JPWO2005121324A1 - Es細胞の変異方法およびシステム - Google Patents

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Abstract

両方の対立遺伝子(二対立遺伝子)に変異を有する幹細胞を提供するための技術を提供すること。本発明は、対立遺伝子の両方の鎖に変異が導入された幹細胞を生産する方法であって、A)幹細胞を提供する工程;B)該幹細胞におけるBlm対立遺伝子が機能しないようにする工程;およびC)該幹細胞における変異を誘発する工程、を包含する、方法を提供する。本発明はまた、対立遺伝子の両方の鎖に変異が挿入された、幹細胞のライブラリーであって、該ライブラリーに含まれる幹細胞は、ゲノム全体にわたって該変異が導入されている、ライブラリーを提供する。

Description

本発明は、幹細胞の改変技術に関する。より詳細には、幹細胞(例えば、胚性幹細胞の自在な変異誘発方法およびシステム、ならびにそれによって得られた幹細胞に関する。
多分化能を有する胚性幹細胞(本明細書において以下、ES細胞ともいう)をはじめとする幹細胞は、種々の臓器または組織に分化し得ることから、注目されている。例えば、「ノックアウト」マウスは、遺伝子ターゲティングによってES細胞から作製され得ることからその有用性が注目されている。
特に、ES細胞のインビトロでの、多くの異なる細胞型(例えば、造血細胞、ニューロンおよび心筋細胞(Kyba,M.およびDaley,G.Q.、Exp.Hematol.31:994〜1006(2003)=非特許文献1、Kim,J.H.ら、Nature 418:50〜56(2002)=非特許文献2およびParisi,S.ら、J.Cell Biol.163:303〜314(2003)=非特許文献3を参照のこと))への分化が報告されており、治療適用の可能性を示唆している(Reubinoff,B.E.,Pera,M.F.,Fong,C.Y.,Trouson,A.およびBongso,A.、Nature Biotechnol.18:399〜404(2000)=非特許文献4およびThomson,J.A.ら、Science 282:1145〜1147(1998)=非特許文献5を参照のこと)。
両方の対立遺伝子(二対立遺伝子)に変異を有する幹細胞ライブラリーの作製は、分化の分子機構ならびにES細胞の多分化能の分析に有用であり、そのような技術の登場が待ち望まれている。
Kyba,M.およびDaley,G.Q.、Exp.Hematol.31:994〜1006(2003) Kim,J.H.ら、Nature 418:50〜56(2002) Parisi,S.ら、J.Cell Biol.163:303〜314(2003) Reubinoff,B.E.,Pera,M.F.,Fong,C.Y.,Trouson,A.およびBongso,A.、Nature Biotechnol.18:399〜404(2000) Thomson,J.A.ら、Science 282:1145〜1147(1998)
本発明は、両方の対立遺伝子(二対立遺伝子)に変異を有する幹細胞を提供するための技術を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を検討した結果、ブルーム症候群遺伝子の条件的破壊が、ES細胞などのES細胞におけるゲノム全体にわたる変異導入を可能にすることを予想外に見いだしたことによって解決された。
従って、本発明は以下を提供する。
一つの局面において、本発明は、対立遺伝子の両方の鎖に変異が挿入された幹細胞を提供する。
一つの実施形態において、上記幹細胞は、胚性幹細胞である。
一つの実施形態において、上記幹細胞は、ブルーム症候群(Blm)遺伝子が喪失されているかまたは機能しないように改変されている。
一つの実施形態において、上記ブルーム症候群遺伝子は、配列番号1に記載される配列またはその改変体を含む。
別の局面において、本発明は、対立遺伝子の両方の鎖に変異が挿入された、幹細胞のライブラリーであって、上記ライブラリーに含まれる幹細胞は、ゲノム全体にわたって上記変異が導入されているライブラリーを提供する。
一つの実施形態において、上記幹細胞は、胚性幹細胞である。
一つの実施形態において、上記幹細胞は、ブルーム症候群遺伝子が喪失されているかまたは機能しないように改変されている。
一つの実施形態において、上記ブルーム症候群遺伝子は、配列番号1に記載される配列またはその改変体を含む。
別の局面において、本発明は、対立遺伝子の両方の鎖に変異が導入された幹細胞を生産する方法であって:A)幹細胞を提供する工程;B)上記幹細胞におけるブルーム症候群遺伝子が機能しないようにする工程;およびC)上記幹細胞における変異を誘発する工程、を包含する方法を提供する。
一つの実施形態において、上記ブルーム症候群遺伝子は、一過的に機能しないように処理される。
一つの実施形態において、上記ブルーム症候群遺伝子は、薬剤の存在下で、一過的に機能しないように処理されている。
一つの実施形態において、上記薬剤は、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、エストロジェン誘導体およびプロジェストロン誘導体からなる群より選択される。
一つの実施形態において、上記変異の誘発は、変異原への暴露、トランスポゾン遺伝子の利用、紫外線への暴露および放射線への曝露からなる群より選択される。
一つの実施形態において、相同組換えを誘発する工程をさらに包含する。
一つの実施形態において、相同組換えを前記細胞の4N期に誘発させ、上記誘発後に細胞分裂をさせる工程をさらに包含する。
一つの実施形態において、上記幹細胞は、胚性幹細胞である。
一つの実施形態において、上記胚性幹細胞は、哺乳動物の胚性幹細胞である。
別の局面において、本発明は、本発明の方法によって調製される、幹細胞を提供する。
一つの実施形態において、上記幹細胞が胚性幹細胞である。
別の局面において、本発明は、本発明の幹細胞または本発明の方法によって調製される幹細胞から得られる、組織を提供する。
別の局面において、本発明は、本発明の幹細胞または本発明の方法によって調製される幹細胞から得られる、生物体を提供する。
別の局面において、本発明は、ブルーム症候群遺伝子またはその改変体の、幹細胞の変異のための使用を提供する。
本発明の使用の1つの実施形態において、本発明の使用における前記ブルーム症候群遺伝子は、前記幹細胞において喪失されるかまたは機能しないように改変される。具体的な実施形態では、本発明の使用において用いられるブルーム症候群遺伝子は、配列番号1に記載される配列またはその改変体を含む。
別の局面において、本発明は、ブルーム症候群遺伝子またはその改変体の、幹細胞を変異させるための組成物を製造するための使用を提供する。
本発明の組成物を製造するための使用の1つの実施形態において、本発明の使用における前記ブルーム症候群遺伝子は、前記幹細胞において喪失されるかまたは機能しないように改変される。具体的な実施形態では、本発明の使用において用いられるブルーム症候群遺伝子は、配列番号1に記載される配列またはその改変体を含む。
(本発明のさらなる説明)
哺乳動物系における表現型ベースの遺伝スクリーニングの主要な制限は、ゲノムの二倍体性質である。ブルーム症候群遺伝子(Bml)の喪失は、ヘテロ接合の喪失(LOH)の増大した割合を示す(German,J.、Dermatol.Clin.13:7〜18(1995)、Groden,J.,Nakamura,Y.およびGerman,J.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:4315〜4319(1990)およびLuo,G.ら、Nature Genet.26:424〜429(2000)を参照のこと)。
本発明の1つの特定の実施形態において、本発明者らは、テトラサイクリン制御下のBlm対立遺伝子(Blmtet)を用いて、マウス胚性幹(ES)細胞でのゲノム全体にわたる二対立遺伝子変異の導入を示した。Blm発現の一過性の喪失は、姉妹染色分体間だけでなく、相同染色体間の相同組換えも誘導した。二対立遺伝子変異を有するES細胞の表現型が、テトラサイクリンアナログであるドキシサクリンの中止後も維持されることが示された。N−エチル−N−ニトロソ尿素(ENU)変異誘発およびBlm発現の一過性の喪失の組み合わせは、ゲノム全体にわたって二対立遺伝子変異を有するES細胞ライブラリーの作製を可能にした。このライブラリーは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーの生合成の変異に関するスクリーニングによって評価され、このGPIアンカーは、ゲノム全体にわたって広く分布する、少なくとも23個の遺伝子を含む。12個の別々の遺伝子由来の変異体を得た一方で、同時に2個の未知の変異体を単離した。
従って、本発明のこれらおよび他の利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読みかつ理解すれば、当業者には明白になることが理解される。
本発明は、効率のよい表現型ベースの遺伝スクリーニングを提供し、そしてES細胞における遺伝子機能の同定における効率のよい技術を提供する。本発明はまた、ES細胞におけるゲノム全体にわたる表現型ベースの解析を可能にする。
図1は、ES細胞における条件的なBlm対立遺伝子の産生およびSCEの増大を示す。図1aは、ターゲティング戦略および結果として生じたBlm対立遺伝子を示す。neo遺伝子またはpuro遺伝子を含むtetカセットをBlmの翻訳開始部位の上流に挿入し、BlmtetNまたはBlmtetPをそれぞれ作製した。Creの発現後、これらの選択マーカーが欠落し、結果としてBlmtetを生じる。BはBamHIを表し、SはSacIを表す。tetカセットについての略語は、Bond,C.T.ら、Science 289:1942〜1946(2000)に記載される。図1bは、標的化クローンのサザンブロット解析を示す。ゲノムDNAをBamHIで消化して電気泳動により分画し、図1aに示す放射標識したプローブでハイブリダイズした。図1cは、Blmtet/tetES細胞におけるBlm発現の、ウェスタンブロットによる長期の解析を示す。β−アクチン(Actb)の発現レベルをローディングコントロールとして使用した。図1dは、Blmtet/tetES細胞におけるBlm発現の、ウェスタンブロットによる短期の解析を示す。β−アクチン(Actb)の発現レベルをローディングコントロールとして使用した。図1eは、dox処理したBlmtet/tetES細胞(下のパネル)または未処理のBlmtet/tetES細胞(上のパネル)のSCEを示す。 図2は、Blm欠損ES細胞における高頻度なLOHを示す。図2aは、LOH機構の概略図である。ヘテロ接合をA/aとして表す。4N期に相同染色体間で相同組換えが起こる場合、細胞分裂の後にLOH(A/Aまたはa/a)を有する細胞が現れる。図2bは、LOHのLuria−Delbruck変動解析を示す。neo遺伝子を有するFasl遺伝子座の重複頻度を調べた。図2cは、Fasl遺伝子座の28個の二多型性変異の多型SSLPマーカー解析を示す。白抜きの四角、および黒い四角は、それぞれヘテロ接合およびLOHを示す。 図3は、変異ES細胞ライブラリーの構築およびGPIアンカー欠損変異体のスクリーニング戦略を示す。図3aは、二多型性変異を有するESライブラリー由来の、GPIアンカー欠損変異体のスクリーニングの概略図である。図3bは、このスクリーニング戦略の有効性の理論的な予測である。#1:2×10個のES細胞の、ENU処理後の生存細胞数。#2:6−TG耐性コロニーの割合として測定する、X連鎖性Hprt陰性細胞の頻度。#3:図2bに記載されたLOHの変異比率。#4:dox処理の間の世代(細胞周期)の数。括弧内の数字は、dox処理の間の細胞分裂の総数を示す。#5:「頻度」は、遺伝子座あたりの二多型性変異を有するクローンの頻度を表す(2.3×10−4×1/2400×7)。#6:dox処理後の遺伝子座あたり二多型変異を有する独立したクローンの数を示す。 図4は、GPIアンカー欠損変異体の解析を示す。図4aは、GPIアンカー欠損変異体の相補性解析を示す。GPIアンカーGFPタンパク質は、PIGA cDNAを供給したときのみ、PigA欠損ES細胞の細胞表面に発現した(右パネル)。左のパネルは、ポジティブコントロールとしてGFP−GPIをトランスフェクトし野生型のES細胞を示す。図4bは、GPIアンカーの生合成に関する23個の遺伝子の染色体位置を示す。赤い矢印は、このスクリーニングにおいて得られた変異体の12個の遺伝子を示し;黒い矢印は、得られなかった変異体の11個の遺伝子を示し;は、cDNAがすでにクローン化されているが未公開なものを示す。図4cは、変異遺伝子の染色体番号および得られた変異体の数を示す。各染色体における変異遺伝子の順序は、動原体から末端小粒に向ってである。**は、同一の変異を含む変異体を示し;***は、別の変異を含む変異体を示す。括弧内の数字は、同一の変異を有する変異体の数を示す。図4dは、PigHにおける変異の配列決定解析を示す。ホモ接合の変異が立証された。図4eは、GPI8における変異の配列決定解析を示す。ホモ接合の変異が立証された。図4fは、2つの新規変異体のFACS解析を示す。ES細胞を、ビオチン化抗HSA抗体(薄い線)および抗Thy−1抗体(濃い線)で染色し、続けて、ストレプトアビジン−PEで処理した。HSAおよびThy−1はGPIアンカータンパク質である。破線は、ビオチン化抗体を伴わない、コントロール染色の輪郭を示す(上のパネル)。下のパネルは、非GPIアンカータンパク質であるE−カドヘリンの発現パターンを示す。
配列表の説明
配列番号1は、ブルーム(Blm)遺伝子の核酸配列を示す。
配列番号2は、ブルーム遺伝子のアミノ酸配列を示す。
配列番号3は、実施例1において使用されるテトラサイクリンで条件的に調節されるBlm対立遺伝子のカセットの核酸配列を示す。
配列番号4は、変異neo遺伝子の核酸配列を示す。
配列番号5は、変異neo遺伝子のアミノ酸配列を示す。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において使用される「細胞」は、当該分野において用いられる最も広義の意味と同様に定義され、多細胞生物の組織の構成単位であって、外界を隔離する膜構造に包まれ、内部に自己再生能を備え、遺伝情報およびその発現機構を有する生命体をいう。本明細書において使用される細胞は、天然に存在する細胞であっても、人工的に改変された細胞(例えば、融合細胞、遺伝子改変細胞)であってもよい。細胞の供給源としては、例えば、単一の細胞培養物であり得、あるいは、正常に成長したトランスジェニック動物の胚、血液、または体組織、または正常に成長した細胞株由来の細胞のような細胞混合物が挙げられるがそれらに限定されない。
細胞の「4N期」とは、細胞の染色体数が、通常(2n)の2倍になっている時期をいう。そのような時期としては、例えば、細胞周期のG2期が挙げられるがそれらに限定されない。また、ある細胞が4N期かどうかは、Propidium Iodide(PI)で染色体を染めて判定することができる。
本明細書において「幹細胞」とは、自己複製能を有し、多分化能(すなわち多能性)(「pluripotency」)を有する細胞をいう。幹細胞は通常、組織が傷害を受けたときにその組織を再生することができる。本明細書では幹細胞は、胚性幹(ES)細胞または組織幹細胞(組織性幹細胞、組織特異的幹細胞または体性幹細胞ともいう)であり得るがそれらに限定されない。また、上述の能力を有している限り、人工的に作製した細胞(たとえば、本明細書において記載される融合細胞、再プログラム化された細胞など)もまた、幹細胞であり得る。胚性幹細胞とは初期胚に由来する多能性幹細胞をいう。胚性幹細胞は、1981年に初めて樹立され、1989年以降ノックアウトマウス作製にも応用されている。1998年にはヒト胚性幹細胞が樹立されており、再生医学にも利用されつつある。組織幹細胞は、胚性幹細胞とは異なり、分化の方向が限定されている細胞であり、組織中の特定の位置に存在し、未分化な細胞内構造をしている。従って、組織幹細胞は多能性のレベルが低い。組織幹細胞は、核/細胞質比が高く、細胞内小器官が乏しい。組織幹細胞は、概して、多分化能を有し、細胞周期が遅く、個体の一生以上に増殖能を維持する。本明細書において使用される場合は、幹細胞は好ましくは胚性幹細胞であり得るが、状況に応じて組織幹細胞も使用され得る。
由来する部位により分類すると、組織幹細胞は、例えば、皮膚系、消化器系、骨髄系、神経系などに分けられる。皮膚系の組織幹細胞としては、表皮幹細胞、毛嚢幹細胞などが挙げられる。消化器系の組織幹細胞としては、膵(共通)幹細胞、肝幹細胞などが挙げられる。骨髄系の組織幹細胞としては、造血幹細胞、間葉系幹細胞などが挙げられる。神経系の組織幹細胞としては、神経幹細胞、網膜幹細胞などが挙げられる。
本明細書において「体細胞」とは、卵子、精子などの生殖細胞以外の細胞であり、そのDNAを次世代に直接引き渡さない全ての細胞をいう。体細胞は通常、多能性が限定されているかまたは消失している。
細胞は、由来により、外胚葉、中胚葉および内胚葉に由来する幹細胞に分類され得る。外胚葉由来の細胞は、主に脳に存在し、神経幹細胞などが含まれる。中胚葉由来の細胞は、主に骨髄に存在し、血管幹細胞、造血幹細胞および間葉系幹細胞などが含まれる。内胚葉由来の細胞は主に臓器に存在し、肝幹細胞、膵幹細胞などが含まれる。本明細書では、体細胞はどのような胚葉由来でもよい。
本明細書において「単離された」とは、通常の環境において天然に付随する物質が少なくとも低減されていること、好ましくは実質的に含まないをいう。従って、単離された細胞とは、天然の環境において付随する他の物質(たとえば、他の細胞、タンパク質、核酸など)を実質的に含まない細胞をいう。核酸またはポリペプチドについていう場合、「単離された」とは、たとえば、組換えDNA技術により作製された場合には細胞物質または培養培地を実質的に含まず、化学合成された場合には前駆体化学物質またはその他の化学物質を実質的に含まない、核酸またはポリペプチドを指す。単離された核酸は、好ましくは、その核酸が由来する生物において天然に該核酸に隣接している(flanking)配列(即ち、該核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まない。
本明細書において、「樹立された」または「確立された」細胞とは、特定の性質(例えば、多分化能)を維持し、かつ、細胞が培養条件下で安定に増殖し続けるようになった状態をいう。したがって、樹立された幹細胞は、多分化能を維持する。本発明では、樹立された幹細胞を使用することは、宿主から新たに幹細胞を採取するという工程を回避することができるので好ましい。
本明細書において、「非胚性」とは、初期胚に直接由来しないことをいう。従って、初期胚以外の身体部分に由来する細胞がこれに該当するが、胚性幹細胞に改変(例えば、遺伝的改変、融合など)を加えて得られる細胞もまた、非胚性細胞の範囲内にある。
本明細書において「分化(した)細胞」とは、機能および形態が特殊化した細胞(例えば、筋細胞、神経細胞など)をいい、幹細胞とは異なり、多能性はないか、またはほとんどない。分化した細胞としては、例えば、表皮細胞、膵実質細胞、膵管細胞、肝細胞、血液細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、神経細胞、血管内皮細胞、色素細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞などが挙げられる。
本明細書において、「分化」または「細胞分化」とは、1個の細胞の分裂によって由来した娘細胞集団の中で形態的および/または機能的に質的な差をもった二つ以上のタイプの細胞が生じてくる現象をいう。従って、元来特別な特徴を検出できない細胞に由来する細胞集団(細胞系譜)が、特定のタンパク質の産生などはっきりした特徴を示すに至る過程も分化に包含される。現在では細胞分化を,ゲノム中の特定の遺伝子群が発現した状態と考えることが一般的であり、このような遺伝子発現状態をもたらす細胞内あるいは細胞外の因子または条件を探索することにより細胞分化を同定することができる。細胞分化の結果は原則として安定であって、特に動物細胞では,別のタイプの細胞に分化することは例外的にしか起こらない。
本明細書において「多能性」または「多分化能」とは、互換可能に用いられ、細胞の性質をいい、1以上、好ましくは2以上の種々の組織または臓器に分化し得る能力をいう。従って、「多能性」および「多分化能」は、本明細書においては特に言及しない限り「未分化」と互換可能に用いられる。通常、細胞の多能性は発生が進むにつれて制限され、成体では一つの組織または器官の構成細胞が別のものの細胞に変化することは少ない。従って多能性は通常失われている。とくに上皮性の細胞は他の上皮性細胞に変化しにくい。これが起きる場合通常病的な状態であり、化生(metaplasia)と呼ばれる。しかし間葉系細胞では比較的単純な刺激で他の間葉性細胞にかわり化生を起こしやすいので多能性の程度は高い。胚性幹細胞は、多能性を有する。組織幹細胞は、多能性を有する。本明細書において、多能性のうち、受精卵のように生体を構成する全ての種類の細胞に分化する能力は全能性といい、多能性は全能性の概念を包含し得る。ある細胞が多能性を有するかどうかは、たとえば、体外培養系における、胚様体(Embryoid Body)の形成、分化誘導条件下での培養等が挙げられるがそれらに限定されない。また、生体を用いた多能性の有無についてのアッセイ法としては、免疫不全マウスへの移植による奇形腫(テラトーマ)の形成、胚盤胞への注入によるキメラ胚の形成、生体組織への移植、腹水への注入による増殖等が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「臓器」または「器官」とは、互換可能に用いられ、生物個体のある機能が個体内の特定の部分に局在して営まれ,かつその部分が形態的に独立性をもっている構造体をいう。一般に多細胞生物(例えば、動物、植物)では器官は特定の空間的配置をもついくつかの組織からなり、組織は多数の細胞からなる。そのような臓器または器官としては、血管系に関連する臓器または器官が挙げられる。1つの実施形態では、本発明が対象とする臓器は、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤、膵臓、脳、四肢末梢、網膜などが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書において、本発明の多能性細胞から分化した細胞としては、表皮細胞、膵実質細胞、膵管細胞、肝細胞、血液細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、神経細胞、血管内皮細胞、色素細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「組織」(tissue)とは、多細胞生物において、実質的に同一の機能および/または形態をもつ細胞集団をいう。通常「組織」は、同じ起源を有するが、異なる起源を持つ細胞集団であっても、同一の機能および/-または形態を有するのであれば、組織と呼ばれ得る。従って、本発明の幹細胞を用いて組織を再生する場合、2以上の異なる起源を有する細胞集団が一つの組織を構成し得る。通常、組織は、臓器の一部を構成する。動物の組織は,形態的、機能的または発生的根拠に基づき、上皮組織、結合組織、筋肉組織、神経組織などに区別される。植物では、構成細胞の発達段階によって分裂組織と永久組織とに大別され、また構成細胞の種類によって単一組織と複合組織とに分けるなど、いろいろな分類が行われている。
本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」を含む。「誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
用語「核酸分子」もまた、本明細書において、核酸、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用され、cDNA、mRNA、ゲノムDNAなどを含む。本明細書では、核酸および核酸分子は、用語「遺伝子」の概念に含まれ得る。
本明細書において、「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定するものを構造遺伝子といい、その発現を左右するものを調節遺伝子(たとえば、プロモーター)という。本明細書では、遺伝子は、特に言及しない限り、構造遺伝子および調節遺伝子を包含する。したがって、ブルーム症候群(Blm)遺伝子というときは、通常、ブルーム症候群(Blm)遺伝子の構造遺伝子およびブルーム症候群(Blm)遺伝子のプロモーターの両方を包含する。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」ならびに/または「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を指すことがある。本明細書においてはまた、「遺伝子産物」は、遺伝子によって発現された「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」ならびに/または「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を包含する。当業者であれば、遺伝子産物が何たるかはその状況に応じて理解することができる。
本明細書において遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。本明細書において、遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「類似性」とは、上記相同性において、保存的置換をポジティブ(同一)とみなした場合の、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、保存的置換がある場合は、その保存的置換の存在に応じて同一性と類似性とは異なる。また、保存的置換がない場合は、同一性と類似性とは同じ数値を示す。
本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。
本明細書において、「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体アミノ酸」または「アミノ酸アナログ」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体アミノ酸およびアミノ酸アナログは、当該分野において周知である。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
本明細書において、「対応する」アミノ酸または核酸とは、それぞれあるポリペプチド分子またはポリヌクレオチド分子において、比較の基準となるポリペプチドまたはポリヌクレオチドにおける所定のアミノ酸と同様の作用を有するか、あるいは有することが予測されるアミノ酸または核酸をいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。例えば、あるポリヌクレオチドのアンチセンス分子であれば、そのアンチセンス分子の特定の部分に対応するオルソログにおける同様の部分であり得る。本明細書では、ブルーム症候群遺伝子の機能を担うアミノ酸は、マウスのブルーム症候群遺伝子が他の動物の対応するアミノ酸が同様に機能を担うことが理解される。
本明細書において、「対応する」遺伝子とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子の対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログあるいは種相同体であり得る。したがって、マウスブルーム症候群遺伝子に対応する遺伝子は、他の動物においても見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。したがって、例えば、ある動物における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子(例えば、マウスブルーム症候群遺伝子)の配列をクエリ配列として用いてその動物(例えばヒト、ラット)の配列データベースを検索することによって見出すことができる。
本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体ヌクレオチド」または「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、当該分野において周知である。そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において、「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または加減としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。
本明細書において、「ブルーム症候群遺伝子」、「Bloom」遺伝子、「ブルーム」遺伝子、および「Blm」遺伝子は、交換可能に用いられ、DNA修復に関連する遺伝子異常による疾患群であって、小頭症,小人症を伴う劣性遺伝病の原因遺伝子をいう。ブルーム症候群遺伝子としては、例えば、
(A)(a)配列番号1に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有する改変体ポリペプチドであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体である、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体をコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
を含む、
核酸分子;あるいは
(B)(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
を含む、
ポリペプチドをコードする核酸分子が挙げられるがそれらに限定されない。ブルーム症候群(Blm)遺伝子は好ましくは、
(A) (a)配列番号1に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有する改変体ポリペプチドであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体である、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体をコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも70%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
を含む、
核酸分子;あるいは
(B)(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも70%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
を含む、
ポリペプチドをコードする核酸分子が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において「外来遺伝子」とは、ある生物において、その生物には天然には存在しない遺伝子をいう。そのような外来遺伝子は、その生物に天然に存在する遺伝子を改変したものであってもよく、天然において他の生物に存在する遺伝子(例えば、ブルーム遺伝子)であってもよく、人工的に合成した遺伝子であってもよく、それらの複合体(例えば、融合体)であってもよい。そのような外来遺伝子を含む生物は、天然では発現しない遺伝子産物を発現し得る。
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなど遺伝子産物の「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一形態であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
従って、本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」の「減少」とは、本発明の因子を作用させたときに、作用させないときよりも、発現の量が有意に減少することをいう。好ましくは、発現の減少は、ポリペプチドの発現量の減少を含む。本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの「発現」の「増加」とは、本発明の因子を作用させたときに、作用させないときよりも、発現の量が有意に増加することをいう。好ましくは、発現の増加は、ポリペプチドの発現量の増加を含む。本明細書において遺伝子の「発現」の「誘導」とは、ある細胞にある因子を作用させてその遺伝子の発現量を増加させることをいう。したがって、発現の誘導は、まったくその遺伝子の発現が見られなかった場合にその遺伝子が発現するようにすること、およびすでにその遺伝子の発現が見られていた場合にその遺伝子の発現が増大することを包含する。
本明細書において「薬剤」とは、その存在下において、特定の細胞が生存する(またはより強く生存する)が、別の特定の細胞が生存しない(または弱く生存する)ような性質を有する化合物をいい、細胞の生存の有無または強弱によって、細胞を選択することができる。そのような薬剤としては、例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、エストロジェン誘導体およびプロジェストロン誘導体などを挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書では、外的因子(例えば、抗生物質)の存在によって、発現が誘導されるか、または誘導がとまるような遺伝子であることが好ましい。
本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含される。例えば、ある因子がアンチセンス分子である場合、その生物学的活性は、対象となる核酸分子への結合、それによる発現抑制などを包含する。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。
本明細書において「アンチセンス(活性)」とは、標的遺伝子の発現を特異的に抑制または低減することができる活性をいう。アンチセンス活性は、通常、目的とする遺伝子(例えば、Blm)の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列によって達成される。このようなアンチセンス活性を有する分子をアンチセンス分子という。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。そのような核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、もっとも好ましくは95%相同な核酸配列が含まれる。そのようなアンチセンス活性は、目的とする遺伝子の核酸配列の5’末端の配列に対して相補的であることが好ましい。そのようなアンチセンスの核酸配列には、上述の配列に対して、1つまたは数個あるいは1つ以上のヌクレオチドの置換、付加および/または欠失を有するものもまた含まれる。
本明細書において「RNAi」とは、RNA interferenceの略称で、二本鎖RNA(dsRNAともいう)のようなRNAiを引き起こす因子を細胞に導入することにより、相同なmRNAが特異的に分解され、遺伝子産物の合成が抑制される現象およびそれに用いられる技術をいう。本明細書においてRNAiはまた、場合によっては、RNAiを引き起こす因子と同義に用いられ得る。
本明細書において「RNAiを引き起こす因子」とは、RNAiを引き起こすことができるような任意の因子をいう。本明細書において「遺伝子」に対して「RNAiを引き起こす因子」とは、その遺伝子に関するRNAiを引き起こし、RNAiがもたらす効果(例えば、その遺伝子の発現抑制など)が達成されることをいう。そのようなRNAiを引き起こす因子としては、例えば、標的遺伝子の核酸配列の一部に対して少なくとも約70%の相同性を有する配列またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含む、少なくとも10ヌクレオチド長の二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体が挙げられるがそれに限定されない。ここで、この因子は、好ましくは、3’突出末端を含み、より好ましくは、3’突出末端は、2ヌクレオチド長以上のDNA(例えば、2〜4ヌクレオチド長のDNAであり得る。
理論に束縛されないが、RNAiが働く機構として考えられるものの一つとして、dsRNAのようなRNAiを引き起こす分子が細胞に導入されると、比較的長い(例えば、40塩基対以上)RNAの場合、ヘリカーゼドメインを持つダイサー(Dicer)と呼ばれるRNaseIII様のヌクレアーゼがATP存在下で、その分子を3’末端から約20塩基対ずつ切り出し、短鎖dsRNA(siRNAとも呼ばれる)を生じる。本明細書において「siRNA」とは、short interfering RNAの略称であり、人工的に化学合成されるかまたは生化学的に合成されたものか、あるいは生物体内で合成されたものか、あるいは約40塩基以上の二本鎖RNAが体内で分解されてできた10塩基対以上の短鎖二本鎖RNAをいい、通常、5’−リン酸、3’−OHの構造を有しており、3’末端は約2塩基突出している。このsiRNAに特異的なタンパク質が結合して、RISC(RNA−induced−silencing−complex)が形成される。この複合体は、siRNAと同じ配列を有するmRNAを認識して結合し、RNaseIII様の酵素活性によってsiRNAの中央部でmRNAを切断する。siRNAの配列と標的として切断するmRNAの配列の関係については、100%一致することが好ましい。しかし、siRNAの中央から外れた位置についての塩基の変異については、完全にRNAiによる切断活性がなくなるのではなく、部分的な活性が残存する。他方、siRNAの中央部の塩基の変異は影響が大きく、RNAiによるmRNAの切断活性が極度に低下する。このような性質を利用して、変異をもつmRNAについては、その変異を中央に配したsiRNAを合成し、細胞内に導入することで特異的に変異を含むmRNAだけを分解することができる。従って、本発明では、siRNAそのものをRNAiを引き起こす因子として用いることができるし、siRNAを生成するような因子(例えば、代表的に約40塩基以上のdsRNA)をそのような因子として用いることができる。
また、理論に束縛されることを希望しないが、siRNAは、上記経路とは別に、siRNAのアンチセンス鎖がmRNAに結合してRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)のプライマーとして作用し、dsRNAが合成され、このdsRNAが再びダイサーの基質となり、新たなsiRNAを生じて作用を増幅することも企図される。従って、本発明では、siRNA自体およびsiRNAが生じるような因子もまた、有用である。実際に、昆虫などでは、例えば35分子のdsRNA分子が、1,000コピー以上ある細胞内のmRNAをほぼ完全に分解することから、siRNA自体およびsiRNAが生じるような因子が有用であることが理解される。
本発明においてsiRNAと呼ばれる、約20塩基前後(例えば、代表的には約21〜23塩基長)またはそれ未満の長さの二本鎖RNAを用いることができる。このようなsiRNAは、細胞に発現させることにより遺伝子発現を抑制し、そのsiRNAの標的となる病原遺伝子の発現を抑えることから、疾患の治療、予防、予後などに使用することができる。
本発明において用いられるsiRNAは、RNAiを引き起こすことができる限り、どのような形態を採っていてもよい。
別の実施形態において、本発明のRNAiを引き起こす因子は、3’末端に突出部を有する短いヘアピン構造(shRNA;short hairpin RNA)であり得る。本明細書において「shRNA」とは、一本鎖RNAで部分的に回文状の塩基配列を含むことにより、分子内で二本鎖構造をとり、ヘアピンのような構造となる約20塩基対以上の分子をいう。そのようなshRNAは、人工的に化学合成される。あるいは、そのようなshRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖のDNA配列を逆向きに連結したヘアピン構造のDNAをT7 RNAポリメラーゼによりインビトロでRNAを合成することによって生成することができる。理論に束縛されることは希望しないが、そのようなshRNAは、細胞内に導入された後、細胞内で約20塩基(代表的には例えば、21塩基、22塩基、23塩基)の長さに分解され、siRNAと同様にRNAiを引き起こし、本発明の処置効果があることが理解されるべきである。このような効果は、昆虫、植物、動物(哺乳動物を含む)など広汎な生物において発揮されることが理解されるべきである。このように、shRNAは、siRNAと同様にRNAiを引き起こすことから、本発明の有効成分として用いることができる。shRNAはまた、好ましくは、3’突出末端を有し得る。二本鎖部分の長さは特に限定されないが、好ましくは約10ヌクレオチド長以上、より好ましくは約20ヌクレオチド長以上であり得る。ここで、3’突出末端は、好ましくはDNAであり得、より好ましくは少なくとも2ヌクレオチド長以上のDNAであり得、さらに好ましくは2〜4ヌクレオチド長のDNAであり得る。
本発明において用いられるRNAiを引き起こす因子は、人工的に合成した(例えば、化学的または生化学的)ものでも、天然に存在するものでも用いることができ、この両者の間で本発明の効果に本質的な違いは生じない。化学的に合成したものでは、液体クロマトグラフィーなどにより精製をすることが好ましい。
本発明において用いられるRNAiを引き起こす因子は、インビトロで合成することもできる。この合成系において、T7 RNAポリメラーゼおよびT7プロモーターを用いて、鋳型DNAからアンチセンスおよびセンスのRNAを合成する。これらをインビトロでアニーリングした後、細胞に導入すると、上述のような機構を通じてRNAiが引き起こされ、本発明の効果が達成される。ここでは、例えば、リン酸カルシウム法でそのようなRNAを細胞内に導入することができる。
本発明のRNAiを引き起こす因子としてはまた、mRNAとハイブリダイズし得る一本鎖、あるいはそれらのすべての類似の核酸アナログのような因子も挙げられる。そのような因子もまた、本発明の処置方法および組成物において有用である。
本明細書において、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、本発明で具体的に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
本明細書において「プローブ」とは、インビトロおよび/またはインビボなどのスクリーニングなどの生物学的実験において用いられる、検索の対象となる物質をいい、例えば、特定の塩基配列を含む核酸分子または特定のアミノ酸配列を含むペプチドなどが挙げられるがそれに限定されない。
通常プローブとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相同なまたは相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。
本明細書において、「検索」とは、電子的にまたは生物学的あるいは他の方法により、ある核酸塩基配列を利用して、特定の機能および/または性質を有する他の核酸塩基配列を見出すことをいう。電子的な検索としては、BLAST(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990))、FASTA(Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 85:2444−2448(1988))、Smith and Waterman法(Smith and Waterman,J.Mol.Biol.147:195−197(1981))、およびNeedleman and Wunsch法(Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443−453(1970))などが挙げられるがそれらに限定されない。生物学的な検索としては、ストリンジェントハイブリダイゼーション、ゲノムDNAをナイロンメンブレン等に貼り付けたマクロアレイまたはガラス板に貼り付けたマイクロアレイ(マイクロアレイアッセイ)、PCRおよび in situハイブリダイゼーションなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書における「プライマー」とは、高分子合成酵素反応において、合成される高分子化合物の反応の開始に必要な物質をいう。核酸分子の合成反応では、合成されるべき高分子化合物の一部の配列に相補的な核酸分子(例えば、DNAまたはRNAなど)が用いられ得る。
通常プライマーとして用いられる核酸分子としては、目的とする遺伝子の核酸配列と相補的な、少なくとも8の連続するヌクレオチド長の核酸配列を有するものが挙げられる。そのような核酸配列は、好ましくは、少なくとも9の連続するヌクレオチド長の、より好ましく10の連続するヌクレオチド長の、さらに好ましくは11の連続するヌクレオチド長の、12の連続するヌクレオチド長の、13の連続するヌクレオチド長の、14の連続するヌクレオチド長の、15の連続するヌクレオチド長の、16の連続するヌクレオチド長の、17の連続するヌクレオチド長の、18の連続するヌクレオチド長の、19の連続するヌクレオチド長の、20の連続するヌクレオチド長の、25の連続するヌクレオチド長の、30の連続するヌクレオチド長の、40の連続するヌクレオチド長の、50の連続するヌクレオチド長の、核酸配列であり得る。プローブとして使用される核酸配列には、上述の配列に対して、少なくとも70%相同な、より好ましくは、少なくとも80%相同な、さらに好ましくは、90%相同な、95%相同な核酸配列が含まれる。プライマーとして適切な配列は、合成(増幅)が意図される配列の性質によって変動し得るが、当業者は、意図される配列に応じて適宜プライマーを設計することができる。そのようなプライマーの設計は当該分野において周知であり、手動でおこなってもよくコンピュータプログラム(例えば、LASERGENE,PrimerSelect,DNAStar)を用いて行ってもよい。
本明細書においてある核酸分子またはポリペプチドに「特異的に結合する因子」とは、その核酸分子またはポリペプチドに対するその因子の結合レベルが、その核酸分子またはポリペプチド以外の核酸分子またはポリペプチドに対するその因子の結合レベルと同じかまたはそれよりも高い因子をいう。そのような因子としては、例えば、対象が核酸分子の場合、対象となる核酸分子に対して相補的な配列を有する核酸分子、対象となる核酸配列に対して結合するポリペプチド(例えば、転写因子など)などが挙げられ、対象がポリペプチドの場合、抗体、単鎖抗体、レセプター−リガンドの対のいずれか一方、酵素−基質のいずれか一方などが挙げられるがそれらに限定されない。
(遺伝子の改変)
上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数の重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol.157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5))である。
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、酵素活性において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。
親水性指数もまた、ポリペプチドの設計において考慮され得る。米国特許第4,554,101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。
本発明において、「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例としては、例えば、親水性指数または疎水性指数が、±2以内のもの同士、好ましくは±1以内のもの同士、より好ましくは±0.5以内のもの同士のものが挙げられるがそれらに限定されない。従って、保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。そのような対立遺伝子変異体は、通常その対応する対立遺伝子と同一または非常に類似性の高い配列を有し、通常はほぼ同一の生物学的活性を有するが、まれに異なる生物学的活性を有することもある。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトおよびマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子およびβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用である。オルソログは、通常別の種においてもとの種と同様の機能を果たしていることがあり得ることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用であり得る。
本明細書において、Blm遺伝子を機能しないようにすることは、Blm遺伝子の正常な機能を破壊(または低下)するように改変するか、Blm遺伝子が欠失するように細胞を操作するか、アンチセンスまたはRNAiのような技術によって、Blm遺伝子を機能させなくするか、あるいは一過的に機能しないように薬剤などにより処理することによって達成され得る。
本明細書において「変異誘発」とは、ある遺伝子に対して変異を生じさせることをいい、そのような変異誘発の因子としては、例えば、変異原(例えば、N−エチル−N−ニトロソ尿素(ENU)、ニトロソアミン誘導体など)、トランスポゾン遺伝子の利用、紫外線への暴露および放射線へのなどを挙げることができるがそれらに限定されない。トランスポゾンを利用した変異誘発は、本発明者らの技術(国際公開WO02/13602)を参酌して、当業者が実施することができることが理解される。
本明細書において「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。このような塩基配列の改変法としては、制限酵素などによる切断、DNAポリメラーゼ、Klenowフラグメント、DNAリガーゼなどによる処理等による連結等の処理、合成オリゴヌクレオチドなどを用いた部位特異的塩基置換法(特定部位指向突然変異法;Mark Zoller and Michael Smith,Methods in Enzymology,100,468−500(1983))が挙げられるが、この他にも通常分子生物学の分野で用いられる方法によって改変を行うこともできる。
本明細書中において、機能的に等価なポリペプチドを作製するために、アミノ酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。アミノ酸の置換とは、もとのペプチドを1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。アミノ酸の付加とは、もとのペプチド鎖に1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。アミノ酸の欠失とは、もとのペプチドから1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。アミノ酸修飾は、アミド化、カルボキシル化、硫酸化、ハロゲン化、アルキル化、グリコシル化、リン酸化、水酸化、アシル化(例えば、アセチル化)などを含むが、これらに限定されない。置換、または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸であってもよく、非天然のアミノ酸、またはアミノ酸アナログでもよい。天然のアミノ酸が好ましい。
本明細書において使用される用語「ペプチドアナログ」または「ペプチド誘導体」とは、ペプチドとは異なる化合物であるが、ペプチドと少なくとも1つの化学的機能または生物学的機能が等価であるものをいう。したがって、ペプチドアナログには、もとのペプチドに対して、1つ以上のアミノ酸アナログまたはアミノ酸誘導体が付加または置換されているものが含まれる。ペプチドアナログは、その機能が、もとのペプチドの機能(例えば、pKa値が類似していること、官能基が類似していること、他の分子との結合様式が類似していること、水溶性が類似していることなど)と実質的に同様であるように、このような付加または置換がされている。そのようなペプチドアナログは、当該分野において周知の技術を用いて作製することができる。したがって、ペプチドアナログは、アミノ酸アナログを含むポリマーであり得る。
同様に、「ポリヌクレオチドアナログ」、「核酸アナログ」は、ポリヌクレオチドまたは核酸とは異なる化合物であるが、ポリヌクレオチドまたは核酸と少なくとも1つの化学的機能または生物学的機能が等価であるものをいう。したがって、ポリヌクレオチドアナログまたは核酸アナログには、もとのペプチドに対して、1つ以上のヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド誘導体が付加または置換されているものが含まれる。
本明細書において使用される核酸分子は、発現されるポリペプチドが天然型のポリペプチドと実質的に同一の活性を有する限り、上述のようにその核酸の配列の一部が欠失または他の塩基により置換されていてもよく、あるいは他の核酸配列が一部挿入されていてもよい。あるいは、5’末端および/または3’末端に他の核酸が結合していてもよい。また、ポリペプチドをコードする遺伝子をストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、そのポリペプチドと実質的に同一の機能を有するポリペプチドをコードする核酸分子でもよい。このような遺伝子は、当該分野において公知であり、本発明において利用することができる。
このような核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変位誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの「置換、付加または欠失」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、それぞれアミノ酸もしくはその代替物、またはヌクレオチドもしくはその代替物が、置き換わること、付け加わることまたは取り除かれることをいう。このような置換、付加または欠失の技術は、当該分野において周知であり、そのような技術の例としては、部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。置換、付加または欠失は、1つ以上であれば任意の数でよく、そのような数は、その置換、付加または欠失を有する改変体において目的とする機能(例えば、ホルモン、サイトカインの情報伝達機能など)が保持される限り、多くすることができる。例えば、そのような数は、1または数個であり得、そして好ましくは、全体の長さの20%以内、10%以内、または100個以下、50個以下、25個以下などであり得る。
本明細書において、遺伝子が「特異的に発現する」とは、その遺伝子が、植物の特定の部位または時期において他の部位または時期とは異なる(好ましくは高い)レベルで発現されることをいう。特異的に発現するとは、ある部位(特異的部位)にのみ発現してもよく、それ以外の部位においても発現していてもよい。好ましくは特異的に発現するとは、ある部位においてのみ発現することをいう。
本明細書において「相同組換え」は、染色体間の対応するDNA部分の交換現象をいい、例えば、Blm遺伝子の欠損およびCre/loxPシステムという条件に曝すことによって達成することができる。特に、相同組換えを前記細胞の4N期に誘発させることが所望される場合は、Blm遺伝子の欠損およびCre/loxPシステムという条件に曝すことによって達成することができる。
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J.et al.(1989).Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Ausubel,F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.AssociatESand Wiley−Interscience;Ausubel,F.M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associat ESand Wiley−Interscience;Sambrook,J.et al.(1989).Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Innis,M.A.(1990).PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications,Academic Press;Ausubel,F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Ausubel,F.M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Innis,M.A.et al.(1995).PCR Strategies,Academic Press;Ausubel,F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,and annual updates;Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications: Protocols for Functional Genomics,Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えば、Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRLPress;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac,IRL Press;Adams,R.L.etal.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman&Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(I996).Bioconjugate Techniques,Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
本明細書において遺伝子について言及する場合、「ベクター」または「組換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体などの宿主細胞において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。ベクターのうち、クローニングに適したベクターを「クローニングベクター」という。そのようなクローニングベクターは通常、制限酵素部位を複数含むマルチプルクローニング部位を含む。現在、遺伝子のクローニングに使用可能なベクターは、当該分野において多数存在し、販売元により、微妙な違い(例えばマルチクローニングサイトの制限酵素の種類や配列)から名前を変えて販売されている。例えば、In Molecular Cloning (3rd edition) Sambrook,J and Russell,D.W.,Appendix 3 (Volume 3),Vectors and Bacterial strains.A3.2 (Cold Spring Harbor USA,2001)に代表的なものが記載(発売元も記載)されており、そのようなものを当業者は適宜目的に応じて使用することができる。
本明細書において「発現ベクター」とは、構造遺伝子およびその発現を調節するプロモーターに加えて種々の調節エレメントが宿主の細胞中で作動し得る状態で連結されている核酸配列をいう。調節エレメントは、好ましくは、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子のような選択マーカーおよび、エンハンサーを含み得る。生物(例えば、動物)の発現ベクターのタイプおよび使用される調節エレメントの種類が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
本明細書において使用される組換えベクターとしては、例えば、ゲノムライブラリーのスクリーニングにはラムダFIXベクター(ファージベクター)を、cDNAのスクリーニングではラムダZAPベクター(ファージベクター)を利用することができる。ゲノムDNAのクローニングにはpBluescript II SK+/−,pGEM,pCR2.1 ベクター(プラスミドベクター)を主に使用することができる。発現ベクターとしてpSV2neoベクター(プラスミドベクター)を利用することができる。このようなベクターは、前出のMolecular Cloning A3.2を参考にして適宜実施することができる。
本明細書において「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に関与して遺伝子の発現量に影響を及ぼすことが知られている。
本明細書において「プロモーター」とは、遺伝子の転写の開始部位を決定し、またその頻度を直接的に調節するDNA上の領域をいい、通常RNAポリメラーゼが結合して転写を始める塩基配列である。したがって、本明細書においてある遺伝子のプロモーターの働きを有する部分を「プロモーター部分」という。プロモーターの領域は、通常、推定タンパク質コード領域の第1エキソンの上流約2kbp以内の領域であることが多いので、DNA解析用ソフトウエアを用いてゲノム塩基配列中のタンパク質コード領域を予測すれば、プロモータ領域を推定することはできる。推定プロモーター領域は、構造遺伝子ごとに変動するが、通常構造遺伝子の上流にあるが、これらに限定されず、構造遺伝子の下流にもあり得る。好ましくは、推定プロモーター領域は、第一エキソン翻訳開始点から上流約2kbp以内に存在する。
本明細書において「エンハンサー」とは、目的遺伝子の発現効率を高めるために用いられる配列をいう。そのようなエンハンサーは当該分野において周知である。エンハンサーは複数個用いられ得るが1個用いられてもよいし、用いなくともよい。
本明細書において「作動可能に連結された(る)」とは、所望の配列の発現(作動)がある転写翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。プロモーターが遺伝子に作動可能に連結されるためには、通常、その遺伝子のすぐ上流にプロモーターが配置されるが、必ずしも隣接して配置される必要はない。
本明細書において、「一過的に機能しないように処理」とは、一過的に、ある遺伝子の機能が発揮されないように処理されていることをいい、例えば、ある遺伝子がある因子をコードする遺伝子に作動可能に連結されることによって、その因子のスイッチのオンオフを担う因子(例えば、金属、抗生物質、薬剤など)が存在または不存在となったときに、その遺伝子が機能しないように配置されていることをいう。
本明細書において、核酸分子を細胞に導入する技術は、どのような技術でもよく、例えば、形質転換、形質導入、トランスフェクションなどが挙げられる。 そのような核酸分子の導入技術は、当該分野において周知であり、かつ、慣用されるものであり、例えば、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley、New York、NY;Sambrook Jら(1987)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.およびその第三版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載される。遺伝子の導入は、ノーザンブロット、ウェスタンブロット分析のような本明細書に記載される方法または他の周知慣用技術を用いて確認することができる。
また、ベクターの導入方法としては、細胞にDNAを導入する上述のような方法であればいずれも用いることができ、例えば、トランスフェクション、形質導入、形質転換など(例えば、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法など)が挙げられる。
本明細書において「形質転換体」とは、形質転換によって作製された細胞などの生命体の全部または一部をいう。形質転換体としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞などが例示される。形質転換体は、その対象に依存して、形質転換細胞、形質転換組織、形質転換宿主などともいわれる。本発明において用いられる細胞は、形質転換体であってもよい。
本発明において遺伝子操作などにおいて原核生物細胞が使用される場合、原核生物細胞としては、Escherichia属、Serratia属、Bacillus属、Brevibacterium属、Corynebacterium属、Microbacterium属、Pseudomonas属などに属する原核生物細胞、例えば、Escherichia coli XL1−Blue、Escherichia coli XL2−Blue、Escherichia coli DH1が例示され、そのような細胞は、In “Molecular Cloning (3rd edition)” by Sambrook,J and Russell,D.W.,Appendix 3 (Volume 3),Vectors and Bacterial strains.A3.2 (Cold Spring Harbor USA 2001) に記載されている。
本明細書において使用される場合、動物細胞としては、マウス・ミエローマ細胞、ラット・ミエローマ細胞、マウス・ハイブリドーマ細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、BHK細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、ヒト白血病細胞、HBT5637(特開昭63−299)、ヒト結腸癌細胞株などを挙げることができる。マウス・ミエローマ細胞としては、ps20、NSOなど、ラット・ミエローマ細胞としてはYB2/0など、ヒト胎児腎臓細胞としてはHEK293(ATCC:CRL−1573)など、ヒト白血病細胞としてはBALL−1など、アフリカミドリザル腎臓細胞としてはCOS−1、COS−7、ヒト結腸癌細胞株としてはHCT−15が例示され、好ましくは、例えば、Cos1,NIH3T3,ES (R1,TMA,NR2)細胞が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される場合、組換えベクターの導入方法としては、DNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法[Methods.Enzymol.,194,182(1990)]、リポフェクション法、スフェロプラスト法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,1929(1978)]、酢酸リチウム法[J.Bacteriol.,153,163(1983)]、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)記載の方法などが例示される。
本明細書において使用されるゲノムまたは遺伝子座などを除去する方法において用いられる、Cre酵素の一過的発現、染色体上でのDNAマッピングなどは、細胞工学別冊実験プロトコールシリーズ「FISH実験プロトコール ヒト・ゲノム解析から染色体・遺伝子診断まで」松原謙一、吉川 寛 監修 秀潤社(東京)などに記載されるように、当該分野において周知である。
本明細書において遺伝子発現(たとえば、mRNA発現、ポリペプチド発現)の「検出」または「定量」は、例えば、mRNAの測定および免疫学的測定方法を含む適切な方法を用いて達成され得る。分子生物学的測定方法としては、例えば、ノーザンブロット法、ドットブロット法またはPCR法などが例示される。免疫学的測定方法としては、例えば、方法としては、マイクロタイタープレートを用いるELISA法、RIA法、蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法などが例示される。また、定量方法としては、ELISA法またはRIA法などが例示される。アレイ(例えば、DNAアレイ、プロテインアレイ)を用いた遺伝子解析方法によっても行われ得る。DNAアレイについては、(秀潤社編、細胞工学別冊「DNAマイクロアレイと最新PCR法」)に広く概説されている。プロテインアレイについては、Nat Genet.2002 Dec;32 Suppl:526−32に詳述されている。遺伝子発現の分析法としては、上述に加えて、RT−PCR、RACE法、SSCP法、免疫沈降法、two−hybridシステム、インビトロ翻訳などが挙げられるがそれらに限定されない。そのようなさらなる分析方法は、例えば、ゲノム解析実験法・中村祐輔ラボ・マニュアル、編集・中村祐輔 羊土社(2002)などに記載されており、本明細書においてそれらの記載はすべて参考として援用される。
(スクリーニング)
本明細書において「スクリーニング」とは、目的とするある特定の性質をもつ生物または物質(例えば、遺伝子)などの標的を、特定の操作/評価方法で多数を含む集団の中から選抜することをいう。スクリーニングのために、本発明の細胞を使用することができる。
本明細書において、免疫反応を利用してスクリーニングを行うことを、「免疫表現型分類(immunophenotyping)」ともいう。種々の技術が、マーカーを発現する細胞集団をスクリーニングするために、モノクローナル抗体を用いて利用され得、そしてその技術には、抗体でコーティングされた磁気ビーズを用いる磁気分離、固体マトリクス(すなわち、プレート)に付着した抗体を用いる「パニング(panning)」、ならびにフローサイトメトリーが挙げられる(例えば、米国特許第5,985,660号;およびMorrison et al.,Cell,96:737−49(1999)を参照)。
スクリーニングは、インビトロ、インビボなど実在物質を用いた系を使用してもよく、インシリコ(コンピュータを用いた系)の系を用いて生成されたライブラリーを用いてもよい。本発明では、所望の活性を有するスクリーニングによって得られた化合物もまた、本発明の範囲内に包含されることが理解される。また本発明では、本発明の開示をもとに、コンピュータモデリングによる薬物、診断剤、治療薬などが提供されることも企図される。
本明細書において「ライブラリー」とは、スクリーニングをするための遺伝子、化合物、細胞などの一定の集合をいう。ライブラリーは、同様の性質を有する遺伝子、化合物、細胞などの集合であっても、ランダムな遺伝子、化合物、細胞などの集合であってもよい。好ましくは、同様の性質を有すると予測される遺伝子、化合物、細胞などの集合が使用されるが、それに限定されない。
本発明において作製される幹細胞(例えば、ES細胞)の改変体は、ランダムにゲノム全体に改変が導入されていることから、その集合は、種々の遺伝子の解析に有用なライブラリーとして用いられ得ることが理解される。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下の実施例で用いた動物の取り扱いは、大阪大学において規定される基準を遵守した。
(実施例1:条件的なBlm ES細胞の作製)
(条件的なBlm ES細胞の作製方法)
マウスBlm遺伝子(配列番号1および2)を含むゲノムDNAをR1−ESゲノムライブラリーから単離した。ターゲティングベクターをR1−ES細胞に導入し、続けてG418選択および/またはピューロマイシン選択(シグマ)を行った。標的化したクローンをPCRによってスクリーニング(Expand High Fidelity PCR System(Roche))し、そしてサザンブロット解析(Rapid−hyb buffer(アマシャムファルマシア))で確認した。本研究で使用した標的化したクローンは全て、正常な核型を保有した。
(ウェスタンブロット解析)
Blmtet/tetES細胞を1.0μg/mlのドキシサイクリン(dox)(シグマ)を含む培地中で培養し、適切な時点で収集した。dox中止後のBlm発現を調べるために、doxを含む培地中で培養した細胞をPBSで1回洗浄し、収集するまで、さらにdoxの不在下で細胞を培養した。Blmタンパク質を抗BLM抗体(ab476、abcam)で検出した。ウェスタンブロットは、ECL Western Blotting Detection Reagents(アマシャムファルマシア)を用いた。
(SCE解析)
適切な期間、doxの存在下または不在下で培養したBlmtet/tetES細胞を、3μg/mlの5-ブロモデオキシウリジン(BrdU)(シグマ)で20時間標識し、0.1μg/mlのコルセミド(KaryoMax−Colcemid(インビトロジェン))で45分間処理した。広がった染色体を0.1mg/mlのアクリジンオレンジ(シグマ)で染色した。
(機能解析)
変異neo遺伝子(Koikeら、EMBO Rep.3、433〜437(2002)を参照のこと)(配列番号4および5)を有するFasl遺伝子座に対するターゲティングベクターを、Blmtet/tetES細胞に導入した。二多型の変異誘発率を、前述(Koike,H.ら、EMBO Rep.3:433〜437(2002)を参照のこと)のLuria−Delbruck機能解析を用いて測定した。詳細には、Blmtet/tetES細胞を1.0μg/mlのdoxの存在下または不在下で24時間培養し、doxを伴ってかまたは伴わない純系濃度の培養条件で100mm培養皿に撒いて、単一細胞クローンを得た。次いで、doxを伴わない高用量G418(1.0mg/ml)の補助により、広がった単一細胞クローンを選択した。選択の10日後に、高用量G418耐性クローンの数を数えた。
(ENU変異誘発およびGPIアンカー変異体のためのスクリーニング)
ENU変異誘発およびHprt遺伝子座の変異頻度の算出は、Chen,Y.ら、Nature Genet.24,314〜317(2000)に記載された方法で行った。変異誘発されたES細胞を、doxの存在下または不在下で4日間培養し、変異ES細胞ライブラリーを作製した。この変異ライブラリーおよびコントロールライブラリーを、1mlあたり1.0×10細胞の懸濁液中、10nMのプロアエロリジン(Protox Biotech)で処理し、ゼラチンコーティングした100mm培養皿に、培養皿1枚あたり5〜8×10細胞で撒いた。次の日、死細胞を洗い出し、生細胞をさらに5nMのプロアエロリジンで8時間処理し、マイトマイシンC(協和発酵(株))で処理したフィーダー細胞を添加し、GPIアンカー欠損変異体コロニーを作製した。結果として得られたコロニーを収集して拡大させ、相補性アッセイのために、GFP−GPI発現ベクターおよびGPIアンカーの生合成に関するcDNAを用いてトランスフェクトした(TransFast transfection reagent(プロメガ)、DNA 2mg、TransFast 12μlを1.0×10個のES細胞に加える)。
(結果)
図1aは、テトラサイクリンで条件的に調節されるBlm対立遺伝子(Blmtet)の概略図(配列番号3)である。テトラサイクリン系ベースの調節カセット(tetカセット)(Bond,C.T.ら、Science 289:1942〜1946(2000)を参照のこと)を、Blmの両対立遺伝子の翻訳開始コドンの直上流に挿入し、これらをBlmtetと交換した。ターゲティングは、サザンブロット解析で確認した(図1b)。本発明者らは、Blmの持続的な欠損は、ゲノム上での二対立遺伝子変異の持続的な集積を引き起こし、結果として長期の培養の間に表現型を変化させると仮定した。その一方、BlmtetによってもたらされるBlmの一過性の喪失は、表現型における変化を最小限にする。Blm発現の調節は、テトラサイクリンアナログであるドキシサイクリン(dox)を使用することによって調べた。doxの添加は、結果としてBlmタンパク質の急速な減少をもたらした(図1cおよび1d)。より重要には、Blmタンパク質は、doxの中止後にその本来のレベルを回復した(図1c)。ブルーム症候群細胞(German,J.、Dermatol.Clin.13:7〜18(1995)を参照のこと)の代表的な細胞遺伝現象である、姉妹染色分体交換(SCE)の高いレベルが観察された一方で(図1e)、Blmタンパク質は検出されなかった(図1c)。SCEは、脊椎動物細胞において相同組換えと密接に関連する(Sonoda,E.ら、Mol.Cell.Biol.19;5166〜5169(1999)を参照のこと)。それゆえ、dox処理は、相同染色体間の組換えを誘導すると予想され得、組換えが4N期に起こる場合、一対立遺伝子変異が細胞分裂の後に二対立遺伝子変異となる(図2a)。二対立遺伝子変異の割合における一過性のBlm欠損の影響を調べるために、「一対立遺伝子変異」モデルとしての遺伝子ターゲティングによって、変異neo遺伝子をFasリガンド(Fasl)遺伝子座に導入した。本発明者らは以前に、「二対立遺伝子変異」を意味する、この遺伝子座における変異neo遺伝子の重複が、高用量G418を使用して選択され得ることを証明した(Koike,H.ら、EMBO Rep.3:433〜437(2002)を参照のこと)。Luria−Delbruck周期的変動解析(Luria,S.E.およびDelbruck,M.、Genetics 28:491〜510(1943)を参照のこと)によって決定された重複率は、doxの不在下で1世代あたりの1細胞あたり8.5×10−6事象であるのに対し、この比率は、doxの存在下で1世代あたりの1細胞あたり2.3×10−4事象に増加した(図2b)。それゆえ、Blmの一過性の喪失は、二対立遺伝子変異の比率に27倍の増加をもたらした(図2b)。本研究で得られたこの比率は、野生型ES細胞(2.3×10−5)およびBlm欠損ES細胞(4.2×10−4)におけるLOHについて以前に報告されたもの(Luo,G.ら、Nature Genet.26:424〜429(2000)を参照のこと)と類似する。
乗換えの染色体上の位置を決定するために、2つの別々の近交系129亜系(129X1/SvJ×129S1/SvImJ)(Lefebvre,L.,Dionne,N.,Karaskova,J.,Squire,J.A.およびNagy,A.、Nature Genet.27:257〜258(2001)を参照のこと)の育種から得たF1胚から樹立した、R1−ES細胞株の第1染色体における多型マーカーを使用した(図2c)。D1Mit1001マーカーおよびD1Mit292マーカーのそれぞれの位置は、Fasl遺伝子座から約30Mb近位および遠位に位置付けられる。28倍高用量のG418耐性クローンを選択し、乗換えの染色体上の位置を決定し、10の乗換え(約35%)がFasl遺伝子座から30Mb近位の範囲で起こったことを見出した(図2c)。
Blm改変ES細胞における増大した有糸分裂組換えの観察に促され、ゲノム全体にわたって二対立遺伝子変異を含むES細胞ライブラリー樹立の可能性を調べた。ES細胞において非常に高い変異原性を有するため(Chen,Y.ら、Nature Genet.24:314〜317(2000)を参照のこと)、ENUを変異原として使用した。二対立遺伝子変異の分布および複雑性がゲノム全体を網羅するのに十分高いか否かを決定するために、GPIアンカーの生合成において不完全な変異ES細胞についてスクリーニングを行うことにした。少なくとも23個の遺伝子がGPIアンカーの生合成に関与しており、これらはマウスのゲノムにおいて広く分布する(図4b)。GPI経路内の任意の遺伝子の変異は、細胞表面上のGPIアンカータンパク質の欠損を生じる。それゆえ、GPIアンカー欠損細胞は、GPIアンカー陽性細胞を殺し得るアエロリジン(aerolysin)(Hong,Y.ら、EMBO J.21:5047〜5056(2002)を参照のこと)によって正に選択され得る。本研究で使用したES細胞株は、雄由来であり、GPIアンカー生合成の第1段階に関与するPigA遺伝子はX染色体に位置付けられる。それゆえ、この機能的破壊は二対立遺伝子変異を必要とせず、GPI欠損変異の大半がPigA変異に由来する(Kawagoe,K.,Takeda,J.,Endo,Y.およびKinoshita,T.、Genomics 23:566〜574(1994)を参照のこと)。このようなバイアスを回避するために、PIGA cDNAの余分なコピーをBlmtet/tetES細胞に導入し、続けてENU変異誘発を行った。
図3aは、ES細胞のENU変異誘発、ES細胞ライブラリーの作製、およびGPIアンカー欠損変異体についてのスクリーニングのプロトコルを示す。0.2mg/mlの量のENUを使用して、37℃で2時間、2×10個のES細胞を処理した。細胞の生存度は約3%であり、6×10個の細胞がENU処理後に生き残った。生存細胞における変異の頻度は、6−チオグアニンを用いる選択によって決定したところ、X連鎖の一対立遺伝子ヒポキサンチンホスフォリボシルトランスフェラーゼ(Hprt)遺伝子座において2,400分の1だった。Chenらは以前に、より高い濃度のENU(0.35mg/ml)で処理したES細胞が、生殖細胞系列の能力を保持することを報告し(Chen,Y.ら、Nature Genet.24:314〜317(2000)を参照のこと)、処理した細胞の長期の生存度が、野生型のES細胞に類似することを示唆した。細胞周期の3世代にわたるdox処理によって誘導した二対立遺伝子変異の頻度は、遺伝子座あたり0.7×10−6であると算出され、二対立遺伝子変異を有する独立したクローンの数は、遺伝子座あたり4.2個と評価された(図3b)。これらの結果は、本発明者らのES細胞ライブラリーがほとんどの遺伝子座において二対立遺伝子変異を含むことを示唆する。
この原理の実用的な有用性を証明するために、ES細胞ライブラリーをアエロリジン(aerolysin)を用いてスクリーニングし、35個のGPIアンカー欠損変異体を単離した(図3a)。GPIアンカーGFP構築物(GFP−GPI)(Kondoh,G.ら、FEBS Lett.458:299〜303(1999)を参照のこと)を野生型ES細胞にトランスフェクトした場合、GFP−GPIタンパク質が細胞表面上に発現する(図4a)。その一方、相補的cDNAを供給した場合、GFP−GPIタンパク質は変異体上のみで発現した(図4a)。それゆえ、GPIアンカーの生合成に関する遺伝子のcDNAのトランスフェクションを伴う相補性解析によって、これらの変異体を分類した。変異遺伝子は、ゲノム全体にわたって広く分布し、変異体を一回りのスクリーニングで公知の遺伝子の半分以上(23分の12)において同定した(図4b)。図4cでは、4つの遺伝子において1つの変異体が得られたのに対し、他の常染色体遺伝子において1つ以上の変異体が得られた。この遺伝子のヒットは頻繁に同じ変異を有するので、これらの変異体はおそらく単一クローン由来である。それゆえ、変異体の数における差異は、doxの添加後、いつ変異が生じるのかによって説明され得る。これらの変異体の配列決定解析は、これらが野生型対立遺伝子の配列を含まないことを明らかにし(図4dおよび4e)、二対立遺伝子変異はdoxで処理したES細胞において生じることを示唆した。dox処理をしない場合、1つの変異体のみが単離された(データは示さず)。さらに、GPIアンカー生合成は、2つの変異体におけるcDNAトランスフェクションによって補完されず、これらが新規遺伝子に変異を有することを示唆する(図4f)。GPIアンカーの生合成における欠損は、細胞融合によって補完されるので、これらの変異体では別々の遺伝子が変異していなければならない(データは示さず)。
本発明者らは、劣性変異体の単離が、哺乳動物細胞においてゲノム全体にわたる様式で可能であることを証明した。本発明者ら(Koike,H.ら、EMBO Rep.3:433〜437(2002)を参照のこと)および他の研究者(Liu,P.,Jenkins,N.A.およびCopeland,N.G.、Nature Genet.30:66〜72(2002)を参照のこと)が、これまでに、Cre/loxPが媒介する相同染色体間の組換えによって二対立遺伝子を導入する方法を報告したが、これは、両方の対立遺伝子にloxP部位を有する、前もって選択された染色体にしか適用され得ない。多くの、しかし全てではない遺伝子座は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(Gupta,R.S.,Chan,D.Y.およびSiminovitch,L.、Cell 14:1007〜1013(1978)を参照のこと)において機能的に一倍体であり、劣性表現型を有する変異細胞の単離が報告された(Hanada,K.ら、Nature 426:803〜809(2003)を参照のこと)。しかし、変異体の単離の確率は、標的遺伝子がCHO細胞において機能的に一倍体または二倍体であるかどうかに大きく依存するので、変異体の非ランダムな単離が予想され得る(Nakamura,N.ら、J.Biol.Chem.272:15834〜15840(1997)を参照のこと)。ここに報告した研究において、GPIアンカー生合成に関する公知の遺伝子の半分以上が、正常な核型を有するES細胞における一回りの選択で同定され得、従って、本発明者らの選択概要のランダムな性質を証明した。理論上、二対立遺伝子変異はたいていの遺伝子座で生じるが(図3b)、ほぼ半分のGPIアンカー欠損変異体は取得し得ない。この不完全な適用範囲は、ES細胞におけるENUでのAT塩基対の優性変異によって説明され得る(Munroe,R.J.ら、Nature Genet.24:318〜321(2000)を参照のこと)。この可能性は、異なる型の変異に対する優先傾向を有する、EMSおよびICR191のような他の化学変異誘発物質によって調べられる。
特定の表現型を引き起こす遺伝子を同定するためには、発現クローニングが率直なアプローチであると予想され得る。cDNAライブラリーの形質導入のための高効率なシステムの最近の発展(例えば、ES細胞で安定に維持されるエピソームベクター(Chambers,I.ら、Cell 113:643〜655(2003)を参照のこと)およびES細胞におけるプロモーターのサイレンシングに耐性な、高力価レトロウイルスベクター(Kitamura,T.ら、Exp.Hematol.31:1007〜1014(2003)を参照のこと))は、変異した遺伝子の同定に大いに役立つ。多型マーカーによる相同性領域の調査は、図2cで例示したように、変異の位置を絞り込むことが多い。変異体の細密な遺伝地図を完成するために、多数の多型マーカーが利用可能なC57BL/6×129S4/SvJae F1ハイブリッドES細胞(Eggan,K.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:6209〜6214(2001)を参照のこと)に、Blmtet対立遺伝子を導入した。原因遺伝子の同定を容易にするために、ジーントラップ(Friedrich,G.およびSoriano,P.、Genes Dev.5:1513〜1523(1991)を参照のこと)のような標識変異誘発がENUの代わりに使用され得る。実際、Geoらはレトロウイルスジーントラップベクターを使用してゲノム全体にわたる劣性スクリーニングに成功した。
表現型ベースの遺伝スクリーニングに関して、観察された表現型が遺伝的変異によって引き起こされたものなのか、または単に野生型細胞の特性の変化なのかを判断するための決定的な判断基準を確立することが重要である。培養条件が注意深く制御されている場合でさえ、ES細胞集団の小画分が自発的に分化し得るため、このことは、ES細胞の解析において特に重要である。Blm発現の一過性の調節は、特定の表現型の評価に有用である。所望の表現型を有するクローンが、非選択的な培養条件よりも、dox処理の培養条件下でより効率的に取得され得る場合、dox誘導化LOHによって単離されたこれらのクローンは、二対立遺伝子をかくまうことが多い。本発明者らのケースでは、非選択的培養条件では1個のクローンが得られたのみであったのに対し、dox処理の培養条件で35個のアエロリジン抵抗性クローンが得られたという事実は、さらにこれらのクローンを特徴付けることを促した。多分化能のES細胞はいかなる種類の組織にも分化し得るため、二対立遺伝子変異の包括的な単離のための新しい方法は、インビトロならびにインビボでの分化の分子機構の解析に重大な影響を有するはずである。
(参考文献)
1.German,J.、Dermatol.Clin.13:7〜18(1995)
2.Groden,J.,Nakamura,Y.およびGerman,J.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:4315〜4319(1990)
3.Luo,G.ら、Nature Genet.26:424〜429(2000)
4.Kyba,M.およびDaley,G.Q.、Exp.Hematol.31:994〜1006(2003)
5.Kim,J.H.ら、Nature 418:50〜56(2002)
6.Parisi,S.ら、J.Cell Biol.163:303〜314(2003)
7.Reubinoff,B.E.,Pera,M.F.,Fong,C.Y.,Trouson,A.およびBongso,A.、Nature Biotechnol.18:399〜404(2000)
8.Thomson,J.A.ら、Science 282:1145〜1147(1998)
9.Bond,C.T.ら、Science 289:1942〜1946(2000)
10.Sonoda,E.ら、Mol.Cell.Biol.19;5166〜5169(1999)
11.Koike,H.ら、EMBO Rep.3:433〜437(2002)
12.Luria,S.E.およびDelbruck,M.、Genetics 28:491〜510(1943)
13.Lefebvre,L.,Dionne,N.,Karaskova,J.,Squire,J.A.およびNagy,A.、Nature Genet.27:257〜258(2001)
14.Chen,Y.ら、Nature Genet.24:314〜317(2000)
15.Hong,Y.ら、EMBO J.21:5047〜5056(2002)
16.Kawagoe,K.,Takeda,J.,Endo,Y.およびKinoshita,T.、Genomics 23:566〜574(1994)
17.Kondoh,G.ら、FEBS Lett.458:299〜303(1999)
18.Liu,P.,Jenkins,N.A.およびCopeland,N.G.、Nature Genet.30:66〜72(2002)
19.Gupta,R.S.,Chan,D.Y.およびSiminovitch,L.、Cell 14:1007〜1013(1978)
20.Hanada,K.ら、Nature 426:803〜809(2003)
21.Nakamura,N.ら、J.Biol.Chem.272:15834〜15840(1997)
22.Munroe,R.J.ら、Nature Genet.24:318〜321(2000)
23.Chambers,I.ら、Cell 113:643〜655(2003)
24.Kitamura,T.ら、Exp.Hematol.31:1007〜1014(2003)
25.Eggan,K.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:6209〜6214(2001)
26.Friedrich,G.およびSoriano,P.、Genes Dev.5:1513〜1523(1991)
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
ES細胞などの幹細胞に自在に変異を誘発することができ、かつ、その変異がゲノム全体にわたって導入され得ることから、種々の遺伝子の解析に使用できる幹細胞ライブラリーが提供され、このライブラリーは医薬開発、疾患の解析、疾患の診断、処置、遺伝子治療などにもちいることができ、産業上における利用価値は高い。

Claims (29)

  1. 対立遺伝子の両方の鎖に変異が挿入された、幹細胞。
  2. 前記幹細胞は、胚性幹細胞である、請求項1に記載の幹細胞。
  3. 前記幹細胞は、ブルーム症候群(Blm)遺伝子が喪失されているかまたは機能しないように改変されている、請求項1に記載の幹細胞。
  4. 前記ブルーム症候群遺伝子は、配列番号1に記載される配列またはその改変体を含む、請求項3に記載の幹細胞。
  5. 対立遺伝子の両方の鎖に変異が挿入された、幹細胞のライブラリーであって、該ライブラリーに含まれる幹細胞は、ゲノム全体にわたって該変異が導入されている、ライブラリー。
  6. 前記幹細胞は、胚性幹細胞である、請求項5に記載のライブラリー。
  7. 前記幹細胞は、ブルーム症候群遺伝子が喪失されているかまたは機能しないように改変されている、請求項5に記載のライブラリー。
  8. 前記ブルーム症候群遺伝子は、配列番号1に記載される配列またはその改変体を含む、請求項7に記載のライブラリー。
  9. 対立遺伝子の両方の鎖に変異が導入された幹細胞を生産する方法であって、
    A)幹細胞を提供する工程;
    B)該幹細胞におけるブルーム症候群遺伝子が機能しないようにする工程;および
    C)該幹細胞における変異を誘発する工程、
    を包含する、方法。
  10. 前記ブルーム症候群遺伝子は、一過的に機能しないように処理される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記ブルーム症候群遺伝子は、薬剤の存在下で、一過的に機能しないように処理されている、請求項10に記載の方法。
  12. 前記薬剤は、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、エストロジェン誘導体およびプロジェストロン誘導体からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記変異の誘発は、変異原への暴露、トランスポゾン遺伝子の利用、紫外線への暴露および放射線への曝露からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
  14. 相同組換えを誘発する工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
  15. 相同組換えを前記細胞の4N期に誘発させ、該誘発後に細胞分裂をさせる工程をさらに包含する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記幹細胞は、胚性幹細胞である、請求項9に記載の方法。
  17. 前記胚性幹細胞は、哺乳動物の胚性幹細胞である、請求項9に記載の方法。
  18. 請求項9に記載の方法によって得られる幹細胞。
  19. 胚性幹細胞である、請求項18に記載の幹細胞。
  20. 請求項9に記載の方法によって得られる幹細胞から得られる、組織。
  21. 請求項9に記載の方法によって得られる幹細胞から得られる、生物体。
  22. 請求項1に記載の幹細胞から得られる、組織。
  23. 請求項1に記載の幹細胞から得られる、生物体。
  24. ブルーム症候群遺伝子またはその改変体の、幹細胞の変異のための使用。
  25. 前記ブルーム症候群遺伝子は、前記幹細胞において喪失されるかまたは機能しないように改変される、請求項24に記載の使用。
  26. 前記ブルーム症候群遺伝子は、配列番号1に記載される配列またはその改変体を含む、請求項24に記載の使用。
  27. ブルーム症候群遺伝子またはその改変体の、幹細胞を変異させるための組成物を製造するための使用。
  28. 前記Blm遺伝子は、前記幹細胞において喪失されるかまたは機能しないように改変される、請求項27に記載の使用。
  29. 前記ブルーム症候群遺伝子は、配列番号1に記載される配列またはその改変体を含む、請求項27に記載の使用。
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