JPWO2006006520A1 - 新規創薬標的の探索方法 - Google Patents

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Abstract

本願発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究の結果、網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするステムループ形RNA分子発現ベクターライブラリーおよび、当該ライブラリーを用いた網羅的な創薬標的分子の探索方法を開発した。さらに当該方法を利用することにより、発現抑制することにより高い効果が期待される創薬標的分子を同定した。

Description

本発明は、RNAi効果により遺伝子の発現を抑制するsiRNA発現システムとそのライブラリーおよび、当該ライブラリーを用いて網羅的な遺伝子の機能解析および創薬標的分子の探索を実施する方法に関する。さらに、当該ライブラリーを用いた検討の結果得られた、血管新生に関連する遺伝子に関する。
今やヒトの全ゲノムに関する配列情報を利用することが可能となり、網羅的な探索からヒトの機能的な遺伝子を同定して機能を明らかにすると同時に、遺伝子の機能理解に伴って新たな創薬標的分子を見出すことが重要になった。医薬品の開発には大きなリスクと多大な時間が必要である。一つの薬が完成するためには7〜12年の時間と約300億円の投資が必要とされ、臨床試験が開始された候補化合物のうち市場に出る確率は12分の1程度といわれている(非特許文献1)。このような運に左右されがちな従来の創薬手法に代わり、積極的に各種遺伝子情報を利用する合理的な創薬手法としてゲノム創薬が注目を集めている。ゲノム創薬における創薬標的分子の網羅的探索方法としては、DNAマイクロアレイ(非特許文献2)と酵母ツーハイブリッド系(非特許文献3)が広く利用されている。DNAマイクロアレイ技術は、さまざまな細胞内プロセスが起きる間に遺伝子発現レベルが変化することに基づいている。しかし、リン酸化のように、特定の遺伝子の発現レベルを変化させることなく表現型に変化をもたらすという質的変化を伴う機能的遺伝子を同定することは困難である。酵母ツーハイブリッド系は、インビボでの直接的なタンパク質間相互作用を検出し、また、その産物がcDNAライブラリーから得られた特定のタンパク質と相互作用する遺伝子を同定するための強力な方法を提供する。しかし、この方法には、予想される相互作用が必ずしも当該現象における役割を反映しておらず、しばしば、偽陽性の結果が生じるという限界がある。そこで、実際の細胞レベルで特定の表現型に変化に関与する重要遺伝子を迅速に同定するシステムの開発が必要とされていた。
現在までに、実際の細胞レベルで特定の表現型に変化に関与する重要遺伝子を迅速に同定するシステムとしては以下の2つが試みられてきた。まず第一に、各種遺伝子を網羅的に発現させ、必要とする表現型変化を示した細胞内で特異的に発現している遺伝子を同定することにより遺伝子機能を探索する方法(非特許文献4)。第二には、各種遺伝子の発現を網羅的に抑制することにより、必要とする表現型変化を示した細胞内で特異的に機能阻害もしくは発現抑制されている遺伝子を同定することにより遺伝子機能を探索する方法(非特許文献5)である。特に網羅的な遺伝子発現抑制系は、多くの薬物が創薬標的遺伝子の機能を抑制することが多いことから、効率的な創薬標的分子探索方法として注目を集めている。従来、遺伝子発現の抑制手段としてはリボザイムを用いる方法が用いられて来た(非特許文献6)が、最近、より効果的に遺伝子発現を抑制できる手法としてRNA干渉(RNA interference、以下「RNAi」と略称する)が脚光を浴びている。
RNAiは、標的遺伝子のmRNAと相同な配列からなるセンスRNAとこれと相補的な配列からなるアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNA(以下、「dsRNA」と略称する)を細胞等に導入することにより、標的遺伝子mRNAの破壊を誘導し、標的遺伝子の発現を抑制し得る現象である。このようにRNAiは、標的遺伝子の発現を抑制し得ることから、従来の煩雑で効率の低い相同組換えによる遺伝子破壊方法に代わる簡易な遺伝子ノックアウト方法として注目を集めている。上記RNAiは、当初、線虫において発見されたが(非特許文献7)、現在では、線虫のみならず、植物、線形動物、ショウジョウバエ、原生動物などの種々の生物において観察されている(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)。これら生物では、実際に外来よりdsRNAを導入することにより標的遺伝子の発現が抑制されることが確認され、さらにはノックアウト個体を創生する方法としても利用されつつある。
インビトロにおいて、dsRNAは、ショウジョウバエの初期胚の溶解物または培養ショウジョウバエS2細胞の抽出物における切断に関してmRNAを標的とすることが知られている(非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14)。インビトロでのRNAiの反応はATP(非特許文献14)を必要とする。
合成RNA二本鎖による最近の研究により、それぞれのsiRNA二本鎖が標的RNAを切断することが証明された(非特許文献15)。siRNA二本鎖内の2ヌクレオチドまたは3ヌクレオチドの突出3'末端が、効率的な標的切断にとって必要であることが明らかになった(非特許文献15)。そのような3'突出末端は、RNアーゼIII切断反応の産物に特徴的であり、培養ショウジョウバエS2細胞において、dsRNAのsiRNAへの切断は、ダイサーとして知られる多数のドメインRNアーゼIII酵素を必要とする(非特許文献16)。その後、siRNAは、ショウジョウバエにおいて同定され、RISCと呼ばれる多成分ヌクレアーゼと会合し、mRNAの配列特異的分解に関してこの酵素を誘導するものと考えられる(非特許文献13; 非特許文献16;非特許文献17)。
RNAiは標的遺伝子を不活化する方法を提供し、このように、C. エレガンス(C. elegans)、ショウジョウバエおよび植物における遺伝子機能を研究するための強力なツールを提供する。遺伝子発現の特異的阻害はまた、動物および植物におけるdsRNAの安定な発現および誘導型発現によって得ることができる(非特許文献18、非特許文献19、非特許文献10)。マウス胚癌EC細胞および胚幹(ES)細胞では、dsRNAによる遺伝子の不活化は成功したが(非特許文献20、非特許文献21)、培養哺乳類細胞における長いdsRNAによるRNAiの誘発は一般的にあまり成功していない。これらの失敗は、長いdsRNA(>30塩基対)(非特許文献22)によって活性化されるインターフェロン(IFN)防御経路の一部を形成する2つの潜在型酵素の作用によって、容易に説明される。その一つは、2'-5'-オリゴアデニレート(2-5A)シンターゼであり、これはdsRNAによって活性化されて、RNアーゼLと呼ばれる配列非特異的RNアーゼの活性化にとって必要である2-5Aの合成を増加させる(非特許文献23)。もう一つは、蛋白質キナーゼPKRであり、その活性型は翻訳因子真核細胞開始因子(eIF2)をリン酸化して、蛋白質合成の全般的な阻害と細胞死に至る(非特許文献24)。
最近、21ヌクレオチドのsiRNA二本鎖がいくつかの哺乳類細胞において内因性遺伝子の発現を特異的に抑制することが報告された(非特許文献25)。この場合、21ヌクレオチドsiRNA二本鎖は、IFN防御システムから逃れることができる。この知見は、RNAiまたはRNAi関連システムが哺乳類に存在することを示唆した。実際に、rde-1、mut-7およびダイサーのようなRNAi関連蛋白質の哺乳類相同体がいくつか同定されている(非特許文献26、非特許文献27、非特許文献16)。
このようなsiRNAをより簡便に利用することを目的としてsiRNA発現ベクターが開発された。siRNAを発現させるプロモーターとしては、Pol III系のH1、U6、tRNAが一般的に用いられている。H1およびU6に関しては、ヘアピン構造部分の長さが21塩基であるsiRNAが最も高い遺伝子発現抑制を示すことが知られているが、tRNAに関してはヘアピン構造部分の長さが29塩基付近である場合に高い遺伝子発現抑制を示すことが示されている。しかしながら、高い遺伝子発現抑制効果を有するsiRNA配列の設計方法は確立されておらず、現在までのところ、in silicoでの方法が最も多く試みられてきているが、その確実性は必ずしも高いとはいえない。
最近、各種遺伝子の発現を網羅的に抑制することを目的として、任意の二重鎖DNAをDNA分解酵素により配列非特異的に切断した断片を原料としたsiRNA発現ベクターライブラリーを調製する方法が報告された(非特許文献28、非特許文献29)。このsiRNA発現ベクターライブラリーに含まれる個々のsiRNA発現ベクタークローンは、原料とした任意の二重鎖DNA配列のどこかを標的としている。従って、このライブラリー全体では、原料とした任意の二重鎖DNA配列全体をカバーするように、網羅的にsiRNAを発現することとなる。その結果、ある表現型の変化に関連する遺伝子を網羅的に探索すること、すなわち大量の創薬標的候補遺伝子の中から治療効果の高い創薬標的遺伝子を選択できる可能性が示唆される。
従来、特定の遺伝子の発現を抑制することを薬物の薬理効果および疾患の治療、特に遺伝子治療等として利用しようとする試みの多くは、疾患の直接的原因であると考えられるがん遺伝子やウイルス遺伝子等の原因遺伝子を標的としたものであった(非特許文献30)。原因遺伝子を標的とする治療法、特に遺伝子治療においては、疾患を根治させるためには疾患組織の全ての細胞に遺伝子を導入する必要があり、現在の遺伝子導入技術を考慮すると現実的ではないといえる。
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本発明は、網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするステムループ形RNA分子発現ベクターライブラリーおよび、当該ライブラリーを用いた網羅的な創薬標的分子の探索方法の提供を目的とし、さらに当該方法により、発現抑制することにより高い効果が期待される創薬標的分子を同定することを課題とする。具体的には、発現量が変化することにより治療効果が期待される目的遺伝子に関し、通常状態で当該目的遺伝子の発現を制御している因子を同定し、その発現を抑制することにより当該遺伝子の発現量を制御することを課題とする。当該因子が目的遺伝子の発現を抑制している場合、当該因子の発現を抑制することにより目的遺伝子の発現を亢進させることが可能である。また、当該因子が目的遺伝子の発現を亢進している場合、当該因子の発現を抑制することにより目的遺伝子の発現を抑制させることが可能である。当該因子は、新規の創薬標的であると同時に、当該因子の発現を抑制するsiRNA分子は新規薬効を有する医薬品へ応用できる可能性がある。さらに当該因子の発現を抑制するステムループ形RNA分子発現ベクターは、遺伝子治療への応用が可能であると考えられる。
本願発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究の結果、網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするステムループ形RNA分子発現ベクターライブラリーおよび、当該ライブラリーを用いた網羅的な創薬標的分子の探索方法を開発した。さらに当該方法を利用することにより、発現抑制することにより高い効果が期待される創薬標的分子を同定した。
すなわち本発明は具体的には、
〔1〕 細胞内でRNAi効果を有するステムループ形RNA分子をコードするDNAであって、既存の塩基配列から任意に選択される領域に相当するRNAをコードするDNAと、該DNAと相補的な配列とを、スペーサー領域を挟んで対向するように連結させ、これをプロモーターと機能的に接続させた構造を特徴とする、目的遺伝子の発現を制御する因子を網羅的に探索する機能遺伝子探索用DNA、
〔2〕 プロモーターがPol III系プロモーターである、〔1〕に記載のDNA、
〔3〕 プロモーターがtRNAプロモーターである、〔2〕に記載のDNA、
〔4〕 tRNAプロモーターがtRNAVALプロモーターである、〔3〕に記載のDNA、
〔5〕 既存の塩基配列から任意に選択される領域の長さが20〜40bpである、〔1〕に記載のDNA、
〔6〕 スペーサー領域の長さが1〜20bpである、〔1〕に記載のDNA、
〔7〕 発現するステムループ形RNA分子のステム領域の長さが20〜40bpである、〔1〕に記載のDNA、
〔8〕 目的遺伝子が分泌型タンパク質である、〔1〕に記載のDNA、
〔9〕 目的遺伝子の発現を制御する因子がタンパク質である、〔1〕に記載のDNA、
〔10〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のDNAの転写産物である、細胞内でRNAi効果を有するステムループ形RNA分子、
〔11〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のDNAの転写産物から細胞内で生成される、細胞内でRNAi効果を有するsiRNA分子、
〔12〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のDNAの転写産物から細胞内で生成されるsiRNAに相当する配列を有する、細胞内でRNAi効果を有する合成siRNA分子、
〔13〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のDNAを含むベクター、
〔14〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のDNA、または〔13〕に記載のベクターを保持する細胞、
〔15〕 細胞が哺乳動物細胞である、〔14〕に記載の細胞、
〔16〕 〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のDNA、または〔13〕に記載のベクターを含む組成物、
〔17〕 機能遺伝子探索用細胞を生産する方法であって、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のDNA、または〔13〕に記載のベクターを細胞に導入する工程、および前記ベクターが導入された細胞を選択する工程、を含む生産方法、
〔18〕 以下の工程(a)〜(d)を含む、目的遺伝子の発現を制御する因子を網羅的に探索する機能遺伝子探索方法、
(a)〔13〕に記載のベクターを細胞へ導入する工程
(b)前記ベクターが導入された細胞を選択する工程
(c)選択された細胞の表現型を解析する工程
(d)表現型解析により表現型が変化していた細胞中のベクター配列中のステムループ形RNA配列に基づいて機能遺伝子をスクリーニングする工程
〔19〕 目的遺伝子の発現制御領域をコードするDNAと、プロモーター、細胞の表現型が変化するマーカー遺伝子をコードするDNAを機能的に接続させた構造を有するDNAを含むベクターを細胞へ導入する工程をさらに含む、〔18〕に記載の機能遺伝子探索方法、
〔20〕 目的遺伝子の発現を間接的に亢進、もしくは抑制する遺伝子を同定する、〔18〕または〔19〕に記載の機能遺伝子探索方法、
〔21〕 〔20〕に記載の同定された遺伝子の機能を確認する方法であって、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のDNA、または〔13〕に記載のベクターを細胞または実験動物に導入する工程を含む確認方法、
〔22〕 〔20〕に記載の同定された遺伝子の機能を確認する方法であって、〔12〕に記載の合成siRNA分子を細胞または実験動物に導入する工程を含む確認方法、
〔23〕 目的遺伝子が低酸素刺激に関連する遺伝子である、〔18〕または〔19〕に記載の機能遺伝子探索方法、
〔24〕 目的遺伝子がHIFにより発現が亢進する遺伝子である、〔18〕または〔19〕に記載の機能遺伝子探索方法、
〔25〕 目的遺伝子の発現制御領域がHREである、〔19〕に記載の機能遺伝子探索方法、
〔26〕 配列番号:1〜224のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド、
〔27〕 配列番号:1〜224のいずれかに記載の塩基配列において任意に選択される、連続した19bp以上の塩基配列領域を含むポリヌクレオチド、
〔28〕 〔27〕に記載の塩基配列領域を含む、低酸素刺激に関連するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
〔29〕 〔28〕に記載のポリヌクレオチドによりコードされる、低酸素刺激に関連するタンパク質、
〔30〕 〔26〕〜〔28〕のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター、
〔31〕 〔26〕〜〔28〕のいずれかに記載のポリヌクレオチドまたは〔29〕に記載のベクターを保持する宿主細胞、
〔32〕 〔31〕に記載の宿主細胞を培養し、該宿主細胞またはその培養上清から、産生させたタンパク質を回収する工程を含む、〔29〕に記載のタンパク質の製造方法、
〔33〕 〔27〕に記載のポリヌクレオチドの転写産物を切断するsiRNA、
を提供するものである。
pHRE-N1-CMV-CD4Δ vectorの構造を示す。
本発明は、細胞内でRNAi効果を有するステムループ型RNA分子をコードするDNAであって、既存の塩基配列から任意に選択される領域に相当するRNAをコードするDNAと、該DNAと相補的な配列とを、スペーサー領域を挟んで対向するように連結させ、これをプロモーターと機能的に接続させた構造を特徴とする、目的遺伝子の発現を制御する因子を網羅的に探索する機能遺伝子探索用DNAを提供する。
本発明は、網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするsiRNA発現ベクターライブラリーおよび、当該ライブラリーを用いた網羅的な創薬標的分子の探索方法に関する。siRNAは、通常20bp程度の二本鎖RNA分子であり、RNAi効果を有することが知られている。RNAi(RNA interference;RNA干渉)は、標的遺伝子のmRNAと相同な配列からなるセンスRNAとこれと相補的な配列からなるアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNA(以下、「dsRNA」と略称する)を細胞等に導入することにより、標的遺伝子mRNAの破壊を誘導し、標的遺伝子の発現を抑制し得る現象である。
本発明における網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするsiRNA発現ベクターライブラリーは、任意の二本鎖DNAから、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片を作製する方法により調製される。好ましくは、以下の工程(a)〜(c)を含む方法である。
(a)二本鎖DNAをニック導入酵素によって消化し、二本鎖のそれぞれの鎖に少なくとも1以上のニックを有する二本鎖DNAを作製する工程、
(b)工程(a)の作製物を一本鎖DNA特異的分解酵素で処理し、含まれる一本鎖DNAを除去する工程、
(c)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、ニック部位の3’末端を合成起点とするDNA伸長反応を行い、平滑末端を有する二本鎖DNAを作製する工程
本発明における網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするsiRNA発現ベクターライブラリーは、上記のようにして作製される2以上の断片に、互いに重複したDNA領域を有するDNA断片が含まれることを特徴とする。
上記方法においてはまず、材料となる二本鎖DNAよりPCRによってDNA断片を調製する。本発明で用いられる二本鎖DNAは好ましくはゲノムDNA由来であり、さらに好ましくはcDNA由来である。
次いで、調製されたDNA断片を、ニック導入酵素によって消化し(nicking)、small DNA断片を調製する。本発明における「ニック導入酵素」としては、好ましくはDNAseIである。
次いで、small DNA断片を調製した系を一本鎖DNA特異的分解酵素で処理して含まれる一本鎖DNAを除去する。その処理には、Exonuclease VIIまたはExonuclease Iを用いることができる。
次いで、ニック部位の3’末端を合成起点とするDNA伸長反応を行う。この鎖置換合成には、例えば5’-3’ポリメラーゼ活性を有するクレノウ酵素を用いることができる。
更に、このようにして作成されたDNAをCIP処理により脱リン酸化し、平滑末端を有する二本鎖DNAを作製する。
さらに本発明における網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするsiRNA発現ベクターライブラリーは、二本鎖DNAから、該DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列(Inverted repeat)を含む二本鎖DNAを作製する方法により調製される。詳しくは、以下の工程(a)〜(f)を含む方法である。
(a)二本鎖DNAから、上記した方法によって、末端が平滑な該DNAの部分断片を作製する工程、
(b)工程(a)のDNA断片の5’末端を、脱リン酸化する工程、
(c)工程(b)により5’末端が脱リン酸化された二本鎖DNAと、ヘアピン形二本鎖DNAリンカーAの5’末端とをライゲーションし、該脱リン酸化二本鎖DNAの両末端に該リンカーAが結合した構造のDNA分子を作製する工程、
(d)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、工程(c)のDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点としてDNAを伸長させ、工程(a)の部分断片DNAと該ヘアピン形リンカーAとが結合した構造のDNA分子を作製する工程、
(e)工程(d)のDNA分子と、二本鎖DNAリンカーBの5’末端とをライゲーションし、該DNA分子の3’末端と該リンカーBの5’末端とが結合した構造のDNA分子を作製する工程、
(f)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、工程(e)のDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点としてDNAを伸長させ、工程(a)の部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する工程
本方法においては、まず、上記のようにして作成された、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片について、5'-末端を脱リン酸化する。
次いで、ヘアピン形二本鎖DNAリンカーAの5’末端とをライゲーションし、該脱リン酸化二本鎖DNAの両末端に該リンカーAが結合した構造のDNA分子を作製する。リンカーAとしては、例えばBL02リンカーを挙げることができる。なお、本方法において用いられるリンカーは、5'-末端がリン酸化されているものを用いることが好ましい。なお、該リンカーのリン酸化は、酵素的に行なっても、リンカー合成時の5'-末端にリン酸基を付加することによって行なっても構わない。
ライゲーションには、例えばT4 DNA ligaseを用いることができるが、同等の機能を有する酵素であればそれを用いて構わない。
次いで、作成されたDNAのニック部位の3’末端を合成起点として、鎖置換合成による伸長を行ない、上記の末端を平滑化した部分断片DNAと該ヘアピン形リンカーAとが結合した構造のDNA分子を作製する。
さらに該DNA分子と二本鎖DNAリンカーBの5’末端とをライゲーションし、該DNA分子の3’末端と該リンカーBの5’末端とが結合した構造のDNA分子を作製する。
リンカーBは、該DNA領域中に制限酵素部位を有するDNAであり、ヘアピン型二本鎖DNAであることが好ましいが、必ずしもヘアピン構造を有する必要はない。本方法においては例えばヘアピン型のリンカーとして、SL02リンカーを利用することができる。
このようにして作成されたDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点として、鎖置換合成による伸長を行ない、上記の末端を平滑化した部分断片DNAを繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作成する。鎖置換合成には、クレノウ、Bst DNA polymeraseなどの酵素を利用することができる。クレノウ酵素は、DNAの2箇所のニックで挟まれたNの部分(25〜35bp)が解離しないように、低温での反応に用いる。Bst DNA polymeraseは、クレノウ酵素を用いる場合と比較して伸長が速く、短時間で反応を完了することができる。
さらに、hairpinリンカー(SL02)由来の末端を切り落として、hairpin断片を作成する。この切り落としには、好ましくはSacIである。
また本発明における網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするsiRNA発現ベクターライブラリーは、二本鎖DNAの部分断片に対応する転写産物をステムの一方の鎖とするステムループ形RNA分子発現ベクターの作製方法により調製される。詳しくは、以下の工程(a)および(b)を含む方法である。
(a)上記方法によって、二本鎖DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する工程、
(b)プロモーターの下流に、工程(a)のDNAの逆方向繰り返し配列が転写し得るように配置された構造を有する発現ベクターを作製する工程、
「ステムループ」とは、一本鎖RNA上に存在する逆方向反復配列間で水素結合によって生じる二本鎖の部分(ステム; stem)とそれに挟まれるループの部分から成る構造を言い、ヘアピンループとも呼ばれる。
本方法においてはまず、上記方法によって得られた二本鎖DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含むDNAを、発現ベクターのプロモーターの下流に、該配列が転写し得るようにライゲーションする。該配列が挿入されたベクターについて、ヘアピンのループ部分にスタッファーと呼ばれる部分(BamHI-BamHI)が含まれる場合は、それを削除し、siRNA発現ベクターライブラリーを作製する。
なお、上記スタッファーと呼ばれる部分は、利用する制限酵素部位の種類に応じて決定されるものであり、必ずしも、実施例に記載のようにBamHI-BamHI断片に制限されない。
上記プロモーターは、本発明の上記方法によって作製されるDNA構築物を転写(発現)し得るものであれば、その種類、数、位置などは任意に定めることができる。
例えば、上記プロモーターとして、polII系、polIII系のプロモーターを例示することができる。本発明においては、siRNAのような短いRNAの発現に適したpolIII系プロモーターを好適に用いることができる。このpolIII系のプロモーターとしては、例えば、U6プロモーター、tRNAプロモーター、レトロウイルス性LTRプロモーター、アデノウイルスVAlプロモーター、5S rRNAプロモーター、7SK RNAプロモーター、7SL RNAプロモーター、H1 RNAプロモーターなどを挙げることができる。なお、上記U6プロモーターはRNAの3’末端に4塩基のウリジン塩基を付加するが、この3'末端の突出はアンチセンスコードDNAおよびセンスコードDNAの先頭配列としてAを0、1、2、3または4塩基備えることにより、最終的に生成されるsiRNA3'末端の突出を自在に4、3、2、1、0塩基にすることができる。なお、他のプロモーターを用いた場合にも、同様に末端の突出塩基数を自在に変更することは可能である。
一方、polII系プロモーターとしては、サイトメガロウイルスプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、SP6プロモーター、RSVプロモーター、EF−1αプロモーター、β―アクチンプロモーター、γ−グロブリンプロモーター、SRαプロモーターなどを挙げることができる。ただし、polII系を用いた場合には、polIII系のような短いRNAではなく、ある程度の長さのRNAとして合成される。そのため、polII系のプロモーターを用いた場合には、このある程度の長さとして合成されるRNAより、例えばリボザイムなどのRNAをセルフプロセッシングにより切断し得る手段を用いて、アンチセンスRNAまたはセンスRNAを生成させることもできる。polII系プロモーターの直後にステムループ配列を挿入し、その後ろにpolyA付加シグナルをいれて、ステムループRNAを生成させることもできる。
本発明の上記プロモーターとしては、好ましくはtRNAプロモーターを用いることができる。tRNAプロモーターは、原核生物の場合は遺伝子の上流に存在するのに対し、真核生物の場合は、tRNAのDループ、Tループに対応するDNA領域がtRNAプロモーターとして機能することが知られている。従って本発明のtRNAプロモーターとは、通常、tRNAのDループまたはTループに対応するDNA領域を言う。tRNAは各アミノ酸に対して、通常複数個のtRNAが存在する。本発明のtRNAプロモーターとしては、バリン(Val)に対応したtRNA (tRNAVal)のプロモーターを好適に使用することができる。
本発明において上記「機能的に連結した」とは、tRNAプロモーターからの転写を受けて、上記のヘアピン型の転写産物が生成するように、該DNAとtRNAプロモーターとが結合していることを言う。従って、該DNAに対するtRNAプロモーターの位置は、その上流、下流を問わないが、通常上流に位置する。また、該DNAとtRNAプロモーターとの間には、該DNAの転写が起こり得る限り、任意のDNA配列を有していても良い。
本発明においては、上記のようにtRNAプロモーターからの転写を受けることによって、細胞質への移行シグナルとしてそのtRNA自体も上記ステムループ形RNA分子と結合している。
さらに本発明においては、上記DNAにターミネーターを適宜備えることができる。ターミネーターは、プロモーターの転写を終結し得る配列であれば、特に制限されず、例えば、A(アデニン)塩基が4つ以上連続した配列、パリンドローム構造を形成し得る配列等の公知のターミネーターを用いることができる。なお、本発明のDNAには、一本鎖DNAおよび二本鎖DNAが含まれる。
また本発明において上記「既存の塩基配列から任意に選択される領域」とは、例えば、20〜40bpの長さの領域を好適に示すことができる。
本発明の上記DNAがtRNAプロモーターからの転写を受けることにより、一続きの転写産物(RNA分子)が生成される。本発明のDNAには、スペーサー領域を間にして逆方向反復配列を有することから、本発明のDNAの転写産物もまた、スペーサー領域を間にする逆方向反復配列を含む構造をしている。このような構造を有するRNA分子は、通常、該反復配列間で水素結合を形成し、該反復配列をステムとし、スペーサー領域をループとするステムループを形成する。本明細書においては、このステムループを形成するRNA分子を「ステムループ形RNA分子」と記載する。本発明は、本発明の上記DNAから転写されるステムループ形RNA分子もまた、本発明に含まれる。
また、本発明の上記DNAの転写産物から細胞内で生成され、細胞内でRNAi効果を有するsiRNA分子も本発明に含まれる。さらに、本発明の上記DNAの転写産物から細胞内で生成されるsiRNAに相当する配列を有し、細胞内でRNAi効果を奏する合成siRNA分子も本発明に含まれる。本発明の上記「合成siRNA分子」は、当業者においては、本明細書によって開示された方法を基に、適宜作製することができる。この場合、一方の鎖が判明していれば、当業者においては容易に他方の鎖(相補鎖)の塩基配列を知ることができる。本発明のsiRNAは、当業者においては市販の核酸合成機を用いて適宜作製することが可能である。また、所望のRNAの合成については、一般の合成受託サービスを利用することが可能である。
なお、本発明において「RNAi効果を有する」とは、本発明のステムループ形RNA分子の代謝産物等(例えば、RNA鎖に切断等の代謝を受けて生成される産物)がRNAi効果を有する場合も含まれる。
本発明のスペーサー領域を構成するDNAは、それに隣接する反復配列が水素結合をし得る限り、その長さは特に制限されないが、通常1〜20ベース、好ましくは1〜10ベース、より好ましくは、3〜8ベースであり、さらに好ましくは4〜6ベースである。スペーサー領域を構成するDNAの塩基配列は、特に規定されず、任意の配列とすることができる。また、上記のように逆方向反復配列間で水素結合を形成し得るものであれば、特にスペーサー領域は必要とせず、スペーサー領域を有しない場合であっても、本発明のDNAに含まれる。
哺乳動物細胞へ、通常約40bp以上の長さの二本鎖RNAを導入すると、インターフェロン(IFN)防御経路によって、該二本鎖RNAが消化されることが知られている。従って、本発明のステムループ形RNA分子は、ステム領域の二本鎖RNAの長さが、通常、40bp以内であり、好ましくは20〜40bpである。
本発明の上記DNAは、当業者においては、一般的な遺伝子工学技術により作製することができる。tRNAプロモーターを含む本発明のDNAは、例えば、周知のオリゴヌクレオチド合成法によって任意の配列を合成して作製することができる。
本発明のDNAは、そのまま細胞内の染色体に導入し、細胞内で発現させることもできるが、効率的な細胞導入などを行うために、上記DNAをベクターに保持させることが好ましい。本発明のDNAを含むベクターもまた、本発明に含まれる。ここで用いることができる「ベクター」は、導入したい細胞などに対応して選択することができる。例えば、哺乳動物細胞では、例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アルファウイルスベクター、EBウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターなどのウイルスベクターやカチオニックリポソーム、リガンドDNA複合体、ジーンガンなどの非ウイルスベクターなどが挙げられるが(Niitsu Y. et al., Molecular Medicine 35: 1385-1395 (1998))、これらに限定されるものではない。また、ウイルスベクターではなく、ダンベル型DNA(Zanta M.A. et al., Gene delivery: a single nuclear localization signal peptide is sufficient to carry DNA to the cell nucleus. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Jan 5;96(1):91-6)、ヌクレアーゼ耐性を持つような修飾DNA、またはnaked plasmidもまた好適に用いることができる(Liu F, Huang L. Improving plasmid DNA-mediated liver gene transfer by prolonging its retention in the hepatic vasculature. J. Gene Med. 2001 Nov-Dec;3(6):569-76)。
ベクターには、必要に応じて、ベクターが導入された細胞を選択し得る選択マーカーなどをさらに保持させることができる。選択マーカーとしては、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子のような薬剤耐性マーカー、ガラクトシダーゼなどの酵素活性を指標に選択し得るマーカー、あるいは、GFPなどの蛍光発光などを指標に選択し得るマーカーなどが挙げられる。また、EGFレセプター、B7-2などの表面抗原を指標に選択し得る選択マーカーなども用いてもよい。このように選択マーカーを用いることにより、該ベクターが導入された細胞、すなわち、本発明のベクターが導入された細胞のみを選択することが可能となる。また、ベクターを用いることにより、細胞内での保持時間を高め、またベクターによってはレトロウイルスベクターなどのように染色体へのインテグレーションを誘導するため、本発明のDNAからの細胞内での安定的なステムループ形RNA分子の供給を行うことが可能となる。
また本発明において上記「目的遺伝子」とは、例えば、分泌型タンパク質であり、上記「目的遺伝子の発現を制御する因子」とは、例えば、タンパク質を指す。
本発明の好ましい態様においては、本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターを、細胞へ導入することにより、該細胞における遺伝子の発現を抑制することができる。従って本発明は、標的遺伝子の発現が抑制された細胞を生産する方法であって、本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターを細胞に導入する工程、および前記ベクターが導入された細胞を選択する工程、を含む生産方法を提供する。さらに本発明は、本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターを保持する細胞を提供する。本発明の上記細胞は、特に限定されず、遺伝子の発現を抑制したい所望の細胞を使用することができる。従来RNAiの誘導が困難であった哺乳動物細胞においても、本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターにより、RNAiを誘導することが可能であることから、本発明の細胞としては、哺乳動物細胞であることが好ましい。また、植物細胞などの長鎖のdsRNAでは、長期の安定な発現保持が難しい細胞も、本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターを導入される細胞として好適である。
また、本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターの上記細胞への導入方法は、当業者においては、細胞の種類により適宜選択することができる。例えば、哺乳動物細胞への導入では、リン酸カルシウム法(Virology, Vol.52, p.456 (1973))、エレクトロポーレーション法(Nucleic Acids Res., Vol.15, p.1311 (1987)) 、リポフェクション法(J. Clin. Biochem. Nutr., Vol.7, p.175 (198 9))、ウィルスにより感染導入方法(Sci.Am., p.34, March (19 94)) 、ジーンガンなどから選択することができ、植物細胞への導入では、エレクトロポレーション法(Nature, Vol.319, p.791 (1986)) 、ポリエチレングリコール法(EMBO J., Vol.3, p.2717 (1984)) 、パーティクルガン法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vo l.85, p.8502 (1988)) 、アグロバクテリュウムを介した方法(Nucleic. Acids Res., Vol.12, p.8711 (1984)) 等により行うことができる。
本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターが導入された細胞を選択する方法としては、本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターに特異的なDNA配列をプローブあるいはプライマーとしてハイブリダイゼーション、PCR法等の公知の手法により選択することもできるが、選択マーカーを備えたベクターに本発明のDNAが保持されている場合には、その選択マーカーによる表現型を指標に選択することができる。
上記のように本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターが導入された細胞は、標的遺伝子の発現が抑制されたノックダウン細胞となる。ここで「ノックダウン細胞」には、標的遺伝子の発現が完全に抑制された細胞と、標的遺伝子の発現が完全には抑制されていないが低減されている細胞とが含まれる。従来、このような細胞は、標的遺伝子をあるいはその制御領域を欠損・改変させることにより創生されていたが、本発明を用いることにより、染色体上の標的遺伝子を改変することなく、単に本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターを導入し、導入された細胞を選択するという簡易な方法により標的遺伝子の発現が抑制された細胞を作ることができる。このように創生されたノックダウン細胞は、標的遺伝子の機能解析のための研究材料として、また疾患原因遺伝子を標的遺伝子として発現が抑制されている細胞では疾患モデル細胞などとして利用することが可能となる。また、生殖細胞に本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターを導入し、この本システムを保持した生殖細胞より生物個体を発生させることにより、標的遺伝子ノックダウン動物、疾患モデル動物などを創生することも可能となる。本発明には、本発明によって生産される上記ノックダウン細胞も含まれる。
また本発明は、本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターを含有する組成物に関する。本発明により所望の標的遺伝子の発現を抑制し得るため、本発明により疾患の原因となる遺伝子発現を抑制することにより、該疾患の治療または予防効果が期待できる。また、発現量が変化することにより治療効果が期待される目的遺伝子に関し、通常状態で当該目的遺伝子の発現を制御している因子を同定し、その発現を抑制することにより当該遺伝子の発現量を制御することを可能とする。当該因子が目的遺伝子の発現を抑制している場合、当該因子の発現を抑制することにより目的遺伝子の発現を亢進させることが可能である。また、当該因子が目的遺伝子の発現を亢進している場合、当該因子の発現を抑制することにより目的遺伝子の発現を抑制させることが可能である。当該因子は、新規の創薬標的であると同時に、当該因子の発現を抑制するsiRNA分子は新規薬効を有する医薬品に応用できる可能性がある。さらに当該因子の発現を抑制するステムループ形RNA分子発現ベクターは、遺伝子治療への応用が可能であると考えられる。
さらに上記組成物は、所望の遺伝子の機能を検討するための試薬としても有用である。本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターを医薬品として用いる場合には、適切な賦形剤等を添加した組成物とすることもできる。
本発明の別の態様においては、ステムループ形RNA分子を発現するベクターに関する。該ベクターは、任意の配列からなるRNAをコードするDNAと、該DNAと相補的な配列とを、スペーサー領域を挟んで対向するように連結させ、これをtRNAプロモーターと機能的に接続させた構造を有するDNAを含む。該DNAから発現する転写産物を、本発明においては「ステムループ形RNA分子」と呼ぶ。このステムループ形RNA分子を細胞へ導入することにより、機能遺伝子の探索が可能である。つまり、上述までの本発明のDNAまたは該DNAを含むベクターは特定の標的遺伝子の発現を抑制し得るものであるが、上記態様においては、ステムループ形RNAを発現して、任意の遺伝子、例えば機能未知の遺伝子配列未知の遺伝子を抑制し、新規な機能遺伝子を探索するために用いることができる。
本発明は、上記ステムループ形RNA分子発現ベクターを細胞へ導入する工程、前記ベクターが導入された細胞を選択する工程、および、選択された細胞の表現型を解析する工程、を含む機能遺伝子および創薬標的分子の探索方法を提供する。
上記方法においては、好ましくは、表現型解析により表現型が変化していた細胞中のベクター配列中のステムループ形RNA配列に基づいて機能遺伝子を解析する工程を含む。
本発明においては、異なる配列を有するステムループ形RNA分子を発現し得るベクターを集めてライブラリーとして構築することもできる。該ライブラリーを用いることにより、機能遺伝子の探索を一層効率的に行うことが可能となる。
上記方法における、ステムループ形RNA分子発現ベクターの細胞への導入は前述のように行うことができる。
上記方法においては、次いで、ステムループ形RNA分子発現ベクターまたはライブラリーが導入された細胞が選択された後に、その細胞の表現型を解析する。この表現型の解析は、例えば、コントロールとしてステムループ形RNA分子発現ベクターが導入されていない細胞の表現型と比較することにより行うことができる。この表現型は、細胞表面に生じるものだけではなく、例えば、細胞内の変化なども含まれる。
上記解析の結果、表現型が変化した細胞には、何らかの機能遺伝子の発現を抑制し得るステムループ形RNA分子が含まれている可能性が高い。そのため、機能遺伝子をスクリーニングするために、例えば、この細胞に含まれるステムループ形RNA分子発現ベクターのステムループ形RNAをコードするDNAの配列に基づき、プローブ、プライマーを構築する。そして、このプローブ、プライマーを用いて、ハイブリダイゼーションまたはPCRを行うことにより、機能遺伝子のクローニングを行うことができる。また、ステムループ形RNAをコードするDNAの配列に基づいて、データベースから機能遺伝子を検索することもできる。
また本発明は、上記機能遺伝子探索方法によって同定された遺伝子の機能を確認する方法を提供する。詳しくは、本発明の上記記載のDNAまたはベクターを、細胞または実験動物に導入する工程、あるいは本発明の上記合成siRNA分子を細胞または実験動物に導入する工程を含む方法である。実験動物としては、例えばイヌ、ラット、ハムスター、ウサギ、ブタ、ウシ、ウマ、サル、ヒツジ、ヤギ、ネコ等を挙げることができる。
また本発明者らにより、低酸素刺激に基づく血管新生に関連するタンパク質をコードするポリヌクレオチドの部分断片ポリヌクレオチドが提供された。本発明の上記ポリヌクレオチドの配列を、配列番号:1〜224で示す。なお、配列番号:1〜224に記載された配列に相補的な配列もまた、本発明のポリヌクレオチドに含まれる。
本発明者らにより提供された上記ポリヌクレオチドは、低酸素刺激に基づく血管新生に関連する遺伝子の部分配列であるが、当業者においては、配列番号:1〜224のいずれかに記載のポリヌクレオチドの配列情報を基に、低酸素刺激に基づく血管新生に関連する遺伝子の全長cDNAを単離することは、容易に行うことが可能である。即ち、例えば、配列番号:1〜224のいずれかに記載の配列をプローブとして各種細胞から調製したcDNAライブラリーなどをハイブリダイゼーションによってスクリーニングする方法や、配列番号:1〜224のいずれかに記載の配列をプライマーとして用い、各種cDNAライブラリーなどのDNAを鋳型として、プライマーに特異的なサイズの増幅産物が得られることを指標としてライブラリーをスクリーニングする方法により、該cDNAの全長を取得することができる。また、配列番号:1〜224のいずれかに記載の配列をプライマーとして用い、各種細胞から調製されたmRNAを一本鎖cDNAに変換し、末端にオリゴマーを付加してからPCRを行うRACE法(Frohman, M. A. et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 8992, 1988)によって低酸素刺激に基づく血管新生に関連する遺伝子の全長cDNAを取得することも可能である。本発明のポリヌクレオチドを、ハイブリダイゼーションのためのプローブとして使用する場合には、通常、標識したものが用いられる。標識としては、例えば、DNAポリメラーゼIを用いるニックトランスレーションによる標識、ポリヌクレオチドキナーゼを用いる末端標識、クレノーフラグメントによるフィルイン末端標識(Berger SL, Kimmel AR. (1987) Guide to Molecular Cloning Techniques, Method in Enzymology, Academic Press; Hames BD, Higgins SJ (1985) Genes Probes: A Practical Approach. IRL Press; Sambrook J, Fritsch EF, Maniatis T. (1989) Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 2nd Edn. Cold Spring Harbor Laboratory Press)、RNAポリメラーゼを用いる転写による標識(Melton DA, Krieg,PA, Rebagkiati MR, Maniatis T, Zinn K, Green MR. (1984) Nucleic Acid Res., 12,7035-7056)、放射性同位体を用いない修飾ヌクレオチドをDNAに取り込ませる方法(Kricka LJ. (1992) Nonisotopic DNA Probing Techniques. Academic Press)等が挙げられる。
本発明は、配列番号:1〜224のいずれかに記載の塩基配列を含む低酸素刺激に基づく血管新生に関連するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。該ポリヌクレオチドには、配列番号:1〜224のいずれかに記載の配列情報を基に単離し得る、低酸素刺激に基づく血管新生に関連する遺伝子の全長cDNAが含まれる。
また本発明のポリヌクレオチドには、配列番号:1〜224のいずれかに記載の塩基配列において任意に選択される連続した19bp以上の塩基配列領域を含むポリヌクレオチドが含まれる。さらに本発明には、本発明のポリヌクレオチドの転写産物を切断するsiRNAが含まれる。
さらに本発明には、配列番号:1〜224のいずれかに記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドが含まれる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、通常「1xSSC、0.1% SDS、37℃」程度の条件であり、より厳しい条件としては「0.5xSSC、0.1% SDS、42℃」程度の条件であり、さらに厳しい条件としては「0.2xSSC、0.1% SDS、65℃」程度の条件である。このようにハイブリダイゼーションの条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するDNAの単離を期待しうる。但し、上記SSC、SDSおよび温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間など)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
本発明のポリヌクレオチドは、上記低酸素刺激に基づく血管新生に関連するタンパク質の発現を抑制するためのアンチセンスポリヌクレオチド(アンチセンスDNA/RNA; 例えば、本発明のタンパク質をコードする遺伝子の転写産物と相補的なアンチセンスRNA、および該RNAをコードするDNA)、またはリボザイムを構成するポリヌクレオチド(あるいは、リボザイム活性を有するRNAをコードするDNA)として利用することができる。
アンチセンスポリヌクレオチドが標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造がつくられた部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンとの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始抑制、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制などである。これらは、転写、スプライシング、または翻訳の過程を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する(平島および井上「新生化学実験講座2 核酸IV 遺伝子の複製と発現」,日本生化学会編,東京化学同人,pp.319-347,1993)。
本発明で用いられるアンチセンスポリヌクレオチドは、上記のいずれの作用で標的遺伝子の発現を抑制してもよい。一つの態様としては、遺伝子のmRNAの5'端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的であろう。しかし、コード領域もしくは3'側の非翻訳領域に相補的な配列も使用し得る。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むポリヌクレオチドも、本発明で利用されるアンチセンスポリヌクレオチドに含まれる。使用されるアンチセンスポリヌクレオチドは、適当なプロモーターの下流に連結され、好ましくは3'側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。アンチセンスポリヌクレオチドの配列は、標的遺伝子またはその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に阻害できる限り、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的とする遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する。
該アンチセンスポリヌクレオチドは、例えば、本発明のポリヌクレオチド(例えば、配列番号:1を基に単離されるタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列)の配列情報を基にホスホロチオネート法(Stein, 1988 Physicochemical properties of phosphorothioate oligodeoxynucleotides. Nucleic Acids Res 16, 3209-21 (1988))などにより調製することが可能である。
内在性遺伝子の発現の抑制は、また、リボザイムをコードするポリヌクレオチドを利用して行うことも可能である。リボザイムには種々の活性を有するものがあるが、中でもRNAを切断する酵素としてのリボザイムの研究により、RNAの部位特異的な切断を目的とするリボザイムの設計が可能となった。リボザイムには、グループIイントロン型や、RNasePに含まれるM1RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある(小泉誠および大塚栄子, (1990) 蛋白質核酸酵素,35:2191)。
例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自己切断ドメインは、G13U14C15のC15の3'側を切断するが、活性にはU14が9位のAと塩基対を形成することが重要とされ、15位の塩基はCの他にAまたはUでも切断されることが示されている(M.Koizumiら,(1988) FEBS Lett.228:225)。リボザイムの基質結合部を標的部位近傍のRNA配列と相補的になるように設計すれば、標的RNA中のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRNA切断リボザイムを作出することが可能である(M.Koizumiら,(1988) FEBS Lett. 239:285、小泉誠および大塚栄子,(1990) 蛋白質核酸酵素,35:2191、 M.Koizumiら, (1989) Nucleic Acids Res. 17:7059)。本発明においては、配列番号:1〜30に記載された配列の転写産物(mRNA)は、リボザイムの標的となる配列であることから、該配列を標的配列として認識するリボザイムを、当業者においては、容易に構築することが可能である。このようにして構築されたリボザイムは、本発明の低酸素刺激に基づく血管新生に関連するタンパク質をコードするポリヌクレオチドの転写産物を切断するものと考えらる。これらのリボザイムも本発明に含まれる。
また本発明は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質を提供する。該タンパク質は、低酸素刺激に基づく血管新生に関連するタンパク質である。本発明のタンパク質は任意の適当な方法で製造することができる。このようなタンパク質には、単離された天然に存在するタンパク質、組換え的に生産されたタンパク質、合成的に製造されたタンパク質、またはこれらの方法の組み合わせにより製造されたタンパク質が含まれる。このようなタンパク質の製造のための手段は当業界でよく理解されている。組み換え的なタンパク質は、例えば、本発明のポリヌクレオチドを挿入したベクターを適当な宿主細胞に導入し、形質転換体内で発現したタンパク質を精製することにより調製することが可能である。一方、天然由来のタンパク質は、例えば、タンパク質に対する抗体を結合したアフィニティーカラムを利用して調製することができる (Current Protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons Section 16.1-16.19)。任意のタンパク質についての抗体の作製は、当業者においては周知の方法により行うことができる。アフィニティー精製に用いる抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。また、インビトロトランスレーションなどにより本発明のタンパク質を調製することも可能である。
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含有するベクター、本発明のポリヌクレオチドまたは該ベクターを保持する宿主細胞、および該宿主細胞を利用した本発明のポリペプチドの生産方法を提供する。
さらに本発明は、該宿主細胞を培養し、該宿主細胞またはその培養上清から産生させたタンパク質を回収する工程を含む、本発明のタンパク質の製造方法を提供する。
本発明のベクターとしては、挿入したDNAを安定に保持するものであれば特に制限されず、例えば宿主に大腸菌を用いるのであれば、クローニング用ベクターとしてはpBluescriptベクター(Stratagene社製)などが好ましい。本発明のポリペプチドを生産する目的においてベクターを用いる場合には、特に発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、試験管内、大腸菌内、培養細胞内、生物個体内でポリペプチドを発現するベクターであれば特に制限されないが、例えば、試験管内発現であればpBESTベクター(プロメガ社製)、大腸菌であればpETベクター(Invitrogen社製)、培養細胞であればpME18S-FL3ベクター(GenBank Accession No. AB009864)、生物個体であればpME18Sベクター(Mol Cell Biol. 8:466-472(1988))などが好ましい。ベクターへの本発明のDNAの挿入は、常法により、例えば、制限酵素サイトを用いたリガーゼ反応により行うことができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 11.4-11.11)。
本発明のベクターが導入される宿主細胞としては特に制限はなく、目的に応じて種々の宿主細胞が用いられる。ポリペプチドを発現させるための細胞としては、例えば、細菌細胞(例:ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌)、真菌細胞(例:酵母、アスペルギルス)、昆虫細胞(例:ドロソフィラS2、スポドプテラSF9)、動物細胞(例:CHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、HEK293、Bowes メラノーマ細胞)および植物細胞を例示することができる。宿主細胞へのベクター導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 9.1-9.9)、リポフェクタミン法(GIBCO-BRL社製)、マイクロインジェクション法などの公知の方法で行うことが可能である。
宿主細胞において発現したタンパク質を小胞体の内腔に、細胞周辺腔に、または細胞外の環境に分泌させるために、適当な分泌シグナルを目的のタンパク質に組み込むことができる。これらのシグナルは目的のタンパク質に対して内因性であっても、異種シグナルであってもよい。
本発明のタンパク質は、上記宿主細胞またはその培養上清から産生させたタンパク質を回収することによって取得することができる。本発明のタンパク質の回収は、本発明のポリペプチドが培地に分泌される場合は、培地を回収する。本発明のタンパク質が細胞内に産生される場合は、その細胞をまず溶解し、その後にタンパク質を回収する。
組換え細胞培養物から本発明のタンパク質を回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法を用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
(1)用いた実験材料および検討方法
(a)HREを含むレポーターベクターの構築
低酸素反応領域(hypoxia - responsive - element ; HRE)である 5’-RCGTG-3’配列を2回繰り返した断片を作製し、プラスミドpGL3-promoter vector (Promega)のマルチクローニングサイトに組み込み、pHRE-Luc vectorを構築した。次に、pHRE-Lucからluciferase遺伝子をHindIII - XbaIサイトにより切り出し、その部分にpEGFP-N1 vector (clontech)からHindIII - XbaIサイトにより切り出したEGFP遺伝子を組み込み、pHRE-N1 vectorを構築した。また、pMACS4.1のCD4Δ遺伝子をEcoRI - HindIIIサイトにより切り出し、pcDNA3.1(-) vector (Invitrogen)のEcoRI - HindIIIサイトに組み込み、pcDNA3.1-CD4Δ vectorを構築した。さらにpcDNA3.1-CD4Δ vector をNurI - PvuIサイトにより切り出し、PvuIIで限定分解を行い、CMV promoterとEGFP-N1とBGH poly(A)を含む領域を切り出し、pHRE-N1 vectorに組み込みpHRE-N1-CMV-CD4Δ vectorを構築した(図1参照)。
(b)培養細胞への遺伝子の導入
HEK293細胞はD-MEM/10% FBS (Invitrogen)で培養した。遺伝子導入はGENE PULSER II (BIO-RAD)を用い、細胞濃度1×107 cells/mlのものを0.3 ml、pHRE-N1-CMV-CD4Δ vector :siRNA発現ベクターライブラリー=1:10の割合で0.5μg:5μg混合し、Voltage:0.22 kV、Capacitor:950 μFの条件でelectroporationにより行った。遺伝子導入した細胞は150 μl/wellの割合でコラーゲンコートタイプI 6 well(旭テクノグラス)にて、48時間、5% CO2で培養した。
(c)細胞の選択
HEK293細胞にpHRE-N1-CMV-CD4Δ vector とsiRNA発現ベクターライブラリーをelectroporationにより導入した。48時間後に細胞を回収し、抗ヒトCD4(藤沢薬品工業)で染色した。FACSCalibur (BECTON DICKINSON) によりEGFPの発現が上昇している陽性の細胞を10の5乗個程度回収した。
(d)培養細胞からのsiRNA発現vectorの回収
回収した細胞からQIAamp DNA/Blood Kit (QIAGEN)を用いてplasmidを回収した。
(e)回収したplasmidからのhairpinの増幅
回収したplasmidからPCRによりhairpinを増幅した。プライマーはM13-47(5’-CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC-3’/配列番号:225)とM13-RV(5’-agcggataacaatttcacacagg-3’ /配列番号:226)を、酵素は9°Nm DNA Polymerase (NEB)を用いて行った。PCR産物をEcoRI-SphI処理し、3.5 % PAGEによってhairpin断片を切り出し、Elution buffer(0.5 M AcONH4, 10 mM AcOMg, 1 mM EDTA, 0.1 % SDS)によりゲルから溶出することにより精製した。精製したhairpinのligationは、同じくEcoRI-SphI処理したptRNA/SSとRapid DNA Ligation Kit (Roche)を用いて行った。
(f)大腸菌への遺伝子の導入
遺伝子導入はGENE PULSER II (BIO-RAD)を用い、ElectroMAX DH10B Cells (Invitrogen) にligation産物をを混合し、Voltage:2.0 kV, Capacitor:25μF, resistor:200Ωの条件でelectroporationにより行った。遺伝子導入した大腸菌はLB培地(+Amp)(2号角型シャーレ)2枚にplatingし、37℃で一晩培養した。翌朝一部をグリセロールストックとして保存し、残りをHiSpeed Plasmid Midi Kit (QIAGEN)を用いてplasmidを回収した。
(g)シークエンス
グリセロールストックを希釈したものをplatingし、LB培地(Amp)で37℃で一晩培養し、コロニーを選抜し、培養した後マルチスクリーンFB (MILLIPORE) を用いてplasmidを回収した。また、sequenceの時に、hairpinをそのまま読むことが困難であるため、始めにBamHI (NEB)によってloopを切断してから行った。DYEnamic ET Terminator Cycle sequencing kit (アマシャムバイオサイエンス)を用いて行った。プライマーにはM13-47、M13-RVをそれぞれ用い、senseとantisenseの配列の確認を行った。得られた配列はNCBI BLAST プログラムを用いて、標準的なデータベースから遺伝子の検索を行った。
(2)HREを含むレポーターvectorの作製結果
評価用vector (HREを含む)とcDNA siRNA libraryをco-transfectionする。そのため、評価用vectorにHREにレポーター遺伝子を融合するとともに、細胞内にplasmidが導入されたかどうかを確認するための恒常的に発現する遺伝子をあわせて組み込む必要がある。そこで、HREのレポーター遺伝子にEGFP-N1を用い、細胞内にplasmidが導入されたかどうかを確認するためにCMV promoterにCD4Δを組み込んだものを用いることにより、評価用vector(pHRE-N1-CMV-CD4Δ vector)を作製した(図1参照)。
(3)pHRE-N1-CMV-CD4Δ vectorを用いたcDNA siRNA libraryからの標的遺伝子のスクリーニング結果
siRNA libraryから通常の酸素状態でHREの下流にある遺伝子の発現を抑制している遺伝子のsiRNAを得ることを目的とした。そこで、HEK293細胞にsiRNA発現ベクターライブラリーとpHRE-N1-CMV-CD4Δ vectorをelectroporationによりco-transfectionし、コントロールと比較してEGFPの発現が上昇している細胞をsortingにより回収した。回収した細胞からplasmidを回収し、PCRによりhairpin断片を増幅し、クローニングした。クローニングしたplasmidを再び培養細胞に導入し、EGFPの発現が上昇している細胞をsortingにより回収した。PCRによりhirpinを増幅し、クローニングした。
(4)スクリーニングの評価結果
スクリーニングしたcloneを576 clone選抜し、培養した後plasmidを回収し、sequenceを行った。得られた配列をNCBI BLAST プログラムを用いて検索した結果、VHL (von-Hippel Lindau syndrome) が検出された(配列番号:1〜33)。VHLはHREに結合するHIF1αと通常の酸素濃度では結合し、HIF1αを分解することによりHRE下流の血管新生を亢進する遺伝子群の発現を間接的に抑制していることが報告されている(Maxwell PH., et al. Nature 399: 271-275, 1999)。このスクリーニングによって、VHLが優先的に検出されたことは当該スクリーニングシステムが極めて有効に機能していることを示すものであるといえる。
本発明は、網羅的な遺伝子機能の探索を可能とするステムループ形RNA分子発現ベクターライブラリーおよび、当該ライブラリーを用いた網羅的な創薬標的分子の探索方法を提供し、さらに当該方法により、発現抑制することにより高い効果が期待される創薬標的分子を同定すること可能とした。さらに、発現量が変化することにより治療効果が期待される目的遺伝子に関し、通常状態で当該目的遺伝子の発現を制御している因子を同定し、その発現を抑制することにより当該遺伝子の発現量を制御できる可能性が示された。当該因子が目的遺伝子の発現を抑制している場合、当該因子の発現を抑制することにより目的遺伝子の発現を亢進させることが可能である。また、当該因子が目的遺伝子の発現を亢進している場合、当該因子の発現を抑制することにより目的遺伝子の発現を抑制させることが可能である。具体的な当該因子としては、発現を抑制することによりHRE下流の血管新生を亢進する遺伝子群の発現を間接的に亢進するものを同定した。当該因子は、新規の創薬標的であると同時に、当該因子の発現を抑制するsiRNA分子は新規薬効を有する医薬品への応用できる可能性がある。さらに当該因子の発現を抑制するステムループ形RNA分子発現ベクターは、遺伝子治療への応用が可能であると考えられる。

Claims (33)

  1. 細胞内でRNAi効果を有するステムループ形RNA分子をコードするDNAであって、既存の塩基配列から任意に選択される領域に相当するRNAをコードするDNAと、該DNAと相補的な配列とを、スペーサー領域を挟んで対向するように連結させ、これをプロモーターと機能的に接続させた構造を特徴とする、目的遺伝子の発現を制御する因子を網羅的に探索する機能遺伝子探索用DNA。
  2. プロモーターがPol III系プロモーターである、請求項1に記載のDNA。
  3. プロモーターがtRNAプロモーターである、請求項2に記載のDNA。
  4. tRNAプロモーターがtRNAVALプロモーターである、請求項3に記載のDNA。
  5. 既存の塩基配列から任意に選択される領域の長さが20〜40bpである、請求項1に記載のDNA。
  6. スペーサー領域の長さが1〜20bpである、請求項1に記載のDNA。
  7. 発現するステムループ形RNA分子のステム領域の長さが20〜40bpである、請求項1に記載のDNA。
  8. 目的遺伝子が分泌型タンパク質である、請求項1に記載のDNA。
  9. 目的遺伝子の発現を制御する因子がタンパク質である、請求項1に記載のDNA。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のDNAの転写産物である、細胞内でRNAi効果を有するステムループ形RNA分子。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のDNAの転写産物から細胞内で生成される、細胞内でRNAi効果を有するsiRNA分子。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載のDNAの転写産物から細胞内で生成されるsiRNAに相当する配列を有する、細胞内でRNAi効果を有する合成siRNA分子。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載のDNAを含むベクター。
  14. 請求項1〜9のいずれかに記載のDNA、または請求項13に記載のベクターを保持する細胞。
  15. 細胞が哺乳動物細胞である、請求項14に記載の細胞。
  16. 請求項1〜9のいずれかに記載のDNA、または請求項13に記載のベクターを含む組成物。
  17. 機能遺伝子探索用細胞を生産する方法であって、請求項1〜9のいずれかに記載のDNA、または請求項13に記載のベクターを細胞に導入する工程、および前記ベクターが導入された細胞を選択する工程、を含む生産方法。
  18. 以下の工程(a)〜(d)を含む、目的遺伝子の発現を制御する因子を網羅的に探索する機能遺伝子探索方法。
    (a)請求項13に記載のベクターを細胞へ導入する工程
    (b)前記ベクターが導入された細胞を選択する工程
    (c)選択された細胞の表現型を解析する工程
    (d)表現型解析により表現型が変化していた細胞中のベクター配列中のステムループ形RNA配列に基づいて機能遺伝子をスクリーニングする工程
  19. 目的遺伝子の発現制御領域をコードするDNAと、プロモーター、細胞の表現型が変化するマーカー遺伝子をコードするDNAを機能的に接続させた構造を有するDNAを含むベクターを細胞へ導入する工程をさらに含む、請求項18に記載の機能遺伝子探索方法。
  20. 目的遺伝子の発現を間接的に亢進、もしくは抑制する遺伝子を同定する、請求項18または19に記載の機能遺伝子探索方法。
  21. 請求項20に記載の同定された遺伝子の機能を確認する方法であって、請求項1〜9のいずれかに記載のDNA、または請求項13に記載のベクターを細胞または実験動物に導入する工程を含む確認方法。
  22. 請求項20に記載の同定された遺伝子の機能を確認する方法であって、請求項12に記載の合成siRNA分子を細胞または実験動物に導入する工程を含む確認方法。
  23. 目的遺伝子が低酸素刺激に関連する遺伝子である、請求項18または19に記載の機能遺伝子探索方法。
  24. 目的遺伝子がHIFにより発現が亢進する遺伝子である、請求項18または19に記載の機能遺伝子探索方法。
  25. 目的遺伝子の発現制御領域がHREである、請求項19に記載の機能遺伝子探索方法。
  26. 配列番号:1〜224のいずれかに記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  27. 配列番号:1〜224のいずれかに記載の塩基配列において任意に選択される、連続した19bp以上の塩基配列領域を含むポリヌクレオチド。
  28. 請求項27に記載の塩基配列領域を含む、低酸素刺激に関連するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  29. 請求項28に記載のポリヌクレオチドによりコードされる、低酸素刺激に関連するタンパク質。
  30. 請求項26〜28のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  31. 請求項26〜28のいずれかに記載のポリヌクレオチドまたは請求項30に記載のベクターを保持する宿主細胞。
  32. 請求項31に記載の宿主細胞を培養し、該宿主細胞またはその培養上清から、産生させたタンパク質を回収する工程を含む、請求項29に記載のタンパク質の製造方法。
  33. 請求項27に記載のポリヌクレオチドの転写産物を切断するsiRNA。
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