JPWO2008108001A1 - ガラクト脂質 - Google Patents
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Abstract
本発明により、新規なモノガラクトシルジアシルグリセロール化合物およびジガラクトシルジアシルグリセロール化合物、ならびにそれらの誘導体;ならびにそれらの製造方法が提供される。本発明によれば、これらの化合物を含む食品もまた提供される。
Description
本発明は、ガラクト脂質に関する。より詳細には、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)およびジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)化合物に関する。
Ipomoea batatas L.(サツマイモ)は、多くの国で栽培されている塊根多年生植物であり、その食用根は、生のまま、または種々の様式で調理された後に食されている。
上部は、草本であり、世界の多くの地域で生鮮野菜として消費されている。サツマイモ葉は、生物活性を有するアントシアニン成分およびポリフェノール成分の優れた供給源である。15の異なるアントシアニン化合物および6の異なるポリフェノール化合物が同定され、定量された。野菜、茶として、麺、パン、菓子中で使用される場合のサツマイモ葉の栄養組成および生理学的機能に関する近年の研究は、それらが、有益なポリフェノール化合物のための有益な食物供給源になり得ることを示唆した。さらに、それらは、ビタミンB、鉄、カルシウム、亜鉛、およびタンパク質に富む。
特に、サツマイモの種々の部分(すなわち、葉、蔓、茎、および地下茎)から、制癌剤、または癌の予防のための食物および飲料のための原料を生産する可能性を記載した特許文献における報告がある(特開平7−258100号公報)。この公報には、この活性が、癌細胞の増殖を抑制し、分化を促進し得る糖脂質画分に起因することが記載されている。この画分がどのような糖脂質を含むかは確認されていなかった。
糖脂質の構造決定に関して、グリセロ糖脂質の脂肪酸アシル基の構造を決定するために、質量分析に基づく分析アプローチが使用されている。詳細には、G.G.Orgambideら(Lipids,第28巻,1993年,第975頁より)は、グリセロ脂質混合物のメタノリシス後、続く脂肪酸メチルエステル誘導体のGC/MS分析で、市販標準品との保持時間および質量スペクトルの比較によって脂肪酸を同定した。別の分析ストラテジーでは、グリセロ脂質の負イオン高速原子衝撃質量分析(FAB/MS)で生じたカルボキシイオン(RCOO−)の衝突解離(CID)スペクトルパターンを正規標準品のパターンと比較して脂肪酸の構造を決定した(N.J.Jansenら,Lipids,第21巻,1986年,第580頁より、およびN.J.Jansenら,Lipids,第22巻,1987年,第480頁より)。いずれの場合とも、その脂肪酸メチルエステル誘導体または遊離カルボキシイオンが、グリセロ脂質混合物のどの成分から、およびそれらのグリセロール骨格のどの位置から生じるのかを見出すことはできなかった。
グリセロ脂質に含まれる小麦粉由来のモノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)およびジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)の構造決定が、FABイオン化で生じた、ガラクト脂質にナトリウムが付加した分子([M+Na]+)の正イオンCIDスペクトルによって推定された(Y.H.Kimら,J.Mass Spectrom.,第32巻,1987年,第968頁より、およびY.H.Kimら,Microchemical Journal,第68巻,2001年,第143頁より)。この場合、アシル鎖中の二重結合の位置を決定することはできたが、この実験は、純粋な化合物について行われたので、これは、混合物分析に信頼性のある技術を表すというわけではない。
MGDGおよびDGDG化合物クラスのグリセロール骨格上のアシル鎖の結合位置決定のために、HPLC連結エレクトロスプレーイオン化四重極イオントラップタンデム質量分析(electrospray ionization−quadrupole ion trap tandem mass spectrometry coupled with HPLC:HPLC−ESI/QITMS/MS)が採用されたが、このアプローチは、アシル鎖中の二重結合の位置を解明するのに有用ではなかった(G.Guellaら,Rapid Commun.Mass Spectrom.,第17巻,2003年,第1982頁より、およびW.Wangら,Rapid Commun.Mass Spectrom.,第13巻,1999年,第1189頁より)。
MGDGおよびDGDGのようなガラクトシルグリセロールは、その生理活性もまた注目されている。例えば、抗炎症性(A.Brunoら,Eur.J.pharmacol.,第524巻,2005年,第159頁より)および発癌抑制作用が知られている。
上部は、草本であり、世界の多くの地域で生鮮野菜として消費されている。サツマイモ葉は、生物活性を有するアントシアニン成分およびポリフェノール成分の優れた供給源である。15の異なるアントシアニン化合物および6の異なるポリフェノール化合物が同定され、定量された。野菜、茶として、麺、パン、菓子中で使用される場合のサツマイモ葉の栄養組成および生理学的機能に関する近年の研究は、それらが、有益なポリフェノール化合物のための有益な食物供給源になり得ることを示唆した。さらに、それらは、ビタミンB、鉄、カルシウム、亜鉛、およびタンパク質に富む。
特に、サツマイモの種々の部分(すなわち、葉、蔓、茎、および地下茎)から、制癌剤、または癌の予防のための食物および飲料のための原料を生産する可能性を記載した特許文献における報告がある(特開平7−258100号公報)。この公報には、この活性が、癌細胞の増殖を抑制し、分化を促進し得る糖脂質画分に起因することが記載されている。この画分がどのような糖脂質を含むかは確認されていなかった。
糖脂質の構造決定に関して、グリセロ糖脂質の脂肪酸アシル基の構造を決定するために、質量分析に基づく分析アプローチが使用されている。詳細には、G.G.Orgambideら(Lipids,第28巻,1993年,第975頁より)は、グリセロ脂質混合物のメタノリシス後、続く脂肪酸メチルエステル誘導体のGC/MS分析で、市販標準品との保持時間および質量スペクトルの比較によって脂肪酸を同定した。別の分析ストラテジーでは、グリセロ脂質の負イオン高速原子衝撃質量分析(FAB/MS)で生じたカルボキシイオン(RCOO−)の衝突解離(CID)スペクトルパターンを正規標準品のパターンと比較して脂肪酸の構造を決定した(N.J.Jansenら,Lipids,第21巻,1986年,第580頁より、およびN.J.Jansenら,Lipids,第22巻,1987年,第480頁より)。いずれの場合とも、その脂肪酸メチルエステル誘導体または遊離カルボキシイオンが、グリセロ脂質混合物のどの成分から、およびそれらのグリセロール骨格のどの位置から生じるのかを見出すことはできなかった。
グリセロ脂質に含まれる小麦粉由来のモノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)およびジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)の構造決定が、FABイオン化で生じた、ガラクト脂質にナトリウムが付加した分子([M+Na]+)の正イオンCIDスペクトルによって推定された(Y.H.Kimら,J.Mass Spectrom.,第32巻,1987年,第968頁より、およびY.H.Kimら,Microchemical Journal,第68巻,2001年,第143頁より)。この場合、アシル鎖中の二重結合の位置を決定することはできたが、この実験は、純粋な化合物について行われたので、これは、混合物分析に信頼性のある技術を表すというわけではない。
MGDGおよびDGDG化合物クラスのグリセロール骨格上のアシル鎖の結合位置決定のために、HPLC連結エレクトロスプレーイオン化四重極イオントラップタンデム質量分析(electrospray ionization−quadrupole ion trap tandem mass spectrometry coupled with HPLC:HPLC−ESI/QITMS/MS)が採用されたが、このアプローチは、アシル鎖中の二重結合の位置を解明するのに有用ではなかった(G.Guellaら,Rapid Commun.Mass Spectrom.,第17巻,2003年,第1982頁より、およびW.Wangら,Rapid Commun.Mass Spectrom.,第13巻,1999年,第1189頁より)。
MGDGおよびDGDGのようなガラクトシルグリセロールは、その生理活性もまた注目されている。例えば、抗炎症性(A.Brunoら,Eur.J.pharmacol.,第524巻,2005年,第159頁より)および発癌抑制作用が知られている。
本発明者らは、サツマイモ葉の低極性画分の画分から、いくつかの新規なガラクト脂質、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)およびジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)化合物を見出した。
本発明は、以下の構造式(I)を有するモノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を提供する:
ここで、
R1はパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1はα−リノレン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1はアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2はオレイン酸アシル鎖であるか;
R1はアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2はリノール酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はリノール酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は11−エイコセン酸アシル鎖であるか;または
R1はヘンエイコサン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖である。
本発明はまた、以下の構造式(II)を有するジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を提供する:
ここで、
R1はパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はパルミチン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;または
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は11−エイコセン酸アシル鎖である。
本発明はまた、上記モノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体から選択される少なくとも1つを含有する食品を提供する。また、上記ジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する食品を提供する。
1つの実施態様では、上記食品は、さらに、麦若葉およびケールからなる群から選択される少なくとも1つを含有する。
さらなる実施態様では、上記食品は、さらに、難消化性デキストリン、オリゴ糖、および乳酸菌からなる群から選択される少なくとも1つを含有する。
本発明はまた、上記モノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を製造する方法を提供し、この方法は、
(1)サツマイモ葉をメタノール抽出に供する工程、
(2)固相抽出によって低極性画分を分離する工程、および
(3)高速液体クロマトグラフィーを用いて分離する工程
を含む。
本発明はまた、上記ジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を製造する方法を提供し、この方法は、
(1)サツマイモ葉をメタノール抽出に供する工程、
(2)固相抽出によって低極性画分を分離する工程、および
(3)高速液体クロマトグラフィーを用いて分離する工程
を含む。
本発明は、以下の構造式(I)を有するモノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を提供する:
ここで、
R1はパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1はα−リノレン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1はアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2はオレイン酸アシル鎖であるか;
R1はアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2はリノール酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はリノール酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は11−エイコセン酸アシル鎖であるか;または
R1はヘンエイコサン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖である。
本発明はまた、以下の構造式(II)を有するジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を提供する:
ここで、
R1はパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はパルミチン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;または
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は11−エイコセン酸アシル鎖である。
本発明はまた、上記モノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体から選択される少なくとも1つを含有する食品を提供する。また、上記ジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する食品を提供する。
1つの実施態様では、上記食品は、さらに、麦若葉およびケールからなる群から選択される少なくとも1つを含有する。
さらなる実施態様では、上記食品は、さらに、難消化性デキストリン、オリゴ糖、および乳酸菌からなる群から選択される少なくとも1つを含有する。
本発明はまた、上記モノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を製造する方法を提供し、この方法は、
(1)サツマイモ葉をメタノール抽出に供する工程、
(2)固相抽出によって低極性画分を分離する工程、および
(3)高速液体クロマトグラフィーを用いて分離する工程
を含む。
本発明はまた、上記ジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を製造する方法を提供し、この方法は、
(1)サツマイモ葉をメタノール抽出に供する工程、
(2)固相抽出によって低極性画分を分離する工程、および
(3)高速液体クロマトグラフィーを用いて分離する工程
を含む。
図1は、[M+Na]+イオンがm/z 829.9であるMGDG化合物(11)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示すグラフである。(a)は全体スペクトルであり、(b)は高分子量領域であり、そして(c)は低分子量領域である。
図2は、[M+Na]+イオンがm/z 991.9であるDGDG化合物(24)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示すグラフである。(a)は全体スペクトルであり、(b)は高分子量領域であり、そして(c)は低分子量領域である。
図3は、[M+Na]+イオンがm/z 813.9であるMGDG化合物(7)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示すグラフである。(a)は全体スペクトルであり、そして(b)は高分子量領域である。
図2は、[M+Na]+イオンがm/z 991.9であるDGDG化合物(24)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示すグラフである。(a)は全体スペクトルであり、(b)は高分子量領域であり、そして(c)は低分子量領域である。
図3は、[M+Na]+イオンがm/z 813.9であるMGDG化合物(7)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示すグラフである。(a)は全体スペクトルであり、そして(b)は高分子量領域である。
本発明者らは、固相抽出を用いてサツマイモ葉のメタノール抽出物の低極性画分を分離し、そして液体クロマトグラフィー連結エレクトロスプレーイオン化四重極飛行時間タンデム質量分析(liquid chromatography coupled to electrospray ionization−quadrupole time of flight tandem mass spectrometry:HPLC−ESI/QToFMS/MS)に基づく分析法を開発し、サツマイモ葉に含まれる糖脂質の構造を解明した。
本発明者らは、上記分析法により、糖脂質中の脂肪酸アシル基の組成および結合位置を決定し、そしてアシル鎖中の二重結合の位置を解明できた。糖の組成およびコンフォメーションを、一次元および二次元NMR(核磁気共鳴)を用いて決めた。さらに、グリセロール骨格の2つの炭素に結合している脂肪酸の不飽和二重結合の位置の決定を確認し、そしていくつかの場合には、誘導体化した脂肪酸のガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)によって立体構造も決定した。
このストラテジーにより、16の新規および10の既知のガラクト脂質を単離および特徴づけできた。本発明者らの知る限り、これは、サツマイモ葉におけるガラクト脂質組成の最初の報告である。
ガラクト脂質は、グリセロ脂質の1種である。ガラクト脂質には、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)およびジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)が含まれる。MGDGは、グリセロール骨格のsn−1位およびsn−2位に2つの脂肪酸アシル基が結合し、およびグリセロールのsn−3位に1つのガラクトースがエーテル結合している構造を有する。DGDGは、グリセロール骨格のsn−1位およびsn−2位に2つの脂肪酸アシル基が結合し、およびグリセロールのsn−3位に2つのガラクトースがエーテル結合している構造を有する。以下、本明細書中で単に「ガラクト脂質」という場合、MGDGおよびDGDGの両方共に言及している。
本発明は、以下に説明するような新規なガラクト脂質を提供する。
より詳細には、本発明は、以下の構造式(I)を有するモノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を提供する:
ここで、
R1はパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1はα−リノレン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1はアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2はオレイン酸アシル鎖であるか;
R1はアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2はリノール酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はリノール酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は11−エイコセン酸アシル鎖であるか;または
R1はヘンエイコサン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖である。
本発明はまた、以下の構造式(II)を有するジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を提供する:
ここで、
R1はパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はパルミチン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;または
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は11−エイコセン酸アシル鎖である。
本発明のガラクト脂質中のアシル鎖の脂肪酸としては、以下が挙げられる:パルミチン酸(C16:0);ステアリン酸(C18:0);オレイン酸(C18:1 n−9);リノール酸(C18:2 n−6);α−リノレン酸(C18:3 n−3);ノナデカジエン酸(C19:2)、特に9位および12位に二重結合を有する;アラキジン酸(C20:0);11−エイコセン酸(C20:1 n−9);およびヘンエイコサン酸(C21:0)。不飽和脂肪酸の場合、二重結合はシス型またはトランス型であり得る。リノール酸およびα−リノレン酸は、通常、シス型の二重結合を有する。ノナデカジエン酸または11−エイコセン酸では、二重結合は、シス型またはトランス型であり得る。
本発明のガラクト脂質は、サツマイモ葉から製造され得る。サツマイモの品種は、特に限定されない。例えば、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチ、アヤムラサキ、すいおうなどの品種のサツマイモ茎葉が用いられ得る。
本発明に用いられるサツマイモ葉としては、サツマイモの栽培時に、地上部に出ている苗条の葉が好ましい。地上から、好ましくは10cm以上、より好ましくは30cm以上、さらに好ましくは60cm以上に成長した苗条の葉が用いられる。また、サツマイモの茎が地中から外に出ている位置から先端までの長さを測定した場合に、その長さが、好ましくは300cm以内、より好ましくは200cm以内、さらに好ましくは150cm以内である苗条の葉が用いられる。300cmを超えると、苗条の先端部が地面についてしまい、害虫などの害を受けやすくなるので、十分な量の葉が得られなくなる場合がある。
特に、本発明においては、緑色を保持している状態の苗条、すなわちサツマイモ苗条の若葉を用いることが好ましい。本明細書において「サツマイモ苗条の若葉」とは、サツマイモ苗条の先端部から60cm以内の葉をいう。
上述したようなサツマイモ葉は、好ましくは付着した泥などを水で洗浄した後に、後述する加工が施されてもよい。
(1)加熱処理
加熱処理は、サツマイモ葉中の酵素の失活による品質の安定化、およびサツマイモ葉の褪色を防ぐ目的で行われる。加熱処理としては、例えば、ブランチング処理(例えば、湯通し)、乾熱処理、マイクロウェーブ処理、赤外線または遠赤外線処理、水蒸気処理などが挙げられる。これらの加熱処理のうち、ブランチング処理が好ましく用いられる。さらに、処理工程の便宜上、必要に応じて、サツマイモ葉を長径10〜30cm程度に裁断してから、各処理を行ってもよい。
ブランチング処理を行う場合、サツマイモ葉の色、すなわち緑色植物の色素であるクロロフィルの色が褪色しないようにするために、当業者が通常用いる方法でブランチング処理を行なえばよい。そのようなブランチング処理としては、例えば、湯通しが挙げられる。ブランチング処理は、用いる植物体によって、最適条件が大きく異なる。場合によっては、ブランチング処理によって、風味および栄養素が損なわれ、有用成分の生理活性が失活することもある。したがって、本発明では、好ましくはpHが5.4以上、より好ましくは5.6〜8.4、さらに好ましくは5.6〜8.0、最も好ましくは5.6〜7.6の熱水でブランチング処理を行う。このようなブランチング処理によって、抗酸化活性などの活性が高く、かつポリフェノールなどの成分の含有量が高いサツマイモ葉を効率よく得ることができる。
ブランチング処理を行なう場合、風味を改善する点から、熱水の量に対して食塩を0.01〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%の割合で添加することが好ましい。このように食塩を添加することにより、さらに緑色が鮮やかになり、かつ風味がよいサツマイモ葉を得ることができる。
乾熱処理、マイクロウェーブ処理、赤外線または遠赤外線処理、および水蒸気処理を行う場合は、pHが調整された溶液をサツマイモ葉に噴霧するなどのpH調整処理を行った後、これらの処理を行うことが好ましい。pH調整処理は、当業者が通常用いる方法で行なわれる。例えば、塩基性条件下に調整する場合は、水酸化ナトリウム、重曹、炭酸カルシウム(卵殻カルシウム、ホタテ貝殻カルシウム、サンゴカルシウムなど)、これらの炭酸カルシウムを焼成して得られる酸化カルシウムなどの溶液を用いて処理すればよい。さらに、アルカリイオン水などを用いてもよい。一方、酸性条件下に調整するには、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸などの有機酸の溶液を用いればよい。これらのpH調整剤の量は、用いる調整剤によって適宜調整すればよい。
加熱処理における加熱温度は、80℃より高い温度、好ましくは90℃以上の温度とするのがよい。加熱時間は、5分以下、好ましくは3分以下、最も好ましくは10秒〜3分とするのがよい。
加熱処理後のサツマイモ葉は、緑色および風味を維持する上で、直ちに冷却することが好ましい。冷却は、加熱処理後のサツマイモ葉を冷却水中に浸漬する、冷風を当てて急冷するなど、当業者が通常用いる方法で行えばよい。例えば、冷却水に浸漬して冷却する場合、30℃以下の水、好ましくは20℃以下の水を用いればよい。冷却の温度が低いほど、サツマイモ葉は鮮やかな緑色になり、見た目に美しい。冷却時間は、サツマイモ葉の処理量に応じた任意の時間であるが、サツマイモ葉自身が冷却温度と同等の温度になるまで行うことが好ましい。
(2)乾燥処理および粉末化処理
乾燥は、加工前のサツマイモ葉の品質保持が可能となるために、好ましく用いられる。乾燥は、当業者が通常用いる任意の乾燥方法を用いて行われる。乾燥処理は、乾燥方法に応じた乾燥機、例えば、熱風乾燥機、高圧蒸気乾燥機、電磁波乾燥機、直火式加熱機、回転式通風乾燥機、凍結乾燥機、減圧濃縮機などを用いて行われる。これらの中でも、コストおよび乾燥効率の面から、熱風乾燥機、直火式乾燥機、および回転式通風乾燥機が好ましい。
乾燥は、乾燥物中の水分含量が5質量%以下となるように行うことが好ましい。
乾燥処理は、常圧下では、60〜150℃程度の温度で行うことにより、風味がよく、色鮮やかなサツマイモ葉の乾燥粉末を得ることができる。減圧下では、60℃以下、好ましくはサツマイモ葉が凍結する温度以上でかつ60℃以下で行えば、栄養成分の損失を少なくしつつ、乾燥を行うことが可能である。
サツマイモ葉をそのまま乾燥する場合は、2段階で乾燥を行うことが好ましい。2段階乾燥は、例えば、熱風乾燥機などを用いて行うことができる。2段階乾燥は、まず、水分含有量が25質量%以下となるまで、60〜80℃の温度で一次乾燥する。次いで、一次乾燥したサツマイモ葉の水分含有量が5質量%以下となるまで、一次乾燥よりも高い温度で二次乾燥する。
このとき、一次乾燥の乾燥温度が60℃未満の場合は、乾燥速度が遅くなり、二次乾燥の乾燥温度が100℃を超える場合は、焦げを生じることがある。したがって、二次乾燥の温度は、好ましくは70〜90℃であり、より好ましくは80℃前後に調整することでポリフェノールの含有量が高く色鮮やかなサツマイモ葉粉末を得ることができる。
一次乾燥と二次乾燥との温度差は、約5〜15℃であることが好ましく、約10℃であることがより好ましい。例えば、90℃で二次乾燥する場合、一次乾燥の温度は、75〜85℃であることが好ましく、約80℃であることがより好ましい。
このような2段階の乾燥工程を行うことにより、乾燥時間が短縮されると同時に、サツマイモ葉の緑色および風味が維持される。温度差を上記のように一定範囲に設定することにより、乾燥工程における緑葉の水分管理が容易になり、効率的に乾燥が行われる。
このようにして乾燥されたサツマイモ葉は、さらに粉末化処理を施して乾燥粉末としてもよい。サツマイモ葉の乾燥粉末を得るためには、製造上のコストおよび乾燥の効率の点から、熱風乾燥機、直火式加熱機、および回転式通風乾燥機が好ましく用いられる。サツマイモ葉の乾燥粉末は、さらに粒径を小さくかつ均一にするために微粉末化処理を行ってもよい。サツマイモ葉は、茎部、葉部、および葉柄部と異なる部位を持つので、粉砕の効率を上げる観点からは、粗粉砕工程または微粉砕工程を経ることが好ましい。
粗粉砕工程は、乾燥したサツマイモ葉をカッター、スライサー、ダイサーなどの当業者に公知の任意の機械または装置により、乾燥した緑葉をカットする工程である。カットされた緑葉の大きさは、好ましくは長径が20mm以下であり、より好ましくは0.1〜10mmである。
微粉砕工程は、この粗粉砕されたサツマイモ葉を微粉砕し、微粉砕粉末を得る工程である。微粉砕工程では、90質量%が200メッシュ区分を通過するように、微粉砕される。微粉砕は、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの当業者が通常用いる機械または装置を用いて行われる。
加熱殺菌処理を行う場合は、微粉砕工程の前に行われる。この加熱殺菌処理を施すことにより、粗粉砕されたサツマイモ葉を均一に加熱することができ、緑葉の香味を良好にし、効率のよい殺菌を行うことができる。この加熱処理は、110℃以上で行い、高圧殺菌機、加熱殺菌機、加圧蒸気殺菌機などを用いることができる。
例えば、加圧蒸気殺菌による加熱処理の場合、粗粉砕されたサツマイモ葉は、例えば、0.5〜10kg/cm2の加圧下、110〜200℃の飽和水蒸気により、2〜10秒間加熱殺菌処理される。必要に応じて、飽和水蒸気による加熱時に含んだ水分をさらに乾燥する。
このように微粉砕することにより食感がよくなり、好ましくは、粗粉砕、加熱処理、および微粉砕の工程を順に経ることにより、さらに食感がよくなり、食品などに添加した場合、均一に混ざりやすくなる。
乾燥処理前のサツマイモ葉を粗粉砕して細片状、ペースト状などにしてから、上記の乾燥処理を行い、乾燥粉末を調製してもよい。すなわち、粉末化処理は、乾燥処理を施されたサツマイモ葉を用いて行ってもよく、未乾燥(例えば、生葉、湯通しされたサツマイモ葉など)のサツマイモ葉を用いて行ってもよい。
サツマイモ葉に後述の圧搾処理などを施して得た搾汁に、上記の乾燥機を用いて乾燥処理を施してもよい。サツマイモ葉の搾汁を用いて乾燥処理を行う場合は、製造上のコストや乾燥の効率の面から、減圧濃縮機が好ましい。このように乾燥処理を行うことによって、搾汁の粉末(以下、「エキス末」という場合がある)が得られる。
さらに、サツマイモ葉の搾汁をエキス末とする場合、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機を用いて粉末化してもよい。噴霧乾燥機を用いる場合には、回収率を上げるために、必要に応じてデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、およびマルトースのような賦形剤を添加して行われる。好ましくはデキストリンが用いられる。例えば、デキストリンの添加によって粉末化を容易にするために、搾汁とデキストリンとの質量比は、1:10〜5:1が好ましい。
エキス末を得るための乾燥は、エキス末中の水分含量が5質量%以下となるように行うことが好ましい。
(3)圧搾処理
圧搾処理は、例えば、圧搾機などを用いて行われる。これによってサツマイモ葉の搾汁が得られる。得られた搾汁に上述のような乾燥処理などを施さずそのまま用いる場合は、80℃〜130℃で加熱殺菌を行うことが好ましい。
したがって、以下、「サツマイモ葉」という場合は、単に生鮮葉だけでなく、上記(1)〜(3)のような加工が施されたサツマイモ葉も包含する。
本発明のガラクト脂質は、例えば、以下の実施例に記載するように、上記サツマイモ葉のメタノール抽出物をメタノール/水/アセトニトリルを移動相として使用する固相抽出法に供することにより、分離および回収され得る。以下の実施例は、本発明のガラクト脂質の分離手順を詳述しているが、本発明のガラクト脂質の入手方法はこれに限定されない。
本発明のガラクト脂質あるいはその誘導体を製造する方法もまた提供され、この方法は、(1)サツマイモ葉をメタノール抽出に供する工程、(2)固相抽出によって低極性画分を分離する工程、および(3)高速液体クロマトグラフィーを用いて分離する工程を含む。
抽出処理は、サツマイモ葉(生葉、乾燥粉末、エキス末など)にメタノール(含水メタノールも含む)を加えることによって行われる。
低極性画分は、例えば、上記抽出物をC−18 sep−pakカートリッジ(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を通過させることにより分離され得る。このカートリッジは、メタノール、水、および0.2%蟻酸で予め調整され得、0.2%蟻酸および0.2%蟻酸/メタノール(50:50、v/v)で洗浄され得、その後低極性画分は、メタノールで溶出され得る。溶出された低極性画分は、例えば、メタノール/水/アセトニトリル(90.5:7:2.5)の移動相(溶出法A)によって分離され得る。さらに、低極性画分の分離のために、メタノール/水/アセトニトリル(82.5:15:2.5)の移動相(溶出法B)もまた用いられ得る。それにより個々のガラクト脂質が得られ得る。サツマイモ葉から分離および回収されたガラクト脂質は、必要に応じて、合成吸着剤(ダイアイオンHP20、セファビースSP825、アンバーライトXAD4、MCIgelCHP20Pなど)、デキストラン樹脂(セファデックスLH−20など)などを用いて、当業者が通常用いる方法で精製されてもよい。
本発明のガラクト脂質は、誘導体の形態でもあり得る。天然に存在する形態で見られ得る任意の誘導体、例えば、ガラクトース残基のアルコール性OHが種々の置換基で置換されている誘導体、および食物または薬学的に受容可能である任意の誘導体が含まれ得る。
本発明のガラクト脂質あるいはその誘導体は、その生物学的活性に基づいて、医薬品、食物および飲料、ならびに化粧品への利用が考えられる。上記生物学的活性としては、例えば、抗腫瘍作用、抗炎症作用、抗酸化作用などが挙げられる。本発明のガラクト脂質は、抗コレステロール作用、血流改善作用などを有する機能性食品、サプリメント、ならびに肌質改善効果、美容効果、および保湿効果を有する化粧料の製造に用いられ得る。食品原料、医薬品原料、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、または調味料のような添加成分とともに用いられ得る。
本発明のガラクト脂質あるいはその誘導体は、以下に説明するように、食品に配合され得る。例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体など)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレンなど)、α−リポ酸、レシチン、ポリフェノール(フラボノイド類、これらの誘導体など)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど)、キサンチン誘導体(カフェインなど)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチンなど)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸など)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩など)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖など)、リン脂質およびその誘導体(ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミドなど)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタンなど)、糖アルコール、リグナン類(セサミンなど)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガなど)、麦若葉末などのイネ科植物の緑葉、ケールなどのアブラナ科植物の緑葉、難消化性デキストリン(例えば、とうもろこし、芋などの澱粉より製造され、市販されている)、乳酸菌(特に腸内への到達効率の高い乳酸菌、例えば、有胞子性の乳酸菌、腸溶性物質をコーティングする方法などによって調製された乳酸菌、腸内への到達率が高い特定株の乳酸菌、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベチカス、ラクトバチルス・デルブロイキ、ストレプトコッカス・サーモフィラスなどの亜種)などとともに食品に配合され得る。
粉末形態の食品は、水などに分散させて青汁の形態として利用し得る。特に、従来の青汁の原料である麦若葉、ケール、明日葉、桑葉などの緑葉、好ましくは、麦若葉またはケールの粉末と混合し得る。さらに、食品は、植物発酵ジュース、野菜ジュース(例えば、人参ジュース)、植物抽出物、果汁などの飲料形態とすることも可能である。難消化性デキストリン、オリゴ糖、および乳酸菌のような素材もまた、食品に好適に配合され得る。
食品は、用途に応じて、顆粒、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセルなど)、丸剤、粉末状、液状、ティーバッグ状、飴状などの形態に加工される。このような加工食品は、そのまま食してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでもよい。粉末などをティーバッグの形態で提供すれば、湯などに浸漬して得られる抽出液を飲料として利用し得る。
本発明者らは、上記分析法により、糖脂質中の脂肪酸アシル基の組成および結合位置を決定し、そしてアシル鎖中の二重結合の位置を解明できた。糖の組成およびコンフォメーションを、一次元および二次元NMR(核磁気共鳴)を用いて決めた。さらに、グリセロール骨格の2つの炭素に結合している脂肪酸の不飽和二重結合の位置の決定を確認し、そしていくつかの場合には、誘導体化した脂肪酸のガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)によって立体構造も決定した。
このストラテジーにより、16の新規および10の既知のガラクト脂質を単離および特徴づけできた。本発明者らの知る限り、これは、サツマイモ葉におけるガラクト脂質組成の最初の報告である。
ガラクト脂質は、グリセロ脂質の1種である。ガラクト脂質には、モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)およびジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)が含まれる。MGDGは、グリセロール骨格のsn−1位およびsn−2位に2つの脂肪酸アシル基が結合し、およびグリセロールのsn−3位に1つのガラクトースがエーテル結合している構造を有する。DGDGは、グリセロール骨格のsn−1位およびsn−2位に2つの脂肪酸アシル基が結合し、およびグリセロールのsn−3位に2つのガラクトースがエーテル結合している構造を有する。以下、本明細書中で単に「ガラクト脂質」という場合、MGDGおよびDGDGの両方共に言及している。
本発明は、以下に説明するような新規なガラクト脂質を提供する。
より詳細には、本発明は、以下の構造式(I)を有するモノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を提供する:
ここで、
R1はパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1はα−リノレン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1はアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2はオレイン酸アシル鎖であるか;
R1はアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2はリノール酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はリノール酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は11−エイコセン酸アシル鎖であるか;または
R1はヘンエイコサン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖である。
本発明はまた、以下の構造式(II)を有するジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を提供する:
ここで、
R1はパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はパルミチン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2はα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;または
R1は11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2は11−エイコセン酸アシル鎖である。
本発明のガラクト脂質中のアシル鎖の脂肪酸としては、以下が挙げられる:パルミチン酸(C16:0);ステアリン酸(C18:0);オレイン酸(C18:1 n−9);リノール酸(C18:2 n−6);α−リノレン酸(C18:3 n−3);ノナデカジエン酸(C19:2)、特に9位および12位に二重結合を有する;アラキジン酸(C20:0);11−エイコセン酸(C20:1 n−9);およびヘンエイコサン酸(C21:0)。不飽和脂肪酸の場合、二重結合はシス型またはトランス型であり得る。リノール酸およびα−リノレン酸は、通常、シス型の二重結合を有する。ノナデカジエン酸または11−エイコセン酸では、二重結合は、シス型またはトランス型であり得る。
本発明のガラクト脂質は、サツマイモ葉から製造され得る。サツマイモの品種は、特に限定されない。例えば、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチ、アヤムラサキ、すいおうなどの品種のサツマイモ茎葉が用いられ得る。
本発明に用いられるサツマイモ葉としては、サツマイモの栽培時に、地上部に出ている苗条の葉が好ましい。地上から、好ましくは10cm以上、より好ましくは30cm以上、さらに好ましくは60cm以上に成長した苗条の葉が用いられる。また、サツマイモの茎が地中から外に出ている位置から先端までの長さを測定した場合に、その長さが、好ましくは300cm以内、より好ましくは200cm以内、さらに好ましくは150cm以内である苗条の葉が用いられる。300cmを超えると、苗条の先端部が地面についてしまい、害虫などの害を受けやすくなるので、十分な量の葉が得られなくなる場合がある。
特に、本発明においては、緑色を保持している状態の苗条、すなわちサツマイモ苗条の若葉を用いることが好ましい。本明細書において「サツマイモ苗条の若葉」とは、サツマイモ苗条の先端部から60cm以内の葉をいう。
上述したようなサツマイモ葉は、好ましくは付着した泥などを水で洗浄した後に、後述する加工が施されてもよい。
(1)加熱処理
加熱処理は、サツマイモ葉中の酵素の失活による品質の安定化、およびサツマイモ葉の褪色を防ぐ目的で行われる。加熱処理としては、例えば、ブランチング処理(例えば、湯通し)、乾熱処理、マイクロウェーブ処理、赤外線または遠赤外線処理、水蒸気処理などが挙げられる。これらの加熱処理のうち、ブランチング処理が好ましく用いられる。さらに、処理工程の便宜上、必要に応じて、サツマイモ葉を長径10〜30cm程度に裁断してから、各処理を行ってもよい。
ブランチング処理を行う場合、サツマイモ葉の色、すなわち緑色植物の色素であるクロロフィルの色が褪色しないようにするために、当業者が通常用いる方法でブランチング処理を行なえばよい。そのようなブランチング処理としては、例えば、湯通しが挙げられる。ブランチング処理は、用いる植物体によって、最適条件が大きく異なる。場合によっては、ブランチング処理によって、風味および栄養素が損なわれ、有用成分の生理活性が失活することもある。したがって、本発明では、好ましくはpHが5.4以上、より好ましくは5.6〜8.4、さらに好ましくは5.6〜8.0、最も好ましくは5.6〜7.6の熱水でブランチング処理を行う。このようなブランチング処理によって、抗酸化活性などの活性が高く、かつポリフェノールなどの成分の含有量が高いサツマイモ葉を効率よく得ることができる。
ブランチング処理を行なう場合、風味を改善する点から、熱水の量に対して食塩を0.01〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%の割合で添加することが好ましい。このように食塩を添加することにより、さらに緑色が鮮やかになり、かつ風味がよいサツマイモ葉を得ることができる。
乾熱処理、マイクロウェーブ処理、赤外線または遠赤外線処理、および水蒸気処理を行う場合は、pHが調整された溶液をサツマイモ葉に噴霧するなどのpH調整処理を行った後、これらの処理を行うことが好ましい。pH調整処理は、当業者が通常用いる方法で行なわれる。例えば、塩基性条件下に調整する場合は、水酸化ナトリウム、重曹、炭酸カルシウム(卵殻カルシウム、ホタテ貝殻カルシウム、サンゴカルシウムなど)、これらの炭酸カルシウムを焼成して得られる酸化カルシウムなどの溶液を用いて処理すればよい。さらに、アルカリイオン水などを用いてもよい。一方、酸性条件下に調整するには、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸などの有機酸の溶液を用いればよい。これらのpH調整剤の量は、用いる調整剤によって適宜調整すればよい。
加熱処理における加熱温度は、80℃より高い温度、好ましくは90℃以上の温度とするのがよい。加熱時間は、5分以下、好ましくは3分以下、最も好ましくは10秒〜3分とするのがよい。
加熱処理後のサツマイモ葉は、緑色および風味を維持する上で、直ちに冷却することが好ましい。冷却は、加熱処理後のサツマイモ葉を冷却水中に浸漬する、冷風を当てて急冷するなど、当業者が通常用いる方法で行えばよい。例えば、冷却水に浸漬して冷却する場合、30℃以下の水、好ましくは20℃以下の水を用いればよい。冷却の温度が低いほど、サツマイモ葉は鮮やかな緑色になり、見た目に美しい。冷却時間は、サツマイモ葉の処理量に応じた任意の時間であるが、サツマイモ葉自身が冷却温度と同等の温度になるまで行うことが好ましい。
(2)乾燥処理および粉末化処理
乾燥は、加工前のサツマイモ葉の品質保持が可能となるために、好ましく用いられる。乾燥は、当業者が通常用いる任意の乾燥方法を用いて行われる。乾燥処理は、乾燥方法に応じた乾燥機、例えば、熱風乾燥機、高圧蒸気乾燥機、電磁波乾燥機、直火式加熱機、回転式通風乾燥機、凍結乾燥機、減圧濃縮機などを用いて行われる。これらの中でも、コストおよび乾燥効率の面から、熱風乾燥機、直火式乾燥機、および回転式通風乾燥機が好ましい。
乾燥は、乾燥物中の水分含量が5質量%以下となるように行うことが好ましい。
乾燥処理は、常圧下では、60〜150℃程度の温度で行うことにより、風味がよく、色鮮やかなサツマイモ葉の乾燥粉末を得ることができる。減圧下では、60℃以下、好ましくはサツマイモ葉が凍結する温度以上でかつ60℃以下で行えば、栄養成分の損失を少なくしつつ、乾燥を行うことが可能である。
サツマイモ葉をそのまま乾燥する場合は、2段階で乾燥を行うことが好ましい。2段階乾燥は、例えば、熱風乾燥機などを用いて行うことができる。2段階乾燥は、まず、水分含有量が25質量%以下となるまで、60〜80℃の温度で一次乾燥する。次いで、一次乾燥したサツマイモ葉の水分含有量が5質量%以下となるまで、一次乾燥よりも高い温度で二次乾燥する。
このとき、一次乾燥の乾燥温度が60℃未満の場合は、乾燥速度が遅くなり、二次乾燥の乾燥温度が100℃を超える場合は、焦げを生じることがある。したがって、二次乾燥の温度は、好ましくは70〜90℃であり、より好ましくは80℃前後に調整することでポリフェノールの含有量が高く色鮮やかなサツマイモ葉粉末を得ることができる。
一次乾燥と二次乾燥との温度差は、約5〜15℃であることが好ましく、約10℃であることがより好ましい。例えば、90℃で二次乾燥する場合、一次乾燥の温度は、75〜85℃であることが好ましく、約80℃であることがより好ましい。
このような2段階の乾燥工程を行うことにより、乾燥時間が短縮されると同時に、サツマイモ葉の緑色および風味が維持される。温度差を上記のように一定範囲に設定することにより、乾燥工程における緑葉の水分管理が容易になり、効率的に乾燥が行われる。
このようにして乾燥されたサツマイモ葉は、さらに粉末化処理を施して乾燥粉末としてもよい。サツマイモ葉の乾燥粉末を得るためには、製造上のコストおよび乾燥の効率の点から、熱風乾燥機、直火式加熱機、および回転式通風乾燥機が好ましく用いられる。サツマイモ葉の乾燥粉末は、さらに粒径を小さくかつ均一にするために微粉末化処理を行ってもよい。サツマイモ葉は、茎部、葉部、および葉柄部と異なる部位を持つので、粉砕の効率を上げる観点からは、粗粉砕工程または微粉砕工程を経ることが好ましい。
粗粉砕工程は、乾燥したサツマイモ葉をカッター、スライサー、ダイサーなどの当業者に公知の任意の機械または装置により、乾燥した緑葉をカットする工程である。カットされた緑葉の大きさは、好ましくは長径が20mm以下であり、より好ましくは0.1〜10mmである。
微粉砕工程は、この粗粉砕されたサツマイモ葉を微粉砕し、微粉砕粉末を得る工程である。微粉砕工程では、90質量%が200メッシュ区分を通過するように、微粉砕される。微粉砕は、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの当業者が通常用いる機械または装置を用いて行われる。
加熱殺菌処理を行う場合は、微粉砕工程の前に行われる。この加熱殺菌処理を施すことにより、粗粉砕されたサツマイモ葉を均一に加熱することができ、緑葉の香味を良好にし、効率のよい殺菌を行うことができる。この加熱処理は、110℃以上で行い、高圧殺菌機、加熱殺菌機、加圧蒸気殺菌機などを用いることができる。
例えば、加圧蒸気殺菌による加熱処理の場合、粗粉砕されたサツマイモ葉は、例えば、0.5〜10kg/cm2の加圧下、110〜200℃の飽和水蒸気により、2〜10秒間加熱殺菌処理される。必要に応じて、飽和水蒸気による加熱時に含んだ水分をさらに乾燥する。
このように微粉砕することにより食感がよくなり、好ましくは、粗粉砕、加熱処理、および微粉砕の工程を順に経ることにより、さらに食感がよくなり、食品などに添加した場合、均一に混ざりやすくなる。
乾燥処理前のサツマイモ葉を粗粉砕して細片状、ペースト状などにしてから、上記の乾燥処理を行い、乾燥粉末を調製してもよい。すなわち、粉末化処理は、乾燥処理を施されたサツマイモ葉を用いて行ってもよく、未乾燥(例えば、生葉、湯通しされたサツマイモ葉など)のサツマイモ葉を用いて行ってもよい。
サツマイモ葉に後述の圧搾処理などを施して得た搾汁に、上記の乾燥機を用いて乾燥処理を施してもよい。サツマイモ葉の搾汁を用いて乾燥処理を行う場合は、製造上のコストや乾燥の効率の面から、減圧濃縮機が好ましい。このように乾燥処理を行うことによって、搾汁の粉末(以下、「エキス末」という場合がある)が得られる。
さらに、サツマイモ葉の搾汁をエキス末とする場合、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機を用いて粉末化してもよい。噴霧乾燥機を用いる場合には、回収率を上げるために、必要に応じてデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、およびマルトースのような賦形剤を添加して行われる。好ましくはデキストリンが用いられる。例えば、デキストリンの添加によって粉末化を容易にするために、搾汁とデキストリンとの質量比は、1:10〜5:1が好ましい。
エキス末を得るための乾燥は、エキス末中の水分含量が5質量%以下となるように行うことが好ましい。
(3)圧搾処理
圧搾処理は、例えば、圧搾機などを用いて行われる。これによってサツマイモ葉の搾汁が得られる。得られた搾汁に上述のような乾燥処理などを施さずそのまま用いる場合は、80℃〜130℃で加熱殺菌を行うことが好ましい。
したがって、以下、「サツマイモ葉」という場合は、単に生鮮葉だけでなく、上記(1)〜(3)のような加工が施されたサツマイモ葉も包含する。
本発明のガラクト脂質は、例えば、以下の実施例に記載するように、上記サツマイモ葉のメタノール抽出物をメタノール/水/アセトニトリルを移動相として使用する固相抽出法に供することにより、分離および回収され得る。以下の実施例は、本発明のガラクト脂質の分離手順を詳述しているが、本発明のガラクト脂質の入手方法はこれに限定されない。
本発明のガラクト脂質あるいはその誘導体を製造する方法もまた提供され、この方法は、(1)サツマイモ葉をメタノール抽出に供する工程、(2)固相抽出によって低極性画分を分離する工程、および(3)高速液体クロマトグラフィーを用いて分離する工程を含む。
抽出処理は、サツマイモ葉(生葉、乾燥粉末、エキス末など)にメタノール(含水メタノールも含む)を加えることによって行われる。
低極性画分は、例えば、上記抽出物をC−18 sep−pakカートリッジ(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を通過させることにより分離され得る。このカートリッジは、メタノール、水、および0.2%蟻酸で予め調整され得、0.2%蟻酸および0.2%蟻酸/メタノール(50:50、v/v)で洗浄され得、その後低極性画分は、メタノールで溶出され得る。溶出された低極性画分は、例えば、メタノール/水/アセトニトリル(90.5:7:2.5)の移動相(溶出法A)によって分離され得る。さらに、低極性画分の分離のために、メタノール/水/アセトニトリル(82.5:15:2.5)の移動相(溶出法B)もまた用いられ得る。それにより個々のガラクト脂質が得られ得る。サツマイモ葉から分離および回収されたガラクト脂質は、必要に応じて、合成吸着剤(ダイアイオンHP20、セファビースSP825、アンバーライトXAD4、MCIgelCHP20Pなど)、デキストラン樹脂(セファデックスLH−20など)などを用いて、当業者が通常用いる方法で精製されてもよい。
本発明のガラクト脂質は、誘導体の形態でもあり得る。天然に存在する形態で見られ得る任意の誘導体、例えば、ガラクトース残基のアルコール性OHが種々の置換基で置換されている誘導体、および食物または薬学的に受容可能である任意の誘導体が含まれ得る。
本発明のガラクト脂質あるいはその誘導体は、その生物学的活性に基づいて、医薬品、食物および飲料、ならびに化粧品への利用が考えられる。上記生物学的活性としては、例えば、抗腫瘍作用、抗炎症作用、抗酸化作用などが挙げられる。本発明のガラクト脂質は、抗コレステロール作用、血流改善作用などを有する機能性食品、サプリメント、ならびに肌質改善効果、美容効果、および保湿効果を有する化粧料の製造に用いられ得る。食品原料、医薬品原料、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、または調味料のような添加成分とともに用いられ得る。
本発明のガラクト脂質あるいはその誘導体は、以下に説明するように、食品に配合され得る。例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体など)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレンなど)、α−リポ酸、レシチン、ポリフェノール(フラボノイド類、これらの誘導体など)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど)、キサンチン誘導体(カフェインなど)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチンなど)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸など)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩など)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖など)、リン脂質およびその誘導体(ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミドなど)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタンなど)、糖アルコール、リグナン類(セサミンなど)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガなど)、麦若葉末などのイネ科植物の緑葉、ケールなどのアブラナ科植物の緑葉、難消化性デキストリン(例えば、とうもろこし、芋などの澱粉より製造され、市販されている)、乳酸菌(特に腸内への到達効率の高い乳酸菌、例えば、有胞子性の乳酸菌、腸溶性物質をコーティングする方法などによって調製された乳酸菌、腸内への到達率が高い特定株の乳酸菌、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベチカス、ラクトバチルス・デルブロイキ、ストレプトコッカス・サーモフィラスなどの亜種)などとともに食品に配合され得る。
粉末形態の食品は、水などに分散させて青汁の形態として利用し得る。特に、従来の青汁の原料である麦若葉、ケール、明日葉、桑葉などの緑葉、好ましくは、麦若葉またはケールの粉末と混合し得る。さらに、食品は、植物発酵ジュース、野菜ジュース(例えば、人参ジュース)、植物抽出物、果汁などの飲料形態とすることも可能である。難消化性デキストリン、オリゴ糖、および乳酸菌のような素材もまた、食品に好適に配合され得る。
食品は、用途に応じて、顆粒、錠剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセルなど)、丸剤、粉末状、液状、ティーバッグ状、飴状などの形態に加工される。このような加工食品は、そのまま食してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでもよい。粉末などをティーバッグの形態で提供すれば、湯などに浸漬して得られる抽出液を飲料として利用し得る。
1.実験手法
1.1.材料
HPLC用メタノール(MeOH)をJ.T.Baker(Baker Mallinckrodt,Phillipsburg,NJ,USA)から購入した。アセトニトリル(ACN)および蟻酸をCarlo Erba(Milan,Italy)から入手した。HPLC用水(18mΩ)を、Millipore Milli−Q浄水装置(Millipore Corp.,Bedford,MA,USA)を用いて調製した。
1.2.試料の調製
風乾粉末化したサツマイモ葉の試料(3g)を60mMのMeOHで室温にて8日間抽出した。抽出物を濾過し、収量313.13mgを得た。ポリフェノールおよびアントシアニンから低極性成分を分離するために、メタノール抽出物を、C−18 sep−pakカートリッジ(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を通過させた。このカートリッジは、メタノール、水、および0.2%蟻酸で予め調整しておいた。0.2%蟻酸および0.2%蟻酸/メタノール(50:50、v/v)で洗浄した後、低極性成分をメタノールで溶出させ、そしてクロマトグラフィー分析に用いた。
1.3.HPLC−UV分析
C−18 sep−pakカートリッジ分離からのメタノール画分を、デュアルラムダ吸光度検出器(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を備えたAlliance HPLCを用いて、HPLCによって分析した。個々のガラクト脂質を、1ml/分の流速のメタノール/水/アセトニトリル(90.5:7:2.5)の移動相(溶出法A)によって、Hypersil BDS C18カラム(250mm×4.6mm、5μm)(Thermo,Bellefonte,PA,USA)上で無勾配溶出した。検出は205nmで実施した。
より極性の高いガラクト脂質の分離性を向上させるために、メタノール/水/アセトニトリル(82.5:15:2.5)の移動相(溶出法B)もまた用いた。
1.4.NMR分析
1Hおよび13C NMRスペクトルを、Bruker DRX−600MHzスペクトロメーターにてT=300Kで記録した。NMR試料を調製し、この試料をCD3OD(Sigma Aldrich,99.96%D)中に溶解した。スペクトルの基準合わせのために、溶媒のシグナルを内部基準として、補正した(1H、δ=3.34ppm;13C=49.0ppm)。
1.5.液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレー質量分析(LC−ESI/MSおよびLC−ESI/MS/MS)
C−18sep−pakカートリッジ分離からのメタノール画分を、オンライン型LC−ESI/MSにより分析した。この分析には、Alliance HPLCに連結され、そして直交Zスプレー供給源と面したWaters Q−Tof Microハイブリッド四極子直交加速飛行時間型質量分析計(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を用いた。個々のガラクト脂質を、上記クロマトグラフィー条件を用いて分離した。酸性溶媒を用いた場合のイオン化への寄与を検証するために、蟻酸0.2%を溶離剤に添加した両クロマトグラフィー法もまた行った。溶出物をエレクトロスプレーイオン源に直接注入し、そしてMS1スペクトルおよびMS/MSスペクトルを正イオンモードで得、製造者により提供されるソフトウェア(Waters Mass Lynx 4.0ソフトウェア)を用いて解明した。脱溶媒和および供給源の温度はそれぞれ、180℃および100℃であった。ガラクト脂質の検出のために至適化した操作条件は、以下の通りであった:キャピラリー電圧3400V、試料コーン電圧40V、抽出電圧1.5V、衝撃セル電圧7V。30〜45Vの範囲の衝撃エネルギーを用いて、測定走査モードでMS/MSスペクトルを得た。MS/MSスペクトルは、50〜1500m/z領域で記録した。
1.6.脂肪酸メチルエステルの調製
HPLCで分離したガラクト脂質を、2%硫酸を含むメタノール溶液2.5mlに80℃にて4時間曝露し、エステル交換反応に供した。反応終了後、反応管を冷却した。次いで、水2.0mlおよびヘキサン1.0mlを各反応管に添加し、密封後、ボルテックスにより10分間混合した。反応管を4000rpmにて1分間遠心して相分離を促進し、そしてヘキサン相をGC測定用バイアルに移した。残った水相にヘキサン1.0mlを添加し、そして抽出を上記のように行った。この工程を2回繰り返した。
1.7.ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)
脂肪酸メチルエステル分析を、キャピラリーカラム(30m×0.25mm内径、0.25μmフィルム厚)DB−1(J&W Scientific,Folsom,CA,USA)と適合したガスクロマトグラフGC System 6890 Series(Agilent Technologies,Palo Alto,CA,USA)を備えたGCTTM直交加速飛行時間型(oa−TOF)GC質量分析計(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を用いて行った。
分析を、以下の分析条件を用いて行った:注入は、スプリットレスモードであり、注入器温度は280℃であり、イオン源温度は200℃であり、そしてGC/MSインターフェース温度は300℃であった。初期オーブン温度は40℃(5分)であり、4℃/分で60℃にまで上げるようプログラムし、次いで15℃/分で150℃に、そして3℃/分で280℃に加熱し、続いて20℃/分で300℃にまで加熱した。総実行時間は60分であった。ヘリウムがキャリアガスであり、そして1ml/分がカラム流であった。
質量分析を、70eVイオン化エネルギーで行い、50〜500質量範囲を走査時間0.5秒で分析した。
2.結果
2.1.紫外分光およびHPLC分析
NMR分析およびGC/MS分析のクロマトグラフィー条件を至適化し、純粋な化合物を単離するために、C−18 sep−pakカートリッジ分離からのメタノール画分でHPLC−UV予備分析を行った。上記溶出法Aは、極性の低い化合物は良好に分離したが、より極性の高い化合物を分析するには適していなかった。この理由のため、有機溶剤と水との比が異なる別の溶出法Bを設定した。これらの溶出法を用いて、全部で26の化合物を分離および回収した。詳細には、溶出法Aで16、そして溶出法Bで10の化合物を分離および回収した(表1および表2)。以下の表1および表2中に、aの上付き文字を有する化合物は溶出法Aで、bの上付き文字を有する化合物は溶出法Bで分離および回収されたことを示す。
2.2.NMR分析
単離された純粋な化合物について1H NMRを測定したデータの分析により、グリセロ脂質の存在が確認された。このことは、D−グリセロール単位のプロトンシグナルH−2が、D−グリセロール単位のC−2位にO−アシル基が結合している場合に特徴的なδ5.29の吸収を示したことから確認された(G.L.Sassakiら,J.Nat.Prod.,第62巻,1999年,第844頁より)。糖に特徴的な吸収帯をさらに調べることにより、これらの化合物がガラクト脂質であり、そして2つの分子群があることを同定した。これらの分子群は、ジ−O−アシルグリセロール骨格にO−結合しているガラクトピラノースの数が異なることにより分類された。
第一の分子群について、1H NMRと選択的一次元TOCSY(全相関分光法)スペクトルとを組み合わせた分析により、1単位のβ−D−ガラクトピラノシルの存在が突き止められた。実際、グリセロールへのβ−グリコシド化が、アノメリックカーボン(C1’位)が低磁場シフトしていること(δ105)およびプロトン(H1’位)が高磁場シフトしていること(δ4.26)によって、ならびに3JH1’−H2’のカップリング定数が大きな値であること(J>7Hz)によって確認された。さらに、3JH2’−H3’のカップリング定数が大きな値であること(J>9Hz)と共に、糖部に含まれるH4’位のプロトンのカップリング定数が小さな値であること(δ3.86、J<3Hz)により、構成糖がガラクトースであることが判明した。
第二の分子群について、アノマー領域のHSQC(Heteronuclear Single Quantum Correlation:異種核一量子相関)スペクトルを調べることにより、糖部分が二糖からなることが分かった。選択的一次元TOCSYスペクトルにより、1単位のα−D−ガラクトピラノシルおよび1単位のβ−D−ガラクトピラノシルの存在が確認された。H4’がδ3.91(J<3Hz)およびH3’がδ3.53の(J>9Hz)のプロトンシグナルと共にδ4.28(J=7.3Hz)のアノマーシグナルから、D−グリセロール部分とβ−ガラクトピラノース糖とが結合していることが確認できた。H2”がδ3.82(3JH1″−H2″=3.6Hz、3JH2″−H3″=9.5Hz)およびH4”がδ3.94(J<3Hz)のプロトンシグナルと共にδ4.90(J=3.6Hz)のアノマーシグナルから、α−ガラクトピラノース糖の存在が確認された。
最終的に、HMBC(異種核多結合相関:Heteronuclear Multiple Bond Correlation)スペクトルにより、外側に位置するα−ガラクトースのC1″とβ−ガラクトピラノースのH−6’のプロトン対との間に有意な相関が見られたことから、(1″→6’)−O−グリコシド結合が明らかとなった。
これらの結果により、糖部分の糖単位数によってガラクト脂質に2つの群(モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)およびジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG))があること、およびそれらの脂肪酸の飽和度およびアシル鎖長が異なることが判明した。
2.3.LC−ESI/MSおよびLC−ESI/MS/MS分析
2.3.1.LC−ESI/MS分析
ガラクト脂質の構造をさらに解明するために、C−18 sep−pakカートリッジで分離したメタノール画分を、異なる移動相を用いてLC−ESI/MS分析に供した。詳細には、異なる極性を有するガラクト脂質の分離を向上させるため、有機相率が異なる2つの溶出システムを用いた(すなわち、有機溶媒の含有割合を変更させた)。さらに、移動相に0.2%蟻酸を含むまたは含まずに分析を行い、ガラクト脂質の分離および電子スプレーされた場合の挙動への影響を調べた。実際に、ガラクト脂質含量に富むメタノール画分のMS分析の際の挙動は、溶媒として用いた蟻酸の酸強度にしたがって異なった。
酸性溶媒を用いた溶出条件下で、質量スペクトルは、[M+Na]+イオンに加えて、ガラクトシル部分からの消失が優先的に生じることから、[M+H−162]+および[M+H−180]+のイオンを生じた。さらに、これらの分子種がLC−ESI/MSの装置内で衝突および崩壊を起こすことから、ジアシルグリセロール構造から脂肪酸アシル基が遊離脂肪酸として消失して、他のフラグメントイオンを生じた。これは、一般に[RxCO+74]+イオンフラグメントとして観測される。
これらの実験条件では、[RxCO]+イオンもまた存在した。ここでX=1または2であり、これは、X=1の場合はグリセロール骨格のsn−1位、そして、X=2の場合はsn−2位から遊離し生じたものである。
逆に、非酸性溶出条件では、装置内での自発的なフラグメント化は生じにくく、質量スペクトルは、[M+Na]+イオンのみを示し、[M+H−162]+および[M+H−180]+のフラグメントはわずかも存在しなかった。
これらの結果により、各ガラクト脂質の脂肪酸組成を決定することができた。すなわち、C16:0 パルミチン酸(またはヘキサデカン酸);C18:0 ステアリン酸(またはオクタデカン酸);C18:1 オクタデセン酸;C18:2 オクタデカジエン酸;C18:3 オクタデカトリエン酸;C19:2 ノナデカジエン酸;C20:0 アラキジン酸(またはエイコサン酸);C20:1 エイコセン酸;およびC21:0 ヘンエイコサン酸の中の1つまたは2つの脂肪酸が、ガラクト脂質中の脂肪酸として存在することが分かったが、立体構造については決定できなかった。
2.3.2.LC−ESI/MS/MS分析
LC−ESI/MS/MS実験では、[M+Na]+前駆イオンにより生じる[M+Na−R1CO2H]+および[M+Na−R2CO2H]+のフラグメントの相対強度を算出することによって、アシル鎖の立体構造を決め、そして混合物中に存在するガラクト脂質を同定した。
溶出溶媒の酸強度は、MS/MSスペクトルの断片化パターンにも影響した。実際、MGDG化合物について酸性条件下で測定したLC−ESI/MS/MSのデータは、ガラクトース部分の開裂により生じたフラグメントイオンに加え、[M+H−162]+イオン形成を伴う断片化を検出しやすいことを示した。
DGDG化合物は2つのガラクトシル単位を有するので、そのMS/MSスペクトルでは、二番目の糖(すなわち外側に位置する糖)の消失により[M+H−162]+MGDGイオン誘導体から得られた生成物のフラグメントイオンもまた、検出可能であった。
一方、これまでに言及したフラグメントに加えて、いずれの種類のガラクト脂質(MGDGおよびDGDG)についても、グリコシド結合の開裂(これは、主に中性条件で促進される)によって得られる中性脂肪酸の消失は、[M+Na−R1CO2H]+および[M+Na−R2CO2H]+のフラグメントを生じた。この知見により、これが、脂肪酸組成およびそれらの結合の配置に関する情報を簡便に提供する電子的な分析方法であることが示唆された。
ガラクト脂質アシル鎖中の脂肪酸の不飽和度および二重結合の位置の決定は、MS/MSスペクトルの高分子量領域を分析することによって達成された。
2.4.脂肪酸GC/MS分析
グリセロール骨格の2つの炭素に結合している脂肪酸が何であるかを確認するために、HPLCにより分離された純粋なガラクト脂質をエステル交換反応に供し、得られた脂肪酸メチルエステルをGC/MSにより分析した。純粋なガラクト脂質の脂肪酸組成は、MS/MSスペクトルから推定したものと一致し、そしていくつかの場合、ポリ不飽和脂肪酸二重結合の正確な構造形態も決めることができた。脂肪酸メチルエステルのGC/MS分析により、以下の脂肪酸の存在が確実に立証された:パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 n−9 シス)、リノール酸(C18:2 n−6 シス)、α−リノレン酸(C18:3 n−3 シス)、ノナデカジエン酸(C19:2)、アラキジン酸(C20:0)、11−エイコセン酸(C20:1 n−9 シス)、およびヘンエイコサン酸(C21:0)。
(実施例1)
MS/MSスペクトルは、MGDGおよびDGDGの中で、Cの数が大きい上位シリーズ(すなわち、グリセロール骨格の2つの炭素に、少なくとも1つはC20:0、C20:1、およびC21:0である脂肪酸が結合している)の化合物について、とりわけ高分子量領域において、より複雑なスペクトルを生じ、既に記載したフラグメントに加えて、種々の強いフラグメントイオンを生じた。
LC−ESI/MSクロマトグラムにおいて、溶出法Bにて71.59分の保持時間で、質量スペクトルがm/z 829.9のピークを示した化合物(表1中の化合物11)が存在した。それは、グリセロール骨格の2つの炭素にエイコセン酸(C20:1)およびリノレン酸(C18:3)が結合しているMGDGにナトリウムが付加している分子に相当した。
図1は、化合物(11)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示す。(a)は全体スペクトルであり、(b)は高分子量領域であり、そして(c)は低分子量領域である。図1(a)では、m/z 519.6および551.5の2つのフラグメントイオンピークが顕著に検出された。これらはそれぞれ、エイコセン酸(C20:1)およびリノレン酸(C18:3)の2つの脂肪酸が消失した結果であると考えられ、それにより、脂肪酸組成を決定できた。MGDG分子における各脂肪酸アシル鎖の結合位置を、[M+Na−RxCO2H]+イオンの相対強度により決定した。具体的には、sn−1位にエイコセン酸(20:1)、およびsn−2位にリノレン酸(18:3)の脂肪酸アシル鎖が存在すると確認された。
文献値によれば、低分子量領域は、糖部に関連したフラグメントイオンを示す。以下、図1(c)に言及して説明する。グリコシド結合の開裂によって、m/z 185.1およびm/z 203.1のフラグメントイオンピークを生じ、これらは、糖環からヒドロキシル基が脱離したもの(m/z 185.1)と保持されたもの(m/z 203.1)にナトリウムが付加したイオンであると判断された。
また、m/z 243.2のフラグメントイオンピークは、ガラクトシルグリセロール骨格から2つの中性脂肪酸が同時に開裂したものである。
さらに、このスペクトル領域では、m/z 261.3、293.2、および335.4のピークも見られ、これらは、既に説明した[R1CO]+、[R2CO]+、および[R2CO+74]+のフラグメントイオンに対応した。
また、m/z 301.3および315.3のナトリウム結合イオンはそれぞれ、一方の脂肪酸が消失すると共に、他方の脂肪酸のアシル鎖の一部分が脱離したことによって形成された。この脱離は、上記他方の脂肪酸のアシル鎖のカルボニル炭素から2つまたは3つ離れた位置の炭素までの部分で生じた。
脂肪酸アシル鎖中の二重結合の位置に関する情報は、以下に説明するように、MS/MSスペクトルの高分子量領域の分析で得られた。
飽和脂肪酸アシル鎖の典型的な断片化では、親イオンからのCnH2nの消失に起因するフラグメントイオンのみが検出可能であった。さらに、不飽和脂肪酸アシル鎖が存在する場合では、CnH2n−2およびCnH2n+2の消失もまた報告されている(Y.H.Kimら,前出)。
そこで、m/z 829.9の[M+Na]+イオンのMS/MSスペクトルの高分子量領域を細かく分析した(図1(b))。この分析により、[M+Na−18]+イオンに起因するm/z 811.9のピークが観察された。これらの後者の2つのピークにより、sn−2脂肪酸アシル鎖のカルボニル炭素から15個離れた位置の炭素に第一の二重結合が位置することが突き止められた。
代わりに、フラグメントイオンの起点がm/z 771.8からm/z 551.5までの範囲の間にあることを説明する、2つの異なる断片化経路が仮定され得た。それらのうち第一の経路は、2つの脂肪酸アシル鎖のもっぱら一方でのフラグメント化に関係するが、それは、エネルギー的に優位ではなく、そこで生じるフラグメントイオンは強度がやや弱い。
それに対して、2つの脂肪酸アシル基が同時に断片化し、検出されると、より多くのフラグメントイオンのピークについて説明することができる。例えば、m/z 811.9のイオンから始まって、m/z 755.8のフラグメントイオンは、sn−2脂肪酸アシル基のC3H4およびsn−1脂肪酸アシル基のCH4のそれぞれの消失、または両アシル鎖の2つのC2H4の消失のいずれかによって形成され得た。
そこで、771.8−551.5の分子量範囲のMS/MSスペクトルを分析した。その結果、sn−2アシル基の二重結合が9番目および12番目の炭素に位置し、そしてsn−1アシル基の二重結合が11番目の炭素に位置していることを突き止め、前者は、9,12,15−オクタデカトリエン酸であることが確認され、および後者は、11−エイコセン酸に起因することが分かった。
C2グリセロール位置に結合している脂肪酸アシル鎖中の二重結合の位置を立証するには、m/z 519.6の[M+Na−R1CO2H]+イオンの断片化経路の分析によるCnH2n、CnH2n−2、およびCnH2n+2の消失の算定もまた有用であった。
明らかに、MS/MSスペクトルの高分子量領域には、[M+Na−180]+イオンによるm/z 649.7のフラグメントイオンのピークもまた生じていた。
(実施例2)
上記実施例1と同じLC−ESI/MSクロマトグラムに、質量スペクトルでm/z 991.9のピークを呈示した、溶出法Bにて保持時間53.08分の化合物(24)が存在した。このピークは、DGDGにナトリウムが付加された分子のイオンに相当した。このDGDGは、グリセロール骨格のSn−3位に2単位のガラクトシルが結合していることを除いて、実施例1のMGDG分子と同じ脂肪酸パターンを提示している。
図2は、化合物(24)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示す。(a)は全体スペクトルであり、(b)は高分子量領域であり、そして(c)は低分子量領域である。MS/MSスペクトル(図2)は、上記実施例1の化合物11のMGDG分子に非常に類似したフラグメント化パターンを示した。
図2(a)に示されるように、[M+Na−R1CO2H]+イオンおよび[M+Na−R2CO2H]+イオンに関連したm/z 681.7および713.7の2つのフラグメントイオンピークが顕著に検出された。これらは、分析している分子中の2つの脂肪酸の立体構造および組成に関して有益であった。このDGDGは、C1グリセロール位置にC20:1アシル鎖を、そしてC2位置にC18:3アシル鎖をそれぞれ提示すると結論した。
この場合、2つの脂肪酸アシル鎖の断片化は、その際に1つの鎖でのみ関与した。m/z 991.9の[M+Na]+イオンで始まり、sn−2アシル鎖での断片化が進行して、最終的に関連プロピル誘導体を生じた(m/z 769.8;図2(b))。
sn−1アシル鎖での断片化についても同じである。この場合、先にsn−2アシル鎖の不完全な断片化で、そして引き続いてsn−1アシル鎖が関与することにより、より強いパターンもまた検出可能であった。
sn−2アシル鎖では、m/z 973.9で[M+Na−18]+イオンから始まって、C2H4の消失により生じたm/z 945.9のフラグメントイオンピークが顕著に検出され、他方、C5H8の消失により生じたm/z 905.9のフラグメントイオンピークが検出された。さらに、C8H12およびC9H12の消失により、m/z 865.9および853.8のイオンピークが生じた。このプロフィールによっても、分析したフラグメント配列への1つ、2つ、および3つそれぞれの二重結合の存在の関与が説明できた。考慮したフラグメント配列の質量範囲に含まれる生じたフラグメントイオンを、より詳細に分析した。この分析により、CnH2nおよびCnH2n−2から1つの炭素が抜けた(n=1の単位が抜けた)と評価され、それらのそれぞれのフラグメントイオンピークが、分子量14または12に相当し、二重結合の位置の指標となる。このようにして、sn−2アシル鎖の二重結合の正確な位置が9番目、12番目、および15番目の炭素にあると決定し、C2グリセロール位置に連結している脂肪酸は、9,12,15−オクタデカトリエン酸であることが確認された。
同様にして、sn−1脂肪酸アシル鎖では、その1つの二重結合がカルボニル炭素から11個離れた炭素に位置していたことが分かった。これにより、C1グリセロール位置に11−エイコセン酸が存在すると結論付けた。
MS/MSスペクトルにm/z 829.9および667.7の2つのフラグメントイオンが存在した。これらのイオンは、各々がガラクトース部分に対応する、2つの連続した分子量162の消失により生じた。このことにより、この糖が、実施例1のMGDG化合物よりも分子量の高い同族化合物であると確認された。
実施例1と同様にして、2つの中性脂肪酸が同時に開裂されることによって、m/z 405.5のナトリウム結合イオンが生成し、他方、一方の脂肪酸アシル鎖の消失、および他方の脂肪酸のアシル鎖の一部分の脱離によって、m/z 463.5および477.5のナトリウム結合イオンが生じた。m/z 533.7および551.7の[M+Na−R1CO2H]+イオンおよび[M+Na−R2CO2H]+イオンが検出されたことから、代わりに、上記一方の脂肪酸アシル鎖が、外側のガラクトースを欠くDGDG分子から消失されたことが説明された。
さらに、MS/MSスペクトルでは、m/z 293.3、335.5、および367.1の[R1CO]+、[R2CO+74]+および[R1CO+74]+フラグメントイオンもまた、示された。
(実施例3)
Cの数が小さい下位シリーズに属するガラクト脂質(すなわち、グリセロール骨格の2つの炭素に、C16:0、18:0、18:1、18:2、18:3、19:2の脂肪酸が結合している構造を有するMGDGおよびDGDG)については、MS/MSスペクトルは、上位シリーズから得られる情報ほど有益ではないようであった。それにも関わらず、上位シリーズに属するガラクト脂質の質量スペクトルとの比較により、これらの化合物についてもまた、精密な構造決定を実施することができた。
これらのスペクトルでは、[M+Na−RxCO2H]+フラグメントイオンが最も顕著に検出され、さらに[M+Na−162]+、[M+Na−180]+、および[RxCO+74]+フラグメントイオンも共に検出された。他に生じたフラグメントイオンはほとんどなかった。
質量スペクトルでm/z 813.9の[M+Na]+イオンを呈示する、LC−ESI/MSクロマトグラムで溶出法Bにて67.47分の保持時間の化合物(7)を例に挙げる。図3は、化合物(7)のMS/MSスペクトルを示す。(a)は全体スペクトルであり、そして(b)は高分子量領域である。図3(a)に示されるように、MS/MSスペクトルは、m/z 519.5および535.5の2つの強いイオンを示した。これらは、[M+Na−R1CO2H]+フラグメントイオンおよび[M+Na−R2CO2H]+フラグメントイオンに相当する。この質量差は、ノナデカジエン酸(C19:2)およびリノレン酸(C18:3)のそれぞれの消失と考えられる。さらに、これらの2つのフラグメントイオン間の強度の差により、ノナデカジエノイル鎖(C19:2)が、sn−1位に結合し、そして他方のアシル鎖が、sn−2位に結合していることが明らかになった。
スペクトルの高分子量領域(図3(b))は、それぞれ[M+Na−162]+および[M+Na−180]+によるm/z 651.8および633.8の2つの生じたフラグメントイオンの存在を示した。さらに、スペクトルの低分子量領域では、m/z 261.3および335.4の[R2CO]+フラグメントイオンおよび[R2CO+74]+フラグメントイオンと共に、m/z 185.1および203.2の既に記載したフラグメントイオンピークが見られた。
実施例1または2に記載するように、アシル鎖中の二重結合の位置は、スペクトルの高分子量領域の断片化パターンの分析により決定した。
この下位シリーズに属するガラクト脂質のMS/MSスペクトルでは、脂肪酸アシル鎖の断片化は、その際に1つの鎖でのみ関与した。これは、Kimら(前出)により報告されたように、両アシル鎖に共通のフラグメントイオンをしばしば生じ、そしてアルキル末端からのCH4の消失から常に始まる。
sn−1アシル鎖では、CnH2nが連続して消失し、m/z 755.8および727.7のフラグメントイオンが生じた。一方、m/z 715.9のフラグメントイオンが生じたことにより、12番目の炭素にω−二重位置があることがマークされた。二番目の二重結合の位置は、CnH2nおよびCnH2n−2の消失に関連したm/z 701.9、687.8、および675.8のイオンにしたがって、9番目の炭素であると立証された。これらの結果により、9,12−ノナデカジエン酸がsn−1グリセロール位置にあると立証された。
sn−2アシル鎖に関する断片化パターンでは、上記のようにCH4がまず消失することによりm/z 797.8のフラグメントイオンが生じ、そしてCnH2n−2の消失によってm/z 757.8のフラグメントイオンが生じていた。CnH2n−2はn=3であり、そして鎖の15番目の炭素に二重結合があることが示唆される。
引き続き、sn−2アシル鎖ではCnH2nおよびCnH2n−2が、そしてsn−1アシル鎖ではCH4が消失したことが、m/z 743.8、727.7、715.9、687.8、および675.8のフラグメントイオンピークが検出されたことにより説明された。これにより、9番目および12番目の炭素に別に2つの二重結合があることを突き止め、そしてsn−2グリセロール位置に9,12,15−オクタデカトリエン酸があることを確認した。
二重結合の位置の決定が正確であることを検証するために、HPLCでの分離により回収した試料をメタノール抽出し、そしてこの化合物をGC/MS分析に供した。保持時間および質量スペクトルに関して脂肪酸メチルエステルの正規標準品と比較したところ、上記の結果と一致した。これにより、この化合物に9,12−ノナデカジエン酸およびα−リノレン酸が存在することが確認できた。
これらの2つの脂肪酸はまた、別のMGDG化合物の脂肪酸の組成分析においても観察された。その化合物は、LC−ESI/MSクロマトグラムで溶出法Bにて73.35分の保持時間で溶出され、そしてMS/MSスペクトルにおいて、m/z 813.55の[M+Na]+イオンを呈示した(表1中の化合物6)。この結果を説明するために、アシル鎖の結合位置が異なると考えた。この化合物におけるMS/MSスペクトルのm/z 535.5および519.5の[M+Na−R1CO2H]+フラグメントイオンおよび[M+Na−R2CO2H]+の2つのフラグメントイオンの相対強度を算定し、sn−1グリセロール位にリノレン酸が、そしてsn−2グリセロール位にノナデカジエン酸が位置していたことを確認した。MS/MSスペクトル研究により、両アシル鎖の二重結合の位置を決め、α−リノレン酸および9,12−ノナデカジエン酸であることが確認された。
(実施例4)
同様に、異なる極性度を有するガラクト脂質の分離を向上させるために2つの溶出法(AおよびB)を用いて溶出した化合物のアシル鎖に対する脂肪酸組成、立体構造、および二重結合の位置によって、混合物中に存在する全てのガラクト脂質を決定した。この結果は、下記の表1および表2に記載したとおりである。したがって、実施例1〜3に記載した化合物(化合物11、24、7および6)に加えて、表1および表2中の化合物1、8〜10、12〜14、17、22、23、25、26により示される新規なガラクト脂質を得ることができた。
以下の表1および表2に、同定されたガラクト脂質の種々の化合物を示す。表1は、構造式(I)を有するMGDGを示し、そして表2は、構造式(II)を有するDGDGを示す。表1および表2中、R1およびR2はそれぞれ、グリセロール骨格のsn−1位に結合している脂肪酸アシル基およびsn−2位に結合している脂肪酸アシル基を示す。脂肪酸アシル基の表記は、生合成を論ずる場合の表記に従う。二重結合の位置は、カルボニル基と反対側から番号を付して記載しているので、例えば、9位、12位、および15位にシス二重結合を有するα−リノレン酸は、「C18:3 n−6 シス」と表記した。
(実施例5)
サツマイモの種芋を植え込み、茎の長さ(地面から外に出ている部分の長さ)が150cm程度となるまで栽培した。次いで、サツマイモ苗条の先端部から60cmの部分(苗条の若葉)を刈り取り、水で2回洗浄して1kgのサツマイモ葉を得た。
得られたサツマイモ葉を5mm程度にカットし、pH8.0に調整した2Lの熱水(90℃)へサツマイモ葉を1分間浸漬した。次いで、25℃の水で冷却し、冷却したサツマイモ葉を30秒間遠心分離してある程度まで脱水した。脱水後、水分量が約20質量%となるまで、乾燥機中70℃で2時間温風乾燥(一次乾燥)し、さらに最終水分量が3質量%となるように、80℃で4時間温風乾燥(二次乾燥)した。次いで、150℃の飽和水蒸気を用いて、3秒間加圧蒸気殺菌した。次いで、サツマイモ葉に含まれている水を温風乾燥で乾燥した後、200メッシュ区分を90質量%が通過するようにハンマーミルを用いて微粉砕し、サツマイモ葉の乾燥粉末(80g)を得た。
上記粉末を用いて、下記の配合量で食品(錠剤;200mg/錠)を製造し得る。
<原料> 配合量(質量%)
サツマイモ葉乾燥粉末 5
大麦若葉末 11
アスコルビン酸 10
結晶セルロース 14
ショ糖エステル 4
還元麦芽糖 30
二酸化ケイ素 1
トレハロース 25
(実施例6)
上記実施例5の乾燥粉末を用いて、下記の配合量で食品(顆粒)を製造し得る。
<原料> 配合量(質量%)
サツマイモ葉乾燥粉末 2
ケール乾燥粉末 33
茶カテキン 10
結晶セルロース 20
還元麦芽糖 35
(実施例7)
上記実施例5の乾燥粉末および難消化性デキストリンを用いて、食品を製造し得る。
(実施例8)
上記実施例5の乾燥粉末およびオリゴ糖を用いて、食品を製造し得る。
(実施例9)
上記実施例5の乾燥粉末および乳酸菌を用いて、食品を製造し得る。
1.1.材料
HPLC用メタノール(MeOH)をJ.T.Baker(Baker Mallinckrodt,Phillipsburg,NJ,USA)から購入した。アセトニトリル(ACN)および蟻酸をCarlo Erba(Milan,Italy)から入手した。HPLC用水(18mΩ)を、Millipore Milli−Q浄水装置(Millipore Corp.,Bedford,MA,USA)を用いて調製した。
1.2.試料の調製
風乾粉末化したサツマイモ葉の試料(3g)を60mMのMeOHで室温にて8日間抽出した。抽出物を濾過し、収量313.13mgを得た。ポリフェノールおよびアントシアニンから低極性成分を分離するために、メタノール抽出物を、C−18 sep−pakカートリッジ(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を通過させた。このカートリッジは、メタノール、水、および0.2%蟻酸で予め調整しておいた。0.2%蟻酸および0.2%蟻酸/メタノール(50:50、v/v)で洗浄した後、低極性成分をメタノールで溶出させ、そしてクロマトグラフィー分析に用いた。
1.3.HPLC−UV分析
C−18 sep−pakカートリッジ分離からのメタノール画分を、デュアルラムダ吸光度検出器(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を備えたAlliance HPLCを用いて、HPLCによって分析した。個々のガラクト脂質を、1ml/分の流速のメタノール/水/アセトニトリル(90.5:7:2.5)の移動相(溶出法A)によって、Hypersil BDS C18カラム(250mm×4.6mm、5μm)(Thermo,Bellefonte,PA,USA)上で無勾配溶出した。検出は205nmで実施した。
より極性の高いガラクト脂質の分離性を向上させるために、メタノール/水/アセトニトリル(82.5:15:2.5)の移動相(溶出法B)もまた用いた。
1.4.NMR分析
1Hおよび13C NMRスペクトルを、Bruker DRX−600MHzスペクトロメーターにてT=300Kで記録した。NMR試料を調製し、この試料をCD3OD(Sigma Aldrich,99.96%D)中に溶解した。スペクトルの基準合わせのために、溶媒のシグナルを内部基準として、補正した(1H、δ=3.34ppm;13C=49.0ppm)。
1.5.液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレー質量分析(LC−ESI/MSおよびLC−ESI/MS/MS)
C−18sep−pakカートリッジ分離からのメタノール画分を、オンライン型LC−ESI/MSにより分析した。この分析には、Alliance HPLCに連結され、そして直交Zスプレー供給源と面したWaters Q−Tof Microハイブリッド四極子直交加速飛行時間型質量分析計(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を用いた。個々のガラクト脂質を、上記クロマトグラフィー条件を用いて分離した。酸性溶媒を用いた場合のイオン化への寄与を検証するために、蟻酸0.2%を溶離剤に添加した両クロマトグラフィー法もまた行った。溶出物をエレクトロスプレーイオン源に直接注入し、そしてMS1スペクトルおよびMS/MSスペクトルを正イオンモードで得、製造者により提供されるソフトウェア(Waters Mass Lynx 4.0ソフトウェア)を用いて解明した。脱溶媒和および供給源の温度はそれぞれ、180℃および100℃であった。ガラクト脂質の検出のために至適化した操作条件は、以下の通りであった:キャピラリー電圧3400V、試料コーン電圧40V、抽出電圧1.5V、衝撃セル電圧7V。30〜45Vの範囲の衝撃エネルギーを用いて、測定走査モードでMS/MSスペクトルを得た。MS/MSスペクトルは、50〜1500m/z領域で記録した。
1.6.脂肪酸メチルエステルの調製
HPLCで分離したガラクト脂質を、2%硫酸を含むメタノール溶液2.5mlに80℃にて4時間曝露し、エステル交換反応に供した。反応終了後、反応管を冷却した。次いで、水2.0mlおよびヘキサン1.0mlを各反応管に添加し、密封後、ボルテックスにより10分間混合した。反応管を4000rpmにて1分間遠心して相分離を促進し、そしてヘキサン相をGC測定用バイアルに移した。残った水相にヘキサン1.0mlを添加し、そして抽出を上記のように行った。この工程を2回繰り返した。
1.7.ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)
脂肪酸メチルエステル分析を、キャピラリーカラム(30m×0.25mm内径、0.25μmフィルム厚)DB−1(J&W Scientific,Folsom,CA,USA)と適合したガスクロマトグラフGC System 6890 Series(Agilent Technologies,Palo Alto,CA,USA)を備えたGCTTM直交加速飛行時間型(oa−TOF)GC質量分析計(Waters Corporation,Milford,Massachusetts,USA)を用いて行った。
分析を、以下の分析条件を用いて行った:注入は、スプリットレスモードであり、注入器温度は280℃であり、イオン源温度は200℃であり、そしてGC/MSインターフェース温度は300℃であった。初期オーブン温度は40℃(5分)であり、4℃/分で60℃にまで上げるようプログラムし、次いで15℃/分で150℃に、そして3℃/分で280℃に加熱し、続いて20℃/分で300℃にまで加熱した。総実行時間は60分であった。ヘリウムがキャリアガスであり、そして1ml/分がカラム流であった。
質量分析を、70eVイオン化エネルギーで行い、50〜500質量範囲を走査時間0.5秒で分析した。
2.結果
2.1.紫外分光およびHPLC分析
NMR分析およびGC/MS分析のクロマトグラフィー条件を至適化し、純粋な化合物を単離するために、C−18 sep−pakカートリッジ分離からのメタノール画分でHPLC−UV予備分析を行った。上記溶出法Aは、極性の低い化合物は良好に分離したが、より極性の高い化合物を分析するには適していなかった。この理由のため、有機溶剤と水との比が異なる別の溶出法Bを設定した。これらの溶出法を用いて、全部で26の化合物を分離および回収した。詳細には、溶出法Aで16、そして溶出法Bで10の化合物を分離および回収した(表1および表2)。以下の表1および表2中に、aの上付き文字を有する化合物は溶出法Aで、bの上付き文字を有する化合物は溶出法Bで分離および回収されたことを示す。
2.2.NMR分析
単離された純粋な化合物について1H NMRを測定したデータの分析により、グリセロ脂質の存在が確認された。このことは、D−グリセロール単位のプロトンシグナルH−2が、D−グリセロール単位のC−2位にO−アシル基が結合している場合に特徴的なδ5.29の吸収を示したことから確認された(G.L.Sassakiら,J.Nat.Prod.,第62巻,1999年,第844頁より)。糖に特徴的な吸収帯をさらに調べることにより、これらの化合物がガラクト脂質であり、そして2つの分子群があることを同定した。これらの分子群は、ジ−O−アシルグリセロール骨格にO−結合しているガラクトピラノースの数が異なることにより分類された。
第一の分子群について、1H NMRと選択的一次元TOCSY(全相関分光法)スペクトルとを組み合わせた分析により、1単位のβ−D−ガラクトピラノシルの存在が突き止められた。実際、グリセロールへのβ−グリコシド化が、アノメリックカーボン(C1’位)が低磁場シフトしていること(δ105)およびプロトン(H1’位)が高磁場シフトしていること(δ4.26)によって、ならびに3JH1’−H2’のカップリング定数が大きな値であること(J>7Hz)によって確認された。さらに、3JH2’−H3’のカップリング定数が大きな値であること(J>9Hz)と共に、糖部に含まれるH4’位のプロトンのカップリング定数が小さな値であること(δ3.86、J<3Hz)により、構成糖がガラクトースであることが判明した。
第二の分子群について、アノマー領域のHSQC(Heteronuclear Single Quantum Correlation:異種核一量子相関)スペクトルを調べることにより、糖部分が二糖からなることが分かった。選択的一次元TOCSYスペクトルにより、1単位のα−D−ガラクトピラノシルおよび1単位のβ−D−ガラクトピラノシルの存在が確認された。H4’がδ3.91(J<3Hz)およびH3’がδ3.53の(J>9Hz)のプロトンシグナルと共にδ4.28(J=7.3Hz)のアノマーシグナルから、D−グリセロール部分とβ−ガラクトピラノース糖とが結合していることが確認できた。H2”がδ3.82(3JH1″−H2″=3.6Hz、3JH2″−H3″=9.5Hz)およびH4”がδ3.94(J<3Hz)のプロトンシグナルと共にδ4.90(J=3.6Hz)のアノマーシグナルから、α−ガラクトピラノース糖の存在が確認された。
最終的に、HMBC(異種核多結合相関:Heteronuclear Multiple Bond Correlation)スペクトルにより、外側に位置するα−ガラクトースのC1″とβ−ガラクトピラノースのH−6’のプロトン対との間に有意な相関が見られたことから、(1″→6’)−O−グリコシド結合が明らかとなった。
これらの結果により、糖部分の糖単位数によってガラクト脂質に2つの群(モノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)およびジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG))があること、およびそれらの脂肪酸の飽和度およびアシル鎖長が異なることが判明した。
2.3.LC−ESI/MSおよびLC−ESI/MS/MS分析
2.3.1.LC−ESI/MS分析
ガラクト脂質の構造をさらに解明するために、C−18 sep−pakカートリッジで分離したメタノール画分を、異なる移動相を用いてLC−ESI/MS分析に供した。詳細には、異なる極性を有するガラクト脂質の分離を向上させるため、有機相率が異なる2つの溶出システムを用いた(すなわち、有機溶媒の含有割合を変更させた)。さらに、移動相に0.2%蟻酸を含むまたは含まずに分析を行い、ガラクト脂質の分離および電子スプレーされた場合の挙動への影響を調べた。実際に、ガラクト脂質含量に富むメタノール画分のMS分析の際の挙動は、溶媒として用いた蟻酸の酸強度にしたがって異なった。
酸性溶媒を用いた溶出条件下で、質量スペクトルは、[M+Na]+イオンに加えて、ガラクトシル部分からの消失が優先的に生じることから、[M+H−162]+および[M+H−180]+のイオンを生じた。さらに、これらの分子種がLC−ESI/MSの装置内で衝突および崩壊を起こすことから、ジアシルグリセロール構造から脂肪酸アシル基が遊離脂肪酸として消失して、他のフラグメントイオンを生じた。これは、一般に[RxCO+74]+イオンフラグメントとして観測される。
これらの実験条件では、[RxCO]+イオンもまた存在した。ここでX=1または2であり、これは、X=1の場合はグリセロール骨格のsn−1位、そして、X=2の場合はsn−2位から遊離し生じたものである。
逆に、非酸性溶出条件では、装置内での自発的なフラグメント化は生じにくく、質量スペクトルは、[M+Na]+イオンのみを示し、[M+H−162]+および[M+H−180]+のフラグメントはわずかも存在しなかった。
これらの結果により、各ガラクト脂質の脂肪酸組成を決定することができた。すなわち、C16:0 パルミチン酸(またはヘキサデカン酸);C18:0 ステアリン酸(またはオクタデカン酸);C18:1 オクタデセン酸;C18:2 オクタデカジエン酸;C18:3 オクタデカトリエン酸;C19:2 ノナデカジエン酸;C20:0 アラキジン酸(またはエイコサン酸);C20:1 エイコセン酸;およびC21:0 ヘンエイコサン酸の中の1つまたは2つの脂肪酸が、ガラクト脂質中の脂肪酸として存在することが分かったが、立体構造については決定できなかった。
2.3.2.LC−ESI/MS/MS分析
LC−ESI/MS/MS実験では、[M+Na]+前駆イオンにより生じる[M+Na−R1CO2H]+および[M+Na−R2CO2H]+のフラグメントの相対強度を算出することによって、アシル鎖の立体構造を決め、そして混合物中に存在するガラクト脂質を同定した。
溶出溶媒の酸強度は、MS/MSスペクトルの断片化パターンにも影響した。実際、MGDG化合物について酸性条件下で測定したLC−ESI/MS/MSのデータは、ガラクトース部分の開裂により生じたフラグメントイオンに加え、[M+H−162]+イオン形成を伴う断片化を検出しやすいことを示した。
DGDG化合物は2つのガラクトシル単位を有するので、そのMS/MSスペクトルでは、二番目の糖(すなわち外側に位置する糖)の消失により[M+H−162]+MGDGイオン誘導体から得られた生成物のフラグメントイオンもまた、検出可能であった。
一方、これまでに言及したフラグメントに加えて、いずれの種類のガラクト脂質(MGDGおよびDGDG)についても、グリコシド結合の開裂(これは、主に中性条件で促進される)によって得られる中性脂肪酸の消失は、[M+Na−R1CO2H]+および[M+Na−R2CO2H]+のフラグメントを生じた。この知見により、これが、脂肪酸組成およびそれらの結合の配置に関する情報を簡便に提供する電子的な分析方法であることが示唆された。
ガラクト脂質アシル鎖中の脂肪酸の不飽和度および二重結合の位置の決定は、MS/MSスペクトルの高分子量領域を分析することによって達成された。
2.4.脂肪酸GC/MS分析
グリセロール骨格の2つの炭素に結合している脂肪酸が何であるかを確認するために、HPLCにより分離された純粋なガラクト脂質をエステル交換反応に供し、得られた脂肪酸メチルエステルをGC/MSにより分析した。純粋なガラクト脂質の脂肪酸組成は、MS/MSスペクトルから推定したものと一致し、そしていくつかの場合、ポリ不飽和脂肪酸二重結合の正確な構造形態も決めることができた。脂肪酸メチルエステルのGC/MS分析により、以下の脂肪酸の存在が確実に立証された:パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1 n−9 シス)、リノール酸(C18:2 n−6 シス)、α−リノレン酸(C18:3 n−3 シス)、ノナデカジエン酸(C19:2)、アラキジン酸(C20:0)、11−エイコセン酸(C20:1 n−9 シス)、およびヘンエイコサン酸(C21:0)。
(実施例1)
MS/MSスペクトルは、MGDGおよびDGDGの中で、Cの数が大きい上位シリーズ(すなわち、グリセロール骨格の2つの炭素に、少なくとも1つはC20:0、C20:1、およびC21:0である脂肪酸が結合している)の化合物について、とりわけ高分子量領域において、より複雑なスペクトルを生じ、既に記載したフラグメントに加えて、種々の強いフラグメントイオンを生じた。
LC−ESI/MSクロマトグラムにおいて、溶出法Bにて71.59分の保持時間で、質量スペクトルがm/z 829.9のピークを示した化合物(表1中の化合物11)が存在した。それは、グリセロール骨格の2つの炭素にエイコセン酸(C20:1)およびリノレン酸(C18:3)が結合しているMGDGにナトリウムが付加している分子に相当した。
図1は、化合物(11)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示す。(a)は全体スペクトルであり、(b)は高分子量領域であり、そして(c)は低分子量領域である。図1(a)では、m/z 519.6および551.5の2つのフラグメントイオンピークが顕著に検出された。これらはそれぞれ、エイコセン酸(C20:1)およびリノレン酸(C18:3)の2つの脂肪酸が消失した結果であると考えられ、それにより、脂肪酸組成を決定できた。MGDG分子における各脂肪酸アシル鎖の結合位置を、[M+Na−RxCO2H]+イオンの相対強度により決定した。具体的には、sn−1位にエイコセン酸(20:1)、およびsn−2位にリノレン酸(18:3)の脂肪酸アシル鎖が存在すると確認された。
文献値によれば、低分子量領域は、糖部に関連したフラグメントイオンを示す。以下、図1(c)に言及して説明する。グリコシド結合の開裂によって、m/z 185.1およびm/z 203.1のフラグメントイオンピークを生じ、これらは、糖環からヒドロキシル基が脱離したもの(m/z 185.1)と保持されたもの(m/z 203.1)にナトリウムが付加したイオンであると判断された。
また、m/z 243.2のフラグメントイオンピークは、ガラクトシルグリセロール骨格から2つの中性脂肪酸が同時に開裂したものである。
さらに、このスペクトル領域では、m/z 261.3、293.2、および335.4のピークも見られ、これらは、既に説明した[R1CO]+、[R2CO]+、および[R2CO+74]+のフラグメントイオンに対応した。
また、m/z 301.3および315.3のナトリウム結合イオンはそれぞれ、一方の脂肪酸が消失すると共に、他方の脂肪酸のアシル鎖の一部分が脱離したことによって形成された。この脱離は、上記他方の脂肪酸のアシル鎖のカルボニル炭素から2つまたは3つ離れた位置の炭素までの部分で生じた。
脂肪酸アシル鎖中の二重結合の位置に関する情報は、以下に説明するように、MS/MSスペクトルの高分子量領域の分析で得られた。
飽和脂肪酸アシル鎖の典型的な断片化では、親イオンからのCnH2nの消失に起因するフラグメントイオンのみが検出可能であった。さらに、不飽和脂肪酸アシル鎖が存在する場合では、CnH2n−2およびCnH2n+2の消失もまた報告されている(Y.H.Kimら,前出)。
そこで、m/z 829.9の[M+Na]+イオンのMS/MSスペクトルの高分子量領域を細かく分析した(図1(b))。この分析により、[M+Na−18]+イオンに起因するm/z 811.9のピークが観察された。これらの後者の2つのピークにより、sn−2脂肪酸アシル鎖のカルボニル炭素から15個離れた位置の炭素に第一の二重結合が位置することが突き止められた。
代わりに、フラグメントイオンの起点がm/z 771.8からm/z 551.5までの範囲の間にあることを説明する、2つの異なる断片化経路が仮定され得た。それらのうち第一の経路は、2つの脂肪酸アシル鎖のもっぱら一方でのフラグメント化に関係するが、それは、エネルギー的に優位ではなく、そこで生じるフラグメントイオンは強度がやや弱い。
それに対して、2つの脂肪酸アシル基が同時に断片化し、検出されると、より多くのフラグメントイオンのピークについて説明することができる。例えば、m/z 811.9のイオンから始まって、m/z 755.8のフラグメントイオンは、sn−2脂肪酸アシル基のC3H4およびsn−1脂肪酸アシル基のCH4のそれぞれの消失、または両アシル鎖の2つのC2H4の消失のいずれかによって形成され得た。
そこで、771.8−551.5の分子量範囲のMS/MSスペクトルを分析した。その結果、sn−2アシル基の二重結合が9番目および12番目の炭素に位置し、そしてsn−1アシル基の二重結合が11番目の炭素に位置していることを突き止め、前者は、9,12,15−オクタデカトリエン酸であることが確認され、および後者は、11−エイコセン酸に起因することが分かった。
C2グリセロール位置に結合している脂肪酸アシル鎖中の二重結合の位置を立証するには、m/z 519.6の[M+Na−R1CO2H]+イオンの断片化経路の分析によるCnH2n、CnH2n−2、およびCnH2n+2の消失の算定もまた有用であった。
明らかに、MS/MSスペクトルの高分子量領域には、[M+Na−180]+イオンによるm/z 649.7のフラグメントイオンのピークもまた生じていた。
(実施例2)
上記実施例1と同じLC−ESI/MSクロマトグラムに、質量スペクトルでm/z 991.9のピークを呈示した、溶出法Bにて保持時間53.08分の化合物(24)が存在した。このピークは、DGDGにナトリウムが付加された分子のイオンに相当した。このDGDGは、グリセロール骨格のSn−3位に2単位のガラクトシルが結合していることを除いて、実施例1のMGDG分子と同じ脂肪酸パターンを提示している。
図2は、化合物(24)のLC−ESI/MS/MSスペクトルを示す。(a)は全体スペクトルであり、(b)は高分子量領域であり、そして(c)は低分子量領域である。MS/MSスペクトル(図2)は、上記実施例1の化合物11のMGDG分子に非常に類似したフラグメント化パターンを示した。
図2(a)に示されるように、[M+Na−R1CO2H]+イオンおよび[M+Na−R2CO2H]+イオンに関連したm/z 681.7および713.7の2つのフラグメントイオンピークが顕著に検出された。これらは、分析している分子中の2つの脂肪酸の立体構造および組成に関して有益であった。このDGDGは、C1グリセロール位置にC20:1アシル鎖を、そしてC2位置にC18:3アシル鎖をそれぞれ提示すると結論した。
この場合、2つの脂肪酸アシル鎖の断片化は、その際に1つの鎖でのみ関与した。m/z 991.9の[M+Na]+イオンで始まり、sn−2アシル鎖での断片化が進行して、最終的に関連プロピル誘導体を生じた(m/z 769.8;図2(b))。
sn−1アシル鎖での断片化についても同じである。この場合、先にsn−2アシル鎖の不完全な断片化で、そして引き続いてsn−1アシル鎖が関与することにより、より強いパターンもまた検出可能であった。
sn−2アシル鎖では、m/z 973.9で[M+Na−18]+イオンから始まって、C2H4の消失により生じたm/z 945.9のフラグメントイオンピークが顕著に検出され、他方、C5H8の消失により生じたm/z 905.9のフラグメントイオンピークが検出された。さらに、C8H12およびC9H12の消失により、m/z 865.9および853.8のイオンピークが生じた。このプロフィールによっても、分析したフラグメント配列への1つ、2つ、および3つそれぞれの二重結合の存在の関与が説明できた。考慮したフラグメント配列の質量範囲に含まれる生じたフラグメントイオンを、より詳細に分析した。この分析により、CnH2nおよびCnH2n−2から1つの炭素が抜けた(n=1の単位が抜けた)と評価され、それらのそれぞれのフラグメントイオンピークが、分子量14または12に相当し、二重結合の位置の指標となる。このようにして、sn−2アシル鎖の二重結合の正確な位置が9番目、12番目、および15番目の炭素にあると決定し、C2グリセロール位置に連結している脂肪酸は、9,12,15−オクタデカトリエン酸であることが確認された。
同様にして、sn−1脂肪酸アシル鎖では、その1つの二重結合がカルボニル炭素から11個離れた炭素に位置していたことが分かった。これにより、C1グリセロール位置に11−エイコセン酸が存在すると結論付けた。
MS/MSスペクトルにm/z 829.9および667.7の2つのフラグメントイオンが存在した。これらのイオンは、各々がガラクトース部分に対応する、2つの連続した分子量162の消失により生じた。このことにより、この糖が、実施例1のMGDG化合物よりも分子量の高い同族化合物であると確認された。
実施例1と同様にして、2つの中性脂肪酸が同時に開裂されることによって、m/z 405.5のナトリウム結合イオンが生成し、他方、一方の脂肪酸アシル鎖の消失、および他方の脂肪酸のアシル鎖の一部分の脱離によって、m/z 463.5および477.5のナトリウム結合イオンが生じた。m/z 533.7および551.7の[M+Na−R1CO2H]+イオンおよび[M+Na−R2CO2H]+イオンが検出されたことから、代わりに、上記一方の脂肪酸アシル鎖が、外側のガラクトースを欠くDGDG分子から消失されたことが説明された。
さらに、MS/MSスペクトルでは、m/z 293.3、335.5、および367.1の[R1CO]+、[R2CO+74]+および[R1CO+74]+フラグメントイオンもまた、示された。
(実施例3)
Cの数が小さい下位シリーズに属するガラクト脂質(すなわち、グリセロール骨格の2つの炭素に、C16:0、18:0、18:1、18:2、18:3、19:2の脂肪酸が結合している構造を有するMGDGおよびDGDG)については、MS/MSスペクトルは、上位シリーズから得られる情報ほど有益ではないようであった。それにも関わらず、上位シリーズに属するガラクト脂質の質量スペクトルとの比較により、これらの化合物についてもまた、精密な構造決定を実施することができた。
これらのスペクトルでは、[M+Na−RxCO2H]+フラグメントイオンが最も顕著に検出され、さらに[M+Na−162]+、[M+Na−180]+、および[RxCO+74]+フラグメントイオンも共に検出された。他に生じたフラグメントイオンはほとんどなかった。
質量スペクトルでm/z 813.9の[M+Na]+イオンを呈示する、LC−ESI/MSクロマトグラムで溶出法Bにて67.47分の保持時間の化合物(7)を例に挙げる。図3は、化合物(7)のMS/MSスペクトルを示す。(a)は全体スペクトルであり、そして(b)は高分子量領域である。図3(a)に示されるように、MS/MSスペクトルは、m/z 519.5および535.5の2つの強いイオンを示した。これらは、[M+Na−R1CO2H]+フラグメントイオンおよび[M+Na−R2CO2H]+フラグメントイオンに相当する。この質量差は、ノナデカジエン酸(C19:2)およびリノレン酸(C18:3)のそれぞれの消失と考えられる。さらに、これらの2つのフラグメントイオン間の強度の差により、ノナデカジエノイル鎖(C19:2)が、sn−1位に結合し、そして他方のアシル鎖が、sn−2位に結合していることが明らかになった。
スペクトルの高分子量領域(図3(b))は、それぞれ[M+Na−162]+および[M+Na−180]+によるm/z 651.8および633.8の2つの生じたフラグメントイオンの存在を示した。さらに、スペクトルの低分子量領域では、m/z 261.3および335.4の[R2CO]+フラグメントイオンおよび[R2CO+74]+フラグメントイオンと共に、m/z 185.1および203.2の既に記載したフラグメントイオンピークが見られた。
実施例1または2に記載するように、アシル鎖中の二重結合の位置は、スペクトルの高分子量領域の断片化パターンの分析により決定した。
この下位シリーズに属するガラクト脂質のMS/MSスペクトルでは、脂肪酸アシル鎖の断片化は、その際に1つの鎖でのみ関与した。これは、Kimら(前出)により報告されたように、両アシル鎖に共通のフラグメントイオンをしばしば生じ、そしてアルキル末端からのCH4の消失から常に始まる。
sn−1アシル鎖では、CnH2nが連続して消失し、m/z 755.8および727.7のフラグメントイオンが生じた。一方、m/z 715.9のフラグメントイオンが生じたことにより、12番目の炭素にω−二重位置があることがマークされた。二番目の二重結合の位置は、CnH2nおよびCnH2n−2の消失に関連したm/z 701.9、687.8、および675.8のイオンにしたがって、9番目の炭素であると立証された。これらの結果により、9,12−ノナデカジエン酸がsn−1グリセロール位置にあると立証された。
sn−2アシル鎖に関する断片化パターンでは、上記のようにCH4がまず消失することによりm/z 797.8のフラグメントイオンが生じ、そしてCnH2n−2の消失によってm/z 757.8のフラグメントイオンが生じていた。CnH2n−2はn=3であり、そして鎖の15番目の炭素に二重結合があることが示唆される。
引き続き、sn−2アシル鎖ではCnH2nおよびCnH2n−2が、そしてsn−1アシル鎖ではCH4が消失したことが、m/z 743.8、727.7、715.9、687.8、および675.8のフラグメントイオンピークが検出されたことにより説明された。これにより、9番目および12番目の炭素に別に2つの二重結合があることを突き止め、そしてsn−2グリセロール位置に9,12,15−オクタデカトリエン酸があることを確認した。
二重結合の位置の決定が正確であることを検証するために、HPLCでの分離により回収した試料をメタノール抽出し、そしてこの化合物をGC/MS分析に供した。保持時間および質量スペクトルに関して脂肪酸メチルエステルの正規標準品と比較したところ、上記の結果と一致した。これにより、この化合物に9,12−ノナデカジエン酸およびα−リノレン酸が存在することが確認できた。
これらの2つの脂肪酸はまた、別のMGDG化合物の脂肪酸の組成分析においても観察された。その化合物は、LC−ESI/MSクロマトグラムで溶出法Bにて73.35分の保持時間で溶出され、そしてMS/MSスペクトルにおいて、m/z 813.55の[M+Na]+イオンを呈示した(表1中の化合物6)。この結果を説明するために、アシル鎖の結合位置が異なると考えた。この化合物におけるMS/MSスペクトルのm/z 535.5および519.5の[M+Na−R1CO2H]+フラグメントイオンおよび[M+Na−R2CO2H]+の2つのフラグメントイオンの相対強度を算定し、sn−1グリセロール位にリノレン酸が、そしてsn−2グリセロール位にノナデカジエン酸が位置していたことを確認した。MS/MSスペクトル研究により、両アシル鎖の二重結合の位置を決め、α−リノレン酸および9,12−ノナデカジエン酸であることが確認された。
(実施例4)
同様に、異なる極性度を有するガラクト脂質の分離を向上させるために2つの溶出法(AおよびB)を用いて溶出した化合物のアシル鎖に対する脂肪酸組成、立体構造、および二重結合の位置によって、混合物中に存在する全てのガラクト脂質を決定した。この結果は、下記の表1および表2に記載したとおりである。したがって、実施例1〜3に記載した化合物(化合物11、24、7および6)に加えて、表1および表2中の化合物1、8〜10、12〜14、17、22、23、25、26により示される新規なガラクト脂質を得ることができた。
以下の表1および表2に、同定されたガラクト脂質の種々の化合物を示す。表1は、構造式(I)を有するMGDGを示し、そして表2は、構造式(II)を有するDGDGを示す。表1および表2中、R1およびR2はそれぞれ、グリセロール骨格のsn−1位に結合している脂肪酸アシル基およびsn−2位に結合している脂肪酸アシル基を示す。脂肪酸アシル基の表記は、生合成を論ずる場合の表記に従う。二重結合の位置は、カルボニル基と反対側から番号を付して記載しているので、例えば、9位、12位、および15位にシス二重結合を有するα−リノレン酸は、「C18:3 n−6 シス」と表記した。
サツマイモの種芋を植え込み、茎の長さ(地面から外に出ている部分の長さ)が150cm程度となるまで栽培した。次いで、サツマイモ苗条の先端部から60cmの部分(苗条の若葉)を刈り取り、水で2回洗浄して1kgのサツマイモ葉を得た。
得られたサツマイモ葉を5mm程度にカットし、pH8.0に調整した2Lの熱水(90℃)へサツマイモ葉を1分間浸漬した。次いで、25℃の水で冷却し、冷却したサツマイモ葉を30秒間遠心分離してある程度まで脱水した。脱水後、水分量が約20質量%となるまで、乾燥機中70℃で2時間温風乾燥(一次乾燥)し、さらに最終水分量が3質量%となるように、80℃で4時間温風乾燥(二次乾燥)した。次いで、150℃の飽和水蒸気を用いて、3秒間加圧蒸気殺菌した。次いで、サツマイモ葉に含まれている水を温風乾燥で乾燥した後、200メッシュ区分を90質量%が通過するようにハンマーミルを用いて微粉砕し、サツマイモ葉の乾燥粉末(80g)を得た。
上記粉末を用いて、下記の配合量で食品(錠剤;200mg/錠)を製造し得る。
<原料> 配合量(質量%)
サツマイモ葉乾燥粉末 5
大麦若葉末 11
アスコルビン酸 10
結晶セルロース 14
ショ糖エステル 4
還元麦芽糖 30
二酸化ケイ素 1
トレハロース 25
(実施例6)
上記実施例5の乾燥粉末を用いて、下記の配合量で食品(顆粒)を製造し得る。
<原料> 配合量(質量%)
サツマイモ葉乾燥粉末 2
ケール乾燥粉末 33
茶カテキン 10
結晶セルロース 20
還元麦芽糖 35
(実施例7)
上記実施例5の乾燥粉末および難消化性デキストリンを用いて、食品を製造し得る。
(実施例8)
上記実施例5の乾燥粉末およびオリゴ糖を用いて、食品を製造し得る。
(実施例9)
上記実施例5の乾燥粉末および乳酸菌を用いて、食品を製造し得る。
本発明のガラクト脂質は、その生物学的活性に基づいて、医薬品、食物および飲料、ならびに化粧品への利用が考えられる。上記生物学的活性としては、例えば、抗腫瘍作用、抗炎症作用、抗酸化作用などが挙げられる。本発明のガラクト脂質は、抗コレステロール作用、血流改善作用などを有する機能性食品、サプリメント、ならびに肌質改善効果、美容効果、および保湿効果を有する化粧料の製造に用いられ得る。
Claims (10)
- 以下の構造式を有するモノガラクトシルジアシルグリセロール化合物であって、
ここで、
R1がパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2がα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1がα−リノレン酸アシル鎖であり、そしてR2が9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1が9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2がα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1がアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2がオレイン酸アシル鎖であるか;
R1がアラキジン酸アシル鎖であり、そしてR2がリノール酸アシル鎖であるか;
R1が11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2がリノール酸アシル鎖であるか;
R1が11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2がα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1が11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2が9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1が11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2が11−エイコセン酸アシル鎖であるか;または
R1がヘンエイコサン酸アシル鎖であり、そしてR2がα−リノレン酸アシル鎖である、化合物
あるいはその誘導体。 - 請求項1に記載のモノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体から選択される少なくとも1つを含有する、食品。
- さらに、麦若葉およびケールからなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項2に記載の食品。
- さらに、難消化性デキストリン、オリゴ糖、および乳酸菌からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項2または3に記載の食品。
- 請求項1に記載のモノガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を製造する方法であって、
(1)サツマイモ葉をメタノール抽出に供する工程、
(2)固相抽出によって低極性画分を分離する工程、および
(3)高速液体クロマトグラフィーを用いて分離する工程
を含む、方法。 - 以下の構造式を有するジガラクトシルジアシルグリセロール化合物であって、
ここで、
R1がパルミチン酸アシル鎖であり、そしてR2が9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;
R1が9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であり、そしてR2がα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1が11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2がパルミチン酸アシル鎖であるか;
R1が11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2がα−リノレン酸アシル鎖であるか;
R1が11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2が9,12−ノナデカジエン酸アシル鎖であるか;または
R1が11−エイコセン酸アシル鎖であり、そしてR2が11−エイコセン酸アシル鎖である、化合物
あるいはその誘導体。 - 請求項6に記載のジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体から選択される少なくとも1つを含有する、食品。
- さらに、麦若葉およびケールからなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項7に記載の食品。
- さらに、難消化性デキストリン、オリゴ糖、および乳酸菌からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項7または8に記載の食品。
- 請求項6に記載のジガラクトシルジアシルグリセロール化合物あるいはその誘導体を製造する方法であって、
(1)サツマイモ葉をメタノール抽出に供する工程、
(2)固相抽出によって低極性画分を分離する工程、および
(3)高速液体クロマトグラフィーを用いて分離する工程
を含む、方法。
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