JPWO2006025260A1 - 積層型有機無機複合高効率太陽電池 - Google Patents

積層型有機無機複合高効率太陽電池 Download PDF

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Abstract

太陽光発電装置(太陽電池)の発電効率およびコスト効率を向上させるとともに、より広い範囲の用途に適用することができる太陽電池を提供するために、p型有機半導体およびn型有機半導体を接合してなる有機系電池層と、p型無機半導体およびn型無機半導体を接合してなる無機系電池層とを積層して太陽電池を形成する。また、個々の太陽電池層を薄層化することによってフレキシブルにする。

Description

本発明は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池に関し、特に、有機半導体薄膜からなる有機系電池層と無機半導体薄膜からなる無機系電池層との積層構造を有する高効率太陽電池および/または有機薄膜太陽電池に関するものである。さらに本発明は、当該太陽電池を構成する方法、およびさらに機能性薄膜を積層することによって特性を改善する複合電池に関するものである。
近年、太陽光発電に関する技術が著しく発達し、種々の太陽電池が商品として流通している。「太陽からの光エネルギーを電気エネルギーに変換」する太陽光発電は、(1)エネルギー源が膨大で枯渇しない、(2)クリーンなエネルギー源であり、発電時には二酸化炭素を排出しない、(3)電力を自給できる、などの利点を有し、屋外での利用だけでなく宇宙での利用も可能な技術である。
太陽電池の種類としては、シリコン半導体を材料に使用するもの(結晶系およびアモルファス(非結晶系))と化合物半導体を材料に使用するものとに大別され、開発中のものも含めるとさらに多岐にわたる。太陽電池の技術開発については、変換効率の向上やコストダウンなどが図られている。
現在の主流である太陽電池としては、有機半導体または無機半導体を用いる固体太陽電池が挙げられる。有機半導体を用いる固体太陽電池は、一般に、有機半導体の単独層と、金属または異なる有機半導体からなる単独層とのpn接合部を介する単純な接合からなる(例えば、特許文献1および非特許文献1および2を参照のこと)。無機半導体の積層構造を有する固体太陽電池は、例えば、特許文献2〜4に開示されている。また、上記以外に、有機半導体と無機半導体の単純な接合からなる固体太陽電池(例えば、非特許文献3を参照のこと)、および有機半導体と無機半導体との接合部を共蒸着によって複合化することによって変換効率を改善した固体太陽電池が知られている(例えば、特許文献5を参照のこと)。
〔特許文献1〕
特開平6−310746号公報(平成6年11月4日公開)
〔特許文献2〕
特開2003−273373号公報(平成15年9月26日公開)
〔特許文献3〕
特開平11−54774号公報(平成11年2月26日公開)
〔特許文献4〕
特開平7−58360号公報(平成7年3月3日公開)
〔特許文献5〕
特開2002−100793公報(平成14年4月5日公開)
〔非特許文献1〕
D.L.Morel,A.K.Ghosh,T.Feng,E.L.Stogryn,P.E.Purwin,R.F.Shaw,C.Fishman,Applied Physics Letters,32,495(1978)
〔非特許文献2〕
C.W.Tang,Applied Physics Letters,48,183(1986)
〔非特許文献3〕
A.M.Hor,R.O.Loutfy,Canadian Journal of Chemistry,61,901(1983))
太陽光発電に関する技術分野において、光電変換効率が優れた太陽電池が好ましい。変換効率は、(出力電気エネルギー/入射する太陽光エネルギー)×100(%)で表され、太陽電池の最も重要な性能指数である。この改善は、主にシリコン単結晶またはアモルファスシリコンを用いて不純物を低減することによってなされている。また、コスト効率が優れた太陽電池が好ましい。このコスト効率は、太陽電池装置から得られる発電量を金額に換算したもの、ならびに製品の製造コストおよびランニングコストを、原子力発電のコストおよび長距離送電に伴う損失(いわゆる、伝送ロス)と比較して評価されている。
特許文献1および非特許文献1および2に記載されているような有機太陽電池は、製造コストが安く、軽量かつフレキシブルであるが、光電変換効率がよくない。特許文献2〜4に記載されているような無機太陽電池は、光電変換効率がよいが、製造コストがかかる上に機械的特性に劣る(すなわち、破損しやすい)。また、非特許文献3および特許文献5に記載されているような有機・無機複合薄膜太陽電池は、光電流を損ない易く、効率よく電力を取り出すことができない上に、工業製品としての歩留まりの問題を有する。
太陽電池のコスト効率に関して、太陽電池システムを商用ラインに接続することによって、「小口の売電事業」として太陽電池システムの付帯部分を軽減しコストを削減している。また、国の奨励政策による補助によってコストの削減が目論まれているが、普及には時間を要している。従って、太陽電池単体のコスト効率を更に改善することが必要とされている。
しかしながら、発電の原理は既に確立しており、既知の方法ではコスト効率は限界に近づきつつある。従って、光電変換効率だけでなくコスト効率にも優れた太陽電池の開発が熱望されている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機半導体からなる太陽電池と無機半導体からなる太陽電池の不利益を互いに補い合う、光電変換効率およびコスト効率に優れかつフレキシブルな太陽電池を提供することである。換言すれば、本発明の目的は、改善された発電効率およびコスト効率を有し、改善された機械的特性に基づく広範な応用が可能な太陽電池を供給することである。
本発明者らは、低コストな有機半導体からなる有機系電池層を無機半導体からなる無機系電池層に積層することによって太陽電池の高出力化が可能となることを見出した。本発明者らはまた、有機系電池層および無機系電池層によって電力変換されるそれぞれの波長を考慮することによって光電変換効率が可能となることを見出した。さらに本発明者らは、破損に強い有機系電池層が被覆膜として作用するので、無機系電池層に無機半導体薄膜(例えば、Siウエハ(膜厚10ミクロン程度))を用いることによって、フレキシブルな太陽電池を作製することができることを見出した。
本発明に係る太陽電池は、p型有機半導体およびn型有機半導体を接合してなる有機系電池層と、p型無機半導体およびn型無機半導体を接合してなる無機系電池層との積層構造を有することを特徴としている。
本発明に係る太陽電池は、2層以上の上記有機系電池層または無機系電池層を有することが好ましい。
本発明に係る太陽電池は、シャント回路をさらに有することが好ましい。
本発明に係る太陽電池は、有窓であることが好ましい。
本発明に係る太陽電池において、上記p型有機半導体およびn型有機半導体が1nm〜1μmの範囲の厚さを有することが好ましい。
本発明に係る太陽電池において、上記p型無機半導体およびn型無機半導体が10nm〜500μmの範囲の厚さを有することが好ましい。
本発明に係る太陽電池において、上記p型有機半導体が、銅フタロシアニン、ペンタセン、およびヘキサチオフェンからなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る太陽電池において、上記n型有機半導体が、フラーレン、アルミニウムキノリノール錯体、およびチタニルフタロシアニンからなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る太陽電池において、上記p型無機半導体は、第IV族金属(例えば、Si、Geなど)またはGaAs、GaInPなどのような化合物半導体がp型ドーパント(例えば、ボロンまたはアルミニウムなど)によってドープされた材料であることが好ましい。
本発明に係る太陽電池において、上記n型無機半導体は、第IV族金属(例えば、Si、Geなど)またはGaAs、GaInPなどのような化合物半導体がn型ドーパント(例えば、ヒ素またはリンなど)によってドープされた材料であることが好ましい。
本発明に係る太陽電池は、上記積層の最外層上にフォトクロミズム物質からなる薄膜をさらに積層することが好ましい。
本発明に係る太陽電池は、上記積層の最外層上に燐光特性を有する有機物からなる薄膜をさらに積層することが好ましい。
本発明に係る太陽電池は、透明電極を用いることが好ましい。
本発明に係る太陽電池において、電極がくし型形状であることが好ましい。
本発明に係る太陽電池において、電極が1nm〜100nmの範囲の厚さを有することが好ましい。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
図1は、本発明の一実施形態を示し、p型有機半導体およびn型有機半導体を接合してなる有機系電池層と、p型無機半導体およびn型無機半導体を接合してなる無機系電池層との積層構造を有する太陽電池の断面図である。 図2は、各波長における太陽光放射電力およびシリコン太陽電池スペクトル応答を示すグラフである。 図3は、本発明の一実施形態を示し、複数の電池層が積層してなる太陽電池の断面図である。 図4は、本発明の一実施形態を示し、シャント回路を有する太陽電池の回路図を示す。 図5は、本発明の一実施形態を示し、有機系電池層によって破損した無機系電池層の飛散を防ぐ態様を示す図である。 図6(A)は、本発明の一実施形態を示し、複数の太陽電池セルからなる太陽電池モジュールの形状を示す図である。 図6(B)は、本発明の一実施形態を示し、複数の太陽電池セルからなる太陽電池モジュールの回路図である。 図7は、本発明の一実施形態を示し、複数の筒状の太陽電池セルからなる高効率の太陽電池モジュールを示す図である。 図8は、本発明の一実施形態を示し、放熱窓を設けた太陽電池を示す図である。 図9は、本発明の一実施形態を示し、最外層に機能性薄膜を積層した積層型太陽電池を示す斜視図である。
符号の説明
1:p型有機半導体
2:n型有機半導体
3:p型無機半導体
4:n型無機半導体
5:電極
6:電極
7:電極
8:出力端子
9:出力端子
10:整流素子
11:シャント抵抗
12:出力端子
13:出力端子
14:抵抗
15:放射窓
16:機能性薄膜
100:有機系電池層
101:無機系電池層
110:基盤電池層
111:第2電池層
112:第3電池層
113:第4電池層
120:基盤電池層
121:第2電池層
130:有機系電池層
131:無機系電池層
140:基盤電池層
141:第2電池層
142:第3電池層
143:第4電池層
150:基盤電池層
151:第2電池層
152:第3電池層
153:第4電池層
1000:太陽電池
1001:太陽電池
1002:太陽電池
1003:太陽電池
1004:太陽電池セル
1005:太陽電池セル
1006:太陽電池
1007:太陽電池
2000:太陽電池モジュール
2001:太陽電池モジュール
太陽電池は、p型半導体とn型半導体の2種類の半導体を使用して発電する。まず、半導体において、入射した太陽光に起因して電子(−)と正孔(+)の対が生じる。次いで、p型半導体とn型半導体との接合面において、電子はn型へ、正孔はp型へ引き寄せられる。その結果、n型半導体とp型半導体との間に起電力(電圧)が生じる。これらの半導体に電極を取付けて導線を接続することによって、電子はn型からp型へ、正孔はp型からn型へ流れ、電気(直流)が取り出せる(すなわち、発電する)。
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りである。
図1は、p型有機半導体1とn型有機半導体2とを接合してなる有機系電池層100、およびp型無機半導体3とn型無機半導体4とを接合してなる無機系電池層101が、電極5を挟んで積層された太陽電池1000の断面図を示す。本実施形態において、太陽電池1000は、積層構造の両側に電極6および7を備える。本実施形態に係る太陽電池1000は、有機系電池層100と無機系電池層101とが直列に接続されている。
本明細書中で使用される場合、用語「有機半導体」は、光電導性有機半導体(光照射によってキャリアを発生出来る有機半導体)が意図される。好ましいp型有機半導体としては、銅フタロシアニン、ペンタセン、またはヘキサチオフェンのような正孔を効率的に伝導する材料が挙げられるがこれらに限定されない。好ましいn型有機半導体としては、フラーレン、アルミニウムキノリノール錯体、またはチタニルフタロシアニンのような電子を効率的に伝導する材料が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「無機半導体」は、不純物ドープによってp型特性またはn型特性を制御することができる無機材料が意図される。好ましいp型無機半導体としては、Si、Geなどのような第IV族金属またはGaAs、GaInPなどのような化合物半導体がp型ドーパント(例えば、ボロンまたはアルミニウムなど)によってドープされた材料が挙げられ、好ましいn型無機半導体としては、Si、Geなどのような第IV族金属またはGaAs、GaInPなどのような化合物半導体がn型ドーパント(例えば、ヒ素またはリンなど)によってドープされた材料が挙げられる。
p型有機半導体1とn型有機半導体2との接合、およびp型無機半導体3とn型無機半導体4との接合は、任意の公知の方法(例えば、有機気相成長法、蒸着法、またはスピンコート法)を用いて行なえばよい。また、有機系電池層100と無機系電池層101との積層は、有機気相成長法、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)、スプレー法、または自己組織化による成膜法などによって行うことが好ましいが、これらに限定されない。
本実施形態に係る太陽電池1000は、有機系電池層100および無機系電池層101を積層することによって、これらの有する互いに異なる光波長特性を利用して感度の波長広がり幅を広く取り光電変換効率を高めることができる。また、本実施形態に係る太陽電池1000は、積層直列回路を形成するので、電池のインピーダンスを高めることができる。このため、太陽電池1000は、軽量かつフレキシブルで、低コストを実現し、さらなる高出力化を図ることができる。本発明に係る太陽電池は、積層した無機系電池層および有機系電池層が、それぞれ異なる波長を分離することによって光電変換効率を高めることができる。
本発明に係る太陽電池において、光電変換効率を改善するためには、各波長における太陽光放射電力およびシリコン太陽電池スペクトル応答(図2)を参照して、無機半導体(p型およびn型)が所望の光スペクトル帯域を有するように遷移準位間のエネルギーギャップを決定すればよい。本発明に係る太陽電池において、580nm以上の波長を有機系電池層が利用し、580nm以下の波長を無機系電池層が利用することが好ましい。
本発明の他の実施形態について図3に基づいて説明すると以下の通りである。
図3は、複数の電池層を積層して形成した本発明の一実施形態を示す。図3に示す太陽電池1001において、基盤電池層110、第2電池層111、第3電池層112および第4電池層113が積層して直列に接続している。基盤電池層110、第2電池層111、第3電池層112および第4電池層113のうち、少なくとも1層が有機系電池層であり、少なくとも1層が無機系電池層である。
本実施形態に係る太陽電池は、図3に示すように、複数の電池層が積層させることによって、より広い光スペクトル帯域を利用して光電変換効率をより向上させることができる。
本発明の別の実施形態について図4に基づいて説明すると以下の通りである。
本発明に係る太陽電池は、シャント回路をさらに有することが好ましい。本明細書中で使用される場合、用語「シャント回路」は、むらのある入力電圧を一定電圧に整えるための、抵抗および整流素子を含む回路が意図される。
図4は、直列回路を形成した本発明に係る太陽電池の一実施形態の回路図を示す。図4に示す本実施形態に係る太陽電池1002の回路図において、基盤電池層120と第2電池層121は、出力端子8および9に直列に接続する。基盤電池層120および第2電池層121は、いずれか一方が有機系電池層であり、他方が無機系電池層である。
本実施形態において、太陽電池1002は、異なる電圧特性および電流特性を有する基盤電池層120および第2電池層121が生じるボトルネックを消滅させるために、整流素子10およびシャント抵抗11を備える。
本発明のさらに別の実施形態について図5に基づいて説明すると以下の通りである。
図5は、有機系電池層130と無機系電池層131との積層構造からなる太陽電池1003を示す。
本発明に係る太陽電池において、機械的に改善する(すなわち、フレキシブルにする)ために、太陽電池自体を薄くすることが好ましい。そのため、本発明に係る太陽電池を構成する有機半導体および無機半導体は、薄膜であることが好ましい。一般に、有機半導体は共有結合に基づく柔軟かつ強固な化学結合力を有するが、無機半導体は結晶構造のため薄膜にすると破断しやすい。しかし、本発明に係る太陽電池において、薄膜の積層構造によって無機半導体薄膜の破壊を防ぐことができる。
また、無機半導体は薄層化することによってフレキシブルになるが、破損した場合に飛散してしまう。図5において、無機系半導体層131は破断している。しかし、本実施形態に係る太陽電池1003は、無機系電池層131の上部に有機系電池層130を積層する構造をとることによって、有機系電池層130が被膜として働き、無機系電池層131が破損したときの飛散を防ぐことができる。
本明細書中で使用される場合、用語「薄膜」は、発電に寄与するに十分な厚さが意図され、電流損失などを抑えるために可能な限り薄い膜が好ましく、有機半導体に用いるに好ましい薄膜は、1nm〜1μm、好ましくは、5〜500nm、より好ましくは、10〜500nmの範囲の膜厚を有し、無機半導体に用いるに好ましい薄膜は、10nm〜500μm、好ましくは、50nm〜500μmの膜厚を有する。また、フレキシブルであるためには、無機半導体に用いるに好ましい薄膜は、5〜50μmの範囲の膜厚を有することが好ましい。
本発明のさらなる実施形態について図6(A)および図6(B)に基づいて説明すると以下の通りである。
図6(A)は、本発明に係る太陽電池1004を1つの小領域(セル)とする、複数のセルからなる太陽電池モジュール2000を示す図である。図6(B)は、図6(A)に示す太陽電池モジュール2000の回路図を示す。複数の太陽電池1004が、図6(B)に示すように、出力端子12および13に並列に接続されて一体の太陽電池モジュール2000として機能する。図6(B)において、基盤電池層130と第2電池層131は、出力端子12および13に直列に接続する。基盤電池層130および第2電池層131は、いずれか一方が有機系電池層であり、他方が無機系電池層である。
薄膜の太陽電池を製造する場合、その薄膜製造工程に起因して、電圧特性および電流特性のばらつきが生じやすい。このようなばらつきを改善するために、本発明に係る太陽電池を、図6(A)および図6(B)に示すように、セルの集合からなるモジュールの形状(図6(A))にして、モジュール全体を構成する回路(図6(B))においてそれぞれのセルを構成する回路中に直列抵抗14を挿入することによって、セルの負荷バランスを取ることができ、その結果、電気特性の改善をはかることができる。
また、フレキシブルな薄膜の太陽電池を用いると、光電変換効率をさらに向上させる構造的を採ることができる。本発明のさらなる実施形態について図7に基づいて説明すると以下の通りである。
図7は、本発明に係るシート状の太陽電池1005を感光面を内側にして筒状に巻いたものを1つのセルとする、複数のセルからなる太陽電池モジュール2001を示す図である。
図7において、太陽電池モジュール2001に太陽光を導くと、複数の太陽電池1005の各々に入射し外部へ反射した太陽光は再び太陽電池1005に入射する。従って、一定量の太陽光が何度も太陽電池1005へ入射を繰り返し、その結果、光電変換効率をさらに向上させることができる。また、筒状の太陽電池1005を多数並べることによって面積当りの光電変換効率を高めることができる。
本発明のなおさらなる実施形態について図8に基づいて説明すると以下の通りである。
本発明に係る太陽電池は、有窓であることが好ましい。図8は、基盤電池層140上に第2電池層141および第3電池層142が積層された太陽電池1006を示す。基盤電池層140、第2電池層141および第3電池層142のうち、少なくとも1層が有機系電池層であり、少なくとも1層が無機系電池層である。太陽電池1006には、第2電池層141および第3電池層142を貫く放射窓15が設けられている。図8中、放射窓15は1つであるが、複数設けられてもよい。
太陽電池において、遷移準位によって定まる固有値を外れた光は電気に変換されずに熱となる。特に、有機半導体と無機半導体との間での熱伝導度の差異によって、太陽電池内の部分的な熱の歩留りが起こり、温度上昇を引き起こす。太陽電池は温度上昇によって発電電圧が下がるので、このような温度上昇は好ましくない。しかし、本実施形態に係る太陽電池1006は、積層構造の要所に放射窓15を有するので、熱的機械強度と電気特性を維持して太陽電池全体の温度バランスを改善することができる。
本発明のなおさらなる実施形態について図9に基づいて説明すると以下の通りである。
本発明に係る太陽電池は、積層構造の最外層上に機能性薄膜をさらに積層することが好ましい。図9は、基盤電池層150、第2電池層151、第3電池層152および第4電池層153が積層して直列に接続する太陽電池1007を示す。図9に示す太陽電池1007において、第4電池層153上にさらに機能性薄膜16が積層している。基盤電池層150、第2電池層151、第3電池層152および第4電池層153のうち、少なくとも1層が有機系電池層であり、少なくとも1層が無機系電池層である。
一般に、太陽電池に接続される電気回路は、インバーターを用いて電圧を昇圧し商用電圧として送電するが、この電気回路は電気的限界があるので、過剰な光エネルギーを避ける必要がある。上記の機能性薄膜16がフォトクロミズム物質からなる薄膜である場合、過剰量の太陽光から太陽電池回路を保護することができる。また、上記の機能性薄膜16が燐光特性を有する有機物からなるからなる場合、太陽電池1007を構成する有機半導体および無機半導体にとってのスペクトル不感帯(例えば、紫外線領域)においても、光源変換を行なうことができる。
本明細書中で使用される場合、用語「フォトクロミズム物質」は、光の照射によって変色し、暗所において元の色に戻る物質が意図される。好ましいフォトクロミズム物質としては、ポリジアセチレン、または有機色素によって増感された材料が挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「燐光特性を有する有機物」は、励起状態において電子スピンの向きが同一方向(三重項励起状態)で、電子が元の起動に戻ることができずにある程度長い時間(数ミリ秒オーダー)留まる材料が意図される。このような有機物としては、例えば、イリジウム錯体(Ir(ppy)3)が挙げられる。
本発明に係る太陽電池において、光電変換効率をさらに改善するためには、半導体にドープされている不純物を改変して、電子と正孔とのポピュレーションを増加させればよい。
本発明に係る太陽電池において、光電変換効率をさらに改善するために、太陽光の受光面の特性を改善すればよい。積層構造によって構成されるので、本発明に係る太陽電池は複数の受光面を有する。そのため、屈折率の異なる複数の薄膜の界面において、太陽光は屈折、反射、および/または干渉して、変換効率を低減させる可能性が生じる。しかし、電池層を構成する材料およびその厚さを適宜設計すればよい。
本発明に係る太陽電池において、無機系電池層には既存技術をそのまま利用すればよいが、Siウエハを薄膜化することによって従来よりも材料コストを削減することができ、かつフレキシビリティを付与することができる。また、本発明に係る太陽電池において、さらに薄いシリコン基板(12μm)を利用することによってフレキシブルな高効率太陽電池を実現することができる。また、本発明に係る太陽電池において、有機系電池層には有機ELなどのデバイス作製技術を応用すればよい。
本発明に係る太陽電池において、光を十分透過し太陽電池の光電変換効率を低減させないためには、透明電極を用いることが好ましく、薄いことがまた好ましく、そして、「くし型」形状を採ることもまた好ましい。
また、本発明に係る太陽電池において、キャリア(正孔および電子)を生成させるのは、有機系電池層内のpn接合部および無機系電池層内のpn接合部だけに限定される必要はなく、有機系電池層と電極との界面、無機系電池層と電極との界面、および/または有機系電池層と無機系電池層との界面をショットキー接合することによってもまた、当該界面においてキャリア(正孔および電子)を生成させることができることを、当業者は容易に理解する。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る太陽電池は、有機半導体薄膜の物性を首尾よく利用するので、太陽電池の機械的構造を薄型にするとともに軽量化することができる。また、本発明に係る太陽電池は、無機半導体からなる太陽電池製造に関する従来技術をそのまま応用することができる。さらに、本発明に係る太陽電池は、二次電池への充電機能を付与させることによって、ほとんどの電化製品に応用することができ、屋外での利用だけでなく宇宙での利用も可能になる。
本発明に従えば、高効率な太陽電池をフレキシブルな構造体として容易に製品化できるので、従来から市販されている太陽電池の代替品として従来の市場に速やかに移行することができる。また、本発明を用いれば、太陽電池の設置の自由度が高まり、種々の民生品に応用することができ、屋外使用の電化製品(例えば、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ、ウェラブル衣料、医療)へ応用することができ、そして種々の移動手段(例えば、電車、バス、乗用車、飛行機、船など)の外壁へ応用して当該移動手段にエネルギーを供給することができる。

Claims (15)

  1. p型有機半導体およびn型有機半導体を接合してなる有機系電池層と、p型無機半導体およびn型無機半導体を接合してなる無機系電池層との積層構造を有することを特徴とする太陽電池。
  2. 2層以上の上記有機系電池層または無機系電池層を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. シャント回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  4. 有窓であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  5. 上記p型有機半導体およびn型有機半導体が1nm〜1μmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  6. 上記p型無機半導体およびn型無機半導体が10nm〜500μmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  7. 上記p型有機半導体が、銅フタロシアニン、ペンタセン、およびヘキサチオフェンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  8. 上記n型有機半導体が、フラーレン、アルミニウムキノリノール錯体、およびチタニルフタロシアニンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  9. 上記p型無機半導体が、Si、Ge、GaAsまたはGaInPがp型ドーパントによってドープされた材料であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  10. 上記n型無機半導体が、Si、Ge、GaAsまたはGaInPがn型ドーパントによってドープされた材料であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  11. 上記積層の最外層上にフォトクロミズム物質からなる薄膜をさらに積層することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  12. 上記積層の最外層上に燐光特性を有する有機物からなる薄膜をさらに積層することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  13. 透明電極を用いることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  14. 電極がくし型形状であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  15. 電極が1nm〜100nmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
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