JPWO2007052631A1 - 歩様バランス定量化方法および歩様バランス定量化装置 - Google Patents
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Abstract
歩行バランス判定に欠くことのできない「基準となる方向」を決定付ける手続きを提案する。かかる基準方向決定後に、三次元加速度データをわかりやすく視覚的に表現して歩様を定量的に把握する好適な方法と装置を提案する。三次元加速度センサーを装着した歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データによって決まる最尤前後または最尤左右方向から軸方向成分データを決定し、前記空間図または平面図に加速度ベクトルデータを描画して、種々の歩様分析ノウハウによって歩行動物歩様バランスを定量化する。
Description
本発明は、歩行動物の歩様バランスを分析して、転倒しやすさの指標となる量を提示する技術である。ここで歩様(英文はGAIT)とは、歩行動物の歩き方、歩行の態様を示す動物行動学上の用語である。本発明では、歩行中に正常な身体バランスがとれている状態とアンバランスで転倒しやすい状態の「弁別」もさることながら、どの方向に、どの程度アンバランスなのか、というバランスに関する量的な指標をも提供するものである。歩行動物は種を問わず、当然ながらヒトも含まれる。簡単化のため、ヒトの二足歩行で記載するが、四足以上の多足歩行にも適用できる技術である。
なお本発明の定量データをリハビリの進度の指標となしたりすることもできる。たとえば、「股OA(osteoarthrosis)患者」などの歩行障害患者の治療・リハビリ状況の把握に利用することもできる。
ヒト歩様を把握することは、転倒防止や歩行障害治療のリハビリで重要視され、力学センサー・画像センサー・加速度センサーでデータを採取して解析されてきた。これらのうち、フォースプレート(床反力の測定装置)などの力学センサー方式、モーションキャプチャーなどの動画像解析を組み合わせた画像センサー方法(特許文献1参照)は、コスト・パフォーマンスで加速度センサー方式に対し、やや優位性を欠いている。特に、画像方式は関節部位にマーカを装着する、画像記録や画像解析に高価な装置を要するなどの経済的な問題がある。そこで、データ採取の容易性および採取システムの経済性から、加速度センサーを用いた方式(特許文献2から6、非特許文献1から5参照)に注目する。
特許文献2では、ヒトの脛骨および踵に加速度センサーを装着し歩行中に観測される複数の垂直方向時刻のピークに注目した歩様解析を開示している。さらに同文献にて、加速度の時系列データをフーリエ変換して周波数解析することが開示されている。
特許文献3では、パーキンソン患者の指に加速度センサーを装着し、指同士の接触インターバル時間を解析する動作解析手法が開示されている。
特許文献4では、ヒトの腹部に加速度センサーを装着し、採取されたデータと背屈力との関係で歩様解析する手法が開示されている。
特許文献5では、四足歩行動物の牛に加速度センサーを装着し、加速度ベクトルの終点の移動を示すデータを採取し、該データを牛の前後・左右・上下のうちの2つの座標軸を組み合わせたリサージュ図形で視覚化し、歩様を定量化する方法が開示されている。これは疾病乳牛の治療前後の変化を定量化することで治療法でもある。
一方、加速度データ解析で座標方向・座標軸の誤差は大きな問題である。特許文献6に、連続採取された歩行状態の特定期間内の加速度ベクトルデータを用いて、加速度センサー座標系における重力加速度方向および身体軸を自動修正する機能をもつ解析法が開示されている。しかし特許文献6の技術では、歩行状態に異常があると適切な座標方向・座標軸の修正ができない。
なお、2つの生体データの解析にリサージュ図形を利用することは公知である。具体的には、特許文献7に第1 の測定信号をX 軸に、第2 の測定信号をY 軸にして、生体データのリサージュ波形を描くことでデータ解析する手法が開示されている。
非特許文献1から6は、加速度による歩様バランス定量化の学術的アプローチを開示している。特に、非特許文献6で3方向加速度センサーの歩行データをフーリエ変換した周波数解析が開示されている。
以上例示した個々の公知技術およびこれらを組み合わせたとしても、歩行中に正常な身体バランスがとれている状態とアンバランスで転倒しやすい状態の「弁別」について、具体的かつ視覚的にわかりやすい量的指標の提示、あるいは、どの方向に、どの程度アンバランスなのか、というバランスに関する具体的かつ視覚的にわかりやすい量的指標の提示については、まだ改善の余地がある。
また、特に、どの方向に、どの程度アンバランスなのか、というバランスに関する量的指標をデータベース化して歩様を統一的に分析する際に、データの基準となる方向決定については、誤差を生じる可能性が残留し、データ相互間の不統一が発生する危惧があった。
加速度センサーをもちいて歩様を定量化する多くの試みがなされているが、歩様バランスに注目し、そのバランス判定の明確な手続きは確立にいたっておらず、改善の余地が大いにある。特に歩行バランス判定には、バランスの「基準となる方向」が必要であるが、その方向を決定付ける明確な手続きを確立したものはない。すなわち、加速度センサーを用いた歩様の定量化に関する先行技術のいずれも、漠然とした歩行の前方・後方で加速度データの整理を行っており、座標軸として採用される「基準となる方向」が曖昧である。
「基準となる方向」が曖昧であるがため誤差を生む。つまり、同一方向の加速度ベクトルデータでも基準方向のズレ分の差異が出る。それゆえ、複数の歩行中データを採取しても、測定の際に曖昧設定した基準方向のズレ分の誤差がのるので、正確な歩様分析ができず問題であった。
本発明は、歩様バランスの判定の明確な手続きを提案する。第一に、歩行バランス判定に欠くことのできない「基準となる方向」を決定付ける明確な手続きを提案する。第二に基準方向決定後に、三次元加速度データをわかりやすく視覚的に表現し、歩様を定量的に把握する好適な方法と装置を提案するものである。
本発明の本質は、第一に方向決定基準動作による基準方向決定工程の追加である。第二には、データから歩様バランス・アンバランスを判定する経験的手法(ノウハウ)である。これを以下に説明する。第一発明は、請求の範囲第1項と第2項に、第二発明は、請求の範囲第3項から第7項に反映されている。
第一の本発明の歩行動物歩様バランスの定量化方法(請求の範囲第1項)は、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを歩行動物の前後・左右・上下に対応した三次元直交座標軸の空間図、または前後・左右・上下のうち二つを座標軸とした二次元直交座標の平面図に図示して歩行動物歩様バランスを定量化する方法であって、三次元加速度センサーを装着した歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを採取する工程、前記前後基準動作または左右基準動作における三次元加速度の重力直交水平面成分を抽出する工程、前記抽出工程にて得られた重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程、前記最尤前後または最尤左右方向と重力方向から三次元直交座標の軸方向を決定付ける工程、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータから前記決定付けられた軸方向成分データを得て、前記空間図または平面図に歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを描画する工程を有するものである。
好適には(請求の範囲第2項)、歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを採取する工程が、三次元加速度センサーを装着した歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボード上に積載し、該基準駆動ボード動作による歩行動物の強制前後基準動作または強制左右基準動作中のデータ採取するのが望ましい。
図18が、歩行動物の前後基準動作(a)(b)、左右基準動作(c)の説明図である。図18(a)に示すように通常の歩行データ採取時の歩行状態で前後基準動作としてもかまわない。すなわち、図18(a)下図に示すような後退動作は必ずしも必要としない。しかし図18(b)のような前後を強調する動作をさせたほうが最尤方向の決定に好適である。
図19が、歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボードと強制前後基準動作・強制左右基準動作の説明図であって、A1が歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボード、A2が歩行動物をA1に搭載する際に参照する前後または左右の方向の目安を示すマーカである。ヒトの場合はマーカA2を目視で確認して立ち位置と姿勢を確認させてもよい。より正確性を期すためには、固定ベルトなどで歩行動物を該ボードに固定するのが望ましい。
図20、図21に左右基準動作から最尤前後または最尤左右方向を得る過程を図示する。図20にて、(a)は、重力方向A3と歩行動物の前後または左右基準動作時の加速度データのベクトル終点軌跡A4の斜視図、(b)は、A4の重力直交水平面A5成分であるA6を示す平面図、(c)は、重力直交水平面成分A6の大きさに基づいて決定付けられた最尤前後または最尤左右方向A7を示す平面図であって、(a)→(b)→(c)順に左右基準動作中に採取されたデータから最尤前後または最尤左右方向を得て座標軸とする。図21は、図20同様の説明図であるが、重力直交水平面A5の前後・左右の両方向に現れる加速度データを示した参考図である。
重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程は、大きさが大きい、すなわちベクトルデータの極大値を抽出し、総計的な操作から最尤方向となるデータを選択すればよい。上記方法を装置として構成したものが請求の範囲第9項と第10項である。
第二発明の歩行動物歩様バランスの定量化方法(請求の範囲第3項から第8項)は、上記基準方向決定法に、さらに以下の経験的手法(ノウハウ)を付加したものである。すなわち、採取データから歩様バランス・アンバランスを判定するにあたって、上記基準方向決定法に準拠した空間図または前後・左右または前後・上下の平面図を描き、視覚的に歩様状況を把握しやすくするとともに次のような判定手法を提案する。
データの視覚化では空間図または平面図に描画される加速度ベクトルデータが、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータの終点であるのが好ましく、歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画される。
判定手法のひとつは(請求の範囲第3項)、空間図または前後・左右または前後・上下の平面図の前記軌跡模様の前半面と後半面の差異、および加速度ベクトルデータから計算される前方向のベクトルの大きさの総和と後方向のベクトルの大きさの総和の差異に基づいて歩様バランスを判定する、である。この方法を装置として構成したものが請求の範囲第11項である。
判定手法の別法は(請求の範囲第4項)、歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画され、かかる軌跡が空間図または上下・左右平面図の上下軸に対し概対称であるバタフライ(蝶)様形を呈するか否かに基づいて歩様バランスを判定する、である。概対称であるバタフライ(蝶)様形については、後で説明する図1(d)の「3」を参照されたい。この方法を装置として構成したものが請求の範囲第12項である。
その他判定手法の別法については、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる歩行動物歩行中の加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータから歩様のバランスを判定する方法である。
周波数領域データによる判定の第一法は(請求の範囲第5項)、左右成分フーリエ変換で得られた周波数領域パワスペクトルデータから歩行周期を決定付ける工程、前記歩行周期を含む左右成分周波数領域パワスペクトルデータの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有する歩行動物歩様バランスの定量化方法である。ここで、歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくるのは当然であり、左右成分周波数領域パワはある程度観測されるほうがバランスのとれた歩様として好ましい。左右加速度は良好な歩様に必要である。ただし、周波数領域が歩行周期に比べ小さい周期、または大きい周期に現れる場合はバランス異常であると判定する。
周波数領域データによる判定の第二法は(請求の範囲第6項)、5ヘルツという経験的に得られた判定境界周波数の発見による。すなわち、前後・左右・上下成分時系列データの少なくとも1成分の時系列データをフーリエ変換する工程、フーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータの5ヘルツ未満のパワスペクトルの大きさと分布および/またはフーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータの5ヘルツ以上のパワスペクトルの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有するものである。
周波数領域データによる判定の第三法は(請求の範囲第7項)、第一法の歩行周期以外の周波数パワで判定するものである。すなわち、左右成分フーリエ変換で得られた周波数領域パワスペクトルデータから歩行周期を決定付ける工程、前記左右成分を含む2つ以上の時系列データをフーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータから前記歩行周期パワスペクトルを排除する工程、前記排除後のパワスペクトルの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有するものであり、歩行による加速度を除外して、それ以外の周波数パワにて歩様判定する。
ここで、歩行による加速度を除外する理由は、前述のように歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくるのは当然であるからである。第一法(請求の範囲第5項)の場合は、歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくることを積極的に利用する考え方であるのに対して、第三法は(請求の範囲第7項)では、歩行のための加速度周波数パワは判定のノイズ(不要情報)であるとし、これを除外し、歩行周期外の周波数スペクトルパターンで歩様を判定する。
もちろん、第一法(請求項の範囲第5項)・第三法(請求の範囲第7項)の組合せ判定も好適である。すなわち、第一法(請求の範囲第5項)で、歩行のために現れるはずの周波数パワをチェックするとともに、第三法(請求の範囲第7項)で、歩行のための加速度周波数パワを除外し、歩行周期外の周波数スペクトルパターンで歩様判定する、という複合判定をしてもよい。その際の第一法(請求の範囲第5項)のチェックにおいて、加速度の左右成分に注目し判定するのは言うまでもない。
データ処理上のノウハウとしては(請求の範囲第8項)、加速度時系列データサンプリング時間周期は100〜200ヘルツであり、フーリエ変換後のパワスペクトルから50ヘルツ以上のデータは排除する工程をもち、前記排除後のパワスペクトルデータの隣接周波数3データから5データで移動周波数平均をとる工程をもつのが好ましい。
基準方向の決定行程を含む本発明の請求の範囲第1、3、4項の方法のフローチャートを図22に、本発明の請求の範囲第5、6、7項の方法のフローチャートを図23に示す。これらフローチャートは自明なので説明は略す。基準方向決定後の可視化されたグラフを示しつつ最良の形態を説明する。
本発明は、変形性股関節症(以下、股OA(osteoarthrosis)という)の患者の転倒し易さ、又は/及びリハビリテーション(以下、リハビリと略す)の進度診断にも利用できるので、データは股OA患者のものを例とする。
図1(a)(b)(c)は、本発明で作成された健常者のリサージュ図形である。すなわち図1(a)は、健常者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形1を示す前後・左右平面図、図1(b)は、健常者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形2を示す前後・上下平面図、図1(c)は、健常者歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形3を示す上下・左右平面図である。
図1(d)は、健常者に現れる顕著なパターンを説明するもので、「3」がバタフライ(蝶)様の概対象の図形であることを示す模式図であって、「3B」がかかるバタフライ(蝶)様の概対象の図形である。
図2(a)〔b)〔c)は、転倒経験のある股OAの患者のリサージュ図形である。図2(a)は、患者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形11を示す前後・左右平面図、図2(b)は、患者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形12を示す前後・上下平面図、図2(c)は、患者歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形13を示す上下・左右平面図である。
図3(a)(b)(c)は、転倒経験のない股OAの患者のリサージュ図形を示す。図3(a)は、患者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形21を示す前後・左右平面図、図3(b)は、患者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形22を示す前後・上下平面図、図3(c)は、転倒経験のない股OA患者の歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡23のリサージュ図形を示す上下・左右平面図である。
図2、図3で特徴的なのは、図2の14に示す棘波(加速度ベクトル終点軌跡のリサージュ図形の棘状飛び出し突起)、図2の15および図3の25に示す前方向加速度総和が大きくなることを示す加速度ベクトル終点軌跡の前方向飛び出し、である。これらで歩様アンバランスが視覚的に判定できる。
上記の各図1(a)(b)(c)、図2(a)(b)(c)及び図3(a)(b)(c)においては、被験者画像6を各リサ一ジュ図形と共にパソコンのディスプレイ159(図17参照)に表示するようにしたので、被験者や医師に、被験者の歩き方を動作として捉えた場合の特徴を分かり易く示すことができる。これにより、股OAの患者が自己の歩き方を正確に認識して、効率的なリハビリを行うことができる。上記の各図に表示されたリサージュ図形の元になる加速度の大きさと向きのデータは、全て被験者の第2腰椎に相当する位置に装着した加速度センサーからの出力値である。
被験者が健常者である場合には、上記の図1(a)(c)に示されるように、被験者の左方向における加速度の大きさの総和と右方向における加速度の大きさの総和とがほぼ同じ大きさになっている。また、被験者が健常者である場合には、上記の図1(b)(c)に示されるように、被験者の歩行時における上下動がリズミカルであり、図2(b)(c)及び図3(b)(c)に示される、被験者が股OAの患者の場合と異なり、棘波(例えば、図2〔c)の14、及び図3(e)の24)が少ない。さらにまた、被験者が健常者である場合には、図1(b)に示されるように、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が、大きくなることはないが、被験者が股OAの患者の場合には、図2(b)の15及び図3(b)の25に示されるように、被験者が健常者である場合と比べて、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が大きくなる。健常者のリズミカルな歩様は前述のように図1(d)のバタフライ(蝶)様の概対象の図形3Bとして把握できる。
以下に特許文献5に開示された四足歩行動物の牛の歩様を牛の前後・左右・上下のうちの2つの座標軸を組み合わせたリサージュ図形で視覚化し、歩様を定量化する方法ならびに歩様判定法を適用した例を記載する。
上記図2(b)の15及び図3(b)の25に示されるように、被験者が転倒経験のある股OAの患者の場合には、被験者が転倒経験のない股OAの患者の場合と比べて、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が大きくなる。図4は、転倒経験のない健常者と転倒経験のある股OAの患者の前方向(への)加速度割合の平均値を示す。以下本明細書において、「前方向加速度割合」とは、前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値に占める、前方向の加速度の大きさの総和の割合を表す。転倒経験のない健常者の前方向加速度割合の平均値と転倒経験のある股OAの患者の前方向加速度割合の平均値との有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.001であった、従って、これらの平均値の間には、統計学的な有意差が認められる。
上記の各リサージュ図形の元になる2方向(前後方向と上下方向、又は前後方向と左右方向)の加速度の大きさと向きのデータに基づいて、2次元の座標平面上に、原点を始点とするベクトルを作成する。そして、作成したベクトルのうち、その向きが前方向のベクトルの大きさを累計して、前方向の加速度の大きさの総和を算出すると共に、その向きが後方向のベクトルの大きさを累計して、後方向の加速度の大きさの総和を算出し、これら前方向と後方向の加速度の大きさの総和に基づいて、上記の前方向加速度割合を求める。何故なら、一般に、上記のベクトルを用いた前方向加速度割合の算出方法を採用することにより、転倒経験のある股OAの患者と転倒経験のない健常者との前方向加速度割合の差が拡大するからである。
次に、図5を参照して、前後方向と上下方向の加速度の大きさと向きのデータに基づいて前方向加速度割合を求める方法について説明する。まず、データ分析用のパソコンのCPU151(図17参照)が、加速度センサーからの出力値に基づいて求めた前後方向と上下方向の加速度の大きさと向きのデータに基づいて、2次元の座標平面上に、原点Oを始点とし、リサージュ図形31上の点を終点とするベクトルを作成する。例えば、リサージュ図形31上の点P1の場合には、作成されるベクトルは、VIとなる。さらに、CPU151は、リサージュ図形31上の点P2、P3についても、対応するベクトルを作成する。次に、CPU151は、1乍成した各ベクトルの大きさを算出する、例えば、上記のベクトルViの場合には、下記の式(1)を用いて、ベクトルの大きさを算出する。
CPU151は、上記のようにして算出したベクトルの大きさのうち、その向きが前方向のベクトル(図6中の第li象限と第IH象限に存在する各ベクトル)の大きさを累計して、前方向の加速度の大きさの総和を算出すると共に、その向きが後方向のベクトル(図6中の第丁象限と第IV象限に存在する各ベクトル)・の大きさを累計して、後方向の加速度の大きさの総和を算出する。図6に示される例では、向きが前方向のベクトルとは、v6とV7であり、向きが後方向のベクトルとは、V1、V2、Va、V4、V5である。従って、CPU151は、図6に示される例では、前方向の加速度の大きさの総和を、下記の式(2)を用いて算出する。
CPU151は、上記の式(2)と式(3)で求めた前方向と後方向の加速度の大きさの総和に基づいて、前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値を求めて、この合計値に占める、前方向の加速度0)大きさの総和の割合を、上記の前方向加速度割合とする。
また、図7に示されるように、被験者が転倒経験のある股OAの患者の場合には、被験者が転倒経験のない健常者の場合と比べて、被験者の前後方向における加速度が全体的に大きくなる。従って、図8に示されるように、転倒経験のある股OA患者の前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値(以下、前後方向加速度総和という)の平均値は、転倒経験のない健常者の前後方向加速度総和の平均値よりも大きくなる。ここで、上記の前後方向加速度総柏を求めるのに必要な被験者の前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和の算出には、上記図5及び図6に示される前方向のベクトルの大きさと後方向のベクトルの大きさを累計する方法が用いられる。何故なら、一般に、このベクトルを用いた前後方向加速度総和の算出方法を採用することにより、転倒経験のある股OAの患者と転倒経験のない健常者との前後方向加速度総和の差が拡大するからである。図8に示されるように、転倒経験のない健常者(転倒未経験者)の前後方向加速度総和の平均値と転倒経験のある股OAの患者(転倒経験者)の前後方向加速度総和の平均値との有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.00lであった。従って、これらの平均値の間には、統計学的な有意差が認められる。
上記のように、前方向加速度割合や前後方向加速度総和の平均値に基づいて、被験者が股OAの患者であるか否かということや、股OAの患者の転倒し易さを、数値的な指標とした客観的示唆を得ることができる。
次に、本発明による加速度周波数を用いた股OAの患者の転倒し易さやリハビリの進度の診断に利用できる歩様判定法について説明する。ここで、上記の加速度周波数とは、歩行動物(被験者)歩行中の前後方向、左右方向、又は上下方向加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータ(周波数パワスペクトル)のことを指す。
まず、図9及び図10を参照して、上記の加速度周波数を用いた方法に採用されている被験者の一問歩の歩様(被験者が一歩歩く間の歩様)の検出方法と、従来における被験者の一問歩の歩様の検出方法との相違点について説明する。図9は、健常者の歩行時における各動作のタイミングと、加速度センサーにより求めた上下方向の加速度との関係を表す波線61を示す。図10は、股OA患者の歩行時における各動作のタイミングと、加速度センサーにより求めた上下方向の加速度との関係を表す波線81を示す.
図9における63、64、65、66、68、69、70、71、73、74、75、76は、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、左足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(oppositetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact)、右足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、左足のつま先が地面から離れた瞬閥(oppositetoe off)、左足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、左足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(oppositetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間〔midsance)を示す。
図10における83、85、66、88、90、91、93、95、96は、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(oppositetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間midsmnce)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact)、左足のつま先が地面から離れた瞬間(opposite toe off)、左足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、左足のかかとが着地した瞬間(1eft heel contact)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(opposite toe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)を示す。
従来の歩様の検出方法では、図9における波線61のピーク62、67、72を、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(1eft heel contact)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact〕、左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)であるとみなして、ピーク62とピーク67の問、及びピーク67とピーク72の間を被験者の一間歩として、被験者の歩様を検出していた。しかし、図9に示されるように、波線61のピーク62、67、72と、左右の足のかかとが着地した瞬間63、68、73とは、一致しない場合が多い。従って、波線61における上記のピーク問を一間歩とみなして被験者の歩様を検出した場合には、正確な歩様の検出を行なうことが難しい。
これに対して、本発明実施例では、左右の足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance;以下、ミッドスタンスという)を基準に、被験者の歩様を検出している。例えば、図9に示されるミッドスタンス66とミッドスタンス71との間や、ミッドスタンス71とミッドスタンス76との間を一間歩とみなして、被験者の歩様を検出する。一般に、ミッドスタンスの状態では、被験者の体軸の上下方向の動きが一瞬静止するため、加速度センサーにより採取した上下方向における加速度が、ほぼ0になる。これは、図10に示される股OA患者の歩行時における波線81のミッドスタンス86、91、96についても同様である。従って、波線61や波線81における加速度が0のポイントの中から、ミッドスタンスに相当するポイントを見つけて、これらのポイントのうち、隣合うポイント間における被験者の歩様を検出することにより、従来の歩様の検出方法と比べて、より正確な歩様の検出を行なうことができる。
次に、図11(a)(b)、図12(a)(b)及び図13(a)(b)を参照して、上記の加速度周波数を用いた股OAの患者の転倒し易さやリハビリの進度の診断に役立てる歩様判定方法について具体的に説明する。図11(a)は、健常者の左右方向における加速度周波数(左右方向における加速度の向きの変化の頻度を表す周波数)と、この加速度周波数の各周波数帯域毎の強度(レベル)の関係を示し、図11(b)は、股OA患者の左右方向における加速度周波数と、この加速度周波数の各周波数帯域毎の強度(レベル)の関係を示す。また、図12(a)(b)は、それぞれ健常者と股OA患者との上下方向における加速度周波数と強度(レベル)の関係を示す。さらにまた、図13(a)(b)は、それぞれ健常者と股OA患者との前後方向における加速度周波数と強度(レベル)の関係を示す。これらの図に示される曲線101乃至106は、図9及び図10に示されるような、所定の方向における加速度の大きさの経時的な変化を示すデータを、高速フーリエ変換(FFT)して求めたデータを表したものである。図11(a)(b)に示されるように、被験者が股OAの患者の場合には、被験者が健常者である場合と比べて、左右方向の加速度周波数の強度が、5ヘルツ以上の周波数帯域において上昇する。また、図13(a)(b)に示されるように、被験者が股OAの患者の場合には、被験者が健常者である場合と比べて、前後方向の加速度周波数の強度が、5ヘルツ以上の周波数帯域において上昇する。これは、被験者が股OAの患者の場合には、被験者が健常者である場合と比べて、罹患している方の足が地面に着くときの足の動きが複雑になっているためであると考えられる。
上記の結果から、股OAの患者の前後方向又は左右方向の加速度周波数について、5ヘルツ以上の周波数帯域における強度が、以前に比べて下がったか否かをチェックすることにより、股OAの患者のリハビリの進度の判定示唆を得ることができる。また、被験者の前後方向又は左右方向の加速度周波数について、5ヘルツ以上の周波数帯域における強度をチェックすることにより、歩様判定を行い、被験者が股OA患者であるか否かという示唆や、被験者の転倒し易さの示唆に利用することもできる。
上記の歩様判定の統計学的な有意性について、図14乃至図16を参照して説明する。図14は、左右方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図15は、上下方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図16は、前後方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図14及び図16に示されるように、左右方向及び前後方向における健常者とオペ前の股OA患者の加速度周波数の平均強度は、5ヘルツ以上の高周波数帯域においても、5ヘルツ未満の低周波数帯域においても、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)。また、左右方向及び前後方向におけるオペ前の股OA患者とオペ後の股OA患者の加速度周波数の平均強度も、5ヘルツ以上の高周波数帯域においても、5ヘルツ未満の低周波数帯域においても、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)。これらの有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.05であった。
これに対して、図15に示されるように、上下方向における健常者とオペ前の股OA患者の加速度周波数の平均強度は、5ヘルツ以上の高周波数帯域においては、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)が、5ヘルツ未満の低周波数帯域では、大差がない(統計学的な有意差が認められない)。また、上下方向におけるオベ前の股OA患者とオペ後の股OA患者の加速度周波数の平均強度についても、5ヘルツ以上の高周波数帯域においては、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)が、5ヘルツ未満の低周波数帯域では、大差がない(統計学的な有意差が認められない)。
上記の結果から、パノコンのCPU151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11(a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周波数帯域毎の強度を表すグラフを作成して、股OAの患者の前後方向又は左右方向の加速度周波数について、5ヘルツ以上の周波数帯域における強度が、以前に比べて下がったか否かをチェックすることにより、股OAの患者のリハビリの進度判定に役立てることができる。また、パソコンのcpu151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11〔a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周波数帯域毎の強度を表すグラフを作成して、被験者の前後方向又は左右方向の加速度周波数について、5ヘルツ以上の周波数帯域における強度をチェックすることにより、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さの判定示唆に役立てることもできる。
また、パソコンのCPU151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11(a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周波数帯域の強度を表すグラフを作成した後に、医師や被験者が、これらのグラフを見てチェックすることにより、上記の股OA患者のリハビリの進度や、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さの判定示唆に役立てるようにしてもよい。
図17は、上記の各方法を採用した装置130のブロック構成を示す。図示されるように、この装置130は、主に加速度センサー131とパソコン132とより構成されている。加速度センサー131は、被験者の前後、左右、及び上下の全ての方向における、体軸の動きの加速度の大きさと向きとを検出するための3次元加速度センサー141と、3次元加速度センサー141から送られた信号を処理するための信号処理回路142と、信号処理回路142による処理後の信号をパソコン132に送信するための無線信号送信部143と、アンテナ144と、加速度センサー131内の各部に電源を供給するためのバッテリ145とを有している。
また、上記のパソコン132は、パソコン全体を制御するためのCPU151と、加速度センサー131内の無線信号送信部143からアンテナ152を介して無線信号を受信するための無線信号受信部153と、加速度センサー131から受信した加速度の大きさと向きのデータを含む各種のデータやプログラムを格納するためのHDD154(加速度データ記録手段)と、各種のプログラム等がローディングされるRAM156と、各種の制御用のプログラムを記憶したROM157と、パソコン内の各ブロックに電源を供給するための電源部158を備えている。
上記のHDD154には、上記の各歩様判定方法(前方向加速度割合を用いた方法、前後方向加速度総和を用いた方法、及び加速度周波数を用いた方法)によって、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの愚者のリハビリの進度を判定示唆するためのプログラム162が格納されている。また、HDD154には、上記方法に用いられるリサージュ図形やベクトルやグラフを作成するためのグラフ作成プログラム163と、被験者の歩行時に加速度センサー131から受信した加速度の大きさと向きのデータを格納した歩様DB164とが格納されている。上記のCPU151とプログラム162とが、請求の範囲における歩様定量化方法の手段とソフトに相当する。また、上記のCPU151とグラフ作成プログラム163とが、請求の範囲におけるベクトル作成手段とリサージュ図形作成手段に相当する。
また、パソコン132は、上記のグラフ作成プログラム163により1乍成されたグラフ等を表示するためのディスプレイ159と、各種の指示入力を行うための操作部160とを備えている。
ユーザが操作部160を用いて、被験者の歩様判定をパソコン132のCPUユ51に指示すると、パソコン132のCPU151は、歩様DB164に格納された加速度の大きさと向きのデータに基き、上記の各歩様判定方法(前方向加速度割合を用いた方法、前後方向加速度総和を用いた方法、及び加速度周波数を用いた方法)により、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの患者のリハビリの進度に関する示唆を自動的に出力する。
上記の実施形態によれば、前方向加速度割合、前後方向加速度総和、及び前後又は左右方向における加速度周波数の各周波数帯域毎の強度に基づいて、被験者の転倒し易さ、又は/及びリハビリの進度を判定示唆が得られる。これにより、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの患者のリハビリの進度を数値的・客観的な定量指標が得られて便利である。
また、本実施形態によれば、従来センサー方式と異なり、データの採取に必要な機器が、高価な床反応力計(フォースプレート)やCCDカメラではなく、安価な加速度センサーのみであるため、必要な機器の購入に要するコストを節約することができる。さらにまた、従来センサー方式と異なり、歩行の評価に必要なデータ採取が、数歩の歩行のみであるため、データを採取するのに股OA患者等の被験者に大きな負担を強いることを防ぐことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、加速度センサーとして、無線信号を送信可能な加速度センサーを用いたが、有線の加速度センサーを用いてもよい。また、上記実施形態では、加速度センサーとして、被験者の前後、左右、及び上下の全ての方向における加速度の大きさと向きとを検出することが可能な3次元加速度センサーを用いたが、加速度センサーとして、被験者の前後方向及び左右方向のみを検出可能な2次元加速度センサーを用いてもよい。さらにまた、加速度センサーの被験者への装着位置は、必ずしも被験者の第2腰椎に相当する位置に限られず、被験者の体軸の動きの加速度の大きさと向きとを検出することが可能な位置であればよい。また、上記の実施形態では、パソコン132のCPU151が被験者の転倒し易さや、股OAの患者のリハビリの進度を自動的に示唆出力する場合の例を示したが、パソコンのCPUが、前方向加速度割合、前後方向加速度総和、又は前後・左右方向における加速度周波数の各周波数帯域毎の強度をディスプレイ上に表示して、医師や被験者が、これらのデータに基づいて、被験者の転倒し易さやリハビリの進度を判断するようにしてもよい。
本発明によって、「基準となる方向」が正確になり誤差がきわめて低減され正確な歩様分析が可能になった。分析に必要となる三次元加速度データをわかりやすく視覚的に表現する方法、歩様を定量的に把握する好適な方法と装置を具体的に提供し、実用的な歩様分析が実現可能となる。
【0004】
波数解析」日本機械学会 第76期全国大会講演会講演論文集(II),No.98−3(1998−10),pp.285−286.
[0014]
加速度センサーをもちいて歩様を定量化する多くの試みがなされているが、歩様バランスに注目し、そのバランス判定の明確な手続きは確立にいたっておらず、改善の余地が大いにある。特に歩行バランス判定には、バランスの「基準となる方向」が必要であるが、その方向を決定付ける明確な手続きを確立したものはない。すなわち、加速度センサーを用いた歩様の定量化に関する先行技術のいずれも、漠然とした歩行の前方・後方で加速度データの整理を行っており、座標軸として採用される「基準となる方向」が曖昧である。
[0015]
「基準となる方向」が曖昧であるがため誤差を生む。つまり、同一方向の加速度ベクトルデータでも基準方向のズレ分の差異が出る。それゆえ、複数の歩行中データを採取しても、測定の際に曖昧設定した基準方向のズレ分の誤差がのるので、正確な歩様分析ができず問題であった。
発明の開示
[0016]
本発明は、歩様バランスの判定の明確な手続きを提案する。第一に、歩行バランス判定に欠くことのできない「基準となる方向」を決定付ける明確な手続きを提案する。第二に基準方向決定後に、三次元加速度データをわかりやすく視覚的に表現し、歩様を定量的に把握する好適な方法と装置を提案するものである。
[0017]
本発明の本質は、第一に方向決定基準動作による基準方向決定工程の追加である。第二には、データから歩様バランス・アンバランスを判定する経験的手法(ノウハウ)である。これを以下に説明する。
[0018]
第一の本発明の歩行動物歩様バランスの定量化方法は、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを歩行動物の前後・左右・上下に対応した三次元直交座標軸の空間図、または前後・左右・上下のうち二つを座標軸とした二次元直交座標の平面図に図示して歩行動物歩様バランスを定量化する方法であって、三次元加速度センサーを装着した歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを採取する工程、前記
波数解析」日本機械学会 第76期全国大会講演会講演論文集(II),No.98−3(1998−10),pp.285−286.
[0014]
加速度センサーをもちいて歩様を定量化する多くの試みがなされているが、歩様バランスに注目し、そのバランス判定の明確な手続きは確立にいたっておらず、改善の余地が大いにある。特に歩行バランス判定には、バランスの「基準となる方向」が必要であるが、その方向を決定付ける明確な手続きを確立したものはない。すなわち、加速度センサーを用いた歩様の定量化に関する先行技術のいずれも、漠然とした歩行の前方・後方で加速度データの整理を行っており、座標軸として採用される「基準となる方向」が曖昧である。
[0015]
「基準となる方向」が曖昧であるがため誤差を生む。つまり、同一方向の加速度ベクトルデータでも基準方向のズレ分の差異が出る。それゆえ、複数の歩行中データを採取しても、測定の際に曖昧設定した基準方向のズレ分の誤差がのるので、正確な歩様分析ができず問題であった。
発明の開示
[0016]
本発明は、歩様バランスの判定の明確な手続きを提案する。第一に、歩行バランス判定に欠くことのできない「基準となる方向」を決定付ける明確な手続きを提案する。第二に基準方向決定後に、三次元加速度データをわかりやすく視覚的に表現し、歩様を定量的に把握する好適な方法と装置を提案するものである。
[0017]
本発明の本質は、第一に方向決定基準動作による基準方向決定工程の追加である。第二には、データから歩様バランス・アンバランスを判定する経験的手法(ノウハウ)である。これを以下に説明する。
[0018]
第一の本発明の歩行動物歩様バランスの定量化方法は、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを歩行動物の前後・左右・上下に対応した三次元直交座標軸の空間図、または前後・左右・上下のうち二つを座標軸とした二次元直交座標の平面図に図示して歩行動物歩様バランスを定量化する方法であって、三次元加速度センサーを装着した歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを採取する工程、前記
【0005】
前後基準動作または左右基準動作における三次元加速度の重力直交水平面成分を抽出する工程、前記抽出工程にて得られた重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程、前記最尤前後または最尤左右方向と重力方向から三次元直交座標の軸方向を決定付ける工程、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータから前記決定付けられた軸方向成分データを得て、前記空間図または平面図に歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを描画する工程を有するものである。
[0019]
好適には、歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを採取する工程が、三次元加速度センサーを装着した歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボード上に積載し、該基準駆動ボード動作による歩行動物の強制前後基準動作または強制左右基準動作中のデータ採取するのが望ましい。
[0020]
図18が、歩行動物の前後基準動作(a)(b)、左右基準動作(c)の説明図である。図18(a)に示すように通常の歩行データ採取時の歩行状態で前後基準動作としてもかまわない。すなわち、図18(a)下図に示すような後退動作は必ずしも必要としない。しかし図18(b)のような前後を強調する動作をさせたほうが最尤方向の決定に好適である。
[0021]
図19が、歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボードと強制前後基準動作・強制左右基準動作の説明図であって、A1が歩行動物を前後または左右に駆動させる基凖駆動ボード、A2が歩行動物をA1に搭載する際に参照する前後または左右の方向の目安を示すマーカである。ヒトの場合はマーカA2を目視で確認して立ち位置と姿勢を確認させてもよい。より正確性を期すためには、固定ベルトなどで歩行動物を該ボードに固定するのが望ましい。
[0022]
図20、図21に左右基準動作から最尤前後または最尤左右方向を得る過程を図示する。図20にて、(a)は、重力方向A3と歩行動物の前後または左右基準動作時の加速度データのベクトル終点軌跡A4の斜視図、(b)は、A4の重力直交水平面A5成分であるA6を示す平面図、(c)は、重力直交水平面成分A6の大きさに基づいて
前後基準動作または左右基準動作における三次元加速度の重力直交水平面成分を抽出する工程、前記抽出工程にて得られた重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程、前記最尤前後または最尤左右方向と重力方向から三次元直交座標の軸方向を決定付ける工程、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータから前記決定付けられた軸方向成分データを得て、前記空間図または平面図に歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを描画する工程を有するものである。
[0019]
好適には、歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを採取する工程が、三次元加速度センサーを装着した歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボード上に積載し、該基準駆動ボード動作による歩行動物の強制前後基準動作または強制左右基準動作中のデータ採取するのが望ましい。
[0020]
図18が、歩行動物の前後基準動作(a)(b)、左右基準動作(c)の説明図である。図18(a)に示すように通常の歩行データ採取時の歩行状態で前後基準動作としてもかまわない。すなわち、図18(a)下図に示すような後退動作は必ずしも必要としない。しかし図18(b)のような前後を強調する動作をさせたほうが最尤方向の決定に好適である。
[0021]
図19が、歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボードと強制前後基準動作・強制左右基準動作の説明図であって、A1が歩行動物を前後または左右に駆動させる基凖駆動ボード、A2が歩行動物をA1に搭載する際に参照する前後または左右の方向の目安を示すマーカである。ヒトの場合はマーカA2を目視で確認して立ち位置と姿勢を確認させてもよい。より正確性を期すためには、固定ベルトなどで歩行動物を該ボードに固定するのが望ましい。
[0022]
図20、図21に左右基準動作から最尤前後または最尤左右方向を得る過程を図示する。図20にて、(a)は、重力方向A3と歩行動物の前後または左右基準動作時の加速度データのベクトル終点軌跡A4の斜視図、(b)は、A4の重力直交水平面A5成分であるA6を示す平面図、(c)は、重力直交水平面成分A6の大きさに基づいて
【0006】
決定付けられた最尤前後または最尤左右方向A7を示す平面図であって(a)→(b)→(c)順に左右基準動作中に採取されたデータから最尤前後または最尤左右方向を得て座標軸とする。図21は、図20同様の説明図であるが、重力直交水平面A5の前後・左右の両方向に現れる加速度データを示した参考図である。
[0023]
重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程は、大きさが大きい、すなわちベクトルデータの極大値を抽出し、総計的な操作から最尤方向となるデータを選択すればよい。上記方法を装置として構成したものが請求の範囲第9項と第10項である。
[0024]
第二発明の歩行動物歩様バランスの定量化方法は、上記基準方向決定法に、さらに以下の経験的手法(ノウハウ)を付加したものである。すなわち、採取データから歩様バランス・アンバランスを判定するにあたって、上記基準方向決定法に準拠した空間図または前後・左右または前後・上下の平面図を描き、視覚的に歩様状況を把握しやすくするとともに次のような判定手法を提案する。
[0025]
データの視覚化では空間図または平面図に描画される加速度ベクトルデータが、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータの終点であるのが好ましく、歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画される。
[0026]
判定手法のひとつは、空間図または前後・左右または前後・上下の平面図の前記軌跡模様の前半面と後半面の差異、および加速度ベクトルデータから計算される前方向のベクトルの大きさの総和と後方向のベクトルの大きさの総和の差異に基づいて歩様バランスを判定する、である。この方法を装置として構成したものが請求の範囲第11項である。
[0027]
判定手法の別法は、歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画され、かかる軌跡が空間図または上下・左右平面図の上下軸に対し概対称であるバタフライ(蝶)様形を呈するか否かに基づいて歩様バランスを判定する、である。概対称であるバタフライ(蝶)様形については、後で説明する図1(d)の「3」を参照されたい。この方法を装置として構成したものが請求の範囲第12項である。
決定付けられた最尤前後または最尤左右方向A7を示す平面図であって(a)→(b)→(c)順に左右基準動作中に採取されたデータから最尤前後または最尤左右方向を得て座標軸とする。図21は、図20同様の説明図であるが、重力直交水平面A5の前後・左右の両方向に現れる加速度データを示した参考図である。
[0023]
重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程は、大きさが大きい、すなわちベクトルデータの極大値を抽出し、総計的な操作から最尤方向となるデータを選択すればよい。上記方法を装置として構成したものが請求の範囲第9項と第10項である。
[0024]
第二発明の歩行動物歩様バランスの定量化方法は、上記基準方向決定法に、さらに以下の経験的手法(ノウハウ)を付加したものである。すなわち、採取データから歩様バランス・アンバランスを判定するにあたって、上記基準方向決定法に準拠した空間図または前後・左右または前後・上下の平面図を描き、視覚的に歩様状況を把握しやすくするとともに次のような判定手法を提案する。
[0025]
データの視覚化では空間図または平面図に描画される加速度ベクトルデータが、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータの終点であるのが好ましく、歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画される。
[0026]
判定手法のひとつは、空間図または前後・左右または前後・上下の平面図の前記軌跡模様の前半面と後半面の差異、および加速度ベクトルデータから計算される前方向のベクトルの大きさの総和と後方向のベクトルの大きさの総和の差異に基づいて歩様バランスを判定する、である。この方法を装置として構成したものが請求の範囲第11項である。
[0027]
判定手法の別法は、歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画され、かかる軌跡が空間図または上下・左右平面図の上下軸に対し概対称であるバタフライ(蝶)様形を呈するか否かに基づいて歩様バランスを判定する、である。概対称であるバタフライ(蝶)様形については、後で説明する図1(d)の「3」を参照されたい。この方法を装置として構成したものが請求の範囲第12項である。
【0007】
[0028]
その他判定手法の別法については、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる歩行動物歩行中の加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータから歩様のバランスを判定する方法である。
[0029]
周波数領域データによる判定の第一法は、左右成分フーリエ変換で得られた周波数領域パワスペクトルデータから歩行周期を決定付ける工程、前記歩行周期を含む左右成分周波数領域パワスペクトルデータの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有する歩行動物歩様バランスの定量化方法である。ここで、歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくるのは当然であり、左右成分周波数領域パワはある程度観測されるほうがバランスのとれた歩様として好ましい。左右加速度は良好な歩様に必要である。ただし、周波数領域が歩行周期に比べ小さい周期、または大きい周期に現れる場合はバランス異常であると判定する。
[0030]
周波数領域データによる判定の第二法は、5ヘルツという経験的に得られた判定境界周波数の発見による。すなわち、前後・左右・上下成分時系列データの少なくとも1成分の時系列データをフーリエ変換する工程、フーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータの5ヘルツ未満のパワスペクトルの大きさと分布および/またはフーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータの5ヘルツ以上のパワスペクトルの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有するものである。
[0031]
周波数領域データによる判定の第三法は、第一法の歩行周期以外の周波数パワで判定するものである。すなわち、左右成分フーリエ変換で得られた周波数領域パワスペクトルデータから歩行周期を決定付ける工程、前記左右成分を含む2つ以上の時系列データをフーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータから前記歩行周期パワスペクトルを排除する工程、前記排除後のパワスペクトルの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有するものであり、歩行による加速度を除外して、それ以外の周波数パワにて歩様判定する。
[0032]
ここで、歩行による加速度を除外する理由は、前述のように歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくるのは当然であるからである。第一法の場合は、歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくることを積極的に利用する考
[0028]
その他判定手法の別法については、歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる歩行動物歩行中の加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータから歩様のバランスを判定する方法である。
[0029]
周波数領域データによる判定の第一法は、左右成分フーリエ変換で得られた周波数領域パワスペクトルデータから歩行周期を決定付ける工程、前記歩行周期を含む左右成分周波数領域パワスペクトルデータの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有する歩行動物歩様バランスの定量化方法である。ここで、歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくるのは当然であり、左右成分周波数領域パワはある程度観測されるほうがバランスのとれた歩様として好ましい。左右加速度は良好な歩様に必要である。ただし、周波数領域が歩行周期に比べ小さい周期、または大きい周期に現れる場合はバランス異常であると判定する。
[0030]
周波数領域データによる判定の第二法は、5ヘルツという経験的に得られた判定境界周波数の発見による。すなわち、前後・左右・上下成分時系列データの少なくとも1成分の時系列データをフーリエ変換する工程、フーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータの5ヘルツ未満のパワスペクトルの大きさと分布および/またはフーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータの5ヘルツ以上のパワスペクトルの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有するものである。
[0031]
周波数領域データによる判定の第三法は、第一法の歩行周期以外の周波数パワで判定するものである。すなわち、左右成分フーリエ変換で得られた周波数領域パワスペクトルデータから歩行周期を決定付ける工程、前記左右成分を含む2つ以上の時系列データをフーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータから前記歩行周期パワスペクトルを排除する工程、前記排除後のパワスペクトルの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有するものであり、歩行による加速度を除外して、それ以外の周波数パワにて歩様判定する。
[0032]
ここで、歩行による加速度を除外する理由は、前述のように歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくるのは当然であるからである。第一法の場合は、歩行のための加速度周波数パワが大きくでてくることを積極的に利用する考
【0008】
え方であるのに対して、第三法では、歩行のための加速度周波数パワは判定のノイズ(不要情報)であるとし、これを除外し、歩行周期外の周波数スペクトルパターンで歩様を判定する。
[0033]
もちろん、第一法・第三法の組合せ判定も好適である。すなわち、第一法で、歩行のために現れるはずの周波数パワをチェックするとともに、第三法で、歩行のための加速度周波数パワを除外し、歩行周期外の周波数スペクトルパターンで歩様判定する、という複合判定をしてもよい。その際の第一法のチェックにおいて、加速度の左右成分に注目し判定するのは言うまでもない。
[0034]
データ処理上のノウハウとしては、加速度時系列データサンプリング時間周期は100〜200ヘルツであり、フーリエ変換後のパワスペクトルから50ヘルツ以上のデータは排除する工程をもち、前記排除後のパワスペクトルデータの隣接周波数3データから5データで移動周波数平均をとる工程をもつのが好ましい。
図面の簡単な説明
[0035]
[図1](a)は、健常者の歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・左右平面図、(b)は、健常者の歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・上下平面図、(c)は、健常者の歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す上下・左右平面図、(d)は、3がバタフライ(蝶)様の概対象の図形となることを示す模式図。
[図2](a)は、転倒経験のある股OA患者の歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・左右平面図、(b)は、転倒経験のある股OA患者の歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・上下平面図、(c)は、転倒経験のある股OA患者の歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す上下・左右平面図。
[図3](a)は、転倒経験のない股OA患者の歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・左右平面図、(b)は、転倒
え方であるのに対して、第三法では、歩行のための加速度周波数パワは判定のノイズ(不要情報)であるとし、これを除外し、歩行周期外の周波数スペクトルパターンで歩様を判定する。
[0033]
もちろん、第一法・第三法の組合せ判定も好適である。すなわち、第一法で、歩行のために現れるはずの周波数パワをチェックするとともに、第三法で、歩行のための加速度周波数パワを除外し、歩行周期外の周波数スペクトルパターンで歩様判定する、という複合判定をしてもよい。その際の第一法のチェックにおいて、加速度の左右成分に注目し判定するのは言うまでもない。
[0034]
データ処理上のノウハウとしては、加速度時系列データサンプリング時間周期は100〜200ヘルツであり、フーリエ変換後のパワスペクトルから50ヘルツ以上のデータは排除する工程をもち、前記排除後のパワスペクトルデータの隣接周波数3データから5データで移動周波数平均をとる工程をもつのが好ましい。
図面の簡単な説明
[0035]
[図1](a)は、健常者の歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・左右平面図、(b)は、健常者の歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・上下平面図、(c)は、健常者の歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す上下・左右平面図、(d)は、3がバタフライ(蝶)様の概対象の図形となることを示す模式図。
[図2](a)は、転倒経験のある股OA患者の歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・左右平面図、(b)は、転倒経験のある股OA患者の歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・上下平面図、(c)は、転倒経験のある股OA患者の歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す上下・左右平面図。
[図3](a)は、転倒経験のない股OA患者の歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形を示す前後・左右平面図、(b)は、転倒
【0010】
速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す図。
[図15]上下方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す図。
[図16]前後方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す図。
[図17]本発明のセンサーと解析装置の構成図。
[図18]歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の説明図
[図19]歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボードと強制前後基準動作・強制左右基準動作の説明図
[図20](a)は、重力方向A3と歩行動物の前後または左右基準動作時の加速度データのベクトル終点軌跡A4の斜視図、(b)は、A4の重力直交水平面A5成分であるA6を示す平面図、(c)は、重力直交水平面成分A6の大きさに基づいて決定付けられた最尤前後または最尤左右方向A7を示す平面図。
[図21]図20同様の説明図であるが、重力直交水平面A5の前後・左右の両方向に現れる加速度データを示した図であって、(a)は、重力方向A3と歩行動物の前後または左右基準動作時の加速度データのベクトル終点軌跡A4の斜視図、(b)は、A4の重力直交水平面(A5)成分であるA6を示す平面図、(c)は、重力直交水平面成分A6の大きさに基づいて決定付けられた最尤前後または最尤左右方向A7を示す平面図。
[図22]請求の範囲に記載の装置による方法のフローチャート
[図23]請求の範囲に記載の装置によるその他の方法のフローチャート
発明を実施するための最良の形態
[0036]
基準方向の決定行程を含む本発明の請求の範囲に記載の装置による方法のフローチャートを図22に、本発明の請求の範囲に記載の装置によるその他の方法のフローチャートを図23に示す。これらフローチャートは自明なので説明は略す。基準方向決定後の可視化されたグラフを示しつつ最良の形態を説明する。
[0037]
本発明は、変形性股関節症(以下、股OA(osteoarthrosis)という)の患者の転倒し易さ、又は/及びリハビリテーション(以下、リハビリと略す)の進度診断にも利用でき
速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す図。
[図15]上下方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す図。
[図16]前後方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す図。
[図17]本発明のセンサーと解析装置の構成図。
[図18]歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の説明図
[図19]歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボードと強制前後基準動作・強制左右基準動作の説明図
[図20](a)は、重力方向A3と歩行動物の前後または左右基準動作時の加速度データのベクトル終点軌跡A4の斜視図、(b)は、A4の重力直交水平面A5成分であるA6を示す平面図、(c)は、重力直交水平面成分A6の大きさに基づいて決定付けられた最尤前後または最尤左右方向A7を示す平面図。
[図21]図20同様の説明図であるが、重力直交水平面A5の前後・左右の両方向に現れる加速度データを示した図であって、(a)は、重力方向A3と歩行動物の前後または左右基準動作時の加速度データのベクトル終点軌跡A4の斜視図、(b)は、A4の重力直交水平面(A5)成分であるA6を示す平面図、(c)は、重力直交水平面成分A6の大きさに基づいて決定付けられた最尤前後または最尤左右方向A7を示す平面図。
[図22]請求の範囲に記載の装置による方法のフローチャート
[図23]請求の範囲に記載の装置によるその他の方法のフローチャート
発明を実施するための最良の形態
[0036]
基準方向の決定行程を含む本発明の請求の範囲に記載の装置による方法のフローチャートを図22に、本発明の請求の範囲に記載の装置によるその他の方法のフローチャートを図23に示す。これらフローチャートは自明なので説明は略す。基準方向決定後の可視化されたグラフを示しつつ最良の形態を説明する。
[0037]
本発明は、変形性股関節症(以下、股OA(osteoarthrosis)という)の患者の転倒し易さ、又は/及びリハビリテーション(以下、リハビリと略す)の進度診断にも利用でき
【0011】
るので、データは股OA患者のものを例とする。
[0038]
図1(a)(b)(c)は、本発明で作成された健常者のリサージュ図形である。すなわち図1(a)は、健常者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形1を示す前後・左右平面図、図1(b)は、健常者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形2を示す前後・上下平面図、図1(c)は、健常者歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形3を示す上下・左右平面図である。
[0039]
図1(d)は、健常者に現れる顕著なパターンを説明するもので、「3」がバタフライ(蝶)様の概対象の図形であることを示す模式図であって、「3B」がかかるバタフライ(蝶)様の概対象の図形である。
[0040]
図2(a)(b)(c)は、転倒経験のある股OAの患者のリサージュ図形である。図2(a)は、患者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形11を示す前後・左右平面図、図2(b)は、患者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形12を示す前後・上下平面図、図2(c)は、患者歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形13を示す上下・左右平面図である。
[0041]
図3(a)(b)(c)は、転倒経験のない股OAの患者のリサージュ図形を示す。図3(a)は、患者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形21を示す前後・左右平面図、図3(b)は、患者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形22を示す前後・上下平面図、図3(c)は、転倒経験のない股OA患者の歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡23のリサージュ図形を示す上下・左右平面図である。
[0042]
図2、図3で特徴的なのは、図2の14に示す棘波(加速度ベクトル終点軌跡のリサージュ図形の棘状飛び出し突起)、図2の15および図3の25に示す前方向加速度総和が大きくなることを示す加速度ベクトル終点軌跡の前方向飛び出しである。これらで歩様アンバランスが視覚的に判定できる。
[0043]
上記の各図1(a)(b)(c)、図2(a)(b)(c)及び図3(a)(b)(c)においては、被験者画像6を各リサージュ図形と共にパソコンのディスプレイ159(図17参照)に表示する
るので、データは股OA患者のものを例とする。
[0038]
図1(a)(b)(c)は、本発明で作成された健常者のリサージュ図形である。すなわち図1(a)は、健常者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形1を示す前後・左右平面図、図1(b)は、健常者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形2を示す前後・上下平面図、図1(c)は、健常者歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形3を示す上下・左右平面図である。
[0039]
図1(d)は、健常者に現れる顕著なパターンを説明するもので、「3」がバタフライ(蝶)様の概対象の図形であることを示す模式図であって、「3B」がかかるバタフライ(蝶)様の概対象の図形である。
[0040]
図2(a)(b)(c)は、転倒経験のある股OAの患者のリサージュ図形である。図2(a)は、患者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形11を示す前後・左右平面図、図2(b)は、患者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形12を示す前後・上下平面図、図2(c)は、患者歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形13を示す上下・左右平面図である。
[0041]
図3(a)(b)(c)は、転倒経験のない股OAの患者のリサージュ図形を示す。図3(a)は、患者歩行時における前後・左右方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形21を示す前後・左右平面図、図3(b)は、患者歩行時における前後・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡のリサージュ図形22を示す前後・上下平面図、図3(c)は、転倒経験のない股OA患者の歩行時における左右・上下方向の加速度ベクトルデータの終点軌跡23のリサージュ図形を示す上下・左右平面図である。
[0042]
図2、図3で特徴的なのは、図2の14に示す棘波(加速度ベクトル終点軌跡のリサージュ図形の棘状飛び出し突起)、図2の15および図3の25に示す前方向加速度総和が大きくなることを示す加速度ベクトル終点軌跡の前方向飛び出しである。これらで歩様アンバランスが視覚的に判定できる。
[0043]
上記の各図1(a)(b)(c)、図2(a)(b)(c)及び図3(a)(b)(c)においては、被験者画像6を各リサージュ図形と共にパソコンのディスプレイ159(図17参照)に表示する
【0012】
ようにしたので、被験者や医師に、被験者の歩き方を動作として捉えた場合の特徴を分かり易く示すことができる。これにより、股OAの患者が自己の歩き方を正確に認識して、効率的なリハビリを行うことができる。上記の各図に表示されたリサージュ図形の元になる加速度の大きさと向きのデータは、全て被験者の第2腰椎に相当する位置に装着した加速度センサーからの出力値である。
[0044]
被験者が健常者である場合には、上記の図1(a)(c)に示されるように、被験者の左方向における加速度の大きさの総和と右方向における加速度の大きさの総和とがほぼ同じ大きさになっている。また、被験者が健常者である場合には、上記の図1(b)(c)に示されるように、被験者の歩行時における上下動がリズミカルであり、図2(b)(c)及び図3(b)(c)に示される、被験者が股OAの患者の場合と異なり、棘波(例えば、図2(c)の14、及び図3(c)の24が少ない。さらにまた、被験者が健常者である場合には、図1(b)に示されるように、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が、大きくなることはないが、被験者が股OAの患者の場合には、図2(b)の15及び図3(b)の25に示されるように、被験者が健常者である場合と比べて、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が大きくなる。健常者のリズミカルな歩様は前述のように図1(d)のバタフライ(蝶)様の概対象の図形3Bとして把握できる。
[0045]
以下に請求の範囲に記載された歩行動物の歩様を前後・左右・上下のうちの2つの座標軸を組み合わせたリサージュ図形で視覚化し、歩様を定量化する方法ならびに歩様判定法を適用した例を記載する。
[0046]
上記図2(b)の15及び図3(b)の25に示されるように、被験者が転倒経験のある股OAの患者の場合には、被験者が転倒経験のない股OAの患者の場合と比べて、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が大きくなる。図4は、転倒経験のない健常者と転倒経験のある股OAの患者の前方向(への)加速度割合の平均値を示す。以下本明細書において、「前方向加速度割合」とは、前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値に占める、前方向の加速度の大きさの総和の割合を表す。転倒経験のない健常者の前方向加速度割合の平均値と転倒経験のある股OAの患者の前方向加速度割合の平均値との有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.001であった、従って、これらの平均値の間には、統
ようにしたので、被験者や医師に、被験者の歩き方を動作として捉えた場合の特徴を分かり易く示すことができる。これにより、股OAの患者が自己の歩き方を正確に認識して、効率的なリハビリを行うことができる。上記の各図に表示されたリサージュ図形の元になる加速度の大きさと向きのデータは、全て被験者の第2腰椎に相当する位置に装着した加速度センサーからの出力値である。
[0044]
被験者が健常者である場合には、上記の図1(a)(c)に示されるように、被験者の左方向における加速度の大きさの総和と右方向における加速度の大きさの総和とがほぼ同じ大きさになっている。また、被験者が健常者である場合には、上記の図1(b)(c)に示されるように、被験者の歩行時における上下動がリズミカルであり、図2(b)(c)及び図3(b)(c)に示される、被験者が股OAの患者の場合と異なり、棘波(例えば、図2(c)の14、及び図3(c)の24が少ない。さらにまた、被験者が健常者である場合には、図1(b)に示されるように、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が、大きくなることはないが、被験者が股OAの患者の場合には、図2(b)の15及び図3(b)の25に示されるように、被験者が健常者である場合と比べて、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が大きくなる。健常者のリズミカルな歩様は前述のように図1(d)のバタフライ(蝶)様の概対象の図形3Bとして把握できる。
[0045]
以下に請求の範囲に記載された歩行動物の歩様を前後・左右・上下のうちの2つの座標軸を組み合わせたリサージュ図形で視覚化し、歩様を定量化する方法ならびに歩様判定法を適用した例を記載する。
[0046]
上記図2(b)の15及び図3(b)の25に示されるように、被験者が転倒経験のある股OAの患者の場合には、被験者が転倒経験のない股OAの患者の場合と比べて、被験者の前方向における加速度の大きさの総和が大きくなる。図4は、転倒経験のない健常者と転倒経験のある股OAの患者の前方向(への)加速度割合の平均値を示す。以下本明細書において、「前方向加速度割合」とは、前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値に占める、前方向の加速度の大きさの総和の割合を表す。転倒経験のない健常者の前方向加速度割合の平均値と転倒経験のある股OAの患者の前方向加速度割合の平均値との有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.001であった、従って、これらの平均値の間には、統
【0013】
計学的な有意差が認められる。
[0047]
上記の各リサージュ図形の元になる2方向(前後方向と上下方向、又は前後方向と左右方向)の加速度の大きさと向きのデータに基づいて、2次元の座標平面上に、原点を始点とするベクトルを作成する。そして、作成したベクトルのうち、その向きが前方向のベクトルの大きさを累計して、前方向の加速度の大きさの総和を算出すると共に、その向きが後方向のベクトルの大きさを累計して、後方向の加速度の大きさの総和を算出し、これら前方向と後方向の加速度の大きさの総和に基づいて、上記の前方向加速度割合を求める。何故なら、一般に、上記のベクトルを用いた前方向加速度割合の算出方法を採用することにより、転倒経験のある股OAの患者と転倒経験のない健常者との前方向加速度割合の差が拡大するからである。
[0048]
次に、図5を参照して、前後方向と上下方向の加速度の大きさと向きのデータに基づいて前方向加速度割合を求める方法について説明する。まず、データ分析用のパソコンのCPU151(図17参照)が、加速度センサーからの出力値に基づいて求めた前後方向と上下方向の加速度の大きさと向きのデータに基づいて、2次元の座標平面上に、原点Oを始点とし、リサージュ図形31上の点を終点とするベクトルを作成する。例えば、リサージュ図形31上の点P1の場合には、作成されるベクトルは、V1となる。さらに、CPU151は、リサージュ図形31上の点P2、P3についても、対応するベクトルを作成する。次に、CPU151は、作成した各ベクトルの大きさを算出する、例えば、上記のベクトルViの場合には、下記の式(1)を用いて、ベクトルの大きさを算出する。
[数1]
[0049]
CPU151は、上記のようにして算出したベクトルの大きさのうち、その向きが前方向のベクトル(図6中の第II象限と第III象限に存在する各ベクトル)の大きさを累計して、前方向の加速度の大きさの総和を算出するとともに、その向きが後方向のベクトル(図6中の第I象限と第IV象限に存在する各ベクトル)の大きさを累計して、後方向
計学的な有意差が認められる。
[0047]
上記の各リサージュ図形の元になる2方向(前後方向と上下方向、又は前後方向と左右方向)の加速度の大きさと向きのデータに基づいて、2次元の座標平面上に、原点を始点とするベクトルを作成する。そして、作成したベクトルのうち、その向きが前方向のベクトルの大きさを累計して、前方向の加速度の大きさの総和を算出すると共に、その向きが後方向のベクトルの大きさを累計して、後方向の加速度の大きさの総和を算出し、これら前方向と後方向の加速度の大きさの総和に基づいて、上記の前方向加速度割合を求める。何故なら、一般に、上記のベクトルを用いた前方向加速度割合の算出方法を採用することにより、転倒経験のある股OAの患者と転倒経験のない健常者との前方向加速度割合の差が拡大するからである。
[0048]
次に、図5を参照して、前後方向と上下方向の加速度の大きさと向きのデータに基づいて前方向加速度割合を求める方法について説明する。まず、データ分析用のパソコンのCPU151(図17参照)が、加速度センサーからの出力値に基づいて求めた前後方向と上下方向の加速度の大きさと向きのデータに基づいて、2次元の座標平面上に、原点Oを始点とし、リサージュ図形31上の点を終点とするベクトルを作成する。例えば、リサージュ図形31上の点P1の場合には、作成されるベクトルは、V1となる。さらに、CPU151は、リサージュ図形31上の点P2、P3についても、対応するベクトルを作成する。次に、CPU151は、作成した各ベクトルの大きさを算出する、例えば、上記のベクトルViの場合には、下記の式(1)を用いて、ベクトルの大きさを算出する。
[数1]
[0049]
CPU151は、上記のようにして算出したベクトルの大きさのうち、その向きが前方向のベクトル(図6中の第II象限と第III象限に存在する各ベクトル)の大きさを累計して、前方向の加速度の大きさの総和を算出するとともに、その向きが後方向のベクトル(図6中の第I象限と第IV象限に存在する各ベクトル)の大きさを累計して、後方向
【0014】
の加速度の大きさの総和を算出する。図6に示される例では、向きが前方向のベクトルとは、V6とV7であり、向きが後方向のベクトルとは、V1、V2、V3、V4、V5である。従って、CPU151は、図6に示される例では、前方向の加速度の大きさの総和を、下記の式(2)を用いて算出する。
[数2]
[0050]
また、CPU151は、図6に示される例では、後方向の加速度の大きさの総和を、下記の式(3)を用いて算出する。
[数3]
[0051]
CPU151は、上記の式(2)と式(3)で求めた前方向と後方向の加速度の大きさの総和に基づいて、前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値を求めて、この合計値に占める、前方向の加速度の大きさの総和の割合を、上記の前方向加速度割合とする。
[0052]
また、図7に示されるように、被験者が転倒経験のある股OAの患者の場合には、被験者が転倒経験のない健常者の場合と比べて、被験者の前後方向における加速度が全体的に大きくなる。従って、図8に示されるように、転倒経験のある股OA患者の前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値(以下、前後方向加速度総和という)の平均値は、転倒経験のない健常者の前後方向加速度総和の平均値よりも大きくなる。ここで、上記の前後方向加速度総柏を求めるのに必要な被験者の前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和の算出には、上記図5及び図6に示される前方向のベクトルの大きさと後方向のベクトルの大きさを累計する方法が用いられる。何故なら、一般に、このベクトルを用いた前後方向加速度総和の算出方法を採用することにより、転倒経験のある股OAの患
の加速度の大きさの総和を算出する。図6に示される例では、向きが前方向のベクトルとは、V6とV7であり、向きが後方向のベクトルとは、V1、V2、V3、V4、V5である。従って、CPU151は、図6に示される例では、前方向の加速度の大きさの総和を、下記の式(2)を用いて算出する。
[数2]
[0050]
また、CPU151は、図6に示される例では、後方向の加速度の大きさの総和を、下記の式(3)を用いて算出する。
[数3]
[0051]
CPU151は、上記の式(2)と式(3)で求めた前方向と後方向の加速度の大きさの総和に基づいて、前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値を求めて、この合計値に占める、前方向の加速度の大きさの総和の割合を、上記の前方向加速度割合とする。
[0052]
また、図7に示されるように、被験者が転倒経験のある股OAの患者の場合には、被験者が転倒経験のない健常者の場合と比べて、被験者の前後方向における加速度が全体的に大きくなる。従って、図8に示されるように、転倒経験のある股OA患者の前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和との合計値(以下、前後方向加速度総和という)の平均値は、転倒経験のない健常者の前後方向加速度総和の平均値よりも大きくなる。ここで、上記の前後方向加速度総柏を求めるのに必要な被験者の前方向の加速度の大きさの総和と後方向の加速度の大きさの総和の算出には、上記図5及び図6に示される前方向のベクトルの大きさと後方向のベクトルの大きさを累計する方法が用いられる。何故なら、一般に、このベクトルを用いた前後方向加速度総和の算出方法を採用することにより、転倒経験のある股OAの患
【0015】
者と転倒経験のない健常者との前後方向加速度総和の差が拡大するからである。図8に示されるように、転倒経験のない健常者(転倒未経験者)の前後方向加速度総和の平均値と転倒経験のある股OAの患者(転倒経験者)の前後方向加速度総和の平均値との有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.001であった。従って、これらの平均値の間には、統計学的な有意差が認められる。
[0053]
上記のように、前方向加速度割合や前後方向加速度総和の平均値に基づいて、被験者が股OAの患者であるか否かということや、股OAの患者の転倒し易さを、数値的な指標とした客観的示唆を得ることができる。
[0054]
次に、本発明による加速度周波数を用いた股OAの患者の転倒し易さやリハビリの進度の診断に利用できる歩様判定法について説明する。ここで、上記の加速度周波数とは、歩行動物(被験者)歩行中の前後方向、左右方向、又は上下方向加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータ(周波数パワスペクトル)のことを指す。
[0055]
まず、図9及び図10を参照して、上記の加速度周波数を用いた方法に採用されている被験者の一間歩の歩様(被験者が一歩歩く間の歩様)の検出方法と、従来における被験者の一間歩の歩様の検出方法との相違点について説明する。図9は、健常者の歩行時における各動作のタイミングと、加速度センサーにより求めた上下方向の加速度との関係を表す波線61を示す。図10は、股OA患者の歩行時における各動作のタイミングと、加速度センサーにより求めた上下方向の加速度との関係を表す波線81を示す.
[0056]
図9における63、64、65、66、68、69、70、71、73、74、75、76は、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、左足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(oppositetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact)、右足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、左足のつま先が地面から離れた瞬間(oppositetoe off)、左足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、左足のかかとが着地した瞬間((left heel contact)、左足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、右足のつま先が地面から離れた
者と転倒経験のない健常者との前後方向加速度総和の差が拡大するからである。図8に示されるように、転倒経験のない健常者(転倒未経験者)の前後方向加速度総和の平均値と転倒経験のある股OAの患者(転倒経験者)の前後方向加速度総和の平均値との有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.001であった。従って、これらの平均値の間には、統計学的な有意差が認められる。
[0053]
上記のように、前方向加速度割合や前後方向加速度総和の平均値に基づいて、被験者が股OAの患者であるか否かということや、股OAの患者の転倒し易さを、数値的な指標とした客観的示唆を得ることができる。
[0054]
次に、本発明による加速度周波数を用いた股OAの患者の転倒し易さやリハビリの進度の診断に利用できる歩様判定法について説明する。ここで、上記の加速度周波数とは、歩行動物(被験者)歩行中の前後方向、左右方向、又は上下方向加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータ(周波数パワスペクトル)のことを指す。
[0055]
まず、図9及び図10を参照して、上記の加速度周波数を用いた方法に採用されている被験者の一間歩の歩様(被験者が一歩歩く間の歩様)の検出方法と、従来における被験者の一間歩の歩様の検出方法との相違点について説明する。図9は、健常者の歩行時における各動作のタイミングと、加速度センサーにより求めた上下方向の加速度との関係を表す波線61を示す。図10は、股OA患者の歩行時における各動作のタイミングと、加速度センサーにより求めた上下方向の加速度との関係を表す波線81を示す.
[0056]
図9における63、64、65、66、68、69、70、71、73、74、75、76は、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、左足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(oppositetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact)、右足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、左足のつま先が地面から離れた瞬間(oppositetoe off)、左足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、左足のかかとが着地した瞬間((left heel contact)、左足が全体的に地面にべったり付いた瞬間(foot flat)、右足のつま先が地面から離れた
【0016】
瞬間(oppositetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間〔midsance)を示す。
[0057]
図10における83、85、66、88、90、91、93、95、96は、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(oppos itetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間midsmnce)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact)、左足のつま先が地面から離れた瞬間(opposite toe off)、左足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、左足のかかとが着地した瞬間(leff heel contact)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(opposite toe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)を示す。
[0058]
従来の歩様の検出方法では、図9における波線61のピーク62、67、72を、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact〕、左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)であるとみなして、ピーク62とピーク67の間、及びピーク67とピーク72の間を被験者の一間歩として、被験者の歩様を検出していた。しかし、図9に示されるように、波線61のピーク62、67、72と、左右の足のかかとが着地した瞬間63、68、73とは、一致しない場合が多い。従って、波線61における上記のピーク間を一間歩とみなして被験者の歩様を検出した場合には、正確な歩様の検出を行なうことが難しい。
[0059]
これに対して、本発明実施例では、左右の足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance;以下、ミッドスタンスという)を基準に、被験者の歩様を検出している。例えば、図9に示されるミッドスタンス66とミッドスタンス71との間や、ミッドスタンス71とミッドスタンス76との間を一間歩とみなして、被験者の歩様を検出する。一般に、ミッドスタンスの状態では、被験者の体軸の上下方向の動きが一瞬静止するため、加速度センサーにより採取した上下方向における加速度が、ほぼ0になる。これは、図10に示される股OA患者の歩行時における波線81のミッドスタンス86、91、96についても同様である。従って、波線61や波線81における加速度が0のポイントの中から、ミッドスタンスに相当するポイントを見つけて、これらのポイントのうち、隣合うポイント間における被験者の歩様を検出することにより、従来の歩様の検出方法と比べて、より正確な歩様の検出を行なうことができる。
瞬間(oppositetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間〔midsance)を示す。
[0057]
図10における83、85、66、88、90、91、93、95、96は、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(oppos itetoe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間midsmnce)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact)、左足のつま先が地面から離れた瞬間(opposite toe off)、左足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)、左足のかかとが着地した瞬間(leff heel contact)、右足のつま先が地面から離れた瞬間(opposite toe off)、右足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance)を示す。
[0058]
従来の歩様の検出方法では、図9における波線61のピーク62、67、72を、それぞれ左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)、右足のかかとが着地した瞬間(right heel contact〕、左足のかかとが着地した瞬間(left heel contact)であるとみなして、ピーク62とピーク67の間、及びピーク67とピーク72の間を被験者の一間歩として、被験者の歩様を検出していた。しかし、図9に示されるように、波線61のピーク62、67、72と、左右の足のかかとが着地した瞬間63、68、73とは、一致しない場合が多い。従って、波線61における上記のピーク間を一間歩とみなして被験者の歩様を検出した場合には、正確な歩様の検出を行なうことが難しい。
[0059]
これに対して、本発明実施例では、左右の足が地面から一番高く上がった瞬間(midstance;以下、ミッドスタンスという)を基準に、被験者の歩様を検出している。例えば、図9に示されるミッドスタンス66とミッドスタンス71との間や、ミッドスタンス71とミッドスタンス76との間を一間歩とみなして、被験者の歩様を検出する。一般に、ミッドスタンスの状態では、被験者の体軸の上下方向の動きが一瞬静止するため、加速度センサーにより採取した上下方向における加速度が、ほぼ0になる。これは、図10に示される股OA患者の歩行時における波線81のミッドスタンス86、91、96についても同様である。従って、波線61や波線81における加速度が0のポイントの中から、ミッドスタンスに相当するポイントを見つけて、これらのポイントのうち、隣合うポイント間における被験者の歩様を検出することにより、従来の歩様の検出方法と比べて、より正確な歩様の検出を行なうことができる。
【0018】
者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図15は、上下方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図16は、前後方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図14及び図16に示されるように、左右方向及び前後方向における健常者とオペ前の股OA患者の加速度周波数の平均強度は、5ヘルツ以上の高周波数帯域においても、5ヘルツ未満の低周波数帯域においても明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)。また、左右方向及び前後方向におけるオペ前の股OA患者とオペ後の股OA患者の加速度周波数の平均強度も、5ヘルツ以上の高周波数帯域においても、5ヘルツ未満の低周波数帯域においても、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)。これらの有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.05であった。
[0063]
これに対して、図15に示されるように、上下方向における健常者とオペ前の股OA患者の加速度周波数の平均強度は、5ヘルツ以上の高周波数帯域においては、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)が、5ヘルツ未満の低周波数帯域では、大差がない(統計学的な有意差が認められない)。また、上下方向におけるオベ前の股OA患者とオペ後の股OA患者の加速度周波数の平均強度についても、5ヘルツ以上の高周波数帯域においては、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)が、5ヘルツ未満の低周波数帯域では、大差がない(統計学的な有意差が認められない)。
[0064]
上記の結果から、パノコンのCPU151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11(a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周波数帯域毎の強度を表すグラフを作成して、股OAの患者の前後方向又は左右方向の加速度周波数について、5ヘルツ以上の周波数帯域における強度が、以前に比べて下がったか否かをチェックすることにより、股OAの患者のリハビリの進度判定に役立てることができる。また、パソコンのCPU151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11(a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周
者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図15は、上下方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図16は、前後方向における、健常者、オペ前の股OA患者、オペ後の股OA患者の加速度周波数の高・低周波数帯域別の平均強度を示す。図14及び図16に示されるように、左右方向及び前後方向における健常者とオペ前の股OA患者の加速度周波数の平均強度は、5ヘルツ以上の高周波数帯域においても、5ヘルツ未満の低周波数帯域においても明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)。また、左右方向及び前後方向におけるオペ前の股OA患者とオペ後の股OA患者の加速度周波数の平均強度も、5ヘルツ以上の高周波数帯域においても、5ヘルツ未満の低周波数帯域においても、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)。これらの有意差を検定すると、p(有意差検定による危険率)<0.05であった。
[0063]
これに対して、図15に示されるように、上下方向における健常者とオペ前の股OA患者の加速度周波数の平均強度は、5ヘルツ以上の高周波数帯域においては、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)が、5ヘルツ未満の低周波数帯域では、大差がない(統計学的な有意差が認められない)。また、上下方向におけるオベ前の股OA患者とオペ後の股OA患者の加速度周波数の平均強度についても、5ヘルツ以上の高周波数帯域においては、明らかに相違している(統計学的な有意差が認められる)が、5ヘルツ未満の低周波数帯域では、大差がない(統計学的な有意差が認められない)。
[0064]
上記の結果から、パノコンのCPU151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11(a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周波数帯域毎の強度を表すグラフを作成して、股OAの患者の前後方向又は左右方向の加速度周波数について、5ヘルツ以上の周波数帯域における強度が、以前に比べて下がったか否かをチェックすることにより、股OAの患者のリハビリの進度判定に役立てることができる。また、パソコンのCPU151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11(a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周
【0019】
波数帯域毎の強度を表すグラフを作成して、被験者の前後方向又は左右方向の加速度周波数について、5ヘルツ以上の周波数帯域における強度をチェックすることにより、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さの判定示唆に役立てることもできる。
[0065]
また、パソコンのCPU151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11(a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周波数帯域の強度を表すグラフを作成した後に、医師や被験者が、これらのグラフを見てチェックすることにより、上記の股OA患者のリハビリの進度や、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さの判定示唆に役立てるようにしてもよい
[0066]
図17は、上記の各方法を採用した装置130のブロック構成を示す。図示されるように、この装置130は、主に加速度センサー131とパソコン132とより構成されている。加速度センサー131は、被験者の前後、左右、及び上下の全ての方向における、体軸の動きの加速度の大きさと向きとを検出するための3次元加速度センサー141と、3次元加速度センサー141から送られた信号を処理するための信号処理回路142と、信号処理回路142による処理後の信号をパソコン132に送信するための無線信号送信部143と、アンテナ144と、加速度センサー131内の各部に電源を供給するためのバッテリ145とを有している。
[0067]
また、上記のパソコン132は、パソコン全体を制御するためのCPU151と、加速度センサー131内の無線信号送信部143からアンテナ152を介して無線信号を受信するための無線信号受信部153と、加速度センサー131から受信した加速度の大きさと向きのデータを含む各種のデータやプログラムを格納するためのHDD154(加速度データ記録手段)と、各種のプログラム等がローディングされるRAM156と、各種の制御用のプログラムを記憶したROM157と、パソコン内の各ブロックに電源を供給するための電源部158を備えている。
[0068]
上記のHDD154には、上記の各歩様判定方法(前方向加速度割合を用いた方法、前後方向加速度総和を用いた方法、及び加速度周波数を用いた方法)によって、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの患
波数帯域毎の強度を表すグラフを作成して、被験者の前後方向又は左右方向の加速度周波数について、5ヘルツ以上の周波数帯域における強度をチェックすることにより、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さの判定示唆に役立てることもできる。
[0065]
また、パソコンのCPU151が、加速度センサーを用いて採取した被験者の前後方向又は左右方向の加速度データに基き、図11(a)(b)又は図13(a)(b)に示されるような加速度周波数の各周波数帯域の強度を表すグラフを作成した後に、医師や被験者が、これらのグラフを見てチェックすることにより、上記の股OA患者のリハビリの進度や、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さの判定示唆に役立てるようにしてもよい
[0066]
図17は、上記の各方法を採用した装置130のブロック構成を示す。図示されるように、この装置130は、主に加速度センサー131とパソコン132とより構成されている。加速度センサー131は、被験者の前後、左右、及び上下の全ての方向における、体軸の動きの加速度の大きさと向きとを検出するための3次元加速度センサー141と、3次元加速度センサー141から送られた信号を処理するための信号処理回路142と、信号処理回路142による処理後の信号をパソコン132に送信するための無線信号送信部143と、アンテナ144と、加速度センサー131内の各部に電源を供給するためのバッテリ145とを有している。
[0067]
また、上記のパソコン132は、パソコン全体を制御するためのCPU151と、加速度センサー131内の無線信号送信部143からアンテナ152を介して無線信号を受信するための無線信号受信部153と、加速度センサー131から受信した加速度の大きさと向きのデータを含む各種のデータやプログラムを格納するためのHDD154(加速度データ記録手段)と、各種のプログラム等がローディングされるRAM156と、各種の制御用のプログラムを記憶したROM157と、パソコン内の各ブロックに電源を供給するための電源部158を備えている。
[0068]
上記のHDD154には、上記の各歩様判定方法(前方向加速度割合を用いた方法、前後方向加速度総和を用いた方法、及び加速度周波数を用いた方法)によって、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの患
【0020】
者のリハビリの進度を判定示唆するためのプログラム162が格納されている。また、HDD154には、上記方法に用いられるリサージュ図形やベクトルやグラフを作成するためのグラフ作成プログラム163と、被験者の歩行時に加速度センサー131から受信した加速度の大きさと向きのデータを格納した歩様DB164とが格納されている。上記のCPU151とプログラム162とが、請求の範囲における歩様定量化装置の手段とソフトに相当する。また、上記のCPU151とグラフ作成プログラム163とが、請求の範囲におけるベクトル作成手段とリサージュ図形作成手段に相当する。
[0069]
また、パソコン132は、上記のグラフ作成プログラム163により作成されたグラフ等を表示するためのディスプレイ159と、各種の指示入力を行うための操作部160とを備えている。
[0070]
ユーザが操作部160を用いて、被験者の歩様判定をパソコン132のCPU151に指示すると、パソコン132のCPU151は、歩様DB164に格納された加速度の大きさと向きのデータに基き、上記の各歩様判定方法(前方向加速度割合を用いた方法、前後方向加速度総和を用いた方法、及び加速度周波数を用いた方法)により、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの患者のリハビリの進度に関する示唆を自動的に出力する。
[0071]
上記の実施形態によれば、前方向加速度割合、前後方向加速度総和、及び前後又は左右方向における加速度周波数の各周波数帯域毎の強度に基づいて、被験者の転倒し易さ、又は/及びリハビリの進度を判定示唆が得られる。これにより、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの患者のリハビリの進度を数値的・客観的な定量指標が得られて便利である。
[0072]
また、本実施形態によれば、従来センサー方式と異なり、データの採取に必要な機器が、高価な床反応力計(フォースプレート)やCCDカメラではなく、安価な加速度センサーのみであるため、必要な機器の購入に要するコストを節約することができる。さらにまた、従来センサー方式と異なり、歩行の評価に必要なデータ採取が、数歩の歩行のみであるため、データを採取するのに股OA患者等の被験者に大きな負担を強いることを防ぐことができる。
[0073]
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である
者のリハビリの進度を判定示唆するためのプログラム162が格納されている。また、HDD154には、上記方法に用いられるリサージュ図形やベクトルやグラフを作成するためのグラフ作成プログラム163と、被験者の歩行時に加速度センサー131から受信した加速度の大きさと向きのデータを格納した歩様DB164とが格納されている。上記のCPU151とプログラム162とが、請求の範囲における歩様定量化装置の手段とソフトに相当する。また、上記のCPU151とグラフ作成プログラム163とが、請求の範囲におけるベクトル作成手段とリサージュ図形作成手段に相当する。
[0069]
また、パソコン132は、上記のグラフ作成プログラム163により作成されたグラフ等を表示するためのディスプレイ159と、各種の指示入力を行うための操作部160とを備えている。
[0070]
ユーザが操作部160を用いて、被験者の歩様判定をパソコン132のCPU151に指示すると、パソコン132のCPU151は、歩様DB164に格納された加速度の大きさと向きのデータに基き、上記の各歩様判定方法(前方向加速度割合を用いた方法、前後方向加速度総和を用いた方法、及び加速度周波数を用いた方法)により、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの患者のリハビリの進度に関する示唆を自動的に出力する。
[0071]
上記の実施形態によれば、前方向加速度割合、前後方向加速度総和、及び前後又は左右方向における加速度周波数の各周波数帯域毎の強度に基づいて、被験者の転倒し易さ、又は/及びリハビリの進度を判定示唆が得られる。これにより、被験者が股OA患者であるか否かということや、被験者の転倒し易さや、股OAの患者のリハビリの進度を数値的・客観的な定量指標が得られて便利である。
[0072]
また、本実施形態によれば、従来センサー方式と異なり、データの採取に必要な機器が、高価な床反応力計(フォースプレート)やCCDカメラではなく、安価な加速度センサーのみであるため、必要な機器の購入に要するコストを節約することができる。さらにまた、従来センサー方式と異なり、歩行の評価に必要なデータ採取が、数歩の歩行のみであるため、データを採取するのに股OA患者等の被験者に大きな負担を強いることを防ぐことができる。
[0073]
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である
Claims (12)
- 歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを歩行動物の前後・左右・上下に対応した三次元直交座標軸の空間図、または前後・左右・上下のうち二つを座標軸とした二次元直交座標の平面図に図示して歩行動物歩様バランスを定量化する方法であって、
三次元加速度センサーを装着した歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを採取する工程、
前記前後基準動作または左右基準動作における三次元加速度の重力直交水平面成分を抽出する工程、
前記抽出工程にて得られた重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程、
前記最尤前後または最尤左右方向と重力方向から三次元直交座標の軸方向を決定付ける工程、
歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータから前記決定付けられた軸方向成分データを得て前記空間図または平面図に歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを描画する工程を有する歩行動物歩様バランスの定量化方法。 - 歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを採取する工程が、
三次元加速度センサーを装着した歩行動物を前後または左右に駆動させる基準駆動ボード上に積載し、
該基準駆動ボード動作による歩行動物の強制前後基準動作または強制左右基準動作中のデータ採取である請求の範囲第1項に記載の歩行動物歩様バランスの定量化方法。 - 空間図または平面図に描画される加速度ベクトルデータが、
歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータの終点であり、
歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画され、
空間図または前後・左右または前後・上下の平面図の前記軌跡模様の前半面と後半面の差異、および加速度ベクトルデータから計算される前方向のベクトルの大きさの総和と後方向のベクトルの大きさの総和の差異に基づいて歩様バランスを判定する工程をさらに有する請求の範囲第1項または第2項に記載の歩行動物歩様バランスの定量化方法。 - 空間図または平面図に描画される加速度ベクトルデータが、
歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータの終点であり、
歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画され、
かかる軌跡が空間図または上下・左右平面図の上下軸に対し概対称であるバタフライ(蝶)様形を呈するか否かに基づいて歩様バランスを判定する工程をさらに有する請求の範囲第1項または第2項に記載の歩行動物歩様バランスの定量化方法。 - 歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる歩行動物歩行中の加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータから歩様のバランスを判定する方法であって、
三次元加速度センサーを装着した歩行動物が左右基準動作する際の三次元加速度データを採取する工程、
前記左右基準動作における三次元加速度の重力直交水平面成分を抽出する工程、
前記抽出工程にて得られた重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤左右方向を決定付ける工程、
前記最尤左右方向と重力方向から歩行動物歩行中の三次元加速度左右成分の時系列データを得る工程、
得られた左右成分時系列データをフーリエ変換する工程、
前記左右成分フーリエ変換で得られた周波数領域パワスペクトルデータから歩行周期を決定付ける工程、
前記歩行周期を含む左右成分周波数領域パワスペクトルデータの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有する歩行動物歩様バランスの定量化方法。 - 歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる歩行動物歩行中の加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータから歩様のバランスを判定する方法であって、
三次元加速度センサーを装着した歩行動物が前後基準動作または左右基準動作する際の三次元加速度データを採取する工程、
前記前後基準動作または左右基準動作における三次元加速度の重力直交水平面成分を抽出する工程、
前記抽出工程にて得られた重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程、
前記最尤前後または最尤左右方向と重力方向から歩行動物歩行中の三次元加速度時系列データの前後・左右・上下成分を得る工程、
得られた前後・左右・上下成分時系列データの少なくとも1成分の時系列データをフーリエ変換する工程、
フーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータの5ヘルツ未満のパワスペクトルの大きさと分布および/またはフーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータの5ヘルツ以上のパワスペクトルの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有する歩行動物歩様バランスの定量化方法。 - 歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる歩行動物歩行中の加速度時系列データをフーリエ変換して得られる加速度の周波数領域のデータから歩様のバランスを判定する方法であって、
三次元加速度センサーを装着した歩行動物が前後基準動作または左右基準動作する際の三次元加速度データを採取する工程、
前記前後基準動作または左右基準動作における三次元加速度の重力直交水平面成分を抽出する工程、
前記抽出工程にて得られた重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける工程、
前記最尤前後または最尤左右方向と重力方向から歩行動物歩行中の三次元加速度時系列データの前後・左右・上下成分を得る工程、
得られた前後・左右・上下成分時系列データのうち少なくとも左右成分を含む2つ以上の時系列データをフーリエ変換する工程、
前記左右成分フーリエ変換で得られた周波数領域パワスペクトルデータから歩行周期を決定付ける工程、
前記左右成分を含む2つ以上の時系列データをフーリエ変換して得られた周波数領域パワスペクトルデータから前記歩行周期パワスペクトルを排除する工程、
前記排除後のパワスペクトルの大きさと分布に基づいて歩様バランスを判定する工程を有する歩行動物歩様バランスの定量化方法。 - 加速度時系列データサンプリング時間周期は100〜200ヘルツであり、
フーリエ変換後のパワスペクトルから50ヘルツ以上のデータは排除する工程をもち、
前記排除後のパワスペクトルデータの隣接周波数3データから5データで移動周波数平均をとる工程をもつ請求の範囲第5項ないし第7項に記載の歩行動物歩様バランスの定量化方法。 - 請求項1に記載された歩行動物歩様バランスの定量化方法を実施する装置であって、
歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータ信号の受信手段、
歩行動物の前後基準動作または左右基準動作の三次元加速度データを受信して、基準動作または左右基準動作における三次元加速度の重力直交水平面成分を抽出する手段、
前記抽出手段にて得られた重力直交水平面成分の大きさに基づいて最尤前後または最尤左右方向を決定付ける手段、
前記最尤前後または最尤左右方向と重力方向から三次元直交座標の軸方向を決定付ける手段、
歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータから前記決定付けられた軸方向成分データを得て、前記空間図または平面図に歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータを描画・表示する手段を有する歩行動物歩様バランスの定量化装置。 - 歩行動物を積載し前後基準動作または左右基準動作を強制的に行わせるための基準駆動ボードを兼備した請求の範囲第9項に記載の歩行動物歩様バランスの定量化装置。
- 空間図または平面図に描画される加速度ベクトルデータが、
歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータの終点であり、
歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画され、
空間図または前後・左右または前後・上下の平面図の前記軌跡模様の前半面と後半面の差異判定手段、
加速度ベクトルデータから前方向のベクトルの大きさの総和を求める手段、
加速度ベクトルデータから後方向のベクトルの大きさの総和を求める手段、
前記前半面と後半面の軌跡模様差異または/および前方向と後方向のベクトルの大きさの総和差異に基づいて歩様バランス良好と判定する手段をさらに有する請求の範囲第9項または第10項に記載の歩行動物歩様バランスの定量化装置。 - 空間図または平面図に描画される加速度ベクトルデータが、
歩行動物に装着された三次元加速度センサーから得られる加速度ベクトルデータの終点であり、
歩行動物歩行中の概終点の軌跡が空間図または平面図に描画され、
かかる軌跡が空間図または平面図の軸方向に対し概対象のバタフライ(蝶)様形を呈した場合に、歩様バランス良好と判定する手段をさらに有する請求の範囲第9項または第10項に記載の歩行動物歩様バランスの定量化装置。
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