JPWO2007049562A1 - 生体成分濃度測定装置 - Google Patents

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Abstract

耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することが可能な生体成分濃度測定装置を提供するため、生体成分濃度測定装置に、耳孔200内の生体組織から放射された赤外光を検出する赤外線検出器108と、耳孔200内の生体組織を撮像する撮像素子148と、を設ける。

Description

本発明は、採血等を行なわずに非侵襲的に、生体成分(例えばグルコース)の濃度を測定する生体成分濃度測定装置に関するものである。
従来、生体情報測定装置として、鼓膜からの放射光を計測して、グルコース濃度を算出する非侵襲血糖計が提案されている(例えば、特許文献1、2または3参照)。例えば、特許文献1には、外耳道に収まる程度の大きさの鏡を備え、その鏡を通して、近赤外線や熱線を鼓膜に照射するとともに、鼓膜において反射された光を検出し、検出結果からグルコース濃度を算出する非侵襲血糖計が開示されている。また、特許文献2には、耳孔内に挿入されるプローブを備え、鼓膜や外耳道を冷却した状態で、内耳より発生して鼓膜から放射された赤外線を、プローブを通して検出し、検出された赤外線を分光分析することによりグルコース濃度を得る非侵襲血糖計が開示されている。また、特許文献3には、耳孔内に挿入される反射鏡を備え、その反射鏡を用いて鼓膜からの放射光を検出し、検出された放射光を分光分析することによりグルコース濃度を得る非侵襲血糖計が開示されている。
特表平05−506171号公報 特表2002−513604号公報 特表2001−503999号公報
しかし、前記従来の非侵襲血糖計では、耳孔内に挿入された鏡やプローブがどの方向に向いているかを確認することができないため、耳孔内におけるどの生体組織を測定しているのかを把握することは困難であった。
そこで、本発明は、前記従来の問題点に鑑み、耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することが可能な生体成分濃度測定装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の生体成分濃度測定装置は、耳孔内の生体組織から放射された赤外光を検出する赤外線検出器と、前記耳孔内の前記生体組織を撮像する撮像素子と、前記赤外線検出器の出力を生体成分の濃度に換算する生体成分濃度演算部とを備える。
本発明の生体成分濃度測定装置によれば、耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することができる。
本発明の一実施の形態における生体成分濃度測定装置の外観を示す斜視図である。 同生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 同生体成分濃度測定装置における光学フィルタホイールを示す斜視図である。 白黒画像を撮像する撮像素子を用いて耳孔内を観察した時の画像を示す図である。 図4の画像について二値化処理を行った結果を示す図である。 本発明の他の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態における生体成分濃度測定装置の外観を示す斜視図である。 同生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 同実施の形態の変形例における生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 外耳道が放射輝度に与える影響を示す図である。
本発明の生体成分濃度測定装置は、耳孔内の生体組織から放射された赤外光を検出する赤外線検出器と、前記耳孔内の前記生体組織を撮像する撮像素子と、前記赤外線検出器の出力を生体成分の濃度に換算する生体成分濃度演算部とを備える。
この構成により、耳孔内の生体組織から放射された赤外光を、赤外線検出器を用いて検出することにより生体成分濃度を測定する際に、その赤外線検出器が、耳孔内におけるどの生体組織から放射される赤外光を検出することができる状態にあるかを把握することができるため、生体成分濃度測定装置が耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することができる。
本発明において、撮像素子としては、例えば、CMOSやCCD等の画像素子を用いることができる。
赤外線検出器としては、赤外領域の波長の光を検出できるものであればよく、例えば、焦電センサ、サーモパイル、ボロメータ、HgCdTe(MCT)検出器、ゴーレイセル等を用いることができる。
生体成分濃度演算部としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記耳孔内を照らすための光を出射する光源をさらに備え、前記撮像素子は、前記光源から出射して前記耳孔内の前記生体組織において反射した光を撮像することが好ましい。
本発明において、光源としては、例えば、赤色レーザ等の可視光レーザや、白色LED等を用いることができる。この中で、白色LEDはハロゲンランプに比べ、発光させた時に発生する発生熱が少ないので、鼓膜や外耳道の温度に与える影響が少ないため好ましい。また、可視光を出射する光源に代えて、近赤外光を出射する光源を用いてよい。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記赤外光を分光する分光素子をさらに備えることが好ましい。
分光素子としては、赤外線を波長別に分けることのできるものであればよく、例えば、特定の波長領域の赤外線を透過させる光学フィルタ、分光プリズム、マイケルソン干渉計、回折格子等を用いることができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記耳孔内に挿入される挿入プローブをさらに備え、前記挿入プローブが、前記耳孔内の前記生体組織から放射された前記赤外光を前記赤外線検出器に導く機能を有していてもよい。
本発明において、挿入プローブとしては、赤外線を導くことのできるものであればよく、例えば、中空管や、赤外線を伝送する光ファイバ等を用いることができる。中空管を用いる場合、中空管の内表面に金の層を有することが好ましい。この金の層は、中空管の内面に金メッキを施したり、金を蒸着したりすることにより形成することができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記耳孔内の前記生体組織において反射した前記光及び前記耳孔内の前記生体組織から放射した前記赤外光のうち、一方を透過させ、他方を反射させる光分割素子をさらに備えていてもよい。
ここで、前記赤外線検出器と前記光分割素子との間に前記分光素子が配置されていてもよい。
本発明において、光分割素子としては、例えば、可視光、近赤外光及び赤外光のうち、可視光及び近赤外光を透過させ、赤外光を反射させる機能を有するビームスプリッターや、赤外光を透過させ、可視光及び近赤外光を反射させる機能を有するビームスプリッターを用いることができる。可視光及び近赤外光を反射して、赤外線を透過するようにする場合、ビームスプリッターの材質としては、例えば、ZnSe、CaF2、Si、Ge等を用いることができる。また、赤外線に対して透明な樹脂上に、膜厚数nmのアルミニウムや金からなる層を設けたものを用いてもよい。赤外線に対して透明な樹脂としては、例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像素子により得られた撮像情報の中から、鼓膜の撮像情報を検出する撮像情報検出部をさらに備えることが好ましい。
この構成により、赤外線検出器により検出される赤外光を放射している生体組織の中に鼓膜が含まれることを自動的に把握することができる。
撮像情報検出部としては、例えば、画像処理LSI及びマイクロコンピュータを用いることができる。マイクロコンピュータとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等が挙げられる。
撮像情報検出部が、撮像素子により得られた撮像情報の中から鼓膜の撮像情報を検出する方法としては、撮像素子により得られた撮像情報の画像処理を行い、画像における明るさの違いを利用することにより鼓膜の画像を認識する方法が挙げられる。
前記撮像素子が複数の画素を有し、前記複数の画素の各々から出力される出力信号が前記撮像情報を構成しており、前記撮像情報検出部は、前記出力信号のうち、予め設定された基準値以下の出力信号を、前記鼓膜の撮像情報として検出してもよい。
前記生体成分濃度演算部は、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量に基づき、前記生体成分の濃度を補正することが好ましい。
ここで、前記撮像情報検出部は、前記鼓膜の撮像情報の量として、前記撮像素子により得られた前記撮像情報における前記鼓膜の前記撮像情報の割合を算出し、前記生体成分濃度演算部は、前記割合を用いて前記生体成分の濃度を補正することがさらに好ましい。生体から放射される赤外光の強度は、赤外光が放射される部分の面積に依存する。したがって、撮像素子により撮像された鼓膜の面積がばらついた場合であっても、この補正により測定結果のばらつきが低減され、高精度の測定が可能となる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像情報検出部により前記鼓膜の前記撮像情報が検出されている間、音を出力する音源をさらに備えていてもよい。
ここで、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量に応じて、前記音源から出力される音の音量、周波数及び出力間隔のうち少なくとも1つが変化することが好ましい。この構成により、音源から出力される音の変化によって、撮像情報検出部により検出された鼓膜の撮像情報の量の変化を使用者に通知することができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量が閾値以下であった場合に警告を出力する警告出力部をさらに備えることが好ましい。この構成により、生体成分濃度測定装置の位置が不適切であることを使用者に通知することができる。
ここで、警告出力部としては、警告を表示するディスプレイ、警告を音声で出力するスピーカー、警告音を発生するブザー等が挙げられる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報に基づき、前記鼓膜から放射された赤外光が選択的に透過するように光路を制御する光路制御素子をさらに備えることが好ましい。
この構成により、鼓膜から放射した赤外光が光路制御素子を透過して赤外線検出器に到達し、外耳道から放射した赤外光は光路制御素子により遮断され赤外線検出器に到達しなくなるので、外耳道の影響を取り除くことができ、高精度の測定を行うことができる。
光路制御素子が、赤外線検出器と光分割素子との間に設けられていることが好ましい。この構成により、撮像素子に到達する可視光や近赤外光の光路上には光路制御素子がないため、撮像に必要な波長の光が光路制御素子により減衰することがないので、撮像素子により耳孔内の生体組織を良好に撮像することができる。光路制御素子としては、液晶シャッターや機械式シャッター等を用いることができる。
液晶シャッターとしては、例えば、TFT(Thin Film Transistor)を備え、TFTを用いて制御することにより、特定領域の赤外光を透過させたり、透過させなくでき遮光したりすることができるものであることが好ましい。
機械式シャッターとしては、例えば、微小鏡面(マイクロミラー)が平面に配列されたMEMS技術を用いた公知技術であるデジタルミラーデバイス(以下、DMDと略称する)を用いることができる。DMDは、公知のMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて作製することができる。各マイクロミラーは、鏡面下部に設けた電極を駆動することによりONとOFFの二つの状態に制御することができる。マイクロミラーがONのときは、鼓膜から放射された赤外光を反射して赤外線検出器に向けて投射し、OFFのときは、赤外光をDMD内部に設けられた吸収体に向けて反射し、赤外線検出器に向けては投射されない。したがって、各マイクロミラーを個別に駆動することにより、微小領域ごとに赤外光の投射を制御することができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像素子により得られた撮像情報を表示するディスプレイと、前記生体成分濃度の測定開始の指示を受け付ける指示受付部とをさらに備え、前記挿入プローブが使用者の耳孔内に挿入された状態で前記使用者が前記ディスプレイに表示される前記撮像情報を見ることができる位置に、前記ディスプレイが配置されていてもよい。
この構成により、使用者が生体成分濃度測定装置の挿入プローブを使用者の耳孔内に挿入した状態で、ディスプレイに鼓膜が表示されていることを確認した後で、指示受付部を介して測定開始の指示を入力することができるため、外耳道の影響を低減して、高精度の測定を行うことができる。
指示受付部としては、例えば、スイッチ、ボタン等が挙げられる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、赤外線検出器の出力信号と生体成分濃度との相関を示す相関データを格納する記憶部、生体成分濃度演算部により換算された生体成分の濃度を表示する表示部、及び生体成分濃度測定装置が動作するための電力を供給する電源をさらに備えていてもよい。
生体成分濃度演算部は、記憶部から上記相関データを読み出し、これを参照することに
より、赤外線検出器の出力信号を生体成分の濃度に変換してもよい。
赤外線検出器の出力信号と生体成分濃度との相関を示す相関データは、例えば、既知の生体成分濃度(例えば、血糖値)を有する被験者について赤外線検出器の出力信号を測定し、得られた赤外線検出器の出力信号と生体成分の濃度との相関を解析することにより取得することができる。
本発明において、記憶部としては、例えば、RAM、ROM等のメモリを用いることができる。
表示部としては、例えば、液晶等のディスプレイを用いることができる。
電源としては、例えば、電池等を用いることができる。
本発明の生体成分濃度測定装置により測定する生体成分の濃度としては、グルコース濃度(血糖値)、ヘモグロビン濃度、コレステロール濃度、中性脂肪濃度等が挙げられる。生体から放射される赤外光を測定することにより、生体情報、例えば、血糖値を測定す
ることができる。生体からの赤外放射光の放射エネルギーWは以下の数式で表される。
ここで、上記式における各記号は以下の内容を示す。
W:生体からの赤外放射光の放射エネルギー
ε(λ):波長λにおける生体の放射率
0(λ、T):波長λ、温度Tにおける黒体放射強度密度
h:プランク定数(h=6.625×10-34(W・S2))
c:光速(c=2.998×1010(cm/s))
λ1、λ2:生体からの赤外放射光の波長(μm)
T:生体の温度(K)
S:検出面積(cm2
k:ボルツマン定数
(数1)からわかるように、検出面積Sが一定の場合、生体からの赤外放射光の放射エネルギーWは波長λにおける生体の放射率ε(λ)に依存する。放射におけるキルヒホッフの法則から、同じ温度、波長における放射率と吸収率は等しい。
ここで、α(λ)は、波長λにおける生体の吸収率を示す。
したがって、放射率を考える際には、吸収率を考えればよいことがわかる。エネルギー保存則から、吸収率、透過率及び反射率には、以下の関係が成り立つ。
ここで、上記式における各記号は以下の内容を示す。
r(λ):波長λにおける生体の反射率
t(λ):波長λにおける生体の透過率
したがって、放射率は、透過率及び反射率を用いて、
と表される。
透過率は、入射光量と測定対象物体を透過してきたときの透過光量の比で表される。入射光量と測定対象物体を透過してきたときの透過光量は、ランベルト−ベールの法則で示される。
ここで、上記式における各記号は以下の内容を示す。
t:透過光量、
0:入射光量、
d:生体の厚み、
k(λ):波長λにおける生体の消衰係数、
である。生体の消衰係数は、生体による光の吸収を表す係数である。
したがって、透過率は、
と表される。
次に反射率について説明する。反射率は、全方向に対する平均反射率を算出する必要があるが、ここでは、簡単のため、垂直入射に対する反射率で考える。垂直入射に対する反射率は、空気の屈折率を1として、
と表される。
ここで、n(λ)は、波長λにおける生体の屈折率を示す。
以上から、放射率は、
と表される。
生体中の成分の濃度が変化すると、生体の屈折率及び消衰係数が変化する。反射率は、通常、赤外領域において約0.03程度と小さく、かつ(数8)からわかるように、屈折率及び消衰係数にはあまり依存しない。したがって、生体中の成分の濃度の変化により、屈折率及び消衰係数が変化しても、反射率の変化は小さい。
一方、透過率は、(数7)からわかるように、消衰係数に大きく依存する。従って、生体中の成分の濃度の変化により生体の消衰係数、すなわち生体による光の吸収の度合いが変化すると、透過率が変化する。
以上のことから、生体からの赤外放射光の放射エネルギーは、生体中の成分の濃度に依存することがわかる。したがって、生体からの赤外放射光の放射エネルギー強度から生体中の成分の濃度を求めることができる。
また、(数7)からわかるように、透過率は生体の厚みに依存する。生体の厚みが薄いほど、生体の消衰係数の変化に対する透過率の変化の度合いが大きくなるため、生体中の成分の濃度変化を検出しやすくなる。鼓膜は、厚みが約60〜100μmと薄いため、赤外放射光を用いた生体中の成分の濃度測定に適している。
図12は、生体中の成分であるグルコースの水溶液から放射される赤外光の信号に外耳道から放射される赤外光の信号が重畳した場合における、外耳道から放射される赤外光の信号が含まれる割合による放射輝度スペクトルの変化を示す図である。
グルコース水溶液の放射輝度スペクトルは、温度を37度に設定してコンピュータシミュレーションにより求めた(図12におけるA)。外耳道の放射輝度スペクトルは、外耳道の温度が36.5度の状態で実測した(図12おけるD)。また、グルコース水溶液から放射される赤外光の信号に、外耳道から放射される赤外光の信号が、3/5の割合で重畳した場合における放射輝度スペクトル(図12におけるB)、及び4/5の割合で重畳した場合における放射輝度スペクトル(図12におけるC)をコンピュータシミュレーションにより求めた。
図12より、外耳道から放射される赤外光の信号が含まれていない場合、すなわちグルコース水溶液から放射される赤外光の信号のみの場合における放射輝度スペクトルは、9.6μm付近にグルコース特有のピークを有することがわかる。
また、この信号に比べて、外耳道から放射される赤外光の信号が全体の信号に占める割合が3/5、4/5と大きくなるにつれて、グルコース特有のピークの強度が減少することがわかる。外耳道から放射される赤外光の信号のみの場合における放射輝度スペクトルでは、グルコース特有のピークがほとんどなくなっていることがわかる。
従って、外耳道から放射される赤外光の信号が、測定信号に含まれると、グルコースの測定に大きな影響が与えられることがわかる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100の外観を示す斜視図である。
生体成分濃度測定装置100は、本体102と、本体102の側面に設けられた挿入プローブ104を備えている。本体102には、生体成分の濃度の測定結果を表示するためのディスプレイ114、生体成分濃度測定装置100の電源をON/OFFするための電源スイッチ101、及び測定を開始するための測定開始スイッチ103が設けられている。ディスプレイ114は本発明における表示部に相当する。
次に、生体成分濃度測定装置100の本体内部の構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100の構成を示す図であり、図3は、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100における光学フィルタホイール106を示す斜視図である。
生体成分濃度測定装置100の本体内部には、チョッパー118、光学フィルタホイール106、赤外線検出器108、前置増幅器130、帯域フィルタ132、同期復調器134、ローパスフィルタ136、アナログ/デジタルコンバータ(以下、A/Dコンバータと略称する)138、マイクロコンピュータ110、メモリ112、ディスプレイ114、電源116、光源140、第1のビームスプリッター142、第2のビームスプリッター144、集光レンズ146、撮像素子148、画像処理LSI149、タイマー156、及びブザー158を備えている。マイクロコンピュータ110は本発明における撮像情報検出部及び生体成分濃度演算部に相当する。
電源116は、マイクロコンピュータ110にACまたはDC電力を供給する。電源116として電池を用いることが好ましい。
チョッパー118は、鼓膜202から放射し、挿入プローブ104により本体102内に導かれた後、第2のビームスプリッター144を透過した赤外光をチョッピングして、赤外光を高周波数の赤外線信号に変換する機能を有する。チョッパー118の動作は、マイクロコンピュータ110からの制御信号に基づき制御される。チョッパー118によりチョッピングされた赤外光は、光学フィルタホイール106に到達する。
光学フィルタホイール106は、図3に示すように、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124がリング123にはめ込まれている。図3に示す例では、ともに半円状である第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124がリング123にはめ込まれることにより円盤状の部材が構成されており、その円盤状の部材の中央部にシャフト125が設けられている。
このシャフト125を図3の矢印のように回転させることにより、チョッパー118によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを、第1の光学フィルタ122と第2の光学フィルタ124との間で切り替えることができる。シャフト125の回転は、マイクロコンピュータ110からの制御信号により制御される。
シャフト125の回転は、チョッパー118の回転と同期させ、チョッパー118が閉じている間にシャフト125を180度回転させるように制御することが好ましい。このようにすると、次にチョッパー118が開いたときに、チョッパー118によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを別の光学フィルタに切り替えることができる。光学フィルタホイール106は、本発明における分光素子に相当する。
光学フィルタの作製方法としては、公知の技術を特に限定することなく利用できるが、例えば、真空蒸着法、イオンビームスパッタ法、CVD法等を用いることができる。光学フィルタは、例えば、SiまたはGeを基板として、イオンビームスパッタ法を用いてGe、ZnS、MgF2、PbTe等を基板上に積層することにより作製することができる。
ここで、基板上に積層する各層の膜厚、積層する順序、積層回数等を調節して、積層された多層薄膜内における光の干渉を制御することにより、所望の波長特性を持つ光学フィルタを作製することができる。
第1の光学フィルタ122または第2の光学フィルタ124を透過した赤外光は、検出領域126を備える赤外線検出器108に到達する。赤外線検出器108に到達した赤外光は、検出領域126に入射し、入射した赤外光の強度に対応した電気信号に変換される。
赤外線検出器108から出力された電気信号は、前置増幅器130によって増幅される。増幅された電気信号は、帯域フィルタ132によってチョッピング周波数を中心周波数とする周波数帯域以外の信号が取り除かれる。これにより、熱雑音等の統計的揺らぎに起因するノイズを最小化することができる。
帯域フィルタ132によって濾過された電気信号は、同期復調器134によってチョッパー118のチョッピング周波数と帯域フィルタ132によって濾過された電気信号を同期させ、積分することにより、DC信号に復調される。
同期復調器134によって復調された電気信号は、ローパスフィルタ136によって低
周波数帯域の信号が取り除かれる。これにより、さらにノイズを取り除くことができる。
ローパスフィルタ136によって濾過された電気信号は、A/Dコンバータ138によってデジタル信号に変換された後、マイクロコンピュータ110に入力される。ここで、各光学フィルタに対応する赤外検出器108からの電気信号は、シャフト125の制御信号をトリガーとして用いることで、どの光学フィルタを透過した赤外光に対応する電気信号であるのかを識別することができる。シャフト125の制御信号をマイクロコンピュータが出力してから、次のシャフト制御信号を出力するまでの間が、同じ光学フィルタに対応する電気信号となる。各光学フィルタに対応する電気信号を、それぞれメモリ112上で積算した後平均値を算出することにより、さらにノイズは低減されるため、測定の積算を行うことが好ましい。
メモリ112には、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気
信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成
分の濃度との相関を示す相関データであって、撮像素子148により撮像された画像内における鼓膜の領域の割合のレベル毎に異なる複数の相関データが格納されている。鼓膜の領域の割合のレベル毎に異なる複数の相関データは、例えば、挿入プローブ104の向きを変えて測定を行うことによって得ることができる。
マイクロコンピュータ110は、後述する画像認識により求められた、撮像素子148により撮像された画像内における鼓膜の領域の割合のレベルに対応する相関データをメモリ112から読み出し、この相関データを参照して、メモリ112に蓄積されたデジタル信号から算出された単位時間当たりのデジタル信号を、生体成分の濃度に換算する。メモリ112は、本発明の記憶部に相当する。マイクロコンピュータ110において換算された生体成分の濃度は、ディスプレイ114に出力され、表示される。
第1の光学フィルタ122は、例えば、測定対象である生体成分によって吸収される波長を含む波長帯域(以下、測定用波長帯域と略称する)の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する。一方、第2の光学フィルタ124は、第1の光学フィルタ122とは異なるスペクトル特性を有する。第2の光学フィルタ124は、例えば、測定対象である生体成分による吸収がなく、かつ対象成分の測定を妨害するような他の生体成分による吸収のある波長を含む波長帯域(以下、参照用波長帯域と略称する)の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する。ここで、このような他の生体成分としては、測定対象である生体成分以外で、生体中における成分量の多いものを選択すればよい。
例えば、グルコースは、9.6μm付近に吸収ピークを有する赤外吸収スペクトルを示す。そこで、測定対象である生体成分がグルコースの場合は、第1の光学フィルタ122が、9.6μmを含む波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有することが好ましい。
一方、生体中に多く含まれるタンパク質は8.5マイクロメートル付近の赤外光を吸収し、グルコースは8.5μm付近の赤外光は吸収しない。そこで、第2の光学フィルタ124が、8.5μmを含む波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有することが好ましい。
メモリ112に格納されている、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ324を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データは、例えば、以下の手順によって取得することができる。
まず、既知の生体成分濃度(例えば、血糖値)を有する被験者について、鼓膜から放射される赤外光を測定する。このとき、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号とを求める。この測定を、異なる生体成分濃度を有する複数の被験者について行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とからなるデータの組を得ることができる。
ただし、一人の被験者について、鼓膜から放射される赤外光を測定してもよい。この場合、生体成分濃度(例えば血糖値)が異なる複数のタイミングで、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号とを求める。複数のタイミングでこの測定を行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とからなるデータの組を得ることができる。例えば血糖値は食事後の経過時間によって異なり、また、インスリンの投与等によっても異なるため、複数のタイミングで上記のようなデータの組を取得することが可能である。
次に、このようにして取得したデータの組を解析して相関データを求める。例えば、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とについて、PLS(Partial Least Squares Regression)法などの重回帰分析法やニューラルネットワーク法などを用いて多変量解析を行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度との相関を示す関数を求めることができる。
また、第1の光学フィルタ122が測定用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有し、第2の光学フィルタ124が参照用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する場合、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第1の光学フィルタ324が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号との差を求め、その差とそれに対応する生体成分濃度との相関を示す相関データを求めてもよい。例えば、最小二乗法等の直線回帰分析を行うことにより求めることができる。
このとき、上述したように、挿入プローブ104の向きを変えて測定を行うことによって、鼓膜の領域の割合のレベル毎に異なる複数の相関データを得ることができる。例えば、挿入プローブ104の向きを変えつつ、例えば鼓膜の領域の40〜90%に対応する複数の相関データを得てもよい。なお、領域の割合は大きいほど好ましいが、小さくても本願発明の効果を得ることができる。
次に、鼓膜202を撮像するための構成について説明する。
光源140は、鼓膜202を照明するための可視光を出射する。光源140から出射され、第1のビームスプリッター142により反射された可視光は、第2のビームスプリッター144により反射された後、挿入プローブ104を通って外耳道204内に導かれ、鼓膜202を照明する。
光源140としては、例えば、赤色レーザ等の可視光レーザや、白色LED、青色LED等を用いることができる。この中で、白色LEDはハロゲンランプに比べ、発光させた時に発生する発生熱が少ないので、鼓膜202や外耳道204の温度に与える影響が少ないため好ましい。また、可視光を出射する光源に代えて、近赤外光を出射する光源を用いてよい。
第1のビームスプリッター142は、可視光の一部を反射し、残りを透過させる機能を有する。
第2のビームスプリッター144は、可視光を反射して、赤外光を透過する。第2のハーフミラー144の材料としては、赤外線を吸収せず、透過し、可視光を反射する材料が好ましい。第2のビームスプリッター144の材質としては、例えば、ZnSe、CaF2、Si、Ge等を用いることができる。ここで、第2のビームスプリッター144は本発明における光分割素子に相当する。
一方、鼓膜202から外耳道204を通って挿入プローブ104内に入射した可視光は、第2のビームスプリッター144により反射され、一部は第1のビームスプリッター142を透過する。第1のビームスプリッター142を透過した可視光は、集光レンズ146により集光され、撮像素子148に到達する。
撮像素子148としては、例えば、CMOSやCCD等の画像素子を用いる。
次に、撮像素子148により撮影された画像の中から、鼓膜202の位置を認識する方法について説明する。図4は、先端部の直径が3mmの挿入プローブを通して、白黒画像を撮像する撮像素子を用いて、耳孔内を観察した時の画像を示す図である。図中円状の波線は撮像している領域を示す。
画像の左上側及び右下側(図4における領域A)が外耳道であり、その間の領域(図4における領域B)が鼓膜である。中央部(図4における領域C)に見えるのは槌骨接触部であり、鼓膜と槌骨とがつながっている部分である。また、右側(図4における領域D)に見えるのは耳垢である。撮像された画像における鼓膜の見える位置や大きさは、挿入プローブの挿入深さや向きによって変化する。
図4からわかるように、撮像された画像において、鼓膜は他の部分に比べて暗く撮像されるため、明るさ(輝度)の差を撮像情報検出部で認識することにより、鼓膜の位置を認識することができる。
撮像素子148で得られた画像情報を、画像処理LSI149及びマイクロコンピュータ110を用いて画像処理を行うことにより画像情報の中から鼓膜202の領域を抽出する。画像処理としては、例えば、以下に示す、閾値処理とラベリング処理による領域抽出技術を用いることができる。
まず、画像情報について二値化処理を行う。白黒画像を撮像する撮像素子を用いる場合は、撮像素子を構成する各画素の出力信号を各画素における明るさ(輝度)として用いることができる。
また、カラー画像を撮像する撮像素子を用いる場合は、例えば、各画素から出力される赤の信号(R信号)、緑の信号(G信号)及び青の信号(B信号)の総和を、各画素における明るさ(輝度)として用いることができる。これに代えて、R信号、G信号及びB信号の平均値や、いずれか1つの信号のみを用いてもよい。
画素の明るさについて一定の基準値を設定し、各画素の明るさを基準値により黒色と白色の2つの値に変換する処理を行う。例えば、画素の明るさが設定された基準値以上であれば、その画素に対して白色を設定し、それ以外の場合は画素に対して黒色を設定する。鼓膜202に対応する部分の画素は、外耳道204、槌骨接触部及び耳垢に対応する部分の画素よりも暗いため、基準値を、鼓膜に対応する部分の画素の明るさと、外耳道、槌骨接触部及び耳垢に対応する部分の画素の明るさとの間に設定すると、上記の処理により、鼓膜202に対応する部分の画素が黒色に設定され、外耳道204に対応する部分の画素が白色に設定される。図5は、図4の画像について二値化処理を行った結果を示す図である。鼓膜に対応する部分の画像が黒色に設定されていることがわかる。
上記の二値化処理を行った画像情報に対して、例えば、ラベリング処理を行う。ラベリング処理としては、例えば、二値化処理された画像情報内の全画素を走査して、黒色に設定された画素に対して、同じラベルを属性として付加すればよい。
以上の処理により、ラベルが付加された画素に該当する領域を鼓膜202として認識することができる。 撮像された画像内における鼓膜202の領域の割合は、全画素数に対する、基準値値以下の画素数の割合を、マイクロコンピュータ110により演算することにより求めることができる。
本実施の形態における生体成分濃度測定装置100の動作について説明する。
まず、使用者が生体成分濃度測定装置100の電源スイッチ101を押すと、本体102内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置100は測定準備状態となる。使用者が本体102を持って、挿入プローブ104を耳孔200内に挿入する。挿入プローブ104は、挿入プローブ104の先端部分から本体102との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、挿入プローブ104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は挿入プローブ104が挿入されない構造になっている。
次に、挿入プローブ104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置で生体成分濃度測定装置100を保持した状態で、使用者が生体成分濃度測定装置100の測定開始スイッチ103を押すと、本体102内の光源140がONとなり、撮像素子148による撮像を開始する。
次に、上記の方法により、撮像素子148により撮影された画像の中から、鼓膜202の位置を認識するステップが行われる。画像認識の結果、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202に相当する画像がないと判断した場合は、挿入プローブ104の挿入方向が鼓膜202からずれている旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、エラーであることを使用者に通知する。
ここで、マイクロコンピュータ110により演算された、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合が閾値以下である場合に、使用者にエラーであると通知するようにしてもよい。鼓膜202の位置が認識できないことを表すエラーが通知されると、使用者は生体成分濃度測定装置100を動かして、挿入プローブ104の挿入方向を調整すればよい。なお、上記閾値は、上記相関データにおける鼓膜の領域の割合範囲に応じて決定すればよい。
ディスプレイ114、ブザー158及びスピーカーは、それぞれ本発明における警告出力部に相当する。画像認識の結果、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202の位置を認識することができたと判断すると、鼓膜202の位置を認識することができた旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより使用者に通知する。
鼓膜202の位置が認識されると、マイクロコンピュータ110がチョッパー118の動作を開始させることにより、自動的に、鼓膜202から放射される赤外光の測定が開始される。鼓膜202の位置が認識されたことを使用者に通知することにより、使用者は、測定が開始されたことを把握することができるので、生体成分濃度測定装置100を動かさず、静止させればよいと認識することができる。スピーカーは本発明における音声出力部に相当する。
赤外光の測定が開始された後も、撮像素子148により撮影された画像における鼓膜の位置を認識するための処理は継続して行っている。測定中に、使用者が挿入プローブ104を耳孔200から外に取り出してしまったり、挿入プローブ104の向きを大きく動かしてしまったりした場合には、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において鼓膜202に相当する画像がないと判断することにより、使用者の誤操作を検知する。
この検知に伴い、マイクロコンピュータ110は、挿入プローブ104の挿入方向が鼓膜202からずれている旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、エラーであることを使用者に通知する。さらに、マイクロコンピュータ110は、チョッパー118を制御して、光学フィルタホイール106に到達する赤外光を遮断することにより、自動的に測定を停止させる。ここで、マイクロコンピュータ110により演算された、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合が基準値以下である場合に、使用者にエラーであると通知するようにしてもよい。
鼓膜202の位置が認識できないことを表すエラーが通知されると、使用者は生体成分濃度測定装置100を動かして、挿入プローブ104を耳孔200内に再度挿入したり、挿入プローブ104の挿入方向を調整したりした後、測定開始スイッチ103を押すことにより、再度測定が開始される。
マイクロコンピュータ110は、タイマー156からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー118を制御して、光学フィルタホイール106に到達する赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ110はディスプレイ114やブザー158を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入プローブ104を耳孔200の外に取り出す。
マイクロコンピュータ110は、上記の方法により求められた、撮像素子148により撮像された画像内における鼓膜の領域の割合に応じて、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する複数の相関データの中から、その割合のレベルに対応する相関データをメモリ112から読み出す。マイクロコンピュータ110は、この相関データを参照して、A/Dコンバータ138から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ114に表示される。
以上のように、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置100によると、撮像素子を用いることにより、耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することができる。さらに、測定された信号を生体成分の濃度に換算する際に、測定された赤外光が放射された鼓膜の面積を補正することができるので、測定精度を向上させることができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る生体成分濃度測定装置300について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置300の構成を示す図である。
本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置300は、液晶シャッター120を備える点で実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。また、メモリ312に格納されている相関データの内容が、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
図6からわかるように、第2のビームスプリッター144とチョッパー118との間に、液晶シャッター120が設けられている。液晶シャッター120は、複数の液晶セルがマトリクス状に配列された構造を有しており、各液晶セルに印加する電圧によって、各液晶セルを、光が透過する状態や光を遮断する状態に個別に制御することができる。
マイクロコンピュータ110は、実施の形態1と同様の画像処理によって撮像素子148が撮像した画像情報の中から鼓膜202に対応する画像を認識すると、液晶シャッター120の各液晶セルに印加する電圧を制御して、鼓膜202からの赤外光が入射する液晶セルを光が透過する状態に設定し、鼓膜202以外からの赤外光が入射する液晶セルを、光を遮断する状態に設定する。これにより、鼓膜202から放射された赤外光が、選択的に赤外線検出器108に入射するようにすることができる。液晶シャッター120は本発明における光路制御素子に相当する。
メモリ312には、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データが格納されている。マイクロコンピュータ110は、メモリ312からこの相関データを読み出し、この相関データを参照して、メモリ312に蓄積されたデジタル信号から算出された単位時間当たりのデジタル信号を、生体成分の濃度に換算する。メモリ312は、本発明の記憶部に相当する。
メモリ312に格納されている、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ324を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データは、例えば、以下の手順によって取得することができる。
まず、既知の生体成分濃度(例えば、血糖値)を有する被験者について、鼓膜から放射される赤外光を測定する。このとき、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号とを求める。この測定を、異なる生体成分濃度を有する複数の被験者について行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とからなるデータの組を得ることができる。
次に、このようにして取得したデータの組を解析して相関データを求める。例えば、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とについて、PLS(Partial Least Squares Regression)法などの重回帰分析法やニューラルネットワーク法などを用いて多変量解析を行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度との相関を示す関数を求めることができる。
また、第1の光学フィルタ122が測定用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有し、第2の光学フィルタ124が参照用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する場合、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第1の光学フィルタ324が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号との差を求め、その差とそれに対応する生体成分濃度との相関を示す相関データを求めてもよい。例えば、最小二乗法等の直線回帰分析を行うことにより求めることができる。
次に、本実施の形態における生体成分濃度測定装置300の動作について、実施の形態1における生体成分濃度測定装置100の動作と異なる点についてのみ説明する。
マイクロコンピュータ110が、実施の形態1と同様の画像処理によって、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202の位置を認識することができたと判断すると、液晶シャッター120の各液晶セルに印加する電圧を制御して、鼓膜202からの赤外光が入射する液晶セルを光が透過する状態に設定し、鼓膜202以外からの赤外光が入射する液晶セルを、光を遮断する状態に設定する。さらに、マイクロコンピュータ110がチョッパー118の動作を開始させることにより、鼓膜202から放射される赤外光の測定が開始される。
A/Dコンバータ138から出力された電気信号は、実施の形態1と同様の方法により求められた、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合を用いて、マイクロコンピュータ110により補正される。マイクロコンピュータ110は、メモリ312から、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出し、この相関データを参照して、補正後の電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ114に表示される。
撮像された画像内における鼓膜の領域の割合による電気信号の補正方法は、メモリ312に格納されている相関データにおける電気信号の内容によって選択することができる。例えば、メモリ312に格納されている相関データにおける電気信号が、単位面積当たりの信号であれば、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合を用いて、測定された電気信号を単位面積当たりの信号に補正すればよい。このようにして、測定された信号を、測定された赤外光が放射された鼓膜の面積によって補正することができる。
本実施の形態においては、相関データを1つ用いることにより測定を行うことができる。したがって、上記実施の形態1において説明したように複数の相関データがメモリ312に格納されている場合には、鼓膜の領域の割合が略一致する相関データを使用すればよい。
以上のように、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置100によると、鼓膜202以外から放射された赤外光を液晶シャッター120を用いて遮断することより、鼓膜202から放射された赤外光を選択的に測定することができるので、外耳道204の影響を取り除くことができ、高精度の測定を行うことができる。また、測定された信号を、測定された赤外光が放射された鼓膜の面積によって補正することにより、測定精度をさらに向上させることができる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る生体成分濃度測定装置400について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置400の構成を示す図である。
本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置400は、挿入プローブ404の構造、光源404の位置、第1のビームスプリッター142を用いない点において、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
生体成分濃度測定装置400の挿入プローブ404は、アクリル樹脂等の透明な材料により形成された中空管であり、挿入プローブ404と本体102との接続部に光を照射することができるように、挿入プローブ404と本体102との接続部に面して光源404が設置されている。
この構成により、挿入プローブ404の中空部分ではなく、挿入プローブ404本体を導光路として耳孔内を照射することができる。また、挿入プローブ404と本体102との接続部に面して光源404を配置したことにより、第1のビームスプリッター142が不要となるので、第1のビームスプリッター142において光が損失することがなくなるため、撮像素子148に到達する光の量を向上させることができる。
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4に係る生体成分濃度測定装置500について、図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置500の構成を示す図である。
本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置500は、生体成分濃度測定装置500の外部の光を採光して挿入プローブ404に導く導光路510を備える点、及び光源440を用いない点において、実施の形態3に係る生体成分濃度測定装置400と異なる。その他の構成については、実施の形態3に係る生体成分濃度測定装置400と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
生体成分濃度測定装置500の本体102の外表面には採光窓520が設けられている。生体成分濃度測定装置500の外部の光は、採光窓520を通して導光路510内に入射し、導光路510を通って挿入プローブ404に導かれる。この構成により、光源を用いることなく、生体成分濃度測定装置500の外部の光により耳孔内を照射することができる。
導光路510としては、アクリル樹脂等の樹脂や光ファイバ等を用いることができる。
なお、実施の形態3及び4においては挿入プローブ404を透明な材料により形成しているが、挿入プローブ404を通して外耳道の生体組織から放射した赤外光が侵入することを抑制するために、金やアルミニウム等の金属膜を、挿入プローブ404の内面や、挿入プローブ404の端面を除く外周面にコーティングすることが好ましい。
また、実施の形態3及び4において、挿入プローブ404の端面404aの少なくとも一部に、挿入プローブ404から出射する光が拡散するような粗面を設けると、耳孔内を均一に照明することができるので好ましい。
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5に係る生体成分濃度測定装置600について、図9及び10を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置600の外観を示す斜視図であり、図10は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置600の構成を示す図である。
図9に示すように、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置600は、屈曲部610を備え、屈曲部610により2つの部分に分けられている。屈曲部610により分けられた2つの部分のうち、一方の部分には挿入プローブ104が設けられ、他方の部分にはディスプレイ114、電源スイッチ101、測定開始スイッチ603及び撮像開始スイッチ620が設けられている。
生体成分濃度測定装置600において、挿入プローブ104が使用者の耳孔内に挿入された状態で使用者がディスプレイ114に表示される撮像情報を見ることができる位置に、ディスプレイ114が配置されている。
生体成分濃度測定装置600の本体内部の構成は、図10に示すように、画像処理LSIを備えていない点で実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。また、実施の形態2と同様に、メモリ312に格納されている相関データの内容が、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
メモリ312には、実施の形態2と同様に、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データが格納されている。この相関データの取得方法は、実施の形態2と同様であるため説明を省略する。
本実施の形態における生体成分濃度測定装置600の動作について説明する。
まず、使用者が生体成分濃度測定装置600の電源スイッチ101を押すと、本体102内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置600は測定準備状態となる。
次に、使用者が本体102を持って、挿入プローブ104を耳孔200内に挿入する。
次に、挿入プローブ104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置で生体成分濃度測定装置600を保持した状態で、使用者が生体成分濃度測定装置100の撮像開始スイッチ620を押すと、本体102内の光源140がONとなり、撮像素子148による撮像を開始する。
使用者は、生体成分濃度測定装置600を保持しながら、鼓膜202の画像がディスプレイ114に表示されているか否かを目視により確認する。鼓膜202の画像がディスプレイ114に表示されていない場合は、鼓膜202の画像がディスプレイ114に表示されるまで、挿入プローブ104の耳孔内における向きを手動により調整する。
鼓膜202の画像がディスプレイ114に表示されていることを目視により確認した後、使用者が測定開始スイッチ603を押すと、マイクロコンピュータ110がチョッパー118の動作を開始させることにより、鼓膜202から放射される赤外光の測定が開始される。測定開始スイッチ603は、本発明における指示受付部に相当する。
マイクロコンピュータ110は、タイマー156からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー118を制御して、光学フィルタホイール106に到達する赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ110はディスプレイ114やブザー158を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入プローブ104を耳孔200の外に取り出す。
マイクロコンピュータ110は、メモリ112から、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出し、この相関データを参照して、A/Dコンバータ138から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ114に表示される。
以上のように、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置600によると、使用者が挿入プローブ104を使用者の耳孔200内に挿入した状態で、ディスプレイ114に鼓膜202が表示されていることを確認した後で、測定開始スイッチ603を介して測定開始の指示を入力することができるため、外耳道204の影響を低減して、高精度の測定を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、屈曲部610を備え、屈曲部610により分けられた2つの部分のうち、一方の部分には挿入プローブ104が設けられ、他方の部分にはディスプレイ114、電源スイッチ101及び測定開始スイッチ103が設けられている生体成分濃度測定装置600について説明したが、これに限らず、図11に示す構成を用いてもよい。図11は、本実施の形態の変形例に係る生体成分濃度測定装置700の外観を示す斜視図である。
図11に示すように、本変形例に係る生体成分濃度測定装置700は、挿入プローブ104が設けられたプローブ部710と、ディスプレイ114、電源スイッチ101、測定開始スイッチ603及び撮像開始スイッチ620が設けられた本体部720とを備え、プローブ部710と本体部720とが電気信号を伝達するためのケーブル730により接続されている。
なお、以上の実施の形態において、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124がリング123にはめ込まれた光学フィルタホイール106並びに1つの赤外線検出器108を用いたが、これに限定されない。例えば、光学フィルタホイール106及び赤外線検出器108に代えて、赤外線検出領域上に第1の光学フィルタ122が配置された第1の赤外線検出器、及び赤外線検出領域上に第2の光学フィルタ124が配置された第2の赤外線検出器を用いてもよい。
この場合、第1の光学フィルタ122が透過する波長帯域の赤外光及び第2の光学フィルタ124が透過する波長帯域の赤外光のうち、一方を透過させ、他方を反射するビームスプリッターをさらに設け、挿入プローブ104により本体102内に導かれた赤外光をビームスプリッターにより2つに波長分離して、第1の光学フィルタ122が透過する波長帯域の赤外光が第1の赤外線検出器に到達し、第2の光学フィルタ124が透過する波長帯域の赤外光が第2の赤外線検出器に到達するようにすることが好ましい。
この構成により、第1の赤外線検出器から第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号が得られ、第2の赤外線検出器から第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号が得られる。
また、以上の実施の形態において、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124を用いたが、これに限定されない。例えば、赤外線検出器108に代えて、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124の波長特性と一致する感度特性を有する赤外線検出器を用いてもよい。
例えば、量子井戸型赤外センサ(QWIP:Quantum Well Infrared Photodetector)を用いれば、その膜厚を最適化することにより特定波長の赤外光を特異的に検出でき、分光フィルターを用いずに分光検出することができる。
本発明は、非侵襲的な生体成分濃度の測定、例えば、血液を採取することなくグルコース濃度を測定する際に有用である。
本発明は、採血等を行なわずに非侵襲的に、生体成分(例えばグルコース)の濃度を測定する生体成分濃度測定装置に関するものである。
従来、生体情報測定装置として、鼓膜からの放射光を計測して、グルコース濃度を算出する非侵襲血糖計が提案されている(例えば、特許文献1、2または3参照)。例えば、特許文献1には、外耳道に収まる程度の大きさの鏡を備え、その鏡を通して、近赤外線や熱線を鼓膜に照射するとともに、鼓膜において反射された光を検出し、検出結果からグルコース濃度を算出する非侵襲血糖計が開示されている。また、特許文献2には、耳孔内に挿入されるプローブを備え、鼓膜や外耳道を冷却した状態で、内耳より発生して鼓膜から放射された赤外線を、プローブを通して検出し、検出された赤外線を分光分析することによりグルコース濃度を得る非侵襲血糖計が開示されている。また、特許文献3には、耳孔内に挿入される反射鏡を備え、その反射鏡を用いて鼓膜からの放射光を検出し、検出された放射光を分光分析することによりグルコース濃度を得る非侵襲血糖計が開示されている。
特表平05−506171号公報 特表2002−513604号公報 特表2001−503999号公報
しかし、前記従来の非侵襲血糖計では、耳孔内に挿入された鏡やプローブがどの方向に向いているかを確認することができないため、耳孔内におけるどの生体組織を測定しているのかを把握することは困難であった。
そこで、本発明は、前記従来の問題点に鑑み、耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することが可能な生体成分濃度測定装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の生体成分濃度測定装置は、耳孔内の生体組織から放射された赤外光を検出する赤外線検出器と、前記耳孔内の前記生体組織を撮像する撮像素子と、前記赤外線検出器の出力を生体成分の濃度に換算する生体成分濃度演算部とを備える。
本発明の生体成分濃度測定装置によれば、耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、耳孔内の生体組織から放射された赤外光を検出する赤外線検出器と、前記耳孔内の前記生体組織を撮像する撮像素子と、前記赤外線検出器の出力を生体成分の濃度に換算する生体成分濃度演算部とを備える。
この構成により、耳孔内の生体組織から放射された赤外光を、赤外線検出器を用いて検出することにより生体成分濃度を測定する際に、その赤外線検出器が、耳孔内におけるどの生体組織から放射される赤外光を検出することができる状態にあるかを把握することができるため、生体成分濃度測定装置が耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することができる。
本発明において、撮像素子としては、例えば、CMOSやCCD等の画像素子を用いることができる。
赤外線検出器としては、赤外領域の波長の光を検出できるものであればよく、例えば、焦電センサ、サーモパイル、ボロメータ、HgCdTe(MCT)検出器、ゴーレイセル等を用いることができる。
生体成分濃度演算部としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記耳孔内を照らすための光を出射する光源をさらに備え、前記撮像素子は、前記光源から出射して前記耳孔内の前記生体組織において反射した光を撮像することが好ましい。
本発明において、光源としては、例えば、赤色レーザ等の可視光レーザや、白色LED等を用いることができる。この中で、白色LEDはハロゲンランプに比べ、発光させた時に発生する発生熱が少ないので、鼓膜や外耳道の温度に与える影響が少ないため好ましい。また、可視光を出射する光源に代えて、近赤外光を出射する光源を用いてよい。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記赤外光を分光する分光素子をさらに備えることが好ましい。
分光素子としては、赤外線を波長別に分けることのできるものであればよく、例えば、特定の波長領域の赤外線を透過させる光学フィルタ、分光プリズム、マイケルソン干渉計、回折格子等を用いることができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記耳孔内に挿入される挿入プローブをさらに備え、前記挿入プローブが、前記耳孔内の前記生体組織から放射された前記赤外光を前記赤外線検出器に導く機能を有していてもよい。
本発明において、挿入プローブとしては、赤外線を導くことのできるものであればよく、例えば、中空管や、赤外線を伝送する光ファイバ等を用いることができる。中空管を用いる場合、中空管の内表面に金の層を有することが好ましい。この金の層は、中空管の内面に金メッキを施したり、金を蒸着したりすることにより形成することができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記耳孔内の前記生体組織において反射した前記光及び前記耳孔内の前記生体組織から放射した前記赤外光のうち、一方を透過させ、他方を反射させる光分割素子をさらに備えていてもよい。
ここで、前記赤外線検出器と前記光分割素子との間に前記分光素子が配置されていてもよい。
本発明において、光分割素子としては、例えば、可視光、近赤外光及び赤外光のうち、可視光及び近赤外光を透過させ、赤外光を反射させる機能を有するビームスプリッターや、赤外光を透過させ、可視光及び近赤外光を反射させる機能を有するビームスプリッターを用いることができる。可視光及び近赤外光を反射して、赤外線を透過するようにする場合、ビームスプリッターの材質としては、例えば、ZnSe、CaF2、Si、Ge等を用いることができる。また、赤外線に対して透明な樹脂上に、膜厚数nmのアルミニウムや金からなる層を設けたものを用いてもよい。赤外線に対して透明な樹脂としては、例えば、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像素子により得られた撮像情報の中から、鼓膜の撮像情報を検出する撮像情報検出部をさらに備えることが好ましい。
この構成により、赤外線検出器により検出される赤外光を放射している生体組織の中に鼓膜が含まれることを自動的に把握することができる。
撮像情報検出部としては、例えば、画像処理LSI及びマイクロコンピュータを用いることができる。マイクロコンピュータとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等が挙げられる。
撮像情報検出部が、撮像素子により得られた撮像情報の中から鼓膜の撮像情報を検出する方法としては、撮像素子により得られた撮像情報の画像処理を行い、画像における明るさの違いを利用することにより鼓膜の画像を認識する方法が挙げられる。
前記撮像素子が複数の画素を有し、前記複数の画素の各々から出力される出力信号が前記撮像情報を構成しており、前記撮像情報検出部は、前記出力信号のうち、予め設定された基準値以下の出力信号を、前記鼓膜の撮像情報として検出してもよい。
前記生体成分濃度演算部は、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量に基づき、前記生体成分の濃度を補正することが好ましい。
ここで、前記撮像情報検出部は、前記鼓膜の撮像情報の量として、前記撮像素子により得られた前記撮像情報における前記鼓膜の前記撮像情報の割合を算出し、前記生体成分濃度演算部は、前記割合を用いて前記生体成分の濃度を補正することがさらに好ましい。生体から放射される赤外光の強度は、赤外光が放射される部分の面積に依存する。したがって、撮像素子により撮像された鼓膜の面積がばらついた場合であっても、この補正により測定結果のばらつきが低減され、高精度の測定が可能となる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像情報検出部により前記鼓膜の前記撮像情報が検出されている間、音を出力する音源をさらに備えていてもよい。
ここで、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量に応じて、前記音源から出力される音の音量、周波数及び出力間隔のうち少なくとも1つが変化することが好ましい。この構成により、音源から出力される音の変化によって、撮像情報検出部により検出された鼓膜の撮像情報の量の変化を使用者に通知することができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量が閾値以下であった場合に警告を出力する警告出力部をさらに備えることが好ましい。この構成により、生体成分濃度測定装置の位置が不適切であることを使用者に通知することができる。
ここで、警告出力部としては、警告を表示するディスプレイ、警告を音声で出力するスピーカー、警告音を発生するブザー等が挙げられる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報に基づき、前記鼓膜から放射された赤外光が選択的に透過するように光路を制御する光路制御素子をさらに備えることが好ましい。
この構成により、鼓膜から放射した赤外光が光路制御素子を透過して赤外線検出器に到達し、外耳道から放射した赤外光は光路制御素子により遮断され赤外線検出器に到達しなくなるので、外耳道の影響を取り除くことができ、高精度の測定を行うことができる。
光路制御素子が、赤外線検出器と光分割素子との間に設けられていることが好ましい。この構成により、撮像素子に到達する可視光や近赤外光の光路上には光路制御素子がないため、撮像に必要な波長の光が光路制御素子により減衰することがないので、撮像素子により耳孔内の生体組織を良好に撮像することができる。光路制御素子としては、液晶シャッターや機械式シャッター等を用いることができる。
液晶シャッターとしては、例えば、TFT(Thin Film Transistor)を備え、TFTを用いて制御することにより、特定領域の赤外光を透過させたり、透過させなくでき遮光したりすることができるものであることが好ましい。
機械式シャッターとしては、例えば、微小鏡面(マイクロミラー)が平面に配列されたMEMS技術を用いた公知技術であるデジタルミラーデバイス(以下、DMDと略称する)を用いることができる。DMDは、公知のMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて作製することができる。各マイクロミラーは、鏡面下部に設けた電極を駆動することによりONとOFFの二つの状態に制御することができる。マイクロミラーがONのときは、鼓膜から放射された赤外光を反射して赤外線検出器に向けて投射し、OFFのときは、赤外光をDMD内部に設けられた吸収体に向けて反射し、赤外線検出器に向けては投射されない。したがって、各マイクロミラーを個別に駆動することにより、微小領域ごとに赤外光の投射を制御することができる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、前記撮像素子により得られた撮像情報を表示するディスプレイと、前記生体成分濃度の測定開始の指示を受け付ける指示受付部とをさらに備え、前記挿入プローブが使用者の耳孔内に挿入された状態で前記使用者が前記ディスプレイに表示される前記撮像情報を見ることができる位置に、前記ディスプレイが配置されていてもよい。
この構成により、使用者が生体成分濃度測定装置の挿入プローブを使用者の耳孔内に挿入した状態で、ディスプレイに鼓膜が表示されていることを確認した後で、指示受付部を介して測定開始の指示を入力することができるため、外耳道の影響を低減して、高精度の測定を行うことができる。
指示受付部としては、例えば、スイッチ、ボタン等が挙げられる。
本発明の生体成分濃度測定装置は、赤外線検出器の出力信号と生体成分濃度との相関を示す相関データを格納する記憶部、生体成分濃度演算部により換算された生体成分の濃度を表示する表示部、及び生体成分濃度測定装置が動作するための電力を供給する電源をさらに備えていてもよい。
生体成分濃度演算部は、記憶部から上記相関データを読み出し、これを参照することに
より、赤外線検出器の出力信号を生体成分の濃度に変換してもよい。
赤外線検出器の出力信号と生体成分濃度との相関を示す相関データは、例えば、既知の生体成分濃度(例えば、血糖値)を有する被験者について赤外線検出器の出力信号を測定し、得られた赤外線検出器の出力信号と生体成分の濃度との相関を解析することにより取得することができる。
本発明において、記憶部としては、例えば、RAM、ROM等のメモリを用いることができる。
表示部としては、例えば、液晶等のディスプレイを用いることができる。
電源としては、例えば、電池等を用いることができる。
本発明の生体成分濃度測定装置により測定する生体成分の濃度としては、グルコース濃度(血糖値)、ヘモグロビン濃度、コレステロール濃度、中性脂肪濃度等が挙げられる。生体から放射される赤外光を測定することにより、生体情報、例えば、血糖値を測定す
ることができる。生体からの赤外放射光の放射エネルギーWは以下の数式で表される。
ここで、上記式における各記号は以下の内容を示す。
W:生体からの赤外放射光の放射エネルギー
ε(λ):波長λにおける生体の放射率
0(λ、T):波長λ、温度Tにおける黒体放射強度密度
h:プランク定数(h=6.625×10-34(W・S2))
c:光速(c=2.998×1010(cm/s))
λ1、λ2:生体からの赤外放射光の波長(μm)
T:生体の温度(K)
S:検出面積(cm2
k:ボルツマン定数
(数1)からわかるように、検出面積Sが一定の場合、生体からの赤外放射光の放射エネルギーWは波長λにおける生体の放射率ε(λ)に依存する。放射におけるキルヒホッフの法則から、同じ温度、波長における放射率と吸収率は等しい。
ここで、α(λ)は、波長λにおける生体の吸収率を示す。
したがって、放射率を考える際には、吸収率を考えればよいことがわかる。エネルギー保存則から、吸収率、透過率及び反射率には、以下の関係が成り立つ。
ここで、上記式における各記号は以下の内容を示す。
r(λ):波長λにおける生体の反射率
t(λ):波長λにおける生体の透過率
したがって、放射率は、透過率及び反射率を用いて、
と表される。
透過率は、入射光量と測定対象物体を透過してきたときの透過光量の比で表される。入射光量と測定対象物体を透過してきたときの透過光量は、ランベルト−ベールの法則で示される。
ここで、上記式における各記号は以下の内容を示す。
t:透過光量、
0:入射光量、
d:生体の厚み、
k(λ):波長λにおける生体の消衰係数、
である。生体の消衰係数は、生体による光の吸収を表す係数である。
したがって、透過率は、
と表される。
次に反射率について説明する。反射率は、全方向に対する平均反射率を算出する必要があるが、ここでは、簡単のため、垂直入射に対する反射率で考える。垂直入射に対する反射率は、空気の屈折率を1として、
と表される。
ここで、n(λ)は、波長λにおける生体の屈折率を示す。
以上から、放射率は、
と表される。
生体中の成分の濃度が変化すると、生体の屈折率及び消衰係数が変化する。反射率は、通常、赤外領域において約0.03程度と小さく、かつ(数8)からわかるように、屈折率及び消衰係数にはあまり依存しない。したがって、生体中の成分の濃度の変化により、屈折率及び消衰係数が変化しても、反射率の変化は小さい。
一方、透過率は、(数7)からわかるように、消衰係数に大きく依存する。従って、生体中の成分の濃度の変化により生体の消衰係数、すなわち生体による光の吸収の度合いが変化すると、透過率が変化する。
以上のことから、生体からの赤外放射光の放射エネルギーは、生体中の成分の濃度に依存することがわかる。したがって、生体からの赤外放射光の放射エネルギー強度から生体中の成分の濃度を求めることができる。
また、(数7)からわかるように、透過率は生体の厚みに依存する。生体の厚みが薄いほど、生体の消衰係数の変化に対する透過率の変化の度合いが大きくなるため、生体中の成分の濃度変化を検出しやすくなる。鼓膜は、厚みが約60〜100μmと薄いため、赤外放射光を用いた生体中の成分の濃度測定に適している。
図12は、生体中の成分であるグルコースの水溶液から放射される赤外光の信号に外耳道から放射される赤外光の信号が重畳した場合における、外耳道から放射される赤外光の信号が含まれる割合による放射輝度スペクトルの変化を示す図である。
グルコース水溶液の放射輝度スペクトルは、温度を37度に設定してコンピュータシミュレーションにより求めた(図12におけるA)。外耳道の放射輝度スペクトルは、外耳道の温度が36.5度の状態で実測した(図12おけるD)。また、グルコース水溶液から放射される赤外光の信号に、外耳道から放射される赤外光の信号が、3/5の割合で重畳した場合における放射輝度スペクトル(図12におけるB)、及び4/5の割合で重畳した場合における放射輝度スペクトル(図12におけるC)をコンピュータシミュレーションにより求めた。
図12より、外耳道から放射される赤外光の信号が含まれていない場合、すなわちグルコース水溶液から放射される赤外光の信号のみの場合における放射輝度スペクトルは、9.6μm付近にグルコース特有のピークを有することがわかる。
また、この信号に比べて、外耳道から放射される赤外光の信号が全体の信号に占める割合が3/5、4/5と大きくなるにつれて、グルコース特有のピークの強度が減少することがわかる。外耳道から放射される赤外光の信号のみの場合における放射輝度スペクトルでは、グルコース特有のピークがほとんどなくなっていることがわかる。
従って、外耳道から放射される赤外光の信号が、測定信号に含まれると、グルコースの測定に大きな影響が与えられることがわかる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100の外観を示す斜視図である。
生体成分濃度測定装置100は、本体102と、本体102の側面に設けられた挿入プローブ104を備えている。本体102には、生体成分の濃度の測定結果を表示するためのディスプレイ114、生体成分濃度測定装置100の電源をON/OFFするための電源スイッチ101、及び測定を開始するための測定開始スイッチ103が設けられている。ディスプレイ114は本発明における表示部に相当する。
次に、生体成分濃度測定装置100の本体内部の構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100の構成を示す図であり、図3は、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100における光学フィルタホイール106を示す斜視図である。
生体成分濃度測定装置100の本体内部には、チョッパー118、光学フィルタホイール106、赤外線検出器108、前置増幅器130、帯域フィルタ132、同期復調器134、ローパスフィルタ136、アナログ/デジタルコンバータ(以下、A/Dコンバータと略称する)138、マイクロコンピュータ110、メモリ112、ディスプレイ114、電源116、光源140、第1のビームスプリッター142、第2のビームスプリッター144、集光レンズ146、撮像素子148、画像処理LSI149、タイマー156、及びブザー158を備えている。マイクロコンピュータ110は本発明における撮像情報検出部及び生体成分濃度演算部に相当する。
電源116は、マイクロコンピュータ110にACまたはDC電力を供給する。電源116として電池を用いることが好ましい。
チョッパー118は、鼓膜202から放射し、挿入プローブ104により本体102内に導かれた後、第2のビームスプリッター144を透過した赤外光をチョッピングして、赤外光を高周波数の赤外線信号に変換する機能を有する。チョッパー118の動作は、マイクロコンピュータ110からの制御信号に基づき制御される。チョッパー118によりチョッピングされた赤外光は、光学フィルタホイール106に到達する。
光学フィルタホイール106は、図3に示すように、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124がリング123にはめ込まれている。図3に示す例では、ともに半円状である第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124がリング123にはめ込まれることにより円盤状の部材が構成されており、その円盤状の部材の中央部にシャフト125が設けられている。
このシャフト125を図3の矢印のように回転させることにより、チョッパー118によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを、第1の光学フィルタ122と第2の光学フィルタ124との間で切り替えることができる。シャフト125の回転は、マイクロコンピュータ110からの制御信号により制御される。
シャフト125の回転は、チョッパー118の回転と同期させ、チョッパー118が閉じている間にシャフト125を180度回転させるように制御することが好ましい。このようにすると、次にチョッパー118が開いたときに、チョッパー118によりチョッピングされた赤外光の通過する光学フィルタを別の光学フィルタに切り替えることができる。光学フィルタホイール106は、本発明における分光素子に相当する。
光学フィルタの作製方法としては、公知の技術を特に限定することなく利用できるが、例えば、真空蒸着法、イオンビームスパッタ法、CVD法等を用いることができる。光学フィルタは、例えば、SiまたはGeを基板として、イオンビームスパッタ法を用いてGe、ZnS、MgF2、PbTe等を基板上に積層することにより作製することができる。
ここで、基板上に積層する各層の膜厚、積層する順序、積層回数等を調節して、積層された多層薄膜内における光の干渉を制御することにより、所望の波長特性を持つ光学フィルタを作製することができる。
第1の光学フィルタ122または第2の光学フィルタ124を透過した赤外光は、検出領域126を備える赤外線検出器108に到達する。赤外線検出器108に到達した赤外光は、検出領域126に入射し、入射した赤外光の強度に対応した電気信号に変換される。
赤外線検出器108から出力された電気信号は、前置増幅器130によって増幅される。増幅された電気信号は、帯域フィルタ132によってチョッピング周波数を中心周波数とする周波数帯域以外の信号が取り除かれる。これにより、熱雑音等の統計的揺らぎに起因するノイズを最小化することができる。
帯域フィルタ132によって濾過された電気信号は、同期復調器134によってチョッパー118のチョッピング周波数と帯域フィルタ132によって濾過された電気信号を同期させ、積分することにより、DC信号に復調される。
同期復調器134によって復調された電気信号は、ローパスフィルタ136によって低
周波数帯域の信号が取り除かれる。これにより、さらにノイズを取り除くことができる。
ローパスフィルタ136によって濾過された電気信号は、A/Dコンバータ138によってデジタル信号に変換された後、マイクロコンピュータ110に入力される。ここで、各光学フィルタに対応する赤外検出器108からの電気信号は、シャフト125の制御信号をトリガーとして用いることで、どの光学フィルタを透過した赤外光に対応する電気信号であるのかを識別することができる。シャフト125の制御信号をマイクロコンピュータが出力してから、次のシャフト制御信号を出力するまでの間が、同じ光学フィルタに対応する電気信号となる。各光学フィルタに対応する電気信号を、それぞれメモリ112上で積算した後平均値を算出することにより、さらにノイズは低減されるため、測定の積算を行うことが好ましい。
メモリ112には、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気
信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成
分の濃度との相関を示す相関データであって、撮像素子148により撮像された画像内における鼓膜の領域の割合のレベル毎に異なる複数の相関データが格納されている。鼓膜の領域の割合のレベル毎に異なる複数の相関データは、例えば、挿入プローブ104の向きを変えて測定を行うことによって得ることができる。
マイクロコンピュータ110は、後述する画像認識により求められた、撮像素子148により撮像された画像内における鼓膜の領域の割合のレベルに対応する相関データをメモリ112から読み出し、この相関データを参照して、メモリ112に蓄積されたデジタル信号から算出された単位時間当たりのデジタル信号を、生体成分の濃度に換算する。メモリ112は、本発明の記憶部に相当する。マイクロコンピュータ110において換算された生体成分の濃度は、ディスプレイ114に出力され、表示される。
第1の光学フィルタ122は、例えば、測定対象である生体成分によって吸収される波長を含む波長帯域(以下、測定用波長帯域と略称する)の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する。一方、第2の光学フィルタ124は、第1の光学フィルタ122とは異なるスペクトル特性を有する。第2の光学フィルタ124は、例えば、測定対象である生体成分による吸収がなく、かつ対象成分の測定を妨害するような他の生体成分による吸収のある波長を含む波長帯域(以下、参照用波長帯域と略称する)の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する。ここで、このような他の生体成分としては、測定対象である生体成分以外で、生体中における成分量の多いものを選択すればよい。
例えば、グルコースは、9.6μm付近に吸収ピークを有する赤外吸収スペクトルを示す。そこで、測定対象である生体成分がグルコースの場合は、第1の光学フィルタ122が、9.6μmを含む波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有することが好ましい。
一方、生体中に多く含まれるタンパク質は8.5マイクロメートル付近の赤外光を吸収し、グルコースは8.5μm付近の赤外光は吸収しない。そこで、第2の光学フィルタ124が、8.5μmを含む波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有することが好ましい。
メモリ112に格納されている、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ324を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データは、例えば、以下の手順によって取得することができる。
まず、既知の生体成分濃度(例えば、血糖値)を有する被験者について、鼓膜から放射される赤外光を測定する。このとき、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号とを求める。この測定を、異なる生体成分濃度を有する複数の被験者について行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とからなるデータの組を得ることができる。
ただし、一人の被験者について、鼓膜から放射される赤外光を測定してもよい。この場合、生体成分濃度(例えば血糖値)が異なる複数のタイミングで、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号とを求める。複数のタイミングでこの測定を行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とからなるデータの組を得ることができる。例えば血糖値は食事後の経過時間によって異なり、また、インスリンの投与等によっても異なるため、複数のタイミングで上記のようなデータの組を取得することが可能である。
次に、このようにして取得したデータの組を解析して相関データを求める。例えば、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とについて、PLS(Partial Least Squares Regression)法などの重回帰分析法やニューラルネットワーク法などを用いて多変量解析を行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度との相関を示す関数を求めることができる。
また、第1の光学フィルタ122が測定用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有し、第2の光学フィルタ124が参照用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する場合、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号との差を求め、その差とそれに対応する生体成分濃度との相関を示す相関データを求めてもよい。例えば、最小二乗法等の直線回帰分析を行うことにより求めることができる。
このとき、上述したように、挿入プローブ104の向きを変えて測定を行うことによって、鼓膜の領域の割合のレベル毎に異なる複数の相関データを得ることができる。例えば、挿入プローブ104の向きを変えつつ、例えば鼓膜の領域の40〜90%に対応する複数の相関データを得てもよい。なお、領域の割合は大きいほど好ましいが、小さくても本願発明の効果を得ることができる。
次に、鼓膜202を撮像するための構成について説明する。
光源140は、鼓膜202を照明するための可視光を出射する。光源140から出射され、第1のビームスプリッター142により反射された可視光は、第2のビームスプリッター144により反射された後、挿入プローブ104を通って外耳道204内に導かれ、鼓膜202を照明する。
光源140としては、例えば、赤色レーザ等の可視光レーザや、白色LED、青色LED等を用いることができる。この中で、白色LEDはハロゲンランプに比べ、発光させた時に発生する発生熱が少ないので、鼓膜202や外耳道204の温度に与える影響が少ないため好ましい。また、可視光を出射する光源に代えて、近赤外光を出射する光源を用いてよい。
第1のビームスプリッター142は、可視光の一部を反射し、残りを透過させる機能を有する。
第2のビームスプリッター144は、可視光を反射して、赤外光を透過する。第2のビームスプリッター144の材料としては、赤外線を吸収せず、透過し、可視光を反射する材料が好ましい。第2のビームスプリッター144の材質としては、例えば、ZnSe、CaF 2 、Si、Ge等を用いることができる。ここで、第2のビームスプリッター144は本発明における光分割素子に相当する。
一方、鼓膜202から外耳道204を通って挿入プローブ104内に入射した可視光は、第2のビームスプリッター144により反射され、一部は第1のビームスプリッター142を透過する。第1のビームスプリッター142を透過した可視光は、集光レンズ146により集光され、撮像素子148に到達する。
撮像素子148としては、例えば、CMOSやCCD等の画像素子を用いる。
次に、撮像素子148により撮影された画像の中から、鼓膜202の位置を認識する方法について説明する。図4は、先端部の直径が3mmの挿入プローブを通して、白黒画像を撮像する撮像素子を用いて、耳孔内を観察した時の画像を示す図である。図中円状の破線は撮像している領域を示す。
画像の左上側及び右下側(図4における領域A)が外耳道であり、その間の領域(図4における領域B)が鼓膜である。中央部(図4における領域C)に見えるのは槌骨接触部であり、鼓膜と槌骨とがつながっている部分である。また、右側(図4における領域D)に見えるのは耳垢である。撮像された画像における鼓膜の見える位置や大きさは、挿入プローブの挿入深さや向きによって変化する。
図4からわかるように、撮像された画像において、鼓膜は他の部分に比べて暗く撮像されるため、明るさ(輝度)の差を撮像情報検出部で認識することにより、鼓膜の位置を認識することができる。
撮像素子148で得られた画像情報を、画像処理LSI149及びマイクロコンピュータ110を用いて画像処理を行うことにより画像情報の中から鼓膜202の領域を抽出する。画像処理としては、例えば、以下に示す、閾値処理とラベリング処理による領域抽出技術を用いることができる。
まず、画像情報について二値化処理を行う。白黒画像を撮像する撮像素子を用いる場合は、撮像素子を構成する各画素の出力信号を各画素における明るさ(輝度)として用いることができる。
また、カラー画像を撮像する撮像素子を用いる場合は、例えば、各画素から出力される赤の信号(R信号)、緑の信号(G信号)及び青の信号(B信号)の総和を、各画素における明るさ(輝度)として用いることができる。これに代えて、R信号、G信号及びB信号の平均値や、いずれか1つの信号のみを用いてもよい。
画素の明るさについて一定の基準値を設定し、各画素の明るさを基準値により黒色と白色の2つの値に変換する処理を行う。例えば、画素の明るさが設定された基準値以上であれば、その画素に対して白色を設定し、それ以外の場合は画素に対して黒色を設定する。鼓膜202に対応する部分の画素は、外耳道204、槌骨接触部及び耳垢に対応する部分の画素よりも暗いため、基準値を、鼓膜に対応する部分の画素の明るさと、外耳道、槌骨接触部及び耳垢に対応する部分の画素の明るさとの間に設定すると、上記の処理により、鼓膜202に対応する部分の画素が黒色に設定され、外耳道204に対応する部分の画素が白色に設定される。図5は、図4の画像について二値化処理を行った結果を示す図である。鼓膜に対応する部分の画像が黒色に設定されていることがわかる。
上記の二値化処理を行った画像情報に対して、例えば、ラベリング処理を行う。ラベリング処理としては、例えば、二値化処理された画像情報内の全画素を走査して、黒色に設定された画素に対して、同じラベルを属性として付加すればよい。
以上の処理により、ラベルが付加された画素に該当する領域を鼓膜202として認識することができる。 撮像された画像内における鼓膜202の領域の割合は、全画素数に対する、基準値以下の画素数の割合を、マイクロコンピュータ110により演算することにより求めることができる。
本実施の形態における生体成分濃度測定装置100の動作について説明する。
まず、使用者が生体成分濃度測定装置100の電源スイッチ101を押すと、本体102内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置100は測定準備状態となる。使用者が本体102を持って、挿入プローブ104を耳孔200内に挿入する。挿入プローブ104は、挿入プローブ104の先端部分から本体102との接続部分に向かって径が太くなるような円錐形状の中空管であるため、挿入プローブ104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置以上は挿入プローブ104が挿入されない構造になっている。
次に、挿入プローブ104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置で生体成分濃度測定装置100を保持した状態で、使用者が生体成分濃度測定装置100の測定開始スイッチ103を押すと、本体102内の光源140がONとなり、撮像素子148による撮像を開始する。
次に、上記の方法により、撮像素子148により撮影された画像の中から、鼓膜202の位置を認識するステップが行われる。画像認識の結果、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202に相当する画像がないと判断した場合は、挿入プローブ104の挿入方向が鼓膜202からずれている旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、エラーであることを使用者に通知する。
ここで、マイクロコンピュータ110により演算された、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合が閾値以下である場合に、使用者にエラーであると通知するようにしてもよい。鼓膜202の位置が認識できないことを表すエラーが通知されると、使用者は生体成分濃度測定装置100を動かして、挿入プローブ104の挿入方向を調整すればよい。なお、上記閾値は、上記相関データにおける鼓膜の領域の割合範囲に応じて決定すればよい。
ディスプレイ114、ブザー158及びスピーカーは、それぞれ本発明における警告出力部に相当する。画像認識の結果、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202の位置を認識することができたと判断すると、鼓膜202の位置を認識することができた旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより使用者に通知する。
鼓膜202の位置が認識されると、マイクロコンピュータ110がチョッパー118の動作を開始させることにより、自動的に、鼓膜202から放射される赤外光の測定が開始される。鼓膜202の位置が認識されたことを使用者に通知することにより、使用者は、測定が開始されたことを把握することができるので、生体成分濃度測定装置100を動かさず、静止させればよいと認識することができる。スピーカーは本発明における音声出力部に相当する。
赤外光の測定が開始された後も、撮像素子148により撮影された画像における鼓膜の位置を認識するための処理は継続して行っている。測定中に、使用者が挿入プローブ104を耳孔200から外に取り出してしまったり、挿入プローブ104の向きを大きく動かしてしまったりした場合には、マイクロコンピュータ110が、撮像素子148により撮影された画像において鼓膜202に相当する画像がないと判断することにより、使用者の誤操作を検知する。
この検知に伴い、マイクロコンピュータ110は、挿入プローブ104の挿入方向が鼓膜202からずれている旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、エラーであることを使用者に通知する。さらに、マイクロコンピュータ110は、チョッパー118を制御して、光学フィルタホイール106に到達する赤外光を遮断することにより、自動的に測定を停止させる。ここで、マイクロコンピュータ110により演算された、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合が基準値以下である場合に、使用者にエラーであると通知するようにしてもよい。
鼓膜202の位置が認識できないことを表すエラーが通知されると、使用者は生体成分濃度測定装置100を動かして、挿入プローブ104を耳孔200内に再度挿入したり、挿入プローブ104の挿入方向を調整したりした後、測定開始スイッチ103を押すことにより、再度測定が開始される。
マイクロコンピュータ110は、タイマー156からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー118を制御して、光学フィルタホイール106に到達する赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ110はディスプレイ114やブザー158を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入プローブ104を耳孔200の外に取り出す。
マイクロコンピュータ110は、上記の方法により求められた、撮像素子148により撮像された画像内における鼓膜の領域の割合に応じて、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する複数の相関データの中から、その割合のレベルに対応する相関データをメモリ112から読み出す。マイクロコンピュータ110は、この相関データを参照して、A/Dコンバータ138から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ114に表示される。
以上のように、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置100によると、撮像素子を用いることにより、耳孔内におけるどの生体組織を測定できる状態にあるかを把握することができる。さらに、測定された信号を生体成分の濃度に換算する際に、測定された赤外光が放射された鼓膜の面積を補正することができるので、測定精度を向上させることができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る生体成分濃度測定装置300について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置300の構成を示す図である。
本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置300は、液晶シャッター120を備える点で実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。また、メモリ312に格納されている相関データの内容が、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
図6からわかるように、第2のビームスプリッター144とチョッパー118との間に、液晶シャッター120が設けられている。液晶シャッター120は、複数の液晶セルがマトリクス状に配列された構造を有しており、各液晶セルに印加する電圧によって、各液晶セルを、光が透過する状態や光を遮断する状態に個別に制御することができる。
マイクロコンピュータ110は、実施の形態1と同様の画像処理によって撮像素子148が撮像した画像情報の中から鼓膜202に対応する画像を認識すると、液晶シャッター120の各液晶セルに印加する電圧を制御して、鼓膜202からの赤外光が入射する液晶セルを光が透過する状態に設定し、鼓膜202以外からの赤外光が入射する液晶セルを、光を遮断する状態に設定する。これにより、鼓膜202から放射された赤外光が、選択的に赤外線検出器108に入射するようにすることができる。液晶シャッター120は本発明における光路制御素子に相当する。
メモリ312には、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データが格納されている。マイクロコンピュータ110は、メモリ312からこの相関データを読み出し、この相関データを参照して、メモリ312に蓄積されたデジタル信号から算出された単位時間当たりのデジタル信号を、生体成分の濃度に換算する。メモリ312は、本発明の記憶部に相当する。
メモリ312に格納されている、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ324を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データは、例えば、以下の手順によって取得することができる。
まず、既知の生体成分濃度(例えば、血糖値)を有する被験者について、鼓膜から放射される赤外光を測定する。このとき、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号とを求める。この測定を、異なる生体成分濃度を有する複数の被験者について行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とからなるデータの組を得ることができる。
次に、このようにして取得したデータの組を解析して相関データを求める。例えば、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度とについて、PLS(Partial Least Squares Regression)法などの重回帰分析法やニューラルネットワーク法などを用いて多変量解析を行うことにより、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、それらに対応する生体成分濃度との相関を示す関数を求めることができる。
また、第1の光学フィルタ122が測定用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有し、第2の光学フィルタ124が参照用波長帯域の赤外光を透過させるようなスペクトル特性を有する場合、第1の光学フィルタ122が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号と、第2の光学フィルタ124が透過させる波長帯域における赤外光の強度に対応する電気信号との差を求め、その差とそれに対応する生体成分濃度との相関を示す相関データを求めてもよい。例えば、最小二乗法等の直線回帰分析を行うことにより求めることができる。
次に、本実施の形態における生体成分濃度測定装置300の動作について、実施の形態1における生体成分濃度測定装置100の動作と異なる点についてのみ説明する。
マイクロコンピュータ110が、実施の形態1と同様の画像処理によって、撮像素子148により撮影された画像において、鼓膜202の位置を認識することができたと判断すると、液晶シャッター120の各液晶セルに印加する電圧を制御して、鼓膜202からの赤外光が入射する液晶セルを光が透過する状態に設定し、鼓膜202以外からの赤外光が入射する液晶セルを、光を遮断する状態に設定する。さらに、マイクロコンピュータ110がチョッパー118の動作を開始させることにより、鼓膜202から放射される赤外光の測定が開始される。
A/Dコンバータ138から出力された電気信号は、実施の形態1と同様の方法により求められた、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合を用いて、マイクロコンピュータ110により補正される。マイクロコンピュータ110は、メモリ312から、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出し、この相関データを参照して、補正後の電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ114に表示される。
撮像された画像内における鼓膜の領域の割合による電気信号の補正方法は、メモリ312に格納されている相関データにおける電気信号の内容によって選択することができる。例えば、メモリ312に格納されている相関データにおける電気信号が、単位面積当たりの信号であれば、撮像された画像内における鼓膜の領域の割合を用いて、測定された電気信号を単位面積当たりの信号に補正すればよい。このようにして、測定された信号を、測定された赤外光が放射された鼓膜の面積によって補正することができる。
本実施の形態においては、相関データを1つ用いることにより測定を行うことができる。したがって、上記実施の形態1において説明したように複数の相関データがメモリ312に格納されている場合には、鼓膜の領域の割合が略一致する相関データを使用すればよい。
以上のように、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置100によると、鼓膜202以外から放射された赤外光を液晶シャッター120を用いて遮断することより、鼓膜202から放射された赤外光を選択的に測定することができるので、外耳道204の影響を取り除くことができ、高精度の測定を行うことができる。また、測定された信号を、測定された赤外光が放射された鼓膜の面積によって補正することにより、測定精度をさらに向上させることができる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る生体成分濃度測定装置400について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置400の構成を示す図である。
本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置400は、挿入プローブ404の構造、光源404の位置、第1のビームスプリッター142を用いない点において、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
生体成分濃度測定装置400の挿入プローブ404は、アクリル樹脂等の透明な材料により形成された中空管であり、挿入プローブ404と本体102との接続部に光を照射することができるように、挿入プローブ404と本体102との接続部に面して光源440が設置されている。
この構成により、挿入プローブ404の中空部分ではなく、挿入プローブ404本体を導光路として耳孔内を照射することができる。また、挿入プローブ404と本体102との接続部に面して光源440を配置したことにより、第1のビームスプリッター142が不要となるので、第1のビームスプリッター142において光が損失することがなくなるため、撮像素子148に到達する光の量を向上させることができる。
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4に係る生体成分濃度測定装置500について、図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置500の構成を示す図である。
本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置500は、生体成分濃度測定装置500の外部の光を採光して挿入プローブ404に導く導光路510を備える点、及び光源440を用いない点において、実施の形態3に係る生体成分濃度測定装置400と異なる。その他の構成については、実施の形態3に係る生体成分濃度測定装置400と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
生体成分濃度測定装置500の本体102の外表面には採光窓520が設けられている。生体成分濃度測定装置500の外部の光は、採光窓520を通して導光路510内に入射し、導光路510を通って挿入プローブ404に導かれる。この構成により、光源を用いることなく、生体成分濃度測定装置500の外部の光により耳孔内を照射することができる。
導光路510としては、アクリル樹脂等の樹脂や光ファイバ等を用いることができる。
なお、実施の形態3及び4においては挿入プローブ404を透明な材料により形成しているが、挿入プローブ404を通して外耳道の生体組織から放射した赤外光が侵入することを抑制するために、金やアルミニウム等の金属膜を、挿入プローブ404の内面や、挿入プローブ404の端面を除く外周面にコーティングすることが好ましい。
また、実施の形態3及び4において、挿入プローブ404の端面404aの少なくとも一部に、挿入プローブ404から出射する光が拡散するような粗面を設けると、耳孔内を均一に照明することができるので好ましい。
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5に係る生体成分濃度測定装置600について、図9及び10を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置600の外観を示す斜視図であり、図10は、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置600の構成を示す図である。
図9に示すように、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置600は、屈曲部610を備え、屈曲部610により2つの部分に分けられている。屈曲部610により分けられた2つの部分のうち、一方の部分には挿入プローブ104が設けられ、他方の部分にはディスプレイ114、電源スイッチ101、測定開始スイッチ603及び撮像開始スイッチ620が設けられている。
生体成分濃度測定装置600において、挿入プローブ104が使用者の耳孔内に挿入された状態で使用者がディスプレイ114に表示される撮像情報を見ることができる位置に、ディスプレイ114が配置されている。
生体成分濃度測定装置600の本体内部の構成は、図10に示すように、画像処理LSIを備えていない点で実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。また、実施の形態2と同様に、メモリ312に格納されている相関データの内容が、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る生体成分濃度測定装置100と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
メモリ312には、実施の形態2と同様に、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データが格納されている。この相関データの取得方法は、実施の形態2と同様であるため説明を省略する。
本実施の形態における生体成分濃度測定装置600の動作について説明する。
まず、使用者が生体成分濃度測定装置600の電源スイッチ101を押すと、本体102内の電源がONとなり、生体成分濃度測定装置600は測定準備状態となる。
次に、使用者が本体102を持って、挿入プローブ104を耳孔200内に挿入する。
次に、挿入プローブ104の外径が耳孔200の内径と等しくなる位置で生体成分濃度測定装置600を保持した状態で、使用者が生体成分濃度測定装置600の撮像開始スイッチ620を押すと、本体102内の光源140がONとなり、撮像素子148による撮像を開始する。
使用者は、生体成分濃度測定装置600を保持しながら、鼓膜202の画像がディスプレイ114に表示されているか否かを目視により確認する。鼓膜202の画像がディスプレイ114に表示されていない場合は、鼓膜202の画像がディスプレイ114に表示されるまで、挿入プローブ104の耳孔内における向きを手動により調整する。
鼓膜202の画像がディスプレイ114に表示されていることを目視により確認した後、使用者が測定開始スイッチ603を押すと、マイクロコンピュータ110がチョッパー118の動作を開始させることにより、鼓膜202から放射される赤外光の測定が開始される。測定開始スイッチ603は、本発明における指示受付部に相当する。
マイクロコンピュータ110は、タイマー156からの計時信号により、測定開始から一定時間経過したと判断すると、チョッパー118を制御して、光学フィルタホイール106に到達する赤外光を遮断する。これにより、自動的に測定が終了する。このとき、マイクロコンピュータ110はディスプレイ114やブザー158を制御して、測定が終了した旨のメッセージをディスプレイ114に表示したり、ブザー158を鳴らしたり、スピーカー(図示せず)から音声で出力したりすることにより、使用者に測定が終了したことを通知する。これにより使用者は測定が終了したことを確認することができるため、挿入プローブ104を耳孔200の外に取り出す。
マイクロコンピュータ110は、メモリ112から、第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号及び第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号と生体成分の濃度との相関を示す相関データを読み出し、この相関データを参照して、A/Dコンバータ138から出力された電気信号を生体成分の濃度に換算する。求められた生体成分の濃度は、ディスプレイ114に表示される。
以上のように、本実施の形態に係る生体成分濃度測定装置600によると、使用者が挿入プローブ104を使用者の耳孔200内に挿入した状態で、ディスプレイ114に鼓膜202が表示されていることを確認した後で、測定開始スイッチ603を介して測定開始の指示を入力することができるため、外耳道204の影響を低減して、高精度の測定を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、屈曲部610を備え、屈曲部610により分けられた2つの部分のうち、一方の部分には挿入プローブ104が設けられ、他方の部分にはディスプレイ114、電源スイッチ101及び測定開始スイッチ103が設けられている生体成分濃度測定装置600について説明したが、これに限らず、図11に示す構成を用いてもよい。図11は、本実施の形態の変形例に係る生体成分濃度測定装置700の外観を示す斜視図である。
図11に示すように、本変形例に係る生体成分濃度測定装置700は、挿入プローブ104が設けられたプローブ部710と、ディスプレイ114、電源スイッチ101、測定開始スイッチ603及び撮像開始スイッチ620が設けられた本体部720とを備え、プローブ部710と本体部720とが電気信号を伝達するためのケーブル730により接続されている。
なお、以上の実施の形態において、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124がリング123にはめ込まれた光学フィルタホイール106並びに1つの赤外線検出器108を用いたが、これに限定されない。例えば、光学フィルタホイール106及び赤外線検出器108に代えて、赤外線検出領域上に第1の光学フィルタ122が配置された第1の赤外線検出器、及び赤外線検出領域上に第2の光学フィルタ124が配置された第2の赤外線検出器を用いてもよい。
この場合、第1の光学フィルタ122が透過する波長帯域の赤外光及び第2の光学フィルタ124が透過する波長帯域の赤外光のうち、一方を透過させ、他方を反射するビームスプリッターをさらに設け、挿入プローブ104により本体102内に導かれた赤外光をビームスプリッターにより2つに波長分離して、第1の光学フィルタ122が透過する波長帯域の赤外光が第1の赤外線検出器に到達し、第2の光学フィルタ124が透過する波長帯域の赤外光が第2の赤外線検出器に到達するようにすることが好ましい。
この構成により、第1の赤外線検出器から第1の光学フィルタ122を透過した赤外光の強度に対応する電気信号が得られ、第2の赤外線検出器から第2の光学フィルタ124を透過した赤外光の強度に対応する電気信号が得られる。
また、以上の実施の形態において、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124を用いたが、これに限定されない。例えば、赤外線検出器108に代えて、第1の光学フィルタ122及び第2の光学フィルタ124の波長特性と一致する感度特性を有する赤外線検出器を用いてもよい。
例えば、量子井戸型赤外センサ(QWIP:Quantum Well Infrared Photodetector)を用いれば、その膜厚を最適化することにより特定波長の赤外光を特異的に検出でき、分光フィルターを用いずに分光検出することができる。
本発明は、非侵襲的な生体成分濃度の測定、例えば、血液を採取することなくグルコース濃度を測定する際に有用である。
本発明の一実施の形態における生体成分濃度測定装置の外観を示す斜視図である。 同生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 同生体成分濃度測定装置における光学フィルタホイールを示す斜視図である。 白黒画像を撮像する撮像素子を用いて耳孔内を観察した時の画像を示す図である。 図4の画像について二値化処理を行った結果を示す図である。 本発明の他の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態における生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態における生体成分濃度測定装置の外観を示す斜視図である。 同生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 同実施の形態の変形例における生体成分濃度測定装置の構成を示す図である。 外耳道が放射輝度に与える影響を示す図である。

Claims (12)

  1. 耳孔内の生体組織から放射された赤外光を検出する赤外線検出器と、
    前記耳孔内の前記生体組織を撮像する撮像素子と、
    前記赤外線検出器の出力を生体成分の濃度に換算する生体成分濃度演算部とを備える生体成分濃度測定装置。
  2. 前記耳孔内を照らすための光を出射する光源をさらに備え、
    前記撮像素子は、
    前記光源から出射して前記耳孔内の前記生体組織において反射した光を撮像する、請求項1記載の生体成分濃度測定装置。
  3. 前記赤外光を分光する分光素子をさらに備える、請求項1記載の生体成分濃度測定装置。
  4. 前記耳孔内に挿入される挿入プローブをさらに備え、
    前記挿入プローブは、
    前記耳孔内の前記生体組織から放射された前記赤外光を前記赤外線検出器に導く、請求項1記載の生体成分濃度測定装置。
  5. 前記耳孔内の前記生体組織において反射した前記光及び前記耳孔内の前記生体組織から放射した前記赤外光のうち、一方を透過させ、他方を反射させる光分割素子をさらに備える、請求項2記載の生体成分濃度測定装置。
  6. 前記撮像素子により得られた撮像情報の中から、鼓膜の撮像情報を検出する撮像情報検出部をさらに備える、請求項1記載の生体成分濃度測定装置。
  7. 前記生体成分濃度演算部は、前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量に基づき、前記生体成分の濃度を補正する、請求項6記載の生体成分濃度測定装置。
  8. 前記撮像情報検出部は、前記撮像素子により得られた撮像情報における前記鼓膜の撮像情報の割合を算出し、
    前記生体成分濃度演算部は、前記割合を用いて前記生体成分の濃度を補正する、請求項7記載の生体成分濃度測定装置。
  9. 前記撮像情報検出部により前記鼓膜の前記撮像情報が検出されている間、音を出力する音源をさらに備え、
    前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量に応じて、前記音源から出力される音の音量、周波数及び出力間隔のうち少なくとも1つが変化する、請求項6記載の生体成分濃度測定装置。
  10. 前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報の量が閾値以下であった場合に警告を出力する警告出力部をさらに備える、請求項6記載の生体成分濃度測定装置。
  11. 前記撮像情報検出部により検出された前記鼓膜の撮像情報に基づき、前記鼓膜から放射された赤外光が選択的に透過するように光路を制御する光路制御素子をさらに備える、請求項6記載の生体成分濃度測定装置。
  12. 前記撮像素子により得られた撮像情報を表示するディスプレイと、
    前記生体成分濃度の測定開始の指示を受け付ける指示受付部とをさらに備え、
    前記挿入プローブが使用者の耳孔内に挿入された状態で前記使用者が前記ディスプレイに表示される前記撮像情報を見ることができる位置に、前記ディスプレイが配置されている、請求項1記載の生体成分濃度測定装置。
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