JPWO2008093484A1 - 弾性境界波装置 - Google Patents
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Abstract
SH型弾性境界波を利用しており、煩雑な工法を採用することなく得ることができ、狭帯域のフィルタや共振子に適した電気機械結合係数を得ることができる弾性境界波装置を得る。ほう酸リチウム系圧電単結晶基板2を用いて形成されており、該ほう酸リチウム系圧電単結晶基板2上にIDT4が形成されており、IDT4を覆うように誘電体3が形成されており、ほう酸リチウム系単結晶基板2と誘電体3との境界を伝搬するSH型弾性境界波を利用しており、ほう酸リチウム系圧電単結晶基板2のオイラー角(φ,θ,ψ)が、図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70または図74のそれぞれにおいて、電気機械結合係数K2が0.3%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数K2が高い領域内のいずれかにある、弾性境界波装置1。
Description
本発明は、圧電単結晶基板と誘電体との境界を伝搬する弾性境界波を利用した弾性境界波装置に関し、より詳細には、圧電単結晶基板としてランガサイト系圧電単結晶基板を用いた弾性境界波装置に関する。
近年、携帯電話機などの様々な電子機器において、発振子や帯域フィルタを構成するために弾性表面波装置が広く用いられている。また、弾性表面波装置に代えて、パッケージ構造の簡略化を図ることができるため、弾性境界波装置が注目されている。
下記の非特許文献1では、128°回転Y板X伝搬のLiNbO3基板上に、SiO2からなる誘電体層が積層されており、両者の界面をストンリー波と呼ばれる弾性境界波が伝搬する構造が開示されている。非特許文献1における理論的な解析によれば、SiO2本来の状態では、LiNbO3基板とSiO2層との境界に変位が集中しないため、発生される波は境界波とはならない。そこで、非特許文献1では、SiO2の弾性的性質を表わすラメ定数μを、SiO2本来の0.3119×1011N/m2から、0.4679×1011N/m2に変更することにより、変位を境界に集中させ、境界波を伝搬させ得ることが示されている。
他方、非特許文献1における実験結果によれば、SiO2の形成条件を種々変更したとしても、境界波が伝搬可能なSiO2膜を形成することはできないことが示されている。
また、下記の特許文献1には、Si基板と、LiNbO3基板とを貼り合わせてなる弾性境界波装置が開示されている。
他方、下記の特許文献2には、第1の媒質と第2の媒質とを積層してなり、第1,第2の媒質間の境界にIDT電極を配置してなる弾性境界波装置が開示されている。ここでは、IDT電極として、低音速であり、密度が大きい金属を用いることにより、IDT電極に振動エネルギーを集中させ、弾性境界波を励振し得るとされている。特許文献2に記載の実施例では、具体的には、LiNbO3基板とSiO2膜との境界にAuからなるIDT電極が配置されている。
中条、山之内、柴山:″層状構造基板における圧電性境界波″,信学技法、US80−4、1980 特開1998−084247号公報
WO2004/070946
中条、山之内、柴山:″層状構造基板における圧電性境界波″,信学技法、US80−4、1980
例えば高周波帯などで用いられる帯域フィルタや共振子として弾性境界波装置を利用する場合、電気機械結合係数が適切な値であり、伝搬損失、パワーフロー角PFA及び周波数温度係数TCFが小さいことが求められる。
伝搬損失、すなわち弾性境界波の伝搬に伴う損失が大きいと、弾性境界波フィルタでは挿入損失が劣化し、弾性境界波共振子では、共振抵抗が小さくなったり、反共振周波数におけるインピーダンスと共振周波数におけるインピーダンスとの比であるインピーダンス比が小さくなったりする。従って、伝搬損失は小さいことが望ましい。
パワーフロー角PFAとは、弾性境界波の位相速度の方向と、弾性境界波のエネルギーが進む群速度の方向との違いを表わす角度である。パワーフロー角PFAが大きいと、IDT電極をパワーフロー角に合わせて傾けて配置する必要がある。そのため、電極設計が複雑となる。また、角度ずれによる損失も生じやすくなる。従って、パワーフロー角PFAは小さいことが望ましい。
他方、温度により弾性境界波装置の動作周波数が大きく変化すると、弾性境界波フィルタの場合には、実用可能な通過帯域幅や阻止帯域幅が狭くなり、弾性境界波共振子の場合には発振回路を構成したときの異常発振の原因となるおそれがある。従って、周波数温度係数TCF、すなわち温度1℃あたりの周波数変化量が小さいことが望ましい。
例えば、弾性境界波を送受信する送信用IDT及び受信用IDTの両外側に反射器を配置することにより、低損失な共振器型フィルタを構成することができる。この共振器型フィルタの通過帯域幅は、弾性境界波の電気機械結合係数K2に依存する。電気機械結合係数K2が大きいと、広い通過帯域を有する弾性境界波フィルタを得ることができる。電気機械結合係数K2が小さいと、通過帯域は狭くなる。従って、弾性境界波装置に用いる弾性境界波の電気機械結合係数K2は、用途に応じて適切な値とすることが必要である。
弾性境界波装置が用いられるシステムにおける要求帯域幅を中心周波数で除算して得られた値である比帯域幅が0.5%以下であるような狭帯域のIFフィルタや比帯域幅が1%以下であるような帯域幅の狭い一部のRFフィルタの場合には、電気機械結合係数K2の適切な範囲は0.1〜2%である。
上述した非特許文献1に記載のSiO2/LiNbO3構造の境界を伝搬する弾性境界波としてストンリー波を用いた場合には、ストンリー波が伝搬可能となるようなSiO2膜を実現することは極めて難しく、従って実測には至っていないのが現状である。
他方、特許文献1に記載の弾性境界波装置では、Si基板とLiNbO3基板とが貼り合わされているが、このような貼り合わせ技術により弾性境界波装置を構成し、境界において弾性境界波を実際に伝搬させることは非常に困難であった。
すなわち、従来の弾性境界波装置では、結晶の異方性を利用して境界部に境界波の振動エネルギーを集中させたり、SiO2膜の変位を調整したり、上記のような困難な基板貼り合わせ技術を用いねばならなかった。
上記特許文献2に開示されている弾性境界波装置では、LiNbO3とSiO2との境界に、低音速の金属によりIDT電極を形成した構造を有するため、簡単な工法で製造可能である。
しかしながら、LiNbO3自体の群遅延時間温度係数TCDが大きいため、SiO2と組み合わせて弾性境界波装置を構成した場合、弾性境界波装置のTCFの絶対値が大きかった。例えば、特許文献2の図5に示されているように、AuからなるIDT電極の厚みが0.05λ、LiNbO3のオイラー角が(0°,90°,0°)である場合、TCF−37ppm/℃であり、その絶対値がかなり大きかった。従って、広帯域のRFフィルタに上記弾性境界波装置を利用することは可能であるが、逆に、温度変化による周波数特性の変動が大きいので狭帯域なフィルタには用いることができなかった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、複雑かつ困難な工法を用いずとも得ることができ、しかも、狭帯域のフィルタや共振子用途に適した電気機械結合係数を有し、さらに伝搬損失、パワーフロー角及び周波数温度係数が小さい、弾性境界波装置を提供することにある。
本願の第1の発明によれば、オイラー角(φ,θ,ψ)のランガサイト系圧電単結晶基板と、前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70または図74において電気機械結合係数K2が0.1%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数K2が高い領域内のいずれかに前記ランガサイト系結晶のオイラー角があり、かつ図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70及び図74のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5の範囲とされていることを特徴とする、弾性境界波装置が提供される。
第2の発明によれば、オイラー角(φ,θ,ψ)のランガサイト系圧電単結晶基板と、前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72または図76において周波数温度係数TCFの絶対値が35ppmであることを示す線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域内のいずれかに前記ランガサイト系結晶のオイラー角があり、かつφが図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72及び図76のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5とされていることを特徴とする、弾性境界波装置が提供される。
第3の発明によれば、オイラー角(φ,θ,ψ)のランガサイト系圧電単結晶基板と、前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73または図77においてパワーフロー角PFAの絶対値が7.5°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかに前記ランガサイト系結晶のオイラー角があり、かつ図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73及び図77のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5の範囲とされていることを特徴とする、弾性境界波装置が提供される。
第1,第2の発明では、好ましくは、前記ランガサイト系結晶のオイラー角が、φが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73または図77においてパワーフロー角PFAの絶対値が7.5°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかにあり、その場合には、パワーフロー角の絶対値を5°以下と小さくすることができる。
また、第1,第3の発明では、好ましくは、前記ランガサイト系結晶のオイラー角が、φが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72、図76において周波数温度係数TCFの絶対値が35ppmであることを示す線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域内のいずれかにあり、その場合には、周波数温度係数TCFを小さくすることができる。
本発明において用いられるランガサイト系圧電単結晶基板は、ランガサイトファミリーと称されているランガサイト系圧電単結晶基板である。このようなランガサイト系圧電単結晶としては、ランガサイト、ランガナイト及びランガタイトからなるランガサイトファミリーから選択した一種を挙げることができる。また、上記ランガサイトとしては、好ましくは、La3Ga5SiO14を用いることができる。なお、ランガナイトとは、ランガサイトにおけるGaの一部をNbに置換した結晶構造を有するものである。より具体的には、ランガナイトとしては、La3Ga5.5Nb0.5SiO14を例示することができる。
上記ランガナイトやランガタイトは、ランガサイトと同様の結晶構造を有し、いずれも温度特性が良好であり、速度が遅く、比較的大きな電気機械結合係数を有するという点において共通しており、特性が類似しているため、良好な性能が得られるカット角はほぼ同等である。
また、本発明においては、好ましくは、上記IDT構成している電極が、密度7800kg/m3以上の導体を用いて形成される。この場合には、伝搬損失を0としてSH型弾性境界波を伝搬させることが可能となり、伝搬損失の小さな弾性境界波装置を提供することができる。
(発明の効果)
(発明の効果)
第1の発明に係る弾性境界波装置では、圧電単結晶基板として、ランガサイト系圧電単結晶基板が用いられ、そのオイラー角(φ,θ,ψ)が上記図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70または図74において電気機械結合係数K2が0.1%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数K2が高い領域内のいずれかにあるため、電気機械結合係数K2を0.1%以上とすることができる。従って、狭帯域のフィルタを形成することが容易となる。よって、第1の発明によれば、弾性境界波フィルタで従来実現困難であった比帯域が例えば0.5%以下であるIDTフィルタや、1%以下であるようなRFフィルタを容易に提供することが可能となる。
第2の発明によれば、圧電単結晶基板としてランガサイト系圧電単結晶基板が用いられ、そのオイラー角が、図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72及び図76において周波数温度係数TCFの絶対値が35ppmであることを示す線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域内のいずれかにあるため、周波数温度係数TCFの絶対値を35ppm以下とすることができる。それによって、温度変化による特性の変化が少ない弾性境界波装置を提供することが可能となる。
第3の発明によれば、圧電単結晶基板としてランガサイト系圧電単結晶基板を用いており、そのオイラー角が、図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73または図77においてパワーフロー角PFAの絶対値が7.5°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかにあるため、パワーフロー角の絶対値を7.5°以下とすることができる。従って、パワーフロー角が大きい場合のような電極設計の煩雑さを回避することができる。また、弾性境界波の位相速度の方向と、弾性境界波のエネルギーが進む群速度の方向とのずれによる損失も生じ難くなる。
1…弾性境界波装置
2…ランガサイト系単結晶基板
3…誘電体
4…IDT
5,6…反射器
2…ランガサイト系単結晶基板
3…誘電体
4…IDT
5,6…反射器
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置の模式的正面断面図及び模式的平面断面図である。
本実施形態の弾性境界波装置1は、ランガサイト系圧電単結晶基板2と、圧電単結晶基板2に積層されたSiO2からなる誘電体3とを有する。圧電単結晶基板2と誘電体3との間には、図1(b)に模式的に示されている電極構造が形成されている。この電極構造は、IDT4と、IDT4の弾性境界波伝搬方向両側に配置された反射器5,6とを有する。IDT4及び反射器5,6は、後述する金属により構成されている。IDT4には、図示のように、交差幅重み付けが施されている。なお、IDT4は重み付けされていなくてもよい。
本実施形態の弾性境界波装置1は、上記電極構造を有する1ポート型の弾性境界波共振子である。
また、弾性境界波装置1では、ランガサイト系の圧電単結晶基板2を伝搬する遅い横波よりもSH型弾性境界波の音速が低音速となるように、かつ誘電体3を伝搬する遅い横波よりもSH型弾性境界波の音速が低音速となるように、IDT4の厚みが設定されている。そのため、SH型の弾性境界波を利用した弾性境界波装置1が構成されている。
ランガサイト系の単結晶基板2のような圧電体と、誘電体3との界面にIDTを形成した構造において、圧電体及び誘電体を伝搬する各遅い横波の音速よりも、SH型弾性境界波の音速を低くすることにより、SH型弾性境界波を界面に伝搬させ得ることは、例えば、前述した特許文献3などに開示されている。
上記弾性境界波装置1において、ランガサイト系圧電単結晶基板2として、ランガサイト(La3Ga5SiO14)を用いて、かつIDT4及び反射器5,6を構成する電極材料として、Ni、Mo、Fe、Cu、W、Ag、Ta、AuまたはPtを用いた場合の、電極の厚みと、SH波を主成分とするSH型境界波の音速、電気機械結合係数K2、伝搬損失α及び周波数温度係数TCFとの関係を求めた。なお、計算は、以下の条件に従って文献「A method for estimating optimal cuts and propagation directions for
excitation and propagation direction for excitation of piezoelectric surface
waves」(J.J.Campbell and W.R.Jones,IEEE Trans.Sonics and
Ultrason.,bol.SU-15(1968)pp.209-217)に開示されている方法により行った。
excitation and propagation direction for excitation of piezoelectric surface
waves」(J.J.Campbell and W.R.Jones,IEEE Trans.Sonics and
Ultrason.,bol.SU-15(1968)pp.209-217)に開示されている方法により行った。
なお、開放境界の場合には、SiO2とAuからなる電極、Auからなる電極とLa3Ga5SiO14との境界における変位、電位、電束密度の法線成分及び上下方向の応力が連続で、La3Ga5SiO14とSiO2の厚さを無限とし、Auからなる電極の比誘電率を1として音速と伝搬損失を求めた。また、短絡境界の場合には、SiO2とAuからなる電極、Auからなる電極とLa3Ga5SiO14との各境界における電位を0とした。また、電気機械結合係数K2は、下記の式(1)により求めた。なお、式(1)においてVfは開放境界の音速、Vmは短絡境界の音速である。
K2=2|Vf−Vm|/Vf …式(1)
周波数温度係数TCFについては、20℃、25℃及び30℃における境界波の音速V〔25℃〕、V〔25℃〕及びV〔30℃〕により、下記の式(2)により求めた。
周波数温度係数TCFについては、20℃、25℃及び30℃における境界波の音速V〔25℃〕、V〔25℃〕及びV〔30℃〕により、下記の式(2)により求めた。
TCF=V〔25℃〕-1×{(V〔30℃〕−V〔20℃〕)÷10℃}−αs …式(2)
なお、式(2)において、αsは境界波伝搬方向におけるLa3Ga5SiO14基板の線膨張係数である。
なお、式(2)において、αsは境界波伝搬方向におけるLa3Ga5SiO14基板の線膨張係数である。
また、La3Ga5SiO14の任意のオイラー角(φ,θ,ψ)におけるパワーフロー角PFAは、ψ−0.5°、ψ及びψ+0.5°における境界波の音速Vに基づき式(3)により求めた。
PFA=tan-1{V〔ψ〕-1×(V〔ψ+0.5°〕−V〔ψ−0.5°〕)} …式(3)
上記La3Ga5SiO14単結晶基板2のオイラー角を種々変更し、弾性境界波共振子としての弾性境界波装置1を作製した場合の電気機械結合係数K2、周波数温度係数TCF、パワーフロー角PFA及びSH型境界波の音速Vの変化を計算した。結果を図2〜図76に示す。なお、図2〜図76において、図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70または図74は、La3Ga5SiO14のオイラー角のφが、それぞれ、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合の結果を示し、各図において、電気機械結合係数K2と、オイラー角のθ及びψとの関係が示されている。
上記La3Ga5SiO14単結晶基板2のオイラー角を種々変更し、弾性境界波共振子としての弾性境界波装置1を作製した場合の電気機械結合係数K2、周波数温度係数TCF、パワーフロー角PFA及びSH型境界波の音速Vの変化を計算した。結果を図2〜図76に示す。なお、図2〜図76において、図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70または図74は、La3Ga5SiO14のオイラー角のφが、それぞれ、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合の結果を示し、各図において、電気機械結合係数K2と、オイラー角のθ及びψとの関係が示されている。
同様に、図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72または図76は、それぞれ、La3Ga5SiO14のオイラー角のφが、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合の結果をそれぞれ示し、各図においては、周波数温度係数TCFと、オイラー角のθ及びψとの関係が示されている。
同様に、図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73または図77は、それぞれ、La3Ga5SiO14のオイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合の結果をそれぞれ示し、各図においては、パワーフロー各PFAと、オイラー角のθ及びψとの関係が示されている。
また、図3、図7、図11、図15、図19、図23、図27、図31、図35、図39、図43、図47、図51、図55、図59、図63、図67、図71、図75は、それぞれ、La3Ga5SiO14のオイラー角のφが、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合の結果をそれぞれ示し、各図においては、SH型の境界波の音速Vと、オイラー角のθ及びψとの関係が示されている。
なお、条件は以下の通りである。
構造:La3Ga5SiO14圧電単結晶基板については、オイラー角を種々変更し、その厚みは無限大とした。SiO2についても厚みは無限大とした。IDT電極はAuからなり、その厚みは0.09λとした。
図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70または図74において、電気機械結合係数K2が0.1%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数K2が大きい領域にオイラー角がある場合には、電気機械結合係数K2が0.1%以上となり、例えば比帯域幅が1%以下のような狭帯域のフィルタや共振子を構成し得ることがわかる。
また、図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70または図74において、オイラー角を電気機械結合係数が0.2%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数K2が大きい領域内とした場合には、電気機械結合係数K2を0.2%以上とすることができ、やや広い帯域幅のフィルタや共振子を構成し得ることがわかる。さらに、オイラー角を電気機械結合係数K2が0.3%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数K2が大きい領域内とすれば、電気機械結合係数K2を0.3%以上とすることができ、より一層広帯域のフィルタや共振子を形成できる。オイラー角を電気機械結合係数K2が0.5%以上であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数K2が大きい領域内とすれば、電気機械結合係数K2が0.5%以上となり、ランガサイト系圧電単結晶基板を用いた弾性境界波装置としては最大の帯域幅を得ることができる。
また、図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72、図76の周波数温度係数TCFの絶対値が35ppmであることを示す線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域内とすれば、周波数温度係数TCFの絶対値を35ppm以下とし得ることがわかる。従って、周波数温度係数TCFが小さいフィルタや共振子を得ることができる。
好ましくは、図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72、図76のオイラー角をTCFの絶対値が29ppmであることを示す線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域内とすれば、周波数温度係数TRCFの絶対値を29ppm以下とすることができ、より好ましくは、オイラー角をTCFの絶対値が26ppmであることを示す線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域内とすれば、TCFの絶対値を26ppm以下とすることができる。さらに好ましくは、オイラー角をTCFの絶対値が20ppmである線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域内とすれば、TCFの絶対値を20ppm以下とすることができる。よって、より一層温度変化による特性の変動を小さくすることができ、従って、例えば狭帯域のフィルタや共振子を構成した場合においても、温度変化による周波数特性の変化を小さくすることが可能となる。
さらに、図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73または図77から、La3Ga5SiO14圧電単結晶基板のオイラー角をパワーフロー角PFAの絶対値が7.5°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内とすれば、パワーフロー角PFAの絶対値を7.5°以下とすることができ、パワーフロー角の小さいフィルタや共振子を構成し得ることがわかる。
より好ましくは、図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73または図77において、La3Ga5SiO14のオイラー角を、パワーフロー角PFAの絶対値が4.5°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内とすることにより、パワーフロー角PFAの絶対値を4.5°以下とすることができ、さらに好ましくは、オイラー角を、パワーフロー角の絶対値が1.5°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内とすることにより、パワーフロー角の絶対値を1.5°以下とすることができる。そのため、パワーフロー角に起因する伝搬損失がより一層小さいフィルタや共振子を提供することができる。
なお、図2〜図77において、La3Ga5SiO14のオイラー角のφは、それぞれ、10°、20°、30°、……、180°の場合の結果を示したが、オイラー角のφは、各図におけるφの値をX°としたときに、X−5>φ≧X+5の範囲内であれば、φ=Xの場合と同様の結果が得られることが確かめられている。
なお、上記実験例では、圧電単結晶基板としてLa3Ga5SiO14圧電単結晶を用いたが、他のランガサイト系圧電単結晶を用いてもよい。すなわち、ランガサイト系圧電単結晶とは、前述したように、ランガサイトファミリーと称されている圧電単結晶を広く含むものとする。このようなランガサイトファミリーとしては、ランガサイト、ランガナイト、ランガタイトなどが挙げられる。ランガナイトは、ランガサイトにおけるGaの一部をNbに置換した構造を有し、例えば、La3Ga5.5Nb0.5SiO14を例示することができる。
上記ランガナイト及びランガタイトは、ランガサイトと同様に、温度特性が良好であり、速度が遅く、比較的大きな電気機械結合係数を有するという特徴を有する。すなわち、ランガナイト及びランガタイトは、ランガサイトと同様の特性傾向を示すため、弾性境界波装置を構成した場合の良好な性能が得られるオイラー角範囲は、ランガサイトの場合と同様であると考えられる。従って、本発明においては、ランガサイトに変えて、ランガナイトまたはランガタイトを用いてもよい。
図78、図79は、上記実施形態、すなわち、La3Ga5SiO14と誘電体としてのSiO2との間の境界にAuからなるIDTを配置した構造における、IDTにおける膜厚と、SH型弾性境界波の伝搬特性との関係を示す各図である。すなわち、図78は、SH型弾性境界波の音速V(m/秒)の変化を示し、図79は伝搬損失α(dB/λ)の電極膜厚による変化を示す。
他方、図80は、La3Ga5SiO14からなる圧電単結晶基板と、ポリ−Siからなる誘電体との境界にAuからなるIDT電極を配置した変形例におけるIDTの膜厚すなわち電極膜厚の変化によるSH型弾性境界波の伝搬特性の変化を示す図である。図80では、伝搬損失α(dB/λ)の電極膜厚の変化による変化が示されている。
図78から明らかなように、当然のことながら、電極の厚みが厚くなると音速Vが遅くなっていくことがわかる。しかしながら、図79及び図80から明らかなように電極の厚みがある値を超えると伝搬損失αが0となることがわかる。同様に電気機械結合係数K2(%)についても、電極の厚みがある特定範囲にあるときに大きな値とされ得ることがわかる。さらに、電極の厚みが厚くなると周波数温度係数TCFが低くなる傾向があることがわかる。
従って、誘電体としてSiO2あるいはポリ−Siのいずれを用いた場合においても、IDT電極を構成している電極の膜厚を調整することにより、適切な値の電気機械結合係数K2を実現したり、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくし得ることがわかる。従って、好ましくは、上記ランガサイト系圧電単結晶基板のオイラー角だけでなく、IDTの膜厚を調整することによっても、電気機械結合係数K2を適切な値としたり、周波数温度係数TCFの絶対値をより小さくすることが可能である。
また、図79及び図80から明らかなように、電極膜厚がある値を超えると、伝搬損失αを0とし得ることがわかる。もっとも、Auに変えて、密度が2699kg/m3であるAlや、密度が4540kg/m3であるTiを用いてIDT電極を形成した場合についても検討したところ、伝搬損失αが0となる範囲は認められなかった。そこで、上記実施形態の弾性境界波装置1において、IDTを構成している電極を材料を種々変化させて、伝搬損失0となる電極厚みを測定した。結果を図81に示す。
図81から明らかなように密度が7800kg/m3以上であるZn、Cu、Ag、Auを用いた場合には、伝搬損失が0となる電極膜厚が存在得ることが確かめられている。なお、密度2699kg/m3であるAlや密度が4540kg/m3であるTiを用いた場合には、伝搬損失0となる条件は見出されなかった。従って、好ましくは、本発明においては、IDT構成している導体として、密度が7800kg/m3以上の導体が用いられる。
なお、IDT電極を構成する金属材料は特に限定されず、Au以外に、上記計算例において例示したNi、Mo、Fe、Cu、W、Ta、AuまたはPtあるいはこれらを主体とする合金を用いてもよい。
さらに、誘電体として、SiO2を用いたが、他の誘電体、例えばSi、ガラス、SiC、ZnO、Ta2O5、AlN、Al2O3またはダイヤモンドライクカーボンなどを用いてもよい。また、これらの誘電体を構成する材料を積層してもよい。このような他の誘電体を用いた場合においても、図2〜図76を参照して説明したオイラー角範囲を採用することにより、上記実験例と同様に、電気機械結合係数K2を適切な範囲とし、周波数温度係数TCFやパワーフロー角PFAの絶対値を小さくすることができる。
また、SiO2は周波数温度係数TCFを正にシフトさせる材料である。従って、図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72または図76において周波数温度係数TCFが大きくなっている条件は、SiO2によるTCFを正にシフトする傾向が強い場合と考えられる。従って、SiNのように、周波数温度係数TCFを負にシフトさせる材料とSiO2に代えて用いられ、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができる。よって、上記オイラー角として電気機械結合係数K2が十分大きな範囲を採用し、誘電体としてSiNを用いれば、電気機械結合係数K2が大きく、しかも周波数温度係数TCFの絶対値が小さい、弾性境界波装置を得ることができる。
また、本発明に係る弾性境界波装置では、上記誘電体のランガサイト系圧電単結晶基板とは反対側の面にさらに上記誘電体とは異なる誘電体が積層されていてもよい。
また、ランガサイト系圧電単結晶基板/IDT/誘電体からなる構造の外側に、弾性境界波装置の強度を高めるために、あるいは腐食性ガスの進入を防止するために保護層を形成してもよい。保護層としては、ポリイミド、エポキシ樹脂、酸化チタン、窒化アルミ、酸化アルミニウムなどの適宜の絶縁性材料、あるいはAu、AlまたはWなどの金属膜を用いることができる。また、場合によっては、本発明に係る弾性境界波装置は、パッケージに封入されていてもよい。
なお、本明細書において、オイラー角、結晶軸及び等価なオイラー角とは以下の内容を意味するものとする。
オイラー角
本明細書において、基板の切断面と、境界波の鉄板方向を表現するオイラー角(φ,θ,ψ)は、文献「弾性波素子技術ハンドブック」(日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会、第1版第1刷、平成3年11月30日発行、549頁)記載の右手系オイラー角を用いた。すなわち、ランガサイト系圧電単結晶の結晶軸X、Y、Zに対し、Z軸を軸としてX軸を反時計廻りにφ回転しXa軸を得る。次に、Xa軸を軸としてZ軸を反時計廻りにθ回転しZ′軸を得る。Xa軸を含み、Z′軸を法線とする面を基板の切断面とした。そして、Z′軸を軸としてXa軸を反時計廻りにψ回転した軸X′方向を表面波の伝搬方向とした。また、Y軸が上記回転により移動して得られるX′軸とZ′軸と垂直な軸をY′軸とした。
本明細書において、基板の切断面と、境界波の鉄板方向を表現するオイラー角(φ,θ,ψ)は、文献「弾性波素子技術ハンドブック」(日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会、第1版第1刷、平成3年11月30日発行、549頁)記載の右手系オイラー角を用いた。すなわち、ランガサイト系圧電単結晶の結晶軸X、Y、Zに対し、Z軸を軸としてX軸を反時計廻りにφ回転しXa軸を得る。次に、Xa軸を軸としてZ軸を反時計廻りにθ回転しZ′軸を得る。Xa軸を含み、Z′軸を法線とする面を基板の切断面とした。そして、Z′軸を軸としてXa軸を反時計廻りにψ回転した軸X′方向を表面波の伝搬方向とした。また、Y軸が上記回転により移動して得られるX′軸とZ′軸と垂直な軸をY′軸とした。
結晶軸
また、オイラー角の初期値として与えるランガサイト系圧電単結晶の結晶軸X、Y、Zは、Z軸をc軸と平行とし、X軸を等価な3方向のa軸のうち任意の一つと平行とし、Y軸はX軸とZ軸を含む面の法線方向とした。
また、オイラー角の初期値として与えるランガサイト系圧電単結晶の結晶軸X、Y、Zは、Z軸をc軸と平行とし、X軸を等価な3方向のa軸のうち任意の一つと平行とし、Y軸はX軸とZ軸を含む面の法線方向とした。
Claims (9)
- オイラー角(φ,θ,ψ)のランガサイト系圧電単結晶基板と、
前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、
前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、
前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、
オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70または図74において電気機械結合係数K2が0.1%であることを示す線及び該線よりも電気機械結合係数K2が高い領域内のいずれかに前記ランガサイト系結晶のオイラー角があり、かつ図2、図6、図10、図14、図18、図22、図26、図30、図34、図38、図42、図46、図50、図54、図58、図62、図66、図70及び図74のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5の範囲とされていることを特徴とする、弾性境界波装置。 - オイラー角(φ,θ,ψ)のランガサイト系圧電単結晶基板と、
前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、
前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、
前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、
オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72または図76において周波数温度係数TCFの絶対値が35ppmであることを示す線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域内のいずれかに前記ランガサイト系結晶のオイラー角があり、かつφが図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72及び図76のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5とされていることを特徴とする、弾性境界波装置。 - オイラー角(φ,θ,ψ)のランガサイト系圧電単結晶基板と、
前記圧電単結晶基板上に形成されたIDTと、
前記IDTを覆うように前記圧電単結晶基板上に形成された誘電体とを備え、
前記圧電単結晶基板と前記誘電体との境界においてSH型弾性境界波が伝搬される弾性境界波装置であって、
オイラー角のφが0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°の場合をそれぞれ示す図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73または図77においてパワーフロー角PFAの絶対値が7.5°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかに前記ランガサイト系結晶のオイラー角があり、かつ図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73及び図77のそれぞれにおけるφの値をX°としたときに、φがX−5>φ≧X+5の範囲とされていることを特徴とする、弾性境界波装置。 - 前記オイラー角が、図5、図9、図13、図17、図21、図25、図29、図33、図37、図41、図45、図49、図53、図57、図61、図65、図69、図73または図77においてパワーフロー角PFAの絶対値が7.5°であることを示す線及び該線よりもPFAの絶対値が小さい領域内のいずれかにある請求項1または2に記載の弾性境界波装置。
- 前記オイラー角が、図4、図8、図12、図16、図20、図24、図28、図32、図36、図40、図44、図48、図52、図56、図60、図64、図68、図72または図76において周波数温度係数TCFの絶対値が35ppmであることを示す線及び該線よりもTCFの絶対値が小さい領域にある、請求項1または3に記載の弾性境界波装置。
- 前記ランガサイト系圧電単結晶が、ランガサイト、ランガナイト及びランガタイトからなる郡から選択された一種の圧電単結晶である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性境界波装置。
- 前記ランガサイトが、La3Ga5SiO14である、請求項6に記載の弾性境界波装置。
- 前記ランガナイトが、La3Ga5.5Nb0.5SiO14である、請求項6に記載の弾性境界波装置。
- 前記IDTを構成している電極の密度が7800kg/m3以上の導体を用いて形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の弾性境界波装置。
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