JPWO2006025404A1 - 状態検出装置及び状態検出方法並びに状態検出用プログラム及び情報記録媒体、状態表示装置及び状態表示方法並びに状態表示用プログラム及び情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

LMシステムに含まれる複数のボールが自転しつつ循環部内を公転する際に弾性的に生じるAE波を検出して検出信号Saeを生成するAEセンサ1と、検出信号Saeに基づいて、AE波の強度を示す第1パラメータを生成すると共に、検出信号Saeに基づいて、検出信号Saeのうち時間的に連続して検出される検出信号Saeのみを重み付けして第2パラメータを生成し、更に検出信号Saeに基づいて、検出信号Saeのうちボールの運動に対応して時間的に不連続に検出される検出信号Saeのみを重み付けして第3パラメータを生成し、第1パラメータ、第2パラメータ又は第3パラメータのいずれかを用いてLMシステムの動作状態の内容を判定する信号処理部4と、を備える状態検出装置により、LMシステムにおける故障発生の予知を可能とし、且つ、LMシステムの使用者における整備性を向上させ、更にその長寿命化及びLMシステムを用いて製造された装置又は機器の性能保証並びにそれらの品質向上に資することが可能となる。

Description

本発明は、状態検出装置及び状態検出方法並びに状態検出用プログラム及び情報記録媒体の技術分野に属し、より詳細には、直動転がり案内装置の動作中における当該直動転がり案内装置の動作状態を検出する状態検出装置及び状態検出方法並びに当該動作状態検出のための状態検出用プログラム及び当該状態検出用プログラムがコンピュータで読取可能に記録された情報記録媒体の技術分野に属する。
また、本発明は、状態表示装置及び状態表示方法並びに状態表示用プログラム及び情報記録媒体の技術分野に属し、より詳細には、直動転がり案内装置の動作中における当該直動転がり案内装置の動作状態を表示する状態表示装置及び状態表示方法並びに当該動作状態表示のための状態表示用プログラム及び当該状態表示用プログラムがコンピュータで読取可能に記録された情報記録媒体の技術分野に属する。
従来、レールと、当該レール上をその長手方向に移動する移動ブロックと、当該レールと当該移動ブロックとの間に介在してそれ自体が回転(自転)しつつ循環(公転)して当該移動ブロックを高精度に移動させる複数のボール(転動体)と、を含む、いわゆる直動転がり案内装置が広く一般化しており、具体的には、工作機械の作業台の三次元運動や、振り子電車における振り子運動を支持する部材、更には建物の免震構造にまで活用範囲が広がっている。なお、当該直動転がり案内装置としては、上述した移動ブロックとレールとにより構成されるものの他に、いわゆるボールねじと称されるものもある。
そして、このような活用範囲の広がりに伴い、直動転がり案内装置における故障予防についても要求が高まっており、そのための動作状態の診断法についても高精度のものが求められている。
ここで、直動転がり案内装置を除く従来の一般的な機械システム(例えばボールベアリングを含む回転用転がり軸受装置等)における動作状態の診断方法としては、その機械システムにおける振動の発生状態を監視して動作状態の診断を行う振動検出法、その機械システムに用いられている潤滑油を取り出してその質を評価することで動作状態の診断を行う油評価法、その機械システム内において潤滑油を介して駆動されている部材間の電気抵抗を測定して動作状態の診断を行う電気抵抗法、又はその機械システム内において潤滑油を介して駆動されている部材の温度を、熱電対等を用いて測定して動作状態の診断を行う温度測定法等がある。
しかしながら、これらの診断方法を直動転がり案内装置に適用した場合、以下の如き問題点があった。
すなわち、振動検出法を用いた場合は、直動転がり案内装置においては転動体としてのボールが自ら自転しつつ循環部内を公転することから、振動の発生源が多く、本来検出すべき上記動作状態の異常に起因する振動を正確に検出できないという問題点があった。
また、油評価法を用いた場合は、診断対象である直動転がり案内装置における使用前の潤滑油と使用後の潤滑油を夫々にその装置自体から取り出して検査する必要があり、診断結果が得られるまでに余分な時間が必要となると共に直動転がり案内装置自体を一旦停止させて潤滑油の取り出し作業を行う必要があり、動作効率が低下するという問題点があった。
更に、電気抵抗法及び温度測定法を用いた場合は、共に電気的な雑音に対して脆弱であると共に上記移動ブロックの移動速度が遅いときは測定ができない場合があるという問題点があった。
従って、従来では、直動転がり案内装置の動作状態を実時間で(すなわち、リアルタイムに)正確に診断することは困難だった。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題は、直動転がり案内装置における動作状態を実時間で正確に検出することにより、当該直動転がり案内装置における故障の発生予知を可能とし、且つ、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性を向上させ、更にその長寿命化及び当該直動転がり案内装置を組み込んだ装置又は機器の性能保証並びにそれらの品質向上に資することが可能な状態検出装置及び状態検出方法並びに当該動作状態検出のための状態検出用プログラム及び当該状態検出用プログラムがコンピュータで読取可能に記録された情報記録媒体を提供することにある。
さらに、本発明の課題は、直動転がり案内装置における動作状態を実時間で正確に表示することにより、当該直動転がり案内装置における故障の発生予知を可能とし、且つ、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性を向上させ、更にその長寿命化及び当該直動転がり案内装置を組み込んだ装置又は機器の性能保証並びにそれらの品質向上に資することが可能な状態表示装置及び状態表示方法並びに当該動作状態検出のための状態表示用プログラム及び当該状態表示用プログラムがコンピュータで読取可能に記録された情報記録媒体を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、直動転がり案内装置における現在の動作状態を検出する状態検出装置であって、前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成するAE(Acoustic Emission)センサ等の検出手段と、前記生成された検出信号に基づいて、前記波動の強度を示す第1パラメータを生成する信号処理部等の第1生成手段と、前記生成された第1パラメータの値が当該第1パラメータについて予め設定されている第1しきい値未満の値であるとき、前記動作状態が正常であると判定する信号処理部等の判定手段と、を備える。
よって、直動転がり案内装置の動作により弾性的に発生する上記波動の強度を示す第1パラメータを生成し、その値が第1しきい値未満の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が正常であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、その動作状態が正常か否かを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の状態検出装置において、前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号のみを重み付けして第2パラメータを生成する信号処理部等の第2生成手段と、前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号のみを重み付けして第3パラメータを生成する信号処理部等の第3生成手段と、を更に備え、前記判定手段は、前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であるとき、前記第2パラメータ又は前記第3パラメータの少なくともいずれか一つを用いた前記内容の判定を行うように構成される。
よって、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であるとき、第1パラメータとは異なる第2パラメータ又は第3パラメータを用いて動作状態の内容を判定するので、より詳細に、動作状態の具体的な内容まで判定して検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の状態検出装置において、前記第1パラメータPは、前記検出信号をサンプリングして得られる計測値をX、当該計測値の全数をN(個)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、前記第2パラメータPは、更に前記検出手段における最大入力レンジを定数K(ボルト)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、前記第3パラメータPは、更に前記計測値として用いる抽出数をM(個)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるように構成される。
よって、第1パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第2パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第3パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の状態検出装置において、前記判定手段は、前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値未満の値であるとき、前記動作状態が潤滑不良状態であると判定するように構成される。
よって、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値以上の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値未満の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が潤滑不良状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、当該動作状態が潤滑不良状態であるか否かを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の状態検出装置において、前記判定手段は、前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値以上の値であるとき、前記動作状態が潤滑剤以外の液体が前記循環部内に混入している動作状態であると判定するように構成される。
よって、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値以上の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値以上の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が潤滑剤以外の液体が循環部内に混入している動作状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、潤滑財以外の液体が混入している状態であるか否かを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項2又は3に記載の状態検出装置において、前記判定手段は、前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値未満の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値以上の値であるとき、前記動作状態が、前記転走面又は前記転動体の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定するように構成される。
よって、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値未満の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値以上の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が、転走面又は転動体の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、転走面又は転動体の少なくともいずれかにクラックが発生しているか否かを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の状態検出装置において、前記判定手段により判定されたいずれかの前記動作状態を告知する告知手段を更に備える。
よって、判定結果を告知手段により告知するので、直動転がり案内装置の使用者が直ちにその動作状態の内容を具体的に認識することができる。
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、直動転がり案内装置における現在の動作状態を検出する状態検出方法であって、前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出工程と、前記生成された検出信号に基づいて、前記波動の強度を示す第1パラメータを生成する第1生成工程と、前記生成された第1パラメータの値が当該第1パラメータについて予め設定されている第1しきい値未満の値であるとき、前記動作状態が正常であると判定する判定工程と、を含むように構成される。
よって、直動転がり案内装置の動作により弾性的に発生する上記波動の強度を示す第1パラメータを生成し、その値が第1しきい値未満の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が正常であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、その動作状態が正常か否かを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の状態検出方法において、前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号のみを重み付けして第2パラメータを生成する第2生成工程と、前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号のみを重み付けして第3パラメータを生成する第3生成工程と、を更に含み、前記判定工程においては、前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であるとき、前記第2パラメータ又は前記第3パラメータの少なくともいずれか一つを用いた前記内容の判定を行うように構成される。
よって、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であるとき、第1パラメータとは異なる第2パラメータ又は第3パラメータを用いて動作状態の内容を判定するので、より詳細に、動作状態の具体的な内容まで判定して検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の状態検出方法において、前記第1パラメータPは、前記検出信号をサンプリングして得られる計測値をX、当該計測値の全数をN(個)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、前記第2パラメータPは、更に前記検出手段における最大入力レンジを定数K(ボルト)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、前記第3パラメータPは、更に前記計測値として用いる抽出数をM(個)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるように構成される。
よって、第1パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第2パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第3パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の状態検出方法において、前記判定工程においては、前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値未満の値であるとき、前記動作状態が潤滑不良状態であると判定するように構成される。
よって、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値以上の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値未満の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が潤滑不良状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、当該動作状態が潤滑不良状態であるか否かを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項12に記載の発明は、請求項9又は10に記載の状態検出方法において、前記判定工程においては、前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値以上の値であるとき、前記動作状態が潤滑剤以外の液体が前記循環部内に混入している動作状態であると判定するように構成される。
よって、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値以上の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値以上の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が潤滑剤以外の液体が循環部内に混入している動作状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、潤滑財以外の液体が混入している状態であるか否かを検出することができる。
上記の課題を解決すらために、請求項13に記載の発明は、請求項9又は10に記載の状態検出方法において、前記判定工程においては、前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値未満の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値以上の値であるとき、前記動作状態が、前記転走面又は前記転動体の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定するように構成される。
よって、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値未満の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値以上の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が、転走面又は転動体の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、転走面又は転動体の少なくともいずれかにクラックが発生しているか否かを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項14に記載の発明は、請求項8から13のいずれか一項に記載の状態検出方法において、前記判定工程において判定されたいずれかの前記動作状態を告知する告知工程を更に含むように構成される。
よって、告知工程において判定結果を告知するので、直動転がり案内装置の使用者が直ちにその動作状態の内容を具体的に認識することができる。
上記の課題を解決するために、請求項15に記載の発明は、直動転がり案内装置における現在の動作状態を検出する状態検出装置に含まれるコンピュータを、前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出手段、前記生成された検出信号に基づいて、前記波動の強度を示す第1パラメータを生成する第1生成手段、前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号のみを重み付けして第2パラメータを生成する第2生成手段、前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号のみを重み付けして第3パラメータを生成する第3生成手段、及び、前記生成された第1パラメータ、第2パラメータ又は第3パラメータの少なくともいずれか一つを用いて前記動作状態の内容を判定する判定手段、として機能させるように構成される。
よって、第1パラメータ、第2パラメータ又は第3パラメータの少なくともいずれか一つを用いて直動転がり案内装置の動作状態の内容を判定するようにコンピュータが機能するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、その動作状態の内容までを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の状態検出用プログラムが、前記コンピュータにより読取可能に記録されている。
よって、当該状態検出用プログラムをコンピュータにより読み出して実行することにより、第1パラメータ、第2パラメータ又は第3パラメータのいずれかを用いて直動転がり案内装置の動作状態の内容を判定するように当該コンピュータが機能するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、その動作状態の内容までを検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項17に記載の発明は、直動転がり案内装置における現在の動作状態を表示する状態表示装置であって、前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成するAE(Acoustic Emission)センサ等の検出手段と、前記生成された検出信号をサンプリングし、検出データを生成する信号処理部等のサンプリング手段と、予め設定された検出時間内に得られる複数の前記検出データにより構成される検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第1パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う信号処理部等の第1生成手段と、前記検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第2パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う信号処理部等の第2生成手段と、一つの前記検出データ群について求めた前記第1パラメータの値及び前記第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の前記検出データ群を一のプロット点として表示することを、各前記検出データ群毎に行って得られる当該グラフを表示部等の表示手段に表示する信号処理部等の表示制御手段と、を備える。
よって、一つの検出データ群について求めた第1パラメータの値及び第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の検出データ群を一のプロット点として表示することが、各検出データ群毎に行って得られる当該グラフが表示されるので、直動転がり案内装置を使用する使用者に当該直動転がり案内装置の現在の動作状態を認識させることができる。
上記の課題を解決するために、請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の状態表示装置において、前記第1パラメータPは、各前記検出データの値をXとし、対応する前記検出データ群内に含まれる前記検出データの全数をN(個)とし、前記検出手段における最大入力レンジを定数K(ボルト)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、前記第2パラメータPは、更に前記検出データとして用いる抽出数をM(個)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるように構成される。
よって、第1パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第2パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項19に記載の発明は、直動転がり案内装置における現在の動作状態を表示する状態表示方法であって、前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出工程と、前記生成された検出信号をサンプリングし、検出データを生成するサンプリング工程と、予め設定された検出時間内に得られる複数の前記検出データにより構成される検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第1パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第1生成工程と、前記検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第2パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第2生成工程と、一つの前記検出データ群について求めた前記第1パラメータの値及び前記第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の前記検出データ群を一のプロット点として表示することを、各前記検出データ群毎に行って得られる当該グラフを表示部等の表示手段に表示する表示制御工程と、を備える。
よって、一つの検出データ群について求めた第1パラメータの値及び第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の検出データ群を一のプロット点として表示することが、各検出データ群毎に行って得られる当該グラフが表示されるので、直動転がり案内装置を使用する使用者に当該直動転がり案内装置の現在の動作状態を認識させることができる。
上記の課題を解決するために、請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の状態表示方法において、前記第1パラメータPは、各前記検出データの値をXとし、対応する前記検出データ群内に含まれる前記検出データの全数をN(個)とし、前記検出手段における最大入力レンジを定数K(ボルト)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、前記第2パラメータPは、更に前記検出データとして用いる抽出数をM(個)としたとき、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるように構成される。
よって、第1パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第2パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
上記の課題を解決するために、請求項21に記載の発明は、直動転がり案内装置における現在の動作状態を表示する状態表示装置に含まれるコンピュータを、前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出手段、前記生成された検出信号をサンプリングし、検出データを生成するサンプリング手段、予め設定された検出時間内に得られる複数の前記検出データにより構成される検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第1パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第1生成手段、前記検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第2パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第2生成手段、及び、一つの前記検出データ群について求めた前記第1パラメータの値及び前記第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の前記検出データ群を一のプロット点として表示することを、各前記検出データ群毎に行って得られる当該グラフを表示部等の表示手段に表示する表示制御手段、として機能させる。
よって、一つの検出データ群について求めた第1パラメータの値及び第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の検出データ群を一のプロット点として表示することが、各検出データ群毎に行って得られる当該グラフが表示されるようにコンピュータが機能するので、直動転がり案内装置を使用する使用者に当該直動転がり案内装置の現在の動作状態を認識させることができる。
上記の課題を解決するために、請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の状態表示用プログラムが、前記コンピュータにより読取可能に記録されている。
よって、当該状態表示用プログラムをコンピュータにより読み出して実行することにより、一つの検出データ群について求めた第1パラメータの値及び第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の検出データ群を一のプロット点として表示することが、各検出データ群毎に行って得られる当該グラフが表示されるように当該コンピュータが機能するので、直動転がり案内装置を使用する使用者に当該直動転がり案内装置の現在の動作状態を認識させることができる。
請求項1に記載の発明によれば、直動転がり案内装置の動作により弾性的に発生する上記波動の強度を示す第1パラメータを生成し、その値が第1しきい値未満の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が正常であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、その動作状態が正常か否かを検出することができる。
従って、直動転がり案内装置における故障の発生を予知できることともなり、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該直動転がり案内装置を用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であるとき、第1パラメータとは異なる第2パラメータ又は第3パラメータを用いて動作状態の内容を判定するので、より詳細に、動作状態の具体的な内容まで判定して検出することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第2パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第3パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値以上の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値未満の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が潤滑不良状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、当該動作状態が潤滑不良状態であるか否かを検出することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値以上の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値以上の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が潤滑剤以外の液体が循環部内に混入している動作状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、潤滑財以外の液体が混入している状態であるか否かを検出することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値未満の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値以上の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が、転走面又は転動体の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、転走面又は転動体の少なくともいずれかにクラックが発生しているか否かを検出することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、判定結果を告知手段により告知するので、直動転がり案内装置の使用者が直ちにその動作状態の内容を具体的に認識することができる。
請求項8に記載の発明によれば、直動転がり案内装置の動作により弾性的に発生する上記波動の強度を示す第1パラメータを生成し、その値が第1しきい値未満の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が正常であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、その動作状態が正常か否かを検出することができる。
従って、直動転がり案内装置における故障の発生を予知できることともなり、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該直動転がり案内装置を用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であるとき、第1パラメータとは異なる第2パラメータ又は第3パラメータを用いて動作状態の内容を判定するので、より詳細に、動作状態の具体的な内容まで判定して検出することができる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項9に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第2パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第3パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項9又は10に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値以上の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値未満の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が潤滑不良状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、当該動作状態が潤滑不良状態であるか否かを検出することができる。
請求項12に記載の発明によれば、請求項9又は10に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値以上の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値以上の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が潤滑剤以外の液体が循環部内に混入している動作状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、潤滑財以外の液体が混入している状態であるか否かを検出することができる。
請求項13に記載の発明によれば、請求項9又は10に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータの値が第1しきい値以上の値であり、且つ第2パラメータの値が第2しきい値未満の値であり、且つ第3パラメータの値が第3しきい値以上の値であるとき、直動転がり案内装置の動作状態が、転走面又は転動体の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、転走面又は転動体の少なくともいずれかにクラックが発生しているか否かを検出することができる。
請求項14に記載の発明によれば、請求項8から13のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、告知工程において判定結果を告知するので、直動転がり案内装置の使用者が直ちにその動作状態の内容を具体的に認識することができる。
請求項15に記載の発明によれば、第1パラメータ、第2パラメータ又は第3パラメータのいずれかを用いて直動転がり案内装置の動作状態の内容を判定するようにコンピュータが機能するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、その動作状態の内容までを検出することができる。
従って、直動転がり案内装置における故障の発生を予知できることともなり、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該直動転がり案内装置を用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
請求項16に記載の発明によれば、請求項15に記載の状態検出用プログラムをコンピュータにより読み出して実行することにより、第1パラメータ、第2パラメータ又は第3パラメータのいずれかを用いて直動転がり案内装置の動作状態の内容を判定するように当該コンピュータが機能するので、当該直動転がり案内装置の動作中に、実時間で、当該直動転がり案内装置を分解することなく、当該動作に起因する振動や外部駆動装置に起因する振動等の影響を排除しつつ、その動作状態の内容までを検出することができる。
従って、直動転がり案内装置における故障の発生を予知できることともなり、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該直動転がり案内装置を用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
請求項17に記載の発明によれば、一つの検出データ群について求めた第1パラメータの値及び第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の検出データ群を一のプロット点として表示することが、各検出データ群毎に行って得られる当該グラフが表示されるので、直動転がり案内装置を使用する使用者に当該直動転がり案内装置の現在の動作状態を認識させることができる。
従って、直動転がり案内装置における故障の発生をそのグラフから予知できることともなり、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該直動転がり案内装置を用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
請求項18に記載の発明によれば、請求項17に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第2パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
請求項19に記載の発明によれば、一つの検出データ群について求めた第1パラメータの値及び第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の検出データ群を一のプロット点として表示することが、各検出データ群毎に行って得られる当該グラフが表示されるので、直動転がり案内装置を使用する使用者に当該直動転がり案内装置の現在の動作状態を認識させることができる。
従って、直動転がり案内装置における故障の発生をそのグラフから予知できることともなり、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該直動転がり案内装置を用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
請求項20に記載の発明によれば、請求項19に記載の発明の効果に加えて、第1パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、第2パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
請求項21に記載の発明によれば、一つの検出データ群について求めた第1パラメータの値及び第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の検出データ群を一のプロット点として表示することが、各検出データ群毎に行って得られる当該グラフが表示されるようにコンピュータが機能するので、直動転がり案内装置を使用する使用者に当該直動転がり案内装置の現在の動作状態を認識させることができる。
従って、直動転がり案内装置における故障の発生をそのグラフから予知できることともなり、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該直動転がり案内装置を用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
請求項22に記載の発明によれば、請求項21に記載の状態表示用プログラムをコンピュータにより読み出して実行することにより、一つの検出データ群について求めた第1パラメータの値及び第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の検出データ群を一のプロット点として表示することが、各検出データ群毎に行って得られる当該グラフが表示されるように当該コンピュータが機能するので、直動転がり案内装置を使用する使用者に当該直動転がり案内装置の現在の動作状態を認識させることができる。
従って、直動転がり案内装置における故障の発生をそのグラフから予知できることともなり、当該直動転がり案内装置の使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該直動転がり案内装置を用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
図1は、本発明の原理を説明する図であり、(a)及び(b)は第1及び第2の実施形態に係る拡張AE波の発生を示し、(c)は拡張AE波に対応する包絡線検波波形の例である。 図2は、本発明の原理におけるパラメータと動作状態の関係を示すグラフ図である。 図3は、第1及び第2の実施形態に係る状態検出装置の構成を示すブロック図である。 図4は、第1及び第2の実施形態に係るAEセンサの構成を示す縦断面図である。 図5は、第1及び第2の実施形態に係るAEセンサの設置態様を示す図(I)であり、(a)は移動ブロックを含むLMシステムの構造を斜視図であり、(b)は当該LMシステムにAEセンサを設置する場合の位置の例を示す外観側面図である。 図6は、第1及び第2の実施形態に係る移動ブロックを含むLMシステムの側面図である。 図7は、第1及び第2の実施形態に係るAEセンサの設置態様を示す図(II)であり、(a)はボールねじを含むLMシステムの構造を斜視図であり、(b)は当該LMシステムにAEセンサを設置する場合の位置の例を示す外観側面図である。 図8は、第1の実施形態における動作状態検出処理を示すフローチャートである。 図9は、本発明に係る第1の実施例を示す図(I)であり、(a)及び(b)は潤滑が良好であって動作状態が正常である場合のプロット例を示す図であり、(c)は潤滑剤以外の液体が混入した場合のプロット例を示す図である。 図10は、本発明に係る第1の実施例を示す図(II)であり、(a)は潤滑不良状態の場合のプロット例を示す図であり、(b)はクラックが発生している状態の場合のプロット例を示す図である。 図11は、第2の実施形態における動作状態検出処理を示すフローチャートである。 図12は、本発明に係る第2の実施例を示す図(I)であり、(a)及び(b)は潤滑が良好であって動作状態が正常である場合のプロット例を示す図であり、(c)は潤滑剤以外の液体が混入した場合のプロット例を示す図である。 図13は、本発明に係る第2の実施例を示す図(II)であり、(a)は潤滑不良状態の場合のプロット例を示す図であり、(b)はクラックが発生している状態の場合のプロット例を示す図である。
符号の説明
1 AEセンサ、2A BPF、2B 包絡線検波部、2 波形整形部、3 A/Dコンバータ、4 信号処理部、5 表示部、10 接触部、11 筺体、12,14 銀蒸着膜、13 圧電素子、15 外部線、20,LM レール、21,C 移動ブロック、22,43,B ボール、S 状態診断装置、G 転走面、TR リテーナ、M 診断マップ、Sae 検出信号、Sw 包絡線信号、Sdw ディジタル包絡線信号、Sdp 判定信号。
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施の形態は、直動転がり案内装置(以下、単にLM(Linear Motion)システムと称し、具体的にはいわゆるLMガイド、ボールスプライン等の直動システムを含むものとする)における動作状態の検出及び診断について本発明を適用した場合の実施形態である。
(I)本発明の原理
先ず、本発明の実施形態について具体的に説明する前に、本発明の原理について、図1及び図2を用いて説明する。
上述した如きLMシステムの動作状態の診断方法を研究するに当たり、本発明の発明者は、従来から回転用転がり軸受け装置に対する故障診断等に用いられている、いわゆるAE現象を、当該LMシステムの動作状態の診断にも用いることが可能であることを発見した。
すなわち、LMシステムにおいて発生する種々の異常動作状態(具体的には、潤滑不良状態、フレーキング発生の原因となるクラック(表面クラックと内部クラックの双方を含む。以下、同じ。)が発生している状態又は潤滑剤以外の液体が潤滑剤に混入して潤滑不良となっている状態のいずれかを言う。以下、同じ。)の夫々につき、異なった態様のAE現象が生起し、これにより夫々の異常動作状態が発生した場合に相互に異なったAE波が発生することを、本発明の発明者は実験的に確認したのである。このとき、「潤滑不良状態」とは、潤滑剤自体が不足している状態又は当該潤滑剤の特性が劣化している状態を言う。また、フレーキングとは、LMシステムに含まれる転動体としてのボール表面又はそのボールが接触する転走面としてのガイド表面等が剥がれる現象のことを言い、潤滑剤以外の液体とは、例えば、本発明に係るLMシステムを使用した切削装置に用いられる冷却用液体(クーラント)等を言うものとする。
ここで、当該AE現象については、従来では、「固体材料の破壊や変形に伴って、弾性エネルギーが解放され音波(AE波)が発生する現象」或いは「材料内部での塑性変形又はクラック等の発生に付随して弾性波が発生する現象」と定義付けられていたのであるが、本発明の発明者は、これらに加えて、ボール表面又はガイド面には塑性変形やクラック等が発生していないが当該ボール内部やガイド内部にクラックが発生している場合や、LMシステムが正常に動作することにより生起するボール同士の衝突のみ、或いはボールとガイド面との衝突によってもAE波が発生することを確認している。
より具体的には、移動ブロックを用いたLMシステムの場合について図1(a)に示すように、移動ブロックC内に形成されている転走路内をボールBが自転しつつ公転する場合に、そのボールB同士が接触部位Rにおいて衝突するとき、無負荷状態であったボールBが移動ブロックCと接触部位Rにおいて衝突するとき、負荷状態のボールBと移動ブロックCとが接触部位Rにおいて接触するとき、無負荷状態であったボールBと転走面Gとが接触部位Rにおいて接触するとき、或いは負荷状態のボールBが転走面Gとが接触部位Rにおいて接触するとき、の夫々においてAE波が発生することが確認されている。なお、図1(b)に示すように、移動ブロックを用いたLMシステムの場合について、その転走路内にボールBだけでなくいわゆるリテーナTRが設けられている場合であっても、その移動ブロックC内の転走路内をボールBが自転しつつ公転する場合に、無負荷状態であったボールBと移動ブロックCとが接触部位Rにおいて衝突するとき、負荷状態のボールBと移動ブロックCとが接触部位Rにおいて接触するとき、無負荷状態であったボールBと転走面Gとが接触部位Rにおいて衝突するとき、或いは負荷状態のボールBが転走面Gとが接触部位Rにおいて接触するとき、の夫々においてAE波が発生することが確認されている。
そして、本発明の発明者は、このAE波の発生態様が、上述した異常動作状態の種類によって相互に異なっていることを発見したのである。
なお、上述した如く、本発明においては、従来からの定義に則ったAE現象よりも広い範囲でのAE現象の発生を前提とするため、以下の説明においては、特に本発明に適用されるAE現象を拡張AE現象と称し、当該拡張AE現象により発生するAE波を拡張AE波と称する。
このとき、拡張AE波に対応する電気信号は、LMシステムが動作する際に一般的に発生する振動よりも高い周波数を有するものであるため、例えば図1(c)に示すように、後述の図3に示すバンドパスフィルタによりこれを当該振動から分離して検出することが可能であり、これによりLMシステムの動作中に実時間でその動作状態を検出することが可能となったのである。
これに加えて、本発明の発明者は、当該動作状態の検出に当たり、上記包絡線検波の方法により分離した拡張AE波に対応する電気信号を用いて以下に説明する三つのパラメータP乃至Pを用いることで、より正確且つ高い信頼性でもってLMシステムにおける具体的な動作状態の内容を認識できることを発見した。
より具体的には、先ず、上記電気信号をサンプリングして得られる検出データとしての各計測データを用いて、ある測定期間に対応するN個の計測データをもって検出データ群としての一つの計測データ群を構成する。そして、その計測データ群の夫々に含まれている各計測データの値を用いて、当該各計測データ群毎に、以下に示す三つのパラメータP乃至Pを求める。なお、以下の各式において、Xは各計測データの値であり、Nは計測データの全数であり、K(定数)は後述する(図3)包絡線検波部2Bにおける最大入力レンジであり、Mは、計測データの内実際にパラメータ生成に用いるために抽出した計測データの数である。
Figure 2006025404
Figure 2006025404
Figure 2006025404
このようにして求めた各パラメータP乃至Pのうち、パラメータP自体が予め実験的に求めた第1しきい値THより小さいときは拡張AE波自体の生成が少ないことから、LMシステムが正常に動作していると判定できる。
また、ある測定期間に対応するN個の計測データを一つの計測データ群とし、当該一つの計測データ群毎に求めたパラメータPの値及びパラメータPの値を用いて、横軸をパラメータPの値、縦軸をパラメータPの値としたグラフ上に夫々の計測データ群を一点としてプロットしたとき、LMシステムの動作状態が正常なときは図2に示す領域A内に各点が集中し、当該動作状態が上記した潤滑不良状態であるときには図2に示す領域A内に各点が集中し、当該動作状態が上記した潤滑剤以外の液体が潤滑剤に混入して潤滑不良となっている状態のときには図2に示す領域A内に各点が集中し、更に当該動作状態が上記したクラックが発生している状態のときには図2に示す領域A内に各点が集中することが、実験的に確認されている。
そこで、本発明の発明者は、上記三つのパラメータの夫々について、動作状態の良し悪しを定める際の境界値を第1しきい値TH乃至第3しきい値THとして実験的に定め、これらと各パラメータP乃至Pとの関係を演算することで、自動的にLMシステムの動作状態の具体的な内容まで検出するようにした(第1の実施形態)。
また、本発明の発明者は、先ず上記パラメータPについて、動作状態の良し悪しを定める際の境界値を第1しきい値THとして実験的に定め、これらとパラメータPとの関係を演算することで自動的にLMシステムの動作状態の良否を検出するようにすると共に、上記二つのパラメータP及びPの夫々について、図2に示すグラフ(横軸をパラメータPの値、縦軸をパラメータPの値としたグラフ)を後述する診断マップとして表示し、この表示に基づいて、LMシステムの動作状態の具体的な内容までを当該LMシステムの使用者が判断できるようにした(第2の実施形態)。
(II)第1の実施形態
次に、上述した原理に基づいた本発明に係る第1の実施形態について、具体的に図3乃至図8を用いて説明する。
なお、図3は第1の実施形態に係る状態診断装置の概要構成を示すブロック図であり、図4は第1の実施形態に係る拡張AE波を検出するAEセンサの概要構成を示す縦断面図であり、図5乃至図7は本発明が適用されるLMシステムを説明するための図であり、図8は第1の実施形態に係る状態診断装置において実行される動作状態の検出処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、第1の実施形態に係る状態診断装置Sは、AEセンサ1と、BPF(Band Pass Filter)2A及び包絡線検波部2Bを含む波形整形部2と、A/D(Analog/Digital)コンバータ3と、第1生成手段、第2生成手段、第3生成手段及び判定手段としての信号処理部4と、液晶ディスプレイ等よりなる告知手段としての表示部5と、により構成されている。
次に動作を説明する。
先ず、AEセンサ1は、診断対象となるLMシステムの任意の場所、例えば、レールの末端部又は移動部材としての移動ブロック上等に設置されるものであり、後述する(図4)接触部を上記いずれかの場所に接触させて配置される。そして、当該LMシステムの動作により発生する上記拡張AE波を検出し、これをアナログ信号である検出信号Saeに変換して波形整形部2へ出力する。
次に、波形整形部2内のBPF2Aは、図示しない増幅部において必要な増幅率(具体的には、例えば40デシベル乃至60デシベル程度)で増幅された後の検出信号Saeを拡張AE波以外の周波数成分を除去して包絡線検波部2Bへ出力する。ここで、当該BPF2Aにおける検出信号Saeに対する通過周波数帯域として具体的には、例えば100kHz以上1MHz以下の周波数成分を通過させるBPFを、BPF2Aとして用いることが望ましい。
そして、包絡線検波部2Bは、当該検出信号Saeに対して包絡線検波処理を抽出し、包絡線信号Swを生成してADコンバータ3へ出力する。
次に、ADコンバータ3は、アナログ信号である包絡線信号Swをディジタル化し、ディジタル包絡線信号Sdwを生成して信号処理部4へ出力する。
そして、信号処理部4は、当該ディジタル包絡線信号Sdwに基づいて図8に示す後述の動作状態検出処理により診断対象のLMシステムにおける現在の動作状態を判定し、その結果を示す判定信号Sdpを生成して表示部5へ出力する。
これにより、表示部5は、当該判定信号Sdpに基づいてその内容を示す表示を行う。この表示により、LMシステムの使用者がその動作状態を把握することが可能となる。
次に、上記AEセンサ1の構造等並びに診断対象であるLMシステムへのその設置態様について、具体的に図4乃至図7を用いて説明する。
先ず、AEセンサ1の内部構造について、図4を用いて説明する。
図4に示すように、AEセンサ1は、全体としては円筒形状を成しており、具体的には、LMシステム内のレールLM等に接触して配置される接触部10と、筺体11と、ピエゾ素子等より成る圧電素子13と、当該圧電素子13の上面及び下面に形成された銀蒸着膜12及び14と、上記検出信号Saeを導通して波形整形部2へ出力する外部線15と、により構成されている。
そして、LMシステム内で発生した拡張AE波が接触部10及び銀薄膜14を介して圧電素子13に伝送されると、当該拡張AE波により圧電素子13の形状が微小ながら変形し、これにより銀薄膜12と14との間に電位差が発生することで外部線15上に上記検出信号Saeが発生することとなる。
次に、図4に示す内部構造を備えるAEセンサ1のLMシステムへの設置態様について、図5乃至図7を用いて説明する。なお、図5及び図6は、診断対象であるLMシステムとして移動ブロックが用いられているLMシステムにAEセンサ1を設置する場合のその態様を示す図であり、図7は、診断対象であるLMシステムとしていわゆるボールねじが用いられているLMシステムにAEセンサ1を設置する場合のその態様を示す図である。
始めに、移動ブロックを用いたLMシステムに対してAEセンサ1を設置する場合について、図5及び図6を用いて説明する。
図5(a)に示すLMシステムは、長手方向に沿って後述のボール22を転走させるボール転走溝20a及び20bが形成されたレール20と、多数の上記ボール22を介してこのレール20に係合すると共に内部にボール22の無限循環路を備えた移動ブロック21と、この移動ブロック21の移動方向の前後両端面に装着されると共にレール20の上面及び両側面に密着するシール部材23とから構成されており、かかるボール22の循環に伴って上記移動ブロック21がレール20上を往復運動するように構成されている。
これらの図に示されるように、上記レール20は断面略矩形状に形成されており、固定ボルトを挿通させるための取付孔24が長手方向に適宜間隔をおいて貫通形成されている。また、レール20の上面には上記取付孔24を挟むようにして2条のボール転走溝20aが形成される一方、両側面にも2条のボール転走溝20bが夫々形成されており、これら4条のボール転走溝はボール22の球面の曲率よりも僅かに大きな曲率で深溝状に形成されている。
一方、上記移動ブロック21は、後述するテーブル30等の可動体の取付面25を備えた移動ブロック本体26と、この移動ブロック本体26の前後両端面に固定された一対のエンドプレート27,27とから構成されており、軌道レール20の上部が遊嵌する凹所を下面側に備えて断面略サドル状に形成されている。
このとき、図6に示すように、上記移動ブロック本体26は、上記取付面25が形成された基部及びこの基部の両端から垂下する一対のスカート部を備えて断面略サドル状に形成されており、各スカート部の内側面及び基部の下面側にはレール20のボール転走溝20a及び20bと夫々対向する4条の負荷転走溝28が形成されている。ボール22はこの負荷転走溝28とレール20のボール転走溝20a及び20bとの間で荷重を負荷しながら転走し、これによって移動ブロック21がレール20上を移動することになる。
次に図5(a)に戻って、移動ブロック本体26の基部及び各スカート部には各負荷転走溝28に対応するボール戻し孔29が夫々穿設されており、これらボール戻し孔29は上記エンドプレート27に形成された略U字型の方向転換路(図示せず)によって負荷転走溝28と連通連結されている。すなわち、この方向転換路は移動ブロック本体26の負荷転走溝28を転走し終えたボール22を掬い上げて上記ボール戻し孔29へ送り込む一方、このボール戻し孔29から負荷転走溝28へボール22を送り出すように構成されている。従って、これらエンドプレート27を、取付ボルト27aを用いて移動ブロック本体26に固定することにより、上記移動ブロック21にボール22の無限循環路が形成されるようになっている。
そして、図5(a)に示したLMシステムに対して第1の実施形態のAEセンサ1を設置する場合には、図5(b)にその外観側面図を示すように、例えば軌道レール20上を直線運動する複数の移動ブロック21上に上記テーブル30が設置されているとき、その軌道レール20における移動ブロック21の移動範囲外の位置に設置される。
次に、ボールねじを用いたLMシステムに対してAEセンサ1を設置する場合について、図7を用いて説明する。
図7(a)に示すように、ボールねじ40は、外周面に螺旋状のボール転走溝41aを有するねじ軸41と、内周面にボール転走溝41aと対向する螺旋状の負荷転走溝42aを有するナット部材42と、ボール転走溝41aと負荷転走溝42a間を転動するボール43…とを備える。ねじ軸41のボール転走溝41aとナット部材42の負荷転走溝42aとの間で負荷転走路が構成される。ナット部材42には、例えば2つの循環部品としてのリターンパイプ44が取り付けられる。リターンパイプ44は、負荷転走路の一端と他端を連結して無負荷戻し通路を構成する。リターンパイプ44は略門形に形成され、中央部44aと中央部44aの両側に設けられた一対の脚部44b,44bとを有する。一対の脚部44b,44bは負荷転走路内に数ピッチの間隔を開けて、嵌入される。リターンパイプ44は、ボルト45等の結合手段によってナット部材42に固定される。
ねじ軸41には、その周囲に螺旋状の一定のリードを備えた略断面半円状のボール転走溝41aが研削加工または転造加工等によって形成される。ナット部材42は略円筒状をなし、その端面にボールねじ40を機械等に取り付けるためのフランジ46を有する。ナット部材42の内周面には、ねじ軸41のボール転走溝41aに対向する略断面半円状の負荷転走溝42aが形成される。ナット部材42には、その上面が一部平取りされた平面部47が形成される。平面部47には、リターンパイプ44の脚部44b,44bが挿入されるリターンパイプ嵌合穴が数箇所開けられる。
そして、図7(a)に示したLMシステムに対して第1の実施形態のAEセンサ1を設定する場合には、図7(b)にその外観側面図を示すように、例えば台49に回転可能に支持されたねじ軸41がモータ48により回転されるボールねじ40に対してブラケット50を介してテーブル51が固定されているとき、そのボールねじ40における上記フランジ46の、ボールねじ40の中心軸に垂直な面に設置される。
次に、主として信号処理部4を中心として実行される第1の実施形態に係る動作状態検出処理について、図1乃至図3並びに図8を用いて説明する。
図8に示すように、診断対象であるLMシステムの動作中において第1の実施形態に係る動作状態検出処理を実行する場合には、初めに、必要な初期設定処理等を行い、次に、AEセンサ1において当該LMシステムの動作中に生じる拡張AE現象に起因して発生する拡張AE波を検出し(ステップS1)、これに対応する検出信号Saeに対して波形整形部2において波形整形処理等の波形処理を施し(ステップS2)、上記包絡線信号Swを生成してA/Dコンバータ3を介してディジタル包絡線信号Sdwとして信号処理部4へ出力する。
そして、上記計測データを取得するタイミングとして予め設定されているタイミング(例えば、図5に示すLMシステムの場合は、移動ブロック21がレール20の一方の端部に近接したタイミング)に対応するトリガ信号が信号処理部4内において生成されたか否かを確認し(ステップS3)、当該トリガ信号が生成されたタイミングで(ステップS3;ON)上記ディジタル包絡線信号Sdwを上記計測データとして取り込む。
その後、当該拡張AE波の検出処理(ステップS1)、波形整形処理(ステップS2)並びに計測データとしての取得処理(ステップS3)を必要な検査時間だけ繰返して上記ディジタル包絡線信号Sdwとしての計測データを信号処理部4内の図示しないメモリに蓄積し(ステップS4)、その蓄積した計測データに基づいて後述する各判断に用いる上記パラメータP乃至Pを夫々に対応する式に基づいて演算し、上記メモリ内に蓄積する(ステップS5、S6)。
各パラメータP乃至Pの演算並びにその蓄積が終了すると、次に、信号処理部4において、上記パラメータPに対応して第1の実施形態に係るLMシステムが正常に動作しているか否かの判定基準として予め実験的に設定されて上記メモリ内に記憶されている第1しきい値THを当該メモリ内から読み出し(ステップS7)、更に当該読み出した第1しきい値THとその時に記憶されているパラメータPの値とを比較する(ステップS8)。
そして、当該パラメータPの値が第1しきい値TH未満であるときは(ステップS8;未満)、そのときのLMシステムの動作状態は正常であると判定し(ステップS9)、表示部5を用いてその旨を表示し(ステップS20)、一連の動作状態検出処理を終了する。
一方、上記ステップS8の判定において、パラメータPの値が第1しきい値TH以上であるときは(ステップS8;以上)、上記パラメータP及び図2に示す各領域に対応してLMシステムの動作状態が異常であるか否かの判定基準として予め実験的に設定されて上記メモリ内に記憶されている第2しきい値TH(当該第2しきい値THの値としては、例えば図2において符号THで示されるパラメータPの値とされる)を当該メモリ内から読み出し(ステップS10)、当該読み出した第2しきい値THとその時に記憶されているパラメータPの値とを比較する(ステップS11)。
そして、当該パラメータPの値が第2しきい値TH以上であるときは(ステップS11;以上)、そのときのLMシステムの動作状態が何らかの異常状態であるとして、次に、上記パラメータP及び図2に示す領域A、領域A及び領域Aに夫々対応してLMシステムの動作状態が異常である場合の具体的なその内容(すなわち、潤滑不良状態であるか又は潤滑剤以外の液体が混入している状態であるか或いはクラックが発生している状態であるかのいずれか)の判定基準として予め実験的に設定されて上記メモリ内に記憶されている第3しきい値TH(当該第3しきい値THの値としては、例えば図2において符号THで示されるパラメータPの値とされる)を当該メモリ内から読み出し(ステップS12)、当該読み出した第3しきい値THとその時に記憶されているパラメータPの値とを比較する(ステップS13)。
これにより、当該パラメータPの値が第3しきい値TH未満であるときは(ステップS13;未満)、そのときのLMシステムの動作状態が上記潤滑不良状態であると判定し(ステップS14)、表示部5を用いてその旨を表示し(ステップS20)、一連の動作状態検出処理を終了する。
また、ステップS13の判定において、当該第3パラメータPの値が第3しきい値TH以上であるときは(ステップS13;以上)、そのときのLMシステムの動作状態が潤滑剤以外の液体が混入している状態であると判定し(ステップS15)、表示部5を用いてその旨を表示し(ステップS20)、一連の動作状態検出処理を終了する。
他方、ステップS11の判定において、パラメータPの値が第2しきい値TH未満であるときは(ステップS11;未満)、次に、上記第3しきい値THを上記メモリ内から読み出し(ステップS16)、当該読み出した第3しきい値THとその時に記憶されているパラメータPの値とを比較する(ステップS17)。
これにより、当該パラメータPの値が第3しきい値TH未満であるときは(ステップS17;未満)、そのときのLMシステムの動作状態が、正常であるか、若しくは潤滑不良状態であるかのいずれかである(又はその境界領域にある)と判定し(ステップS19)、表示部5を用いてその旨を表示し(ステップS20)、一連の動作状態検出処理を終了する。
また、ステップS17の判定において、当該第3パラメータPの値が第3しきい値TH以上であるときは(ステップS17;以上)、そのときのLMシステムの動作状態がいずれかの部材にクラックが発生している状態であると判定し(ステップS18)、表示部5を用いてその旨を表示し(ステップS20)、一連の動作状態検出処理を終了する。
なお、上述した一連の動作状態の検出結果については、これを表示すると共に信号処理部4内の上記メモリに蓄積して統計的に処理することで、動作状態の悪化を検出して故障の発生を未然に防ぐことができることとなる。
以上説明したように、第1の実施形態に係る状態診断装置Sの動作によれば、LMシステムの動作により発生する拡張AE波を検出して上記パラメータPを生成し、その値が第1しきい値TH未満の値であるとき、LMシステムの動作状態が正常であると判定するので、当該LMシステムの動作中に、実時間で、当該LMシステムを分解することなく、当該動作に起因する振動の影響を排除しつつ、その動作状態が正常か否かを検出することができる。
従って、LMシステムにおける故障の発生を予知できることともなり、当該LMシステムの使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該LMシステムを用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
また、パラメータPの値が第1しきい値TH以上の値であるとき、パラメータP又はパラメータPを用いて動作状態の内容を判定するので、より詳細に、動作状態の具体的な内容まで判定して検出することができる。
更に、パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
更にまた、パラメータPの値が第1しきい値TH以上の値であり、且つパラメータPの値が第2しきい値TH以上の値であり、且つパラメータPの値が第3しきい値TH未満の値であるとき、LMシステムの動作状態が潤滑不良状態であると判定するので、当該LMシステムの動作中に、実時間で、当該LMシステムを分解することなく、当該動作に起因する振動の影響を排除しつつ、当該動作状態が潤滑不良状態であるか否かを検出することができる。
また、パラメータPの値が第1しきい値TH以上の値であり、且つパラメータPの値が第2しきい値TH以上の値であり、且つパラメータPの値が第3しきい値TH以上の値であるとき、LMシステムの動作状態が潤滑剤以外の液体が混入している動作状態であると判定するので、当該LMシステムの動作中に、実時間で、当該LMシステムを分解することなく、当該動作に起因する振動の影響を排除しつつ、潤滑財以外の液体が混入している状態であるか否かを検出することができる。
更に、パラメータPの値が第1しきい値TH以上の値であり、且つパラメータPの値が第2しきい値TH未満の値であり、且つパラメータPの値が第3しきい値TH以上の値であるとき、LMシステムの動作状態が、例えばレール20又はボール22の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定するので、当該LMシステムの動作中に、実時間で、当該LMシステムを分解することなく、当該動作に起因する振動の影響を排除しつつ、例えばレール20又はボール22の少なくともいずれかにクラックが発生しているか否かを検出することができる。
更にまた、上記夫々の判定結果を表示部5により表示して使用者に告知するので、LMシステムの使用者が直ちにその動作状態の内容を具体的に認識することができる。
なお、上記図8に示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得して記録しておき、汎用のマイクロコンピュータによりこれらを読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータを第1の実施形態に係る信号処理部4として機能させることも可能である。この場合には、上記AEセンサ1、波形整形部2及びA/Dコンバータ3は、当該マイクロコンピュータに対して外付けの装置により構成されることとなる。
また、各パラメータP及びPの夫々については、上述したものの他に、例えば、
Figure 2006025404
Figure 2006025404
で示される値を夫々に用いることも可能である。
更には、パラメータPとしては、拡張AE波の大きさを表す統計量であればよい。
また、パラメータPとしては、拡張AE波のうち、時間的に連続して検出される成分を重み付けし、当該成分の変化に対応して変化するパラメータであればよい。
更に、パラメータPとしては、拡張AE波のうち、主として上記ボールBの運動に対応して時間的に不連続に検出される成分を重み付けし、当該成分の変化に対応して変化するパラメータであればよい。なお、ここで、パラメータPに係る「時間的に不連続」の語は、上記パラメータPが「時間的に連続して」検出される成分を重み付けしているのに対し、それ以外の時間的に不連続である場合、すなわち、例えばある一定の周期をもって断続して拡張AE波が検出される場合と、周期性なくランダムに拡張AE波が検出される場合等を含む意味を有する。
なお、上述したようにパラメータPを、拡張AE波のうち時間的に連続して検出される成分の変化に対応して変化するパラメータであるとし、更にパラメータPを、拡張AE波のうち主として上記ボールBの運動に対応して時間的に不連続に検出される成分の変化に対応して変化するパラメータであると定義付ける場合には、そのボールBの運動に対応して時間的に不連続に検出される成分の検出周波数より低いカットオフ周波数を有するローパスフィルタを用いて上記時間的に連続して検出される成分を抽出し、更に同一のカットオフ周波数を有するハイパスフィルタを用いて上記時間的に不連続に検出される成分を抽出するように構成することもできる。この場合は、図3に示す如き包絡線検波のための回路を用いることなく、より簡易な構成で第1の実施形態に係る状態診断装置Sと同様の状態診断装置を校正することができる。
更にまた、上述した第1の実施形態では、図3に示す構成の状態検出装置Sを一つの装置として構成する場合について説明したが、この第1の実施形態は、具体的には当該状態診断装置Sを診断対象であるLMシステムが設置・使用されている工場等に携行し、その場でそのLMシステムの動作状態を検出して診断する場合に適用されるものである。
そして、第1の実施形態に係る状態検出装置Sは、上述した態様以外に、状態診断装置Sをその診断対象となるLMシステムが設置・使用されている工場等に常備し、その状態診断装置Sを電話回線等により診断員が離隔した場所から遠隔操作することで、当該LMシステムの動作状態の検出及びその診断を行う場合に適用することもできる。
また、状態診断装置Sをその診断対象となるLMシステムが設置・使用されている工場等に常備し、その状態診断装置Sにおいて自動的に診断対象のLMシステムの動作状態の検出及びその診断を行い、これと並行してその検出結果を他の場所に伝送して蓄積し、累積的な故障診断をその蓄積した検出結果を元に行う場合に本発明を適用することも可能である。
また、上述した第1の実施形態では、一のAEセンサ1に対して波形整形部2、ADコンバータ3、信号処理部4及び表示部5を夫々一ずつ用いて状態検出装置Sを構成する場合について説明したが、これ以外に、複数のAEセンサ1からの検出信号Saeをスイッチング回路を介して一の波形整形部2に入力させ、複数のAEセンサ1からの検出信号Saeを夫々一の波形整形部2、ADコンバータ3、信号処理部4及び表示部5を用いて処理するように構成することもできる。この場合は、波形整形部2、ADコンバータ3、信号処理部4及び表示部5を用いた検出処理の実行タイミングと、対応するAEセンサ1からの検出信号Saeの取り込みタイミングと、を同期させることが必要となる。
(第1の実施例)
次に、上述した本発明の原理並びに第1の実施形態に係る状態検出装置Sの有効性を示すべく、図2に示すグラフを用いて実際の計測データ群をプロットした例につき、図9及び図10を用いて説明する。
なお、以下に示す各点を得た際の実験環境は、図9の場合は、AEセンサ1が設置されるLMガイドとして出願人製造に係る型番SNS55LR型を用い、移動ブロックに対する外部加重を0.09C(14.7kN)とし、移動ブロックの移動距離であるストロークを250mmとし、その移動速度を400mm/秒とし、検出信号Saeに対するサンプルレートを10キロヘルツとし、計測時間として0.4秒計測している。
また、図10の場合の実験環境は、AEセンサ1が設置されるLMガイドとして出願人製造に係る型番SHS25V型を用い、移動ブロックに対する外部加重を0.7C(22.2kN)とし、移動ブロックの移動距離であるストロークを350mmとし、その移動速度を500mm/秒とし、検出信号Saeに対するサンプルレートを10キロヘルツとし、計測時間として0.6秒計測している。
更に、上記実際にパラメータ生成に用いるために抽出した計測データの数Mとして具体的には、全ての計測データを小さい方から並べ替え、その中で全体の65%乃至90%の範囲の値を取る計測データを抽出した数としている。
先ず、図9(a)及び図9(b)に示すように、潤滑が良好であって動作状態が正常である場合は、各計測データ群に夫々対応する点は図2における領域A内に集中した。
次に、図9(c)に示すように、潤滑剤以外の液体が混入した場合には、各計測データ群に夫々対応する点は図2における領域A内に集中した。
更に、図10(a)に示すように、潤滑不良状態の場合には、各計測データ群に夫々対応する点は図2における領域A内に集中した。
最後に、図10(b)に示すように、LMシステム内のいずれかの部材にクラックが発生している状態の場合には、各計測データ群に夫々対応する点は図2における領域A内に集中した。
このように、本発明によれば、LMシステムの動作状態の内容に応じて、図2に示す各領域A乃至A内のいずれかに各計測データ群に対応する点が集中することになるので、図8に示した状態検出処理を実行することにより、LMシステムの動作中に、実時間で、LMシステムを分解することなく、当該動作に起因する振動の影響を排除しつつ、具体的な動作状態の内容まで使用者に自動的に認識させることができる。
(III)第2の実施形態
次に、上述した原理に基づいた本発明に係る第2の実施形態について、具体的に図3乃至図7及び図11乃至図13を用いて説明する。
なお、図3は第2の実施形態に係る状態診断装置の概要構成を示すブロック図であり、図4は第2の実施形態に係る拡張AE波を検出するAEセンサの概要構成を示す縦断面図であり、図5乃至図7は本発明が適用されるLMシステムを説明するための図であり、図11は第2の実施形態に係る状態診断装置において実行される動作状態の検出処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、第2の実施形態に係る状態診断装置Sは、AEセンサ1と、BPF(Band Pass Filter)2A及び包絡線検波部2Bを含む波形整形部2と、A/D(Analog/Digital)コンバータ3と、第1生成手段、第2生成手段及び表示制御手段としての信号処理部4と、液晶ディスプレイ等よりなる表示手段としての表示部5と、により構成されている。
次に動作を説明する。
先ず、AEセンサ1は、診断対象となるLMシステムの任意の場所、例えば、レールの末端部又は移動部材としての移動ブロック上等に設置されるものであり、後述する(図4)接触部を上記いずれかの場所に接触させて配置される。そして、当該LMシステムの動作により発生する上記拡張AE波を検出し、これをアナログ信号である検出信号Saeに変換して波形整形部2へ出力する。
次に、波形整形部2内のBPF2Aは、図示しない増幅部において必要な増幅率(具体的には、例えば40デシベル乃至60デシベル程度)で増幅された後の検出信号Saeを拡張AE波以外の周波数成分を除去して包絡線検波部2Bへ出力する。ここで、当該BPF2Aにおける検出信号Saeに対する通過周波数帯域として具体的には、例えば100kHz以上1MHz以下の周波数成分を通過させるBPFを、BPF2Aとして用いることが望ましい。
そして、包絡線検波部2Bは、当該検出信号Saeに対して包絡線検波処理を施し、包絡線信号Swを生成してADコンバータ3へ出力する。
次に、ADコンバータ3は、アナログ信号である包絡線信号Swをディジタル化し、ディジタル包絡線信号Sdwを生成して信号処理部4へ出力する。
そして、信号処理部4は、当該ディジタル包絡線信号Sdwに基づいて図11に示す後述の動作状態検出処理により診断対象のLMシステムにおける現在の動作状態を判定し、その結果を示す判定信号Sdpを生成して表示部5へ出力する。
これにより、表示部5は、当該判定信号Sdpに基づいてその内容を示す表示を行う。この表示により、LMシステムの使用者がその動作状態を把握することが可能となる。
次に、上記AEセンサ1の構造等並びに診断対象であるLMシステムへのその設置態様について、具体的に図4乃至図7を用いて説明する。
先ず、AEセンサ1の内部構造について、図4を用いて説明する。
図4に示すように、AEセンサ1は、全体としては円筒形状を成しており、具体的には、LMシステム内のレールLM等に接触して配置される接触部10と、筺体11と、ピエゾ素子等より成る圧電素子13と、当該圧電素子13の上面及び下面に形成された銀蒸着膜12及び14と、上記検出信号Saeを導通して波形整形部2へ出力する外部線15と、により構成されている。
そして、LMシステム内で発生した拡張AE波が接触部10及び銀薄膜14を介して圧電素子13に伝播されると、当該拡張AE波により圧電素子13の形状が微小ながら変形し、これにより銀薄膜12と14との間に電位差が発生することで外部線15上に上記検出信号Saeが発生することとなる。
次に、図4に示す内部構造を備えるAEセンサ1のLMシステムへの設置態様について、図5乃至図7を用いて説明する。なお、図5及び図6は、診断対象であるLMシステムとして移動ブロックが用いられているLMシステムにAEセンサ1を設置する場合のその態様を示す図であり、図7は、診断対象であるLMシステムとしていわゆるボールねじが用いられているLMシステムにAEセンサ1を設置する場合のその態様を示す図である。
始めに、移動ブロックを用いたLMシステムに対してAEセンサ1を設置する場合について、図5及び図6を用いて説明する。
図5(a)に示すLMシステムは、長手方向に沿って後述のボール22を転走させるボール転走溝20a及び20bが形成されたレール20と、多数の上記ボール22を介してこのレール20に係合すると共に内部にボール22の無限循環路を備えた移動ブロック21と、この移動ブロック21の移動方向の前後両端面に装着されると共にレール20の上面及び両側面に密着するシール部材23とから構成されており、かかるボール22の循環に伴って上記移動ブロック21がレール20上を往復運動するように構成されている。
これらの図に示されるように、上記レール20は断面略矩形状に形成されており、固定ボルトを挿通させるための取付孔24が長手方向に適宜間隔をおいて貫通形成されている。また、レール20の上面には上記取付孔24を挟むようにして2条のボール転走溝20aが形成される一方、両側面にも2条のボール転走溝20bが夫々形成されており、これら4条のボール転走溝はボール22の球面の曲率よりも僅かに大きな曲率で深溝状に形成されている。
一方、上記移動ブロック21は、後述するテーブル30等の可動体の取付面25を備えた移動ブロック本体26と、この移動ブロック本体26の前後両端面に固定された一対のエンドプレート27,27とから構成されており、軌道レール20の上部が遊嵌する凹所を下面側に備えて断面略サドル状に形成されている。
このとき、図6に示すように、上記移動ブロック本体26は、上記取付面25が形成された基部及びこの基部の両端から垂下する一対のスカート部を備えて断面略サドル状に形成されており、各スカート部の内側面及び基部の下面側にはレール20のボール転走溝20a及び20bと夫々対向する4条の負荷転走溝28が形成されている。ボール22はこの負荷転走溝28とレール20のボール転走溝20a及び20bとの間で荷重を負荷しながら転走し、これによって移動ブロック21がレール20上を移動することになる。
次に図5(a)に戻って、移動ブロック本体26の基部及び各スカート部には各負荷転走溝28に対応するボール戻し孔29が夫々穿設されており、これらボール戻し孔29は上記エンドプレート27に形成された略U字型の方向転換路(図示せず)によって負荷転走溝28と連通連結されている。すなわち、この方向転換路は移動ブロック本体26の負荷転走溝28を転走し終えたボール22を掬い上げて上記ボール戻し孔29へ送り込む一方、このボール戻し孔29から負荷転走溝28へボール22を送り出すように構成されている。従って、これらエンドプレート27を、取付ボルト27aを用いて移動ブロック本体26に固定することにより、上記移動ブロック21にボール22の無限循環路が形成されるようになっている。
そして、図5(a)に示したLMシステムに対して第2の実施形態に係るAEセンサ1を設置する場合には、図5(b)にその外観側面図を示すように、例えば軌道レール20上を直線運動する複数の移動ブロック21上に上記テーブル30が設置されているとき、その軌道レール20における移動ブロック21の移動範囲外の位置に設置される。
次に、ボールねじを用いたLMシステムに対してAEセンサ1を設置する場合について、図7を用いて説明する。
図7(a)に示すように、ボールねじ40は、外周面に螺旋状のボール転走溝41aを有するねじ軸41と、内周面にボール転走溝41aと対向する螺旋状の負荷転走溝42aを有するナット部材42と、ボール転走溝41aと負荷転走溝42a間を転動するボール43…とを備える。ねじ軸41のボール転走溝41aとナット部材42の負荷転走溝42aとの間で負荷転走路が構成される。ナット部材42には、例えば2つの循環部品としてのリターンパイプ44が取り付けられる。リターンパイプ44は、負荷転走路の一端と他端を連結して無負荷戻し通路を構成する。リターンパイプ44は略門形に形成され、中央部44aと中央部44aの両側に設けられた一対の脚部44b,44bとを有する。一対の脚部44b,44bは負荷転走路内に数ピッチの間隔を開けて、嵌入される。リターンパイプ44は、ボルト45等の結合手段によってナット部材42に固定される。
ねじ軸41には、その周囲に螺旋状の一定のリードを備えた略断面半円状のボール転走溝41aが研削加工または転造加工等によって形成される。ナット部材42は略円筒状をなし、その端面にボールねじ40を機械等に取り付けるためのフランジ46を有する。ナット部材42の内周面には、ねじ軸41のボール転走溝41aに対向する略断面半円状の負荷転走溝42aが形成される。ナット部材42には、その上面が一部平取りされた平面部47が形成される。平面部47には、リターンパイプ44の脚部44b,44bが挿入されるリターンパイプ嵌合穴が数箇所開けられる。
そして、図7(a)に示したLMシステムに対して第2の実施形態に係るAEセンサ1を設定する場合には、図7(b)にその外観側面図を示すように、例えば台49に回転可能に支持されたねじ軸41がモータ48により回転されるボールねじ40に対してブラケット50を介してテーブル51が固定されているとき、そのボールねじ40における上記フランジ46の、ボールねじ40の中心軸に垂直な面に設置される。
次に、主として信号処理部4を中心として実行される第2の実施形態に係る動作状態検出処理について、図1乃至図3並びに図11を用いて説明する。
図11に示すように、診断対象であるLMシステムの動作中において第2の実施形態に係る動作状態検出処理を実行する場合には、初めに、必要な初期設定処理等を行い、次に、AEセンサ1において当該LMシステムの動作中に生じる拡張AE現象に起因して発生する拡張AE波を検出し(ステップS31)、これに対応する検出信号Saeに対して波形整形部2において波形整形処理等の波形処理を施し(ステップS32)、上記包絡線信号Swを生成してA/Dコンバータ3を介してディジタル包絡線信号Sdwとして信号処理部4へ出力する。
そして、上記計測データを取得するタイミングとして予め設定されているタイミング(例えば、図5に示すLMシステムの場合は、移動ブロック21がレール20の一方の端部に近接したタイミング)に対応するトリガ信号が信号処理部4内において生成されたか否かを確認し(ステップS33)、当該トリガ信号が生成されたタイミングで(ステップS33;ON)上記ディジタル包絡線信号Sdwを上記計測データとして取り込む。
その後、当該拡張AE波の検出処理(ステップS31)、波形整形処理(ステップS32)並びに計測データとしての取得処理(ステップS33)を必要な検査時間だけ繰返して上記ディジタル包絡線信号Sdwとしての計測データを信号処理部4内の図示しないメモリに蓄積し(ステップS34)、その蓄積した計測データに基づいて後述する各判断に用いる上記パラメータP乃至Pを夫々に対応する式に基づいて各検査時間に対応する計測データ群毎に演算し、上記メモリ内に当該計測データ群毎に蓄積する(ステップS35、S36)。
各パラメータP乃至Pの演算並びにその蓄積が終了すると、次に、信号処理部4において、上記パラメータPに対応して実施形態のLMシステムが正常に動作しているか否かの判定基準として予め実験的に設定されて上記メモリ内に記憶されている第1しきい値THを当該メモリ内から読み出し(ステップS37)、更に当該読み出した第1しきい値THとその時に記憶されているパラメータPの値とを比較する(ステップS38)。
そして、当該パラメータPの値が第1しきい値TH未満であるときは(ステップS38;未満)、そのときのLMシステムの動作状態は正常であると判定し(ステップS39)、表示部5を用いてその旨を表示し(ステップS40)、一連の動作状態検出処理を終了する。
一方、上記ステップS38の判定において、パラメータPの値が第1しきい値TH以上であるときは(ステップS38;以上)、何らかの異常動作状態がLMシステム内に発生しているとして、次に、蓄積されている各計測データ群毎に、一つの計測データ群について求めたパラメータPの値及びパラメータPの値を用いて、横軸をパラメータPの値とし縦軸をパラメータPの値としたグラフ上に一の計測データ群を一のプロット点として表示することを、各計測データ群毎に繰返して得られるグラフ(図2に示すグラフ)を信号処理部4内において生成し(ステップS41)、当該生成されたグラフに対応する画像(以下、当該画像を診断マップと称する)を表示部5に表示して(ステップS42)、一連の動作状態検出処理を終了する。
そして、上記ステップS42の処理の後は、当該表示されている診断マップを使用者が観察し、図2に示した各領域A乃至Aの夫々に対応する当該表示中の診断マップ上の領域のいずれに各計測データ群に対応するプロット点が集中しているかを判断することで、LMシステムにおける現在の動作状態の具体的な内容を把握することになる。
以上説明したように、第2の実施形態に係る状態診断装置Sの動作によれば、LMシステムの動作により発生する拡張AE波を検出して上記パラメータPを生成し、その値が第1しきい値TH未満の値であるとき、LMシステムの動作状態が正常であると判定するので、当該LMシステムの動作中に、実時間で、当該LMシステムを分解することなく、当該動作に起因する振動の影響を排除しつつ、その動作状態が正常か否かを検出することができる。
従って、LMシステムにおける故障の発生を予知できることともなり、当該LMシステムの使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該LMシステムを用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
また、一つの計測データ群について求めたパラメータPの値及びパラメータPの値を用いて、図2に相当するグラフ上に一の計測データ群を一のプロット点として表示することが、各計測データ群毎に行われて得られる診断マップが表示部5に表示されるので、LMシステムを使用する使用者に当該LMシステムの現在の動作状態を認識させることができる。
従って、LMシステムにおける故障の発生をその診断マップから予知できることともなり、当該LMシステムの使用者における整備性が向上すると共に、その長寿命化及び当該LMシステムを用いて製造された装置又は機器の品質向上に資することもできる。
更に、パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであり、パラメータPが、
Figure 2006025404
で与えられるパラメータであるので、より正確に動作状態の具体的内容を検出することができる。
なお、上記図11に示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得して記録しておき、汎用のマイクロコンピュータによりこれらを読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータを第2の実施形態に係る信号処理部4として機能させることも可能である。この場合には、上記AEセンサ1、波形整形部2及びA/Dコンバータ3は、当該マイクロコンピュータに対して外付けの装置により構成されることとなる。
また、各パラメータP及びPの夫々については、上述したものの他に、例えば、
Figure 2006025404
Figure 2006025404
で示される値を夫々に用いることも可能である。
更には、パラメータPとしては、拡張AE波の大きさを表す統計量であればよい。
また、パラメータPとしては、拡張AE波のうち、時間的に連続して検出される成分を重み付けし、当該成分の変化に対応して変化するパラメータであればよい。
更に、パラメータPとしては、拡張AE波のうち、主として上記ボールBの運動に対応して時間的に不連続に検出される成分を重み付けし、当該成分の変化に対応して変化するパラメータであればよい。なお、ここで、パラメータPに係る「時間的に不連続」の語は、上記パラメータPが「時間的に連続して」検出される成分を重み付けしているのに対し、それ以外の時間的に不連続である場合、すなわち、例えばある一定の周期をもって断続して拡張AE波が検出される場合と、周期性なくランダムに拡張AE波が検出される場合等を含む意味を有する。
なお、上述したようにパラメータPを、拡張AE波のうち時間的に連続して検出される成分の変化に対応して変化するパラメータであるとし、更にパラメータPを、拡張AE波のうち主として上記ボールBの運動に対応して時間的に不連続に検出される成分の変化に対応して変化するパラメータであると定義付ける場合には、そのボールBの運動に対応して時間的に不連続に検出される成分の検出周波数より低いカットオフ周波数を有するローパスフィルタを用いて上記時間的に連続して検出される成分を抽出し、更に同一のカットオフ周波数を有するハイパスフィルタを用いて上記時間的に不連続に検出される成分を抽出するように構成することもできる。この場合は、図3に示す如き包絡線検波のための回路を用いることなく、より簡易な構成で第2の実施形態に係る状態診断装置Sと同様の状態診断装置を構成することができる。
更にまた、上述した第2の実施形態では、図3に示す構成の状態検出装置Sを一つの装置として構成する場合について説明したが、この第2の実施形態は、具体的には当該状態診断装置Sを診断対象であるLMシステムが設置・使用されている工場等に携行し、その場でそのLMシステムの動作状態を検出して診断する場合に適用されるものである。
そして、第2の実施形態に係る状態検出装置Sは、上述した態様以外に、状態診断装置Sをその診断対象となるLMシステムが設置・使用されている工場等に常備し、その状態診断装置Sを電話回線等により診断員が離隔した場所から遠隔操作することで、当該LMシステムの動作状態の検出及びその診断を行う場合に適用することもできる。
また、状態診断装置Sをその診断対象となるLMシステムが設置・使用されている工場等に常備し、その状態診断装置Sにおいて自動的に診断対象のLMシステムの動作状態の検出及びその診断を行い、これと並行してその検出結果を他の場所に伝送して蓄積し、累積的な故障診断をその蓄積した検出結果を元に行う場合に本発明を適用することも可能である。
また、上述した第2の実施形態では、一のAEセンサ1に対して波形整形部2、ADコンバータ3、信号処理部4及び表示部5を夫々一ずつ用いて状態検出装置Sを構成する場合について説明したが、これ以外に、複数のAEセンサ1からの検出信号Saeをスイッチング回路を介して一の波形整形部2に入力させ、複数のAEセンサ1からの検出信号Saeを夫々一の波形整形部2、ADコンバータ3、信号処理部4及び表示部5を用いて処理するように構成することもできる。この場合は、波形整形部2、ADコンバータ3、信号処理部4及び表示部5を用いた検出処理の実行タイミングと、対応するAEセンサ1からの検出信号Saeの取り込みタイミングと、を同期させることが必要となる。
(第2の実施例)
次に、上述した本発明の原理並びに第2の実施形態に係る状態検出装置Sの有効性を示すべく、図2に示すグラフを用いて実際の計測データ群をプロットした診断マップの表示例につき、図12及び図13を用いて説明する。
なお、以下に示す各プロット点を得た際の実験環境は、図12の場合は、AEセンサ1が設置されるLMガイドとして出願人製造に係る型番SNS55LR型を用い、移動ブロックに対する外部加重を0.09C(14.7kN)とし、移動ブロックの移動距離であるストロークを250mmとし、その移動速度を400mm/秒とし、検出信号Saeに対するサンプルレートを10キロヘルツとし、計測時間として0.4秒計測している。
また、図13の場合の実験環境は、AEセンサ1が設置されるLMガイドとして出願人製造に係る型番SHS25V型を用い、移動ブロックに対する外部加重を0.7C(22.2kN)とし、移動ブロックの移動距離であるストロークを350mmとし、その移動速度を500mm/秒とし、検出信号Saeに対するサンプルレートを10キロヘルツとし、計測時間として0.6秒計測している。
更に、上記実際にパラメータ生成に用いるために抽出した計測データの数Mとして具体的には、全ての計測データを小さい方から並べ替え、その中で全体の65%乃至90%の範囲の値を取る計測データを抽出した数としている。
先ず、図12(a)及び図12(b)に示すように、潤滑が良好であって動作状態が正常である場合は、各計測データ群に夫々対応するプロット点は図2における領域Aの位置に対応する位置に集中した状態で表示部5上の診断マップM内に表示される。
次に、図12(c)に示すように、潤滑剤以外の液体が混入した場合には、各計測データ群に夫々対応するプロット点は図2における領域Aの位置に対応する位置に集中した状態で表示部5上の診断マップM内に表示される。
更に、図13(a)に示すように、潤滑不良状態の場合には、各計測データ群に夫々対応するプロット点は図2における領域Aの位置に対応する位置に集中した状態で表示部5上の診断マップM内に表示される。
最後に、図13(b)に示すように、LMシステム内のいずれかの部材にクラックが発生している状態の場合には、各計測データ群に夫々対応するプロット点は図2における領域Aの位置に対応する位置に集中した状態で表示部5上の診断マップM内に表示される。
このように、本発明によれば、LMシステムの動作状態の内容に応じて、図2に示す各領域A乃至A内のいずれかに対応する位置に各計測データ群に対応するプロット点が集中した状態で表示部5上に診断マップMが表示されることになるので、図11に示した状態検出処理を実行することにより、LMシステムの動作中に、実時間で、LMシステムを分解することなく、当該動作に起因する振動の影響を排除しつつ、具体的な動作状態の内容まで使用者に認識させることができる。
以上説明したように、本発明はLMシステムにおける動作状態の判定の分野に利用することが可能であり、特にLMガイドやボールスプライン等の直動システムにおける動作状態の判定の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。

Claims (22)

  1. 直動転がり案内装置における現在の動作状態を検出する状態検出装置であって、
    前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出手段と、
    前記生成された検出信号に基づいて、前記波動の強度を示す第1パラメータを生成する第1生成手段と、
    前記生成された第1パラメータの値が当該第1パラメータについて予め設定されている第1しきい値未満の値であるとき、前記動作状態が正常であると判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とする状態検出装置。
  2. 請求項1に記載の状態検出装置において、
    前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号のみを重み付けして第2パラメータを生成する第2生成手段と、
    前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号のみを重み付けして第3パラメータを生成する第3生成手段と、
    を更に備え、
    前記判定手段は、
    前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であるとき、前記第2パラメータ又は前記第3パラメータの少なくともいずれか一つを用いた前記内容の判定を行うことを特徴とする状態検出装置。
  3. 請求項2に記載の状態検出装置において、
    前記第1パラメータPは、前記検出信号をサンプリングして得られる計測値をX、当該計測値の全数をN(個)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであり、
    前記第2パラメータPは、更に前記検出手段における最大入力レンジを定数K(ボルト)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであり、
    前記第3パラメータPは、更に前記計測値として用いる抽出数をM(個)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであることを特徴とする状態検出装置。
  4. 請求項2又は3に記載の状態検出装置において、
    前記判定手段は、
    前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値未満の値であるとき、前記動作状態が潤滑不足状態であると判定することを特徴とする状態検出装置。
  5. 請求項2又は3に記載の状態検出装置において、
    前記判定手段は、
    前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値以上の値であるとき、前記動作状態が潤滑剤以外の液体が前記循環部内に混入している動作状態であると判定することを特徴とする状態検出装置。
  6. 請求項2又は3に記載の状態検出装置において、
    前記判定手段は、
    前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値未満の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値以上の値であるとき、前記動作状態が、前記転走面又は前記転動体の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定することを特徴とする状態検出装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の状態検出装置において、
    前記判定手段により判定されたいずれかの前記動作状態を告知する告知手段を更に備えることを特徴とする状態検出装置。
  8. 直動転がり案内装置における現在の動作状態を検出する状態検出方法であって、
    前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出工程と、
    前記生成された検出信号に基づいて、前記波動の強度を示す第1パラメータを生成する第1生成工程と、
    前記生成された第1パラメータの値が当該第1パラメータについて予め設定されている第1しきい値未満の値であるとき、前記動作状態が正常であると判定する判定工程と、
    を含むことを特徴とする状態検出方法。
  9. 請求項8に記載の状態検出方法において、
    前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号のみを重み付けして第2パラメータを生成する第2生成工程と、
    前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号のみを重み付けして第3パラメータを生成する第3生成工程と、
    を更に含み、
    前記判定工程においては、
    前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であるとき、前記第2パラメータ又は前記第3パラメータの少なくともいずれか一つを用いた前記内容の判定を行うことを特徴とする状態検出方法。
  10. 請求項9に記載の状態検出方法において、
    前記第1パラメータPは、前記検出信号をサンプリングして得られる計測値をX、当該計測値の全数をN(個)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであり、
    前記第2パラメータPは、更に前記検出手段における最大入力レンジを定数K(ボルト)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであり、
    前記第3パラメータPは、更に前記計測値として用いる抽出数をM(個)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであることを特徴とする状態検出方法。
  11. 請求項9又は10に記載の状態検出方法において、
    前記判定工程においては、
    前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値未満の値であるとき、前記動作状態が潤滑不足状態であると判定することを特徴とする状態検出方法。
  12. 請求項9又は10に記載の状態検出方法において、
    前記判定工程においては、
    前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値以上の値であるとき、前記動作状態が潤滑剤以外の液体が前記循環部内に混入している動作状態であると判定することを特徴とする状態検出方法。
  13. 請求項9又は10に記載の状態検出方法において、
    前記判定工程においては、
    前記生成された第1パラメータの値が前記第1しきい値以上の値であり、且つ前記生成された第2パラメータの値が当該第2パラメータについて予め設定されている第2しきい値未満の値であり、且つ前記生成された第3パラメータの値が当該第3パラメータについて予め設定されている第3しきい値以上の値であるとき、前記動作状態が、前記転走面又は前記転動体の少なくともいずれかにクラックが発生している動作状態であると判定することを特徴とする状態検出方法。
  14. 請求項8から13のいずれか一項に記載の状態検出方法において、
    前記判定工程において判定されたいずれかの前記動作状態を告知する告知工程を更に含むことを特徴とする状態検出方法。
  15. 直動転がり案内装置における現在の動作状態を検出する状態検出装置に含まれるコンピュータを、
    前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出手段、
    前記生成された検出信号に基づいて、前記波動の強度を示す第1パラメータを生成する第1生成手段、
    前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号のみを重み付けして第2パラメータを生成する第2生成手段、
    前記生成された検出信号に基づいて、当該検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号のみを重み付けして第3パラメータを生成する第3生成手段、及び、
    前記生成された第1パラメータ、第2パラメータ又は第3パラメータの少なくともいずれか一つを用いて前記動作状態の内容を判定する判定手段、
    として機能させることを特徴とする状態検出用プログラム。
  16. 請求項15に記載の状態検出用プログラムが、前記コンピュータにより読取可能に記録されていることを特徴とする情報記録媒体。
  17. 直動転がり案内装置における現在の動作状態を表示する状態表示装置であって、
    前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出手段と、
    前記生成された検出信号をサンプリングし、検出データを生成するサンプリング手段と、
    予め設定された検出時間内に得られる複数の前記検出データにより構成される検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第1パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第1生成手段と、
    前記検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第2パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第2生成手段と、
    一つの前記検出データ群について求めた前記第1パラメータの値及び前記第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の前記検出データ群を一のプロット点として表示することを、各前記検出データ群毎に行って得られる当該グラフを表示手段に表示する表示制御手段と、
    を備えることを特徴とする状態表示装置。
  18. 請求項17に記載の状態表示装置において、
    前記第1パラメータPは、各前記検出データの値をXとし、対応する前記検出データ群内に含まれる前記検出データの全数をN(個)とし、前記検出手段における最大入力レンジを定数K(ボルト)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであり、
    前記第2パラメータPは、更に前記検出データとして用いる抽出数をM(個)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであることを特徴とする状態表示装置。
  19. 直動転がり案内装置における現在の動作状態を表示する状態表示方法であって、
    前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出工程と、
    前記生成された検出信号をサンプリングし、検出データを生成するサンプリング工程と、
    予め設定された検出時間内に得られる複数の前記検出データにより構成される検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第1パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第1生成工程と、
    前記検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第2パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第2生成工程と、
    一つの前記検出データ群について求めた前記第1パラメータの値及び前記第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の前記検出データ群を一のプロット点として表示することを、各前記検出データ群毎に行って得られる当該グラフを表示手段に表示する表示制御工程と、
    を含むことを特徴とする状態表示方法。
  20. 請求項19に記載の状態表示方法において、
    前記第1パラメータPは、各前記検出データの値をXiとし、対応する前記検出データ群内に含まれる前記検出データの全数をN(個)とし、前記検出手段における最大入力レンジを定数K(ボルト)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであり、
    前記第2パラメータPは、更に前記検出データとして用いる抽出数をM(個)としたとき、
    Figure 2006025404
    で与えられるパラメータであることを特徴とする状態表示方法。
  21. 直動転がり案内装置における現在の動作状態を表示する状態表示装置に含まれるコンピュータを、
    前記直動転がり案内装置に含まれる複数の転動体が自転しつつ循環部内を公転する際に生じる、当該直動転がり案内装置に含まれる転走面と前記転動体との衝突、当該転走面と当該転動体との接触部におけるすべり、又は当該転動体同士の衝突又は当該転動体同士の接触部におけるすべり、或いは前記転動体又は前記転走面の少なくともいずれか一方に発生するクラックのいずれかに少なくとも起因して弾性的に発生する波動を検出し、当該検出した波動に対応する電気的な検出信号を生成する検出手段、
    前記生成された検出信号をサンプリングし、検出データを生成するサンプリング手段、
    予め設定された検出時間内に得られる複数の前記検出データにより構成される検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち時間的に連続して検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第1パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第1生成手段、
    前記検出データ群内に含まれている各前記検出データに基づき、前記生成された検出信号のうち前記転動体の運動に対応して時間的に不連続に検出される当該検出信号に対応する前記検出データのみを重み付けした第2パラメータを生成することを、異なる前記検出時間に対応する複数の前記検出データ群毎に行う第2生成手段、及び、
    一つの前記検出データ群について求めた前記第1パラメータの値及び前記第2パラメータの値を用いて、第一の軸を第1パラメータの値とし第二の軸を第2パラメータの値としたグラフ上に一の前記検出データ群を一のプロット点として表示することを、各前記検出データ群毎に行って得られる当該グラフを表示手段に表示する表示制御手段、
    として機能させることを特徴とする状態表示用プログラム。
  22. 請求項21に記載の状態表示用プログラムが、前記コンピュータにより読取可能に記録されていることを特徴とする情報記録媒体。
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