JPWO2008117577A1 - 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、製膜時の溶融粘度が小さく、着色が小さく、リターデーションの変動が小さい光学フィルム、該光学フィルムの製造方法、並びに該光学フィルムを用いて長期にわたって耐久性が良好な偏光板及び高いコントラストが達成された液晶表示装置を提供する。該光学フィルムはセルロースエステルを含有し、該セルロースエステルの1グルコース単位あたりの置換基の種類とその置換度が下記式(1)〜(3)の条件を同時に満たすセルロースエステルであることを特徴とする。式(1) 6.30≦2×X+3×Y≦7.50式(2) 1.10≦Y≦1.50式(3) 0.35≦Y6≦0.50〔式中、Xは2位、3位、及び6位のアセチル基による平均置換度の合計を表し、Yは2位、3位、及び6位のプロピオニル基による平均置換度の合計を表し、Y6は6位のプロピオニル基による平均置換度を表す。〕

Description

本発明はセルロースエステルを有してなる光学フィルム、光学フィルムの製造方法、該光学フィルムを用いた偏光板、及び液晶表示装置に関する。
セルロースエステルを有してなる光学フィルムは、その高い透明性・低複屈折性・偏光子との易接着性などから、写真用ネガフィルムの支持体や、液晶表示装置に用いられる偏光子を保護する光学フィルムとして、偏光板などに多く用いられてきた。
また、液晶表示装置に対するその他の用途として、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム等の各種機能フィルム、更には、有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルム等にも利用することができる。
液晶表示装置は、その奥行きの薄さ、軽さから近年大幅に生産量が増大しており、需要が高くなっている。
また液晶表示装置を用いたテレビは、薄く軽いという特徴を有し、ブラウン管を用いたテレビでは達成されなかったような大型のテレビが生産されるようになっており、それに伴って液晶表示装置を構成する偏光子、偏光板保護フィルムの需要が増大してきている。偏光板保護フィルムとしてはその光学特性の優秀さから、一般に光学フィルムが用いられている。
これらの光学フィルムは、これまで、専ら溶液流延法によって製造されてきた。溶液流延法とは、セルロースエステルを溶媒に溶解した溶液を流延してフィルム形状を得た後、溶媒を蒸発・乾燥させてフィルムを得るといった製膜方法である。溶液流延法で製膜したフィルムは平面性が高いため、これを用いてムラのない高画質な液晶表示装置を得ることが出来る。
しかし溶液流延法は多量の有機溶媒を必要とし、環境負荷が大きいことも課題となっている。光学フィルムは、その溶解特性から、環境負荷の大きいハロゲン系溶媒を用いて製膜されているため、特に溶剤使用量の削減が求められており、溶液流延製膜によって光学フィルムを増産することは困難となってきている。
このため、有機溶媒を使用しない製膜方法、例えば、加熱溶融により製膜方法が望まれている。
さて、液晶表示装置の偏光板に用いられる保護フィルムとして用いられている光学フィルムは、従来セルローストリアセテートフィルムがその複屈折性が小さいことからよく用いられている。
偏光板は、一般に、ヨウ素や染料を吸着配向させたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光フィルムの表裏両側を、透明な樹脂層で積層した構成を有しており、セルローストリアセテートフィルムがこの透明な樹脂層として良く使われてきた。
しかしながら、溶液流延製膜で一般に用いられているセルロースエステルであるセルローストリアセテートを溶融製膜に適用しようとした場合、セルローストリアセテートは分解開始温度が溶融開始温度より低いセルロースエステルであるため、溶融製膜に用いることは難しい。
近年、セルロースエステルをアセチル基だけでなく特定の割合のプロピオニル基やブチリル基で置換することによって、銀塩写真用(例えば、特許文献1参照。)或いは偏光板保護フィルム用(例えば、特許文献2、3参照。)として、このようなセルロースエステルを溶融製膜する試みが行われている。
このようなセルロースエステルは分解開始温度が溶融開始温度より高いため、溶融製膜することが可能となる。
ところで、セルロースエステルは、天然原料由来の材料であることから、元々微量の金属イオンを含有しており、かつセルロースのエステル化工程で混入する金属イオンやごみを、少なからず含んでいる。これらの微量金属イオンやごみの除去は、最終的には光学フィルムの製膜工程において、フィルターを介して濾過で除去している。従来の溶液流延法では溶液の粘度が低いため濾過には特に問題がなかったが、加熱溶融による製膜においては、溶媒を用いないため粘度が高く、濾過に時間を要し、生産性に支障をきたしていた。
一方、溶融製膜時の温度を上げればセルロースエステルの粘度が低下するので、濾過が短時間で済み、生産性を向上させることが可能になるが、もともとセルロースエステルは熱に弱い樹脂であるため、樹脂の劣化と生産性がドレードオフの関係にあるという課題があった。
このようなトレードオフの関係を解消する試みもなされているが(例えば、特許文献4、5参照。)、下記に示すケン化適性が劣ることが判明した。
一方、セルロースエステルを溶融製膜するに際し、特定の劣化防止剤を添加することが知られている(例えば、特許文献6参照。)。
基本的に劣化防止剤を添加することによって、セルロースエステルの化学特性の劣化(着色、分子量の低下)を防止するが、セルロースエステルと劣化防止剤の組み合わせが適切でないと逆効果、つまり、セルロースエステルの化学特性をかえって劣化させてしまうことが課題である。
ところで、用いる劣化防止剤の種類によっては化学特性の劣化はないものの、光学特性を劣化させることがある。
また、他の樹脂と同様、セルロースエステルに関してもその構造と光学特性は密接な関係があり、セルロースエステルの構造に大きな影響を及ぼす置換基の種類と、その置換度、さらには置換基の位置に相応した適切な劣化防止剤を選択することが重要である。
さて、上記のプロピオニル基やブチリル基で置換されたセルロースエステルは、アセチル基に対してプロピオニル基やブチリル基の置換度を高めることで、同一温度で比較した時の溶融粘度が小さくなるため、生産性的には有利になるものの下記のように課題も多い。
一般に、セルロースフィルムを有してなる保護フィルムと偏光子を貼り合わせて偏光板を作製する際、水溶性の接着剤を塗りやすくするため、フィルムを高温、高濃度のアルカリ液に浸漬して、所謂ケン化処理してフィルム表面を親水化してから接着剤を塗布し偏光子と貼り合わせている。
上記偏光子との易接着性から、偏光板保護フィルム用透明樹脂フィルムはもっぱらトリアセチルセルロースが使われてきたが、未だに他のフィルムに置き換わらない理由の一つとして、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、または環状オレフィン樹脂フィルム等他のポリマーフィルムはケン化処理をしても偏光子との易接着性が得られないという理由があった。
上記の溶融製膜に適したアセチル基だけでなくプロピオニル基やブチリル基が置換した光学フィルムは、セルロースエステル以外のポリマーフィルムと比べて易接着性ではあるものの、プロピオニル基やブチリル基の置換度があまり高すぎると、ケン化処理が進行しにくくなり、その結果、接着性が劣ってしまうという課題を有していることが判明した。
特にプロピオニル基とブチリル基を比べると、炭素数にして1個だけの違いであるにもかかわらず、ブチリル基が結合することによってケン化処理が大幅に進行しにくくなることが判明した。
このように、従来はケン化適性も生産性とドレードオフの関係にあった。
昨今、コストダウンのための生産性向上の重要性がますます高まる状況にあり、ケン化工程の短時間化が望まれている。このような中、ケン化しにくいフィルムの採用は致命的である。
以上のように、従来は、保護フィルム作製時の課題解決法(例えば、特許文献4、5参照。)、或いは偏光板作製時の課題解決法(例えば、特許文献7参照。)が知られているもののそれぞれ効果は不十分であり、ましてや両者を同時に解決する方法は提示されていない。
従って、溶液流延法によって製膜されたトリアセチルセルロースフィルムに代わり、優れた環境適性を有し、品質及び生産性の共に良好なセルロースエステルを有してなる光学フィルム、光学フィルムの製造方法、ひいては該光学フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置の出現が待たれている状況にある。
特表平6−501040号公報 特開2000−352620号公報 特開2006−111796号公報 特開2006−124642号公報 特開2006−348268号公報 特開2006−241428号公報 特開2007−2215号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、環境適性に優れ、生産性が良好で、光学特性に優れた、光学フィルム、詳しくは、溶融製膜時の溶融粘度が小さく、着色が小さく、リターデーションの変動が小さい光学フィルム、及び、該光学フィルムを用いて長期にわたって耐久性が良好な偏光板及び高いコントラストが達成された液晶表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
1.光学フィルムがセルロースエステルを含有し、該セルロースエステルの1グルコース単位あたりの置換基の種類とその置換度が下記式(1)〜(3)の条件を同時に満たすセルロースエステルであることを特徴とする光学フィルム。
式(1) 6.30≦2×X+3×Y≦7.50
式(2) 1.10≦Y≦1.50
式(3) 0.30≦Y6≦0.50
〔式中、Xは2位、3位、及び6位のアセチル基による平均置換度の合計を表し、Yは2位、3位、及び6位のプロピオニル基による平均置換度の合計を表し、Y6は6位のプロピオニル基による平均置換度を表す。〕
2.前記セルロースエステルの重量平均分子量が、150000以上、かつ250000未満であることを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
3.前記光学フィルムがフェノール系化合物を含有することを特徴とする前記1又は2に記載の光学フィルム。
4.前記光学フィルムがリン系化合物を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
5.前記光学フィルムがアルキルラジカル捕捉剤を含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
6.前記フェノール系化合物が、ヒンダードフェノール系化合物であることを特徴とする前記3〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
7.前記リン系酸化防止剤化合物が、ホスホナイト系化合物であることを特徴とする前記4〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム。
8.前記アルキルラジカル捕捉剤が、下記一般式(1)で表される化合物または下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記5〜7のいずれか1項に記載の光学フィルム。
〔式中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
〔式中、R12〜R15はおのおの互いに独立して水素原子または置換基を表し、R16は水素原子または置換基を表し、nは1〜4の整数を表す。nが1であるとき、R11は置換基を表し、nが2〜4の整数であるとき、R11は2〜4価の連結基を表す。なお、該置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルキニル基、複素環基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ホスホノ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基、アニリノ基、イミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、またはニトロ基を表す。〕
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルムを溶融流延法によって製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
10.前記1〜8のいずれか1項に記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
11.前記10に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に用いることを特徴とする液晶表示装置。
即ち、本発明者らは、上記の課題解決のために鋭意検討する過程において、セルロースエステルを構成する1グルコース単位の2位、3位及び6位の水酸基がアセチル基及びプロピオニル基で置換されたセルロースエステルを検討したところ、アセチル基及びプロピオニル基の置換状態(平均置換度、置換位置)が、本発明の構成範囲である場合、上記の課題がすべて解決できること見出し、本発明を完成するに至った。
本発明により、環境適性に優れ、生産性が良好で、光学特性に優れた、光学フィルム、詳しくは、溶融製膜時の溶融粘度が小さく、着色が小さく、リターデーションの変動が小さい光学フィルム、光学フィルムの製造方法、該光学フィルムを用いて長期にわたって耐久性が良好な偏光板及び高いコントラストが達成された液晶表示装置を提供することができた。
本発明に係る光学フィルムの製造方法を実施する装置の1つの実施形態を示す概略フローシートである。 図1の製造装置の要部拡大フローシートである。 図3(a)は流延ダイの要部の外観図、図3(b)は流延ダイの要部の断面図である。 挟圧回転体の第1実施形態の断面図である。 挟圧回転体の第2実施形態の回転軸に垂直な平面での断面図である。 挟圧回転体の第2実施形態の回転軸を含む平面での断面図である。 液晶表示装置の構成図の概略を示す分解斜視図である。 光学フィルム原反の保管の状態を示す図である。
符号の説明
1 押出し機
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 流延ダイ
5 回転支持体(第1冷却ロール)
6 挟圧回転体(タッチロール)
7 回転支持体(第2冷却ロール)
8 回転支持体(第3冷却ロール)
9、11、13、14、15 搬送ロール
10 光学フィルム
12 延伸機
16 巻取り装置
21a、21b 保護フィルム
22a、22b 位相差フィルム
23a、23b フィルムの遅相軸方向
24a、24b 偏光子の透過軸方向
25a、25b 偏光子
26a、26b 偏光板
27 液晶セル
29 液晶表示装置
31 ダイ本体
32 スリット
41 金属スリーブ
42 弾性ローラ
43 金属製の内筒
44 ゴム
45 冷却水
51 外筒
52 内筒
53 空間
54 冷却液
55a、55b 回転軸
56a、56b 外筒支持フランジ
60 流体軸筒
61a、61b 内筒支持フランジ
62a、62b 中間通路
110 巻芯本体
117 支え板
118 架台
120 光学フィルム原反
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、生産性が良好で、光学特性に優れた光学フィルムを提供するものである。このような光学フィルムを用いることで、高品質の偏光板用保護フィルム、反射防止フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムを得ることが出来、さらには表示品質の高い液晶表示装置を得ることが出来る。
本発明の光学フィルムは、溶液流延法、溶融流延のどちらによって製造された光学フィルムでもよいが、環境適性に鑑みると溶融流延法であることが好ましい。本発明において、溶液流延のように光学フィルムを溶媒に溶解させることなしに、該光学フィルム形成材料を加熱することにより流動可能な溶融状態とし、流延することを溶融流延法として定義する。
加熱溶融する成形法は、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度などに優れる光学フィルムを得るためには、溶融押出し法が優れている。
本発明において、光学フィルム形成材料が加熱されて、その流動性を発現させた後ドラム上またはエンドレスベルト上に押出し製膜する方法が、本発明の溶融流延法として好ましい態様である。
従って本発明の光学フィルムは、少なくとも1種の下記に示すセルロースエステルを含む光学フィルム形成材料を、好ましくは200℃以上270℃以下の溶融温度にて加熱溶融し、溶融流延法により形成された光学フィルムであることが好ましい。
以下、本発明の光学フィルムについて説明する。
《セルロースエステル》
セルロ−スには、1グルコ−ス単位の2位、3位、6位に1個ずつ、計3個の水酸基があり、置換度とは、1グルコ−ス単位に平均してアシル基がどのような位置にどれだけ結合しているかを示す数値である。
従って、最大の置換度は3.00であり、上記アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。
このようなセルロ−スの水酸基の一部またはすべてがアシル基で置換されたものをセルロースエステルと称している。
本発明のセルロースエステルは、2位、3位、及び6位のアセチル基による平均置換度の合計をXとし、2位、3位、及び6位のプロピオニル基による平均置換度の合計をYとし、更に6位のプロピオニル基による平均置換度をY6としたときに、下記式(1)〜(3)を同時に満たすセルロースエステルである(以下、平均置換度を単に置換度と称する。)。
このようなセルロースエステルは、通常、セルロースアセテートプロピオネートと呼ばれる。
なお、下記式の何れか一つ、あるいは何れか二つを満たしているだけでは上記課題のすべての解決にはならず、三つすべてを同時に満たすことが重要である。
式(1) 6.30≦2×X+3×Y≦7.50
式(2) 1.10≦Y≦1.50
式(3) 0.30≦Y6≦0.50
中でも、式(1)においては6.70≦2×X+3×Y≦7.10とするのが、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
式(2)においては1.20≦Y≦1.40とするのが本発明の効果をより奏する点で好ましい。
式(3)においては0.35≦Y6≦0.45とするのが本発明の効果をより奏する点で好ましい。
なお、アセチル基とプロピオニル基の置換度と置換位置に関する情報は下記に説明する方法によって求めることができる。
次に、本発明に用いられるセルロースエステルのアシル基(アセチル基とプロピオニル基)の置換度と置換位置の測定法について詳細に説明する。
本発明のアシル基のグルコース単位の各位置への置換度の測定方法については、Y.Tezuka & Y.Tsuchiyaの論文(Carbohydrate Research、第273巻、83〜91頁(1995年))に記載されている13C−NMR法により行うことが出来る。この方法を用いると、アセチル基の13C−NMRのシグナルとプロピオニル基のシグナルが明瞭に分かれ、しかも2位、3位及び6位のシグナルも近接した3つのピークに分かれ各々の識別と、ピークの高さから置換度がわかる。なお、アセチル基とプロピオニル基の置換度に関しては、ASTM D817−96に規定の方法により求めた値とも参照し、正しいことを確認した。
次に、課題解決のための上記3つの式、(1)〜(3)のすべてを満たす必要性について説明する。
本発明者らの検討で、溶融粘度とケン化適性に関して、セルロースエステルの1グルコ−ス単位あたりに置換されたアシル基の平均の総炭素数(2×X+3×Y(アセチル基は炭素数2個、プロピオニル基は炭素数3。以下、単に総炭素数と称する。))、プロピオニル基の置換度(Y)、及び6位のプロピオニル基の置換度(Y6)が大きく関係することがわかった。一方、セルロースエステルに、プロピオニル基よりも炭素数が大きいアシル基、例えば炭素数が4つのブチリル基が置換すると、溶融粘度では有利なものの、ケン化適性が大きく劣化し、これはブチリル基の置換度、置換位置を調節しても全く改善しないことが分かった。
溶融粘度はセルロースエステル同士の相互作用の大きさで決まると本発明者らは考えている。
つまり、相互作用に影響を及ぼす力、例えば、電子的な効果であればセルロースエステル中に残存している水酸基が関与する水素結合が重要であり、立体的な効果であればグルコース単位のアシル基の配列の規則性/不規則性が重要であると考えている。
アセチル基よりも嵩高いプロピオニル基はこれらの効果に及ぼす効果が顕著である。従って、本発明のセルロースエステルにおいて、総炭素数(2×X+3×Y)、及びプロピオニル基の置換度(Y)についてコントロールすることが特に重要であると考えている。
ケン化適性は、ケン化とその後の偏光子との接着性という点で考えると、セルロースエステルのアルカリ加水分解性、及びケン化後の残存水酸基数に大きく影響を受けることが考えられる。
従って、アシル基の種類と置換度による相違は大きく、これもやはり上記溶融粘度と同様、総炭素数(2×X+3×Y)、及びプロピオニル基の置換度(Y)についてコントロールすることが特に重要であると考えている。
総炭素数が6.30よりも小さいと溶融粘度が高くなるが、これは残存している水酸基の関与が大きいものと考えている。
一方、総炭素数が7.50よりも大きいとケン化適性が劣化するが、これはケン化後の残存している水酸基の数が少ないからではないかと考えている。
また、プロピオニル基の置換度が1.10よりも小さいと溶融粘度が高くなるが、これはアセチル基の影響が勝り、性質がトリアセチルセルロースに近くなるためと考えている。
一方、Yが1.50よりも大きいとケン化し難くなるが、これはアセチル基よりもプロピオニル基の方がアルカリ加水分解速度が小さいことによるものと考えている。
更に、グルコ−ス単位の3つの水酸基の中で、炭素原子の級数が他とは異なる6位は特異的である。セルロースからセルロースエステルを合成する際のアシル基の反応性、及びケン化(アルカリ加水分解)時の反応性が大きく異なっている。
また、6位はグルコース単位を形成するピラノース環から炭素1個分だけ飛び出しており、その立体的な構造から、セルロースエステル同士の相互作用に大きく影響を及ぼしている。
特に、これらの差異は、アセチル基よりも立体的に嵩高いプロピオニル基が置換されている場合に顕著である。従って、本発明のセルロースエステルにおいて、6位のプロピオニル基の置換度(Y6)についてもコントロールすることが特に重要であると考えている。
詳細は不明であるが、本発明の範囲内のほぼ同一の総炭素数、及び本発明の範囲内のほぼ同一のプロピオニル基の置換度を有するセルロースエステル同士で比較した場合、驚くべきことに、6位のプロピオニル基の置換度が本発明の範囲外の場合、つまり、上限を超える置換度や下限を下回る置換度の場合のいずれの場合においても、溶融粘度が高くなり、ケン化適性も劣化することが判明した。
以上のように鋭意検討した結果、本発明者らは、上記3つの式、(1)〜(3)のすべてを満たすことが、溶融粘度を下げることによる光学フィルムの生産性を向上と、偏光板作製のためのケン化適性の両立化のためには必要であるという結論に至った。
次に、本発明で用いられるセルロースエステルの合成法について説明する。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明のセルロースエステルは、公知の方法を参考にして合成することができるがそれだけでは不十分であり、工夫が必要であることが判明した。
例えば、原料セルロースの水酸基を無水酢酸、及び無水プロピオン酸を用いて常法によりアセチル化、及びプロピオニル化し、アセチル基、プロピオニル基を置換させることができ、更に用いる無水酢酸、及び無水プロピオン酸の使用量を適宜変化させることによって、アセチル基の置換度、プロピオニル基の置換度、総置換度を調整することは可能である。
また、6位置換度の大きいセルロースエステルの合成については、特開平11−5851号や特開2002−212338号各公報などに記載がある。
しかしながら、これらの方法を参考にしただけでは、6位のプロピオニル基の置換度を自在にコントロールすることは容易ではない。
従来のアセチル基のみが置換されたセルロースエステルの合成では、2位、3位のアセチル置換度の方が、6位のアセチル置換度よりも高い値になる。
これは触媒に用いる硫酸が立体障害の少ない6位に先に反応する(硫酸エステルの生成)ため、結果的にアセチル基は空いている割合が高い2位、3位と反応し易くなるためである。
ところが、所詮硫酸エステルは平衡反応であるため解離し、アセチル基よりもセルロースの立体障害の影響を受け易いプロピオニル基は、立体障害の小さい6位と反応し易く、結果的に6位のプロピオニル基の置換度は高くなり易い。
本発明においては、触媒として硫酸を用いて原料セルロースの水酸基を無水酢酸、及び無水プロピオン酸を用いてアセチル化、及びプロピオニル化することは従来と変わりはないが、無水酢酸、及び無水プロピオン酸の添加を両者の比率を変えながら複数回添加することによって6位のプロピオニル基の置換度を自在にコントロールすることが可能になった。
以上のような方法を用いて、前記式(1)〜(3)を同時に満たす本発明のセルロースエステルを合成することができる。
本発明のセルロースエステルは、特に限定はないが、15万〜25万の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましく、18万〜23万の重量平均分子量を有することが更に好ましく、19万〜22万の重量平均分子量を有することが最も好ましい。
重量平均分子量が上記好ましい範囲内においては、溶融粘度が高くなりすぎたり、得られるフィルムの強度が低下するなどの不具合が生じず、好ましい。
更に、本発明に用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が1.3〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.5〜5.0であり、更に好ましくは1.7〜4.0であり、更に好ましくは2.0〜3.5のセルロースエステルが好ましく用いられる。Mw/Mnが5.5を超えると、粘度が高くなり、溶融濾過性が低下する傾向があり好ましくない。一方、工業上の製造特性の点から、1.3以上であることが好ましい。
なお、Mw及びMw/Mnは下記の要領で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出できる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:テトヒドロフラン
装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線:標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=2,560,000〜580までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
本発明のセルロースエステルのアルカリ土類金属含有量は、1〜50ppmの範囲であることが好ましい。
セルロースエステルのアルカリ土類金属含有量の範囲が1〜50ppmであると、リップ付着汚れの増加がなく、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティング部で破断がなくなり、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
更に、本発明では、ロースエステルのアルカリ土類金属含有量が1〜30ppmの範囲が好ましい。
ここでいうアルカリ土類金属とはCa、Mgの総含有量のことであり、X線光電子分光分析装置(XPS)を用いて測定することができる。
本発明のセルロースエステル中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜45ppmの範囲であることが好ましい。これらは塩の形で含有していると考えられる。
残留硫酸含有量が45ppmを超えると熱溶融時のダイリップ部の付着物が増加するため好ましくない。
また、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなるため好ましくない。
少ない方が好ましいが、0.1未満とすると、逆に破断しやすくなることがあり好ましくないが、その理由はよく分かっていない。
更に1〜30ppmの範囲が好ましい。
残留硫酸含有量は、ASTM D817−96に規定の方法により測定することができる。
本発明のセルロースエステル中の遊離酸含有量は、1〜500ppmであることが好ましい。
上記の範囲であると、ダイリップ部の付着物の増加がなく、また破断しにくい。
更に、本発明にいては、1〜100ppmの範囲であることが好ましく、更に破断しにくくなる。特に1〜70ppmの範囲が好ましい。
遊離酸含有量はASTM D817−96に規定の方法により測定することができる。
合成したセルロースエステルの洗浄を、溶液流延法に用いられる場合に比べて、更に十分に行うことによって、残留アルカリ土類金属含有量、残留硫酸含有量、及び残留酸含有量を上記の範囲とすることができ好ましい。
また、セルロースエステルの洗浄は、水に加えて、メタノール、エタノールのような貧溶媒、或いは結果として貧溶媒であれば貧溶媒と良溶媒の混合溶媒を用いることができ、残留酸以外の無機物、低分子の有機不純物を除去することができる。
更に、セルロースエステルの洗浄は、劣化防止剤の存在下で行うことも好ましく、セルロースエステルの耐熱性、製膜安定性が向上する。
使用される劣化防止剤は、セルロースエステルに発生したラジカルを不活性化する、或いはセルロースエステルに発生したラジカルに酸素が付加したことが起因のセルロースエステルの劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、亜リン酸エステル系化合物が好ましい。
また、セルロースエステルの耐熱性、機械特性、光学特性等を向上させるため、セルロースエステルの良溶媒に溶解後、貧溶媒中に再沈殿、濾過することによって、或いは、貧溶媒中に撹拌懸濁させ、濾過することによって、セルロースエステルの低分子量成分、その他不純物を除去することができる。
この時、前述のセルロースエステルの洗浄同様に、劣化防止剤の存在下で行うことが好ましい。
セルロースエステルの洗浄に使用する劣化防止剤は、洗浄後セルロースエステル中に残存していてもよい。残存量は0.01〜2000ppmがよく、より好ましくは0.05〜1000ppmである。更に好ましくは0.1〜100ppmである。
更に、セルロースエステルの再沈殿処理の後、別のポリマー或いは低分子化合物を添加してもよい。
本発明のセルロースエステルは溶融製膜に用いられることから、セルロースエステル自体の耐熱性が優れていることが好ましく、加熱溶融前のセルロースエステルの空気下における1%質量減少温度Td(1.0)が高いことが好ましい。
セルロースエステルを溶融製膜するにあたり、Td(1.0)は260℃以上が好ましく、Td(1.0)は270℃以上がより好ましく、280℃以上が更に好ましい。
セルロースエステルのTd(1.0)を高めるためには、セルロースエステルの合成において、最後の取り出しの際のセルロースエステルを濾過、洗浄する作業に当たって、洗浄液のpHが中性になるまで十分水で洗浄することによって向上させることができる。
ところで、詳細な理由は良く分かっていないが、セルロースエステルの種類によっては、洗浄を過度に行うと、破断しやすくなる等の機械特性が劣化してしまうものがあるが、本発明に係る前記の式(1)〜(3)を同時に満たすセルロースエステルに関しては、洗浄に伴う機械特性の劣化が生じないことが判明した。
また、本発明に係る前記の式(1)〜(3)のいずれか一つでも満たさないセルロースエステルに関しては、Td(1.0)が270℃以上であっても耐熱性が劣化することが判明した。
なお、空気下における1%質量減少温度Td(1.0)は、市販の示差熱重量分析(TG−DTA)装置で測定することができるが、一般にセルロースエステルはわずかな量ではあるが水分を含有しているため、測定の際には注意が必要である。
具体的には、試料を100℃でしばらく保持し、水分の揮発による質量減少がなくなったことを確認した後、その時点からの温度上昇に伴う質量減少を測定する方法をとる。
ところで、Td(1.0)には上限は無く、高い程好ましいと推定しているが、セルロースエステルの洗浄工程の負担が大きくなるのを避けることを考慮すると、現実的な上限値は300〜310℃である。
光学フィルム中のセルロースエステルは70質量%〜99質量%の範囲とすることにより、後述する劣化防止剤、可塑剤および紫外線吸収剤等の添加剤の存在下で優れた溶融流延性と安定性を示し、得られたフィルムは光学フィルムとしての優れた性能を付与することができる。
セルロースエステルの含有量が70質量%〜99質量%の範囲であると、添加剤のブリードアウトが無く、フィルムの機械強度が向上し、本発明の効果を有する点で好ましい。
また、光学フィルムとして必要な他の添加剤の添加量が1.0質量%以上であると要求される物性を満たすことができ、より好ましくはセルロースエステルの含有量は80〜95質量%である。
本発明の光学フィルムはセルロースエステル以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにした時の透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。
別の実施態様では、原料のセルロースエステルは少なくとも一度溶媒に溶解させた後、溶媒を乾燥させたセルロースエステルを用いてもよい。
その際には劣化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、及びマット剤の少なくとも1つ以上と共に溶媒に溶解させた後、乾燥させたセルロースエステルを用いる。
溶媒としては、メチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソラン等の溶液流延法で用いられる良溶媒を用いることができ、同時にメタノール、エタノール、ブタノール等の貧溶媒を用いてもよい。溶解の過程で−20℃以下に冷却したり、80℃以上に加熱したりしてもよい。
このようなセルロースエステルを用いると、溶融状態にした時の各添加物を均一にしやすく、光学特性を均一にできることがある。
《劣化防止剤》
劣化防止剤とは、高分子が熱や酸素、水分、酸などによって分解されることを化学的な作用によって抑制する材料のことである。本発明の光学フィルムは、特に200℃以上の高温下で成形されるため、高分子の分解・劣化が起きやすい系であり、劣化防止剤を光学フィルム中に含有させることが好ましい。
光学フィルムの酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光または熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制または禁止する等、解明できていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために劣化防止剤を用いる。
劣化防止剤としては、例えば、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸捕捉剤、金属不活性化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報などに記載がある。これらの中でも、本発明の目的のためには、光学フィルム中に劣化防止剤として酸化防止剤を含むことが好ましい。
本発明の光学フィルム形成材料中の劣化防止剤は、少なくとも1種以上選択でき、添加する量は、本発明のセルロースエステルの質量に対して、劣化防止剤の添加量は0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下であり、更に好ましくは0.2質量%以上2.0質量%以下である。
なお、劣化防止剤の添加量が上記添加量の範囲であると、セルロースエステルへの相溶性の観点から光学フィルムとしての透明性が向上し、また光学フィルムが脆くなることもないので好ましくない。
光学フィルムは、材料の変質や吸湿性を回避する目的で、構成する材料が1種または複数種のペレットに分割して保存することができる。ペレット化は、加熱時の溶融物の混合性または相溶性が向上でき、または得られたフィルムの光学的な均一性が確保できることもある。
光学フィルムを加熱溶融するとき、及び加熱溶融したものを後工程で使用するとき、更には製品として消費者のもとで使用されるとき、上述の劣化防止剤が存在することは、材料の劣化や分解に基づく強度や光学的透明性の劣化を低減すること、または材料固有の強度を維持できる観点で優れている。
光学フィルムが加熱により著しく劣化すると、着色が発生して光学フィルムとしては用いることができなくなることがある。
また、液晶表示装置用の光学補償フィルムとして用いる際には、リターデーション付与工程(延伸工程)が流延工程の次に実施されるが、光学フィルムが加熱により著しく劣化すると、形成されたフィルムが脆くなり、該延伸工程において破断が生じやすくなったり、目的の光学補償フィルムのリターデーション値が発現できなくなることがある。
更には、液晶表示装置用の偏光板保護フィルムとして使用する場合、光学フィルムの劣化は、偏光子との貼合に支障をきたしたりするので好ましくない。
そこで、上述の劣化防止剤の存在は、加熱溶融時において可視光領域の着色物の生成を抑制すること、または加熱溶融時及び加熱溶融後のフィルムを構成する材料が分解して生じた揮発成分等によって生じる透過率やヘイズ値の低下といった光学フィルムとして好ましくない劣化を抑制または消滅できる点でも優れている。
本発明において液晶表示装置の表示画像は、本発明の光学フィルムを用いるときヘイズ値が1%を超えると影響を与えるため、好ましくはヘイズ値は1%未満、より好ましくは0.5%未満である。また着色性の指標としては黄色度(イエローインデックス、YI)を用いることができ、好ましくは3.0以下、より好ましくは1.0以下である。黄色度はJIS−K−7103に基づいて測定することができる。
上述の光学フィルムの保存或いは製膜工程において、空気中の酸素あるいは水分による劣化反応が併発することがある。
この場合、上記劣化防止剤の安定化作用とともに、空気中の湿度・酸素濃度を低減させることも本発明を具現化する上で好ましく併用できる。
これは、公知の技術として不活性ガスとして窒素やアルゴンの使用、減圧〜真空による脱気操作、及び密閉環境下による操作が挙げられ、これら3者の内少なくとも1つの方法を上記安定剤を存在させる方法と併用することができる。
光学フィルムが空気中の酸素と接触する確率を低減することにより、該材料の劣化が抑制できるため好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルムとしても活用するため、本発明の偏光板及び偏光板を構成する偏光子に対して経時保存性を向上させる観点からも、光学フィルム中における上述の劣化防止剤の存在が重要な役割を担う。
本発明の偏光板を用いた液晶表示装置において、本発明の光学フィルムに上述の劣化防止剤が存在すると、上記の変質や劣化を抑制する観点から光学フィルムの経時保存性が向上できるとともに、液晶表示装置の表示品質向上においても光学的な補償設計が長期にわたって機能発現できる点で優れている。
《酸化防止剤》
セルロースエステルは高温下では熱だけでなく酸素によっても分解が促進されるため、本発明の光学フィルムにおいては劣化防止剤として酸化防止剤を含有することが好ましい。
本発明において有用な酸化防止剤としては、酸素による光学フィルムの劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でもフェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、アルキルラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤、酸素スカベンジャー等が挙げられる。
これらの中でもフェノール系化合物、リン系化合物、アルキルラジカル捕捉剤が好ましいが、フェノール系化合物とリン系化合物の2者の組み合わせを用いることがより好ましく、フェノール系化合物とリン系化合物とアルキルラジカル捕捉剤の3者の組み合わせを用いることが最も好ましい。
これらの化合物を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、溶融成型時の熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明のセルロースエステルの質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下であり、更に好ましくは0.2質量%以上2.0質量%以下である。
(フェノール系化合物)
フェノール系化合物は既知の化合物であり、パラ−t−ブチルフェノール、パラ−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等のアルキル基置換フェノールの他、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載の、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物、所謂ヒンダードフェノール系化合物が挙げられるが、これらの中で、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノールフェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−{2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。
上記タイプのフェノール化合物は、例えば、チバスペシャルティケミカルズ株式会社から、”IRGANOX1076”及び”IRGANOX1010”という商品名で市販されている。
(リン系化合物)
本発明において有用なリン系化合物として、ホスファイト系化合物、及びホスホナイト系化合物が挙げられる。ホスファイト系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、トリデシルホスファイト等のモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物;等が挙げられる。上記タイプのホスファイト系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、”SumilizerGP”、株式会社ADEKAからADK STAB PEP−24G”、”ADK STAB PEP−36”、”ADK STAB 3010”、”ADK STAB HP−10”及び”ADK STAB 2112”という商品名で市販されている。
ホスホナイト系化合物の具体例としては、ジメチル−フェニルホスホナイト、ジ−t−ブチル−フェニルホスホナイト、ジフェニル−フェニルホスホナイト、ジ−(4−ペンチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2−t−ブチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2−メチル−3−ペンチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2−メチル−4−オクチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(3−ブチル−4−メチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(3−ヘキシル−4−エチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,4,6−トリメチルフェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,3−ジメチル−4−エチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,6−ジエチル−3−ブチルフェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,3−ジプロピル−5−ブチルフェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ビフェニル−4−イル−ホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4’−(ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェノキシ)ホスフィノ)ビフェニル−4−イル−ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリメチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−エチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−4−プロピルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジエチル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジエチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,5−トリエチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジエチル−4−プロピルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジエチル−6−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジエチル−5−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジエチル−6−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジプロピル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジプロピル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジプロピル−5−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジプロピル−6−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジプロピル−5−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジブチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジブチル−3−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジブチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−3−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−3−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジブチル−4−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジブチル−3−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジブチル−4−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−3−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−6−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−3−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−6−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−3−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。上記タイプのリン系化合物は、例えば、チバスペシャルティケミカルズ株式会社から”IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”という商品名で市販されている。
本発明において有用なリン系化合物として、ホスホナイト系化合物が好ましく、中でも、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト等の4,4′−ビフェニレンジホスホナイト化合物が好ましく、特に好ましいものはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイトである。
(アルキルラジカル捕捉剤)
本発明において「アルキルラジカル捕捉剤」とは、アルキルラジカルが速やかに反応しうる基を有し、かつアルキルラジカルと反応後に後続反応が起こらない安定な生成物を与える化合物を意味する。
本発明において好ましいアルキルラジカル捕捉剤として、前記一般式(1)で表される化合物、及び前記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
以下、本発明に用いられる前記一般式(1)で表される化合物について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(1)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子またはメチル基である。
2およびR3は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表し、直鎖でも、分岐構造または環構造を有してもよい。R2およびR3は、好ましくは4級炭素を含む「*−C(CH32−R’」で表される構造(*は芳香環への連結部位を表し、R’は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)である。R2は、より好ましくはtert−ブチル基、tert−アミル基である。R3は、より好ましくはtert−ブチル基、tert−アミル基またはtert−オクチル基である。
上記一般式(1)で表される化合物として、住友化学株式会社から、”SumilizerGM”、”SumilizerGS”という商品名で市販されている。
以下に前記一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明に用いられる前記一般式(2)で表される化合物について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(2)において、R12〜R15はおのおの互いに独立して水素原子または置換基を表す。R12とR13、R13とR14、またはR14とR15は、互いに結合して環を形成してもよい。R16は水素原子または置換基を表し、nは1〜4の整数を表し、nが1であるとき、R11は置換基を表し、nが2〜4の整数であるとき、R11は2〜4価の連結基を表す。
12〜R15が置換基を表すとき、該置換基としては特に制限はないが、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。これらの置換基は同様の置換基によってさらに置換されていてもよい。
前記一般式(2)において、R12〜R15は水素原子またはアルキル基が好ましい。
前記一般式(2)において、R16は水素原子または置換基を表し、R16で表される置換基は、R12〜R15が表す置換基と同様な基を挙げることができる。特に、R16は水素原子が好ましい。
前記一般式(2)において、nは1〜4の整数を表すが、nが1であるとき、R11は置換基を表し、置換基としては、R12〜R15が表す置換基と同様な基を挙げることができる。nが2〜4の整数であるとき、R11はそれぞれ対応して2〜4価の連結基を表す。
11が2〜4価の連結基を表すとき、2価の連結基として例えば、置換基を有してもよい2価のアルキレン基、置換基を有してもよい2価のアリーレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、あるいはこれらの連結基の組み合わせを挙げることができる。
3価の連結基としては、例えば、置換基を有してもよい3価のアルキレン基、置換基を有してもよい3価のアリーレン基、窒素原子、あるいはこれらの連結基の組み合わせを挙げることができ、4価の連結基として例えば、置換基を有してもよい4価のアルキレン基、置換基を有してもよい4価のアリーレン基、あるいはこれらの連結基の組み合わせを挙げることができる。
前記一般式(2)において、nは1が好ましく、その時のR11は置換または無置換のフェニル基が好ましく、置換基としては、炭素原子数1ないし18のアルキル基、炭素原子数1ないし18のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基がより好ましい。
以下に、本発明における前記一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(その他の酸化防止剤)
その他の酸化防止剤としては、具体的には、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のイオウ系化合物が挙げられる。上記タイプのイオウ系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、”Sumilizer TPL−R”及び”Sumilizer TP−D”という商品名で市販されている。更には、特公平08−27508記載の3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン系化合物、3,3′−スピロジクロマン系化合物、1,1−スピロインダン系化合物、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンオキシド、チオモルホリンジオキシド、ピペラジン骨格を部分構造に有する化合物、特開平3−174150号記載のジアルコキシベンゼン系化合物等の酸素スカベンジャー等が挙げられる。これらの化合物の部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良い。
《ヒンダードアミン光安定剤》
本発明において、光学フィルムの熱溶融時の劣化防止剤、また製造後に偏光子保護フィルムとして晒される外光や液晶ディスプレイのバックライトからの光に対する劣化防止剤として、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。
ヒンダードアミン光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
また、高分子タイプの化合物でもよく、具体例としては、N,N′,N″,N″′−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルホリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]等の、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物等で、数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000のものが好ましい。
上記タイプのヒンダードアミン化合物は、例えば、チバスペシャルティケミカルズ株式会社から、”TINUVIN144”及び”TINUVIN770”、株式会社ADEKAから”ADK STAB LA−52”という商品名で市販されている。
本発明においては、ヒンダードアミン光安定剤は、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、0.1〜10質量%添加することが好ましく、更に0.2〜5質量%添加することが好ましく、更に0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
《酸捕捉剤》
セルロースエステルは、溶融製膜が行われるような高温環境下では酸によっても分解が促進されるため、本発明の光学フィルムにおいては劣化防止剤として酸捕捉剤を含有することが好ましい。
本発明において有用な酸捕捉剤としては、酸と反応して酸を不活性化する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物が好ましい。
このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシド等の縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテル等、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22個の炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)等)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリド等(例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)の組成物によって代表され例示され得るエポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらはときとしてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している)が含まれる。
また、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物として、EPON 815Cやその他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物も好ましく用いることができる。
更に上記以外に用いることが可能な酸捕捉剤としては、オキセタン化合物やオキサゾリン化合物、あるいはアルカリ土類金属の有機酸塩やアセチルアセトナート錯体、特開平5−194788号公報の段落68〜105に記載されているものが含まれる。
本発明においては、酸捕捉剤は、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、0.1〜10質量%添加することが好ましく、更に0.2〜5質量%添加することが好ましく、更に0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
なお酸捕捉剤は、酸掃去剤、酸捕獲剤、酸キャッチャー等と称されることもあるが、本発明においてはこれらの呼称による差異なく用いることができる。
《金属不活性剤》
金属不活性剤とは、酸化反応において開始剤あるいは触媒として作用する金属イオン不活性化する化合物を意味し、ヒドラジド系化合物、シュウ酸ジアミド系化合物、トリアゾール系化合物等が挙げられ、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、2−ヒドロキシエチルシュウ酸ジアミド、2−ヒドロキシ−N−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ベンズアミド、N−(5−yert−ブチル−2−エトキシフェニル)−N’−(2−エチルフェニル)シュウ酸アミド等が挙げられる。
本発明においては、金属不活性剤は、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、0.0002〜2質量%添加することが好ましく、更に0.0005〜2質量%添加することが好ましく、更に0.001〜1質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
《可塑剤》
本発明の溶融流延による光学フィルムに形成においては、光学フィルム中に可塑剤の少なくとも1種を添加することが好ましい。
可塑剤とは、一般的には高分子中に添加することによって脆弱性を改良したり、柔軟性を付与したりする効果のある添加剤であるが、本発明においては、可塑剤を添加することによって光学フィルムの機械的性質向上、引き裂き強度向上、耐吸水性付与、水分透過率の低減等の効果が見られることもあるため、このような効果を有する材料を可塑剤として用いることがより好ましい。
本発明に好ましく用いられる可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤(エチレングリコールエステル系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤、ジグリセリンエステル系可塑剤など)、多価カルボン酸エステル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。
この中でも多価アルコールエステル系可塑剤及び多価カルボン酸エステル系可塑剤が好ましく、更に多価アルコールエステル系可塑剤が好ましい。
また、可塑剤は液体であっても固体であっても良く、組成物の制約上無色であることが好ましい。
添加量は光学物性・機械物性に悪影響がなければ良く、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択され、本発明に係るセルロースエステルの質量に対して、好ましくは1〜25質量%含有することを特徴とする光学フィルムである。1質量%よりも少ないと平面性改善の効果が認められず、25質量%よりも多いとブリードアウトが発生しやすくなり、フィルムの経時安定性が低下するために好ましくない。
より好ましくは可塑剤を3〜20質量%含有する光学フィルムであり、更に好ましくは5〜15質量%含有する光学フィルムである。
以下、本発明に用いられる可塑剤について具体例に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、及び多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤はセルロースエステルと親和性が高いので好ましく、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤はセルロースエステルと親和性がさらに高まるので、特に好ましい。
なお、多価アルコールエステル系の可塑剤とは、一分子中に複数の水酸基を有する化合物と、1価の有機酸とを縮合した化合物を多価アルコールエステル系可塑剤と称し、多価カルボン酸エステル系の可塑剤とは、一分子中に複数のカルボン酸基を有する化合物と、複数の1価のアルコールまたはフェノールとが縮合した化合物を、多価カルボン酸エステル系可塑剤と称する。
本発明において好ましく用いられるエステル系可塑剤の原料である多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール等を挙げることができる。特に、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンが好ましい。
また、好ましい有機酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、アニス酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、トルイル酸、tert−ブチル安息香酸、ナフトエ酸、ピコリン酸等が挙げられるが、セルロースエステルの透湿度を低減する効果が高い不飽和カルボン酸、例えば芳香族カルボン酸によって多価アルコールエステルを形成していることが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられる有機酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
多価アルコールエステル系の一つであるエチレングリコールエステル系の可塑剤としては、具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。
これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。
またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
更にエチレングリコール部も置換されていてもよく、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
多価アルコールエステル系の一つであるグリセリンエステル系の可塑剤としては、具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。
またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にグリセリン、ジグリセリン部も置換されていてもよく、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造がポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価アルコールエステル系の可塑剤としては、具体的には特開2003−12823号公報の段落30〜33記載の多価アルコールエステル系可塑剤、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート等が挙げられる。
これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
更に多価アルコール部も置換されていてもよく、多価アルコールの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤の中では、アルキル多価アルコールアリールエステルが好ましく、具体的には上記のエチレングリコールジベンゾエート、グリセリントリベンゾエート、ジグリセリンテトラベンゾエート、特開2003−12823号公報の段落31記載例示化合物16が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系の一つであるジカルボン酸エステル系の可塑剤としては、具体的には、ジドデシルマロネート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のグリコール酸エステル系の可塑剤、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸系の可塑剤等が挙げられる。
これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でもよく、これらの置換基は更に置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価カルボン酸エステル系の可塑剤としては、具体的にはトリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。
これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また1置換でもよく、これらの置換基は更に置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造がポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤の中では、アルキルジカルボン酸アルキルエステルが好ましく、具体的には上記のジオクチルアジペートが挙げられる。
本発明に用いられるその他の可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。
リン酸エステル系の可塑剤としては、具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
また、エチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。
またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
更にリン酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。上記化合物の中では、リン酸アリールエステル、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)が好ましく、具体的にはトリフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
次に、炭水化物エステル系可塑剤について説明する。炭水化物とは、糖類がピラノースまたはフラノース(6員環または5員環)の形態で存在する単糖類、二糖類または三糖類を意味する。炭水化物の非限定的例としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、セロビオース、マンノース、キシロース、リボース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、ソルボース、セロトリオース及びラフィノース等が挙げられる。
炭水化物エステルとは、炭水化物の水酸基とカルボン酸が脱水縮合してエステル化合物を形成したものを指し、詳しくは、炭水化物の脂肪族カルボン酸エステル、或いは芳香族カルボン酸エステルを意味する。脂肪族カルボン酸として、例えば酢酸、プロピオン酸等を挙げることができ、芳香族カルボン酸として、例えば安息香酸、トルイル酸、アニス酸等を挙げることができる。
炭水化物は、その種類に応じた水酸基の数を有するが、水酸基の一部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成しても、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成してもよい。
本発明においては、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成するのが好ましい。
炭水化物エステル系可塑剤として、具体的には、グルコースペンタアセテート、グルコースペンタプロピオネート、グルコースペンタブチレート、サッカロースオクタアセテート、サッカロースオクタベンゾエート等を好ましく挙げることができ、この内、サッカロースオクタアセテート、サッカロースオクタベンゾエートがより好ましく、サッカロースオクタベンゾエートが特に好ましい。上記タイプの炭水化物エステル系可塑剤は、例えば、第一工業製薬社から、” モノペットSB”及び” モノペットSOA”という商品名で市販されている。
ポリマー可塑剤としては、具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。数平均分子量は1000〜500000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200000である。1000以下では揮発性に問題が生じ、500000を超えると可塑化能力が低下し、光学フィルムの機械的性質に悪影響を及ぼす。
これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
本発明の光学フィルムにおいて、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤を1〜25質量%含有することが好ましいが、それ以外の可塑剤と併用してもよい。
本発明の光学フィルムにおいて、多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤が更に好ましいが、3価以上のアルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤がセルロースエステルに対する相溶性が高く、高添加率で添加することができる特徴があるため、他の可塑剤や添加剤を併用してもブリードアウトを発生することがなく、必要に応じて他種の可塑剤や添加剤を容易に併用することができるので最も好ましい。
《紫外線吸収剤》
本発明おいて、光学フィルムが、更に紫外線吸収剤を含有することが耐久性を向上させる点で好ましい。
紫外線吸収剤は、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができるが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が好ましい。
また、特開平10−182621号、同8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号、特開2003−113317号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5′−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)326、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)900、チヌビン(TINUVIN)928、チヌビン(TINUVIN)360(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)、LA31(ADEKA社製)、Sumisorb250(住友化学社製)、RUVA−100(大塚化学製)が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物であることが好ましい。
本発明においては、紫外線吸収剤は、本発明のセルロースエステルの質量に対して、0.1〜10質量%添加することが好ましく、更に0.2〜5質量%添加することが好ましく、更に0.5〜3質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
またベンゾトリアゾール構造やトリアジン構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、可塑剤、酸化防止剤、酸掃去剤等の他の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
従来公知の紫外線吸収性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、RUVA−93(大塚化学製)を単独重合させたポリマー及びRUVA−93と他のモノマーとを共重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、RUVA−93とメチルメタクリレートを3:7の比(質量比)で共重合させたPUVA−30M、5:5の比(質量比)で共重合させたPUVA−50M等が挙げられる。更に、特開2003−113317号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
《その他の添加剤》
本発明においては、セルロースエステルに劣化防止剤、可塑剤や紫外線吸収剤の他、種々の添加剤を含有することができる。例えば、マット剤、フィラー、シリカやケイ酸塩等の無機化合物、染料、顔料、蛍光体、二色性色素、リターデーション制御剤、屈折率調整剤、ガス透過抑制剤、抗菌剤、生分解性付与剤などが挙げられる。
また、上記機能を有するものであれば、これに分類されない添加剤も用いることができる。
そして、これらの添加剤をセルロースエステルに含有させる方法としては、各々の材料を固体或いは液体のまま混合し、加熱溶融し混練して均一な溶融物とした後、流延して光学フィルムを形成する方法であっても、予め全ての材料を溶媒等を用いて、溶解して均一溶液とした後、溶媒を除去して、添加剤とセルロースエステルの混合物を形成し、これを加熱溶融し、流延して光学フィルムを形成してもよい。
(マット剤)
本発明の光学フィルムは、滑り性や光学的、機械的機能を付与するためにマット剤を添加することができる。マット剤としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
マット剤の形状は、球状、棒状、針状、層状、平板状等の形状のものが好ましく用いられる。マット剤としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の金属の酸化物、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。
中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低くできるので好ましい。
これらの微粒子は有機物により表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
表面処理は、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等で行うことが好ましい。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。
また、微粒子の一次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7〜14nmである。これらの微粒子は、光学フィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させるために好ましく用いられる。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600、NAX50等、日本触媒(株)製のKE−P10、KE−P30、KE−P100、KE−P150等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972V、NAX50、KE−P30、KE−P100である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。
2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用できる。
これらのマット剤の添加方法は混練する等によって行うことが好ましい。また、別の形態として予め溶媒に分散したマット剤とセルロースエステル及び/または可塑剤及び/または酸化防止剤及び/または紫外線吸収剤を混合分散させた後、溶媒を揮発または沈殿させた固形物を得て、これをセルロースエステル溶融物の製造過程で用いることが、マット剤がセルロースエステル中で均一に分散できる観点から好ましい。
上記マット剤は、フィルムの機械的、電気的、光学的特性改善のために添加することもできる。
なお、これらの微粒子を添加するほど、得られるフィルムの滑り性は向上するが、添加するほどヘイズが上昇するため、含有量は好ましくは0.001〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
なお、本発明の光学フィルムとしては、ヘイズ値が好ましくは1.0%未満、より好ましくは0.5%未満である。ヘイズ値はJIS−K−7136に基づいて測定することができる。
上述の光学フィルムの保存或いは製膜工程において、空気中の酸素による劣化反応が併発することがある。この場合、上記添加剤の安定化作用とともに、空気中の酸素濃度を低減させる効果を用いることも本発明を具現化する上で併用できる。
これは、公知の技術として不活性ガスとして窒素やアルゴンの使用、減圧〜真空による脱気操作、及び密閉環境下による操作が挙げられ、これら3者の内少なくとも1つの方法を上記添加剤を存在させる方法と併用することができる。
光学フィルムが空気中の酸素と接触する確率を低減することにより、該材料の劣化が抑制でき、本発明の目的のためには好ましい。
《光学フィルム》
次に、本発明の光学フィルムの詳細について説明する。
本発明において光学フィルムとは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種表示装置に用いられる機能フィルムのことであり、詳しくは液晶表示装置用の偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルム等を含む。
本発明の光学フィルムにおいて、本発明のセルロースエステルの他、本発明に係らないセルロースエステル系樹脂、セルロースエーテル系樹脂、ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等も含む)、オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、もしくはそれらを含む共重合体)、アクリル系樹脂(共重合体も含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂等を含有させることができる。セルロースエステル以外の樹脂の含有量としては0.1〜30質量%が好ましい。
本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムに好ましく用いられ、特に、偏光板保護フィルムに好ましく用いられる。
《溶融流延法》
本発明の光学フィルムは、前述のように溶融流延によって製造される。溶液流延法において用いられる溶媒(例えば塩化メチレン等)を用いずに、加熱溶融する溶融流延による成形法は、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。
これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れる偏光板保護フィルムを得るためには、溶融押出成形法が優れている。
光学フィルムは溶融及び製膜工程において、揮発成分が少ないまたは発生しないことが求められる。これは加熱溶融時に発泡して、フィルム内部の欠陥やフィルム表面の平面性劣化を削減または回避するためである。
光学フィルムが溶融されるときの揮発成分の含有量は、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以下であることが望まれる。
本発明においては、示差熱重量測定装置(セイコー電子工業社製TG/DTA200)を用いて、30℃から溶融流延時に相当する温度までの加熱減量を求め、その量を揮発成分の含有量としている。
用いる光学フィルムは、前記水分や前記溶媒等に代表される揮発成分を、製膜する前に、または加熱時に除去することが好ましい。
除去する方法は、公知の乾燥方法が適用でき、加熱法、減圧法、加熱減圧法等の方法で行うことができ、空気中または不活性ガスとして窒素を選択した雰囲気下で行ってもよい。
これらの公知の乾燥方法を行うとき、光学フィルムが分解しない温度領域で行うことがフィルムの品質上好ましい。
製膜前に乾燥することにより、揮発成分の発生を削減することができ、セルロースエステル単独、またはセルロースエステルと光学フィルムの内、セルロースエステル以外の少なくとも1種以上の混合物または相溶物に分割して乾燥することもできる。
乾燥温度は70℃以上が好ましい。
乾燥する材料にガラス転移温度を有する物が存在するときには、そのガラス転移温度よりも高い乾燥温度に加熱すると、材料が融着して取り扱いが困難になることがあるので、乾燥温度は、ガラス転移温度以下であることが好ましい。
複数の物質がガラス転移温度を有する場合は、ガラス転移温度が低い方のガラス転移温度を基準とする。より好ましくは70℃以上、(ガラス転移温度−5)℃以下、更に好ましくは110℃以上、(ガラス転移温度−20)℃以下である。
乾燥時間は、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは1〜18時間、更に好ましくは1.5〜12時間である。乾燥温度が低くなり過ぎると揮発成分の除去率が低くなり、また乾燥するのに時間にかかり過ぎることになる。
また、乾燥工程は2段階以上にわけてもよく、例えば、乾燥工程が、材料の保管のための予備乾燥工程と、製膜する直前〜1週間前の間に行う直前乾燥工程を含むものであってもよい。
(溶融押出成形法)
以下、溶融押出成形法を例にとり、本発明の光学フィルムの製造方法について説明する。
図1は、本発明に係る光学フィルムの製造方法を実施する装置の全体構成を示す概略フローシートであり、図2は、流延ダイから冷却ロール部分の拡大図である。
図1と図2において、本発明による光学フィルムの製造方法は、セルロース樹脂等のフィルム材料を混合した後、押出し機1を用いて、流延ダイ4から第1冷却ロール5上に溶融押出し、第1冷却ロール5に外接させるとともに、更に、第2冷却ロール7、第3冷却ロール8の合計3本の冷却ロールに順に外接させて、冷却固化してフィルム10とする。
次いで、剥離ロール9によって剥離したフィルム10を、次いで延伸装置12によりフィルムの両端部を把持して幅方向に延伸した後、巻取り装置16により巻き取る。
また、平面性を矯正するために溶融フィルムを第1冷却ロール5表面に挟圧するタッチロール6が設けられている。
このタッチロール6は表面が弾性を有し、第1冷却ロール5との間でニップを形成している。
タッチロール6についての詳細は後述する。
本発明による光学フィルムの製造方法において、溶融押出しの条件は、他のポリエステル等の熱可塑性樹脂に用いられる条件と同様にして行うことができる。
材料は予め乾燥させておくことが好ましい。真空または減圧乾燥機や除湿熱風乾燥機等で水分を1000ppm以下、好ましくは200ppm以下に乾燥させることが望ましい。
例えば、熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステルを押出し機1を用いて、押出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルター2等で濾過し、異物を除去する。
供給ホッパー(図示略)から押出し機1へ導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸化分解等を防止することが好ましい。
以下に、本発明において、濾過の必要性について詳細に説明する。
本発明のセルロースエステルは光学フィルムにした時の輝点異物が少ないものであることが望まれる。
輝点異物とは、2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間に光学フィルムを配置して、一方の面から光源の光を当てて、もう一方の面から光学フィルムを観察した時に、光源の光が漏れて見える点のことである。
このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。
さて、光源の光が漏れるということは、例えば液晶表示装置で黒を表示させた時に一部が光るということあるから非常に目立つものであり、液晶表示装置の品位を大幅に損なうという観点から最も避けなければならないことである。
一般に、フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たりの輝点異物数は少なくなり、フィルムに含まれるセルロースエステルの含有量が少なくなるほど輝点異物は少なくなる傾向があるが、輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上が200個/cm2以下であることが好ましく、100個/cm2以下であることがより好ましく、50個/cm2以下であることが更に好ましく、30個/cm2以下であることがさらにより好ましく、10個/cm2以下であることが更に好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
また、0.005〜0.01mm以下の輝点についても200個/cm2以下であることが好ましく、100個/cm2以下であることがより好ましく、50個/cm2以下であることがさらにより好ましく、30個/cm2以下であることが更に好ましく、10個/cm2以下であることが更に好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
ここで、輝点異物の原因として考えられているものを以下に列挙する。
1.天然原料由来の材料であるセルロースに含まれている異物(金属イオン、ごみ等)
2.セルロースエステルの製造工程で混入する異物(未酢化もしくは低酢化度のセルロース、金属イオン、ごみ等)
3.セルロースエステルを原材料メーカーから購入し押出し機に搬入するまでに混入する異物(金属イオン、ごみ等)
上記、1、2に関しては、セルロースエステルの合成後期の過程や沈殿物を得る過程の少なくともいずれかにおいて、一度溶媒に溶解し、溶液状態として濾過工程を経由して異物を除去できるが効果が不十分であることが多く、一方、3をなくすことは殆ど不可能である。
従って、押出し機から流延ダイの間にフィルターを介することが、輝点異物を低減するために必要となる。
輝点異物を溶融濾過によって除去する場合、生産性、及びセルロースエステルの劣化という観点から濾過時間は短い方が好ましいのは当然のことである。
従って、溶融粘度は小さい方が好ましい。
また、セルロースエステルを単独で溶融させたものを濾過するよりも劣化防止剤、可塑剤等を添加混合したセルロースエステル組成物を濾過することが輝点異物の除去効率が高く、また劣化防止のために好ましい。紫外線吸収剤、その他の添加物も適宜混合したものを濾過することができる。
濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂等の弗素樹脂等の従来公知のものが好ましく用いられるが、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。
絶対濾過精度としては50μm以下のものが好ましく用いられ、30μm以下のものがより好ましく、10μm以下のものがさらにより好ましく、5μm以下のものが更に好ましく用いられる。これらは適宜組み合わせて使用することもできる。
濾材はサーフェースタイプでもデプスタイプでも用いることができるが、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにくく好ましく用いられる。
濾過のみを考慮した場合には、セルロースエステルを含む溶融物の粘度(溶融粘度)は、通常5000Pa・s以下、好ましくは2000Pa・s以下であり、より好ましくは1000Pa・s以下であり、特に好ましくは800Pa・s以下である。溶融粘度が高すぎると、濾過速度の低下による生産性の低下、滞留時間が長くなることによる樹脂の劣化、更には樹脂圧の上昇に伴う濾材の破損等があるので好ましくない。
なお、可塑剤等の添加剤を予め混合しない場合は、それらを押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー3等の混合装置を用いてもよい。
本発明において、セルロースエステルと、その他必要により添加される劣化防止剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ましく、セルロースエステルと添加剤を加熱前に混合することが更に好ましい。
混合は、混合機等により行ってもよく、また、前記したようにセルロース樹脂調製過程において混合してもよい。混合機を使用する場合は、V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機等、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー一般的な混合機を用いることができる。
上記のように光学フィルムを混合した後に、その混合物を押出し機1を用いて直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、光学フィルムをペレット化した後、該ペレットを押出し機1で溶融して製膜するようにしてもよい。
また、光学フィルムが、融点の異なる複数の材料を含む場合には、融点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機1に投入して製膜することも可能である。
光学フィルムに熱分解しやすい材料が含まれる場合には、溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や、上記のようなおこし状の半溶融物を作ってから製膜する方法が好ましい。
押出し機1は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し機でもよい。
光学フィルムからペレットを作製せずに、直接製膜を行う場合、適当な混練度が必要であるため2軸押出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、ユニメルト型、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練が得られるので、使用可能である。光学フィルムとして、一旦、ペレットやおこし状の半溶融物を使用する場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機でも使用可能である。
押出し機1内及び押出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、或いは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出し機1内の光学フィルムの溶融温度は、光学フィルムの粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には、フィルムのガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+130℃以下、好ましくはTg+10℃以上、Tg+120℃以下である。
本発明の溶融押出し時の温度は200℃以上270℃以下の範囲であることが好ましい。更に230〜260℃の範囲であることが好ましい。
押出し時の溶融粘度は、通常10〜5000Pa・s、好ましくは50〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sであり、特に好ましくは300〜800Pa・sである。溶融粘度が高すぎると、濾過速度の低下による生産性の低下、滞留時間が長くなることによる樹脂の劣化、更には樹脂圧の上昇に伴う濾材の破損等があるので好ましくなく、逆に低すぎるとフィルムの製膜性(平面性、スジ発生、ヨレ発生、ロールからの剥離性等)が劣化するので好ましくない。
また、押出し機1内での光学フィルムの滞留時間は短い方が好ましく、15分以内、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内である。滞留時間は、押出し機1の種類、押し出す条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出し機1のスクリューの形状や回転数等は、光学フィルムの粘度や吐出量等により適宜選択される。本発明において押出し機1でのせん断速度は、1/秒〜10000/秒、好ましくは5/秒〜1000/秒、より好ましくは10/秒〜100/秒である。
本発明に使用できる押出し機1としては、一般的にプラスチック成形機として入手可能である。
押出し機1から押し出された光学フィルムは、フィルター2、スタチックミキサー3を介し(但し、スタチックミキサー3は必須ではない)、流延ダイ4に送られ、流延ダイ4のスリットからフィルム状に押し出される。流延ダイ4はシートやフィルムを製造するために用いられるものであれば特に限定はされない。
流延ダイ4の材質としては、ハードクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セラミック(タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸化クロム)等を溶射もしくはメッキし、表面加工としてバフ、#1000番手以降の砥石を用いるラッピング、#1000番手以上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向)、電解研磨、電解複合研磨等の加工を施したもの等が挙げられる。流延ダイ4のリップ部の好ましい材質は、流延ダイ4と同様である。
またリップ部の表面精度は0.5S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい。
この流延ダイ4のスリットは、そのギャップが調整可能なように構成されている。
これを図3に示す。流延ダイ4のスリット32を形成する一対のリップのうち、一方は剛性の低い変形しやすいフレキシブルリップ33であり、他方は固定リップ34である。
そして、多数のヒートボルト35が流延ダイ4の幅方向すなわちスリット32の長さ方向に一定ピッチで配列されている。各ヒートボルト5には、埋め込み電気ヒータ37と冷却媒体通路とを具えたブロック36が設けられ、各ヒートボルト35が各ブロック36を縦に貫通している。ヒートボルト35の基部はダイ本体31に固定され、先端はフレキシブルリップ33の外面に当接している。
そしてブロック36を常時空冷しながら、埋め込み電気ヒータ37の入力を増減してブロック36の温度を上下させ、これによりヒートボルト35を熱伸縮させて、フレキシブルリップ33を変位させてフィルムの厚さを調整する。
ダイ後流の所要箇所に厚さ計を設け、これによって検出されたウェブ厚さ情報を制御装置にフィードバックし、この厚さ情報を制御装置で設定厚み情報と比較し、同装置から来る補正制御量の信号によってヒートボルトの発熱体の電力またはオン率を制御するようにすることもできる。
ヒートボルトは、好ましくは、長さ20〜40cm、直径7〜14mmを有し、複数、例えば数十本のヒートボルトが、好ましくはピッチ20〜40mmで配列されている。ヒートボルトの代わりに、手動で軸方向に前後動させることによりスリットギャップを調節するボルトを主体とするギャップ調節部材を設けてもよい。ギャップ調節部材によって調節されたスリットギャップは、通常200〜1000μm、好ましくは300〜800μm、より好ましくは400〜600μmである。
第1〜第3冷却ロールは、肉厚が20〜30mm程度のシームレスな鋼管製で、表面が鏡面に仕上げられている。
その内部には、冷却液を流す配管が配置されており、配管を流れる冷却液によってロール上のフィルムから熱を吸収できるように構成されている。この第1乃至第3冷却ロールの内、第1冷却ロール5が本発明の回転支持体に相当する。
一方、第1冷却ロール5に当接するタッチロール6は、表面が弾性を有し、第1冷却ロール5への押圧力によって第1冷却ロール5の表面に沿って変形し、第1ロール5との間にニップを形成する。すなわち、タッチロール6が本発明の挟圧回転体に相当する。
図4に、タッチロール6の一実施形態(以下、タッチロールA)の概略断面を示す。図に示すように、タッチロールAは、可撓性の金属スリーブ41の内部に弾性ローラ42を配したものである。
金属スリーブ41は厚さ0.3mmのステンレス製であり、可撓性を有する。金属スリーブ41が薄過ぎると強度が不足し、逆に厚過ぎると弾性が不足する。
これらのことから、金属スリーブ41の厚さとしては、0.1〜1.5mmが好ましい。
弾性ローラ42は、軸受を介して回転自在な金属製の内筒43の表面にゴム44を設けてロール状としたものである。
そして、タッチロールAが第1冷却ロール5に向けて押圧されると、弾性ローラ42が金属スリーブ41を第1冷却ロール5に押しつけ、金属スリープ41及び弾性ローラ42は第1冷却ロール5の形状になじんだ形状に対応しつつ変形し、第1冷却ロールとの間にニップを形成する。
金属スリーブ41の内部で弾性ローラ42との間に形成される空間には、冷却水45が流される。
図5、図6は挟圧回転体の別の実施形態であるタッチロールBを示している。タッチロールBは、可撓性を有する、シームレスなステンレス鋼管製(厚さ4mm)の外筒51と、この外筒51の内側に同一軸心状に配置された高剛性の金属内筒52とから概略構成されている。
外筒51と内筒52との間の空間53には、冷却液54が流される。詳しくは、タッチロールBは、両端の回転軸55a、55bに外筒支持フランジ56a、56bが取付けられ、これら両外筒支持フランジ56a、56bの外周部間に薄肉金属外筒51が取付けられている。
また、一方の回転軸55aの軸心部に形成されて流体戻り通路57を形成する流体排出孔58内に、流体供給管59が同一軸心状に配設され、この流体供給管59が薄肉金属外筒51内の軸心部に配置された流体軸筒60に接続固定されている。
この流体軸筒60の両端部に内筒支持フランジ61a、61bがそれぞれ取り付けられ、これら内筒支持フランジ61a、61bの外周部間から他端側外筒支持フランジ56bにわたって約15〜20mm程度の肉厚を有する金属内筒52が取付けられている。
そしてこの金属内筒52と薄肉金属外筒51との間に、例えば10mm程度の冷却液の流送空間53が形成され、また金属内筒52に両端部近傍には、流送空間53と内筒支持フランジ61a、61b外側の中間通路62a、62bとを連通する流出口52a及び流入口52bがそれぞれ形成されている。
また、外筒51は、ゴム弾性に近い柔軟性と可撓性、復元性をもたせるために、弾性力学の薄肉円筒理論が適用できる範囲内で薄肉化が図られている。この薄肉円筒理論で評価される可撓性は、肉厚t/ロール半径rで表されており、t/rが小さいほど可撓性が高まる。
このタッチロールBではt/r≦0.03の場合に可撓性が最適の条件となる。
通常、一般的に使用されているタッチロールは、ロール径R=200〜500mm(ロール半径r=R/2)、ロール有効幅L=500〜1600mmで、r/L<1で横長の形状である。
そして図6に示すように、例えばロール径R=300mm、ロール有効幅L=1200mmの場合、肉厚tの適正範囲は150×0.03=4.5mm以下であるが、溶融シート幅を1300mmに対して平均線圧を98N/cmで挟圧する場合、同一形状のゴムロールと比較して、外筒51の肉厚を3mmとすることで相当ばね定数も等しく、外筒51と冷却ロールとのニップのロール回転方向のニップ幅kも約9mmで、このゴムロールのニップ幅約12mmとほぼ近い値を示し、同じような条件下で挟圧できることが分かる。
なお、このニップ幅kにおけるたわみ量は0.05〜0.1mm程度である。
ここで、t/r≦0.03としたが、一般的なロール径R=200〜500mmの場合では、特に2mm≦t≦5mmの範囲とすると、可撓性も十分に得られ、また機械加工による薄肉化も容易に実施でき、極めて実用的な範囲となる。肉厚が2mm以下では加工時の弾性変形で高精度な加工ができない。
この2mm≦t≦5mmの換算値は、一般的なロール径に対して0.008≦t/r≦0.05となるが、実用にあたってはt/r≒0.03の条件下でロール径に比例して肉厚も大きくするとよい。例えばロール径:R=200ではt=2〜3mm、ロール径:R=500ではt=4〜5mmの範囲で選択する。
このタッチロールA、Bは不図示の付勢手段により第1冷却ロールに向けて付勢される。
その付勢手段の付勢力をF、ニップにおけるフィルムの、第1冷却ロール5の回転軸に沿った方向の幅Wを除した値F/W(線圧)は、9.8〜147N/cmに設定される。本実施の形態によれば、タッチロールA、Bと第1冷却ロール5との間にニップが形成され、当該ニップをフィルムが通過する間に平面性を矯正すればよい。
従って、タッチロールが剛体で構成され、第1冷却ロールとの間にニップが形成されない場合と比べて、小さい線圧で長時間かけてフィルムを挟圧するので、平面性をより確実に矯正することができる。
すなわち、線圧が9.8N/cmよりも小さいと、ダイラインを十分に解消することができなくなる。逆に、線圧が147N/cmよりも大きいと、フィルムがニップを通過しにくくなり、フィルムの厚さにかえってムラができてしまう。
また、タッチロールA、Bの表面を金属で構成することにより、タッチロールの表面がゴムである場合よりもタッチロールA、Bの表面を平滑にすることができるので、平滑性の高いフィルムを得ることができる。
なお、弾性ローラ42の弾性体44の材質としては、エチレンプロピレンゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴム等を用いることができる。
さて、タッチロール6によってダイラインを良好に解消するためには、タッチロール6がフィルムを挟圧するときのフィルムの粘度が適切な範囲であることが重要となる。
また、セルロースエステルは温度による粘度の変化が比較的大きいことが知られている。
従って、タッチロール6が光学フィルムを挟圧するときの粘度を適切な範囲に設定するためには、タッチロール6がセルロースフィルムを挟圧するときの光学フィルムの温度を適切な範囲に設定することが重要となる。
そして本発明者は、光学フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、光学フィルムがタッチロール6に挟圧される直前のフィルムの温度Tを、Tg<T<Tg+110℃を満たすように設定すればよいことを見出した。
光学フィルム温度TがTgよりも低いとフィルムの粘度が高過ぎて、ダイラインを矯正できなくなる。
逆に、光学フィルムの温度TがTg+110℃よりも高いと、光学フィルム表面とロールが均一に接着せず、やはりダイラインを矯正することができない。
好ましくはTg+10℃<T2<Tg+90℃、更に好ましくはTg+20℃<T2<Tg+70℃である。
タッチロール6が光学フィルムを挟圧するときの光学フィルムの温度を適切な範囲に設定するには、流延ダイ4から押し出された溶融物が第1冷却ロール5に接触する位置P1から第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップの、第1冷却ロール5の回転方向に沿った長さLを調整すればよい。
本発明において、第1ロール5、第2ロール6に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス鋼、樹脂、等が挙げられる。また、表面精度は高くすることが好ましく表面粗さとして0.3S以下、より好ましくは0.01S以下とする。
本発明においては、流延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5までの部分を70kPa以下に減圧させることにより、上記、ダイラインの矯正効果がより大きく発現することを発見した。好ましい減圧は50〜70kPaである。流延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5までの部分の圧力を70kPa以下に保つ方法としては、特に制限はないが、流延ダイ4からロール周辺を耐圧部材で覆い、減圧する等の方法がある。このとき、吸引装置は、装置自体が昇華物の付着場所にならないようヒーターで加熱する等の処置を施すことが好ましい。本発明では、吸引圧が小さ過ぎると昇華物を効果的に吸引できないため、適当な吸引圧とする必要がある。
本発明において、Tダイ4から溶融状態のフィルム状のセルロースエステルを、第1ロール(第1冷却ロール)5、第2冷却ロール7、及び第3冷却ロール8に順次密着させて搬送しながら冷却固化させ、未延伸の光学フィルム10を得る。
図1に示す本発明の実施形態では、第3冷却ロール8から剥離ロール9によって剥離した冷却固化された未延伸の光学フィルム10は、ダンサーロール(フィルム張力調整ロール)11を経て延伸機12に導き、そこで光学フィルム10を横方向(幅方向)に延伸する。この延伸により、フィルム中の分子が配向される。
光学フィルムを幅方向に延伸する方法は、公知のテンター等を好ましく用いることができる。特に延伸方向を幅方向とすることで、偏光フィルムとの積層がロール形態で実施できるので好ましい。幅方向に延伸することで、光学フィルムからなる光学フィルムの遅相軸は幅方向になる。
一方、偏光フィルムの透過軸も、通常、幅方向である。偏光フィルムの透過軸と光学フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した偏光板を液晶表示装置に組み込むことで、液晶表示装置の表示コントラストを高くすることができるとともに、良好な視野角が得られるのである。
光学フィルムのガラス転移温度Tgは光学フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率を異ならしめることにより制御できる。光学フィルムとして位相差フィルムを作製する場合、Tgは120℃以上、好ましくは135℃以上とすることが好ましい。液晶表示装置においては、画像の表示状態において、装置自身の温度上昇、例えば光源由来の温度上昇によってフィルムの温度環境が変化する。
このときフィルムの使用環境温度よりも光学フィルムのTgが低いと、延伸によってフィルム内部に固定された分子の配向状態に由来するリターデーション値及びフィルムとしての寸法形状に大きな変化を与えることとなる。
光学フィルムのTgが高過ぎると、光学フィルムをフィルム化するとき温度が高くなるために加熱するエネルギー消費が高くなり、また光学フィルム化するときの材料自身の分解、それによる着色が生じることがあり、従って、Tgは250℃以下が好ましい。
また延伸工程には公知の熱固定条件、冷却、緩和処理を行ってもよく、目的とする光学フィルムに要求される特性を有するように適宜調整すればよい。
位相差フィルムの物性と液晶表示装置の視野角拡大のための位相差フィルムとしての機能付与するために、上記延伸工程、熱固定処理は適宜選択して行われている。
このような延伸工程、熱固定処理を含む場合、加熱加圧工程は、それらの延伸工程、熱固定処理の前に行うようにする。
光学フィルムとして位相差フィルムを製造し、更に偏光板保護フィルムの機能を複合させる場合、屈折率制御を行う必要が生じるが、その屈折率制御は延伸操作により行うことが可能であり、また延伸操作が好ましい方法である。以下、その延伸方法について説明する。
位相差フィルムの延伸工程において、セルロース樹脂の1方向に1.0〜2.0倍及びフィルム面内にそれと直交する方向に1.01〜2.5倍延伸することで、必要とされるリターデーションRo及びRtを制御することができる。ここで、Roとは面内リターデーションを示し、Rtとは厚み方向リターデーションを示す。
リターデーションRo、Rtは下記式により求められる。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は23℃、55%RHの環境下、波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
光学フィルムの屈折率は、アッベ屈折率計(4T)を用いて、フィルムの厚さは市販のマイクロメーターを用いて、リターデーション値は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)等を用いて、各々測定することが出来る。
延伸は、例えば光学フィルムの長手方向及びそれと光学フィルム面内で直交する方向、即ち幅方向に対して、逐次または同時に行うことができる。このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となり光学フィルム破断が発生してしまう場合がある。
例えば溶融流延方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大き過ぎると、nzの値が大きくなり過ぎてしまう。
この場合、光学フィルムの幅収縮を抑制、或いは幅方向にも延伸することで改善できる。
幅方向に延伸する場合、幅方向で屈折率に分布が生じることがある。
この分布は、テンター法を用いた場合に現れることがあり、光学フィルムを幅方向に延伸したことで、光学フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。
この場合でも、流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制でき、幅方向の位相差の分布を少なくできる。
互いに直行する2軸方向に延伸することにより、得られる光学フィルムの膜厚変動が減少できる。
位相差フィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶表示装置に用いたとき着色等のムラが問題となることがある。
光学フィルムの膜厚変動は、±3%、更に±1%の範囲とすることが好ましい。
以上のような目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行うことが必要とされるリターデーション値を得るためにより好ましい。
長手方向に偏光子の吸収軸が存在する場合、幅方向に偏光子の透過軸が一致することになる。長尺状の偏光板を得るためには、位相差フィルムは、幅方向に遅相軸を得るように延伸することが好ましい。
応力に対して、正の複屈折を得るセルロースエステルを用いる場合、上述の構成から、幅方向に延伸することで、位相差フィルムの遅相軸が幅方向に付与することができる。この場合、表示品質の向上のためには、位相差フィルムの遅相軸が、幅方向にあるほうが好ましく、目的とするリターデーション値を得るためには、
式、(幅方向の延伸倍率)>(流延方向の延伸倍率)
の条件を満たすことが必要である。
延伸後、光学フィルムの端部をスリッター13により製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング14及びバックロール15よりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻取り機16によって巻き取ることにより、光学フィルム(元巻き)F中の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、変形しており、フィルム製品として使用できないので、切除されて、原料として再利用される。
次に、光学フィルムの巻取り工程は、円筒形巻き光学フィルムの外周面とこれの直前の移動式搬送ロールの外周面との間の最短距離を一定に保持しながらフィルムを巻取りロールに巻き取るものである。かつ巻取りロールの手前には、光学フィルムの表面電位を除去または低減する除電ブロア等の手段が設けられている。
本発明の光学フィルムの製造に係わる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。
なお、光学フィルムの巻取り時の初期巻取り張力が90.2〜300.8N/mであるのが好ましい。
本発明の方法におけるフィルムの巻き取り工程では、温度20〜30℃、湿度20〜60%RHの環境条件にて、フィルムを巻き取ることが好ましい。このように、光学フィルムの巻き取り工程での温度及び湿度を規定することにより、厚み方向リターデーション(Rt)の湿度変化の耐性が向上する。
巻き取り工程における温度が20℃未満であれば、シワが発生し、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。
光学フィルムの巻き取り工程における温度が30℃を超えると、やはりシワが発生し、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。
また、光学フィルムの巻き取り工程における湿度が20%RH未満であれば、帯電しやすく、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。
光学フィルムの巻き取り工程における湿度が60%RHを超えると、巻品質、貼り付き故障、搬送性が劣化するので、好ましくない。
光学フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度にも耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであってもよく、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。またガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。
例えば、中空プラスチックコア:FRP製の外径6インチ(以下、インチは2.54cmのドットの数を表す。)、内径5インチの巻きコアが用いられる。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましく、フィルム基材の幅は80cm以上であることが好ましく、1m以上であることが特に好ましい。
本発明の光学フィルムの膜の厚さは、使用目的によって異なるが、仕上がり光学フィルムとして、10〜500μmが好ましい。
特に、下限は20μm以上、好ましくは35μm以上である。上限は150μm以下、好ましくは120μm以下である。特に好ましい範囲は25〜90μmである。
本発明の光学フィルムが位相差フィルムであり偏光板保護フィルムを兼ねる場合、光学フィルムの膜厚が上記の範囲であると、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的に好ましい。
一方、光学フィルムが薄いと、位相差フィルムとしてのリターデーションの発現が困難となり、加えてフィルムの透湿性が高くなり、偏光子を湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
位相差フィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角度をθ1とすると、θ1は−1〜+1°、好ましくは−0.5〜+0.5°となるようにする。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて行うことができる。
θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与し、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現に寄与する。
位相差フィルムがマルチドメイン化されたVAモードに用いられるとき、位相差フィルムの配置は、位相差フィルムの進相軸がθ1として上記領域に配置することで、表示画質の向上に寄与し、偏光板及び液晶表示装置としてMVAモードとしたとき、例えば図7に示す構成をとることができる。
図7において、21a、21bは保護フィルム、22a、22bは位相差フィルム、25a、25bは偏光子、23a、23bはフィルムの遅相軸方向、24a、24bは偏光子の透過軸方向、26a、26bは偏光板、27は液晶セル、29は液晶表示装置を示している。
光学フィルムの面内方向のリターデーションRo分布は、5%以下に調整することが好ましく、より好ましくは2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。また、フィルムの厚み方向のリターデーションRt分布を10%以下に調整することが好ましいが、更に好ましくは、2%以下であり、特に好ましくは、1.5%以下である。
位相差フィルムにおいて、リターデーション値の分布変動が小さい方が好ましく、液晶表示装置に位相差フィルムを含む偏光板を用いるとき、該リターデーション分布変動が小さいことが色ムラ等を防止する観点で好ましい。
位相差フィルムを、VAモードまたはTNモードの液晶セルの表示品質の向上に適したリターデーション値を有するように調整し、特にVAモードとして上記のマルチドメインに分割してMVAモードに好ましく用いられるようにするには、面内リターデーションRoを30nmよりも大きく、95nm以下に、かつ厚み方向リターデーションRtを70nmよりも大きく、400nm以下の値に調整することが求められる。
上記の面内リターデーションRoは、2枚の偏光板がクロスニコルに配置され、偏光板の間に液晶セルが配置された、例えば図7に示す構成であるときに、表示面の法線方向から観察するときを基準にしてクロスニコル状態にあるとき、表示面の法線から斜めに観察したとき、偏光板のクロスニコル状態からのずれが生じ、これが要因となる光漏れを、主に補償する。
厚さ方向のリターデーションは、上記TNモードやVAモード、特にMVAモードにおいて液晶セルが黒表示状態であるときに、同様に斜めから見たときに認められる液晶セルの複屈折を主に補償するために寄与する。
図7に示すように、液晶表示装置において、液晶セルの上下に偏光板が二枚配置された構成である場合、図中の22a及び22bは、厚み方向リターデーションRtの配分を選択することができ、上記範囲を満たしかつ厚み方向リターデーションRtの両者の合計値が140nmよりも大きくかつ500nm以下にすることが好ましい。
このとき22a及び22bの面内リターデーションRo、厚み方向リターデーションRtが両者同じであることが、工業的な偏光板の生産性向上において好ましい。
特に好ましくは面内リターデーションRoが35nmよりも大きくかつ65nm以下であり、かつ厚み方向リターデーションRtが90nmよりも大きく180nm以下で、図7の構成でMVAモードの液晶セルに適用することである。
液晶表示装置において、一方の偏光板に例えば市販の偏光板保護フィルムとして面内リターデーションRo=0〜4nm及び厚み方向リターデーションRt=20〜60nmで厚さ35〜85μmのTACフィルムが、例えば図7の22bの位置で使用されている場合、他方の偏光板に配置される偏光フィルム、例えば、図7の22aに配置する位相差フィルムは、面内リターデーションRoが30nmよりも大きく95nm以下であり、かつ厚み方向リターデーションRtが140nmよりも大きく400nm以下であるものを使用するようにすると、表示品質が向上し、かつフィルムの生産面からも好ましい。
《リサイクル》
製膜工程において、カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料としてまたは異なる品種のフィルム用原料として再利用することが好ましい。
《機能性層》
本発明の光学フィルム製造に際し、延伸の前及び/または後で帯電防止層、透明導電層、ハードコート層、反射防止層、防汚層、易滑性層、易接着層、防眩層、ガスバリア層、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。
特に、帯電防止層、ハードコート層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも1層を設けることが好ましい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
《ケン化》
前記ケン化処理は、フィルムをケン化液に浸漬してもよく(浸漬法)、ケン化液を塗布してもよい(塗布方法)。
(アルカリ溶液)
本発明の光学フィルムは、濃度が2mol/L以上のアルカリ溶液をケン化液として用いてケン化処理されることが好ましい。前記ケン化液はアルカリ剤と水とからなり、場合により界面活性剤および相溶化剤が含有されていてもよい。
前記アルカリ溶液の濃度(アルカリ溶液中のアルカリ剤の含有量)は、セルロースエステルのアシル置換度に応じて決定する必要がある。
すなわち、セルロースエステルにおいては、アシル基の炭素数増大に伴って、ケン化効率が著しく低下するため、アシル基の炭素数が大きくなるほどアルカリ濃度は高くする必要があるが、アルカリ濃度が高すぎるとアルカリ溶液の安定性が損なわれ、長時間塗布において析出する場合もあるため、セルロースエステルの構造に応じて適切にアルカリ溶液を選定する必要はあるものの、アルカリ濃度は低い方が好ましい。
また、セルロースエステル中にアルカリ加水分解性の添加剤を含有する場合、それが分解するためアルカリ濃度が高すぎるのは好ましくない。
従って、本発明で用いられるアルカリ溶液は2mol/L〜4.0mol/Lであることが好ましく、2mol/L〜2.5mol/Lであることがより好ましい。
本発明では、ケン化処理温度が40℃〜80℃の温度で行われることが好ましく、さらに好ましいのは40℃〜70℃であり、より好ましいのは40℃〜65℃である。
ケン化温度が40℃以上であれば、セルロースエステル表面のケン化が進みやすく、偏光子との接着性が得られやすいため、良好な耐久性を有する偏光板を製造しやすくなる。
一方、ケン化処理温度が高すぎると、アシレートフィルム中の成分(可塑剤など)が抽出されたり、或いは分解したり、更にはフィルムの過度の膨潤が起こる場合があり、フィルム面状に白化などの問題が生じてしまうことがある。
本発明のその他のアルカリ剤の例として、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同リチウム、同アンモニウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルブチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて併用することもでき、一部を例えばハロゲン化したような塩の形で添加してもよい。
これらのアルカリ剤の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。その理由は、これらの量を調整することにより広いpH領域でのpH調整が可能となるためである。
前記アルカリ溶液の溶媒は、水の単独溶媒、もしくは水と有機溶媒との混合溶媒である。好ましい有機溶媒は、アルコール類、アルカノール類、グリコール化合物のモノエーテル類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類が挙げられ、より好ましくは、分子量61以上のアルコール類であり、さらに好ましくは分子量61以上のグリコール類であり、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンモノエチルエーテル、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。水と併用される有機溶媒は、単独もし
くは2種類以上を混合して用いてもよい。
(ケン化処理)
上述のように本発明の光学フィルムは、フィルムを前記アルカリ溶液でケン化処理する工程と、アルカリ溶液をフィルムから洗い落とす工程とによりアルカリケン化処理を実施されるのが好ましい。
その後、アルカリ溶液を中和する工程、および中和液をフィルムから洗い落とす工程を含んでもよい。
これらの工程は、フィルムを搬送しながら実施することが好ましく、特開2001−188130号公報記載のようなアルカリ溶液に浸漬する方法を用いてもよく、特開2004−203965号公報記載のようなアルカリ溶液を塗布する方法を用いてもよい。
ケン化時間は30秒〜5分間であることが好ましく、1〜2分間であることがより好ましい。ケン化時間が長すぎると、後述する偏光板耐久性に悪影響を及ぼしてしまうことがある。
《偏光板》
本発明の光学フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。
本発明の光学フィルムの裏面側をアルカリケン化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面にも本発明の光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。
本発明の光学フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販の光学フィルムを用いることが出来る。
例えば、市販の光学フィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。
例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。
本発明の光学フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。
或いは、光学フィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等のフィルムをもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いてもよい。
上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、同6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
該偏光膜の面上に、本発明の光学フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全ケン化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向(通常は幅方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。
通常、偏光膜の延伸方向は偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑えることが重要である。本発明の光学フィルムは極めて寸法安定に優れる為、このような偏光板保護フィルムとして好適に使用される。
即ち、本発明の光学フィルムは60℃、90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のむらが増加することはなく、裏面側に光学補償フィルムを有する偏光板であっても、耐久性試験後に視野角特性が変動することなく良好な視認性を提供することが出来る。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することが出来る。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。
また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
《液晶表示装置》
本発明の光学フィルムを用いた偏光板保護フィルム(位相差フィルムを兼ねる場合も含む)を含む偏光板は、通常の偏光板と比較して高い表示品質を発現させることができ、特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置への使用に適している。
本発明の偏光板は、MVA(Multi−domein Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、IPS(In Place Switching)モード等に用いることができ、特定の液晶モード、偏光板の配置に限定されるものではない。
液晶表示装置はカラー化及び動画表示用の装置としても応用されつつあり、本発明により表示品質が改良され、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことにより、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
位相差フィルムを含む偏光板を少なくとも含む液晶表示装置においては、本発明の光学フィルムとしての偏光板保護フィルムを含む偏光板を、液晶セルに対して、一枚配置するか、或いは液晶セルの両側に二枚配置する。このとき偏光板に含まれる偏光板保護フィルム側が液晶表示装置の液晶セルに面するように用いることで表示品質の向上に寄与できる。図7においては22a及び22bのフィルムが液晶表示装置の液晶セルに面することになる。
このような構成において、本発明の光学フィルムとしての偏光板保護フィルムは、液晶セルを光学的に補償することができる。本発明の偏光板を液晶表示装置に用いる場合は、液晶表示装置の偏光板の内の少なくとも一つの偏光板を、本発明の偏光板とすればよい。本発明の偏光板を用いることで、表示品質が向上し、視野角特性に優れた液晶表示装置が提供できる。
本発明の偏光板において、偏光子からみて本発明の光学フィルムとしての偏光板保護フィルムとは反対側の面には、セルロース誘導体の偏光板保護フィルムが用いられ、汎用のTACフィルム等を用いることができる。液晶セルから遠い側に位置する偏光板保護フィルムは、表示装置の品質を向上する上で、他の機能性層を配置することも可能である。
例えば、反射防止、防眩、耐キズ、ゴミ付着防止、輝度向上のためにディスプレイとしての公知の機能層を構成物として含むフィルムや、または本発明の偏光板表面に貼付してもよいがこれらに限定されるものではない。
一般に位相差フィルムでは、上述のリターデーションRoまたはRtの変動が少ないことが安定した光学特性を得るために求められている。特に複屈折モードの液晶表示装置は、これらの変動が画像のムラを引き起こす原因となることがある。
本発明に従い溶融流延製膜法により製造される長尺状偏光板保護フィルムは、セルロースエステルを主体として構成されるため、セルロースエステル固有のケン化を活用してアルカリ処理工程を活用することができる。
これは、偏光子を構成する樹脂がポリビニルアルコールであるとき、従来の偏光板保護フィルムと同様に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて偏光板保護フィルムと貼合することができる。
このために本発明は、従来の偏光板加工方法が適用できる点で優れており、特に長尺状であるロール偏光板が得られる点で優れている。
本発明により得られる製造的効果は、特に100m以上の長尺の巻物においてより顕著となり、1500m、2500m、5000mとより長尺化する程、偏光板製造の製造的効果を得る。
例えば、偏光板保護フィルム製造において、ロール長さは、生産性と運搬性を考慮すると、10〜5000m、好ましくは50〜4500mであり、このときのフィルムの幅は、偏光子の幅や製造ラインに適した幅を選択することができる。
0.5〜4.0m、好ましくは0.6〜3.0mの幅でフィルムを製造してロール状に巻き取り、偏光板加工に供してもよく、また、目的の倍幅以上のフィルムを製造してロールに巻き取った後、断裁して目的の幅のロールを得て、このようなロールを偏光板加工に用いるようにしてもよい。
偏光板保護フィルム製造に際し、延伸の前及び/または後で帯電防止層、ハードコート層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。
この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロースエステルを含む組成物を共押出しして、積層構造の光学フィルムを作製することもできる。
例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成の光学フィルムを作ることができる。
例えば、マット剤は、スキン層に多く、またはスキン層のみに入れることができる。
可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入れることができ、コア層のみに入れてもよい。
また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤及び/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。
スキン層とコア層のガラス転移温度が異なっていてもよく、スキン層のガラス転移温度よりコア層のガラス転移温度が低いことが好ましい。
このとき、スキンとコアの両者のガラス転移温度を測定し、これらの体積分率より算出した平均値を上記ガラス転移温度Tgと定義して同様に扱うこともできる。
また、溶融流延時のセルロースエステルを含む溶融物の粘度もスキン層とコア層で異なっていてもよく、スキン層の粘度>コア層の粘度でも、コア層の粘度≧スキン層の粘度でもよい。
本発明の光学フィルムは、寸度安定性が、23℃、55%RHに24時間放置したフィルムの寸法を基準としたとき、80℃、90%RHにおける寸法の変動値が±2.0%未満であり、好ましくは1.0%未満であり、更に好ましくは0.5%未満である。
本発明の光学フィルムを位相差フィルムとして偏光板保護フィルムに用いる際に、位相差フィルム自身が上記の範囲内の変動であると、偏光板としてのリターデーションの絶対値と配向角が当初の設定がずれないために、表示品質の向上能の減少或いは表示品質の劣化を引き起こすことがないため好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
〈セルロースエステルの合成〉
(セルロースエステル1の合成)
セルロース(日本製紙(株)製溶解パルプ)30gに酢酸70g、プロピオン酸40gを加え、54℃で30分撹拌した。混合物を冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸8g、無水プロピオン酸100g、硫酸1.0gを加えてエステル化を行った。
エステル化において、40℃を超えないように調節しながら、撹拌を100分行った。次に、再び混合物を冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸2g、無水プロピオン酸25g、硫酸0.2gを加えてエステル化を行った。エステル化において、40℃を超えないように調節しながら、撹拌を50分行った。
反応終了後、酢酸30gと水10gの混合液を20分かけて滴下して過剰の無水物を加水分解した。
反応液の温度を40℃に保持しながら、酢酸90gと水30gを加えて1時間撹拌した。
酢酸マグネシウム2gを含有した水溶液中に混合物をあけてしばらく撹拌した後にろ過、洗浄液のpHが中性になるまで十分水で洗浄した後、乾燥し、セルロースエステル1を得た。得られたセルロースエステル1に関して、前述のY.Tezukaらの文献に記載の方法によりアセチル基の置換度(X)、プロピオニル基の置換度(Y)、及び6位のプロピオニル基の置換度(Y6)を求めたところ、X=1.50、Y=1.40、Y6=0.45であった。これにより総炭素数(2×X+3×Y)は7.20と計算できる。
また、前述の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を求めたところ、205000であり、更に、示差熱重量分析装置を用いて、空気下における1%質量減少温度Td(1.0)を測定したところ、278℃であった。
(セルロースエステル2〜15の合成)
セルロースエステル1の合成に対して、酢酸、プロピオン酸、無水酢酸、及び無水プロピオン酸の使用量を変化させた以外はセルロースエステル1の合成と同様の合成操作を行い、セルロースエステル2〜15を得た。
得られた本発明のセルロースエステル1〜15の各々に対し、総炭素数(2×X+3×Y)、プロピオニル基の置換度(Y)、6位のプロピオニル基の置換度(Y6)、及び重量平均分子量(Mw)、1%質量減少温度Td(1.0)の値を表1に示す。
(比較のセルロースエステル16の合成)
セルロース(日本製紙(株)製溶解パルプ)30gに酢酸70g、プロピオン酸40gを加え、54℃で30分撹拌した。混合物を冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸10g、無水プロピオン酸125g、硫酸1.2gを加えてエステル化を行った。
エステル化において、40℃を超えないように調節しながら、撹拌を150分行った。反応終了後、酢酸30gと水10gの混合液を20分かけて滴下して過剰の無水物を加水分解した。反応液の温度を40℃に保持しながら、酢酸90gと水30gを加えて1時間撹拌した。
酢酸マグネシウム2gを含有した水溶液中に混合物をあけてしばらく撹拌した後にろ過、洗浄液のpHが中性になるまで十分水で洗浄した後、乾燥し、セルロースエステル1を得た。得られたセルロースエステル1に関して、前述のY.Tezukaらの文献に記載の方法によりアセチル基の置換度(X)、プロピオニル基の置換度(Y)、及び6位のプロピオニル基の置換度(Y6)を求めたところ、X=1.50、Y=1.40、Y6=0.53であった。
これにより総炭素数(2×X+3×Y)は7.20と計算できる。
また、前述の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を求めたところ、203,000であり、更に、示差熱重量分析装置を用いて、空気下における1%質量減少温度Td(1.0)を測定したところ、277℃であった。
(比較のセルロースエステル17〜26の合成)
ここで、比較のセルロースエステル17〜21、23、25、26は、比較のセルロースエステル16の合成に対して、酢酸、プロピオン酸、無水酢酸、及び無水プロピオン酸の使用量を変化させた以外はセルロースエステル16と同様の合成操作を行うことにより合成した。
一方、比較のセルロースエステル22、24は、セルロースエステル1の合成に対して、酢酸、酪酸、無水酢酸、及び無水酪酸の組み合わせを用い、さらにそれらの使用量を変化させた以外はセルロースエステル1と同様の合成操作を行うことによって合成した。
得られた比較のセルロースエステル16〜26の各々に対し、総炭素数(2×X+3×Y、もしくは2×X+4×Z(Zはブチリル基の置換度))、プロピオニル基の置換度(Y)、6位のプロピオニル基の置換度(Y6)、ブチリル基の置換度(Z)、6位のブチリル基の置換度(Z6)、及び重量平均分子量(Mw)、1%質量減少温度Td(1.0)の値を表1に示す。
実施例1
〔セルロースエステルを有してなる光学フィルム1−1の作製〕
下記のように、上記合成したセルロースエステルと各種添加剤を用いて溶融流延により、本発明の光学フィルム1−1を作製した。
セルロースエステル1 100質量部
可塑剤−A 8質量部
IRGANOX1010(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.50質量部
GSY−P101(堺化学工業社製) 0.25質量部
SumilizerGS(住友化学社製) 0.25質量部
TINUVIN928(チバスペシャルティケミカルズ社製) 1.5質量部
セルロースエステル1を130℃、4時間減圧下で乾燥を行い室温まで冷却した後、添加剤を混合した。以上の混合物を2軸式押出し機を用いて230℃で溶融混合し、ペレット1−1を作製した。
なお、このペレットのガラス転移温度Tgは135℃であった。
このペレット1−1を用いて窒素雰囲気下、250℃にて溶融して、押出し機1からフィルター2を通した後、流延ダイ4から第1冷却ロール5上に押出し、第1冷却ロール5とタッチロール6との間にフィルムを挟圧して成形した。
また押出し機1中間部のホッパー開口部から、滑り剤としてシリカ粒子、アエロジルNAX50(日本アエロジル社製)を0.2質量部、及びKE−P100(日本触媒社製)を0.02質量部となるよう添加した。
流延ダイ4のギャップの幅がフィルムの幅方向端部から30mm以内では0.5mm、その他の場所では1mmとなるようにヒートボルトを調整した。タッチロールとしては、タッチロールAを使用し、その内部に冷却水として80℃の水を流した。
流延ダイ4から押し出された樹脂が第1冷却ロール5に接触する位置P1から第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップの第1冷却ロール5回転方向上流端の位置P2までの、第1冷却ローラ5の周面に沿った長さLを20mmに設定した。
その後、タッチロール6を第1冷却ロール5から離間させ、第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tを測定した。
本実施例において、第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tは、ニップ上流端P2よりも更に1mm上流側の位置で、温度計(安立計器株式会社製HA−200E)により測定した。
本実施例では測定の結果、温度Tは141℃であった。
タッチロール6の第1冷却ロール5に対する線圧は14.7N/cmとした。
更に、テンターに導入し、巾方向に160℃で1.3倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落とし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻き取り張力220N/m、テーパー40%で巻芯に巻き取った。
なお、光学フィルムは、厚さが80μmとなるように、押出し量及び引き取り速度を調整し、仕上がりの光学フィルム幅は、1430mm幅になるようにスリットし、巻き取った。巻芯の大きさは、内径152mm、外径165〜180mm、長さ1550mmであった。
この巻芯母材として、エポキシ樹脂をガラス繊維、カーボン繊維に含浸させたプリプレグ樹脂を用いた。巻芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、表面粗さRaは0.3μmに仕上げた。なお、巻長は2500mとした。この本発明のフィルム原反試料から一部光学フィルムを切り出し、それを本発明の光学フィルム1−1とする。
〔光学フィルム1−2〜1−26の作製〕
光学フィルム1−1の作製において、セルロースエステルの種類を表1のように変更した以外は同様にして、本発明のペレット1−2〜1−15、及び比較のペレット1−16〜1−26を作製した。
また、これらのペレットから前記と同様にそれぞれ本発明の光学フィルム1−2〜1−15、及び比較の光学フィルム1−16〜1−26を作製した。
なお、使用したセルロースエステル1に代わるセルロースエステルの添加量は、セルロースエステル1と同じ質量部とした。
実施例1で使用した可塑剤−A、IRGANOX1010、GSY−P101、SumilizerGS、及びTINUVIN928の構造は下記の通りである。
なお、セルロースエステル1〜21、23、25、及び26はセルロースアセテートプロピオネートであり、セルロースエステル22、及び24はセルロースアセテートブチレートである。
《光学フィルム生産性の評価》
光学フィルムの生産性に関して、下記に示す溶融粘度の指標を用いて評価した。溶融粘度が低い程、生産性が良好であるといえる。なお、光学フィルム製膜時に樹脂の劣化を伴うと見かけ上溶融粘度が低くなることがあるが、これは下記に示す各フィルム試料の色味(着色、b値)を測定することで判断した。
つまり、下記に示すb値が0に近いほど樹脂の劣化が少なく良好である。
(溶融粘度)
得られたペレットの各試料に対して、フローテスターCFT−500D(島津製作所社製)にて定温試験を行いせん断速度(sec−1)と溶融粘度(Pa・s)を測定した。得られた結果を表2に示す。
〈測定条件〉
測定温度;240℃
Preheat;210秒
Load;9.8×105Pa〜3×107Pa
せん断速度が100〜10000の範囲になるよう荷重(錘)を適切に調整し、測定温度240℃において、5点(5点のせん断速度)測定した。
せん断速度と溶融粘度をプロットし、その直線性から、240℃、せん断速度1000sec-1における溶融粘度を求めた。
《フィルム品質の評価》
得られた光学フィルム試料に対して、下記方法で評価を行った。この結果を表2に示す。
(b値)
得られた光学フィルムから任意に10箇所サンプリングし、下記方法に従いb値を測定し、この中の絶対値の最大値をb値とした。0に近いほど着色が少なく良好である。
b値は、JIS規格Z−8722に記載の方法で求められる。
本発明におけるb値は、東京電色(株)製カラーアナライザーTC−1800MKII型を用いて測定した。
(リターデーションの変動係数(CV))
得られた光学フィルムの幅手方向に1cm間隔でリターデーションを測定し、下記式より得られたリターデーションの変動係数(CV)で表したものである。
測定には自動複屈折計KOBURA・21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、28℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、試料の幅手方向に1cm間隔で3次元複屈折率測定を行い測定値を次式に代入して求めた。
面内リターデーションRo=(nx−ny)×d
厚み方向リターデーションRt=((nx+ny)/2−nz)×d
式中、dはフィルムの厚み(nm)、屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう)、ny(フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率)、nz(厚み方向におけるフィルムの屈折率)である。
得られた面内及び厚み方向のリターデーションをそれぞれ(n−1)法による標準偏差を求めた。リターデーション分布は以下で示される変動係数(CV)を求め、指標とした。実際の測定にあたっては、nとしては130〜140に設定した。
変動係数(CV)=標準偏差/リターデーション平均値
◎:ばらつきが(CV)が1.5%未満
○:ばらつき(CV)が1.5%以上5%未満
△:ばらつき(CV)が5%以上、10%未満
×:ばらつき(CV)が10%以上
《ケン化処理適性》
次に、上記作製した光学フィルム1−1〜1−26について下記のアルカリケン化処理を施した後、偏光子と貼合し、それぞれ偏光板1−1〜1−26を作製した。
(アルカリケン化処理)
ケン化工程:2mol/LNaOH、60℃、60秒
水洗工程:水30℃、45秒
中和工程:10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程:水30℃、45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥した。
(偏光子の作製)
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に搬送方向に延伸して偏光子を作製した。
(偏光板の作製)
偏光子の両側に上記作製した光学フィルムを、アルカリケン化処理面を偏光子側とし完全鹸化型ポリビニルアルコール5質量%水溶液を接着剤として両面から貼合し、偏光板用保護フィルムが貼合された偏光板を作製した。
(耐久性)
次いでこの評価用偏光板を、80℃、90%RHで1200時間処理し、偏光子と保護フィルムとの張り合わせ状態を観察し下記の基準でランク付けした。
◎:剥離なし
○:僅かに剥離認められるが実用上問題ないレベル
△:やや剥離認められ実用上問題となるレベル
×:剥離発生
ここで、○以上がケン化処理適性において実用上問題ないレベルと判断した。
以上、表2の結果から、本発明の光学フィルム1−1〜1−15は、比較例の光学フィルム1−16〜1−26に対して、生産性が良好で着色も少なく、リターデーションの変動が小さい光学フィルムであることが分かる。更に、本発明の光学フィルムはケン化処理適性が高いため、これを用いて作製された偏光板は耐久性が良好であり、実用上優れた光学フィルムであることが分かる。
実施例2
表3に記載のセルロースエステル、可塑剤、劣化防止剤、及び紫外線吸収剤の組み合わせに変更する以外は、実施例1のペレット1−1と同様な方法で、本発明のペレット2−1〜2−18、及び比較のペレット2−19、2−20を作製した。
また、実施例1の光学フィルム1−1と同様な方法で、本発明の光学フィルム2−1〜2−18、及び比較の光学フィルム2−19、2−20を作製した。
更に実施例1の偏光板1−1と同様な方法で本発明の偏光板2−1〜2−18、及び比較の偏光板2−19、2−20を作製した。
なお、表3中の可塑剤、劣化防止剤、及び紫外線吸収剤の欄に記載の括弧内の数値はセルロースエステル100質量部に対する、用いた各材料の質量部を表す。
なお、実施例2で使用した可塑剤−B、可塑剤−C、可塑剤−D、可塑剤−E、可塑剤−F、可塑剤−G、SumilizerGP(住友化学社製)、TINUVIN900(チバスペシャルティケミカルズ社製)、Sumisorb250(住友化学社製)、及びLA31(ADEKA社製)の構造は下記の通りである。
作製したペレット、光学フィルム、及び偏光板に対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
以上、表4の結果から、本発明の光学フィルム2−1〜2−18は、比較例の光学フィルム2−19、2−20に対して、生産性が良好で着色も少なく、リターデーションの変動が小さい光学フィルムであることが分かる。
更に、本発明の光学フィルムはケン化処理適性が高いため、これを用いて作製された偏光板は耐久性が良好であり、実用上優れた光学フィルムであることが分かる。
なお、ペレット2−1、光学フィルム2−1、及び偏光板2−1において、例示化合物(2)−8を同質量部の例示化合物(2)−3に替えて、同様な評価を行ったところ、表4中のそれぞれの試料No.2−1と同様に良好な結果であった。
前記と同様に例示化合物(2)−8を同質量部の例示化合物(2)−45に替えても、試料No.2−1と同様に良好な結果であった。
一方、ペレット2−3、光学フィルム2−3、及び偏光板2−3において、GSY−P101を同質量部のテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイトに替えて、同様な評価を行ったところ、白抜けの評価結果が◎から○になった以外は表4中のそれぞれの試料No.2−3と同様に良好な結果であった。
更には、ペレット2−7、光学フィルム2−7、及び偏光板2−7において、IRGANOX1010を同質量部の1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]に替えて、同様な評価を行ったところ、表4中のそれぞれの試料No.2−7と同様に良好な結果であった。
実施例3
下記のような、セルロースエステルと各種添加剤を用いて、フィルムの厚さが40μmとなるように、押出し量、引き取り速度、及び延伸倍率を調整した以外は実施例1と同様にして、本発明の光学フィルム3−1を作製したところ、生産性が良好で着色も少なく、リターデーションの変動が小さい光学フィルムであることが分かった。
更に、本発明の光学フィルムはケン化処理適性が高いため、これを用いて作製された偏光板は耐久性が良好であり、実用上優れた光学フィルムであることが分かった。
セルロースエステル1 100質量部
可塑剤−A 8質量部
IRGANOX1010(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.50質量部
GSY−P101(堺化学工業社製) 0.25質量部
例示化合物(2)−8 0.30質量部
TINUVIN928(チバスペシャルティケミカルズ社製) 2.25質量部
実施例4
〔光学フィルムの製造〕
実施例1で得られたペレット10を用い、下記の要領で光学フィルム4−1、4−2を製造した。
ペレット10を、100℃、4時間乾燥を行った後、窒素雰囲気下、250℃にて加熱溶融した後、T型ダイよりリップクリアランスを調整しながら溶融押出製膜し、巾方向には延伸せずに膜厚80μmの光学フィルム4−1を得た。
ペレット10を、100℃、4時間乾燥を行った後、窒素雰囲気下、250℃にて加熱溶融した後、T型ダイよりリップクリアランスを調整しながら溶融押出製膜し、巾方向に160℃で1.3倍延伸し、膜厚80μmの光学フィルム4−2を得た。
これらの試料について、先に定義したRoとRtを測定した。結果を表5に示す。
以上、表5の結果から、本発明の光学フィルム4−1、4−2は、RoとRtが共に0に近く、光学的等方性に優れていることが分かった。
実施例5
(液晶表示装置としての特性評価)
VA型液晶表示装置であるシャープ(株)製32型テレビAQ−32AD5の偏光板を剥がし、実施例1〜3で作製した各々の偏光板(実施例3で作製した本発明の偏光板の試料No.を3−1とする。)を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。
液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2枚を偏光板の偏光軸が元と変わらないように互いに直交するように貼り付け、32型VA型カラー液晶ディスプレイを作製し、光学フィルムの偏光板としての特性を評価したところ、本発明の偏光板1−1〜1−15、2−1〜2−18、3−1を用いた液晶表示装置は、比較の偏光板1−16〜1−26、2−19、2−20を用いた液晶表示装置に対してコントラストも高く、更に色ムラもない優れた表示性を示した。
これにより、液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の偏光板として優れていることが確認された。

Claims (11)

  1. 光学フィルムがセルロースエステルを含有し、該セルロースエステルの1グルコース単位あたりの置換基の種類とその置換度が下記式(1)〜(3)の条件を同時に満たすセルロースエステルであることを特徴とする光学フィルム。
    式(1) 6.30≦2×X+3×Y≦7.50
    式(2) 1.10≦Y≦1.50
    式(3) 0.30≦Y6≦0.50
    〔式中、Xは2位、3位、及び6位のアセチル基による平均置換度の合計を表し、Yは2位、3位、及び6位のプロピオニル基による平均置換度の合計を表し、Y6は6位のプロピオニル基による平均置換度を表す。〕
  2. 前記セルロースエステルの重量平均分子量が、150000以上、かつ250000未満であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光学フィルム。
  3. 前記光学フィルムがフェノール系化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
  4. 前記光学フィルムがリン系化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記光学フィルムがアルキルラジカル捕捉剤を含有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 前記フェノール系化合物が、ヒンダードフェノール系化合物であることを特徴とする請求の範囲第3項〜第5項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  7. 前記リン系酸化防止剤化合物が、ホスホナイト系化合物であることを特徴とする請求の範囲第4項〜第6項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  8. 前記アルキルラジカル捕捉剤が、下記一般式(1)で表される化合物または下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求の範囲第5項〜第7項のいずれか1項に記載の光学フィルム。

    〔式中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕

    〔式中、R12〜R15はおのおの互いに独立して水素原子または置換基を表し、R16は水素原子または置換基を表し、nは1〜4の整数を表す。nが1であるとき、R11は置換基を表し、nが2〜4の整数であるとき、R11は2〜4価の連結基を表す。なお、該置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、ハロゲン原子、アルキニル基、複素環基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ホスホノ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基、アニリノ基、イミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、またはニトロ基を表す。〕
  9. 請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の光学フィルムを溶融流延法によって製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  10. 請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の光学フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
  11. 請求の範囲第10項に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に用いることを特徴とする液晶表示装置
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