JP2023550070A - ティラピア魚の遺伝子編集されたアルビノ赤色生殖系列 - Google Patents

ティラピア魚の遺伝子編集されたアルビノ赤色生殖系列 Download PDF

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Abstract

slc45a2遺伝子に機能喪失変異を含むティラピア属の魚であって、変異がホモ接合型であり、機能喪失変異が魚のアルビノ赤色表現型をもたらす、魚が開示される。この魚を作製する方法も開示される。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、2020年11月15日に出願された米国仮特許出願第63/113,892号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用する。
配列表の記述
2021年11月15日に作成された、24,576バイトを含む、本出願の出願と同時に提出された90099SequenceListing.txtという名称のASCIIファイルを、参照により本明細書に援用する。
本発明は、そのいくつかの実施形態において、グレー/黒の色素沈着を欠いたアルビノレッドティラピア系統に関し、より具体的には、ただし非排他的に、遺伝子編集によってそれを作製することに関する。
ティラピアは、世界で2番目に多い水産養殖魚群であり、世界の生産量は、年間約550万トンであり、その大部分は、ナイルティラピア(Oreochromis niloticus)の生産量を含む。通常、モザンビークティラピア、ブルーティラピア及びザンジバルティラピア(O. mossambicus、O. aureus、O. hornorum)と交雑させたナイルティラピアの異なる交雑系統であるレッドティラピアは、近年、世界的に人気を得ており、それに応じてその価格が上昇している。フィリピンでのレッドティラピアの市場価格は、野生型(グレー)ティラピアの2倍であり、同様の理由のため、マレーシアで育てられるティラピアの85%は、レッドティラピア系統である。赤い彩色は、不完全なメラノフォアの発達に起因することが示唆されているが、これにより、黒又は暗赤色の斑点を有する不安定な赤色表現型が生じることになり、魚の市場価値が低下する。赤い彩色の表現型選択の代替アプローチは、創始者効果のために遺伝的可変性の大幅な喪失をもたらした。さらに、最新のレッドティラピア系統は、商業的に使用される他のナイルティラピア系統と比較して成長の低下を示す。
これまでの研究では、魚の体色に関連する遺伝子に焦点が当てられてきた。色素合成が、例えば、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質1、ドーパクロムトートメラーゼ及びシルバーなどを含む複数の遺伝子を伴う複雑なプロセスであることは、明らかである。さらに、魚に特異的なゲノム重複は、これらの遺伝子のほとんどについて複数のゲノムコピーをもたらした。硬骨魚類のゲノムでは、メラニン合成の調節に関与するほとんどの遺伝子が重複しているが、例えば、slc45a2、眼皮膚白皮症2型(oca2)及び溶質キャリアファミリー24メンバー5(slc24a5)を含むいくつかの例外がある。これらは、単一の遺伝子によりコードされるためである[Braasch, I. et al., BMC Evolutionary Biology (2007) 7: 74]。
膜結合輸送体タンパク質(MATP)、アブセントインメラノーマ-1(Aim-1)、眼皮膚白皮症4型(OCA4)、B遺伝子及びアルビノ(alb)としても知られている溶質キャリアファミリー45メンバー2(SLC45A2)は、進化的に保存されたメラニン生合成の重要なメディエーターである。SLC45A2は、動物及び植物においてスクロース輸送体タンパク質と高い類似性を共有しているが、メラノソームのpH調節を通してチロシナーゼ活性に影響を与える可能性がある。
ティラピアの赤色表現型は、メラノフォアの発達が乱れた魚における真皮の血液灌流に起因することがこれまでに示唆された[Hilsdorf A.W.S. et al., Pigment cell research / sponsored by the European Society for Pigment Cell Research and the International Pigment Cell Society (2002) 15: 57-61]。それにもかかわらず、赤~アルビノ様ピンクのティラピア系統は、黒い目の色素沈着を示し、通常、可変的な割合及びパターンの黒の斑点を伴う[Lago, A. et al., Journal of Applied Genetics (2019) 60: 393-400]。対照的に、slc45a2遺伝子に天然に存在する機能喪失変異は、メダカ[Fukamachi, S. et al., Nature Genetics (2001) 28: 381-385]及びゼブラフィッシュ[Dooley, C. M. et al., Pigment Cell & Melanoma Research (2013) 26: 205-217]において完全な遺伝性白皮症をもたらし、タイセイヨウサケ(Salmo salar)[Edvardsen, R. B. et al., PLoS ONE (2014) 9]及びマリンメダカ(Oryzias melastigma)[Jeong, C. B. et al., Marine pollution bulletin (2020) 154, 111038]においては、一過性に表現型がコピーされた。赤~アルビノ様のティラピア系統は、黒い目の色素沈着及び/又は黒の斑点を示すため、入手可能なレッドティラピアの系統は、slc45a2遺伝子において天然に存在するヌル変異から生じた可能性は低いであろうことが示唆された。
レッドティラピアの既知の系統では、赤色表現型は、種々の遺伝子によって制御され、これらは、少なくとも3つの異なる連鎖群(chrLG3、chrLG5及びchrLG15)[Li et al., Marine Biotechnology (2019) 21:384-395]と、異なる遺伝形式(優性の赤色アレルから劣性の赤色アレルを介してヘテロ接合性の赤色まで)[Li et al. (2019)、上記]と関連していることが示唆されている。さらに、これらのレッドティラピア系統における黒の斑点の分布及び強度は、赤色決定遺伝子とは別の遺伝子によって制御される。
近年、魚の逆遺伝学を可能にするいくつかの方法が開発された。これらには、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN及びCRISPR-Cas9法が含まれる。これらの科学技術は、高い科学的可能性及び関心を集めるだけでなく、農業的-商業的に負の価値を有する遺伝子の摂動など、農業関連の応用にも大きい可能性を有する。現在、CRISPR-Cas9法は、比較的技術的に簡単であり、且つそのインビボでの変異誘発率が高いため、最も効率的であると考えられている。さらに、最近、有効性の高いCRISPR-Cas9システムは、注入された魚(F)に既にある機能喪失変異に起因する表現型の特徴付けを可能にし得ることが実証された。実際、Cas9 mRNAによるslc45a2特異的又はtyr特異的なgRNAのマイクロインジェクションは、tyrの遺伝子の体細胞欠失をもたらし、サケ及びヤツメウナギの幼生の皮膚におけるメラニン形成を低減した[Edvardsen, R. B. et al., (2014)、上記]。
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を含むティラピア属の魚であって、変異がホモ接合型であり、機能喪失変異が魚のアルビノ赤色表現型をもたらす、魚が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明のいくつかの実施形態の魚を作製する方法が提供され、本方法は、(a)ティラピア属の魚の接合体に、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を付与するDNA編集剤を導入するステップと、(b)ステップ(a)の接合体を魚に成長させるステップとを含み、それにより魚を作製する。
本発明のいくつかの実施形態によると、本方法は、(c)slc45a2遺伝子に機能喪失変異を含むティラピア属の魚を同定するステップをさらに含む。
本発明のいくつかの実施形態によると、本方法は、(d)ステップ(b)又は(c)の魚をティラピア属の第2の魚と交配させて、slc45a2遺伝子に機能喪失変異を有するティラピア属の第3の魚を産生するステップをさらに含む。
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明のいくつかの実施形態の魚の後代が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明のいくつかの実施形態の魚を含む魚の個体群が提供され、この個体群は、アルビノ赤色表現型について安定している。
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明のいくつかの実施形態の魚の細胞が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の態様によると、本発明のいくつかの実施形態の魚を含む飼料又は食品が提供される。
本発明のいくつかの実施形態によると、アルビノ赤色表現型は、黒/グレーの色素沈着を欠いている。
本発明のいくつかの実施形態によると、アルビノ赤色表現型は、赤い目の表現型を含む。
本発明のいくつかの実施形態によると、機能喪失変異は、遺伝性である。
本発明のいくつかの実施形態によると、魚及び第2の魚の両方は、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を有する少なくとも1つのアレルを保有する。
本発明のいくつかの実施形態によると、第3の魚は、slc45a2遺伝子における機能喪失変異についてホモ接合性である。
本発明のいくつかの実施形態によると、変異は、欠失、挿入、点変異、インデル及びこれらの組合せからなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によると、変異は、slc45a2遺伝子における2つ以上の変異を含む。
本発明のいくつかの実施形態によると、変異は、配列番号1に対応する配列番号9、10、11及び12から選択される配列を有する標的配列内にある。
本発明のいくつかの実施形態によると、変異は、体細胞において発現される。
本発明のいくつかの実施形態によると、変異は、生殖系列細胞において発現される。
本発明のいくつかの実施形態によると、ティラピア属の魚は、純血種である。
本発明のいくつかの実施形態によると、ティラピア属の魚は、交雑種(hybrid)である。
本発明のいくつかの実施形態によると、ティラピア属の魚は、ナイルティラピア(Oreochromis niloticus)、ブルーティラピア(Oreochromis aureus)、モザンビークティラピア(Oreochromis mossambicus)、ワミティラピア(Oreochromis urolepis)、スリースポッティドティラピア(Oreochromis andersonii)、ロングフィンティラピア(Oreochromis macrochir)、サバキティラピア(Oreochromis spilurus)、ブラックチンティラピア(Sarotherodon melanotheron)、マンゴーティラピア(Sarotherodon galilaeus)、ギニアティラピア(Coptodon guineensis)、レッドブレストティラピア(Coptodon rendalli)及びレッドベリーティラピア(Coptodon zillii)からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によると、DNA編集剤を導入するステップは、2種以上のDNA編集剤を導入することを含む。
本発明のいくつかの実施形態によると、2種以上のDNA編集剤は、slc45a2遺伝子内の別個の部位を標的とする。
本発明のいくつかの実施形態によると、DNA編集剤は、少なくとも1種のgRNAを含む。
本発明のいくつかの実施形態によると、DNA編集剤は、エンドヌクレアーゼを含む。
本発明のいくつかの実施形態によると、エンドヌクレアーゼは、Cas9を含む。
本発明のいくつかの実施形態によると、DNA編集剤は、CRISPR-エンドヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)及びホーミングエンドヌクレアーゼからなる群から選択されるDNA編集システムを含む。
本発明のいくつかの実施形態によると、DNA編集剤は、DNA、RNA又はRNPとして細胞に適用される。
本発明のいくつかの実施形態によると、DNA編集剤は、魚細胞における発現を監視するためのレポーターに連結される。
本発明のいくつかの実施形態によると、レポーターは、蛍光タンパク質である。
本発明のいくつかの実施形態によると、機能喪失変異は、遺伝子型で決定される。
本発明のいくつかの実施形態によると、機能喪失変異は、表現型で決定される。
本発明のいくつかの実施形態によると、表現型は、遺伝子型の前に決定される。
本発明のいくつかの実施形態によると、遺伝子型は、表現型の前に決定される。
本発明のいくつかの実施形態によると、飼料又は食品は、魚体、魚の部分、魚粉又は魚油である。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び/又は科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様の又は均等な方法及び材料を本発明の実施形態の実行又は試験で使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料が以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む本特許明細書が優先される。さらに、材料、方法及び実施例は、単なる実例であり、必ずしも限定することを意図するものではない。
本発明のいくつかの実施形態は、添付図面を参照して単なる例として本明細書に記載される。特にここで図面を詳細に参照して、示される詳細は、例としてのものであり、本発明の実施形態の説明的な考察を目的としたものであることが強調される。これに関して、図面と共に行われる説明は、本発明の実施形態を実行し得る方法を当業者に明らかにする。
図1Aと図1Bは、ナイルティラピアslc45a2遺伝子の進化的保存を図示する。Jukes-Cantorモデルに基づく最尤法を用いて、種々の脊椎動物slc45a2のmRNAの系統樹(図1A)を構築した[Jukes, T. H. and Cantor, C. R. in Mammalian Protein Metabolism (ed. H. N. Munro) 21-132 (Academic Press, 1969)]。関連する分類群が一緒にクラスター化されたツリーの割合は、枝の隣に示される。ツリーは、一定の縮尺で描かれており、枝の長さは、部位ごとの置換の数で測定される。分析には、23個のヌクレオチド配列が含まれた。ギャップ及び欠損データを含有する位置は、全て排除された。進化分析は、MEGA7で実行した[Kumar, S. et al., Mol Biol Evol (2016) 33, 1870-1874, doi:10.1093/molbev/msw054]。この分析のために使用されるslc45a2の種及びアクセッション番号は、ナイルティラピア(Oreochromis niloticus;XM_003451484.3)、ヒト(Homo sapiens;NM_016180.5)、イヌ(Canis lupus familiaris;NM_001037947.1)、ゼブラフィッシュ(Danio rerio;NM_001110377.1)、ニワトリ(Gallus gallus;NM_001083364.2)、メダカ(Oryzias latipes;NM_001104758.1)、マウス(Mus musculus;NM_053077.3)、ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla;XM_035392013.1)、ネコ(Felis catus;NM_001127661.1)、コチョウザメ(Acipenser ruthenus;XM_034014799.2)、ノーザンパイク(Esox lucius;XM_010877274.4)、タマカイ(Epinephelus lanceolatus;XM_033646335.1)、シジュウカラ(Parus major;XM_015615505.3)、ウミヤツメ(Petromyzon marinus;XM_032953415.1)、ネッタイツメガエル(Xenopus tropicalis;NM_001011335.1)、ブルーティラピア(Oreochromis aureus;XM_031754660.1)、ヨーロッパヘダイ(Sparus aurata;XM_030435015.1)、ヒツジ(Ovis aries;XM_004017064.3)、ヨウスコウアリゲーター(Alligator sinensis;XM_006019120.3)、ゼブラムブナ(Maylandia zebra;XM_004549708.2)、マリンメダカ(Oryzias melastigma;XM_024299538.1)、ヒラマサ(Seriola lalandi dorsalis;XM_023408617.1)、カクレクマノミ(Amphiprion ocellaris;XM_023264678.1)であった。染色体シンテニーの保存は、Genomicusを用いて実施した[Nguyen, Nga Thi T. et al., Nucleic Acids Research (2017) 46, D816-D822](図1B)。この分析は、slc45a2の染色体隣接遺伝子の保存が中程度~高度であることを実証した。ヒト命名法に従った遺伝子名:SLC45A2 - 溶質キャリアファミリー45メンバー2、RXFP3 - リラキシンファミリーペプチド受容体3、PLPP1 - リン脂質ホスファターゼ1、MTREX - Mtr4エキソソームRNAヘリカーゼ、DHX29 - DExH-ボックスヘリカーゼ29、ITGA1 - インテグリンサブユニットアルファ1、PSTPIP2 - プロリン-セリン-スレオニンホスファターゼ相互作用タンパク質2、GNG10 - Gタンパク質サブユニットガンマ10、NXNL2 - ヌクレオレドキシン様2、BTC - ベータセルリン、上皮成長因子ファミリーメンバー、AMACR - アルファ-メチルアシル-CoAラセマーゼ、GSDF - 性腺体細胞由来因子、KLHL8 - kelch様ファミリーメンバー8、SDAD1 - SDA1ドメイン含有1、MAPK10 - マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ10、ARHGAP24 - RhoGTPase活性化タンパク質24、ESM1 - 内皮細胞特異的分子1、ST6GALNAC6 - ST6(アルファ-N-アセチル-ノイラミニル-2,3-ベータ-ガラクトシル-1,3)-N-アセチルガラクトサミニドアルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ6、HCN1 - カリウム/ナトリウム過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル1。矢印の方向は、slc45a2鎖に対する遺伝子の向きを示す。 同上 図2A~図2Jは、インビボでのslc45a2-RNP活性のトランジェント解析を図示する。ナイルティラピア接合体に、slc45a2-エクソン1特異的gRNAを含有するRNPを単細胞段階でマイクロ注入した。受精の4日後、ナイーブ胚は、目でのメラニン形成と、体及び卵黄表面の明白なメラノフォアとを示した(図2A~図2C)が、RNPを注入した胚では、目、体及び卵黄表面においてメラニンを確実に完全に喪失させることが示された(図2D~図2F)。配列分析により、3つのRNPは、2つのgRNA部位間の21nt挿入(グレーの強調表示)を含む種々のゲノムインデル(図2G)を誘導することが実証された。gRNA標的配列は、太字の斜体文字で強調表示され、PAM配列は、赤色で強調表示される。ゲノム標的領域の次世代アンプリコンのシーケンシングにより、分析した全ての魚で可変レベルの変異アレルの存在が確認された(図2H)。網羅的な変異原性分析により、ほとんどの変異アレルがgRNA3単独の活性又はgRNA2との組合せの活性に由来するが、gRNA2活性単独に由来しないことが実証された(図2I)。gRNA特異的変異の可変性分析により、gRNA3活性の結果、gRNA2活性により誘導されたアレルバリエーションが有意に高くなる(p=0.021;カイ二乗検定)ことが実証された(図2J)。 同上 同上 同上 同上 図3A~図3Eは、成体ティラピアにおけるslc45a2-RNP誘導変異の表現型分析を図示する。ナイルティラピア接合体に、slc45a2-エクソン1特異的gRNA2及び3を含有するRNPを単細胞段階でマイクロ注入した(図3A)。受精の1か月後、ナイーブ胚は、暗色の目を有する正常なグレー~黒色のパターンを示した(図3B)が、RNP注入した魚は、皮膚で約97~99%のメラニンの喪失を示し、目ではメラニンが見られなかった(図3C)。F変異体は、ほぼ完全なメラニンの欠如を示したため、この表現型は、性的成熟後も持続した(図3D~図3E)。 図4A~図4Cは、ナイルティラピアにおけるslc45a2-RNP誘導性の体細胞及び生殖系列変異の分子分析を図示する。F切除ヒレ(fin-clip)(図4A)、F精子(図4B)及びF切除ヒレ(図4C)から抽出したgDNAを用いて、ゲノムslc45a2-エクソン1を増幅し、pGEM(登録商標)-T easyベクターにクローニングした。ランダムなコロニーをシーケンシングし、鋳型DNAの起源に従って整列させた。注目すべきことに、この分析により、検出された6つの体細胞アレル(図4A)及び検出された7つの精子アレル(図4B)のうちの2つが同一であることが実証された。さらに注目すべきことに、F魚において、2つのgRNA標的部位間に57bpの欠失を含む10個の変異生殖系列アレルを検出した(図4C)。同一のアレルの色は、同一のアレル配列を示す。右側の数字は、インデルの性質を示し、「+」は、ヌクレオチドの挿入を示し、「-」は、ヌクレオチドの欠失を示す。 同上 同上 図5は、ゲノムデータベースからのゲノムslc45a2-エクソン1(chrLG7(逆鎖):16157420-16156969)と、分析したナイルティラピア繁殖用ストックのクローン化領域Iとの整列させた配列を図示する。SNPは、黄色で強調表示されており、SNP部位へのgRNAターゲティングが回避された。 同上 図6A~図6Dは、WT(図6A)及びヘテロ接合体(図6B)の鱗におけるメラノフォア発現の代表的な画像を図示する。Fホモ接合性変異体魚の鱗は、色素沈着がないことを示した(図6C)。メラノフォア細胞の定量化(メラノフォア細胞数/鱗面積mm)により、WT魚とヘテロ接合性魚との間にメラノフォア細胞密度の有意差は示されなかった(対応のないt検定;p=0.252)(図6D)。 図7A~図7Fは、slc45a2変異体のアレル頻度及び表現型分析を図示する。F幼生における配列検証されたslc45a2変異アレルのHRM分析により、非常に豊富なアレル5と、完全な部位間欠失を有する比較的まれなアレルとを別にして、ほとんどのアレルは、同様の遺伝レベルを共有することが示された(図7A)。部位特異的分析により、差次的なRNP活性が実証され、部位2は、部位3(図7C)よりも高いインデル可変性を示した(図7B)が、全体的な変異率がより低かった。F子孫の表現型分析により、受精の3日後(dpf)にWT胚表面の豊富なメラニン発現細胞が実証されたが(図7D)、slc45a2-/-変異体(図7D’)は、メラニンを発現しなかった。この表現型は、メラニンがWT幼生の目にも蓄積した5dpfでより顕著になった(図7E)が、slc45a2変異体は、完全なOCA表現型を示した(図7F)。 同上 同上 図8A~図8Bは、性的に成熟した魚におけるslc45a2変異体の表現型を図示する。WT魚(図8Aの右側の魚)は、特徴的な黒色の縞及び目の色素沈着を伴うグレーの彩色を示すが、ホモ接合性slc45a2変異体は、その赤い目及び無地のアルビノ赤色~赤色の皮膚彩色により明らかであるように、性的成熟後にその皮膚又は目においてメラニン形成を示さない(図8Aの左側の魚及び図8Bに個別に示される魚)。 同上
本発明は、そのいくつかの実施形態において、グレー/黒の色素沈着を欠いた安定したアルビノレッドティラピア系統に関し、より具体的には、ただし非排他的に、遺伝子編集によってそれを作製することに関する。
本発明の原理及び作用は、図面及び添付の説明を参照してよりよく理解され得る。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途において、後述する説明に記載されるか又は実施例に例示される詳細に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であるか、又は種々の方法で実施若しくは実行され得る。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的とするものであり、限定であるとみなされてはならないことが理解されるべきである。
近年、異なるティラピン(tilapiine)種(特定の系統に応じてO. niloticus、O. mossambicus、O. aureus及びO. hornorum)の交雑種又は高度に近交系のナイルティラピアの赤色バリアントの市販の系統である「レッドティラピア」の需要が高まっている。グレー~黒色を有する野生型と比較して、レッドティラピアは、需要が高く、市場価値が大幅に上昇している。しかし、赤色表現型は、遺伝的に不安定であり、その調節遺伝子の一部は、依然として分かっていない。野生型ティラピアでは、赤色表現型は、環境パラメータによる影響を受ける可能性があり、その結果、黒又は暗赤色の斑点を伴う不均一な彩色が生じ、魚の市場価値が低下する。これにより、世代を通して安定しており、種々の育種及び遺伝子選択プロトコル下でのその遺伝の扱い易さを可能にする明白な遺伝的背景において確立された、均一な赤を有するティラピア系統の必要性が強調される。
本発明が実施に至る間、本発明者らは、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を付与することにより、安定した遺伝性のレッドティラピア表現型を作製した。
本明細書で以下及びそれに続く実施例の項に示されるように、本発明者らは、ナイルティラピアにおいてslc45a2遺伝子を特定し、それを部分的にクローニングし、これらのデータを使用して、slc45a2ゲノム配列に対して高度に特異的なガイドRNA(gRNA)を設計した(後述する実施例1)。組換えCas9タンパク質及びslc45a2特異的gRNAを含有するリボ核タンパク質のナイルティラピア接合体へのマルチプレックスマイクロインジェクションは、注入された魚において種々のレベルのメラニン喪失を誘導した(後述する実施例2)。アンプリコンの次世代シーケンシング(NGS)分析により、注入された接合体から成長したF魚は、全て様々な変異レベルでそのゲノムに変異アレルを保有することが実証された(後述する実施例2)。マイクロ注入した魚のうちの1匹は、皮膚のメラニンの約97~99%の喪失を示すオスであった(後述する実施例3)。現在入手可能なレッドティラピア系列と異なり、この系列は、その赤い目に反映されるように、目のメラニンの喪失も示した(後述する実施例3)。このオスの切除ヒレ、精子及び子孫(F)から抽出されたgDNAからのslc45a2遺伝子のゲノム標的領域のシーケンシングにより、種々のゲノムインデルと、精子で特定されたインデルの生殖系列導入とが確認された(後述する実施例3)。さらに、サンガーシーケンシングと組み合わせた高解像度融解(HRM)分析により、Fにおける10個の遺伝性アレルの驚くべき予想外の存在が実証された(後述する実施例4)。さらに、第2世代(F)slc45a2-/-ティラピアは、明白な眼皮膚白皮症(OCA)表現型、すなわち目及び皮膚におけるメラニンの完全な喪失を示し、赤色表現型をもたらした(後述する実施例4)。
まとめると、いずれも安定且つ遺伝的に追跡可能である体細胞及び生殖系列のslc45a2変異アレルを含むアルビノレッドティラピア魚が作製された。これらの魚は、魚の個体群内で安定していると共に遺伝性である、皮膚及び目の赤色表現型を示した。
したがって、本発明の一態様によると、slc45a2遺伝子に機能喪失変異を含むティラピア属の魚が提供され、変異は、ホモ接合型であり、機能喪失変異は、魚のアルビノ赤色表現型をもたらす。
本明細書で使用される「ティラピア属の魚」という用語は、ティラピンシクリッド(tilapiine cichlid)の群のメンバーを指す。ティラピア属の例示的なメンバーとしては、ナイルティラピア(Oreochromis niloticus)、ブルーティラピア(Oreochromis aureus)、モザンビークティラピア(Oreochromis mossambicus)、ワミティラピア(例えば、2つの亜種:Oreochromis urolepis urolepis及びOreochromis urolepis hornorum)、スリースポッティドティラピア(Oreochromis andersonii)、ロングフィンティラピア(Oreochromis macrochir)、サバキティラピア(Oreochromis spilurus)、ブラックチンティラピア(Sarotherodon melanotheron)、マンゴーティラピア(Sarotherodon galilaeus)、ギニアティラピア(Coptodon guineensis)、レッドブレストティラピア(Coptodon rendalli)及びレッドベリーティラピア(Coptodon zillii)又はこれらの交雑種が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のティラピア属の魚は、任意の年齢であり得る(例えば、稚魚、幼魚、小魚又は成魚/成熟魚)。さらに、以下でさらに議論されるように、本発明で使用される魚を貯蔵、維持、繁殖及び採取するために、当技術分野で知られている任意の魚の水産養殖技術を使用することができる。
「野生型」ティラピア魚は、slc45a2遺伝子の野生型配列を含む。
ティラピア属の野生型(WT)系統は、黒/グレー~赤/ピンク/ブロンドの彩色を呈することがある。
いくつかの実施形態によると、黒/グレーの表現型を呈するティラピアの野生型系統は、通常、皮膚及び腹膜での黒及び/又はグレーの色素沈着並びに黒い目を示す。ティラピアの黒~グレーの彩色は、通常、無色の外観に関連する。
いくつかの実施形態によると、赤色表現型を呈するティラピアの野生型系統(レッドティラピアと称される)は、黒/グレーのティラピアで見られる黒及び/又はグレーの皮膚の色素沈着の大部分を欠いているが、通常、その皮膚上の黒/グレーの斑点(例えば、スポット、例えば染み)、黒/グレーの腹膜並びに黒い目の彩色を示す。
いくつかの実施形態によると、ブロンド~ピンクの表現型を呈するティラピアの野生型系統(ブロンド/ピンクティラピアと称される)は、通常、皮膚での色素沈着を欠いているが、その皮膚に暗色の斑点を示す(例えば、赤いスポットが散在するピンク、又は黒いスポットが散在するピンクとなる)ことがあり、通常、黒い目の彩色を示す。
言及されるように、本発明のティラピア属の魚は、アルビノ赤色表現型を含み、遺伝子改変されている。
本明細書で使用される「アルビノ赤色表現型」という用語は、皮膚、腹膜及び目においてメラニンの喪失を示すティラピアを指す。したがって、本発明のアルビノレッドティラピアは、皮膚及び腹膜において黒/グレーの色素沈着又は斑点を欠いている(すなわち黒/グレーの色素沈着又は黒/グレーの斑点が完全にない)。アルビノ赤色魚は、その皮膚又は腹膜に赤い斑点を示し得る。さらに、本発明のアルビノレッドティラピア魚は、赤い目の表現型(メラニンの完全な喪失に起因する)を示す。
アルビノ赤色表現型は、その体に色素性メラノフォアを欠いているため、その皮膚及び腹膜に黒/グレーの色素沈着を示さず、その目にメラニンを示さない。黒/グレーの色素の喪失の決定は、当技術分野で知られている任意の方法を用いて、例えば双眼鏡により、顕微鏡下において、画像分析により又はデジタル写真により実行することができる。魚の彩色を評価するための追加的な方法論は、参照により本明細書に援用されるSvensson and Skold, “Skin Biopsies as Tools to Measure Fish Coloration and Colour Change” (2011) In book: Skin Biopsy - Perspectivesでさらに議論されている。
本明細書で使用される場合、「slc45a2遺伝子」という用語は、GeneBankアクセッション番号XP_003451532(タンパク質)及びXM_003451484(mRNA)を有する溶質キャリアファミリー45メンバー2タンパク質をコードする遺伝子又はその相同体を指す。Slc45a2は、膜結合輸送体タンパク質(MATP)、アブセントインメラノーマ-1(Aim-1)、眼皮膚白皮症4型(OCA4)及びB遺伝子並びにアルビノ(alb)とも称される。
一実施形態によると、slc45a2遺伝子相同体は、異なるティラピア系統のslc45a2タンパク質をコードする遺伝子を指す。
本発明の魚は、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を含む。
本明細書で使用される場合、「機能喪失変異」という語句は、発現産物、すなわちmRNA転写物及び/又は翻訳されたタンパク質の発現レベル及び/又は活性の下方制御をもたらす、遺伝子(例えば、slc45a2遺伝子)のDNA配列における任意の変異を指す。このような機能喪失変異の非限定的な例としては、ミスセンス変異、すなわちタンパク質内のアミノ酸残基を別のアミノ酸残基により変化させ、それによりタンパク質の活性を消失させる変異;ナンセンス変異、すなわち終止コドン、例えば活性のないより短いタンパク質をもたらす早期終止コドンをタンパク質に導入する変異;フレームシフト変異、すなわちタンパク質のリーディングフレームを変化させる核酸の変異、通常、欠失又は挿入であって、終止コドンをリーディングフレーム内に導入することにより早期終結をもたらす(例えば、活性のない短縮タンパク質)か、又はタンパク質の二次若しくは三次構造に影響を与え、非変異ポリペプチドの活性のない非機能性タンパク質を生じる、より長いアミノ酸配列(例えば、リードスルータンパク質)をもたらし得る変異;フレームシフト変異又は改変された終止コドン変異(すなわち終止コドンがアミノ酸コドンに変異された場合)に起因する、活性が消失されたリードスルー変異;プロモーター変異、すなわち通常遺伝子の5’側から転写開始部位までのプロモーター配列の変異であって、特定の遺伝子産物の下方制御をもたらす変異;調節変異、すなわち遺伝子産物の発現に影響を与える、上流若しくは下流の領域又は遺伝子内の変異;欠失変異、すなわち遺伝子配列内のコード核酸を欠失させ、フレームシフト変異又はインフレーム変異(コード配列内、1つ又は複数のアミノ酸コドンの欠失)をもたらし得る変異;挿入変異、すなわちコード又は非コード核酸を遺伝子配列に挿入し、フレームシフト変異又は1つ若しくは複数のアミノ酸コドンのインフレーム挿入をもたらし得る変異;逆位、すなわち逆位コード又は非コード配列をもたらす変異;スプライス変異、すなわち異常なスプライシング又は不十分なスプライシングをもたらす変異;及び重複変異、すなわちインフレームであり得るか、又はフレームシフトを引き起こし得る、重複コード又は非コード配列をもたらす変異が挙げられる。
特定の実施形態によると、slc45a2遺伝子における機能喪失変異は、機能性slc45a2タンパク質をコードしない遺伝子産物をもたらす。すなわち、機能性とは、ティラピアにおけるメラニン合成を媒介することを意味する。
特定の実施形態によると、遺伝子の機能喪失変異は、その遺伝子の少なくとも1つのアレルを含み得る。
他の特定の実施形態によると、遺伝子の機能喪失変異は、その遺伝子の両方のアレルを含む。このような例では、slc45a2遺伝子における機能喪失変異は、ホモ接合型であり得る。この実施形態によると、ホモ接合性は、slc45a2遺伝子座位における両方のアレルが機能喪失変異を特徴とする状態である。ヘテロ接合性は、slc45a2遺伝子座位のアレルの一方が機能喪失変異を特徴とする状態を指す。
一実施形態によると、機能喪失変異は、ホモ接合型である。2つのアレルのそれぞれにおける変異は、同じであるか又は異なり得る(例えば、以下で議論されるように挿入、欠失、インデル)ことが認識されるであろう。加えて、2つのアレルのそれぞれにおける変異は、slc45a2遺伝子座位の同じ位置又は異なる位置にあり得る。2つのアレルのそれぞれにおける変異又はその位置に関係なく、2つのアレルのそれぞれにおける変異は、機能喪失変異をもたらす。
一実施形態によると、機能喪失変異は、遺伝性であり、すなわち親から子孫に伝達可能である。
核酸変化を対象の遺伝子に導入する方法は、当技術分野でよく知られており[例えば、Menke D. Genesis (2013) 51: - 618;Capecchi, Science (1989) 244:1288-1292;Santiago et al. Proc Natl Acad Sci USA (2008) 105:5809-5814;国際公開第2014085593号パンフレット、国際公開第2009071334号パンフレット及び国際公開第2011146121号パンフレット;米国特許第8771945号明細書、同第8586526号明細書、同第6774279号明細書並びに米国特許出願公開第20030232410号明細書、同第20050026157号明細書、同第20060014264号明細書(これらの内容は、参照によりその全体が援用される)を参照されたい]、標的相同組換え、部位特異的リコンビナーゼ、PBトランスポザーゼ及び操作されたヌクレアーゼによるゲノム編集が含まれる。核酸変化を対象の遺伝子に導入するための薬剤は、公的に利用可能な供給源によって設計するか、又はTransposagen社、Addgene社及びSangamo Biosciences社から商業的に得ることができる。
本発明の一態様によると、本発明のいくつかの実施形態の魚を作製するための方法が提供され、本方法は、(a)ティラピア属の魚の接合体に、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を付与するDNA編集剤を導入するステップと、(b)ステップ(a)の接合体を魚に成長させるステップとを含む。
以下は、slc45a2の核酸配列(ゲノム)に核酸変化を導入するために使用される方法及びDNA編集剤並びにそれを実行するために本発明の特定の実施形態に従って使用することができる薬剤の種々の非限定的な例の説明である。
操作されたエンドヌクレアーゼを用いるゲノム編集 - このアプローチは、人工的に操作されたヌクレアーゼを用いて、ゲノム内の所望の位置で特定の二本鎖切断を切断及び作成し、次にこれが相同性配向型修復(HDR)及び非相同末端結合(NFfEJ)などの細胞内因性プロセスによって修復される、リバースジェネティクス法を指す。NFfEJは、二本鎖切断におけるDNA末端を直接結合するが、HDRは、切断点で欠損しているDNA配列を再生するための鋳型として相同配列を利用する。ゲノムDNAに特定のヌクレオチド改変を導入するために、HDR中、所望の配列を含有するDNA修復鋳型が存在しなければならない。
ほとんどの制限酵素は、DNA上の数個の塩基対をその標的として認識し、認識された塩基対の組合せがゲノム全体の多くの位置で見出される可能性が非常に高く、所望の位置に限定されない複数の切断につながるため、ゲノム編集は、従来の制限エンドヌクレアーゼを用いて実施することができない。この課題を克服し、部位特異的な一本鎖又は二本鎖切断を作成するために、いくつかの別個の種類のヌクレアーゼが今日までに発見されており、バイオエンジニアリングにより作られている。これらには、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、T-GEEシステム及びCRISPR/Casシステムが含まれる。
メガヌクレアーゼ - メガヌクレアーゼは、一般に、4つのファミリー:LAGLIDADGファミリー、GIY-YIGファミリー、His-Cysボックスファミリー及びHNHファミリーに分類される。これらのファミリーは、触媒活性及び認識配列に影響を与える構造モチーフを特徴とする。例えば、LAGLIDADGファミリーのメンバーは、保存されたLAGLIDADGモチーフの1コピー又は2コピーのいずれかを有することを特徴とする。メガヌクレアーゼの4つのファミリーは、保存された構造要素に関して、したがってDNA認識配列特異性及び触媒活性に関して互いに大きく隔てられている。メガヌクレアーゼは、微生物種において一般的に見出され、非常に長い認識配列(>14bp)を有するという独特の特性を有し、したがって、これらは、当然のことながら、所望の位置での切断に対して非常に特異的になる。
これは、ゲノム編集において部位特異的な二本鎖切断を行うために利用することができる。当業者は、これらの天然に存在するメガヌクレアーゼを使用することができるが、このような天然に存在するメガヌクレアーゼの数は、限られている。この課題を克服するために、変異誘発及び高スループットスクリーニング方法を使用して、独特の配列を認識するメガヌクレアーゼバリアントが作り出されている。例えば、新しい配列を認識するハイブリッド酵素を作り出すために、種々のメガヌクレアーゼが融合されている。
代替的に、メガヌクレアーゼのDNA相互作用アミノ酸は、配列特異的メガヌクレアーゼを設計するように変化され得る(例えば、米国特許第8,021,867号明細書を参照されたい)。メガヌクレアーゼは、例えば、Certo, MT et al. Nature Methods (2012) 9:073-975;米国特許第8,304,222号明細書;同第8,021,867号明細書;同第8,119,381号明細書;同第8,124,369号明細書;同第8,129,134号明細書;同第8,133,697号明細書;同第8,143,015号明細書;同第8,143,016号明細書;同第8,148,098号明細書;又は同第8,163,514号明細書に記載される方法を用いて設計することができ、これらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。代替的に、部位特異的な切断特徴を有するメガヌクレアーゼは、市販の技術、例えばPrecision Biosciences社のDirected Nuclease Editor(商標)ゲノム編集技術を用いて得ることができる。
ZFN及びTALEN - 操作されたヌクレアーゼの2つの別個の種類であるジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、いずれも標的二本鎖切断を生じるのに有効であることが証明されている(Christian et al., 2010;Kim et al., 1996;Li et al., 2011;Mahfouz et al., 2011;Miller et al., 2010)。
基本的に、ZFN及びTALEN制限エンドヌクレアーゼ技術は、特定のDNA結合ドメイン(それぞれ一連のジンクフィンガードメイン又はTALEリピート)に連結された非特異的なDNA切断酵素を利用する。通常、そのDNA認識部位及び切断部位が互いに分離されている制限酵素が選択される。切断部分は、分離され、次にDNA結合ドメインに連結され、それにより所望の配列に対して非常に高い特異性を有するエンドヌクレアーゼが得られる。このような特性を有する例示的な制限酵素は、Foklである。さらに、Foklは、ヌクレアーゼ活性を有するために二量体化を必要とするという利点を有し、これは、各ヌクレアーゼパートナーが独特のDNA配列を認識するため、特異性が劇的に増大することを意味する。この効果を増強するために、ヘテロ二量体としてのみ機能することができ、増大した触媒活性を有するFoklヌクレアーゼが操作された。ヘテロ二量体機能性のヌクレアーゼは、望ましくないホモダイマー活性の可能性を回避し、したがって二本鎖切断の特異性を増大させる。
したがって、例えば特定の部位を標的とするために、ZFN及びTALENは、ヌクレアーゼ対として構築され、この対の各メンバーは、標的部位において隣接する配列に結合するように設計される。細胞における一過性発現時、ヌクレアーゼは、その標的部位に結合し、FokIドメインは、ヘテロ二量体化して、二本鎖切断(DSB)を作り出す。非相同末端結合(NHEJ)経路によるこれらの二本鎖切断の修復は、ほとんどの場合、小さい欠失又は小さい配列挿入(インデル)をもたらす。NHEJにより行われる各修復は、独特であるため、単一のヌクレアーゼ対の使用は、標的部位に様々な異なる欠失を有するアレルシリーズを生じ得る。
欠失は、通常、長さが数塩基対~数百塩基対の範囲にわたるが、2対のヌクレアーゼを同時に使用することにより、より大きい欠失が細胞培養物で問題なく生成された(Carlson et al., 2012;Lee et al., 2010)。加えて、ヌクレアーゼ対と共に、標的領域に対する相同性を有するDNAの断片が導入される場合、二本鎖切断は、相同性配向型修復により修復されて、特定の改変を産生することができる(Li et al., 2011;Miller et al., 2010;Urnov et al., 2005)。
ZFN及びTALENの両方のヌクレアーゼ部分は、同様の特性を有するが、これらの操作されたヌクレアーゼ間の違いは、そのDNA認識ペプチドにある。ZFNは、Cys2-His2ジンクフィンガーに依存し、TALENは、TALEに依存する。これらのDNA認識ペプチドドメインは、いずれもそのタンパク質中に天然に組合せで見出されるという特徴を有する。Cys2-His2ジンクフィンガーは、通常、3bp離れたリピートに見出され、様々な核酸相互作用タンパク質において多様な組合せで見出される。一方、TALEは、アミノ酸と、認識されたヌクレオチド対との間の1対1の認識比でリピートに見出される。ジンクフィンガー及びTALEは、いずれも繰り返しパターンで起こるため、様々な種類の配列特異性を作り出すために異なる組合せを試すことができる。部位特異的なジンクフィンガーエンドヌクレアーゼを作製するためのアプローチには、例えば、モジュールアセンブリ(トリプレット配列と関連しているジンクフィンガーが一列に結合されて、必要とされる配列をカバーする)、OPEN(ペプチドドメイン対トリプレットヌクレオチドの低ストリンジェンシー選択、その後の細菌系におけるペプチド組合せ対最終標的の高ストリンジェンシー選択)及びジンクフィンガーライブラリーの細菌ワン交雑種スクリーニングが特に含まれる。ZFNは、例えば、Sangamo Biosciences(商標)社(カリフォルニア州、リッチモンド)から商業的に設計及び入手することもできる。
TALENを設計及び入手するための方法は、例えば、Reyon et al. Nature Biotechnology 2012 May;30(5):460-5;Miller et al. Nat Biotechnol. (2011) 29: 143-148;Cermak et al. Nucleic Acids Research (2011) 39 (12): e82及びZhang et al. Nature Biotechnology (2011) 29 (2): 149-53に記載されている。最近開発されたMojo Handという名称のウェブベースのプログラムは、ゲノム編集用途のためのTAL及びTALEN構築物を設計するためにメイヨークリニックによって導入された(www(dot)talendesign(dot)orgによりアクセスすることができる)。TALENは、例えば、Sangamo Biosciences(商標)社(カリフォルニア州、リッチモンド)から商業的に設計及び入手することもできる。
T-GEEシステム(TargetGene社のGenome Editing Engine) - 標的細胞においてインビボで構築され、所定の標的核酸配列と相互作用することができる、ポリペプチド部分及び特異性付与核酸(SCNA)を含有するプログラム可能な核タンパク質分子複合体が提供される。プログラム可能な核タンパク質分子複合体は、標的核酸配列内の標的部位を特異的に改変及び/若しくは編集し、且つ/又は標的核酸配列の機能を改変することができる。核タンパク質組成物は、(a)キメラポリペプチドをコードし、(i)標的部位を改変することができる機能ドメイン、及び(ii)特異性付与核酸と相互作用することができる連結ドメインを含むポリヌクレオチド分子と、(b)(i)標的部位に隣接する標的核酸の領域に相補的なヌクレオチド配列、及び(ii)ポリペプチドの連結ドメインに特異的に結合することができる認識領域を含む特異性付与核酸(SCNA)とを含む。この組成物は、特異性付与核酸及び標的核酸の塩基対形成により、標的核酸に対する分子複合体の高い特異性及び結合能力を用いて、所定の核酸配列標的を正確に、確実に且つコスト効率的に改変することを可能にする。この組成物は、遺伝毒性がより低く、そのアセンブリがモジュールであり、カスタマイズすることなく単一のプラットフォームを利用し、専門のコア施設外で独立して使用するのに実用的であり、且つより短い開発期間を有し、コストが削減される。
CRISPR-Casシステム - 多数の細菌及び古細菌は、侵入するファージ及びプラスミドの核酸を分解することができる内在性のRNAベースの適応免疫系を含有する。これらのシステムは、RNA成分を生成するclustered regularly interspaced short palindromic repeat(CRISPR)遺伝子と、タンパク質成分をコードするCRISPR associated(Cas)遺伝子とからなる。CRISPR RNA(crRNA)は、特定のウイルス及びプラスミドに対して相同性を有する短い区間を含有し、対応する病原体の相補的核酸を分解するようにCasヌクレアーゼに指示するためのガイドとして作用する。Streptococcus pyogenesのII型CRISPR/Casシステムの研究により、3つの成分がRNA/タンパク質複合体を形成し、合わせると配列特異的ヌクレアーゼ活性に十分であることが示された:Cas9ヌクレアーゼ、標的配列に対して相同性を有する20塩基対を含有するcrRNA(gRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)(Jinek et al. Science (2012) 337: 816-821)。
さらに、crRNAとtracrRNAとの間の融合物で構成される単一の合成キメラガイドRNA(sgRNA)は、インビトロでcrRNAに対して相補的なDNA標的を切断するようにCas9に指示できることが実証された。合成sgRNAと併用したCas9の一過性発現は、様々な異なる種において標的とされた二本鎖切断(DSB)を産生するために使用可能であることも実証された((Cho et al., 2013;Cong et al., 2013;DiCarlo et al., 2013;Hwang et al., 2013a,b;Jinek et al., 2013;Mali et al., 2013)。sgRNA(本明細書では単一のガイドRNA(sgRNA)とも称される)は、通常、標的相同配列(crRNA)と、crRNAをCas9ヌクレアーゼに連結する内在性の細菌RNA(tracrRNA)との組合せを単一のキメラ転写物においてコードする80~100ヌクレオチド配列である。
ゲノム編集のためのCRIPSR/Casシステムは、2つの別個の成分:sgRNA及びエンドヌクレアーゼ、例えばCas9又は3つの別個の成分:gRNA、tracrRNA及びエンドヌクレアーゼ、例えばCas9を含有する。
sgRNA/Cas9複合体又はgRNA/tracrRNA/Cas9は、gRNA配列と補体ゲノムDNAとの間の塩基対形成によって標的配列に動員される。Cas9の結合の成功のために、ゲノム標的配列は、標的配列の直後に正しいプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列も含有しなければならない。sgRNA/Cas9複合体又はgRNA/tracrRNA/Cas9の結合は、Cas9をゲノム標的配列に局在化させ、したがって、Cas9は、DNAの両方の鎖を切断して、二本鎖切断(DSB)を引き起こすことができる。ZFN及びTALENの場合と同様に、CRISPR/Casにより生じる二本鎖切断(DSB)は、相同組換え又はNHEJを受けることができ、DNA修復中に特定の配列改変の影響を受けやすい。
Cas9ヌクレアーゼは、2つの機能ドメイン:RuvC及びHNHを有し、これらは、それぞれ異なるDNA鎖を切断する。これらのドメインの両方が活性である場合、Cas9は、ゲノムDNAにおいて二本鎖切断を引き起こす。
CRISPR/Casの大きい利点は、このシステムの高効率が、合成sgRNA又はgRNAを容易に作り出す能力と結合されることである。これにより、異なるゲノム部位での改変を標的とし、及び/又は同じ部位での異なる改変を標的とするように容易に改変される(例えば、slc45a2遺伝子座位において)ことが可能なシステムが作り出される。さらに、複数の遺伝子の同時ターゲティングを可能にするプロトコルが確立されている。変異を保有する細胞の大部分は、標的化遺伝子において両アレル変異を提示する。
しかしながら、sgRNA又はgRNA配列とゲノムDNA標的配列との間の塩基対形成相互作用における見かけの柔軟性により、標的配列への不完全なマッチは、Cas9によって切断することが可能になる。
単一の不活性触媒ドメイン、RuvC-又はHNH-のいずれかを含有するCas9酵素の改変バージョンは、「ニッカーゼ」と呼ばれる。1つのみの活性ヌクレアーゼドメインにより、Cas9ニッカーゼは、標的DNAの1本の鎖のみを切断し、一本鎖切断又は「ニック」を作り出す。一本鎖切断又はニックは、主に、PARP(センサー)及びXRCC1/LIG III複合体(ライゲーション)など(これらのみではない)のタンパク質を含む一本鎖切断修復機序によって修復される。しかしながら、Cas9ニッカーゼによって導入された2つの近接する反対鎖のニックは、「ダブルニック」CRISPRシステムと呼ばれることが多いシステムにおいて二本鎖切断として処理される。基本的に非平行DSBであるダブルニックは、他のDSBのように、遺伝子標的に対する所望の効果に応じてHR又はNHEJによって修復することができる。したがって、いずれかのgRNA単独では、ゲノムDNAを変化させる可能性の低いニックが生じ得るため、特異性及び低減したオフターゲット効果が重要である場合、Cas9ニッカーゼを使用して、極めて近接しており、且つゲノムDNAの反対の鎖上にある標的配列を有する2つのgRNAを設計することによってダブルニックを作り出すことにより、オフターゲット効果が低減されるであろう。
2つの不活性触媒ドメインを含有するCas9酵素の改変バージョン(dead Cas9又はdCas9)は、ヌクレアーゼ活性を有さないが、sgRNA又はgRNAの特異性に基づいて依然としてDNAに結合することができる。dCas9は、不活性酵素を既知の制御ドメインに融合させることにより、DNA転写制御因子が遺伝子発現を活性化又は抑制するためのプラットフォームとして利用することができる。例えば、ゲノムDNA中の標的配列へのdCas9単独での結合は、遺伝子転写を妨げることができる。
代替的に、CRISPRシステムは、DNA切断ドメインなどの種々のエフェクタードメインと融合され得る。DNA切断ドメインは、任意のエンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼから得ることができる。DNA切断ドメインを得ることができるエンドヌクレアーゼの非限定的な例としては、制限エンドヌクレアーゼ及びホーミングエンドヌクレアーゼ(例えば、New England Biolabs社のカタログ又はBelfort et al. (1997) Nucleic Acids Res.を参照されたい)、例えばFoklエンドヌクレアーゼ及びI-CreIが挙げられるが、これらに限定されない。
gRNAによりDNA編集をもたらすために使用することができる追加的なCasエンドヌクレアーゼとしては、Cas9、Cpf1(Zetsche et al., 2015, Cell. 163(3):759-71)、C2c1、C2c2、C2c3(Shmakov et al., Mol Cell. 2015 Nov. 5; 60(3):385-97)、CasX及びCpf1/Cas12aが挙げられるが、これらに限定されない。
標的配列の選択及び/又は設計を促進するために利用可能であるいくつかの公的に利用可能な手段並びに異なる種の異なる遺伝子に対して生物情報学的に決定された独特のsgRNA又はgRNAのリストがあり、例えばFeng Zhang研究室のTarget Finder、Alex Scier研究室のTarget Finder(ChopChop)、Michael Boutros研究室のTarget Finder(E-CRISP)、RGEN Tools:Cas-OFFinder、CasFinder:ゲノム内の特定のCas9標的を同定するためのフレキシブルアルゴリズム及びCRISPR Optimal Target Finderなどであるが、これらに限定されない。
CRISPRシステムを使用するために、crRNA(gRNA)、tracrRNA及びCasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)が標的細胞内で発現されるか、又は標的細胞内に存在しなければならない(例えば、リボ核タンパク質複合体(RNP)として)。代替的に、sgRNA及びCasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)の両方又はgRNA、tracrRNA及びCasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)が標的細胞内で発現されるか、又は標的細胞内に存在しなければならない(例えば、リボ核タンパク質複合体として)。挿入ベクターは、単一のプラスミド上に全てのカセットを含有することができるか、又はカセットは、別々のプラスミドから発現される。CRISPRプラスミドは、市販されており、例えばAddgene社(マサチューセッツ州、ケンブリッジ)からのpx330プラスミドである。
特定の実施形態によると、DNA編集剤は、DNAターゲティングモジュール(例えば、gRNA)を含む。
特定の実施形態によると、DNA編集剤は、2つ以上のDNAターゲティングモジュール(例えば、slc45a2遺伝子座位内の異なる領域を標的とする2、3、4、5つ又はそれを超える異なるgRNA)を含む。
特定の実施形態によると、DNA編集剤は、ヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)及びDNAターゲティングモジュール(例えば、gRNA又はgRNA及びtracrRNA)を含む。
特定の実施形態によると、DNA編集剤は、ヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)及びDNAターゲティングモジュール(例えば、sgRNA)を含む。
特定の実施形態によると、DNA編集剤は、CRISPR/エンドヌクレアーゼである。
特定の実施形態によると、DNA編集剤は、CRISPR/Cas、例えばsgRNA及びCas9又はgRNA、tracrRNA及びdCas9である。
本発明で使用することができるgRNAの非限定的な例は、配列番号13、14及び15に記載される核酸配列(すなわちそれぞれgRNA1、gRNA2及びgRNA3)を含む。
一実施形態によると、本発明で使用することができるgRNAは、配列番号13、14及び15に記載される核酸配列を有するgRNAの組合せ(例えば、gRNA2及びgRNA3、gRNA1及びgRNA3、gRNA1及びgRNA2又はgRNA1、gRNA2及びgRNA3)を含む。
特定の実施形態によると、CRISPRは、配列番号16に記載される核酸配列を含む短いガイドRNA(sgRNA)を含む。
特定の実施形態によると、gRNAは、例えば、配列番号46~48に記載されるslc45a2-エクソン1ゲノム領域(アクセッション番号XM_003451484)(すなわちゲノムデータベースからのゲノムslc45a2(chrLG7(逆鎖):16157420-16156969))を標的とする。
本教示に従い、slc45a2の核酸配列(ゲノム)に核酸変化を導入するために使用され得る追加的なDNA編集剤及びシステムには、トランスポゾン及びTFOが含まれるが、これらに限定されない。これらは、以下で簡単に議論される。
トランスポゾン - 単細胞のゲノム内の異なる位置に移動することができるヌクレオチド配列を含む可動遺伝因子を指す。その過程で、トランスポゾンは、変異を引き起こし、且つ/又は細胞のゲノム内のDNAの量を変化させることができる。Sleeping Beauty[Izsvak and Ivics Molecular Therapy (2004) 9, 147-156]、piggyBac[Wilson et al. Molecular Therapy (2007) 15, 139-145]、Tol2[Kawakami et al. PNAS (2000) 97 (21): 11403-11408]又はFrog Prince[Miskey et al. Nucleic Acids Res. Dec 1, (2003) 31(23): 6873-6881]など、細胞、例えば脊椎動物内で転位することもできるいくつかのトランスポゾン系が単離又は設計されている。一般に、DNAトランスポゾンは、簡単なカットアンドペースト法で1つのDNA部位から別の部位に移動する。
トリプレックス形成オリゴヌクレオチド(TFO) - 配列特異的な方法で二本鎖らせんDNA内のポリプリン/ポリピリミジン領域を認識及び結合し得るTFOを設計することができる。これらの認識ルールは、Maher III, L. J., et al., Science, 1989;245:725-730;Moser, H. E., et al., Science, 1987; 238:645-630;Beal, P. A., et al, Science, 1992; 251:1360-1363;Cooney, M., et al., Science, 1988; 241:456-459;及びHogan, M. E., et al.の欧州特許出願公開第375408号明細書によって概説されている。インターカレーターの導入及び骨格置換などのオリゴヌクレオチドの改変並びに結合条件(pH及びカチオン濃度)の最適化は、電荷反発及び不安定性などのTFO活性への固有の障害を克服するのに役立ち、合成オリゴヌクレオチドは、特定の配列に対して標的化できることが示された(Seidman and Glazer, J Clin Invest (2003) 112:487-94を参照されたい)。
一般に、トリプレックス形成オリゴヌクレオチドは、以下の配列対応性を有する。
オリゴ 3’--A G G T
デュプレックス 5’--A G C T
デュプレックス 3’--T C G A
TFOによる細胞のトランスフェクション(例えば、カチオン性リポソームによる)と、標的DNAによる三重らせん構造の形成とにより、立体的及び機能的な変化が誘導され、転写開始及び伸長が遮断され、内在性DNAにおける所望の配列変化の導入が可能になり、結果的に遺伝子発現の特異的な下方制御がもたらされる。
さらに、上記の原理に従って設計されたTFOは、DNA修復をもたらし得る定方向変異誘発を誘導することができ、したがって内在性遺伝子の発現の下方制御及び上方制御の両方が提供される(Seidman and Glazer, J Clin Invest (2003) 112:487-94)。効果的なTFOの設計、合成及び投与の詳細な説明は、米国特許出願公開第2003017068号明細書及び同第20030096980号明細書(Froehler et al)、同第20020128218号明細書及び同第20020123476号明細書(Emanuele et al)並びに米国特許第5,721,138号明細書(Lawn)に見出すことができる。
DNA編集剤がランダム変異を引き起こす変異原であり得ることと、slc45a2の発現レベルの下方制御を示す細胞が選択され得ることとが理解されるであろう。
変異原は、遺伝因子、化学物質又は放射線物質であり得るが、これらに限定されない。例えば、変異原は、限定されないが、紫外線、ガンマ線又はアルファ粒子などの電離放射線であり得る。他の変異原には、写し違いを生じ得る塩基類似体;亜硝酸などの脱アミノ化剤;臭化エチジウムなどの挿入剤;ブロモウラシルなどのアルキル化剤;トランスポゾン;天然及び合成アルカロイド;臭素及びその誘導体;アジ化ナトリウム;ソラレン(例えば、紫外線照射との組合せ)が含まれ得るが、これらに限定されない。変異原は、限定されないが、ICR191、1,2,7,8-ジエポキシ-オクタン(DEO)、5-アザC、N-メチル-N-ニトロソグアニジン(MNNG)、メタンスルホン酸エチル(EMS)又はN-エチル-N-ニトロソ尿素(ENU)などの化学物資変異原であり得る。
使用されるDNA編集剤又は方法に関係なく、本発明の方法は、slc45a2遺伝子が欠失、挿入、点変異又はインデルの少なくとも1つによって改変されるように使用される。
slc45a2の核酸配列(ゲノム)に核酸変化を導入するために使用される方法に関係なく、本方法は、slc45a2遺伝子座位の少なくとも1つの位置(例えば、slc45a2遺伝子座位の1、2、3、4、5つ又はそれを超える別個の位置)に変異が導入されるように使用される。
一実施形態によると、改変は、機能喪失変異を付与する(上記で議論した通り)。
一実施形態によると、変異は、配列番号1に対応する配列番号9、10、11及び12から選択される配列を有する標的配列内にある。
一実施形態によると、変異は、slc45a2遺伝子座位の1つの位置にある。
一実施形態によると、変異は、slc45a2遺伝子座位の2つ以上の位置(例えば、slc45a2遺伝子座位の2、3、4、5つ又はそれを超える位置)にある。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、約1~100,000ヌクレオチド、約1~50,000ヌクレオチド、約1~25,000ヌクレオチド、約1~10,000ヌクレオチド、約1~7,500ヌクレオチド、約1~5,000ヌクレオチド、約1~2,500ヌクレオチド、約1~2,000ヌクレオチド、約1~1,000ヌクレオチド、約1~750ヌクレオチド、約1~500ヌクレオチド、約1~250ヌクレオチド、約1~200ヌクレオチド、約1~150ヌクレオチド、約1~100ヌクレオチド、約1~90ヌクレオチド、約1~80ヌクレオチド、約1~70ヌクレオチド、約1~60ヌクレオチド、約1~50ヌクレオチド、約1~40ヌクレオチド、約1~30ヌクレオチド、約1~25ヌクレオチド、約1~20ヌクレオチド、約1~15ヌクレオチド、約1~10ヌクレオチド、約1~5ヌクレオチドの改変(野生型slc45a2遺伝子と比較して)を含む。
一実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、1500、2000、2500、5000、7500又は10,000ヌクレオチドの改変(野生型slc45a2遺伝子と比較して)を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、1ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、約5ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、約10ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、約20ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、約30ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、約50ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、約60ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、5ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、10ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、15ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、20ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、25ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、50ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、60ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、70ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、80ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、90ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、100ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、250ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、500ヌクレオチドまでの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、1000ヌクレオチドまでの改変を含む。
一実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、750、1000、1500、2000、2500、5000、7500又は最大で10,000ヌクレオチドの改変(野生型slc45a2遺伝子と比較して)を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で1000ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で750ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で500ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で250ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で100ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で90ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で80ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で70ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で60ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で50ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で40ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で30ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で25ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で20ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で15ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で10ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、最大で5ヌクレオチドの改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、slc45a2遺伝子の1つのアレルに改変を含む。
特定の実施形態によると、改変(例えば、挿入、欠失、点変異及び/又はインデル)は、slc45a2遺伝子の両方のアレルに改変を含む。したがって、改変は、両方のアレルにおける挿入、両方のアレルにおける欠失、両方のアレルにおける点変異又は両方のアレルにおけるインデルを含み得る。代替的に、変異は、一方のアレルにおける挿入及び他方のアレルにおける欠失、点変異若しくはインデル、一方のアレルにおける欠失及び他方のアレルにおける挿入、点変異若しくはインデル、一方のアレルにおける点変異及び他方のアレルにおける挿入、欠失若しくはインデル又は一方のアレルにおけるインデル及び他方のアレルにおける挿入、欠失若しくは点変異を含み得る。
特定の実施形態によると、改変は、slc45a2遺伝子(配列番号1に記載される)の57ヌクレオチドの欠失を含む。
特定の実施形態によると、改変は、全遺伝子(すなわちslc45a2遺伝子)の欠失を含む。
特定の実施形態によると、改変は、slc45a2遺伝子全体の染色体欠失を含む。
有効性を認定し、配列変化を決定するための方法は、当技術分野でよく知られており、これには、DNAシーケンシング、次世代アンプリコンシーケンシング(NGS)、電気泳動法、酵素ベースのミスマッチ検出アッセイ並びにハイブリダイゼーションアッセイ、例えばPCR、RT-PCR、高解像度融解曲線(HRM)、RNaseプロテクション、インサイツハイブリダイゼーション、プライマー伸長法、サザンブロット、ノーザンブロット及びドットブロット分析が含まれるが、これらに限定されない。
特定の遺伝子における配列変化は、例えば、クロマトグラフィ、電気泳動法、免疫検出アッセイ、例えばELISA及びウエスタンブロット分析並びに免疫組織化学を用いて、タンパク質レベルで決定することもできる。
一実施形態によると、DNA編集剤(例えば、gRNA若しくはsgRNA又はこれらをコードするベクター)は、レポーターを含有する形質転換細胞が、負の選択(レポーターを含有しない細胞の成長を阻害することによる)又は正の選択(レポーターによりコードされる産物をスクリーニングすることによる)のいずれかによって回収されることを可能にする少なくとも1つのレポーターを含む(例えば、連結される)ことができる。
一実施形態によると、レポーターは、蛍光レポータータンパク質である。
「蛍光タンパク質」という用語は、蛍光を放出するポリペプチドを指し、通常、フローサイトメトリー、顕微鏡法又は任意の蛍光イメージングシステムによって検出可能であり、したがってこのようなタンパク質を発現する細胞の選択の基礎として使用することができる。
マーカーとして使用することができる蛍光タンパク質の例は、限定されないが、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)及び赤色蛍光タンパク質(例えば、dsRed、mCherry、RFP)である。
例えば、クラゲであるAequorea victoria由来のGFPは、基質を添加しなくても紫外線にさらされると蛍光を生成する(Chalfie et al., Science 263:802-5 (1994))。標準条件下で野生型GFPよりも50倍も大きい蛍光を発生する、いくつかの改変されたGFPが作製されている(Cormack et al., Gene 173:33-8 (1996);Zolotukhin et al., J. Virol 70:4646-54 (1996))。このレベルの蛍光は、生きている動物における低レベルの組織特異的発現の検出を可能にする。
新しい種類の蛍光タンパク質及び応用の概要は、Trends in Biochemical Sciences[Rodriguez, Erik A.; Campbell, Robert E.; Lin, John Y.; Lin, Michael Z.; Miyawaki, Atsushi; Palmer, Amy E.; Shu, Xiaokun; Zhang, Jin; Tsien, Roger Y. “The Growing and Glowing Toolbox of Fluorescent and Photoactive Proteins”. Trends in Biochemical Sciences. Doi:10.1016/j.tibs.2016.09.010]に見出すことができる。
一実施形態によると、レポーターは、特定の検出可能な産物を生成し得るβ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ及びアルカリホスファターゼなどの酵素並びに直接検出することができるタンパク質である。
一実施形態によると、レポーターは、合成色素、例えばシアニンである。シアニン色素は、一般式:R2N[CH=CH]nCH=N+R2⇔R2N+=CH[CH=CH]nNR2(nは、小さい数である)を有し、通常、核酸又はタンパク質分子のいずれかに化学的に結合することができるように窒素末端の一方又は両方に反応基を有する2、3、5又は7-メチン構造から合成される。例示的なシアニン色素には、Cy2、Cy3、Cy5及びCy7が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のいくつかの実施形態の開示されたティラピア属の魚は、魚の細胞、好ましくは胚細胞、最も好ましくは単細胞胚(例えば、接合体、すなわち精子による受精後の卵細胞)にDNA編集剤を導入することによって作製する。DNA編集剤が胚細胞に導入される場合、ティラピア属の魚は、1つ又は複数の胚細胞を魚に成長させることによって得られる(以下に詳細に記載される通り)。魚の胚細胞へのDNA編集剤の導入と、それに続く魚の成長とは、ほとんどの魚種では胚が親魚の外側で成長するという事実によって単純化される。
一実施形態によると、本方法は、魚の細胞、例えば胚細胞(例えば、接合体)にDNA編集剤を導入することによって達成される。
一実施形態によると、本方法は、魚の細胞、例えば胚細胞(例えば、接合体)に2種以上のDNA編集剤(例えば、2、3、4、5種又はそれを超える異なるDNA編集剤)を導入することによって達成される。
一実施形態によると、2種以上のDNA編集剤は、slc45a2遺伝子座位内の別個の部位を標的とする。
特定の実施形態によると、本方法は、魚の細胞、例えば胚細胞(例えば、接合体)に、配列番号13、14及び15に記載される核酸配列を有するgRNA(すなわち、それぞれgRNA1、gRNA2及びgRNA3)を導入することによって達成される。
特定の実施形態によると、本方法は、魚の細胞、例えば胚細胞(例えば、接合体)に、配列番号13、14及び15に記載される核酸配列を有する2種以上のgRNAを導入する(例えば、gRNA2及びgRNA3、gRNA1及びgRNA3、gRNA1及びgRNA2又はgRNA1、gRNA2及びgRNA3を同時導入する)ことによって達成される。
特定の実施形態によると、本方法は、魚の細胞、例えば胚細胞(例えば、接合体)に、配列番号16に記載される核酸配列を有するsgRNAを導入することによって達成される。
本発明のDNA編集剤は、DNAデリバリー方法(例えば、発現ベクターによる)又はDNAフリーの方法を用いて、ティラピア属の魚の細胞(例えば、魚の接合体)に導入され得る。
一実施形態によると、gRNA又はsgRNA(又は使用されるDNA編集システムに応じて、使用される任意の他のDNA認識モジュール)は、RNAとして細胞に提供することができる。
したがって、本技術は、RNAトランスフェクション(例えば、mRNA+sgRNAトランスフェクション)又はリボ核タンパク質(RNP)トランスフェクション(例えば、タンパク質-RNA複合体トランスフェクション、例えばCas9/sgRNAリボ核タンパク質(RNP)複合体トランスフェクション)などの一過性DNA又はDNAフリーの方法を用いたDNA編集剤の導入に関することが認識されるであろう。
例えば、Cas9は、DNA発現プラスミド、インビトロ転写物(すなわちRNA)又はリボ核タンパク質粒子(RNP)中のRNA部分に結合した組換えタンパク質として導入することができる。sgRNAは、例えば、DNAプラスミド又はインビトロ転写物(すなわちRNA)として送達することができる。
RNA又はRNPトランスフェクションのための、当技術分野で知られている任意の方法は、本教示に従って使用することができ、例えば、限定されないが、マイクロインジェクション[参照により本明細書に援用されるCho et al., “Heritable gene knockout in Caenorhabditis elegans by direct injection of Cas9-sgRNA ribonucleoproteins,” Genetics (2013) 195:1177-1180によって記載される]、エレクトロポレーション[参照により本明細書に援用されるKim et al., “Highly efficient RNA-guided genome editing in human cells via delivery of purified Cas9 ribonucleoproteins” Genome Res. (2014) 24:1012-1019によって記載される]又は例えばリポソームを使用する脂質媒介性トランスフェクション[参照により本明細書に援用されるZuris et al., “Cationic lipid-mediated delivery of proteins enables efficient protein-based genome editing in vitro and in vivo” Nat Biotechnol. (2014) doi: 10.1038/nbt.3081によって記載される]である。RNAトランスフェクションの追加的な方法は、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第20160289675号明細書に記載されている。
本発明のRNAトランスフェクション方法の1つの利点は、RNAトランスフェクションが本質的に一過性であり、ベクターを含まないことである。RNA導入遺伝子は、追加的な配列(例えば、ウイルス配列)を必要とすることなく、最小の発現カセットとして細胞に送達して、そこで発現させることができる。
一実施形態によると、細胞における本発明の外因性DNA編集剤の発現のために、DNA編集剤をコードするポリヌクレオチド配列は、細胞発現に適した核酸構築物に連結される。このような核酸構築物は、細胞において構成的又は誘導的な方法でポリヌクレオチド配列の転写を指示するためのプロモーター配列を含む。
本発明のいくつかの実施形態の核酸構築物(本明細書では「発現ベクター」とも称される)は、このベクターを真核生物における複製及び組込みに適したものにする追加的な配列を含む(例えば、シャトルベクター)。加えて、典型的なクローニングベクターは、転写及び翻訳開始配列、発現配列、転写及び翻訳ターミネーター並びにポリアデニル化シグナルも含有し得る。
発現配列は、プロモーター及びエンハンサーの2つの主な種類に分けられる。プロモーターは、一般に、転写開始部位に関して比較的固定された位置にあるときに機能するDNAの1つ又は複数の配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼ及び転写因子の基本的な相互作用に必要とされるコアエレメントを含有し、上流エレメント及び応答エレメントを含有し得る。真核生物プロモーターは、通常、TATAボックス及び上流プロモーターエレメントの2種類の認識配列を含有する。転写開始部位の25~30塩基対上流に位置するTATAボックスは、RNA合成を開始するようにRNAポリメラーゼに指示することに関与していると考えられる。他の上流プロモーターエレメントは、転写が開始される速度を決定する。
好ましくは、開示される魚の作製に利用されるプロモーターは、形質転換された特定の細胞集団において活性である。魚細胞における発現のために、使用されるプロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、誘導性プロモーター、キメラプロモーター又は発生学的に調節されたプロモーターであり得る。本発明のいくつかの実施形態の方法に有用な好ましいプロモーターの例としては、VASA、EF1α、β-アクチン、U6、CMVが挙げられるが、これらに限定されない。
エンハンサーは、一般に、転写開始部位から固定されない距離で機能し、いずれの向きでもあり得るDNAの配列を指す。エンハンサーは、近くのプロモーターからの転写を増大させる機能を果たす。エンハンサーは、多くの場合、転写の調節を媒介する応答エレメントも含有する。プロモーターも、転写の調節を媒介する応答エレメントを含有することができる。
エンハンサーは、多くの場合、遺伝子の発現の調節を決定する。この効果は、プロモーターに動作可能に連結されたレポーター遺伝子を含有する構築物の導入が、この構築物がエンハンサーのドメインに挿入される場合にのみ発現される、いわゆるエンハンサートラップ構築物に見られる(O’Kane and Gehring, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:9123-9127 (1987)、Allen et al., Nature 333:852-855 (1988)、Kothary et al., Nature 335:435-437 (1988)、Gossler et al., Science 244:463-465 (1989))。このような場合、構築物の発現は、新たに関連付けられたエンハンサーのパターンに従って調節される。最小のプロモーターのみを有する構築物は、開示される魚においてエンハンサーを同定するために使用することができる。
言及されるように、レポータータンパク質は、発現配列からの発現を検出又は定量化するために有用である。例えば、レポータータンパク質をコードするヌクレオチド配列を組織特異的発現配列に動作可能に連結すると、系譜の発達を慎重に研究することが可能になる。多数のレポータータンパク質が知られており、他の生物において同様の目的で使用されている。これらには、上記で議論されるように、蛍光タンパク質及び酵素が含まれる。
既に記載されたエレメントに加えて、本発明のいくつかの実施形態の発現ベクターは、通常、クローニングされた核酸の発現のレベルを増大させるか、又は組換えDNAを保有する細胞の特定を容易にすることが意図される他の特殊なエレメントを含有し得る。例えば、いくつかの動物ウイルスは、許容細胞型におけるウイルスゲノムの染色体外複製を促進するDNA配列を含有する。これらのウイルスレプリコンを有するプラスミドは、プラスミド上に保有されるか、又は宿主細胞のゲノムにより保有される遺伝子によって適切な因子が提供される限り、エピソームとして複製される。
ベクターは、真核生物レプリコンを含んでも又は含まなくてもよい。真核生物レプリコンが存在する場合、ベクターは、適切な選択可能なマーカーを用いて、真核細胞において増幅可能である。ベクターが真核生物レプリコンを含まない場合、エピソーム増幅は、不可能である。代わりに、操作された細胞のゲノムに組換えDNAが組み込まれ、プロモーターが所望の核酸の発現を指示する。
発現ベクター内に含まれる個々のエレメントは、様々な構成で配置可能であることが認識されるであろう。例えば、エンハンサーエレメント及びプロモーターなど、並びにさらにDNA編集剤をコードするポリヌクレオチド配列は、「ヘッドトゥーテール」構成で配置され得、逆補体として存在し得るか、又は相補的な構成で逆平行鎖として存在し得る。このような様々な構成は、発現ベクターの非コードエレメントによって起こる可能性がより高いが、発現ベクター内のコード配列の代替構成も想定される。
魚の発現ベクターの例としては、例えば、Addgene社、Invitrogen社、Kawakami研究室及びChien研究室から入手可能なpCDNA3.1、pCDNA6、Tol2kitプラスミド、pSC2が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態によると、機能性DNA編集剤を発現させるために、切断モジュール(ヌクレアーゼ)がDNA認識ユニットの不可欠な部分ではない場合、発現ベクターは、切断モジュール及びDNA認識ユニット(例えば、CRISPR/Casの場合、gRNA又はsgRNA)をコードし得る。
代替的に、切断モジュール(ヌクレアーゼ)及びDNA認識ユニット(例えば、gRNA又はsgRNA)は、別々の発現ベクターにクローニングされ得る。このような場合、少なくとも2つの異なる発現ベクターが同じ真核細胞内に形質転換されなければならない。
代替的に、ヌクレアーゼが利用されない(すなわち外因性供給源から細胞に投与されない)場合、DNA認識ユニット(例えば、gRNA又はsgRNA)は、単一の発現ベクターを用いてクローニング及び発現され得る。
一実施形態によると、DNA編集剤は、真核細胞において活性なシス作用性調節エレメント(例えば、プロモーター)に動作可能に連結された少なくとも1つのDNA認識ユニット(例えば、gRNA又はsgRNA)をコードする核酸剤を含む。
一実施形態によると、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)及びDNA認識ユニット(例えば、gRNA又はsgRNA)は、同じ発現ベクターからコードされる。このようなベクターは、ヌクレアーゼ及びDNA認識ユニットの両方の発現のために真核細胞において活性な単一のシス作用性調節エレメント(例えば、プロモーター)を含み得る。代替的に、ヌクレアーゼ及びDNA認識ユニットは、それぞれ真核細胞において活性なシス作用性調節エレメント(例えば、プロモーター)に動作可能に連結され得る。
一実施形態によると、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)及びDNA認識ユニット(例えば、gRNA又はsgRNA)は、異なる発現ベクターからコードされ、それにより真核細胞において活性なシス作用性調節エレメント(例えば、プロモーター)に動作可能にそれぞれ連結される。
開示される構築物は、任意の適切な技術を用いて魚の胚細胞(例えば、接合体)に導入することができる。このような外因性遺伝物質の導入のための多くの技術は、魚及び他の動物において実証されている。これらには、マイクロインジェクション(例えば、Culp et al. (1991)によって記載される)、エレクトロポレーション(例えば、Inoue et al., Cell. Differ. Develop. 29:123-128 (1990);Muller et al., FEBS Lett. 324:27-32 (1993);Murakami et al., J. Biotechnol. 34:35-42 (1994);Muller et al., Mol. Mar. Biol. Biotechnol. 1:276-281 (1992);及びSymonds et al., Aquaculture 119:313-327 (1994)によって記載される)、粒子ガン衝撃((Zelenin et al., FEBS Lett. 287:118-120 (1991))及びリポソームの使用(Szelei et al., Transgenic Res. 3:116-119 (1994))が含まれる。マイクロインジェクションが好ましい。マイクロインジェクションによる魚の胚細胞への構築物の導入のための好ましい方法は、実施例に記載される。
ティラピア属の魚の胚又は胚細胞は、一般に、産卵直後に卵を採取することによって得ることができる。魚の種類に応じて、卵は、採卵前又は採卵の時点で授精させることが一般的に好ましい。これは、好ましくは、採卵が可能な水槽に1匹のオス及び4~5匹のメスの魚を一緒に入れることによって達成される。最初の細胞分裂前の受精卵細胞は、1つの細胞胚と考えられ、したがって、受精卵細胞は、胚細胞と考えられる。
DNA編集剤の導入後、胚は、魚に成長される。これは、通常、卵のインキュベーションに使用されるのと同じ条件下、例えば27℃の一定の攪拌下で胚をインキュベートすることによって実行される。適切な場合、胚の成長中、導入された構築物の発現を観察することができる。途中の任意の段階において、遺伝子型若しくは表現型又はその両方で魚を選出することができる。
slc45a2遺伝子における機能喪失変異を有する魚は、任意の適切な手段により、魚の成長の任意の段階(例えば、幼魚又は成魚)で同定することができる。
一実施形態によると、slc45a2遺伝子における機能喪失変異は、表現型で決定される。
slc45a2遺伝子における機能喪失変異は、メラニン合成の欠如、それにより魚がアルビノ赤色表現型を示すことによって明らかであるため、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を含む魚は、黒/グレーの色素沈着が欠如し、且つ皮膚の黒/グレーの斑点が欠如した、皮膚及び目におけるその赤い彩色で同定することができる(上記で議論した通り)。
一実施形態によると、slc45a2遺伝子における機能喪失変異は、遺伝子型で決定される。
例えば、slc45a2遺伝子における機能喪失変異は、例えば、DNAシーケンシング、次世代アンプリコンシーケンシング(NGS)、電気泳動法、酵素ベースのミスマッチ検出アッセイ並びにハイブリダイゼーションアッセイ、例えばPCR、RT-PCR、高解像度融解曲線(HRM)、RNaseプロテクション、インサイツハイブリダイゼーション、プライマー伸長法、サザンブロット、ノーザンブロット及びドットブロット分析を用いて、配列変化を検出することによって同定することができる。追加的又は代替的に、slc45a2遺伝子における機能喪失変異は、例えば、クロマトグラフィ、電気泳動法、免疫検出アッセイ、例えばELISA及びウエスタンブロット分析並びに免疫組織化学を用いて、タンパク質レベルで決定することもできる。
さらに、slc45a2遺伝子における機能喪失変異は、発達中の異なる時点(発生学的に調節された発現又は発達段階特異的な発現)で異なる細胞系譜(細胞系譜特異的な発現)、例えば体細胞又は生殖系列細胞において測定又は同定することができる。
一実施形態によると、変異は、体細胞に存在する。
一実施形態によると、変異は、生殖系列細胞に存在する。
一実施形態によると、遺伝子型の前に表現型が決定される。
一実施形態によると、表現型の前に遺伝子型が決定される。
一実施形態によると、本方法は、魚を育種するステップをさらに含む。
本明細書で使用される場合、「育種」という用語は、魚の系譜の遺伝的構成の遺伝性をもたらすあらゆる生殖方法を包含する。このような生殖方法には、交配、人工受精及び染色体操作(雌性発生及び雄性発生など)が含まれる。適用可能な育種プログラムには、同系交配、異種交配、種間又は属間交配及び選択的育種が含まれる。
「同系交配」は、個体群平均よりも密接に関連している近縁種又は魚の交配を指し、その結果、近交系の子孫が生じる。「異種交配」は、個体群平均よりも密接に関連しない個体の交配を指し、その結果、交雑種子孫が生じる。「種間及び属間交配」は、それぞれ異なる種又は属からの個体の交配を指す。「選択的育種」は、対照と比較したその表現型又は既知の遺伝子型/ハプロタイプに基づいて、優れた個体の交配を可能にすることを指す。
異なる育種プログラムを提携して組み合わせるか又は使用して、本発明のslc45a2遺伝子における機能喪失変異を有するアルビノレッドティラピア魚を産生することができる。
当技術分野で知られている任意の魚孵化場業務及び育種プログラムを本発明に従って使用することができる。例えば、Gjedrem, T. 2005, “Selection And Breeding Programs In Aquaculture,” Springer;Tave D, 1999, “Inbreeding and Brood Stock Management,” Fisheries Technical Paper 392, FAO United Nations;Tave D, 1995, “Selective Breeding Programmes,” Fisheries Technical Paper 352, FAO United Nations;Purdom, Colin, 1993, “Genetics and Fish Breeding,” Kluwer;Tave D. 1993, “Genetics for fish hatchery managers,” 2nd ed., Van Nostrand Reinhold, N.Y.;及びKirpichnikov V S, 1981, “Genetic Bases of Fish Selection,” Springer-Verlag, New York;Arai K. “Genetic improvement of finfish species by chromosomal manipulation techniques in Japan,” Aquaculture 197, issues 1-4:205-228, 2001;Khan, T. A., Bhise, M. P. and Lakra, W. S. “Chromosome manipulations in fish--a review.” Indian Journal of Animal Sciences 70: 213-221, 2000;Pandian, T. J. and Koteeswaran, R. “Ploidy induction and sex control in fish,” Hydrobiologia 384: 167-243, 1998を参照されたい。
一実施形態によると、本発明の方法は、同系交配プログラムを含む。新しい品種又は変種を産生するためのあらゆる既知の同系交配技術又はプログラムを使用することができる。この方法では、オスがアルビノレッドティラピア魚であり、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を有すると決定される場合、そのオスは、表現型及び遺伝子型がそのオスに似ている魚の個体群を産生するために、多数のメス並びに複数のその娘及び孫娘と交配される。例えば、オスの魚が交配され、その子孫及び第2世代子孫がその個体群のメンバーと交配され、次に戻ってオスの魚がそのひ孫と交配する。同系交配の別の例は、オスの個体をその娘、孫娘、ひ孫娘などと繰り返し交配させることを含む。後者のプログラムでは、そのオスに遺伝的に非常によく似た個体を産生することができる。得られた近交系の子孫は、遺伝的に改善された魚の新しい変種として維持することができる。特定の実施形態では、2つの異なる近交系列の魚を異種交配させて、両方の優れた形質を有する交雑種を産生することができる。
本発明の別の実施形態では、本方法は、異なる品種又は変種(種内交雑)又は異なる種(種間交雑)、例えば異なるティラピア系統の魚などを伴う異種交配プログラムを含む。異種交配は、ヘテロ接合性を増大させ、子孫の適応度が2つの親系列の平均値の平均を超えるヘテロシス(又は雑種強勢)をもたらすことができる。異種交配は、2つ以上の種又は品種の特徴を組み合わせた新しい品種を開発するために、異なる種又は品種の親を含む遺伝的に遠い親を伴うことができる。異種交配は、病気又は環境要因の変化に対する耐性のための遺伝形質を導入することにより、品種の生存率を上昇させるために使用することができる。交雑種ストライプドバスを作り出すのに使用される技術などの周知の異種交配技術を適用することができる。
本発明の別の実施形態では、本方法は、選択的育種プログラムを含む。選択手順は、個体レベル若しくはファミリーレベルで行うことができ、ファミリー平均に基づいてファミリー全体が選択若しくは選抜される(すなわちファミリー間の選択)か、又はいくつかのファミリーのそれぞれからの最良の魚が保存される(すなわちファミリー内の選択)。保存された魚は、選択された繁殖用魚の第1世代(F)になる。それらの子孫は、次に、「F世代」などと呼ばれる。選択された繁殖用魚は、その間でランダムに交配することができ、次にこのプロセスが次の世代で繰り返される。多くの種は、一方の性別がより大きく成長するか又はより速く成長する性的二型性を示す。種が性的二型性を示さない場合又は性的二型性が始まる前に選択が起こることになる場合、個体群全体に対して単一のカットオフ値を作成することができる。種が性的二型性を示す場合、各性別に対して別々のカットオフ値を作成しなければならないか、又は選択された個体群は、より大きい性別のみで構成され得る。
個体選択(集団選択としても知られている)において、全ての個体が評価され、魚を選択又は選別する決定は、その魚の表現型値(例えば、アルビノ赤色表現型)のみに基づく。
ファミリー選択は、魚を保存又は選別する決定がファミリーレベルで行われ、個体の表現型値がそのファミリーの平均に関連する場合にのみ重要である点で個体選択と異なる。2種類のファミリー選択を適用することができる。ファミリー間選択及びファミリー内選択を本発明の方法で使用することができる。ファミリー間選択では、各ファミリーの平均値が決定され、次にその平均値がランク付けされる。その後、ファミリー全体が保存又は選別される。ファミリー内選択では、各ファミリーは、一時的な部分個体群であると考えられ、選択は、各ファミリー内で独立して行われる。いずれを保存し、いずれを選別するかを決定するために魚が測定される場合、各ファミリーの魚がランク付けされ、各ファミリーから最良の魚が保存される。
一実施形態によると、本方法は、魚をティラピア属の第2の魚と交配させて、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を有するティラピア属の第3の魚を産生するステップをさらに含む。
特定の実施形態によると、ティラピア属の魚は、本発明のいくつかの実施形態に従い、すなわちslc45a2遺伝子における機能喪失変異を付与するDNA編集剤を魚の接合体に導入することによって作製する。これらの魚(Fと称される)は、成魚に成長させ、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を有すること及びアルビノ赤色表現型を有することについて、それぞれ遺伝的及び表現型的にスクリーニングされる。slc45a2遺伝子における機能喪失変異を含み、アルビノ赤色表現型を有するオスの魚(F)は、メスの野生型ティラピア魚(すなわちslc45a2遺伝子における機能喪失変異を有さない)と交雑される。得られた子孫(F)は、slc45a2遺伝子の一方のアレルに機能喪失変異を有する(すなわち、変異がヘテロ接合性である)ことについて選択され、さらに、slc45a2遺伝子の一方のアレルにおける機能喪失変異を有するティラピア属の第2の魚と交配させて、slc45a2遺伝子に機能喪失変異を有するティラピア属の第3の魚(すなわち、変異がホモ接合性である)を産生する。得られた子孫(F)は、slc45a2遺伝子に機能喪失変異(すなわち、変異がホモ接合性であること)及びアルビノ赤色表現型を有することについて、遺伝的及び表現型的に選択される。F魚は、第2世代の個体群のメンバーと交配させる。
別の特定の実施形態によると、ティラピア属の魚は、本発明のいくつかの実施形態に従い、すなわち、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を付与するDNA編集剤を魚の接合体に導入することによって、作製する。これらの魚(Fと称される)は、成魚に成長させ、slc45a2遺伝子の少なくとも1つのアレルに機能喪失変異を有する(すなわち変異がヘテロ接合性である)ことについて遺伝的にスクリーニングされる。slc45a2遺伝子における機能喪失変異についてヘテロ接合性であるオス及びメスの魚(F)は、分離され、変異についてヘテロ接合性である第2の魚と交雑されて、slc45a2遺伝子に機能喪失変異を有する(すなわち変異がホモ接合性である)ティラピア属の第3の魚を産生する。得られた子孫(F)は、slc45a2遺伝子に機能喪失変異を有すること及びアルビノ赤色表現型を有することについて、それぞれ遺伝的及び表現型的に選択される。F魚は、第1世代の個体群のメンバー(F)と交配される。
言及したように、育種は、人工受精によって実行され得る。この方法は、特に異なる種又は品種が交雑される場合に認められる。したがって、本発明の特定の実施形態によると、精子/卵を魚から手作業で取り出し、インビトロで受精させることができる。参照により本明細書に援用されるM. Szczepkowski et al., “A simple method for collecting sturgeon eggs using a catheter”, Arch. Pole. Fich. (2011) 19:123-128により教示されるように、取出しは、当技術分野で知られている任意の方法を用いて、例えばカテーテルを用いて成熟したメスから排卵された卵を抽出することによって実行することができる。したがって、卵又は精子は、真空によって除去又は吸引することができる。追加的又は代替的に、卵又は精子は、腹腔から卵又は精子を単にマッサージすることにより得ることができる。次に、受精卵は、本発明のいくつかの実施形態の方法に従い、slc45a2遺伝子における機能喪失変異を付与するDNA編集剤を魚の接合体に導入することによって処理される。これらの魚(Fと称される)は、成魚に成長され、slc45a2遺伝子の少なくとも1つのアレルに機能喪失変異を有する(すなわち変異がヘテロ接合性である)ことについて遺伝的にスクリーニングされる。slc45a2遺伝子における機能喪失変異についてヘテロ接合性であるオス及びメスの魚(F)は、分離され、変異についてヘテロ接合性である第2の魚と交雑されて、slc45a2遺伝子に機能喪失変異を有する(すなわち変異がホモ接合性である)ティラピア属の第3の魚を産生する。この交雑は、上記で議論されるように、精子/卵の取出し又は自然交配によって達成することができる。得られた子孫(F)は、slc45a2遺伝子に機能喪失変異を有すること及びアルビノ赤色表現型を有することについて、それぞれ遺伝的及び表現型的に選択される。F魚は、再度精子/卵を取り出されるか、又は第1世代の個体群のメンバー(F)と交配させる。
言及したように、変異についてホモ接合性である魚は、両方の親からの同じ変異を示し得る。代替的に、変異についてホモ接合性である魚は、各アレルにおいて異なる変異(Fにおける事象に従って)を示す可能性もあり、したがって2つの異なる変異アレルを保有し得る。
一実施形態によると、ティラピア属の魚は、同じ系統の魚と交配され、すなわち純血種である。純血種は、遺伝的及び表現型的安定性を可能にする遺伝源として有利であり得る。
一実施形態によると、ティラピア属の魚は、異なる系統の魚と交配され、すなわちティラピアバイブリッドである。交雑種は、特定の特徴(例えば、魚の大きさ、温度安定性、塩分耐性など)が正当化される状況において有利であり得る。したがって、例えば、ナイルティラピアは、モザンビークティラピア、ブルーティラピア又はザンジバルティラピアと交雑させることができる。
一実施形態によると、本発明のいくつかの実施形態の魚を含む魚の個体群が提供され、この個体群は、アルビノ赤色表現型について安定している。
本発明は、記載される方法によって作製した魚、その配偶子(精子及び卵)、胚及び後代も包含する。
本明細書で使用される場合、魚の後代は、有性生殖又はクローニングによる第1の魚の子孫であり、遺伝物質が受け継がれている魚である。
本発明のいくつかの実施形態によると、ティラピア魚は、非トランスジェニックである。
本発明のいくつかの実施形態によると、ティラピア魚は、トランスジェニックである。
一実施形態によると、ティラピア魚は、遺伝子改変されていない(非GMO)。
一実施形態によると、ティラピア魚は、遺伝子改変されている(GMO)。
一実施形態によると、本発明のある実施形態の魚又はその一部を含む飼料又は食品が提供される。
一実施形態によると、飼料又は食品は、魚体、魚の部分、魚粉又は魚油である。
特定の実施形態によると、飼料又は食品は、本発明のいくつかの実施形態に従うアルビノレッドティラピアのゲノムDNAを含む。
本明細書で使用される場合、「魚粉」は、陸揚げした魚及び他の水生動物種(捕獲されたか又は生産されたかのいずれか)をボイルし、水及び油を分離し(例えば、プレスの使用により)、次に乾燥させることにより生成される粉を指す。通常、魚粉は、約10%以下の水分含量まで乾燥され、その後、魚粉は、室温で流通される。
特定の実施形態によると、魚の飼料又は食品は、すり身、すりつぶした魚肉、ゼラチン、コラーゲン又は魚卵である。
特定の実施形態によると、魚の飼料又は食品は、固体、ペースト又は液体の形態である。
特定の実施形態によると、魚の飼料又は食品は、生であるか、凍結されるか、調理されるか、ボイルされるか、油で揚げられるか又はグリルされる。
本発明は、例えば、化粧品又は肥料などの非食品又は非飼料製品に魚製品を組み込むことにも関する。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%を指す。
「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「有している」という用語及びこれらの活用形は、「含むが、限定されない」を意味する。
「からなる」という用語は、「含み、且つ限定される」を意味する。
「から本質的になる」という用語は、組成物、方法又は構造が追加的な成分、ステップ及び/又は部分を含み得るが、その追加的な成分、ステップ及び/又は部分が、特許請求される組成物、方法又は構造の基本的な及び新規の特徴を実質的に変化させない場合に限られることを意味する。
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数の参照を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、その混合物を含む複数の化合物を含み得る。
本出願を通して、本発明の種々の実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は、単に利便性及び簡潔さのためのものであり、本発明の範囲に対する確固たる限定であると解釈されてはならないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えられるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲並びにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5及び6を具体的に開示していると考えられるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
本明細書で数の範囲が示される場合には常に、示された範囲内の任意の記載された数(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の指示数と第2の表示数との間の「範囲にわたる/範囲」及び第1の指示数「~(から)」第2の指示数の「範囲にわたる/範囲」という語句は、本明細書では互換的に使用され、第1の指示数及び第2の表示数並びにそれらの間の分数及び整数の全てを含むことを意味する。
本明細書で使用される場合、「方法」という用語は、所与の課題を達成するための方法、手段、技術及び手順を指し、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学分野の従事者に既知であるか、又は既知の方法、手段、技術及び手順から容易に開発される方法、手段、技術及び手順を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「処置する」という用語は、状態の進行を抑止するか、実質的に阻害するか、遅らせるか若しくは逆転させること、状態の臨床的症状若しくは審美的症状を実質的に改善すること又は状態の臨床的症状若しくは審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
明確にするために別々の実施形態に関連して記載される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが認識される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態に関連して記載される本発明の種々の特徴は、別々に若しくは任意の適切な部分組合せにおいて又は本発明の任意の他の記載される実施形態で適切であるように提供され得る。種々の実施形態に関連して記載される特定の特徴は、それらの要素がなければその実施形態が動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴であると考えられるべきではない。
上記で詳述され、後述する特許請求の範囲で特許請求される本発明の種々の実施形態及び態様は、後述する実施例で実験的な支持を得る。
本出願で開示される任意の配列識別番号(配列番号)は、その配列番号がDNA配列形式又はRNA配列形式でのみ表されているとしても、その配列番号が言及される文脈に応じて、DNA配列又はRNA配列のいずれかを指し得ると理解される。例えば、配列番号1は、DNA配列形式で表される(例えば、チミンについてTと記述される)が、それは、slc45a2核酸配列に対応するDNA配列又はRNA分子核酸配列のRNA配列のいずれかを指し得る。同様に、いくつかの配列は、記載される分子の実際のタイプに応じて、RNA配列形式で表される(例えば、ウラシルについてUと記述される)が、それは、dsRNAを含むRNA分子の配列又は示されるRNA配列に対応するDNA分子の配列のいずれかを指し得る。いずれにしても、いずれかの置換と共に開示される配列を有するDNA及びRNA分子の両方が想定される。
ここで、後述する実施例が参照されるが、これらの実施例は、上記の記載と共に非限定的に本発明を説明する。
一般に、本明細書で使用される命名法及び本発明で利用される実験手順には、分子技術、生化学的技術、微生物学的技術及び組換えDNA技術が含まれる。このような技術は、文献において十分に説明されている。例えば、“Molecular Cloning: A laboratory Manual” Sambrook et al., (1989);“Current Protocols in Molecular Biology” Volumes I-III Ausubel, R. M., ed. (1994);Ausubel et al., “Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989);Perbal, “A Practical Guide to Molecular Cloning”, John Wiley & Sons, New York (1988);Watson et al., “Recombinant DNA”, Scientific American Books, New York;Birren et al. (eds) “Genome Analysis: A Laboratory Manual Series”, Vols. 1-4, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998);米国特許第4,666,828号明細書;同第4,683,202号明細書;同第4,801,531号明細書;同第5,192,659号明細書及び同第5,272,057号明細書において記載される方法論;“Cell Biology: A Laboratory Handbook”, Volumes I-III Cellis, J. E., ed. (1994);“Current Protocols in Immunology” Volumes I-III Coligan J. E., ed. (1994);Stites et al. (eds), “Basic and Clinical Immunology” (8th Edition), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994);Mishell and Shiigi (eds), “Selected Methods in Cellular Immunology”, W. H. Freeman and Co., New York (1980)を参照されたい。利用可能なイムノアッセイは、特許及び科学文献に広く記載されており、例えば米国特許第3,791,932号明細書;同第3,839,153号明細書;同第3,850,752号明細書;同第3,850,578号明細書;同第3,853,987号明細書;同第3,867,517号明細書;同第3,879,262号明細書;同第3,901,654号明細書;同第3,935,074号明細書;同第3,984,533号明細書;同第3,996,345号明細書;同第4,034,074号明細書;同第4,098,876号明細書;同第4,879,219号明細書;同第5,011,771号明細書及び同第5,281,521号明細書;“Oligonucleotide Synthesis” Gait, M. J., ed. (1984);“Nucleic Acid Hybridization” Hames, B. D., and Higgins S. J., eds. (1985);“Transcription and Translation” Hames, B. D., and Higgins S. J., Eds. (1984);“Animal Cell Culture” Freshney, R. I., ed. (1986);“Immobilized Cells and Enzymes” IRL Press, (1986);“A Practical Guide to Molecular Cloning” Perbal, B., (1984)及び“Methods in Enzymology” Vol. 1-317, Academic Press;“PCR Protocols: A Guide To Methods And Applications”, Academic Press, San Diego, CA (1990);Marshak et al., “Strategies for Protein Purification and Characterization - A Laboratory Course Manual” CSHL Press (1996)を参照されたい。これらの全ては、本明細書中に完全に記載されたかのように参照により援用される。その他の一般的な参考文献は、本明細書全体にわたって提供される。その中の手順は、当技術分野で周知であると考えられ、読者の利便性のために提供される。その中に含まれる情報は、全て参照により本明細書に援用される。
一般的な材料及び実験手順
魚の取扱い
実験は、Agricultural Research Organization Committee for Ethics in Using Experimental Animalsの承認を受けた。性的に成熟したナイルティラピアを1匹のオス及び4~6匹のメスからなるハーレムで150Lの水槽中で維持した。温度は、24~26℃、14L:10Dの光周期で維持した。産卵行動についてハーレムを常に監視した。自然産卵の直後に又は体外受精を実施することにより、受精した接合体を集めた[Fernandes, A. F. A. et al., Reproduction in Domestic Animals (2013) 48: 1049-1055]。自然交配によって作製した場合、自然受精の2~3日後にF及びF分析のための幼生を集めた。
gRNAの標的部位のクローニング
既に記載されたように、HotSHOT法を用いて、切除ヒレサンプルからゲノムDNA(gDNA)を抽出した[Meeker, N. D. et al., BioTechniques (2007) 43, 610-614]。ゲノム標的配列は、UCSCゲノムブラウザ(www(dot)genome(dot)ucsc(dot)edu/)からダウンロードした。slc45a2-エクソン1ゲノム領域(アクセッション番号XM_003451484)の増幅は、既に記載されたように、特定のプライマー対(後述する表1)を用いて実施した[Segev-Hadar, A. et al., Frontiers in Endocrinology (2020) 11, 94-94]。簡単に言うと、PCR産物は、DreamTaq Green PCR Master Mix(リトアニア国、ヴィリニュス、Thermo Fisher Scientific社)を用いて増幅し、1xトリス-酢酸-EDTA緩衝液(イスラエル国、キブツベイト-ハエメク、Biological Industries社)中のRedsafeTM染料(韓国、城南市、Intron Biotechnology社)を含有する1%アガロース(イスラエル国、モディアン、LifeGene社)において分析した。GEL/PCR Extraction Kit(イスラエル国、レホヴォト、Hy Laboratories Ltd.)を用いて、予測されるアンプリコンサイズのPCR産物をゲルから抽出し、pGEM(登録商標)-T easyベクター(米国、ウィスコンシン州、Promega社)にクローニングし、Hy Laboratories Ltd.(イスラエル国、レホヴォト)においてT7プライマーを用いてシーケンシングした。
Figure 2023550070000001
CRISPR標的部位の設計及び合成
sgRNAの設計及び合成は、若干の修正を伴って、既に記載されたように実施した[Biran, J. et al., Scientific Reports (2020) 10: 9559]。簡単に言うと、gRNAは、CHOPCHOP[Montague, T. G. et al., Nucleic Acids Research (2014) 42: W401-W407]を用いて設計し、MEGAshortscript(商標)T7キット(米国、Life Technologies社)を用いてインビトロで転写し、miRNeasy(登録商標)キット(米国、メリーランド州、ジャーマンタウン、Qiagen社)を用いて精製した。slc45a2特異的crRNA(すなわちgRNA1~3)及びtracrRNA(TRACRRNA05N)は、Sigma-Aldrich Israel Ltd.(イスラエル国、レホヴォト)から購入し、10mMのTRIZMA緩衝液(Sigma-Aldrich Israel Ltd.)で希釈した。組換えCas9(rCas9)タンパク質は、Weizmann Institute of Science Protein Purification Unit(イスラエル国、レホヴォト)により、鋳型としてpET-28b-Cas9-His(Alex Schier研究室のプラスミド、米国、マサチューセッツ州、ケンブリッジ、Addgene社)を用いて生成した。研究で使用したgRNA標的配列及びgRNAの配列は、後述する表2A~表2Bに記載される。
Figure 2023550070000002
Figure 2023550070000003
マイクロインジェクション手順
ティラピア接合体へのマイクロインジェクション及びgRNA/Cas9ヘテロ複合体形成は、一般に、既に記載されたように実施した[Biran, J. et al., Scientific Reports (2020) 10: 9559]。手短に言うと、自然産卵又はIVFの直後にティラピア接合体を集め、単細胞段階でマイクロインジェクション時間を延長するために氷上で21℃に冷却した。単細胞段階のティラピア接合体に、
(1)sgRNA1及びrCas9;又は
(2)slc45a2 gRNA(すなわちgRNA1~gRNA3)の1~3種、tracrRNA及びrCas9
を含有する混合物を注入した。
sgRNA/Cas9又はgRNA/tracrRNA/Cas9混合物(各gRNA1-3及びtracrRNAについて100pmol;又はsgRNAについて39.72pmolを4.4μgのrCas9と混合し、最終容積は9μl)を室温で5分間インキュベートして、リボ核タンパク質(RNP)ヘテロ複合体の作製を可能にした。マイクロインジェクションは、Pul-1000 4ステップマイクロピペットプラー(WPI社)で引いたガラスキャピラリー(1B150F-4 100mm、米国、フロリダ州、サラソータ、WPI社)を用いて実施した。マイクロインジェクションは、約3~5nLの量を送達するように較正されたPV830 Pneumatic Picopump(WPI社)を用いて実行した。マイクロインジェクション後、27℃の一定の攪拌下で接合体を成長させた。gRNA1について3セット、sgRNA1+gRNA2+gRNA3について1セット及びgRNA2+gRNA3について4セットの注入を実施した。各注入セットは、広い死亡率範囲及び変異率を有する約30~50の接合体を含有した。同一条件下で別個に対照の非注入接合体を成長させた。
注入された胚及び子孫の分析
受精の4日後(dpf)の全胚又はF及びF魚からの切除ヒレ及び精子からgDNAを抽出し、ゲノムslc45a2-エクソン1における標的領域の増幅のために使用した。増幅産物をクローニングし、上記のようにシーケンシングした。MUSCLE(www(dot)ebi(dot)ac(dot)uk/Tools/msa/muscle/)により、検索された配列を整列させた。
アンプリコンの次世代シーケンシング(NGS)
sp1及びsp2プライマー(上記の表1)を用いて、注入された40匹の魚のgDNAからgRNA2及びgRNA3の標的領域を増幅した。各アンプリコンは、GEL/PCR Extraction Kit(イスラエル国、レホヴォト、Hy Laboratories Ltd.)を用いて精製した。続いて、サンプルをシーケンシングライブラリーの作成のために使用し、Syntezza Bioscience Ltd(イスラエル国、エルサレム)のIllumina NovaSeqシステムプロトコルに従ってシーケンシングした。NGS Cas-アナライザーを用いて、問題なくシーケンシングされた39個のサンプルのデータを分析した[Park J et al., Bioinformatics (2017) 33: 286-288]。続いて、長さ、gRNA位置、特定されたインデル及び各アレルのリードに従って結果を手作業で分析した。マッピングされていない配列は、重要でないフットプリントであるとみなした。各アレルの頻度は、全リードから計算した。
高解像度融解(HRM)分析
HotSHOT法を用いて、330匹のF魚の切除ヒレサンプルからgDNAを抽出した。各反応は、5μLのAccumelt(商標)HRM Supermix(米国、メリーランド州、ゲイザースバーグ、Quanta Biosciences社)、1μLのDNA(1:400希釈)、3.4μLの超純水(UPW)並びにそれぞれ0.3μLの10μMのフォワード及びリバースプライマー(上記の表1)で構成された。反応は、96ウェルプレートで実施した。WT及び既知の変異アレルのゲノムDNAを対照サンプルとして使用し、StepOnePlus(商標)V2.3 Real-Time PCR System(米国、カリフォルニア州、フォスターシティ、Applied Biosystems,Inc.)を用いてデュプリケートで実行した。増幅は、次の条件下で実施した:95.0℃で10分間及び95.0℃で15秒間、60.0℃で30秒間、72℃で15秒間の40サイクル。融解曲線は、95.0℃で15秒間、60.0℃で1分間、その後、0.3%の傾斜率で温度を95.0℃まで上昇させる一段階により作成した。Applied Biosystems(登録商標)High-Resolution Melt Software v3.1(米国、カリフォルニア州、Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて、84.1℃~89.9℃の分析温度範囲でデータベースをさらに分析した。
メラニンの定量化
20匹のランダムに選択されたF魚(5匹のWT及び15匹のヘテロ接合)の体の中心から5~10個の鱗をランダムにサンプリングし、HRMにより遺伝子型を同定した。さらに、Fホモ接合性変異体からの鱗をサンプリングして、完全なメラニン喪失を実証した。鱗をPFAで固定し、次にリン酸緩衝食塩水中で3回洗浄した。Nikon SMZ25ステレオスコープを用いて、鱗を画像化した。側線管陽性の鱗は、その構造的相違のために除外した。各鱗について上皮面積を測定し、ImageJを用いてメラノフォア細胞カウントを実施した。2~8個の鱗/魚からの平均メラノフォア密度をメラノフォア/mmとして計算した。
実施例1
ナイルティラピアゲノムにおけるslc45a2遺伝子の特定
既に特定されたゼブラフィッシュslc45a2 mRNA配列(NM_001110377)を用いて、ナイルティラピアslc45a2遺伝子を探索した[上述したDooley, C. M. et al., (2013)]。ゼブラフィッシュ配列をクエリー入力として使用し、ナイルティラピア(taxid:8128)のヌクレオチドコレクションデータベースに対してBLASTn検索を実施した。予想通り、この検索により、(現在の染色体の番号付けに基づく)chrLG7に局在し、ヌクレオチド配列の5’において77%を超える同一性を共有する単一の予測slc45a2 mRNA(XM_003451484)が得られた。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類及び魚類を含む種々の脊椎動物種からのslc45a2 mRNA配列の系統発生解析により、系統根として無顎類ウミヤツメを用いて、slc45a2は、魚からヒトに進化的に保存されていることが実証された(図1A)。さらに、slc45a2遺伝子は、ゼブラフィッシュだけでなく、ヒト及びニワトリでもその染色体領域の高度のシンテニー保存を実証した(図1B)。これらの知見により、脊椎動物における共通祖先slc45a2遺伝子の仮説が支持され、進化を通してSLC45A2の機能的保存が示唆される。
実施例2
CRISPR/Cas9の設計及びティラピア接合体への適用
ナイルティラピアの地理分布が広域的であることは、比較的高い遺伝的多様性につながる。slc45a2に対して非常に特異的なgRNAを設計することを目的として、そのエクソン1を繁殖用ストックにおいて社内でシーケンシングし、ナイルティラピアゲノムの公的な配列とそれぞれ1ヌクレオチドが異なる2つのアレルを特定した(図5)。4つの特異的なgRNAを使用し、そのうちの1つ(sgRNA1)は、単一ガイドRNA(sgRNA)として合成した。マイクロインジェクション前にgRNAをtracrRNA(trRNA)及び組換えCas9(rCas9)タンパク質と混合し、RNPヘテロ複合体の生成を可能にした。同様に、sgRNAをrCas9タンパク質と混合して、RNPヘテロ複合体の生成を可能にした。
単細胞段階のナイルティラピア接合体にslc45a2-RNPをマルチプレックスでマイクロ注入し、4dpfにメラニンの発生を追跡した。この発達段階では、非注入ティラピア胚は、その体及び卵黄表面の著しい量のメラノフォアと、目における明らかなメラニン形成とを示した(図2A~図2C)。際立ったことに、slc45a2-RNPを注入した幼生は、その体及び目においてメラニンの重度~完全な喪失を示した(図2D~図2F)。slc45a2-RNP注入幼生から抽出したgDNAを用いた標的領域の分析により、胚によって異なる複数のゲノムインデルが実証された(図2G)。さらに、データは、sgRNA及び2成分(tracrRNAを伴うgRNA)の両方が、接合体へのマイクロインジェクションにより、ゲノムインデルを誘導するために使用され得ることを示した。
注入した魚における編集事象のより高い解像度を得ることを目的として、4つの異なる注入セッションから多重注入した魚からのgRNA2及びgRNA3のゲノム標的領域にアンプリコンのシーケンシングを受けさせた。この分析は、注入した魚の全てにおける変異原性活性の可変レベルを明らかにした(図2H)。しかしながら、全ての魚は、変異アレルを示した(データは示されない)。一般的な変異原性の結果の分析により、ほとんどの変異アレルが両方のgRNAの共活性又はgRNA3の単独活性に起因するが、gRNA2の排他的な活性に起因するアレルは、ほとんど検出されないことが示された(図2I)。gRNA特異的変異原性活性のさらなる分析は、gRNA2の活性がより低いと、変異原性の結果も大幅に少なくなることとを示した(図2J)。それにもかかわらず、両方のgRNAの組合せ活性は、70個の独特なアレルの発生をもたらした(データは示されない)。
実施例3
slc45a2変異アレルを有する生殖系列の作製
slc45a2機能喪失の一過性の効果の分析に続いて、本発明者らは、次に、ティラピアslc45a2において遺伝的なヌル変異を誘導することを目的とした。ゼブラフィッシュでは、多重化が変異誘発スループットを増大させ得ることと、魚の接合体においてCRISPR-Cas9を一過性に使用する場合、オフターゲット変異誘発の心配が少ないこととが以前に実証されている[Varshney, G. K. et al., Genome Research, (2015)]。したがって、gRNA2及びgRNA3を含有するRNP(図3A)をナイルティラピア接合体に同時注入することによってslc45a2-エクソン1を標的とした。トリプルslc45a2-RNP多重化(図2G)の場合と同様に、同時注入した胚は、その体及び目の全体でメラニンの大幅な低減を示した(図3A~図3E)。具体的には、注入しなかった同胞は、受精の1か月後に正常な色素の発生を示した(図3B)が、注入したF魚のうちの1匹は、皮膚において約97~99%のメラニンの喪失を示し、目ではメラニンが見られず(図3C)、その発生初期における非常に強力な変異原性活性が示唆される。眼皮膚白皮症(OCA)の表現型、すなわち赤色表現型をもたらす目及び皮膚におけるメラニンの完全な喪失は、注入しなかった同胞(図3D)と比較して、このオスの性的成熟まで持続した(図3E)。
次に、slc45a2-RNP誘導性の体細胞と生殖系列インデルとの間の可能性のある相関関係を調査した。アルビノのオスの切除ヒレ及び精子から抽出したgDNAを用いて、slc45a2-エクソン1の標的領域を増幅し、個々のシーケンシングのためにクローニングした。切除ヒレのgDNAからの10個のコロニー及び精子のgDNAからの18個のコロニーの分析により、ヒレにおいて6個の異なるインデルと、精子において8個(7個の変異体+WT)の異なる産物とが特定され、そのうちの2つは、ヒレと精子との間で同一であり(図4A~B)、体細胞事象と胚細胞事象との間の低~中程度の相関関係が示唆された。それにもかかわらず、精子は、軽度の物理的圧力の適用によって抽出されたため、このサンプルで特定されたインデルの一部は、生殖腺の体細胞に由来するgDNAから生じた可能性がある。したがって、オスを野生型(WT)のメスと交雑させ、F魚からの切除ヒレの配列分析を実施した。この分析は、Fヘテロ接合性子孫において、精子で特定された変異アレルの全てとWTアレルとが存在することを実証した(図4C)。まとめると、Fアルビノ変異体及びそのヘテロ接合性F子孫からのgDNAの配列分析により、新規のslc45a2変異アレルが遺伝性であり、安定していることが明らかに示された。
実施例4
高解像度融解(HRM)分析及びF表現型決定
slc45a2-/+遺伝子型を保有するF魚は、そのWT同胞と比べて色素沈着の変化を示さず(図6A~図6D)、これによりF子孫をその遺伝子型に従って選別するための効率的な方法の必要性が生じた。HRMは、ゲノム編集により生じた変異を検出するための効果的な方法として以前に示された[Thomas HR et al., PLOS ONE. (2014) 9:e114632]。HRMは、低コスト、高スループット及び高感度であるため、slc45a2-/+個体群におけるアレル遺伝頻度の評価のためのその適用を試験するために選択された。このために、5匹のランダムなメスが産んだ330匹のF子孫のテイルクリップから抽出されたgDNAを、HRMを用いて分析した。分析により、精子で特定された全ての変異アレルの存在が明らかになった。驚くべきことに、分析されたいくつかの胚の融解曲線は、既知のアレルの参照DNAのいずれとも一致しなかった。これらの個体の標的領域のサンガーシーケンシングにより、F個体群内に3つの追加的な変異アレルの存在が確認された。したがって、10個の異なる遺伝性変異アレルが特定された(図4C)。これらの結果は、CRISPR-cas9編集個体群の評価に対するこのアッセイの高スループット及び精度を強調する。
個体群におけるアレル頻度により、差次的なアレル遺伝が明らかになった(図7A)。F個体群の26.7%は、WTであると特徴付けられた。アレルO5(単一部位のインデル)は、最高の遺伝頻度(16.7%)を示したが、恐らくマルチプレックスRNP活性に起因するアレルO8は、最低のアレル頻度(1.8%;図7A)を示した。興味深いことに、他の変異アレルは、F個体群において5.8%~11.5%の頻度を示し、ゲノムCRISPR-Cas9の結果と、その遺伝レベルとの間に明らかな相関関係はなかった(後述する表3)。HRM分析が高感度であるにもかかわらず、2ヌクレオチドだけ異なるアレルO7及びO10は、区別することができなかったため、これらの2つのアレルは、一緒に提示された。個々の部位のゲノム結果の分析により、両方のRNPが同一のモル比でマイクロ注入されたが、生殖系列伝達のレベルでは、部位3は、より高い変異原性応答(F子孫の73%)を示し、部位2は、約50%の遺伝性子孫を示すことが明らかになった(図7B~図7C及び後述する表3)。
Figure 2023550070000004
魚をF魚と交雑させることにより、slc45a2-/-遺伝子型を保有するF魚を作製した。5dpfのF胚の表現型分析は、メンデル遺伝を有するOCA表現型を示した(図7D~図7F)。さらに、F2変異体のこのOCA表現型は性的成熟後も持続し、その結果、赤い目を有するアルビノ赤色魚が生じた(図8A~図8B)。
本発明は、その特定の実施形態と関連して記載されたが、多くの代替形態、修正形態及び変化形態が当業者に明らかになることは明白である。したがって、特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に入る全てのこのような代替形態、修飾形態及び変化形態を包含することが意図される。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照により本明細書に援用されると言及されている場合、あたかも個々の刊行物、特許又は特許出願がそれぞれ具体的且つ個別に記載されたかのように参照によりその全体が本明細書に援用されることが本出願人の意図である。加えて、本出願中の任意の参考文献の引用又は特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈されてはならない。セクションの見出しが使用されている範囲では、それらは、必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本出願の任意の優先権文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
配列番号3: 一本鎖DNAオリゴヌクレオチド
配列番号4: 一本鎖DNAオリゴヌクレオチド
配列番号5: 一本鎖DNAオリゴヌクレオチド
配列番号6: 一本鎖DNAオリゴヌクレオチド
配列番号7: 一本鎖DNAオリゴヌクレオチド
配列番号8: 一本鎖DNAオリゴヌクレオチド
配列番号9: gRNA標的配列
配列番号10: gRNA標的配列
配列番号11: gRNA標的配列
配列番号12: gRNA標的配列
配列番号13: gRNA核酸配列
配列番号14: gRNA核酸配列
配列番号15: gRNA核酸配列
配列番号16: sgRNA核酸配列
配列番号17: gDNA産物のシーケンシング
配列番号18: gDNA産物のシーケンシング
配列番号19: gDNA産物のシーケンシング
配列番号20: gDNA産物のシーケンシング
配列番号21: gDNA産物のシーケンシング
配列番号22: gDNA産物のシーケンシング
配列番号23: gDNA産物のシーケンシング
配列番号24: gDNA産物のシーケンシング
配列番号25: gDNA産物のシーケンシング
配列番号26: gDNA産物のシーケンシング
配列番号27: gDNA産物のシーケンシング
配列番号28: gDNA産物のシーケンシング
配列番号29: gDNA産物のシーケンシング
配列番号30: gDNA産物のシーケンシング
配列番号31: gDNA産物のシーケンシング
配列番号32: gDNA産物のシーケンシング
配列番号33: gDNA産物のシーケンシング
配列番号34: gDNA産物のシーケンシング
配列番号35: gDNA産物のシーケンシング
配列番号36: gDNA産物のシーケンシング
配列番号37: gDNA産物のシーケンシング
配列番号38: gDNA産物のシーケンシング
配列番号39: gDNA産物のシーケンシング
配列番号40: gDNA産物のシーケンシング
配列番号41: gDNA産物のシーケンシング
配列番号42: gDNA産物のシーケンシング
配列番号43: gDNA産物のシーケンシング
配列番号44: gDNA産物のシーケンシング
配列番号45: gDNA産物のシーケンシング
配列番号46: ゲノムデータベースのゲノムslc45a2-エクソン1(chrLG7(リバース鎖):16157420-16156969
配列番号47: ナイルティラピア繁殖用ストックのアレル1
配列番号48: ナイルティラピア繁殖用ストックのアレル2
配列番号49: 一本鎖DNAオリゴヌクレオチド
配列番号50: 一本鎖DNAオリゴヌクレオチド

Claims (35)

  1. slc45a2遺伝子に機能喪失変異を含むティラピア属の魚であって、前記変異がホモ接合型であり、前記機能喪失変異が前記魚のアルビノ赤色表現型をもたらす、魚。
  2. 前記アルビノ赤色表現型が黒/グレーの色素沈着を欠いている、請求項1に記載の魚。
  3. 前記アルビノ赤色表現型が赤い目の表現型を含む、請求項1又は2に記載の魚。
  4. 前記機能喪失変異が遺伝性である、請求項1~3のいずれか一項に記載の魚。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の魚を作製する方法であって、
    (a)前記ティラピア属の魚の接合体に、前記slc45a2遺伝子における機能喪失変異を付与するDNA編集剤を導入するステップ、
    (b)ステップ(a)の前記接合体を魚に成長させるステップ
    を含み、それにより前記魚を作製する、方法。
  6. (c)前記slc45a2遺伝子に前記機能喪失変異を含む前記ティラピア属の魚を同定するステップ
    をさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. (d)前記ステップ(b)又は(c)の前記魚を前記ティラピア属の第2の魚と交配させて、前記slc45a2遺伝子における前記機能喪失変異を有する前記ティラピア属の第3の魚を産生するステップ
    をさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記魚及び前記第2の魚の両方が、前記slc45a2遺伝子に機能喪失変異を有する少なくとも1つのアレルを保有する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第3の魚が、前記slc45a2遺伝子の前記機能喪失変異についてホモ接合性である、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 前記変異が、欠失、挿入、点変異、インデル及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の魚又は請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記変異が、前記slc45a2遺伝子の2つ以上の変異を含む、請求項1~4若しくは10のいずれか一項に記載の魚又は請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記変異が、配列番号1に対応する配列番号9、10、11及び12から選択される配列を有する標的配列内にある、請求項1~4又は10若しくは11のいずれか一項に記載の魚或いは請求項5~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記変異が、体細胞において発現される、請求項1~4若しくは10~12のいずれか一項に記載の魚又は請求項5~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記変異が、生殖系列細胞において発現される、請求項1~4若しくは10~12のいずれか一項に記載の魚又は請求項5~12のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記ティラピア属の魚が純血種である、請求項1若しくは10~14のいずれか一項に記載の魚又は請求項5~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ティラピア属の魚が交雑種である、請求項1若しくは10~14のいずれか一項に記載の魚又は請求項5~14のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記ティラピア属の魚が、ナイルティラピア(Oreochromis niloticus)、ブルーティラピア(Oreochromis aureus)、モザンビークティラピア(Oreochromis mossambicus)、ワミティラピア(Oreochromis urolepis)、スリースポッティドティラピア(Oreochromis andersonii)、ロングフィンティラピア(Oreochromis macrochir)、サバキティラピア(Oreochromis spilurus)、ブラックチンティラピア(Sarotherodon melanotheron)、マンゴーティラピア(Sarotherodon galilaeus)、ギニアティラピア(Coptodon guineensis)、レッドブレストティラピア(Coptodon rendalli)及びレッドベリーティラピア(Coptodon zillii)からなる群から選択される、請求項1~4若しくは10~16のいずれか一項に記載の魚又は請求項5~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記DNA編集剤の導入が、2種以上のDNA編集剤の導入を含む、請求項5~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記2種以上のDNA編集剤が前記slc45a2遺伝子内の別個の部位を標的とする、請求項18に記載の方法。
  20. 前記DNA編集剤が少なくとも1種のgRNAを含む、請求項5~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記DNA編集剤がエンドヌクレアーゼを含む、請求項5~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記エンドヌクレアーゼがCas9を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記DNA編集剤が、CRISPR-エンドヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)及びホーミングエンドヌクレアーゼからなる群から選択されるDNA編集システムを含む、請求項5~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記DNA編集剤がDNA、RNA又はRNPとして前記細胞に適用される、請求項5~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記DNA編集剤が、魚細胞における発現を監視するためのレポーターに連結される、請求項5~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記レポーターが蛍光タンパク質である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記機能喪失変異を遺伝子型で決定する、請求項5~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記機能喪失変異を表現型で決定する、請求項5~26のいずれか一項に記載の方法。
  29. 表現型を遺伝子型の前に決定する、請求項27又は28に記載の方法。
  30. 遺伝子型を表現型の前に決定する、請求項27又は28に記載の方法。
  31. 請求項1~4又は10~17のいずれか一項に記載の魚の後代。
  32. 請求項1~4又は10~17のいずれか一項に記載の魚を含む魚の個体群であって、前記アルビノ赤色表現型が安定している、個体群。
  33. 請求項1~4又は10~17のいずれか一項に記載の魚の細胞。
  34. 請求項1~4又は10~17のいずれか一項に記載の魚を含む飼料又は食品。
  35. 魚体、魚の部分、魚粉又は魚油である、請求項34に記載の飼料又は食品。
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