JPWO2007091679A1 - 屋根の融雪構造及び融雪装置 - Google Patents

屋根の融雪構造及び融雪装置 Download PDF

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Abstract

温度斑がほとんど生じず、屋根の軒側に滑り落とした雪のほとんどを効率良く融かすことができ融雪効率に優れ、またわずかなエネルギーの供給で済むためランニングコストが少なくて済むとともに工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる屋根の融雪構造を提供することを目的とする。屋根21の軒側に配置されたヒートパイプ2を備えた屋根の融雪構造であって、ヒートパイプ2が、熱源管5が添設若しくは貫設されたヘッダ管3と、ヘッダ管3から分岐した複数のヒートパイプ枝管4と、を有し、ヒートパイプ2の上面に遠赤外線放射板8が配設された構成を備える。

Description

本発明は、屋根に積もった雪を融かして除去する屋根の融雪構造及び融雪装置に関するものである。
寒冷地における多量の積雪が社会生活に大きな影響を及ぼすことは周知の通りであり、例えば屋根に積もった雪は家屋の倒壊の原因になるため、積雪量がある程度以上になると雪降ろしを行う必要がある。雪降ろしはそのほとんどを人力に頼る作業であり多大な時間と重労働を強いられ、さらに危険を伴う作業なので、高齢者世帯の増加に伴い大きな問題となっている。
また、雪降ろしをしなくて済むように、固く締まった屋根雪を自重で自然に落下させるため屋根の勾配を大きくした家屋もある。しかし、道路を通行する人や車にとって、屋根から勢い良く落下する雪の塊は、歩行や走行の妨げになるだけでなく怪我等を引き起こす危険物となる。
このような問題を解消するため、雪降ろしを行うことなく屋根の積雪を融かして除去する融雪装置が提案されている。
従来の技術としては、(特許文献1)に「屋根面上に適宜の間隔を設けてブラケットを突出させ、これらのブラケット上に屋根面板と隙間を設けてヒートパイプからなる発熱体を支持固定し、これらの発熱体を屋根の軒側部分に屋根勾配に沿って配設した屋根の融雪装置」が開示されている。
(特許文献2)には「屋根面上に分散して据付けたヒートパイプ群と、各ヒートパイプ相互間を連通して蒸発部を構成する蒸気ヘッダ管と、蒸気ヘッダ管内に配管された熱媒体供給用の熱媒循環管路と、熱媒循環管路内に介装した熱媒加熱手段及び熱媒送流手段と、を備えたヒートパイプ式融雪装置」が開示されている。
(特許文献3)には「屋根材の裏面に温水パイプを配設し温水を循環させて屋根の融雪を行う屋根の温水融雪装置」が開示されている。
特公平2−48711号公報 実公平3−50867号公報 実開平6−43166号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、屋根の軒側にヒートパイプからなる発熱体(3)が固定されているので、屋根に積もった雪で軒側部分に形成される雪の堤のうち、発熱体の周囲の雪だけが融けて軒先まで貫通する雪洞(10)が形成される。このため、堤の個所にたまる融雪水を軒下まで雪洞(10)を通して流下させることができるので、融雪水が棟側へと逆流して生じる「すがもり」と呼ばれる漏水を防止できる。しかし、雪洞(10)の周囲の雪は、いわゆる「かまくら」の雪室の状態になるため融かすことができず、大雪が降ると堤の上にさらに雪が堆積して積雪量が多くなり、結局は雪降ろしを行わなければならないという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術も、屋根勾配に沿って配設されたヒートパイプ(3)で周囲の雪が融かされ雪洞が形成され、雪洞の中を融雪水が流れてしまうため、ヒートパイプ(3)や蒸気ヘッダ(4)から離れた屋根面の積雪は融かすことができず、大雪が降るとさらに雪が堆積して積雪量が多くなり、結局は雪降ろしを行わなければならないという課題を有していた。
(3)(特許文献3)に開示の技術は、屋根材の裏面全体に温水パイプを配設させるため、温水パイプの経路が長くなり管摩擦抵抗が大きくなるので、出力の大きな温水循環ポンプが必要になりポンプを駆動させるのに多大なエネルギーを要しランニングコストが増加するという課題を有していた。
(4)また、温水パイプの経路が長いので温水パイプの下流側の温水の温度が低下し、下流側付近では融雪できなくなるという課題を有していた。
(5)(特許文献1)乃至(特許文献3)に開示の技術では、ヒートパイプの周囲の温度だけが高くなったり温水パイプの上流側と下流側で温度差が生じたりするので、屋根の表面に温度斑が生じ、一晩で数十センチ以上もの大量の降雪があった場合等には融雪できなくなるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ヘッダ管からヒートパイプ枝管へ多量の熱を短時間で運ぶことができ温度斑がほとんど生じず、屋根の軒側に滑り落とした雪のほとんどを効率良く融かすことができ融雪効率に優れ、またわずかなエネルギーの供給で済むためランニングコストが少なくて済むとともに工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる屋根の融雪構造を提供することを目的とする。
また、本発明は、温度斑が小さく設置面の雪を斑なく除去することができるとともに、省エネルギー性に優れランニングコストの小さな融雪装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の屋根の融雪構造及び融雪装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の屋根の融雪構造は、屋根の軒側に配置されたヒートパイプを備えた屋根の融雪構造であって、前記ヒートパイプが、熱源管が添設若しくは貫設されたヘッダ管と、前記ヘッダ管から分岐した複数のヒートパイプ枝管と、を有し、前記ヒートパイプの上面に遠赤外線放射板が配設された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)屋根面には室内暖房等の生活熱が伝わるので、屋根に積もった雪の屋根面との接触面を融かし屋根勾配に沿って雪を軒側に滑り落とすことができる。屋根の軒側部分にはヒートパイプが配置され、その上面に遠赤外線放射板が配設されているので、軒側に滑り落とした雪をヒートパイプで加温された遠赤外線放射板との接触面で融かすことができ融雪効率に優れる。
(2)ヘッダ管と、ヘッダ管から分岐した複数のヒートパイプ枝管と、を備えたヒートパイプを配設しているので、熱源管に熱媒体を流してヘッダ管に熱を伝えると、ヘッダ管内の作動流体が蒸発し多量の蒸発の潜熱を熱源管から吸収する。蒸発した蒸気はヒートパイプ枝管の各々で凝縮し凝縮熱を放出する。ヘッダ管とヒートパイプ枝管の各々との間に生じた蒸気の圧力勾配によって、ヘッダ管から分岐した各々のヒートパイプ枝管に短時間で熱が運ばれるので、ヘッダ管とヒートパイプ枝管との温度差をほとんど無くすことができる。
(3)複数のヒートパイプ枝管を、屋根の設置面を広くカバーするようにヘッダ管から分岐させているので、ヘッダ管の長さが短くても遠赤外線放射板の広い面積をヒートパイプ枝管で加温できるため、ヘッダ管の長さを短くすることができる。このため、ヘッダ管に貫設又は添設された熱源管の長さも短くすることができ、屋根に配設される熱源管の経路が短くなり管摩擦抵抗が小さくなるので、熱媒体を送るポンプは出力の小さなもので済み、ポンプの駆動はわずかなエネルギーで済みランニングコストを低下させることができる。
(4)ヒートパイプの上面に遠赤外線放射板を配設しているので、熱源管に熱媒体を供給すればヘッダ管及びヒートパイプ枝管が遠赤外線放射板に熱を伝達し、遠赤外線放射板から放射される遠赤外線によって、屋根雪を屋根から落下させることなく融かすことができる。
(5)軒側部分だけに遠赤外線放射板及びヒートパイプを配設するので工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる。
ここで、ヒートパイプとしては、略平行に配設した複数のヒートパイプ枝管の片側にヘッダ管を配設したもの、ヘッダ部を中心に左右にヒートパイプ枝管を配設したもの、ヒートパイプ枝管の両側にヘッダ管を配設したもの等を用いることができる。
ヘッダ管やヒートパイプ枝管の内壁の全部又は一部に所定の厚さや深さを有するウィックを設けることができる。ウィックとしては、焼結金属,金網,金属繊維,ガラス繊維,多数の細い溝等が用いられる。ウィックを設けることで、ヘッダ管がヒートパイプ枝管より高い位置に配置された場合でも、ヒートパイプ枝管で凝縮した作動流体を、毛細管現象を利用してヘッダ管まで戻して蒸発させることができドライアウトが発生するのを防止できる。
ヘッダ管やヒートパイプ枝管は、遠赤外線放射板への伝熱面積を広げるため、上面が平らになるように、ヘッダ管やヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面を略方形状、略矩形状、略三角状、略長円状、略半円状に形成するのが好ましい。なお、断面が略円形状のヘッダ管やヒートパイプ枝管を用いる場合は、上面に平板を溶接等で固着すれば、上面が平らなヘッダ管やヒートパイプ枝管を用いる場合と同様に、遠赤外線放射板への伝熱面積を広げることができる。
ヘッダ管やヒートパイプ枝管の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製等が用いられる。
ヒートパイプには、HCFC−141bや142bのHCFC系溶剤,HFC134a等の−30℃前後まで凍結しない不凍性の作動流体が封入されている。
熱源管の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製等が用いられる。
熱源管に導入してヘッダ管を加熱する熱媒体としては、地中熱で加温されて年間を通してほぼ一定の水温に保たれた井戸水,温泉水,地下水等を用いることができる。また、河川水、工場や家庭からの排水も用いることができる。また、地中熱や排水等で加温された不凍液等も用いることができる。これらの地中熱や排水等の排熱を利用した熱媒体を熱源管に導入することで、熱媒体を加温するボイラ等の熱源が不要になるので、ランニングコストを低減させることができる。
熱源管はヘッダ管に貫設又は添設させるが、貫設させるのが好ましい。ヘッダ管に熱源管を貫設させた場合、熱媒体の熱は、熱源管の壁面を通してヒートパイプの作動流体に伝えられるが、ヘッダ管に熱源管を添設させた場合は、熱源管の壁面とヘッダ管の壁面とを通してヒートパイプの作動流体に伝熱されるので、損失が生じるからである。
遠赤外線放射板としては、金属製等の板材の表面に、アルミナ,シリカ,ジルコニア,チタニア,マグネシアやこれらの複合酸化物、窒化ケイ素,炭化珪素等のセラミックス、ケイ素、炭化物を含有した塗膜、溶射膜等が形成されたものを用いることができる。また、アルミナ,シリカ,ジルコニア,チタニア,マグネシアやこれらの複合酸化物、窒化ケイ素,炭化珪素等のセラミックス、ケイ素、炭化物で板状に形成されたものを用いることもできる。また、石油コークス等を原料とした人造黒鉛材料等の炭素材料、炭素繊維、麦飯石や天照石等の天然鉱物、炭素材料や天然鉱物、炭素繊維等と合成樹脂材料とを複合した複合材料等で板状に形成したものも用いることができる。
遠赤外線放射板は、赤外線吸収波長2.5〜7μm領域の遠赤外線放射率50%以上、熱伝導率0.2W/m・K以上、比熱2100J/kg・K以下という特性を満足するものが好適に用いられる。良好な融雪性を発現させるためである。なお、遠赤外線放射率は、分光放射率を測定することによって求められる。また、比熱は、レーザフラッシュ法によって求められる。熱伝導率は、レーザフラッシュ法によって求められた熱拡散率、比熱及び遠赤外線放射板の密度から求められる。
遠赤外線放射率は、水の吸収波長、特に2.66μm、2.73μm、6.27μmにおいて50%以上好ましくは80%以上であるものが特に好ましい。水分子の振動が遠赤外線によって励起され融雪性が増大するからである。
熱伝導率は、0.2W/m・K以上好ましくは0.5W/m・K以上であるものが好適であるが、その理由は、0.2W/m・Kより低くなると、ヒートパイプや熱源管から供給される熱エネルギーの損失が大きくなり、遠赤外線放射板による融雪効果が低下するからである。
比熱が2100J/kg・Kを超えると、遠赤外線放射板の蓄熱量が多く熱移動に時間を要し融雪効果が低下するため好ましくない。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の屋根の融雪構造であって、前記ヒートパイプ枝管の両端部が、2本の前記ヘッダ管の各々に連通した構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管の両端部が、2本のヘッダ管の各々に連通しているので、ヘッダ管の熱源管に熱媒体を流してヘッダ管に熱を伝えると、ヘッダ管内の作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管での凝縮に伴う潜熱の授受により熱を放出するが、この熱の授受が2本のヘッダ管の各々で行われるので、ヒートパイプの温度斑をさらに少なくすることができ、遠赤外線放射板に面した雪をさらに斑なく融かすことができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の屋根の融雪構造であって、前記ヘッダ管及び前記ヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面が略矩形状、略方形状、略三角状、略長円状、略半円状の内のいずれかに形成され前記遠赤外線放射板との当接面が平坦で幅広に形成された構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の断面が略矩形状、略方形状、略三角状、略長円状、略半円状の内のいずれかに形成され遠赤外線放射板との当接面が平坦で幅広に形成されているので、ヘッダ管とヒートパイプ枝管の遠赤外線放射板との伝熱面を大きくすることができ、遠赤外線放射板との熱伝達効率を高めることができる。
ここで、ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面を略矩形状又は略方形状にすると、ヘッダ管とヒートパイプ枝管の外周の4面を平らにすることができるので、ヒートパイプの熱を伝えるアルミニウム製等で形成された熱分散部材をヒートパイプ枝管の間に嵌め込む場合、熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管の側壁とを面接触させて接触面積を広くすることができ、熱分散部材との熱交換効率を高めることができる。また、ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の底面も平らに形成されるので、屋根面板、野路板、瓦棒等の上に安定に設置することができ施工性に優れ好ましい。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の屋根の融雪構造であって、上面が前記ヒートパイプ枝管及び前記ヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成され、前記ヒートパイプ枝管の間に配設された熱分散部材を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)上面がヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成され、ヒートパイプ枝管の間に熱分散部材が配設されているので、ヒートパイプ枝管及びヘッダ管から遠赤外線放射体へ確実に熱伝達させることができる。
(2)熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管やヘッダ管の側壁とを接触させ、ヒートパイプの熱を熱分散部材に伝えて放熱面積を広くすることができ、遠赤外線放射板の温度斑を小さくすることができる。
(3)ヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と熱分散部材の上面とが略面一に形成されるので、ヒートパイプと熱分散部材とを面状のパネルのように取り扱うことができ、遠赤外線放射板をヒートパイプと熱分散部材の全面で支持できるので、雪の重みで遠赤外線放射板が変形したり割れたりするのを防止できる。
ここで、熱分散部材としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製、モルタル,コンクリート等の無機材料製等で形成されたものが用いられる。特に、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製で形成されたものが、熱伝導率が大きく好適である。
熱分散部材は、上面がヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成されるが、具体的には、熱分散部材の上面の高さとヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面の高さとの差は、0〜1mm好ましくは0〜0.5mmであるのが好適である。高さの差が0.5mmより大きくなるにつれ、ヒートパイプ枝管及びヘッダ管と熱分散部材の段差のために雪の重みで遠赤外線放射板がヒートパイプ枝管やヘッダ管のエッジ部分で変形したり割れたりする傾向がみられる。1mmより大きくなるとこの傾向が著しくなるため、特に好ましくない。
本発明の請求項5に記載の融雪装置は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の屋根の融雪構造で用いる融雪装置であって、前記ヒートパイプと、前記熱源管に接続され地盤中に形成した孔部から集熱した不凍液を循環させるループ配管と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)年間を通じて約15〜17℃前後と安定した温度の地中熱で不凍液を13℃程度に加温し、この不凍液を熱源管に循環させるので、ヒートパイプや遠赤外線放射板を2℃程度に加温して融雪に利用でき、熱媒体の不凍液を加熱するための特別なエネルギーを必要とせず安全で省エネルギー性に優れる。
(2)不凍液を循環させるポンプが停止した場合でも、不凍液が熱源管等の内部で凍結するのを防止することができる。
ここで、地盤中に形成した孔部から集熱するには種々の地中採熱素子を用いることができ、例えば、地下10〜50m程度まで打ち込んだケーシング内に熱媒体を満たしたパイプを配設したボアホールや、螺旋状等に形成された地中熱交換器等を用いることができる。ボアホールは二重管タイプ、U字管タイプ等のいずれも用いることができる。
ボアホール内のパイプや地中熱交換器と熱源管とを、断熱材で被覆された輸送管で接続しループ配管を形成する。不凍液は、ボアホールのパイプや地中熱交換器内、輸送管内、熱源管内のループ配管内を満たしてとぎれることがないようにしておく。これにより、ループ配管に簡単なポンプを配設すれば、少ない揚程で熱媒体を容易にボアホールから屋根まで上げることができる。
熱源管には熱媒体として、エチレングリコール,プロピレングリコール,酢酸カリウム水溶液等の不凍液が循環される。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の融雪装置であって、前記ループ配管に密閉式の膨張タンクが接続された構成を有している。
この構成により、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)膨張タンクがループ配管内に充填された不凍液の熱膨張・収縮に伴う容積変化を緩衝するので、ループ配管内が不凍液で満たされるため、簡単なポンプを配設して少ない揚程で不凍液を屋根まで上げることができる。
以上のように、本発明の屋根の融雪構造及び融雪装置によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)屋根の軒側部分にヒートパイプの上面に遠赤外線放射板が配設されているので、軒側に滑り落とした雪を遠赤外線放射板の接触面で融かすことができ融雪効率に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(2)わずかな温度差があればヘッダ管からヒートパイプ枝管へ多量の熱を短時間で運ぶことができ、ヘッダ管とヒートパイプ枝管との温度差をほとんどゼロにすることができ、温度斑がほとんど生じない屋根の融雪構造を提供することができる。
(3)ヘッダ管から複数のヒートパイプ枝管を分岐させているので、ヘッダ管に貫設又は添設された熱源管の長さも短くすることができ、屋根に配設される熱源管の経路が短くなり管摩擦抵抗が小さくなるので、熱媒体を送るポンプは出力の小さなもので済み、ポンプの駆動はわずかなエネルギーで済みランニングコストの小さな屋根の融雪構造を提供することができる。
(4)ヒートパイプの上面に遠赤外線放射板を配設しているので、熱源管に熱媒体を供給すればヘッダ管及びヒートパイプ枝管が遠赤外線放射板に熱を伝達し、遠赤外線放射板から放射される遠赤外線によって、屋根雪を屋根から落下させることなく融かすことができる屋根の融雪構造を提供することができる。
(5)工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)ヒートパイプの温度斑をさらに少なくすることができ、遠赤外線放射板に面した雪を斑なく融かすことができる融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)伝熱面積を大きくすることができ、熱交換効率に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(2)屋根面板、野路板、瓦棒等の上に安定に設置することができ施工性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)ヒートパイプ枝管及びヘッダ管から遠赤外線放射体へ確実に熱伝達させることができ融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
(2)熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管やヘッダ管の側壁とを接触させて放熱面積を広くすることができ、遠赤外線放射板の温度斑を小さくすることができ融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
(3)ヒートパイプと熱分散部材とを面状のパネルのように取り扱うことができ、遠赤外線放射板をヒートパイプと熱分散部材の全面で支持できるので、雪の重みで遠赤外線放射板が変形したり割れたりするのを防止し耐久性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、
(1)熱媒体を加熱するための特別なエネルギーを必要とせず安全で省エネルギー性に優れた融雪装置を提供することができる。
(2)不凍液を循環させるポンプが停止する不測の事態が発生した場合でも、不凍液が熱源管等の内部で凍結するのを防止することができ、不凍液を再循環させれば直ぐに融雪を再開することができるメンテナンス性に優れた融雪装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、
(1)膨張タンクがループ配管内に充填された不凍液の熱膨張・収縮に伴う容積変化を緩衝するので、ループ配管内が不凍液で満たされるため、簡単なポンプを配設して少ない揚程で不凍液を屋根まで上げることができる融雪装置を提供することができる。
実施の形態1における融雪装置を家屋の屋根に設置した融雪構造を示す一部破断斜視図 実施の形態1における融雪装置のヒートパイプの平面図 実施の形態1における融雪装置を設置した屋根を垂直方向に切断した屋根の融雪構造の要部断面図 図3のA−A線における要部断面端面図 (a)変形例の熱分散部材の模式斜視図 (b)変形例の熱分散部材の要部断面図 実施の形態2における融雪装置のヒートパイプの平面図 実施の形態3における融雪装置のヒートパイプの平面図
符号の説明
1 融雪装置
2,2a ヒートパイプ
3 ヘッダ管
4 ヒートパイプ枝管
5 熱源管
6 接続管
7 継手
8 遠赤外線放射板
10 ボアホール
11 ケーシング
12 パイプ
13 輸送管
14 ポンプ
15 分岐管
16 膨張タンク
20 家屋
21 屋根
22 垂木
23 野路板
24 広小舞
25 スペーサ
26 下地材
27 鼻隠
28,28a 熱分散部材
28b 断熱材
29 傾斜板
30 屋根材
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における融雪装置を家屋の屋根に設置した屋根の融雪構造を示す一部破断斜視図であり、図2は実施の形態1における融雪装置のヒートパイプの平面図であり、図3は実施の形態1における融雪装置を設置した屋根を垂直方向に切断した屋根の融雪構造の要部断面図であり、図4は図3のA−A線における要部断面端面図であり、図5(a)は熱分散部材の変形例の模式斜視図であり、(b)は熱分散部材の変形例の要部断面図である。
図1において、1は家屋20の屋根21に設置された実施の形態1における融雪装置、2は勾配を有する屋根21の軒側部分に複数並設された融雪装置1のヒートパイプ、5は後述する熱源管、6は熱源管5,5を接続する後述する接続管、7は並設されたヒートパイプ2,2の熱源管5,5間を連結する継手、8は炭素材料等で板状に形成されヒートパイプ2の上面に配設された遠赤外線放射板である。本実施の形態においては、遠赤外線放射板8は炭素材料を含有した炭素繊維等の繊維強化合成樹脂製で板状に形成されており、赤外線吸収波長2.5〜7μm領域の遠赤外線放射率50%以上、熱伝導率0.2W/m・K以上、比熱2100J/kg・K以下のものを用いている。
10は地盤中に形成された地中採熱素子のボアホール、11は地下10〜50m程度の深さに打ち込まれたケーシング、12はケーシング内に配設された二重管やU字管等のパイプ、13は図示しない断熱材で被覆されパイプ12と熱源管5,5とを接続しループ配管を形成する輸送管、14はループ配管を形成する輸送管13に配設されたポンプ、15は輸送管13から分岐された分岐管、16は下部が分岐管15に接続され図示しないダイヤフラム等で分岐管15側に熱媒体が収容された密閉式の膨張タンクである。熱源管5,接続管6,ボアホール10内のパイプ12,輸送管13,ポンプ14内には、エチレングリコール,プロピレングリコール,酢酸カリウム水溶液等の不凍性の熱媒体(不凍液)が、とぎれることがないように充填されており、熱源管5,接続管6,パイプ12,輸送管13,ポンプ14内に充填された熱媒体の膨張・収縮に伴う容積変化を膨張タンク16内の熱媒体で緩衝する。
図2において、2は−30℃前後まで凍結しない不凍性の作動流体が封入され並設されたヒートパイプ、3,3は略平行に配設された2本のヘッダ管、4は両端部が2本のヘッダ管3,3の各々に連通し略平行に配設された複数のヒートパイプ枝管である。本実施の形態においては、ヘッダ管3,ヒートパイプ枝管4の長手方向に直交する断面が、矩形状の同一の大きさに形成されている。
5はヘッダ管3の長手方向に沿って貫設された熱源管であり、ヘッダ管3の両端部は熱源管5の両端の外周壁で封着されている。6は熱源管5,5の端部間を接続する接続管である。
なお、本実施の形態においてヒートパイプ2は、ヘッダ管3が屋根21の勾配方向に対して略直交、ヒートパイプ枝管4が屋根21の勾配方向に沿うように屋根21の軒側に設置されている。また、ボアホール10で加温された熱媒体は、輸送管13内を通って屋根21に設置されたヒートパイプ2の軒側の熱源管5から導入され、継手7を通って隣接するヒートパイプ2の熱源管5内を流れ、接続管6を通って棟側のヘッダ管3の熱源管5を流れ、輸送管13を通ってボアホール10に還流される。
図3、図4において、22は屋根21の垂木、23は垂木22の上に配設された野路板、24は軒先で垂木22の上に取り付けられた広小舞、25は合板等で軒先に向かって漸次肉厚に形成され垂木22の上部の野路板23の上面に配設されたスペーサ、26は合板,アルミニウム製等で板状に形成されスペーサ25,25間に架設され上面にヒートパイプ2が載置された下地材、27は垂木22,広小舞24,スペーサ25の軒先の端面に配設された鼻隠、28は上面がヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3の上面と面一乃至はわずかに低くなるようにアルミニウム製等の板状で形成されヒートパイプ枝管4,4とヘッダ管3,3の間に嵌め込まれヒートパイプ枝管4,4とヘッダ管3,3の熱が伝達される熱分散部材、29は合板等で軒先に向かって漸次肉厚に形成されスペーサ25の軒側の野路板23の上面に配設された傾斜板、30は鋼製,クラッド鋼製,ステンレス鋼等の合金鋼製、溶融アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板(ガルバリウム鋼板)、塗装板材等で形成され、屋根21の棟から野路板23,傾斜板29,ヒートパイプ2の上面に配設された遠赤外線放射板8の一部にかけて敷設された屋根材である。
なお、本実施の形態においては、遠赤外線放射板8はスペーサ25によって、略水平に配設されている。
図5において、28aはアルミニウム製等の金属製で一面が開口する薄肉で箱状に形成された変形例の熱分散部材、28bはグラスウール,ロックウール等の無機繊維系、ウレタンフォーム,発泡ポリスチレン等の合成樹脂系、木質繊維系等の繊維質等で形成され熱分散部材28aの開口部に嵌装された断熱材である。熱分散部材28aは断熱材28bが嵌装された開口を下地材26側に、平坦面を遠赤外線放射板8側にして熱分散部材28に代えて配置させることができる。変形例の熱分散部材28aは薄肉の箱状に形成されているので軽量化することができ、また開口部に断熱材28bが嵌装されているので、下地材26側への放熱を少なくすることができ熱損失を減らすことができる。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における融雪構造及び融雪装置について、以下その使用方法を説明する。
ボアホール10のパイプ12内の熱媒体は約15〜17℃前後の地中熱によって13℃程度に加温される。加温されたパイプ12内の熱媒体を、輸送管13に配設されたポンプ14を駆動して、輸送管13から屋根21に設置されたヒートパイプ2の軒側の熱源管5に導入する。熱媒体は軒側の熱源管5から接続管6を通って棟側の熱源管5を流れ、輸送管13からボアホール10のパイプ12へ還流されてループ配管内を循環する。まず軒側のヘッダ管3を熱媒体で加熱することで、熱媒体の保有する熱が軒側のヘッダ管3に与えられてヘッダ管3内の作動流体がヒートパイプ枝管4及び棟側のヘッダ管3に向かって蒸発するようになる。作動流体の蒸気はヒートパイプ枝管4内を拡散し凝縮して凝縮熱を放出し、ヒートパイプ枝管4の壁を通じて遠赤外線放射板8へ放熱する。軒側のヘッダ管3の熱源管5を流れた熱媒体は、次に棟側のヘッダ管3の熱源管5に入りヘッダ管3内の作動流体を蒸発させ、熱交換し凝縮した作動流体はヘッダ管3へ還流される。ヒートパイプ2内ではこれを繰り返して遠赤外線放射板8に放熱し、遠赤外線放射板8は表面の雪に放熱して融雪する。なお、屋根材30は家屋20の室内暖房等の生活熱で暖められるので、棟側の屋根材30に積もった雪の接触面を融かし屋根勾配に沿って雪を軒側の遠赤外線放射板8に滑り落とすことができる。以上のように、生活熱によって屋根材30上の雪を軒側の遠赤外線放射板8に滑り落とし、地中熱によって暖められた熱媒体でヒートパイプ2に封入された作動流体の蒸発・凝縮を繰り返すことによって、熱を遠赤外線放射板8に伝え遠赤外線放射板8上の雪を融かすことができる。
以上のように、本発明の実施の形態1における屋根の融雪構造は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ2の上面に遠赤外線放射板8を配設しているので、熱源管5に熱媒体を供給すれば、ヘッダ管3内での作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管4内での凝縮に伴う潜熱の授受により、ヒートパイプ2に密着した遠赤外線放射板8を加熱し融雪できるので、わずかなエネルギーの供給で済むためランニングコストが少なくて済む。
(2)軒側部分だけに遠赤外線放射板8及びヒートパイプ2を配設するので工事面積が少なくて済み、屋根21が新築・既設のいずれの場合であってもわずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる。
(3)遠赤外線放射板8は、赤外線吸収波長2.5〜7μm領域の遠赤外線放射率50%以上、熱伝導率0.2W/m・K以上、比熱2100J/kg・K以下の特性を満足しているので、良好な融雪性を発現させることができる。
(4)ヒートパイプ枝管4の両端部が、略平行に配設された2本のヘッダ管3,3の各々に連通しており、熱媒体が一方のヘッダ管3の熱源管5から他方のヘッダ管3の熱源管5に流されて、双方のヘッダ管3内の作動流体を蒸発させるので、ヘッダ管内の作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管での凝縮に伴う潜熱の授受による熱の放出が、2本のヘッダ管3,3の各々で行われるので、ヒートパイプ2の温度斑をさらに少なくすることができ、遠赤外線放射板8に面した雪をさらに斑なく融かすことができる。
(5)ヘッダ管3及びヒートパイプ枝管4が矩形状の断面を有しているので、ヘッダ管3とヒートパイプ枝管4の外周の4面を平らにすることができ、遠赤外線放射板8との伝熱面積を大きくすることができる。また、アルミニウム製等で形成された熱分散部材28をヒートパイプ枝管4の間に嵌め込んで、熱分散部材28の側面とヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3の側壁とを面接触させて接触面積を広くすることができ熱交換効率を高めることができる。また、ヘッダ管3及びヒートパイプ枝管4の底面が平らに形成されるので、下地材26の上に安定に設置することができ施工性に優れる。
(6)上面がヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3の上面と面一乃至はわずかに低く形成され、ヒートパイプ枝管4,4及びヘッダ管3,3の間に配設された熱分散部材28を備えているので、ヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3から遠赤外線放射体8へ確実に熱伝達させることができる。
(7)熱分散部材28の側面とヒートパイプ枝管4やヘッダ管3の側壁とを接触させて、ヒートパイプ枝管4やヘッダ管3の熱を熱分散部材28に伝達し放熱面積を広くすることができ、遠赤外線放射板8の温度斑を小さくすることができる。
(8)ヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3の上面と熱分散部材28の上面とが略面一に形成されるため、遠赤外線放射板8をヒートパイプ2と熱分散部材28の全面で支持できるので、雪の重みで遠赤外線放射板8が変形したり割れたりするのを防止できる。
(9)遠赤外線放射板8の軒先の先端がヘッダ管3で温められるので、氷柱ができるのを防止できる。
(10)軒先に向かって漸次肉厚に形成されたスペーサ25が配設されており、遠赤外線放射板8が略水平に配設されているので、雪が遠赤外線放射板8の上面から滑り落ちるのを防止して遠赤外線放射板8の上面で完全に融かすことができる。このため、雪のかたまりが軒先から落下するのを防止できる。
また、本発明の実施の形態1における融雪装置によれば、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管4の両端部が、略平行に配設された2本のヘッダ管3,3の各々に連通しているので、ヘッダ管内の作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管での凝縮に伴う潜熱の授受による熱の放出が、2本のヘッダ管3,3の各々で行われるので、ヒートパイプ2の温度斑を少なくすることができ、遠赤外線放射板8に面した雪を斑なく融かすことができる。
(2)地中熱を利用してボアホール10で熱媒体を加温し、この熱媒体を循環させるので、ヒートパイプ2や遠赤外線放射板8を2℃程度に加温して融雪に利用でき、熱媒体を加熱するための特別なエネルギーを必要とせず安全で省エネルギー性に優れる。
(3)熱源管5,接続管6,ボアホール10内のパイプ12,輸送管13,ポンプ14内に不凍性の熱媒体がとぎれることがないように充填されているので、簡単なポンプ14の小さな駆動力で、ループ配管内の熱媒体をボアホール10から屋根21まで上げることができ省エネルギー性に優れる。
(4)輸送管13から分岐された分岐管15に膨張タンク16が接続されているので、熱源管5,接続管6,パイプ12,輸送管13,ポンプ14内に充填された熱媒体の膨張・収縮に伴う容積変化を膨張タンク16内の熱媒体で緩衝し、熱源管5,接続管6,パイプ12,輸送管13,ポンプ14内に、熱媒体をとぎれることがないように充填させることができる。
ここで、本実施の形態においては、野路板23の上面にスペーサ25を配置して、スペーサ25に架設した下地材26の上にヒートパイプ2を設置し、遠赤外線放射板8を略水平に配設した場合について説明したが、積雪量の少ない地域では、スペーサ25の軒側の厚さを本実施の形態のものより薄くして、遠赤外線放射板8の勾配を屋根21の勾配よりやや緩やかにする程度に施工することもできる。また、遠赤外線放射板8の勾配を変えない場合には、スペーサ25及び下地材26を用いずに、野路板23の上面にヒートパイプ2を設置することができる。
また、新設の屋根21にヒートパイプ2を設置する場合について説明したが、既設の鋼板ぶき等の屋根にヒートパイプ2を設置する場合もある。この場合は、鋼板等の屋根材の表面にスペーサ25を配置し、スペーサ25,25間に下地材26を架設して、本実施の形態と同様にヒートパイプ2を設置する。また直接、屋根材の上に下地材26を架設し、その上にヒートパイプ2を設置する場合もある。また、屋根の勾配方向に沿って瓦棒が形成されている場合は、瓦棒の上や瓦棒の間にスペーサ25を配置し、スペーサ25,25間に下地材26を架設して、本実施の形態と同様にヒートパイプ2を設置する。また直接、瓦棒の上に下地材26を架設し、その上にヒートパイプ2を設置する場合もある。
また、下地材26の上に熱分散部材28を別々に設置する場合について説明したが、下地材26と熱分散部材28とをアルミニウム製等の金属製やコンクリート等で一体に形成し、一体形成された窪みにヒートパイプ2のヘッダ管3及びヒートパイプ枝管4を嵌合させる場合もある。これにより、施工性を高めることができるという作用が得られる。
また、本実施の形態においては、ヒートパイプ2のヘッダ管3が屋根21の勾配方向に対して略直交、ヒートパイプ枝管4が屋根21の勾配方向に沿うように設置されている場合について説明したが、ヒートパイプ枝管4が屋根21の勾配方向に対して略直交、ヘッダ管3が屋根21の勾配方向に沿うように設置する場合もある。この場合、熱媒体を導入する輸送管13を熱源管5の軒側と接続するのが好ましい。ヒートパイプ2に封入され凝縮した作動流体は重力でヘッダ管3の軒側に流下し易いため、まずヘッダ管3の軒側を熱媒体で加熱することで、作動流体を多量に蒸発させることができるからである。
また、風呂の残り湯や工場や家庭からの排水の排熱を利用して、ループ配管内を流れる不凍液を加温することもできる。この場合は、ポンプ14の下流側の輸送管13にジャケットを配設して、排水をジャケットに導入し輸送管13の管壁を通じてジャケット内の排水と不凍液との熱交換を行い、排水の排熱で不凍液を加温する。これにより、一時的に不凍液の温度を上げて、排熱で遠赤外線放射板8の温度を一時的に上げて融雪することができ排熱の有効利用ができる。
(実施の形態2)
図6は実施の形態2における融雪装置のヒートパイプの平面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、2aは実施の形態2における融雪装置のヒートパイプ、4aは一端がヘッダ管3に連通し略平行に配設された複数のヒートパイプ枝管、5aはヘッダ管3の長手方向に添設されヘッダ管3と略同一の厚さに形成された熱源管である。
以上のように構成された実施の形態2における融雪装置のヒートパイプ2aは、ヘッダ管3が屋根21の軒側に設置され、実施の形態1と同様に施工される。
以上のように、本発明の実施の形態2における融雪装置のヒートパイプは構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管4aの一端がヘッダ管3に連通しているので、屋根21に設置した際の熱媒体の循環経路を簡略化させることができる。
(2)ヘッダ管3と略同一の厚さに形成された熱源管5aを備えているので、熱源管5aの管壁を通じて熱媒体と遠赤外線放射板8とを直接熱交換させることができ、融雪効率を高めることができる。
(実施の形態3)
図7は実施の形態3における融雪装置のヒートパイプの平面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、2bは実施の形態3における融雪装置のヒートパイプ、4bは一端がヘッダ管3に連通し略平行に配設された複数のヒートパイプ枝管、4cはヒートパイプ枝管4bの他端に連通した均圧管である。
以上のように構成された実施の形態3における融雪装置のヒートパイプ2bは、ヘッダ管3が屋根21の軒側に設置され、実施の形態1と同様に施工される。
以上のように、本発明の実施の形態3における融雪装置のヒートパイプは構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管4bの一端がヘッダ管3に連通しているので、屋根21に設置した際の熱媒体の循環経路を簡略化させることができる。
(2)ヒートパイプ枝管4bの他端に均圧管4cが連通しているので、ヒートパイプ枝管4b内の圧力を均一化でき温度斑を少なくすることができる。
本発明は、屋根に積もった雪を融かして除去する屋根の融雪構造及び融雪装置に関し、屋根の軒側に滑り落とした雪のほとんどを効率良く融かすことができ融雪効率に優れ、またわずかなエネルギーの供給で済むためランニングコストが少なくて済み、さらに工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる屋根の融雪構造を提供することができ、また、温度斑が小さく設置面の雪を斑なく除去することができるとともに、省エネルギー性に優れランニングコストの小さな融雪装置を提供することを目的とする。
【0003】
は融雪できなくなるという課題を有していた。
[0004]
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ヘッダ管からヒートパイプ枝管へ多量の熱を短時間で運ぶことができ温度斑がほとんど生じず、屋根の軒側に滑り落とした雪のほとんどを効率良く融かすことができ融雪効率に優れ、またわずかなエネルギーの供給で済むためランニングコストが少なくて済むとともに工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる屋根の融雪構造を提供することを目的とする。
また、本発明は、温度斑が小さく設置面の雪を斑なく除去することができるとともに、省エネルギー性に優れランニングコストの小さな融雪装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0005]
上記従来の課題を解決するために本発明の屋根の融雪構造及び融雪装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の屋根の融雪構造は、(a)熱源管が添設若しくは貫設されたヘッダ管と、前記ヘッダ管から分岐した複数のヒートパイプ枝管と、を有し、屋根の軒側に配置され前記ヘッダ管及び前記ヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面が略矩形状、略方形状、略三角状、略長円状、略半円状の内のいずれかに形成され前記ヘッダ管及び前記ヒートパイプ枝管の上面が平坦に形成されたヒートパイプと、(b)上面が前記ヒートパイプ枝管及び前記ヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成され前記ヒートパイプ枝管の間に配設され屋根の下地材側が開口した熱分散部材と、(c)前記ヒートパイプ及び前記熱分散部材の上面に配設された遠赤外線放射板と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)屋根面には室内暖房等の生活熱が伝わるので、屋根に積もった雪の屋根面との接触面を融かし屋根勾配に沿って雪を軒側に滑り落とすことができる。屋根の軒側部分にはヒートパイプが配置され、その上面に遠赤外線放射板が配設されているので、軒側に滑り落とした雪をヒートパイプで加温された遠赤外線放射板との接触面で融かすことができ融雪効率に優れる。
(2)ヘッダ管と、ヘッダ管から分岐した複数のヒートパイプ枝管と、を備えたヒートパイプを配設しているので、熱源管に熱媒体を流してヘッダ管に熱を伝えると、ヘッダ管内の作動流体が蒸発し多量の蒸発の潜熱を熱源管から吸収する。蒸発した蒸気はヒートパイプ枝管の各々で凝縮し凝縮熱を放出する。ヘッダ管とヒートパイプ枝管の各々との間に生じた蒸気の圧力勾配によって、ヘッダ管から分岐した各々のヒートパイ
【0004】
プ枝管に短時間で熱が運ばれるので、ヘッダ管とヒートパイプ枝管との温度差をほとんど無くすことができる。
(3)複数のヒートパイプ枝管を、屋根の設置面を広くカバーするようにヘッダ管から分岐させているので、ヘッダ管の長さが短くても遠赤外線放射板の広い面積をヒートパイプ枝管で加温できるため、ヘッダ管の長さを短くすることができる。このため、ヘッダ管に貫設又は添設された熱源管の長さも短くすることができ、屋根に配設される熱源管の経路が短くなり管摩擦抵抗が小さくなるので、熱媒体を送るポンプは出力の小さなもので済み、ポンプの駆動はわずかなエネルギーで済みランニングコストを低下させることができる。
(4)ヒートパイプの上面に遠赤外線放射板を配設しているので、熱源管に熱媒体を供給すればヘッダ管及びヒートパイプ枝管が遠赤外線放射板に熱を伝達し、遠赤外線放射板から放射される遠赤外線によって、屋根雪を屋根から落下させることなく融かすことができる。
(5)軒側部分だけに遠赤外線放射板及びヒートパイプを配設するので工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる。
(6)ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の断面が略矩形状、略方形状、略三角状、略長円状、略半円状の内のいずれかに形成され遠赤外線放射板との当接面が平坦に形成されているので、ヘッダ管とヒートパイプ枝管の遠赤外線放射板との伝熱面を大きくすることができ、遠赤外線放射板との熱伝達効率を高めることができる。
(7)上面がヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成され、ヒートパイプ枝管の間に熱分散部材が配設されているので、ヒートパイプ枝管及びヘッダ管から遠赤外線放射体へ確実に熱伝達させることができる。
(8)熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管やヘッダ管の側壁とを接触させ、ヒートパイプの熱を熱分散部材に伝えて放熱面積を広くすることができ、遠赤外線放射板の温度斑を小さくすることができる。
(9)ヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と熱分散部材の上面とが略面一に形成されるので、ヒートパイプと熱分散部材とを面状のパネルのように取り扱うことができ、遠赤外線放射板をヒートパイプと熱分散部材の全面で支持できるので、雪の重みで遠赤外線放射板が変形したり割れたりするのを防止できる。
(10)熱分散部材は箱状に形成されているので軽量化することができる。
[0006]
ここで、ヒートパイプとしては、略平行に配設した複数のヒートパイプ枝管の片側にヘッダ管を配設したもの、ヘッダ部を中心に左右にヒートパイプ枝管を配設したもの、ヒートパイプ枝管の両側にヘッダ管を配設したもの等を用いることができる。
ヘッダ管やヒートパイプ枝管の内壁の全部又は一部に所定の厚さや深さを有するウィックを設けることができる。ウィックとしては、焼結金属,金網,金属繊維,ガラス繊維,多数の細い溝等が用いられる。ウィックを設けることで、ヘッダ管がヒートパイプ枝管より高い位置に配置された場合でも、ヒートパイプ枝管で凝縮した作動流体を、毛細管現象を利用してヘッダ管まで戻して蒸発させることができドライアウトが発生するのを防止できる。
[0007]
ヘッダ管やヒートパイプ枝管は、遠赤外線放射板への伝熱面積を広げるため、上面が平らになるように、ヘッダ管やヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面を略方形状、略矩形状、略三角状、略長円状、略半円状に形成するのが好ましい。なお
【0005】
、断面が略円形状のヘッダ管やヒートパイプ枝管を用いる場合は、上面に平板を溶接等で固着すれば、上面が平らなヘッダ管やヒートパイプ枝管を用いる場合と同様に、遠赤外線放射板への伝熱面積を広げることができる。
ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面を略矩形状又は略方形状にすると、ヘッダ管とヒートパイプ枝管の外周の4面を平らにすることができるので、ヒートパイプの熱を伝えるアルミニウム製等で形成された熱分散部材をヒートパイプ枝管の間に嵌め込む場合、熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管の側壁とを面接触させて接触面積を広くすることができ、熱分散部材との熱交換効率を高めることができる。また、ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の底面も平らに形成されるので、屋根面板、野路板、瓦棒等の上に安定に設置することができ施工性に優れ好ましい。
[0008]
ヘッダ管やヒートパイプ枝管の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製等が用いられる。
ヒートパイプには、HCFC−141bや142bのHCFC系溶剤,HFC134a等の−30℃前後まで凍結しない不凍性の作動流体が封入されている。
[0009]
熱源管の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製等が用いられる。
熱源管に導入してヘッダ管を加熱する熱媒体としては、地中熱で加温されて年間を通してほぼ一定の水温に保たれた井戸水,温泉水,地下水等を用いることができる。また、河川水、工場や家庭からの排水も用いることができる。また、地中熱や排水等で加温された不凍液等も用いることができる。これらの地中熱や排水等の排熱を利用した熱媒体を熱源管に導入することで、熱媒体を加温するボイラ等の熱源が不要になるので、ランニングコストを低減させることができる。
熱源管はヘッダ管に貫設又は添設させるが、貫設させるのが好ましい。ヘッダ管に熱源管を貫設させた場合、熱媒体の熱は、熱源管の壁面を通してヒートパイプの作動流体に伝えられるが、ヘッダ管に熱源管を添設させた場合は、熱源管の壁面とヘッダ管の壁面とを通してヒートパイプの作動流体に伝熱されるので、損失が生じるからである。
熱分散部材としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製、モルタル,コンクリート等の無機材料製等で形成されたものが用いられる。特に、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製で形成されたものが、熱伝導率が大きく好適である。
熱分散部材は、上面がヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成されるが、具体的には、熱分散部材の上面の高さとヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面の高さとの差は、0〜1mm好ましくは0〜0.5mmであるのが好適である。高さの差が0.5mmより大きくなるにつれ、ヒートパイプ枝管及びヘッダ管と熱分散部材の段差のために雪の重みで遠赤外線放射板がヒートパイプ枝管やヘッダ管のエッジ部分で変形したり割れたりする傾向がみられる。1mmより大きくなるとこの傾向が著しくなるため、特に好ましくない。
[0010]
遠赤外線放射板としては、金属製等の板材の表面に、アルミナ,シリカ,ジルコニア,チタニア,マグネシアやこれらの複合酸化物、窒化ケイ素,炭化珪素等のセラミックス、ケイ素、炭化物を含有した塗膜、溶射膜等が形成されたものを用いることができる。また、アルミナ,シリカ,ジルコニア,チタニア,マグネシアやこれらの複合酸化物、窒化ケイ素,炭化珪素等のセラミックス、ケイ素、炭化物で板状に形成されたものを用いることもできる。また、石油コークス等を原料とした人造黒鉛材料等の炭素材料、炭素繊維、麦飯石や天照石等の天然鉱物、炭素材料や天然鉱物、炭素繊維等と合成樹脂材料とを複合した複合材料等で板状に形成したものも用いることができる。
【0006】
[0011]
遠赤外線放射板は、赤外線吸収波長2.5〜7μm領域の遠赤外線放射率50%以上、熱伝導率0.2W/m・K以上、比熱2100J/kg・K以下という特性を満足するものが好適に用いられる。良好な融雪性を発現させるためである。なお、遠赤外線放射率は、分光放射率を測定することによって求められる。また、比熱は、レーザフラッシュ法によって求められる。熱伝導率は、レーザフラッシュ法によって求められた熱拡散率、比熱及び遠赤外線放射板の密度から求められる。
遠赤外線放射率は、水の吸収波長、特に2.66μm、2.73μm、6.27μmにおいて50%以上好ましくは80%以上であるものが特に好ましい。水分子の振動が遠赤外線によって励起され融雪性が増大するからである。
熱伝導率は、0.2W/m・K以上好ましくは0.5W/m・K以上であるものが好適であるが、その理由は、0.2W/m・Kより低くなると、ヒートパイプや熱源管から供給される熱エネルギーの損失が大きくなり、遠赤外線放射板による融雪効果が低下するからである。
比熱が2100J/kg・Kを超えると、遠赤外線放射板の蓄熱量が多く熱移動に時間を要し融雪効果が低下するため好ましくない。
[0012]
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の屋根の融雪構造であって、前記ヒートパイプ枝管の両端部が、2本の前記ヘッダ管の各々に連通した構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管の両端部が、2本のヘッダ管の各々に連通しているので、ヘッダ管の熱源管に熱媒体を流してヘッダ管に熱を伝えると、ヘッダ管内の作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管での凝縮に伴う潜熱の授受により熱を放出するが、この熱の授受が2本のヘッダ管の各々で行われるので、ヒートパイプの温度斑をさらに少なくすることができ、遠赤外線放射板に面した雪をさらに斑なく融かすことができる。
[0013]
【0007】
[0014]
[0015]
【0008】
[0016]
[0017]
[0018]
本発明の請求項3に記載の融雪装置は、請求項1又は2に記載の屋根の融雪構造で用いる融雪装置であって、前記ヒートパイプと、前記熱源管に接続され地盤中に形成した孔部から集熱した不凍液を循環させるループ配管と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)年間を通じて約15〜17℃前後と安定した温度の地中熱で不凍液を13℃程度に加温し、この不凍液を熱源管に循環させるので、ヒートパイプや遠赤外線放射板を2℃程度に加温して融雪に利用でき、熱媒体の不凍液を加熱するための特別なエネルギーを必要とせず安全で省エネルギー性に優れる。
(2)不凍液を循環させるポンプが停止した場合でも、不凍液が熱源管等の内部で凍結するのを防止することができる。
[0019]
ここで、地盤中に形成した孔部から集熱するには種々の地中採熱素子を用いることができ、例えば、地下10〜50m程度まで打ち込んだケーシング内に熱媒体を満たしたパイプを配設したボアホールや、螺旋状等に形成された地中熱交換器等を用いることができる。ボアホールは二重管タイプ、U字管タイプ等のいずれも用いることができる。
【0009】
ボアホール内のパイプや地中熱交換器と熱源管とを、断熱材で被覆された輸送管で接続しループ配管を形成する。不凍液は、ボアホールのパイプや地中熱交換器内、輸送管内、熱源管内のループ配管内を満たしてとぎれることがないようにしておく。これにより、ループ配管に簡単なポンプを配設すれば、少ない揚程で熱媒体を容易にボアホールから屋根まで上げることができる。
[0020]
熱源管には熱媒体として、エチレングリコール,プロピレングリコール,酢酸カリウム水溶液等の不凍液が循環される。
[0021]
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の融雪装置であって、前記ループ配管に密閉式の膨張タンクが接続された構成を有している。
この構成により、請求項3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)膨張タンクがループ配管内に充填された不凍液の熱膨張・収縮に伴う容積変化を緩衝するので、ループ配管内が不凍液で満たされるため、簡単なポンプを配設して少ない揚程で不凍液を屋根まで上げることができる。
発明の効果
[0022]
以上のように、本発明の屋根の融雪構造及び融雪装置によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)屋根の軒側部分にヒートパイプの上面に遠赤外線放射板が配設されているので、軒側に滑り落とした雪を遠赤外線放射板の接触面で融かすことができ融雪効率に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(2)わずかな温度差があればヘッダ管からヒートパイプ枝管へ多量の熱を短時間で運ぶことができ、ヘッダ管とヒートパイプ枝管との温度差をほとんどゼロにすることができ、温度斑がほとんど生じない屋根の融雪構造を提供することができる。
(3)ヘッダ管から複数のヒートパイプ枝管を分岐させているので、ヘッダ管に貫設又は添設された熱源管の長さも短くすることができ、屋根に配設される熱源管の経路が短くなり管摩擦抵抗が小さくなるので、熱媒体を送るポンプは出力の小さなもので済み、ポンプの駆動はわずかなエネルギーで済みランニングコストの小さな屋根の融雪構造を提供することができる。
【0010】
(4)ヒートパイプの上面に遠赤外線放射板を配設しているので、熱源管に熱媒体を供給すればヘッダ管及びヒートパイプ枝管が遠赤外線放射板に熱を伝達し、遠赤外線放射板から放射される遠赤外線によって、屋根雪を屋根から落下させることなく融かすことができる屋根の融雪構造を提供することができる。
(5)工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(6)伝熱面積を大きくすることができ、熱交換効率に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(7)屋根面板、野路板、瓦棒等の上に安定に設置することができ施工性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(8)ヒートパイプ枝管及びヘッダ管から遠赤外線放射体へ確実に熱伝達させることができ融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
(9)熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管やヘッダ管の側壁とを接触させて放熱面積を広くすることができ、遠赤外線放射板の温度斑を小さくすることができ融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
(10)ヒートパイプと熱分散部材とを面状のパネルのように取り扱うことができ、遠赤外線放射板をヒートパイプと熱分散部材の全面で支持できるので、雪の重みで遠赤外線放射板が変形したり割れたりするのを防止し耐久性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(11)熱分散部材は箱状に形成されているので軽量化することができる。
[0023]
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)ヒートパイプの温度斑をさらに少なくすることができ、遠赤外線放射板に面した雪を斑なく融かすことができる融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
[0024]
[0025]
[0026]
請求項3に記載の発明によれば、
(1)熱媒体を加熱するための特別なエネルギーを必要とせず安全で省エネルギー性に優れた融雪装置を提供することができる。
【0011】
(2)不凍液を循環させるポンプが停止する不測の事態が発生した場合でも、不凍液が熱源管等の内部で凍結するのを防止することができ、不凍液を再循環させれば直ぐに融雪を再開することができるメンテナンス性に優れた融雪装置を提供することができる。
[0027]
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)膨張タンクがループ配管内に充填された不凍液の熱膨張・収縮に伴う容積変化を緩衝するので、ループ配管内が不凍液で満たされるため、簡単なポンプを配設して少ない揚程で不凍液を屋根まで上げることができる融雪装置を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0028]
[図1]実施の形態1における融雪装置を家屋の屋根に設置した融雪構造を示す一部破断斜視図
[図2]実施の形態1における融雪装置のヒートパイプの平面図
[図3]実施の形態1における融雪装置を設置した屋根を垂直方向に切断した屋根の融雪構造の要部断面図
[図4]図3のA−A線における要部断面端面図
[図5](a)変形例の熱分散部材の模式斜視図 (b)変形例の熱分散部材の要部断面図
[図6]実施の形態2における融雪装置のヒートパイプの平面図
[図7]実施の形態3における融雪装置のヒートパイプの平面図
符号の説明
[0029]
1 融雪装置
2,2a ヒートパイプ
3 ヘッダ管
4 ヒートパイプ枝管
5 熱源管
6 接続管
7 継手
本発明は、屋根に積もった雪を融かして除去する屋根の融雪構造及び融雪装置に関するものである。
寒冷地における多量の積雪が社会生活に大きな影響を及ぼすことは周知の通りであり、例えば屋根に積もった雪は家屋の倒壊の原因になるため、積雪量がある程度以上になると雪降ろしを行う必要がある。雪降ろしはそのほとんどを人力に頼る作業であり多大な時間と重労働を強いられ、さらに危険を伴う作業なので、高齢者世帯の増加に伴い大きな問題となっている。
また、雪降ろしをしなくて済むように、固く締まった屋根雪を自重で自然に落下させるため屋根の勾配を大きくした家屋もある。しかし、道路を通行する人や車にとって、屋根から勢い良く落下する雪の塊は、歩行や走行の妨げになるだけでなく怪我等を引き起こす危険物となる。
このような問題を解消するため、雪降ろしを行うことなく屋根の積雪を融かして除去する融雪装置が提案されている。
従来の技術としては、(特許文献1)に「屋根面上に適宜の間隔を設けてブラケットを突出させ、これらのブラケット上に屋根面板と隙間を設けてヒートパイプからなる発熱体を支持固定し、これらの発熱体を屋根の軒側部分に屋根勾配に沿って配設した屋根の融雪装置」が開示されている。
(特許文献2)には「屋根面上に分散して据付けたヒートパイプ群と、各ヒートパイプ相互間を連通して蒸発部を構成する蒸気ヘッダ管と、蒸気ヘッダ管内に配管された熱媒体供給用の熱媒循環管路と、熱媒循環管路内に介装した熱媒加熱手段及び熱媒送流手段と、を備えたヒートパイプ式融雪装置」が開示されている。
(特許文献3)には「屋根材の裏面に温水パイプを配設し温水を循環させて屋根の融雪を行う屋根の温水融雪装置」が開示されている。
特公平2−48711号公報 実公平3−50867号公報 実開平6−43166号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、屋根の軒側にヒートパイプからなる発熱体(3)が固定されているので、屋根に積もった雪で軒側部分に形成される雪の堤のうち、発熱体の周囲の雪だけが融けて軒先まで貫通する雪洞(10)が形成される。このため、堤の個所にたまる融雪水を軒下まで雪洞(10)を通して流下させることができるので、融雪水が棟側へと逆流して生じる「すがもり」と呼ばれる漏水を防止できる。しかし、雪洞(10)の周囲の雪は、いわゆる「かまくら」の雪室の状態になるため融かすことができず、大雪が降ると堤の上にさらに雪が堆積して積雪量が多くなり、結局は雪降ろしを行わなければならないという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術も、屋根勾配に沿って配設されたヒートパイプ(3)で周囲の雪が融かされ雪洞が形成され、雪洞の中を融雪水が流れてしまうため、ヒートパイプ(3)や蒸気ヘッダ(4)から離れた屋根面の積雪は融かすことができず、大雪が降るとさらに雪が堆積して積雪量が多くなり、結局は雪降ろしを行わなければならないという課題を有していた。
(3)(特許文献3)に開示の技術は、屋根材の裏面全体に温水パイプを配設させるため、温水パイプの経路が長くなり管摩擦抵抗が大きくなるので、出力の大きな温水循環ポンプが必要になりポンプを駆動させるのに多大なエネルギーを要しランニングコストが増加するという課題を有していた。
(4)また、温水パイプの経路が長いので温水パイプの下流側の温水の温度が低下し、下流側付近では融雪できなくなるという課題を有していた。
(5)(特許文献1)乃至(特許文献3)に開示の技術では、ヒートパイプの周囲の温度だけが高くなったり温水パイプの上流側と下流側で温度差が生じたりするので、屋根の表面に温度斑が生じ、一晩で数十センチ以上もの大量の降雪があった場合等には融雪できなくなるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ヘッダ管からヒートパイプ枝管へ多量の熱を短時間で運ぶことができ温度斑がほとんど生じず、屋根の軒側に滑り落とした雪のほとんどを効率良く融かすことができ融雪効率に優れ、またわずかなエネルギーの供給で済むためランニングコストが少なくて済むとともに工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる屋根の融雪構造を提供することを目的とする。
また、本発明は、温度斑が小さく設置面の雪を斑なく除去することができるとともに、省エネルギー性に優れランニングコストの小さな融雪装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の屋根の融雪構造及び融雪装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の屋根の融雪構造は、(a)熱源管が添設若しくは貫設されたヘッダ管と、前記ヘッダ管から分岐した複数のヒートパイプ枝管と、を有し、屋根の軒側に配置され前記ヘッダ管及び前記ヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面が略矩形状、略方形状、略三角状、略長円状、略半円状の内のいずれかに形成され前記ヘッダ管及び前記ヒートパイプ枝管の上面が平坦に形成されたヒートパイプと、(b)上面が前記ヒートパイプ枝管及び前記ヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成され前記ヒートパイプ枝管の間に配設され屋根の下地材側が開口した熱分散部材と、(c)前記ヒートパイプ及び前記熱分散部材の上面に配設された遠赤外線放射板と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)屋根面には室内暖房等の生活熱が伝わるので、屋根に積もった雪の屋根面との接触面を融かし屋根勾配に沿って雪を軒側に滑り落とすことができる。屋根の軒側部分にはヒートパイプが配置され、その上面に遠赤外線放射板が配設されているので、軒側に滑り落とした雪をヒートパイプで加温された遠赤外線放射板との接触面で融かすことができ融雪効率に優れる。
(2)ヘッダ管と、ヘッダ管から分岐した複数のヒートパイプ枝管と、を備えたヒートパイプを配設しているので、熱源管に熱媒体を流してヘッダ管に熱を伝えると、ヘッダ管内の作動流体が蒸発し多量の蒸発の潜熱を熱源管から吸収する。蒸発した蒸気はヒートパイプ枝管の各々で凝縮し凝縮熱を放出する。ヘッダ管とヒートパイプ枝管の各々との間に生じた蒸気の圧力勾配によって、ヘッダ管から分岐した各々のヒートパイプ枝管に短時間で熱が運ばれるので、ヘッダ管とヒートパイプ枝管との温度差をほとんど無くすことができる。
(3)複数のヒートパイプ枝管を、屋根の設置面を広くカバーするようにヘッダ管から分岐させているので、ヘッダ管の長さが短くても遠赤外線放射板の広い面積をヒートパイプ枝管で加温できるため、ヘッダ管の長さを短くすることができる。このため、ヘッダ管に貫設又は添設された熱源管の長さも短くすることができ、屋根に配設される熱源管の経路が短くなり管摩擦抵抗が小さくなるので、熱媒体を送るポンプは出力の小さなもので済み、ポンプの駆動はわずかなエネルギーで済みランニングコストを低下させることができる。
(4)ヒートパイプの上面に遠赤外線放射板を配設しているので、熱源管に熱媒体を供給すればヘッダ管及びヒートパイプ枝管が遠赤外線放射板に熱を伝達し、遠赤外線放射板から放射される遠赤外線によって、屋根雪を屋根から落下させることなく融かすことができる。
(5)軒側部分だけに遠赤外線放射板及びヒートパイプを配設するので工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる。
(6)ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の断面が略矩形状、略方形状、略三角状、略長円状、略半円状の内のいずれかに形成され遠赤外線放射板との当接面が平坦に形成されているので、ヘッダ管とヒートパイプ枝管の遠赤外線放射板との伝熱面を大きくすることができ、遠赤外線放射板との熱伝達効率を高めることができる。
(7)上面がヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成され、ヒートパイプ枝管の間に熱分散部材が配設されているので、ヒートパイプ枝管及びヘッダ管から遠赤外線放射体へ確実に熱伝達させることができる。
(8)熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管やヘッダ管の側壁とを接触させ、ヒートパイプの熱を熱分散部材に伝えて放熱面積を広くすることができ、遠赤外線放射板の温度斑を小さくすることができる。
(9)ヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と熱分散部材の上面とが略面一に形成されるので、ヒートパイプと熱分散部材とを面状のパネルのように取り扱うことができ、遠赤外線放射板をヒートパイプと熱分散部材の全面で支持できるので、雪の重みで遠赤外線放射板が変形したり割れたりするのを防止できる。
(10)熱分散部材は箱状に形成されているので軽量化することができる。
ここで、ヒートパイプとしては、略平行に配設した複数のヒートパイプ枝管の片側にヘッダ管を配設したもの、ヘッダ部を中心に左右にヒートパイプ枝管を配設したもの、ヒートパイプ枝管の両側にヘッダ管を配設したもの等を用いることができる。
ヘッダ管やヒートパイプ枝管の内壁の全部又は一部に所定の厚さや深さを有するウィックを設けることができる。ウィックとしては、焼結金属,金網,金属繊維,ガラス繊維,多数の細い溝等が用いられる。ウィックを設けることで、ヘッダ管がヒートパイプ枝管より高い位置に配置された場合でも、ヒートパイプ枝管で凝縮した作動流体を、毛細管現象を利用してヘッダ管まで戻して蒸発させることができドライアウトが発生するのを防止できる。
ヘッダ管やヒートパイプ枝管は、遠赤外線放射板への伝熱面積を広げるため、上面が平らになるように、ヘッダ管やヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面を略方形状、略矩形状、略三角状、略長円状、略半円状に形成するのが好ましい。なお、断面が略円形状のヘッダ管やヒートパイプ枝管を用いる場合は、上面に平板を溶接等で固着すれば、上面が平らなヘッダ管やヒートパイプ枝管を用いる場合と同様に、遠赤外線放射板への伝熱面積を広げることができる。
ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面を略矩形状又は略方形状にすると、ヘッダ管とヒートパイプ枝管の外周の4面を平らにすることができるので、ヒートパイプの熱を伝えるアルミニウム製等で形成された熱分散部材をヒートパイプ枝管の間に嵌め込む場合、熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管の側壁とを面接触させて接触面積を広くすることができ、熱分散部材との熱交換効率を高めることができる。また、ヘッダ管及びヒートパイプ枝管の底面も平らに形成されるので、屋根面板、野路板、瓦棒等の上に安定に設置することができ施工性に優れ好ましい。
ヘッダ管やヒートパイプ枝管の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製等が用いられる。
ヒートパイプには、HCFC−141bや142bのHCFC系溶剤,HFC134a等の−30℃前後まで凍結しない不凍性の作動流体が封入されている。
熱源管の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製等が用いられる。
熱源管に導入してヘッダ管を加熱する熱媒体としては、地中熱で加温されて年間を通してほぼ一定の水温に保たれた井戸水,温泉水,地下水等を用いることができる。また、河川水、工場や家庭からの排水も用いることができる。また、地中熱や排水等で加温された不凍液等も用いることができる。これらの地中熱や排水等の排熱を利用した熱媒体を熱源管に導入することで、熱媒体を加温するボイラ等の熱源が不要になるので、ランニングコストを低減させることができる。
熱源管はヘッダ管に貫設又は添設させるが、貫設させるのが好ましい。ヘッダ管に熱源管を貫設させた場合、熱媒体の熱は、熱源管の壁面を通してヒートパイプの作動流体に伝えられるが、ヘッダ管に熱源管を添設させた場合は、熱源管の壁面とヘッダ管の壁面とを通してヒートパイプの作動流体に伝熱されるので、損失が生じるからである。
熱分散部材としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製、モルタル,コンクリート等の無機材料製等で形成されたものが用いられる。特に、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製で形成されたものが、熱伝導率が大きく好適である。
熱分散部材は、上面がヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成されるが、具体的には、熱分散部材の上面の高さとヒートパイプ枝管及びヘッダ管の上面の高さとの差は、0〜1mm好ましくは0〜0.5mmであるのが好適である。高さの差が0.5mmより大きくなるにつれ、ヒートパイプ枝管及びヘッダ管と熱分散部材の段差のために雪の重みで遠赤外線放射板がヒートパイプ枝管やヘッダ管のエッジ部分で変形したり割れたりする傾向がみられる。1mmより大きくなるとこの傾向が著しくなるため、特に好ましくない。
遠赤外線放射板としては、金属製等の板材の表面に、アルミナ,シリカ,ジルコニア,チタニア,マグネシアやこれらの複合酸化物、窒化ケイ素,炭化珪素等のセラミックス、ケイ素、炭化物を含有した塗膜、溶射膜等が形成されたものを用いることができる。また、アルミナ,シリカ,ジルコニア,チタニア,マグネシアやこれらの複合酸化物、窒化ケイ素,炭化珪素等のセラミックス、ケイ素、炭化物で板状に形成されたものを用いることもできる。また、石油コークス等を原料とした人造黒鉛材料等の炭素材料、炭素繊維、麦飯石や天照石等の天然鉱物、炭素材料や天然鉱物、炭素繊維等と合成樹脂材料とを複合した複合材料等で板状に形成したものも用いることができる。
遠赤外線放射板は、赤外線吸収波長2.5〜7μm領域の遠赤外線放射率50%以上、熱伝導率0.2W/m・K以上、比熱2100J/kg・K以下という特性を満足するものが好適に用いられる。良好な融雪性を発現させるためである。なお、遠赤外線放射率は、分光放射率を測定することによって求められる。また、比熱は、レーザフラッシュ法によって求められる。熱伝導率は、レーザフラッシュ法によって求められた熱拡散率、比熱及び遠赤外線放射板の密度から求められる。
遠赤外線放射率は、水の吸収波長、特に2.66μm、2.73μm、6.27μmにおいて50%以上好ましくは80%以上であるものが特に好ましい。水分子の振動が遠赤外線によって励起され融雪性が増大するからである。
熱伝導率は、0.2W/m・K以上好ましくは0.5W/m・K以上であるものが好適であるが、その理由は、0.2W/m・Kより低くなると、ヒートパイプや熱源管から供給される熱エネルギーの損失が大きくなり、遠赤外線放射板による融雪効果が低下するからである。
比熱が2100J/kg・Kを超えると、遠赤外線放射板の蓄熱量が多く熱移動に時間を要し融雪効果が低下するため好ましくない。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の屋根の融雪構造であって、前記ヒートパイプ枝管の両端部が、2本の前記ヘッダ管の各々に連通した構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管の両端部が、2本のヘッダ管の各々に連通しているので、ヘッダ管の熱源管に熱媒体を流してヘッダ管に熱を伝えると、ヘッダ管内の作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管での凝縮に伴う潜熱の授受により熱を放出するが、この熱の授受が2本のヘッダ管の各々で行われるので、ヒートパイプの温度斑をさらに少なくすることができ、遠赤外線放射板に面した雪をさらに斑なく融かすことができる。
本発明の請求項3に記載の融雪装置は、請求項1又は2に記載の屋根の融雪構造で用いる融雪装置であって、前記ヒートパイプと、前記熱源管に接続され地盤中に形成した孔部から集熱した不凍液を循環させるループ配管と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)年間を通じて約15〜17℃前後と安定した温度の地中熱で不凍液を13℃程度に加温し、この不凍液を熱源管に循環させるので、ヒートパイプや遠赤外線放射板を2℃程度に加温して融雪に利用でき、熱媒体の不凍液を加熱するための特別なエネルギーを必要とせず安全で省エネルギー性に優れる。
(2)不凍液を循環させるポンプが停止した場合でも、不凍液が熱源管等の内部で凍結するのを防止することができる。
ここで、地盤中に形成した孔部から集熱するには種々の地中採熱素子を用いることができ、例えば、地下10〜50m程度まで打ち込んだケーシング内に熱媒体を満たしたパイプを配設したボアホールや、螺旋状等に形成された地中熱交換器等を用いることができる。ボアホールは二重管タイプ、U字管タイプ等のいずれも用いることができる。
ボアホール内のパイプや地中熱交換器と熱源管とを、断熱材で被覆された輸送管で接続しループ配管を形成する。不凍液は、ボアホールのパイプや地中熱交換器内、輸送管内、熱源管内のループ配管内を満たしてとぎれることがないようにしておく。これにより、ループ配管に簡単なポンプを配設すれば、少ない揚程で熱媒体を容易にボアホールから屋根まで上げることができる。
熱源管には熱媒体として、エチレングリコール,プロピレングリコール,酢酸カリウム水溶液等の不凍液が循環される。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の融雪装置であって、前記ループ配管に密閉式の膨張タンクが接続された構成を有している。
この構成により、請求項3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)膨張タンクがループ配管内に充填された不凍液の熱膨張・収縮に伴う容積変化を緩衝するので、ループ配管内が不凍液で満たされるため、簡単なポンプを配設して少ない揚程で不凍液を屋根まで上げることができる。
以上のように、本発明の屋根の融雪構造及び融雪装置によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)屋根の軒側部分にヒートパイプの上面に遠赤外線放射板が配設されているので、軒側に滑り落とした雪を遠赤外線放射板の接触面で融かすことができ融雪効率に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(2)わずかな温度差があればヘッダ管からヒートパイプ枝管へ多量の熱を短時間で運ぶことができ、ヘッダ管とヒートパイプ枝管との温度差をほとんどゼロにすることができ、温度斑がほとんど生じない屋根の融雪構造を提供することができる。
(3)ヘッダ管から複数のヒートパイプ枝管を分岐させているので、ヘッダ管に貫設又は添設された熱源管の長さも短くすることができ、屋根に配設される熱源管の経路が短くなり管摩擦抵抗が小さくなるので、熱媒体を送るポンプは出力の小さなもので済み、ポンプの駆動はわずかなエネルギーで済みランニングコストの小さな屋根の融雪構造を提供することができる。
(4)ヒートパイプの上面に遠赤外線放射板を配設しているので、熱源管に熱媒体を供給すればヘッダ管及びヒートパイプ枝管が遠赤外線放射板に熱を伝達し、遠赤外線放射板から放射される遠赤外線によって、屋根雪を屋根から落下させることなく融かすことができる屋根の融雪構造を提供することができる。
(5)工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(6)伝熱面積を大きくすることができ、熱交換効率に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(7)屋根面板、野路板、瓦棒等の上に安定に設置することができ施工性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(8)ヒートパイプ枝管及びヘッダ管から遠赤外線放射体へ確実に熱伝達させることができ融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
(9)熱分散部材の側面とヒートパイプ枝管やヘッダ管の側壁とを接触させて放熱面積を広くすることができ、遠赤外線放射板の温度斑を小さくすることができ融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
(10)ヒートパイプと熱分散部材とを面状のパネルのように取り扱うことができ、遠赤外線放射板をヒートパイプと熱分散部材の全面で支持できるので、雪の重みで遠赤外線放射板が変形したり割れたりするのを防止し耐久性に優れた屋根の融雪構造を提供することができる。
(11)熱分散部材は箱状に形成されているので軽量化することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)ヒートパイプの温度斑をさらに少なくすることができ、遠赤外線放射板に面した雪を斑なく融かすことができる融雪斑の少ない屋根の融雪構造を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、
(1)熱媒体を加熱するための特別なエネルギーを必要とせず安全で省エネルギー性に優れた融雪装置を提供することができる。
(2)不凍液を循環させるポンプが停止する不測の事態が発生した場合でも、不凍液が熱源管等の内部で凍結するのを防止することができ、不凍液を再循環させれば直ぐに融雪を再開することができるメンテナンス性に優れた融雪装置を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)膨張タンクがループ配管内に充填された不凍液の熱膨張・収縮に伴う容積変化を緩衝するので、ループ配管内が不凍液で満たされるため、簡単なポンプを配設して少ない揚程で不凍液を屋根まで上げることができる融雪装置を提供することができる。
実施の形態1における融雪装置を家屋の屋根に設置した融雪構造を示す一部破断斜視図 実施の形態1における融雪装置のヒートパイプの平面図 実施の形態1における融雪装置を設置した屋根を垂直方向に切断した屋根の融雪構造の要部断面図 図3のA−A線における要部断面端面図 (a)変形例の熱分散部材の模式斜視図 (b)変形例の熱分散部材の要部断面図 実施の形態2における融雪装置のヒートパイプの平面図 実施の形態3における融雪装置のヒートパイプの平面図
1 融雪装置
2,2a ヒートパイプ
3 ヘッダ管
4 ヒートパイプ枝管
5 熱源管
6 接続管
7 継手
8 遠赤外線放射板
10 ボアホール
11 ケーシング
12 パイプ
13 輸送管
14 ポンプ
15 分岐管
16 膨張タンク
20 家屋
21 屋根
22 垂木
23 野路板
24 広小舞
25 スペーサ
26 下地材
27 鼻隠
28,28a 熱分散部材
28b 断熱材
29 傾斜板
30 屋根材
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における融雪装置を家屋の屋根に設置した屋根の融雪構造を示す一部破断斜視図であり、図2は実施の形態1における融雪装置のヒートパイプの平面図であり、図3は実施の形態1における融雪装置を設置した屋根を垂直方向に切断した屋根の融雪構造の要部断面図であり、図4は図3のA−A線における要部断面端面図であり、図5(a)は熱分散部材の変形例の模式斜視図であり、(b)は熱分散部材の変形例の要部断面図である。
図1において、1は家屋20の屋根21に設置された実施の形態1における融雪装置、2は勾配を有する屋根21の軒側部分に複数並設された融雪装置1のヒートパイプ、5は後述する熱源管、6は熱源管5,5を接続する後述する接続管、7は並設されたヒートパイプ2,2の熱源管5,5間を連結する継手、8は炭素材料等で板状に形成されヒートパイプ2の上面に配設された遠赤外線放射板である。本実施の形態においては、遠赤外線放射板8は炭素材料を含有した炭素繊維等の繊維強化合成樹脂製で板状に形成されており、赤外線吸収波長2.5〜7μm領域の遠赤外線放射率50%以上、熱伝導率0.2W/m・K以上、比熱2100J/kg・K以下のものを用いている。
10は地盤中に形成された地中採熱素子のボアホール、11は地下10〜50m程度の深さに打ち込まれたケーシング、12はケーシング内に配設された二重管やU字管等のパイプ、13は図示しない断熱材で被覆されパイプ12と熱源管5,5とを接続しループ配管を形成する輸送管、14はループ配管を形成する輸送管13に配設されたポンプ、15は輸送管13から分岐された分岐管、16は下部が分岐管15に接続され図示しないダイヤフラム等で分岐管15側に熱媒体が収容された密閉式の膨張タンクである。熱源管5,接続管6,ボアホール10内のパイプ12,輸送管13,ポンプ14内には、エチレングリコール,プロピレングリコール,酢酸カリウム水溶液等の不凍性の熱媒体(不凍液)が、とぎれることがないように充填されており、熱源管5,接続管6,パイプ12,輸送管13,ポンプ14内に充填された熱媒体の膨張・収縮に伴う容積変化を膨張タンク16内の熱媒体で緩衝する。
図2において、2は−30℃前後まで凍結しない不凍性の作動流体が封入され並設されたヒートパイプ、3,3は略平行に配設された2本のヘッダ管、4は両端部が2本のヘッダ管3,3の各々に連通し略平行に配設された複数のヒートパイプ枝管である。本実施の形態においては、ヘッダ管3,ヒートパイプ枝管4の長手方向に直交する断面が、矩形状の同一の大きさに形成されている。
5はヘッダ管3の長手方向に沿って貫設された熱源管であり、ヘッダ管3の両端部は熱源管5の両端の外周壁で封着されている。6は熱源管5,5の端部間を接続する接続管である。
なお、本実施の形態においてヒートパイプ2は、ヘッダ管3が屋根21の勾配方向に対して略直交、ヒートパイプ枝管4が屋根21の勾配方向に沿うように屋根21の軒側に設置されている。また、ボアホール10で加温された熱媒体は、輸送管13内を通って屋根21に設置されたヒートパイプ2の軒側の熱源管5から導入され、継手7を通って隣接するヒートパイプ2の熱源管5内を流れ、接続管6を通って棟側のヘッダ管3の熱源管5を流れ、輸送管13を通ってボアホール10に還流される。
図3、図4において、22は屋根21の垂木、23は垂木22の上に配設された野路板、24は軒先で垂木22の上に取り付けられた広小舞、25は合板等で軒先に向かって漸次肉厚に形成され垂木22の上部の野路板23の上面に配設されたスペーサ、26は合板,アルミニウム製等で板状に形成されスペーサ25,25間に架設され上面にヒートパイプ2が載置された下地材、27は垂木22,広小舞24,スペーサ25の軒先の端面に配設された鼻隠、28は上面がヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3の上面と面一乃至はわずかに低くなるようにアルミニウム製等の板状で形成されヒートパイプ枝管4,4とヘッダ管3,3の間に嵌め込まれヒートパイプ枝管4,4とヘッダ管3,3の熱が伝達される熱分散部材、29は合板等で軒先に向かって漸次肉厚に形成されスペーサ25の軒側の野路板23の上面に配設された傾斜板、30は鋼製,クラッド鋼製,ステンレス鋼等の合金鋼製、溶融アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板(ガルバリウム鋼板)、塗装板材等で形成され、屋根21の棟から野路板23,傾斜板29,ヒートパイプ2の上面に配設された遠赤外線放射板8の一部にかけて敷設された屋根材である。
なお、本実施の形態においては、遠赤外線放射板8はスペーサ25によって、略水平に配設されている。
図5において、28aはアルミニウム製等の金属製で一面が開口する薄肉で箱状に形成された変形例の熱分散部材、28bはグラスウール,ロックウール等の無機繊維系、ウレタンフォーム,発泡ポリスチレン等の合成樹脂系、木質繊維系等の繊維質等で形成され熱分散部材28aの開口部に嵌装された断熱材である。熱分散部材28aは断熱材28bが嵌装された開口を下地材26側に、平坦面を遠赤外線放射板8側にして熱分散部材28に代えて配置させることができる。変形例の熱分散部材28aは薄肉の箱状に形成されているので軽量化することができ、また開口部に断熱材28bが嵌装されているので、下地材26側への放熱を少なくすることができ熱損失を減らすことができる。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における融雪構造及び融雪装置について、以下その使用方法を説明する。
ボアホール10のパイプ12内の熱媒体は約15〜17℃前後の地中熱によって13℃程度に加温される。加温されたパイプ12内の熱媒体を、輸送管13に配設されたポンプ14を駆動して、輸送管13から屋根21に設置されたヒートパイプ2の軒側の熱源管5に導入する。熱媒体は軒側の熱源管5から接続管6を通って棟側の熱源管5を流れ、輸送管13からボアホール10のパイプ12へ還流されてループ配管内を循環する。まず軒側のヘッダ管3を熱媒体で加熱することで、熱媒体の保有する熱が軒側のヘッダ管3に与えられてヘッダ管3内の作動流体がヒートパイプ枝管4及び棟側のヘッダ管3に向かって蒸発するようになる。作動流体の蒸気はヒートパイプ枝管4内を拡散し凝縮して凝縮熱を放出し、ヒートパイプ枝管4の壁を通じて遠赤外線放射板8へ放熱する。軒側のヘッダ管3の熱源管5を流れた熱媒体は、次に棟側のヘッダ管3の熱源管5に入りヘッダ管3内の作動流体を蒸発させ、熱交換し凝縮した作動流体はヘッダ管3へ還流される。ヒートパイプ2内ではこれを繰り返して遠赤外線放射板8に放熱し、遠赤外線放射板8は表面の雪に放熱して融雪する。なお、屋根材30は家屋20の室内暖房等の生活熱で暖められるので、棟側の屋根材30に積もった雪の接触面を融かし屋根勾配に沿って雪を軒側の遠赤外線放射板8に滑り落とすことができる。以上のように、生活熱によって屋根材30上の雪を軒側の遠赤外線放射板8に滑り落とし、地中熱によって暖められた熱媒体でヒートパイプ2に封入された作動流体の蒸発・凝縮を繰り返すことによって、熱を遠赤外線放射板8に伝え遠赤外線放射板8上の雪を融かすことができる。
以上のように、本発明の実施の形態1における屋根の融雪構造は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ2の上面に遠赤外線放射板8を配設しているので、熱源管5に熱媒体を供給すれば、ヘッダ管3内での作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管4内での凝縮に伴う潜熱の授受により、ヒートパイプ2に密着した遠赤外線放射板8を加熱し融雪できるので、わずかなエネルギーの供給で済むためランニングコストが少なくて済む。
(2)軒側部分だけに遠赤外線放射板8及びヒートパイプ2を配設するので工事面積が少なくて済み、屋根21が新築・既設のいずれの場合であってもわずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる。
(3)遠赤外線放射板8は、赤外線吸収波長2.5〜7μm領域の遠赤外線放射率50%以上、熱伝導率0.2W/m・K以上、比熱2100J/kg・K以下の特性を満足しているので、良好な融雪性を発現させることができる。
(4)ヒートパイプ枝管4の両端部が、略平行に配設された2本のヘッダ管3,3の各々に連通しており、熱媒体が一方のヘッダ管3の熱源管5から他方のヘッダ管3の熱源管5に流されて、双方のヘッダ管3内の作動流体を蒸発させるので、ヘッダ管内の作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管での凝縮に伴う潜熱の授受による熱の放出が、2本のヘッダ管3,3の各々で行われるので、ヒートパイプ2の温度斑をさらに少なくすることができ、遠赤外線放射板8に面した雪をさらに斑なく融かすことができる。
(5)ヘッダ管3及びヒートパイプ枝管4が矩形状の断面を有しているので、ヘッダ管3とヒートパイプ枝管4の外周の4面を平らにすることができ、遠赤外線放射板8との伝熱面積を大きくすることができる。また、アルミニウム製等で形成された熱分散部材28をヒートパイプ枝管4の間に嵌め込んで、熱分散部材28の側面とヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3の側壁とを面接触させて接触面積を広くすることができ熱交換効率を高めることができる。また、ヘッダ管3及びヒートパイプ枝管4の底面が平らに形成されるので、下地材26の上に安定に設置することができ施工性に優れる。
(6)上面がヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3の上面と面一乃至はわずかに低く形成され、ヒートパイプ枝管4,4及びヘッダ管3,3の間に配設された熱分散部材28を備えているので、ヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3から遠赤外線放射体8へ確実に熱伝達させることができる。
(7)熱分散部材28の側面とヒートパイプ枝管4やヘッダ管3の側壁とを接触させて、ヒートパイプ枝管4やヘッダ管3の熱を熱分散部材28に伝達し放熱面積を広くすることができ、遠赤外線放射板8の温度斑を小さくすることができる。
(8)ヒートパイプ枝管4及びヘッダ管3の上面と熱分散部材28の上面とが略面一に形成されるため、遠赤外線放射板8をヒートパイプ2と熱分散部材28の全面で支持できるので、雪の重みで遠赤外線放射板8が変形したり割れたりするのを防止できる。
(9)遠赤外線放射板8の軒先の先端がヘッダ管3で温められるので、氷柱ができるのを防止できる。
(10)軒先に向かって漸次肉厚に形成されたスペーサ25が配設されており、遠赤外線放射板8が略水平に配設されているので、雪が遠赤外線放射板8の上面から滑り落ちるのを防止して遠赤外線放射板8の上面で完全に融かすことができる。このため、雪のかたまりが軒先から落下するのを防止できる。
また、本発明の実施の形態1における融雪装置によれば、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管4の両端部が、略平行に配設された2本のヘッダ管3,3の各々に連通しているので、ヘッダ管内の作動流体の蒸発とヒートパイプ枝管での凝縮に伴う潜熱の授受による熱の放出が、2本のヘッダ管3,3の各々で行われるので、ヒートパイプ2の温度斑を少なくすることができ、遠赤外線放射板8に面した雪を斑なく融かすことができる。
(2)地中熱を利用してボアホール10で熱媒体を加温し、この熱媒体を循環させるので、ヒートパイプ2や遠赤外線放射板8を2℃程度に加温して融雪に利用でき、熱媒体を加熱するための特別なエネルギーを必要とせず安全で省エネルギー性に優れる。
(3)熱源管5,接続管6,ボアホール10内のパイプ12,輸送管13,ポンプ14内に不凍性の熱媒体がとぎれることがないように充填されているので、簡単なポンプ14の小さな駆動力で、ループ配管内の熱媒体をボアホール10から屋根21まで上げることができ省エネルギー性に優れる。
(4)輸送管13から分岐された分岐管15に膨張タンク16が接続されているので、熱源管5,接続管6,パイプ12,輸送管13,ポンプ14内に充填された熱媒体の膨張・収縮に伴う容積変化を膨張タンク16内の熱媒体で緩衝し、熱源管5,接続管6,パイプ12,輸送管13,ポンプ14内に、熱媒体をとぎれることがないように充填させることができる。
ここで、本実施の形態においては、野路板23の上面にスペーサ25を配置して、スペーサ25に架設した下地材26の上にヒートパイプ2を設置し、遠赤外線放射板8を略水平に配設した場合について説明したが、積雪量の少ない地域では、スペーサ25の軒側の厚さを本実施の形態のものより薄くして、遠赤外線放射板8の勾配を屋根21の勾配よりやや緩やかにする程度に施工することもできる。また、遠赤外線放射板8の勾配を変えない場合には、スペーサ25及び下地材26を用いずに、野路板23の上面にヒートパイプ2を設置することができる。
また、新設の屋根21にヒートパイプ2を設置する場合について説明したが、既設の鋼板ぶき等の屋根にヒートパイプ2を設置する場合もある。この場合は、鋼板等の屋根材の表面にスペーサ25を配置し、スペーサ25,25間に下地材26を架設して、本実施の形態と同様にヒートパイプ2を設置する。また直接、屋根材の上に下地材26を架設し、その上にヒートパイプ2を設置する場合もある。また、屋根の勾配方向に沿って瓦棒が形成されている場合は、瓦棒の上や瓦棒の間にスペーサ25を配置し、スペーサ25,25間に下地材26を架設して、本実施の形態と同様にヒートパイプ2を設置する。また直接、瓦棒の上に下地材26を架設し、その上にヒートパイプ2を設置する場合もある。
また、下地材26の上に熱分散部材28を別々に設置する場合について説明したが、下地材26と熱分散部材28とをアルミニウム製等の金属製やコンクリート等で一体に形成し、一体形成された窪みにヒートパイプ2のヘッダ管3及びヒートパイプ枝管4を嵌合させる場合もある。これにより、施工性を高めることができるという作用が得られる。
また、本実施の形態においては、ヒートパイプ2のヘッダ管3が屋根21の勾配方向に対して略直交、ヒートパイプ枝管4が屋根21の勾配方向に沿うように設置されている場合について説明したが、ヒートパイプ枝管4が屋根21の勾配方向に対して略直交、ヘッダ管3が屋根21の勾配方向に沿うように設置する場合もある。この場合、熱媒体を導入する輸送管13を熱源管5の軒側と接続するのが好ましい。ヒートパイプ2に封入され凝縮した作動流体は重力でヘッダ管3の軒側に流下し易いため、まずヘッダ管3の軒側を熱媒体で加熱することで、作動流体を多量に蒸発させることができるからである。
また、風呂の残り湯や工場や家庭からの排水の排熱を利用して、ループ配管内を流れる不凍液を加温することもできる。この場合は、ポンプ14の下流側の輸送管13にジャケットを配設して、排水をジャケットに導入し輸送管13の管壁を通じてジャケット内の排水と不凍液との熱交換を行い、排水の排熱で不凍液を加温する。これにより、一時的に不凍液の温度を上げて、排熱で遠赤外線放射板8の温度を一時的に上げて融雪することができ排熱の有効利用ができる。
(実施の形態2)
図6は実施の形態2における融雪装置のヒートパイプの平面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、2aは実施の形態2における融雪装置のヒートパイプ、4aは一端がヘッダ管3に連通し略平行に配設された複数のヒートパイプ枝管、5aはヘッダ管3の長手方向に添設されヘッダ管3と略同一の厚さに形成された熱源管である。
以上のように構成された実施の形態2における融雪装置のヒートパイプ2aは、ヘッダ管3が屋根21の軒側に設置され、実施の形態1と同様に施工される。
以上のように、本発明の実施の形態2における融雪装置のヒートパイプは構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管4aの一端がヘッダ管3に連通しているので、屋根21に設置した際の熱媒体の循環経路を簡略化させることができる。
(2)ヘッダ管3と略同一の厚さに形成された熱源管5aを備えているので、熱源管5aの管壁を通じて熱媒体と遠赤外線放射板8とを直接熱交換させることができ、融雪効率を高めることができる。
(実施の形態3)
図7は実施の形態3における融雪装置のヒートパイプの平面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、2bは実施の形態3における融雪装置のヒートパイプ、4bは一端がヘッダ管3に連通し略平行に配設された複数のヒートパイプ枝管、4cはヒートパイプ枝管4bの他端に連通した均圧管である。
以上のように構成された実施の形態3における融雪装置のヒートパイプ2bは、ヘッダ管3が屋根21の軒側に設置され、実施の形態1と同様に施工される。
以上のように、本発明の実施の形態3における融雪装置のヒートパイプは構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ枝管4bの一端がヘッダ管3に連通しているので、屋根21に設置した際の熱媒体の循環経路を簡略化させることができる。
(2)ヒートパイプ枝管4bの他端に均圧管4cが連通しているので、ヒートパイプ枝管4b内の圧力を均一化でき温度斑を少なくすることができる。
本発明は、屋根に積もった雪を融かして除去する屋根の融雪構造及び融雪装置に関し、屋根の軒側に滑り落とした雪のほとんどを効率良く融かすことができ融雪効率に優れ、またわずかなエネルギーの供給で済むためランニングコストが少なくて済み、さらに工事面積が少なくて済み、新築・既設の屋根を問わず、わずかな工期で設置工事ができ施工性に優れる屋根の融雪構造を提供することができ、また、温度斑が小さく設置面の雪を斑なく除去することができるとともに、省エネルギー性に優れランニングコストの小さな融雪装置を提供することを目的とする。

Claims (6)

  1. 屋根の軒側に配置されたヒートパイプを備えた屋根の融雪構造であって、
    前記ヒートパイプが、熱源管が添設若しくは貫設されたヘッダ管と、前記ヘッダ管から分岐した複数のヒートパイプ枝管と、を有し、前記ヒートパイプの上面に遠赤外線放射板が配設されていることを特徴とする屋根の融雪構造。
  2. 前記ヒートパイプ枝管の両端部が、2本の前記ヘッダ管の各々に連通していることを特徴とする請求項1に記載の屋根の融雪構造。
  3. 前記ヘッダ管及び前記ヒートパイプ枝管の長手方向に直交する断面が略矩形状、略方形状、略三角状、略長円状、略半円状の内のいずれかに形成され前記遠赤外線放射板との当接面が平坦で幅広に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根の融雪構造。
  4. 上面が前記ヒートパイプ枝管及び前記ヘッダ管の上面と面一乃至はわずかに低く形成され、前記ヒートパイプ枝管の間に配設された熱分散部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の軒側融雪装置。
  5. 請求項1乃至4の内いずれか1に記載の屋根の融雪構造で用いる融雪装置であって、前記ヒートパイプと、前記熱源管に接続され地盤中に形成した孔部から集熱した不凍液を循環させるループ配管と、を備えていることを特徴とする融雪装置。
  6. 前記ループ配管に密閉式の膨張タンクが接続されていることを特徴とする請求項5に記載の融雪装置。
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