JPWO2006095474A1 - 非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
タンパク質翻訳系において、選択された天然アミノ酸Xと該アミノ酸Xに対するtRNAとの結合を阻害する条件下で、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物と前記アミノ酸Xに対するtRNAとの複合体を形成し、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせることを特徴とする、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法、並びにそのキット。本発明により、単離されたmRNA又はクローン化されたDNAから得られたmRNAを用いて、簡便に、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物を製造することができる。
Description
本発明は、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法及びそのキットに関する。
近年、部位特異的変異導入法による野生型タンパク質の改変により、自然にはみられない新たな活性を有するタンパク質、野生型タンパク質とは大きく構造の異なるタンパク質の創製が試みられている。
かかる部位特異的変異導入法によるタンパク質の改変は、野生型タンパク質のアミノ酸配列への天然アミノ酸の導入、例えば、野生型タンパク質に本来存在するアミノ酸を他の天然アミノ酸と置換すること、野生型タンパク質に天然アミノ酸を付加すること等に基づくものである。
一方、野生型タンパク質のアミノ酸配列への非天然アミノ酸の導入は、例えば、人工RNAを鋳型とし、非天然アミノ酸のコドンとして「ストップコドン」を利用すること〔非特許文献1を参照〕、人工RNAを鋳型とし、非天然アミノ酸の遺伝暗号として「4連塩基」を利用すること〔特許文献1、非特許文献2を参照〕等により行なわれている
しかし、「ストップコドン」を利用する場合、例えば、大腸菌においては、ストップコドンが3種あり(UAG、UAA、UGA)、1つはストップコドンとして機能させる必要があるため、残りの2つしか使用できない。したがって、最大2種の非天然アミノ酸の導入しかできないという欠点がある。
また、「4連塩基」を利用する場合、実用的に使用するには、レアコドンを選択する必要があるため、最大でも1度に2種の非天然アミノ酸の導入しかできないという欠点がある。
国際公開第2004/009709号パンフレット Science、第244巻、第182頁、1989年発行 RNAミーティング依頼講演4要旨、宍戸昌彦、「蛋白質生合成系の有機化学的拡張と合成生命体への挑戦」日本RNA学会
本発明は、1つの側面では、天然のRNAを鋳型として用いること、簡便に、アミノ酸配列へ非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸を導入すること、アミノ酸配列への非天然アミノ酸の導入に際し、任意のセンスコドンを利用すること、多数のコドンへの非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸の割り当てを行なうこと、天然アミノ酸と非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸との任意の組合せによる所望のポリペプチド及び/又はポリエステルを得ること等の少なくとも1つを達成する、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法を提供することにある。また、本発明は、簡便に、アミノ酸配列へ非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸を導入すること、多数のコドンへの非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸の割り当てを行なうこと、天然アミノ酸と非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸との任意の組合せによる所望のポリペプチド及び/又はポリエステルを得ること等の少なくとも1つを達成する、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造用キットを提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 タンパク質翻訳系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xと該アミノ酸Xに対するtRNAとの結合を阻害する条件下で、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物と前記アミノ酸Xに対するtRNAとの複合体を形成し、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせることを特徴とする、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法、
〔2〕 アミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質により、アミノ酸Xに対するtRNAと、アミノ酸Xとの結合を阻害する、前記〔1〕記載の製造方法、
〔3〕 該阻害物質が、5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物である、前記〔2〕記載の製造方法、
〔4〕 (A)タンパク質翻訳系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xに対するtRNAと該アミノ酸Xとの結合を阻害する条件下に、さらに該アミノ酸X以外のアミノ酸Yに対するtRNAと該アミノ酸Yとを結合させる工程、並びに
(B)前記ステップ(A)で得られた産物と、鋳型となるmRNAとを用い、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体の存在下、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせる工程、
を含む、前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の製造方法、
〔5〕 1)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質と、
2)非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物と、
3)タンパク質翻訳系と、
を含有してなる、前記〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法に用いるためのキット、
〔6〕 阻害物質が、5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物である、前記〔5〕記載のキット、並びに
〔7〕 非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物に代えて、非天然アミノ酸−tRNA及び/又はヒドロキシ酸化合物−tRNAを含有してなる、前記〔5〕又は〔6〕記載のキット、
に関する。
〔1〕 タンパク質翻訳系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xと該アミノ酸Xに対するtRNAとの結合を阻害する条件下で、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物と前記アミノ酸Xに対するtRNAとの複合体を形成し、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせることを特徴とする、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法、
〔2〕 アミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質により、アミノ酸Xに対するtRNAと、アミノ酸Xとの結合を阻害する、前記〔1〕記載の製造方法、
〔3〕 該阻害物質が、5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物である、前記〔2〕記載の製造方法、
〔4〕 (A)タンパク質翻訳系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xに対するtRNAと該アミノ酸Xとの結合を阻害する条件下に、さらに該アミノ酸X以外のアミノ酸Yに対するtRNAと該アミノ酸Yとを結合させる工程、並びに
(B)前記ステップ(A)で得られた産物と、鋳型となるmRNAとを用い、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体の存在下、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせる工程、
を含む、前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の製造方法、
〔5〕 1)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質と、
2)非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物と、
3)タンパク質翻訳系と、
を含有してなる、前記〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法に用いるためのキット、
〔6〕 阻害物質が、5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物である、前記〔5〕記載のキット、並びに
〔7〕 非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物に代えて、非天然アミノ酸−tRNA及び/又はヒドロキシ酸化合物−tRNAを含有してなる、前記〔5〕又は〔6〕記載のキット、
に関する。
本発明の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法によれば、簡便に、アミノ酸配列へ非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物を導入することができ、アミノ酸配列への非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物の導入に際し、任意のセンスコドンを利用し、多数のコドンへ非天然アミノ酸を割り当てることができ、天然アミノ酸と非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物との任意の組合せによる所望のポリペプチド及び/又はポリエステルを得ることができるという優れた効果を奏する。また、本発明の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法に用いるためのキットによれば、簡便に、アミノ酸配列へ非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物を導入することができ、多数のコドンへ非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物を割り当てることができ、天然アミノ酸と非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物との任意の組合せによる所望のポリペプチド及び/又はポリエステルを得ることができるという優れた効果を奏する。
本明細書において、「天然アミノ酸」とは、生体内におけるコドンによりコードされるアミノ酸であり、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンを意味する。なお、本明細書においては、アラニンを、Ala又はA;アルギニンを、Arg又はR、アスパラギンを、Asn又はN;アスパラギン酸を、Asp又はD、システインを、Cys又はC;グルタミン酸を、Glu又はE;グルタミンを、Gln又はQ;グリシンを、Gly又はG;ヒスチジンを、His又はH、イソロイシンを、Ile又はI;ロイシンを、Leu又はL;リジンを、Lys又はK;メチオニンを、Met又はM;フェニルアラニンを、Phe又はF;プロリンを、Pro又はP;セリンを、Ser又はS;スレオニンを、Thr又はT;トリプトファンを、Trp又はW;チロシンを、Tyr又はY;バリンを、Val又はVと表記する場合がある。
前記「非天然アミノ酸」とは、アミノ酸骨格を有する化合物であり、前記天然アミノ酸を除く化合物を意味する。さらに、前記「アミノ酸骨格」とは、アミノ酸中のカルボキシル基と、アミノ基と、該カルボキシル基と該アミノ基とを連結する部分とから構成される部分を意味する。
本発明の製造方法に用いられうる非天然アミノ酸としては、特に限定されないが、リボソームを介した導入を行なえる化合物であればよく、具体的には、例えば、β−アミノ酸等の主鎖長の異なる化合物、ナフチルアラニン、ビフェニルアラニン、アンスラリルアラニンのように広い芳香環面を持つ化合物、アジドチロシンのように高い反応基を有する化合物等が挙げられる。
なお、本発明においては、前記アミノ酸及び非天然アミノ酸のようにアミド結合を介して重合する化合物の他、例えば、エステル結合等を介して重合する化合物を用いることもできる。かかる化合物としては、リボソームを介した導入を行なえる化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸等のヒドロキシ酸化合物が挙げられ、より具体的には、フェニルアラニンヒドロキシ類縁体、3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸等が挙げられる。
本明細書において、非天然アミノ酸含有化合物とは、前記非天然アミノ酸の部分を、化学結合(アミド結合)を介して有する化合物を意味する。また、ヒドロキシ酸含有化合物とは、前記ヒドロキシ酸化合物の部分を、エステル結合等を介して有する化合物をいい、ヒドロキシ酸の誘導体をも包含する。
本発明は、1つの側面では、タンパク質翻訳系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xと該アミノ酸Xに対するtRNAとの結合を阻害する条件下で、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物と前記アミノ酸Xに対するtRNAとの複合体を形成し、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせることを特徴とする、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法に関する。
本発明の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法は、タンパク質合成過程におけるアミノ酸と該アミノ酸に対するtRNAとの結合、すなわち、tRNAのアミノアシル化の過程において、選択されたアミノ酸に対するtRNAと該アミノ酸との結合を阻害することに1つの大きな特徴がある。
そのため、本発明の製造方法によれば、前記選択されたアミノ酸に代わる非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物と前記tRNAとの複合体を形成させ、タンパク質翻訳系による翻訳を行なうことができる。
また、本発明の製造方法は、tRNAのアミノアシル化の過程において、選択されたアミノ酸に対するtRNAと該アミノ酸との結合を阻害し、該選択されたアミノ酸に代わる非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物を前記tRNAに結合させ、タンパク質翻訳系による翻訳を行なうことに1つの大きな特徴がある。
したがって、本発明の製造方法によれば、生体から単離した特定のポリペプチドをコードするDNA又はその転写産物であるmRNAをそのままの状態で鋳型として用いることができる。さらに、本発明の製造方法によれば、簡便な操作で、所望のアミノ酸配列へ非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物を導入することができる。また、本発明の製造方法によれば、アミノ酸配列への非天然アミノ酸の導入に際し、任意のセンスコドンを利用し、多数のコドンへ非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物を割り当てることができる。さらに、本発明の製造方法によれば、天然アミノ酸と非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物との任意の組合せによる所望のポリペプチド及び/又はポリエステルを簡便に得ることができる。
本発明の製造方法においては、天然のtRNAが用いられているため、天然アミノ酸に対するtRNAの種類にあわせ、最大20種の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸を用いることができる。
本発明の製造方法においては、アミノ酸Xに対するtRNAとアミノ酸Xとの結合の阻害は、例えば、前記アミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質により、アミノアシルtRNA合成酵素を阻害し、それにより、アミノ酸Xに対するtRNAと、アミノ酸Xとの結合を阻害すること等により行なわれうる。
前記のように、アミノアシルtRNA合成酵素を阻害する場合、特定のtRNAのアミノアシル化を阻害することができ、任意のセンスコドンを、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物に割り当てることができ、多数のコドンへの非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物の割り当てが可能になる点で有利である。すなわち、本発明の製造方法においては、アミノアシルtRNA合成酵素を阻害することにより、天然アミノ酸と非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物との任意の組合せで、所望のポリペプチド及び/又はポリエステル、およびタンパク質を合成することができる。
前記阻害物質としては、例えば、下記式(I):
〔式中、Rは、アラニン残基、アルギニン残基、アスパラギン残基、アスパラギン酸残基、システイン残基、グルタミン酸残基、グルタミン残基、グリシン残基、ヒスチジン残基、イソロイシン残基、ロイシン残基、リジン残基、メチオニン残基、フェニルアラニン残基、プロリン残基、セリン残基、スレオニン残基、トリプトファン残基、チロシン残基及びバリン残基からなる群より選ばれたアミノ酸残基を示す〕
で示される5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物、5’−O−[N−(アミノアシル)スルファミド]アデノシン誘導体等;5’−O−[N−(アミノアシル)スルファメート]アデノシン誘導体等のアミノアシル−ATP類縁体;ミュピロシン、フラノマイシン、シスペンタシン等のアミノアシル化反応阻害を目的とする抗生物質等が挙げられる。また、本発明においては、前記阻害物質として、アミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体又はその断片、アミノアシルtRNA合成酵素に対するDNAアプタマー等も使用されうる。
で示される5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物、5’−O−[N−(アミノアシル)スルファミド]アデノシン誘導体等;5’−O−[N−(アミノアシル)スルファメート]アデノシン誘導体等のアミノアシル−ATP類縁体;ミュピロシン、フラノマイシン、シスペンタシン等のアミノアシル化反応阻害を目的とする抗生物質等が挙げられる。また、本発明においては、前記阻害物質として、アミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体又はその断片、アミノアシルtRNA合成酵素に対するDNAアプタマー等も使用されうる。
前記5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物としては、例えば、下記式(II):
で示される5’−O−[N−(フェニルアラニル)スルファモイル]アデノシン(Phe−SA)、下記式(III):
で示される5’−O−[N−(イソロイシニル)スルファモイル]アデノシン(Ile−SA)等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、アミノ酸Xに対するtRNAと、アミノ酸Xとの結合の阻害は、前記アミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質の存在下に、タンパク質翻訳系を予めインキュベーションすること(プレインキュベーション)により行なわれうる。
前記プレインキュベーションの時間は、特に限定されないが、アミノアシルtRNA合成酵素を阻害するに十分な時間であればよい。例えば、前記Phe−SAを用いる場合、インキュベーションは、デアシル化反応を十分に行なう観点から、30分以上、好ましくは、60分以上、より好ましくは、90分以上であることが望ましく、タンパク質翻訳活性を十分に発揮させる観点から、120分以下、好ましくは、90分以下、より好ましくは、60分以下であることが望ましい。
前記プレインキュベーションの温度は、特に限定されないが、好ましくは、37〜50℃が望ましい。
本発明の製造方法に用いられる「タンパク質翻訳系」としては、tRNA、アミノアシルtRNA合成酵素、リボソーム、アミノ酸、ATP、GTP、Mg2+、K+、リリースファクター、リボソームリサイクリングファクター、エロンゲーションファクター等、真核生物のタンパク質翻訳系においては、クレアチンリン酸、クレアチンリンサンキナーゼ等、大腸菌のタンパク質翻訳系においては、ホスホエノールピルビン酸、ピルビン酸キナーゼ等を少なくとも含有した反応系が挙げられる。
前記5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物等の阻害物質は、大腸菌等の生細胞とともにインキュベーションされることにより、該細胞内に浸透し、対応するアミノ酸に特異的なアミノアシルtRNA合成酵素を阻害することができる。従って、前記成分を含有する反応系である限り、本発明の製造方法に用いられる「タンパク質翻訳系」としては、生細胞を使用してもよいし、無細胞タンパク質翻訳系を使用してもよい。
前記のタンパク質翻訳系として使用され得る生細胞としては、大腸菌、酵母、植物培養細胞、昆虫培養細胞、動物培養細胞、超高熱菌等が挙げられる。かかる生細胞をタンパク質翻訳系として使用する態様は、簡便に大量の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物が得られるという点において有効である。また、前記「無細胞タンパク質翻訳系」としては、例えば、大腸菌由来の無細胞抽出液、超高熱菌由来の無細胞抽出液、小麦由来の無細胞抽出液、ウサギ由来の無細胞抽出液等が挙げられる。
本発明の製造方法において、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体は、タンパク質翻訳系において形成させうる。また、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体は、例えば、
1)非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とジヌクレオチドpdCpAとを結合させて、非天然アミノ酸−pdCpA又はヒドロキシ酸化合物−pdCpAを得る工程、及び
2)特定のアミノ酸に対する、3’末端のCAジヌクレオチドを欠損したtRNA(tRNA−CA)と、前記非天然アミノ酸−pdCpA又はヒドロキシ酸化合物−pdCpAとを連結する工程、
を含む方法や、非天然アミノ酸及びヒドロキシ酸化合物をtRNAに連結できる改変アミノアシル化酵素(例えば、Methods 36(2005)227−238)等の酵素を用いる方法によっても得られうる。
作業の容易性および経済性の観点から、「タンパク質翻訳系」として、生細胞を使用する場合は、酵素を用いる方法を使用して、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体を形成させることが好ましい。
1)非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とジヌクレオチドpdCpAとを結合させて、非天然アミノ酸−pdCpA又はヒドロキシ酸化合物−pdCpAを得る工程、及び
2)特定のアミノ酸に対する、3’末端のCAジヌクレオチドを欠損したtRNA(tRNA−CA)と、前記非天然アミノ酸−pdCpA又はヒドロキシ酸化合物−pdCpAとを連結する工程、
を含む方法や、非天然アミノ酸及びヒドロキシ酸化合物をtRNAに連結できる改変アミノアシル化酵素(例えば、Methods 36(2005)227−238)等の酵素を用いる方法によっても得られうる。
作業の容易性および経済性の観点から、「タンパク質翻訳系」として、生細胞を使用する場合は、酵素を用いる方法を使用して、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体を形成させることが好ましい。
前記工程1)における非天然アミノ酸とpdCpAとの結合に際して、非天然アミノ酸のアミノ基に、t−ブトキシカルボニル基、光脱保護能のあるNVOC基等を導入して保護し、さらに、得られた産物をシアノメチルエステル化すればよい。なお、得られた産物は、各種クロマトグラフィーにより適宜精製されうる。また、前記工程1)におけるヒドロキシ酸化合物とpdCpAとの結合に際して、ヒドロキシ酸の水酸基にジメトキシトリチル基等を導入して保護し、さらに、得られた産物をシアノメチルエステル化すればよい。なお、得られた産物は、各種クロマトグラフィーにより適宜精製されうる。
前記pdCpAは、ホスホロアミダイト法等により得られうる。得られたpdCpAは、各種クロマトグラフィーにより適宜精製されうる。
前記工程1)において、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とpdCpAとの結合後、得られた産物について、脱保護をすればよい。なお、得られた非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸−pdCpAは、各種クロマトグラフィーにより適宜精製されうる。
前記特定のアミノ酸に対するtRNA−CAは、例えば、イン・ビトロ系において転写反応を行ったのちゲル精製することにより、作製されうる。
工程2)において、前記非天然アミノ酸−pdCpA又はヒドロキシ酸化合物−pdCpAと、前記特定のアミノ酸に対するtRNA−CAとは、例えば、リガーゼを用いることにより連結させることができる。
前記「タンパク質翻訳反応条件」としては、用いられるタンパク質翻訳系の種類により異なるが、例えば、大腸菌のタンパク質翻訳系の場合、37℃で60分、42℃で30分等の条件が挙げられる。
本発明の製造方法は、より具体的には、例えば、(A)タンパク質翻訳系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xに対するtRNAと、該選択されたアミノ酸Xとの結合を阻害する条件下に、該アミノ酸X以外のアミノ酸Yに対するtRNAと該アミノ酸Yとを結合させる工程、並びに
(B)前記ステップ(A)で得られた産物と、鋳型となるmRNAとを用い、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体の存在下、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせる工程、
を含むプロセスにより行なわれうる。
(B)前記ステップ(A)で得られた産物と、鋳型となるmRNAとを用い、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体の存在下、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせる工程、
を含むプロセスにより行なわれうる。
本発明の製造方法によれば、種々の材料化学、特に、非天然型アミノ酸の化学的性質を利用したナノテクノロジーなどの基礎研究分野への応用、生体の生命機能を発現させる様々な生体分子、例えば、タンパク質の化学的機能に着目した人工タンパク分子デバイス等の創製等が期待される。
本発明は、他の側面では、1)前記アミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質と、
2)非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物と、
3)タンパク質翻訳系と、
を含有した、本発明の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法に用いるためのキットに関する。
2)非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物と、
3)タンパク質翻訳系と、
を含有した、本発明の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法に用いるためのキットに関する。
本発明のキットにおける阻害物質と、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物とタンパク質翻訳系とは、前記と同様である。
本発明のキットは、前記阻害物質と非天然アミノ酸、ヒドロキシ酸化合物とタンパク質翻訳系とを含有することに1つの大きな特徴がある。したがって、本発明のキットによれば、本発明の製造方法を簡便に行なうことができる。また、本発明のキットによれば、アミノ酸配列へ非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物を導入することができ、多数のコドンへ非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物を割り当てることができ、天然アミノ酸と非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物との任意の組合せによる所望のポリペプチドを得ることができる。
本発明のキットは、前記2)の非天然アミノ酸に代えて、非天然アミノ酸−tRNA及び/又はヒドロキシ酸化合物−tRNAを含有してもよい。また、本発明のキットは、適宜、タンパク質翻訳系に必要な各種試薬を含有してもよい。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
調製例1
(1)N−Boc−L−ナフチルアラニン シアノメチルエステルの調製
N−Boc−L−ナフチルアラニン〔1.0mmol、ワタナベケミカル(Watanabe Chemical)社製〕300mgを、トリエチルアミン(2当量)とクロロアセトニトリル(3当量)との混合物に溶解させ、得られた溶液を、室温で12時間撹拌した。その後、得られた産物に、酢酸エチル100mLを添加し、ついで、1M 重硫酸ナトリウム水溶液を添加して、抽出を行なった。得られた有機層を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、重硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧乾燥させ、それにより、収率86%で黄色の粉末 304mgを得た。
(1)N−Boc−L−ナフチルアラニン シアノメチルエステルの調製
N−Boc−L−ナフチルアラニン〔1.0mmol、ワタナベケミカル(Watanabe Chemical)社製〕300mgを、トリエチルアミン(2当量)とクロロアセトニトリル(3当量)との混合物に溶解させ、得られた溶液を、室温で12時間撹拌した。その後、得られた産物に、酢酸エチル100mLを添加し、ついで、1M 重硫酸ナトリウム水溶液を添加して、抽出を行なった。得られた有機層を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、重硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧乾燥させ、それにより、収率86%で黄色の粉末 304mgを得た。
得られた黄色の粉末の化合物を、商品名:Varian Mercury 400(400MHz)スペクトロメーターに供し、1H NMRスペクトルを得た。結合定数(J値)をHzで示す。ケミカルシフトを、内部標準として残存クロロホルム(d=7.24)を用いて、テトラメチルシランからの低磁場のppmで示す。また、得られた黄色の粉末の化合物を、商品名:JMS DX−300スペクトロメーター(JEOL社製)に供し、FABマススペクトルを得た。
得られた1H NMRスペクトルのケミカルシフトは、1H NMR(CDCl3、300Hz)d=7.82(m,3H),7.62(s,1H),7.48(m,2H),7.29(d,1H,J=1.5),4.94(d,1H,J=7.8),4.74(m,3H),3.28(m,2H),1.40(s,9H)である。また、FABマススペクトルにより、分子量354と算出された。
(2)L−ナフチルアラニルpdCpAの調製
化学リン酸化試薬(商品名:Chemical Phosphorylation reagent〔グレンリサーチ(Glen Research)社製〕)、デオキシシトシンホスホロアミダイト〔グレンリサーチ(Glen Research)社製〕)、及びCPG固定化アデノシン(商品名:Bz−A−CPG〔グレンリサーチ(Glen Research)社製〕)を用いて、商品名:ABI392 DNA/RNAシンセサイザー〔パーキン−エルマー(Perkin−Elmer)社製〕で、ジヌクレオチドpdCpAを合成した。合成したpdCpAについて、アンモニア水(6mL)中、55℃で脱保護を行ない、その後、溶媒をスピードバック・凍結乾燥により除去した。ついで、得られた産物を、1M テトラブチルアンモニウム溶液 1mLに再溶解した。得られた溶液を、商品名:Wakosil 5C18カラムでの逆相HPLCに供し、0〜50容積% アセトニトリル−水のリニアグラジェントにより精製し、pdCpAのテトラ−n−ブチルアンモニウム塩を得た。
化学リン酸化試薬(商品名:Chemical Phosphorylation reagent〔グレンリサーチ(Glen Research)社製〕)、デオキシシトシンホスホロアミダイト〔グレンリサーチ(Glen Research)社製〕)、及びCPG固定化アデノシン(商品名:Bz−A−CPG〔グレンリサーチ(Glen Research)社製〕)を用いて、商品名:ABI392 DNA/RNAシンセサイザー〔パーキン−エルマー(Perkin−Elmer)社製〕で、ジヌクレオチドpdCpAを合成した。合成したpdCpAについて、アンモニア水(6mL)中、55℃で脱保護を行ない、その後、溶媒をスピードバック・凍結乾燥により除去した。ついで、得られた産物を、1M テトラブチルアンモニウム溶液 1mLに再溶解した。得られた溶液を、商品名:Wakosil 5C18カラムでの逆相HPLCに供し、0〜50容積% アセトニトリル−水のリニアグラジェントにより精製し、pdCpAのテトラ−n−ブチルアンモニウム塩を得た。
得られたpdCpAのテトラ−n−ブチルアンモニウム塩を、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。得られたpdCpA テトラ−n−ブチルアンモニウム塩のDMF溶液(20μL、0.5μmol)に、前記(1)で得られたN−Boc−L−ナフチルアラニン シアノメチルエステル 10μmolを添加し、得られた溶液を室温で3時間インキュベーションすることにより、pdCpAのアミノアシル化を行なった。
ついで、得られた産物を、商品名:Wakosil 5C18カラムでの逆相HPLCに供し、5〜75容積% アセトニトリルの0.1M トリエチルアミン酢酸(TEAA)緩衝液(pH7.0)のリニアグラジェントにより精製し、N−Boc−L−ナフチルアラニルpdCpAを得た。得られた産物を、凍結乾燥させ、氷中、トリフルオロ酢酸 100μLに再溶解させた。
得られた溶液を、氷上で10分間放置し、N2ガスを吹き付けることによりトリフルオロ酢酸を除去した。残渣を、1mLのジエチルエーテルで洗浄し、残った沈殿を、遠心分離(15,000×g、4℃で30分間)で回収した。前記ジエチルエーテルによる洗浄と遠心分離とのサイクルを2回繰り返した。得られた産物について、α−シアノ−4−オキシ桂皮酸をマトリックスとして用いて、商品名:Voyager Elite装置〔アプライドバイオシステム(Applied Biosystem)社製〕で、MALDI−TOFマススペクトルを測定した結果、分子量832.08であり、L−ナフチルアラニルpdCpAが得られたことが示された。得られたL−ナフチルアラニルpdCpAを、ジメチルスルホキシドに溶解させ、3mM L−ナフチルアラニルpdCpAのDMSO溶液を得た。
(3)酵母tRNAPhe GAA−CAのRun−off転写
QuikChange(登録商標)Site Directed Mutagenesis Kit〔ストラタジーン(Stratagene)社製〕を用いて、酵母tRNAPhe CUA−CAをコードするプラスミド(大阪大学の遠藤博士より供与)に部位特異的に変異導入し、それにより、T7プロモーターの制御下に酵母tRNAPhe GAA−CAをコードするプラスミドを調製した。
QuikChange(登録商標)Site Directed Mutagenesis Kit〔ストラタジーン(Stratagene)社製〕を用いて、酵母tRNAPhe CUA−CAをコードするプラスミド(大阪大学の遠藤博士より供与)に部位特異的に変異導入し、それにより、T7プロモーターの制御下に酵母tRNAPhe GAA−CAをコードするプラスミドを調製した。
得られたプラスミド 30μgを、1×反応緩衝液〔ニューイングランドバイオラボ社製〕110μLに溶解させた。得られた溶液に、20ユニットのFokI〔ニューイングランドバイオラボ社製〕を添加し、得られた溶液を、37℃で6時間インキュベーションし、ついで、65℃で20分間インキュベーションした。得られた溶液は、精製せずに、転写反応に用いた。
FokI−直鎖状化プラスミド溶液 55μLと各2μmolのNTP(MBI社製)と5μmolのGMP〔シグマ(Sigma)社製〕と80UのRNaseインヒビター〔東洋紡績株式会社製〕と1Uの無機ピロホスファターゼ〔カルビオケム−ノバビオケム(Calbiochem−Novabiochem)社製〕と2200UのT7 RNAポリメラーゼ〔東洋紡績株式会社製〕と10μLの10×反応緩衝液〔組成:400mM Tris−HCl(pH8.0)、200mM MgCl2、50mM DTT〕とを含む反応溶液 500μLを、37℃、8時間インキュベーションし、転写反応を行なった。
キアジェン(QIAGEN)社製DNA/RNAキットを用いて、転写された酵母tRNAPhe GAA−CAを精製した。
(4)ミスアシレーションされた全長tRNAの調製
前記(3)で得られたtRNAPhe GAA−CA 10μgと、前記(2)で得られたL−ナフチルアラニルpdCpAのDMSO溶液(L−ナフチルアラニルpdCpA 12pmol)と、50UのT4 RNAリガーゼ〔タカラバイオ株式会社製〕とを含む反応溶液〔組成:55mM Hepes−Na(pH7.5)、15mM MgCl2、3.3mM DTT、1mM ATP〕20μLを、4℃で2時間インキュベーションし、tRNAPhe GAA−CAとL−ナフチルアラニルpdCpAとをライゲーションさせた。得られた産物を、0.45M 酢酸カリウム水溶液(pH5.0)40μLで希釈した。
前記(3)で得られたtRNAPhe GAA−CA 10μgと、前記(2)で得られたL−ナフチルアラニルpdCpAのDMSO溶液(L−ナフチルアラニルpdCpA 12pmol)と、50UのT4 RNAリガーゼ〔タカラバイオ株式会社製〕とを含む反応溶液〔組成:55mM Hepes−Na(pH7.5)、15mM MgCl2、3.3mM DTT、1mM ATP〕20μLを、4℃で2時間インキュベーションし、tRNAPhe GAA−CAとL−ナフチルアラニルpdCpAとをライゲーションさせた。得られた産物を、0.45M 酢酸カリウム水溶液(pH5.0)40μLで希釈した。
得られた溶液に、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25/24/1)60μLを添加して、tRNAPhe GAA−CAとL−ナフチルアラニルpdCpAとから生成した産物(Nap−tRNA)を含む水層を得た。得られた水層に、クロロホルム60μLを添加して、Nap−tRNAを含む水層を得た。前記水層に、100(v/v)% エタノール350μLを添加し、ついで、15000×gの遠心分離により、Nap−tRNA沈殿を回収した。回収したNap−tRNA沈殿を、冷70%(v/v)エタノール(120μL)で1回洗浄し、真空下に乾燥させ、1mM 酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0)4μLに再懸濁させた。
調製例2〜5
調製例1と同様にして、Nap−tRNAPhe GAU、Nap−tRNAPhe CAC、Bph−tRNAPhe GAU、及びIdo−tRNAPhe CACを得た。
調製例1と同様にして、Nap−tRNAPhe GAU、Nap−tRNAPhe CAC、Bph−tRNAPhe GAU、及びIdo−tRNAPhe CACを得た。
実施例1 Phe−SAによるDHFR発現の抑制作用の確認
(1)DHFR発現鋳型の構築
全6個のPheコドン(3個のUUUコドン及び3つのUUCコドン)を含み、N−末端にT7−タグを有するE.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR[6])のmRNA鋳型を、以下のように調製した。
(1)DHFR発現鋳型の構築
全6個のPheコドン(3個のUUUコドン及び3つのUUCコドン)を含み、N−末端にT7−タグを有するE.coliジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR[6])のmRNA鋳型を、以下のように調製した。
E.coli DHFR遺伝子(6つのPheを有する;以下、「pDHFR[6]」という)を含むプラスミド〔Post Genome Instituteの清水博士より供与〕と、商品名:QuikChange(登録商標)Site Directed Mutagenesis Kit〔ストラタジーン(Stratagene)社製〕とを用いて、前記DHFR[6]をコードする核酸の塩基配列における6つのPheコドンの全てを他のコドンに置換し、Pheコドンを全く含まないpDHFR[0]鋳型を得た。なお、前記DHFR[6]をコードする核酸において、31位のUUUをGUUに、103位のUUCをCUCに、125位のUUUをUACに、137位のUUCをUACに、140位のUUCをUACに、153位のUUUをUAUに置換した。
また、1つのPheコドンを含むDHFR[1]鋳型を、前記と同様の方法で、pDHFR[0]の137位のUUCコドンを元のUUCに戻すことにより調製した。
得られた鋳型 20ngを用い、T7タグとSD配列とを有するフォワードプライマー(4pmol)[配列番号:1;5’−(AAGGAGATATACCAATGGCTAGCATGACTGGTGGACAGCAAATG GGTATCAGTCTGATTGCG)−3’〔オペロン(Operon)社製〕]と、リバースプライマー(4pmol)[配列番号:2;5’−(TATTCATTACCGCCG CTCCAGAATCTCATAGCAATAGCT)−3’〔オペロン(Operon)社製〕]と、1.25UのPfu Ultra HF DNAポリメラーゼ〔ストラタジーン(Stratagene)社製〕と、各4nmolのdNTP〔東洋紡績株式会社製〕と10×Pfu Ultra HF反応緩衝液 2μLとを含む反応混合物 20μL中で、1st PCRを行なった。その後、得られたPCR産物を、アガロースゲル電気泳動に供し、精製し、精製1st PCR産物を得た。
精製1st PCR産物 0.1pmolを鋳型として用い、T7プロモーターを有するユニバーサルプライマー(4pmol)[配列番号:3;5’−d(GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACCA)−3’〔オペロン(Operon)社製〕]とリバースプライマー 4pmolと、1.25UのPfu Ultra HF DNAポリメラーゼと、各4nmolのdNTPと、10×Pfu Ultra HF反応緩衝液 2μLとを含む反応混合物 20μL中で、2nd PCRを行なった。得られた二本鎖鋳型DNAは、T7プロモーターと、SD配列と開始コドン(ATG)と、N末端におけるT7タグ配列と、終止コドン(TAA)とを有するDNAであった。
得られたDNAを鋳型とし、商品名:T7 MEGAshortscriptキット〔アンビオン(Ambion)〕を用いたT7 run−off転写により、DHFR[x]mRNA(x=6、1又は0)を得、商品名:RNeasy MinElute Clean Upキット〔キアジェン(Qiagen)社製〕で精製した。
(2)DHFRの翻訳及びウエスタンブロット解析
5μM 5’−O−[N−(フェニルアラニル)スルファモイル]アデノシン〔Phe−SA(RNA−TEC製)〕の存在下又は非存在下に、再構成E.coli翻訳溶液〔Classic I(ポストゲノムインスティチュート(Post Genome Institute)製〕8μLを、37℃又は50℃で0、30又は60分インキュベーションした。
5μM 5’−O−[N−(フェニルアラニル)スルファモイル]アデノシン〔Phe−SA(RNA−TEC製)〕の存在下又は非存在下に、再構成E.coli翻訳溶液〔Classic I(ポストゲノムインスティチュート(Post Genome Institute)製〕8μLを、37℃又は50℃で0、30又は60分インキュベーションした。
その後、得られた産物に、mRNA鋳型 1.8μgとNap−tRNA 5μgとを添加又はmRNA鋳型 1.8μgのみを添加して全11.5μLとし、得られた混合物を37℃で60分間インキュベーションして、翻訳を行ない、T7タグタンパク質を得た。
得られた産物を、試料ローディング緩衝液〔125mM Tris−HCl(pH7.4)、4(w/v)% SDS、20(w/v)% グリセロール、0.002(w/v)% ブロモフェノールブルー、10(v/v)% 2−メルカプトエタノール〕25μLと水 13.5μLと混合した。得られた試料を、95℃で5分間インキュベーションした。ついで、得られた溶液 5μLを、商品名:Mini Protein SPR300 system〔バイオラッド(Bio−Rad)社製〕を用いた15% SDS−PAGEに供した。その後、泳動後のゲル上のタンパク質を、商品名:Trans−Blot SD system〔バイオラッド(Bio−Rad)社製〕を用いて、PVDF膜〔商品名:HybondTM−P、アマシャム(Amersham)社製〕に転写させた。
その後、前記PVDF膜上のT7タグタンパク質を、抗T7−HRPコンジュゲート〔ノバジェン(Novagen)社製〕と商品名:ECL PlusTM Western Blotting Detection Reagent〔アマシャム(Amersham)社製〕とにより可視化させた。その結果を、図1に示す。
また、DHFR[0]及びDHFR[1]の収率について、別の同じ条件下で得られたDHFR[6]の収率を参照して、連続希釈された(10%、20%、40%、60%、80%、100%)DHFR[6]溶液のセットを用いたキャリブレーション後、少なくとも3回の実験のパーセント平均値±SD(標準偏差)として示した。
その結果、図1のレーン11に示されるように、DHFR[0]が、Phe−SAによりほとんど影響を受けず、効率よく合成されるのに対し、レーン8に示されるように、Phe−SAの存在下で、DHFR[6]は、10%以下に、強く抑制されることがわかる。
また、図1に示されるように、翻訳開始前に、Phe−SAの存在下に、37℃で30分又は60分プレインキュベーションする処理により、DHFR[0]の収量は、レーン6及び7それぞれに対して、レーン12及び13それぞれにおいて、90%以上であり、顕著に減少することなく、実質的に、DHFR[6](レーン9及び10)の収量を抑制することがわかる。
実施例2 Phe−tRNA複合体の形成が阻害される条件下におけるNap−tRNAを用いたタンパク質の翻訳
5μM Phe−SA(RNA−TEC製)の存在下又は非存在下に、再構成E.coli翻訳溶液〔Classic I(ポストゲノムインスティチュート(Post Genome Institute)製〕8μLを、37℃又は50℃で0、30又は60分インキュベーションした。
5μM Phe−SA(RNA−TEC製)の存在下又は非存在下に、再構成E.coli翻訳溶液〔Classic I(ポストゲノムインスティチュート(Post Genome Institute)製〕8μLを、37℃又は50℃で0、30又は60分インキュベーションした。
その後、137位における1つのPheコドン(UUU)を有するDHFR[1]mRNA鋳型 1.8μgとNap−tRNAPhe GAA 5μgとの添加又はmRNA鋳型 1.8μgのみの添加をして全11.5μLとし、得られた混合物を37℃で60分間インキュベーションして、翻訳を行ない、T7タグタンパク質を得た。
得られた産物を、試料ローディング緩衝液〔125mM Tris−HCl(pH7.4)、4(w/v)% SDS、20(w/v)% グリセロール、0.002(w/v)% ブロモフェノールブルー、10(v/v)% 2−メルカプトエタノール〕25μLと水 13.5μLと混合した。得られた試料を、95℃で5分間インキュベーションした。ついで、得られた溶液 5μLを、商品名:Mini Protein SPR300 system〔バイオラッド(Bio−Rad)社製〕を用いた15% SDS−PAGEに供した。その後、泳動後のゲル上のタンパク質を、商品名:Trans−Blot SD system〔バイオラッド(Bio−Rad)社製〕を用いて、PVDF膜〔商品名:HybondTM−P、アマシャム(Amersham)社製〕に転写させた。
その後、前記PVDF膜上のT7タグタンパク質を、抗T7−HRPコンジュゲート〔ノバジェン(Novagen)社製〕と商品名:ECL PlusTM Western Blotting Detection Reagent〔アマシャム(Amersham)社製〕とにより可視化させた。その結果を図2に示す。
その結果、図2に示されるように、Phe−SA存在下にプレインキュベーションされた反応混合物中、Nap−tRNAPhe GAAの存在下、翻訳を行なった場合、全長DHFR[1]は、レーン2の通常の条件の場合に比べ、100%以上の収率で回収されることがわかる。
実施例3 Napを1つ含有する化合物の製造1
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
1つのPhe(9位のUUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する24マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKFERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:4;m/z=2902.26)に対するmRNAを以下のように作製した。
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
1つのPhe(9位のUUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する24マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKFERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:4;m/z=2902.26)に対するmRNAを以下のように作製した。
SD配列を有するフォワードプライマー〔配列番号:5;5’−AAGGAGATATACCAATGAAAGAAACCGCTGCTGC−3’〕4pmolと、リバースプライマー〔配列番号:6;5’−(TATTCATTACTTGTCATCGTCATCCT)−3’〕4pmolと、合成DNA鋳型 0.1pmolと、商品名:Pfu Ultra HF DNAポリメラーゼ〔ストラタジーン(Stratagene)社製〕1.25Uと、各4nmolのdNTP〔東洋紡績株式会社製〕と10×Pfu Ultra HF反応緩衝液 2μLとを含む反応混合物 20μL中で1st PCRを行なった。PCR条件は、95℃3分、(95℃1分と51℃1分、72℃1分)を30サイクル、72℃10分であった。なお、前記合成DNA鋳型として、5’−ATGAAAGAAACCGCTGCTGCTAAATTCGAACGCCAGCACATGGACAGCGACTACAAGGATGACGATGACAAGTAA−3’(配列番号:7)〔オペロン(Operon)社製〕を用いた。前記配列番号:7中、FLAG−タグ〔AspTyrLysAspAspAspAspLys(配列番号:8)〕をコードする塩基配列は、塩基番号:48〜72であり、Pheコドン(TTC)は、塩基番号:25〜27である。
1stPCR後、得られた産物を、アガロースゲル電気泳動で精製した。
得られた1st PCR産物 0.1pmolと、T7プロモーターを有するユニバーサルプライマー〔配列番号:3;5’−d(GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACCA)−3’〕4pmolと、リバースプライマー 4pmolと、商品名:Pfu Ultra HF DNAポリメラーゼ 1.25Uと、各4nmolのdNTPと、10×Pfu Ultra HF反応緩衝液 2μLとを含む反応混合物 20μL中で2nd PCRを行なった。PCR条件は、95℃3分のインキュベーションの後、95℃1分と47℃1分と72℃1分とを1サイクルとする30サイクル、72℃10分のインキュベーションであった。
得られた二本鎖鋳型DNAは、T7プロモーターと、SD配列と開始コドン(ATG)と1つのPheコドン(TTC)とFLAGタグとを有する。商品名:T7 MEGAshortscriptキット〔アンビオン(Ambion)社製〕を用い、前記二本鎖鋳型DNAのT7 run−off転写を行ない、オリゴペプチド発現鋳型mRNAを得た。得られたオリゴペプチド発現鋳型mRNAを、商品名:RNeasy MinElute Clean Up Kit〔キアジェン(Qiagen)社製〕で精製した。
(2)オリゴペプチドの翻訳、精製及び質量分析
再構成E.coli翻訳溶液〔40μL、Classic I、ポストゲノムインスティチュート(Post Genome Institute)製〕を、5μM Phe−SA〔RNA−TEC製〕存在又は非存在下に、37℃又は50℃で0又は30分プレインキュベーションした。
再構成E.coli翻訳溶液〔40μL、Classic I、ポストゲノムインスティチュート(Post Genome Institute)製〕を、5μM Phe−SA〔RNA−TEC製〕存在又は非存在下に、37℃又は50℃で0又は30分プレインキュベーションした。
プレインキュベーション後の溶液に、mRNA鋳型 10μgを添加すること又はNap−tRNA 20μgと共にmRNA鋳型 10μgを添加することにより、全反応液量55.5μLとし、37℃で60分間インキュベーションして翻訳を行なった。
得られた産物に、Anti−FLAGTM M2アフィニティーゲル〔シグマ(Sigma)社製〕20μLと、溶解緩衝液〔組成:50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05% TweenTM−20〕350μLとを添加した。得られた混合物を、4℃で5時間、穏やかに反転させた。得られた産物を、商品名:MicroSpinカラム〔アマシャム(Amersham)社製〕に供し、1000×g、5秒間の遠心分離でろ過した。ろ過後に得られた前記Anti−FLAGTM M2アフィニティーゲルのアガロースビーズを、予め冷却したTBS緩衝液〔組成:50mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl〕300μLので5回洗浄した。洗浄後のアガロースビーズを、抽出緩衝液〔組成:0.1M グリシン−HCl(pH3.5)〕170μLに再懸濁させた。得られた懸濁物を、室温で5分間、穏やかに振盪させながらインキュベーションし、1000×g、5秒間の遠心分離でろ過した。
得られたろ液に、1.5M NaClを含む0.5M Tris−HCl(pH7.4)17μLを添加した。得られた溶液を、商品名:Mini Dialysis kit 1kDaカットオフ、アマシャム(Amersham)社製で大量の蒸留水に対して12時間透析し、精製オリゴペプチド溶液を得た。得られた精製オリゴペプチド溶液 1μLを、0.3% トリフルオロ酢酸を含む水とアセトニトリルとの1:1混合液に溶解させた10mg/mL α−シアノ−4−オキシ桂皮酸溶液 4μLに添加した。
得られた混合物(2μL)を、MALDIプレートにスポットし、空気乾燥させ、解析した。なお、NapがPheの代わりに取り込まれた場合、得られたペプチドのマスは、m/z=2952.28であり、(Nap−Phe)のマスシフト=+50.06Daである。MALDI−TOF MSスペクトルの結果を図3に示す。
その結果、図3の(a)に示されるように、通常の翻訳条件で得られたペプチド産物は、Sタグアッセイにより測定して、翻訳混合物 50μLから精製ペプチド 260±30ngであり、2901.76m/zにシグナルを示したにすぎない。また、図3の(b)に示されるように、Nap−tRNAPhe GAAを添加することにより、2951.44m/zにおいて非常に弱い別のシグナルの出現をもたらした。これに対して、図3の(c)に示されるように、フェニルアラニンの触媒再アシル化が、Phe−SAの添加により阻害された場合、Nap含有ハイブリッドペプチドに対応する別のより高い2951.59のシグナルが、容易に検出できるようになった。また、図3の(d)に示されるように、Phe−SA存在下、37℃で30分間インキュベーションすることにより、2951.58m/z付近のシグナルとして示される主要産物としてNap含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。さらに、図3の(e)に示されるように、Phe−SA存在下、50℃で30分間のインキュベーションにより、2951.62m/z付近のシグナルとして示される主要産物としてNap含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。
実施例4 Napを1つ含有する化合物の製造2
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
1つのIle(9位のAUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する24マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKIERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:9;m/z=2868.27)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
1つのIle(9位のAUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する24マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKIERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:9;m/z=2868.27)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(2)オリゴペプチドの翻訳、精製及び質量分析
実施例3と同様の手法によりPheコドンの代わりに、IleコドンをNap導入対象コドンとし、同様の条件におけるNap含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図4に示す。
実施例3と同様の手法によりPheコドンの代わりに、IleコドンをNap導入対象コドンとし、同様の条件におけるNap含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図4に示す。
図4に示されるように、5μM Ile−SA存在下、50℃で30分間のインキュベーションにより、2951.51m/z付近のシグナルとして示される主要産物として、効率よくNap含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。
実施例5 Napを1つ含有する化合物の製造3
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
1つのVal(11位のGUGコドン)と他の12アミノ酸とを有する24マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKFEVQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:10;m/z=2856.03)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
1つのVal(11位のGUGコドン)と他の12アミノ酸とを有する24マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKFEVQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:10;m/z=2856.03)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(2)オリゴペプチドの翻訳、精製及び質量分析
Val−SA濃度を10μMとし、Pheコドンの代わりに、ValコドンをNap導入対象コドンとし、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でNap含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図5に示す。
Val−SA濃度を10μMとし、Pheコドンの代わりに、ValコドンをNap導入対象コドンとし、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でNap含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図5に示す。
図5に示されるように、10μM Val−SA存在下、50℃で30分間のインキュベーションにより、2953.74m/z付近のシグナルとして示される主要産物として、効率よくNap含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。
実施例6 Bphを1つ含有する化合物の製造
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
実施例4と同様にして、同様のmRNAを作製した。
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
実施例4と同様にして、同様のmRNAを作製した。
(2)オリゴペプチドの翻訳、精製及び質量分析
非天然アミノ酸としてBph(Bph−tRNAGAU 20μg)を用い、IleコドンをBph導入対象コドンとし、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でBph含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図6に示す。
非天然アミノ酸としてBph(Bph−tRNAGAU 20μg)を用い、IleコドンをBph導入対象コドンとし、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でBph含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図6に示す。
図6に示されるように、5μM Ile−SA存在下、50℃で30分間のインキュベーションにより、2978.72m/z付近のシグナルとして示される主要産物として、効率よくBph含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。
実施例7 Idoを1つ含有する化合物の製造
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
実施例5と同様にして、同様のmRNAを作製した。
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
実施例5と同様にして、同様のmRNAを作製した。
(2)オリゴペプチドの翻訳、精製及び質量分析
非天然アミノ酸としてIdo(Ido−tRNACAC 20μg)を用い、ValコドンをIdo導入対象コドンとし、実施例5と同様の手法及び条件でIdo含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図7に示す。
非天然アミノ酸としてIdo(Ido−tRNACAC 20μg)を用い、ValコドンをIdo導入対象コドンとし、実施例5と同様の手法及び条件でIdo含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図7に示す。
図7に示されるように、10μM Val−SA存在下、50℃で30分間のインキュベーションにより、3029.54m/z付近のシグナルとして示される主要産物として、効率よくIdo含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。
以上の結果より、任意のアミノ酸コドンを、任意の非天然アミノ酸導入対象コドンとして用いることができることがわかる。
実施例8 PheOHを1つ含有する化合物の製造
前記実施例3におけるNapに代えて、PheOH(ヒドロキシフェニルアラニン)を用い、実施例3と同様に、PheOH含有ハイブリッドペプチドを形成させた。ついで、得られた産物を希釈アンモニア水で加水分解し、生じた産物を調べた。結果を図8に示す。
前記実施例3におけるNapに代えて、PheOH(ヒドロキシフェニルアラニン)を用い、実施例3と同様に、PheOH含有ハイブリッドペプチドを形成させた。ついで、得られた産物を希釈アンモニア水で加水分解し、生じた産物を調べた。結果を図8に示す。
その結果、図8に示されるように、Phe−SA存在下におけるプレインキュベーション後にヒドロキシフェニルアラニン付加tRNAを添加したサンプルでは、エステル加水分解により全長ポリペプチドのバンドが時間経過とともに消失していることが確認されたため、PheOHがペプチド鎖に導入されていることがわかった。
実施例9 Napを2つ含有する化合物の製造
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
2つのPhe(9位と10位のUUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する25マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKFFERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:11;m/z=3049.32)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
2つのPhe(9位と10位のUUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する25マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKFFERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:11;m/z=3049.32)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(2)オリゴペプチドの翻訳、精製及び質量分析
非天然アミノ酸としてNap(Nap−tRNAGAA 20μg)を用い、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でNap含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図9に示す。
非天然アミノ酸としてNap(Nap−tRNAGAA 20μg)を用い、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でNap含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図9に示す。
図9に示されるように、5μM Phe−SA存在下、50℃で30分間のインキュベーションにより、3149.85m/z付近のシグナルとして示される主要産物として、効率よくNap含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。
実施例10 Bphを2つ含有する化合物の製造
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
2つのIle(9位と10位のAUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する25マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKIIERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:12;m/z=2981.35)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
2つのIle(9位と10位のAUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する25マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKIIERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:12;m/z=2981.35)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(2)オリゴペプチドの翻訳、精製及び質量分析
非天然アミノ酸としてBph(Bph−tRNAGAU 20μg)を用い、IleコドンをBph導入対象コドンとし、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でBph含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図10に示す。
非天然アミノ酸としてBph(Bph−tRNAGAU 20μg)を用い、IleコドンをBph導入対象コドンとし、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でBph含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図10に示す。
図10に示されるように、5μM Ile−SA存在下、50℃で30分間のインキュベーションにより、3201.94m/z付近のシグナルとして示される主要産物として、効率よくBph含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。
以上の結果より、複数のアミノ酸コドンに、非天然アミノ酸を導入することができることがわかる。
実施例11 NapとBphとを含有する化合物の製造
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
それぞれ1つのPhe(9位のUUCコドン)とIle(10位のAUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する25マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKFIERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:13;m/z=3015.34)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(1)オリゴペプチド発現鋳型の構築
それぞれ1つのPhe(9位のUUCコドン)とIle(10位のAUCコドン)と他の12アミノ酸とを有する25マーのオリゴペプチドH2N−fMKETAAAKFIERQHMDSDYKDDDDK−CO2H〔配列番号:13;m/z=3015.34)に対するmRNAを実施例3と同様にして作製した。
(2)オリゴペプチドの翻訳、精製及び質量分析
非天然アミノ酸としてNap(Nap−tRNAGAA 20μg)及びBph(Bph−tRNAGAU 20μg)を用い、PheコドンをNap導入対象コドン、IleコドンをBph導入対象コドンとし、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でNap及びBph含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図11に示す。
非天然アミノ酸としてNap(Nap−tRNAGAA 20μg)及びBph(Bph−tRNAGAU 20μg)を用い、PheコドンをNap導入対象コドン、IleコドンをBph導入対象コドンとし、プレインキュベーションを50℃、30分で行った以外は実施例3と同様の手法及び条件でNap及びBph含有ハイブリッドペプチドの形成を調べた。その結果を図11に示す。
図11に示されるように、5μM Phe−SA及び5μM Ile−SA存在下、50℃で30分間のインキュベーションにより、3175.97m/z付近のシグナルとして示される主要産物として、効率よくNap及びBph含有ハイブリッドペプチドが得られることがわかる。
以上の結果より、複数種のアミノ酸コドンに、それぞれ異なる非天然アミノ酸を導入することができることがわかる。
略語一覧
Nap:ナフチルアラニン
Bph:ビフェニルアラニン
Ido:ヨードフェニルアラニン
SA:5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン
pdCpA:5’−ホスフェートー2’−デオキシシチジリルー(3’−5’)アデノシン
Nap:ナフチルアラニン
Bph:ビフェニルアラニン
Ido:ヨードフェニルアラニン
SA:5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン
pdCpA:5’−ホスフェートー2’−デオキシシチジリルー(3’−5’)アデノシン
本発明により、単離されたmRNA又はクローン化されたDNAから得られたmRNAを用いて、簡便に、非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物を製造することができる。
配列番号:1は、プライマーの配列である。
配列番号:2は、プライマーの配列である。
配列番号:3は、プライマーの配列である。
配列番号:4は、オリゴペプチドの配列である。
配列番号:5は、プライマーの配列である。
配列番号:6は、プライマーの配列である。
配列番号:7は、プライマーの配列である。
配列番号:8は、プライマーの配列である。
配列番号:9は、オリゴペプチドの配列である。
配列番号:10は、オリゴペプチドの配列である。
配列番号:11は、オリゴペプチドの配列である。
配列番号:12は、オリゴペプチドの配列である。
配列番号:13は、オリゴペプチドの配列である。
Claims (7)
- タンパク質翻訳系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xと該アミノ酸Xに対するtRNAとの結合を阻害する条件下で、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物と前記アミノ酸Xに対するtRNAとの複合体を形成し、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせることを特徴とする非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法。
- アミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質により、アミノ酸Xに対するtRNAと、アミノ酸Xとの結合を阻害する、請求項1記載の製造方法。
- 該阻害物質が、5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物である、請求項2記載の製造方法。
- (A)タンパク質翻訳系において、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xに対するtRNAと該アミノ酸Xとの結合を阻害する条件下に、さらに該アミノ酸X以外のアミノ酸Yに対するtRNAと該アミノ酸Yとを結合させる工程、並びに
(B)前記ステップ(A)で得られた産物と、鋳型となるmRNAとを用い、非天然アミノ酸又はヒドロキシ酸化合物とアミノ酸Xに対するtRNAとの複合体の存在下、タンパク質翻訳反応条件下に翻訳を行なわせる工程、
を含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の製造方法。 - 1)アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群より選択されたアミノ酸Xに特異的なアミノアシルtRNA合成酵素に対する阻害物質と、
2)非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物と、
3)タンパク質翻訳系と、
を含有してなる、請求項1〜4いずれか1項に記載の非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法に用いるためのキット。 - 阻害物質が、5’−O−[N−(アミノアシル)スルファモイル]アデノシン誘導体化合物である、請求項5記載のキット。
- 非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸化合物に代えて、非天然アミノ酸−tRNA及び/又はヒドロキシ酸化合物−tRNAを含有してなる、請求項5又は6記載のキット。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005065315 | 2005-03-09 | ||
JP2005065315 | 2005-03-09 | ||
PCT/JP2005/021978 WO2006095474A1 (ja) | 2005-03-09 | 2005-11-30 | 非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2006095474A1 true JPWO2006095474A1 (ja) | 2008-08-14 |
Family
ID=36953080
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007506987A Pending JPWO2006095474A1 (ja) | 2005-03-09 | 2005-11-30 | 非天然アミノ酸及び/又はヒドロキシ酸含有化合物の製造方法 |
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WO (1) | WO2006095474A1 (ja) |
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2005
- 2005-11-30 JP JP2007506987A patent/JPWO2006095474A1/ja active Pending
- 2005-11-30 WO PCT/JP2005/021978 patent/WO2006095474A1/ja not_active Application Discontinuation
Non-Patent Citations (3)
Title |
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JPN6010000759, 日本化学会講演予稿集, 20040311, Vol.84th, No.2, p.1096 * |
JPN6010000761, HotNews 製品のご紹介 アミノアシルtRNA 合成酵素の阻害物質 AminoacylAdenylate Analogue., 20050111, フナコシ株式会社 * |
JPN6010000763, Science, 1989, Vol.244, No.4901, p.182−188 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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WO2006095474A1 (ja) | 2006-09-14 |
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