JPWO2008069303A1 - フラノース誘導体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、高選択的・高収率に、工業的に適切な方法でリボフラノース誘導体のβ−アノマーを製造する方法を提供することである。本発明によれば、2,3,5−トリ−O−アシル−1−O−アルキル−リボフラノース及び、2,3−ジ−O−アシル−1−O−アルキル−5−デオキシリボフラノースのアセトリシス反応において、反応試剤の使用量の調整、及び/又は貧溶媒の使用によって、生成するフラノース誘導体のうちβ−アノマーを析出させることを特徴とするリボフラノース誘導体の製造方法が提供される。

Description

本発明は、フラノース誘導体の製造方法、詳しくはアノマー位の水酸基が、アシル化されたフラノース類のα,β−混合物の製造において、β−アノマーを反応系中で晶出させることにより、β−アノマーの生成量を増加させて効率よく製造する方法に関する。本発明の方法で製造されるフラノース誘導体は、薬理活性物質である核酸誘導体の合成中間体として有用である。
糖類を医農薬中間体等として用いる場合、立体選択的に製造を行うが、この場合、工業的な観点からは、目的外の立体異性体の生成を抑制し、目的の立体異性体を効率よく製造することが好ましい。加えて、出発原料となるフラノース及びまたはフラノース誘導体の前駆体が入手困難であったり、高価であるため、目的の立体異性体のフラノース誘導体を、工業的に効率的に製造する方法が望まれている。
例として、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3等に開示されている通り、特定の立体構造を有するフラノース誘導体と特定の含窒素複素環化合物とを縮合させることにより得られる核酸誘導体は、抗ウイルス作用や抗癌作用を示す薬理活性物質として非常に有用である。例えば、1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノースや1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースは、抗ウイルス薬として有用なことが知られている核酸誘導体、例えば、(特許文献1に記載の)Clevudineや(非特許文献2に記載の)L-Ribavirin(Levovirin)に誘導可能である。また、1,2,3−トリ−O−アセチル−5−デオキシ−β−D−リボフラノースは、例えば、(非特許文献3に記載の)Capecitabineに誘導可能である。
含窒素複素環化合物と縮合させるためのフラノース誘導体としては、1,2,3および5位の水酸基がそれぞれ保護されたフラノース誘導体または1,2,3位の水酸基がそれぞれ保護された5−デオキシリボフラノース誘導体を使用するのが一般的であり、保護基としては、保護基の導入および除去が容易であるアシル基を用いるのが一般的である。
例えば、特許文献1、非特許文献2および非特許文献3に開示されている薬理活性を示す核酸誘導体は、フラノース部位のアノマー位に注目すればいずれもβ−アノマーであり、それらの核酸誘導体製造のためのフラノース誘導体としてはβ−アノマーが使用されている。
本発明の目的とするフラノース誘導体の一例である、1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノース(本明細書中、以下において、β-L-ATBRと表記する場合がある)の合成方法としては、非特許文献4に記載の2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−1−O−メチル−L−リボフラノース(本明細書中、以下においてL-TBMと表記する場合がある)を無水酢酸(6.0当量)、酢酸(4.2当量)、硫酸(3当量)を使用してβ-L-ATBRに変換する方法が最も汎用的に用いられている。しかし、この方法では、L-ATBRの1位の立体異性体であるα−アノマーがβ−アノマーに対してβ/α=65/35の比率で生成しており、β−アノマー(β-L-ATBR)の収率を下げているという問題点があった。また、このα−アノマーが多く含有されるβ-L-ATBRの粗体結晶は、高純度のβ-L-ATBRの粗体結晶に比べて結晶の性状が悪く、製造の際に行うろ過作業の際、ろ過性が悪く長時間の作業になる等、製造には問題点があった。また、反応には無水酢酸を6.0当量と大過剰に使用しているが、この反応を終結させる際に水にて反応を終結させる必要があるが、無水酢酸が大量に残存しているこの方法では発熱量が多いため、反応終了後に反応溶液を別の容器で冷却した水中にゆっくりと滴下しなければいけないため、反応のための容器が二つ必要など、工業的には課題のある方法であった。
また、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−リボフラノースを製造する方法については、特許文献2、非特許文献2、非特許文献5、及び非特許文献6に開示されている。
公知の方法では、D−またはL−リボースを、強酸の存在下で低級アルカノールと反応させて1位の水酸基をアルキル化し、得られたアセタールを、酢酸溶媒中または塩基の存在下、無水酢酸で処理することにより2,3および5位の水酸基をアセチル化して、その後のアセトリシスを強酸の存在下で酢酸および無水酢酸中で行っている。
Figure 2008069303
非特許文献5では、D−リボースを出発原料とし、1位の水酸基のアルキル化を硫酸存在下にメタノール中で行い、アセチル化をピリジン中の無水酢酸により行い、アセトリシスを濃硫酸の存在下に酢酸及び無水酢酸中で行っている。エタノールから再結晶することにより、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−D−リボフラノースを全収率55%で得ている。また、1位の水酸基をメチル化した後、アセチル化とそれに続くアセトリシスを濃硫酸の存在下に酢酸及び無水酢酸中で行い、エタノールから再結晶することにより、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−D−リボフラノースを全収率53%で得ている。
非特許文献2では、L−リボースを出発原料とし、1位の水酸基のアルキル化を塩酸含有メタノール中で行い、アセチル化をピリジン中の無水酢酸により行い、アセトリシスを濃硫酸の存在下に酢酸及び無水酢酸中で行っている。エチルエーテルから再結晶することにより、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースを全収率57%で得ている。本明細書中以下において、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースのことを、β−L− TARと表記する場合がある。また、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノースのことをL-TARと表記する場合がある。
非特許文献6では、L−リボースを出発原料とし、1位の水酸基のメチル化を硫酸存在下にメタノール中で行い、炭酸リチウムで処理した後、アセチル化を酢酸および無水酢酸中で行い、さらに濃硫酸と無水酢酸を添加してアセトリシスを行っている。粗生成物は、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノースのα/β−アノマーの混合物であり、水とイソプロピルアルコールで処理することにより、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースを全収率60%で得ている。
ここで、例えば、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−リボフラノースに関しては、そのβ−アノマーは固体であるのに対し、α−アノマーは油状物質である。リボースからの変換の過程で生成する副生物との分離および目的物の精製にあたっては、安価な溶媒による再結晶あるいは洗浄により精製が可能なβ−アノマーが工業的製造には有利である。
特定の立体のリボフラノースは非常に高価であるため、高収率に目的とする1,2,3および5位の水酸基がそれぞれアシル基で保護されたリボフラノース誘導体に変換されることが望まれる。従来の技術では、例えばL−リボースから1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースへ変換における全収率は60%止まりである。ここで、β−アノマー(β−L-TAR)の収率が上がらない最も大きな理由は、目的とするβ−アノマーと同時にα−アノマーが生成することと考えられ、アノマー生成比は概ねβ/α=3/1程度である。アセトリシスの反応条件を変更することにより、生成比をβ/α=5/1程度まで改善されることが非特許文献6に開示されている。しかしながら、アノマー生成比がβ/α=5/1程度まで改善された反応条件でのアセトリシス生成物の総和すなわち、α−アノマーとβ−アノマーを合わせたL-TARの収率は低下することが記載されており、結果として、単離され得るβ-L-TARの収率はほとんど向上しない。そのため、これらの公知の方法では、核酸誘導体製造のための中間体として有用なβ−アノマーを工業的に、効率的かつ安価に製造する方法としては十分とはいえない。
また、1,2,3−トリ−O−アセチル−5−デオキシ−β−D−リボフラノース(本明細書中、以下において、β-D-DTARと表記する場合がある)の合成方法としては、非特許文献7に記載されており、1−O−メチル−D−リボフラノースの2及び3位の水酸基をアセトナイド保護したD−リボフラノース誘導体から3工程で誘導された1−O−メチル−5−デオキシ−D−リボフラノースの2,3位水酸基のアセチル化をピリジン中の無水酢酸にて行い、得られた2,3−ジ−O−アセチル−1−O−メチル−5−デオキシ−D−リボフラノースのアセトリシスを濃硫酸存在下に酢酸及び無水酢酸中で行い、1,2,3−トリ−O−アセチル−5−デオキシ−β−D−リボフラノース(本明細書中、以下において、D-DTARと表記する場合がある)へと変換している。D-DTARに関しては、そのβ−アノマーは固体であるのに対し、α−アノマーは油状物質であるため、リボースからの変換の過程で生成する副生物との分離及び目的物の精製にあたっては、安価な溶媒による再結晶あるいは洗浄により精製が可能なβ−アノマーが工業的には有利であるが、得られた粗D-DTARのアノマー比はβ/α=3/1であるため、目的とするβ-アノマーを効率的に取得する方法ではなかった。
特表平9−508394号公報 特表2005−539032号公報 J. Med. Chem., 11: 1150 (1972) J. Med. Chem., 43: 1019 (2000) Bioorganic&Medicinal Chemistry, 1697 (2000) Helvetica Chimica Acta 1959 (121) 1171-1173 Chem. Ind., 547 (1968) Org. Proc. Res. Develop., 9: 583 (2005) J. Med. Chem., 43: 2566 (2000)
このように、核酸誘導体製造のための中間体として有用な、1,2,3および5位の水酸基がそれぞれアシル基などの保護基で保護されたリボフラノース誘導体のβ−アノマー、及びまたは1,2,3位の水酸基がそれぞれアシル基などの保護基で保護された5−デオキシリボフラノース誘導体のβ−アノマーを、工業的に、高選択的・高収率に、かつ安価に製造する方法は知られておらず、その出現が望まれていた。即ち、本発明は、高選択的・高収率に、工業的に適切な方法で、β-L-ATBRやβ-L-TARやβ-D-DTARなどのリボフラノース誘導体のβ−アノマーを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、リボースから、1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノース又は1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースなどの1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−アシル−リボフラノースへの変換、及び1,2,3−トリ−O−アセチル−5−デオキシ−β−D−リボフラノースなどの1−O−アセチル−2,3−ジ−O−アシル−5−デオキシ−リボフラノースへの変換を行うにあたり、β−アノマーを高選択的かつ高収率に製造する方法を見出した。すなわち、本発明は、2,3,5−トリ−O−アシル−1−O−アルキル−リボフラノース、及び2,3−ジ−O−アシル−1−O−アルキル−5−デオキシ−リボフラノースのアセトリシス反応において、反応試剤の使用量の調整、及び/又は貧溶媒の使用によって、生成するフラノース誘導体のうちβ−アノマーを析出させることを特徴とするリボフラノース誘導体の製造方法に関する。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 式(3):
Figure 2008069303
(式中、X1およびX2は同一でも異なっていてもよい水酸基の保護基を示し、YはCH2OX3またはCH3を示し、X3は水酸基の保護基を示し、Rは低級アルキル基を示す。)
の化合物に、酸の存在下においてアシル化剤を作用させることによって式(4):
Figure 2008069303
(式中、X1およびX2は同一でも異なっていてもよい水酸基の保護基を示し、YはCH2OX3またはCH3を示し、X3は水酸基の保護基を示し、Zはアシル基を示す。)
の化合物を製造する方法において、式(3)の化合物にアシル化剤を作用させる際の反応条件を、生成する式(4)の化合物のうち1位の立体配置がβである化合物(β−アノマー)が析出されるように設定することを特徴とする製造方法。
(2) 式(4)の化合物の1位の立体配置についてα−アノマーとβ−アノマーの生成比率(α−アノマー:β−アノマー)が30:70〜0:100となるように設定することを特徴とする上記(1)に記載の方法。
(3) アシル化剤の使用量を調節する、及び/または貧溶媒を存在させることによって、生成する式(4)の化合物のうちβ−アノマーを析出させる、上記(1)又は(2)に記載の方法。
(4) 酸が強酸である、上記(1)から(3)の何れかに記載の方法。
(5) 酸が硫酸である、上記(4)に記載の方法。
(6) さらに塩基を添加する、上記(1)から(5)の何れかに記載の方法。
(7) 塩基が有機塩基である、上記(6)に記載の方法。
(8) アシル化剤が酢酸あるいは無水酢酸またはその混合物である、上記(1)から(7)の何れかに記載の方法。
(9) 無水酢酸の使用量が式(3)の化合物の使用量に対して3当量以下、又は、酢酸の使用量が式(3)の化合物の使用量に対して5当量以下である、上記(8)に記載の方法。
(10) 貧溶媒が、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒のいずれかである、上記(3)に記載の方法。
(11) 式(1):
Figure 2008069303
の化合物を酸の存在下で低級アルコールと反応させることにより式(2):
Figure 2008069303
(式中、Rは低級アルキル基を示す。)
の化合物を製造し、次いで上記で製造した式(2)の化合物に、X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す。)で示される化合物を作用させることによって得られる式(3)の化合物を用いることを特徴とする、上記(1)から(10)の何れかに記載の方法。
(12) 生成した式(4)の化合物をさらに晶析することにより、式(4)の化合物のβ−アノマーを単離することを含む、上記(1)から(11)の何れかに記載の方法。
(13) 生成した式(4)の化合物の1位の−OZで表される基を他の基に変換することをさらに含む、上記(1)から(12)の何れかに記載の方法。
本発明は、リボース誘導体である例えばL-ATBR、L-TARおよびD−DTARを製造する方法に関する。本発明によれば、医薬中間体として有用なこれらのフラノース誘導体のβ−アノマーを、高選択的・高収率に、かつ工業的に適切な方法で得ることができる。
本発明の方法で得られるリボース誘導体であるL-ATBRやL-TARは、抗ウイルス薬として有用なことが知られている薬剤である核酸誘導体、例えば、特表2005−539032号公報に記載のLevovirinや特表平9−508394号公報に記載の製法によりClevudineに誘導可能である。また、D-DTARは、抗ガン剤として有用なことが知られている薬剤である核酸誘導体、例えば、Bioorganic&Medicinal Chemistry, 2000, 1967に記載のCapecitabineに誘導可能である。このように、これらはいずれも医農薬中間体として有用な化合物である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の方法は、本明細書に定義する式(3)の化合物に、酸の存在下においてアシル化剤を作用させることによって、本明細書に定義する式(4)の化合物を製造する方法において、式(3)の化合物にアシル化剤を作用させる際の反応条件を、生成する式(4)の化合物のうちβ−アノマーが析出されるように設定することを特徴とする方法である。本発明の好ましい態様によれば、アシル化剤の使用量を調節する、及び/または貧溶媒を存在させることによって、生成する式(4)の化合物のうちβ−アノマーを析出させることができる。
本明細書に定義する式(1)から(4)の化合物において、1位(波線で示される位置、即ちアノマー位)以外の位置(即ち、2位、3位及び4位)の立体配置は、特に限定されない。また、本発明で用いる糖は、D体又はL体の何れでもよい。
本発明において好ましくは、式(4)の化合物の1位の立体配置についてα−アノマーとβ−アノマーの生成比率(α−アノマー:β−アノマー)が30:70〜0:100となるように設定することができ、より好ましくは20:80〜0:100、さらに好ましくは15:85〜0:100、さらに好ましくは10:90〜0:100となるように設定することができる。より具体的には、1−O−アセチル−2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−β−リボフラノースを合成する場合には、α−アノマーとβ−アノマーの生成比率(α:β)が30:70〜0:100、より好ましくは20:80〜0:100、さらに好ましくは15:85〜0:100、さらに好ましくは10:90〜0:100となるように設定することができる。また、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−リボフラノースを合成する場合には、α−アノマーとβ−アノマーの生成比率(α−アノマー:β−アノマー)が30:70〜0:100、より好ましくは20:80〜0:100、さらに好ましくは15:85〜0:100、さらに好ましくは10:90〜0:100となるように設定することができる。また、1,2,3−トリ−O−アセチル−5−デオキシ−β−リボフラノースを合成する場合には、α−アノマーとβ−アノマーの生成比率(α−アノマー:β−アノマー)が30:70〜0:100、より好ましくは20:80〜0:100、さらに好ましくは15:85〜0:100、さらに好ましくは10:90〜0:100となるように設定することができる。
本発明において、X1およびX2は同一でも異なっていてもよい水酸基の保護基を示す。本発明のおける水酸基の保護基としては、有機化学合成の分野で通常使用される保護基が挙げられ、具体的には、下記のものが挙げられる。
(エーテル型)
メチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、トリイソプロピルシリルオキシメチル基(TOM基);1−エトキシエチル基、1−メチル−1−メトキシエチル基、1−(イソプロポキシ)エチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−(フェニルセレニル)エチル基、t−ブチル基、アリル基、シンナミル基、p−クロロフェニル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、p−ハロベンジル基、p−シアノベンジル基、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド基、ジフェニルメチル基、5−ジベンゾスベリル基、トリフェニルメチル基、α−ナフチルジフェニルメチル基、p−メトキシフェニルジフェニルメチル基、p−(p'−ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチル基、9−アントリル基、9−(9−フェニル)キサンテニル基、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル基、ベンズイソチアゾリルS,S−ジオキシド基、;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基(TBDMS基)、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基;
(エステル型)
ホルミル基、ベンゾイルホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、メトキシアセチル基、トリフェニルメトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、p−クロロフェノキシアアセチル基、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセチル基、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセチル基、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセチル基、クロロジフェニルアセチル基、p−P−フェニルアセチル基、3−フェニルプロピオニル基、3−ベンゾイルプロピオニル基、イソブチリル基、モノスクシニル基、4−オキソペンタノイル基、ピバロイル基、アダマントイル基、クロトニル基、4−メトキシクロトニル基、(E)−2−メチル−2−ブテノイル基、ベンゾイル基、o−(ジブロモメチル)ベンゾイル基、o−(メトキシカルボニル)ベンゾイル基、p−フェニルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、p−P−ベンゾイル基、α−ナフトイル基;
(カーボネート型)
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、シンナミルオキシカルボニル基、p−ニトロフェニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、o−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、S−ベンジルチオオキシカルボニル基;
(その他)
N−フェニルカルバミル基、N−イミダゾリルカルバミル基、ボリル基、ニトリル基、N,N,N',N'−テトラメチルホスホロジアミジル基、2,4−ジニトロフェニルスルフェニル基:
上記した水酸基の保護基の導入法及び脱保護法は当業者に公知であり、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, John & Wiley & Sons Inc. (1981)等に記載されている。
本発明において、YはCH2OX3またはCH3を示し、X3は水酸基の保護基を示す。X3が示す水酸基の保護基の具体例としては、X1およびX2について本明細書中上記したものを挙げることができる。X3が示す水酸基の保護基は、X1およびX2が示す水酸基の保護基と同一でも異なっていてもよい。
本発明において、Rは低級アルキル基を示す。低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、t−ブチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
本発明において、Zはアシル基を示す。アシル基としては、脂肪族アシル基でも芳香族アシル基でもよく、例えば炭素数2〜7のアシル基を挙げることができる。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、イソブチリル基、ピバロイル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基などを挙げることができ、特に好ましくはアセチル基である。
本発明で使用するアシル化剤は、式(3)の化合物に、酸の存在下において作用させることによって式(4)の化合物を製造することができるものであれば特に限定されないが、好ましくは酸ハライド又は酸無水物である。酸ハライド又は酸無水物としては、特に限定されないが、具体的には、アセチルクロリド、イソ酪酸クロリド、ピバロイルクロリド、シクロヘキサンカルボニルクロリド、ベンゾイルクロリド、4−メトキシベンゾイルクロリド等の酸クロリド;アセチルブロミド、イソプロピオン酸ブロミド、ピバロイルブロミド、シクロヘキサンカルボニルブロミド、ベンゾイルブロミド、4−メトキシベンゾイルブロミド等の酸ブロミド;アセチルヨージド、イソ酪酸ヨージド、ピバロイルヨージド、シクロヘキサンカルボニルヨージド、ベンゾイルヨージド、4−メトキシベンゾイルヨージド等の酸ヨージドが挙げられる。酸無水物としては、無水酢酸、プロピオン酸無水物、ピバリン酸無水物、シクロヘキサン酸カルボン酸無水物、安息香酸無水物等があり、好ましくは無水酢酸である。また、酢酸をアシル化剤として用いることができる。本発明で用いる特に好ましいアシル化剤としては、酢酸、無水酢酸、またはそれらの混合物を挙げることができる。
アシル化剤の使用量は、本発明の方法で製造される式(4)の化合物のうちβ−アノマーが析出されるように設定することが好ましく、例えば、式(3)の化合物の使用量に対して6当量以下であることが好ましく、4当量以下であることがさらに好ましい。例えば、アシル化剤として無水酢酸と酢酸の組み合わせを使用する場合は、無水酢酸の使用量が式(3)の化合物の使用量に対して3当量以下であることが好ましく、酢酸の使用量は式(3)の化合物の使用量に対して5当量以下であることが好ましい。また、アシル化剤として無水酢酸のみを使用する場合は、無水酢酸の使用量が式(3)の化合物の使用量に対して3当量以下であることが好ましい。
本発明においては、式(3)の化合物に、酸の存在下においてアシル化剤を作用させる。本発明で用いる酸は、弱酸でも強酸でもよいが、好ましくは強酸である。また酸は、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸など)でも有機酸(蟻酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸など)でもよいが、好ましくは無機酸である。酸としては硫酸または塩酸を使用することが特に好ましい。
酸の使用量は、式(3)の化合物にアシル化剤を作用させることによって式(4)の化合物を製造できる限り特に限定されないが、例えば、式(3)の化合物の使用量に対して、5当量以下であることが好ましく、3当量以下であることがさらに好ましい。
本発明において式(3)の化合物に酸の存在下においてアシル化剤を作用させる際には、さらに塩基を添加することができる。塩基としては、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はトリノルマルプロピルアミンなどの第三級アミン、又はピリジンなど)でもよいし、無機塩基(例えば、水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウムなど)でもよいが、好ましくは有機塩基である。塩基としては、ピリジンを使用することが特に好ましい。
塩基の使用量は、式(3)の化合物にアシル化剤を作用させることによって式(4)の化合物を製造できる限り特に限定されないが、例えば、式(3)の化合物の使用量に対して、3当量以下であることが好ましく、1当量以下であることがさらに好ましい。
本発明において式(3)の化合物に酸の存在下においてアシル化剤を作用させる際には、さらに貧溶媒を存在させることができる。本発明においては、貧溶媒を存在させることによって、生成する式(4)の化合物のうちβ−アノマーを析出させてもよい。貧溶媒は、反応開始時から存在させてもよく、または反応途中に添加してもよい。また、反応を停止させる前に添加し、β−アノマーを析出させてもよい。本発明で用いることができる貧溶媒としては、式(3)の化合物の溶解度が低い溶媒を用いることができる。例えば、本発明では、式(3)の化合物の溶解度が、好ましくは 200g/L以下、さらに好ましくは20g/L以下となるような溶媒を、貧溶媒として用いることができる。
本発明で用いる貧溶媒は、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、又は芳香族炭化水素系溶媒のいずれかであることが好ましい。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、又はジオキサン等が挙げられ、脂肪族炭化水素系溶媒としては、ヘキサン、又はヘプタン等が挙げられ、芳香族炭化水素系溶媒としては、トルエン、又はキシレン等が挙げられる。好ましくはエーテル系溶媒であるが、これらに限定されるものではない。貧溶媒は、単独で用いられてもよく、または複数種の混合溶媒として用いられてもよい。
貧溶媒の使用量は、式(3)の化合物にアシル化剤を作用させることによって式(4)の化合物を製造できる限り特に限定されないが、例えば、式(3)の化合物に対して20倍量以下が好ましく、10倍量以下がさらに好ましい。
式(3)の化合物に、酸の存在下においてアシル化剤を作用させることによって式(4)の化合物を製造する際の反応温度としては、特に限定はされないが、生成する式(4)の化合物のうちβ−アノマーが析出されるような温度が好ましく、例えば本発明では、-78℃から50℃が好ましく、−10℃から20℃程度がさらに好ましい。この反応は常圧、大気中で行うことができ、特に窒素雰囲気下で行う必要はないが、必要に応じて窒素、ヘリウムアルゴン等の不活性気体中で加圧下にて実施することもできる。
反応時間は、10分〜数日の範囲で行うことができるが、製造コストを抑える観点から48時間以内に終了させることが好ましく、更に好ましくは10分から24時間である。
式(3)の化合物に、酸の存在下においてアシル化剤を作用させることによって生成した式(4)の化合物は、さらに晶析又は懸濁洗浄することによって、式(4)の化合物のβ−アノマーを単離することができる。晶析操作においては、式(4)の化合物を含む反応生成物を溶媒に懸濁して、加熱還流して得た溶液を、例えば氷冷下まで、冷却し、ろ過することによって結晶を得ることができる。懸濁洗浄操作においては、式(4)の化合物を含む反応生成物を溶媒に懸濁させて、攪拌後にろ過することによって結晶を得ることができる。晶析または懸濁洗浄に使用する溶媒としてはアルコール系またはエーテル系または水とそれらの混合物であり、好ましくはアルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノールであり、エーテル系溶媒としては好ましくはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、エチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンである。
本発明の方法で用いる式(3)の化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、式(1):
Figure 2008069303
の化合物を酸の存在下で低級アルコールと反応させることにより式(2):
Figure 2008069303
(式中、Rは低級アルキル基を示す。)
の化合物を製造し、次いで上記で製造した式(2)の化合物に、X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す。)で示される化合物を作用させることによって、式(3)の化合物を製造することができる。
上記の反応で使用する酸は、弱酸でも強酸でもよいが、好ましくは強酸である。また酸は、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸など)でも有機酸(蟻酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸など)でもよいが、好ましくは無機酸である。酸としては硫酸または塩酸を使用することが特に好ましい。
上記の反応で使用する酸の使用量は、式(1)の化合物に対して、0.001当量から10当量であり、反応時間の観点から好ましくは0.01当量から5当量、さらに好ましくは0.05当量から1当量である。
上記の反応で使用する低級アルコールは、式(2)におけるRが示す低級アルキル基に対応する低級アルコールを用いることができ、具体的には、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基を有するアルコールである。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコールなどであり、最も好ましくはメタノールである。
低級アルコールの使用量は、式(1)の化合物に対して、1倍量から100倍量が考えられ、好ましくは1倍量から50倍量、さらに好ましくは1倍量から20倍量である。
式(2)の化合物の合成反応は、例えば、式(1)の化合物及び低級アルコールをフラスコなどの容器に仕込み、そこに酸(例えば、硫酸など)をゆっくりと滴下して、反応を行うことができる。反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、0℃から50℃程度で行うことができ、室温でもよい。反応時間は、10分〜数日の範囲で行うことができるが、製造コストを抑える観点から24時間以内に終了させることが好ましく、更に好ましくは10分から12時間である。
次いで、上記で製造した式(2)の化合物に、X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す)で示される化合物を作用させることによって、式(3)の化合物を製造することができる。
X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す。)で示される化合物としては、Xが本明細書中上記した水酸基の保護基である化合物を用いることができる。X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す。)で示される化合物の特に好ましい具体例としては、ベンゾイルクロリド、無水酢酸などが挙げられる。
X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す。)で示される化合物の使用量としては、式(2)の化合物の水酸基1つに対して、1当量以上あればよく好ましくは10当量以下であり、さらに好ましくは5当量以下である。
式(3)の化合物の合成反応は、例えば、Xがベンゾイル基である場合、式(2)の化合物、及び溶媒(例えば、トルエン、水など)、塩基(例えば、水酸化ナトリウムなど)、相間移動触媒(例えば、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドなど)を容器に仕込み、氷冷下に冷却後、X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す。)で示される化合物(例えば、ベンゾイルクロリドなど)をゆっくりと滴下し、昇温して反応を行うことができる。反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、0℃から50℃程度で行うことができ、室温でもよい。反応時間は、10分〜数日の範囲で行うことができるが、製造コストを抑える観点から24時間以内に終了させることが好ましく、更に好ましくは10分から12時間である。
また、式(3)の化合物の合成反応は、例えば、Xがアセチル基である場合、式(2)の化合物、及び溶媒(例えば、酢酸、トルエンなど)、塩基(例えば、ピリジン、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)を容器に仕込み、氷冷温度から50℃程度の温度で、X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す。)で示される化合物(例えば、無水酢酸など)を加え、昇温して反応を行うことができる。このとき、例えば、ピリジンのような塩基を溶媒として用いてもよい。反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、0℃から100℃程度で行うことができ、室温でもよい。反応時間は、10分〜数日の範囲で行うことができるが、製造コストを抑える観点から24時間以内に終了させることが好ましく、更に好ましくは10分から12時間である。
本発明の方法で製造される式(4)の化合物は、該化合物の1位の−OZで表される基を他の基に変換することによって、各種の誘導体を合成することができる。
例えば、本発明による方法で得られる1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−アシル−リボフラノースのβ−アノマーと、特定の含窒素複素環化合物とを縮合させることにより得られる核酸誘導体は、抗ウイルス作用を示す生理活性物質として知られている。例えば、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースとメチル 1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシレートとの縮合体から誘導される核酸誘導体である、1−(2,3,5−トリ−O−アセチル−β−L−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミドは、L−RibavirinまたはLevovirinと呼ばれ、抗ウイルス剤として知られており、例えば以下の方法で製造できる(特許文献2、非特許文献1,2および6参照)。
メチル1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシレートと1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースとを、トリフルオロメタンスルホン酸またはビス(p−ニトロフェニル)−ホスフェートの存在下に減圧下で加熱し、残渣をエタノールまたはメタノールから再結晶し、メチル 1−(2,3,5−トリ−O−アセチル−β−L−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシレートを得る。次いで、得られたメチル 1−(2,3,5−トリ−O−アセチル−β−L−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシレートを、メタノール溶媒中、アンモニアで処理した後、エタノールから再結晶することにより、1−(2,3,5−トリ−O−アセチル−β−L−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミドの粗生成物を得る。さらにエタノール水溶液から再結晶し、高純度の1−(2,3,5−トリ−O−アセチル−β−L−リボフラノシル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミドを得る。
Figure 2008069303
また、例えば、1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノースは、特表平9-508394号公報等に記載の製法にて、4工程で誘導化される、3,5−ジ−O−ベンゾイル−1−ブロモ−2−デオキシ−2−フルオロ−β−アラビノフラノースに変換された後、さらにチミンと縮合、誘導化することで、抗ウイルス薬として有用であるClevudineに変換可能であることから、医農薬中間体として有用な化合物である。
Figure 2008069303
また、例えば1,2,3−トリ−O−アセチル−5−デオキシ−β−D−リボフラノースは、Bioorganic&Medicinal Chemistry, 1697 (2000)等に記載の製法にて、HMDSを用いて5‘−フルオロシトシンと縮合、誘導化することで、抗ガン剤として有用であるCapecitabineに変換可能であることから、医農薬中間体として有用な化合物である。
Figure 2008069303
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下の実施例A1及び比較例A1は、1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノースの合成例である。
実施例A1
(1)1−O−メチル−L−リボフラノースの合成
1000mLのフラスコにL-リボース(20.0g, 132mmol)、メタノール(226g)を仕込み、メタノール(21.2g)に溶解した濃硫酸(1.49g,0.11当量)をゆっくりと滴下した。5時間室温で反応させた後、酢酸ナトリウム(2.40g)を添加して中和し、減圧下で濃縮した。白濁油状成分として粗1−O−メチル−L−リボフラノース31.18gを取得した。
1H−NMR(400MHz,D2O-d):δ(β-アノマー)3.38(s, 3H), 3.57-3.62(m, 1H), 3.76-3.80(m, 1H), 3.99-4.03(m, 2H), 4.13-4.16(m, 1H), 4.89(d, J=1.0Hz, 1H)
(α-アノマー)3.42(s, 3H), 3.63-3.75(m, 2H), 3.98-4.11(m, 3H), 4.98(d, J=4.5Hz, 1H)
(2)2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−1−O−メチル−L−リボフラノースの合成
1Lのフラスコに上記(1)で合成した粗1−O−メチル−L−リボフラノース31.18g及びトルエン(175ml)、25wt.%水酸化ナトリウム水溶液(111ml)、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド(1.20g, 5モル%比)を仕込み、氷冷下に冷却後、ベンゾイルクロリド(56.6mol,3.05当量)をゆっくりと滴下し、室温に昇温して2時間反応を実施した。反応を再び氷冷し、トルエン(200ml)、1N水酸化ナトリウム水溶液(100ml)にて希釈し、室温に昇温して有機層と水槽を分離した。有機層を1N水酸化ナトリウム水溶液(100ml)で2回洗浄し、3N塩酸水溶液(200ml)にて洗浄し、有機層を濃縮した。無色油状の液体として粗2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−1−O−メチル−L−リボフラノースを62.69g取得した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3−d):δ(β-アノマー) 3.44(s, 3H), 4.53-4.58(m, 1H), 5.72-4.76(m, 2H), 5.19(s, 1H), 5.69-5.71(m, 1H), 5.73-5.76(m, 1H), 7.32-7.62(m, 9H), 7.90-8.11(m, 6H)
(α-アノマー) 3.65(s, 3H), 4.53-4.76(m, 3H), 5.34-5.47(m, 2H), 5.73-5.76(s, 1H), 7.32-7.72(m, 9H), 7.89-7.95(m, 2H), 8.18-8.21(m, 4H)
(3)1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノースの合成
1Lのフラスコに上記(2)で合成した粗2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−1−O−メチル−L−リボフラノース62.69gのうち59.40gを仕込み、無水酢酸(31.2ml, 2.65当量)、酢酸(26.7ml, 3.73当量)、ピリジン(7.1ml,0.8当量)を添加した。氷冷にて冷却し、ゆっくりと濃硫酸(13.5ml,2.03当量)を滴下した。30分反応後、冷水(200ml)をゆっくりと滴下し、結晶をろ過して得られた固体を乾燥した。淡黄色固体として粗1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−L−リボフラノースを69.83g取得した。HPLCにて分析したところ、1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−L−リボフラノースのα−アノマーとβ−アノマーの比は4/96で、β−アノマーとしての3工程一貫反応収率は84%であった。この粗1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−L−リボフラノース69.83gをイソプロピルアルコール(92ml)に懸濁させ、1時間加熱還流させた。完溶した溶液を氷冷下まで冷却し、30分攪拌した後にろ過して得られた結晶を減圧乾燥した。純度99%以上の白色結晶として1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノースをL-リボースから一貫収率75%で取得した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3−d):δ (β-アノマー)2.00(s, 3H), 4.51-4.52(m, 1H), 4.76-4.80(m, 2H), 5.78-5.79(m, 1H), 5.89-5.92(m, 1H), 6.43(s, 1H), 7.32-7.59(m, 9H), 7.88-8.07(m, 6H)
比較例A1:1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノースの合成
100mlのフラスコに、L-リボース(1.0g,6.66mmol)から、Helvetica Chimica Acta 1959,(121),1171-1173p)に記載の方法にしたがって合成した粗2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−1−O−メチル−L−リボフラノース5.37gを仕込み、無水酢酸(3.73ml, 5.95当量)、酢酸(1.60ml, 2.80当量)を添加した。氷冷にて冷却し、ゆっくりと濃硫酸(530μl, 1.5当量)を滴下した。30分反応後、冷水(50ml)をゆっくりと滴下し、上層の水層を分離し、沈殿した半油状固体を減圧乾燥した。淡黄色油状固体として粗1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−L−リボフラノースを3.97g取得した。HPLCにて分析したところ、粗体中の1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−L−リボフラノースのα−アノマーとβ−アノマーの比は35/65で、β−アノマーとしての3工程一貫反応収率は56%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3−d):δ (β-アノマー)2.00(s, 3H), 4.51-4.52(m, 1H), 4.76-4.80(m, 2H), 5.78-5.79(m, 1H), 5.89-5.92(m, 1H), 6.43(s, 1H), 7.32-7.59(m, 9H), 7.88-8.07(m, 6H)
以下の実施例B1、B2、B3及び比較例B1、B2は、1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースの合成例である。
実施例B1:
(1)2,3,5−トリ−O−アセチル−1−O−メチル−L−リボフラノースの合成
500ml 4つ口フラスコを窒素置換し、L−リボース 60.0g(400mmol)およびメタノール 300mlを仕込み、氷浴上にて5℃に冷却し、濃硫酸 5.60gを添加した。その後室温まで昇温し、4時間攪拌後、酢酸ナトリウム14.7gを添加して30分間攪拌した。反応混合物から減圧下でメタノールを留去し、酢酸 120mlを加えて減圧留去した。NMRにより、メタノールが無く、リボース誘導体に対して1.7当量の酢酸が残っていることを確認し、そのまま次工程に供した。
得られた反応混合物に、リボース誘導体に対して酢酸が5当量となるように酢酸 119gと、無水酢酸 151gを加え、100℃に昇温し、4時間攪拌した。室温まで冷却後、トルエン 150mlを加えて減圧濃縮し、残渣にトルエン100mlを加えて濃縮する操作を2回繰り返した。得られた残渣に、酢酸エチル165mlと水150mlを加え、炭酸水素ナトリウムにて反応混合物を中和後、分液した。有機層を飽和食塩水 150mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮して黄色シロップ113.2gを得た。これを2,3,5−トリ−O−アセチル−1−O−メチル−L−リボフラノースの粗体とし、精製せずに次工程に供した。
(2)1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースの合成
200mlの4つ口フラスコを窒素置換し、実施例B1の(1)で得た2,3,5−トリ−O−アセチル−1−O−メチル−L−リボフラノース 11.32g(L−リボースとして40mmol相当)およびジイソプロピルエーテル 40mlを仕込み、氷浴上にて0±5℃以下に保ち無水酢酸 8.17g(2.0当量)、酢酸 4.80g(2.0当量)およびピリジン 2.53g(0.8当量)を加えた。氷浴上で攪拌しながら、濃硫酸 8.8g(2.2当量)を内温0±5℃以下で滴下し、氷浴上で3.5時間攪拌した後、冷蔵庫で一晩、5℃以下に保った。氷浴上にて攪拌しながら、酢酸ナトリウム 21.65gを添加し、氷浴上で30分間攪拌した。室温にて酢酸エチル 120mlと、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を水層が中和されるまで加え、分液した。水層を酢酸エチル 120mlで抽出し、有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 120ml、次いで飽和食塩水 120mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、減圧濃縮した。黄色オイルとして粗1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 14.23gを得た。HPLCにて分析したところ、粗体中に1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 10.13gを含み、α−アノマーとβ−アノマーの比は7/93で、β−アノマーとしてのL−リボースからの一貫反応収率は74%であった。この粗1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 14.23gから、エタノールで晶析することにより、白色結晶として1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノース 8.86gを、L−リボースからの一貫収率70%で得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3,TMS=0ppm):δ(β-アノマー) 2.08(s,3H) , 2.09(s,3H) , 2.10(s,3H) , 2.13(s,3H) , 4.12-4.19(m,1H) , 4.30-4.40(m,2H) , 5.32-5.38(m,2H) , 6.17(s,1H) ppm
実施例B2:
1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースの合成
100mlの4つ口フラスコを窒素置換し、実施例B1の(1)で得た2,3,5−トリ−O−アセチル−1−O−メチル−L−リボフラノース 11.32g(L−リボースとして40mmol相当)およびジイソプロピルエーテル 20mlを仕込み、氷浴上にて0±5℃に保ち無水酢酸 8.17g(2.0当量)を加えた。氷浴上で攪拌しながら、濃硫酸 3.2g(0.8当量)を内温0±5℃で滴下し、氷浴上で3.5時間攪拌した後、冷蔵庫で一晩、5℃以下に保った。氷浴上にて攪拌しながら、酢酸ナトリウム 7.87gを添加し、氷浴上で30分間攪拌した。室温にて酢酸エチル 120mlと、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を水層が中和されるまで加え、分液した。水層を酢酸エチル 120mlで抽出し、有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 120ml、次いで飽和食塩水 120mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、減圧濃縮した。黄色オイルとして粗1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 16.10gを得た。HPLCにて分析したところ、粗体中に1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 9.76gを含み、α−アノマーとβ−アノマーの比は7/93で、β−アノマーとしてのL−リボースからの一貫反応収率は72%であった。
実施例B3:
1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースの合成
100mlの4つ口フラスコを窒素置換し、実施例B1の(1)と同様の方法で、L−リボースから93.5%の収率で得た2,3,5−トリ−O−アセチル−1−O−メチル−L−リボフラノース 2.97g(純度98wt%:L−リボースとして10mmol相当)を仕込み、無水酢酸 1.85ml(2.0当量)、酢酸 1.14ml(2.0当量)およびピリジン 0.64ml(0.8当量)を加えた。氷浴上で攪拌しながら、濃硫酸 2.2g(2.2当量)を内温0±5℃で滴下し、室温まで昇温して1.5時間攪拌した。再び氷浴上にて0±5℃に保ち、ジイソプロピルエーテル 10mlを加え、氷浴上で4時間攪拌した後、冷蔵庫で一晩、5℃以下に保った。氷浴上にて攪拌しながら、酢酸ナトリウム 3.60gを添加し、氷浴上で30分間攪拌した。室温にて酢酸エチル 30mlと、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を水層が中和されるまで加え、分液した。水層を酢酸エチル 30mlで抽出し、有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 20ml、次いで飽和食塩水 20mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、減圧濃縮した。黄色オイルとして粗1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 3.67gを得た。HPLCにて分析したところ、粗体中に1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 2.63gを含み、α−アノマーとβ−アノマーの比は6/94で、β−アノマーとしてのL−リボースからの一貫反応収率は73%であった。
比較例B1:1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースの合成
実施例B1において、2分の1のスケール(L−リボースとして20mmol相当)とし、ジイソプロピルエーテルを加えなかったこと以外は同様の操作を行った。黄色オイルとして粗1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 5.60gを得た。HPLCにて分析したところ、粗体中に1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 3.98gを含み、α−アノマーとβ−アノマーの比は21/79で、β−アノマーとしてのL−リボースからの一貫反応収率は49%であった。
比較例B2:1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−β−L−リボフラノースの合成
実施例B2において、2分の1のスケール(L−リボースとして20mmol相当)とし、ジイソプロピルエーテルを加えなかったこと以外は同様の操作を行った。黄色オイルとして粗1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 5.82gを得た。HPLCにて分析したところ、粗体中に1,2,3,5−テトラ−O−アセチル−L−リボフラノース 2.82gを含み、α−アノマーとβ−アノマーの比は19/81で、β−アノマーとしてのL−リボースからの一貫反応収率は36%であった。

Claims (13)

  1. 式(3):
    Figure 2008069303
    (式中、X1およびX2は同一でも異なっていてもよい水酸基の保護基を示し、YはCH2OX3またはCH3を示し、X3は水酸基の保護基を示し、Rは低級アルキル基を示す。)
    の化合物に、酸の存在下においてアシル化剤を作用させることによって式(4):
    Figure 2008069303
    (式中、X1およびX2は同一でも異なっていてもよい水酸基の保護基を示し、YはCH2OX3またはCH3を示し、X3は水酸基の保護基を示し、Zはアシル基を示す。)
    の化合物を製造する方法において、式(3)の化合物にアシル化剤を作用させる際の反応条件を、生成する式(4)の化合物のうち1位の立体配置がβである化合物(β−アノマー)が析出されるように設定することを特徴とする製造方法。
  2. 式(4)の化合物の1位の立体配置についてα−アノマーとβ−アノマーの生成比率(α−アノマー:β−アノマー)が30:70〜0:100となるように設定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. アシル化剤の使用量を調節する、及び/または貧溶媒を存在させることによって、生成する式(4)の化合物のうち1位の立体配置がβ−アノマーを析出させる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 酸が強酸である、請求項1から3の何れかに記載の方法。
  5. 酸が硫酸である、請求項4に記載の方法。
  6. さらに塩基を添加する、請求項1から5の何れかに記載の方法。
  7. 塩基が有機塩基である、請求項6に記載の方法。
  8. アシル化剤が酢酸あるいは無水酢酸またはその混合物である、請求項1から7の何れかに記載の方法。
  9. 無水酢酸の使用量が式(3)の化合物の使用量に対して3当量以下、又は、酢酸の使用量が式(3)の化合物の使用量に対して5当量以下である請求項8に記載の方法。
  10. 貧溶媒が、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒のいずれかである請求項3に記載の方法。
  11. 式(1):
    Figure 2008069303
    の化合物を酸の存在下で低級アルコールと反応させることにより式(2):
    Figure 2008069303
    (式中、Rは低級アルキル基を示す。)
    の化合物を製造し、次いで上記で製造した式(2)の化合物に、X−ClまたはX2O(式中、Xは水酸基の保護基を示す。)で示される化合物を作用させることによって得られる式(3)の化合物を用いることを特徴とする、請求項1から10の何れかに記載の方法。
  12. 生成した式(4)の化合物をさらに晶析することにより、式(4)の化合物のβ−アノマーを単離することを含む、請求項1から11の何れかに記載の方法。
  13. 生成した式(4)の化合物の1位の−OZで表される基を他の基に変換することをさらに含む、請求項1から12の何れかに記載の方法。
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