本発明は、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置などに用いられるホログラフィック光情報記録再生装置及びホログラフィック光情報記録再生方法に関するものである。
コンパクトディスク(CD)は、波長780nmの光源と、開口数0.45の対物レンズとを有する光学系を用いて、音楽データ74分の録音やデジタルデータ650MBの記録を行うことを可能にしたものである。また、デジタルバーサタイルディスク(DVD)は、波長650nmの光源と、開口数0.6の対物レンズとを有する光学系を用いて、2時間15分のMPEG2方式の動画やデジタルデータ4.7GBの記録を行うことを可能にしたものである。
また、近年では、水平解像度1000本以上の高精細動画が放送されていることや、パーソナルコンピュータが高性能化されているなどの要因で、高密度、大容量の光ディスクに対する期待がさらに高まっている。これに対して、波長400nm前後の光源と、開口数0.85の対物レンズとを組み合わせた光ディスクシステム等が提案され、片面20GBを超える記録容量が実現されようとしている。
このように、光ディスク装置は、より短波長の光源と、より開口数の大きい対物レンズとを用いることで、ディスク上でのデータ記録密度の高密度化を実現してきた。しかしながら、上記のような光源の短波長化とレンズの高開口数化とによる高密度記録へのアプローチは、限界が近づいている。すなわち、波長400nm以下の領域では、レンズに用いられるガラス材料の波長分散が大きくなるために、その収差を制御することが困難となる。また、開口数をより大きくするために開発が進められている固体液浸レンズ技術を用いると、レンズ作動距離、すなわちレンズとディスクとの距離が極端に短くなるため(50nm程度)、ディスクの交換が容易でなくなるなどの問題が生じる。そこで、これらの課題を克服し、さらにディスク上でのデータ記録密度の高密度化を実現するために、ホログラフィック記録技術が大きな注目を集めている。
図20は、例えば、Psaltisらによって提案されたシフト多重記録方式の光ディスクシステムを説明する図であり、該光ディスクシステムの光学系の概略構成を示している(例えば特許文献1参照)。図20に示すシフト多重記録方式の光ディスクシステム200は、レーザ光源201、ビームエキスパンダ207、偏光ビームスプリッタ208、ミラー210、空間光変調器202、フーリエ変換レンズ203及び204、ホログラムディスク205、2分の1波長板211、集光レンズ212、及び2次元受光素子アレイ206を有している。
レーザ光源201からの光は,ビームエキスパンダ207でビーム径を拡大された後、偏光ビームスプリッタ208で分割される。分割された一方のビームは、2分の1波長板211を通過した後、ミラー210により進行方向を変更されて空間光変調器202を通過する。該空間光変調器202を通過したビームは、フーリエ変換レンズ203により集光され、集光されたビームは、ホログラムディスク205上に信号光220として照射される。他方のビームは、集光レンズ212により集光され、集光された他のビームは、参照光222となって、ホログラムディスク205上の信号光220の照射位置と同一位置に照射される。ホログラムディスク205は、2枚のガラス基板間にフォトポリマーなどのホログラム媒質を封止した構成を有し、信号光220と参照光222との干渉縞が該ホログラム媒質に記録される。
ここで、空間光変調器202は、光スイッチを2次元に配列してなる光スイッチ列を有し、入力信号223に応じてそれぞれの光スイッチが独立にオンオフするものであり、各光スイッチは、1ビットの画像情報に相当するセルとなっている。例えば、1024セル×1024セルの空間光変調器202では、1Mビットの情報を同時に表示することが可能である。そして、光ビームが空間光変調器202を通過する際に、空間光変調器202に表示される1Mビットの情報は、2次元の光ビーム列に変換され、フーリエ変換レンズ203により集光される。
また、記録された信号を再生する際には、ホログラムディスク205に参照光222のみを照射する。すると、ホログラムディスク205からの回折光である再生信号光221は、フーリエ変換レンズ204を通過することにより2次元の光ビーム列に変換され、この光ビーム列が2次元受光素子アレイ206上に照射される。
ここで、2次元受光素子アレイ206は、受光素子を2次元に配列してなるものであり、空間光変調器202における光スイッチの配列に対応したものとなっている。従って、2次元受光素子アレイ206では、上記2次元の光ビーム列における各光ビームが、対応する受光素子によって光電変換され、再生信号224が出力される。
図20に示した光ディスクシステム200の特徴は、ホログラム媒質の厚みが約1mm程度と厚く、干渉縞が厚いグレーティング、いわゆるブラッググレーティングとして記録されるため、角度多重記録、つまり光ディスクに対する信号光と参照光との入射角を変えて情報を多重記録することが可能となり、光ディスクに記録される情報の大容量化が実現されることである。なお、図20に示す光ディスクシステムでは、参照光222の入射角変化に代えて、球面波参照光の照射位置をシフトすることで角度多重を実現している。すなわちホログラムディスク205をわずかに回転させて記録位置をシフトした際に、ホログラムディスク205の各部が感じる参照光の入射角がわずかに変化することを利用している。
このような構成では、1枚のホログラムに多数のデータを記録でき、並列に記録再生を行えるので、高速の光情報記録再生装置が実現される。また、多重記録が可能なので、大容量の光情報記録再生装置が実現される。
しかしながら、前記従来の構成では、再生回折光の光量が少ないため、相対的に2次元受光素子アレイ206で生じる電気ノイズが大きくなり、再生信号のS/N比が低かった。また、十分なS/N比をもって信号を再生するには転送レートを、下げざるを得なかった。また、前記従来の構成では、同種のメディアには同じ記録密度での記録しかできなかった。
また、前記従来の構成では、信号光が空間光変調器202の各セルで遮断されるために光利用効率が低く、大出力のコヒーレント光源が必要であった。また、記録時の転送レートが低かった。また、前記従来の構成では、レンズの倍率が経時変化や環境温度変化に応じて変化し、2次元受光素子アレイ206上での再生信号光221のスポット列が前記2次元受光素子アレイ206の受光セルに合致せず、再生信号が劣化する課題があった。
また、前記従来の構成では、レンズの歪曲収差によって信号再生時に再生信号光221のスポットの位置と2次元受光素子アレイ206の受光セルの位置が合致せず、再生信号が劣化する課題があった。また、前記従来の構成では、レンズの歪曲収差が0.2%以下になるように厳密にfsinθ条件を満たすようにレンズを設計する必要があり、レンズの構成レンズ枚数が多くなる、レンズの重量が大きくなる、レンズのコストが大きくなるなどの課題があった。
また、前記従来の構成では、ホログラムディスク205に記録した情報のベリファイに時間がかかるという課題があった。これはホログラムディスク205の回転速度が非常に遅く、記録したホログラムをベリファイのために再生するには、ディスクが少なくとも1回転するだけの時間がかかった。例えば、ホログラムディスク205の半径40mmの位置にホログラムを30マイクロメートル間隔でホログラムディスクの周方向に連続して記録している際には、ディスクの線速度は30mm毎秒、ディスクの周方向の1回転の距離は約250mmとなり、記録中にホログラムディスクの回転数が一定であるため、記録からベリファイまでに約8秒の時間がかかる。
また、前記従来の構成では、記録終了時に未記録部分の記録材料を定着するために長時間を要する課題があった。また、前記従来の構成では、2次元受光素子アレイ206の受光セルのピッチが再生信号光221のスポット列のピッチとほぼ等しかったために、環境温度の変化や経時変化によるレンズの倍率の変化、レンズの歪曲収差、などによって、2次元受光素子アレイ206上の一部あるいは全体で、2次元受光素子アレイ206の受光セルのピッチが再生信号光221のスポット列のピッチより大きくなり、再生信号が著しく劣化するおそれがあった。
また、別の従来の構成では、2次元受光素子アレイの受光セルのピッチが再生信号光のスポット列のピッチの2倍以上になっているために、2次元受光素子アレイのセル数が多くなり、2次元受光素子アレイのコストが高くなる、2次元受光素子アレイからの信号引き出し線が多くなる、2次元データ処理回路の回路規模が大きくなるなどの課題があった。
また、前記従来の構成では、2次元受光素子アレイ206の受光セルのサイズが2次元受光素子アレイ206の受光セルのピッチとほぼ等しいため、再生信号光221の隣接するスポットからの符号間干渉の影響が大きくなり、再生信号が劣化する課題があった。また、前記従来の構成では、空間光変調器202のセルのサイズが大きいために、再生信号光221のスポットのサイズが大きくなって、符号間干渉の影響が大きくなり、再生信号が劣化する課題があった。
また、前記従来の構成では、再生信号光221のスポットのファーストヌルの位置が2次元受光素子アレイ206の隣接セルの位置と異なっていたために、符号間干渉の影響が大きくなり、再生信号が劣化する課題があった。また、前記従来の構成では、信号光220がホログラムディスク205に入射する際に、空間光変調素器202のセルの開口で決まる回折パターンの0次光の大きさの開口が設置されている。このため、2次元受光素子アレイ206上での信号光220のスポットサイズが大きくなり、符号間干渉によって再生信号の信号品質が低下する課題があった。
米国特許第5,671,073号明細書
本発明の目的は、再生信号の品質を向上することができるとともに、高転送レートでの信号再生が行うことができるホログラフィック光情報記録再生装置およびホログラフィック光情報記録再生方法を提供することである。
本発明の一局面に従うホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子により変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和より大きいものである。
本発明の他の局面に従うホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子により変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和より大きい。
本発明によれば、情報再生時の記録媒体中の参照光のパワーを、情報記録時の記録媒体中の参照光のパワーと信号光のパワーとの和より大きくしているので、再生信号品質を向上することができるとともに、高転送レートで信号を再生することができる。
本発明の第1の実施の形態におけるホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。
図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置においてホログラムディスク中にホログラムが多重化されて記録される状態を説明するための模式図である。
図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置においてホログラムディスク上に多重化されたホログラムの状態を説明するための模式図である。
入射角に応じてホログラムディスク内で参照光のビーム強度が変化することを説明するための模式図である。
1−2変換符号方式を説明するための模式図である。
3−16変換符号方式を説明するための模式図である。
本発明の第2の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。
本発明の第3の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。
本発明の第5の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる2次元受光素子アレイの概略光学構成図である。
図9に示す2次元受光素子アレイが再生信号光スポットを受光する状態を説明するための断面概念図である。
本発明の第6の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる空間光変調素子の概略光学構成図である。
本発明の第6の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置でのホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線を示す図である。
空間光変調素子の開口の形状の他の例を示す模式図である。
空間光変調素子の開口の形状の他の例を示す模式図である。
空間光変調素子の開口の形状の他の例を示す模式図である。
他の空間光変調素子の断面構造を示す概略構成図である。
本発明の第7の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置におけるホログラム面付近の開口での信号光の光強度分布の包絡線を示す図である。
本発明の第7の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置においてホログラム面付近に開口を有する遮光部材を設置したときの2次元受光素子面上での再生信号光スポットの光強度分布を計算した結果を示す図である。
本発明の第8の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる2次元受光素子アレイ6の概略平面構成図である。
従来のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。レーザ光源1は、半導体レーザによって励起されるYAG固体レーザの第二高調波を発生する、波長532.1ナノメートルのレーザ光線を発する。レーザ光源1からの光のビームは、ミラー13によって反射された後、その径がビームエキスパンダ7によって拡大される。拡大された光は、2分の1波長板9へ入射し、偏光ビームスプリッタ(偏光性ビームスプリッタ)8によって信号光25と参照光22とに分離される。2分の1波長板9へ入射する光は、直線偏光であり、例えば紙面に垂直な方向の偏波成分を持つ。2分の1波長板9の回転角を調整することにより、偏光ビームスプリッタ8へ入射する光の紙面に垂直な偏波成分と紙面に平行な偏波成分との割合を変化させる。偏光ビームスプリッタ8へ入射した光のうち、紙面に垂直な偏波は、直進して参照光22となる。偏光ビームスプリッタ8へ入射した光のうち、紙面に平行な偏波は、反射されて信号光25となる。
ホログラムを効率よく記録するには、ホログラムディスク5中での信号光25の偏波方向と参照光22の偏波方向とを平行にし、かつ信号光25の偏波成分と参照光22の偏波成分とを紙面に垂直な方向の偏波成分に揃える必要がある。そのため、信号光25は、2分の1波長板11によって偏光方向が90度回転させられ、紙面に垂直な偏波となる。空間光変調素子2は、2次元状に配列された光スイッチ列からなり、入射した光ビームを入力信号23に応じてON/OFFして信号光ビーム列20に変換する。信号光ビーム列20は、レンズ3によってホログラムディスク5中に集光される。また、参照光22は、集光レンズ12を通じてホログラムディスク5中で信号光25(信号光ビーム列20)と交差し、干渉縞を生じる。ホログラムディスク5は、2枚のガラス基板の間に光重合性材料がホログラム材料としてサンドイッチされている。ホログラム材料は、入射した光強度に応じて各部の屈折率が変化し、前述の干渉縞が屈折率差の形で記録される。
図1のようなホログラフィック光情報記録再生装置の特長は、複数のホログラムをホログラムディスク5中の同一の場所に多重化して記録できることであり、大きな記録容量が実現される。ホログラムディスク5中にホログラムが多重化されて記録される様子を図2に示す。
信号光ビーム列20は、記録用レンズ3によってホログラムディスク5中に集光される。このとき、信号光ビーム列20は、入力信号に応じて変調され、一様な波面を持たないため、ホログラムディスク5中では有限の大きさを持ったビームウエスト形状をなす。一方、参照光22は、集光レンズ12によってガラス基板52の表面に集光され、光重合性材料51内で信号光ビーム列20と交差する。光重合性材料51中にはモノマーが分散されており、露光強度に応じてモノマーが重合して消費されるため、モノマーの濃度分布が生じる。重合後、この濃度分布を緩和する方向にモノマーが拡散(移動)して、屈折率分布が生じる。
一つのホログラムが記録された後、ホログラムディスク5が回転によってわずかに移動され、次のホログラムが記録される。図2では、ホログラムディスク5を移動させる代わりに、移動後の、入射する信号光ビーム列20と参照光22とを点線で表示した。図のように、隣接したホログラムは、互いにその領域が重なり合って記録される。このとき、互いのホログラムでは、参照光22の集光位置が異なる、すなわち、ホログラム材料内のある場所を視点にすると、隣接するホログラムでは、参照光22の入射する角度が異なった状態で、ホログラムが記録される。多重化されたホログラムのホログラムディスク5上での構成は、図3のようになる。例えば、ホログラムサイズは2mm、多重記録を行う隣接ホログラム間のピッチは30ミクロン程度で、ホログラムが多重記録される。ホログラムを記録するごとにホログラムディスク5を回転して、円周方向に連続したホログラムを多重記録する。
ホログラムの多重記録は、前記モノマーがすべて重合して消費されない範囲に露光量が制御されてなされる。すべての記録が終了した際には、残存したモノマーをすべて重合させて屈折率差を定着し、材料の安定化を図る。この定着過程は必ずしも必要ではないが、定着しない場合には、以下のような不都合が生じる可能性がある。すなわち、残存モノマーは不安定な材料であり、保存環境によって変質して不要な屈折率変化を生じる。あるいは再生時に不要な干渉縞が記録されてしまい、再生時に不要な回折光を生じて再生信号のS/N比の劣化を引き起こす、等である。
定着工程は、例えば、参照光22のみをホログラムディスク5に照射して干渉縞を生じることなくモノマーを重合させる、発光ダイオードのような干渉性の低い光源をホログラフィック光情報記録再生装置内に備えておき、ディスク全面に順次照射する、などの方法がある。
多重記録されたホログラムを再生する際には、信号光ビーム列20を遮断し、参照光22のみをホログラムに照射する。ここで、フォトポリマー内に記録されるホログラムは、フォトポリマーと同じ厚さをもつ、いわゆるブラッググレーティングとして記録されている。よく知られるように、厚いブラッググレーティングは、入射する参照光の角度依存性が鋭く、記録時の参照光と同じ角度で参照光が入射したときにのみ再生回折光を生じる。前述のように、図1のホログラフィック光情報記録再生装置では、異なるホログラムに対してホログラムが感じる参照光22の入射角度が異なるため、多重化されたホログラムのうち、一つのホログラムを選択的に再生することが可能である。
ここで、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の特徴は、ホログラムを再生するときに参照光22のパワーを大きくしていることである。すなわち、情報再生時のホログラムディスク5(光重合性材料51)中の参照光22のパワーは、情報記録時のホログラムディスク5(光重合性材料51)中の参照光22のパワーと信号光25(信号光ビーム列20)のパワーとの和より大きいことが好ましく、この和の2倍より大きいことがより好ましい。また、情報記録時の参照光22と信号光25とのパワー比は、3:1〜20:1であることが好ましく、5:1以上であることがより好ましい。
ホログラムからの再生回折光は一般に1%以下と低いために、2次元受光素子アレイ6での受光光量が少なく、相対的に再生信号に含まれる電気ノイズの割合が大きくなり、再生信号のS/N比が低い。十分なS/N比を確保するには、より大出力の光源を用いて信号光パワーを確保することが考えられるが、装置の大型化、高コスト化につながる。また、一つのホログラムを再生する時間を長くして再生信号光21のエネルギを確保する方法もあるが、この場合には転送レートが低下する。
本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置では、ホログラム再生時に2分の1波長板9を回転して偏光ビームスプリッタ8に入射する光を紙面に垂直な方向の直線偏光にすることにより、信号光25へのパワー分配をなくし、参照光22のパワーを大きくできる。このことから、再生時の2次元受光素子アレイ6での受光光量を確保でき、高転送レート、高S/N比のホログラム再生が可能である。
CD、DVDなど従来の光ディスク装置では、メディアの温度の上昇によって情報を書き込んでいるため、再生時にはメディアの温度上昇によるデータの損傷が少なくなるよう、記録時より小さな光パワーで再生する必要があった。
これに対して、光重合性材料の屈折率変化によってデータが記録されるホログラフィックな光情報記録技術においては、参照光の光量の制約が少ない。すなわち、記録されたメディアを再生する時には、フォトポリマーのモノマーがほとんど存在せず、光照射によって材料が変化しない、あるいは、再生時には参照光のみを照射しているため、干渉縞を生じず、モノマーが一様に重合するため、屈折率差が変化しない。このために参照光のパワーを増大しても、記録データの損傷が起こりにくく、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置のように、参照光パワーを大きくして再生転送レートを高くすることができる。
図1では偏光ビームスプリッタ8に入射する偏光方向を制御する手段として、2分の1波長板9を用いたが、例えば液晶素子を用いて、液晶素子への印可電圧を変化させることによって、同じ効果を実現することも可能である。
また、偏光ビームスプリッタ8の代わりに、偏光性ホログラムを用い、その回折光と透過光とを信号光25と参照光22とすることもできる。この場合にも、2分の1波長板9を回転して偏光を制御するのは同様である。
また、上記のように、ビームの偏光を用いてパワーを分配する方法の他に、図1中の偏光ビームスプリッタ8の位置にハーフミラーを備え、そのハーフミラーを光路から出し入れすることで光ビームの分配比率を変化させることも可能である。このときには、再生時に光ビームが通過する光学部品点数が減り、参照光22の波面収差が少なくなる効果を有する。
また、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の別の特長は、ホログラム記録時にも、参照光22と信号光25とのパワー比を制御して、最適なパワー比で記録可能なことである。ここで空間光変調素子2は、信号に応じて透過する光強度を変調する振幅型のSLMを用いており、OFFのデータに対応するセルに入射した光は、SLMで遮断されるために、信号光25の光ロスが非常に大きい。そこで、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置では、参照光22により多くのパワーを分配し、信号光25への分配比率をより小さくすることにより、記録時の装置全体の光利用効率が向上するという効果を持つ。そのため、記録時にホログラムディスク5に照射される光量が増加し、高速な記録が可能になる。
また、上記のパワー分配比の変更方法は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能である。まず、情報記録時のパワー分配比を記録媒体に応じて変化させることが好ましい。記録媒体であるホログラムディスク5中にホログラムが記録される際、信号光25と参照光22とから生成される干渉縞の光強度分布に従って光重重合性材料51の屈折率が変化し、ホログラムが記録される。このとき、記録媒体ごとに最大の屈折率変化量が異なるため、記録媒体ごとに記録時の最適な露光条件が異なる。したがって、上記のパワー分配比を記録媒体の種類(例えば、記録再生型記録媒体、追記型記録媒体等)に応じて変化させることが好ましい。また、上記のパワー分配比を記録媒体のリニアリティに応じて変化させるようにしてもよい。
また、情報記録時のパワー分配比を参照光の入射角に応じて変化させることが好ましい。複数のホログラムを同一箇所に多重記録する際、それぞれのホログラムに対して参照光の入射角度を変化させて多重記録する方法を角度多重記録という。例えば、参照光をガルバノミラーで反射させる等の参照光を偏向する偏向手段により入射角を変えることができる。
図4は、入射角に応じてホログラムディスク内で参照光のビーム強度が変化することを説明するための模式図である。図4に示すように、参照光が、ホログラムディスク5に入射する際、ホログラムディスク5内で参照光のビーム強度は、ホログラムディスク5に対するビームの入射角に応じて変化する。すなわち、ホログラムディスク5へ入射する前の参照光のビーム強度が同一であっても、入射角が大きいときには(図中に実線で示す参照光12aの場合)、入射角が小さいとき(図中に破線で示す参照光12bの場合)に比べて、ホログラムディスク5内のビームサイズが大きくなり、ひいてはホログラムディスク5中のビーム強度が小さくなる。このビーム強度の変化を考慮してホログラムを記録するときに、参照光の入射角に応じて2分の1波長板9の回転位置を制御することにより、基準入射角より参照光の入射角が大きいときは、基準パワーより参照光のパワーを大きくし、一方、基準入射角より参照光の入射角が小さいときは、基準パワーより参照光のパワーを小さくする。この結果、参照光の入射角に拘らず、ホログラムディスク5中での参照光と信号光とのパワー分配比である強度比を一定にしてホログラムを記録することができ、各ホログラムからの再生信号光の光強度を一定にすることができる。
また、情報記録時のパワー分配比を記録媒体に記録される情報の符号化方式に応じて変化させることが好ましい。ホログラム記録においては、入力信号となるデジタルデータを2次元のデータセル列に変換して記録することとなる。この際、入力データをデータセル列に変換する符号化方式としては、種々の方式が提案されている。
図5は、1−2変換符号方式を説明するための模式図であり、図6は、3−16変換符号方式を説明するための模式図である。例えば、1−2変換と呼ばれる符号方式である1−2変換符号方式では、図5に示すデータセル列D1のように、入力データの1bitに対して、例えば、左右に隣接する2つのセルを割り当てる。入力データのbitが1の場合、2つのデータセルのうち右側のデータセルをON(図中の黒色セル)に、左側のデータセルをOFF(図中の白色セル)にする。この方式では、入力データに拘らず、全データセルのうち50%がONに、残りの50%がOFFとなる。
また、3−16変換と呼ばれる符号方式である3−16変換符号方式では、図6に示すデータセル列D2のように、1辺が4セルからなり、総セル数が16となる正方形の領域(図中の太線で囲まれる領域)のデータセルを、入力データの1byte(=8bit)に対して割り当てる。また、0〜255の256通りのデータに対して、16個のデータセルのうち任意の3個のデータセルをON(図中の黒色セル)に、残りの13個のデータセルをOFF(図中の白色セル)にする。16個のデータセルのうち3個のセルを選ぶ組み合わせは、256通り以上存在するため、上記の方式では、1バイトのデータを表現することができ、入力データに拘らず、全データセルのうち18.75%がONに、残りの81.25%がOFFとなる。
このように異なる符号化方式によってONとなるデータセルの割合が異なる。これは、信号光を生成する空間光変調素子2のトータルの透過率が符号化方式によって変化することを意味し、ホログラムディスク5中での参照光と信号光との最適なパワー分配比を実現するためには、パワー分配比をホログラムディスク5に記録される情報の符号化方式に応じて変化させることが必要となる。例えば、本実施の形態では、記録再生型記録媒体と追記型記録媒体、又は記録容量の異なる媒体等の記録媒体の種類によって異なる符号化方式を選択する場合、又は、データ領域と、FAT(ファイル・アロケーション・テーブル)等のデータ管理領域とで異なる符号化方式を選択する場合、記録媒体又は領域の種類ごとに、すなわち符号化方式ごとに、参照光と信号光とのパワー分配比を変化させている。具体的には、符号化方式が変更されるごとに、各符号化方式においてONされているデータセルの割合の逆数に比例して参照光のパワー又は参照光と信号光とのパワー比が増減するように、2分の1波長板9の回転位置を制御している。
また、光利用効率又はホログラフィック光情報記録再生装置の消費電力の観点から、偏光ビームスプリッタ8は、情報再生時に、すべての光パワーを参照光に分配することが好ましい。この場合、信号光と参照光とのパワー分配比を可変する2分の1波長板9によって、レーザ光源1からの光のうちほとんど全ての光が信号光に振り分けられる。しかしながら、2分の1波長板9及び偏光ビームスプリッタ8による消光比が有限であるため、このとき同時に信号光の光路中に配置されている空間光変調素子2をすべてオフにすることが好ましい。これによって、信号光の光路中を伝搬するわずかな漏れ光が再生信号光に重畳されることによるS/N比の劣化を低減することができる。
さらに、信号光の光路中にシャッタ等の遮光手段を配置し、情報再生中には遮光手段を閉状態にし、上記の漏れ光を遮断することが好ましい。これによって、信号光の光路中を伝搬するわずかな漏れ光が再生信号光に重畳されることによるS/N比の劣化を回避することができる。
上記の遮光手段としては、種々のものを用いることができ、例えば、遮光部材となる金属片を信号光の光路中に機械的に出し入れするメカニカルシャッタを使用することができる。この場合、消光比が極めて高くなり、S/N比の劣化をより確実に回避することができる。また、メカニカルシャッタ以外に、液晶素子、電気光学効果を用いた光スイッチ等を用いてもよい。この場合、メカニカルシャッタに比して消光比が劣るが、可動部が存在しないため、機械的な振動を発生することなく、高速に開閉動作を行うことができる。
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。図7のホログラフィック光情報記録再生装置の特長は、信号光と参照光のパワー分配比を制御するための偏光制御デバイスがEO変調器91からなることである。EO変調器91は、高速動作可能であるという特徴を持つ。また、図7のホログラフィック光情報記録再生装置は、一つのホログラムを記録した直後に当該ホログラムを再生することを特徴とする。ホログラムを記録する際の手順は以下のごとくである。
まず、ホログラムを記録する際には参照光22と信号光25を同時にホログラムディスク5に照射する。このとき、2次元受光素子アレイ6には、空間光変調素子2を通過した信号光25が照射されている。次に、目標露光量に達する時間が経過した後、紙面に垂直な直線偏光を出力するようにEO変調器91の印可電圧を変更し、参照光22のみでホログラムディスク5を照射する。このとき、直前に記録されたホログラムからの回折光が再生信号光21として2次元受光素子アレイ6に入射する。また、EO変調器91の印可電圧を変更して信号光25を遮断するのと同時に、2次元受光素子アレイ6の各セルに蓄積されていた光電荷を放電してリセットしておく。次に、一定時間ホログラムを再生した後、光電変換して蓄積された電荷量を2次元受光素子アレイ6から読み出す。以上の手順によって、ホログラムに記録されたデータを記録直後に読み出して高速なベリファイ動作が実現される。
また、上記の方法で、記録されたホログラムの回折効率をモニタすることもできる。ホログラムを多重記録する際には、材料のダイナミックレンジを個々のホログラムに均等に割り当ててそれぞれのホログラムのS/N比を確保するため、各ホログラムの回折効率をモニタすることはきわめて重要である。
上記では、図のようにEO変調器91にてホログラム記録直後に信号光を遮断したが、同様の動作は、信号光の光路中に高速の光スイッチを配置する、あるいは、空間光変調素子2の全スイッチをOFF状態にする、などの信号光の光路中に配置され、信号光を遮光する遮光手段でも実現できる。
また、上記の方法では、EO変調器91が情報記録時に参照光と信号光とがホログラムディスク5に入射されるようにパワー分配比を設定してホログラムが記録される時間は、EO変調器91が情報記録後にすべての光パワーを参照光に分配するようにパワー分配比を変化させてホログラムが再生される時間より長い、すなわち、ホログラム記録時間より直後の再生時間が短いことが好ましい。これは再生によってモノマーの重合が進行し、記録材料のダイナミックレンジが低下することを抑制する効果がある。同様の理由で、記録時間中の露光量より再生時間中の露光量が少ないことが望ましい。
また、上記の方法では、ホログラム材料に例えば光重合性材料を用いた場合のように、露光後一定時間経過後に屈折率変化が生じる、あるいは、露光後一定時間経過後に屈折率変化が終了する場合があり、記録後一定時間経過した後にベリファイ動作、あるいは回折効率のモニタをするのが望ましい。これによって、より正確なベリファイ動作や回折効率のモニタが可能になる効果がある。
上記の説明では、参照光に球面波を用いたシフト多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置について説明したが、他の多重方式に基づくホログラフィック光情報記録再生装置でも、上記と同様の効果が得られる。例えば、スペックルパターンを生じる参照光を用いたシフト多重方式でも同様である。これらシフト多重方式では、異なるホログラムを異なる場所に記録するが、上記のようなベリファイ動作、回折効率のモニタ動作を行う際には、ホログラムの記録開始から、ベリファイ動作、あるいは回折効率のモニタが終了するまで、光ヘッドとホログラムディスクとの相対的な位置関係が実質的に変化しないように保つ、すなわち、シフト多重方式による情報記録後にEO変調器91がすべての光パワーを参照光に分配するようにパワー分配比を変化させてホログラムが再生される期間において、参照光と記録媒体との相対的な位置関係は、所定距離以上変動しないように保持されることが好ましい。
例えば、相対的な位置関係の変化を、記録している干渉縞周期の5分の1以下に保つことが好ましく、干渉縞周期が0.5ミクロンの時には、相対的な位置関係が0.1ミクロン程度以上変化しないように保つようにしてもよい。これらの場合、相対的な位置関係のずれによって、記録される干渉縞のコントラストが低下するのを防止する効果がある。
上記の条件を満たすために、それぞれのホログラムを記録する際にはホログラムディスク5を停止し、ホログラムディスク5停止中にベリファイ動作、回折効率のモニタを完了し、ディスクを一定距離移動した後、隣接したホログラムを記録する。あるいは、ホログラムディスク5を一定の速度で移動しつつ、短パルス光を用いて記録及びベリファイを行う方法でもよい。例えばホログラムディスクを毎秒30mmで移動しつつ、平均的な干渉縞周期が0.5ミクロンのホログラムを記録する際には、ホログラムの記録開始からベリファイ動作終了まで約5マイクロ秒で行えばよい。
また、上記のベリファイ方法は、角度多重方式のように、複数のホログラムを同一の場所に記録する多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置で行う場合に、さらに有効である。これは、複数のホログラムを記録する間にホログラムディスクを移動する必要がなく、シフト多重方式のように光源のパルス幅や、ベリファイ動作完了までの時間の制約が少なくてすむ効果を持つ。
また、記録後に回折効率をモニタすること、すなわち、情報記録後にEO変調器91がすべての光パワーを参照光に分配するようにパワー分配比を変化させている期間において、記録されたホログラムの回折効率を検出することは、次のような効果を併せ持つ。ホログラム記録材料は、長時間高温に晒される、環境光で被爆する、などの理由によって、記録以前にモノマーの重合反応が促進し、残留モノマーが減少している可能性がある。このときには、ホログラム記録で生じさせる屈折率変化の全量が減少する。このような性能劣化をおこしたホログラムディスクに、劣化を起こしていないホログラムディスクの適正露光量でホログラムを記録すると、多重化記録の途中でモノマーが枯渇し、後半に記録するホログラムが正常に記録されない可能性がある。
これを防ぐためには、以下のような方法がある。第1の方法は、記録したホログラムからの回折効率をモニターして、各ホログラムの回折効率が適正値を示すような露光量で記録し、モノマーが不足して十分な回折効率が得られなくなる以前にホログラムの多重化を中止する方法である。この方法は、多重度が適正な値より小さくなり、ホログラムディスク全体の容量が低下する短所があるが、反面、各ホログラムからの回折効率として適正な値が得られ、十分な再生光量が得られるため、適正な転送レートが実現される特長を持つ。
上記第1の方法は、データ記録に用いるホログラムを記録しつつそれぞれのホログラムからの回折効率をモニタすることでも実現できる。この場合にはデータホログラム自体の回折効率をモニタしているため、ホログラムディスクの面内での劣化度合いの分布の影響を受けないという効果がある。また、データ記録を行う前に、データ記録とは別のコントロール領域にホログラムを多重記録し、その再生回折効率や再生S/N比をモニタすることでデータ領域での多重度を決定することでも実現できる。この場合には、一度多重度を決定した後は、回折効率のモニタを行わずに高速にホログラム記録が行える効果がある。
上記の多重度の調整方法として、シフト多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置では、ホログラムが記録されるディスク上でのピッチを変化させることで多重度を調整することができ、角度多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置では、ホログラム記録時の参照光の入射角度のピッチを変化させることで多重度を調整することができる。
次に、第2の方法は、記録したホログラムからの回折効率をモニタして、所望の多重度が得られるように各ホログラムに回折効率を割り当て、露光量を調節する方法である。例えば、材料が劣化して屈折率変化の全量が減少した場合には、各ホログラムでの屈折率変化を小さくする。この方法は、適正な多重度が得られ、ホログラムディスク全体の容量が確保される特長があるが、反面、各ホログラムからの回折効率が低下し、適正な転送レートが実現されない短所を持つ。
上記第2の方法は、上述のように、データ記録に用いるホログラムを記録しつつそのそれぞれのホログラムからの回折効率をモニタすることでも実現できる。この場合にはデータホログラム自体の回折効率をモニタしているため、ホログラムディスクの面内での劣化度合いの分布の影響を受けないという効果がある。また、データ記録を行う前に、データ記録とは別のコントロール領域にホログラムを多重記録し、その再生回折効率や再生S/N比をモニタすることでデータ領域での多重度を決定することでも実現できる。この場合には、一度多重度を決定した後は回折効率のモニタを行わずに高速にホログラム記録が行える効果がある。
次に、第3の方法は、記録したホログラムから適正な回折効率が得られなかった場合に、記録を中止する方法である。この場合には、データ記録を行えないという短所があるが、ホログラムディスクに表記された規格の種類、あるいはディスクのパッケージに表記された規格の種類、あるいはディスクのカートリッジに表記された規格の種類から連想される記録容量や転送レートと、実際に記録されたデータとの相違が生じないという効果がある。
次に、第4の方法は、記録したホログラムから適正な回折効率が得られなかった場合に、警告を発する、又は警告信号を出力する方法である。この場合には、ホログラムディスクに表記された規格の種類、あるいはディスクのパッケージに表記された規格の種類、あるいはディスクのカートリッジに表記された規格の種類から連想される記録容量や転送レートと、実際に記録されたデータとの相違が生じにくいという効果がある。
これら第1から第4の方法は、ホログラム記録に限らず、記録薄膜面に微小スポットを集光してマークを記録する従来の光ディスク技術にも、類似の方法が適用可能である。例えば、記録したマークの反射率変化をモニタして、十分な反射率変化を生じていない場合には、平均マーク長を長くして記録する、あるいは、再生時のディスク速度を低くして再生するなどの方法である。しかしながら、ホログラム記録材料は、前述のように経時変化を受けやすい、環境光被爆の影響を受けやすいなど、従来の光ディスク材料にない特性を持っており、第1から第4の方法は、ホログラム記録に適用するときに特に効果的である。
(第3の実施の形態)
ホログラム材料においては、未露光のまま材料が放置されると、周辺環境温度などにより本来露光時に進行する化学反応と異なる反応が進行して、材料が黒化して散乱が増加するなどの不具合が生じる場合がある。これを防ぐためには、記録が終了し、以降追記を行わないとき、すなわちディスクをクローズする際に、未露光部分の材料に光を照射し、未反応の材料を消費しておくことが有用であり、これを定着過程と呼ぶ。
上記の第1の実施の形態では、すべての記録が終了した際には、残存したモノマーをすべて重合させて屈折率差を定着し、ホログラムの定着の際に記録最中より大きなパワー密度の光をホログラムディスク5に照射することができる。例えば、定着時には記録材料中のモノマーがすでにホログラム記録によって消費されて重合しており、モノマー濃度が低下した状態にある。このときには、モノマー分子間の間隔が広くなっている。このような状態において、重合開始材の活性化頻度が小さければ、重合開始材の活性化による重合開始の効率が低下し、重合開始材のみが消費されながら、モノマーが十分に重合されない現象が生じる。すなわち感度に非線形性が現れやすい。これを防ぐためには、特にモノマーの濃度低下が著しい状態での定着工程において、よりパワー密度の高い光をホログラム材料に照射することが好ましい。上記第1の実施の形態では、定着工程において、レーザ光源1からの光をすべて参照光に割り当て、信号光の光路中の空間光変調素子2での光ロスをなくして記録時より大きなパワー密度を実現することができる。
上記定着過程は、一定度合いまで多重記録が行われ、かつ最大多重度に未達の領域である未飽和領域において特に重要である。この未飽和領域において材料の黒化が発生した場合には、信号再生が行われる際に散乱光が誘起され、S/N比の低下を来たす。これに対して、記録が一切行われなかった未記録領域では、信号再生が行われることがないため、未露光の材料が黒化しても、大きな問題とはならない。したがって、定着過程は、すべての領域で行う必要はなく、未飽和領域のみ行うことが好ましい。この場合、定着過程に必要な時間が軽減され、より高速に記録処理を終了することができる。
また、ホログラム材料において、未露光の部分は粘度が低く、ホログラムディスクの一部を記録し、一部を未露光のまま放置すると、未露光の領域の化学物質が記録部分に拡散し、記録済み領域の屈折率又は体積を変化させたり、記録済み領域の散乱を増加させる等の悪影響が生じる可能性がある。このようなホログラム材料に記録する際には、未記録領域及び未飽和領域のすべてに対して定着を施すことが好ましい。
また、多重記録を行う際には、ホログラムディスクの各領域において、最大多重度で多重記録が行われたときにも、未反応の材料が残留した状態になっている。これは、多重記録の終了間際にも一定量の未反応材料を確保し、一定の感度を得るためである。このため、未反応材料を長時間放置したときに、黒化の比較的大きな材料を利用する際には、記録が終了したときに、未露光領域、未飽和領域及び記録済み領域のすべてに対して定着を施すことが好ましい。
もちろん、第1の実施の形態の構成をとらない場合でも、定着工程に用いられる別光源を用意し、記録時より大きなパワー密度を実現してもよい。このように記録時より大きなパワー密度で定着することにより、より完全に実消費のモノマーを重合することができる効果を持つ。また、より短時間に定着工程が完了する効果を持つ。
図8は、本発明の第3の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。本実施の形態の特徴は、ホログラム記録後の定着用の光源として発光ダイオード40を用い、発光ダイオード40からの光を対物レンズ41により集光して未飽和部分のみを定着することである。発光ダイオード40は、記録光源であるレーザ光源1とほぼ同等あるいはわずかに短い波長に発光スペクトル中心を有しており、出力光がホログラム材料に入射した時には効率的に残留モノマーが重合される。
本実施の形態の効果は、定着工程で不要な干渉縞を生じず、再生時に不要な回折光を生じないため、再生時のS/N比が定着工程によって悪化しないことである。発光ダイオード40のスペクトル幅は、約10nm以上あり、ホログラムディスク5の界面での不要反射光その他の迷光が生じた場合にも干渉縞が生じない。このように、定着工程での光源は、記録時の光源より発光スペクトル幅が広いことが望ましい。図8では、定着用光源に発光ダイオード40を用いたが、発光スペクトルが1nm以上ある光源で、発光スペクトル中心がホログラム材料の感度の範囲の中にあれば、他の光源を用いることもでき、例えば、スーパールミネッセントダイオードでもよい。
上記の説明では、定着用光源をホログラムディスク5の下面から照射する図を示したが、上面又は側面から照射してもよい。特に、側面から照射したときには、定着用光源からの光がホログラム材料内を長距離進行するため、より効率よく定着が行われる。この場合には、定着工程が短時間になる効果がある。また、定着用光源の出力が小さくてよくなるという効果がある。側面から定着用光源でホログラムディスク5を照射するときには、定着用光源をホログラムディスク5の端面に近接させるか、集光光学系を介してホログラムディスク5の端面に集光するのがよい。いずれの場合も光利用効率が高まり、定着時間の短縮される効果や、定着用光源の出力が小さくてもよくなる効果がある。
また、記録に用いるレーザ光源1を用いて定着する場合にも、ホログラムディスク5への入射角を大きくした方が光とホログラム材料との作用長が長くなって定着工程が効率化される。あるいは、図8のようにスペクトル幅の広い別光源を用いない場合でも、例えば半導体レーザを記録用光源に用いている場合には、半導体レーザの注入電流に高周波電流を重畳することによってスペクトル幅を拡大し、干渉性を低下させることで、同様に定着工程での光源のスペクトル幅を広くすることができる。この場合にも定着工程で不要な干渉縞を生じず、再生時に不要な回折光を生じないため、再生時のS/N比が、定着工程によって悪化しないという効果を持つ。
(第4の実施の形態)
上記のように、ホログラフィック光情報記録再生装置では、2次元の再生信号光ビーム列を2次元受光素子アレイ6で検出するため、再生信号光ビーム列と2次元受光素子アレイ6のセルとの位置あわせを行う必要がある。特に、あるホログラフィック光情報記録再生装置で記録されたホログラムディスクを他のホログラフィック光情報記録再生装置で再生するときには、両装置のレンズの像サイズを厳密に一致させる必要がある。例えば、再生信号光ビーム列と2次元受光素子アレイ6のセルが、縦に1000本、横に1000本の正方パターンで配列されている場合、記録を行う装置のレンズと記録されたホログラムディスクを再生する装置のレンズの像サイズが0.1%異なっているとき、2次元受光素子アレイ6の端部のセル上には互いに隣接する再生信号光ビームの半分ずつが入射することになり、正しい信号再生が行えない。このような状況は、上記のように異なるホログラフィック光情報記録再生装置でホログラムディスクを再生する場合のみならず、環境温度変化や経時変化によるレンズのひずみや、温度変化による2次元受光素子アレイ6の熱膨張や、それらの複合でも生じる可能性がある。
この課題に対して、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置の構成において、再生用レンズ4に代えて、倍率が可変な、すなわち焦点距離が可変である再生用レンズを持つ。この構成では、再生信号光ビーム列の全体像サイズに応じて再生用レンズの倍率を調整することで、再生信号光ビームと2次元受光素子アレイのセルとの位置あわせが容易になり、正確な信号再生が可能になる。なお、上記の点の除き、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
また、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置は、倍率が可変な再生用レンズと、再生信号光ビームの本数より多い受光セルが再生信号光ビーム列の大きさより大きな範囲に配列された2次元受光素子アレイとを持つことが好ましい。この構成では、2次元の再生信号光ビーム列の全体像サイズが所望の像サイズより大きくなった場合と、所望の像サイズより小さくなった場合のどちらでも、2次元受光素子アレイからの出力信号に画像処理を施すことによって、2次元の再生信号光ビーム列の全体像サイズを知ることができる。また、より適切に再生用レンズの倍率を調整することで、再生信号光ビームと2次元受光素子アレイの受光セルとの位置あわせがより容易になり、正確な信号再生が可能になる。
また、2次元受光素子アレイの外周部の受光セルは、領域分割されていることが望ましい。この場合には、2次元受光素子アレイの外周部分の受光セルからの出力信号によって、倍率の誤差がより正確に認識され、より正確な倍率の調整が可能になり、より正確な信号再生が可能になる。
また、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置の構成において、記録用レンズ3に代えて、倍率が可変な、すなわち焦点距離が可変である記録用レンズを持つことが好ましい。この構成では、記録用レンズのひずみによって、適切なサイズの再生像を生じるホログラムが記録できなくなった場合にも、記録用レンズの倍率を調整することで、適切なサイズの再生像を生じるホログラムが記録できる。
また、上記の倍率が可変な記録用レンズと、再生信号光ビーム列の大きさより大きな範囲に受光セルが配列され、再生信号光ビームの本数より多い受光セルが配列された2次元受光素子アレイとを用いるようにしてもよい。この構成では、空間光変調素子を通過した信号光のうち、ホログラムで回折されない0次光を2次元受光素子アレイで検出し、2次元受光素子アレイからの出力信号に画像処理を施すことによって、2次元の再生信号光ビーム列の全体像サイズを知ることができる。また、より適切に再生用レンズの倍率を調整することで、再生信号光ビームと2次元受光素子アレイの受光セルとの位置あわせがより容易になり、正確な信号再生が可能になる。この場合にも、2次元受光素子アレイの外周部分の受光セルからの出力信号によって、倍率の誤差がより正確に認識され、より正確な倍率の調整が可能になり、より正確な信号再生が可能になる。
また、本実施の形態の構成では、記録用レンズと再生用レンズとが略等しい歪曲収差を持つことが好ましい。ホログラフィック光情報記録再生装置において、記録用レンズ、再生用レンズには、ビームの入射角θ、焦点距離fに対して、像高hがh=f×sinθとなる関係で表されるいわゆるフーリエ変換レンズが用いられる。このとき、歪曲収差のない再生信号光スポット列が得られ、すべての再生信号光スポットが等しい間隔で正方配列される。これに対して再生用レンズ、あるいは記録用レンズに歪曲収差がある時には再生信号光スポット間隔が中心像付近と周辺像付近とで異なり、2次元受光素子アレイの受光セルと再生信号光スポット列との位置が一致せず、再生信号の品質の劣化を招く。
これに対して、上記の構成によれば、再生用レンズと記録用レンズとが略等しい歪曲収差を持つので、記録時と再生時との収差の影響が互いに打消し合う。この結果、等ピッチの空間光変調素子を用いて記録したホログラムを再生して、等ピッチの再生信号光スポット列が得られるので、等ピッチの2次元受光素子アレイで再生信号光スポット列を検出して、高品質の再生信号が得られる。
また、厳密にフーリエ変換レンズを設計すると、歪曲収差低減のため、多数の構成レンズを用いる必要があり、レンズが高価である、重量が大きい、サイズが大きいという課題がある。それに対して、上記のように、記録用レンズと再生用レンズとに略等しい歪曲収差を持つレンズを用いる構成では、レンズ設計に余裕ができるので、構成レンズ枚数が低減される、レンズが低価格になる、重量が小さい、サイズが小さいという効果を持つ。
さらに、記録用レンズと再生用レンズとが樽型の歪曲収差を持つ構成では、糸巻き型の歪曲収差を持つ構成に比べて、レンズ設計により余裕ができるので、構成レンズ枚数がより低減される、レンズがより低価格になる、重量がより小さい、サイズがより小さいという効果を持つ。
また、記録用レンズ及び再生用レンズの像面湾曲は、小さい、例えば、焦点深度以下であることが望ましい。像面湾曲が大きいとき、2次元受光素子アレイ上の場所によって再生信号光スポットの焦点位置が異なり、光スポットサイズが大きくなるため、符号間干渉が増大する。例えば、レーザ光源の波長が532.1nm、空間光変調素子のセルサイズが15ミクロン、記録用および再生用レンズの焦点距離が20mmのとき、焦点深度は約0.1mmとなり、像面湾曲は0.1mm以下とするのが望ましい。
また、記録用レンズ及び再生用レンズの像面湾曲は、それぞれ焦点深度の1/2以下になっていることがより好ましい。通常は、上記のように像面湾曲は、焦点深度以下に規定すればよいが、ホログラフィック光情報記録再生装置では、記録用レンズと再生用レンズにともに像面湾曲があるときには、その影響が加算されるため、それぞれのレンズの像面湾曲はさらに小さくするのがよい。また、記録用レンズと再生用レンズとの像面湾曲を、それぞれ焦点深度の1/2以下に規定することにより、両レンズを同様の設計で作ることができ、部品の共通化、低コスト化が図られる効果もある。
上記のように、記録用レンズや再生用レンズの焦点距離、空間光変調素子のセルサイズを規定し、レーザ光源の波長から規定される焦点深度の2分の1以下にすることで、信号再生時の焦点ぼけを防ぐことができる。なお、上記の記録用レンズ、再生用レンズ及び空間光変調素子の構成は、それぞれ個別に実施してもよい。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる2次元受光素子アレイの概略光学構成図を図9に示す。本実施の形態の特徴は、2次元受光素子アレイ6の各セルの受光部分62の大きさ(受光部分62の縦方向の長さ及び横方向の長さ)が、セルピッチCP(受光セル61の縦方向の長さ及び横方向の長さ)よりも小さくなっていることである。なお、図9に示す2次元受光素子アレイ6を除き、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
図10は、図9に示す2次元受光素子アレイが再生信号光スポットを受光する状態を説明するための断面概念図である。図9では、再生信号光スポット65を円で表現しているが、実際の再生信号光スポットは、図10に示すように、再生信号光スポットの光強度分布は、図中実線の曲線I1で示したような分布を示す。図10では、再生信号光スポット列の位置と2次元受光素子アレイ6のセルの位置とが正確に一致している場合を図示しており、再生信号光スポットの光強度分布は、対応する2次元受光素子アレイ6の受光部分62の中央で極大の値を取る。
図10のように、再生信号光スポットの光強度分布が広がりを持つのは、主に、記録されたホログラムのサイズが制限されているために、ホログラムのサイズで回折されることに起因する。ホログラムの形状が正方形あるいは長方形であり、ホログラム内各部から等しい回折効率で再生信号光が回折されたときには、図の光スポットの光強度分布は、sinc関数の2乗の関数で表される。このときの光強度分布の広がりは、ホログラムのサイズに依存し、ホログラムのサイズを適当に選ぶことで、図のように光強度分布のファーストヌル、セカンドヌルの位置を、ちょうど隣接した受光セル61の受光部分62上に一致させることができる。
受光セル61の出力信号は、受光部分62上の光強度分布を積分した値に比例した値となる。図10中に破線又は一点鎖線の曲線I2、I3で示したように、受光部分62上には隣接するON状態の光スポットの一部が入射し、セルからの再生信号光の光強度を変化させる。これは、従来の光ディスクで、近接したピットからの回折光が光受光素子に入射して生じる符号間干渉に類似した現象である。従来の光ディスク再生装置では、この符号間干渉を考慮して、再生信号を適切なFIRフィルタに通過させることで、符号間干渉の影響を減じることができる。
一方、ホログラフィック光情報記録での符号間干渉の特徴は、隣接光スポットからの光と再生信号光とがコヒーレントに干渉することである。隣接する光スポットからの光が再生信号光とコヒーレントに干渉する場合には、符号間干渉の大きさは線形性を保たない。すなわち、あるセルの再生信号では、隣接するONセルの個数の違いによって、それぞれの隣接スポットから混入する符号間干渉の大きさが異なる。また、あるセルがON状態かOFF状態かの違いによっても、隣接スポットから混入する符号間干渉の大きさが異なる。このため、従来の光ディスク再生装置で用いられたようなFIRフィルタを用いて符号間干渉を効果的に減じることができない。以上の理由から、ホログラフィック光情報記録再生装置では、光学的な手段によって受光セル61に混入する隣接スポットからの光を減じることがより、効果的に符号間干渉を低減させる。
このため、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置では、2次元受光素子アレイ6の受光部分62のサイズ(図10に示すPW)をセルピッチCPよりも小さくしている。図10に示したように、受光部分62の中央部分で隣接スポットからの光強度が小さく、受光部分62の端の領域で隣接スポットからの光強度が大きくなっており、受光部分62を小さくすることで、隣接スポットからの光の混入を効果的に減じることができる。
また、符号間干渉の大きさをより減ずるために、空間光変調素子2に擬似ランダム拡散板を重畳することが好ましい。擬似ランダム拡散板は、互いに隣接するセルの信号光スポットに対して互いに2分のπの位相変位を付与するものであり、任意のセルの再生信号光スポットと混入する隣接するセルの再生信号光とが干渉した場合にも、受光部分62での光強度分布は、それぞれの光スポットの光強度の和で表される。このため、FIRフィルタで効果的に符号間干渉の影響を減じることができる。
擬似ランダム拡散板を用いた場合にも、ON状態にある隣接スポットが複数ある場合には、それらから混入する光同士の位相差は2分のπにならず、非線形な符号間干渉が残留する。この非線形な符号間干渉は、図10の例では中央のセルの右側の隣接セルの光スポットの光強度と左側の隣接セルの光スポットの光強度との干渉によって生じる。すなわち図10中の破線の曲線I2と一点鎖線の曲線I3との干渉によって生じる。
破線I2で表した分布と一点鎖線I3で表した分布とはともに、その光強度が受光部分62の中央部分で小さく、周辺部で大きいので、前述のように、擬似ランダム拡散板を用いない場合の、受光部分62の中央部分で光強度が最大になる再生信号光スポットと受光部分62の周辺部分で光強度が最大になる隣接スポットからの混入光との干渉で生じる非線形な符号間干渉に比して、受光部分62の周辺部分により局在する。このため、擬似ランダム拡散板を用いる方法と、小さな受光部分62を用いる方法とを組み合わせた場合には、両方法を単独で用いた場合に比べて、より効果的に符号間干渉の影響を低減することができる。
高速フーリエ変換に依拠した数値計算によって、擬似ランダム拡散板を用いた場合には、受光部分62の大きさを受光セル61のピッチの0.94倍以下に設定したとき、符号間干渉によるS/N比を10dB以上にすることができ、FIRフィルタ通過後のビット誤差レートが10000分の1以下となる正確な信号再生が可能なことが分かった。また、擬似ランダム拡散板を用いない場合には、受光部分62の大きさを受光セル61のピッチの0.6倍に設定したとき、符号間干渉によるS/N比を10dB以上にすることができ、FIRフィルタ通過後のビット誤差レートが10000分の1以下となる正確な信号再生が可能なことが分かった。
なお、受光部分62を小さくしたときには、上述のように符号間干渉を減じて正確な信号再生が可能になる効果があるが、反面、受光光量が低下し、相対的に電気ノイズが大きくなってS/N比を悪化させる。このため、受光部分62の大きさは、符号間干渉が十分低減される範囲で、可能な限り大きくすることが必要である。このことから、受光部分62の縦方向及び横方向の長さの適正範囲は、受光セル61の縦方向及び横方向のピッチの0.6倍以上0.94倍以下の範囲に設定することが最適である。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる空間光変調素子の概略光学構成図を図11に示す。本実施の形態の特徴は、空間光変調素子2の各セルの光透過部分72の大きさが、セルピッチCPよりも小さくなっていることである。なお、図11に示す空間光変調素子2を除き、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
上記の構成では、ホログラムディスク5のホログラム上での信号光の光強度分布の形状が広がるため、2次元受光素子アレイ6上での各再生信号光スポットの広がりがより小さくなる。この現象は、空間光変調素子2の各セルの開口形状をフーリエ変換してホログラム上の信号光の光強度分布の包絡線を求め、さらに、この信号光の光強度分布の包絡線を逆フーリエ変換して2次元受光素子アレイ6上の再生信号光スポットの光強度分布を求めることで計算できる。また、記録用レンズ3と再生用レンズ4とで形成される光学系を4f結像系と見なしたときには、物体サイズを小さくすることで、像サイズが小さくなるという説明が可能である。この現象のため、空間光変調素子2の各セル71の大きさを小さくすることで、隣接セルに混入する光強度が小さくなり、符号間干渉が小さくなる。この結果、正確な信号再生が可能になる。
図12に、上記のセルピッチより小さな開口を持つ空間光変調素子を用いた時のホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線の様子を示す。破線で示す包絡線I5は、各セルが光透過部分72として矩形開口を持つ空間光変調素子を用いたときのホログラム上の信号光の光強度分布の包絡線を示し、実線で示す包絡線I4は、各セルが光透過部分72としてより小さい矩形開口を持つ空間光変調素子を用いたときのホログラム上の信号光の光強度分布の包絡線を示している。図12から、開口を小さくしたとき、ホログラム面での光強度分布の広がりが大きくなっており、符号間干渉低減の効果が期待される。
高速フーリエ変換に依拠した数値計算によって、上記の矩形開口の場合の効果を計算した。擬似ランダム拡散板の有無等の条件を変えて計算した結果、光透過部分72の大きさをセルピッチの0.92倍以下から0.55倍以上に設定したとき、符号間干渉によるS/N比を10dB以上にすることができ、FIRフィルタ通過後のビット誤差レートが10000分の1以下となる正確な信号を再生可能なことが分かった。
なお、光透過部分72を小さくしたときには、上述のように符号間干渉を減じて正確な信号再生が可能になる効果があるが、反面、空間光変調素子2の透過光量が低下し、光利用効率が低下する。このため、光透過部分72の大きさは符号間干渉が十分低減される範囲で、可能な限り大きくすることが必要である。このことから、光透過部分72の縦方向及び横方向の長さの適正範囲は、空間光変調素子の縦方向及び横方向のセルピッチの0.55倍以上0.92倍以下の範囲に設定するのが最適である。
また、空間光変調素子の各セル71の開口となる光透過部分72の形状を図13に示したような円形とすることでも、上記と同様の効果が得られる。この場合にホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線の形状は、ベッセル関数の2乗で表され、図12に示す包絡線I6のようになる。一方、セル71の開口が同じ最大幅を持つ矩形形状をしているときには、ホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線の形状は、sinc関数の2乗で表され、図12に示す包絡線I4のようになる。これらベッセル関数とsinc関数とを比較すると、ベッセル関数の広がりの大きさがsinc関数の広がりの大きさより大きくなるので、空間光変調素子の各セル71の開口の形状を円形とした場合、ホログラム面での光強度分布の広がりが大きくなり、符号間干渉低減の効果が期待される。
また、同様の効果は、図14のように空間光変調素子の各セル71の開口となる光透過部分72の一部に、内側に凸な形状部分78を設けることでも実現される。この場合には、開口形状を円形にしたときより、ホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線の形状が広がる程度は小さくなる。反面、例えばTN液晶素子を用いた透過型液晶素子を空間光変調素子に用いた場合には、液晶素子を駆動する薄膜トランジスタなどの回路部分を、開口の内側に凸な形状78の部分に配置することで、効率的に開口制限が可能である。
また、図15のように、空間光変調素子の各セル71の開口となる光透過部分72を、略矩形形状の開口部分の隅の部分を切り欠き部分79で一部切り欠いた形状にすることでも、上記と同様の効果が得られる。
また、図16のように、2枚のガラス基板73,74と、その間に封止された液晶層74とを備える空間光変調素子の各セル71に対応するようにマイクロレンズアレ75を空間光変調素子に近接して設置し、各セル71を通過するビームをそれぞれ集光する構成でも、同様の効果が得られる。この場合には、符号間干渉低減の効果に加え、光利用効率が高くなる効果も併せ持つ。
なお、本実施の形態では、透過型の空間光変調素子を用いているが、この例に特に限定されず、シリコン基板上に反射膜を施し、さらに液晶素子を装加した構造のいわゆるLCOSデバイスや、微小ミラーを振動して反射光の方向を制御する光スイッチ列を構成するいわゆるDLPデバイスや、他の任意の構造の光スイッチ列であれば同様に用いることができる。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置におけるホログラム面付近の開口での信号光の光強度分布の様子を図17に示す。また、ホログラム面付近に開口を有する遮光部材を設置したときの2次元受光素子アレイ6面上での再生信号光スポットの光強度分布を計算した結果を図18に示す。なお、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、開口を有する遮光部材をホログラム面付近に設置する点を除き、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と基本的に同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
図17に示すように、矩形開口を有する空間光変調素子2を用いたときのホログラム上の信号光の光強度分布の包絡線は、実線I7のようになり、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分の0.5倍のサイズの開口を有する遮光部材O1と、0.75倍のサイズの開口を有する遮光部材O2とをホログラム面付近に設置したときに、再生信号光スポットの光強度分布は、図18に示すようになる。
まず、再生用レンズ4に収差がなく、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分と同じサイズの開口を有する遮光部材O1をホログラム面付近に設置した場合には、図18に実線I8で示したように、再生信号光スポットの光強度分布のファーストヌルが、2次元受光素子アレイ6の隣接する受光部分62のほぼ直上に位置し、符号間干渉が小さくなる構成になっていることがわかった。
また、再生用レンズ4に収差があり、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分と同じサイズの開口を有する遮光部材O1をホログラム面付近に設置した場合には、図18に破線I9で示したように、再生信号光スポットの光強度分布のサイドローブが、2次元受光素子アレイ6の隣接する受光部分62のほぼ直上に位置し、符号間干渉が大きくなる構成になっていることがわかった。
また、再生用レンズ4に収差があり、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分の0.75倍のサイズの開口を有する遮光部材O2をホログラム面付近に設置した場合には、図18に一点鎖線I10で示したように、再生信号光スポットの強度分布のサイドローブが、2次元受光素子アレイ6の隣接する受光部分62のほぼ直上に位置し、符号間干渉が大きくなる構成になっていることがわかった。
また、図示していないが、再生用レンズ4に、より大きな収差があり、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分の0.5倍のサイズの開口を有する遮光部材O1をホログラム面付近に設置した場合には、再生信号光スポットの強度分布のファーストヌルの位置が、2次元受光素子アレイ6上でより離れた場所に位置することがわかった。この場合には、より大きなサイズの開口を有する遮光部材をホログラム面付近に設置することで、ファーストヌルの位置を2次元受光素子アレイ6の隣接する受光部分62のほぼ直上に位置させられることがわかった。
以上より、ホログラフィック光情報記録再生装置を構成する際、再生用レンズおよび記録用レンズの収差や、再生用レンズのデフォーカスが生じることを考慮して、ホログラム面付近に設置する開口のサイズを、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分のサイズ(0次回折光のメインローブ)の0.55倍以上0.9倍以下に設定することが好ましく、0.55倍以上0.75倍以下に設定することがより好ましい。この場合、符号間干渉が少なく、信号品質の高い信号再生が行える。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる2次元受光素子アレイ6の概略平面構成図を図19に示す。本実施の形態の特徴は、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6の受光セル61のピッチCPより大きくかつピッチCPの2倍以下であることである。なお、図19に示す2次元受光素子アレイ6を除き、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
元信号に対してサンプリング検出を行う際、サンプリング周波数が元信号の帯域幅より小さい時、元信号の一部が失われて正確な信号の復元ができない。従来のホログラフィック光情報記録再生装置では、再生信号光スポット列と、2次元受光素子アレイのセルとを同じピッチに設定し、2次元受光素子アレイの一つのセルに対して、一つの再生信号光スポットを対応させ、各再生信号光スポットと2次元受光素子アレイの各セルとを1対1に対応させている。
しかしながら、実際のホログラフィック光情報記録再生装置では、レンズの収差や、環境温度変化によるレンズのひずみ、環境温度変化による2次元受光素子アレイ6の熱膨張などによって、2次元受光素子アレイ6の全体あるいは一部で再生信号光スポットのピッチが2次元受光素子アレイ6のセルピッチより大きくなる場合がある。そのときには、正確な信号の再生が困難になる。また、数多くの再生信号光ピット列と2次元受光素子アレイ6の各セルの位置を正確に一致させるためには、再生信号光スポット列に対して2次元受光素子アレイ6の平面内の2軸の位置、焦点方向の位置、2軸のあおり方向、面内回転方向を調整する多軸のサーボ動作が必要になり、システムが大がかりになる欠点があった。
また、再生信号光スポットのそれぞれに対して複数の受光セルを対応させる構成では、上記のような多軸の精密なサーボ動作が不要になるが、この構成では2次元受光素子アレイ6の受光セル数が多くなり、2次元受光素子アレイ6のコストが高くなる。また、多数のデータを生成するため、後段の信号処理回路の規模が大きくなる欠点があった。
これら課題を克服するために、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置では、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6のセルピッチより大きくかつ2倍以下であるように設定している。このとき、2次元受光素子アレイ6からの出力信号に適切なフィルタを施すことで、2次元受光素子アレイ6の多軸の詳細なサーボ制御を行う必要のない簡単なシステムで、元信号の正確な再生が可能になるとともに、2次元受光素子アレイ6のセル数の増大が限定される。
また、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6のセルピッチに近い値を取るときには、特に、符号間干渉や迷光によるノイズ、電気ノイズなどによって再生信号が低いS/N比を持つときには、正確な信号再生が行えない。このため、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6のセルピッチより大きくかつ2倍以下である構成に加えて、以下の構成を追加することが好ましい。
すなわち、2次元受光素子アレイ6の各セルの受光部分62の大きさが、セルピッチよりも小さくなっている構成、空間光変調素子2の各セルの光透過部分72の大きさが、セルピッチよりも小さくなっている構成、空間光変調素子2に擬似ランダム拡散板を重畳する構成、あるいはそれらを複合した構成を同時に用いることで、再生信号光スポット列に含まれる符号間干渉の程度を小さくして、正確な信号再生が可能になる。
また、互いにON状態の再生信号光スポット同士が隣接する確率が低いコーディング方法が提案されている。例えば、縦方向、横方向ともに2セルずつの計4セルのうち、一つのセルのみをONにし、4セルで2ビットを表現するコーディング方法があり、本技術分野の技術者には公知となっている。この場合には、任意のセルがONになる確率が4分の1となり、すべてのセルがON又はOFF状態を取り得るランダムコーディングに比べて、ONになるセルが隣接する確率が低い。このように、隣接するセルがともにONになる確率の低いコーディング方法と、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6のセルピッチより大きくかつ2倍以下である構成を組み合わせることで、複雑なサーボ機能が不要でかつ正確な信号再生が可能なホログラフィック光情報記録再生装置が実現される。
以上のすべての実施の形態において、ホログラムディスクに対して信号光の入射方向と反対側から再生信号光を取り出す構成のホログラフィック光情報記録再生装置に関して説明したが、ホログラムディスクの一部に反射層を設けて記録と再生とをホログラムディスクの同じ側から再生する構成にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
また、上記の実施の形態では、図1のように球面参照波を用いたシフト多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置を説明したが、ほかの多重方式、例えば、波長多重方式、角度多重方式、ペリストロフィック多重方式、スペックルパターンをもつ参照波を用いたシフト多重方式、位相コード多重方式等にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
また、上記の実施の形態では、信号光ビームと参照光ビームとが異なるレンズを通じてホログラムディスクを照射する例で説明したが、信号光ビームと参照光ビームとが同一のレンズを通じてホログラムディスクを照射する構成にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
また、上記の実施の形態では、ホログラム記録媒体が円形のディスクであり、ホログラムディスクを回転して複数のホログラムを記録する例で説明したが、ホログラム記録媒体が方形など他の形状のホログラム記録媒体であったり、ディスク状でなく、略立方体、略円柱など立体をしている場合や、ホログラム媒体をXY平面内で2次元的に移動しながら複数のホログラムを記録するなど、ホログラム記録媒体の他の移動方法を用いる構成にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
また、上記の実施の形態では、空間光変調素子と受光素子アレイとして、2次元空間光変調素子と2次元受光素子アレイを用いた構成で説明したが、GLVのような1次元空間光変調素子や、CCDラインセンサのような1次元受光素子アレイを用いた構成にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
上記のように、本発明の一態様に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和より大きいものである。
このホログラフィック光情報記録再生装置においては、情報再生時の記録媒体中の前記参照光のパワーを、情報記録時の記録媒体中の参照光のパワーと信号光のパワーとの和より大きくしているので、再生信号品質を向上することができるとともに、高転送レートで信号を再生することができる。
情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和の2倍より大きいことが好ましい。
この場合、再生信号品質をより向上することができるとともに、より高転送レートでの信号再生が可能となる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記ビーム分割手段によって分割される前記参照光と前記信号光とのパワー分配比を変化させる可変手段をさらに備えることが好ましい。
この場合、情報記録時及び情報再生時に参照光と前記信号光とのパワー分配比を任意に変更することができる。
前記可変手段は、前記パワー分配比を前記記録媒体に応じて変化させることが好ましい。
この場合、記録媒体ごとに記録時の最適な露光条件で参照光及び信号光を照射することができる。
前記可変手段は、前記パワー分配比を前記参照光の入射角に応じて変化させることが好ましい。
この場合、参照光の入射角に拘らず、記録媒体中での参照光と信号光とのパワー分配比を一定にしてホログラムを記録することができ、各ホログラムからの再生信号光の光強度を一定にすることができる。
前記可変手段は、前記パワー分配比を前記記録媒体に記録される情報の符号化方式に応じて変化させることが好ましい。
この場合、各符号化方式に適した条件で参照光及び信号光を照射することができる。
前記ビーム分割手段は、偏光性ビームスプリッタを含むことが好ましい。
この場合、簡略な構成でコヒーレント光源からの光を参照光と信号光とに分割することができる。
前記ビーム分割手段は、情報再生時に、すべての光パワーを参照光に分配することが好ましい。
この場合、信号光の光路中を伝搬するわずかな漏れ光が再生信号光に重畳されることによるS/N比の劣化を低減することができる。
前記記録媒体上に前記ホログラムを記録した後、前記信号光のみを遮断し、前記記録したホログラムからの回折光を前記受光素子で受光して前記ホログラムに記録した情報をベリファイすることが好ましい。
この場合、ホログラムに記録された情報を記録直後に読み出して高速なベリファイ動作を実現することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、情報記録時に前記参照光と前記信号光とが前記記録媒体に入射されるように前記パワー分配比を設定し、情報記録後にすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させる可変手段をさらに備えることが好ましい。
この場合、記録直後に、ホログラムに記録されたデータを読み出して高速なベリファイ動作を行なったり、記録されたホログラムの回折効率をモニタすることができる。
前記可変手段は、EO変調器を含むことが好ましい。
この場合、信号光と参照光とのパワー分配比を高速に制御することができる。
前記受光素子は、前記可変手段がすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させるときに、蓄積されていた光電荷を一旦放電することが好ましい。
この場合、受光素子に蓄積されていた不要な光電荷を一旦放電することができるので、再生信号光を正確に検出することができる。
前記可変手段が情報記録時に前記参照光と前記信号光とを前記記録媒体に入射するように前記パワー分配比を設定してホログラムが記録される時間は、前記可変手段が情報記録後にすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させてホログラムが再生される時間より長いことが好ましい。
この場合、再生によって記録媒体内のモノマーの重合が進行し、記録材料のダイナミックレンジが低下することを抑制することができる。
シフト多重方式による情報記録後に前記可変手段がすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させてホログラムが再生される期間において、前記参照光と前記記録媒体との相対的な位置関係は、所定距離以上変動しないように保持されることが好ましい。
この場合、参照光と記録媒体との相対的な位置関係のずれによって、記録される干渉縞のコントラストが低下することを防止することができる。
情報記録後に前記可変手段がすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させている期間において、記録されたホログラムの回折効率を検出することが好ましい。
この場合、記録したホログラムからの回折効率をモニターして、各ホログラムの回折効率が適正値を示すような露光量で記録し、モノマーが不足して十分な回折効率が得られなくなる以前にホログラムの多重化を中止する等の方法を用いることができるので、多重化記録の途中でモノマーが枯渇し、後半に記録するホログラムが正常に記録されないことを防止することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記信号光の光路中に配置され、前記信号光を遮光する遮光手段をさらに備えることが好ましい。
この場合、信号光の光路中を伝搬するわずかな漏れ光が再生信号光に重畳されることによるS/N比の劣化を回避することができる。
前記記録媒体上にホログラムを記録した後、前記記録媒体上において、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して前記コヒーレント光源からの光を照射し、前記記録媒体の記録材料を完全に飽和露光された状態にすることが好ましい。
この場合、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して定着処理を行なうことができるので、定着処理に必要な時間が軽減され、より高速に記録処理を終了することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記記録媒体上にホログラムを記録した後、前記記録媒体上において、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して光を照射し、前記記録媒体の記録材料を完全に飽和露光された状態にする定着用光源をさらに備えることが好ましい。
この場合、定着用光源を用いて、記録時より大きなパワー密度で定着することができるので、より完全にモノマーを重合することができるとともに、より短時間に定着工程を完了することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記記録媒体からの回折光を再生信号光として前記受光素子に導く再生用レンズをさらに備え、前記再生用レンズの焦点距離は、可変であることが好ましい。
この場合、再生信号光のビーム列の全体像サイズに応じて再生用レンズの倍率を調整することにより、再生信号光の各ビームスポットと受光素子の各受光セルとの位置あわせが容易になり、正確な信号再生が可能になる。
前記受光素子の受光セルの数は、前記再生信号光のビーム本数より多く、前記受光素子の受光セルは、前記再生信号光のビーム列の大きさより大きな範囲に配列されることが好ましい。
この場合、再生信号光のビーム列の全体像サイズが所望の像サイズより大きくなった場合と、所望の像サイズより小さくなった場合とのいずれの場合でも、受光素子からの出力信号に画像処理を施すことによって、再生信号光のビーム列の全体像サイズを知ることができ、再生信号光の各ビームスポットと受光素子の各受光セルとの位置あわせがより容易になり、より正確な信号再生が可能になる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズをさらに備え、前記記録用レンズの焦点距離は、可変であることが好ましい。
この場合、記録用レンズのひずみによって、適切なサイズの再生像を生じるホログラムが記録できなくなった場合にも、記録用レンズの倍率を調整することにより、適切なサイズの再生像を生じるホログラムを記録することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズと、前記記録媒体からの回折光を再生信号光として前記受光素子に導く再生用レンズとをさらに備え、前記記録用レンズと前記再生用レンズとが略等しい歪曲収差を有することが好ましい。
この場合、レンズ設計に余裕ができるので、構成レンズ枚数を低減したり、レンズを低価格化したり、その重量およびサイズを小さくすることができる。
前記受光素子の各受光セルの受光部分の長さは、前記受光素子の受光セルのピッチの60%以上かつ94%以下であることが好ましい。
この場合、隣接スポットからの光の混入を効果的に減じることができるとともに、受光光量の低下を防止してS/N比の悪化を抑制することができる。
前記空間光変調素子の各セルの透過部分の長さは、前記空間光変調素子のセルのピッチの55%以上かつ92%以下であることが好ましい。
この場合、符号間干渉を減じて正確な信号再生が可能になるとともに、光利用効率を向上させることができる。
前記空間光変調素子によって変調されたビーム列が入射する側の前記記録媒体の表面近傍に開口が設けられ、前記開口の大きさは、前記信号光が前記空間光変調素子の各セルを通過する際に回折された0次回折光のメインローブの0.55倍以上0.9倍以下の範囲の光を通過させるように調整されていることが好ましい。
この場合、符号間干渉が少なく、信号品質の高い信号再生を行うことができる。
前記受光素子の受光セルのピッチは、前記受光素子上の前記回折光のスポット列のピッチより小さくかつ1/2より大きいことが好ましい。
この場合、受光素子からの出力信号に適切なフィルタを施すことにより、受光素子に対して精緻な多軸のサーボ制御を行う必要がなくり、装置の構成を簡略化することができるとともに、元信号の正確な再生が可能になり、さらに、受光素子の受光セル数の増大を抑制することができる。
本発明の他の態様に係るホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和より大きい。
このホログラフィック光情報記録再生方法においては、情報再生時の記録媒体中の前記参照光のパワーを、情報記録時の記録媒体中の参照光のパワーと信号光のパワーとの和より大きくしているので、再生信号品質を向上することができるとともに、高転送レートで信号を再生することができる。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には前記参照光のみが記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光を受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズをさらに備え、前記記録用レンズの焦点距離は、可変である。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズと、前記記録媒体からの回折光を再生信号光として前記受光素子に導く再生用レンズとをさらに備え、前記記録用レンズと前記再生用レンズとが略等しい歪曲収差を有する。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記記録媒体上に前記ホログラムを記録した後、前記信号光のみを遮断し、前記記録したホログラムからの回折光を前記受光素子で受光して前記ホログラムに記録した情報をベリファイする。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記記録媒体上にホログラムを記録した後、前記記録媒体上において、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して前記コヒーレント光源からの光を照射し、前記記録媒体の記録材料を完全に飽和露光された状態にする。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記受光素子の受光セルのピッチは、前記受光素子上の前記回折光のスポット列のピッチより小さくかつ1/2より大きい。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記受光素子の各受光セルの受光部分の長さは、前記受光素子の受光セルのピッチの60%以上かつ94%以下である。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記空間光変調素子の各セルの透過部分の長さは、前記空間光変調素子のセルのピッチの55%以上かつ92%以下である。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記空間光変調素子によって変調されたビーム列が入射する側の前記記録媒体の表面近傍に開口が設けられ、前記開口の大きさは、前記信号光が前記空間光変調素子の各セルを通過する際に回折された0次回折光のメインローブの0.55倍以上0.9倍以下の範囲の光を通過させるように調整されている。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、前記情報記録ステップは、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズの焦点距離を変化させるステップを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、前記情報記録ステップは、記録用レンズが前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導くステップを含み、前記情報再生ステップは、前記記録用レンズと略等しい歪曲収差を有する前記再生用レンズが前記記録媒体からの回折光を再生信号光として前記受光素子に導くステップを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップと、前記記録媒体上に前記ホログラムを記録した後、前記信号光のみを遮断し、前記記録したホログラムからの回折光を前記受光素子で受光して前記ホログラムに記録した情報をベリファイするステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップと、前記記録媒体上にホログラムを記録した後、前記記録媒体上において、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して前記コヒーレント光源からの光を照射し、前記記録媒体の記録材料を完全に飽和露光された状態にするステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が、当該回折光のスポット列のピッチより小さくかつ1/2より大きいピッチで受光セルが配列された受光素子によって検出されるステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が、各受光セルの受光部分の長さが前記受光セルのピッチの60%以上かつ94%以下である受光素子によって検出されるステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが、各セルの透過部分の長さが前記セルのピッチの55%以上かつ92%以下である空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、前記情報記録ステップにおいて、前記空間光変調素子によって変調されたビーム列が入射する側の前記記録媒体の表面近傍に開口が設けられ、前記開口の大きさは、前記信号光が前記空間光変調素子の各セルを通過する際に回折された0次回折光のメインローブの0.55倍以上0.9倍以下の範囲の光を通過させるように調整されている。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、記録したホログラムの回折効率をモニタして記録密度や再生速度を変化させるという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、記録時の参照光と信号光のパワー比が5:1以上であるという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、可変倍率レンズを有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、記録直後に記録データのベリファイを行うという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、定着工程で記録時より大きなパワー密度の光をホログラムディスクに照射し、短時間にかつより完全に残留モノマーを定着し、より安定なデータ記録を行うという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、受光部分がセルピッチより小さい2次元受光素子を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、開口部分がセルピッチより小さい空間光変調素子を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、再生時の参照光パワーが記録時のホログラムディスクへの入射パワーより大きいという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明は、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置などに用いられるホログラフィック光情報記録再生装置及びホログラフィック光情報記録再生方法に関するものである。
コンパクトディスク(CD)は、波長780nmの光源と、開口数0.45の対物レンズとを有する光学系を用いて、音楽データ74分の録音やデジタルデータ650MBの記録を行うことを可能にしたものである。また、デジタルバーサタイルディスク(DVD)は、波長650nmの光源と、開口数0.6の対物レンズとを有する光学系を用いて、2時間15分のMPEG2方式の動画やデジタルデータ4.7GBの記録を行うことを可能にしたものである。
また、近年では、水平解像度1000本以上の高精細動画が放送されていることや、パーソナルコンピュータが高性能化されているなどの要因で、高密度、大容量の光ディスクに対する期待がさらに高まっている。これに対して、波長400nm前後の光源と、開口数0.85の対物レンズとを組み合わせた光ディスクシステム等が提案され、片面20GBを超える記録容量が実現されようとしている。
このように、光ディスク装置は、より短波長の光源と、より開口数の大きい対物レンズとを用いることで、ディスク上でのデータ記録密度の高密度化を実現してきた。しかしながら、上記のような光源の短波長化とレンズの高開口数化とによる高密度記録へのアプローチは、限界が近づいている。すなわち、波長400nm以下の領域では、レンズに用いられるガラス材料の波長分散が大きくなるために、その収差を制御することが困難となる。また、開口数をより大きくするために開発が進められている固体液浸レンズ技術を用いると、レンズ作動距離、すなわちレンズとディスクとの距離が極端に短くなるため(50nm程度)、ディスクの交換が容易でなくなるなどの問題が生じる。そこで、これらの課題を克服し、さらにディスク上でのデータ記録密度の高密度化を実現するために、ホログラフィック記録技術が大きな注目を集めている。
図20は、例えば、Psaltisらによって提案されたシフト多重記録方式の光ディスクシステムを説明する図であり、該光ディスクシステムの光学系の概略構成を示している(例えば特許文献1参照)。図20に示すシフト多重記録方式の光ディスクシステム200は、レーザ光源201、ビームエキスパンダ207、偏光ビームスプリッタ208、ミラー210、空間光変調器202、フーリエ変換レンズ203及び204、ホログラムディスク205、2分の1波長板211、集光レンズ212、及び2次元受光素子アレイ206を有している。
レーザ光源201からの光は,ビームエキスパンダ207でビーム径を拡大された後、偏光ビームスプリッタ208で分割される。分割された一方のビームは、2分の1波長板211を通過した後、ミラー210により進行方向を変更されて空間光変調器202を通過する。該空間光変調器202を通過したビームは、フーリエ変換レンズ203により集光され、集光されたビームは、ホログラムディスク205上に信号光220として照射される。他方のビームは、集光レンズ212により集光され、集光された他のビームは、参照光222となって、ホログラムディスク205上の信号光220の照射位置と同一位置に照射される。ホログラムディスク205は、2枚のガラス基板間にフォトポリマーなどのホログラム媒質を封止した構成を有し、信号光220と参照光222との干渉縞が該ホログラム媒質に記録される。
ここで、空間光変調器202は、光スイッチを2次元に配列してなる光スイッチ列を有し、入力信号223に応じてそれぞれの光スイッチが独立にオンオフするものであり、各光スイッチは、1ビットの画像情報に相当するセルとなっている。例えば、1024セル×1024セルの空間光変調器202では、1Mビットの情報を同時に表示することが可能である。そして、光ビームが空間光変調器202を通過する際に、空間光変調器202に表示される1Mビットの情報は、2次元の光ビーム列に変換され、フーリエ変換レンズ203により集光される。
また、記録された信号を再生する際には、ホログラムディスク205に参照光222のみを照射する。すると、ホログラムディスク205からの回折光である再生信号光221は、フーリエ変換レンズ204を通過することにより2次元の光ビーム列に変換され、この光ビーム列が2次元受光素子アレイ206上に照射される。
ここで、2次元受光素子アレイ206は、受光素子を2次元に配列してなるものであり、空間光変調器202における光スイッチの配列に対応したものとなっている。従って、2次元受光素子アレイ206では、上記2次元の光ビーム列における各光ビームが、対応する受光素子によって光電変換され、再生信号224が出力される。
図20に示した光ディスクシステム200の特徴は、ホログラム媒質の厚みが約1mm程度と厚く、干渉縞が厚いグレーティング、いわゆるブラッググレーティングとして記録されるため、角度多重記録、つまり光ディスクに対する信号光と参照光との入射角を変えて情報を多重記録することが可能となり、光ディスクに記録される情報の大容量化が実現されることである。なお、図20に示す光ディスクシステムでは、参照光222の入射角変化に代えて、球面波参照光の照射位置をシフトすることで角度多重を実現している。すなわちホログラムディスク205をわずかに回転させて記録位置をシフトした際に、ホログラムディスク205の各部が感じる参照光の入射角がわずかに変化することを利用している。
このような構成では、1枚のホログラムに多数のデータを記録でき、並列に記録再生を行えるので、高速の光情報記録再生装置が実現される。また、多重記録が可能なので、大容量の光情報記録再生装置が実現される。
米国特許第5,671,073号明細書
しかしながら、前記従来の構成では、再生回折光の光量が少ないため、相対的に2次元受光素子アレイ206で生じる電気ノイズが大きくなり、再生信号のS/N比が低かった。また、十分なS/N比をもって信号を再生するには転送レートを、下げざるを得なかった。また、前記従来の構成では、同種のメディアには同じ記録密度での記録しかできなかった。
また、前記従来の構成では、信号光が空間光変調器202の各セルで遮断されるために光利用効率が低く、大出力のコヒーレント光源が必要であった。また、記録時の転送レートが低かった。また、前記従来の構成では、レンズの倍率が経時変化や環境温度変化に応じて変化し、2次元受光素子アレイ206上での再生信号光221のスポット列が前記2次元受光素子アレイ206の受光セルに合致せず、再生信号が劣化する課題があった。
また、前記従来の構成では、レンズの歪曲収差によって信号再生時に再生信号光221のスポットの位置と2次元受光素子アレイ206の受光セルの位置が合致せず、再生信号が劣化する課題があった。また、前記従来の構成では、レンズの歪曲収差が0.2%以下になるように厳密にfsinθ条件を満たすようにレンズを設計する必要があり、レンズの構成レンズ枚数が多くなる、レンズの重量が大きくなる、レンズのコストが大きくなるなどの課題があった。
また、前記従来の構成では、ホログラムディスク205に記録した情報のベリファイに時間がかかるという課題があった。これはホログラムディスク205の回転速度が非常に遅く、記録したホログラムをベリファイのために再生するには、ディスクが少なくとも1回転するだけの時間がかかった。例えば、ホログラムディスク205の半径40mmの位置にホログラムを30マイクロメートル間隔でホログラムディスクの周方向に連続して記録している際には、ディスクの線速度は30mm毎秒、ディスクの周方向の1回転の距離は約250mmとなり、記録中にホログラムディスクの回転数が一定であるため、記録からベリファイまでに約8秒の時間がかかる。
また、前記従来の構成では、記録終了時に未記録部分の記録材料を定着するために長時間を要する課題があった。また、前記従来の構成では、2次元受光素子アレイ206の受光セルのピッチが再生信号光221のスポット列のピッチとほぼ等しかったために、環境温度の変化や経時変化によるレンズの倍率の変化、レンズの歪曲収差、などによって、2次元受光素子アレイ206上の一部あるいは全体で、2次元受光素子アレイ206の受光セルのピッチが再生信号光221のスポット列のピッチより大きくなり、再生信号が著しく劣化するおそれがあった。
また、別の従来の構成では、2次元受光素子アレイの受光セルのピッチが再生信号光のスポット列のピッチの1/2倍以上になっているために、2次元受光素子アレイのセル数が多くなり、2次元受光素子アレイのコストが高くなる、2次元受光素子アレイからの信号引き出し線が多くなる、2次元データ処理回路の回路規模が大きくなるなどの課題があった。
また、前記従来の構成では、2次元受光素子アレイ206の受光セルのサイズが2次元受光素子アレイ206の受光セルのピッチとほぼ等しいため、再生信号光221の隣接するスポットからの符号間干渉の影響が大きくなり、再生信号が劣化する課題があった。また、前記従来の構成では、空間光変調器202のセルのサイズが大きいために、再生信号光221のスポットのサイズが大きくなって、符号間干渉の影響が大きくなり、再生信号が劣化する課題があった。
また、前記従来の構成では、再生信号光221のスポットのファーストヌルの位置が2次元受光素子アレイ206の隣接セルの位置と異なっていたために、符号間干渉の影響が大きくなり、再生信号が劣化する課題があった。また、前記従来の構成では、信号光220がホログラムディスク205に入射する際に、空間光変調素器202のセルの開口で決まる回折パターンの0次光の大きさの開口が設置されている。このため、2次元受光素子アレイ206上での信号光220のスポットサイズが大きくなり、符号間干渉によって再生信号の信号品質が低下する課題があった。
本発明の目的は、再生信号の品質を向上することができるとともに、高転送レートでの信号再生が行うことができるホログラフィック光情報記録再生装置およびホログラフィック光情報記録再生方法を提供することである。
本発明の一局面に従うホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子により変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和より大きいものである。
本発明の他の局面に従うホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子により変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和より大きい。
本発明によれば、情報再生時の記録媒体中の参照光のパワーを、情報記録時の記録媒体中の参照光のパワーと信号光のパワーとの和より大きくしているので、再生信号品質を向上することができるとともに、高転送レートで信号を再生することができる。
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。レーザ光源1は、半導体レーザによって励起されるYAG固体レーザの第二高調波を発生する、波長532.1ナノメートルのレーザ光線を発する。レーザ光源1からの光のビームは、ミラー13によって反射された後、その径がビームエキスパンダ7によって拡大される。拡大された光は、2分の1波長板9へ入射し、偏光ビームスプリッタ(偏光性ビームスプリッタ)8によって信号光25と参照光22とに分離される。2分の1波長板9へ入射する光は、直線偏光であり、例えば紙面に垂直な方向の偏波成分を持つ。2分の1波長板9の回転角を調整することにより、偏光ビームスプリッタ8へ入射する光の紙面に垂直な偏波成分と紙面に平行な偏波成分との割合を変化させる。偏光ビームスプリッタ8へ入射した光のうち、紙面に垂直な偏波は、直進して参照光22となる。偏光ビームスプリッタ8へ入射した光のうち、紙面に平行な偏波は、反射されて信号光25となる。
ホログラムを効率よく記録するには、ホログラムディスク5中での信号光25の偏波方向と参照光22の偏波方向とを平行にし、かつ信号光25の偏波成分と参照光22の偏波成分とを紙面に垂直な方向の偏波成分に揃える必要がある。そのため、信号光25は、2分の1波長板11によって偏光方向が90度回転させられ、紙面に垂直な偏波となる。空間光変調素子2は、2次元状に配列された光スイッチ列からなり、入射した光ビームを入力信号23に応じてON/OFFして信号光ビーム列20に変換する。信号光ビーム列20は、レンズ3によってホログラムディスク5中に集光される。また、参照光22は、集光レンズ12を通じてホログラムディスク5中で信号光25(信号光ビーム列20)と交差し、干渉縞を生じる。ホログラムディスク5は、2枚のガラス基板の間に光重合性材料がホログラム材料としてサンドイッチされている。ホログラム材料は、入射した光強度に応じて各部の屈折率が変化し、前述の干渉縞が屈折率差の形で記録される。
図1のようなホログラフィック光情報記録再生装置の特長は、複数のホログラムをホログラムディスク5中の同一の場所に多重化して記録できることであり、大きな記録容量が実現される。ホログラムディスク5中にホログラムが多重化されて記録される様子を図2に示す。
信号光ビーム列20は、記録用レンズ3によってホログラムディスク5中に集光される。このとき、信号光ビーム列20は、入力信号に応じて変調され、一様な波面を持たないため、ホログラムディスク5中では有限の大きさを持ったビームウエスト形状をなす。一方、参照光22は、集光レンズ12によってガラス基板52の表面に集光され、光重合性材料51内で信号光ビーム列20と交差する。光重合性材料51中にはモノマーが分散されており、露光強度に応じてモノマーが重合して消費されるため、モノマーの濃度分布が生じる。重合後、この濃度分布を緩和する方向にモノマーが拡散(移動)して、屈折率分布が生じる。
一つのホログラムが記録された後、ホログラムディスク5が回転によってわずかに移動され、次のホログラムが記録される。図2では、ホログラムディスク5を移動させる代わりに、移動後の、入射する信号光ビーム列20と参照光22とを点線で表示した。図のように、隣接したホログラムは、互いにその領域が重なり合って記録される。このとき、互いのホログラムでは、参照光22の集光位置が異なる、すなわち、ホログラム材料内のある場所を視点にすると、隣接するホログラムでは、参照光22の入射する角度が異なった状態で、ホログラムが記録される。多重化されたホログラムのホログラムディスク5上での構成は、図3のようになる。例えば、ホログラムサイズは2mm、多重記録を行う隣接ホログラム間のピッチは30ミクロン程度で、ホログラムが多重記録される。ホログラムを記録するごとにホログラムディスク5を回転して、円周方向に連続したホログラムを多重記録する。
ホログラムの多重記録は、前記モノマーがすべて重合して消費されない範囲に露光量が制御されてなされる。すべての記録が終了した際には、残存したモノマーをすべて重合させて屈折率差を定着し、材料の安定化を図る。この定着過程は必ずしも必要ではないが、定着しない場合には、以下のような不都合が生じる可能性がある。すなわち、残存モノマーは不安定な材料であり、保存環境によって変質して不要な屈折率変化を生じる。あるいは再生時に不要な干渉縞が記録されてしまい、再生時に不要な回折光を生じて再生信号のS/N比の劣化を引き起こす、等である。
定着工程は、例えば、参照光22のみをホログラムディスク5に照射して干渉縞を生じることなくモノマーを重合させる、発光ダイオードのような干渉性の低い光源をホログラフィック光情報記録再生装置内に備えておき、ディスク全面に順次照射する、などの方法がある。
多重記録されたホログラムを再生する際には、信号光ビーム列20を遮断し、参照光22のみをホログラムに照射する。ここで、フォトポリマー内に記録されるホログラムは、フォトポリマーと同じ厚さをもつ、いわゆるブラッググレーティングとして記録されている。よく知られるように、厚いブラッググレーティングは、入射する参照光の角度依存性が鋭く、記録時の参照光と同じ角度で参照光が入射したときにのみ再生回折光を生じる。前述のように、図1のホログラフィック光情報記録再生装置では、異なるホログラムに対してホログラムが感じる参照光22の入射角度が異なるため、多重化されたホログラムのうち、一つのホログラムを選択的に再生することが可能である。
ここで、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の特徴は、ホログラムを再生するときに参照光22のパワーを大きくしていることである。すなわち、情報再生時のホログラムディスク5(光重合性材料51)中の参照光22のパワーは、情報記録時のホログラムディスク5(光重合性材料51)中の参照光22のパワーと信号光25(信号光ビーム列20)のパワーとの和より大きいことが好ましく、この和の2倍より大きいことがより好ましい。また、情報記録時の参照光22と信号光25とのパワー比は、3:1〜20:1であることが好ましく、5:1以上であることがより好ましい。
ホログラムからの再生回折光は一般に1%以下と低いために、2次元受光素子アレイ6での受光光量が少なく、相対的に再生信号に含まれる電気ノイズの割合が大きくなり、再生信号のS/N比が低い。十分なS/N比を確保するには、より大出力の光源を用いて信号光パワーを確保することが考えられるが、装置の大型化、高コスト化につながる。また、一つのホログラムを再生する時間を長くして再生信号光21のエネルギを確保する方法もあるが、この場合には転送レートが低下する。
本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置では、ホログラム再生時に2分の1波長板9を回転して偏光ビームスプリッタ8に入射する光を紙面に垂直な方向の直線偏光にすることにより、信号光25へのパワー分配をなくし、参照光22のパワーを大きくできる。このことから、再生時の2次元受光素子アレイ6での受光光量を確保でき、高転送レート、高S/N比のホログラム再生が可能である。
CD、DVDなど従来の光ディスク装置では、メディアの温度の上昇によって情報を書き込んでいるため、再生時にはメディアの温度上昇によるデータの損傷が少なくなるよう、記録時より小さな光パワーで再生する必要があった。
これに対して、光重合性材料の屈折率変化によってデータが記録されるホログラフィックな光情報記録技術においては、参照光の光量の制約が少ない。すなわち、記録されたメディアを再生する時には、フォトポリマーのモノマーがほとんど存在せず、光照射によって材料が変化しない、あるいは、再生時には参照光のみを照射しているため、干渉縞を生じず、モノマーが一様に重合するため、屈折率差が変化しない。このために参照光のパワーを増大しても、記録データの損傷が起こりにくく、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置のように、参照光パワーを大きくして再生転送レートを高くすることができる。
図1では偏光ビームスプリッタ8に入射する偏光方向を制御する手段として、2分の1波長板9を用いたが、例えば液晶素子を用いて、液晶素子への印可電圧を変化させることによって、同じ効果を実現することも可能である。
また、偏光ビームスプリッタ8の代わりに、偏光性ホログラムを用い、その回折光と透過光とを信号光25と参照光22とすることもできる。この場合にも、2分の1波長板9を回転して偏光を制御するのは同様である。
また、上記のように、ビームの偏光を用いてパワーを分配する方法の他に、図1中の偏光ビームスプリッタ8の位置にハーフミラーを備え、そのハーフミラーを光路から出し入れすることで光ビームの分配比率を変化させることも可能である。このときには、再生時に光ビームが通過する光学部品点数が減り、参照光22の波面収差が少なくなる効果を有する。
また、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の別の特長は、ホログラム記録時にも、参照光22と信号光25とのパワー比を制御して、最適なパワー比で記録可能なことである。ここで空間光変調素子2は、信号に応じて透過する光強度を変調する振幅型のSLMを用いており、OFFのデータに対応するセルに入射した光は、SLMで遮断されるために、信号光25の光ロスが非常に大きい。そこで、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置では、参照光22により多くのパワーを分配し、信号光25への分配比率をより小さくすることにより、記録時の装置全体の光利用効率が向上するという効果を持つ。そのため、記録時にホログラムディスク5に照射される光量が増加し、高速な記録が可能になる。
また、上記のパワー分配比の変更方法は、上記の例に特に限定されず、種々の変更が可能である。まず、情報記録時のパワー分配比を記録媒体に応じて変化させることが好ましい。記録媒体であるホログラムディスク5中にホログラムが記録される際、信号光25と参照光22とから生成される干渉縞の光強度分布に従って光重合性材料51の屈折率が変化し、ホログラムが記録される。このとき、記録媒体ごとに最大の屈折率変化量が異なるため、記録媒体ごとに記録時の最適な露光条件が異なる。したがって、上記のパワー分配比を記録媒体の種類(例えば、記録再生型記録媒体、追記型記録媒体等)に応じて変化させることが好ましい。また、上記のパワー分配比を記録媒体のリニアリティに応じて変化させるようにしてもよい。
また、情報記録時のパワー分配比を参照光の入射角に応じて変化させることが好ましい。複数のホログラムを同一箇所に多重記録する際、それぞれのホログラムに対して参照光の入射角度を変化させて多重記録する方法を角度多重記録という。例えば、参照光をガルバノミラーで反射させる等の参照光を偏向する偏向手段により入射角を変えることができる。
図4は、入射角に応じてホログラムディスク内で参照光のビーム強度が変化することを説明するための模式図である。図4に示すように、参照光が、ホログラムディスク5に入射する際、ホログラムディスク5内で参照光のビーム強度は、ホログラムディスク5に対するビームの入射角に応じて変化する。すなわち、ホログラムディスク5へ入射する前の参照光のビーム強度が同一であっても、入射角が大きいときには(図中に実線で示す参照光12aの場合)、入射角が小さいとき(図中に破線で示す参照光12bの場合)に比べて、ホログラムディスク5内のビームサイズが大きくなり、ひいてはホログラムディスク5中のビーム強度が小さくなる。このビーム強度の変化を考慮してホログラムを記録するときに、参照光の入射角に応じて2分の1波長板9の回転位置を制御することにより、基準入射角より参照光の入射角が大きいときは、基準パワーより参照光のパワーを大きくし、一方、基準入射角より参照光の入射角が小さいときは、基準パワーより参照光のパワーを小さくする。この結果、参照光の入射角に拘らず、ホログラムディスク5中での参照光と信号光とのパワー分配比である強度比を一定にしてホログラムを記録することができ、各ホログラムからの再生信号光の光強度を一定にすることができる。
また、情報記録時のパワー分配比を記録媒体に記録される情報の符号化方式に応じて変化させることが好ましい。ホログラム記録においては、入力信号となるデジタルデータを2次元のデータセル列に変換して記録することとなる。この際、入力データをデータセル列に変換する符号化方式としては、種々の方式が提案されている。
図5は、1−2変換符号方式を説明するための模式図であり、図6は、3−16変換符号方式を説明するための模式図である。例えば、1−2変換と呼ばれる符号方式である1−2変換符号方式では、図5に示すデータセル列D1のように、入力データの1bitに対して、例えば、左右に隣接する2つのセルを割り当てる。入力データのbitが1の場合、2つのデータセルのうち右側のデータセルをON(図中の黒色セル)に、左側のデータセルをOFF(図中の白色セル)にする。この方式では、入力データに拘らず、全データセルのうち50%がONに、残りの50%がOFFとなる。
また、3−16変換と呼ばれる符号方式である3−16変換符号方式では、図6に示すデータセル列D2のように、1辺が4セルからなり、総セル数が16となる正方形の領域(図中の太線で囲まれる領域)のデータセルを、入力データの1byte(=8bit)に対して割り当てる。また、0〜255の256通りのデータに対して、16個のデータセルのうち任意の3個のデータセルをON(図中の黒色セル)に、残りの13個のデータセルをOFF(図中の白色セル)にする。16個のデータセルのうち3個のセルを選ぶ組み合わせは、256通り以上存在するため、上記の方式では、1バイトのデータを表現することができ、入力データに拘らず、全データセルのうち18.75%がONに、残りの81.25%がOFFとなる。
このように異なる符号化方式によってONとなるデータセルの割合が異なる。これは、信号光を生成する空間光変調素子2のトータルの透過率が符号化方式によって変化することを意味し、ホログラムディスク5中での参照光と信号光との最適なパワー分配比を実現するためには、パワー分配比をホログラムディスク5に記録される情報の符号化方式に応じて変化させることが必要となる。例えば、本実施の形態では、記録再生型記録媒体と追記型記録媒体、又は記録容量の異なる媒体等の記録媒体の種類によって異なる符号化方式を選択する場合、又は、データ領域と、FAT(ファイル・アロケーション・テーブル)等のデータ管理領域とで異なる符号化方式を選択する場合、記録媒体又は領域の種類ごとに、すなわち符号化方式ごとに、参照光と信号光とのパワー分配比を変化させている。具体的には、符号化方式が変更されるごとに、各符号化方式においてONされているデータセルの割合の逆数に比例して参照光のパワー又は参照光と信号光とのパワー比が増減するように、2分の1波長板9の回転位置を制御している。
また、光利用効率又はホログラフィック光情報記録再生装置の消費電力の観点から、偏光ビームスプリッタ8は、情報再生時に、すべての光パワーを参照光に分配することが好ましい。この場合、信号光と参照光とのパワー分配比を可変する2分の1波長板9によって、レーザ光源1からの光のうちほとんど全ての光が参照光に振り分けられる。しかしながら、2分の1波長板9及び偏光ビームスプリッタ8による消光比が有限であるため、このとき同時に信号光の光路中に配置されている空間光変調素子2をすべてオフにすることが好ましい。これによって、信号光の光路中を伝搬するわずかな漏れ光が再生信号光に重畳されることによるS/N比の劣化を低減することができる。
さらに、信号光の光路中にシャッタ等の遮光手段を配置し、情報再生中には遮光手段を閉状態にし、上記の漏れ光を遮断することが好ましい。これによって、信号光の光路中を伝搬するわずかな漏れ光が再生信号光に重畳されることによるS/N比の劣化を回避することができる。
上記の遮光手段としては、種々のものを用いることができ、例えば、遮光部材となる金属片を信号光の光路中に機械的に出し入れするメカニカルシャッタを使用することができる。この場合、消光比が極めて高くなり、S/N比の劣化をより確実に回避することができる。また、メカニカルシャッタ以外に、液晶素子、電気光学効果を用いた光スイッチ等を用いてもよい。この場合、メカニカルシャッタに比して消光比が劣るが、可動部が存在しないため、機械的な振動を発生することなく、高速に開閉動作を行うことができる。
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の第2の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。図7のホログラフィック光情報記録再生装置の特長は、信号光と参照光のパワー分配比を制御するための偏光制御デバイスがEO変調器91からなることである。EO変調器91は、高速動作可能であるという特徴を持つ。また、図7のホログラフィック光情報記録再生装置は、一つのホログラムを記録した直後に当該ホログラムを再生することを特徴とする。ホログラムを記録する際の手順は以下のごとくである。
まず、ホログラムを記録する際には参照光22と信号光25を同時にホログラムディスク5に照射する。このとき、2次元受光素子アレイ6には、空間光変調素子2を通過した信号光25が照射されている。次に、目標露光量に達する時間が経過した後、紙面に垂直な直線偏光を出力するようにEO変調器91の印可電圧を変更し、参照光22のみでホログラムディスク5を照射する。このとき、直前に記録されたホログラムからの回折光が再生信号光21として2次元受光素子アレイ6に入射する。また、EO変調器91の印可電圧を変更して信号光25を遮断するのと同時に、2次元受光素子アレイ6の各セルに蓄積されていた光電荷を放電してリセットしておく。次に、一定時間ホログラムを再生した後、光電変換して蓄積された電荷量を2次元受光素子アレイ6から読み出す。以上の手順によって、ホログラムに記録されたデータを記録直後に読み出して高速なベリファイ動作が実現される。
また、上記の方法で、記録されたホログラムの回折効率をモニタすることもできる。ホログラムを多重記録する際には、材料のダイナミックレンジを個々のホログラムに均等に割り当ててそれぞれのホログラムのS/N比を確保するため、各ホログラムの回折効率をモニタすることはきわめて重要である。
上記では、図のようにEO変調器91にてホログラム記録直後に信号光を遮断したが、同様の動作は、信号光の光路中に高速の光スイッチを配置する、あるいは、空間光変調素子2の全スイッチをOFF状態にする、などの信号光の光路中に配置され、信号光を遮光する遮光手段でも実現できる。
また、上記の方法では、EO変調器91が情報記録時に参照光と信号光とがホログラムディスク5に入射されるようにパワー分配比を設定してホログラムが記録される時間は、EO変調器91が情報記録後にすべての光パワーを参照光に分配するようにパワー分配比を変化させてホログラムが再生される時間より長い、すなわち、ホログラム記録時間より直後の再生時間が短いことが好ましい。これは再生によってモノマーの重合が進行し、記録材料のダイナミックレンジが低下することを抑制する効果がある。同様の理由で、記録時間中の露光量より再生時間中の露光量が少ないことが望ましい。
また、上記の方法では、ホログラム材料に例えば光重合性材料を用いた場合のように、露光後一定時間経過後に屈折率変化が生じる、あるいは、露光後一定時間経過後に屈折率変化が終了する場合があり、記録後一定時間経過した後にベリファイ動作、あるいは回折効率のモニタをするのが望ましい。これによって、より正確なベリファイ動作や回折効率のモニタが可能になる効果がある。
上記の説明では、参照光に球面波を用いたシフト多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置について説明したが、他の多重方式に基づくホログラフィック光情報記録再生装置でも、上記と同様の効果が得られる。例えば、スペックルパターンを生じる参照光を用いたシフト多重方式でも同様である。これらシフト多重方式では、異なるホログラムを異なる場所に記録するが、上記のようなベリファイ動作、回折効率のモニタ動作を行う際には、ホログラムの記録開始から、ベリファイ動作、あるいは回折効率のモニタが終了するまで、光ヘッドとホログラムディスクとの相対的な位置関係が実質的に変化しないように保つ、すなわち、シフト多重方式による情報記録後にEO変調器91がすべての光パワーを参照光に分配するようにパワー分配比を変化させてホログラムが再生される期間において、参照光と記録媒体との相対的な位置関係は、所定距離以上変動しないように保持されることが好ましい。
例えば、相対的な位置関係の変化を、記録している干渉縞周期の5分の1以下に保つことが好ましく、干渉縞周期が0.5ミクロンの時には、相対的な位置関係が0.1ミクロン程度以上変化しないように保つようにしてもよい。これらの場合、相対的な位置関係のずれによって、記録される干渉縞のコントラストが低下するのを防止する効果がある。
上記の条件を満たすために、それぞれのホログラムを記録する際にはホログラムディスク5を停止し、ホログラムディスク5停止中にベリファイ動作、回折効率のモニタを完了し、ディスクを一定距離移動した後、隣接したホログラムを記録する。あるいは、ホログラムディスク5を一定の速度で移動しつつ、短パルス光を用いて記録及びベリファイを行う方法でもよい。例えばホログラムディスクを毎秒30mmで移動しつつ、平均的な干渉縞周期が0.5ミクロンのホログラムを記録する際には、ホログラムの記録開始からベリファイ動作終了まで約5マイクロ秒で行えばよい。
また、上記のベリファイ方法は、角度多重方式のように、複数のホログラムを同一の場所に記録する多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置で行う場合に、さらに有効である。これは、複数のホログラムを記録する間にホログラムディスクを移動する必要がなく、シフト多重方式のように光源のパルス幅や、ベリファイ動作完了までの時間の制約が少なくてすむ効果を持つ。
また、記録後に回折効率をモニタすること、すなわち、情報記録後にEO変調器91がすべての光パワーを参照光に分配するようにパワー分配比を変化させている期間において、記録されたホログラムの回折効率を検出することは、次のような効果を併せ持つ。ホログラム記録材料は、長時間高温に晒される、環境光で被爆する、などの理由によって、記録以前にモノマーの重合反応が促進し、残留モノマーが減少している可能性がある。このときには、ホログラム記録で生じさせる屈折率変化の全量が減少する。このような性能劣化をおこしたホログラムディスクに、劣化を起こしていないホログラムディスクの適正露光量でホログラムを記録すると、多重化記録の途中でモノマーが枯渇し、後半に記録するホログラムが正常に記録されない可能性がある。
これを防ぐためには、以下のような方法がある。第1の方法は、記録したホログラムからの回折効率をモニターして、各ホログラムの回折効率が適正値を示すような露光量で記録し、モノマーが不足して十分な回折効率が得られなくなる以前にホログラムの多重化を中止する方法である。この方法は、多重度が適正な値より小さくなり、ホログラムディスク全体の容量が低下する短所があるが、反面、各ホログラムからの回折効率として適正な値が得られ、十分な再生光量が得られるため、適正な転送レートが実現される特長を持つ。
上記第1の方法は、データ記録に用いるホログラムを記録しつつそれぞれのホログラムからの回折効率をモニタすることでも実現できる。この場合にはデータホログラム自体の回折効率をモニタしているため、ホログラムディスクの面内での劣化度合いの分布の影響を受けないという効果がある。また、データ記録を行う前に、データ記録とは別のコントロール領域にホログラムを多重記録し、その再生回折効率や再生S/N比をモニタすることでデータ領域での多重度を決定することでも実現できる。この場合には、一度多重度を決定した後は、回折効率のモニタを行わずに高速にホログラム記録が行える効果がある。
上記の多重度の調整方法として、シフト多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置では、ホログラムが記録されるディスク上でのピッチを変化させることで多重度を調整することができ、角度多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置では、ホログラム記録時の参照光の入射角度のピッチを変化させることで多重度を調整することができる。
次に、第2の方法は、記録したホログラムからの回折効率をモニタして、所望の多重度が得られるように各ホログラムに回折効率を割り当て、露光量を調節する方法である。例えば、材料が劣化して屈折率変化の全量が減少した場合には、各ホログラムでの屈折率変化を小さくする。この方法は、適正な多重度が得られ、ホログラムディスク全体の容量が確保される特長があるが、反面、各ホログラムからの回折効率が低下し、適正な転送レートが実現されない短所を持つ。
上記第2の方法は、上述のように、データ記録に用いるホログラムを記録しつつそのそれぞれのホログラムからの回折効率をモニタすることでも実現できる。この場合にはデータホログラム自体の回折効率をモニタしているため、ホログラムディスクの面内での劣化度合いの分布の影響を受けないという効果がある。また、データ記録を行う前に、データ記録とは別のコントロール領域にホログラムを多重記録し、その再生回折効率や再生S/N比をモニタすることでデータ領域での多重度を決定することでも実現できる。この場合には、一度多重度を決定した後は回折効率のモニタを行わずに高速にホログラム記録が行える効果がある。
次に、第3の方法は、記録したホログラムから適正な回折効率が得られなかった場合に、記録を中止する方法である。この場合には、データ記録を行えないという短所があるが、ホログラムディスクに表記された規格の種類、あるいはディスクのパッケージに表記された規格の種類、あるいはディスクのカートリッジに表記された規格の種類から連想される記録容量や転送レートと、実際に記録されたデータとの相違が生じないという効果がある。
次に、第4の方法は、記録したホログラムから適正な回折効率が得られなかった場合に、警告を発する、又は警告信号を出力する方法である。この場合には、ホログラムディスクに表記された規格の種類、あるいはディスクのパッケージに表記された規格の種類、あるいはディスクのカートリッジに表記された規格の種類から連想される記録容量や転送レートと、実際に記録されたデータとの相違が生じにくいという効果がある。
これら第1から第4の方法は、ホログラム記録に限らず、記録薄膜面に微小スポットを集光してマークを記録する従来の光ディスク技術にも、類似の方法が適用可能である。例えば、記録したマークの反射率変化をモニタして、十分な反射率変化を生じていない場合には、平均マーク長を長くして記録する、あるいは、再生時のディスク速度を低くして再生するなどの方法である。しかしながら、ホログラム記録材料は、前述のように経時変化を受けやすい、環境光被爆の影響を受けやすいなど、従来の光ディスク材料にない特性を持っており、第1から第4の方法は、ホログラム記録に適用するときに特に効果的である。
(第3の実施の形態)
ホログラム材料においては、未露光のまま材料が放置されると、周辺環境温度などにより本来露光時に進行する化学反応と異なる反応が進行して、材料が黒化して散乱が増加するなどの不具合が生じる場合がある。これを防ぐためには、記録が終了し、以降追記を行わないとき、すなわちディスクをクローズする際に、未露光部分の材料に光を照射し、未反応の材料を消費しておくことが有用であり、これを定着過程と呼ぶ。
上記の第1の実施の形態では、すべての記録が終了した際には、残存したモノマーをすべて重合させて屈折率差を定着し、ホログラムの定着の際に記録最中より大きなパワー密度の光をホログラムディスク5に照射することができる。例えば、定着時には記録材料中のモノマーがすでにホログラム記録によって消費されて重合しており、モノマー濃度が低下した状態にある。このときには、モノマー分子間の間隔が広くなっている。このような状態において、重合開始材の活性化頻度が小さければ、重合開始材の活性化による重合開始の効率が低下し、重合開始材のみが消費されながら、モノマーが十分に重合されない現象が生じる。すなわち感度に非線形性が現れやすい。これを防ぐためには、特にモノマーの濃度低下が著しい状態での定着工程において、よりパワー密度の高い光をホログラム材料に照射することが好ましい。上記第1の実施の形態では、定着工程において、レーザ光源1からの光をすべて参照光に割り当て、信号光の光路中の空間光変調素子2での光ロスをなくして記録時より大きなパワー密度を実現することができる。
上記定着過程は、一定度合いまで多重記録が行われ、かつ最大多重度に未達の領域である未飽和領域において特に重要である。この未飽和領域において材料の黒化が発生した場合には、信号再生が行われる際に散乱光が誘起され、S/N比の低下を来たす。これに対して、記録が一切行われなかった未記録領域では、信号再生が行われることがないため、未露光の材料が黒化しても、大きな問題とはならない。したがって、定着過程は、すべての領域で行う必要はなく、未飽和領域のみ行うことが好ましい。この場合、定着過程に必要な時間が軽減され、より高速に記録処理を終了することができる。
また、ホログラム材料において、未露光の部分は粘度が低く、ホログラムディスクの一部を記録し、一部を未露光のまま放置すると、未露光の領域の化学物質が記録部分に拡散し、記録済み領域の屈折率又は体積を変化させたり、記録済み領域の散乱を増加させる等の悪影響が生じる可能性がある。このようなホログラム材料に記録する際には、未記録領域及び未飽和領域のすべてに対して定着を施すことが好ましい。
また、多重記録を行う際には、ホログラムディスクの各領域において、最大多重度で多重記録が行われたときにも、未反応の材料が残留した状態になっている。これは、多重記録の終了間際にも一定量の未反応材料を確保し、一定の感度を得るためである。このため、未反応材料を長時間放置したときに、黒化の比較的大きな材料を利用する際には、記録が終了したときに、未露光領域、未飽和領域及び記録済み領域のすべてに対して定着を施すことが好ましい。
もちろん、第1の実施の形態の構成をとらない場合でも、定着工程に用いられる別光源を用意し、記録時より大きなパワー密度を実現してもよい。このように記録時より大きなパワー密度で定着することにより、より完全に実消費のモノマーを重合することができる効果を持つ。また、より短時間に定着工程が完了する効果を持つ。
図8は、本発明の第3の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。本実施の形態の特徴は、ホログラム記録後の定着用の光源として発光ダイオード40を用い、発光ダイオード40からの光を対物レンズ41により集光して未飽和部分のみを定着することである。発光ダイオード40は、記録光源であるレーザ光源1とほぼ同等あるいはわずかに短い波長に発光スペクトル中心を有しており、出力光がホログラム材料に入射した時には効率的に残留モノマーが重合される。
本実施の形態の効果は、定着工程で不要な干渉縞を生じず、再生時に不要な回折光を生じないため、再生時のS/N比が定着工程によって悪化しないことである。発光ダイオード40のスペクトル幅は、約10nm以上あり、ホログラムディスク5の界面での不要反射光その他の迷光が生じた場合にも干渉縞が生じない。このように、定着工程での光源は、記録時の光源より発光スペクトル幅が広いことが望ましい。図8では、定着用光源に発光ダイオード40を用いたが、発光スペクトルが1nm以上ある光源で、発光スペクトル中心がホログラム材料の感度の範囲の中にあれば、他の光源を用いることもでき、例えば、スーパールミネッセントダイオードでもよい。
上記の説明では、定着用光源をホログラムディスク5の下面から照射する図を示したが、上面又は側面から照射してもよい。特に、側面から照射したときには、定着用光源からの光がホログラム材料内を長距離進行するため、より効率よく定着が行われる。この場合には、定着工程が短時間になる効果がある。また、定着用光源の出力が小さくてよくなるという効果がある。側面から定着用光源でホログラムディスク5を照射するときには、定着用光源をホログラムディスク5の端面に近接させるか、集光光学系を介してホログラムディスク5の端面に集光するのがよい。いずれの場合も光利用効率が高まり、定着時間の短縮される効果や、定着用光源の出力が小さくてもよくなる効果がある。
また、記録に用いるレーザ光源1を用いて定着する場合にも、ホログラムディスク5への入射角を大きくした方が光とホログラム材料との作用長が長くなって定着工程が効率化される。あるいは、図8のようにスペクトル幅の広い別光源を用いない場合でも、例えば半導体レーザを記録用光源に用いている場合には、半導体レーザの注入電流に高周波電流を重畳することによってスペクトル幅を拡大し、干渉性を低下させることで、同様に定着工程での光源のスペクトル幅を広くすることができる。この場合にも定着工程で不要な干渉縞を生じず、再生時に不要な回折光を生じないため、再生時のS/N比が、定着工程によって悪化しないという効果を持つ。
(第4の実施の形態)
上記のように、ホログラフィック光情報記録再生装置では、2次元の再生信号光ビーム列を2次元受光素子アレイ6で検出するため、再生信号光ビーム列と2次元受光素子アレイ6のセルとの位置あわせを行う必要がある。特に、あるホログラフィック光情報記録再生装置で記録されたホログラムディスクを他のホログラフィック光情報記録再生装置で再生するときには、両装置のレンズの像サイズを厳密に一致させる必要がある。例えば、再生信号光ビーム列と2次元受光素子アレイ6のセルが、縦に1000本、横に1000本の正方パターンで配列されている場合、記録を行う装置のレンズと記録されたホログラムディスクを再生する装置のレンズの像サイズが0.1%異なっているとき、2次元受光素子アレイ6の端部のセル上には互いに隣接する再生信号光ビームの半分ずつが入射することになり、正しい信号再生が行えない。このような状況は、上記のように異なるホログラフィック光情報記録再生装置でホログラムディスクを再生する場合のみならず、環境温度変化や経時変化によるレンズのひずみや、温度変化による2次元受光素子アレイ6の熱膨張や、それらの複合でも生じる可能性がある。
この課題に対して、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置の構成において、再生用レンズ4に代えて、倍率が可変な、すなわち焦点距離が可変である再生用レンズを持つ。この構成では、再生信号光ビーム列の全体像サイズに応じて再生用レンズの倍率を調整することで、再生信号光ビームと2次元受光素子アレイのセルとの位置あわせが容易になり、正確な信号再生が可能になる。なお、上記の点を除き、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
また、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置は、倍率が可変な再生用レンズと、再生信号光ビームの本数より多い受光セルが再生信号光ビーム列の大きさより大きな範囲に配列された2次元受光素子アレイとを持つことが好ましい。この構成では、2次元の再生信号光ビーム列の全体像サイズが所望の像サイズより大きくなった場合と、所望の像サイズより小さくなった場合のどちらでも、2次元受光素子アレイからの出力信号に画像処理を施すことによって、2次元の再生信号光ビーム列の全体像サイズを知ることができる。また、より適切に再生用レンズの倍率を調整することで、再生信号光ビームと2次元受光素子アレイの受光セルとの位置あわせがより容易になり、正確な信号再生が可能になる。
また、2次元受光素子アレイの外周部の受光セルは、領域分割されていることが望ましい。この場合には、2次元受光素子アレイの外周部分の受光セルからの出力信号によって、倍率の誤差がより正確に認識され、より正確な倍率の調整が可能になり、より正確な信号再生が可能になる。
また、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置の構成において、記録用レンズ3に代えて、倍率が可変な、すなわち焦点距離が可変である記録用レンズを持つことが好ましい。この構成では、記録用レンズのひずみによって、適切なサイズの再生像を生じるホログラムが記録できなくなった場合にも、記録用レンズの倍率を調整することで、適切なサイズの再生像を生じるホログラムが記録できる。
また、上記の倍率が可変な記録用レンズと、再生信号光ビーム列の大きさより大きな範囲に受光セルが配列され、再生信号光ビームの本数より多い受光セルが配列された2次元受光素子アレイとを用いるようにしてもよい。この構成では、空間光変調素子を通過した信号光のうち、ホログラムで回折されない0次光を2次元受光素子アレイで検出し、2次元受光素子アレイからの出力信号に画像処理を施すことによって、2次元の再生信号光ビーム列の全体像サイズを知ることができる。また、より適切に再生用レンズの倍率を調整することで、再生信号光ビームと2次元受光素子アレイの受光セルとの位置あわせがより容易になり、正確な信号再生が可能になる。この場合にも、2次元受光素子アレイの外周部分の受光セルからの出力信号によって、倍率の誤差がより正確に認識され、より正確な倍率の調整が可能になり、より正確な信号再生が可能になる。
また、本実施の形態の構成では、記録用レンズと再生用レンズとが略等しい歪曲収差を持つことが好ましい。ホログラフィック光情報記録再生装置において、記録用レンズ、再生用レンズには、ビームの入射角θ、焦点距離fに対して、像高hがh=f×sinθとなる関係で表されるいわゆるフーリエ変換レンズが用いられる。このとき、歪曲収差のない再生信号光スポット列が得られ、すべての再生信号光スポットが等しい間隔で正方配列される。これに対して再生用レンズ、あるいは記録用レンズに歪曲収差がある時には再生信号光スポット間隔が中心像付近と周辺像付近とで異なり、2次元受光素子アレイの受光セルと再生信号光スポット列との位置が一致せず、再生信号の品質の劣化を招く。
これに対して、上記の構成によれば、再生用レンズと記録用レンズとが略等しい歪曲収差を持つので、記録時と再生時との収差の影響が互いに打消し合う。この結果、等ピッチの空間光変調素子を用いて記録したホログラムを再生して、等ピッチの再生信号光スポット列が得られるので、等ピッチの2次元受光素子アレイで再生信号光スポット列を検出して、高品質の再生信号が得られる。
また、厳密にフーリエ変換レンズを設計すると、歪曲収差低減のため、多数の構成レンズを用いる必要があり、レンズが高価である、重量が大きい、サイズが大きいという課題がある。それに対して、上記のように、記録用レンズと再生用レンズとに略等しい歪曲収差を持つレンズを用いる構成では、レンズ設計に余裕ができるので、構成レンズ枚数が低減される、レンズが低価格になる、重量が小さい、サイズが小さいという効果を持つ。
さらに、記録用レンズと再生用レンズとが樽型の歪曲収差を持つ構成では、糸巻き型の歪曲収差を持つ構成に比べて、レンズ設計により余裕ができるので、構成レンズ枚数がより低減される、レンズがより低価格になる、重量がより小さい、サイズがより小さいという効果を持つ。
また、記録用レンズ及び再生用レンズの像面湾曲は、小さい、例えば、焦点深度以下であることが望ましい。像面湾曲が大きいとき、2次元受光素子アレイ上の場所によって再生信号光スポットの焦点位置が異なり、光スポットサイズが大きくなるため、符号間干渉が増大する。例えば、レーザ光源の波長が532.1nm、空間光変調素子のセルサイズが15ミクロン、記録用および再生用レンズの焦点距離が20mmのとき、焦点深度は約0.1mmとなり、像面湾曲は0.1mm以下とするのが望ましい。
また、記録用レンズ及び再生用レンズの像面湾曲は、それぞれ焦点深度の1/2以下になっていることがより好ましい。通常は、上記のように像面湾曲は、焦点深度以下に規定すればよいが、ホログラフィック光情報記録再生装置では、記録用レンズと再生用レンズにともに像面湾曲があるときには、その影響が加算されるため、それぞれのレンズの像面湾曲はさらに小さくするのがよい。また、記録用レンズと再生用レンズとの像面湾曲を、それぞれ焦点深度の1/2以下に規定することにより、両レンズを同様の設計で作ることができ、部品の共通化、低コスト化が図られる効果もある。
上記のように、記録用レンズや再生用レンズの焦点距離、空間光変調素子のセルサイズを規定し、レーザ光源の波長から規定される焦点深度の2分の1以下にすることで、信号再生時の焦点ぼけを防ぐことができる。なお、上記の記録用レンズ、再生用レンズ及び空間光変調素子の構成は、それぞれ個別に実施してもよい。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる2次元受光素子アレイの概略光学構成図を図9に示す。本実施の形態の特徴は、2次元受光素子アレイ6の各セルの受光部分62の大きさ(受光部分62の縦方向の長さ及び横方向の長さ)が、セルピッチCP(受光セル61の縦方向の長さ及び横方向の長さ)よりも小さくなっていることである。なお、図9に示す2次元受光素子アレイ6を除き、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
図10は、図9に示す2次元受光素子アレイが再生信号光スポットを受光する状態を説明するための断面概念図である。図9では、再生信号光スポット65を円で表現しているが、実際の再生信号光スポットは、図10に示すように、再生信号光スポットの光強度分布は、図中実線の曲線I1で示したような分布を示す。図10では、再生信号光スポット列の位置と2次元受光素子アレイ6のセルの位置とが正確に一致している場合を図示しており、再生信号光スポットの光強度分布は、対応する2次元受光素子アレイ6の受光部分62の中央で極大の値を取る。
図10のように、再生信号光スポットの光強度分布が広がりを持つのは、主に、記録されたホログラムのサイズが制限されているために、ホログラムのサイズで回折されることに起因する。ホログラムの形状が正方形あるいは長方形であり、ホログラム内各部から等しい回折効率で再生信号光が回折されたときには、図の光スポットの光強度分布は、sinc関数の2乗の関数で表される。このときの光強度分布の広がりは、ホログラムのサイズに依存し、ホログラムのサイズを適当に選ぶことで、図のように光強度分布のファーストヌル、セカンドヌルの位置を、ちょうど隣接した受光セル61の受光部分62上に一致させることができる。
受光セル61の出力信号は、受光部分62上の光強度分布を積分した値に比例した値となる。図10中に破線又は一点鎖線の曲線I2、I3で示したように、受光部分62上には隣接するON状態の光スポットの一部が入射し、セルからの再生信号光の光強度を変化させる。これは、従来の光ディスクで、近接したピットからの回折光が光受光素子に入射して生じる符号間干渉に類似した現象である。従来の光ディスク再生装置では、この符号間干渉を考慮して、再生信号を適切なFIRフィルタに通過させることで、符号間干渉の影響を減じることができる。
一方、ホログラフィック光情報記録での符号間干渉の特徴は、隣接光スポットからの光と再生信号光とがコヒーレントに干渉することである。隣接する光スポットからの光が再生信号光とコヒーレントに干渉する場合には、符号間干渉の大きさは線形性を保たない。すなわち、あるセルの再生信号では、隣接するONセルの個数の違いによって、それぞれの隣接スポットから混入する符号間干渉の大きさが異なる。また、あるセルがON状態かOFF状態かの違いによっても、隣接スポットから混入する符号間干渉の大きさが異なる。このため、従来の光ディスク再生装置で用いられたようなFIRフィルタを用いて符号間干渉を効果的に減じることができない。以上の理由から、ホログラフィック光情報記録再生装置では、光学的な手段によって受光セル61に混入する隣接スポットからの光を減じることがより、効果的に符号間干渉を低減させる。
このため、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置では、2次元受光素子アレイ6の受光部分62のサイズ(図10に示すPW)をセルピッチCPよりも小さくしている。図10に示したように、受光部分62の中央部分で隣接スポットからの光強度が小さく、受光部分62の端の領域で隣接スポットからの光強度が大きくなっており、受光部分62を小さくすることで、隣接スポットからの光の混入を効果的に減じることができる。
また、符号間干渉の大きさをより減ずるために、空間光変調素子2に擬似ランダム拡散板を重畳することが好ましい。擬似ランダム拡散板は、互いに隣接するセルの信号光スポットに対して互いに2分のπの位相変位を付与するものであり、任意のセルの再生信号光スポットと混入する隣接するセルの再生信号光とが干渉した場合にも、受光部分62での光強度分布は、それぞれの光スポットの光強度の和で表される。このため、FIRフィルタで効果的に符号間干渉の影響を減じることができる。
擬似ランダム拡散板を用いた場合にも、ON状態にある隣接スポットが複数ある場合には、それらから混入する光同士の位相差は2分のπにならず、非線形な符号間干渉が残留する。この非線形な符号間干渉は、図10の例では中央のセルの右側の隣接セルの光スポットの光強度と左側の隣接セルの光スポットの光強度との干渉によって生じる。すなわち図10中の破線の曲線I2と一点鎖線の曲線I3との干渉によって生じる。
破線I2で表した分布と一点鎖線I3で表した分布とはともに、その光強度が受光部分62の中央部分で小さく、周辺部で大きいので、前述のように、擬似ランダム拡散板を用いない場合の、受光部分62の中央部分で光強度が最大になる再生信号光スポットと受光部分62の周辺部分で光強度が最大になる隣接スポットからの混入光との干渉で生じる非線形な符号間干渉に比して、受光部分62の周辺部分により局在する。このため、擬似ランダム拡散板を用いる方法と、小さな受光部分62を用いる方法とを組み合わせた場合には、両方法を単独で用いた場合に比べて、より効果的に符号間干渉の影響を低減することができる。
高速フーリエ変換に依拠した数値計算によって、擬似ランダム拡散板を用いた場合には、受光部分62の大きさを受光セル61のピッチの0.94倍以下に設定したとき、符号間干渉によるS/N比を10dB以上にすることができ、FIRフィルタ通過後のビット誤差レートが10000分の1以下となる正確な信号再生が可能なことが分かった。また、擬似ランダム拡散板を用いない場合には、受光部分62の大きさを受光セル61のピッチの0.6倍に設定したとき、符号間干渉によるS/N比を10dB以上にすることができ、FIRフィルタ通過後のビット誤差レートが10000分の1以下となる正確な信号再生が可能なことが分かった。
なお、受光部分62を小さくしたときには、上述のように符号間干渉を減じて正確な信号再生が可能になる効果があるが、反面、受光光量が低下し、相対的に電気ノイズが大きくなってS/N比を悪化させる。このため、受光部分62の大きさは、符号間干渉が十分低減される範囲で、可能な限り大きくすることが必要である。このことから、受光部分62の縦方向及び横方向の長さの適正範囲は、受光セル61の縦方向及び横方向のピッチの0.6倍以上0.94倍以下の範囲に設定することが最適である。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる空間光変調素子の概略光学構成図を図11に示す。本実施の形態の特徴は、空間光変調素子2の各セルの光透過部分72の大きさが、セルピッチCPよりも小さくなっていることである。なお、図11に示す空間光変調素子2を除き、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
上記の構成では、ホログラムディスク5のホログラム上での信号光の光強度分布の形状が広がるため、2次元受光素子アレイ6上での各再生信号光スポットの広がりがより小さくなる。この現象は、空間光変調素子2の各セルの開口形状をフーリエ変換してホログラム上の信号光の光強度分布の包絡線を求め、さらに、この信号光の光強度分布の包絡線を逆フーリエ変換して2次元受光素子アレイ6上の再生信号光スポットの光強度分布を求めることで計算できる。また、記録用レンズ3と再生用レンズ4とで形成される光学系を4f結像系と見なしたときには、物体サイズを小さくすることで、像サイズが小さくなるという説明が可能である。この現象のため、空間光変調素子2の各セル71の大きさを小さくすることで、隣接セルに混入する光強度が小さくなり、符号間干渉が小さくなる。この結果、正確な信号再生が可能になる。
図12に、上記のセルピッチより小さな開口を持つ空間光変調素子を用いた時のホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線の様子を示す。破線で示す包絡線I5は、各セルが光透過部分72として矩形開口を持つ空間光変調素子を用いたときのホログラム上の信号光の光強度分布の包絡線を示し、実線で示す包絡線I4は、各セルが光透過部分72としてより小さい矩形開口を持つ空間光変調素子を用いたときのホログラム上の信号光の光強度分布の包絡線を示している。図12から、開口を小さくしたとき、ホログラム面での光強度分布の広がりが大きくなっており、符号間干渉低減の効果が期待される。
高速フーリエ変換に依拠した数値計算によって、上記の矩形開口の場合の効果を計算した。擬似ランダム拡散板の有無等の条件を変えて計算した結果、光透過部分72の大きさをセルピッチの0.92倍以下から0.55倍以上に設定したとき、符号間干渉によるS/N比を10dB以上にすることができ、FIRフィルタ通過後のビット誤差レートが10000分の1以下となる正確な信号を再生可能なことが分かった。
なお、光透過部分72を小さくしたときには、上述のように符号間干渉を減じて正確な信号再生が可能になる効果があるが、反面、空間光変調素子2の透過光量が低下し、光利用効率が低下する。このため、光透過部分72の大きさは符号間干渉が十分低減される範囲で、可能な限り大きくすることが必要である。このことから、光透過部分72の縦方向及び横方向の長さの適正範囲は、空間光変調素子の縦方向及び横方向のセルピッチの0.55倍以上0.92倍以下の範囲に設定するのが最適である。
また、空間光変調素子の各セル71の開口となる光透過部分72の形状を図13に示したような円形とすることでも、上記と同様の効果が得られる。この場合にホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線の形状は、ベッセル関数の2乗で表され、図12に示す包絡線I6のようになる。一方、セル71の開口が同じ最大幅を持つ矩形形状をしているときには、ホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線の形状は、sinc関数の2乗で表され、図12に示す包絡線I4のようになる。これらベッセル関数とsinc関数とを比較すると、ベッセル関数の広がりの大きさがsinc関数の広がりの大きさより大きくなるので、空間光変調素子の各セル71の開口の形状を円形とした場合、ホログラム面での光強度分布の広がりが大きくなり、符号間干渉低減の効果が期待される。
また、同様の効果は、図14のように空間光変調素子の各セル71の開口となる光透過部分72の一部に、内側に凸な形状部分78を設けることでも実現される。この場合には、開口形状を円形にしたときより、ホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線の形状が広がる程度は小さくなる。反面、例えばTN液晶素子を用いた透過型液晶素子を空間光変調素子に用いた場合には、液晶素子を駆動する薄膜トランジスタなどの回路部分を、開口の内側に凸な形状78の部分に配置することで、効率的に開口制限が可能である。
また、図15のように、空間光変調素子の各セル71の開口となる光透過部分72を、略矩形形状の開口部分の隅の部分を切り欠き部分79で一部切り欠いた形状にすることでも、上記と同様の効果が得られる。
また、図16のように、2枚のガラス基板73,74と、その間に封止された液晶層74とを備える空間光変調素子の各セル71に対応するようにマイクロレンズアレイ75を空間光変調素子に近接して設置し、各セル71を通過するビームをそれぞれ集光する構成でも、同様の効果が得られる。この場合には、符号間干渉低減の効果に加え、光利用効率が高くなる効果も併せ持つ。
なお、本実施の形態では、透過型の空間光変調素子を用いているが、この例に特に限定されず、シリコン基板上に反射膜を施し、さらに液晶素子を装加した構造のいわゆるLCOSデバイスや、微小ミラーを振動して反射光の方向を制御する光スイッチ列を構成するいわゆるDLPデバイスや、他の任意の構造の光スイッチ列であれば同様に用いることができる。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置におけるホログラム面付近の開口での信号光の光強度分布の様子を図17に示す。また、ホログラム面付近に開口を有する遮光部材を設置したときの2次元受光素子アレイ6面上での再生信号光スポットの光強度分布を計算した結果を図18に示す。なお、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、開口を有する遮光部材をホログラム面付近に設置する点を除き、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と基本的に同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
図17に示すように、矩形開口を有する空間光変調素子2を用いたときのホログラム上の信号光の光強度分布の包絡線は、実線I7のようになり、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分の0.5倍のサイズの開口を有する遮光部材O1と、0.75倍のサイズの開口を有する遮光部材O2とをホログラム面付近に設置したときに、再生信号光スポットの光強度分布は、図18に示すようになる。
まず、再生用レンズ4に収差がなく、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分と同じサイズの開口を有する遮光部材O1をホログラム面付近に設置した場合には、図18に実線I8で示したように、再生信号光スポットの光強度分布のファーストヌルが、2次元受光素子アレイ6の隣接する受光部分62のほぼ直上に位置し、符号間干渉が小さくなる構成になっていることがわかった。
また、再生用レンズ4に収差があり、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分と同じサイズの開口を有する遮光部材O1をホログラム面付近に設置した場合には、図18に破線I9で示したように、再生信号光スポットの光強度分布のサイドローブが、2次元受光素子アレイ6の隣接する受光部分62のほぼ直上に位置し、符号間干渉が大きくなる構成になっていることがわかった。
また、再生用レンズ4に収差があり、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分の0.75倍のサイズの開口を有する遮光部材O2をホログラム面付近に設置した場合には、図18に一点鎖線I10で示したように、再生信号光スポットの強度分布のサイドローブが、2次元受光素子アレイ6の隣接する受光部分62のほぼ直上に位置し、符号間干渉が大きくなる構成になっていることがわかった。
また、図示していないが、再生用レンズ4に、より大きな収差があり、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分の0.5倍のサイズの開口を有する遮光部材O1をホログラム面付近に設置した場合には、再生信号光スポットの強度分布のファーストヌルの位置が、2次元受光素子アレイ6上でより離れた場所に位置することがわかった。この場合には、より大きなサイズの開口を有する遮光部材をホログラム面付近に設置することで、ファーストヌルの位置を2次元受光素子アレイ6の隣接する受光部分62のほぼ直上に位置させられることがわかった。
以上より、ホログラフィック光情報記録再生装置を構成する際、再生用レンズおよび記録用レンズの収差や、再生用レンズのデフォーカスが生じることを考慮して、ホログラム面付近に設置する開口のサイズを、空間光変調素子2の開口からの回折光の0次光成分のサイズ(0次回折光のメインローブ)の0.55倍以上0.9倍以下に設定することが好ましく、0.55倍以上0.75倍以下に設定することがより好ましい。この場合、符号間干渉が少なく、信号品質の高い信号再生が行える。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる2次元受光素子アレイ6の概略平面構成図を図19に示す。本実施の形態の特徴は、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6の受光セル61のピッチCPより大きくかつピッチCPの2倍以下であることである。なお、図19に示す2次元受光素子アレイ6を除き、本実施の形態によるホログラフィック光情報記録再生装置の構成は、図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
元信号に対してサンプリング検出を行う際、サンプリング周波数が元信号の帯域幅より小さい時、元信号の一部が失われて正確な信号の復元ができない。従来のホログラフィック光情報記録再生装置では、再生信号光スポット列と、2次元受光素子アレイのセルとを同じピッチに設定し、2次元受光素子アレイの一つのセルに対して、一つの再生信号光スポットを対応させ、各再生信号光スポットと2次元受光素子アレイの各セルとを1対1に対応させている。
しかしながら、実際のホログラフィック光情報記録再生装置では、レンズの収差や、環境温度変化によるレンズのひずみ、環境温度変化による2次元受光素子アレイ6の熱膨張などによって、2次元受光素子アレイ6の全体あるいは一部で再生信号光スポットのピッチが2次元受光素子アレイ6のセルピッチより大きくなる場合がある。そのときには、正確な信号の再生が困難になる。また、数多くの再生信号光ピット列と2次元受光素子アレイ6の各セルの位置を正確に一致させるためには、再生信号光スポット列に対して2次元受光素子アレイ6の平面内の2軸の位置、焦点方向の位置、2軸のあおり方向、面内回転方向を調整する多軸のサーボ動作が必要になり、システムが大がかりになる欠点があった。
また、再生信号光スポットのそれぞれに対して複数の受光セルを対応させる構成では、上記のような多軸の精密なサーボ動作が不要になるが、この構成では2次元受光素子アレイ6の受光セル数が多くなり、2次元受光素子アレイ6のコストが高くなる。また、多数のデータを生成するため、後段の信号処理回路の規模が大きくなる欠点があった。
これら課題を克服するために、本実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置では、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6のセルピッチより大きくかつ2倍以下であるように設定している。このとき、2次元受光素子アレイ6からの出力信号に適切なフィルタを施すことで、2次元受光素子アレイ6の多軸の詳細なサーボ制御を行う必要のない簡単なシステムで、元信号の正確な再生が可能になるとともに、2次元受光素子アレイ6のセル数の増大が限定される。
また、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6のセルピッチに近い値を取るときには、特に、符号間干渉や迷光によるノイズ、電気ノイズなどによって再生信号が低いS/N比を持つときには、正確な信号再生が行えない。このため、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6のセルピッチより大きくかつ2倍以下である構成に加えて、以下の構成を追加することが好ましい。
すなわち、2次元受光素子アレイ6の各セルの受光部分62の大きさが、セルピッチよりも小さくなっている構成、空間光変調素子2の各セルの光透過部分72の大きさが、セルピッチよりも小さくなっている構成、空間光変調素子2に擬似ランダム拡散板を重畳する構成、あるいはそれらを複合した構成を同時に用いることで、再生信号光スポット列に含まれる符号間干渉の程度を小さくして、正確な信号再生が可能になる。
また、互いにON状態の再生信号光スポット同士が隣接する確率が低いコーディング方法が提案されている。例えば、縦方向、横方向ともに2セルずつの計4セルのうち、一つのセルのみをONにし、4セルで2ビットを表現するコーディング方法があり、本技術分野の技術者には公知となっている。この場合には、任意のセルがONになる確率が4分の1となり、すべてのセルがON又はOFF状態を取り得るランダムコーディングに比べて、ONになるセルが隣接する確率が低い。このように、隣接するセルがともにONになる確率の低いコーディング方法と、再生信号光スポット列のスポットのピッチが、2次元受光素子アレイ6のセルピッチより大きくかつ2倍以下である構成を組み合わせることで、複雑なサーボ機能が不要でかつ正確な信号再生が可能なホログラフィック光情報記録再生装置が実現される。
以上のすべての実施の形態において、ホログラムディスクに対して信号光の入射方向と反対側から再生信号光を取り出す構成のホログラフィック光情報記録再生装置に関して説明したが、ホログラムディスクの一部に反射層を設けて記録と再生とをホログラムディスクの同じ側から再生する構成にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
また、上記の実施の形態では、図1のように球面参照波を用いたシフト多重方式のホログラフィック光情報記録再生装置を説明したが、ほかの多重方式、例えば、波長多重方式、角度多重方式、ペリストロフィック多重方式、スペックルパターンをもつ参照波を用いたシフト多重方式、位相コード多重方式等にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
また、上記の実施の形態では、信号光ビームと参照光ビームとが異なるレンズを通じてホログラムディスクを照射する例で説明したが、信号光ビームと参照光ビームとが同一のレンズを通じてホログラムディスクを照射する構成にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
また、上記の実施の形態では、ホログラム記録媒体が円形のディスクであり、ホログラムディスクを回転して複数のホログラムを記録する例で説明したが、ホログラム記録媒体が方形など他の形状のホログラム記録媒体であったり、ディスク状でなく、略立方体、略円柱など立体をしている場合や、ホログラム媒体をXY平面内で2次元的に移動しながら複数のホログラムを記録するなど、ホログラム記録媒体の他の移動方法を用いる構成にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
また、上記の実施の形態では、空間光変調素子と受光素子アレイとして、2次元空間光変調素子と2次元受光素子アレイを用いた構成で説明したが、GLVのような1次元空間光変調素子や、CCDラインセンサのような1次元受光素子アレイを用いた構成にも、本発明を上記と同様に適用可能である。
上記のように、本発明の一態様に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和より大きいものである。
このホログラフィック光情報記録再生装置においては、情報再生時の記録媒体中の前記参照光のパワーを、情報記録時の記録媒体中の参照光のパワーと信号光のパワーとの和より大きくしているので、再生信号品質を向上することができるとともに、高転送レートで信号を再生することができる。
情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和の2倍より大きいことが好ましい。
この場合、再生信号品質をより向上することができるとともに、より高転送レートでの信号再生が可能となる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記ビーム分割手段によって分割される前記参照光と前記信号光とのパワー分配比を変化させる可変手段をさらに備えることが好ましい。
この場合、情報記録時及び情報再生時に参照光と前記信号光とのパワー分配比を任意に変更することができる。
前記可変手段は、前記パワー分配比を前記記録媒体に応じて変化させることが好ましい。
この場合、記録媒体ごとに記録時の最適な露光条件で参照光及び信号光を照射することができる。
前記可変手段は、前記パワー分配比を前記参照光の入射角に応じて変化させることが好ましい。
この場合、参照光の入射角に拘らず、記録媒体中での参照光と信号光とのパワー分配比を一定にしてホログラムを記録することができ、各ホログラムからの再生信号光の光強度を一定にすることができる。
前記可変手段は、前記パワー分配比を前記記録媒体に記録される情報の符号化方式に応じて変化させることが好ましい。
この場合、各符号化方式に適した条件で参照光及び信号光を照射することができる。
前記ビーム分割手段は、偏光性ビームスプリッタを含むことが好ましい。
この場合、簡略な構成でコヒーレント光源からの光を参照光と信号光とに分割することができる。
前記ビーム分割手段は、情報再生時に、すべての光パワーを参照光に分配することが好ましい。
この場合、信号光の光路中を伝搬するわずかな漏れ光が再生信号光に重畳されることによるS/N比の劣化を低減することができる。
前記記録媒体上に前記ホログラムを記録した後、前記信号光のみを遮断し、前記記録したホログラムからの回折光を前記受光素子で受光して前記ホログラムに記録した情報をベリファイすることが好ましい。
この場合、ホログラムに記録された情報を記録直後に読み出して高速なベリファイ動作を実現することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、情報記録時に前記参照光と前記信号光とが前記記録媒体に入射されるように前記パワー分配比を設定し、情報記録後にすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させる可変手段をさらに備えることが好ましい。
この場合、記録直後に、ホログラムに記録されたデータを読み出して高速なベリファイ動作を行なったり、記録されたホログラムの回折効率をモニタすることができる。
前記可変手段は、EO変調器を含むことが好ましい。
この場合、信号光と参照光とのパワー分配比を高速に制御することができる。
前記受光素子は、前記可変手段がすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させるときに、蓄積されていた光電荷を一旦放電することが好ましい。
この場合、受光素子に蓄積されていた不要な光電荷を一旦放電することができるので、再生信号光を正確に検出することができる。
前記可変手段が情報記録時に前記参照光と前記信号光とを前記記録媒体に入射するように前記パワー分配比を設定してホログラムが記録される時間は、前記可変手段が情報記録後にすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させてホログラムが再生される時間より長いことが好ましい。
この場合、再生によって記録媒体内のモノマーの重合が進行し、記録材料のダイナミックレンジが低下することを抑制することができる。
シフト多重方式による情報記録後に前記可変手段がすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させてホログラムが再生される期間において、前記参照光と前記記録媒体との相対的な位置関係は、所定距離以上変動しないように保持されることが好ましい。
この場合、参照光と記録媒体との相対的な位置関係のずれによって、記録される干渉縞のコントラストが低下することを防止することができる。
情報記録後に前記可変手段がすべての光パワーを参照光に分配するように前記パワー分配比を変化させている期間において、記録されたホログラムの回折効率を検出することが好ましい。
この場合、記録したホログラムからの回折効率をモニターして、各ホログラムの回折効率が適正値を示すような露光量で記録し、モノマーが不足して十分な回折効率が得られなくなる以前にホログラムの多重化を中止する等の方法を用いることができるので、多重化記録の途中でモノマーが枯渇し、後半に記録するホログラムが正常に記録されないことを防止することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記信号光の光路中に配置され、前記信号光を遮光する遮光手段をさらに備えることが好ましい。
この場合、信号光の光路中を伝搬するわずかな漏れ光が再生信号光に重畳されることによるS/N比の劣化を回避することができる。
前記記録媒体上にホログラムを記録した後、前記記録媒体上において、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して前記コヒーレント光源からの光を照射し、前記記録媒体の記録材料を完全に飽和露光された状態にすることが好ましい。
この場合、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して定着処理を行なうことができるので、定着処理に必要な時間が軽減され、より高速に記録処理を終了することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記記録媒体上にホログラムを記録した後、前記記録媒体上において、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して光を照射し、前記記録媒体の記録材料を完全に飽和露光された状態にする定着用光源をさらに備えることが好ましい。
この場合、定着用光源を用いて、記録時より大きなパワー密度で定着することができるので、より完全にモノマーを重合することができるとともに、より短時間に定着工程を完了することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記記録媒体からの回折光を再生信号光として前記受光素子に導く再生用レンズをさらに備え、前記再生用レンズの焦点距離は、可変であることが好ましい。
この場合、再生信号光のビーム列の全体像サイズに応じて再生用レンズの倍率を調整することにより、再生信号光の各ビームスポットと受光素子の各受光セルとの位置あわせが容易になり、正確な信号再生が可能になる。
前記受光素子の受光セルの数は、前記再生信号光のビーム本数より多く、前記受光素子の受光セルは、前記再生信号光のビーム列の大きさより大きな範囲に配列されることが好ましい。
この場合、再生信号光のビーム列の全体像サイズが所望の像サイズより大きくなった場合と、所望の像サイズより小さくなった場合とのいずれの場合でも、受光素子からの出力信号に画像処理を施すことによって、再生信号光のビーム列の全体像サイズを知ることができ、再生信号光の各ビームスポットと受光素子の各受光セルとの位置あわせがより容易になり、より正確な信号再生が可能になる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズをさらに備え、前記記録用レンズの焦点距離は、可変であることが好ましい。
この場合、記録用レンズのひずみによって、適切なサイズの再生像を生じるホログラムが記録できなくなった場合にも、記録用レンズの倍率を調整することにより、適切なサイズの再生像を生じるホログラムを記録することができる。
上記のホログラフィック光情報記録再生装置は、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズと、前記記録媒体からの回折光を再生信号光として前記受光素子に導く再生用レンズとをさらに備え、前記記録用レンズと前記再生用レンズとが略等しい歪曲収差を有することが好ましい。
この場合、レンズ設計に余裕ができるので、構成レンズ枚数を低減したり、レンズを低価格化したり、その重量およびサイズを小さくすることができる。
前記受光素子の各受光セルの受光部分の長さは、前記受光素子の受光セルのピッチの60%以上かつ94%以下であることが好ましい。
この場合、隣接スポットからの光の混入を効果的に減じることができるとともに、受光光量の低下を防止してS/N比の悪化を抑制することができる。
前記空間光変調素子の各セルの透過部分の長さは、前記空間光変調素子のセルのピッチの55%以上かつ92%以下であることが好ましい。
この場合、符号間干渉を減じて正確な信号再生が可能になるとともに、光利用効率を向上させることができる。
前記空間光変調素子によって変調されたビーム列が入射する側の前記記録媒体の表面近傍に開口が設けられ、前記開口の大きさは、前記信号光が前記空間光変調素子の各セルを通過する際に回折された0次回折光のメインローブの0.55倍以上0.9倍以下の範囲の光を通過させるように調整されていることが好ましい。
この場合、符号間干渉が少なく、信号品質の高い信号再生を行うことができる。
前記受光素子の受光セルのピッチは、前記受光素子上の前記回折光のスポット列のピッチより小さくかつ1/2より大きいことが好ましい。
この場合、受光素子からの出力信号に適切なフィルタを施すことにより、受光素子に対して精緻な多軸のサーボ制御を行う必要がなくなり、装置の構成を簡略化することができるとともに、元信号の正確な再生が可能になり、さらに、受光素子の受光セル数の増大を抑制することができる。
本発明の他の態様に係るホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、情報再生時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーは、情報記録時の前記記録媒体中の前記参照光のパワーと前記信号光のパワーとの和より大きい。
このホログラフィック光情報記録再生方法においては、情報再生時の記録媒体中の前記参照光のパワーを、情報記録時の記録媒体中の参照光のパワーと信号光のパワーとの和より大きくしているので、再生信号品質を向上することができるとともに、高転送レートで信号を再生することができる。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には前記参照光のみが記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光を受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズをさらに備え、前記記録用レンズの焦点距離は、可変である。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズと、前記記録媒体からの回折光を再生信号光として前記受光素子に導く再生用レンズとをさらに備え、前記記録用レンズと前記再生用レンズとが略等しい歪曲収差を有する。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記記録媒体上に前記ホログラムを記録した後、前記信号光のみを遮断し、前記記録したホログラムからの回折光を前記受光素子で受光して前記ホログラムに記録した情報をベリファイする。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記記録媒体上にホログラムを記録した後、前記記録媒体上において、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して前記コヒーレント光源からの光を照射し、前記記録媒体の記録材料を完全に飽和露光された状態にする。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記受光素子の受光セルのピッチは、前記受光素子上の前記回折光のスポット列のピッチより小さくかつ1/2より大きい。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記受光素子の各受光セルの受光部分の長さは、前記受光素子の受光セルのピッチの60%以上かつ94%以下である。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記空間光変調素子の各セルの透過部分の長さは、前記空間光変調素子のセルのピッチの55%以上かつ92%以下である。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生装置は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有し、情報記録時には、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録され、情報再生時には、前記参照光のみが前記記録媒体に照射され、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるホログラフィック光情報記録再生装置であって、前記空間光変調素子によって変調されたビーム列が入射する側の前記記録媒体の表面近傍に開口が設けられ、前記開口の大きさは、前記信号光が前記空間光変調素子の各セルを通過する際に回折された0次回折光のメインローブの0.55倍以上0.9倍以下の範囲の光を通過させるように調整されている。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、前記情報記録ステップは、前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導く記録用レンズの焦点距離を変化させるステップを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、前記情報記録ステップは、記録用レンズが前記空間光変調素子からの光を前記記録媒体上に導くステップを含み、前記情報再生ステップは、前記記録用レンズと略等しい歪曲収差を有する前記再生用レンズが前記記録媒体からの回折光を再生信号光として前記受光素子に導くステップを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップと、前記記録媒体上に前記ホログラムを記録した後、前記信号光のみを遮断し、前記記録したホログラムからの回折光を前記受光素子で受光して前記ホログラムに記録した情報をベリファイするステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップと、前記記録媒体上にホログラムを記録した後、前記記録媒体上において、ホログラムが記録されており、かつ多重記録が飽和していない場所にほぼ限定して前記コヒーレント光源からの光を照射し、前記記録媒体の記録材料を完全に飽和露光された状態にするステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が、当該回折光のスポット列のピッチより小さくかつ1/2より大きいピッチで受光セルが配列された受光素子によって検出されるステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が、各受光セルの受光部分の長さが前記受光セルのピッチの60%以上かつ94%以下である受光素子によって検出されるステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが、各セルの透過部分の長さが前記セルのピッチの55%以上かつ92%以下である空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含む。
本発明の他の態様に係る他のホログラフィック光情報記録再生方法は、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を分割するビーム分割手段とを有するホログラフィック光情報記録再生装置を用いたホログラフィック光情報記録再生方法であって、情報記録時に、前記ビーム分割手段によって分割された一方の光ビームが空間光変調素子によって変調されて配列されたビーム列となり、前記ビーム列が信号光となるとともに、前記ビーム分割手段によって分割された他方の光ビームが参照光となり、前記信号光と前記参照光とが記録媒体中で交差して干渉縞を生じ、前記干渉縞が前記記録媒体中にホログラムとして記録されるステップと、情報再生時に、前記参照光のみを前記記録媒体に照射し、前記記録媒体で生じた回折光が受光素子によって検出されるステップとを含み、前記情報記録ステップにおいて、前記空間光変調素子によって変調されたビーム列が入射する側の前記記録媒体の表面近傍に開口が設けられ、前記開口の大きさは、前記信号光が前記空間光変調素子の各セルを通過する際に回折された0次回折光のメインローブの0.55倍以上0.9倍以下の範囲の光を通過させるように調整されている。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、記録したホログラムの回折効率をモニタして記録密度や再生速度を変化させるという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、記録時の参照光と信号光のパワー比が5:1以上であるという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、可変倍率レンズを有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、記録直後に記録データのベリファイを行うという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、定着工程で記録時より大きなパワー密度の光をホログラムディスクに照射し、短時間にかつより完全に残留モノマーを定着し、より安定なデータ記録を行うという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、受光部分がセルピッチより小さい2次元受光素子を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、開口部分がセルピッチより小さい空間光変調素子を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明に係るホログラフィック光情報記録再生装置は、再生時の参照光パワーが記録時のホログラムディスクへの入射パワーより大きいという特徴を有し、計算機の外部記憶装置や、映像音響情報記憶装置等として有用である。
本発明の第1の実施の形態におけるホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。
図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置においてホログラムディスク中にホログラムが多重化されて記録される状態を説明するための模式図である。
図1に示すホログラフィック光情報記録再生装置においてホログラムディスク上に多重化されたホログラムの状態を説明するための模式図である。
入射角に応じてホログラムディスク内で参照光のビーム強度が変化することを説明するための模式図である。
1−2変換符号方式を説明するための模式図である。
3−16変換符号方式を説明するための模式図である。
本発明の第2の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。
本発明の第3の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。
本発明の第5の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる2次元受光素子アレイの概略光学構成図である。
図9に示す2次元受光素子アレイが再生信号光スポットを受光する状態を説明するための断面概念図である。
本発明の第6の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる空間光変調素子の概略光学構成図である。
本発明の第6の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置でのホログラム上での信号光の光強度分布の包絡線を示す図である。
空間光変調素子の開口の形状の他の例を示す模式図である。
空間光変調素子の開口の形状の他の例を示す模式図である。
空間光変調素子の開口の形状の他の例を示す模式図である。
他の空間光変調素子の断面構造を示す概略構成図である。
本発明の第7の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置におけるホログラム面付近の開口での信号光の光強度分布の包絡線を示す図である。
本発明の第7の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置においてホログラム面付近に開口を有する遮光部材を設置したときの2次元受光素子面上での再生信号光スポットの光強度分布を計算した結果を示す図である。
本発明の第8の実施の形態のホログラフィック光情報記録再生装置に用いる2次元受光素子アレイの概略平面構成図である。
従来のホログラフィック光情報記録再生装置の概略構成図である。