JPWO2007119467A1 - 経皮吸収促進剤及びそれを用いた経皮吸収製剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、経皮吸収促進効果に優れ、かつ安全性、使用性の高い経皮吸収促進剤、この経皮吸収促進剤を配合した経皮吸収型製剤及びそれを用いた皮膚有価物経皮吸収システムを提供する。プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素よりなることを特徴とする経皮吸収促進剤、皮膚有価物と上記経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする経皮吸収製剤及びこの経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする皮膚有価物経皮吸収システム。皮膚有価物経皮吸収システムとしては、受動拡散システム、イオントフォレシスシステム、ソノフォレシスシステム又はパッチワクチンシステムが好ましい。
Description
本発明は経皮吸収促進剤、それを用いた経皮吸収製剤及び皮膚有価物経皮吸収システムに関する。
従来、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、パップ剤、テープ剤等の経皮吸収製剤(皮膚外用剤)においては、経皮吸収により種々の薬効を発揮する成分が配合されている。ところが、皮膚は、本来体外からの異物の侵入を防ぐための機能を有するものであるため、通常の経皮吸収製剤(皮膚外用剤)の基剤中に薬効成分を配合しただけでは、十分な経皮吸収が得られず、十分な薬効が得られない場合が多い。特に皮膚有価物が高分子の場合、その経皮吸収はきわめて困難であった。
そこで、薬効成分の経皮吸収性を向上させるべく、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルミルアミド等の非プロトン溶媒(例えば、特許文献1参照。)、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(例えば、特許文献2参照。)、l−カルボン,メントン,ピペリトン等のテルペンケトン(例えば、特許文献3参照。)、d−リモネン(例えば、特許文献4参照。)、ラウリン酸ジエタノールアミド(例えば、特許文献5参照。)等を経皮吸収促進剤として基剤に添加することが開示されている。
しかしながら、これらの経皮吸収促進剤は、経皮吸収促進効果、皮膚刺激などの安全性、強烈な臭いがない等の使用性等の3点を全て満足させるものはなく、安全で、使用性に優れ、かつ効果の高い経皮吸収促進剤の開発が望まれていた。一方において、イオントフォレシス、エレクトロポレーション、ソノフォレシス等の物理化学的皮膚有価物経皮吸収促進法も種々提案されているが、皮膚刺激、皮膚損傷等の欠点も多く、未だ十分な方法とはなっていない。
又、皮膚有価物の一種である生理活性ペプチドは種々の治療に使用されており、例えば、糖尿病の治療には広くインスリンが使用されており、インスリンの投与は一般に注射器で投与している。しかし、注射器でインスリンを自己注射するには、特殊な注射器が必要であり、医師や看護士に注射してもらうには時間と経費が必要であり、注射の際に消毒しないと細菌感染する、インスリンを注射すると、注射した時に急激にインスリン血中濃度が不必要に高くなる等の欠点があった。そのため、インスリン等の生理活性ペプチドを長時間にわたって一定速度で体内に供与しうる経皮吸収システムの開発が待たれていた。
生理活性ペプチドを経皮吸収させる際に、酵素製剤を使用することが知られている(例えば、特許文献6参照。)が、生理活性ペプチドは酵素によって分解されてしまうので生理活性ペプチドと酵素を共存させることはできなかった。又、角質より内側の皮膚には生体防御のために、セリンプロアテーゼ、コラゲナーゼ、デイスパーゼのようなプロテアーゼ、カルボキシルエステラーゼのようなエステラーゼ、メラニン色素を作るチロシナーゼ等の多くの酵素が存在する。そのため、生理活性ペプチドを経皮吸収させても皮膚内で酵素によって分解されてしまい、生理活性ペプチドの薬効が充分に発揮できなかった。
米国特許第3,551,554号公報
特開昭52−1035号公報
特開平2−193932号公報
特開平2−207024号公報
特開2001−58961号公報
特表平3−505835号公報
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、経皮吸収促進効果に優れ、かつ安全性、使用性の高い経皮吸収促進剤、この経皮吸収促進剤を配合した経皮吸収製剤及びそれを用いた皮膚有価物経皮吸収システムを提供することにある。
本発明の経皮吸収促進剤は、酵素よりなることを特徴とする。上記酵素は皮膚表面に作用して皮膚角質層構造の規則性を乱すような酵素であればいずれも使用可能であり、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ等が挙げられる。
プロテアーゼは蛋白質分子のペプチド結合を加水分解するので適切な酵素である。プロテアーゼは微生物から抽出精製して使用することが可能であるが、市販の各種プロテアーゼを用いることもできる。用いうるプロテアーゼとしては、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、コラゲナーゼ、エラスターゼ、エンドプロテナーゼ、プロナーゼ等が挙げられ、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、コラゲナーゼが特に有効に使用される。
エステラーゼ及びリパーゼは角質中の脂質に作用するので好ましい。リパーゼは動物すい臓から抽出精製して使用できるが、市販品を用いてもよい。
酵素はいずれも特有の作用最適pHを有するゆえにそれぞれの酵素の最適pHを考慮することにより経皮吸収促進能はさらに向上する。
酵素はいずれも特有の作用最適pHを有するゆえにそれぞれの酵素の最適pHを考慮することにより経皮吸収促進能はさらに向上する。
本発明の経皮吸収製剤は、皮膚有価物と請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする。
上記経皮吸収製剤としては、従来公知の任意の経皮吸収製剤(皮膚外用剤)が使用可能であり、例えば、テープ剤、バッチ剤、パップ剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、口腔剤、点眼剤、座薬等が挙げられる。
上記経皮吸収製剤は、皮膚有価物及び上記経皮吸収促進剤よりなるが、一般に基剤に皮膚有価物及び経皮吸収促進剤が溶解分散されてなり、テープ剤、バッチ剤、パップ剤等は、基剤、皮膚有価物及び経皮吸収促進剤よりなる皮膚有価物含有組成物が支持シートの一面に積層されている。
上記支持シートとしては、特に限定されず、従来からテープ製剤、バッチ製剤、パップ製剤等の支持シートとして一般に使用されているシートが好ましく、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、SIS樹脂、SEBS樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アルミニウム等のシートが挙げられる。又、これらのシートは、上記材料の繊維の織布又は不織布であってもよいし、これらのシート、織布及び不織布の積層シートであってもよい。
上記皮膚有価物としては、従来から経皮吸収製剤として使用されている薬物及び化粧品の原料であれば特に限定されない。薬物は酵素と併用することにより、経皮吸収促進作用が見られるものであれば特に制限はなく、例えば、解熱鎮痛消炎剤、ステロイド系抗炎症剤、血管拡張剤、不整脈用剤、血圧降下剤、局所麻酔剤、ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、全身麻酔剤、睡眠鎮痛剤、抗癲癇剤、精神神経用剤、骨格筋弛緩剤、自立神経用剤、抗パーキンソン剤、利尿剤、血管収縮剤、呼吸促進剤、麻薬等が挙げられる。
上記解熱鎮痛消炎剤としては、例えば、イブプロフェン、フルルピプロフェン、ケトプロフェン等が挙げられ、上記ステロイド系抗炎症剤としては、例えば、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、プレドニゾロン等が挙げられる。上記血管拡張剤としては、例えば、塩酸ジルチアゼム、硝酸イソソルビド等が挙げられる。上記不整脈用剤としては、例えば、塩酸プロカインアミド、塩酸メキシレチン等が挙げられる。
上記血圧降下剤としては、例えば、塩酸クロニジン、塩酸ブニトロロール、カプトプリル等が挙げられる。上記局所麻酔剤としては、例えば、塩酸テトラカイン、塩酸プロピトカイン等が挙げられる。上記ホルモン剤としては、例えば、プロピルチオウラシル、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン等が挙げられる。上記抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等が挙げられる。
上記全身麻酔剤としては、例えば、ペントバルビタールナトリウム等が挙げられる。上記睡眠・鎮痛剤としては、例えば、アモバルビタール、フェノバルビタール等が挙げられる。上記抗癲癇剤としては、例えば、フェニトインナトリウム等が例示される。上記精神神経用剤としては、例えば、塩酸クロルプロマジン、塩酸イミプラミン、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム等が挙げられる。上記骨格筋弛緩剤としては、例えば、塩酸スキサメトニウム、塩酸エペリゾン等が挙げられる。
上記自立神経用剤としては、例えば、臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等が挙げられる。上記抗パーキンソン剤としては、例えば、塩酸アマンタジン等が挙げられる。上記利尿剤としては、例えば、ヒドロフルメチアジド、イソソルビド、フロセミド等が挙げられる。上記血管収縮剤としては、例えば、塩酸フェニレフリン等が挙げられる。上記呼吸促進剤としては、例えば、塩酸ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等が挙げられる。上記麻薬としては、例えば、塩酸モルヒネ、塩酸コカイン、塩酸ペチジン等が挙げられる。
上記化粧品の原料としては、例えば、パルミチン酸アスコルビル、コウジ酸、ルシノール、トラネキサム酸、油用性甘草エキス、ビタミンA誘導体等の美白成分;レチノール、レチノイン酸、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等の抗しわ成分;酢酸トコフェロール、カプサイン、ノリル酸バニリルアミド等の血行促進成分;ラズベリーケトン、月見草エキス、海草エキス等のダイエット成分;イソプロピルメチルフェノール、感光素、酸化亜鉛等の抗菌成分;ビタミンD2 、ビタミンD3、ビタミンK等のビタミン類などが挙げられる。
上記皮膚有価物はいずれも分子量600以下の低分子化合物であるが、皮膚有価物は高分子皮膚有価物であってもよく、高分子皮膚有価物にも吸収促進効果が優れている。好ましい高分子皮膚有価物としては、例えば、生理活性ペプチド類とその誘導体、核酸、オリゴヌクレオチド、各種の抗原蛋白質、バクテリア、ウイルスの断片等が挙げられる。
上記生理活性ペプチド類とその誘導体としては、例えば、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン(PTH)、hPTH(1→34)、インスリン、セクレチン、オキシトシン、アンギオテンシン、β−エンドルフィン、グルカゴン、バソプレッシン、ソマトスタチン、ガストリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、エンケファリン、ニューロテンシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、ブラジキニン、サブスタンスP、ダイノルフィン、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチン、インターフェロン、インターロイキン、G−CSF、グルタチオンパーオキシダーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ、デスモプレシン、ソマトメジン、エンドセリン、及びこれらの塩等が挙げられる。抗原蛋白質としては、HBs表面抗原、HBe抗原等が挙げられる。
上記基剤は、特に限定されず、従来から経皮吸収製剤の基剤として使用されている基剤が使用可能であり、テープ製剤やバッチ製剤の場合は粘着剤であり、テープ製剤の場合は皮膚に対して粘着性が優れ、糊残りなく剥離できることが必要なので、アクリル系粘着剤及びゴム系粘着剤が好適に使用される。又、パップ剤の場合は、一般に水溶性樹脂と水によりなる基剤が使用される。
上記アクリル系粘着剤としては、炭素数4〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸のエステルである(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(共)重合体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルと官能性モノマーとの(共)重合体が好適に使用される。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
上記官能性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸ブチル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノアクリレート、ビニルピロリドン等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な重合性モノマーが共重合されてもよく、重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。尚、(共)重合体の(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分は50重量%以上であるのが好ましい。
上記ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、ポリイシプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンーブタジエンースチレン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレンーイソプレンースチレン共重合体、ウレタンゴム等のゴムを主体とする従来公知のゴム系粘着剤が使用できる。
上記粘着剤には、必要に応じて、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、クマロンーインデン系樹脂、石油系樹脂、テルペンーフェノール系樹脂などの粘着付与剤、液状ポリブテン、液状ポリイソプレン、鉱油ラノリン、液状ポリアクリレートなどの可塑剤、充填剤、老化防止剤等が添加されてもよい。
上記水溶性樹脂としては、例えば、アラビアガム、トラガンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、エコーガム、カラヤガム、寒天、でんぷん、カラゲナン、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、デキストラン、デキストリン、アミロース、ゼラチン、コラーゲン、プルラン、ペクチン、アミロペクチン、アミロペクチンセミグリコール酸ナトリウム、キチン、アルブミン、カゼイン、ポリグルタミン酸などの天然ポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキメチルシスターチ、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金属セルロース硫酸塩、セルロースアセテートフタレート、デンプンーアクリル酸グラフト共重合体、架橋ゼラチン、無水フタル酸変性ゼラチン、コハク酸変性ゼラチンなどの半合成ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエステル、ポリアクリル酸塩(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)、カルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドンーアクリル酸エチル共重合体、ビニルピロリドンースチレン共重合体、ビニルピロリドンー酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニルー(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニルークロトン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、スチレンーマレイン酸無水物共重合体、エチレンーマレイン酸無水物共重合体、アクリルアミドーアクリル酸共重合体などの合成ポリマーが挙げられる。
パップ剤に含まれる水の量は、水の含有量が少ないと薬物の吸収が遅くなり、パップ製剤を皮膚に貼付した際に水の蒸発による冷感効果が低下する傾向があり、逆に多くなると、水溶性ポリマーの流動性が大きくなり、製剤の形状を保持するのが困難になる傾向があるので、一般に1〜90重量%であり、好ましくは5〜85重量%である。
上記パップ剤には、必要に応じて、アクリル系樹脂、ゴム、シリコン系樹脂などの樹脂、多価アルコール(例えば、グリセリン、ポリプロピレングリコール)などの保湿剤、カオリン、ベントナイト、亜鉛華、二酸化チタンなどの無機充填剤、粘度調節剤、老化防止剤等が添加されてもよい。
上記皮膚有価物の含有量は、種類、使用目的に応じて適宜決定されるが、少なくなると有効性が低下し、多くなると粘着性が低下することから、皮膚有価物含有組成物中0.01〜50重量%が好ましい。皮膚有価物が経皮吸収システム中で過飽和状態で存在したり、結晶が析出した状態で存在していても特に支障はない。
上記経皮吸収促進剤の含有量は、特に限定されないが、含有量が少なくなると経皮吸収促進効果がすくなくなる傾向があり、多くなりすぎても経皮吸収促進効果の向上は認められないので皮膚有価物含有組成物中0.0001〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜5重量%である。
本発明の皮膚有価物経皮吸収システムは、請求項4記載の経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする。即ち、上記経皮吸収製剤を皮膚に貼付することにより皮膚有価物が皮膚を通って体内に吸収される。
本発明の皮膚有価物経皮吸収システムは、請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤を皮膚にプレトリートメントした後、皮膚有価物を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする。
即ち、まず皮膚を経皮吸収促進剤(酵素)に接触させた後に経皮吸収製剤を皮膚に貼付する。皮膚をプレトリートメントするには、経皮吸収促進剤(酵素)を適切なpHに調整した精製水等に溶解させた経皮吸収促進剤(酵素)溶液を経皮吸収製剤を貼付しようとする皮膚部位に適用するのが好ましい。その際、経皮吸収促進剤(酵素)溶液をろ紙やその他多孔質単体にしみ込ませて適用すると実用上便利である。又、異なる皮膚をプレトリートメントする方法として、経皮吸収促進剤(酵素)を前もって軟膏基剤に溶解させた経皮吸収促進剤(酵素)軟膏を皮膚に適用する方法、水性ゲル中に経皮吸収促進剤(酵素)を溶解させた経皮吸収促進剤(酵素)入り水性ゲルを皮膚に貼付する方法が挙げられる。これら軟膏、水性ゲルを調製するに当たっては酵素の安定化のためにグリセリン、砂糖、シクロデキストリン等を添加することが望ましい。
又、プレトリートメントをより効果的にするために、経皮吸収促進剤(酵素)溶液、経皮吸収促進剤(酵素)軟膏等を適用した皮膚を水不透過性フィルムで被うことは有効である。プレトリートメント時間は5分〜60分が適当である。プレトリートメント終了後はその部位の皮膚を清浄にして皮膚有価物を含有する経皮吸収製剤を貼付する。皮膚有価物を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付することにより皮膚有価物が皮膚を通って体内に吸収される。
上記皮膚有価物を含有する経皮吸収製剤は、皮膚有価物を含有しておればよく、皮膚有価物を含有する従来公知の任意の経皮吸収製剤が使用可能であり、請求項4記載の経皮吸収製剤であってもよいし、請求項4記載の経皮吸収製剤から経皮吸収促進剤を除去した経皮吸収製剤であってもよい。
しかしながら、生理活性ペプチド類とその誘導体は酵素によって分解されるので、皮膚有価物が生理活性ペプチド類又はその誘導体の場合には、皮膚を経皮吸収促進剤(酵素)でプレトリートメント処理した後、生理活性ペプチド類又はその誘導体を皮膚有価物を含有するが酵素は含有しない経皮吸収製剤を皮膚に貼付するのが好ましい。
又、生理活性ペプチド類がインスリンの場合、経皮吸収製剤のpHが7.0よりも高いとインスリンの経皮吸収性は極めて低くなり、経皮吸収製剤のpHが7.0以下になるとインスリンの経皮吸収性は向上する。従って、インスリンを酸性の基剤に溶解することにより高い経皮吸収性を得ることができる。この経皮吸収性のpH依存性はインスリンの水への溶解度及び多量化(溶解しても2量体化、3量体化して溶解している)などが関係していると思慮される。pHが低すぎる溶媒に溶解させると(例えば、pH1.0)、皮膚への刺激性が高いことが懸念されるのでインスリンを含有する経皮吸収製剤のpHは2〜6が好ましく、経皮吸収性と皮膚刺激の観点から2.5〜5のpH範囲がより好ましい。
本発明の皮膚有価物経皮吸収システムは、請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤で皮膚をプレトリートメントし、次いで酵素不働化物質でトリートメントした後、皮膚有価物を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする皮膚有価物経皮吸収システムである。
上記経皮吸収促進剤(酵素)で皮膚をプレトリートメントする方法は、請求項7における経皮吸収促進剤(酵素)で皮膚をプレトリートメントする方法と同一であり、プレトリートメントした後、酵素不働化物質でトリートメントを行う。
上記酵素不働化物質は、酵素の生理活性ペプチドを分解する能力を低下若しくは無くす作用を有する物質であり、例えば、酵素阻害剤;メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール、グリセリン、重合度600以下のポリエチレングリコールなどの液状のアルコール;アセトンなどの有機溶媒;酢酸、塩酸、乳酸などの酸性水溶液等があげられ、液状のアルコールが好ましく、より好ましくは、エタノール及び(イソ)プロパノールである。
上記酵素阻害剤は、酵素のある特定部位に結合して酵素の反応速度を低下させる物質であって、プロテアーゼ用の酵素阻害剤としては、例えば、バシトラシン、アマスタチン、ソイビーントリプシンインヒビター、アプロチニン、カモスタットメシレート、界面活性物質、ロイペプチン、アンチパイン、キモスタチン、エラスタチナール、ホスホラミドン等が挙げられる。
皮膚を経皮吸収促進剤(酵素)でプレトリートメントすると、皮膚は皮膚有価物を吸収し易くなるが、この経皮吸収促進剤(酵素)は蛋白質を分解する能力を有しており、皮膚有価物が生理活性ペプチドの場合、生理活性ペプチドは蛋白質であるから、皮膚に経皮吸収促進剤(酵素)が残存していると生理活性ペプチドが分解される恐れがあるので、経皮吸収促進剤(酵素)で皮膚をプレトリートメントした後、酵素不働化物質でトリートメントして経皮吸収促進剤(酵素)の反応性を低下させると共に、酵素不働化物質でトリートメントすることにより、角質より内側の皮膚に生体防御のために存在する酵素の反応性を低下させる。
経皮吸収促進剤(酵素)でプレトリートメントした皮膚を酵素不働化物質でトリートメントするには、酵素不働化物質を適切なpHに調整した精製水等に溶解させた酵素不働化物質溶液を経皮吸収促進剤(酵素)でプレトリートメントした皮膚部位に適用すればよい。又、酵素不働化物質が液体の場合はそのまま経皮吸収促進剤(酵素)でプレトリートメントした皮膚部位に適用すればよい。その際、酵素不働化物質溶液又は液体の酵素不働化物質をろ紙やその他多孔質単体にしみ込ませて適用すると実用上便利である。上記酵素不働化物質溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、一般に0.1〜100重量%である。
又、上記酵素不働化物質によるトリートメントをより効果的にするため、酵素不働化物質溶液又は液体の酵素不働化物質を適用した皮膚を水不透過性フィルムで被うことは有効である。トリートメント時間は5分〜60分が適当である。
更に、上記酵素不働化物質によるトリートメントをより効果的にするため、トリートメントする前に、経皮吸収促進剤(酵素)でプレトリートメントした皮膚を水等で洗浄することにより経皮吸収促進剤(酵素)を除去してもよい。
上記酵素不働化物質によるトリートメント終了後に、皮膚有価物を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付する。前述の通り、経皮吸収促進剤(酵素)は蛋白質(生理活性ペプチド)を分解する能力を有しているので、この皮膚有価物経皮吸収システムは、皮膚有価物として生理活性ペプチドを含有する経皮吸収製剤を使用する際に好適である。
本発明の皮膚有価物経皮吸収システムは、請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤で皮膚をプレトリートメントした後、皮膚有価物と酵素不働化物質を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする皮膚有価物経皮吸収システムである。
上記経皮吸収促進剤(酵素)で皮膚をプレトリートメントする方法は、請求項6における経皮吸収促進剤(酵素)で皮膚をプレトリートメントする方法と同一であり、プレトリートメントした後、皮膚有価物と酵素不働化物質を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付する。尚、プレトリートメントした後、皮膚を洗浄して経皮吸収促進剤(酵素)を取除くのが好ましい。
上記皮膚有価物と酵素不働化物質を含有する経皮吸収製剤は、皮膚有価物と酵素不働化物質を含有する従来公知の任意の経皮吸収製剤が使用可能であり、請求項4記載の経皮吸収製剤に酵素不働化物質を添加したものであってもよいし、請求項4記載の経皮吸収製剤に酵素不働化物質を添加し、経皮吸収促進剤を除去した経皮吸収製剤であってもよい。尚、皮膚有価物として生理活性ペプチドは好適に使用されるが、前述の通り、経皮吸収促進剤(酵素)は蛋白質(生理活性ペプチド)を分解する能力を有しているので、皮膚有価物として生理活性ペプチドを含有する経皮吸収製剤には経皮吸収促進剤(酵素)を含有させないのが好ましい。
酵素不働化物質の含有量はプレトリートメントされた皮膚上に残存する経皮吸収促進剤(酵素)及び皮膚内の酵素の反応性を低下させうる量であればよく、一般に、皮膚有価物含有組成物中0.01〜50重量%が好ましい。
上記皮膚有価物経皮吸収システムとしては、受動拡散システム、イオントフォレシスシステム、ソノフォレシスシステム又はパッチワクチンシステムが挙げられる。
上記受動拡散システムとは、特に経皮吸収のためにエネルギーを与えずに薬物含有層に高濃度含まれる薬物の拡散の力で経皮吸収させる方法であり、通常のローション剤、軟膏剤、クリーム剤、パップ剤、テープ剤等は全てこの方法で使用される。
上記イオントフォレシスシステムは、皮膚有価物含有組成物に電気的エネルギーを与えイオン反発の力を利用して経皮吸収を促進する方法であり、剤形としてはローション剤、パップ剤等水を媒体とする経皮吸収製剤が多く使用される。
上記ソノフォレシスシステムは、皮膚有価物含有組成物に超音波エネルギーを与え超音波による角質の乱れを利用して経皮吸収を促進する方法であり、剤形としては上記全ての経皮吸収製剤に使用される。
上記パッチワクチンシステムは、皮膚有価物が抗原性物質であり、抗原性物質を皮膚から投与し表皮にあるランゲルハンス細胞を刺激して抗体を産生させることを目的とする方法であり、剤形としては上記全ての経皮吸収製剤に使用される。
(発明の効果)
(発明の効果)
本発明の経皮吸収促進剤の構成は上述の通りであるから、経皮吸収促進効果が優れ且つ安全性、使用性が高い。この経皮吸収促進剤を配合した経皮吸収型製剤は経皮吸収促進効果が優れ且つ安全なので経皮吸収型製剤として好適に使用できる。又、本発明の皮膚有価物経皮吸収システムの構成は上述の通りであるから、皮膚有価物を経皮により人体に効率よく供給することができる。従って、注射する必要がなく、自分で経皮吸収製剤を皮膚に貼付することにより処理することができるので、簡便であり、安価に処理することができる。又、安全に且つ速やかに皮膚有価物を長時間にわたり、血中濃度を一定に保ちながら供給することができ、医療用途に好適である。
次に、本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
基剤の作成
(1)アクリル共重合体−A溶液の合成
1000mlの反応容器に、酢酸エチル300g、アクリル酸2−エチルヘキシル184g及びアクリル酸16gを仕込み、攪拌及び窒素置換をしつつ温度を上昇させた。温度が70℃になった時にアゾビスイソブチロニトリル0.05g添加した。その後、2時間間隔でアゾビスイソブチロニトリルを計0.1g添加した。温度を70℃に保ちつつ重合を進め計8時間で重合を終了しアクリル系共重合体−A溶液を得た。
(1)アクリル共重合体−A溶液の合成
1000mlの反応容器に、酢酸エチル300g、アクリル酸2−エチルヘキシル184g及びアクリル酸16gを仕込み、攪拌及び窒素置換をしつつ温度を上昇させた。温度が70℃になった時にアゾビスイソブチロニトリル0.05g添加した。その後、2時間間隔でアゾビスイソブチロニトリルを計0.1g添加した。温度を70℃に保ちつつ重合を進め計8時間で重合を終了しアクリル系共重合体−A溶液を得た。
(2)アクリル共重合体−B溶液の合成
1000mlの反応容器に、水200g、アセトン300g、アクリル酸160g及びアクリル酸2−エチルヘキシル40gを仕込み、攪拌及び窒素置換をしつつ温度を上昇させた。温度が65℃になった時にアゾビスイソブチロニトリル0.05g添加した。その後、2時間間隔でアゾビスイソブチロニトリルを計0.1g添加した。温度を70℃に保ちつつ重合を進め計8時間で重合を終了しアクリル系共重合体溶液−Bを得た。
1000mlの反応容器に、水200g、アセトン300g、アクリル酸160g及びアクリル酸2−エチルヘキシル40gを仕込み、攪拌及び窒素置換をしつつ温度を上昇させた。温度が65℃になった時にアゾビスイソブチロニトリル0.05g添加した。その後、2時間間隔でアゾビスイソブチロニトリルを計0.1g添加した。温度を70℃に保ちつつ重合を進め計8時間で重合を終了しアクリル系共重合体溶液−Bを得た。
(3)水性貼付剤基剤Aの調製
ポリアクリル酸ナトリウム1.5g、グリセリン2.5g及び水12.0gを混合した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液と0.1N塩酸を適宜滴下してpHを6.0付近に調整して水性貼付剤基剤Aを得た。
ポリアクリル酸ナトリウム1.5g、グリセリン2.5g及び水12.0gを混合した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液と0.1N塩酸を適宜滴下してpHを6.0付近に調整して水性貼付剤基剤Aを得た。
(4)水性貼付剤基剤Bの調製
酒石酸0.4g、アルミニウムグリシネート0.018g及び水10.0gを混合して水性貼付剤基剤Bを得た。
酒石酸0.4g、アルミニウムグリシネート0.018g及び水10.0gを混合して水性貼付剤基剤Bを得た。
(実施例1)
水性貼付剤基剤A16.0g、水性貼付剤基剤B1.4g及び牛由来インスリン(ナカライテスク社製)50ugをpH2. 0の塩酸水溶液に溶解した後配合し、厚さ200ugになるように展延して水性基剤シートを得た。得られた水性基剤シートを直径1.0cmの円形に打ち抜いてインスリンパッチを得た。本パッチのpHは4.0であった。
水性貼付剤基剤A16.0g、水性貼付剤基剤B1.4g及び牛由来インスリン(ナカライテスク社製)50ugをpH2. 0の塩酸水溶液に溶解した後配合し、厚さ200ugになるように展延して水性基剤シートを得た。得られた水性基剤シートを直径1.0cmの円形に打ち抜いてインスリンパッチを得た。本パッチのpHは4.0であった。
トリプシン(ナカライテスク社製)の0.01重量%水溶液に浸したガーゼをラット皮膚角質側に密着させて36℃で1時間に保持して角質処置した。次に、皮膚を精製水により洗浄し、ガーゼで水をぬぐった後、インスリンパッチを貼付して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、牛由来インシュリンの24時間累積透過量は2.5ug/cm2 であった。
尚、薬物経皮吸収性試験は以下の通り行った。
ラットの摘出皮膚を37℃の水を循環させたフランツ型拡散セルに挟み、レシーバー(真皮)側にPBS緩衝溶液(pH7.4)を供給し、マグネティックスターラーにより攪拌した。ドナー(角質)側には薬物入り各種製剤を適用し、24時間薬物の透過試験を行った。24時間後にレシーバー中の混合液を採取して、その中の薬物濃度を高速液体クロマトグラフ(HPLC)により測定し、皮膚を透過した薬物量(24時間累積透過量)を求めた。
ラットの摘出皮膚を37℃の水を循環させたフランツ型拡散セルに挟み、レシーバー(真皮)側にPBS緩衝溶液(pH7.4)を供給し、マグネティックスターラーにより攪拌した。ドナー(角質)側には薬物入り各種製剤を適用し、24時間薬物の透過試験を行った。24時間後にレシーバー中の混合液を採取して、その中の薬物濃度を高速液体クロマトグラフ(HPLC)により測定し、皮膚を透過した薬物量(24時間累積透過量)を求めた。
(比較例1)
角質処置しなかった以外は実施例1で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行ったところ、牛由来インシュリンの24時間累積透過量は0.03ug/cm2 であった。
角質処置しなかった以外は実施例1で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行ったところ、牛由来インシュリンの24時間累積透過量は0.03ug/cm2 であった。
(実施例2)
牛由来インシュリン(ナカライテスク社製)50ugに代えて鮭カルシトニン(シグマ社製)40ugを配合した以外は実施例1で行ったと同様にして鮭カルシトニンパッチを得た。豚由来リパーゼ(ナカライテスク社製)の0.01重量%水溶液に浸したガーゼをラット皮膚角質側に密着させて36℃で1時間に保持して角質処置した。次に、皮膚を精製水により洗浄し、ガーゼで水をぬぐった後、鮭カルシトニンパッチを貼付して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、鮭カルシトニンの24時間累積透過量は3.3ug/cm2 であった。
牛由来インシュリン(ナカライテスク社製)50ugに代えて鮭カルシトニン(シグマ社製)40ugを配合した以外は実施例1で行ったと同様にして鮭カルシトニンパッチを得た。豚由来リパーゼ(ナカライテスク社製)の0.01重量%水溶液に浸したガーゼをラット皮膚角質側に密着させて36℃で1時間に保持して角質処置した。次に、皮膚を精製水により洗浄し、ガーゼで水をぬぐった後、鮭カルシトニンパッチを貼付して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、鮭カルシトニンの24時間累積透過量は3.3ug/cm2 であった。
(比較例2)
角質処置しなかった以外は実施例2で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行ったところ、鮭カルシトニンの24時間累積透過量は0.02ug/cm2 であった。
角質処置しなかった以外は実施例2で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行ったところ、鮭カルシトニンの24時間累積透過量は0.02ug/cm2 であった。
(実施例3)
アクリル系共重合体−B溶液10gにグリセリン8g、水4g、5FU(シグマアルドリッチ社製)0.7gを配合し、不織布上に塗布し、60℃で10分間乾燥することにより、厚さ0.1mmの5FU含有粘着性貼付剤を得た(5%製剤)。キモトリプシン(ナカライテスク社製)の0.05重量%水溶液に浸したガーゼをラット皮膚角質側に密着させて36℃で1時間に保持して角質処置した。次に、皮膚を精製水により洗浄し、ガーゼで水をぬぐった後、5FU含有粘着性貼付剤を貼付して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、5FUの24時間累積透過量は760ug/cm2 であった。
アクリル系共重合体−B溶液10gにグリセリン8g、水4g、5FU(シグマアルドリッチ社製)0.7gを配合し、不織布上に塗布し、60℃で10分間乾燥することにより、厚さ0.1mmの5FU含有粘着性貼付剤を得た(5%製剤)。キモトリプシン(ナカライテスク社製)の0.05重量%水溶液に浸したガーゼをラット皮膚角質側に密着させて36℃で1時間に保持して角質処置した。次に、皮膚を精製水により洗浄し、ガーゼで水をぬぐった後、5FU含有粘着性貼付剤を貼付して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、5FUの24時間累積透過量は760ug/cm2 であった。
(比較例3)
角質処置しなかった以外は実施例3で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行ったところ、5FUの24時間累積透過量は120ug/cm2 であった。
角質処置しなかった以外は実施例3で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行ったところ、5FUの24時間累積透過量は120ug/cm2 であった。
(実施例4)
水性貼付剤基剤A16.0g、水性貼付剤基剤B1.4g、オンダンセトロン塩酸塩(シグマアルドリッチ社製)0.5g及びリパーゼ(ナカライテスク社製)0.02gを配合してハイドロゲル貼付剤を得た。得られたハイドロゲル貼付剤を不織布上に厚さ2〜2.5mmの厚さに展延し、更に、剥離フィルムで覆うことにより、親水性貼付剤を得た。得られた親水性貼付剤をラット皮膚の角質側に貼付して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、オンダンセトロン塩酸塩の24時間累積透過量は1400ug/cm2 であった。
水性貼付剤基剤A16.0g、水性貼付剤基剤B1.4g、オンダンセトロン塩酸塩(シグマアルドリッチ社製)0.5g及びリパーゼ(ナカライテスク社製)0.02gを配合してハイドロゲル貼付剤を得た。得られたハイドロゲル貼付剤を不織布上に厚さ2〜2.5mmの厚さに展延し、更に、剥離フィルムで覆うことにより、親水性貼付剤を得た。得られた親水性貼付剤をラット皮膚の角質側に貼付して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、オンダンセトロン塩酸塩の24時間累積透過量は1400ug/cm2 であった。
(比較例4)
リパーゼを配合しなかった以外は実施例4で行ったと同様にして親水性貼付剤を得、薬物経皮吸収性試験を行ったところ、オンダンセトロン塩酸塩の24時間累積透過量は270ug/cm2 であった。
リパーゼを配合しなかった以外は実施例4で行ったと同様にして親水性貼付剤を得、薬物経皮吸収性試験を行ったところ、オンダンセトロン塩酸塩の24時間累積透過量は270ug/cm2 であった。
(実施例5)
日本薬局方親水軟膏基剤10g、グラニセトロン塩酸塩(シグマアルドリッチ社製)0.6g及びリパーゼ(ナカライテスク社製)0.1gを配合して軟膏を得た。得られた軟膏をラット皮膚の角質側に塗布して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、グラニセトロン塩酸塩の24時間累積透過量は3200ug/cm2 であった。
日本薬局方親水軟膏基剤10g、グラニセトロン塩酸塩(シグマアルドリッチ社製)0.6g及びリパーゼ(ナカライテスク社製)0.1gを配合して軟膏を得た。得られた軟膏をラット皮膚の角質側に塗布して薬物経皮吸収性試験を行ったところ、グラニセトロン塩酸塩の24時間累積透過量は3200ug/cm2 であった。
(比較例5)
リパーゼを配合しなかった以外は実施例5で行ったと同様にして親水性貼付剤を得、薬物経皮吸収性試験を行ったところ、グラニセトロン塩酸塩の24時間累積透過量は610ug/cm2 であった。
リパーゼを配合しなかった以外は実施例5で行ったと同様にして親水性貼付剤を得、薬物経皮吸収性試験を行ったところ、グラニセトロン塩酸塩の24時間累積透過量は610ug/cm2 であった。
(実施例6)
アクリル共重合体−A溶液10g、グラニセトロン(シグマアルドリッチ社製)0.08gを配合してグラニセトロン含有粘着性貼付剤を得た。別途、リパーゼ(ナカライテスク社製)0.04gを日本薬局方親水軟膏基剤5gによく混合した酵素軟膏をラット皮膚の角質側に塗布して36℃、1時間プレトリートメントした。処理皮膚を水で洗浄した後、グラニセトロン含有粘着性貼付剤を貼付し、薬物経皮吸収性試験を行ったところ、グラニセトロンの24時間累積透過量は3700ug/cm2 であった。
アクリル共重合体−A溶液10g、グラニセトロン(シグマアルドリッチ社製)0.08gを配合してグラニセトロン含有粘着性貼付剤を得た。別途、リパーゼ(ナカライテスク社製)0.04gを日本薬局方親水軟膏基剤5gによく混合した酵素軟膏をラット皮膚の角質側に塗布して36℃、1時間プレトリートメントした。処理皮膚を水で洗浄した後、グラニセトロン含有粘着性貼付剤を貼付し、薬物経皮吸収性試験を行ったところ、グラニセトロンの24時間累積透過量は3700ug/cm2 であった。
(比較例6)
プレトリートメントしなかった以外は実施例6と同様にして薬物経皮吸収性試験を行ったところ、グラニセトロンの24時間累積透過量は770ug/cm2 であった。
プレトリートメントしなかった以外は実施例6と同様にして薬物経皮吸収性試験を行ったところ、グラニセトロンの24時間累積透過量は770ug/cm2 であった。
(実施例7)
ピルビン酸20mM溶液10mlに酢酸デスモプレシンを0.1mMとなるように溶解した。これに0.1N塩酸と0.1N水酸化ナトリウムを加えpHを6.0に調整した。次に、ポリビニルアルコールを全体の15W/V(重量/体積)%になるよう添加溶解して、薬物入り組成物を得た。得られた薬物入り組成物を直径20mm、深さ2mmの円柱状の型に流し込み、−20℃で1時間保存し凍結させた後、5℃で1時間保存し融解させ、直径2cmの円形に打抜いて薬物入りディスクを得た。又、対極組成物として0.1重量%塩化ナトリウム含有寒天ゲルを調製し、直径2cmの円形に打抜いて対極ディスクを得た。
ピルビン酸20mM溶液10mlに酢酸デスモプレシンを0.1mMとなるように溶解した。これに0.1N塩酸と0.1N水酸化ナトリウムを加えpHを6.0に調整した。次に、ポリビニルアルコールを全体の15W/V(重量/体積)%になるよう添加溶解して、薬物入り組成物を得た。得られた薬物入り組成物を直径20mm、深さ2mmの円柱状の型に流し込み、−20℃で1時間保存し凍結させた後、5℃で1時間保存し融解させ、直径2cmの円形に打抜いて薬物入りディスクを得た。又、対極組成物として0.1重量%塩化ナトリウム含有寒天ゲルを調製し、直径2cmの円形に打抜いて対極ディスクを得た。
本試験はWister系雄性ラット(体重220g)を剃毛し、フェノバルビタール麻酔下におけるIn vivo試験を行った。ラットの角質処置は、中性プロテアーゼ(天野エンザイム社製、商品名「プロザイム」)の0.1重量%水溶液を浸したガーゼをラット皮膚角質側に1時間密着させることにより行った。
角質処置後、薬物入りディスクと対極ディスクをラット皮膚上角質側に1cmの間隔をあけて貼付し、薬物入りディスクを陽極に、対極ディスクを陰極になるよう接続し、両ディスク間に0.2mA/cm2 直流を定電流発生装置により2時間通電した。
通電後、薬物入りディスクを回収し、ピルビン酸10mM水溶液50cm3 にて抽出して水溶液中の酢酸デスモプレッシン濃度をHPLCにより測定して、酢酸デスモプレシンの皮膚移行率を測定したところ81重量%であった。
(比較例7)
角質処置をしなかった以外は実施例7で行ったと同様にして、酢酸デスモプレシンの皮膚移行率を測定したところ12.6重量%であった。
角質処置をしなかった以外は実施例7で行ったと同様にして、酢酸デスモプレシンの皮膚移行率を測定したところ12.6重量%であった。
(比較例8)
角質処置をしなかった及び通電をしなかった以外は実施例7で行ったと同様にして、酢酸デスモプレッシンの皮膚移行率を測定したところ5.7重量%であった。
角質処置をしなかった及び通電をしなかった以外は実施例7で行ったと同様にして、酢酸デスモプレッシンの皮膚移行率を測定したところ5.7重量%であった。
実施例7と比較例7及び8を比較すると、イオントフォレシスによる経皮吸収促進に際しても、酵素で角質処置をすることで薬物経皮吸収性が大幅に向上していることがわかる。
(実施例8)
水性貼付剤基剤A16.0gと水性貼付剤基剤B10.4gを配合して水性貼付剤基剤を得た。得られた水性貼付剤基剤を不織布上に200umの厚さに展延し、直径1cmの円形に打ち抜いてパッチを得た。得られたパッチに、組換えHBs抗原(シグマ社製)30μgを含浸させ抗原入りパッチを得た。
水性貼付剤基剤A16.0gと水性貼付剤基剤B10.4gを配合して水性貼付剤基剤を得た。得られた水性貼付剤基剤を不織布上に200umの厚さに展延し、直径1cmの円形に打ち抜いてパッチを得た。得られたパッチに、組換えHBs抗原(シグマ社製)30μgを含浸させ抗原入りパッチを得た。
HBsに特異的な抗体に対して陰性である日本白色種雄性ウサギ(体重2〜2.5kg)3羽の背中を除毛した免疫感作部位を洗浄した後、トリプシン(ナカライテスク社製)の0.1重量%水溶液に浸したガーゼを免疫感作部位に密着させて36℃で1時間に保持して角質処置した。次に、免疫感作部位を精製水により洗浄し、ガーゼで水をぬぐった後、得られた抗原入りパッチを貼付し、その上をドレッシングテープで覆い免疫感作操作を実施した。24時間後にパッチを除去した。
免疫感作後3週間して、ウサギの静脈血液試料を採取し、HBsAgに特異的な抗体力価を測定したところ、三羽とも陽性であった。尚、抗体力価の測定はバイオクリット−抗HBs(三光純薬社製)を用いた。
(比較例9)
角質処置を行わなかった以外は実施例8と同様にして、免疫感作操作を実施し、HBs抗原に特異的な抗体力価を測定したところ、三羽とも陰性であった。
角質処置を行わなかった以外は実施例8と同様にして、免疫感作操作を実施し、HBs抗原に特異的な抗体力価を測定したところ、三羽とも陰性であった。
実施例8と比較例9を比較すると、角質を酵素処置することにより、HBs抗原が経皮吸収され、抗HBs抗体の産生を著しく促進していることがわかる。
(実施例9)
ポリアクリル酸ナトリウム1.5g、グリセリン1.5g、エタノール4g及び水12.0gを混合した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液と0.1N塩酸を適宜滴下してpHを6.0付近に調整して、酵素不働化物質としてエタノールを約20重量%含有する水性基剤を得た。得られた水性基剤10.0gと牛由来インスリン(ナカライテクス社製)100UをpH2.0の塩酸水溶液に溶解した後混合して水性経皮吸収製剤を得た。経皮吸収製剤のpHは3.8であった。
ポリアクリル酸ナトリウム1.5g、グリセリン1.5g、エタノール4g及び水12.0gを混合した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液と0.1N塩酸を適宜滴下してpHを6.0付近に調整して、酵素不働化物質としてエタノールを約20重量%含有する水性基剤を得た。得られた水性基剤10.0gと牛由来インスリン(ナカライテクス社製)100UをpH2.0の塩酸水溶液に溶解した後混合して水性経皮吸収製剤を得た。経皮吸収製剤のpHは3.8であった。
トリプシン(ナカライテスク社製)の0.25重量%水溶液に浸したガーゼをWistar系雄性ラットの除毛した腹部の皮膚角質側に密着させて36℃で1時間保持してプレトリートメントした。プレトリートメントした皮膚をガーゼでぬぐった後、得られた水性経皮吸収製剤を塗布して薬物経皮吸収性試験を行った。
薬物経皮吸収性試験は以下の通り行った。
水性経皮吸収製剤を塗布した皮膚を37℃の水を循環させたフランツ型拡散セルに挟み、レシーバー(真皮)側に水とポリエチレングリコール400の混合液(70:30)を供給し、マグネティックスターラーにより攪拌し、3、6、9、12及び24時間後にレシーバー中の混合液を採取して、その中のインスリン濃度を高速液体クロマトグラフ(HPLC)により測定し、皮膚を透過したインスリン量を求め、結果を図1に示した。
水性経皮吸収製剤を塗布した皮膚を37℃の水を循環させたフランツ型拡散セルに挟み、レシーバー(真皮)側に水とポリエチレングリコール400の混合液(70:30)を供給し、マグネティックスターラーにより攪拌し、3、6、9、12及び24時間後にレシーバー中の混合液を採取して、その中のインスリン濃度を高速液体クロマトグラフ(HPLC)により測定し、皮膚を透過したインスリン量を求め、結果を図1に示した。
(実施例10)
トリプシンの0.25重量%水溶液に浸したガーゼに代えて、リパーゼ(ナカライテスク社製)の0.25重量%水溶液に浸したガーゼをラット皮膚角質側に密着させて36℃で1時間保持してプレトリートメントした以外は、実施例9で行ったと同様にして水性経皮吸収製剤を塗布して薬物経皮吸収性試験を行い結果を図1に示した。
トリプシンの0.25重量%水溶液に浸したガーゼに代えて、リパーゼ(ナカライテスク社製)の0.25重量%水溶液に浸したガーゼをラット皮膚角質側に密着させて36℃で1時間保持してプレトリートメントした以外は、実施例9で行ったと同様にして水性経皮吸収製剤を塗布して薬物経皮吸収性試験を行い結果を図1に示した。
(比較例10)
プレトリートメントをしなかった以外は、実施例9で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行い、結果を図1に示した。
プレトリートメントをしなかった以外は、実施例9で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行い、結果を図1に示した。
(比較例11)
ポリアクリル酸ナトリウム1.5g、グリセリン1.5g及び水12.0gを混合した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液と0.1N塩酸を適宜滴下してpHを6.0付近に調整して、酵素不働化物質を含まない水性基剤を得た。得られた水性基剤10.0gとインスリン(ナカライテクス社製)100UをpH2.0の塩酸水溶液に混合溶解して水性経皮吸収製剤を得た。
ポリアクリル酸ナトリウム1.5g、グリセリン1.5g及び水12.0gを混合した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液と0.1N塩酸を適宜滴下してpHを6.0付近に調整して、酵素不働化物質を含まない水性基剤を得た。得られた水性基剤10.0gとインスリン(ナカライテクス社製)100UをpH2.0の塩酸水溶液に混合溶解して水性経皮吸収製剤を得た。
酵素不働化物質としてエタノールを含む水性経皮吸収製剤に代えて、得られた酵素不働化物質を含まない水性経皮吸収製剤を用いた以外は、実施例9で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行い、結果を図1に示した。
(比較例12)
酵素不働化物質としてエタノールを含む水性経皮吸収製剤に代えて、得られた酵素不働化物質を含まない水性経皮吸収製剤を用いた以外は、実施例10で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行い、結果を図1に示した。
酵素不働化物質としてエタノールを含む水性経皮吸収製剤に代えて、得られた酵素不働化物質を含まない水性経皮吸収製剤を用いた以外は、実施例10で行ったと同様にして薬物経皮吸収性試験を行い、結果を図1に示した。
(実施例11)
エーテル麻酔下のWistar系雄性ラット(10週齢、体重250〜300g)の尾静脈からストレプトゾシン(STZ、シグマ社製)のクエン酸緩衝液(pH4.5)を15mg注入した。1週間後の空腹時の血糖値を測定し250〜400mg/dlのラットを糖尿病モデルとして実験に使った。
エーテル麻酔下のWistar系雄性ラット(10週齢、体重250〜300g)の尾静脈からストレプトゾシン(STZ、シグマ社製)のクエン酸緩衝液(pH4.5)を15mg注入した。1週間後の空腹時の血糖値を測定し250〜400mg/dlのラットを糖尿病モデルとして実験に使った。
実験前日に、得られたラットの腹部を傷がないように剃毛し、16時間絶食させた。0.25重量%トリプシン水溶液を濾紙に浸し、30分間腹部皮膚をプレトリートメント処理した。その後70重量%エタノール水溶液を浸した濾紙をプレトリートメント処理した皮膚に当ててトリートメント処理した。
少量の塩酸で溶かしリン酸緩衝液で希釈したpH5、インスリン濃度50U/ml(2mg/ml)のインスリン溶液を3cm平方の濾紙に浸し、ラットのトリートメントされた腹部に貼付し、2、4、6及び8時間後に尾静脈から血液を採取し血糖値を測定した。初期血糖値を100とし、初期血糖値に対しての割合を図2に示した。尚、実験はn=2で行い平均値で示した。
(実施例12)
インスリン濃度50U/ml(2mg/ml)のインスリン溶液に代えてインスリン濃度100U/ml(4mg/ml)のインスリン溶液を使用した以外は実施例11で行ったと同様にして、ラットの血糖値を測定し、初期血糖値に対しての割合を図2に示した。
インスリン濃度50U/ml(2mg/ml)のインスリン溶液に代えてインスリン濃度100U/ml(4mg/ml)のインスリン溶液を使用した以外は実施例11で行ったと同様にして、ラットの血糖値を測定し、初期血糖値に対しての割合を図2に示した。
(比較例13)
トリプシン水溶液によるプレトリートメント処理を行わなかった以外は実施例11で行ったと同様にして、ラットの血糖値を測定し、初期血糖値に対しての割合を図2に示した。
トリプシン水溶液によるプレトリートメント処理を行わなかった以外は実施例11で行ったと同様にして、ラットの血糖値を測定し、初期血糖値に対しての割合を図2に示した。
(比較例14)
エタノール水溶液によるトリートメント処理を行わなかった以外は実施例11で行ったと同様にして、ラットの血糖値を測定し、初期血糖値に対しての割合を図2に示した。
エタノール水溶液によるトリートメント処理を行わなかった以外は実施例11で行ったと同様にして、ラットの血糖値を測定し、初期血糖値に対しての割合を図2に示した。
本実験では最大で初期血中血糖値の50%までの降血糖効果が見られた。エタノールによりトリートメント処理が血糖降下に及ぼす効果は極めて大きいことがわかる。
(実施例13)
水60gにポリビニルアルコールの40gを溶解して水性基剤を得た。得られた水性基剤10.0gと牛由来インスリン(ナカライテクス社製)30UをpH2.0の塩酸水溶液に溶解混合した後、濃塩酸と濃水酸化ナトリウム水溶液を適当量添加しpH2.0(試料1)、pH3.5(試料2)、pH5.0(試料3)、pH6.5(試料4)及びpH8.0(試料5)の水性経皮吸収製剤を得た。
水60gにポリビニルアルコールの40gを溶解して水性基剤を得た。得られた水性基剤10.0gと牛由来インスリン(ナカライテクス社製)30UをpH2.0の塩酸水溶液に溶解混合した後、濃塩酸と濃水酸化ナトリウム水溶液を適当量添加しpH2.0(試料1)、pH3.5(試料2)、pH5.0(試料3)、pH6.5(試料4)及びpH8.0(試料5)の水性経皮吸収製剤を得た。
得られた水性経皮吸収製剤を用いて実施例9で行ったと同様にして薬物経皮吸収試験を行い24時間後のインスリン経皮吸収量(24時間累積経皮透過量)を求めたところ、試料1は21ug/cm2 、試料2は15ug/cm2 、試料3は4.5ug/cm2 、試料4は0.1ug/cm2 、試料5は0ug/cm2 であった。
本発明の経皮吸収促進剤は経皮吸収促進効果が優れ且つ安全性、使用性が高い。この経皮吸収促進剤を配合した経皮吸収型製剤は経皮吸収促進効果が優れ且つ安全なので経皮吸収型製剤として好適に使用できる。又、本発明の皮膚有価物経皮吸収システムは皮膚有価物を経皮により人体に効率よく供給することができる。従って、本発明は医学的に有用である。
Claims (12)
- 酵素よりなることを特徴とする経皮吸収促進剤。
- 酵素がプロテアーゼ又はリパーゼであることを特徴とする請求項1記載の経皮吸収促進剤。
- プロテアーゼが、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン又はコラゲナーゼであることを特徴とする請求項2記載の経皮吸収促進剤。
- 皮膚有価物と請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤を含有することを特徴とする経皮吸収製剤。
- 請求項4記載の経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする皮膚有価物経皮吸収システム。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤で皮膚にプレトリートメントした後、皮膚有価物を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする皮膚有価物経皮吸収システム。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤で皮膚をプレトリートメントし、次いで酵素不働化物質でトリートメントした後、皮膚有価物を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする皮膚有価物経皮吸収システム。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の経皮吸収促進剤で皮膚をプレトリートメントした後、皮膚有価物と酵素不働化物質を含有する経皮吸収製剤を皮膚に貼付することを特徴とする皮膚有価物経皮吸収システム。
- 酵素不働化物質が、エタノール又は(イソ)プロパノールであることを特徴とする請求項7又は8項記載の皮膚有価物経皮吸収システム。
- 皮膚有価物が生理活性ペプチド類又はその誘導体であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載の皮膚有価物経皮吸収システム。
- 生理活性ペプチドとしてインスリンを含有する経皮吸収製剤のpHが2〜6であることを特徴とする請求項10記載の皮膚有価物経皮吸収システム。
- 皮膚有価物経皮吸収システムが、受動拡散システム、イオントフォレシスシステム、ソノフォレシスシステム又はパッチワクチンシステムであることを特徴とする請求項5〜11のいずれか1項記載の皮膚有価物経皮吸収システム。
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