JPWO2006109740A1 - パーフルオロアルキル化剤及びパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法 - Google Patents

パーフルオロアルキル化剤及びパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法 Download PDF

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Abstract

C−H結合を有するC−H含有有機高分子を、特殊な設備を用いる必要がなく簡便にかつ安全に改質することができるパーフルオロアルキル化剤、及び、上記パーフルオロアルキル化剤を作用させることよりなるパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法を提供する。本発明は、C−H結合を有するC−H含有有機高分子に作用させることにより前記C−H結合におけるHをパーフルオロアルキル基に置換するパーフルオロアルキル化剤であって、下記一般式(I)[(CF3)2CF][(CF3)CY1Y2]Ra−CF(CF3)Y3(I)(式中、Raは、不対電子1個を有する炭素原子を表し、Y1、Y2及びY3は、同一若しくは異なって、F又はRfを表し、Rfは直鎖状又は分枝状の炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基を表す。)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカルからなるものであることを特徴とするパーフルオロアルキル化剤である。

Description

本発明は、パーフルオロアルキル化剤及びパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法に関する。
プラスチック表面を改質する方法として、フッ素ガスによりフッ素化する方法が開示されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照。)。この方法では、しかしながら、フッ素ガス自体が危険なことに加え、場合により、ポリマー分子自体が切断されて脆くなる問題がある。
プラスチック表面をフッ素化する方法として、CF等を用いて、プラズマ処理又はコロナ処理によりプラスチック表面に疎水性を付与する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、しかしながら、得られる膜が黄変する、高価な装置が必要である等の問題がある。
成形品の表面をフッ素化する改質方法としては、また、Rf(CHCXY[式中、Rfは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、Xは、H、Cl、F又はメチル基を表し、XはH、Cl、F等を表す]等のフッ素系化合物をポリ塩化ビニル等の樹脂に添加混合した後加熱する方法も開示されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。この方法では、しかしながら、表面への改質効果を上げるためには添加量を多くしなければならず、その場合、元の樹脂の特性自体が変わりうる畏れがある。
成形品の表面をフッ素化する方法としては、また、(1)炭化水素系高分子成形品の表面にヘキサフルオロアセトンを反応させる方法、(2)炭化水素系高分子成形品の表面にヘキサフルオロイソブテンを反応させる方法等が開示されている(例えば、特許文献4及び特許文献5参照。)。
(1)及び(2)の方法では、しかしながら、ヘキサフルオロアセトン又はヘキサフルオロイソブテンに加え、反応触媒として過酸化物を添加しなければならない、洗浄、真空乾燥等の反応後の後処理が煩雑である等の問題がある。また、(1)の方法では、炭化水素系高分子成形品の表面に水酸基も付与されるので、撥水撥油性に問題があった。
特開昭62−235339号公報 特開昭63−120789号公報 特開平4−223110号公報 特開平4−304243号公報 特開平5−214138号公報 J.Appl.Polym.Sci.,19,1439(1975) 工業化学雑誌,73(6),1211(1970)
本発明の目的は、上記現状に鑑み、C−H結合を有するC−H含有有機高分子を、特殊な設備を用いる必要がなく簡便にかつ安全に改質することができるパーフルオロアルキル化剤、及び、上記パーフルオロアルキル化剤を作用させることよりなるパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法を提供することにある。
本発明は、C−H結合を有するC−H含有有機高分子に作用させることにより上記C−H結合におけるHをパーフルオロアルキル基に置換するパーフルオロアルキル化剤であって、下記一般式(I)
[(CFCF][(CF)CY]Ra−CF(CF)Y (I)
(式中、Raは、不対電子1個を有する炭素原子を表し、Y、Y及びYは、同一若しくは異なって、F又はRfを表し、Rfは直鎖状又は分枝状の炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基を表す。)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカルからなるものであることを特徴とするパーフルオロアルキル化剤である。
本発明は、C−H結合を有するC−H含有有機高分子に上記パーフルオロアルキル化剤を作用させることにより上記C−H結合におけるHがパーフルオロアルキル基に置換されてなるパーフルオロアルキル化有機高分子を製造することよりなるパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法であって、上記パーフルオロアルキル化剤を作用させることは、極安定パーフルオロアルキルラジカルが分解して低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生する温度以上の温度で行うものであることを特徴とするパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のパーフルオロアルキル化剤は、C−H結合を有するC−H含有有機高分子に作用させることにより上記C−H結合におけるHをパーフルオロアルキル基に置換するものであって、上記一般式(I)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカルからなるものである。
上記C−H含有有機高分子は、C−H結合を有する有機高分子である。上記C−H結合は、上記C−H結合を有する有機高分子1分子中に少なくとも1つ存在すればよい。
上記C−H含有有機高分子としては、例えば、合成ポリマー、オリゴマー、セルロース、多糖類等が挙げられる。
ここで、「合成ポリマー」とは、通常、重合度が約100以上、又は、分子量が約10000以上のものを指す。また、「オリゴマー」とは、通常、重合度が約20以上、約100未満、又は、分子量が約2000以上、約10000未満のものを指す。
上記合成ポリマーとしては、例えば、C−H結合を有するC−H含有フルオロポリマー、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリフェノール、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、ポリウレタン等が挙げられ、なかでも、C−H結合を有するC−H含有フルオロポリマー、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、及び、ポリエステルが好ましい。
上記C−H結合を有するC−H含有フルオロポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン[PVdF]、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体[ETFE]、ポリフッ化ビニル[PVF]等が挙げられ、また、テトラフルオロエチレン[TFE]、ヘキサフルオロプロピレン[HFP]、パーフルオロビニルエーテル[PAVE]等のパーフルオロ単量体(1)と、微量の単量体として、エチレン、プロピレン、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド等、C−H結合を有するC−H含有有機単量体(2)とを重合して得られるパーフルオロ系共重合体であってもよい。
上記ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル等のビニル単量体のホモポリマー又はコポリマー等が挙げられ、上記ホモポリマー又はコポリマーとしては、例えば、ポリエチレン[PE]、ポリプロピレン[PP]、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
上記ポリオレフィンとしては、PE、PPが好ましい。上記PEは、低密度のものであってもよいし、高密度のものであってもよいが、機械的強度等の性質に優れたパーフルオロアルキル化有機高分子が得られる点で、高密度のものが好ましい。
上記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート[PET]、ポリブチレンテレフタレート[PBT]等が挙げられる。
上記C−H含有有機高分子が有するC−H結合におけるHは、本発明のパーフルオロアルキル化剤を作用させることにより、パーフルオロアルキル基に置換することができる。上記パーフルオロアルキル基は、本発明のパーフルオロアルキル化剤における極安定パーフルオロアルキルラジカルが分解して発生する低分子パーフルオロアルキルラジカルが、上記Hを置換して導入されるものである。上記パーフルオロアルキル基としては、用いる極安定パーフルオロアルキルラジカルの種類、本発明のパーフルオロアルキル化剤を作用させる反応条件によるが、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。
上記パーフルオロアルキル基としては、置換反応性がよい点で、トリフルオロメチル基が好ましい。
本発明のパーフルオロアルキル化剤は、下記一般式(I)
[(CFCF][(CF)CY]Ra−CF(CF)Y (I)
で表される極安定パーフルオロアルキルラジカルからなるものである。
上記一般式(I)において、上記Y、Y及びYは、同一若しくは異なって、F又はRfを表し、上記Rfは、直鎖状又は分枝状の炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基を表す。
上記Rfの炭素数が上記範囲内にあると、上記C−H結合におけるHを容易にパーフルオロアルキル基に置換することができ、工業的に安価に実施可能である。
上記Rfとしては、炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基であれば特に限定されず、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよいが、分解によって低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生し易く、精製が容易であることから、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
上記一般式(I)において、上記Raは、不対電子1個を有する炭素原子である。本明細書において、「不対電子1個を有する炭素原子」とは、ラジカルが有する不対電子を原子上に有している炭素を意味する。
上記一般式(I)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカルとしては、例えば、下記一般式(Ia)
[(CFCF][(CF)CRf]Ra−CF(CF)Rf (Ia)
(式中、Ra及びRfは、上記定義したものと同じである。)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカル(Ia)、
下記一般式(Ib)
[(CFCF][(CF)CFRf]Ra (Ib)
(式中、Ra及びRfは、上記定義したものと同じである。)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカル(Ib)、
下記一般式(Ic)
[(CFCF][(CF)CRf]Ra−CF(CF) (Ic)
(式中、Ra及びRfは、上記定義したものと同じである。)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカル(Ic)、
下記一般式(Id)
[(CFCF][(CF)CF]Ra−CF(CF)Rf (Id)
(式中、Ra及びRfは、上記定義したものと同じである。)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカル(Id)、及び、
下記式(Ie)
[(CFCF][(CF)CFRa (Ie)
(式中、Raは、上記定義したものと同じである。)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカル(Ie)
が挙げられる。
上記極安定パーフルオロアルキルラジカルとしては、調製容易、置換反応性の点で、極安定パーフルオロアルキルラジカル(Ia)、極安定パーフルオロアルキルラジカル(Ib)、極安定パーフルオロアルキルラジカル(Ic)、極安定パーフルオロアルキルラジカル(Id)が好ましい。
また、極安定パーフルオロアルキルラジカル(Id)は、ラジカルの製造が簡便である点でより好ましい。
極安定パーフルオロアルキルラジカル(Ib)は、分解して低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生させた後得られるオレフィンに、例えば、上記低分子パーフルオロアルキルラジカルを結合させたアルキル化合物を作用させることにより上記極安定パーフルオロアルキルラジカルを再生させる方法等を用いて、繰り返し再利用することができる点で、より好ましい。上記再利用の方法としては、特に限定されないが特開2003−147008号公報に記載した方法が好ましい。
上記極安定パーフルオロアルキルラジカルの炭素数は、8〜11が好ましい。上記炭素数のより好ましい下限は9であり、上記炭素数のより好ましい上限は10である。
上記炭素数が9である場合、上記C−H結合におけるHを容易にパーフルオロアルキル基に置換することができ、工業的に安価に実施可能である点で好ましい。また、上記炭素数が10である場合、上記再利用が容易な点で好ましい。
本明細書において、上記極安定パーフルオロアルキルラジカルの炭素数は、Raにより表される不対電子1個を有する炭素原子をも含む概念である。
上記極安定パーフルオロアルキルラジカルとしては、60℃以上において分解して、低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生させるものがより好ましい。
上記極安定パーフルオロアルキルラジカルが60℃未満において分解するものであると、不安定で取り扱いにくい傾向がある。
上記極安定パーフルオロアルキルラジカルとしては、[(CFCF]Ra−CF(CF)及び[(CFCF]Ra(各式において、Raは上記定義したものと同じである。)が更に好ましい。
上記極安定パーフルオロアルキルラジカルは、公知の方法により製造することができ、例えば、(1)上記Rfを有するトリアルキルパーフルオロアルキルシランをヘキサフルオロプロペン三量体に作用させて上記Rfを導入した高度分岐状パーフルオロオレフィンをフッ素化することよりなる特開2003−155257号公報に記載の方法、(2)パーフルオロ(4−メチル−3−イソプロピル−2−ペンテン)を0〜45℃の温度で直接フッ素化することにより[(CFCF]Ra−CF(CF)を得る特公平1−29175号公報及び米国特許4,626,608号明細書に記載の方法等を用いて製造することができる。
上記一般式(I)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカルは、高度に枝分かれした構造を有するため立体障害が大きいので、通常、35℃未満である温度において充分に安定であり、例えば、20〜30℃程度の常温において取り扱い性に優れる。その一方、上記極安定パーフルオロアルキルラジカルは、加熱等により容易に分解し、低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生させうる。
本明細書において、上記「低分子パーフルオロアルキルラジカル」とは、上記極安定パーフルオロアルキルラジカルの化学構造の一部に由来する炭素数1〜16のラジカルを意味する。上記低分子パーフルオロアルキルラジカルは、通常、上記極安定パーフルオロアルキルラジカルが有する化学構造の一部がβ−開裂等の開裂を起こし、分子外に放出されてなるラジカルである。従って、上記低分子パーフルオロアルキルラジカルは、極安定パーフルオロアルキルラジカルよりも分子量が低い。
本明細書において、上記「低分子パーフルオロアルキルラジカル」における「低分子」とは、上記極安定パーフルオロアルキルラジカルよりも低分子量であることを意味する。
上記低分子パーフルオロアルキルラジカルとしては、トリフルオロメチルラジカル、ペンタフルオロエチルラジカル、ヘプタフルオロプロピルラジカル等が挙げられるが、置換反応性が良い点で、トリフルオロメチルラジカルが好ましい。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法は、上述のC−H結合を有するC−H含有有機高分子に、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤を作用させることにより、上記C−H結合におけるHがパーフルオロアルキル基に置換されてなるパーフルオロアルキル化有機高分子を製造することよりなるものである。
上記C−H基含有有機高分子は、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤に関する説明で記載したものと同様のものである。上記C−H基含有有機高分子としては、合成ポリマーが好ましい。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法において、上記C−H基含有有機高分子は、1種又は2種以上の複合体でもよい。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法において、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤を作用させるために、上記C−H含有有機高分子に上記パーフルオロアルキル化剤を接触させる方法としては特に限定されない。上記C−H含有有機高分子は、上記C−H含有有機高分子からなる組成物として、上記パーフルオロアルキル化剤に接触させることができる。
上記C−H含有有機高分子からなる組成物としては、上記C−H含有有機高分子を含有するものであれば特に限定されず、例えば、上記C−H含有有機高分子の種類に応じ市販品等における通常の供給形態のもの、例えば粉末、水性分散体等をそのまま用いてもよいし、上記粉末を混練機又は押出機に投入して溶融混練又は溶融押出することにより得られるペレットを用いてもよいし、上記C−H含有有機高分子が上述の合成ポリマーである場合、上記供給形態のものを用いて成形加工することにより得られる成形体(以下、「C−H含有有機高分子からなる成形体」ということがある。)を用いてもよい。上記粉末及び成形体は、実質的に上記C−H含有有機高分子のみを含有してなるものであってよい。
上記C−H含有有機高分子からなる成形体としては特に限定されず、例えば、成形品、コーティング、キャスト膜等が挙げられる。
上記成形加工の方法、条件は、成形体の種類、成形加工する上記C−H含有有機高分子の組成や量等に応じて、公知の方法により適宜設定することができる。
上記成形品の製造方法としては特に限定されず、例えば、圧縮成形、押出成形、ペースト押出成形、射出成形等が挙げられる。上記成形品は、フィルム、シート、ブロック体等、所望の形状にすることができる。
上記コーティングの形成方法としては特に限定されず、例えば、吹付け塗装、浸漬塗装、はけ塗り塗装、静電塗装等の塗装方法;含浸等を用いる方法が挙げられる。
上記キャスト膜の製造方法としては、例えば、C−H含有有機高分子からなる水性分散体を基材上に塗布し乾燥して得られる塗布膜を、所望により例えば水中への投入等により上記基材から剥離することよりなるキャスト製膜等が挙げられる。
上記C−H含有有機高分子からなる成形体を用いた場合、上記パーフルオロアルキル化剤を作用させることにより、上記成形体の表面又は表層のみにおいて、上記C−H含有有機高分子が有していたHをパーフルオロアルキル基により置換することができる。上記C−H含有有機高分子からなる成形体の表面又は表層のみにおいてパーフルオロアルキル基を導入した場合、上記成形体の形状、厚み等によって、上記成形体の内部は、パーフルオロアルキル基を導入させずに上記C−H含有有機高分子からなる成形体が元来有していた性質を保持することができ、この場合、例えば、上記成形体の表面のみに撥水・撥油性、耐薬品性、非粘着性、摺動性等の特徴を付与するとともに、上記表面下における上記C−H含有有機高分子からなる成形体の本来の性質、例えば、弾性、強靱性、剛性、ガスバリア性等をも有する特性の複合体を極めて簡便な方法により得ることができる。上記特性の複合体は、上述のように特性が異なる表面又は表層部分と内部との境界が、有機高分子からなる成形体又は有機高分子自体において連続性を有するものであるので、上記境界での剥離を生じず長期使用に耐えるものとすることができる。従来、部分により特性が異なる成形体として、例えば、予め作製した特性が異なる2種の成形体を貼り合わせてなる複合成形体、特性が異なる2種の樹脂を共押出して得られる複合成形体等があったが、これらの従来の複合成形体は、特性が異なる予め作成した2つの部分の境界において剥離が生じやすい問題があった。
上記C−H含有有機高分子からなる組成物に上記パーフルオロアルキル化剤を接触させる方法は、上記C−H含有有機高分子からなる組成物の形状、種類等に応じて異なる。例えば、上記パーフルオロアルキル化剤を気相で接触させる場合、上記C−H含有有機高分子からなる組成物と上記パーフルオロアルキル化剤とを混合する方法、上記パーフルオロアルキル化剤を循環させることにより上記C−H含有有機高分子からなる組成物に接触させる方法等を用いることができ、上記パーフルオロアルキル化剤を液相で接触させる場合、上記C−H含有有機高分子からなる成形体、粉末又はペレットを上記パーフルオロアルキル化剤に浸漬する方法、上記C−H含有有機高分子からなる水性分散体と上記パーフルオロアルキル化剤とを混合する方法、上記C−H含有有機高分子からなる成形体に上記パーフルオロアルキル化剤を塗布する方法等を用いることができる。上記接触の方法としては、操作性の点で、浸漬する方法が好ましい。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法において、通常、上記パーフルオロアルキル化剤は、上述のようにC−H含有有機高分子からなる組成物に接触させることにより、上記C−H含有有機高分子に作用させる。
上記パーフルオロアルキル化剤を作用させることは、極安定パーフルオロアルキルラジカルが分解して低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生する温度以上の温度(A)で行うものである。
上記「極安定パーフルオロアルキルラジカルが分解して低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生する温度以上の温度(A)」は、使用する上記パーフルオロアルキル化剤の種類により異なり、特に限定されないが、接触させるC−H含有有機高分子に熱変性が生じない温度以下であることが好ましく、低分子パーフルオロアルキルラジカルが発生しやすい点で、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。
上記温度(A)は、接触させるC−H含有有機高分子がポリエチレンである場合、130℃以下、ポリプロピレンである場合、180℃以下、PETである場合、255℃以下、ポリイミドである場合、400℃以下がそれぞれ好ましい。
上記低分子パーフルオロアルキルラジカルは、トリフルオロメチルラジカル等、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤に関する説明で記載したものと同じものである。上記低分子パーフルオロアルキルラジカルとしては、例えば、上記例示したものが挙げられる。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法において、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤は、特開2003−147008号公報に記載の方法により再生させ、繰り返し再利用したものであってもよい。
例えば、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤としてパーフルオロ−2,4−ジメチル−3−イソプロピル−3−ペンチルを使用する場合、低分子パーフルオロアルキルラジカル放出後のパーフルオロオレフィンにトリアルキルパーフルオロアルキルシランを反応させ、更にフッ素化することにより、パーフルオロ−3−エチル−2,4−ジメチル−3−ペンチルを再利用することができる。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法は、上記反応条件の他、用いるC−H含有有機高分子の種類等に応じた反応条件下で行うことができるが、副反応が生じないよう窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法において、上記パーフルオロアルキル化剤を作用させるに際し、必要に応じ、希釈剤等の各種添加剤を添加してもよい。上記各種添加剤は、上記C−H基の置換反応を阻害するものでなければ特に限定されない。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法において、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤を作用させる時間は、使用するC−H基含有有機高分子若しくは上記パーフルオロアルキル化剤の種類や量により異なるが、生産性の点から、1〜72時間であることが好ましい。
上記時間のより好ましい下限は3時間であり、上記時間のより好ましい上限は50時間である。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法は、パーフルオロアルキル化有機高分子を製造する方法である。
本明細書において、上記「パーフルオロアルキル化有機高分子」は、上述のC−H含有有機高分子が有していたC−H結合におけるHがパーフルオロアルキル基に置換されてなる有機高分子である。上記パーフルオロアルキル化有機高分子は、上記C−H含有有機高分子に上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤を作用させることにより得られる有機高分子である。上記パーフルオロアルキル基は、本発明のパーフルオロアルキル化剤について上述したパーフルオロアルキル基であり、即ち、上記パーフルオロアルキル化剤における極安定パーフルオロアルキルラジカルが分解して発生する低分子パーフルオロアルキルラジカルが上記Hを置換して導入されるものである。
上記パーフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基等、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤に関する説明で記載したものが挙げられる。
上記パーフルオロアルキル基は、得られるパーフルオロアルキル化有機高分子の種類により異なるが、上記パーフルオロアルキル化有機高分子についてのF/C値が、0.2以上、2.4以下となる量で上記パーフルオロアルキル化有機高分子中に存在することが好ましい。
例えば、上記C−H含有有機高分子がHDPEである場合、上記パーフルオロアルキル基は、HDPEについてのF/C値が、0.2〜0.6となる量で上記HDPE分子中に存在しうる。
本明細書において、上記「F/C値」は、X線光電子分析装置を用い、測定温度40℃にてESCAにより測定し、算出したものである。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法により得られるパーフルオロアルキル化有機高分子は、上述のC−H含有有機高分子からなる組成物の形態に応じ、粉末、水性分散体、ペレット、成形体等に存在するものとして得ることができる。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法において用いる極安定パーフルオロアルキルラジカルは、本発明のパーフルオロアルキル化剤に関して説明したように、常温において安定であり、取り扱い性に優れる一方、加熱等により容易に分解し、低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生させることができる。また、上記低分子パーフルオロアルキルラジカルは、上述のC−H含有有機高分子に作用するので、上記C−H基におけるHと置換することができる。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法は、即ち、(1)上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤が一定の温度以上で上記低分子パーフルオロアルキルラジカルを容易に発生しうること、及び、(2)上記低分子パーフルオロアルキルラジカルが、上述のC−H含有有機高分子に作用し、上記C−H結合におけるHがパーフルオロアルキル基に置換しうることを利用して、パーフルオロアルキル化有機高分子を製造するものである。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法は、上述のC−H結合を有するC−H含有有機高分子に上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤を作用させることからなるものであって、例えばフッ素ガスを作用させる際に必要とされるような特別な装置を必要とせず、また、過酸化物等の触媒を用いず簡便に行うことができるので、プラズマ処理やヘキサフルオロアセトンによる処理等、従来のフッ素化方法と比べて、製造コストでも、また安全の観点からも好ましい。
本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法により得られるパーフルオロアルキル化有機高分子は、上述のようにパーフルオロアルキル基を有するので、撥水撥油性、非粘着性、潤滑性、耐薬品性、耐侯性等に優れている。例えば、上記パーフルオロアルキル化有機高分子の臨界表面張力は、使用するC−H含有有機高分子により異なるが、通常15〜50dyne/cmである。上記臨界表面張力の値は、パーフルオロアルキル基が多く導入されている点で、低いほど好ましい。例えば、使用するC−H含有有機高分子がPEの場合、上記臨界表面張力の好ましい上限は30dyne/cmである。
本明細書において、上記「臨界表面張力」は、接触角測定装置を用いて23℃にて接触角θを測定し、ジスマンプロットより算出したものである。
上記パーフルオロアルキル化有機高分子は、C−H基含有有機高分子からなる組成物が上述の成形品、コーティング又はキャスト膜である場合、本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法により得たものを所望によりそのまま用いてもよいし、切削等の2次加工を行ってもよい。上記パーフルオロアルキル化有機高分子はC−H基含有有機高分子からなる組成物が上述の粉末又は水性分散液である場合、用途に応じ、例えば、成形品、塗料、コーティング、キャスト膜等に加工して、各種用途に用いることができる。
本発明のパーフルオロアルキル化剤は、上記構成よりなるものであるので、特別な装置等を必要としない加熱等の簡便な方法により、C−H基含有有機高分子中のC−H基のHをパーフルオロアルキル基に置換することができる。本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法は、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤を使用するものなので、簡便にかつ安全にパーフルオロアルキル化有機高分子を製造することができ、得られるパーフルオロアルキル化有機高分子は、パーフルオロアルキル基の効果によって、撥水撥油性、非粘着性、潤滑性、耐薬品性、耐侯性等に優れた成形体の作製に好適に用いることができる。
本発明を実施例、比較例及び参考例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例、比較例及び参考例によって限定されるものではない。
各実施例、参考例及び比較例において、以下の方法を用いて各測定を行った。
(1)ESCA:X線光電子分析装置(商品名:ESCA−3400、SHIMADZU社製)を用い、測定温度40℃にて測定した。
(2)臨界表面張力:接触角測定装置(商品名:FACE接触角計CA−DT・A型、協和界面科学社製)を用いて、23℃にて、水、ヨウ化メチレン、n−ヘキサデカンに対する接触角θを測定し、ジスマンプロットより算出した。
(3)引張試験:引張試験評価装置(商品名:テンシロン万能試験機RTC−1225A、オリエンテック社製)を用い、ASTM D−1708に準拠する条件で測定を行った。測定温度23℃、試験速度50mm/minとした。
なお、各実施例において使用した試薬Aは、パーフルオロ−3−エチル−2,4−ジメチル−3−ペンチル(57.6質量%;ここで、「質量%」は試薬Aの全質量に対する割合。以下、同じ。)、ヘキサフルオロプロピレン三量体(17.8質量%)及びパーフルオロ−3−エチル−2,4−ジメチルペンタン(24.2質量%)からなるものである。
実施例1
容量100mlのステンレス製耐圧容器に、基材として圧縮成型にて作製した高密度ポリエチレン[HDPE]のプレスシート(2cm×2cm、厚さ:2mm)を入れ、試薬A6.5gを入れて、密閉後、容器内の気体を窒素に置換し、反応系における酸素濃度を6ppmとした。そして、上記ステンレス製耐圧容器を85℃の電気炉内で24時間加熱した。容器からサンプルを取りだし、表面の試薬を拭き取り、60分間風乾し、ESCAによりF/C値を算出し、接触角を測定して臨界表面張力を算出した。
また、基材としてHDPEのプレスシート(厚さ:2mm)から作製した引張試験用の試験片を使用した以外は、上記と同様の方法でサンプルを調製した。得られたサンプルの引張強度を測定し、機械特性評価を行った。
実施例2
基材としてHDPEのフィルム(2cm×2cm、厚さ:0.2mm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し、F/C値及び臨界表面張力を測定した。また、実施例1と同様の方法で、HDPEのプレスシート(厚さ:0.2mm)から引張試験用の試験片を作成し、機械特性評価を行った。
実施例3
容量100mlのステンレス製耐圧容器に、基材としてポリイミド[PI]フィルム(2cm×2cm、厚さ:25μm;商品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製)を入れ、試薬A5.3gを入れて、密閉後、容器内の気体を窒素に置換し、反応系における酸素濃度を6ppmとした。そして、上記ステンレス製耐圧容器を85℃の電気炉内で48時間加熱した。容器からサンプルを取りだし、表面の試薬を拭き取り、60分間風乾し、ESCAによりF/C値を算出し、接触角を測定して臨界表面張力を算出した。
実施例4
容量100mlのステンレス製耐圧容器に、基材としてポリエチレンテレフタレート[PET]のフィルム(2cm×2cm、厚さ:0.25mm;商品名:ルミラー、東レ社製)を入れ、試薬A5.4gを入れて、密閉後、容器内の気体を窒素に置換し、反応系における酸素濃度を6ppmとした。そして、上記ステンレス製耐圧容器を85℃の電気炉内で48時間加熱した。容器からサンプルを取りだし、表面の試薬を拭き取り、60分間風乾し、ESCAによりF/C値を算出し、接触角を測定して臨界表面張力を算出した。
比較例1
試薬としてHFP三量体6.5gを使用し、反応系における酸素濃度を8ppmに設定した以外は、実施例1と同様の方法で加熱を行い、サンプルを作製し、F/C値を算出し、接触角を測定して臨界表面張力を算出した。
比較例2
基材としてHDPEのフィルム(2cm×2cm、厚さ:0.2mm)を使用した以外は、比較例1と同様の方法で加熱を行いサンプルを作製し、接触角を測定して臨界表面張力を算出した。
比較例3
加熱温度を50℃に設定した以外は、実施例1と同様の方法で加熱を行い、サンプルを作製し、F/C値を算出し、接触角を測定して臨界表面張力を算出した。
参考例1〜4
試薬投入前の実施例1〜4の基材について、ESCAによりF/C値を算出し、接触角を測定して臨界表面張力を算出した。参考例1〜2については、更に、機械特性評価も行った。
ESCA及びF/C値に関する結果を表1に、機械特性に関する結果を表2に示す。
Figure 2006109740
Figure 2006109740
実施例1〜4で得られたサンプルは、参考例1〜4で得られたサンプルに比べF/C値が大きいことから、C−H結合におけるHが置換されていることが分かった。また、実施例1〜2で得られたサンプルは、比較例1〜2で得られたサンプルよりF/C値が大きいことから、C−H結合におけるHは、パーフルオロ−3−エチル−2,4−ジメチル−3−ペンチル(C9ラジカル)の作用により置換されていることが分かった。
更に、実施例1〜4で得られるサンプルは、参考例1〜4の処理前の基材に比べ臨界表面張力が小さいので、濡れにくく接着しにくい、即ち、撥水性に優れていることが分かった。
実施例1で得られたサンプルは、比較例3で得られたサンプルよりF/C値が大きく、臨界表面張力が小さいことから、C9ラジカルを作用させる温度は、低分子パーフルオロアルキルラジカルが発生する温度以上の場合に効果があることが分かった。
表2より、実施例1〜2の基材と参考例1〜2の基材との間で、機械特性に変化がないことから、上記各実施例により基材表面のみ改質されていることが分かった。
本発明のパーフルオロアルキル化剤は、上記構成よりなるものであるので、特別な装置等を必要としない加熱等の簡便な方法により、C−H基含有有機高分子中のC−H基のHをパーフルオロアルキル基に置換することができる。本発明のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法は、上述の本発明のパーフルオロアルキル化剤を使用するものであるので、簡便にかつ安全にパーフルオロアルキル化有機高分子を得ることができ、得られるパーフルオロアルキル化有機高分子は、パーフルオロアルキル基の効果によって、撥水撥油性、非粘着性、潤滑性、耐薬品性、耐侯性等に優れた成形体の作製に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. C−H結合を有するC−H含有有機高分子に作用させることにより前記C−H結合におけるHをパーフルオロアルキル基に置換するパーフルオロアルキル化剤であって、
    下記一般式(I)
    [(CFCF][(CF)CY]Ra−CF(CF)Y (I)
    (式中、Raは、不対電子1個を有する炭素原子を表し、Y、Y及びYは、同一若しくは異なって、F又はRfを表し、Rfは直鎖状又は分枝状の炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基を表す。)で表される極安定パーフルオロアルキルラジカルからなるものである
    ことを特徴とするパーフルオロアルキル化剤。
  2. 極安定パーフルオロアルキルラジカルは、60℃以上において分解して低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生するものである請求項1記載のパーフルオロアルキル化剤。
  3. 低分子パーフルオロアルキルラジカルは、トリフルオロメチルラジカルである請求項2記載のパーフルオロアルキル化剤。
  4. 極安定パーフルオロアルキルラジカルは、
    [(CFCF]Ra−CF(CF)、又は、
    [(CFCF]Ra
    (式中、Raは、前記と同じ。)である請求項1、2又は3記載のパーフルオロアルキル化剤。
  5. C−H結合を有するC−H含有有機高分子に請求項1、2、3又は4記載のパーフルオロアルキル化剤を作用させることにより前記C−H結合におけるHがパーフルオロアルキル基に置換されてなるパーフルオロアルキル化有機高分子を製造することよりなるパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法であって、
    前記パーフルオロアルキル化剤を作用させることは、極安定パーフルオロアルキルラジカルが分解して低分子パーフルオロアルキルラジカルを発生する温度以上の温度(A)で行うものである
    ことを特徴とするパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法。
  6. 温度(A)は、60℃以上である請求項5記載のパーフルオロアルキル化有機高分子製造方法。
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