JPWO2008096790A1 - 腫瘍マーカー糖鎖の解析及び利用 - Google Patents

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Abstract

極めて少量しか手に入らないような組織を出発材料として、腫瘍マーカーである糖鎖を検出及び/又は同定する迅速で且つ簡便な技術の開発。腫瘍組織(又は腫瘍細胞)から糖鎖を簡単な操作で且つ大量に取得できる、糖タンパク質からの糖鎖の調製方法を適用して、糖鎖含有試料を取得して、それに含有される糖鎖成分を詳細に解析し、得られた結果を、同様に正常組織(又は正常細胞)から得られた糖鎖含有試料について得られた結果と比較して、含有される糖鎖成分の差異を検出する。

Description

本発明は、哺乳動物の体から得られた組織(細胞を含む)に存在する糖タンパク質の糖鎖を解析して特異な配列を有する糖鎖を腫瘍マーカーとして同定及び/又は検知する技術、当該技術を使用した組織(細胞を含む)の腫瘍性の判定法、腫瘍診断剤に関する。
がん細胞の目印となる物質を一般的に腫瘍マーカーと呼んでいる。そしてその目印を特異的に認識するモノクローナル抗体などを開発すれば、がんの診断薬などとして使用できると考えられている。これまで多くの腫瘍マーカーが見出されてきているが、腫瘍マーカーは正常細胞でも腫瘍細胞でも作り出されるものであることも知られている。がんにおける陽性率は約80%程度であり、そのため腫瘍マーカー値が低くとも腫瘍がないとは確定できず、一方、高値であっても悪性腫瘍とも言い切れない。さらに、多くの腫瘍マーカーは複数の臓器で作られるため、血清中の腫瘍マーカーの値はあくまでも診断材料の一つであり、現状では複数の腫瘍マーカーや他の検査と組み合わせることにより、正確な診断・判定の試みを行っている。医療現場における、より高精度で高感度且つ臓器特異的なマーカーについてのニーズは非常に高いものがある。
がん細胞は永久に増殖し続けるなどを含めて特有の性状を有しており、がん細胞の形態は正常細胞と大きく異なる場合のあることが知られ、それ故に、がん細胞には特異な分子が存在するのではと考えられ、抗血清を利用してがん特異抗原を研究することが試みられてきた。しかし、ポリクローナル抗体を使用しての研究では、抗原が不明確で再現性が劣るため科学的に実証されたとするには問題があった。ところが、モノクローナル抗体作製技術が開発されると、ヒトがん細胞をマウスに注射後、がん細胞とのみ反応する抗体産生株をハイブリドーマを使用してクローニング及びスクリーニングし、その抗原を決定することが可能となって、がん抗原・がん関連抗原の研究が進展してきた。こうした研究の進展に伴い、細胞表面にある糖鎖の違いもこうした正常細胞とがん細胞のミクロレベルの違いの一つであるとの認識がされるようになってきた。種々の「糖鎖抗原」が腫瘍マーカーとして実用化されている。
近年、糖鎖の生理活性が世界中から注目され、糖鎖合成関連遺伝子のクローニング、糖鎖認識タンパク質の精製、糖鎖構造解析等の研究が世界中で進められている。細胞表面に存在する糖鎖は、タンパク質、脂質の機能を制御するもので、細胞の変化(分化、老化)や、変異(ガン化)に関係しており、がん転位や細胞接着、宿主の免疫機能のコントロール、また、ウイルスの感染にも関与している(非特許文献1:谷口直之編、「わかる実験医学シリーズ ポストゲノム時代の糖鎖生物学がわかる」(ISBN:4-89706-995-5)、羊土社、2002年10月15日)。
生体内にて機能を有する糖鎖(機能糖鎖)は、遺伝子により発現された酵素などを介して間接的に発現され且つその発現量が微量であり、また、その化学構造にも多様性があることから、そうした糖鎖の研究は試料の大量取得が切実な問題であった。また、そうした糖鎖の大量供給ができなければ、たとえ候補の糖鎖物質を検出できても、それにどのような意味があるのか、どのような生理活性を備えているのかについて調べることはほぼ不可能であった。本発明者らのグループは、最近、こうした問題を解決する技術、すなわち、糖鎖を安価に調製できて、安定に供給できる糖タンパク質からの糖鎖の調製方法を提供している〔特許文献1:特願2005-230118(平成17年8月8日出願)〕。
特願2005-230118(平成17年8月8日出願) 谷口直之編、「わかる実験医学シリーズ ポストゲノム時代の糖鎖生物学がわかる」(ISBN:4-89706-995-5)、羊土社、2002年10月15日
しかし、糖鎖は、構成分子が一直線に並んでいる核酸やタンパク質と異なり、枝分かれ構造や立体異性の違いに基づく複雑な構造をしている。そのため有機合成で糖鎖を作る場合、一種類を合成するだけでも半年から1年ほどかかるというように手間と時間がかかる。さらに、糖鎖は構造が複雑であるがゆえに、その分析も非常に困難であり、様々な分析法を組み合わせてもその解析は容易なものでなかった。このように、(1)糖鎖自身の化学構造が多様性を持つこと、(2)簡便で高感度な糖鎖検出法がないこと、(3)腫瘍組織から糖鎖を切り出してくる方法が難しいなどから、糖鎖にターゲットを絞っての腫瘍マーカーである糖鎖に対する抗体を作製することは難しく、これまで実用化された腫瘍マーカーも偶発的に見出されてきたものである。
ところで、上記したように従来法ではがん細胞あるいはがん抗原である糖鎖を含有する細胞ホモジネートなどをマウスなどに注射後、繁雑で時間のかかるスクリーニングをおこなって糖鎖認識がん特異的抗体を見出すと共に、腫瘍マーカーである糖鎖を特定するという手法で、このような従来の手法では、スクリーニングをするのに手間及び時間がかかり、さらに高度な技術を持つといったテクニークも必要であり、最後にはがん特異的抗体が見つからない可能性も高いといった問題がある。
手術で得られるがん組織は、患者への負担などの問題から大量に得ることができない。すなわち、生体から得られる(がん特異的糖鎖を含む)糖鎖が微量であることを意味している。このことは組織から糖タンパク質を効率的抽出し、定量的に糖鎖を切り出し、糖鎖の高感度検出、高精度分離を行わなければ新規の腫瘍マーカーを得ることができない。
こうした問題を解決して、迅速且つ簡単な手法で新規腫瘍マーカーを見出す技術を開発することが求められている。
本発明者等は鋭意研究の結果、腫瘍組織(又は腫瘍細胞)から糖鎖を簡単な操作で且つ大量に取得できる、糖タンパク質からの糖鎖の調製方法を適用して、糖鎖含有試料を取得して、それに含有される糖鎖成分を詳細に解析し、得られた結果を、同様に正常組織(又は正常細胞)から得られた糖鎖含有試料について得られた結果と比較して、含有される糖鎖成分の差異を検出することに成功し、さらにそれが腫瘍マーカーのスクリーニング法として優れた手法であることを見出して、本発明を完成した。
本発明では、次なる態様が提供される。
〔1〕(a)ヒト被検試料、哺乳動物組織、哺乳動物細胞、それらのホモジネート及び破砕物からなる群から選択された被検試料を水性相と有機相との二相に分離する試料抽出溶媒系を用いて抽出処理せしめて、水性層-界面層-有機層からなる三相液状系を形成せしめ、該三相液状系の水性層と有機層との間の界面層を選択的に採取し、
(b)該得られた界面層部分から糖タンパク質を含有する乾燥物試料を調製し、
(c)該乾燥物試料をヒドラジン分解、N-アセチル化、そしてピリジルアミノ化(PA化)せしめてPA化糖鎖を含有する混合物を生成し、
(d)該PA化糖鎖含有物を、
(1)サイズ分画高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
(2)逆相HPLC
及び
(3)質量分析
からなる群から選択された分析に付し、腫瘍マーカーである特定の糖鎖を検出又は同定する
ことを特徴とする腫瘍マーカー糖鎖の検出又は同定法。
〔2〕(a)ヒト被検試料、哺乳動物組織、哺乳動物細胞、それらのホモジネート及び破砕物からなる群から選択された被検試料を水性相と有機相との二相に分離する試料抽出溶媒系を用いて抽出処理せしめて、水性層-界面層-有機層からなる三相液状系を形成せしめ、該三相液状系の水性層と有機層との間の界面層を選択的に採取し、
(b)該得られた界面層部分から糖タンパク質を含有する乾燥物試料を調製し、
(c)該乾燥物試料をヒドラジン分解、N-アセチル化、そしてピリジルアミノ化(PA化)せしめてPA化糖鎖を含有する混合物を生成し、
(d)該PA化糖鎖含有物を水性相と有機相との二相に分離するPA化物抽出溶媒系を用いて抽出処理せしめて、水性相を糖鎖分析用試料として選択的に採取し、
(e)該水性相試料を疎水親和性担体を使用して逆相クロマトグラフィーをして吸着画分を選択的に採取取得して濃縮化糖鎖分析試料を生成し、
(f)該得られた濃縮化糖鎖分析試料を、
(1)サイズ分画高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
(2)逆相HPLC
及び
(3)質量分析
からなる群から選択された分析に付し、腫瘍マーカーである特定の糖鎖を検出又は同定する
ことを特徴とする上記〔1〕記載の腫瘍マーカー糖鎖の検出又は同定法。
〔3〕被検試料として、正常検体試料と腫瘍検体試料を使用し、両者の特定の糖鎖についての検出又は同定結果を比較して、腫瘍マーカーを検出又は特定することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の腫瘍マーカー糖鎖の検出又は同定法。
〔4〕被検試料として、腫瘍であるか否かを調査する組織又は細胞、あるいは、血液又は血清を検体試料として使用して得られ且つ腫瘍マーカーである特定の糖鎖についての検出又は同定結果を利用することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の腫瘍マーカー糖鎖の検出又は同定法。
〔5〕ヒト被検試料、哺乳動物組織、哺乳動物細胞、それらのホモジネート及び破砕物からなる群から選択された被検試料につき、糖鎖のアッセイを行い、下記糖鎖A及びB:
Figure 2008096790
Figure 2008096790
(上記式中、Siaはシアル酸残基、Galはガラクトース残基、Manはマンノース残基、GlcNAcはN-アセチルグルコサミン残基を示す)
からなる群から選択された糖鎖の存在の有無あるいは存在量の大小を、正常組織又は細胞であるか、あるいは腫瘍組織又は細胞であるかの判定の指標とすることを特徴とする正常組織及び細胞又は腫瘍組織及び細胞の判別法。
〔6〕被検試料が、血清、血漿、全血、尿、体液、外科的手術により体外に取り出された乳がんの疑いのある組織及び細胞、がん患者から外科的手術により体外に取り出されたヒト組織及び細胞からなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔5〕記載の判別法。
〔7〕上記〔5〕記載の糖鎖A及びBからなる群から選択された糖鎖の、腫瘍マーカー又は腫瘍と特異的に結合する抗体作製用免疫原としての使用。
本発明の技術は、新規腫瘍マーカー探索法であり、第一にがん特異的な糖鎖の同定を行った後、抗体等のプローブの作製を行うことができるので、従来法に比べて100倍以上のスピ−ドで新規腫瘍マーカーを見つけることができる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
組織から調製したPA化糖鎖試料の逆相HPLCの溶出パターンを示す。 図1で示されている逆相HPLCの溶出画分Aの逆相HPLCの溶出パターンを示す。 図2で示されている逆相HPLCの溶出画分A1のMALDI-TOF MSの結果を示す。 図1で示されている逆相HPLCの溶出画分Bの逆相HPLCの溶出パターンを示す。 図4で示されている逆相HPLCの溶出画分B1のサイズ分画HPLCの溶出パターンを示す。 図4で示されている逆相HPLCの溶出画分B1のMALDI-TOF MSの結果を示す。 ヒト血清試料での糖鎖Aの検出(逆相HPLC)結果を示す。 ヒト血清試料での糖鎖Bの検出(逆相HPLC)結果を示す。
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
本明細書で「糖」とは、糖類、糖質、複合糖質などを含む意味と理解してよく、「糖類」とは、単糖類、単糖類が複数個縮合した小糖類(二糖類、オリゴ糖を含む)、多糖類を指すものである。糖類は、炭素原子とほぼ同数の酸素原子をもつポリヒドロキシアルデヒド、ポリヒドロキシケトン、及びこれらの誘導体(例えば、アミノ基をもつアミノ糖、アルデヒド基又は第一級ヒドロキシ基の部分がカルボキシル基となっているカルボン酸、アルデヒド基やケトン基がヒドロキシ基となっている多価アルコールなど)など、並びに、それらの縮重合体を指すものであってよい。「糖質」とは、糖類を主要な成分としてもつ物質を指すと理解してよく、糖のみから成るものを単純糖質、その他の物質(タンパク質、脂質、合成高分子などを含む)を含むものを複合糖質と考えてよい。本明細書で「糖鎖」とは、タンパク質や脂質に結合した単糖のオリゴマーであり、細胞表面に存在し、タンパク質、脂質の機能を制御するものである。単糖としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン、フルクトース、シアル酸などが挙げられる。糖鎖の結合しているタンパク質は、糖タンパク質と呼ばれる。
本発明の方法では、被検試料より糖タンパク質を豊富に含んでいる試料を調製する。まず、被検試料より糖タンパク質を選択的に抽出するのを容易にするため、組織あるいは細胞などは水性媒体に懸濁した状態のものとするのが好ましく、そうした懸濁物は組織あるいは細胞などを凍結乾燥したり、酵素処理したり、機械的方法や超音波破砕処理などの公知の細胞膜破壊処理にかけて、そのホモジネートあるいは破砕物などにすることにより調製する。これらの細胞膜破壊法は、当該分野で当業者に知られた方法の中から、適宜、適切な方法を選択すればよく、それに限定されるものではないが、市販のホモジナイザーを使用して行うことができる。ホモジネートを調製する際には、それに限定されるものではないが、水又は生理食塩水などの抽出溶液中に被検試料を入れて実施できる。該抽出溶液としては、水、生理食塩水に加え、場合によっては、公知の緩衝液から、適宜、選択してそれを使用することもできるが、脱塩などの処理を省く意味からは、水の使用は好ましい。抽出溶液の使用量としては、適宜、適切な量を選択すればよく、それに限定されるものではないが、被検試料の含水量によっても異なり、通常、組織(又は細胞)に対して容量比あるいは重量比で約1〜20倍量、好ましくは約1.5〜10倍量、より好ましくは約2.0〜7.0倍量であり、代表的な場合約3〜5倍量あるいは約4倍量である。本処理における処理温度は、適宜、適切な温度を選択すればよく、それに限定されるものではないが、凍結しない限りより低温で行うことが好ましく、例えば、氷水でもっての冷却条件下に行うことが好適であるし、ある場合には、室温で行うこともできるし、結果に悪影響を及ぼさない限り常温以上の温度で行ってもよい。ホモジナイザーによる懸濁処理は、充分に均質な懸濁物が得られるように、適宜、ホモジナイゼーション時間、ホモジナイゼーション強度などを選択して実施できる。
該懸濁化被検試料は、水性相と有機相との二相に分離する試料抽出溶媒系を用いて抽出処理せしめられる。本抽出処理で水性層-界面層-有機層からなる三相液状系が形成せしめられるので、該三相液状系の水性層と有機層との間の界面層を選択的に採取する。当該試料抽出溶媒系は、(1)水性相を与えるものとして、水混和性の有機溶媒と(2)有機相を与えるものとして、水に対して非混和性あるいは水難溶性の有機溶媒とを組み合わせたものである。水混和性の有機溶媒としては、当該分野で当業者に知られたものの内から、適宜、適切なものを選択すればよく、それに限定されるものではないが、例えば、アルコール類、エーテル-アルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、グリコールカルボナート、アセトニトリル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、酢酸などが挙げられる。アルコールとしては、低級アルコールを好適に使用できるが、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、グリセリンなどが包含され、特に好ましいものとしては、メタノールが挙げられる。水非混和性あるいは水難溶性の有機溶媒としては、当該分野で当業者に知られたものの内から、適宜、適切なものを選択すればよく、それに限定されるものではないが、例えば、炭化水素、炭化水素の塩素置換体、n-ブチルエーテルなどが挙げられ、好適には、常温で液体の塩素含有炭化水素であれば用いることができよう。炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタンなどが包含され、炭化水素の塩素置換体としては、クロロホルム、トリクロルエチレン、テトラクロルエタン、四塩化炭素、クロルベンゼンなどが包含され、特に好ましいものとしては、クロロホルムが挙げられる。本発明の好ましい試料抽出溶媒系としては、メタノール・クロロホルム系有機溶媒が挙げられるし、クロロホルムに代えて、例えば、ジクロロメタンや、ジクロロエタンを用いることができる。
当該抽出工程に用いる有機溶媒としては、(1)水混和性の有機溶媒:(2)水に対して非混和性あるいは水難溶性の有機溶媒=1:1以外に、分取対象となる糖タンパク質や糖ペプチドの極性に応じて、(1)水混和性の有機溶媒:(2)水に対して非混和性あるいは水難溶性の有機溶媒=4:1から(1)水混和性の有機溶媒:(2)水に対して非混和性あるいは水難溶性の有機溶媒=1:4までの範囲内にて変化させてもよく、所望の結果が得られる限り、それには限定されず、適宜、適切な量比のものを選択することが可能である。本発明の一つの好ましい態様では、当該抽出工程に用いる有機溶媒は、メタノール・クロロホルム系有機溶媒であって、メタノール:クロロホルム=1:1以外に、分取対象となる糖タンパク質や糖ペプチドの極性に応じて、メタノール:クロロホルム=2:1からメタノール:クロロホルム=1:2までの範囲内にて変化させてもよく、さらに他に、水飽和フェノール・クロロホルム系有機溶媒であってもよく、水飽和フェノール:クロロホルム=2:1から1:2までの範囲内の有機溶媒を使用することもできる。
該懸濁化被検試料には水が含有されているので、試料抽出溶媒系と混和され、必要に応じて攪拌処理され、その結果得られた混合物は、水性層-界面層-有機層からなる三相液状系となる。抽出工程を円滑化するために、必要に応じて水をさらに添加してもよい。該懸濁化被検試料と試料抽出溶媒系との混合は、当該分野で当業者に知られた方法の中から、適宜、適切な方法を選択すればよく、それに限定されるものではないが、手で攪拌したり、ボルテックスミキサ(登録商標)などの市販のミキサーあるいは攪拌装置を使用して行うことができる。次に、相分離を促進したりするため、得られた混合液は遠心分離処理に付される。該遠心分離処理は、適宜、適切な条件を選択すればよく、それに限定されるものではないが、1000×g、10分間、低温で遠心分離を行うことが好ましく、例えば、氷水でもっての冷却条件下に行うことが好適であるし、結果に悪影響を及ぼさない限り、適宜、遠心時間、遠心時の温度、遠心の加速度などを選択して実施できる。
得られた三相に分離せしめられた液状混合物は、該三相液状系の水性層と有機層との間の界面層を選択的に採取する処理に付される。
かくして、取り出された界面層部の液は、それに対し、例えば、等重量(W/W)のアセトンを加えて混合した後、そのアセトン混合液を1000×g、10分間、遠心分離するなどの方法で、当該アセトン混合液から、遠心後沈殿物として糖タンパク質に富んだ物質を取り出して得る。この沈殿物を凍結乾燥して、糖鎖分析用の糖タンパク質を多く含有する乾燥試料として取得する。
上記工程を経て得られた糖鎖分析用乾燥試料は、順次、ヒドラジン分解、N-アセチル化、蛍光標識化(例えば、ピリジルアミノ化)せしめられ、粗製蛍光標識化糖鎖含有混合物試料(例えば、ピリジルアミノ化糖鎖含有混合物試料)とされる。これらの工程は、例えば、高橋禮子編著、「生物化学実験法23 糖蛋白質糖鎖研究法(追補版)」(ISBN: 4-7622-2591-6)、学会出版センター (1996年6月)などを参考にすることができるし、さらに、特許文献1:特願2005-230118(平成17年8月8日出願)を参考にすることができる。
当該糖鎖分析用乾燥試料は、密閉性の試験管などの容器に入れ、そこに無水ヒドラジンを加えた後、容器を密封する。当該糖鎖分析用乾燥試料を液中に完全に溶解せしめた後、混合物を、例えば、約90℃〜100℃で約8〜10時間反応させる。本ヒドラジン分解は、当該分野で当業者に知られた方法・条件の中から、適宜、適切な方法・条件を選択して行うことができ、それに限定されるものではないが、好適には約100℃で約10時間反応させる。
反応後、試験管を、室温にて静置して、試験管の温度が室温となるまで低下させる。続いて、上記試験管を開封する。その後、−70℃の冷却トラップ付きの真空ポンプを用い、試験管内のヒドラジンを減圧下にて留去する。次に、試験管内に、液状のヒドラジンがなくなったこと(溶液がなく残存物が固化した状態)を確認した時点で、ヒドラジンと共沸する溶媒、例えばトルエンを加えて撹拌、懸濁後、再度、−70℃の冷却トラップ付きの真空ポンプを用い、試験管内の減圧留去を行う。この操作を、適宜、繰り返して完全にヒドラジンを除去する。こうしてヒドラジン分解処理生成物試料を乾燥物として得る。
上記で得られたヒドラジン分解処理生成物試料を弱アルカリ性の水溶液、例えば、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に溶解し、無水酢酸などのアセチル化剤で処理して、糖鎖のN-アセチル化を行う。本N-アセチル化は、上記ヒドラジン分解処理生成物試料の入った試験管などの容器内に、氷冷した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、無水酢酸とを加え、よく混合する。このとき、ガス(炭酸ガス)が発生する。また、上記試験管内の混合液のpHは中性(pH7)から弱アルカリ性(pH9)である。よく混合し始めてから5分後に、再度、氷冷した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、無水酢酸とを加え、よく混ぜる。この2度目の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および無水酢酸の添加直後にも、ガス(炭酸ガス)が発生する。このガスを十分に発生させ、氷冷保存しながら、時々(例えば、5分間に1回程度)混合しながら、30分間程度反応させる。このとき、上記試験管を、混合していないときには、氷冷浴中にて静置する。本N-アセチル化は、当該分野で当業者に知られた方法・条件の中から、適宜、適切な方法・条件を選択して行うことができる。
上記N-アセチル化で得られた生成物含有液は、脱塩処理に付される。脱塩処理は、通常、陽イオン交換樹脂を使用して行うことができる。陽イオン交換樹脂としては、DowexTM 50Wx8 (H+型, 100-200), DOWEXTM 50(ムロマチテクノス(株))などが挙げられる。脱塩処理は、例えば、上記N-アセチル化生成物含有液を陽イオン交換樹脂充填カラムあるいはカートリッジに通したり、あるいは該N-アセチル化生成物含有液に粒子状の陽イオン交換樹脂を液のpHが3付近になるまで添加し、ミニカラムに移し、その樹脂体積の5倍量の水で十分に洗浄し、溶出液(素通り液)及び洗浄液の双方を回収する。糖鎖は、陽イオン交換樹脂には吸着されずに上記カラム内を通過するものである。回収した溶液は凍結乾燥する。かくして、乾燥糖鎖含有混合物を得る。
糖タンパク質やグリコサミノグリカンなどの複合糖質から得られる微量の糖鎖を分析するには、感度が高く且つ優れた特異性を有する検出法並びに高い分解能を示す分析法が必要である。そこで検出・分析を容易にするため、糖の還元末端のカルボニル基を蛍光性試薬でもって化学的に標識する(糖鎖蛍光ラベル化法)。代表的な方法として、還元的アミノ化により蛍光標識を導入することができ、例えば、還元剤存在下に芳香族アミンを糖のアルデヒド基に導入し、グリカミンへと導く方法が利用できる。還元剤としては、当該分野で当業者に知られたものの中から、適宜、適切な還元剤を選択すればよく、それに限定されるものではないが、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ボランジメチルアミン錯体などを使用できる。蛍光性試薬としては、当該分野で当業者に知られたものの中から、適宜、適切な蛍光標識化剤(蛍光性試薬)を選択すればよく、それに限定されるものではないが、2-アミノピリジン、2-アミノ安息香酸、2-アミノベンズアミド、3-アミノベンズアミド、エチル p-アミノベンゾエート、p-アミノベンゾニトリル、2-アミノ-6-シアノエチルピリジン、2-アミノアクリドン、7-アミノ-4-メチルクマリン、8-アミノナフタレン-1,3,6-トリスルホン酸、7-アミノナフタレン-1,3-ジスルホン酸、8-アミノピレン-1,3,6-トリスルホン酸などを使用できる。特に好ましい蛍光標識化剤としては、2-アミノピリジンであり、ピリジルアミノ基を導入する蛍光標識法をピリジルアミノ化(PA化: pyridylamination)と呼んでいる。
上記で乾燥物として得られたヒドラジン分解により遊離された(切り出された)糖鎖含有物のピリジルアミノ化について説明する。まず、乾燥糖鎖含有混合物にPA化試薬(例えば、2760mgの2-アミノピリジンを1mlの酢酸にて溶解したもの)を加え、容器内の固形物を完全に溶かし、約90℃で1時間程度反応させる。続いて、還元試薬(例えば、ボランジメチルアミン錯体6gを、酢酸2.4ml、水1.5mlで溶かしたもの)を加え、よく混ぜて、約80℃で35分間程度、反応させる。本還元的アミノ化は、当該分野で当業者に知られた方法・条件の中から、適宜、適切な方法・条件を選択して行うことができ、それに限定されるものではないが、好適には使用蛍光性試薬並びに還元剤に応じて変えることができる。
PA化は、市販の試薬、例えば、GlycoTAGTM、PALSTATIONTM(TaKaRa, Japan)を使用するなどしてよい。
かくして、PA化糖鎖含有物が得られる。
糖質の高感度分析には、上記で得られた粗製PA化糖鎖含有物に混在する過剰の試薬などを除去する。本除去は、水性相と有機相との二相に分離するPA化物抽出溶媒系を用いて抽出処理せしめることによりなされる。本PA化物抽出溶媒系、上記試料抽出溶媒系と同様、(1)水性相を与えるものとして、水混和性の有機溶媒と(2)有機相を与えるものとして、水に対して非混和性あるいは水難溶性の有機溶媒とを組み合わせたものである。水混和性の有機溶媒としては、当該分野で当業者に知られたものの内から、適宜、適切なものを選択すればよく、それに限定されるものではないが、例えば、フェノール類、アルコール類、エーテル-アルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、グリコールカルボナート、アセトニトリル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、酢酸などが挙げられる。好ましくは、水を飽和したフェノールを挙げることができる。水非混和性あるいは水難溶性の有機溶媒としては、当該分野で当業者に知られたものの内から、適宜、適切なものを選択すればよく、それに限定されるものではないが、例えば、炭化水素、炭化水素の塩素置換体、n-ブチルエーテルなどが挙げられ、好適には、常温で液体の塩素含有炭化水素であれば用いることができよう。炭化水素の塩素置換体としては、クロロホルム、トリクロルエチレン、テトラクロルエタン、四塩化炭素、クロルベンゼンなどが包含され、特に好ましいものとしては、クロロホルムが挙げられる。本発明の好ましい試料抽出溶媒系としては、水飽和フェノール・クロロホルム系有機溶媒が挙げられるし、クロロホルムに代えて、例えば、ジクロロメタンや、ジクロロエタンを用いることができる。さらには、メタノール・クロロホルム系有機溶媒であってもよい。また、上記試料抽出溶媒系で言及したものから選択することもできる。本PA化物抽出は、当該分野で当業者に知られた方法・条件の中から、適宜、適切な方法・条件を選択して行うことができ、それに限定されるものではないが、好適には上記試料抽出溶媒系を使用する場合を参考に、適切な方法・条件を選択できる。
例えば、PA化物に、適宜、適当量の水を加え、これに適量の水性フェノール/クロロホルム溶液(水飽和フェノールに等量(V/V)のクロロホルムを混ぜて得られた液)を加え、これをボルテックスミキサーで混ぜる。200×gで約5分間程度遠心し、下層(クロロホルム相)を除去する。得られた水性相(上層)に、再度、適量の水性フェノール/クロロホルム溶液(水飽和フェノールに等量(V/V)のクロロホルムを混ぜ得られた液)を加え、これをボルテックスミキサーで混ぜる。同様に再度、200×gで5分間程度遠心し、下層(クロロホルム相)を除去する。得られた水性相(上層)に適量のクロロホルムを加え、ボルテックスミキサーで混ぜ、200×gで5分間程度遠心し、下層(クロロホルム相)を除去し、得られた水性相(上層)を凍結乾燥する。
こうして得られたPA化物は、さらに逆相クロマトグラフィーにより精製する。本逆相クロマトグラフィーでは、疎水親和性リガンドを有している充填剤をミニカラムあるいはカートリッジに詰めたものを使用して実施できる。疎水親和性リガンドとしては、当該分野で当業者に知られたものの中から、適宜、適切なものを選択すればよく、それに限定されるものではないが、オクタデシル基、ブチル基、ヘキシル基、フェニルプロピル基、及び/又はオクチル基などが挙げられる。充填剤としては、例えば、オクタデシルシリル化シルカゲルなど市販の疎水親和性担体が挙げられる。本逆相クロマトグラフィーは、Waters社などから入手できる市販のミニカラムあるいはカートリッジを使用して簡便に行うことができる。PA化糖含有の溶離液は凍結乾燥することにより固体PA化糖鎖混合物(濃縮化ピリジルアミノ化糖鎖含有試料)として得られる。
こうして得られた濃縮化ピリジルアミノ化糖鎖含有試料は、含有される糖鎖につき、(a)サイズ分画HPLC、(b)逆相HPLC、そして、(c)質量分析からなる群から選択された糖分析に付される。該サイズ分画HPLC、逆相HPLC及び/又は質量分析は、当該分野で当業者に広く知られたものであり、それらを単独で、あるいは、適宜組み合わせて使用して、含有される糖鎖の種類、存否、量の多少などを分析する。該サイズ分画HPLC及び逆相HPLCの担体は、当該分野で当業者に知られたものの中から、適宜、適切なものを選択すればよく、それに限定されるものではないが、本明細書の実施例で使用しているものがあげられる。
サイズ分画HPLC用担体としては、親水性クロマトグラフィー用担体を使用でき、例えば、アミノプロピル基などの第一級アミン残基をリガンドとして結合せしめた担体、第二級アミン残基又は第三級アミン残基を結合させた担体などを使用でき、好ましいものとしては、アミノプロピル基を結合させた高純度球状シリカゲルなどの担体を使用できる。担体は、市販のものを使用でき、そうしたものは東ソー(株)、GL Sciences Inc.などから入手できる。担体の洗浄や溶出には、当該分野で当業者に知られた媒体あるいは緩衝液の内から、適宜、適切なものを選択すればよく、それに限定されるものではないが、例えば、水、アセトニトリル、ギ酸アンモニウム水溶液、酢酸水溶液、トリエチルアミン水溶液、ホウ酸水溶液、水酸化カリウム水溶液、1-ブタノールなど、あるいはそれらの混合物などを使用できる。
逆相HPLC用担体としては、例えば、疎水親和性リガンドを結合させた担体などを使用でき、好ましいものとしては、オクタデシルシリル化シルカゲル、オクチルシリル化シルカゲル、フェニルプロピルシリル化シルカゲルなどの担体を使用できる。担体は、市販のものを使用でき、そうしたものはナカライテスク(株)などから入手できる。担体の洗浄や溶出には、当該分野で当業者に知られた媒体あるいは緩衝液の内から、適宜、適切なものを選択すればよく、それに限定されるものではないが、例えば、水、アセトニトリル、ギ酸アンモニウム水溶液、酢酸水溶液、トリエチルアミン水溶液、ホウ酸水溶液、水酸化カリウム水溶液、1-ブタノール、メタノールなど、あるいはそれらの混合物などを使用できる。
質量分析は、MALDI-TOF MS、MALDI-QIT-TOF MSなどを使用して行うことができ、通常、フラグメントパターンがデータベース化されており、それを利用して糖鎖の種類を同定・特定化できる。例えば、独立行政法人産業技術総合研究所-株式会社島津製作所-三井情報開発株式会社の共同開発の質量分析スペクトルデータベースを用いた糖鎖微量迅速解析システムを利用することもできる。質量分析は、市販のものを使用できる。
本発明に従い、外科的に手術で取り除かれた、腫瘍組織及び正常組織を含んでいるヒト組織について、その糖鎖の抽出及び解析は、具体例では、次に示すようなステップで実施できる。
ヒト組織(正常組織又は腫瘍(がん)組織)
(1) ↓有機溶媒抽出
(2) ↓遠心
界面層(中間層:タンパク画分)
(3) ↓乾燥(凍結乾燥)
(4) ↓ヒドラジン分解(100℃、10時間(h))
(5) ↓N-アセチル化
(6) ↓ピリジルアミノ化
粗製ピリジルアミノ化糖鎖含有混合物試料
(7) ↓フェノール/クロロホルム抽出
(8) ↓逆相カートリッジ
濃縮化ピリジルアミノ化糖鎖含有試料
〔約1日でヒト組織からピリジルアミノ化糖鎖を調製可能〕
ピリジルアミノ化糖鎖
(a) サイズ分画HPLC
(b) 逆相HPLC
(c) 質量分析
濃縮化ピリジルアミノ化糖鎖含有試料は、普通、(1)サイズ分画HPLC→(2)逆相HPLC→(3)質量分析のステップで解析されるが、適宜、サイズ分画HPLCをして逆相HPLC後サイズ分画HPLCをしてから質量分析をするなどしてよい。
ヒト乳がん組織(凍結切片)より、新規腫瘍マーカーとして、上記糖鎖A及び糖鎖Bを同定できた。手術で得られるがん組織は、患者への負担などの問題から大量に得ることができないが、このことは、生体から得られる(がん特異的糖鎖を含む)糖鎖が微量であることを意味している。しかし、本発明によれば、組織から糖タンパク質が効率的に抽出できて、定量的に糖鎖を切り出して、糖鎖の高感度検出、高精度分離を達成し、新規の腫瘍マーカーを得ることが可能となっている。すなわち、本発明は、1.組織からの糖タンパク質の抽出法、2.抽出された糖鎖への簡便な蛍光標識法および分離法、3.腫瘍組織特異的に発現している糖鎖の簡便な検出法の開発に成功して、迅速且つ簡単な手法で新規腫瘍マーカーを見出す技術を提供している。本発明では、腫瘍組織(又は腫瘍細胞)から糖鎖を簡単な操作で且つ大量に取得し、この取得された糖鎖含有試料に含有される糖鎖成分を詳細に解析し、得られた結果を、同様に正常組織(又は正常細胞)から得られた糖鎖含有試料について得られた結果と比較して、含有される糖鎖成分の差異を検出して、腫瘍マーカーの糖鎖を検出又は同定する。一旦、腫瘍マーカー糖鎖が判明すれば、次からは、それを指標に、被検体である組織(又は細胞)について、上記方法で糖鎖を簡単な操作で且つ大量に取得し、この取得された糖鎖含有試料に含有される糖鎖成分を詳細に解析し、得られた結果に腫瘍マーカー糖鎖が存在するか否かを調べたり、定量的な評価、すなわち、ある一定の閾値を超えるか否かを調べて、組織(又は細胞)が腫瘍であるか否かを判定できる。
例えば、糖鎖Aは、それを定量的な測定にかけ、それがある閾値以上の量存在している場合に、被検組織(又は細胞)は腫瘍であると診断できる。また、糖鎖Bについては、それが検出されると、被検組織(又は細胞)は腫瘍であると診断できる。
糖鎖構造が実証されれば、この糖鎖またはその誘導体は、当業者に周知の技術を使用して合成されることができる。実証された糖鎖は、それを使用して抗体の作製、抗原として用いて免疫増強などの免疫系のコントロール、生理活性物質として医薬開発のスクリーニング系など様々な用途に利用できる。
該被検試料は、血清、血漿、全血、尿、体液、腹膜液、脳脊髄液、唾液、羊水、外科的手術により体外に取り出された乳がんの疑いのある組織及び細胞、がん患者から外科的手術により体外に取り出されたヒト組織及び細胞からなる群から選択されたものなどが挙げられる。本発明の方法で検査される試料としては、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液、非流体試料などが使用しうるが、好ましくは生物由来の試料、例えば胸腺、脾臓、卵巣、精巣、胎盤、前立腺、腸(結腸、直腸、小腸を含む)、腎臓、膵臓、肝臓、肺、心臓、骨格筋、脳などのヒトの組織、白血球、血液、関節液、その他の体液、細胞培養液、組織培養液、組織ホモジュネート、生検試料、組織、細胞などが挙げられる。これら個々の検査・測定法を本発明の方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、本発明の手法に関連した測定系を構築すればよい。本発明において、被検試料は、各種プロテアーゼにより処理されたものを使用することもできる。
さらに、本発明は、細胞表面上に腫瘍マーカーを特異的に提示していることを特徴としている乳がんまたは他の疾患を患う患者の血清またはその他の体液といった生体サンプル中の、本発明の腫瘍マーカーに向けられた抗体の検出および/または定量的測定のための方法を提供する。これらの方法は、下記の方法のうちのいずれによっても実現できる。こうした方法には、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ELISA(酵素結合免疫吸着法)、サンドイッチイムノアッセイ、免疫沈降法、沈降反応、ゲル内拡散沈降反応、免疫拡散法、凝集測定、補体結合分析検定、免疫放射定量法、蛍光イムノアッセイ(FIA)、プロテインAイムノアッセイなどの技術を使用すものが挙げられるが、これには限られず、競合および非競合アッセイ系を含めたイムノアッセイ(IA)が含まれる。
本発明で同定された腫瘍マーカー糖鎖は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体(MAb)の産生のための免疫原として使用され得る。ポリクローナル抗体は、標準の方法によって産生され得る。例えば、ポリクローナル抗体は、本発明の腫瘍マーカー糖鎖による動物の免疫およびその後のその血清の回収によって得られる。一般に、初期免疫化後の血清回収前に、1回以上の追加免疫を行うことが好ましい。MAbは、一般に、Kohler and Milstein, Nature, 256: pp.495-497 (1975); Eur. J. Immunol., 6: pp.511-519 (1976)などに記載の方法によって産生され得る。例えば、本発明の腫瘍マーカー糖鎖で免疫化した動物のリンパ節および/または脾臓から免疫細胞を得て、それを骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)と融合せしめ、ハイブリッドセルライン(「ハイブリドーマ」または「クローン」)を形成する。各ハイブリドーマは、単一の型の免疫グロブリンを分泌し、骨髄腫細胞と同様に、際限なく細胞分裂するといった能力を有する。ハイブリドーマを介するMAbの産生に代わる手法としては、バクテリオファージおよびバクテリアを使用するMAb発現ライブラリーの構築である(例えば、Sastry et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: pp.5728-5732 (1989); Huse et al., Science, 246: pp.1275-1281 (1989))。所望の特異性を示す抗体は、当業者に周知の種々の方法で選択される。
本発明の腫瘍マーカー糖鎖の免疫原性を増加させるためには、その化合物をキャリアと組み合わせて用いることができる。適切なキャリアとして、不活化した細菌、キーホール リンペット ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)、チログロブリン、ウシ血清アルブミンおよびそれらの誘導体からなる群から選択されたものが挙げられる。例えば、糖鎖A又は糖鎖B残基の全てまたは一部は、キャリアと結合せられて用いられることができる。本発明の腫瘍マーカー糖鎖は、種々の手段(吸着および共有結合を含む)によってキャリアと結合せしめられることができる。
免疫原としての本発明の腫瘍マーカー糖鎖の使用の代表例は、糖鎖A又は糖鎖B抗原によるマウスの免疫化である。例えば、糖鎖Aを、フロイントの完全又は不完全アジュバントあるいは破傷風トキソイドの懸濁液と混合し、それを尾静脈を介してBALB/cマウスに注射し、そしてこの注射を10日間の間隔で3回繰り返し、最終注射後、免疫したマウスの脾細胞を採取し、骨髄腫細胞と融合する。免疫原と優先的な反応性を示したハイブリドーマを樹立する。
癌についてスクリーンするために腫瘍マーカーの検出を利用する。例えば、糖鎖A又は糖鎖Bを、種々の腫瘍サンプルにつき、抗体を使用して免疫染色して検出する。このようなサンプルとして、結腸癌、乳癌、ホジキン病、胆嚢癌、胃癌由来の組織が挙げられる。例えば、本明細書中に提供される教示によれば、腫瘍関連糖鎖を検出するため、種々の手段(腫瘍マーカー糖鎖に対して特異的な結合をするパートナーの使用を含む)が本発明の方法内で使用され得ることは、当業者にとって明らかである。例えば、本発明の腫瘍マーカー糖鎖について特異的な抗体は、上記のように産生されることができ、免疫複合体の存在は、免疫複合体の形成を可能にするのに十分な条件下および時間で、このような抗体の生物学的サンプルとの接触(例えば、インキュベーション)後、試験されることができる。該パートナーとしては、レクチンであってもよい。
本発明の技術のターゲットである「腫瘍」の例としては、悪性腫瘍が含まれていてよく、例えば、転移をする腫瘍は悪性腫瘍で、一般的にその悪性腫瘍は上皮性と非上皮性のものがあるとされ、ある場合には、がん、肉腫、白血病などに区分して考えられることもあるが、単に「がん」と呼んだ場合、一般人では悪性腫瘍を指すことが多い。本明細書で「がん」とは、広い意味で解釈してよく、単に上皮性の悪性腫瘍と解釈すべきではない。本明細書において「がん」とは、上皮性悪性腫瘍及び非上皮性悪性腫瘍(腫瘍形成性のものも非形成性のものも含む)を包含していてよく、皮膚がん〔メラノーマ(悪性黒色腫)を含めてよい〕、乳がん、卵巣がん、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がんを含めてよい)、膣がん、外陰がん、陰茎がん、睾丸悪性腫瘍(精巣腫瘍を含めてよい)、前立腺がん、膀胱がん、腎がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、咽頭・喉頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん)、舌がん、口唇がん、歯肉がん、上顎がん、食道がん、胃がん、結腸・直腸がん(大腸がん)、肺・気管支がん、胸膜腫瘍、癌性腹膜炎、癌性胸膜炎、肝がん(肝細胞癌、肝内胆管がんを含む)、肝外胆管・胆嚢がん、膵臓がん、膵液腺がん、白血病、悪性リンパ腫、ホジキン病、形質細胞腫、基底細胞腫、繊毛上皮腫、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、悪性血管腫、悪性血管内皮腫、脊髄腫瘍、脳腫瘍(メニンギオーマ、グリオーマ、アストロサイトーマなどを含む)等が挙げられるが、これらに限定されることなく、本発明の腫瘍マーカーを使用することで好ましい結果が得られるものは含まれてよいと理解されるべきである。
本発明では、哺乳動物の体から得られた組織(細胞を含む)に存在する糖タンパク質の糖鎖を解析して特異な配列を有する糖鎖を腫瘍マーカーとして同定及び/又は検知する技術、当該技術を使用した組織(細胞を含む)の腫瘍性の判定法、抗腫瘍医薬及び/又は腫瘍診断剤、更には腫瘍に関連する病気又は疾患の治療及び/又は予防剤並びにその治療及び/又は予防法が提供できる。
明細書及び図面において、用語は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。
MS:質量分析法(mass spectrometry)又は質量分析装置(mass spectrometer)
MALDI: マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(matrix-assisted laser desorption ionization)
TOF MS:飛行時間型質量分析法(time-of-flight mass spectrometry)
MALDI-QIT-TOF MS: マトリックス支援レーザー脱離イオン化四重極イオントラップ飛行時間型質量分析装置
HPLC:高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography)
DHB: 2,5-ジヒドロキシ安息香酸(2,5-dihydroxybenzoic acid)
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
なお、以下の実施例において、特に指摘が無い場合には、具体的な操作並びに処理条件などは、市販の試薬あるいはキットを用いている場合はそれらに添付の指示書(protocols) や添付の薬品等を使用している。
(1)〔微量組織からの糖タンパク質の抽出〕
癌患者より手術により切除されたヒト組織(腫瘍組織及び正常組織を含む)より分離されて、得られたヒト組織(約1g)、腫瘍組織及び正常組織、を使用し、組織ホモジュネート溶液を調製した。組織ホモジネート溶液の調製は、組織に4倍量(volume/volume: V/V)の抽出溶液(蒸留水)を加え(sample:extracting solution=1:4 V/V)、氷水での冷却条件下にホモジナイザーを使って懸濁せしめて行った。ホモジナイザーによる懸濁処理は、充分に均質な懸濁物が得られるように、適宜、ホモジナイゼーション時間、ホモジナイゼーション強度などを選択して実施した。組織に加える抽出溶液としては、水に代えて生理食塩水を使用することもできるし、場合によっては、公知の緩衝液から、適宜、選択してそれを使用することもできる。
上記のようにして得られた組織ホモジネート溶液に対して、サンプル1に対しメタノール1、クロロホルム1を混合し、等容量(V/V)のメタノール・クロロホルム系溶媒(メタノール:クロロホルム=1:1 V/V)を混合し、得られた混合物をボルテックスミキサーで混合した。混合処理は、適宜、処理時間、攪拌速度などを選択して実施した。
組織ホモジネート溶液とメタノール・クロロホルム系溶媒との混合液は、遠心処理に付され、上層(水性相)、界面層(糖タンパク質を多く含有する相)、下層(有機相、すなわち、クロロホルム層)を形成せしめた。当該遠心処理は、該ボルテックス処理混合液を2,000×gで10分間遠心することで行われた。次に、上層と下層を除去して、界面層を取得した。
(2)〔界面層より糖タンパク質を多く含有する乾燥試料の調製〕
得られた界面層部分に対し、9倍量(V/V)のアセトンを加え、得られた混合物をボルテックスミキサーで混合した。混合処理は、適宜、処理時間、攪拌速度などを選択して実施した。得られたアセトン混合液を2,000×gで10分間、遠心処理した。遠心後、形成された沈殿層を液層から分離して、沈殿物を得る。この沈殿物を凍結乾燥機で乾燥せしめ、糖タンパク質を多く含有する試料を乾燥物として得た。
(3)〔ヒドラジン分解〕
糖タンパク質を多く含有する試料として、上記で得られた凍結乾燥物を使用し、糖鎖を遊離せしめるのに、ヒドラジン分解法を適用した。試験管などの容器中の当該乾燥物(0.2 g)に、無水ヒドラジン(0.2 mL)を加え減圧下に密封し、容器密封条件下、固形物を完全に溶かす。固形物が完全に溶解していることを確認後、得られた液状混合物を、100℃で10時間反応させる。反応後、容器を室温にて静置して、容器の温度が室温となるまで冷却後、開封してから、ヒドラジンを減圧留去し、固体状の残留物を得る。ヒドラジンを完全に除去するため、当該残留物にトルエン(0.05 mL)を加え、混合物を攪拌して懸濁後、減圧留去を行った。本トルエンを添加後減圧蒸留する操作は、適宜、複数回を繰り返してもよい。かくしてヒドラジン分解処理生成物試料を乾燥物として得た。
(4)〔N-アセチル化〕
糖鎖のN-アセチル化を無水酢酸を使用して行った。上記工程で得られた乾燥したヒドラジン分解物に、氷冷しながら、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(0.2 mL)を加え、次に無水酢酸(0.008 mL)を加え、得られた混合物を5分間よく混ぜた。無水酢酸の添加は、液が弱塩基性(約pH8.5)となっていることをpH試験紙などで確かめた後に行うこともできる。得られた混合液に、再度、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(0.2 mL)を加え、更に、無水酢酸(0.008 mL)を加えてから、混合物を30分間反応させた。反応中は数回混ぜる。
こうして得られた溶液を陽イオン交換樹脂による脱塩処理にかけた。試料溶液をDOWEXTM 50カラム(4 × 50 mm) (ムロマチテクノス(株))で脱塩した。通常、pH3付近になるまでイオン交換樹脂を加え、樹脂をその5倍以上の水で洗浄するという処理を行うことができる。カラムを5 mLの水で洗浄し、素通り溶液と洗浄溶液を集めてそれぞれ凍結乾燥した。糖鎖は、陽イオン交換樹脂には吸着されずに上記カラム内を通過するものである。
(5)〔ピリジルアミノ化(PA化)〕
ヒドラジン分解処理で糖タンパク質から遊離せしめられた糖鎖の分析を容易にするため、糖鎖を蛍光標識する。2-アミノピリジンを糖の還元末端に結合せしめて、ピリジルアミノ化(PA化)糖を形成する。
凍結乾燥物に0.02 mLのピリジルアミノ化試薬 (552 mgの2-アミノピリジン/0.2 mL酢酸液)を加え、サンプルを溶解し、混合物を90℃で1時間反応させる。これに0.07 mLの還元試薬 (200 mgにボランジメチルアミン錯体に0.08 mL酢酸と0.05 mLの水を加え混ぜて得られる液)を加え、よく混合した後、80℃で35分反応させ、粗PA化物を得た。
(6)〔水性フェノール/クロロホルム抽出〕
PA化物に水0.09 mLを加え、これに0.09 mLの水性フェノール/クロロホルム溶液(水飽和フェノールに等量(V/V)のクロロホルムを混ぜて得られた液)を加え、これをボルテックスミキサーで混ぜる。200 × gで5分間遠心し、下層(クロロホルム相)を除去する。この水性相に0.09 mLの水性フェノール/クロロホルム溶液(水飽和フェノールに等量(V/V)のクロロホルムを混ぜ得られた液)を加え、これをボルテックスミキサーで混ぜる。200 × gで5分間遠心し、下層(クロロホルム相)を除去する。この水性相に0.09 mLのクロロホルムを加え、ボルテックスミキサーで混ぜ、200 × gで5分間遠心し、下層(クロロホルム相)を除去し、得られた水性相を凍結乾燥する。
(7)〔逆相クロマトグラフィー〕
PA化糖鎖混合物を疎水親和性担体を充填してある逆相分取カートリッジを用いた精製処理を行った。乾燥物(PA化糖鎖混合物)に0.02 mLの0.1%酢酸水溶液を加えて混ぜた。こうして得られた液を、Sep PAKTM Plus C18カートリッジ(Waters社)に供し、3 mLの0.1%酢酸水溶液で洗浄後、吸着物は2 mLの30%メタノールを含む0.1%酢酸水溶液で溶離した。こうして得られた溶離液を凍結乾燥した。
(8)〔サイズ分画HPLC〕
分取して得られたPA化糖鎖混合物の凍結乾燥サンプルを下記の液に溶解して、得られた液を次の条件で、サイズ分画した。
HPLC:Gilson社321PumpとWaters社2475蛍光検出器をつないだもの
A: CH3CN
B: 0.2%ギ酸アンモニア緩衝液 (pH 4.4)
カラム:TSKgel Amide 80(4.6 × 10 mm) (TOSOH)
流速:1.0 mL/min
分離条件
Initial: A:B=85:15で平衡化
10分でB濃度を30%まで直線的に上昇させた。
40分間でB濃度を70%まで直線的に上昇させた。
溶出ピークは全て回収して、濃縮処理、例えば、凍結乾燥した。
(9)〔逆相HPLC〕
サイズ分画HPLCの溶出ピーク回収物を緩衝液に溶解して、得られた液を次の条件で逆相HPLCを行った。
HPLC:Waters社アライアンスシステム
A: 20 mM酢酸アンモニア緩衝液 (pH 4.0)
B: 20 mM酢酸アンモニア緩衝液 (pH 4.0)+0.5%1-ブタノール
(a)条件(1)
カラム:COSMOSILTM 5C18P (4.6 × 150 mm) (ナカライテスク(株))
流速:1.5 mL/min
分離条件
Initial: A:B=95:5で平衡化
55分でB濃度を100%まで直線的に上昇させる。
(b)条件(2)
カラム:COSMOSILTM 5C18P (2 × 250 mm) (ナカライテスク(株))
流速:0.18 mL/min
分離条件
Initial: A:B=60:40で平衡化
90分でB濃度を90%まで直線的に上昇させる。
乳がん組織(凍結切片)をヒト組織サンプルとして用いた結果を図1に示す。図1では、がん組織から調製したPA化糖鎖試料(図1上段)と正常組織から調製したPA化糖鎖試料(図1下段)の逆相HPLC〔条件(1)〕の溶出パターンが示してあり、図1のAの部分及びBの部分のピークで顕著な差異が認められた。
上記逆相HPLCの画分A (Fraction A)について、逆相HPLC〔条件(2)〕を行った結果を、図2に示す。図2では、がん組織と正常組織とで比較すると、図2のA1の部分〔画分A1 (Fraction A1)〕のピークで顕著な差異が認められた。画分A1については下記の質量分析を行った。
上記逆相HPLCの画分B (Fraction B)について、逆相HPLC〔条件(2)〕を行った結果を、図4に示す。図4では、がん組織と正常組織とで比較すると、図4のB1の部分〔画分B1 (Fraction B1)〕のピークで顕著な差異が認められた。画分B1については、さらに、サイズ分画HPLC並びに質量分析を行った。
図4の逆相HPLCの溶出画分B1をサイズ分画し、得られた結果を図5に示す。
(10)〔質量分析〕
図2の逆相HPLCの溶出画分A1及び図4の逆相HPLCの溶出画分B1を次の条件で、質量分析、すなわち、MALDI-TOF MSにかけて解析した。
質量分析装置(MALDI-TOF MS): Bruker Daltonics社autoflex IITM
マトリックス: 2,5-dihydroxybenzoic acid (DHB, Bruker Daltonics社)
マトリックス溶液(2,5-dihydroxybenzoic acidを30%エタノール溶液に1 mg/mLで解いたもの)1 μLずつを分析プレートにのせ、乾燥後、試料(10 pmol/μL)を1 μLずつマトリックス溶液が塗布された部分にのせる。これを再度乾燥させ、その上にマトリックス溶液を1 μLのせ乾燥させて分析をおこなう。
図2の逆相HPLCの溶出画分A1のMALDI-TOF MSの結果を図3に示す。
図4の逆相HPLCの溶出画分B1のMALDI-TOF MSの結果を図6に示す。
以上の結果より、上記画分A1は、糖鎖A、そして上記画分B1は、糖鎖Bであると同定された。糖鎖の帰属並びに同定は、質量分析のフラグメントパターンについてのデータベース(glycomod)との照合で確定された。すなわち、糖鎖Aは、ガン化によって発現量が増加した糖鎖であり、糖鎖Bは、ガン化によって新たに出現した糖鎖であると認められた。
Figure 2008096790
糖鎖Aは、マウスの組織などに存在することは知られているが、今回、ヒト組織で腫瘍マーカーとして初めて見出されたものである。また、糖鎖Bは、植物にmajorに存在している糖鎖であるが、これも今回、ヒト組織で腫瘍マーカーとして初めて見出されたもので、それが脳に存在することも認められている。
よって、両糖鎖は新規腫瘍マーカーとして有用で、癌の診断・予知に有用であり、該糖鎖を使用して抗体を作製したり、該糖鎖を特異的に認識するレクチンのスクリーニングに利用可能である。
〔血液中の糖鎖解析方法〕
ヒト乳がん組織より、新規腫瘍マーカーとして2種の糖鎖(A, B)を得た。糖鎖Aはがん化によって発現量が増加し、糖鎖Bはがん化によって新たに出現した糖鎖である。これまで糖鎖Aはマウスの組織などに、糖鎖Bは植物に存在することは知られているが、ヒト組織で腫瘍マーカーとしては初めて見出されたものである。よって、両糖鎖は新規腫瘍マーカーとして、がんの診断予知に有用であると考えられる。
しかしながら、診断業界では血液検査が主流である。そこで、組織からの糖鎖解析法と同様な方法を使って、乳がん患者2例と健常人1名の血清を用いて、該糖鎖の検出を試みたところ、がん患者の血清中に糖鎖AおよびBが存在している事を明らかにした。しかし健常人血清には該糖鎖を認めなかった(図7および図8)。したがって、該糖鎖(A,B)マーカーの臨床応用の可能性が高まった。なお逆相HPLCによる糖鎖A, Bのピークの同定は、精製した各糖鎖のElution timeを参照した。
ヒト血液の糖鎖解析は以下の工程で実施した。なお、工程は基本的には、組織の抽出及び解析法に準じた。
ヒト血液(約0.1mL)
(1) ↓ 遠心
血清
(2) ↓ 乾燥
(3) ↓ ヒドラジン分解 (100℃, 10 h)
(4) ↓ N-アセチル化
(5) ↓ ピリジルアミノ化
※約1日でヒト試料からピリジルアミノ化糖鎖を調製可能
(6) ↓ フェノール/クロロホルム抽出
(7) ↓ 逆相カートリッジ
ピリジルアミノ化糖鎖
(8) ↓ サイズ分画HPLC
(9) ↓ 逆相HPLC
精製した各糖鎖のElution timeより糖鎖A, Bのピークを同定した。
(1) 血清分離
血液を、2,000×gで10分間遠心し、血清を採取する。
(2) 乾燥
血清に9倍量のアセトンを加えボルテックスミキサーで混合する。これを2,000 × gで10分間遠心し、沈殿を凍結乾燥機で乾燥させる。
(3) ヒドラジン分解
乾燥物0.1 gに0.2 mLの無水ヒドラジンを加え、固形物を完全に溶かす。これを100℃で10時間反応させる。反応後ヒドラジンを減圧留去する。トルエンを0.05 mL加え、減圧留去する。
(4) N-アセチル化
乾燥したヒドラジン分解物に氷冷しながら0.2 mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、0.008 mLの無水酢酸を加え、5分間よく混ぜる。これに0.2 mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、0.008 mLの無水酢酸を加え30分間反応させる。反応中は数回数混ぜる。この溶液をDowex50カラム(4 × 50 mm) (ムロマチテクノス)で脱塩をおこなう。カラムを5 mLの水で洗浄し、素通り溶液と洗浄溶液を集めて凍結乾燥する。
(5) ピリジルアミノ化 (PA化)
凍結乾燥物に0.02 mLのピリジルアミノ化試薬 (552 mg/0.2 mL酢酸)を加え、90℃で1時間反応させる。これに0.07 mLの還元試薬 (200 mgにボランジメチルアミン錯体に0.08 mL酢酸と0.05 mLの水を加え混ぜる)を加え、80℃で35分反応させる。
(6) フェノール/クロロホルム抽出
PA化物に0.09 mLの水を加え、これに0.09 mLのフェノール/クロロホルム溶液(水飽和フェノールに等量のクロロホルムを混ぜる)を加え、これをボルテックスミキサーで混ぜる。200 × gで5分間遠心し、下層を除去する。これに0.09 mLのフェノール/クロロホルム溶液(水飽和フェノールに等量のクロロホルムを混ぜる)を加え、これをボルテックスミキサーで混ぜる。200 × gで5分間遠心し、下層を除去する。これに0.09 mLのクロロホルムを加え、ボルテックスミキサーで混ぜ、200 × gで5分間遠心し、下層を除去し、凍結乾燥する。
(7) 逆相カートリッジ
乾燥物に0.02 mLの0.1%酢酸水溶液を加え混ぜる。これをSep PAK Plus C18カートリッジ(Waters社)に供し、3 mLの0.1%酢酸水溶液で洗浄後、吸着物は2 mLの30%メタノールを含む0.1%酢酸水溶液で溶離する。これを凍結乾燥する。
(8) サイズ分画HPLC:
HPLC:Gilson社321PumpとWaters社2475蛍光検出器をつないだもの
A: CH3CN
B: 0.2%ギ酸アンモニア緩衝液 (pH 4.4)
カラム:Inertsil(登録商標)NH-2 (4.6 × 150 mm) (GL Sciences Inc.)
流速:1.5 mL/min
分離条件
Initial: A:B=85:15で平衡化
10分でB濃度を30%まで直線的に上昇させる。
40分間でB濃度を70%まで直線的に上昇させる。
(9) 逆相HPLC:
HPLC:Waters社アライアンスシステム
A: 20 mM酢酸アンモニア緩衝液 (pH 4.0)
B: 20 mM酢酸アンモニア緩衝液 (pH 4.0)+0.5%1-ブタノール
カラム:Cosmosil 5C18P (2 × 250 mm) (ナカライテスク(株))
流速:0.18 mL/min
分離条件
Initial: A:B=60:40で平衡化
90分でB濃度を90%まで直線的に上昇させる。
乳がん患者2例と健常人1名の血清を用いて、該糖鎖の検出を試みた結果を図7及び図8に示す。なお逆相HPLCによる糖鎖A, Bのピークの同定は、精製した各糖鎖のElution timeを参照した。がん患者の血清中に糖鎖AおよびBが存在していることが明らかである。一方、健常人血清には該糖鎖を認めなかった。したがって、血液を試料とした該糖鎖(A,B)マーカーの臨床応用の有用性が明らかである。
本発明は、ヒト組織など大量入手が不可能な微量の被検試料から、天然型の糖鎖を迅速(短時間で)且つ簡単な操作で、充分量を取得して、糖鎖解析することを可能にするので、マウスに抗体を作らせる前に抗原となる糖鎖をスクリーニングする手間や時間を省くことができ、またその操作も特別な技能を特に必要とするものでなく、汎用性があり、さらに、多くのがん特異的抗体の中から高感度抗体を選定することも可能になる。
本発明は、がん特異的糖鎖を腫瘍マーカーとして迅速に且つ比較的簡単な手法でスクリーニングできることから、同定され且つ特徴付けされた新規腫瘍マーカーを数多く利用可能とすることから、これを利用してがん治療に有用な医薬・診断剤の開発に役立つ。
本発明に係る腫瘍マーカー糖鎖の検出又は同定技術は、医療の発展に寄与できて、医学の分野に好適に利用できる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。

Claims (6)

  1. (a)ヒト被検試料、哺乳動物組織、哺乳動物細胞、それらのホモジネート及び破砕物からなる群から選択された被検試料を水性相と有機相との二相に分離する試料抽出溶媒系を用いて抽出処理せしめて、水性層-界面層-有機層からなる三相液状系を形成せしめ、該三相液状系の水性層と有機層との間の界面層を選択的に採取し、
    (b)該得られた界面層部分から糖タンパク質を含有する乾燥物試料を調製し、
    (c)該乾燥物試料をヒドラジン分解、N-アセチル化、そしてピリジルアミノ化(PA化)せしめてPA化糖鎖を含有する混合物を生成し、
    (d)該PA化糖鎖含有物を水性相と有機相との二相に分離するPA化物抽出溶媒系を用いて抽出処理せしめて、水性相を糖鎖分析用試料として選択的に採取し、
    (e)該水性相試料を疎水親和性担体を使用して逆相クロマトグラフィーをして吸着画分を選択的に採取取得して濃縮化糖鎖分析試料を生成し、
    (f)該得られた濃縮化糖鎖分析試料を、
    (1)サイズ分画高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
    (2)逆相HPLC
    及び
    (3)質量分析
    からなる群から選択された分析に付し、腫瘍マーカーである特定の糖鎖を検出又は同定する
    ことを特徴とする腫瘍マーカー糖鎖の検出又は同定法。
  2. 被検試料として、正常検体試料と腫瘍検体試料を使用し、両者の特定の糖鎖についての検出又は同定結果を比較して、腫瘍マーカーを検出又は特定することを特徴とする請求項1の腫瘍マーカー糖鎖の検出又は同定法。
  3. 被検試料として、腫瘍であるか否かを調査する組織又は細胞、あるいは、血液又は血清を検体試料として使用して得られ且つ腫瘍マーカーである特定の糖鎖についての検出又は同定結果を利用することを特徴とする請求項1の腫瘍マーカー糖鎖の検出又は同定法。
  4. ヒト被検試料、哺乳動物組織、哺乳動物細胞、それらのホモジネート及び破砕物からなる群から選択された被検試料につき、糖鎖のアッセイを行い、下記糖鎖A及びB:
    Figure 2008096790
    Figure 2008096790
    (上記式中、Siaはシアル酸残基、Galはガラクトース残基、Manはマンノース残基、GlcNAcはN-アセチルグルコサミン残基を示す)
    からなる群から選択された糖鎖の存在の有無あるいは存在量の大小を、正常組織又は細胞であるか、あるいは腫瘍組織又は細胞であるかの判定の指標とすることを特徴とする正常組織及び細胞又は腫瘍組織及び細胞の判別法。
  5. 被検試料が、血清、血漿、全血、尿、体液、外科的手術により体外に取り出された乳がんの疑いのある組織及び細胞、がん患者から外科的手術により体外に取り出されたヒト組織及び細胞からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項4記載の判別法。
  6. 請求項4に記載の糖鎖A及びBからなる群から選択された糖鎖の、腫瘍マーカー又は腫瘍と特異的に結合する抗体作製用免疫原としての使用。

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