JPWO2005105663A1 - 水素貯蔵体、水素燃料及び水素製造方法 - Google Patents

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Abstract

固体材料で扱いやすく、燃料電池に容易に利用できる水素貯蔵体及び水素燃料、並びに安い原料から簡単に高純度の水素を得ることができる水素製造方法を提供する。層状遷移金属化合物10の層11間に水素イオン13を貯蔵してなる。

Description

本発明は、水を原料として製造できる水素貯蔵体及び水素燃料、並びに水から水素を分離して取り出す水素製造方法に関する。
近年、地球環境の悪化、例えば地球温暖化等が問題となっており、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素を発生させる化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源が求められている。その代替エネルギー源として、燃焼しても有害な物質を放出しない水素が注目され、さまざまな物質を用いて水素を製造及び貯蔵する方法の研究が行われている。また、特に、実用化されつつある燃料電池等の燃料として今後一層幅広く利用される方向にある。
現在、実用化可能な水素貯蔵方法としては、水素をボンベ等に圧入する方法があるが、この場合高圧の水素を扱うことになり、常に安全性への配慮が必要となる。一方、水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる方法があり、この場合にはその可搬性及び高いエネルギー密度から携帯用の電源の燃料として期待される。
しかしながら、従来の水素吸蔵合金はいずれの場合においても、ガスとして存在する水素を合金等の吸蔵物質に吸蔵させるものであり、水素は別途製造しておく必要がある。
ここで、現在、実用可能な水素製造方法としては、メタンなどの炭化水素を改質する方法がある(例えば、特許文献1等参照)が、一般的には改質のための高温反応に大掛かりな化学反応装置を必要とし、また、副産物として一酸化炭素(CO)や地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO)を排出するという問題がある。
また、水素を製造する方法として、原料としてTiOなど光触媒を用いて水を電気分解する方法もあるが、通常、紫外線を必要とするため、太陽光では効率が低いという問題がある。また、可視光応答性の光触媒を用いた水素生成も提案されているが(特許文献2等参照)、実用化レベルの効率にはいまだ到達していないのが現状と思われる。
一方、純度の悪い水素ガスを精製する方法として、ゼオライトなどの多孔質物質等を用いた方法が提案されている(特許文献3等参照)。しかしながら、この方法でも水素ガスが存在するのが前提である。
なお、水素製造・貯蔵の技術とは別に、新しい機能を発現する物質として層状遷移金属化合物の工業利用の検討が進んでおり、例えば熱電変換材料としての用途が提案されている(特許文献4等参照)。
特開2004−57963号公報(特許請求の範囲参照) 特開2004−8922号公報(特許請求の範囲参照) 特開2001−70727号公報(特許請求の範囲参照) 特開2003−034576号公報(特許請求の範囲参照)
本発明は、上述した事情に鑑み、固体材料で扱いやすく、燃料電池に容易に利用できる水素貯蔵体及び水素燃料、並びに安い原料から簡単に高純度の水素を得ることができる水素製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために検討を重ねた結果、所定の層状遷移金属化合物に水を反応させると、水から水素イオンが分離されると共に当該水素イオンが水と共に層状遷移金属化合物の層間に保持され、しかも当該水素イオンは所定の加熱処理を受けるだけで容易に水素として取り出せることを知見し、本発明を完成させた。
かかる本発明の第1の態様は、層状遷移金属化合物の層間に水素イオンを貯蔵してなることを特徴とする水素貯蔵体にある。
かかる第1の態様では、層状遷移金属化合物の層間に水素イオンが貯蔵され、加熱することにより取り出すことができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記層状遷移金属化合物の層間に水素イオンと共に水が保持されていることを特徴とする水素貯蔵体にある。
かかる第2の態様では、層間に水が取り込まれることにより、層間距離が広がり、より一層水素イオンが貯蔵され易くなる。
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記層状遷移金属化合物に対して水を反応させて得たものであることを特徴とする水素貯蔵体にある。
かかる第3の態様では、層状遷移金属化合物に水を反応させるだけで、水素イオンが貯蔵でき、且つ水素ガスとして容易に取り出すことができる。
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記層状遷移金属化合物に対して反応させる水が、酸塩基性度(pH)が調整されたものであることを特徴とする水素貯蔵体にある。
かかる第4の態様では、層状遷移金属化合物と反応させる水のpHを調整することにより、より有効に水素イオンを貯蔵することができる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記層状遷移金属化合物が粉体状であることを特徴とする水素貯蔵体にある。
かかる第5の態様では、粉末状の層状遷移金属化合物に水を反応させることにより、容易に水素イオンを貯蔵させることができる。
本発明の第6の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記層状遷移金属化合物が多孔質体であることを特徴とする水素貯蔵体にある。
かかる第6の態様では、多孔質の層状遷移金属化合物に水を反応させることにより、容易に水素イオンを貯蔵させることができる。
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記層状遷移金属化合物が、ATX,BTX,La2−yTO,ATXCl,BTXCl,ATXBr,BTXBr,TMX,MXCl,MXBr,YB,BiSrCaCu,TlSrCaCu,及びHgSrCaCu(AはNa,K,Li,Rbなどのアルカリ金属のうちのいずれかを、BはCa,Sr,Baなどのアルカリ土類金属のうちのいずれかを、TはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Znの4族遷移金属とRh,Ruのうちのいずれかを、MはZr,Nb,Mo,Tc,Hf,Ta,Wの5族及び6族遷移金属のうちのいずれかを、XはO,S,Seなどのカルコゲンのうちのいずれかを示し、Yは1〜2の間の数値を示す)から選択される少なくとも一種であることを特徴とする水素貯蔵体にある。
かかる第7の態様では、所定の層状遷移金属化合物に水を反応させることにより、容易に水素イオンを貯蔵させることができる。
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記層状遷移金属化合物が、層間に陽イオンを含む化合物であることを特徴とする水素貯蔵体にある。
かかる第8の態様では、水素イオンは、層状遷移金属化合物の層間の陽イオンと置換されて貯蔵される。
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様の水素貯蔵体と、この水素貯蔵体を加熱する加熱手段と、この加熱した水素貯蔵体から水素を取り出す水素供給手段とを具備することを特徴とする水素燃料にある。
かかる第9の態様では、水素貯蔵体を加熱手段により加熱することにより、水素貯蔵体から水素を取り出すことができる。
本発明の第10の態様は、第9の態様において、前記加熱手段は、前記水素貯蔵体を300℃以下、好ましくは、100〜200℃の範囲の温度に加熱することを特徴とする水素燃料にある。
かかる第10の態様では、水素貯蔵体を加熱手段により、300℃以下、好ましくは、100〜200℃の範囲の温度に加熱することにより、容易に水素を取り出すことができる。
本発明の第11の態様は、層状遷移金属化合物に水を反応させて水から水素イオンを分離すると共に層間に水素イオンを貯蔵させて水素貯蔵体とし、この水素貯蔵体を加熱して水素を取り出すことを特徴とする水素製造方法にある。
かかる第11の態様では、層状遷移化合物に水を反応させるだけで、水素イオンを貯蔵させることができ、これを加熱することにより水素として取り出すことができる。
本発明の第12の態様は、第11の態様において、前記層状遷移金属化合物の層間に水素イオンと共に水が保持されていることを特徴とする水素製造方法にある。
かかる第12の態様では、層間に水が取り込まれることにより、層間距離が広がり、より一層水素イオンが貯蔵され易くなる。
本発明の第13の態様は、第11又は12の態様において、酸塩基性度(pH)を調整することによって前記層状遷移金属化合物と水との反応を促進して、層間に水素イオンを貯蔵することを特徴とする水素製造方法にある。
かかる第13の態様では、層状遷移化合物に反応させる水のpHを調整することにより、水素イオンの貯蔵を促進させることができる。
本発明の第14の態様は、第11〜13の何れかの態様において、前記水素貯蔵体を300℃以下、好ましくは、100〜200℃の範囲の温度に加熱して水素を取り出すことを特徴とする水素製造方法にある。
かかる第14の態様では、水素を貯蔵した水素貯蔵体を300℃以下、好ましくは、100〜200℃の範囲の温度に加熱することにより、容易に水素を取り出すことができる。
本発明の水素貯蔵体によれば、固体材料で扱いやすく、燃料電池に容易に利用できる水素貯蔵体及び水素燃料、並びに安い原料から簡単に高純度の水素を得ることができる水素製造方法を提供することができる。
本発明の水素貯蔵体及びそれを用いた水素製造方法を説明する説明図である。 本発明の層状遷移金属化合物の一例であるNaCoOの構造を示す図である。 本発明の水素貯蔵体を用いた水素燃料の一例を概念的に示す図である。 本発明の実施例の水素貯蔵体を用いた水素検出の状態を示す図である。 本発明の実施例で採取された生成ガスのガスガスクロマトグラフィーにより得られたグラフである。
符号の説明
10 層状遷移金属化合物
20 水素貯蔵体
100 水素燃料
110 水素貯蔵体格納部
120 加熱手段
130 流路
140 冷却手段
150 タンク
151 排出口
160 水素供給口
210 容器
220 ホットプレート
230 流路
250 タンク
260 水素供給口
300 水素検知管
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明の構成は以下の説明に限定されない。
本発明の水素貯蔵体は、図1に示すように、例えば、酸化コバルト(CoO)層などの遷移金属化合物層11が幾重にも積み重なった層状構造を有する層状遷移金属化合物(以下、層状化合物ともいう)10を原料とする。かかる層状化合物は、一般的には、原子が共有結合などによって強く結合して密に配列した面がファン・デル・ワールス力など弱い結合力によって平行に積み重なった構造をなしているものと定義されているものであり、特に、層間にナトリウムイオンなどの陽イオン12を含むものを用いるのが好ましい。この場合、必要に応じて、臭素等による還元反応などにより、層間の陽イオン12の量を減らすなどの改質を行ってもよい。ここで、このように用いられる臭素は、ダイオキシンを無害化する処理によって同時発生するので、環境負荷は小さい。なお、図2には、層状遷移金属化合物の一例であるNaCoOの構造を示す。
本発明で用いる層状遷移金属化合物としては、ATX,BTX,La2−yTO,ATXCl,BTXCl,ATXBr,BTXBr,TMX,MXCl,MXBr,YB,BiSrCaCu,TlSrCaCu,HgSrCaCuなどを挙げることができる。ここで、AはNa,K,Li,Rbなどのアルカリ金属のうちのいずれかを、BはCa,Sr,Baなどのアルカリ土類金属のうちのいずれかを、TはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Znの4族遷移金属とRh,Ruのうちのいずれかを、MはZr,Nb,Mo,Tc,Hf,Ta,Wの5族及び6族遷移金属のうちのいずれかを、XはO,S,Seなどのカルコゲンのうちのいずれかを示し、Yは1〜2の間の数値を示す。
このような層状遷移金属化合物は、例えば、Co,Ti,V,Zr,Ta,W,Moなどの遷移金属と、酸素、硫黄、ハロゲン、窒素などとの強い共有結合によって結合される遷移金属化合物の平面状の層が、ファン・デル・ワールス力など弱い結合力によって平行に積み重なった構造を有し、層間に、Na,Liなどのアルカリ金属やCa,Baなどのアルカリ土類金属などを含むものである。なお、本発明に用いられる層状遷移金属化合物は、ここに例示したものに限定されるものではない。
また、層状遷移金属化合物の形態は特に限定されないが、水との接触面積が大きい方が好ましく、粉末状や多孔質状が好ましい。例えば、粉末状とする場合には、例えば、1μm程度の平均粒径程度とするのが好ましい。
本発明の水素貯蔵体は、層状遷移金属化合物10に水を反応させることにより容易に製造される。すなわち、層状遷移金属化合物10は、水と反応すると、水から水素イオンを分離すると共に層間に水と共に水素イオンを貯蔵させる。すなわち、図1の層状遷移金属化合物10の場合には、層間の陽イオン12であるナトリウムイオンと置換して水素イオン13が水14と共に遷移金属化合物層11の間に貯蔵され、水素貯蔵体20となる。
このような水素貯蔵体の機能についてさらに詳述する。ここで、本発明で用いる層状遷移金属化合物は、層同士の結合は弱いので、上述した層状化合物からなる水素貯蔵体を水に浸漬すると、層状化合物の各層の間に水分子が入り込む。そうすると、層状化合物の層の間に存在する陽イオンと、一部の水素イオン又はオキソニウムイオンとがイオン交換され、水素イオン又はオキソニウムイオンが貯蔵されると考えられる。すなわち、このイオン交換により、水素貯蔵体の中に水素イオンあるいはオキソニウムイオンが貯蔵されることになる。また、層状化合物の各層の間に水分子が入り込む際に、一部の水分子が分解して、層状化合物の層の間に陽イオンが存在できる位置に水素イオン又はオキソニウムイオンが配置して、水素貯蔵体の中に水素イオン又はオキソニウムイオンが貯蔵されるとも考えられる。なお、オキソニウムイオンは水素イオンが水分子と結合して形成されているものであり、本発明では、両者を水素イオンとして表記するものとし、従って、水素イオンにはオキソニウムイオンとして存在する水素イオンも包含される。また、ここでは、層状遷移金属化合物中にイオンの状態で水素が貯蔵される例を挙げたが、水から水素を生成する際に、単なるイオン交換ではなく、酸化還元反応が起こって、水から水素分子が直接生成され、水素分子として層状化合物に貯蔵される場合もあり得、この場合も本発明の水素貯蔵体に包含される。また、水と共に水素イオンを貯蔵するものとして説明したが、水素イオンのみを貯蔵することもあり得、これも本発明に包含されるものとする。
また、このように水素イオン又はオキソニウムイオンを貯蔵した水素貯蔵体から水素ガスを取り出すためには、水素イオン又はオキソニウムイオンを還元しなければならないが、遷移金属化合物の層を有する層状化合物を用いると、価数自由度のある遷移金属と水素イオンやオキソニウムイオンとの間で電子授受が起こる反応が生じ、水素をガスとして取り出すことが可能となる。
さらに、本発明で用いる層状化合物では、層同士の結合が弱いので、層と層との間から水素を取り出すことは、三次元的構造を有する固体から取り出すよりも容易であるという利点がある。
このように、層状遷移金属化合物に水を反応させて水素貯蔵体とするとは、単に層状遷移金属化合物と水とを常温で接触させればよく、その接触方法は特に限定されないが、好ましくは空気との接触を最小限にした方が好ましい。
例えば、層状遷移金属化合物としてNaCoOを用いた場合には、水の中に粉末状のNaCoOを入れて、好ましくは空気との接触を最低限にするために蓋をして、例えば、1時間程度放置すると、Naが一部水に溶け出すなどしながら、水素イオンが層間に取り込まれる。この場合、NaCoOの場合には、水分子も同時に層間に侵入して層間距離を広げるので、層間への水素イオンの出入が促進されると推測される。水素イオンを取り込んだ層状化合物は沈殿しているので、上澄み液を分離し、必要に応じて、ろ過や遠心分離を行うことにより、過剰の水を除去し、水素貯蔵体とする。なお、水を取り込んだ水素貯蔵体は、取り込んだ水が容易に出て行かないようにパッケージングするのが好ましい。
ここで、層状遷移金属化合物と接触させる水も特に限定されず、水道水、工業用水、イオン交換水、純水など特に限定されない。但し、使用する水の酸塩基性度(pH)を調整することによって層状遷移金属化合物と水との反応を促進させることもできる。
なお、pHをどのように調整するかは使用する層状遷移金属化合物の種類などによって異なるが、一般的には、中性の水を用いるより、弱酸性の水溶液を用いる方がより効率的に水素イオンを貯蔵できると考えられる。
また、後述するように、一度水素を取り出した後の使用済みの水素貯蔵体には水素製造物質である層状遷移金属化合物の他に、水酸化ナトリウムのようなアルカリの粉が含まれていることになるので、これに水を再び投入したときに層状遷移金属化合物が接するのは塩基性の溶液となる。従って、例えば、少量の水で先に強い塩基性溶液と使用済みの層状遷移金属化合物とで第一段階の反応をさせてから、さらに水を加えて弱い塩基性溶液の中で水素イオンを取り込む第二段階の反応を行うのが好ましい。
なお、水素貯蔵体に初めて水素イオンを取り込む際には、層状遷移金属化合物の層の間に存在する陽イオンと水素イオンとがイオン交換され、その陽イオンが水中に溶け出すことになる。しかしながら、後述するように、水素を取り出すために水素貯蔵体を100〜200℃に加熱して煮詰める際に、溶け出した陽イオンが再び層状化合物中に取り込まれるので、水素貯蔵体は初期状態近くの組成に戻ると考えられる。したがって、本発明の水素貯蔵体は繰り返し利用することができる。
本発明の水素貯蔵体20は、図1に示すように、加熱することにより、層間に貯蔵した水及び水素イオンを放出するので、容易に水素を取り出すことができる。例えば、水素貯蔵体20が100℃〜200℃で加熱されると、水素イオンあるいはオキソニウムイオンが還元されて水素が発生し、水素貯蔵体20から水蒸気に混じって水素分子が放出されることとなる。ここで、層間に水分子も取り込まれている場合には、100〜200℃の温度で水分子が水蒸気となって排出されて、水分子により広げられていた層間距離が元に戻り、これにより水素イオンが留まり難くなることが予想されるので、低温で容易に水素を発生させることができる。
なお、上述したように、水素イオンあるいはオキソニウムイオンが水素貯蔵体20に貯蔵されるときに、水分子も各遷移金属化合物層10の間に取り込まれることになり、層状化合物の層の間の空間が、例えば、2倍程度まで広がるため、より一層の水素分子の取り出しが容易になり、より低温での水素分子発生が期待できる。
また、このように水素貯蔵体を加熱して水素を取り出す際、水蒸気以外の物質が発生しない、すなわち、有害物質や温室効果ガス等の発生がないので、極めて有効である。
従って、本発明の水素貯蔵体を用いると、極めて高純度の水素を製造することができる。すなわち、層状遷移金属化合物に水を反応させて水から水素イオンを分離すると共に層間に水と共に水素イオンを貯蔵させて水素貯蔵体とし、この水素貯蔵体を加熱して水素を取り出すことにより、高純度の水素を製造することができる。
この際、層状遷移金属化合物に反応させる水の酸塩基性度(pH)を調整することによって層状遷移金属化合物と水との反応を促進することができる。また、水素貯蔵体から水素を取り出すには、例えば、300℃以下、好ましくは100〜200℃の範囲の温度に加熱すればよい。
なお、このように水素を製造する場合、水素貯蔵体を分離する必要はなく、層状遷移金属化合物に水を接触させ、その後そのまま加熱することにより、水素を取り出すことが可能である。また、一度水素を取り出した後の使用済みの水素貯蔵体には水素製造物質である層状遷移金属化合物の他に、水酸化ナトリウムのようなアルカリの粉が含まれていることになるので、これに水を再び投入したときに層状遷移金属化合物が接するのは塩基性の溶液となる。従って、これを用いて水素製造を行う場合には、例えば、少量の水で先に強い塩基性溶液と使用済みの層状遷移金属化合物とで第一段階の反応をさせてから、さらに水を加えて弱い塩基性溶液の中で水素イオンを取り込む第二段階の反応を行い、最後に一気に過熱して水を抜くという処理が水素製造には効果的であると思われる。
なお、このように製造した水素は、従来から公知の水素吸蔵物質に貯蔵させてもよい。
また、本発明の水素貯蔵体を用いると、水素燃料として使用することができ、例えば、携帯用の燃料電池の燃料等として用いることができる。すなわち、上述した水素貯蔵体と、これを加熱する加熱手段と、水素貯蔵体を加熱することで発生する水素を取り出す水素供給手段とを具備することにより、水素燃料とすることができる。
水素燃料の一例を図3に示す。同図に示すように、水素燃料100は、例えば、粉末や多孔質の水素貯蔵体20を格納する水素貯蔵体格納部110と、この水素貯蔵体格納部110に格納されている水素貯蔵体20を、水素取り出しの際に、例えば、300℃以下、好ましくは100〜200℃程度に加熱する加熱手段120と、加熱された水素貯蔵体20から発生したガスを案内する流路130と、この流路130を冷却する冷却手段140と、冷却されたガスから発生した水を蓄えるタンク150と、タンク150を介して取り出される水素ガスを取り出す水素供給口160とを具備し、この場合、流路130、冷却手段140、タンク150及び水素供給口160等が水素供給手段となる。
ここで、水素貯蔵体格納部110には、水素貯蔵体20及び水、又は水のみを供給するための供給口111が設けられている。また、加熱手段120は、特に限定されないが、例えば、電気ヒータ、マイクロ波による加熱などが挙げられる。また、冷却手段140も特に限定されず、単に発生した水蒸気を凝縮できるものであればよく、例えば、ガスの流路130を複雑に屈曲させて常温で冷却するようにしてもよい。何れにしても、水素供給手段は、上述したものに特に限定されず、例えば、水素と共に発生する水蒸気を水で冷やすことにより水素と水蒸気を分けることができるものであればよい。なお、この例では、タンク150には、蓄えられた水を排出できるような排出口151が設けられている。
以下、層状遷移金属化合物の一例としてNayCoOを用いた場合の本発明をさらに詳細に説明する。
(1)層状遷移金属化合物NayCoOの合成
Na2CO3及びCoOを原料とし、NaとCoとのモル比が0.8:1になるように秤量し、それらを乳鉢で混合した。そして、錠剤成形器を用いて、得られた混合物質を4g程度の錠剤にし、空気中に850℃で15時間加熱して焼結した。その後、焼結した生成物をすりつぶして、粒径1μm程度の粉末にした。この段階では、Y=0.7程度であった。
次に、液体臭素25gをアセトニトリル50mlに溶かし、上記粉末をその溶液の中に入れて、3日間放置した。これによって、上記粉末は臭素によって還元される。この段階では、Y=0.3程度であり、これを層状遷移金属化合物NaCoとした。
(2)水の分離と水素イオンの吸着
得られた粉末をアセトニトリルで2、3回洗浄した後、さらに水で2、3回洗い、臭素などの在留物を除去した。その後、その水溶液をろ過し、水を含んだペースト状の物質が得られた。これが水素貯蔵体であることは、下記の実験で証明された。
(3)水素の発生
得られたペースト状の物質を密閉した空間の中で100℃〜200℃に加熱すると、水蒸気に混じって水素ガスが放出された。
具体的には、図4に示すように、ペースト状のNapHqCoO・HO物質である水素貯蔵体20を保持した容器210をホットプレート220上に載置し、これを100〜200℃に加熱し、さらに容器210に接続された流路230を常温の水などによって冷却すると、流路230を通過する際に水蒸気が再液化してタンク250に溜まって除去され、最終生成物として水素が水素供給口260から放出されたことが水素検知管300により確認された。すなわち、水素供給口260から得られた水素ガスを水素検知管300に通し、色の変化から水素ガス発生が確認された。
また、水素供給口260からシリンジによって生成ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーを用いてこの生成ガスの成分を分析した。その結果を図5に示す。図5に示すように水素ガスを示すピークが検出され、水素ガスの発生が確認された。
さらに、上述した実験の前後における水素貯蔵体に含まれるCoの原子価をヨウ素滴定法によって分析したところ、実験前のCoの原子価は3.4であったが、実験後のCoの原子価は3.45であったことが確認された。すなわち、水素発生と共にCoの原子価が3.4から3.45に増大したことが確認された。このことは、水素の発生源が本水素貯蔵体であることを示す。
本発明によると、安く簡単でクリーンに水素製造ができ、且つ貯蔵できるので、携帯用の燃料電池の燃料として有用であり、ノートパソコンや携帯電話の機能を充実し、高機能化させることができる。また、一酸化炭素などの有害物質や二酸化炭素などの温室化ガス等を全く発生させずに、極めて高純度の水素ガスを得ることができるので、環境に優しい高純度水素製造方法としての利用が期待される。

Claims (14)

  1. 層状遷移金属化合物の層間に水素イオンを貯蔵してなることを特徴とする水素貯蔵体。
  2. 請求項1において、前記層状遷移金属化合物の層間に水素イオンと共に水が保持されていることを特徴とする水素貯蔵体。
  3. 請求項1又は2において、前記層状遷移金属化合物に対して水を反応させて得たものであることを特徴とする水素貯蔵体。
  4. 請求項3において、前記層状遷移金属化合物に対して反応させる水が、酸塩基性度(pH)が調整されたものであることを特徴とする水素貯蔵体。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記層状遷移金属化合物が粉体状であることを特徴とする水素貯蔵体。
  6. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記層状遷移金属化合物が多孔質体であることを特徴とする水素貯蔵体。
  7. 請求項1〜6の何れかにおいて、前記層状遷移金属化合物が、ATX,BTX,La2−yTO,ATXCl,BTXCl,ATXBr,BTXBr,TMX,MXCl,MXBr,YB,BiSrCaCu,TlSrCaCu,及びHgSrCaCu(AはNa,K,Li,Rbなどのアルカリ金属のうちのいずれかを、BはCa,Sr,Baなどのアルカリ土類金属のうちのいずれかを、TはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Znの4族遷移金属とRh,Ruのうちのいずれかを、MはZr,Nb,Mo,Tc,Hf,Ta,Wの5族及び6族遷移金属のうちのいずれかを、XはO,S,Seなどのカルコゲンのうちのいずれかを示し、Yは1〜2の間の数値を示す)から選択される少なくとも一種であることを特徴とする水素貯蔵体。
  8. 請求項7において、前記層状遷移金属化合物が、層間に陽イオンを含む化合物であることを特徴とする水素貯蔵体。
  9. 請求項1〜8の何れかの水素貯蔵体と、この水素貯蔵体を加熱する加熱手段と、この加熱した水素貯蔵体から水素を取り出す水素供給手段とを具備することを特徴とする水素燃料。
  10. 請求項9において、前記加熱手段は、前記水素貯蔵体を300℃以下の温度に加熱することを特徴とする水素燃料。
  11. 層状遷移金属化合物に水を反応させて水から水素イオンを分離すると共に層間に水素イオンを貯蔵させて水素貯蔵体とし、この水素貯蔵体を加熱して水素を取り出すことを特徴とする水素製造方法。
  12. 請求項11において、前記層状遷移金属化合物の層間に水素イオンと共に水が保持されていることを特徴とする水素製造方法。
  13. 請求項11又は12において、酸塩基性度(pH)を調整することによって前記層状遷移金属化合物と水との反応を促進して、層間に水素イオンを貯蔵することを特徴とする水素製造方法。
  14. 請求項11〜13の何れかにおいて、前記水素貯蔵体を300℃以下の範囲の温度に加熱して水素を取り出すことを特徴とする水素製造方法。
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