JPWO2005121105A1 - 新規3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体及びその医薬用途 - Google Patents

新規3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体及びその医薬用途 Download PDF

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Abstract

下記一般式(1)[式中、Zは2−カルボキシエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基など、Xはトリフルオロメチル基など、X’は水素原子など、Y、Y’はメチル基、水素原子などを示す]で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグは、腫瘍細胞の増殖阻害活性を有するため、抗腫瘍剤として有効である。

Description

本発明は、3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグ、並びにそれらの医薬用途に関する。
悪性腫瘍とは正常の生体機構からはずれて生体内で増殖を続け、治療をしなければ宿主の死を招くような細胞群である。悪性腫瘍の治療は、外科的な切除、放射線照射、ホルモン療法または化学療法が一般的であり、特に悪性固形腫瘍の治療においては外科的手術が第一選択となっている。放射線療法、ホルモン療法及び化学療法は、手術前または手術後の補助療法あるいは手術による治療が不可能と判断された悪性固形腫瘍の治療に用いられるのが一般的である。ホルモン療法や化学療法等は、手術で切除する範囲を狭め、また、手術によって切除しきれない腫瘍を縮小・消失させ再発を予防するために使用されている。しかしながら、手術は癌患者に対して肉体的・精神的な苦痛を与え、更に、腫瘍が転移していれば切除は広範囲にわたることとなり手技的にも困難を極めているのが現状である。化学療法が悪性固形腫瘍に対して主たる治療方法ではないのは、重篤な副作用がなく臨床上有効な抗腫瘍剤が事実上存在しなかったからである。従って、悪性固形腫瘍に対して優れた抗腫瘍効果を有する抗腫瘍剤が望まれている。
一方、下記の非特許文献1には中枢神経系に作用を持つシンノリン誘導体が、非特許文献2にはモノアミンオキシダ−ゼ阻害作用を有するシンノリン誘導体が、非特許文献3にはシンノリン類縁体の合成や反応が記載されているが、本発明の後記一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体はこれら文献には記載が無く、また、3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体が抗腫瘍作用を有することも記載されていない。
Rashmi K.Shah et al.、Central Nervous System Active 5-Oxo-1,4,5,6,7,8-Hexahydrocinnolines、Journal of Medicinal Chemistry、1976、vol.19、p.508-511 Angelo Carotti et al.、Inhibition of Monoamine Oxidase-B by Condensed Pyridazines and Pyrimidines:Effects of Lipophilicity and Structure-Activity Relationships、Journal of Medicinal Chemistry、1998、vol.41、p.3812-3820 K.Nagarajan et al.、Synthesis 、Reactions of 4,6,7,8-Tetrahydro-5(1H)-cinnolinones、Indian Journal of Chemistry,1986、vol.25B、p.697-708
前述のように化学療法が悪性固形腫瘍に対して主たる治療方法ではないことの理由は、悪性固形腫瘍に対する広い抗癌スペクトルを持ち、且つ重篤な副作用がない有効な抗腫瘍剤が存在しなかったからである。従って、悪性固形腫瘍に対して優れた抗腫瘍効果を示す抗腫瘍剤が望まれている。
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者等は新規3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容し得る塩またはそれらのプロドラッグが細胞増殖抑制活性、抗腫瘍活性を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記一般式(1)
Figure 2005121105
[式中、Zは、MO−(Oは酸素原子を示す)、L(L’)N−(Nは、窒素原子を示す)またはA(B)CH−(Cは炭素原子、Hは水素原子を示す)を示し、Mは、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基若しくは飽和複素環基を置換基として有していてもよい低級アルキル基を示し、L、L’は互いに結合して置換基を有していてもよい4〜8員の環状構造基を示してもよく、あるいはそれぞれ独立して、水酸基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、低級アルキルアミノ基若しくは飽和複素環基を置換基として有していてもよい低級アルキル基または水素原子を示し、Aは水酸基、低級アルキル基または水素原子を示し、Bは置換基を有する低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシ基または低級アルコキシカルボニル基を示し;Xは低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を示し;X’は低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子または水素原子を示し;Y、Y’はそれぞれ独立して低級アルキル基または水素原子を示す]
で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグに関する。
更に本発明は、上記3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
更に本発明は、細胞増殖阻害のための医薬組成物を製造するための上記3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグの使用に関する。
更に本発明は、腫瘍を予防若しくは治療するための医薬組成物を製造するための上記3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグの使用に関する。
更に本発明は、細胞増殖阻害方法であって、上記3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグをヒトを含む哺乳動物に投与することを含む細胞増殖阻害方法に関する。
更に本発明は、腫瘍を予防若しくは治療する方法であって、上記3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグをヒトを含む哺乳動物に投与することを含む腫瘍を予防若しくは治療する方法に関する。
本発明により、腫瘍の予防または治療に有効に使用し得る上記一般式(1)で表される新規な3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグ、並びにそれを有効成分とする、細胞増殖阻害や腫瘍の予防若しくは治療に有効な医薬組成物が提供される。
本発明における低級アルキル基としては、直鎖もしくは分岐鎖の(C1〜C5)アルキル基が挙げられ、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらのうち、好ましい基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
本発明における低級アルコキシ基としては、直鎖もしくは分岐鎖の(C1〜C5)アルコキシ基が挙げられ、具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、好ましい基としてはメトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
本発明における低級アルコキシカルボニル基としては、上記低級アルコキシ基がカルボニル基に結合した基が挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基である。
本発明における低級アルキルアミノ基とは、上記低級アルキル基が1ないし2個結合したアミノ基であり、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられ、これらのうちジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が好ましい。
本発明における飽和複素環基としては、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を1〜3個含み、(C1〜C5)アルキル基で置換されていてもよい飽和5〜7員環の基が挙げられ、例えば、ピロリジノ基、4−メチルピペラジノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等が挙げられる。
一般式(1)でZの定義の1つであるL(L’)N−において、L、L’が互いに結合して置換基を有していてもよい4〜8員の環状構造基を示す場合、その基としては、例えばアゼチジノ基、ピロリジノ基、ピペラジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ホモピペリジノ基、ヘプタメチレンイミノ基、4−メチルピペラジノ基、4−ベンジルピペラジノ基、4−ヒドロキシピペラジノ基、4−ピペリジノピペリジノ基、4−モルホリノピペリジノ基等が挙げられ、これらのうちピペラジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、4−メチルピペラジノ基、4−ピペリジノピペリジノ基、4−モルホリノピペリジノ基が好ましい。
本発明における低級アシルアミノ基としては、直鎖もしくは分岐鎖の(C1〜C5)アシル基によって置換されたアミノ基が挙げられ、具体的には、例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、n−ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、イソバレリルアミノ基、ピバロイルアミノ基等が挙げられ、これらのうちアセチルアミノ基が好ましい。
本発明におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子または臭素原子である。
一般式(1)において、ZがA(B)CH−である場合、Bとしては水酸基、カルボキシ基、(C1〜C5)アルコキシカルボニル基、アミノ基、(C1〜C5)アルキルアミノ基、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ基、カルバモイル基、飽和複素環基、N置換カルバモイル基及びG−(C1〜C5)アルコキシル基(Gはカルボキシ基、N置換カルバモイル基あるいは水素原子を示す)から選択される1種または2種以上の基で置換された(C1〜C5)アルキル基が好ましい。なかでも、カルボキシ基、(C1〜C5)アルコキシカルボニル基、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ基若しくは飽和複素環基が置換している(C1〜C5)アルキル基が特に好ましい。
(C1〜C5)アルコキシカルボニル基、(C1〜C5)アルキルアミノ基、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ基、飽和複素環基とは、上記のアルコキシカルボニル基、アルキルアミノ基、飽和複素環基と同様な基であり、好ましい基も同様である。
N置換カルバモイル基の置換基としてはモルホリノエチル基、3−ピコリル基、4−ピコリル基等の複素環基置換(C1〜C5)アルキル基が挙げられる。
G−(C1〜C5)アルコキシ基(Gはカルボキシ基、N置換カルバモイル基あるいは水素原子を示す)における(C1〜C5)アルコキシ基としては上記のアルコキシ基と同様な基であり、好ましい基も同様である。GにおけるN置換カルバモイル基の置換基としては、上記のBにおけるN置換カルバモイル基の置換基と同様な基であるモルホリノエチル基、3−ピコリル基、4−ピコリル基等の複素環基置換(C1〜C5)アルキル基が挙げられる。
Bとして好ましい基として具体的には、カルボキシメチル基若しくはジメチルアミノ−2−エチル基が挙げられる。
Aとして好ましい基として具体的には、水酸基、メチル基若しくは水素原子が挙げられ、特に水素原子が好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物のXとしては、メチル基、メトキシカルボニル基、アセチルアミノ基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子が好ましく、特にトリフルオロメチル基が好ましい。X’としては、トリフルオロメチル基、水素原子が好ましく、特に水素原子が好ましい。X及びX’はベンゼン環上に置換しており、その位置は特に限定されないが、好ましくは3位置換体であり、3−トリフルオロメチル基が殊更好ましい。
本発明の一般式(1)で表される化合物のYとしては、メチル基、Y’としては水素原子が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物としては、例えば、以下の表1に具体的に示す化合物が挙げられる。表中、Etはエチル基、Meはメチル基、Acはアセチル基、iPrはイソプロピル基を示す。
Figure 2005121105

Figure 2005121105
これらのうち、抗腫瘍効果、物性およびその他の点から化合物No.1〜No.39の化合物が好ましく、化合物No.13〜No.27の化合物が特に好ましく、中でも化合物No.18及びNo.21が殊更好ましい。
本発明の上記一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体に立体異性体が存在する場合、それらの異性体はすべて本発明に含まれるが、5位と7位の相対配置がsynの化合物が好ましい。
また、上記一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体が不斉炭素を有する場合、それらの化合物は光学活性体あるいはラセミ体として存在するが、本発明には光学活性体あるいはラセミ体、それらの混合物等が包含され、5位がS配置の化合物が好ましい。更に、上記一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体の水和物または溶媒和物も本発明に含まれる。
本発明における生理学的に許容される塩としては、塩酸、硫酸等の鉱酸との塩、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、安息香酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩等が挙げられる。また、分子内にカルボキシル基を持つ化合物に関しては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属と塩を形成することが可能である。なお、これらの塩は通常の造塩反応に付すことにより容易に調製される。
本発明の一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体またはその生理学的に許容される塩のプロドラッグとしては、生体内における生理的条件(例えば、「医薬品の開発 第7巻 分子設計」、広川書店、1990年、163〜198頁に記載されているような生理的条件)下、例えば、酵素や胃酸等による酸化反応、還元反応、加水分解反応等により、本発明の一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体またはその生理学的に許容される塩に変換されて、細胞増殖阻害活性や抗腫瘍活性を有するような化合物が挙げられる。このようなプロドラッグとしては、具体的には、一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体またはその生理学的に許容される塩において、置換基Z中に存在し得る水酸基若しくはカルボキシ基が、C2〜C6脂肪族カルボン酸、安息香酸などの芳香族カルボン酸、若しくはC1〜C6脂肪族アルコールなどと反応してエステル基を形成した化合物(例えば、アセチル化物やエチルエステル体等)、置換基Z中に存在し得る水酸基が、ベンジルハライドなどと反応してエーテル基を形成した化合物、置換基Z中に存在し得る飽和複素環基、低級アルキルアミノ基若しくは低級アシルアミノ基が、C2〜C6脂肪族カルボン酸、安息香酸などの芳香族カルボン酸、トリフルオロ酢酸無水物などのC2〜C6脂肪族カルボン酸無水物などと反応してアミド基を形成した化合物などが挙げられる。
本発明の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグは、細胞増殖阻害活性を有し、より具体的には、乳癌細胞などの腫瘍細胞の増殖阻害活性を有するため、細胞増殖阻害剤や抗腫瘍剤として有効である。本発明の細胞増殖阻害剤または抗腫瘍剤は、3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグを、単独または賦形剤あるいは担体と混合し、懸濁液、乳剤、注射剤、吸入剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、経口用液剤、座剤、経皮用液剤、経皮用貼付剤、軟膏剤、経粘膜液剤、経粘膜添付剤等の製剤として、経口的にまたは非経口的に投与される。賦形剤または担体等の添加剤としては薬剤学的に許容されるものが選ばれ、その種類および組成は投与経路や投与方法によって決まる。例えば、注射剤の場合、食塩、グルコースやマンニトール等の糖類等が望ましい。経口剤の場合、でんぷん、乳糖、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム等が望ましい。所望に応じて上記製剤中に助剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液またはその他の通常使用される添加剤が含まれていてもよい。
製剤中における本発明化合物の含有量は製剤により種々異なるが、通常、0.1〜100重量%、好ましくは1〜98重量%である。例えば、注射剤の場合には、通常、0.1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の有効成分を含むようにすることがよい。経口剤の場合には、添加剤とともに錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、ドライシロップ剤等の形態で用いられる。カプセル剤、錠剤、顆粒、散剤は一般に5〜100重量%、好ましくは25〜98重量%の有効成分を含む。
投与量は、患者の年令、性別、体重、症状、治療目的等により決定されるが、治療量は通常、非経口投与で0.001〜100mg/kg/日であり、経口投与では0.01〜500mg/kg/日、好ましくは0.1〜100mg/kg/日であり、これを1回で、あるいは2〜4回に分けて患者に投与する。
本発明の一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体が、生体内における生理的条件(例えば、「医薬品の開発 第7巻 分子設計」、広川書店、1990年、163〜198頁に記載されているような生理的条件)下、例えば、酵素や胃酸等による酸化反応、還元反応、加水分解反応等により変換され抗腫瘍活性を有するような、所謂プロドラッグの場合も、本発明の化合物に含まれる。
次に、本発明の上記一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体の製造法を説明するが、これらに限定されない。
下記一般式(2)で表されるα−ハロゲノ置換アセトフェノン誘導体は、東京化成(株)等から購入可能な化合物もあり、また、市販または公知文献に準じた製法で入手容易なアセトフェノン誘導体を、ハロゲン化剤としてN−ハロゲノスクシニミド;臭素、ヨウ素等のハロゲン単体;過臭化臭化ピリジニウムのような塩等を用い、トルエン、テトラヒドロフラン等の反応溶媒中室温から加熱還流下反応させることで容易にハロゲン化することにより得ることもできる。
Figure 2005121105

[式中、Eはハロゲン原子を示し、X,X’は上記と同じ意味を示す。]
下記一般式(5)で表される1,3−シクロヘキサンジオン誘導体は購入可能な化合物もあるが、必要に応じて下記スキームに従い、メチルビニルケトン誘導体(3)とマロン酸エステル誘導体(4)をナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシドあるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物存在下、水、メタノール、エタノール等の溶媒中室温から加熱還流温度で反応させることでも調製される。
Figure 2005121105

[式中R’’は低級アルキル基を示し、Y、Y’は上記と同じ意味を示す。]
あるいはY’が水素原子の場合、レゾルシノール誘導体をメタノール、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中白金、パラジウム等の触媒存在下で水素添加することで調製することも可能である。
上記の1,3−シクロアルカンジオン誘導体と上記一般式(2)の化合物をジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の有機溶媒中、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の塩基存在下、室温から加熱還流温度で反応させ、一般式(7)で表される化合物へと導く。
Figure 2005121105

[式中、X、X’、Y、Y’は上記と同じ意味を示す。]
一般式(7)で表される化合物をメタノール、エタノール等の有機溶媒中トリエチルアミン、ピリジン等の塩基存在下、塩酸ヒドラジンと室温から加熱還流温度で反応させて、一般式(8)で表される4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シンノリン−5−オン誘導体を得ることができる。
Figure 2005121105

[式中、X、X’、Y、Y’は上記と同じ意味を示す。]
更に該化合物に、例えば、パラジウム、白金等の金属触媒存在または非存在下、ピリジン、トリエチルアミン、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸またはテトラヒドロフラン等の有機溶媒中加熱還流することによる酸化、あるいはアセトン、メタノール、テトラヒドロフラン若しくはそれらの混合溶媒中、硝酸アンモニウムセリウム(IV)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン等の酸化剤を作用させることにより、下記一般式(9)で表わされる化合物を得ることができる。
Figure 2005121105

[式中、X、X’、Y、Y’は上記と同じ意味を示す。]
更に、一般式(9)で表される化合物をテトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の有機溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムあるいは水素化リチウムトリ−tert−ブトキシアルミニウム等の還元剤を氷冷下から室温で反応させることにより、一般式(10)で表される化合物である3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オールへと導くことができる。
Figure 2005121105

[式中、X、X’、Y、Y’は上記と同じ意味を示す。]
こうして得られる一般式(10)で表される化合物に対し、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンあるいはトルエンのような有機溶媒中、トリエチルアミンあるいはピリジンのような塩基存在下、フェニルクロロホルメート、4−ニトロフェニルクロロホルメートのような置換フェニルクロロホルメートを反応させ、引き続いて各種アミン化合物(L(L’)NH)を反応させることにより、上記一般式(1)のZがL(L’)N−で表される化合物へと導くことができる。
また、一般式(10)で表される化合物に対し、上記と同様な溶媒、塩基存在下、置換アルキルクロロホルメート(Cl−COO−M)を反応させることで上記一般式(1)のZがO−Mである化合物へと導くことができる。
また、一般式(10)で表される化合物に対し、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタンあるいはピリジンのような有機溶媒中、無水コハク酸、無水グルタル酸のような酸無水物、若しくはメトキシアセチルクロリドのような置換低級アシルハライドを反応させる、または、4−ジメチルアミノ酪酸、マロン酸モノ−t−ブチルエステル等の置換低級脂肪酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDC)等の脱水縮合剤を用いジメチルアミノピリジン等の存在下反応させることで、上記一般式(1)のZがA(B)CH−で表される化合物へと導くことができる。
上記製造法においては,必要に応じて、通常の有機反応で使用される保護基(例えば、Greene,T.W.ら「PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS」第二版、WILEY・INTERSCIENCE(米国)に記載)を用いて反応を行い、保護基が不要になった時点で脱保護することにより目的とする化合物へと導くことも可能である。
上記の各製法により得た反応混合物から目的物を単離、精製するには、必要により定法の溶媒抽出、濃縮、蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等を適宜用いればよい。
上記の各製法により得られた一般式(1)の化合物の生理学的に許容される塩またはプロドラッグは、それ自体周知の方法によって、一般式(1)の化合物から容易に得ることができる。
以下実施例として製造例および試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本実施例において、ESIとは Electron Spray Ionization の略であり、分子量測定におけるイオン化法の1つである。
参考例1
2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの合成
市販の3’−トリフルオロメチルアセトフェノン(79.6g、0.423mol)のトルエン(423ml)溶液に、氷冷下過臭化臭化ピリジニウム(135.4g、0.423mol)を加え、室温まで昇温しながら5時間撹拌した。反応液を再び氷冷し、蒸留水400mlを滴下して反応を停止してから分液した。トルエン層を飽和重曹水400mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥しトルエンを減圧濃縮した後、減圧蒸留を行い目的化合物(92.35g、81.7%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
4.46(2H、s)、7.66(1H、brt、J=7.9Hz)、7.88(1H、brd、J=7.6Hz)、8.19(1H、brd、J=7.5Hz)、8.25(1H、brs)
b.p. 92℃/3mmHg
参考例2
3−ヒドロキシ−5−メチル−2−[2−オキソ−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル]シクロヘキサ−2−エノンの合成
参考例1で得られた2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノン(63.5g、0.238mol)及び5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン(30g、0.238mol)のクロロホルム(240ml)溶液に、炭酸カリウム(32.9g、0.238mol)を加え室温で終夜撹拌した。反応液を濾過し、得られた白色固体を蒸留水(300ml)に懸濁させ氷冷下濃塩酸(30ml)を滴下した。酢酸エチル(700ml)及びエタノール(50ml)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過して得られる有機層を減圧濃縮後得られる残渣に酢酸エチル(200ml)を加え室温で4時間懸濁撹拌を行った。結晶を濾取して目的の化合物(25.7g、34.6%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.06(3H、d、J=5.9Hz)、1.98−2.63(5H、complex)、3.77(1H、d、J=13.6Hz)、4.29(1H、d、J=13.6Hz)、7.63(1H、brt、J=7.6Hz)、7.87(1H、brd、J=7.8Hz)、8.43−8.52(2H、complex)、9.64(1H、s)
MS(ESI,POS) m/z 313 [M+H]
参考例3
7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オンの合成
参考例2で得られた3−ヒドロキシ−5−メチル−2−[2−オキソ−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル]シクロヘキサ−2−エノン(438.7mg、1.4mmol)のエタノール(14ml)溶液に塩酸ヒドラジン(177mg、1.7mmol)及びトリエチルアミン(0.49ml、3.5mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=30/1)で精製し目的化合物(100.9mg、23.3%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.13(3H、d、J=5.9Hz)、2.00−2.60(5H、complex)、3.27(1H、d、J=9.3Hz)、3.57(1H、d、J=9.3Hz)、7.49(1H、brs)、7.54(1H、brd、J=7.9Hz)、7.65(1H、brd、J=7.7Hz)、7.94(1H、brd、J=7.8Hz)、8.08(1H、brs)
MS(ESI,POS) m/z 309 [M+H]
参考例4
7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例3で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オン(136.2mg、0.44mmol)のピリジン(1ml)溶液にp−トルエンスルホン酸1水和物(84mg、0.44mmol)を加え室温で3日間撹拌した。反応液を濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=30/1)で精製し目的化合物(89.0mg、66.1%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.28(3H、d、J=1.3Hz)、2.40−2.62(2H、complex)、2.80−2.89(1H、m)、2.90−3.19(1H、m)、3.55−3.70(1H、m)、7.68(1H、brt、J=7.7Hz)、7.74(1H、brd、J=7.7Hz)、8.29(1H、s)、8.34(1H、brd、J=7.3Hz)、8.44(1H、brs)
MS(ESI,POS) m/z 307 [M+H]
参考例5
7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
参考例4で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8―ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オン(1g、3.28mmol)のエタノール(20ml)溶液に氷冷下水素化ホウ素ナトリウム(123.5mg,3.28mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、1規定の硫酸水素カリウム水溶液(15ml)でクエンチし、酢酸エチル(100ml)で抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し有機層を減圧濃縮し得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜1/2)で精製し、目的の化合物(918mg、90.9%)を淡黄色固体として得た。そのsyn/anti比はHPLC(高分解能液体クロマトグラフィー)でおよそ9/1であった。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.22(3H、d、J=6.6Hz)、1.51(1H、q、J=12.2Hz)、1.88−2.44(1H、m)、2.24−2.42(1H、m)、2.73(1H、ddd、J=1.1、11.7、18.0Hz)、3.41(1H、ddd、J=1.8、5.2、17.8Hz)、4.90(1H、q、J=5.8、11.3Hz)、7.62(1H、t、J=7.7Hz)、7.73(1H、d、J=7.8Hz)、8.14(1H、d、J=1.1Hz)、8.29(1H、d、J=8.0Hz)、8.34(1H、s)
MS(ESI,POS) m/z 309 [M+H]
参考例6
(2,2−ジメチル−5−オキソ−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−酢酸の合成
リンゴ酸(1.34g,10mmol)の2,2−ジメトキシプロパン(4.5ml)溶液中に、ピリジニウム パラトルエンスルホネート(216mg,0.86mmol)を加え、室温で32時間撹拌した。反応液を濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し、目的化合物(1.58g,90.7%)を白色固体として得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.56(3H、s)、1.63(3H、s)、2.85(1H、dd、J=6.3、17.2Hz)、3.01(1H、dd、J=4.0、17.2Hz)、4.07(1H、dd、J=4.0、6.3Hz)、7.20−8.10(1H、br)
参考例7
7−メチル−5−(フェニルオキシカルボニル)オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
参考例5で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(3.11g)のトルエン(20ml)懸濁液にピリジン(1.6ml)を加え,フェニルクロロホルメート(1.5ml)を滴下した。室温で一晩撹拌後,水道水およびトルエンで反応液を分液ロートへ移し,水道水で5回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後,有機層をエバポレートすることにより目的化合物(2.89g、67%)を得た。
MS(ESI,POS) m/z 429 [M+H]
参考例8
5−(2−クロロエトキシカルボニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
参考例5で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(308.3mg,1mmol)のジクロロメタン(2ml)溶液に氷冷下、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(0.096ml,0.6mmol)および2−クロロエチルクロロホルメート(0.12ml,1.2mmol)を加え、0℃で1時間、室温で終夜反応させた。反応液に飽和重曹水を加え分液した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後減圧濃縮して得られる残渣に2−プロパノールおよびヘキサンを加え結晶化させた。結晶を濾取し、目的の化合物(343mg,82.7%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS,CDCl
1.26(3H,d,J=6.6Hz),1.64(1H,dd,J=12.2,23.4Hz),2.08−2.30(1H,m),2.40−2.57(1H,m),2.83(1H,dd,J=11.5,17.6Hz),3.53(1H,dd,J=3.7,18.3Hz),3.80(1H,t,J=5.3Hz),4.54(1H,dt,J=2.2,5.5Hz),5.89(1H,dd,J=6.0,10.8Hz),7.66(1H,t,J=7.8Hz),7.77(1H,d,J=7.5Hz),7.88(1H,s),8.28(1H,d,J=7.9Hz),8.34(1H,s)
MS(ESI,POS) m/z 415,417[M+H]
実施例1
5−エトキシアセチルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.13)
参考例5で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(308.3mg,1mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド/1−メチル−2−ピロリドン(2ml/0.4ml)の混合溶媒に溶解し、EDC(288mg、1.5mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(12.2mg,0.1mmol)およびエトキシ酢酸(0.14ml、0.045mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留水を加え酢酸エチルで抽出して、得らえる有機層を10%硫酸水素ナトリウム溶液、飽和重曹水および飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し得られる有機層を減圧濃縮して目的の化合物(390mg、98.8%)を白色結晶として得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS,CDCl
1.24(3H,d,J=6.6Hz)、1.30(3H,t,J=7.0Hz)、1.56(1H,dd,J=12.3,23.2Hz)、2.05−2.33(1H,m)、2.34−2.52(1H,m)、2.81(1H,dd,J=11.7,18.0Hz)、3.46(1H,dd,J=4.8,18.0Hz)、3.68(2H,q,J=7.0Hz)、4.25(2H,d,J=4.2Hz)、6.13(1H,dd,J=6.1,10.8Hz)、7.64(1H,t,J=7.8Hz)、7.69(1H,s)、7.76(1H,d,J=7.8Hz)、8.24(1H,d,J=7.6Hz)、8.32(1H,s)
MS(FAB,POS) m/z 395[M+H]
実施例2
5−(カルボキシメトキシアセチル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.14)
参考例5で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(308.3mg,1mmol)のピリジン(2.5ml)溶液に、ジグリコール酸無水物(580mg,5mmol)を加え室温で1時間撹拌した。反応終了後、反応液にトルエン3mlを加え減圧濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル15ml、蒸留水15mlを加え30分撹拌した後分液した。得られる有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮して得られる残渣に酢酸エチルおよび2−プロパノールを加え、30分間室温で懸濁撹拌した。結晶を濾取し、目的の化合物(369mg、87%)を白色結晶として得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS,CDCl
1.23(3H,t,J=7.0Hz)、1.55(1H,dd,J=12.3,23.2Hz)、2.07−2.30(1H,m)、2.35−2.50(1H,m)、2.79(1H,dd,J=11.4,17.2Hz)、3.45(1H,ddd,J=1.7,5.0,17.6Hz)、4.35(2H,s)、4.42(2H,d,J=5.4Hz)、6.13(1H,dd,J=6.2,10.9Hz)、7.64(1H,t,J=7.8Hz)、7.71−7.80(1H,m)、7.73(1H,s)、8.23(1H,d,J=7.7Hz)、8.32(1H,s)
MS(ESI,POS) m/z 425 [M+H]
実施例3
5−(2−メトキシエトキシカルボニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.38)
参考例5で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(308.3mg,1mmol)のジクロロメタン(2ml)溶液に氷冷下、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(0.096ml,0.6mmol)および2−メトキシエチルクロロホルメート(0.14ml,1.2mmol)を加え、0℃で1時間、室温で終夜反応させた。反応液に飽和重曹水を加え分液した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後減圧濃縮して得られる残渣に2−プロパノールおよびヘキサンを加え結晶化させた。結晶を濾取し、目的の化合物(300mg,73.2%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS,CDCl
1.24(3H,d,J=6.5Hz)、1.60(1H,q,J=12.3Hz)、2.02−2.28(1H,m)、2.38−2.55(1H,m)、2.80(1H,dd,J=11.6,17.9Hz)、3.31−3.53(1H,m)、3.42(3H,s)、3.69(2H,t,J=4.6Hz)、4.32−4.52(2H,m)、5.86(1H,dd,J=6.0,10.8Hz)、7.65(1H,t,J=7.7Hz)、7.76(1H,d,J=7.7Hz)、8.28(1H,brd,J=7.7Hz)、8.35(1H,brs)
MS(ESI,POS) m/z 411 [M+H]
実施例4
5−(3−カルボキシルプロパノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.18)
参考例5で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(616mg,2mmol)のピリジン(10ml)溶液に、無水コハク酸(1g,10mmol)を加え37℃で48時間撹拌した。反応終了後、反応液にトルエン10mlを加え減圧濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル30ml、蒸留水30mlを加え1時間撹拌した後分液した。得られる有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮して得られる残渣に酢酸エチル(5ml)および2−プロパノール(30ml)を加え、30分間室温で懸濁撹拌した。結晶を濾取し、目的の化合物(381mg、49%)を白色結晶として得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.20(3H,d,J=6.6Hz)、1.54(1H,q, J=11.9Hz)、2.00−2.40(2H,m)、2.60−2.94(5H,m)、3.41(1H,dd,J=4.1,17.9Hz)、6.07(1H,dd,J=6.0,10.9Hz)、7.54(1H,t,J=7.7Hz)、7.68(1H,d,J=7.7Hz)、7.83(1H,s)、8.23(1H,d,J=7.8Hz)、8.30(1H,s)
MS(ESI,POS) m/z 409 [M+H]
実施例5
5−(4−カルボキシブタノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.19)
実施例2におけるジグリコール酸無水物の代わりに無水グルタル酸を用い、実施例2と同様に反応させることで目的の化合物を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.22(3H,d,J=6.6Hz)、1.50(1H,q,J=11.8Hz)、1.98−2.26(3H,m)、2.29−2.88(6H,m)、3.43(1H,dd,J=5.1,18.0Hz)、6.03(1H,dd,J=6.1,10.7Hz)、7.63(1H,t,J=7.7Hz)、7.71(1H,s)、7.72(1H,d,J=7.7Hz)、8.22(1H,d,J=7.6Hz)、8.33(1H,s)
MS(ESI,POS) m/z 423 [M+H]
実施例6
5−[(3−カルボキシ−3−ヒドロキシ)プロパノイル]オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.20)
実施例1におけるエトキシ酢酸の替わりに、参考例6で得られた(2,2−ジメチル−5−オキソ−[1,3]ジオキソラン−4−イル)−酢酸を用い、実施例1と同様に処理して得られる無色シロップ(280mg、60.3%)を、テトラヒドロフラン、蒸留水および酢酸の混合液(それぞれ14mlずつ)に溶解し、室温で40時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜0/1)で精製後、酢酸エチル/ヘキサンで結晶化させることで目的の化合物(188mg、73.5%)を白色結晶として得た。
MS(ESI,POS) m/z 425 [M+H]
実施例7
7−メチル−5−(4−ピペリジノピペリジン−1−イル−カルボニル)オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.40)
参考例7で得られた7−メチル−5−(フェニルオキシカルボニル)オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン(316.0mg)のテトラヒドロフラン(1.5ml)溶液に4−ピペリジノピペリジン(170mg)を加え,一晩撹拌した。反応液を酢酸エチルで分液ロートへ移し,水道水,飽和重曹水,飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後,有機層をエバポレートして得られた残渣に酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を加えて析出する固体を濾取する事により,目的化合物(420.9mg,定量的)を得た。
MS(ESI,POS) m/z 429 [M+H]
実施例8
7−メチル−5−[4−(4−モルホリノ)ピペリジン−1−イル−カルボニル]オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.41)
参考例7で得られた7−メチル−5−(フェニルオキシカルボニル)オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン(307.3mg)および4−(4−モルホリノ)ピペリジン(227mg)を用いて実施例7と同様の操作を行う事により目的化合物(364.0mg,定量的)を得た。
MS(ESI,POS) m/z 505 [M+H]
実施例9
7−メチル−5−(4−メチルピペラジン−1−イル−カルボニル)オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.42)
参考例7で得られた7−メチル−5−(フェニルオキシカルボニル)オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン(305.4mg)および4−メチルピペラジン(0.1ml)を用いて実施例7と同様の操作を行う事により目的化合物(252.4mg,81%)を得た。
MS(ESI,POS) m/z 435 [M+H]
実施例10
7−メチル−5−(モルホリン−4−イル−カルボニル)オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン塩酸塩の合成(化合物No.43)
参考例7で得られた7−メチル−5−(フェニルオキシカルボニル)オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン(282.6mg)およびモルホリン(0.1ml)を用いて実施例7と同様の操作を行った後,4規定塩化水素/1,4−ジオキサン(0.2ml)を加えてエバポレートした。得られた残渣に酢酸エチル(6ml)を加えて40度で1時間撹拌後,室温で一晩撹拌した。析出固体を濾取する事により目的化合物(195.4mg,64%)を得た。
MS(ESI,POS) m/z 422 [M+H−HCl]
実施例11
5−(4−ジメチルアミノブタノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.21)
参考例5で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(318mg)および4−ジメチルアミノ酪酸塩酸塩(529.2mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(4.1ml)に溶解し,ジシクロヘキシルカルボジイミド(638mg)を加えて室温で一晩撹拌した。酢酸エチルを加えて析出固体を濾別した後,濾液を分液ロートへ移液し,水道水,飽和重曹水,飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後,有機層をエバポレートした。残渣に酢酸エチルを加え,析出固体を濾取する事により目的化合物(430.4mg,99%)を得た。
MS(ESI,POS) m/z 422 [M+H]
実施例12
5−(2−カルボキシアセチル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン塩酸塩の合成(化合物No.22)
参考例5で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(552mg)およびマロン酸モノ−t−ブチルエステル(286.7mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)に溶解し,EDC(1.03g)を加えて室温で一晩撹拌した。反応液を酢酸エチルおよび水道水で分液ロートへ移し,水道水,飽和重曹水,飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後,有機層をエバポレートした。残渣に4規定塩化水素/1,4−ジオキサン(3ml)を加えて一晩撹拌後,反応液をエバポレートした。得られた残渣に酢酸エチルを加えて析出固体を濾取する事により目的化合物(158.0mg,22%)を得た。
MS(ESI,POS) m/z 395 [M+H−HCl]
実施例13
5−[3−〔2−(モルホリン−4−イル)エチル〕アミノカルボニルプロパノイル]オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.23)
実施例4で得られた、5−(3−カルボキシプロパノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン(40.8mg,0.1mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)溶液に、2−(4−モルホリノ)エチルアミン(0.02ml,0.15mmol)、EDC(28.8mg,0.15mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(16.2mg,0.12mmol)を加え、室温で終夜反応した。反応液に酢酸エチルおよび蒸留水を加え抽出後、有機層を1規定硫酸水素ナトリウム水溶液、飽和重曹水および飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を減圧濃縮し目的の化合物(12.4mg,24%)を白色固体として得た。
MS(ESI,POS) m/z 521 [M+H]
実施例14
5−[3−(ピリジン−3−イルメチル)アミノカルボニルプロパノイル]オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.24)
実施例13における2−(4−モルホリノ)エチルアミンの替わりに3−ピコリルアミンを用いて実施例13と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI,POS) m/z 499 [M+H]
実施例15
5−[3−(ピリジン−4−イルメチル)アミノカルボニルプロパノイル]オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.25)
実施例13における2−(4−モルホリノ)エチルアミンの替わりに4−ピコリルアミンを用いて実施例13と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI,POS) m/z 499 [M+H]
実施例16
5−[(2−(モルホリン−4−イル)エチル)アミノカルボニルメトキシアセチル]オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.15)
実施例13における5−(3−カルボキシプロパノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの替わりに、実施例2で得られる5−カルボキシメトキシアセチルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを用いて実施例13と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI,POS) m/z 610 [M+H]
実施例17
5−[(ピリジン−3−イルメチル)アミノカルボニルメトキシアセチル]オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.16)
実施例13における5−(3−カルボキシプロパノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの替わりに、実施例2で得られる5−カルボキシメトキシアセチルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを、2−(4−モルホリノ)エチルアミンの替わりに3−ピコリルアミンを用いて実施例13と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI,POS) m/z 515 [M+H]
実施例18
5−[(ピリジン−4−イルメチル)アミノカルボニルメトキシアセチル]オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.17)
実施例13における5−(3−カルボキシプロパノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの替わりに、実施例2で得られる5−カルボキシメトキシアセチルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを、2−(4−モルホリノ)エチルアミンの替わりに4−ピコリルアミンを用いて実施例13と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI,POS) m/z 515 [M+H]
実施例19
5−(2−(モルホリノ−4−イル)エトキシカルボニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.39)
参考例8で得られた、5−(2−クロロエトキシカルボニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン(160mg,0.39mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1ml)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.07ml)およびモルホリン(0.05ml,0.58mmol)を加え、室温で3日間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製することで目的の化合物(2.5mg,1.4%)を得た。
MS(ESI,POS) m/z 467[M+H]
実施例20
5−(3−メトキシカルボニルプロパノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.26)
実施例4で得られる5−(3−カルボキシプロパノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンをテトラヒドロフランに溶解し、過剰量のトリメチルシリルジアゾメタンのヘキサン溶液を加え、氷冷下1時間反応させた。反応液を減圧濃縮後得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、目的の化合物を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.23(3H,d,J=6.5Hz)、1.59(1H,q,J=11.9Hz)、2.04−2.38(2H,m)、2.60−2.94(5H,m)、3.47(1H,ddd,J=1.9,4.9,17.9Hz)、3.70(3H,s)、6.14(1H,dd,J=6.1,11.0Hz)、7.63(1H,t,J=7.7Hz)、7.75(1H,d,J=7.8Hz)、7.95(1H,d,J=1.1Hz)、8.41(1H,d,J=7.8Hz)、8.46(1H,s)
MS(ESI,POS) m/z 423 [M+H]
実施例21
5−(3−エトキシカルボニルプロパノイル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成(化合物No.27)
実施例1におけるエトキシ酢酸の替わりにコハク酸モノエチルエステルを用いて実施例1と同様に反応させ、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し目的の化合物を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.23(3H,d,J=6.5Hz)、1.24(3H,t,J=7.2Hz)、1.59(1H,q,J=11.8Hz)、2.10−2.38(2H,m)、2.58−2.92(5H,m)、3.50(1H,dd,J=4.4、17.6Hz)、4.15(2H,qd,J=1.0,7.2Hz)、6.15(1H,dd,J=5.9,10.9Hz)、7.63(1H,t,J=7.7Hz)、7.75(1H,d,J=7.7Hz)、8.00(1H,s)、8.41(1H,d,J=7.7Hz)、8.47(1H,s)
MS(ESI,POS) m/z 437 [M+H]
試験例1
乳癌細胞MCF−7に対するin vitro抗腫瘍効果
2000個のMCF−7を10%血清添加のRPMI 1640培地(旭テクノグラス社)を用い96穴プレートに播種した。細胞を37℃、5%CO/95%Airの条件下で24時間培養後、被験化合物を添加し、更に3日間培養した。細胞を0.05%のMethylene Blue溶液で染色し、660nMの吸光度をマイクロプレートリーダー(Benchmark Plus、BIO RAD製)で測定した。増殖抑制率は下記式で求め、用量反応曲線から50%細胞増殖阻害濃度を求めた。得られた結果を表2に示す。
増殖抑制率=((対照群の吸光度−薬剤添加群の吸光度)÷対照群の吸光度))×100
Figure 2005121105
表2から明らかなように、本発明の化合物は乳癌細胞の増殖を抑制し抗腫瘍効果を有している。
以上に詳細に説明したように、本発明の一般式(1)で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグは、細胞増殖阻害活性を有し、具体的には、乳癌細胞などの腫瘍細胞の増殖阻害活性を有するため、細胞増殖阻害剤や抗腫瘍剤として有効である。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2005121105

    [式中、Zは、MO−(Oは酸素原子を示す)、L(L’)N−(Nは、窒素原子を示す)またはA(B)CH−(Cは炭素原子、Hは水素原子を示す)を示し、Mは、低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基若しくは飽和複素環基を置換基として有していてもよい低級アルキル基を示し、L、L’は互いに結合して置換基を有していてもよい4〜8員の環状構造基を示してもよく、あるいはそれぞれ独立して、水酸基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、低級アルキルアミノ基若しくは飽和複素環基を置換基として有していてもよい低級アルキル基または水素原子を示し、Aは水酸基、低級アルキル基または水素原子を示し、Bは置換基を有する低級アルキル基、低級アルコキシ基、カルボキシ基または低級アルコキシカルボニル基を示し;Xは低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を示し;X’は低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子または水素原子を示し;Y、Y’はそれぞれ独立して低級アルキル基または水素原子を示す]
    で表される3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグ。
  2. ZがL(L’)N−であり、L、L’が置換基を有していてもよい4〜8員の環状構造基であって、モルホリノ基、4−メチルピペラジノ基、4−ピペリジノピペリジノ基または4−モルホリノピペリジノ基である請求項1記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグ。
  3. ZがA(B)CH−であり、Aが水素原子、Bが水酸基、カルボキシ基、(C1〜C5)アルコキシカルボニル基、アミノ基、(C1〜C5)アルキルアミノ基、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ基、カルバモイル基、飽和複素環基、N置換カルバモイル基及びG−(C1〜C5)アルコキシ基(Gはカルボキシ基、N置換カルバモイル基あるいは水素原子を示す)から選択される1種または2種以上の基で置換された(C1〜C5)アルキル基;Xがメチル基、メトキシカルボニル基、アセチルアミノ基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子;X’がトリフルオロメチル基または水素原子である請求項1記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグ。
  4. Bがカルボキシ基、(C1〜C5)アルコキシカルボニル基、ジ(C1〜C5)アルキルアミノ基若しくは飽和複素環基が置換している(C1〜C5)アルキル基であり、Xがトリフルオロメチル基、X’が水素原子、Yがメチル基、Y’が水素原子である請求項3記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグ。
  5. Bがカルボキシメチル基またはジメチルアミノ−2−エチル基である請求項4記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物。
  7. 細胞増殖阻害のための請求項6記載の医薬組成物。
  8. 抗腫瘍のための請求項6または7記載の医薬組成物。
  9. 細胞増殖阻害のための医薬組成物を製造するための請求項1〜5のいずれか1項に記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグの使用。
  10. 腫瘍を予防若しくは治療するための医薬組成物を製造するための請求項1〜5のいずれか1項に記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグの使用。
  11. 細胞増殖阻害方法であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグをヒトを含む哺乳動物に投与することを含む細胞増殖阻害方法。
  12. 腫瘍を予防若しくは治療する方法であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の3−フェニルテトラヒドロシンノリン−5−オール誘導体、その生理学的に許容される塩またはそれらのプロドラッグをヒトを含む哺乳動物に投与することを含む腫瘍を予防若しくは治療する方法。
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