JPWO2008155883A1 - 共焦点顕微鏡装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、各ラウンドのフレームスキャンの回数が1であったとしても物体の光軸方向の状態変化を検知することを目的とする。そのために本発明の共焦点顕微鏡装置は、光源(11)と、前記光源からの光を試料(10)に集光するとともに走査する照明光学系(12,15,161,16)と、前記試料からの光を集光する集光光学系(16,161,18)と、前記集光光学系の集光位置に配置され、入射する光を少なくとも前記試料の前記集光点の近傍からの光と、その周辺からの光とに分離し、それぞれ検出する検出手段(19,20s,20m)と、前記検出手段から出力される前記集光点の近傍からの光の信号(Is)と前記周辺からの光の信号(Im)とを演算処理して前記試料の画像を生成する画像生成手段とを備えた共焦点顕微鏡装置であって、前記画像生成手段は、前記照明光学系の前記試料への光軸方向の集光位置を変えないで前記試料の所望領域を包含するように複数回走査することにより生成した複数の画像のそれぞれについて、前記近傍からの光の信号強度と前記周辺からの光の信号強度との差異を算出する。

Description

本発明は、共焦点顕微鏡装置に関する。
生体標本の時間変化を観察する場合、共焦点顕微鏡タイムラプス撮影が有効である。特に生体標本の三次元的な変化や移動を捕らえる場合には、タイムラプス撮影の各ラウンドでZ−スタック撮影を行うことになる。
但し、Z−スタック撮影ではステージを光軸方向(Z方向)に変位させながらスキャンを繰り返すので、複数枚の画像フレーム取得の間にタイムラグが生じる、スキャンを繰り返す分だけ生体細胞に加わるダメージが大きい、ステージの振動等により画質が低下するなどの問題がある。
その一方で、特許文献1には試料中の観察層からの射出光が示す画像と、その両側の層からの射出光が示す画像とを1回のスキャンで取得する共焦点顕微鏡が開示されている。このように1回のスキャンで多くの情報を取得できる共焦点顕微鏡は、上記問題の改善に有効と考えられる。
国際公開第2007/101697号パンフレット
しかしながら、その共焦点顕微鏡をそのまま使用しただけでは生物標本のZ方向に沿った変化又は移動は捕らえられないので、上記問題が解決されない。
そこで本発明は、各ラウンドのフレームスキャンの回数が1であったとしても物体の光軸方向の状態変化を検知することのできる共焦点顕微鏡装置を提供することを目的とする。
本発明の共焦点顕微鏡装置は、光源と、前記光源からの光を試料に集光するとともに走査する照明光学系と、前記試料からの光を集光する集光光学系と、前記集光光学系の集光位置に配置され、入射する光を少なくとも前記試料の前記集光点の近傍からの光と、その周辺からの光とに分離し、それぞれ検出する検出手段と、前記検出手段から出力される前記集光点の近傍からの光の信号と前記周辺からの光の信号とを演算処理して前記試料の画像を生成する画像生成手段とを備えた共焦点顕微鏡装置であって、前記画像生成手段は、前記照明光学系の前記試料への光軸方向の集光位置を変えないで前記試料の所望領域を包含するように複数回走査することにより生成した複数の画像のそれぞれについて、前記近傍からの光の信号強度と前記周辺からの光の信号強度との差異を算出することを特徴とする。
なお、前記画像生成手段は、前記差異を前記画像にそれぞれ反映させてもよい。
また、前記差異を前記画像にそれぞれ反映させることは、前記差異を可視化するためのカラー画像表示により行ってもよい。
また、前記画像生成手段は、前記差異の前記複数の画像間における変化量を算出してもよい。
また、前記差異は、前記近傍からの光の信号強度と前記周辺からの光の信号強度との比であってもよい。
また、前記差異は、前記近傍からの光の信号強度と前記周辺からの光の信号強度との差であってもよい。
また、前記画像生成手段は、算出した前記差異を記憶する記憶手段を有してもよい。
また、前記記憶手段は、前記差異を前記画像に対応付けて記憶してもよい。
本発明によれば、各ラウンドのフレームスキャンの回数が1であったとしても物体の光軸方向の状態変化を検知することができる。
共焦点顕微鏡装置の光学系の構成図である。 光分離部材19を説明する図である。 集光レンズ18の焦点面上の領域を説明する図である。 試料10の観察層と、その両側の層とを説明する図である。 共焦点顕微鏡装置の制御系の構成図である。 蛍光信号IsのZ方向の感度特性を示す図である。 比信号Is/ImのZ方向の感度特性を示す図である。 第1実施形態のCPU221の動作フローチャートである。 ルックアップテーブルを説明する図である。 色相信号I’と、試料10中の光軸方向の位置(Z位置)との関係を示す図である。 (A)は、モニタ23に表示されるカラー画像を説明する図であり、(B)は、カラー画像から推測される、物体のZ方向の変位の様子を可視化した図である。 第2実施形態のCPU221の動作フローチャートである。
[第1実施形態]
本発明の共焦点顕微鏡装置の第1実施形態を説明する。
図1は、共焦点顕微鏡装置の光学系の構成図である。図1に示すとおり、共焦点顕微鏡装置には、レーザユニット11、光ファイバ7、コリメートレンズ12、フィルタ13、ダイクロイックミラー14、ガルバノスキャナ15、リレーレンズ161、対物レンズ16、試料10、フィルタ17、集光レンズ18、光分離部材19、光ファイバ19s、光ファイバ19m、光検出器20s、光検出器20mなどが配置される。
試料10は、生体細胞を培養した培養標本であり、その生体細胞は所定の蛍光物質により予め染色されている。試料10の光軸方向の位置は、観察対象物(生体細胞又はオルガネラ)が対物レンズ16の焦点面に存在するよう不図示の顕微鏡の上下動機構によって予め調整されている。以下、対物レンズ16の光軸方向をZ方向とし、試料10のうち対物レンズ16の焦点深度内に存在する層を「観察層」という。
レーザユニット11は、前記所定の蛍光物質の励起波長と同じ波長のレーザ光を出射する。レーザユニット11から射出したレーザ光は、光ファイバ7の内部を伝搬してからコリメートレンズ12において平行光束化された後、フィルタ13を介してダイクロイックミラー14へ入射する。そのレーザ光はダイクロイックミラー14を通過し、ガルバノスキャナ15の2つのミラーで順に反射した後、リレーレンズ161及び対物レンズ16を通り、試料10の観察層の1箇所で集光し、広がる。レーザ光が照射された領域、即ち集光点及びその前後では蛍光物質が励起され、蛍光を発する。
発生した蛍光は、その集光点に向かったレーザ光と同じ光路を逆に辿りながら、対物レンズ16、リレーレンズ161、ガルバノスキャナ15を通り、ダイクロイックミラー14へ向かう。その蛍光はダイクロイックミラー14で反射し、フィルタ17を介して集光レンズ18へ入射する。その蛍光は、集光レンズ18によって集光されつつ光分離部材19へ入射し、2つの蛍光Ls,Lmに分離される。この光分離部材19の詳細は後述する。
光分離部材19において分離された一方の蛍光Lsは、光ファイバ19sの内部を伝搬してから光検出器20sへ入射し、蛍光信号Isに変換される。光分離部材19において分離された他方の蛍光Lmは、光ファイバ19mの内部を伝搬してから光検出器20mへ入射し、蛍光信号Imに変換される。
したがって、以上の共焦点顕微鏡装置は、レーザユニット11と、ガルバノスキャナ15と、光検出器20sと、光検出器20mとを同期駆動することにより、試料10をレーザ光でスキャンしながら2種類の蛍光信号Is,Imを並列的に取得することができる。以下、主スキャンの方向をX方向とし、副スキャンの方向をY方向とする。
図2は、光分離部材19を説明する図である。図2に示すとおり光分離部材19の全体は、入射する蛍光に対し透明な部材であり、その部材上に光分離面19sと光分離面19mと反射面19Aとが形成されている。
光分離面19sは、微小円形の透過面(ピンホール)19s’と、そのピンホール19s’の周辺領域をカバーする反射面19s”とからなり、光分離面19mは、円形の透過面19m’と、その透過面19m’の周辺領域をカバーする反射面19m”とからなる。このうち、ピンホール19s’の径rsは前述した集光点の径に対応しており、透過面19m’の径rmは、ピンホール19s’の径rsよりも大きく、例えばrm=2×rsである。
集光レンズ18から光分離部材19へ入射した蛍光は、光分離面19sへ入射し、ピンホール19s’を透過する蛍光と、反射面19s”を反射する蛍光とに分離される。このうち反射面19s”を反射した蛍光は、反射面19Aへ向かい、その反射面19Aを反射した後に光分離面19mへ入射し、透過面19m’を透過する蛍光と、反射面19m”を反射する蛍光とに分離される。このうち、ピンホール19s’を透過した蛍光が前述した蛍光Lsであり、透過面19m’を透過した蛍光が前述した蛍光Lmである。
ここでピンホール19s’の配置箇所とピンホール19m’の配置箇所とは、集光レンズ18の焦点深度に比べて光路長差が十分短いので、同一焦点面とみなすことができる。
図3に示すとおり、集光レンズ18の焦点面上の領域を考えると、蛍光Lsは、集光レンズ18の焦点面中央の円形領域Asに向かう蛍光に相当し、蛍光Lmは、その円形領域Asの外側のリング領域Amに向かう蛍光に相当する(円形領域Asの径が前述したrsに相当し、リング領域Amの外径が前述したrmに相当する。)。
これら各蛍光の射出元を示すと、円形領域Asに向かう蛍光Lsの射出元は、図4に示すとおり試料10の観察層10sであり、リング領域Amに入射する蛍光Lmの射出元は、観察層10sの両側の層10mである。したがって、本実施形態の共焦点顕微鏡装置では、観察層10sからの蛍光Lsと、その両側の層10mからの蛍光Lmとが並列的かつ個別に検出される。
なお、光分離部材19を省略し、蛍光Lsの強度と蛍光Lmの強度とを個別に検出可能な光検出器を光分離部材19の配置箇所へ配置してもよい。このような光検出器の受光面は、円形領域Asと同形状の受光領域と、リング領域Amと同形状の受光領域とを有する。
図5は、共焦点顕微鏡装置の制御系の構成図である。図5に示すとおり、共焦点顕微鏡には、コントローラ21と、コンピュータ22と、モニタ23と、入力器24とが備えられる。
コントローラ21には、2つの電流/電圧変換器211s,211mと、2つのA/D変換器212s,212mと、制御回路210とが備えられる。コンピュータ22には、CPU221と、2つのフレームメモリ220s,220mと、RAM222と、ハードディスクドライブ223と、表示用メモリ224と、インタフェース225とが備えられる。
光検出器20sから出力される蛍光信号Isは、電流/電圧変換器211sを通り電圧信号に変換される。その電流/電圧変換器211sから出力される蛍光信号Isは、A/D変換器212sを通りディジタル信号に変換される。そのA/D変換器212sから出力される蛍光信号Isはフレームメモリ220sへ入力される。
光検出器20mから出力される蛍光信号Imは、電流/電圧変換器211mを通り電圧信号に変換される。その電流/電圧変換器211mから出力される蛍光信号Imは、A/D変換器212mを通りディジタル信号に変換される。そのA/D変換器212mから出力される蛍光信号Imはフレームメモリ220mへ入力される。
制御回路210は、CPU221からのスキャン指示に応じて、前述したレーザユニット11、ガルバノスキャナ15、光検出器20s、光検出器20mを同期制御してスキャンを行う。そのスキャンにより、フレームメモリ220sには1フレーム分の蛍光信号Isが、フレームメモリ220mに1フレーム分の蛍光信号Imがそれぞれ並列的に蓄積される。スキャンが終了すると、制御回路210はCPU221へ終了信号を与える
スキャンによってフレームメモリ220sに蓄積される1フレーム分の蛍光信号Isは、試料10の観察層10s(図4参照)の画像を示し、スキャンによってフレームメモリ220mに蓄積される1フレーム分の蛍光信号Imは、観察層の両側の層10m(図4参照)の画像を示す。
コンピュータ22のハードディスクドライブ223には予め観察用のプログラムが格納されており、CPU221はその観察用のプログラムをRAM222上へ読み出し、そのプログラムを実行する。その際、CPU221は必要に応じて、入力器24及びインタフェース225を介してユーザの指示を認識したり、制御回路210へスキャン指示を与えたりする。
なお、ユーザがCPU221へ指定できる情報には、観察期間、スキャン頻度(インターバル)、観察開始指示などがある。例えば、インターバルが1sec,観察期間が10secと指定された場合、スキャン回数は10となる。
また、CPU221は、スキャン時にフレームメモリ220sに蓄積される1フレーム分の蛍光信号Isを読み出し、それを表示用メモリ224の所定領域へ書き込むことにより、モニタ23に対し観察層10sの画像を表示することができる。また、CPU221は、スキャン時にフレームメモリ220s,220mに蓄積される蛍光信号Is,Imを読み出し、両者の和からなる和信号(Is+Im)を生成し、それを表示用メモリ224の所定領域へ書き込むことにより、モニタ23に対し、観察層10sと両側の層10mとの双方からなる全体層の画像を表示することができる。すなわち、CPU221は、蛍光信号Isが示すセクショニング幅の狭い画像と、和信号(Is+Im)が示すセクショニング幅の狭い画像とを表示することができる。
また、ここでは詳しく説明しないが、CPU221は、重み付け和からなる和信号(Is+αIm)が示す画像を表示し、かつその係数αを−1〜+1の間で滑らかに変化させることにより、セクショニング幅を滑らかに変化させることもできる。
また、CPU221は、スキャンで取得された画像をハードディスクドライブ223へ保存することもできる。この際、蛍光信号Isが示す画像と、蛍光信号Imが示す画像とは個別に保存されることが望ましい。個別に保存しておけば、セクショニング幅の異なる様々な画像を任意のタイミングで任意の回数だけ生成することができるからである。
ここで、蛍光信号Isのレベルと、試料10中のZ位置との関係(感度特性)を示すと、図6の太曲線のようになる。蛍光信号Isは、観察層(Z=−0.3〜+0.3)から射出された蛍光の信号を多く含んでいることが分かる。なお、図6の横軸においてZ=0が対物レンズ16の焦点面を示している(他の図も同様)。
また、蛍光信号Imのレベルと、試料10中のZ位置との関係(感度特性)を示すと、図6の細曲線のようになる。蛍光信号Imは、観察層の両側の層(Z=−0.5の近傍、及びZ=+0.5の近傍)から射出された蛍光の信号を多く含んでいることが分かる。
さらに、蛍光信号Isと蛍光信号Imとの比信号Is/Imを考える。比信号Is/Imの値は、試料10中のZ位置によって異なり、図7の曲線のようになる。従って、比信号Is/Imの値は、観察層(Z=−0.3〜+0.3)内であっても蛍光を射出する位置が僅かでも異なると、位置に応じて異なる。また、比信号Is/Imの値は、観察層近傍での位置の変化には敏感に反応するが、観察層から外れた面での位置の変化には殆ど反応しない。本実施形態のCPU221は、この現象を利用する。
図8は、CPU221の動作フローチャートである。
ステップS11:CPU221は、ユーザから観察開始指示が入力されたか否かを判別する。入力された場合にはステップS12へ進む。
ステップS12:CPU221は、フレーム番号nを初期値「1」に設定する。
ステップS13:CPU221は、制御回路210へスキャン指示を与える。これによって第nフレームのスキャンが開始され、フレームメモリ220s,220mに蛍光信号Is,Imがそれぞれ蓄積され始める。
ステップS14:CPU221は、フレームメモリ220s,220mに蓄積される蛍光信号Is,Imを読み出す。本ステップでは、蛍光信号Is,Imが1ラインだけ読み出されるものとする。
ステップS15:CPU221は、読み出された1ライン分の蛍光信号Is,Imから、1ライン分の比信号Iを生成する。各画素の比信号Iは、その画素と共通の画素番号を持つ蛍光信号Is,Imにより、I=Is/Imで表される。
ステップS16:CPU221は、生成した1ライン分の比信号Iの各々を色相信号I’=(Cb,Cr)へと変換する。このとき、例えば、図9に示すような入出力特性のルックアップテーブルが使用される。このルックアップテーブルによると、値の大きな比信号Iほど赤に近い色の色相信号I’に変換され、値の小さな比信号Iほど青に近い色の色相信号I’へと変換される。
この場合、色相信号I’と、試料10中のZ位置との関係は、図10に示すとおりになる。すなわち、色相信号I’は、観察層の中で焦点面に近い面からの蛍光を赤に近い色で表し、観察層の中で焦点面から離れた面からの蛍光を青に近い色で表し、観察層から外れた面からの蛍光を青色で表す。
ステップS17:CPU221は、1ライン分の色相信号I’と、1ライン分の蛍光信号Isとに基づき、1ライン分の色信号I”=(Y,Cb,Cr)を生成する。各画素の色信号I”のCb成分及びCr成分には、その画素と共通の画素番号を持つ色相信号I’のCb成分及びCr成分の値が付与され、各画素の色信号I”のY成分には、その画素と共通の画素番号を持つ蛍光信号Isの値が付与される。
ステップS18:CPU221は、1ライン分の色信号I”を、表示用メモリ224の第n領域のうち、そのラインに対応するアドレスに書き込む。第n領域とは、第nフレームのスキャンで取得された画像に割り当てられた領域のことである。
ステップS19:CPU221は、制御回路210からの終了信号の有無により、第nフレームのスキャンが終了したか否かを判別する。終了していない場合はステップS14へ戻って次のラインに関する処理を開始し、終了した場合はステップS20へ進む。
ステップS20:CPU221は、ユーザの指定した観察期間が終了したか否かを判別し、終了していない場合はステップS21へ進み、終了した場合はフローを終了する。
ステップS21:CPU221はフレーム番号nをインクリメントすると共に、前回のスキャン開始タイミングからユーザの指定したインターバル期間が確保されるまで待機する。その後、ステップS13へ戻り次のフレームに関する処理を開始する。
以上のCPU221の動作によると、モニタ23には、例えば図11(A)に示すとおり、色信号I”が示す複数のカラー画像がフレーム順に表示される。
表示されたカラー画像のパターンは、観察層に存在する物体のXY方向の分布を表している。また、そのカラー画像の明るさは、観察層に存在する物体の蛍光強度(I”のY成分)を表している。そして、そのカラー画像の色相は、観察層に存在する物体の焦点面からの距離(I”のCb成分及びCr成分)を表している。
例えば、図11(A)において、カラー画像内の左側に位置する物体の色相に着目すると、その物体の色相は赤のまま不変なので、ユーザは、その物体が観察層の焦点面近傍に位置したままZ方向に変位しなかったと推測すればよい。
また、図11(A)において、カラー画像内の中央に位置する物体の色相に着目すると、その物体の色相は、観察期間中に「赤→赤→赤→緑→青」の順に変化しているので、ユーザは、その物体が観察期間の最初は観察層の焦点面近傍に位置していたものの第4フレームの前後で焦点面から遠ざかる方向へ変位し、さらに第5フレームの前後で観察層から外れたと推測すればよい。
また、図11(A)において、カラー画像内の右側に位置する物体の色相に着目すると、その物体の色相は「赤→赤→赤→青→青」の順に変化しているので、ユーザは、その物体が観察期間の最初は観察層の焦点面近傍に位置していたものの第4フレームの前後で観察層から外れたと推測すればよい。
また、図11(A)において、カラー画像内の各物体の明るさに着目すると、その物体の明るさは観察期間中に「明→暗→暗→暗→暗」の順に変化しているので、ユーザは、各物体の蛍光強度が第2フレームの前後で低下したと推測すればよい。各物体は第2フレーム前後で観察層からZ方向に変位していないので、この現象は、蛍光物質の「退色」と呼ばれる現象である。
このようにして推測された物体のZ方向の変位の様子を可視化すると、図11(B)のとおりになる。但し、変位の方向が上方向であったのか(点線部)、それとも下方向であったのか(実線部)については未知である。よって、方向については、ユーザが別の情報から推測することになる。
したがって、本実施形態の共焦点顕微鏡装置は、Z−スタック撮影を行わないにも拘わらず、物体のZ方向の動きの有無を検出することができる。しかも、図10に示すとおり、色相信号I’は物体の観察層内(すなわち対物レンズの焦点深度内)の微少な変位に感応するので、共焦点顕微鏡装置が検出できるのは、極めて微少な動きである。
また、色相信号I’は、物体の焦点面からの変位量によって異なる色相を示すので、ユーザは、モニタ23に表示されたカラー画像の色相によって、物体の焦点面からの変位量を知ることができる。
なお、本実施形態のCPU221は、色相信号I’を生成するに当たり比信号I=Is/Imを使用したが、差信号I=Is−Imを使用してもよい。要するに、蛍光信号Is,Imの差異を示す信号を使用すれば、上述した効果と略同じ効果を得ることができる。
また、本実施形態のCPU221は、カラー画像の生成及び表示を観察期間中にリアルタイムで行ったが、カラー画像の生成及び表示を観察期間の終了後に行ってもよい。或いは、その表示のみを観察期間の終了後に行ってもよい。
また、本実施形態のCPU221は、生成されたカラー画像をユーザからの保存指示などに応じてハードディスクドライブ223へ保存してもよい。その際には、色信号I”が示すカラー画像と、蛍光信号Isが示すモノクロ画像と、蛍光信号Imが示すモノクロ画像とがフレーム毎に対応づけられることが望ましい。
また、本実施形態のCPU221は、各フレームのカラー画像をフレーム順に連結して動画像を作成してもよい。
また、本実施形態のCPU221は、物体の焦点面からの変位量を、物体の蛍光強度とと共に、1枚の画像の成分(色相成分及び輝度成分)に反映させたが、物体の焦点面からの変位量を示す画像を、物体の蛍光強度を示す画像とは別に生成してもよい。
[第2実施形態]
本発明の共焦点顕微鏡の第2実施形態を説明する。ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明する。相違点は、CPU221の動作にある。
図12は、本実施形態のCPU221の動作フローチャートである。図8に示したフローチャートとの相違点は、ステップS15,S16,S17に代えてステップS25が実行される点にある。以下、ステップS25を説明する。
ステップ25:CPU221は、1ライン分の蛍光信号Is,Imに基づき、1ライン分の色信号I”=(R,B)を生成する。この色信号I”は、R色成分及びB色成分のみからなる2色カラーの色信号である。各画素の色信号I”のR色成分には、その画素と共通の画素番号を持つ蛍光信号Isの値が付与され、各画素の色信号I”のB色成分には、その画素と共通の画素番号を持つ蛍光信号Imの値が付与される。
この場合、モニタ23に表示されるカラー画像は2色カラーとなるが、そのカラー画像上に存在する物体の明るさは、その物体の蛍光強度を表し、そのカラー画像上に存在する物体の色相は、その物体の焦点面からの距離を表すことになる。本実施形態の共焦点顕微鏡装置のユーザは、カラー画像上で物体の色相が赤色に近かった場合にはその物体が焦点面近くに位置しており、カラー画像上で物体の色相が青色に近かった場合にはその物体が焦点面から離れていると推測すればよい。
したがって、本実施形態の共焦点顕微鏡装置は、カラー画像の生成を簡単な演算により行いながらも、第1実施形態の共焦点顕微鏡装置と近い効果を得ることができる。

Claims (8)

  1. 光源と、
    前記光源からの光を試料に集光するとともに走査する照明光学系と、
    前記試料からの光を集光する集光光学系と、
    前記集光光学系の集光位置に配置され、入射する光を少なくとも前記試料の前記集光点の近傍からの光と、その周辺からの光とに分離し、それぞれ検出する検出手段と、
    前記検出手段から出力される前記集光点の近傍からの光の信号と前記周辺からの光の信号とを演算処理して前記試料の画像を生成する画像生成手段と
    を備えた共焦点顕微鏡装置であって、
    前記画像生成手段は、
    前記照明光学系の前記試料への光軸方向の集光位置を変えないで前記試料の所望領域を包含するように複数回走査することにより生成した複数の画像のそれぞれについて、前記近傍からの光の信号強度と前記周辺からの光の信号強度との差異を算出する
    ことを特徴とする共焦点顕微鏡装置。
  2. 請求項1に記載の共焦点顕微鏡装置において、
    前記画像生成手段は、
    前記差異を前記画像にそれぞれ反映させる
    ことを特徴とする共焦点顕微鏡装置。
  3. 請求項2に記載の共焦点顕微鏡装置において、
    前記差異を前記画像にそれぞれ反映させることは、前記差異を可視化するためのカラー画像表示により行う
    ことを特徴とする共焦点顕微鏡装置。
  4. 請求項1に記載の共焦点顕微鏡装置において、
    前記画像生成手段は、
    前記差異の前記複数の画像間における変化量を算出する
    ことを特徴とする共焦点顕微鏡装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の共焦点顕微鏡装置において、
    前記差異は、
    前記近傍からの光の信号強度と前記周辺からの光の信号強度との比である
    ことを特徴とする共焦点顕微鏡装置。
  6. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の共焦点顕微鏡装置において、
    前記差異は、
    前記近傍からの光の信号強度と前記周辺からの光の信号強度との差である
    ことを特徴とする共焦点顕微鏡装置。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の共焦点顕微鏡装置において、
    前記画像生成手段は、
    算出した前記差異を記憶する記憶手段を有する
    ことを特徴とする共焦点顕微鏡装置。
  8. 請求項7に記載の共焦点顕微鏡装置において、
    前記記憶手段は、
    前記差異を前記画像に対応付けて記憶する
    ことを特徴とする共焦点顕微鏡装置。
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