JPWO2006013864A1 - 金属イオン吸着体 - Google Patents
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Abstract
取り扱いが容易で、水溶液中に含まれる金属イオンと光応答性金属イオン吸着材料の接触効率が高く、光を効率よく受光することができ、吸脱着時の色の変化の判別が容易で、かつ、長期間繰り返して使用することができ、かつ、脱離した金属イオンを系外に取り出すことができる光応答性金属イオン吸着材料を担持した金属イオン吸着シートを提供する。基体シートに、光応答性金属イオン吸着材料を担持したことを特徴とする金属イオン吸着シートである。
Description
本発明は光応答性金属イオン吸着材料を担持した金属イオン吸着体、詳しくは、可視光照射に応答して可逆的に錯形成して金属イオンを吸脱着する材料を担持した金属イオン吸着体に関する。
近年、工場等から排出される産業廃液や産業廃棄物から、効率良く金属イオン、特に鉛イオン等の重金属イオンを回収する方法が、環境汚染防止、産業廃棄物の減量、資源再利用の理由から望まれている。金属イオンを含む廃液を浄化する方法として、中和凝集沈殿法・硫化ソーダ法・重金属捕集剤法・フェライト法等が実用化されている。これらの方法で廃液を処理した後、金属を回収するステップ、さらに再利用するステップが設けられている。このうち、重金属捕集剤法は、重金属イオンと錯化合物を形成する捕集剤(例えばシアン化合物)を用いる。捕集処理後の捕集剤に吸着した金属イオンを回収するには、該捕集剤が一般に溶液に可溶なため、捕集剤を酸化処理等の化学反応処理を経て金属イオンから分離した後、金属を陽イオンとして溶液中に単離させて精製・回収している。
しかしながら、上記のような捕集剤による重金属捕集後の重金属回収ステップにおける化学反応処理の実施にあたっては、煩雑な操作と、それによる長い処理時間や多大な処理コストとを要するという問題があった。さらには、安全な操業のためには、専門的な知識や技術が要求される。
そこで、本発明者の一人は、化合物への光の照射の有無により可逆的に変色するフォトクロミズムを示す化合物(以下、フォトクロミック化合物という。)に、金属イオンが可視光照射に応答して可逆的に錯形成して吸着することに着目し、溶液中の金属イオンの捕集と回収の両機能を備え、操作が簡便な光応答性金属イオン吸着材料を開発した(例えば、特許文献1)。該光応答性金属イオン吸着材料は、光の照射によって金属イオンをくりかえし吸脱着することができ、しかも、金属イオン吸脱着時に材料の色が変化するため、目視にて容易に確認ができるという利点を有する。しかしながら、光応答性金属イオン吸着材料そのものでは、通常粉末状の形態を有するため、光が内部に届きにくくなり、金属イオンの吸脱着効率が低下したり、取り扱いが容易ではないといった課題があった。
そこで、本発明者の一人は、化合物への光の照射の有無により可逆的に変色するフォトクロミズムを示す化合物(以下、フォトクロミック化合物という。)に、金属イオンが可視光照射に応答して可逆的に錯形成して吸着することに着目し、溶液中の金属イオンの捕集と回収の両機能を備え、操作が簡便な光応答性金属イオン吸着材料を開発した(例えば、特許文献1)。該光応答性金属イオン吸着材料は、光の照射によって金属イオンをくりかえし吸脱着することができ、しかも、金属イオン吸脱着時に材料の色が変化するため、目視にて容易に確認ができるという利点を有する。しかしながら、光応答性金属イオン吸着材料そのものでは、通常粉末状の形態を有するため、光が内部に届きにくくなり、金属イオンの吸脱着効率が低下したり、取り扱いが容易ではないといった課題があった。
一方、水中において温度変化により透明・不透明を可逆的に示す特定のセグメントを含むゲル状の光及び熱応答性金属イオン吸着材料が開示されている(例えば、特許文献2)。かかる吸着材料は温度変化により膨順と収縮を示すゲル状であり、成形加工がし易く、照射した光が内部まで行き渡ることによって、内部に錯形成している金属イオンまで脱離させることができ、金属イオンの脱離率を向上させることができる。しかしながら、溶質などの透過を阻止する薄い緻密な膜であるスキン層がゲルの表面に存在することによって、ゲル内に金属イオンを含む水溶液が滞留してしまうため、脱離した金属イオンをゲル外に、すなわち系外に取り出すことが容易ではないといった課題があった。
本発明は、特許文献1に開示される光応答性金属イオン吸着材料の特徴を最大限に発揮できる使用形態を提供するものであり、かつ、特許文献2に開示される吸着材料が有する上記課題を解決するものである。すなわち、取り扱いが容易で、水溶液中に含まれる金属イオンと光応答性金属イオン吸着材料の接触効率が高く、光を効率よく受光することができ、吸脱着時の色の変化の判別が容易で、長期間繰り返して使用でき、かつ、脱離した金属イオンを系外に取り出すことが容易である使用形態を提供するものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、光応答性金属イオン吸着材料を、基体に担持させることで上記課題を解決し得ることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)基体に光応答性金属イオン吸着材料を担持したことを特徴とする金属イオン吸着体、
(2)光応答性金属イオン吸着材料が、下記一般式(I)に示すセグメントを必須セグメントとする重合体を含有する上記(1)に記載の金属イオン吸着体、
(1)基体に光応答性金属イオン吸着材料を担持したことを特徴とする金属イオン吸着体、
(2)光応答性金属イオン吸着材料が、下記一般式(I)に示すセグメントを必須セグメントとする重合体を含有する上記(1)に記載の金属イオン吸着体、
(R1、R2及びR3は独立にHまたはCH3であり、R4はアルキル基又はアミド基、Xは炭素原子、窒素原子又は硫黄原子、Yは酸素原子又は硫黄原子である。)
(3)上記重合体と上記基体とがシランカップリングを形成していることを特徴とする上記(2)に記載の金属イオン吸着体、
(4)基体が無機材料からなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属イオン吸着体、
(5)無機材料がガラス材料である上記(4)に記載の金属イオン吸着体、
(6)ガラス材料がガラス繊維材料である上記(5)に記載の金属イオン吸着体、及び
(7)金属イオンが重金属イオンである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の金属イオン吸着体、
を提供するものである。
(3)上記重合体と上記基体とがシランカップリングを形成していることを特徴とする上記(2)に記載の金属イオン吸着体、
(4)基体が無機材料からなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属イオン吸着体、
(5)無機材料がガラス材料である上記(4)に記載の金属イオン吸着体、
(6)ガラス材料がガラス繊維材料である上記(5)に記載の金属イオン吸着体、及び
(7)金属イオンが重金属イオンである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の金属イオン吸着体、
を提供するものである。
本発明の金属イオン吸着体を用いることによって、光応答性金属イオン吸着材料の実用上の取り扱いが容易となり、水溶液中に含有される金属イオンとの接触効率を増大させることができる。また光を効率よく受光することができるため、効率的な金属イオンの吸脱着が可能である。さらに本発明の金属イオン吸着体は、耐久性が高く、長期間繰り返して使用することができ、かつ、脱離した金属イオンを系外に効率良く取り出すことができる。
本発明の金属イオン吸着体における基体は、光応答性金属イオン吸着材料を担持することができるものであれば特に限定されないが、光応答性金属イオン吸着材料が、可逆的に金属イオンを吸脱着でき、繰り返し使用されることを考慮すると、担体である基体は、機械的安定性、化学的安定性の高い材料であることが重要である。これらの要件を満足するものとして無機材料が好適である。
無機材料としては、ガラス、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、結晶性アルミノシリケート、粘土鉱物(層間化合物を含む)、活性炭等のカーボン、炭化珪素及びこれらの混合物などが挙げられる。本発明においては、用いる光応答性金属イオン吸着材料の種類によって、金属イオンの吸脱着を該材料の色の変化で判定するため、また、吸着した金属イオンの脱着が可視光の照射によって行われるため、透明材料であるガラスを材料とすることが好ましい。
無機材料としては、ガラス、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、結晶性アルミノシリケート、粘土鉱物(層間化合物を含む)、活性炭等のカーボン、炭化珪素及びこれらの混合物などが挙げられる。本発明においては、用いる光応答性金属イオン吸着材料の種類によって、金属イオンの吸脱着を該材料の色の変化で判定するため、また、吸着した金属イオンの脱着が可視光の照射によって行われるため、透明材料であるガラスを材料とすることが好ましい。
さらに、光応答性金属イオン吸着材料の担持効率を高めるとの観点から、表面積は大きいほうがよく、また光の透過性能を高めるとの観点から、高い空隙率を有するガラス材料が好ましい。これらの要件を満足する材料として、具体的には、ガラス板や、ガラス繊維からなる基体(以下「ガラス繊維成形体」という)があるが、大表面積、高い空隙率が容易に得られること、及び光を効率よく取り入れ得るとの観点から、特にガラス繊維不織布等のガラス繊維成形体が好ましい。
また、金属イオンを吸着・回収するに際し、金属イオン含有溶液との親和性が高いことが、金属イオンと金属イオン吸着材料との接触効率を高めるとの観点から好ましい。具体的には、金属イオン含有溶液は水溶液であることが多いため、基体の表面に水酸基等の親水性基を有することが好ましい。ガラス繊維成形体は、表面のシラノール基の密度が高いため、水溶液との親和性が高いという点からも好適である。
また、従来のゲル状の吸着材料のみの場合には、スキン層が破壊されにくく、内外に導通しにくかったが、ガラス繊維成形体とすることで、吸着材料のゲルとガラス繊維の界面が存在し、該界面がスキン層に比べて破壊しやすい性質を有し、内外に導通しやすいことから、脱離した金属イオンを系外に取り出すことが容易となり、また、接触効率を向上させることで、金属イオンの吸着性能をも向上させることができる。
なお、基体の形態としては特に制限されるものではなく、用途または使用形態に応じて適宜選択できるものである。例えば、シート状の形態、粒状の形態、チューブ状の形態等が挙げられる。
また、金属イオンを吸着・回収するに際し、金属イオン含有溶液との親和性が高いことが、金属イオンと金属イオン吸着材料との接触効率を高めるとの観点から好ましい。具体的には、金属イオン含有溶液は水溶液であることが多いため、基体の表面に水酸基等の親水性基を有することが好ましい。ガラス繊維成形体は、表面のシラノール基の密度が高いため、水溶液との親和性が高いという点からも好適である。
また、従来のゲル状の吸着材料のみの場合には、スキン層が破壊されにくく、内外に導通しにくかったが、ガラス繊維成形体とすることで、吸着材料のゲルとガラス繊維の界面が存在し、該界面がスキン層に比べて破壊しやすい性質を有し、内外に導通しやすいことから、脱離した金属イオンを系外に取り出すことが容易となり、また、接触効率を向上させることで、金属イオンの吸着性能をも向上させることができる。
なお、基体の形態としては特に制限されるものではなく、用途または使用形態に応じて適宜選択できるものである。例えば、シート状の形態、粒状の形態、チューブ状の形態等が挙げられる。
本発明において、ガラス繊維成形体は上述のように、用途または使用形態に応じてシート状、粒状成型体、チューブ状など種々の形状をとり得るため、その物性についても最適な範囲は使用形態によって変化するが、通常、表面積は、上述のように光応答性金属イオン吸着材料の担持効率を高めるとの観点から2m2/g以上であることが好ましく、さらには5m2/g以上であることが好ましい。上限は特にないが、製造上の制約により、通常は20m2/g以下である。
また、ガラス繊維成形体の空隙率は80〜98%であることが、十分な光透過性能を得るとの観点から好ましく、90〜98%であることがさらに好ましい。
繊維径については、上述の好ましい表面積、空隙率を得ることができ、また使用形態に合致するものであれば、特に限定されないが、通常は0.1〜20μmである。0.1μm以上であれば実用的な強度が得られ、一方、20μm以下であれば十分な表面積を得ることができる。またこの範囲であると良好な成形性が得られる。
次に、ガラス繊維成形体をシート状で使用する場合には、例えば金属の吸着速度を優先するか、または金属の吸着量を優先するか等の使用目的および使用形態によって、適当な厚みが存在するが、通常は50〜500μmであることが好ましい。50μm以上であれば担体としての実用的に十分な強度を得ることができ、500μm以下であれば、光応答性金属イオン吸着材料の特性を十分維持したまま担持することができる。
また、ガラス繊維成形体を粒状で使用する場合には、シート状の場合と同様に使用目的および使用形態によって、適宜適当な粒径を選択することができるが、取り扱いの容易さを考慮すると、通常は1mm以上であることが好ましい。一方、粒径の上限は特にないが、15mm以下であると、繊維径、繊維密度等の制御により、粒子内部まで光が届く材料を容易に設計することができる。
また、ガラス繊維成形体の空隙率は80〜98%であることが、十分な光透過性能を得るとの観点から好ましく、90〜98%であることがさらに好ましい。
繊維径については、上述の好ましい表面積、空隙率を得ることができ、また使用形態に合致するものであれば、特に限定されないが、通常は0.1〜20μmである。0.1μm以上であれば実用的な強度が得られ、一方、20μm以下であれば十分な表面積を得ることができる。またこの範囲であると良好な成形性が得られる。
次に、ガラス繊維成形体をシート状で使用する場合には、例えば金属の吸着速度を優先するか、または金属の吸着量を優先するか等の使用目的および使用形態によって、適当な厚みが存在するが、通常は50〜500μmであることが好ましい。50μm以上であれば担体としての実用的に十分な強度を得ることができ、500μm以下であれば、光応答性金属イオン吸着材料の特性を十分維持したまま担持することができる。
また、ガラス繊維成形体を粒状で使用する場合には、シート状の場合と同様に使用目的および使用形態によって、適宜適当な粒径を選択することができるが、取り扱いの容易さを考慮すると、通常は1mm以上であることが好ましい。一方、粒径の上限は特にないが、15mm以下であると、繊維径、繊維密度等の制御により、粒子内部まで光が届く材料を容易に設計することができる。
次に、本発明で用いる光応答性金属イオン吸着材料とは、可視光等の光に応答して、金属イオンを可逆的に液中で吸脱着し、かつ可逆的に変色するフォトクロミック化合物をいい、例えば、メロシアニン構造を取り得るスピロピランやスピロオキサジン分子を利用するものである。
すなわち、本発明で用いる光応答性金属イオン吸着材料としては、下記一般式(1)で示されるセグメント、すなわちスピロピランセグメント又はスピロオキサジンセグメントを有する重合体を用いることが好ましい。
すなわち、本発明で用いる光応答性金属イオン吸着材料としては、下記一般式(1)で示されるセグメント、すなわちスピロピランセグメント又はスピロオキサジンセグメントを有する重合体を用いることが好ましい。
この重合体は、スピロピラン又はスピロオキサジンの単独重合体であってもよいし、またスピロピランとスピロオキサジンの共重合体であってもよい。さらには本発明の効果を奏する範囲で、スピロピラン及び/又はスピロオキサジンと他のモノマーの共重合体であってもよい。スピロピラン及び/又はスピロオキサジンと共重合体を形成するモノマーとしては、ポリアミド、ポリアリルアミン、ポリグリコール、ポリアルコール、ポリエステル等のポリマーを形成し得るモノマーなどが好適に挙げられる。
なお、共重合体におけるスピロピランセグメント及び/又はスピロオキサジンセグメントの含有量は、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、2〜80モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがさらに好ましい。また、本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、上記重合体の吸着及び脱離作用を妨げない範囲で他の成分、例えばアルキルジメタクリレート等の架橋剤、光増感剤等が含まれていてもよい。
式(1)中、R1、R2およびR3は独立にHまたはCH3であり、該重合体は、R1がHであればアクリレート重合体、CH3であればメタクリレート重合体である。R4はメチル基、エチル基、ドデシル基等のアルキル基またはアミド基である。Xは炭素原子、窒素原子又は硫黄原子であり、Yは酸素原子又は硫黄原子である。
なお、上記共重合体は、式(1)に示されるセグメントと他のセグメントがブロック状の重合体であっても、交互の重合体であっても良く、特に限定されない。以下、Xが炭素原子でYが酸素原子の場合、すなわち式(1)に示されるセグメントとしてスピロピランセグメントを有する場合について説明する。
なお、共重合体におけるスピロピランセグメント及び/又はスピロオキサジンセグメントの含有量は、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、2〜80モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがさらに好ましい。また、本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、上記重合体の吸着及び脱離作用を妨げない範囲で他の成分、例えばアルキルジメタクリレート等の架橋剤、光増感剤等が含まれていてもよい。
式(1)中、R1、R2およびR3は独立にHまたはCH3であり、該重合体は、R1がHであればアクリレート重合体、CH3であればメタクリレート重合体である。R4はメチル基、エチル基、ドデシル基等のアルキル基またはアミド基である。Xは炭素原子、窒素原子又は硫黄原子であり、Yは酸素原子又は硫黄原子である。
なお、上記共重合体は、式(1)に示されるセグメントと他のセグメントがブロック状の重合体であっても、交互の重合体であっても良く、特に限定されない。以下、Xが炭素原子でYが酸素原子の場合、すなわち式(1)に示されるセグメントとしてスピロピランセグメントを有する場合について説明する。
上記重合体におけるスピロピランセグメントは、電気的に中性な無色のスピロピラン構造体と、分子内に双性イオンを有するメロシアニン構造体とに、液中で可逆的に異性化する光応答性を有する。スピロピラン構造体と、メロシアニン構造体とを次の(2)式に示す。なお、(2)式中、Mは陽イオン化できる金属を示し、R1〜R4、X及びYは式(1)と同様である。暗所下では、上記スピロピランセグメントが異性化して、メロシアニン構造体をとるため着色している。このとき、上記液中に金属Mの陽イオンが溶存していると、メロシアニン構造における酸素原子すなわち式(1)、式(2)におけるY原子は、電子密度が高く、この部位で、陽イオンである金属イオンと式(2)に示すように、錯形成を生じる。
この錯形成はメロシアニン構造体が可視光照射によりスピロピラン構造体に戻ると解消する。すなわち、上記暗所下にあった共重合体に、外部から可視光を照射すると、メロシアニン構造体が閉環してスピロピラン構造体に異性化するため、共重合体は無色(白色)となる。そして、これまで錯形成していた金属イオンは、液中に遊離する。次に、可視光の照射を停止し、共重合体を暗所下に置くと、再度、共重合体中のスピロピランセグメントはメロシアニン構造となり、遊離していた金属イオンと錯形成し、かつ共重合体は再度着色する。本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、この可逆的な錯形成及び変色をおこなう共重合体を含むことにより、金属イオン溶液から金属イオンを吸着させて回収することができる。
また、ガラス等の基体への担持を強化する目的より、さらにシランカップリングを形成するモノマーを加えても良い。シランカップリングを形成するモノマーとしては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロペニルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシランが好ましく挙げられる。これらのシランカップリングを形成するモノマーは、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
共重合体における上記シランカップリングを形成するモノマーの含有量は、10〜50モル%が好ましく、30〜50モル%がさらに好ましい。
共重合体における上記シランカップリングを形成するモノマーの含有量は、10〜50モル%が好ましく、30〜50モル%がさらに好ましい。
上記重合体の製造方法については、例えばスピロピラン(メタ)アクリレートやスピロオキサジン(メタ)アクリレートを合成しておき、これに重合開始剤を添加することで製造することができる。なお、共重合体はスピロピラン(メタ)アクリレート及び/又はスピロオキサジン(メタ)アクリレートと、他のモノマーとの共存下、重合開始剤を添加することで得ることができる。ここで重合開始剤としては、特に限定されず、例えばAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)等のラジカル重合開始剤を好適に使用することができる。
基体シートに光応答性金属イオン吸着材料を担持させる方法としては、種々の方法があり、例えば、スピロピラン(メタ)アクリレートやスピロオキサジン(メタ)アクリレート等を重合させる際に、基体を重合系に加えておいて、モノマーの重合と同時に基体に担持させる方法、光応答性金属イオン吸着材料を溶媒に溶解させて溶液を調製し、該溶液に基体を浸漬させる含浸法、さらに含浸させた後に溶媒を蒸発乾固させる方法、シート状の基体に上記溶液を塗布する方法などが挙げられる。
上記担持方法のうち、モノマーの重合と同時に基体に担持させる方法が、工程を簡略化できる点で好ましい。また、含浸法も簡便で効率的に担持できるので好ましい。
さらに、共重合体中に上記シランカップリングを形成するモノマーを加える担持方法も、シランカップリング部がガラス等の基体と化学結合により強固に担持されるので、製造上効率的で好ましい。この場合、例えば、スピロピラン(メタ)アクリレート等を重合させる際に、シランカップリングを形成するモノマーを同時に加えて、共重合体を得た後に、基体に担持させる方法、又は基体にシランカップリングを形成するモノマーを担持させた後、スピロピラン(メタ)アクリレートやスピロオキサジン(メタ)アクリレート等を重合させる際に、該基体を重合系に加えておいて、モノマーの重合と同時に基体に担持させる方法等が挙げられる。
基体シートに光応答性金属イオン吸着材料を担持させる方法としては、種々の方法があり、例えば、スピロピラン(メタ)アクリレートやスピロオキサジン(メタ)アクリレート等を重合させる際に、基体を重合系に加えておいて、モノマーの重合と同時に基体に担持させる方法、光応答性金属イオン吸着材料を溶媒に溶解させて溶液を調製し、該溶液に基体を浸漬させる含浸法、さらに含浸させた後に溶媒を蒸発乾固させる方法、シート状の基体に上記溶液を塗布する方法などが挙げられる。
上記担持方法のうち、モノマーの重合と同時に基体に担持させる方法が、工程を簡略化できる点で好ましい。また、含浸法も簡便で効率的に担持できるので好ましい。
さらに、共重合体中に上記シランカップリングを形成するモノマーを加える担持方法も、シランカップリング部がガラス等の基体と化学結合により強固に担持されるので、製造上効率的で好ましい。この場合、例えば、スピロピラン(メタ)アクリレート等を重合させる際に、シランカップリングを形成するモノマーを同時に加えて、共重合体を得た後に、基体に担持させる方法、又は基体にシランカップリングを形成するモノマーを担持させた後、スピロピラン(メタ)アクリレートやスピロオキサジン(メタ)アクリレート等を重合させる際に、該基体を重合系に加えておいて、モノマーの重合と同時に基体に担持させる方法等が挙げられる。
モノマーの重合の際に用いる溶媒、及び光応答性金属イオン吸着材料を溶解させる溶媒としては、水もしくはアルコール等の親水性溶媒を好適に用いることができる。
本発明において、基体上の光応答性金属イオン吸着材料の担持量については、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されず、用途、又は使用形態によって適宜選択することが可能である。例えば、基材として空隙率90%程度のガラス繊維不織布を用い、その表面に光応答性金属イオン吸着材料を担持して、ポーラスなフィルターとして用いる場合などは、比較的少量の担持量でよく、具体的には、光応答性金属イオン吸着材料として実用的に効果を発揮させるとの観点から0.15質量%以上が好ましく、さらには2質量%以上であることが好ましい。一方、空隙率90%程度のガラス繊維不織布を構造支持体として用いる場合、例えば該ガラス繊維不織布を芯材として用い、その周囲に光応答性金属イオン吸着材料を担持して用いる場合などは、比較的高担持量で使用され、具体的には80質量%以下の担持量で好適に使用することができる。
本発明において、基体上の光応答性金属イオン吸着材料の担持量については、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されず、用途、又は使用形態によって適宜選択することが可能である。例えば、基材として空隙率90%程度のガラス繊維不織布を用い、その表面に光応答性金属イオン吸着材料を担持して、ポーラスなフィルターとして用いる場合などは、比較的少量の担持量でよく、具体的には、光応答性金属イオン吸着材料として実用的に効果を発揮させるとの観点から0.15質量%以上が好ましく、さらには2質量%以上であることが好ましい。一方、空隙率90%程度のガラス繊維不織布を構造支持体として用いる場合、例えば該ガラス繊維不織布を芯材として用い、その周囲に光応答性金属イオン吸着材料を担持して用いる場合などは、比較的高担持量で使用され、具体的には80質量%以下の担持量で好適に使用することができる。
本発明における金属イオンの回収方法は、金属イオン吸着シートに担持された上記(共)重合体と金属イオンとを暗所下で錯形成させる工程と、可視光を照射して金属イオンを(共)重合体から遊離させる工程とを含む。この金属イオンを回収する工程は、該(共)重合体に金属イオンを吸着させたまま、該(共)重合体を取り出し、これに可視光を照射して金属イオンを遊離させればよい。
本発明の吸着材料により吸着して回収できる金属イオンとしては、特に限定されないが、環境保全等の観点から、重金属に適用することが好ましく、具体的には、鉛(II)、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)、パラジウム(III)、リチウム(I)、マンガン(II)、鉄(II)、鉄(III)等が例示される。また、式(2)では2価のイオンが示されているが、特に価数に限定はない。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(評価方法)
1.形状保持の評価
各実施例で得られた金属イオン吸着体と、基体を用いない光応答性金属イオン吸着材料について、水中での温度変化に対する形状の変化を目視にて観察した。10℃での形状と40℃での形状を比較した。
2.鉛イオンの吸脱着の評価
(1)色の変化による評価
各実施例で得た金属イオン吸着体を、メタノール9mL及び純水1mLの混合溶剤に浸漬し、暗所、室温で放置した。次にPb(II)を、濃度が4.0×10-5Mとなるように液に添加し(過塩素酸鉛三水塩として約0.2mg)、暗所、室温で20分間放置し、金属イオン吸着体の色の変化を確認した。充分に変化した後、可視光(>420nm)を30秒間照射した。用いた光源は500Wのキセノンランプであり、カラーフィルターを介して照射した。
(2)電気化学的手法による評価
各実施例で得られた金属イオン吸着体における光照射状態および暗所状態の鉛イオンの液中濃度を、矩形波ボルタンメトリで電気化学的に定量した。電気化学的定量は、溶液中のPb(II)の定量を行うものであり、Pb(II)40μMの溶液中のPb(II)濃度(○)、金属イオン吸着体を浸漬した後のPb(II)濃度(□)を測定した。また、金属イオン吸着体に可視光を照射した直後のPb(II)濃度(△)を測定した。
また、得られたPb(II)濃度から、以下の計算式を用いて吸着率及び脱離率を算出し、その結果を表1に示した。
吸着率(%)=(○のピーク値−□のピーク値)/○のピーク値
脱離率(%)=(△のピーク値−□のピーク値)/(○のピーク値−□のピーク値)
3.可視光の透過率測定
各実施例及び参考例で得られた金属イオン吸着体について、島津製作所製「MPC−3100」を用いて、可視光の透過率を測定した。測定は大気中及び水中において測定した。水中での測定は、測定セルに水溶液を入れ、これに金属イオン吸着体を浸漬させて測定した。
(評価方法)
1.形状保持の評価
各実施例で得られた金属イオン吸着体と、基体を用いない光応答性金属イオン吸着材料について、水中での温度変化に対する形状の変化を目視にて観察した。10℃での形状と40℃での形状を比較した。
2.鉛イオンの吸脱着の評価
(1)色の変化による評価
各実施例で得た金属イオン吸着体を、メタノール9mL及び純水1mLの混合溶剤に浸漬し、暗所、室温で放置した。次にPb(II)を、濃度が4.0×10-5Mとなるように液に添加し(過塩素酸鉛三水塩として約0.2mg)、暗所、室温で20分間放置し、金属イオン吸着体の色の変化を確認した。充分に変化した後、可視光(>420nm)を30秒間照射した。用いた光源は500Wのキセノンランプであり、カラーフィルターを介して照射した。
(2)電気化学的手法による評価
各実施例で得られた金属イオン吸着体における光照射状態および暗所状態の鉛イオンの液中濃度を、矩形波ボルタンメトリで電気化学的に定量した。電気化学的定量は、溶液中のPb(II)の定量を行うものであり、Pb(II)40μMの溶液中のPb(II)濃度(○)、金属イオン吸着体を浸漬した後のPb(II)濃度(□)を測定した。また、金属イオン吸着体に可視光を照射した直後のPb(II)濃度(△)を測定した。
また、得られたPb(II)濃度から、以下の計算式を用いて吸着率及び脱離率を算出し、その結果を表1に示した。
吸着率(%)=(○のピーク値−□のピーク値)/○のピーク値
脱離率(%)=(△のピーク値−□のピーク値)/(○のピーク値−□のピーク値)
3.可視光の透過率測定
各実施例及び参考例で得られた金属イオン吸着体について、島津製作所製「MPC−3100」を用いて、可視光の透過率を測定した。測定は大気中及び水中において測定した。水中での測定は、測定セルに水溶液を入れ、これに金属イオン吸着体を浸漬させて測定した。
製造実施例1(ガラス繊維不織布(基体)の製造)
平均繊維径1μmの極細ガラス繊維綿をパルパー(テスター産業(株)製「PU−201」)にて水中で解きほぐし、十分に解離、分散させ、抄紙用スラリーを調製した。該抄紙用スラリーを、以下に示すペーパーの厚みに応じた所定の濃度に希釈し、ガラス繊維分散液とした。次いで、手動湿式抄紙装置(テスター産業(株)製「PU−301」)を用いてガラス繊維不織布を3種類作製した。
(A)厚み0.5mm、目付70g/m2のガラス繊維不織布
(B)厚み0.05mm、目付7g/m2のガラス繊維不織布
(C)厚み0.1mm、目付14g/m2のガラス繊維不織布
平均繊維径1μmの極細ガラス繊維綿をパルパー(テスター産業(株)製「PU−201」)にて水中で解きほぐし、十分に解離、分散させ、抄紙用スラリーを調製した。該抄紙用スラリーを、以下に示すペーパーの厚みに応じた所定の濃度に希釈し、ガラス繊維分散液とした。次いで、手動湿式抄紙装置(テスター産業(株)製「PU−301」)を用いてガラス繊維不織布を3種類作製した。
(A)厚み0.5mm、目付70g/m2のガラス繊維不織布
(B)厚み0.05mm、目付7g/m2のガラス繊維不織布
(C)厚み0.1mm、目付14g/m2のガラス繊維不織布
実施例1
(1)スピロピランアクリレート(SPAA)の合成
(a)1´,3´,3´−トリメチル−6−ヒドロキシスピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール) 4.72g(0.0161mol)(ACROS ORGANICS社製、純度99%、分子量293.37、品番42192−0050)をトルエン(関東化学(株)製(蒸留後使用)、特級、純度99.5%、沸点110.625℃)28.3mLに溶解させた。
(b)アクリル酸クロライド(東京化成工業(株)製、品番A0147(蒸留後使用)分子量90.51)1.59g(0.0176mol)を、トルエン(同上)14.2mLに溶解させた。
(c)別に、トリエチルアミン(以下、「TEA」という。)(和光純薬工業(株)製(蒸留後使用)、純度99%、品番202−02646)1.79g(0.0114mol)を用意した。また、アンモニア(関東化学(株)製、純度28.0〜30.0%、品番01266−00)400mLの純水100mL溶液を1単位として、5単位用意した。
(d)二口なすフラスコ内に上記(a)で得たスピロピランのトルエン溶液と、上記(c)のTEAとを投入し、二口なすフラスコの一つの口には球入冷却器、もう一方の口には円筒型分液ロートを装着した。二口なすフラスコを60℃に保温しながら円筒型分液ロートで上記(b)のアクリル酸クロライドのトルエン溶液を少しずつ滴下した後、15時間反応させた。なお、この反応で発生した塩酸は、TEAで中和された。15時間後に、反応溶液から未反応のアクリル酸クロライドとTEAを取り除くために、反応溶液をトルエン100mLで希釈し、次いで分液ロート内に移して上記(c)のアンモニア水溶液を1単位加えた。分液ロートを振り混ぜ、静置して下層のアンモニア水溶液を取り出し、残りの(c)のアンモニア水溶液の1単位を加え、同様にして分液を計5回繰り返した。
(e)アンモニア水溶液の代わりに純水を100ミリリットル加え、同様にしてpHが7になるまで計5回分液を繰り返した。
(f)分液ロート上層の液を、エバポレータによりトルエンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させた。これによって得られた褐色固体をジクロロメタンに溶かしてカラムクロマトグラフィにかけ、不純物を分離した。カラムはシリカゲル(関東化学(株)製、品番:9385-4M、Rf:0.82)、展開溶媒はジクロロメタンを使用した。
(g)カラムより排出した液から、エバポレータでジクロロメタンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させてSPAA単量体である、1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)を3.10g(収率66%)得た。
(1)スピロピランアクリレート(SPAA)の合成
(a)1´,3´,3´−トリメチル−6−ヒドロキシスピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール) 4.72g(0.0161mol)(ACROS ORGANICS社製、純度99%、分子量293.37、品番42192−0050)をトルエン(関東化学(株)製(蒸留後使用)、特級、純度99.5%、沸点110.625℃)28.3mLに溶解させた。
(b)アクリル酸クロライド(東京化成工業(株)製、品番A0147(蒸留後使用)分子量90.51)1.59g(0.0176mol)を、トルエン(同上)14.2mLに溶解させた。
(c)別に、トリエチルアミン(以下、「TEA」という。)(和光純薬工業(株)製(蒸留後使用)、純度99%、品番202−02646)1.79g(0.0114mol)を用意した。また、アンモニア(関東化学(株)製、純度28.0〜30.0%、品番01266−00)400mLの純水100mL溶液を1単位として、5単位用意した。
(d)二口なすフラスコ内に上記(a)で得たスピロピランのトルエン溶液と、上記(c)のTEAとを投入し、二口なすフラスコの一つの口には球入冷却器、もう一方の口には円筒型分液ロートを装着した。二口なすフラスコを60℃に保温しながら円筒型分液ロートで上記(b)のアクリル酸クロライドのトルエン溶液を少しずつ滴下した後、15時間反応させた。なお、この反応で発生した塩酸は、TEAで中和された。15時間後に、反応溶液から未反応のアクリル酸クロライドとTEAを取り除くために、反応溶液をトルエン100mLで希釈し、次いで分液ロート内に移して上記(c)のアンモニア水溶液を1単位加えた。分液ロートを振り混ぜ、静置して下層のアンモニア水溶液を取り出し、残りの(c)のアンモニア水溶液の1単位を加え、同様にして分液を計5回繰り返した。
(e)アンモニア水溶液の代わりに純水を100ミリリットル加え、同様にしてpHが7になるまで計5回分液を繰り返した。
(f)分液ロート上層の液を、エバポレータによりトルエンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させた。これによって得られた褐色固体をジクロロメタンに溶かしてカラムクロマトグラフィにかけ、不純物を分離した。カラムはシリカゲル(関東化学(株)製、品番:9385-4M、Rf:0.82)、展開溶媒はジクロロメタンを使用した。
(g)カラムより排出した液から、エバポレータでジクロロメタンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させてSPAA単量体である、1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)を3.10g(収率66%)得た。
(2)金属イオン吸着体の製造
上記で得たSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を104.1mg(0.300mmol)用意した。また、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を1.661mg(14.68mmol)用意した。
他に、エタノール6mL、重合開始剤AIBN99.3mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、超純水を用意した。
上記で得たSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を104.1mg(0.300mmol)用意した。また、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を1.661mg(14.68mmol)用意した。
他に、エタノール6mL、重合開始剤AIBN99.3mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、超純水を用意した。
まず、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール3mL、NIPPAmをエタノール2mL、MBAAmをエタノール1mLに溶解させて得た3種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコ内にAIBNを加えた後、乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、2枚の厚み2mmのガラス板(5×5cm)ではさんだ。次いで、上記フラスコ内の溶液をガラス板の間に注射器で十分に注入し、ガラス板をクリップでとめた後、これを電気炉に入れて、50℃で4時間反応させた。
反応終了後、得られたガラス繊維不織布を1週間、純水に浸した。純水は、一日に一回交換し、未反応物及び物理的に吸着した上記の各化合物を除去し、その後、減圧乾燥した。
このようにして、ガラス繊維不織布(B)に、1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとの共重合体(以下、P(SPAA−NIPAAm)という)が担持された金属イオン吸着体を得た。
この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPAA:NIPAAmは2:98(スピロピランセグメント含有率が2mol%)であった。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、2枚の厚み2mmのガラス板(5×5cm)ではさんだ。次いで、上記フラスコ内の溶液をガラス板の間に注射器で十分に注入し、ガラス板をクリップでとめた後、これを電気炉に入れて、50℃で4時間反応させた。
反応終了後、得られたガラス繊維不織布を1週間、純水に浸した。純水は、一日に一回交換し、未反応物及び物理的に吸着した上記の各化合物を除去し、その後、減圧乾燥した。
このようにして、ガラス繊維不織布(B)に、1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとの共重合体(以下、P(SPAA−NIPAAm)という)が担持された金属イオン吸着体を得た。
この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPAA:NIPAAmは2:98(スピロピランセグメント含有率が2mol%)であった。
(3)評価結果
得られた金属イオン吸着体について、形状保持の評価結果を図1に示す。10℃と40℃の形状から、昇温しても本発明に係る金属イオン吸着体は、形状を保持していることがわかる。また、得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。電気化学的手法による評価においても、図2に示すようにPb(II)の光可逆的な吸着が達成されていることがわかる。さらに、表1に示す吸着率及び脱離率による評価においても、ガラス繊維不織布に吸着材料を担持させることで、吸着材料のみの場合(下記の比較例1)に比べて性能は向上しており、吸着性能が向上し、金属イオンを系外に取り出すことが容易であることが示された。
得られた金属イオン吸着体について、形状保持の評価結果を図1に示す。10℃と40℃の形状から、昇温しても本発明に係る金属イオン吸着体は、形状を保持していることがわかる。また、得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。電気化学的手法による評価においても、図2に示すようにPb(II)の光可逆的な吸着が達成されていることがわかる。さらに、表1に示す吸着率及び脱離率による評価においても、ガラス繊維不織布に吸着材料を担持させることで、吸着材料のみの場合(下記の比較例1)に比べて性能は向上しており、吸着性能が向上し、金属イオンを系外に取り出すことが容易であることが示された。
比較例1
実施例1において、ガラス繊維不織布(B)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、担体を有さない金属イオン吸着材料を得た。実施例1と同様に形状保持の評価を実施した。結果を図3に示す。10℃と40℃の形状から、担体を有さない金属イオン吸着材料は、昇温によって収縮し、形状を保持することができないことが確認された。
表1より、実施例1と比較例1のPb(II)イオンの脱離率を比較すると、基体としてガラス繊維不織布を用いた実施例1の吸着体では、脱離率が約2倍以上に上昇することが確認された。また、脱離率だけでなく、吸着率も上昇していることが確認された。
実施例1において、ガラス繊維不織布(B)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、担体を有さない金属イオン吸着材料を得た。実施例1と同様に形状保持の評価を実施した。結果を図3に示す。10℃と40℃の形状から、担体を有さない金属イオン吸着材料は、昇温によって収縮し、形状を保持することができないことが確認された。
表1より、実施例1と比較例1のPb(II)イオンの脱離率を比較すると、基体としてガラス繊維不織布を用いた実施例1の吸着体では、脱離率が約2倍以上に上昇することが確認された。また、脱離率だけでなく、吸着率も上昇していることが確認された。
実施例2
(1)共重合体の合成
実施例1で得たSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を52.1mg(0.150mmol)用意した。また、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を757mg(6.69mmol)用意した。
他に、エタノール3mL、重合開始剤AIBN8.4mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/100)、重合禁止剤ハイドロキノン(東京化成工業(株)製、純度99.0%、品番H0186)3.75mg、ジエチルエーテルを用意した。
まず、SPAAをエタノール2mL、NIPAAmをエタノール1mLに溶かして得た2種の溶液を、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコに入れて混合した。上記フラスコ内に乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。オイルバスでフラスコの温度を60℃に上げ、AIBNを加えて3時間反応させた後、ハイドロキノンを加えて反応を止めた。
フラスコ内の反応生成物を、大量のジエチルエーテル中に少しずつ滴下して沈殿精製した。この沈殿を、ろ紙で濾別し、さらにメタノール中で再沈殿処理した後、減圧乾燥して1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとの共重合体(以下、P(SPAA−NIPAAm)という)255.4mg(収率24%)を得た。この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPAA:NIPAAmは2:98(スピロピランセグメント含有率が2mol%)であった。
(1)共重合体の合成
実施例1で得たSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を52.1mg(0.150mmol)用意した。また、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を757mg(6.69mmol)用意した。
他に、エタノール3mL、重合開始剤AIBN8.4mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/100)、重合禁止剤ハイドロキノン(東京化成工業(株)製、純度99.0%、品番H0186)3.75mg、ジエチルエーテルを用意した。
まず、SPAAをエタノール2mL、NIPAAmをエタノール1mLに溶かして得た2種の溶液を、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコに入れて混合した。上記フラスコ内に乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。オイルバスでフラスコの温度を60℃に上げ、AIBNを加えて3時間反応させた後、ハイドロキノンを加えて反応を止めた。
フラスコ内の反応生成物を、大量のジエチルエーテル中に少しずつ滴下して沈殿精製した。この沈殿を、ろ紙で濾別し、さらにメタノール中で再沈殿処理した後、減圧乾燥して1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとの共重合体(以下、P(SPAA−NIPAAm)という)255.4mg(収率24%)を得た。この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPAA:NIPAAmは2:98(スピロピランセグメント含有率が2mol%)であった。
(2)金属イオン吸着体の製造
上記(1)で製造した共重合体(光応答性金属イオン吸着材料)0.1gを2mLのエタノールに溶解させ、滴下液を調製した。次いで、製造実施例1で製造したガラス繊維不織布(A)に、この液を室温下で滴下、浸透させ、金属イオン吸着体を得た。
(3)評価結果
得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
上記(1)で製造した共重合体(光応答性金属イオン吸着材料)0.1gを2mLのエタノールに溶解させ、滴下液を調製した。次いで、製造実施例1で製造したガラス繊維不織布(A)に、この液を室温下で滴下、浸透させ、金属イオン吸着体を得た。
(3)評価結果
得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
実施例3
基体として、製造実施例1で製造したガラス繊維不織布(A)を用いた以外は実施例2と同様にして、金属イオン吸着体を得、同様に評価した。色の変化に関して、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
基体として、製造実施例1で製造したガラス繊維不織布(A)を用いた以外は実施例2と同様にして、金属イオン吸着体を得、同様に評価した。色の変化に関して、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
実施例4
基体として、製造実施例1で製造したガラス繊維不織布(C)を用いた以外は実施例1と同様にして、金属イオン吸着体を得、可視光の透過率を測定した。結果を図4に示す。
本発明に係る金属イオン吸着体は、水中での透過率が高いことがわかる。これはガラスが元来透明であり、気泡などが存在しない状態では透過率が高いが、不織布状態では空気とガラスの屈折率が異なるため、その界面で光が散乱し、見かけの透過率が低下することによる。一方、水溶液中では、水の屈折率とガラスの屈折率がほぼ等しいことから、ガラス繊維不織布担体では、上記散乱が減少し、見かけの透過率が増大する。後述する参考例1との対比から、基体としてガラス繊維材料を用いることが好ましいことがわかる。
基体として、製造実施例1で製造したガラス繊維不織布(C)を用いた以外は実施例1と同様にして、金属イオン吸着体を得、可視光の透過率を測定した。結果を図4に示す。
本発明に係る金属イオン吸着体は、水中での透過率が高いことがわかる。これはガラスが元来透明であり、気泡などが存在しない状態では透過率が高いが、不織布状態では空気とガラスの屈折率が異なるため、その界面で光が散乱し、見かけの透過率が低下することによる。一方、水溶液中では、水の屈折率とガラスの屈折率がほぼ等しいことから、ガラス繊維不織布担体では、上記散乱が減少し、見かけの透過率が増大する。後述する参考例1との対比から、基体としてガラス繊維材料を用いることが好ましいことがわかる。
実施例5
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(分子量248.4)を1.488g(5.992mmol)と、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を1.560g(13.78mmol)を用意した。また、実施例1で得られたSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を138.8mg(0.400mmol)を用意した。
その他、塩酸15mL、硝酸5mL、エタノール8mL、重合開始剤AIBN54.7mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、重合禁止剤ハイドロキノン(東京化成工業(株)製、純度99.0%、品番H0186)、アセトン、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、超純水を用意した。
まず、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール4mL、NIPPAmをエタノール2mL、MBAAmをエタノール2mLに溶解させて得た3種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコに乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。次いでオイルバスでフラスコの温度を60℃に上げ、AIBNを加えて1時間反応させた後、ハイドロキノンを加えて反応を止めた。
フラスコ内の反応生成物を、大量のジエチルエーテル中に少しずつ滴下して沈殿精製した。この沈殿を、ろ紙で濾別し、さらにメタノール中で再沈殿処理した後、減圧乾燥して1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの共重合体(以下、P(SPAA−NIPAAm−MPTMS)という)395.5mg(収率34%)を得た。この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPAA:NIPAAm:MPTMSは2:68:30(スピロピランセグメント含有率が2mol%)であった。
まず、塩酸15mL、硝酸5mLの混合液に厚み2mmの2枚のガラス板(5×5cm)を10分間浸した後、塩酸、硝酸混合液をアセトンで洗い流した。次いで、イソプロピルアルコール中にガラス板を20分浸して洗浄し、再びイソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を20分間行った。そして再度、イソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を行った。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、上記のように洗浄したガラス板ではさんだ。次に、アセトン1.064mLに上記のように得られたP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)100mgを溶解した溶液を、注射器を用いてガラス板の間に十分に注入し、ガラス板をクリップでとめて、室温で12時間反応させた。反応終了後、ガラス板の1枚をはがし、大量のアセトンに浸して、未反応のP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)と物理的に吸着したP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)を洗い流し、減圧乾燥させて1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの共重合体をガラス繊維不織布に担持させた金属イオン吸着体を得た。
得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(分子量248.4)を1.488g(5.992mmol)と、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を1.560g(13.78mmol)を用意した。また、実施例1で得られたSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を138.8mg(0.400mmol)を用意した。
その他、塩酸15mL、硝酸5mL、エタノール8mL、重合開始剤AIBN54.7mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、重合禁止剤ハイドロキノン(東京化成工業(株)製、純度99.0%、品番H0186)、アセトン、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、超純水を用意した。
まず、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール4mL、NIPPAmをエタノール2mL、MBAAmをエタノール2mLに溶解させて得た3種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコに乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。次いでオイルバスでフラスコの温度を60℃に上げ、AIBNを加えて1時間反応させた後、ハイドロキノンを加えて反応を止めた。
フラスコ内の反応生成物を、大量のジエチルエーテル中に少しずつ滴下して沈殿精製した。この沈殿を、ろ紙で濾別し、さらにメタノール中で再沈殿処理した後、減圧乾燥して1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの共重合体(以下、P(SPAA−NIPAAm−MPTMS)という)395.5mg(収率34%)を得た。この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPAA:NIPAAm:MPTMSは2:68:30(スピロピランセグメント含有率が2mol%)であった。
まず、塩酸15mL、硝酸5mLの混合液に厚み2mmの2枚のガラス板(5×5cm)を10分間浸した後、塩酸、硝酸混合液をアセトンで洗い流した。次いで、イソプロピルアルコール中にガラス板を20分浸して洗浄し、再びイソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を20分間行った。そして再度、イソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を行った。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、上記のように洗浄したガラス板ではさんだ。次に、アセトン1.064mLに上記のように得られたP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)100mgを溶解した溶液を、注射器を用いてガラス板の間に十分に注入し、ガラス板をクリップでとめて、室温で12時間反応させた。反応終了後、ガラス板の1枚をはがし、大量のアセトンに浸して、未反応のP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)と物理的に吸着したP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)を洗い流し、減圧乾燥させて1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの共重合体をガラス繊維不織布に担持させた金属イオン吸着体を得た。
得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
実施例6
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(分子量248.4)を4.1mg(0.016mmol)と、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を302.8mg(2.676mmol)を用意した。また、実施例1で得られたSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を20.8mg(0.0599mmol)を用意した。その他、塩酸15mL、硝酸5mL、エタノール1.2mL、重合開始剤AIBN7.5mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、アセトン、イソプロピルアルコール、超純水を用意した。
まず、塩酸15mL、硝酸5mLの混合液に厚み2mmの2枚のガラス板(5×5cm)を10分間浸した後、塩酸、硝酸混合液をアセトンで洗い流した。次いで、イソプロピルアルコール中にガラス板を20分浸して洗浄し、再びイソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を行った。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、上記のように洗浄したガラス板ではさんだ。次に、アセトン1.05mLにMPTMS4.1mgを溶解した溶液を、注射器を用いてガラス板の間に十分に注入し、ガラス板をクリップでとめて、室温で12時間反応させた。反応終了後、ガラス板の1枚をはがし、大量のアセトンに浸して、未反応のMPTMSと物理的に吸着したMPTMSを洗い流し、減圧乾燥させてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを担持したガラス繊維不織布を得た。
次に、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール0.6mL、NIPPAmをエタノール0.6mLに溶解させて得た2種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコに乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。次いでAIBNを加えて、乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせた。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に上記のMPTMSを担持したガラス繊維不織布を入れて、2枚の厚み2mmのガラス板(5×5cm)ではさんだ。次いで、上記フラスコ内の溶液をガラス板の間に注射器で十分に注入し、ガラス板をクリップでとめた後、これを電気炉に入れて、60℃で4時間反応させた。
反応終了後、得られたガラス繊維不織布を、大量のアセトンに浸し、未反応物及び物理的に吸着した上記の各化合物を除去し、その後、減圧乾燥した。
このようにして、ガラス繊維不織布(A)に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとの共重合体が担持された金属イオン吸着体を得た。
得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
上記のような手順に従って、共重合体にシランカップリングを形成するモノマーを加える担持方法により、金属イオン吸着体を得ることもできる。
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(分子量248.4)を4.1mg(0.016mmol)と、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を302.8mg(2.676mmol)を用意した。また、実施例1で得られたSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を20.8mg(0.0599mmol)を用意した。その他、塩酸15mL、硝酸5mL、エタノール1.2mL、重合開始剤AIBN7.5mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、アセトン、イソプロピルアルコール、超純水を用意した。
まず、塩酸15mL、硝酸5mLの混合液に厚み2mmの2枚のガラス板(5×5cm)を10分間浸した後、塩酸、硝酸混合液をアセトンで洗い流した。次いで、イソプロピルアルコール中にガラス板を20分浸して洗浄し、再びイソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を行った。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、上記のように洗浄したガラス板ではさんだ。次に、アセトン1.05mLにMPTMS4.1mgを溶解した溶液を、注射器を用いてガラス板の間に十分に注入し、ガラス板をクリップでとめて、室温で12時間反応させた。反応終了後、ガラス板の1枚をはがし、大量のアセトンに浸して、未反応のMPTMSと物理的に吸着したMPTMSを洗い流し、減圧乾燥させてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを担持したガラス繊維不織布を得た。
次に、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール0.6mL、NIPPAmをエタノール0.6mLに溶解させて得た2種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコに乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。次いでAIBNを加えて、乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせた。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に上記のMPTMSを担持したガラス繊維不織布を入れて、2枚の厚み2mmのガラス板(5×5cm)ではさんだ。次いで、上記フラスコ内の溶液をガラス板の間に注射器で十分に注入し、ガラス板をクリップでとめた後、これを電気炉に入れて、60℃で4時間反応させた。
反応終了後、得られたガラス繊維不織布を、大量のアセトンに浸し、未反応物及び物理的に吸着した上記の各化合物を除去し、その後、減圧乾燥した。
このようにして、ガラス繊維不織布(A)に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとの共重合体が担持された金属イオン吸着体を得た。
得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
上記のような手順に従って、共重合体にシランカップリングを形成するモノマーを加える担持方法により、金属イオン吸着体を得ることもできる。
参考例1
基体として、テフロン製の不織布(ジャパンゴアテックス(株)製)を使用したこと以外は、実施例4と同様にして、金属イオン吸着体を得、可視光の透過率を測定した。結果を図5に示す。ガラス繊維製の不織布に比較して、材料と水溶液の界面で光が散乱することから、透過率の増加が見られない。
基体として、テフロン製の不織布(ジャパンゴアテックス(株)製)を使用したこと以外は、実施例4と同様にして、金属イオン吸着体を得、可視光の透過率を測定した。結果を図5に示す。ガラス繊維製の不織布に比較して、材料と水溶液の界面で光が散乱することから、透過率の増加が見られない。
本発明の金属イオン吸着体は、金属イオンの精製・回収に用いることができる他、金属イオンのセンサー、金属イオンのチェッカーとして使用することができ、また金属イオンフィルターとして使用することもできる。さらに、微量の金属イオンの定量分析に際しての、金属イオンの濃縮などに利用することもできる。
本発明の金属イオン吸着シートを用いることによって、光応答性金属イオン吸着材料の実用上の取り扱いが容易となり、水溶液中に含有される金属イオンとの接触効率を増大させることができる。また光を効率よく受光することができるため、効率的な金属イオンの吸脱着が可能である。さらに本発明の金属イオン吸着シートは、耐久性が高く、長期間繰り返して使用することができ、かつ、脱離した金属イオンを系外に取り出すことが可能である。
【0003】
用でき、かつ、脱離した金属イオンを系外に取り出すことが容易である使用形態を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
[0008] 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、光応答性金属イオン吸着材料を、基体に担持させることで上記課題を解決し得ることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
[0009] すなわち、本発明は、
(1)基体に光応答性金属イオン吸着材料を担持したことを特徴とする金属イオン吸着体、
(2)光応答性金属イオン吸着材料が、下記一般式(I)に示すセグメントを必須セグメントとする重合体を含有する上記(1)に記載の金属イオン吸着体、
[0010]
【化1】
[0011](R1、R2及びR3は独立にHまたはCH3であり、R4はアルキル基又はアミド基、Xは炭
用でき、かつ、脱離した金属イオンを系外に取り出すことが容易である使用形態を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
[0008] 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、光応答性金属イオン吸着材料を、基体に担持させることで上記課題を解決し得ることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
[0009] すなわち、本発明は、
(1)基体に光応答性金属イオン吸着材料を担持したことを特徴とする金属イオン吸着体、
(2)光応答性金属イオン吸着材料が、下記一般式(I)に示すセグメントを必須セグメントとする重合体を含有する上記(1)に記載の金属イオン吸着体、
[0010]
【化1】
[0011](R1、R2及びR3は独立にHまたはCH3であり、R4はアルキル基又はアミド基、Xは炭
【0007】
[0018] この重合体は、スピロピラン又はスピロオキサジンの単独重合体であってもよいし、またスピロピランとスピロオキサジンの共重合体であってもよい。さらには本発明の効果を奏する範囲で、スピロピラン及び/又はスピロオキサジンと他のモノマーの共重合体であってもよい。スピロピラン及び/又はスピロオキサジンと共重合体を形成するモノマーとしては、ポリアミド、ポリアリルアミン、ポリグリコール、ポリアルコール、ポリエステル等のポリマーを形成し得るモノマーなどが好適に挙げられる。
なお、共重合体におけるスピロピランセグメント及び/又はスピロオキサジンセグメントの含有量は、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、2〜80モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがさらに好ましい。また、本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、上記重合体の吸着及び脱離作用を妨げない範囲で他の成分、例えばアルキルジメタクリレート等の架橋剤、光増感剤等が含まれていてもよい。
式(1)中、R1、R2およびR3は独立にHまたはCH3であり、該重合体は、R1がHであ
[0018] この重合体は、スピロピラン又はスピロオキサジンの単独重合体であってもよいし、またスピロピランとスピロオキサジンの共重合体であってもよい。さらには本発明の効果を奏する範囲で、スピロピラン及び/又はスピロオキサジンと他のモノマーの共重合体であってもよい。スピロピラン及び/又はスピロオキサジンと共重合体を形成するモノマーとしては、ポリアミド、ポリアリルアミン、ポリグリコール、ポリアルコール、ポリエステル等のポリマーを形成し得るモノマーなどが好適に挙げられる。
なお、共重合体におけるスピロピランセグメント及び/又はスピロオキサジンセグメントの含有量は、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、2〜80モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがさらに好ましい。また、本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、上記重合体の吸着及び脱離作用を妨げない範囲で他の成分、例えばアルキルジメタクリレート等の架橋剤、光増感剤等が含まれていてもよい。
式(1)中、R1、R2およびR3は独立にHまたはCH3であり、該重合体は、R1がHであ
【0009】
[0021] この錯形成はメロシアニン構造体が可視光照射によりスピロピラン構造体に戻ると解消する。すなわち、上記暗所下にあった共重合体に、外部から可視光を照射すると、メロシアニン構造体が閉環してスピロピラン構造体に異性化するため、共重合体は無色(白色)となる。そして、これまで錯形成していた金属イオンは、液中に遊離する。次に、可視光の照射を停止し、共重合体を暗所下に置くと、再度、共重合体中のスピロピランセグメントはメロシアニン構造となり、遊離していた金属イオンと錯形成し、かつ共重合体は再度着色する。本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、この可逆的な錯形成及び変色をおこなう共重合体を含むことにより、金属イオン溶液から金属イオンを吸着させて回収することができる。
[0022] また、ガラス等の基体への担持を強化する目的より、さらにシランカップリングを形成するモノマーを加えても良い。シランカップリングを形成するモノマーとしては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロペニルトリエ
[0021] この錯形成はメロシアニン構造体が可視光照射によりスピロピラン構造体に戻ると解消する。すなわち、上記暗所下にあった共重合体に、外部から可視光を照射すると、メロシアニン構造体が閉環してスピロピラン構造体に異性化するため、共重合体は無色(白色)となる。そして、これまで錯形成していた金属イオンは、液中に遊離する。次に、可視光の照射を停止し、共重合体を暗所下に置くと、再度、共重合体中のスピロピランセグメントはメロシアニン構造となり、遊離していた金属イオンと錯形成し、かつ共重合体は再度着色する。本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、この可逆的な錯形成及び変色をおこなう共重合体を含むことにより、金属イオン溶液から金属イオンを吸着させて回収することができる。
[0022] また、ガラス等の基体への担持を強化する目的より、さらにシランカップリングを形成するモノマーを加えても良い。シランカップリングを形成するモノマーとしては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロペニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロペニルトリエ
【0014】
単位加えた。分液ロートを振り混ぜ、静置して下層のアンモニア水溶液を取り出し、残りの(c)のアンモニア水溶液の1単位を加え、同様にして分液を計5回繰り返した。
(e)アンモニア水溶液の代わりに純水を100ミリリットル加え、同様にしてpHが7になるまで計5回分液を繰り返した。
(f)分液ロート上層の液を、エバポレータによりトルエンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させた。これによって得られた褐色固体をジクロロメタンに溶かしてカラムクロマトグラフィにかけ、不純物を分離した。カラムはシリカゲル(関東化学(株)製、品番:9385−4M、Rf:0.82)、展開溶媒はジクロロメタンを使用した。
(g)カラムより排出した液から、エバポレータでジクロロメタンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させてSPAA単量体である、1’,3’,3’−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2’−インドール)を3.10g(収率66%)得た。
[0030](2)金属イオン吸着体の製造
上記で得たSPAA単量体の1’,3’,3’−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2’−インドール)(分子量347.41)を104.1mg(0.300mmol)用意した。また、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を1.661g(14.68mmol)用意した。
他に、エタノール6mL、重合開始剤AIBN99.3mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、超純水を用意した。
[0031] まず、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール3mL、NIPAAmをエタノール2mL、N,N’メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)23.1mgをエタノール1mLに溶解させて得た3種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコ内にAIBNを加えた後、乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、2枚の厚み2mmのガラス板(5×5cm)ではさんだ。次いで、上記フラスコ内の溶液をガラス板の間に注射器で十分に注入し、ガラス板をクリップでとめた後、これを電気炉に入れて、50℃で4時間反応させた。
単位加えた。分液ロートを振り混ぜ、静置して下層のアンモニア水溶液を取り出し、残りの(c)のアンモニア水溶液の1単位を加え、同様にして分液を計5回繰り返した。
(e)アンモニア水溶液の代わりに純水を100ミリリットル加え、同様にしてpHが7になるまで計5回分液を繰り返した。
(f)分液ロート上層の液を、エバポレータによりトルエンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させた。これによって得られた褐色固体をジクロロメタンに溶かしてカラムクロマトグラフィにかけ、不純物を分離した。カラムはシリカゲル(関東化学(株)製、品番:9385−4M、Rf:0.82)、展開溶媒はジクロロメタンを使用した。
(g)カラムより排出した液から、エバポレータでジクロロメタンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させてSPAA単量体である、1’,3’,3’−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2’−インドール)を3.10g(収率66%)得た。
[0030](2)金属イオン吸着体の製造
上記で得たSPAA単量体の1’,3’,3’−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2’−インドール)(分子量347.41)を104.1mg(0.300mmol)用意した。また、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を1.661g(14.68mmol)用意した。
他に、エタノール6mL、重合開始剤AIBN99.3mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、超純水を用意した。
[0031] まず、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール3mL、NIPAAmをエタノール2mL、N,N’メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)23.1mgをエタノール1mLに溶解させて得た3種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコ内にAIBNを加えた後、乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、2枚の厚み2mmのガラス板(5×5cm)ではさんだ。次いで、上記フラスコ内の溶液をガラス板の間に注射器で十分に注入し、ガラス板をクリップでとめた後、これを電気炉に入れて、50℃で4時間反応させた。
【0018】
を装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール4mL、NIPAAmをエタノール2mL、MBAAmをエタノール2mLに溶解させて得た3種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコに乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。次いでオイルバスでフラスコの温度を60℃に上げ、AIBNを加えて1時間反応させた後、ハイドロキノンを加えて反応を止めた。
フラスコ内の反応生成物を、大量のジエチルエーテル中に少しずつ滴下して沈殿精製した。この沈殿を、ろ紙で濾別し、さらにメタノール中で再沈殿処理した後、減圧乾燥して1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの共重合体(以下、P(SPAA−NIPAAm−MPTMS)という)395.5mg(収率34%)を得た。この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPAA:NIPAAm:MPTMSは2:68:30(スピロピランセグメント含有率が2mol%)であった。
まず、塩酸15mL、硝酸5mLの混合液に厚み2mmの2枚のガラス板(5×5cm)を10分間浸した後、塩酸、硝酸混合液をアセトンで洗い流した。次いで、イソプロピルアルコール中にガラス板を20分浸して洗浄し、再びイソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を20分間行った。そして再度、イソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を行った。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、上記のように洗浄したガラス板ではさんだ。次に、アセトン1.064mLに上記のように得られたP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)100mgを溶解した溶液を、注射器を用いてガラス板の間に十分に注入し、ガラス板をクリップでとめて、室温で12時間反応させた。反応終了後、ガラス板の1枚をはがし、大量のアセトンに浸して、未反応のP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)と物理的に吸着したP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)を洗い流し、減圧乾燥させて1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリル
を装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール4mL、NIPAAmをエタノール2mL、MBAAmをエタノール2mLに溶解させて得た3種類の溶液を入れて混合した。上記フラスコに乾燥窒素をパスツールピペットから30分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。次いでオイルバスでフラスコの温度を60℃に上げ、AIBNを加えて1時間反応させた後、ハイドロキノンを加えて反応を止めた。
フラスコ内の反応生成物を、大量のジエチルエーテル中に少しずつ滴下して沈殿精製した。この沈殿を、ろ紙で濾別し、さらにメタノール中で再沈殿処理した後、減圧乾燥して1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリルアミドとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの共重合体(以下、P(SPAA−NIPAAm−MPTMS)という)395.5mg(収率34%)を得た。この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPAA:NIPAAm:MPTMSは2:68:30(スピロピランセグメント含有率が2mol%)であった。
まず、塩酸15mL、硝酸5mLの混合液に厚み2mmの2枚のガラス板(5×5cm)を10分間浸した後、塩酸、硝酸混合液をアセトンで洗い流した。次いで、イソプロピルアルコール中にガラス板を20分浸して洗浄し、再びイソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を20分間行った。そして再度、イソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を行った。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、上記のように洗浄したガラス板ではさんだ。次に、アセトン1.064mLに上記のように得られたP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)100mgを溶解した溶液を、注射器を用いてガラス板の間に十分に注入し、ガラス板をクリップでとめて、室温で12時間反応させた。反応終了後、ガラス板の1枚をはがし、大量のアセトンに浸して、未反応のP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)と物理的に吸着したP(SPAA−NIPAAm−MPTMS)を洗い流し、減圧乾燥させて1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)とN−イソプロピルアクリル
【0019】
アミドとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの共重合体をガラス繊維不織布に担持させた金属イオン吸着体を得た。
得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
【実施例6】
[0039]
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(分子量248.4)を4.1mg(0.016mmol)と、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を302.8mg(2.676mmol)を用意した。また、実施例1で得られたSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を20.8mg(0.0599mmol)を用意した。その他、塩酸15mL、硝酸5mL、エタノール1.2mL、重合開始剤AIBN7.5mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、アセトン、イソプロピルアルコール、超純水を用意した。
まず、塩酸15mL、硝酸5mLの混合液に厚み2mmの2枚のガラス板(5×5cm)を10分間浸した後、塩酸、硝酸混合液をアセトンで洗い流した。次いで、イソプロピルアルコール中にガラス板を20分浸して洗浄し、再びイソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を行った。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、上記のように洗浄したガラス板ではさんだ。次に、アセトン1.05mLにMPTMS4.1mgを溶解した溶液を、注射器を用いてガラス板の間に十分に注入し、ガラス板をクリップでとめて、室温で12時間反応させた。反応終了後、ガラス板の1枚をはがし、大量のアセトンに浸して、未反応のMPTMSと物理的に吸着したMPTMSを洗い流し、減圧乾燥させてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを担持したガラス繊維不織布を得た。
次に、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール0.6mL、NIPAAmをエタ
アミドとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの共重合体をガラス繊維不織布に担持させた金属イオン吸着体を得た。
得られた金属イオン吸着体について、鉛イオンの吸脱着の評価を行った。色の変化に関しては、Pb(II)の吸着により黄色を呈し、また可視光の照射によって黄色は消色した。
【実施例6】
[0039]
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)(分子量248.4)を4.1mg(0.016mmol)と、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)(分子量113.15)を302.8mg(2.676mmol)を用意した。また、実施例1で得られたSPAA単量体の1´,3´,3´−トリメチル−6−(アクリロイルオキシ)スピロ(2H−1−ベンゾピラン−2,2´−インドール)(分子量347.41)を20.8mg(0.0599mmol)を用意した。その他、塩酸15mL、硝酸5mL、エタノール1.2mL、重合開始剤AIBN7.5mg(SPAAとNIPAAmの合計モル数の1/60)、アセトン、イソプロピルアルコール、超純水を用意した。
まず、塩酸15mL、硝酸5mLの混合液に厚み2mmの2枚のガラス板(5×5cm)を10分間浸した後、塩酸、硝酸混合液をアセトンで洗い流した。次いで、イソプロピルアルコール中にガラス板を20分浸して洗浄し、再びイソプロピルアルコール中で10分間の超音波洗浄と、80℃のイソプロピルアルコール中での洗浄を行った。
中央を開口した厚み0.05mmのテフロンシート(外枠:5×5cm、内枠:3×3cm)の開口部に製造実施例1に記載の方法により製造したガラス繊維不織布(B)を入れて、上記のように洗浄したガラス板ではさんだ。次に、アセトン1.05mLにMPTMS4.1mgを溶解した溶液を、注射器を用いてガラス板の間に十分に注入し、ガラス板をクリップでとめて、室温で12時間反応させた。反応終了後、ガラス板の1枚をはがし、大量のアセトンに浸して、未反応のMPTMSと物理的に吸着したMPTMSを洗い流し、減圧乾燥させてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを担持したガラス繊維不織布を得た。
次に、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコ中に、SPAAをエタノール0.6mL、NIPAAmをエタ
Claims (7)
- 基体に光応答性金属イオン吸着材料を担持したことを特徴とする金属イオン吸着体。
- 上記重合体と上記基体とがシランカップリングを形成していることを特徴とする請求項2に記載の金属イオン吸着体。
- 基体が無機材料からなる請求項1〜3のいずれかに記載の金属イオン吸着体。
- 無機材料がガラス材料である請求項4に記載の金属イオン吸着体。
- ガラス材料がガラス繊維材料である請求項5に記載の金属イオン吸着体。
- 金属イオンが重金属イオンである請求項1〜6のいずれかに記載の金属イオン吸着体。
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