器11から出力される光の強度に応じて変化する。同様に、受光素子83の受光強度は、多重パス増幅器12から出力される光の強度に応じて変化する。よって、信号S2の強度は多重パス増幅器12から出力される光の強度に応じて変化する。
制御装置84は、信号S1に応じて減衰器18を制御することにより、減衰器18の減衰率を制御する。同様に制御装置84は、信号S2に応じて減衰器17を制御することにより、減衰器17の減衰率を制御する。
図9は、減衰器17および18の具体的な構成の例を示す第1の図である。図9を参照して、減衰器17は、1/2波長板91と、1/2波長板91を回転させるモータ92と、偏光子93とを備える。制御装置84は、信号S2に応じてモータ92を制御することにより、1/2波長板91の回転角度を制御する。これにより減衰器17の減衰率が制御される。なお、減衰器18の構成は減衰器17の構成と同様である。減衰器18の減衰率を制御する場合、制御装置84は、信号S1に応じてモータ92を制御することにより、1/2波長板91の回転角度を制御する。
1/2波長板91および偏光子93を組み合わせるとともに、1/2波長板91の回転角度を変化させることによって、減衰器17および18の偏光状態を変化させることが可能になる。これにより減衰器17および18の減衰率を制御することが可能になるので、減衰器17および18を通過した光(図中、光線Lにより示す)の強度を調整することが可能になる。
図10は、減衰器17および18の具体的な構成の例を示す第2の図である。図10を参照して、減衰器17は、ポッケルスセル95と、ポッケルスセル95に電圧を印加するドライバ96とを備える。
ポッケルスセル95に印加される電圧は、制御装置84により制御される。制御装置84は、信号S2に応じてドライバ96を制御することにより、ドライバ96からパルス電圧を出力する。ポッケルスセル95は、ドライバ96から出力されたパルス電圧が印加されることによって、その偏光方向を変化させる。これによりポッケルスセル95の透過率が変化する。ポッケルスセル95の透過率を変化させることにより減衰器17の減衰率が変化する。
減衰器18の構成は減衰器17の構成と同様である。制御装置84は、信号S1に応じてドライバ96を制御することにより、ドライバ96からパルス電圧を出力する。これによりポッケルスセル95の透過率が変化する。すなわち減衰器18の減衰率が変化する。
ポッケルスセル95の透過率を変化させることによって減衰器17(および18)の減衰率を制御することが可能になる。よって、減衰器17および18を通過した光(図中、光線Lにより示す)の強度を調整することが可能になる。
実施の形態2では、制御装置84は信号S1に応じて光減衰器18の減衰率を変化させるとともに信号S2に応じて光減衰器17の減衰率を変化させる。上述のように、信号S1の強度は、多重パス増幅器11から出力される光の強度をそれぞれ示す。光減衰器18の減衰率を変化させることにより、第1の光パルスの強度が調整される。信号S1に応じて光減衰器18の減衰率を変化させることにより、多重パス増幅器11から出力される光の強度の所定時間内における平均値を安定させるフィードバック制御を実現できる。同様に、信号S2に応じて光減衰器17の減衰率を変化させることにより、多重パス増幅器12から出力される光の強度の所定時間内における平均値を安定させるフィードバック制御が実現できる。
たとえば制御装置84は、受光素子81の受光強度が低下した場合には、光減衰器18の減衰率を小さくすることにより、光減衰器18から出力される光の強度を大きくする。制御装置84は、受光素子81の受光強度が大きくなった場合には、光減衰器18の減衰率を大きくすることにより、光減衰器18から出力される光の強度を小さくする。制御装置84による光減衰器17の制御は、制御装置84による光減衰器18の制御と同様であるので以後の説明は繰返さない。
実施の形態2によれば、実施の形態1による効果を得ることができる。さらに実施の形態2によれば、上記のフィードバック制御により、光パルス増幅システムから出力される光の強度を長時間にわたり安定させることが可能になる。
なお、多重パス増幅器11,12の各々から出力される光の強度を測定するための構成は図8に示す構成に限定されず、他の構成を採用してもよい。
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3に従う光増幅器を含む光パルス増幅システム100Bの概略構成図である。図11および図1を参照して、光パルス増幅システム100Bは、多重パス増幅器12Aと、ビームスプリッタ15Bと、反射鏡15Cと、拡大レンズ16Aと、減衰器17Aとをさらに備える点において、光パルス増幅システム100と異なる。光パルス増幅システム100Bの他の部分の構成は、光パルス増幅システム100の対応する部分の構成と同様であるので、以後の説明は繰返さない。
多重パス増幅器12Aの構成は多重パス増幅器12の構成と同様である(図4あるいは図8を参照)。ビームスプリッタ15Bは、第2の光パルスを2つの光パルスに分割する。その2つの光パルスの一方は、減衰器17に入力され、その2つの光パルスの他方は減衰器17Aに入力される第3の光パルスである。すなわちビームスプリッタ15Bは、第2の光パルスから第3の光パルスを抽出する。
第3の光パルスは減衰器17Aを通過することにより、その強度(エネルギー)が弱められる。減衰器17Aを通過した第3の光パルスは多重パス増幅器12Aに入力されて、多重パス増幅器12Aに含まれる光増幅媒質を励起する。
なお、第3の光パルスを減衰器17Aに直接的に入力してもよい。この場合には反射鏡15Cは不要である。
実施の形態3によれば、多重パス増幅器12の後段に、多重パス増幅器12と同様の構成を有する多重パス増幅器12Aが設けられる。多重パス増幅器12Aは多重パス増幅器12から出力された光パルスを増幅する。よって、光増幅器10から出力される光の強度をより高めることができる。さらに、減衰器17Aが、第3の光パルスを減衰させることにより、第1の光パルスのエネルギーに対する第3の光パルスのエネルギーの比(および第2の光パルスのエネルギーに対する第3の光パルスのエネルギーの比)を所定の比率に保つことが可能になる。なお、減衰器17Aは、入力される光パルスのエネルギーを無段階に調整できる(減衰できる)ことが好ましい。
第3の光パルスのエネルギーは、励起光源13からの励起光パルスのエネルギーの変動に応じて変動する。さらに多重パス増幅器12Aの内部には、レーザ光パルスが通る光路に設けられて、自身に入射したレーザ光パルスのエネルギーを減衰させる光減衰部が設けられる(図4あるいは図8を参照)。よって、実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に、光増幅器10から出力される光パルスのエネルギーを安定化させることが可能になる。
なお、図4および図8に示した構成において、少なくとも凹面鏡8A,8B,8Cおよび反射鏡31〜39は、本発明における「第1の光学系」を構成する。また、少なくとも反射鏡61〜68は、本発明における「第2の光学系」を構成する。石英板71〜74は、本発明における「光減衰部」を構成する。減衰器17,18は、本発明における「強度調整部」を構成する。
また、本発明における「光減衰部」は、光路P2を通る光パルスのエネルギーを減衰させるものであれば、石英板に限定されるものではない。たとえば、「光減衰部」は、ND(Neutral Density)フィルタにより実現されてもよい。
また、本実施の形態に係る光パルス増幅システムに含まれる多重パス増幅器の数は2あるいは3に限定されるものではなく、4以上であってもよい。すなわち本実施の形態に係る光パルス増幅システムは、少なくとも2つの多重パス増幅器を含んでいればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、レーザ光パルスを発生させるレーザ光発生装置に利用可能である。

Claims (6)

  1. 第1の光パルスにより励起され、かつ、その励起状態において、入力されるレーザ光パルスを増幅する第1の光増幅媒質(7A)と、前記レーザ光パルスが前記第1の光増幅媒質(7A)を複数回通過するための第1の光路(P1)を形成する第1の光学系(8A,8B,8C,31−39)とを含む第1の増幅器(11)と、
    第2の光パルスにより励起され、かつ、その励起状態において、前記第1の増幅器(11)が増幅した前記レーザ光パルスである前記増幅光を受けた場合に前記増幅光を増幅する第2の光増幅媒質(7B)と、前記増幅光が前記第2の光増幅媒質(7B)を複数回通過するための第2の光路(P2)を形成する第2の光学系(61−68)と、前記第2の光路(P2)に設けられて、自身に入射した前記増幅光のエネルギーを減衰させる光減衰部(71−74)とを含む第2の増幅器(12)と、
    前記第1および第2の光増幅媒質(7A,7B)を励起するための励起光パルスを発生させる励起光源(13)と、
    前記励起光源(13)からの前記励起光パルスを、前記第1および第2の光パルスに分割する第1のパルス分割部(15)とを備える、光増幅器。
  2. 前記第1の光路(P1)に沿って進む前記レーザ光パルスが前記第1の光増幅媒質(7A)を通過する回数は、前記第2の光路(P2)に沿って進む前記増幅光が前記第2の光増幅媒質(7B)を通過する回数と同じである、請求の範囲第1項に記載の光増幅器。
  3. 前記光増幅器は、
    前記第1の光増幅媒質(7A)に入力される前記第1の光パルスのエネルギーと、前記第2の光増幅媒質(7B)に入力される前記第2の光パルスのエネルギーとの比が所定値となるように、前記第1および第2の光パルスの少なくとも一方のパルスの強度を調整する強度調整部(17,18)をさらに備える、請求の範囲第1項に記載の光増幅器。
  4. 前記第1の光路(P1)に沿って進む前記レーザ光パルスが前記第1の光増幅媒質(7A)を通過する回数は、前記第2の光路(P2)に沿って進む前記増幅光が前記第2の光増幅媒質(7B)を通過する回数と同じである、請求の範囲第3項に記載の光増幅器。
  5. 前記強度調整部(17,18)は、前記第1の増幅器(11)から出力される前記増幅光の強度の所定時間内における平均値および前記第2の増幅器(12)から出力される出力光の強度の前記所定時間内における平均値が一定となるように、前記少なくとも一方のパルスの強度を調整する、請求項4に記載の光増幅器。
  6. 前記光増幅器は、
    前記第2の光パルスから第3の光パルスを抽出する第2のパルス分割部(15B)と、
    前記第2の増幅器(12)と同じ構成を有し、かつ、前記第3の光パルスと前記第2の増幅器(12)からの出力光とを受けることにより前記出力光を増幅する第3の増幅器(12A)とをさらに備える、請求の範囲第1項に記載の光増幅器。
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