JPWO2005102166A1 - インシジョンを形成するためのランセット装置 - Google Patents

Abstract

インシジョン装置がカバーが付いた状態で不用意に発射されることを防止する新たなインシジョン装置を提供する。インシジョン装置（２０）は、ハウジング（２２）、ならびにランセットボディ（３８）およびランセットガイド（７２，７４）を有するランセットガイドアッセンブリを有し、ランセットボディ（３８）は、ランセットブレード（２４）を有し、ランセットブレード（２４）は、トリガーアーム（３２）がランセットブレード（２４）を発射させるように移動するのを防止するストッパー（１００）を有する取り外し可能な保護カバー（８８）によって覆われている。

Description

本発明は、一般的には、患者の皮膚または他の体の表面（例えば踵）に、好ましくは精密（または正確）にコントロールされた、インシジョン（または傷口もしくは切口）を形成するためのランセット装置（以下、単に「インシジョン装置」とも呼ぶ）に関し、詳しくは、経済的に製造でき、非常に安定した構造を有し、しかも、使用者が誤使用する可能性を減らすことができるディスポーザブルのインシジョン装置に関する。

患者の皮膚を傷付けるまたは刺通する種々の種類のデバイスが市販されている。それらには、例えば米国特許第５，１３３，７３０号および第５，７５５，７３３号に記載されたものがあり、これらは患者の皮膚、例えば指先を刺通するように設計されている。また、皮膚に一様な長さおよび深さのインシジョンを形成するような構造のデバイスもある。

理解できるように、精密にコントロールされた一様なインシジョンを形成できるデバイスは、種々の臨床試験または手順と組み合わせて使用できるが、そのような試験等には、出血時間テストおよび採血して血を集めることが含まれる。とりわけ、そのようなインシジョン装置の１つの重要な用途は、幼児の皮膚、一般的には踵にインシジョンを形成して、例えば代謝スクリーニング試験のような試験のために血液を集めることを可能することである。

入手できるインシジョン装置は、一般的には、カッティング（切断）ブレードが患者の皮膚を通過して進行するのに必要なエネルギーを発生するスプリングアレンジメントを使用している。これらのデバイス、例えば米国特許第４，６４３，１８９号に記載されているデバイスを使用する場合、スプリングは、一般的に、バイアス状態でデバイスに組み込まれ、その結果、デバイスを作動（またはトリガー）した場合にカッティングブレードを駆動（または進行）させるために使用するエネルギーを蓄えるようになっている。しかしながら、バイアス状態のスプリングは、デバイスの安定性に悪影響を与える。特に、バイアス状態のスプリングは、偶発的または早過ぎるデバイスのトリガー（引金を引くこと）または発射の可能性があるが、これは、トリガー（引金）に不用意に触れただけでも起こる可能性があり、また、そのようなことが起こり易い。更に、スプリングをバイアスさせた状態にしていることは、デバイスの多くの他の要素をストレスが作用した状態に保つことになり、それによって、デバイスの寿命が全体として短くなる。

このようなデバイスは、１回使用した後、廃棄できる（ディスポーザブルである）ように設計するのが一般的に好ましいので、製造および組み立てコストは、市販製品を製造する場合に常に重要な考察事項である。しかしながら、バイアス状態でスプリングを組み立てることは、デバイスの製造をより難しくし、時には、特別な道具を必要とすることがあり、その結果、デバイスの製造および組み立てのコストが増える。更に、デバイスの早過ぎる発射または射出を防止するのを助長するための工夫、例えば安全キャップを含める場合には、そのための材料、製造および組み立てのコストが増えることになる。

上述のような問題点を解決すべく、コスト的に有効な方法で製造および組み立てができる、一様に皮膚を傷つける装置を提供すること、長い寿命を有することができ、傷付け要素の偶発的な発射を防止するのを助長する安定した構造を有するインシジョン装置を提供すること、およびコスト的に有効な方法で滅菌して包装できるインシジョン装置を提供することを目的として、特開２０００−２４５７１５号公報にインシジョン装置が提案されている。この装置では、上述の問題点の大部分が実質的に解決され、基本的には満足すべきインシジョン装置であると言える。
米国特許第５，１３３，７３０号明細書 米国特許第５，７５５，７３３号明細書 米国特許第４，６４３，１８９号明細書 特開２０００−２４５７１５号公報

上述の事項に鑑み、既知のディスポーザブルの皮膚を傷つける（または皮膚に切口を形成する）インシジョン装置に関しては、ほぼ満足できるものが提案されていると言える。しかしながら、そのようなデバイスを実際に製造して提供するにあたり、もし更なる問題点があるとすればその問題点を解決することが望ましい。従って、本発明は、そのような更なる問題点の存在の有無を確認すること、そして、もし問題点があるならそれを解決することを解決すべき課題とする。

上述の更なる問題点について、発明者が鋭意検討を重ねた結果、特開２０００−２４５７１５号公報に開示のインシジョン装置の場合、その使用者がそれを指で保持した状態で不用意にトリガーアームを発射させる位置、即ち、発射位置に向かってハウジング内に向かって押し込むと、ランセットブレードが保護カバーが付いた状態であっても、トリガーアームがピボット回転して、保護カバーが付いたままでランセットブレードが発射されてしまい（即ち、カバーが付いた状態でピボット回転し）、その結果、そのインシジョン装置を使用できなくなる（従って、そのようなデバイスは無駄となる）ことがあるという問題点を見出した。即ち、発明者は、この点に関して、特開２０００−２４５７１５号公報に開示のインシジョン装置を更に改良する必要があることを見出し、以下に説明する本発明を見出した。

本発明者は、インシジョン装置がカバーが付いた状態で不用意に発射されることを可及的に防止する、新たなインシジョン装置を提供する。このインシジョン装置は、ハウジング、ならびにランセットボディおよびランセットガイドを有するランセットガイド（案内）アッセンブリを有し、ランセットボディはランセットブレードを有し、ランセットブレードは、トリガーアームがランセットブレードを発射させるように移動するのを防止するストッパーを有する取り外し可能な保護カバーによって覆われていることを特徴とする。このストッパーは、ランセットブレードを発射するようにトリガーアームが移動する場合の、トリガーアームの軌跡の途中に存在し、その結果、トリガーアームの移動を妨げる。尚、本発明のインシジョン装置は、トリガーアームが上述のようなストッパーを有することを除いて、特開２０００−２４５７１５号公報（または対応の米国特許第６０４５２９５号明細書）に開示のインシジョン装置と実質的に同じであってよい。従って、この特許公報の内容は、ここで引用することによって本明細書に組み込まれる。

本発明のインシジョン装置において、ランセットガイドアッセンブリは、ピボット回転（pivot、軸回転）動作のためにハウジング内に装着されたランセットボディ、およびランセットガイドを含む。ランセットガイドは、ランセットブレードをアーチ（または弓形）状のカッティング（切断）ストロークを経るようにガイドし、その間、ランセットボディが非発射位置と発射された位置、即ち、発射後の位置との間でピボット回転しながら、ランセットブレードはハウジングの開口部を通って延び出る。そのようなランセットガイドは、ランセットボディに設けたガイド部材、ならびにハウジングに設けた相補的ガイド部材により構成され、これらが協働してランセットブレードが所定のパスを通過するのを確保する。具体的には、ガイド部材は、後述するように、ランセットボディが有する突出部であり、相補的ガイド部材はその突出部をガイドするハウジングに配置された相補的ガイド溝部を有して成る。別の態様では、ガイド部材は、ランセットボディが有する凹部であり、相補的ガイド部材はその凹部をガイドするハウジングに配置された相補的ガイド突出部を有して成る。

本発明のインシジョン装置は、また、発射準備完了位置と発射させる位置との間でピボット回転動作するように、ハウジング内に取り付けたトリガーアームを有するトリガー（引金）機構を含む。トリガーアームが発射準備完了位置にある場合にはバイアスしていない状態であり、トリガーアームが発射させる位置に向かってピボット回転するとバイアス状態となるように、スプリング要素がハウジング内に配置されている。このトリガー機構およびスプリング要素は、トリガーアームが発射させる位置に達すると、バイアス状態のスプリング要素が解放されるように構成され、また、スプリング要素が解放されると、それがランセットボディに力を作用し、それによって、非発射位置から発射された位置にランセットボディをピボット回転させるようにスプリングは配置され、それによって、ランセットブレードをカッティングストロークを経て移動させる。

本発明のインシジョン装置において、保護カバーはストッパーを有するので、保護カバーを除去しない限り、トリガーアームの移動が妨げられるので、保護カバーが付いた状態で不用意にトリガーアームをハウジング内に押し込んでも、トリガーアームは、ランセットを発射できない。

図１は、本発明の教示事項に基づいて構成される皮膚にインシジョンを形成するインシジョン装置の一例の模式的斜視図である。 図２は、インシジョン装置の模式的分解斜視図である。 図３は、インシジョン装置のハウジングの模式的斜視図である。 図４は、インシジョン装置のスプリング要素を有するトリガー機構の模式的斜視図である。 図５は、インシジョン装置のランセットボディの模式的斜視図である。 図６は、使用前の使用準備完了状態のインシジョン装置の内部が判るようにハウジングを開いた状態で示す模式的斜視図である。 図７は、図６と同様のインシジョン装置の斜視図であり、トリガーアームを発射させる位置となるほどに殆ど完全に押し込んでスプリング要素を十分に圧縮された状態を示す。 図８は、図６と同様のインシジョン装置の斜視図であり、発射させる位置となるように完全に押し込まれたトリガーアーム、およびランセットブレードが切断ストロークを経て移動するように発射しているスプリング要素を示す。 図９は、組み立てたインシジョン装置の図８の状態に対応する斜視図であり、切断ストロークで移動するランセットブレードを示す。 図１０は、図６と同様のインシジョン装置の斜視図であり、ランセットブレードが切断ストロークの終わりに近い状態にある様子を示す。 図１１は、図６と同様のインシジョン装置の斜視図であり、発射シーケンスが終了した後の様子を示す。

符号の説明

図面において、参照番号は以下の要素を表す：
２０…インシジョン装置、２２…ハウジング、２４…ランセットブレード、
２７…ポスト、２９…リセス、３０…トリガー機構、３２…トリガーアーム、
３４…トリガー作動要素、３６…開口、３８…ランセットボディ、
４０…ブレードホルダー部、４２…アーム部、４６，４８…軸受部、
５１，５２…軸部、６０…スプリング要素、６２…第１端部、６４…自由端、
６６…キャッチ、６８…カム面、７０…協働カム面、７２…突出部、７４…溝部、
７８…延伸可能セクション、８０…スロット、８２…皮膚当接部分、８４…リッジ、
８６…協働エッジ、８８…保護カバー、９０…鞘部分、９２…フランジ部分、
９４…開口部、１００…ストッパー、１０２…開口部。

発明を実施するための形態

本発明のこれらおよび他の特徴ならびに利点は、本発明の好ましい例示的な態様の以下の説明を読み、添付図面を参照すると、より容易に理解できよう。ある好ましい態様および手順に関連して本発明を説明して開示するが、そのことは本発明をそのような特定の態様に限定しようとするものではない。むしろ、全てのそのような代替的な態様および修正は、本発明の概念および範囲内に含まれることを意図するものである。

特に図１および図２を参照すると、そこには、本発明に基づいて、被採血者の体表面、例えば踵に精密にコントロールされた長さおよび深さのインシジョン（または切口）を形成するために使用できる、例示的なインシジョン装置２０が示されている。本発明のインシジョン装置は、相対的に簡単であり、非常に安定した構造であり、また、不用意にデバイスが発射されることを困難にし、また、高温においてもデバイスが相対的に長い寿命を有することを可能にする。

図示したインシジョン装置２０は、ハウジング２２、インシジョン要素またはランセットブレード２４（この態様では、斜めの切断エッジを含む、図７参照）を有するランセットボディ３８およびトリガー機構３０を有し、ランセットボディ３８およびトリガー機構３０は、トリガー時に、被採血者の皮膚に正確なインシジョンを形成できる切断ストロークを経てランセットブレードを移動させる。図３に示すように、ハウジング２２は、この例では、２つの同じ対のハーフ（または半割）により構成され、これらは、プラスチック樹脂材料から構成することができる。図示した態様では、ハウジング２２のこの２つのハーフは、対向する側の隅に嵌め込みポスト（突出部）２７およびリセス（窪み部）２９から成るアレンジメントを有し、ハウジングの２つのハーフを一体にスナップ留めできるようになっている。別の態様では、これらの２つのハーフは一方の側方でヒンジによって一体に接続されてもよい。

インシジョン装置２０を作動（またはアクチュエート）または発射するために、インシジョン装置２０は、発射準備完了位置（例えば図１および図６に示すような状態）と発射させる位置（例えば図８に示すような状態）との間で移動可能なトリガー（または引金）手段または機構３０を含む。このトリガー機構３０は、この場合、トリガー作動要素３４を有するトリガーアーム３２を含む。図１に示すように、トリガーアーム３２は、ハウジング２２の頂部にある開口３６を通って角度を為してハウジングから離れるように延在し、使用者による作動を容易ならしめる。トリガー作動要素３４は、トリガーアーム３２の自由端（図１では左側）に隣接してトリガーアーム３２に接続され、トリガーアーム３２から開口３６を通ってハウジングに向かって、また、その中に延在している。後で詳細に説明するように、トリガー機構３０は、トリガーアーム３２が下向きにハウジングに向かって移動するように、トリガーアーム３２を押し込むことによってインシジョン装置を作動させる。

ランセットボディ３８は、上述のように、ランセットブレードが切断ストロークを経て移動する場合にランセットブレード２４を支持してガイドする。図示した態様では、ランセットボディ３８は、レバーまたはガイドアーム部４２に接続したランセットブレードホルダー部４０を含み、ランセットボディ３８は、非発射位置（例えば図６および図７参照）と発射された位置（例えば図１１参照）との間で移動可能である。図示した態様では、ランセットホルダー部４０は、ランセットアーム部４２と一体であるが、これらを別の部材として形成して、組み合わせるように構成することもできる。

トリガーアーム３２およびランセットボディ４２のピボット回転動作を可能ならしめるために、これらのピボット回転する端部に、ピボット軸５１および５２を設け、それらの軸受部４６および４８をハウジング２２に設ける。図示した態様では、トリガー機構３０およびランセットボディ３８はそれぞれ独立した部材であるが、これらを一体に接続する中間接続アームによって１つのピースの構造物となるように一体にしてもよい。その場合、これらの間にノッチ部を設け、そのノッチ部の周囲でピボット回転できるようにしてよい。

ランセットボディ３８を、従って、ランセットブレード２４を切断ストロークを経て移動させるために、本発明のインシジョン装置は、スプリング手段または要素６０を含む。本発明の１つの要旨では、より安定した構造のインシジョン装置２０とするために、スプリング要素６０は、非バイアス状態で装置に組み込まれ、装置が作動またはランセットブレードが発射される直前までは、非バイアス状態のままとなるような構造にすることができる。従って、インシジョン装置２０は、組み立てがより容易になる。更に、スプリング要素６０は、バイアス状態にないので、ランセットアーム３２のようなインシジョン装置の他の要素に応力が作用しないので、装置を比較的長期間または高温で保存しても、不調となる可能性が遥かに小さくなる。更に、図示した態様では、スプリング要素６０は、トリガー機構３０と直接的に一体となっている。

図６および図７に示すように、スプリング要素６０は、トリガー機構３０と相互に関係し、使用準備完了位置（図６）から発射させる位置に向かうトリガーアーム３２の動きがスプリング要素６０をバイアスさせるようになっている。図示した態様では、スプリング要素６０は、ほぼＶ字形状の構造であり、スプリング要素が弾性的に圧縮可能となることができるような材料から構成されている。コストを下げるために、スプリング要素６０は、プラスチック樹脂材料から構成されるのが好ましいが、他の材料を使用することも可能であり、それには金属が含まれる。図６に示すように、スプリング要素６０の第１端部６２は、トリガー作動要素３４に接続され、スプリング要素の自由端６４は、インシジョン装置２０を組み立てる場合に、ハウジング２２の一方の側の内側に形成された内側キャッチ６６と係合するように配置されている。従って、図６の状態から図７の状態となるように、発射させる位置に向かってトリガーアーム３２をピボット回転させる場合、トリガー作動要素３４の動きは、キャッチ６６によって所定状態に保持されているスプリング要素の自由端６４に向ってスプリング要素の第１端部６２を移動させ、それによってスプリング要素６０がバイアス状態となる。

図６および図７を比較すると容易に理解できるように、図６において、ランセットボディ３８は保護カバー８８を有し、図７においてはそれが除去されている。保護カバー８８は、ランセットブレード２４を覆って保護すると共に、保護カバー８８がブレードホルダー部４０から除去されていない場合には、トリガー作動要素３４がキャッチ６６に向かって移動するのを防止する。このような移動防止のために、保護カバー８８は、トリガー作動要素３４の先端部、即ち、自由端の移動軌跡上に位置するストッパー１００を有して成る。従って、図６の状態では、トリガーアーム３２を押し込んでも、トリガー作動要素３４の先端部がストッパー１００に当接し、それ以上進むことはできない。しかしながら、図７においては、保護カバー８８が除去されている。この場合、装置の使用者は、インシジョンデバイスを使用する目的で保護カバー８８を除去したと一般的には判断できるので、トリガー作動要素３４の先端部は、後述のように、キャッチ６６に向かって移動できる。従って、キャッチ６６によって保持されたスプリング要素６０の自由端６４を解放してランセットブレード２４を発射するように、トリガーアーム３２を押し込むことができる。

スプリング要素６０を解放（またはリリース）するには、スプリング要素６０が一旦バイアス状態になり、図７および図８に示すようにトリガーアーム３２が発射させる位置に達すると、キャッチ６６からスプリング要素の自由端６４が離れるように、トリガー作動要素３４が構成されている。より詳しくは、斜めになったカム面６８がトリガー作動要素３４の端部に設けられ、これが、スプリング要素６０の自由端６４にある協働カム面７０に係合し、スプリング要素６０の自由端６４を押し、図７および図８に示すように内側キャッチ６６から離す。

ランセットブレード２４が切断ストロークを経て移動するように、スプリング要素６０は、解放された時に、スプリング要素の自由端６４が、ランセットボディ３８のランセットブレードホルダー部４０を打ち、またはたたき、そして押すように配置されている。図８に示すように、初期のたたく力（ハンマリング・フォース）によりランセットボディ３８が、その端部のピボット軸部５２と軸受部４８により規定されるピボット回転点の回りでピボット回転を開始し、それによって、ブレードホルダー部４０、従って、ランセットブレード２４がアーチ状のパスを通過する動きを始める。初期のハンマリング・フォースが加えられた後、スプリング要素６０の自由端６４は、（図８、図１０および図１１に示すように）ブレードホルダー部４０の外側面に位置して、非発射位置から発射された位置へのランセットボディ３８のピボット移動によって、アーチ状のパスを通過するようにブレードホルダー部４０を押し続ける。

ランセットブレード２４の切断ストロークが正確にコントロールされるのを確保するために、ランセットボディ３８は、非発射位置と発射された位置との間でピボット回転しながら、ブレードホルダー部４０が正確なアーチ状のパスを通って移動するようになっている。更に、ランセットボディ３８のランセットアーム部４２は、図示した態様では、ほぼ長円形の延伸可能セクション７８を含み、これは、例えば図７および図８において延伸可能セクションの形状が変化することによって示されるように、ガイドアーム部４２、従ってランセットボディ３８の直線状の延伸を可能にする。理解できるように、延伸可能セクション７８が存在することにより、ハウジングに設けた細長い凹部または溝７４によってランセットホルダー部４０に設けた突出部７２がガイドされて、正確なアーチ状のパスを通過できるようになり、この状態でランセットブレード２４は、切断状態（図７−８）を経て、その後、切断ストロークを実施して（図８−１１）、最後に安全な静止状態となる（図１１）。

延伸可能セクション７８は、左右対称の形状であるのが好ましく、例えば図示した態様の長円形状を有する。延伸可能セクション７８が左右対称形状であることにより、スプリング要素がほぼ横断方向に力を加える場合であっても、ランセットボディ３８が直線状に膨張でき、それによって、アーチ状の切断パスのプロフィール（形状）にわたって正確にコントロールすることが確保される。より詳しくは、延伸可能セクション７８の左右対称形状は、スプリング要素６０により加えられる初期のハンマリング・フォース、溝部７４を通過する突出部７２の移動により生じる力およびランセットブレード２４が皮膚を切断することにより生じる力の結果、ガイドアーム部４２、従って、ランセットボディ３８が角度的にそれる（偏向する）のを防止するのを助長する。

図７に示すように、インシジョン装置２０を作動する前、ランセットブレード２４は、ハウジング２２の内側に全体が配置されている。発射シーケンスの間、ランセットブレード２４は、例えば図９に示すように、アーチ状の形状の皮膚当接（または係合）部分８２に形成したスロット８０をブレードが通過して延びる状態に初めて移る。次に、ランセットブレード２４は、正確な切断ストロークで移動する。切断ストロークが終わると、ハウジングのガイド溝部７４の構造は、ランセットブレード２４を、図１１に示すように、ハウジング内に引き込ませ、その結果、傷つける恐れがある切断エッジが露出しない状態でインシジョン装置を処分（または廃棄）できるように構成されている。

勿論、インシジョン装置２０は、広範囲の種々の異なるディメンションを有するインシジョンを形成するように設計できることが理解されよう。例えば、１つの好ましい態様では、ハウジング２２の種々の構造、例えば皮膚当接部分８２のアーチ形状および／またはランセットブレード２４の形状を変えることにより、約０．５ｍｍ〜２．０ｍｍの深さのインシジョンをいずれの箇所にも形成できるインシジョン装置を提供できる。

インシジョン装置２０が再使用され、それによって、装置の無菌状態に対する信頼を傷つけるのを防止するために、装置を１回だけ作動できるようにトリガー機構３０を構成する。詳しくは、トリガーアーム３２が発射させる位置に一旦到達すると、トリガー作動要素３４に形成したリッジ（突出部）８４は、ハウジング２２に形成した協働エッジ８６に係合し、それにより、トリガーアーム３２が図６に示すような発射準備完了位置に向って戻るのを防止する。このように、ハウジングとのリッジ８４の係合は、一旦デバイスが発射されたなら、インシジョン装置２０が再度発射準備状態になるのを防止する。

インシジョン装置２０の滅菌および包装を容易にするために、ランセットブレード２４およびハウジングの皮膚当接部分８２の双方を覆う取り外し可能カバーを設けてよい。より詳しくは、図１、５および６に示すように、ランセットブレード２４のブレードホルダー部４０は、スナップオフまたはプルオフで取り外しできるカバー８８と接続され、このカバーは、ランセットブレード２４を露出させるために分離できるように予備切断したスリット８９によりブレードホルダー部４０から分離することができる。このスリットはランセットブレードに達する必要は必ずしも無く、ランセットホルダー部とカバーがノッチ部を介して一体に接続された形態であってもよい。

図示した態様では、取り外し可能カバー８８は、ランセットブレード２４が汚染されるのを遮断する保護鞘部分９０、および汚染に対してハウジング２２のアーチ状皮膚当接部分８２を保護する保護フランジ部分９２を含む。尚、上述のように、本発明のインシジョン装置において、保護フランジ部分９２は、ストッパー１００を有して成り、ストッパー１００は、ハウジングの側方に設けた開口部１０２からハウジング内に延び出ている。このストッパー１００は、インシジョン装置の使用前にカバー８８を除去するまでは、トリガーアーム３２がハウジング内に不用意に押し込まれるのを防止する機能を有する。図１および図６に示すように、カバーの鞘部分９０は、ハウジング２２の側方に設けた開口部９４を通過して延び、デバイスの使用前に、容易につまんで、インシジョンハウジング内に全部配置されているランセットブレード２４から取り去ることができるようになっている。このように取り去ると、ストッパー１００も同時に存在しなくなるので、トリガーアームはキャッチ６６に向かって進むことができる。このような取り外し可能カバー８８を採用することによって、ランセットブレード２４自体のみを滅菌するだけでよく、従って、インシジョン装置全体を滅菌可能容器に包装する必要がなくなる。

インシジョン型のデバイス２０を使用するには、ハウジングの開口部９４を通過してランセットブレード２４から延び出るカバー８８を引っ張って、ランセットブレード２４のエッジの覆いを除去し、トリガーアーム３２の押し込みを可能とすると共に、ハウジング２２の皮膚当接部分８２を露出させる。次に、ハウジングの皮膚当接部分８２を被採血者の皮膚に押しつける。その後、トリガー機構３０のトリガーアーム３２を、例えば図７に示すように、発射させる位置に向って下向きに単に押し込んで、インシジョン装置２０を作動させる。トリガーアーム３２が発射させる位置に達すると、スプリング要素６０は、ハウジング内のキャッチ６６から移動して、ブレードホルダー部４０を打ち、アーチ状の切断サイクルで押し、再度、ハウジング内で安全な位置に達する。理解できるように、トリガーアームおよびランセットブレード用の開口部をハウジングの隣り合う側方に配置して、他の側方と対向するようにすることにより、本発明のデバイスの使用が遥かに容易になる。

上述の事項から、非常に安定な構造であり、それによりデバイスの不用意な発射または射出を防止するのを助長し、また、長い期間にわたって更に高温で保存された場合であっても、信頼性ある性能をデバイスは発揮できる。更に、このデバイスは、構造が簡単であり、それによって、コスト的に有効な方法で製造および組み立てができる。また、トリガーアームの不用意な押し込みが防止でき、インシジョンデバイスの無駄が減る。

好ましい態様に基づいて本発明を説明したが、好ましい態様のバリエーションを使用できること、また、本明細書において特に説明したこと以外についても実施できることは、当業者には明らかである。従って、本発明は、特許請求の範囲により規定される本発明の概念および範囲内に含まれる全ての態様を含む。

本発明は、使用者の不用意な操作による装置の無駄の発生を防止する改善されたインシジョン装置を提供し、そのような装置は、より効率的な採血を可能にする。

Claims (20)

1. インシジョンを形成するためのインシジョン装置であって、
   （１）ハウジング、
   （２）ピボット回転動作するようにハウジング内に装着されたランセットボディ、およびアーチ状の切断ストロークでランセットブレードをガイドするランセットガイドを含むランセットガイドアッセンブリ、
   （３）発射準備完了位置と発射させる位置との間でピボット回転動作するように、ハウジング内に装着されたトリガーアームを含むトリガー機構、ならびに
   （４）トリガーアームが発射準備完了位置にある場合、バイアスしていない状態にあり、トリガーアームが発射させる位置に向かってピボット回転する時に、ハウジングに設けたキャッチに係合することによってバイアス状態となるように構成された、ハウジング内に配置されたスプリング要素
   を有して成り、
   ランセットボディは、取り外し可能な保護カバーによって覆われたランセットブレードを有して成り、
   ランセットブレードは、切断ストロークの間、ランセットボディが非発射位置と発射された位置との間でピボット回転する時、ハウジングに設けた開口部を通過して延び出て、
   トリガー機構およびスプリング要素は、トリガーアームが発射させる位置に達すると、バイアス状態のスプリング要素がハウジングに設けたキャッチから解放されるように構成され、
   スプリング要素は、解放された場合、ランセットボディを非発射位置から発射された位置にピボット回転させる力をランセットボディに加えるように配置され、それによって、ランセットブレードを切断ストロークを経て移動させ、
   保護カバーは、それがランセットブレードを覆っている時、トリガーアームが発射させる位置に達するように移動するのを防止するストッパーを有する
   ことを特徴とするインシジョン装置。
2. トリガー機構およびランセットボディは、それぞれハウジング内に独立して配置されている請求項１に記載のインシジョン装置。
3. ランセットボディおよびトリガーアームはそれぞれピボット回転する請求項１または２に記載のインシジョン装置。
4. ランセットボディおよびトリガーアームのピボット回転は、それぞれランセットボディの端部における回転軸およびトリガーアームの端部における回転軸と、ハウジングに設けたこれらの回転軸に対する軸受け部との間で達成する請求項３に記載のインシジョン装置。
5. トリガー機構およびランセットボディは、これらの間に位置する接続部によって一体に形成され、トリガー機構と接続部との間および接続部とランセットボディとの間にノッチ部が設けられ、そのノッチ部によって実質的にピボット回転が可能なように構成されている請求項１に記載のインシジョン装置。
6. スプリング要素は、トリガーアームに接続されている請求項１〜５のいずれかに記載の装置。
7. スプリング要素は、トリガーアームのトリガー作動要素に接続された端部、およびトリガーアームが発射準備完了位置にある場合にはトリガーアームの発射準備完了位置から発射させる位置への移動がスプリング要素を圧縮するようにキャッチと係合する自由端を有する、弾性的に圧縮可能でほぼＶ字形状を有する構造である請求項１〜６のいずれかに記載のインシジョン装置。
8. スプリング要素の自由端は、バイアスしたスプリング要素が解放された時、ランセットボディに当たり、そのままランセットボディに当接して位置する請求項７に記載のインシジョン装置。
9. トリガーアームが発射させる位置に到達すると、トリガーアームはスプリング要素に当接してスプリング要素をキャッチから解放するように、トリガーアームが構成されている請求項１〜８のいずれかに記載のインシジョン装置。
10. スプリング要素はカム面を有し、また、トリガーアームはそのカム面に係合する相補的なカム面を有し、それにより、トリガーアームが発射させる位置に達すると、スプリング要素をキャッチから解放する請求項９に記載のインシジョン装置。
11. ランセットガイドは、ランセットボディが有する突出部、およびそれに係合する、ハウジングに配置された相補的ガイド溝部を有して成る請求項１〜１０のいずれかに記載のインシジョン装置。
12. ランセットボディが非発射位置にある時、また、発射された位置にある時、ハウジング内にランセットブレードが全部配置されているように、ランセットガイドアッセンブリは構成されている請求項１〜１１のいずれかに記載のインシジョン装置。
13. ランセットブレードは、ランセットボディのブレードホルダー部によってランセットガイドアッセンブリに保持されている請求項１に記載のインシジョン装置。
14. トリガーアームは、発射させる位置にピボット回転した後、発射準備完了位置に戻ることができないように構成されている請求項１〜１３のいずれかに記載のインシジョン装置。
15. トリガーアームが発射させる位置に到達した場合、ハウジングが有するエッジに係合する相補的な突出部をトリガーアームは含み、それによって、トリガーアームが発射準備完了位置に戻るのを防止する請求項１〜１４のいずれかに記載のインシジョン装置。
16. ランセットボディは、スナップオフまたはプルオフで取り外し可能な保護カバーを有する請求項１〜１５のいずれかに記載のインシジョン装置。
17. 保護カバーは、ハウジングの皮膚当接部分を覆うフランジ部分を有し、ストッパーはフランジ部分に設けられた、フランジ部分からハウジング内に延在する突出部である請求項１〜１６のいずれかに記載のインシジョン装置。
18. ランセットボディは、延伸可能セクションを含み、それは、ランセットボディが非発射位置と発射された位置との間でピボット回転する時、ランセットボディの直線的な延伸を可能にする請求項１〜１７のいずれかに記載のインシジョン装置。
19. 延伸可能セクションは左右対称形状を有する請求項１８に記載のインシジョン装置。
20. 延伸可能セクションは長円形状を有する請求項１８または１９に記載のインシジョン装置。
    

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