JPWO2005099303A1 - スピーカ装置 - Google Patents

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Abstract

本発明におけるスピーカ装置は、大略的にキャビネット(1)およびスピーカユニット(2a)を備える。スピーカユニット(2a)は、キャビネット(1)の前面に形成された開口部に取り付けられる。スピーカユニット(2a)は、背面フレーム(3a)、前面フレーム(4a)、第1の磁気回路(5a)、第2の磁気回路(6a)、エッジ(7a)、ダンパー(8a)、振動板(9a)、ボイスコイルボビン(10a)およびボイスコイル(11a)を有する。振動板(9a)の一部を構成する非マグネット部材(91a)、第1の磁気回路(5a)および第2の磁気回路(6a)が負スティフネス機構としての役割を果たし、音響スティフネスの影響を抑え、低音再生が可能な小型スピーカ装置を実現する。

Description

本発明は、スピーカ装置に関し、より特定的には、小型のキャビネットで低音再生を実現するスピーカ装置に関するものである。
従来から、オーディオ機器のデジタル化とともに、音楽ソースを再生するプレーヤの小型化やポータブル化が進んでいる。しかしながら、最終的な音の再生機器であるスピーカ装置において、音楽ソースに含まれる低音域の音を十分に再生するには、大きなキャビネットが必要となる。そのため、上記小型化やポータブル化されたプレーヤに搭載されるスピーカ装置では、キャビネット容積が小さく、キャビネットの呈する音響スティフネスが大きいので、十分な低音再生を実現することは困難であった。
そこで、このようなキャビネット容積で決定される低音再生限界を改善したスピーカ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。以下、図14を参照して、当該スピーカ装置について説明する。なお、図14は当該スピーカ装置の断面構造図である。
図14において、従来のスピーカ装置は、キャビネット101およびスピーカユニット102を備える。スピーカユニット102は、フレーム103、エッジ104、コーン型振動板105、ダストキャップ106、ボイスコイルボビン107、ダンパー108、ボイスコイル109、マグネット110、センターポール111、磁気プレート112、可動マグネット113および固定マグネット114を有する。
図14において、スピーカユニット102は、キャビネット101の前面の開口部に取り付けられている。リング形状を有するマグネット110の背面(キャビネット101の背面側の面)は、センターポール111の前面に固着される。磁気プレート112は、その背面がマグネット110の前面に固着される。ボイスコイル109は、ボイスコイルボビン107における背面側端部の外周面に巻かれ、センターポール111における凸部の外周面と磁気プレート112の内周面との間に形成される磁気ギャップに挿入される。フレーム103は、音孔103hを有し、磁気プレート112の前面に固着される。ダンパー108は、その外周がフレーム103に固着され、ボイスコイルボビン107を支持する。コーン型振動板105は、ボイスコイルボビン107の前面側端部に固着される。エッジ104は、コーン型振動板105の外周部をフレーム103との間で支持する。ダストキャップ106は、コーン型振動板105の中央部に固着されている。可動マグネット113は、リング形状であり、その内周面がボイスコイルボビン107の外周面に固着される。可動マグネット113は、ボイスコイルボビン107において、コーン型振動板105とダンパー108との間に配置される。固定マグネット114は、リング形状であり、その内周面と可動マグネット113の外周面とが空隙を形成して対向して配置され、可動マグネット113と厚み方向(振動方向)で同極に着磁される。
次に、このように構成された従来のスピーカ装置の動作を説明する。ボイスコイル109に電気信号が印加されると駆動力が発生する。この駆動力はボイスコイルボビン107に固着されたコーン型振動板105を振動させる。当該振動によってコーン型振動板105から音が発生する。以上の動作は通常の動電型スピーカの動作である。通常のスピーカと大きく異なるのは、ボイスコイルボビン107の外周面に固着された可動マグネット113と、これと対向して配置された固定マグネット114との間の作用である。コーン型振動板105は、ボイスコイル109に発生した駆動力により振動する。このとき、可動マグネット113は、ボイスコイルボビン107と一体となって、固定マグネット114の内周部で振動する。可動マグネット113および固定マグネット114は、振動方向に同方向に着磁されており、変位すると互いに反発する磁場を形成する。したがって、可動マグネット113が固定マグネット114の磁気的に釣り合う位置(以下、平衡位置という)から外れると、可動マグネット113が平衡位置から逃れようとする力が作用する。つまり、可動マグネット113および固定マグネット114は、平衡位置から外れた位置において、スピーカユニット102の振動系に対して負のスティフネス(以下、負スティフネスと記載する)を与えるように作用する。換言すれば、可動マグネット113および固定マグネット114は、負スティフネスを発生する機構を構成する。以下、負スティフネスを発生する機構を負スティフネス発生機構と記載する。
負スティフネスは、スピーカユニット102の振動系に対して、キャビネット101の音響スティフネスを減少させるように作用する。その結果、スピーカ装置の最低共振周波数は低下する。つまり、従来のスピーカ装置では、小型のキャビネットであっても、あたかも大きなキャビネットにスピーカユニットを搭載したような低音再生が可能である。
特開2000−308174号公報
しかしながら、従来のスピーカ装置では、負スティフネス発生機構の役割を果たす可動マグネット113がボイスコイルボビン107に設けられている。その結果、従来のスピーカ装置では、スピーカユニット102の振動系重量が増大し、スピーカユニット102の出力音圧レベルが低下するという問題があった。
また、仮に可動マグネット113を小さくして振動系重量を軽量化した場合は、可動マグネット113および固定マグネット114が形成する磁場に影響を与えてしまう。つまり、可動マグネット113を小さくすると、上記磁場によって生じる負スティフネスを与える力が小さくなってしまう。したがって、従来のスピーカ装置では、負スティフネスを与える力を維持したまま振動系重量の軽量化を図ることは困難であった。このように、スピーカユニットの出力音圧レベルを上げるために、振動系重量の軽量化および駆動力の増強を図ることが従来において課題となっていた。
それ故、本発明の目的は、振動系質量を増大させずに出力音圧レベルを確保しながら、低音再生が可能な小型スピーカ装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、上記目的に加えて駆動力の増強を図ることで出力音圧レベルを向上させながら、低音再生が可能な小型スピーカ装置を提供することである。
第1の局面は、スピーカ装置であって、開口部を有する筐体と、振動することによって音を発生させる振動系部材と、筐体に接続され、振動系部材を振動可能に支持する支持系部材と、筐体の内部に配置され、開口部側の一方面に第1のマグネットを有する第1の磁気回路と、筐体の内部において空隙を介して第1のマグネットに対向して配置される第2のマグネットを有する第2の磁気回路とを備え、第1および第2の磁気回路の少なくとも一方には、磁気ギャップが形成されており、振動系部材は、第1のボイスコイルと、磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置する第1のボイスコイルボビンと、マグネットを含まない磁性体であり、第1のマグネットと第2のマグネットとの間に形成される第1の空隙に配置されるように第1のボイスコイルボビンに直接または間接的に接続される非マグネット部材とを含む。
第2の局面は、第1の局面に従属する局面であって、振動系部材は、少なくとも一部が非マグネット部材で構成される振動板をさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、振動板に固着され、支持系部材は、第1の空隙において振動板を振動可能に支持することを特徴とする。
第3の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートと、第2のマグネットおよび磁気プレートの周囲の少なくとも一部に配置され、当該第2のマグネットおよび当該磁気プレートとの間に第2の空隙を形成するヨークとを含み、振動系部材は、第2の磁気回路に対して筐体の開口部側に配置される振動板をさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第2の空隙を通って振動板と非マグネット部材とを接続し、第1のボイスコイルは、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップに配置されることを特徴とする。
第4の局面は、第3の局面に従属する局面であって、振動系部材は、第2のボイスコイルと、非マグネット部材に固着され、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第2のボイスコイルを配置する第2のボイスコイルボビンとをさらに含む。
第5の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートと、第2のマグネットおよび磁気プレートの周囲の少なくとも一部に配置され、当該第2のマグネットおよび当該磁気プレートとの間に第2の空隙を形成するヨークとを含み、振動系部材は、第2の磁気回路に対して筐体の開口部側に配置される振動板と、第2の空隙を通って振動板と非マグネット部材とを接続する接続部材とをさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置することを特徴とする。
第6の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第1および第2の磁気回路は、同構造の磁気回路であり、第2の磁気回路は、非マグネット部材に対して第1の磁気回路と対称に配置されることを特徴とする。
第7の局面は、第6の局面に従属する局面であって、振動系部材は、第2のボイスコイルと、非マグネット部材に直接または間接的に接続され、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第2のボイスコイルを配置する第2のボイスコイルボビンとをさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置することを特徴とする。
第8の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第1の磁気回路は、第1のマグネットに固着された磁気プレートと、磁気プレートに固着される第3のマグネットと、磁気プレートとの間に磁気ギャップを形成するヨークとを含み、第1のマグネットと第3のマグネットとは、振動系部材の振動方向であって、互いに反対方向に着磁されることを特徴とする。
第9の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットに固着された磁気プレートと、磁気プレートに固着される第3のマグネットと、磁気プレートとの間に磁気ギャップを形成するヨークとを含み、第2のマグネットと第3のマグネットとは、振動系部材の振動方向であって、互いに反対方向に着磁されることを特徴とする。
第10の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第1の磁気回路は、第1のマグネットに固着された磁気プレートと、磁気プレートとの間に磁気ギャップを形成するヨークとを含み、第1のマグネットは、振動系部材の振動方向に着磁されることを特徴とする。
第11の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットに固着された磁気プレートと、磁気プレートとの間に磁気ギャップを形成するヨークとを含み、第2のマグネットは、振動系部材の振動方向に着磁されることを特徴とする。
第12の局面は、第1の局面に従属する局面であって、スピーカ装置は、第1および第2の磁気回路で構成される磁気回路ユニットを複数備え、振動系部材は、磁気回路ユニットと同数の第1のボイスコイルと、各磁気回路ユニットにおける磁気ギャップに各第1のボイスコイルを1つずつ配置する、磁気回路ユニットと同数の第1のボイスコイルボビンと、各第1のボイスコイルボビンと固着され、少なくとも一部が非マグネット部材で構成される振動板とを含む。
第13の局面は、第1の局面に従属する局面であって、スピーカ装置は、振動系部材の位置を検出する位置検出部と、位置検出部で検出された振動系部材の位置に基づいて、非マグネット部材の振幅の中心が第1の空隙に形成される磁場の釣り合う位置となるように、音響信号に直流成分を加えた信号をボイスコイルに印加することによって当該振動系部材の振動を制御する制御部とをさらに備える。
第14の局面は、第13の局面に従属する局面であって、位置検出部は、レーザ変位計であることを特徴とする。
第15の局面は、第1の局面に従属する局面であって、支持系部材と固着されるフレームをさらに備え、振動系部材と、支持系部材と、第1および第2の磁気回路と、フレームとによって構成されるスピーカユニットは、フレームが開口部に固着されることによって開口部に取り付けられる。
第16の局面は、車両であって、請求項1から15のいずれかに記載のスピーカ装置と、スピーカ装置を内部に配置する車体とを備える。
第17の局面は、映像機器であって、請求項1から15のいずれかに記載のスピーカ装置と、スピーカ装置を内部に配置する機器筐体とを備える。
上記第1の局面によれば、第1および第2の磁気回路の空隙中に形成される磁場によって、振動部材に含まれる非マグネット部材はその変位を拡大する方向に力を受ける。したがって、ボイスコイルの駆動力によって非マグネット部材が振動する際、非マグネット部材の振幅は、当該空隙中の磁場によって増加される。これにより、筐体内部の音響スティフネスが緩和され、小型の筐体であっても、あたかも筐体容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。また、非マグネット部材が受ける上記力は、第1および第2の磁気回路が空隙中に形成する磁場によって発生する。つまり、非マグネット部材の厚みをある程度薄くしても、第1および第2の磁気回路が空隙中に形成する磁場によって十分な力が発生する。したがって、音響スティフネスを緩和する上記力を維持したまま、非マグネット部材を薄くすることによって軽量化を図ることができる。これにより、スピーカ装置の出力音圧レベルの低下を抑えることができる。また、第1および第2の磁気回路の少なくとも一方に形成された磁気ギャップに第1のボイスコイルが配置されることで、振動系部材が振動する。つまり、第1および第2の磁気回路は、自身が形成する磁場によって、非マグネット部材に対して変位を拡大する方向に力を与える役割と、第1のボイスコイルに駆動力を与える役割を果たすことができる。第1の局面によれば、非マグネット部材に対して力を与えるためのマグネットと、ボイスコイルに対して駆動力を与えるためのマグネットとを1つのマグネットで実現することができるので、スピーカ装置の部品点数を少なくすることができる。
上記第2の局面によれば、振動板の少なくとも一部が非マグネット部材で構成されることで、非マグネット部材の変位を拡大する力を高効率で振動板に伝えることができる。
上記第3の局面によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。
上記第4の局面によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。また、第1および第2のボイスコイルで振動系部材を駆動することで、スピーカ装置の出力音圧レベルを向上させることができる。
上記第5の局面によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。
上記第6の局面によれば、第1および第2の磁気回路の空隙には、その空隙中に配置される非マグネット部材に対して、振動方向に対称な磁界分布が形成されるので、磁界分布が非対称となることによって生じるひずみを小さくすることができる。
上記第7の局面によれば、第1および第2の磁気回路の両方に形成された磁気ギャップに第1および第2のボイスコイルがそれぞれ配置され、各ボイスコイルから駆動力が発生するので、駆動力増強による出力音圧レベルの向上を図ることができる。
上記第8および9の局面によれば、第1のマグネットおよび第2のマグネットと、第3のマグネットとが互いに反対方向に着磁されるので、より多くの磁束を磁気ギャップに集中されることができる。これにより、スピーカ装置の出力音圧レベルを向上させることができる。
上記第10および11の局面によれば、磁気回路に含まれるマグネットの数を少なく構成することができる。これにより、スピーカ装置の小型化や軽量化を図ることが可能となる。
上記第12の局面によれば、磁気回路ユニットを複数備えて、各磁気回路ユニットで振動板を駆動することで、スピーカ装置の出力音圧レベルを向上させることができる。また、振動板の分割共振の節となる位置に上記非マグネット部材を配置することで、分割共振を抑えることができる。つまり、振動板の剛性を上げなくても分割共振が抑えられるので、スピーカ装置の薄型化を図ることができる。また、分割共振を抑えることで、スピーカ装置の出力音圧の周波数特性を平坦化することができる。
上記第13および第14の局面によれば、スピーカ装置の周囲環境の変化(例えば、温度変化など)に関係なく、非マグネット部材が磁場の釣り合う位置を中心として振動することで、ひずみの少ない再生音質を提供することができる。
上記第15の局面によれば、例えばAVシステムなどで用いられる筐体とスピーカユニットを備えるスピーカ装置を実現することができる。
上記第16の局面によれば、スピーカ装置が車体内部に配置された車両を提供することができる。
上記第17の局面によれば、スピーカ装置が内部に配置された映像機器を提供することができる。
図1は、第1の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。 図2は、第1の磁気回路5bで構成されるスピーカユニット2bを用いたスピーカ装置の構造断面図である。 図3は、第2の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。 図4は、第1の磁気回路5dおよび第2の磁気回路6dで構成するスピーカユニット2dを用いたスピーカ装置の構造断面図である。 図5は、第3の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。 図6は、第4の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。 図7は、第4の実施形態に係るスピーカ装置の斜視図である。 図8は、第5の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。 図9は、第5の実施形態に係るスピーカ装置の回路ブロック図である。 図10は、スピーカユニットが自動車のドアに搭載された一例を示す図である。 図11は、自動車の車内に設置されたスピーカ装置の一例を示す図である。 図12は、自動車の車内に設置されたスピーカ装置の他の例を示す図である。 図13は、スピーカ装置を薄型テレビに搭載した構成の一例を示す図である。 図14は、従来のスピーカ装置の断面構造図である。
符号の説明
1、26、33 キャビネット
2、23、28、34 スピーカユニット
3 背面フレーム
4 前面フレーム
5 第1の磁気回路
6 第2の磁気回路
7 エッジ
8 ダンパー
9 振動板
10、12 ボイスコイルボビン
11、13 ボイスコイル
14 ダストキャップ
15、91 非マグネット部材
16 支柱
17 アーム
18 ガイド
19 レーザ変位計
20 制御回路
21 窓部
22 ドア本体
24 座席
25、32 スピーカ装置
27 台座
29 パンチングネット
30 薄型テレビ本体
31 ディスプレイ
51、61 ヨーク
52、54、62、64 マグネット
53、63 磁気プレート
201 駆動部
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明における第1の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図1は、第1の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図1において、第1の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1およびスピーカユニット2aを備える。スピーカユニット2aは、例えば円形状のスピーカユニットであり、キャビネット1の前面(x軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。また、キャビネット1は、スピーカユニット2aに対して音響スティフネスを与える筐体である。スピーカユニット2aは、背面フレーム3a、前面フレーム4a、第1の磁気回路5a、第2の磁気回路6a、エッジ7a、ダンパー8a、振動板9a、ボイスコイルボビン10aおよびボイスコイル11aで構成される。
背面フレーム3aは、外周部分に対して内側部分が凸状に突起した形状である。背面フレーム3aは、その外周がキャビネット1の開口部に取り付けられ、キャビネット1の内部側に向いて凸形状となるように配置される。背面フレーム3aには、キャビネット1内部と通気する音孔3ahが形成されている。前面フレーム4aは、背面フレーム3aの外周部に固着される。前面フレーム4aには、音を前面に放射するための音孔4ahが形成されている。第1の磁気回路5aは、背面フレーム3aの底面(上記内側部分)の中央部に固着される。第2の磁気回路6aは、前面フレーム4aの背面側(x軸の負方向)中央部に固着され、空隙を介して第1の磁気回路5aと対向する位置に配置される。また、第1および第2の磁気回路5aおよび6aは、円柱状の外形を有しており、第2の磁気回路6aは、その中心軸が第1の磁気回路5aの中心軸と一致するように配置される。振動板9aは、第1の磁気回路5aと第2の磁気回路6aとの間の空隙中に配置される。振動板91aは、少なくとも一部が非マグネット部材91aで構成される。ボイスコイルボビン10aは、非マグネット部材91aの第1の磁気回路5a側に固着される筒状部材である。ボイスコイルボビン10aの外周面には、ボイスコイル11aが巻かれる。エッジ7aは、その外周が背面フレーム3aの外周に固着される。エッジ7aの内周は振動板9aの外周に固着される。なお、振動板9aおよびエッジ7aが一体のものを用いてもよい。ダンパー8aは、その外周が背面フレーム3aに固着される。ダンパー8aの内周は振動板9aの外周に固着される。スピーカユニット2aにおいて、振動板9a、ボイスコイルボビン10a、およびボイスコイル11aは、ボイスコイル11aに入力される電気信号によって振動する振動系部材である。また、エッジ7aおよびダンパー8aは、第1の磁気回路5aと第2の磁気回路6aとの間の空隙中で非マグネット部材91aが振動可能となるように、当該振動系部材を支持する支持系部材である。
第1の磁気回路5aは、ヨーク51a、第1のマグネット52a、磁気プレート53aおよび第2のマグネット54aを有する。ヨーク51aは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク51aの底面は、背面フレーム3aの底面の中央部に固着される。第1のマグネット52aは、円柱形状であり、ヨーク51aの前面側中央部に固着される。磁気プレート53aは、円柱形状であり、第1のマグネット52aの前面側に固着される。第2のマグネット54aは、円柱形状であり、磁気プレート53aの前面側に固着される。第1のマグネット52a、磁気プレート53aおよび第2のマグネット54aの各外周面とヨーク51aの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート53aの外周面とヨーク51aの内周面との間に形成される。なお、ボイスコイル11aは、非マグネット部材91aに固着されたボイスコイルボビン10aによって上記磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット52aおよび第2のマグネット54aは、それぞれ振動板9aの振動方向(x軸方向)に着磁される。第1のマグネット52aおよび第2のマグネット54aの着磁方向は、互いに反対である。
ここで、第2のマグネット54aは、自身の磁束を磁気プレート53aを介して磁気ギャップに通す。また、第2のマグネット54aは、第1のマグネット52aと反発する方向に着磁されているので、第1のマグネット52aの磁束がより集中して磁気ギャップに通るように作用する。つまり、第2のマグネット54aは、磁気ギャップ内の磁束密度を上げて、ボイスコイル11aの駆動力を増強させる。
第2の磁気回路6aは、ヨーク61aおよびマグネット62aを有する。ヨーク61aは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク61aの底面は、前面フレーム4aの背面側中央部に固着される。マグネット62aは、円柱形状であり、ヨーク61aの背面側中央部に固着される。ここで、上記第1の磁気回路5aと同様に、マグネット62aの外周面とヨーク61aの内周面との間には、間隙が形成される。なお、マグネット62aは振動板9aの振動方向に着磁される。マグネット62aの着磁方向は、第2のマグネット54aに対して同方向であってもよいし、反対方向であってもよい。
振動板9aは、少なくとも一部が非マグネット部材91aで構成される。当該非マグネット部材91aは、マグネット以外の磁性体である。非マグネット部材91aとしては、マグネットほど強い保磁力を持たない、例えば鉄やパーマロイなどの磁性体が挙げられる。また、非マグネット部材91aは、第1および第2の磁気回路の空隙中に配置されればよい。したがって、例えば振動板9aの全面が非マグネット部材91aで構成されてもよい。また、上記第1および第2の磁気回路で形成される間隙を振動板9aに対して垂直に投影させた領域は、環状の領域となる。当該環状の領域付近の磁場は、非マグネット部材91aに対して、後述する離反力を最も強く発生させることができる。したがって、振動板9aの当該環状の領域が非マグネット部材91aで構成されることが好ましい。また例えば、振動板9aにおいて、ヨーク51aまたはヨーク61aの円形状に相当する部分が非マグネット部材91aで構成されてもよい。なお、具体的な振動板9aおよび非マグネット部材91aの構造例としては、非磁性体の振動板9aの両面または片面に、平板状の上記非マグネット部材91aが接合される構造が考えられる。
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。ボイスコイル11aに電気信号が印加されると、ボイスコイル11aに流れる電流と磁気ギャップに形成された磁界とにより駆動力が発生する。当該駆動力が振動板9aを振動させて音が発生する。これは動電型スピーカの基本的な動作である。
少なくとも一部が非マグネット部材91aで構成された振動板9aは、第1の磁気回路5aと第2の磁気回路6aとの間の空隙中を振動する。振動板9aの振動方向は、前背面方向(x軸方向)である。このとき、非マグネット部材91aは、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、板動板9aの振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。例えば、振動板9aが第1の磁気回路5a側に変位したとき、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、非マグネット部材91aはその変位を拡大する方向に力を受ける。ここで、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって非マグネット部材91aに働く引力は、第1の磁気回路5aと第2の磁気回路6aとの間で釣り合う。以下、上記引力が釣り合う空隙中の位置を平衡位置と記載する。非マグネット部材91aが第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、平衡位置から離反する方向の離反力を受けながら、振動板9aが振動することとなる。
一方、キャビネット1、振動板9aおよびエッジ7aで仕切られた空室の音響スティフネスは、そのバネ力によって振動板9aの振動を抑制する。このバネ力は、上記空室の容積が小さいほど大きくなり、振動板9aの振動も大きく抑制される。これに対して、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって生じる上記離反力は、音響スティフネスによって受けるバネ力を打ち消す方向に作用する。換言すれば、上記離反力は、音響スティフネスを減少させる負スティフネスとして作用する。つまり、振動板9aの非マグネット部材91a、第1の磁気回路5aおよび第2の磁気回路6aは、負スティフネスを発生させる機構(負スティフネス発生機構)としての役割をもつことになる。これにより、振動板9aは、上記音響スティフネスによる抑制が緩和され、振動しやすくなる。そして、振動板9aは、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、スピーカユニット2aの最低共振周波数は低くなる。その結果、低音域の再生限界を拡大することができる。
以上のように、上記負スティフネス発生機構は、キャビネット1、振動板9aおよびエッジ7aで仕切られた空室の音響スティフネスの影響を緩和する。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、小型のキャビネットであっても、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。
また、上記負スティフネス発生機構は、非マグネット部材91a第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって非マグネット部材91aが離反力を受ける構造である。そして、その構造上、非マグネット部材91aの厚みをある程度薄くしても、当該非マグネット部材91aに十分な離反力を発生させることができる。したがって、本実施形態では、振動板9aに接合される非マグネット部材91aは薄くすることができるので、可動マグネット113を用いた従来のスピーカ装置と比べ、振動系重量を大幅に軽量化することができる。その結果、本実施形態に係るスピーカ装置では、スピーカユニット2aの出力音圧レベルの低下を抑えることができる。
また、上記第1の磁気回路5aは音を発生させるための動電型変換器としての役割を果たし、負スティフネス機構は当該第1の磁気回路5aを一部共有している。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、負スティフネス発生機構を構成する磁気回路を全部新たに設ける場合と比べ、マグネットの体積増大によるスピーカユニットの大型化、作業コストおよび価格コストを抑えることができる。
なお、上述した第1の磁気回路5aは、図2に示す第1の磁気回路5bとしてもよい。図2は、第1の磁気回路5bで構成されるスピーカユニット2bを用いたスピーカ装置の構造断面図である。図2において、背面フレーム3bは、第1の磁気回路5bが固着される中央部の形状のみ、上述した背面フレーム3aと異なるフレームである。第1の磁気回路5bは、背面フレーム3bの底面の中央部に固着される。
第1の磁気回路5bは、ヨーク51b、マグネット54bおよび磁気プレート53bを有する。磁気プレート53bは、円柱形状であり、背面フレーム3bの底面の中央部に固着される。マグネット54bは、円柱形状であり、磁気プレート53bの前面側に固着される。磁気ギャップは、磁気プレート53bの外周面とヨーク51bの内周面との間に形成される。なお、マグネット54bは、振動板9aの振動方向に着磁される。マグネット52bの着磁方向は、マグネット62aに対して同方向であってもよいし、反対方向であってもよい。ヨーク51bは、リング形状であり、その内周に磁気プレート53bおよびマグネット54bが配置されるように、背面フレーム3bの底面に固着される。また図2において、第1の磁気回路5b、第2の磁気回路6aおよび非マグネット部材91aが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。
以上のように、上述した第1の磁気回路5aを図2に示す第1の磁気回路5bに置換してもよい。この場合、スピーカユニット2bは、マグネットの数を少なく構成できるので、コスト面で有利である。
なお、図1において、第1の磁気回路5aおよび第2の磁気回路6aの配置が入れ換わった形態でもよい。この場合、ボイスコイルボビン10aは、非マグネット部材91aの前面側に固着され、ボイスコイルを第1の磁気回路5aの磁気ギャップ内に配置する。また、図2においても同様に、第1の磁気回路5bおよび第2の磁気回路6aの配置が入れ換わった形態でもよい。また、スピーカユニット2aおよび2bは、例えば円形状のスピーカユニットとしたが、楕円形状、矩形形状、および細長形状などの形状を有するスピーカユニットであってもよい。また、矩形の対向する2辺のみを半円に置換した、レーストラックのような形状(以下、トラック形状と記載する)であってもよい。また、スピーカユニット2aおよび2bに含まれるマグネット、ヨーク、磁気プレートおよび振動板などの形状についても、スピーカユニット2aおよび2bの形状に合わせて適宜設定してもよいことは言うまでもない。例えば、矩形形状のスピーカユニットであれば、振動板を矩形形状とし、マグネットを四角柱状としてもよい。
(第2の実施形態)
図3を参照して、本発明における第2の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図3は、第2の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図3において、第2の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1およびスピーカユニット2cを備える。スピーカユニット2cは、例えば円形状のスピーカユニットであり、キャビネット1の前面(x軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。また、キャビネット1は、スピーカユニット2cに対して音響スティフネスを与える筐体である。また、スピーカユニット2cにおいて、第1の実施形態に係るスピーカユニット2aと異なる点は、第1および第2の磁気回路の両方が磁気ギャップを形成する点と、ボイスコイルボビンおよびボイスコイルを2個備える点である。以下、スピーカユニット2cの構造について説明する。
スピーカユニット2cは、背面フレーム3c、前面フレーム4c、第1の磁気回路5c、第2の磁気回路6c、エッジ7c、ダンパー8c、振動板9c、第1のボイスコイルボビン10c、第1のボイスコイル11c、第2のボイスコイルボビン12cおよび第2のボイスコイル13cで構成される。
背面フレーム3cは、外周部分に対して内側部分が凸状に突起した形状である。背面フレーム3cは、その外周がキャビネット1の開口部に取り付けられ、キャビネット1の内部側に向いて凸形状となるように配置される。背面フレーム3cには、キャビネット1内部と通気する音孔3chが形成されている。前面フレーム4cは、背面フレーム3cの外周部に固着される。前面フレーム4cには、音を前面に放射するための音孔4chが形成されている。第1の磁気回路5cは、背面フレーム3cの底面(上記内側部分)の中央部に固着される。第2の磁気回路6cは、前面フレーム4cの背面側(x軸の負方向)中央部に固着され、空隙を介して第1の磁気回路5cと対向する位置に配置される。また、第1および第2の磁気回路5cおよび6cは、円柱状の外形を有しており、第2の磁気回路6cは、その中心軸が第1の磁気回路5cの中心軸と一致するように配置される。振動板9cは、第1の磁気回路5cと第2の磁気回路6cとの間の空隙中に配置される。振動板91cは、少なくとも一部が非マグネット部材91cで構成される。第1のボイスコイルボビン10cは、非マグネット部材91cの第1の磁気回路5c側に固着される筒状部材である。第1のボイスコイルボビン10cの外周面には、第1のボイスコイル11cが巻かれる。第2のボイスコイルボビン12cは、非マグネット部材91cの第2の磁気回路6c側に固着される筒状部材である。第2のボイスコイルボビン12cの外周面には、第2のボイスコイル13cが巻かれる。エッジ7cは、その外周が背面フレーム3cの外周に固着される。エッジ7cの内周は振動板9cの外周に固着される。なお、振動板9cおよびエッジ7cが一体のものを用いてもよい。ダンパー8cは、その外周が背面フレーム3cに固着される。ダンパー8cの内周は振動板9cの外周に固着される。スピーカユニット2cにおいて、振動板9cと、第1および第2のボイスコイルボビンと、第1および第2のボイスコイルとは、入力される電気信号によって振動する振動系部材である。また、エッジ7cおよびダンパー8cは、第1の磁気回路5cと第2の磁気回路6cとの間の空隙中で非マグネット部材91cが振動可能となるように、当該振動系部材を支持する支持系部材である。
第1の磁気回路5cは、ヨーク51c、第1のマグネット52c、磁気プレート53cおよび第2のマグネット54cを有する。ヨーク51cは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク51cの底面は、背面フレーム3cの底面の中央部に固着される。第1のマグネット52cは、円柱形状であり、ヨーク51cの前面側中央部に固着される。磁気プレート53cは、円柱形状であり、第1のマグネット52cの前面側に固着される。第2のマグネット54cは、円柱形状であり、磁気プレート53cの前面側に固着される。第1のマグネット52c、磁気プレート53cおよび第2のマグネット54cの各外周面とヨーク51cの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート53cの外周面とヨーク51cの内周面との間に形成される。なお、第1のボイスコイル11cは、非マグネット部材91cに固着された第1のボイスコイルボビン10cによって、第1の磁気回路5cに形成された磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット52cおよび第2のマグネット54cは、それぞれ振動板9cの振動方向(x軸方向)に着磁される。第1のマグネット52cおよび第2のマグネット54cの着磁方向は、互いに反対である。
ここで、第2のマグネット54cは、自身の磁束を磁気プレート53cを介して磁気ギャップに通す。また、第2のマグネット54cは、第1のマグネット52cと反発する方向に着磁されているので、第1のマグネット52cの磁束がより集中して磁気ギャップに通るように作用する。つまり、第2のマグネット54cは、磁気ギャップ内の磁束密度を上げて、第1のボイスコイル11cの駆動力を増強させる。
第2の磁気回路6cは、ヨーク61c、第1のマグネット62c、磁気プレート63cおよび第2のマグネット64cを有する。ヨーク61cは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク61cの底面は、前面フレーム4cの背面側中央部に固着される。第1のマグネット62cは、円柱形状であり、ヨーク51cの背面側中央部に固着される。磁気プレート63cは、円柱形状であり、第1のマグネット62cの背面側に固着される。第2のマグネット64cは、円柱形状であり、磁気プレート63cの背面側に固着される。ここで、上記第1の磁気回路5cと同様に、第1のマグネット62c、磁気プレート63cおよび第2のマグネット64cの各外周面とヨーク61cの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート63cの外周面とヨーク61cとの間に形成される。なお、第2のボイスコイル13cは、非マグネット部材91cに固着された第2のボイスコイルボビン12cによって、第2の磁気回路6cに形成された磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット62cおよび第2のマグネット64cはそれぞれ振動板9cの振動方向に着磁される。第1のマグネット62cおよび第2のマグネット64cの着磁方向は互いに反対である。なお、第2のマグネット64cは、上述した第2のマグネット54cと同様に、第2のボイスコイル13cの駆動力を増強させる。
ここで、第2のマグネット54cおよび第2のマグネット64cの着磁方向と、第1および第2のボイスコイルの巻き方向とについて説明する。第2のマグネット54cの着磁方向を第2のマグネット64cと同方向とする場合は、第1および第2のボイスコイルの巻き方向を互いに反対方向となるように設定する。第2のマグネット54cの着磁方向を第2のマグネット64cと反対方向とする場合は、第1および第2のボイスコイルの巻き方向を互いに同方向となるように設定する。これにより、第1および第2のボイスコイルに電流が印加されたとき、同方向の駆動力が得られる。
振動板9cは、上述した第1の実施形態と同様に、少なくとも一部が非マグネット部材91cで構成される。当該非マグネット部材91cは、マグネット以外の磁性体である。非マグネット部材91cの位置、振動板9cの構造は、上述した第1の実施形態における振動板9aおよび非マグネット部材91aと同様であるので説明を省略する。
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。第1のボイスコイル11cおよび第2のボイスコイル13cに電気信号が印加されると、各ボイスコイルに流れる電流と各磁気ギャップに形成された磁界とにより、同方向の駆動力がそれぞれ発生する。そして、当該各駆動力が振動板9cを振動させて音が発生する。
少なくとも一部が非マグネット部材91cで構成された振動板9cは、第1の磁気回路5cと第2の磁気回路6cとの間の空隙中を振動する。振動板9cの振動方向は、前背面方向(x軸方向)である。このとき、非マグネット部材91cは、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、振動板9cの振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。つまり、本実施形態においては、非マグネット部材91c、第1の磁気回路5cおよび第2の磁気回路6cが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。なお、負スティフネス発生機構については、上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。この負スティフネス発生機構によって、振動板9cは、キャビネット1、振動板9cおよびエッジ7cで仕切られた空室の音響スティフネスによる抑制が緩和され、振動しやすくなる。つまり、振動板9cは、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、スピーカユニット2cの最低共振周波数は低くなる。その結果、低音域の再生限界を拡大することができる。
以上のように、上記負スティフネス発生機構は、キャビネット1、振動板9cおよびエッジ7cで仕切られた空室の音響スティフネスの影響を緩和する。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、小型のキャビネットであっても、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。
また、本実施形態に係るスピーカユニット2cは、第1および第2のボイスコイルにそれぞれ駆動力が発生するので、第1の実施形態と比べて駆動力が増している。その結果、本実施形態では、更なる出力音圧レベルの向上を図ることができる。
また、本実施形態に係るスピーカユニット2cは、第1および第2の磁気回路が非マグネット部材91cを挟んで対称構造となる。これにより、第1および第2の磁気回路の空隙には、その空隙の平衡位置から振動方向に対称な磁界分布が形成されるので、磁界分布が非対称となることによって生じるひずみを小さくすることができる。
なお、第1の実施形態と同様に、上述した第1および第2の磁気回路は、それぞれ図4に示す第1の磁気回路5dおよび第2の磁気回路6dとしてもよい。図4は、第1の磁気回路5dおよび第2の磁気回路6dで構成するスピーカユニット2dを用いたスピーカ装置の構造断面図である。図4において、前面フレーム4dは、第2の磁気回路6dが固着される中央部の形状のみが第1の実施形態で説明した前面フレーム4aと異なるフレームである。背面フレーム3dは、第1の磁気回路5dが固着される中央部の形状のみが上述した背面フレーム3cと異なるフレームである。第1の磁気回路5dは、背面フレーム3dの底面の中央部に固着される。第2の磁気回路6dは、前面フレーム4dの背面側中央部に固着される。
第1の磁気回路5dは、ヨーク51d、マグネット54dおよび磁気プレート53dを有する。磁気プレート53dは、円柱形状であり、背面フレーム3dの底面の中央部に固着される。マグネット54dは、円柱形状であり、磁気プレート53dの前面側に固着される。ヨーク51dは、リング形状であり、その内周に磁気プレート53dおよびマグネット54dが配置されるように、背面フレーム3dの底面に固着される。磁気ギャップは、磁気プレート53dの外周面とヨーク51dの内周面との間に形成される。なお、マグネット54dは、振動板9cの振動方向に着磁される。
第2の磁気回路6dは、ヨーク61d、マグネット64dおよび磁気プレート63dを有する。磁気プレート63dは、円柱形状であり、前面フレーム4dの背面側中央部に固着される。マグネット64dは、円柱形状であり、磁気プレート63dの背面側に固着される。ヨーク61dは、リング形状であり、その内周に磁気プレート63dおよびマグネット64dが配置されるように、前面フレーム4dの背面側に固着される。磁気ギャップは、磁気プレート63dの外周面とヨーク61dの外周面との間に形成される。なお、マグネット64dは、振動板9cの振動方向に着磁される。また図4において、第1の磁気回路5d、第2の磁気回路6dおよび非マグネット部材91cが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。
以上のように、第1および第2の磁気回路は、それぞれ図4に示す第1の磁気回路5dおよび第2の磁気回路6dとしてもよい。この場合、スピーカユニット2dは、スピーカユニット2cと比べて、マグネットの構成数が少なく、コスト面で有利である。
また、スピーカユニット2cおよび2dは、例えば円形状のスピーカユニットとしたが、上述した第1の実施形態同様に、楕円形状、トラック形状、矩形形状、細長形状などの形状を有するスピーカユニットであってもよい。各スピーカユニットに含まれる部品(例えばマグネットなど)の形状についても、上述した第1の実施形態と同様である。
(第3の実施形態)
図5を参照して、本発明における第3の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図5は、第3の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図5において、第3の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1およびスピーカユニット2eを備える。スピーカユニット2eは、例えば円形状のスピーカユニットであり、キャビネット1の前面(x軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。また、キャビネット1は、スピーカユニット2eに対して音響スティフネスを与える筐体である。また、スピーカユニット2eにおいて、第2の実施形態に係るスピーカユニット2cと異なる点は、第2の磁気回路が第1の磁気回路との空隙中に配置された支柱によって支持されることで前面フレームが不要であり、従来のスピーカユニットと外観が変わらない点と、磁性体は振動板の一部を構成せず、ボイスコイルボビンに固着される点である。以下、スピーカユニット2eの構造について説明する。
スピーカユニット2eは、背面フレーム3e、第1の磁気回路5e、第2の磁気回路6e、エッジ7e、ダンパー8e、振動板9e、第1のボイスコイルボビン10e、第1のボイスコイル11e、第2のボイスコイルボビン12e、第2のボイスコイル13e、非マグネット部材15eおよび支柱16eで構成される。
背面フレーム3eは、外周部分に対して内側部分が凸状に突起した形状である。背面フレーム3eは、その外周がキャビネット1の開口部に取り付けられ、キャビネット1の内部側に向いて凸形状となるように配置される。背面フレーム3eには、キャビネット1内部と通気する音孔3ehが形成されている。第1の磁気回路5eは、背面フレーム3eの底面(上記内側部分)の中央部に固着される。第2の磁気回路6eは、支柱16eを介して第1の磁気回路5eと対向する位置に配置される。また、第1および第2の磁気回路5eおよび6eは、円柱状の外形を有しており、磁気回路6eは、その中心軸が第1の磁気回路5eの中心軸と一致するように配置される。非マグネット部材15eは、リング状の平板であり、マグネットを含まない磁性体である。非マグネット部材15eは、第1の磁気回路5eと第2の磁気回路6eとの間の空隙中に配置される。なお、支柱16eは、非マグネット部材15eの内周部の開孔に位置している。第1のボイスコイルボビン10eは、非マグネット部材15eの第1の磁気回路5e側に固着される筒状部材である。第1のボイスコイルボビン10eの外周面には、第1のボイスコイル11eが巻かれる。第2のボイスコイルボビン12eは、その一方端が非マグネット部材15eの第2の磁気回路6e側に固着される筒状部材である。第2のボイスコイルボビン12eの他方端の外周面には、第2のボイスコイル13eが巻かれる。振動板9eは、その内周に第2のボイスコイルボビン12eの他方端が固着される。エッジ7eは、その外周が背面フレーム3eの外周近傍に固着される。エッジ7eの内周は振動板9eの外周に固着される。なお、振動板9eおよびエッジ7eが一体のものを用いてもよい。ダンパー8eは、その外周が背面フレーム3eに固着される。ダンパー8eの内周は、振動板9eの外周に固着される。スピーカユニット2eにおいて、振動板9eと、第1および第2のボイスコイルボビンと、非マグネット部材15eと、第1および第2のボイスコイルとは、入力される電気信号によって振動する振動系部材である。また、エッジ7eおよびダンパー8eは、第1の磁気回路5eと第2の磁気回路6eとの間の空隙中で非マグネット部材15eが振動可能となるように、当該振動系部材非マグネット部材15eを支持する支持系部材である。ダストキャップ14eは、振動板9eの一部である。
第1の磁気回路5eは、ヨーク51e、マグネット54eおよび磁気プレート53eを有する。磁気プレート53eは、円柱形状であり、背面フレーム3eの底面の中央部に固着される。マグネット54eは、円柱形状であり、磁気プレート53eの前面側に固着される。ヨーク51eは、リング形状であり、その内周に磁気プレート53eおよびマグネット54eが配置されるように、背面フレーム3eの前面側に固着される。磁気プレート53eおよびマグネット54eの各外周面とヨーク51eの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、磁気プレート53eの外周面とヨーク51eの内周面との間に形成される。なお、マグネット54eは、振動板9eおよび非マグネット部材15eの振動方向(x軸方向)に着磁される。また、第1のボイスコイル11eは、非マグネット部材15eに固着された第1のボイスコイルボビン10eによって、第1の磁気回路5eに形成された磁気ギャップ中に配置される。
第2の磁気回路6eは、ヨーク61e、磁気プレート63eおよびマグネット64eを有する。ヨーク61eは、その外周面が背面フレーム3eに固着されるリング形状のヨークである。マグネット64eは、円柱形状であり、マグネット54eに固着された支柱16eに固着される。つまり、マグネット64eは、支柱16eによって、マグネット54eと対向する位置に配置される。磁気プレート63eは、円柱形状であり、マグネット64eの前面側に固着される。磁気プレート63eおよびマグネット64eの各外周面とヨーク51eの内周面との間には、第2のボイスコイルボビン12eが貫通可能な間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート63eの外周面とヨーク61eの内周面との間に形成される。なお、マグネット64eは、振動板9eおよび非マグネット部材15eの振動方向に着磁される。また、第2のボイスコイル13eは、非マグネット部材15eに固着された第2のボイスコイルボビン12eによって、第2の磁気回路6eに形成された磁気ギャップ中に配置される。
ここで、マグネット54eおよびマグネット64eの着磁方向と、第1および第2のボイスコイルの巻き方向とについて説明する。マグネット54eの着磁方向をマグネット64eと同方向とする場合は、第1および第2のボイスコイルの巻き方向を互いに反対方向となるように設定する。マグネット54eの着磁方向をマグネット64eと反対方向とする場合は、第1および第2のボイスコイルの巻き方向を互いに同方向となるように設定する。これにより、第1および第2のボイスコイルに電流が印加されたとき、同方向の駆動力が得られる。
非マグネット部材15eは、リング状の平板であり、マグネットを含まない磁性体である。また、非マグネット部材15eは、第1および第2の磁気回路の空隙中に配置されればよい。したがって、非マグネット部材15eは、例えばヨーク51aまたはヨーク61aの円形状に相当するものであってもよい。また、上記第1および第2の磁気回路で形成される間隙を非マグネット部材15eに対して垂直に投影させた領域は、環状の領域となる。当該環状の領域付近の磁場は、非マグネット部材15eに対して、離反力を最も強く発生させることができる。したがって、非マグネット部材91eが当該環状の領域に相当するものであればより好ましい。
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。第1のボイスコイル11eおよび第2のボイスコイル13eに電気信号が印加されると、各ボイスコイルに流れる電流と各磁気ギャップに形成された磁界とにより、同方向の駆動力がそれぞれ発生する。そして、当該各駆動力が振動板9eを振動させて音が発生する。
第1および第2のボイスコイルボビン固着された非マグネット部材15eは、第1の磁気回路5eと第2の磁気回路6eとの間の空隙中を振動する。非マグネット部材15eの振動方向は、前背面方向(x軸方向)である。このとき、非マグネット部材15eは、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、非マグネット部材15eの振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。つまり、本実施形態においては、非マグネット部材15e、第1の磁気回路5eおよび第2の磁気回路6eが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。なお、負スティフネス発生機構については、上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。この負スティフネス発生機構によって、非マグネット部材15eおよび振動板9eは、キャビネット1、振動板9eおよびエッジ7eで仕切られた空室の音響スティフネスによる抑制が緩和され、振動しやすくなる。つまり、振動板9eは、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、スピーカユニット2eの最低共振周波数は低くなる。その結果、低音域の再生限界を拡大することができる。
以上のように、上記負スティフネス発生機構は、キャビネット1、振動板9eおよびエッジ7eで仕切られた空室の音響スティフネスの影響を緩和する。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、小型のキャビネットであっても、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。
また、本実施形態では、上述した第2の実施形態と比べて、振動板9eの前面にフレームがないので、音質が阻害されないという利点がある。
また、本実施形態に係るスピーカユニット2eは、上述した第2の実施形態と同様に第1および第2の磁気回路が非マグネット部材15eを挟んで対称構造となる。これにより、第1および第2の磁気回路の空隙には、その空隙の平衡位置から振動方向に対称な磁界分布が形成されるので、磁界分布が非対称となることによって生じるひずみを小さくすることができる。
なお、上述した本実施形態において、磁気プレート53e、第1のボイスコイルボビン10eおよびボイスコイル11eとを省略してもよい。また、磁気プレート63eおよび第2のボイスコイル13eを省略してもよい。このとき、第2のボイスコイルボビン12eは、非マグネット部材15eと振動板14eとを接続する接続部材としての役割を果たす。この場合では、本実施形態のスピーカユニット2eと比べて、マグネットの構成数を減らすことができ、コスト面で有利である。
また、スピーカユニット2eは、例えば円形状のスピーカユニットとしたが、上述した第1の実施形態同様に、楕円形状、トラック形状、矩形形状、細長形状などの形状を有するスピーカユニットであってもよい。各スピーカユニットに含まれる部品(例えばマグネットなど)の形状についても、上述した第1の実施形態と同様である。
(第4の実施形態)
図6および図7を参照して、本発明における第4の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図6は、第4の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図7は、第4の実施形態に係るスピーカ装置の斜視図である。
図6において、第4の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的に背面フレーム3f、駆動部201f、駆動部201g、エッジ7f、振動板9f、アーム17fおよびアーム17gを備える。背面フレーム3fは、上面(y軸の正方向)に開口部が形成された筐体である。駆動部201fは、背面フレーム3f内部に形成された凸形状のガイド18fに固着される。駆動部201gは、もう一方のガイド18gに固着される。なお、駆動部201gは駆動部201fと同様の構成とし、詳細な説明を省略する。振動板9fは、駆動部201fおよび201gにおいて共通に用いられる振動板であり、トラック形状を有する。また、振動板9fは、少なくとも一部が非マグネット部材91fおよび非マグネット部材91gで構成される。エッジ7fは、その外周が背面フレーム3fの上面に形成された開口部に固着される。また、エッジ7fの内周は、振動板9fの外周に固着される。なお、振動板9fおよびエッジ7fが一体のものを用いてもよい。また、背面フレーム3fの上面から見た形状は、例えば図7に示すように、トラック形状である。また、背面フレーム3fは、駆動部201fおよび201gに対して、音響スティフネスを与える筐体である。また、本実施形態において、上述した第1〜3の実施形態と異なる点は、キャビネットに代わりにフレームが音響スティフネスを与える筐体である点と、複数の磁気回路(駆動部)を用いて振動板を多点駆動する点である。以下、駆動部201fの構造を中心に説明する。
駆動部201fは、第1の磁気回路5f、第2の磁気回路6f、ボイスコイルボビン10fおよびボイスコイル11fを有する。第1の磁気回路5fは、背面フレーム3f内部に形成された凸形状のガイド18fに固着される。アーム17fは、アーチ形状であり、背面フレーム3fに固着される。第2の磁気回路6fは、アーム17fに固着され、第1の磁気回路5fと対向する位置に配置される。また、第1の磁気回路5fと対向する面での第2の磁気回路6fの中心軸は、第1の磁気回路5fの中心軸と一致する。ボイスコイルボビン10fは、非マグネット部材91fの第1の磁気回路5f側に固着される筒状部材である。ボイスコイルボビン10fの外周面には、ボイスコイル11fが巻かれる。ここで、振動板9fは、それぞれの駆動部201fおよび201gにおける第1および第2の磁気回路の空隙中に配置される。本実施形態では、振動板9fと、非マグネット部材91fおよび91gと、ボイスコイルボビン10fおよびボイスコイル11fと、駆動部201gのボイスコイルボビン10fおよびボイスコイル11fとは、入力される電気信号によって振動する振動系部材である。エッジ7fは、第1および第2の磁気回路の空隙中で非マグネット部材91fおよび非マグネット部材91gが振動可能となるように、上記振動系部材を支持する支持系部材である。
第1の磁気回路5fは、ヨーク51f、第1のマグネット52f、磁気プレート53fおよび第2のマグネット54fを有する。ヨーク51fは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク51fは、背面フレーム3f内部に形成された凸形状のガイド18fに固着される。第1のマグネット52fは、円柱形状であり、ヨーク51fの上面側中央部に固着される。磁気プレート53fは、円柱形状であり、第1のマグネット52fの上面に固着される。第2のマグネット54fは、円柱形状であり、磁気プレート53fの上面に固着される。第1のマグネット52f、磁気プレート53fおよび第2のマグネット54fの各外周面とヨーク51fの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート53fの外周面とヨーク51fの内周面との間に形成される。なお、ボイスコイル11fは、非マグネット部材91fに固着されたボイスコイルボビン10fによって、上記磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット52fおよび第2のマグネット54fは、それぞれ振動板9fの振動方向に着磁される。第1のマグネット52fおよび第2のマグネット54fの着磁方向は、互いに反対である。
ここで、第2のマグネット54fは、自身の磁束を磁気プレート53fを介して磁気ギャップに通す。また、第2のマグネット54fは、第1のマグネット52fに対して反発する方向に着磁されているので、第1のマグネット52fの磁束がより集中して磁気ギャップに通るように作用する。つまり、第2のマグネット54fは、磁気ギャップ内の磁束密度を上げて、ボイスコイル11fの駆動力を増強させる。
第2の磁気回路6fは、ヨーク61fおよびマグネット62fを有する。ヨーク61fは、円形の底面と円筒状の側面とを有する。そして、円形の底面と逆側には開口部が形成される。ヨーク61fは、アーム17fに固着される。マグネット62fは、円柱形状であり、ヨーク61fの下面側中央部に固着される。ここで、上記第1の磁気回路5fと同様に、マグネット62fの外周面とヨーク61cの内周面との間には、間隙が形成される。なお、マグネット62fは、振動板9fの振動方向(y軸方向)に着磁される。マグネット62fの着磁方向は、第2のマグネット54fに対して同方向であってもよいし、反対方向であってもよい。
振動板9fは、駆動部201fおよび201gにおいて共通に用いられる振動板であり、トラック形状を有する。また、振動板9fは、少なくとも一部が非マグネット部材91fおよび非マグネット部材91gで構成される。図6において、非マグネット部材91fおよび91gは、それぞれの駆動部201fおよび201gにおける第1および第2の磁気回路の空隙中に配置されるように、振動板9fに接合される例えば円形状の平板である。なお、上記第1および第2の磁気回路で形成される間隙を振動板9fに対して垂直に投影させた領域は、環状の領域となる。当該環状の領域付近の磁場は、非マグネット部材91fに対して、離反力を最も強く発生させることができる。したがって、非マグネット部材91fが当該環状の領域に相当するものであればより好ましい。また例えば、非マグネット部材91fは、ヨーク51fまたはヨーク61fの円形状に相当するものであってもよい。非マグネット部材91gについても非マグネット部材91fと同様である。また例えば、振動板9fの全面が非マグネット部材91fで構成されてもよい。
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。駆動部201fにおいて、ボイスコイル11fに電気信号が印加されると、ボイスコイル11fに流れる電流と磁気ギャップに形成された磁界とにより駆動力が発生する。当該駆動力が振動板9fを振動させて音が発生する。駆動部201gにおいても、駆動部201fと同様にして振動板9fを振動させる。以下、駆動部201fの動作について説明する。
非マグネット部材91fを含む振動板9fは、第1の磁気回路5fと第2の磁気回路6fとの間の空隙中を振動する。振動板9fの振動方向は、上下方向(y軸方向)である。このとき、非マグネット部材91fは、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、振動板9fの振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。つまり、本実施形態においては、非マグネット部材91f、第1の磁気回路5fおよび第2の磁気回路6fが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。駆動部201gについては、非マグネット部材91g、第1および第2の磁気回路に相当するものが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。負スティフネス発生機構については、上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。この負スティフネス発生機構によって、駆動部201fおよび201gは、背面フレーム3f、振動板9fおよびエッジ7fで仕切られた空室の音響スティフネスによる抑制が緩和され、振動しやすくなる。つまり、振動板9fは、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、駆動部201fおよび201gの最低共振周波数はそれぞれ低くなる。その結果、低音域の再生限界は拡大される。
以上のように、上記負スティフネス発生機構は、背面フレーム3f、振動板9fおよびエッジ7fで仕切られた空室の音響スティフネスの影響を緩和する。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、小型のキャビネットであっても、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。
また、本実施形態では、トラック形状の振動板9fに対して、駆動部201fおよび201gの2点で振動板9fが駆動される。ここで、振動板の外周のいずれかの点と振動板の重心との距離に大きな差がある形状(例えば、トラック形状や楕円形状など)の場合においては、分割共振が発生しやすいという問題がある。このため、コーン形状などの振動板を用いて振動板の剛性をあげる必要がある。しかし、例えば薄型スピーカにおいては、コーン形状の深さを深くすることができず、剛性を上げることが困難である。本実施形態によれば、例えば、振動板9fを駆動する駆動部201fおよび201gの位置を上記分割共振の節となる位置に配置することで、振動板9fの剛性が高くなくても分割共振を抑えることができる。したがって、コーン形状の振動板であっても分割共振が抑えられるので、更なる薄型スピーカを実現することができる。
また、本実施形態では、駆動部201fおよび201gのボイスコイルは1個であったが、ボイスコイルをさらに追加してもよい。この場合、第2の磁気回路6fと駆動部201gの第2の磁気回路とに磁気ギャップが形成されるように、それぞれ磁気プレートおよびマグネットを追加する。これにより、駆動部201fおよび201gの駆動力が増加し、出力音圧レベルを向上させることができる。
なお、本実施形態では、駆動部201fおよび201gの2点で振動板9fを駆動したが、さらにスピーカユニットを追加して駆動点を3点以上としてもよい。また、振動板9fおよび背面フレーム3fの形状は、矩形形状や楕円形状などの形状であってもよい。また、ヨーク、磁気プレート、マグネットなどは円柱状に限定されず、適宜他の形状(例えば四角柱など)としてもよい。また、本実施形態における第1および第2の磁気回路は、第1〜第3の実施形態で説明した磁気回路のいずれかの構成であってもよい。
(第5の実施形態)
図8を参照して、本発明における第5の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図8は、第5の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図8において、第5の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1、スピーカユニット2hおよび制御回路20hを備える。本実施形態において、上述した第1〜4の実施形態と異なる点は、レーザ変位計および制御回路を新たに備える点である。
スピーカユニット2hは、キャビネット1の前面に形成された開口部に取り付けられる。スピーカユニット2hは、背面フレーム3h、前面フレーム4h、第1の磁気回路5h、第2の磁気回路6h、エッジ7h、ダンパー8h、振動板9h、第1のボイスコイルボビン10h、第1のボイスコイル11h、第2のボイスコイルボビン12h、第2のボイスコイル13hおよびレーザ変位計19hを有する。
スピーカユニット2hの構造は、図4において説明したスピーカユニット2dに対して、背面フレーム3h、前面フレーム4h、ヨーク51h、ヨーク61hの形状のみが異なる構造であるので詳細な説明は省略する。また、スピーカユニット2hには、レーザ変位計19hが配置される点で異なる。以下、図8および図9を用いて、この異なる点を中心に説明する。なお、図9は、第5の実施形態に係るスピーカ装置の回路ブロック図である。
図9において、レーザ変位計19hは、振動板9hの変位を検出し、その検出信号を制御回路20hに出力する。また図8において、レーザ変位計19hはヨーク51hに設置され、制御回路20hと配線で結ばれる。なお、レーザ変位計19hは、ヨーク51hに限らず、例えば前面フレーム4hおよびキャビネット1など、振動板9hの変位を検出できる位置に配置されてもよい。また、振動板9hの変位を検出する方法として、レーザ変位計を用いる方法としたが、振動板9hに小型マグネットを固着して、ホール素子を用いて位置を検出する方法でもよい。
図9において、制御回路20hは、レーザ変位計19hで検出された振動板9hの変位に基づいて、非マグネット部材91hの振幅の中心が第1および第2の磁気回路の空隙における平衡位置となるような制御信号を生成する。制御回路20hで生成された制御信号は、入力音響信号に加えられる。入力された音響信号および制御信号は、増幅器などで適宜増幅されて、スピーカユニット2hに印加される。なお、制御信号は、例えば非マグネット部材91hの平衡位置からのずれを修正する分の直流電気信号などである。また、図8において、制御回路20hは、キャビネット内部に設置され、スピーカユニット2hの入力端子およびレーザ変位計19hとそれぞれ配線で結ばれている。なお、制御回路20hは、キャビネット外部に配置されてもよい。
スピーカユニット2hにおいて、振動板9hの駆動原理および負スティフネスの発生原理は、上述したスピーカユニット2dと同様である。負スティフネス発生機構によって、非マグネット部材91hは、当該平衡位置から離反する方向に離反力を受ける。ここで、キャビネット1内部の温度が上昇した場合を考える。第1のボイスコイル11hおよび第2のボイスコイル13hは電流が流れると発熱する。第1および第2のボイスコイルの発熱などでキャビネット1内部の温度が上昇した場合、キャビネット1内部の空気が膨張あるいは収縮し、内部圧力が変化する。この圧力変化によって、振動板9hが力を受け、非マグネット部材91hの振幅の中心は平衡位置からずれる。また、上記離反力は、平衡位置を基準として振動方向に対称である。したがって、非マグネット部材91hの振幅の中心が平衡位置からずれると、離反力の対称性が極端に崩れてしまい、再生音のひずみが大きくなるという問題が生じる。また、この平衡位置からのずれが大きくなると、振動板9hが第1の磁気回路5hまたは第2の磁気回路6hに引き寄せられたまま振動できなくなる問題もある。しかしながら、本実施形態では、制御回路20hにおいて非マグネット部材91hの振幅の中心が平衡位置となるような制御信号が生成され、入力音響信号に加えられる。これにより、振動板9hは、温度変化などの周囲環境の変化に関係なく、非マグネット部材91hの振幅の中心を平衡位置とした安定な動作が可能となり、ひずみの少ない音を再生することができる。なお、本実施形態に係るスピーカ装置では、スピーカユニット2hを用いるとしたが、第1〜第4の実施形態で説明したスピーカユニットを用いてもよい。
なお、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、一例として、自動車の車体の内部に配置される。車体内部としては、例えば自動車のドアに搭載される。図10は、スピーカユニットが自動車のドアに搭載された一例を示す図である。
図10において、自動車のドアは、窓部21、ドア本体22およびスピーカユニット23で構成される。ここで、スピーカユニット23は、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカユニットのいずれかであり、詳細な説明を省略する。スピーカユニット23は、ドア本体22内部に取り付けられる。ドア本体22内部には、空間が形成されている。つまり、当該ドア本体22は、スピーカユニット2aのキャビネットとしての役割を果たすので、スピーカユニット23とドア本体22でスピーカ装置を構成することとなる。このように、スピーカユニット23を自動車のドアに搭載することによって、従来と同じドア本体22に取り付けられた場合であっても、低音の再生帯域を拡大することが可能な車内リスニング環境を提供することが可能となる。
また、ドア本体22内部には、窓ガラス収納部、窓ガラス自動開閉機構、ドアロック、配線および制御回路などが搭載されているため、内部容積が限定される。このような内部容積が限定される自動車のドアであっても、従来のスピーカユニットを搭載する場合と比べ、より低域の音を再生することができる。
また、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、例えば車体内部に配置される車載用のスピーカ装置であってもよい。図11は、自動車の車内に設置されたスピーカ装置の一例を示す図である。図11において、当該スピーカ装置25は、例えば座席24の下に設置される。ここで、スピーカ装置25は、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置のいずれかであり、詳細な説明を省略する。以上のように、スピーカ装置25を車両に搭載することによって、従来と同じキャビネット容積であっても低音の再生帯域を拡大することが可能な車内リスニング環境を提供することが可能となる。
また、従来と同じレベルの低音の再生帯域を目指すとき、スピーカ装置25のキャビネットを従来と比べて小型化できる。したがって、自動車の車内にスピーカ装置25を搭載することで、より広い車内空間が確保される。また、サブウーファなどの低音用スピーカ装置においては、一般的に容積の大きなキャビネットが必要となるので特に有効である。
また、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、図12に示すような車載用のスピーカ装置であってもよい。図12は、自動車の車内に設置されたスピーカ装置の他の例を示す図である。図12において、スピーカ装置は、キャビネット26、台座27、スピーカユニット28およびパンチングネット29を備える。ここで、スピーカユニット28は、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカユニットのいずれかであり、詳細な説明を省略する。以上のように、図12に示すスピーカ装置を自動車の車内に搭載することによって、従来と同じキャビネット容積であっても低音の再生帯域を拡大することが可能な車内リスニング環境を提供することが可能となる。
また、従来と同じレベルの低音の再生帯域を目指すとき、上記スピーカ装置のキャビネットを従来と比べて小型化できる。したがって、自動車の車内に上記スピーカ装置を搭載することで、より広い車内空間が確保される。また、サブウーファなどの低音用スピーカ装置においては、一般的に容積の大きなキャビネットが必要となるので特に有効である。なお、キャビネット26の形状は、図12に示す円筒形状に限定されず、直方体形状などであってもよい。
また、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、例えばAVシステムなどに搭載される。一例として、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、映像機器(例えば、ブラウン管テレビ、液晶テレビ、プラズマテレビなど)に搭載される。
図13は、上記スピーカ装置を薄型テレビに搭載した構成の一例を示す図であり、当該薄型テレビの正面図と、その一部を線OAにおける断面図で示した側面図である。図13において、当該薄型テレビは、薄型テレビ本体30、ディスプレイ31、および2個のスピーカ装置32を備える。スピーカ装置32は、第1〜第5の実施形態において説明したスピーカ装置のいずれかであり、詳細な説明を省略する。
スピーカ装置32のキャビネット33は、ディスプレイ31の下部に設けられた筐体の内部に配置される。スピーカユニット34は、例えば楕円形状のスピーカユニットであり、キャビネット33に取り付けられる。以上のように、本発明におけるスピーカ装置を薄型テレビ本体30に搭載することで、従来と同じキャビネット容積であっても低音の再生帯域を拡大することが可能な薄型テレビ本体30を実現することが可能となる。
また、従来と同じレベルの低音の再生帯域を薄型テレビ本体30で目指す場合、スピーカ装置32のキャビネット33を従来と比べて小型化できる。したがって、薄型テレビ本体30をさらに薄型化や小型化する際にスピーカ装置を搭載するスペースが問題となっている場合、スピーカ装置32を搭載することによって薄型テレビ本体30の薄型化や小型化が実現できる。なお、図13に示すスピーカ装置32のキャビネット33は、ディスプレイ31の下部に取り付けられる形態であるが、ディスプレイ31の両脇に配置される形態であってもよい。
本発明に係るスピーカ装置は、小型のキャビネット容積であっても低音域再生が可能であり、液晶テレビ、PDP(プラズマディスプレイ)、ステレオ装置、5.1チャンネル再生のホームシアター用スピーカ、車載用スピーカ等の用途にも適用できる。
【0003】
数は低下する。つまり、従来のスピーカ装置では、小型のキャビネットであっても、あたかも大きなキャビネットにスピーカユニットを搭載したような低音再生が可能である。
【特許文献1】特開2000−308174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
[0008] しかしながら、従来のスピーカ装置では、負スティフネス発生機構の役割を果たす可動マグネット113がボイスコイルボビン107に設けられている。その結果、従来のスピーカ装置では、スピーカユニット102の振動系重量が増大し、スピーカユニット102の出力音圧レベルが低下するという問題があった。
[0009] また、仮に可動マグネット113を小さくして振動系重量を軽量化した場合は、可動マグネット113および固定マグネット114が形成する磁場に影響を与えてしまう。つまり、可動マグネット113を小さくすると、上記磁場によって生じる負スティフネスを与える力が小さくなってしまう。したがって、従来のスピーカ装置では、負スティフネスを与える力を維持したまま振動系重量の軽量化を図ることは困難であったこのように、スピーカユニットの出力音圧レベルを上げるために、振動系重量の軽量化および駆動力の増強を図ることが従来において課題となっていた。
[0010] それ故、本発明の目的は、振動系質量を増大させずに出力音圧レベルを確保しながら、低音再生が可能な小型スピーカ装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、上記目的に加えて駆動力の増強を図ることで出力音圧レベルを向上させながら、低音再生が可能な小型スピーカ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
[0011] 第1の局面は、スピーカ装置であって、開口部を有する筐体と、振動することによって音を発生させる振動系部材と、筐体に接続され、振動系部材を振動可能に支持する支持系部材と、筐体の内部に配置され、開口部側の一方の面に設けた第1のマグネットと第1のマグネットの側方に設けた第1のヨークとを有する第1の磁気回路と、筐体の内部において空隙を介して第1のマグネットに対向して配置される第2のマグネットと第2のマグネットの側方に設けた第2のヨークとを有する第2の磁気回路とを備え、第1の磁気回路における第1のマグネットの側面と第1のヨークとの間、および第2の


【0004】
磁気回路における第2のマグネットの側面と第2のヨークとの間の少なくとも一方には、磁気ギャップが形成されており、振動系部材は、第1のボイスコイルと、磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置するように設けた第1のボイスコイルボビンと、マグネットを含まない磁性体であり、第1のマグネットと第2のマグネットとの間に形成される空隙に配置されるように第1のボイスコイルボビンに直接または間接的に接続される非マグネット部材とを含む。
[0012] 第2の局面は、第1の局面に従属する局面であって、振動系部材は、少なくとも一部が非マグネット部材で構成される振動板をさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、振動板に固着され、支持系部材は、空隙において振動板を振動可能に支持することを特徴とする。
[0013] 第3の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートをさらに含み、第2のヨークは、第2のマグネットおよび磁気プレートの側方に配置され、当該第2のマグネットおよび当該磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するものであり、振動系部材は、第2の磁気回路に対して筐体の開口部側に配置される振動板をさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップを通って振動板と非マグネット部材とを接続し、第1のボイスコイルは、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップに配置されることを特徴とする。
[0014] 第4の局面は、第3の局面に従属する局面であって、第1の磁気回路は、第1のマグネットの筐体の内部側に固着された磁気プレートをさらに含み、第1のヨークは、第1のマグネットおよび磁気プレートの側方に配置され、当該第1のマグネットおよび当該磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するものであり、振動系部材は、第2のボイスコイルと、非マグネット部材に固着され、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第2のボイスコイルを配置する第2のボイスコイルボビンとをさらに含む。
[0015] 第5の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートをさらに含み、第2のヨークは、第2のマグネットおよび磁気プレートの側方に配置され、当該第2のマグネットおよび当該磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するものであり、振動系部材は、第2の磁気回路に対して筐体の開口部側に配置される振動板と、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップを通って振動板と非マグネット部材とを接続する接続部材とをさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置することを特徴とする。
[0016] 第6の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第1および第2の磁気回路は、同構造の磁気回路であり、第2の磁気回路は、非マグネット部材に対して第1の磁気回路と対称に配置されることを特徴とする。
[0017] 第7の局面は、第6の局面に従属する局面であって、振動系部材は、第2のボイスコ


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【0005】
イルと、非マグネット部材に直接または間接的に接続され、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第2のボイスコイルを配置する第2のボイスコイルボビンとをさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置することを特徴とする。
[0018] 第8の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第1の磁気回路は、第1のマグネットの筐体の内部側に固着された磁気プレートと、磁気プレートの筐体の内部側に固着された第3のマグネットとをさらに含み、第1のヨークは、磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するように設けられ、第1のマグネットと第3のマグネットとは、振動系部材の振動方向であって、互いに反対方向に着磁されることを特徴とする。
[0019] 第9の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートと、磁気プレートの開口部側に固着された第3のマグネットとをさらに含み、第2のヨークは、磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するように設けられ、第2のマグネットと第3のマグネットとは、振動系部材の振動方向であって、互いに反対方向に着磁されることを特徴とする。
[0020] 第10の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第1の磁気回路は、第1のマグネットの筐体の内部側に固着された磁気プレートをさらに含み、第1のヨークは、磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するように設けられ、第1のマグネットは、振動系部材の振動方向に着磁されることを特徴とする。
[0021] 第11の局面は、第1の局面に従属する局面であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートと、第2のヨークは、磁器プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するように設けられ、第2のマグネットは、振動系部材の振動方向に着磁されることを特徴とする。
[0022] 第12の局面は、第1の局面に従属する局面であって、スピーカ装置は、第1および第2の磁気回路で構成される磁気回路ユニットを複数備え、振動系部材は、磁気回路ユニットと同数の第1のボイスコイルと、各磁気回路ユニットにおける磁気ギャップに各第1のボイスコイルを1つずつ配置する、磁気回路ユニットと同数の第1のボイスコイルボビンと、各第1のボイスコイルボビンと固着され、少なくとも一部が非マグネット部材で構成される振動板とを含む。


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【0006】
[0023] 第13の局面は、第1の局面に従属する局面であって、スピーカ装置は、振動系部材の位置を検出する位置検出部と、位置検出部で検出された振動系部材の位置に基づいて、非マグネット部材の振幅の中心が空隙に形成される磁場の釣り合う位置となるように、音響信号に直流成分を加えた信号を第1のボイスコイルに印加することによって当該振動系部材の振動を制御する制御部とをさらに備える。
[0024] 第14の局面は、第13の局面に従属する局面であって、位置検出部は、レーザ変位計であることを特徴とする。
[0025] 第15の局面は、第1の局面に従属する局面であって、支持系部材と固着されるフレームをさらに備え、振動系部材と、支持系部材と、第1および第2の磁気回路と、フレームとによって構成されるスピーカユニットは、フレームが開口部に固着されることによって開口部に取り付けられる。
[0026] 第16の局面は、車両であって、請求項1から15のいずれかに記載のスピーカ装置と、スピーカ装置を内部に配置する車体とを備える。
[0027] 第17の局面は、映像機器であって、請求項1から15のいずれかに記載のスピーカ装置と、スピーカ装置を内部に配置する機器筐体とを備える。
【発明の効果】
[0028] 上記第1の局面によれば、第1および第2の磁気回路の空隙中に形成される磁場によって、振動部材に含まれる非マグネット部材はその変位を拡大する方向に力を受ける。したがって、ボイスコイルの駆動力によって非マグネット部材が振動する際、非マグネット部材の振幅は、当該空隙中の磁場によって増加される。これにより、筐体内部の音響スティフネスが緩和され、小型の筐体であっても、あたかも筐体容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。また、非マグネット部材が受ける上記力は、第1および第2の磁気回路が空隙中に形成する磁場によって発生する。つまり、非マグネット部材の厚みをある程度薄くしても、第1および第2の磁気回路が空隙中に形成する磁場によって十分な力が発生する。したがって、音響スティフネスを緩和する上記力を維持したまま、非マグネット部材を薄くすることによって軽量化を図ることができる。これにより、スピーカ装置の出力音圧レベルの低下を抑えることができる。また、第1および第2の磁気回路の少なくとも一方に形成さ


【0007】
れた磁気ギャップに第1のボイスコイルが配置されることで、振動系部材が振動する。つまり、第1および第2の磁気回路は、自身が形成する磁場によって、非マグネット部材に対して変位を拡大する方向に力を与える役割と、第1のボイスコイルに駆動力を与える役割を果たすことができる。第1の局面によれば、非マグネット部材に対して力を与えるためのマグネットと、ボイスコイルに対して駆動力を与えるためのマグネットとを1つのマグネットで実現することができるので、スピーカ装置の部品点数を少なくすることができる。
[0029] 上記第2の局面によれば、振動板の少なくとも一部が非マグネット部材で構成されることで、非マグネット部材の変位を拡大する力を高効率で振動板に伝えることができる。
[0030] 上記第3の局面によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。
[0031] 上記第4の局面によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。また、第1および第2のボイスコイルで振動系部材を駆動することで、スピーカ装置の出力音圧レベルを向上させることができる。
[0032] 上記第5の局面によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。
[0033] 上記第6の局面によれば、第1および第2の磁気回路の空隙には、その空隙中に配置される非マグネット部材に対して、振動方向に対称な磁界分布が形成されるので、磁界分布が非対称となることによって生じるひずみを小さくすることができる。
[0034] 上記第7の局面によれば、第1および第2の磁気回路の両方に形成された磁気ギャップに第1および第2のボイスコイルがそれぞれ配置され、各ボイスコイルから駆動力が発生するので、駆動力増強による出力音圧レベルの向上を図ることができる。
[0035] 上記第8および9の局面によれば、第1のマグネットおよび第2のマグネットと、第3のマグネットとが互いに反対方向に着磁されるので、より多くの磁束を磁気ギャップに集中させることができる。これにより、スピーカ装置の出力音圧レベルを向上させることができる。


本発明は、スピーカ装置に関し、より特定的には、小型のキャビネットで低音再生を実現するスピーカ装置に関するものである。
従来から、オーディオ機器のデジタル化とともに、音楽ソースを再生するプレーヤの小型化やポータブル化が進んでいる。しかしながら、最終的な音の再生機器であるスピーカ装置において、音楽ソースに含まれる低音域の音を十分に再生するには、大きなキャビネットが必要となる。そのため、上記小型化やポータブル化されたプレーヤに搭載されるスピーカ装置では、キャビネット容積が小さく、キャビネットの呈する音響スティフネスが大きいので、十分な低音再生を実現することは困難であった。
そこで、このようなキャビネット容積で決定される低音再生限界を改善したスピーカ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。以下、図14を参照して、当該スピーカ装置について説明する。なお、図14は当該スピーカ装置の断面構造図である。
図14において、従来のスピーカ装置は、キャビネット101およびスピーカユニット102を備える。スピーカユニット102は、フレーム103、エッジ104、コーン型振動板105、ダストキャップ106、ボイスコイルボビン107、ダンパー108、ボイスコイル109、マグネット110、センターポール111、磁気プレート112、可動マグネット113および固定マグネット114を有する。
図14において、スピーカユニット102は、キャビネット101の前面の開口部に取り付けられている。リング形状を有するマグネット110の背面(キャビネット101の背面側の面)は、センターポール111の前面に固着される。磁気プレート112は、その背面がマグネット110の前面に固着される。ボイスコイル109は、ボイスコイルボビン107における背面側端部の外周面に巻かれ、センターポール111における凸部の外周面と磁気プレート112の内周面との間に形成される磁気ギャップに挿入される。フレーム103は、音孔103hを有し、磁気プレート112の前面に固着される。ダンパー108は、その外周がフレーム103に固着され、ボイスコイルボビン107を支持する。コーン型振動板105は、ボイスコイルボビン107の前面側端部に固着される。エッジ104は、コーン型振動板105の外周部をフレーム103との間で支持する。ダストキャップ106は、コーン型振動板105の中央部に固着されている。可動マグネット113は、リング形状であり、その内周面がボイスコイルボビン107の外周面に固着される。可動マグネット113は、ボイスコイルボビン107において、コーン型振動板105とダンパー108との間に配置される。固定マグネット114は、リング形状であり、その内周面と可動マグネット113の外周面とが空隙を形成して対向して配置され、可動マグネット113と厚み方向(振動方向)で同極に着磁される。
次に、このように構成された従来のスピーカ装置の動作を説明する。ボイスコイル109に電気信号が印加されると駆動力が発生する。この駆動力はボイスコイルボビン107に固着されたコーン型振動板105を振動させる。当該振動によってコーン型振動板105から音が発生する。以上の動作は通常の動電型スピーカの動作である。通常のスピーカと大きく異なるのは、ボイスコイルボビン107の外周面に固着された可動マグネット113と、これと対向して配置された固定マグネット114との間の作用である。コーン型振動板105は、ボイスコイル109に発生した駆動力により振動する。このとき、可動マグネット113は、ボイスコイルボビン107と一体となって、固定マグネット114の内周部で振動する。可動マグネット113および固定マグネット114は、振動方向に同方向に着磁されており、変位すると互いに反発する磁場を形成する。したがって、可動マグネット113が固定マグネット114の磁気的に釣り合う位置(以下、平衡位置という)から外れると、可動マグネット113が平衡位置から逃れようとする力が作用する。つまり、可動マグネット113および固定マグネット114は、平衡位置から外れた位置において、スピーカユニット102の振動系に対して負のスティフネス(以下、負スティフネスと記載する)を与えるように作用する。換言すれば、可動マグネット113および固定マグネット114は、負スティフネスを発生する機構を構成する。以下、負スティフネスを発生する機構を負スティフネス発生機構と記載する。
負スティフネスは、スピーカユニット102の振動系に対して、キャビネット101の音響スティフネスを減少させるように作用する。その結果、スピーカ装置の最低共振周波数は低下する。つまり、従来のスピーカ装置では、小型のキャビネットであっても、あたかも大きなキャビネットにスピーカユニットを搭載したような低音再生が可能である。
特開2000−308174号公報
しかしながら、従来のスピーカ装置では、負スティフネス発生機構の役割を果たす可動マグネット113がボイスコイルボビン107に設けられている。その結果、従来のスピーカ装置では、スピーカユニット102の振動系重量が増大し、スピーカユニット102の出力音圧レベルが低下するという問題があった。
また、仮に可動マグネット113を小さくして振動系重量を軽量化した場合は、可動マグネット113および固定マグネット114が形成する磁場に影響を与えてしまう。つまり、可動マグネット113を小さくすると、上記磁場によって生じる負スティフネスを与える力が小さくなってしまう。したがって、従来のスピーカ装置では、負スティフネスを与える力を維持したまま振動系重量の軽量化を図ることは困難であった。このように、スピーカユニットの出力音圧レベルを上げるために、振動系重量の軽量化および駆動力の増強を図ることが従来において課題となっていた。
それ故、本発明の目的は、振動系質量を増大させずに出力音圧レベルを確保しながら、低音再生が可能な小型スピーカ装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、上記目的に加えて駆動力の増強を図ることで出力音圧レベルを向上させながら、低音再生が可能な小型スピーカ装置を提供することである。
第1の発明は、スピーカ装置であって、開口部を有する筐体と、振動することによって音を発生させる振動系部材と、筐体に接続され、振動系部材を振動可能に支持する支持系部材と、筐体の内部に配置され、開口部側の一方の面に設けた第1のマグネットと第1のマグネットの側方に設けた第1のヨークとを有する第1の磁気回路と、筐体の内部において空隙を介して第1のマグネットに対向して配置される第2のマグネットと第2のマグネットの側方に設けた第2のヨークとを有する第2の磁気回路とを備え、第1の磁気回路における第1のマグネットの側面と第1のヨークとの間、および第2の磁気回路における第2のマグネットの側面と第2のヨークとの間の少なくとも一方には、磁気ギャップが形成されており、振動系部材は、第1のボイスコイルと、磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置するように設けた第1のボイスコイルボビンと、マグネットを含まない磁性体であり、第1のマグネットと第2のマグネットとの間に形成される空隙に配置されるように第1のボイスコイルボビンに直接または間接的に接続される非マグネット部材とを含む。
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、振動系部材は、少なくとも一部が非マグネット部材で構成される振動板をさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、振動板に固着され、支持系部材は、空隙において振動板を振動可能に支持することを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートをさらに含み、第2のヨークは、第2のマグネットおよび磁気プレートの側方に配置され、当該第2のマグネットおよび当該磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するものであり、振動系部材は、第2の磁気回路に対して筐体の開口部側に配置される振動板をさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップを通って振動板と非マグネット部材とを接続し、第1のボイスコイルは、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップに配置されることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明に従属する発明であって、第1の磁気回路は、第1のマグネットの筐体の内部側に固着された磁気プレートをさらに含み、第1のヨークは、第1のマグネットおよび磁気プレートの側方に配置され、当該第1のマグネットおよび当該磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するものであり、振動系部材は、第2のボイスコイルと、非マグネット部材に固着され、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第2のボイスコイルを配置する第2のボイスコイルボビンとをさらに含む。
第5の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートをさらに含み、第2のヨークは、第2のマグネットおよび磁気プレートの側方に配置され、当該第2のマグネットおよび当該磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するものであり、振動系部材は、第2の磁気回路に対して筐体の開口部側に配置される振動板と、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップを通って振動板と非マグネット部材とを接続する接続部材とをさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置することを特徴とする。
第6の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第1および第2の磁気回路は、同構造の磁気回路であり、第2の磁気回路は、非マグネット部材に対して第1の磁気回路と対称に配置されることを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明に従属する発明であって、振動系部材は、第2のボイスコイルと、非マグネット部材に直接または間接的に接続され、第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに第2のボイスコイルを配置する第2のボイスコイルボビンとをさらに含み、第1のボイスコイルボビンは、第2の磁気回路に形成された磁気ギャップに第1のボイスコイルを配置することを特徴とする。
第8の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第1の磁気回路は、第1のマグネットの筐体の内部側に固着された磁気プレートと、磁気プレートの筐体の内部側に固着された第3のマグネットとをさらに含み、第1のヨークは、磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するように設けられ、第1のマグネットと第3のマグネットとは、振動系部材の振動方向であって、互いに反対方向に着磁されることを特徴とする。
第9の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートと、磁気プレートの開口部側に固着された第3のマグネットとをさらに含み、第2のヨークは、磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するように設けられ、第2のマグネットと第3のマグネットとは、振動系部材の振動方向であって、互いに反対方向に着磁されることを特徴とする。
第10の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第1の磁気回路は、第1のマグネットの筐体の内部側に固着された磁気プレートをさらに含み、第1のヨークは、磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するように設けられ、第1のマグネットは、振動系部材の振動方向に着磁されることを特徴とする。
第11の発明は、第1の発明に従属する発明であって、第2の磁気回路は、第2のマグネットの開口部側に固着された磁気プレートと、第2のヨークは、磁気プレートの側面との間に磁気ギャップを形成するように設けられ、第2のマグネットは、振動系部材の振動方向に着磁されることを特徴とする。
第12の発明は、第1の発明に従属する発明であって、スピーカ装置は、第1および第2の磁気回路で構成される磁気回路ユニットを複数備え、振動系部材は、磁気回路ユニットと同数の第1のボイスコイルと、各磁気回路ユニットにおける磁気ギャップに各第1のボイスコイルを1つずつ配置する、磁気回路ユニットと同数の第1のボイスコイルボビンと、各第1のボイスコイルボビンと固着され、少なくとも一部が非マグネット部材で構成される振動板とを含む。
第13の発明は、第1の発明に従属する発明であって、スピーカ装置は、振動系部材の位置を検出する位置検出部と、位置検出部で検出された振動系部材の位置に基づいて、非マグネット部材の振幅の中心が空隙に形成される磁場の釣り合う位置となるように、音響信号に直流成分を加えた信号を第1のボイスコイルに印加することによって当該振動系部材の振動を制御する制御部とをさらに備える。
第14の発明は、第13の発明に従属する発明であって、位置検出部は、レーザ変位計であることを特徴とする。
第15の発明は、第1の発明に従属する発明であって、支持系部材と固着されるフレームをさらに備え、振動系部材と、支持系部材と、第1および第2の磁気回路と、フレームとによって構成されるスピーカユニットは、フレームが開口部に固着されることによって開口部に取り付けられる。
第16の発明は、車両であって、第1から第15の発明のいずれかに記載のスピーカ装置と、スピーカ装置を内部に配置する車体とを備える。
第17の発明は、映像機器であって、第1から第15の発明のいずれかに記載のスピーカ装置と、スピーカ装置を内部に配置する機器筐体とを備える。
上記第1の発明によれば、第1および第2の磁気回路の空隙中に形成される磁場によって、振動部材に含まれる非マグネット部材はその変位を拡大する方向に力を受ける。したがって、ボイスコイルの駆動力によって非マグネット部材が振動する際、非マグネット部材の振幅は、当該空隙中の磁場によって増加される。これにより、筐体内部の音響スティフネスが緩和され、小型の筐体であっても、あたかも筐体容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。また、非マグネット部材が受ける上記力は、第1および第2の磁気回路が空隙中に形成する磁場によって発生する。つまり、非マグネット部材の厚みをある程度薄くしても、第1および第2の磁気回路が空隙中に形成する磁場によって十分な力が発生する。したがって、音響スティフネスを緩和する上記力を維持したまま、非マグネット部材を薄くすることによって軽量化を図ることができる。これにより、スピーカ装置の出力音圧レベルの低下を抑えることができる。また、第1および第2の磁気回路の少なくとも一方に形成された磁気ギャップに第1のボイスコイルが配置されることで、振動系部材が振動する。つまり、第1および第2の磁気回路は、自身が形成する磁場によって、非マグネット部材に対して変位を拡大する方向に力を与える役割と、第1のボイスコイルに駆動力を与える役割を果たすことができる。第1の発明によれば、非マグネット部材に対して力を与えるためのマグネットと、ボイスコイルに対して駆動力を与えるためのマグネットとを1つのマグネットで実現することができるので、スピーカ装置の部品点数を少なくすることができる。
上記第2の発明によれば、振動板の少なくとも一部が非マグネット部材で構成されることで、非マグネット部材の変位を拡大する力を高効率で振動板に伝えることができる。
上記第3の発明によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。
上記第4の発明によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。また、第1および第2のボイスコイルで振動系部材を駆動することで、スピーカ装置の出力音圧レベルを向上させることができる。
上記第5の発明によれば、振動板の音放射面側に第1および第2の磁気回路が配置されないので、指向性の良い再生音質を提供することができる。
上記第6の発明によれば、第1および第2の磁気回路の空隙には、その空隙中に配置される非マグネット部材に対して、振動方向に対称な磁界分布が形成されるので、磁界分布が非対称となることによって生じるひずみを小さくすることができる。
上記第7の発明によれば、第1および第2の磁気回路の両方に形成された磁気ギャップに第1および第2のボイスコイルがそれぞれ配置され、各ボイスコイルから駆動力が発生するので、駆動力増強による出力音圧レベルの向上を図ることができる。
上記第8および9の発明によれば、第1のマグネットおよび第2のマグネットと、第3のマグネットとが互いに反対方向に着磁されるので、より多くの磁束を磁気ギャップに集中させることができる。これにより、スピーカ装置の出力音圧レベルを向上させることができる。
上記第10および11の発明によれば、磁気回路に含まれるマグネットの数を少なく構成することができる。これにより、スピーカ装置の小型化や軽量化を図ることが可能となる。
上記第12の発明によれば、磁気回路ユニットを複数備えて、各磁気回路ユニットで振動板を駆動することで、スピーカ装置の出力音圧レベルを向上させることができる。また、振動板の分割共振の節となる位置に上記非マグネット部材を配置することで、分割共振を抑えることができる。つまり、振動板の剛性を上げなくても分割共振が抑えられるので、スピーカ装置の薄型化を図ることができる。また、分割共振を抑えることで、スピーカ装置の出力音圧の周波数特性を平坦化することができる。
上記第13および第14の発明によれば、スピーカ装置の周囲環境の変化(例えば、温度変化など)に関係なく、非マグネット部材が磁場の釣り合う位置を中心として振動することで、ひずみの少ない再生音質を提供することができる。
上記第15の発明によれば、例えばAVシステムなどで用いられる筐体とスピーカユニットを備えるスピーカ装置を実現することができる。
上記第16の発明によれば、スピーカ装置が車体内部に配置された車両を提供することができる。
上記第17の発明によれば、スピーカ装置が内部に配置された映像機器を提供することができる。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明における第1の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図1は、第1の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図1において、第1の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1およびスピーカユニット2aを備える。スピーカユニット2aは、例えば円形状のスピーカユニットであり、キャビネット1の前面(x軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。また、キャビネット1は、スピーカユニット2aに対して音響スティフネスを与える筐体である。スピーカユニット2aは、背面フレーム3a、前面フレーム4a、第1の磁気回路5a、第2の磁気回路6a、エッジ7a、ダンパー8a、振動板9a、ボイスコイルボビン10aおよびボイスコイル11aで構成される。
背面フレーム3aは、外周部分に対して内側部分が凸状に突起した形状である。背面フレーム3aは、その外周がキャビネット1の開口部に取り付けられ、キャビネット1の内部側に向いて凸形状となるように配置される。背面フレーム3aには、キャビネット1内部と通気する音孔3ahが形成されている。前面フレーム4aは、背面フレーム3aの外周部に固着される。前面フレーム4aには、音を前面に放射するための音孔4ahが形成されている。第1の磁気回路5aは、背面フレーム3aの底面(上記内側部分)の中央部に固着される。第2の磁気回路6aは、前面フレーム4aの背面側(x軸の負方向)中央部に固着され、空隙を介して第1の磁気回路5aと対向する位置に配置される。また、第1および第2の磁気回路5aおよび6aは、円柱状の外形を有しており、第2の磁気回路6aは、その中心軸が第1の磁気回路5aの中心軸と一致するように配置される。振動板9aは、第1の磁気回路5aと第2の磁気回路6aとの間の空隙中に配置される。振動板91aは、少なくとも一部が非マグネット部材91aで構成される。ボイスコイルボビン10aは、非マグネット部材91aの第1の磁気回路5a側に固着される筒状部材である。ボイスコイルボビン10aの外周面には、ボイスコイル11aが巻かれる。エッジ7aは、その外周が背面フレーム3aの外周に固着される。エッジ7aの内周は振動板9aの外周に固着される。なお、振動板9aおよびエッジ7aが一体のものを用いてもよい。ダンパー8aは、その外周が背面フレーム3aに固着される。ダンパー8aの内周は振動板9aの外周に固着される。スピーカユニット2aにおいて、振動板9a、ボイスコイルボビン10a、およびボイスコイル11aは、ボイスコイル11aに入力される電気信号によって振動する振動系部材である。また、エッジ7aおよびダンパー8aは、第1の磁気回路5aと第2の磁気回路6aとの間の空隙中で非マグネット部材91aが振動可能となるように、当該振動系部材を支持する支持系部材である。
第1の磁気回路5aは、ヨーク51a、第1のマグネット52a、磁気プレート53aおよび第2のマグネット54aを有する。ヨーク51aは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク51aの底面は、背面フレーム3aの底面の中央部に固着される。第1のマグネット52aは、円柱形状であり、ヨーク51aの前面側中央部に固着される。磁気プレート53aは、円柱形状であり、第1のマグネット52aの前面側に固着される。第2のマグネット54aは、円柱形状であり、磁気プレート53aの前面側に固着される。第1のマグネット52a、磁気プレート53aおよび第2のマグネット54aの各外周面とヨーク51aの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート53aの外周面とヨーク51aの内周面との間に形成される。なお、ボイスコイル11aは、非マグネット部材91aに固着されたボイスコイルボビン10aによって上記磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット52aおよび第2のマグネット54aは、それぞれ振動板9aの振動方向(x軸方向)に着磁される。第1のマグネット52aおよび第2のマグネット54aの着磁方向は、互いに反対である。
ここで、第2のマグネット54aは、自身の磁束を磁気プレート53aを介して磁気ギャップに通す。また、第2のマグネット54aは、第1のマグネット52aと反発する方向に着磁されているので、第1のマグネット52aの磁束がより集中して磁気ギャップに通るように作用する。つまり、第2のマグネット54aは、磁気ギャップ内の磁束密度を上げて、ボイスコイル11aの駆動力を増強させる。
第2の磁気回路6aは、ヨーク61aおよびマグネット62aを有する。ヨーク61aは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク61aの底面は、前面フレーム4aの背面側中央部に固着される。マグネット62aは、円柱形状であり、ヨーク61aの背面側中央部に固着される。ここで、上記第1の磁気回路5aと同様に、マグネット62aの外周面とヨーク61aの内周面との間には、間隙が形成される。なお、マグネット62aは振動板9aの振動方向に着磁される。マグネット62aの着磁方向は、第2のマグネット54aに対して同方向であってもよいし、反対方向であってもよい。
振動板9aは、少なくとも一部が非マグネット部材91aで構成される。当該非マグネット部材91aは、マグネット以外の磁性体である。非マグネット部材91aとしては、マグネットほど強い保磁力を持たない、例えば鉄やパーマロイなどの磁性体が挙げられる。また、非マグネット部材91aは、第1および第2の磁気回路の空隙中に配置されればよい。したがって、例えば振動板9aの全面が非マグネット部材91aで構成されてもよい。また、上記第1および第2の磁気回路で形成される間隙を振動板9aに対して垂直に投影させた領域は、環状の領域となる。当該環状の領域付近の磁場は、非マグネット部材91aに対して、後述する離反力を最も強く発生させることができる。したがって、振動板9aの当該環状の領域が非マグネット部材91aで構成されることが好ましい。また例えば、振動板9aにおいて、ヨーク51aまたはヨーク61aの円形状に相当する部分が非マグネット部材91aで構成されてもよい。なお、具体的な振動板9aおよび非マグネット部材91aの構造例としては、非磁性体の振動板9aの両面または片面に、平板状の上記非マグネット部材91aが接合される構造が考えられる。
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。ボイスコイル11aに電気信号が印加されると、ボイスコイル11aに流れる電流と磁気ギャップに形成された磁界とにより駆動力が発生する。当該駆動力が振動板9aを振動させて音が発生する。これは動電型スピーカの基本的な動作である。
少なくとも一部が非マグネット部材91aで構成された振動板9aは、第1の磁気回路5aと第2の磁気回路6aとの間の空隙中を振動する。振動板9aの振動方向は、前背面方向(x軸方向)である。このとき、非マグネット部材91aは、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、振動板9aの振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。例えば、振動板9aが第1の磁気回路5a側に変位したとき、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、非マグネット部材91aはその変位を拡大する方向に力を受ける。ここで、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって非マグネット部材91aに働く引力は、第1の磁気回路5aと第2の磁気回路6aとの間で釣り合う。以下、上記引力が釣り合う空隙中の位置を平衡位置と記載する。非マグネット部材91aが第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、平衡位置から離反する方向の離反力を受けながら、振動板9aが振動することとなる。
一方、キャビネット1、振動板9aおよびエッジ7aで仕切られた空室の音響スティフネスは、そのバネ力によって振動板9aの振動を抑制する。このバネ力は、上記空室の容積が小さいほど大きくなり、振動板9aの振動も大きく抑制される。これに対して、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって生じる上記離反力は、音響スティフネスによって受けるバネ力を打ち消す方向に作用する。換言すれば、上記離反力は、音響スティフネスを減少させる負スティフネスとして作用する。つまり、振動板9aの非マグネット部材91a、第1の磁気回路5aおよび第2の磁気回路6aは、負スティフネスを発生させる機構(負スティフネス発生機構)としての役割をもつことになる。これにより、振動板9aは、上記音響スティフネスによる抑制が緩和され、振動しやすくなる。そして、振動板9aは、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、スピーカユニット2aの最低共振周波数は低くなる。その結果、低音域の再生限界を拡大することができる。
以上のように、上記負スティフネス発生機構は、キャビネット1、振動板9aおよびエッジ7aで仕切られた空室の音響スティフネスの影響を緩和する。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、小型のキャビネットであっても、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。
また、上記負スティフネス発生機構は、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって非マグネット部材91aが離反力を受ける構造である。そして、その構造上、非マグネット部材91aの厚みをある程度薄くしても、当該非マグネット部材91aに十分な離反力を発生させることができる。したがって、本実施形態では、振動板9aに接合される非マグネット部材91aは薄くすることができるので、可動マグネット113を用いた従来のスピーカ装置と比べ、振動系重量を大幅に軽量化することができる。その結果、本実施形態に係るスピーカ装置では、スピーカユニット2aの出力音圧レベルの低下を抑えることができる。
また、上記第1の磁気回路5aは音を発生させるための動電型変換器としての役割を果たし、負スティフネス機構は当該第1の磁気回路5aを一部共有している。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、負スティフネス発生機構を構成する磁気回路を全部新たに設ける場合と比べ、マグネットの体積増大によるスピーカユニットの大型化、作業コストおよび価格コストを抑えることができる。
なお、上述した第1の磁気回路5aは、図2に示す第1の磁気回路5bとしてもよい。図2は、第1の磁気回路5bで構成されるスピーカユニット2bを用いたスピーカ装置の構造断面図である。図2において、背面フレーム3bは、第1の磁気回路5bが固着される中央部の形状のみ、上述した背面フレーム3aと異なるフレームである。第1の磁気回路5bは、背面フレーム3bの底面の中央部に固着される。
第1の磁気回路5bは、ヨーク51b、マグネット54bおよび磁気プレート53bを有する。磁気プレート53bは、円柱形状であり、背面フレーム3bの底面の中央部に固着される。マグネット54bは、円柱形状であり、磁気プレート53bの前面側に固着される。磁気ギャップは、磁気プレート53bの外周面とヨーク51bの内周面との間に形成される。なお、マグネット54bは、振動板9aの振動方向に着磁される。マグネット52bの着磁方向は、マグネット62aに対して同方向であってもよいし、反対方向であってもよい。ヨーク51bは、リング形状であり、その内周に磁気プレート53bおよびマグネット54bが配置されるように、背面フレーム3bの底面に固着される。また図2において、第1の磁気回路5b、第2の磁気回路6aおよび非マグネット部材91aが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。
以上のように、上述した第1の磁気回路5aを図2に示す第1の磁気回路5bに置換してもよい。この場合、スピーカユニット2bは、マグネットの数を少なく構成できるので、コスト面で有利である。
なお、図1において、第1の磁気回路5aおよび第2の磁気回路6aの配置が入れ換わった形態でもよい。この場合、ボイスコイルボビン10aは、非マグネット部材91aの前面側に固着され、ボイスコイルを第1の磁気回路5aの磁気ギャップ内に配置する。また、図2においても同様に、第1の磁気回路5bおよび第2の磁気回路6aの配置が入れ換わった形態でもよい。また、スピーカユニット2aおよび2bは、例えば円形状のスピーカユニットとしたが、楕円形状、矩形形状、および細長形状などの形状を有するスピーカユニットであってもよい。また、矩形の対向する2辺のみを半円に置換した、レーストラックのような形状(以下、トラック形状と記載する)であってもよい。また、スピーカユニット2aおよび2bに含まれるマグネット、ヨーク、磁気プレートおよび振動板などの形状についても、スピーカユニット2aおよび2bの形状に合わせて適宜設定してもよいことは言うまでもない。例えば、矩形形状のスピーカユニットであれば、振動板を矩形形状とし、マグネットを四角柱状としてもよい。
(第2の実施形態)
図3を参照して、本発明における第2の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図3は、第2の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図3において、第2の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1およびスピーカユニット2cを備える。スピーカユニット2cは、例えば円形状のスピーカユニットであり、キャビネット1の前面(x軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。また、キャビネット1は、スピーカユニット2cに対して音響スティフネスを与える筐体である。また、スピーカユニット2cにおいて、第1の実施形態に係るスピーカユニット2aと異なる点は、第1および第2の磁気回路の両方が磁気ギャップを形成する点と、ボイスコイルボビンおよびボイスコイルを2個備える点である。以下、スピーカユニット2cの構造について説明する。
スピーカユニット2cは、背面フレーム3c、前面フレーム4c、第1の磁気回路5c、第2の磁気回路6c、エッジ7c、ダンパー8c、振動板9c、第1のボイスコイルボビン10c、第1のボイスコイル11c、第2のボイスコイルボビン12cおよび第2のボイスコイル13cで構成される。
背面フレーム3cは、外周部分に対して内側部分が凸状に突起した形状である。背面フレーム3cは、その外周がキャビネット1の開口部に取り付けられ、キャビネット1の内部側に向いて凸形状となるように配置される。背面フレーム3cには、キャビネット1内部と通気する音孔3chが形成されている。前面フレーム4cは、背面フレーム3cの外周部に固着される。前面フレーム4cには、音を前面に放射するための音孔4chが形成されている。第1の磁気回路5cは、背面フレーム3cの底面(上記内側部分)の中央部に固着される。第2の磁気回路6cは、前面フレーム4cの背面側(x軸の負方向)中央部に固着され、空隙を介して第1の磁気回路5cと対向する位置に配置される。また、第1および第2の磁気回路5cおよび6cは、円柱状の外形を有しており、第2の磁気回路6cは、その中心軸が第1の磁気回路5cの中心軸と一致するように配置される。振動板9cは、第1の磁気回路5cと第2の磁気回路6cとの間の空隙中に配置される。振動板9cは、少なくとも一部が非マグネット部材91cで構成される。第1のボイスコイルボビン10cは、非マグネット部材91cの第1の磁気回路5c側に固着される筒状部材である。第1のボイスコイルボビン10cの外周面には、第1のボイスコイル11cが巻かれる。第2のボイスコイルボビン12cは、非マグネット部材91cの第2の磁気回路6c側に固着される筒状部材である。第2のボイスコイルボビン12cの外周面には、第2のボイスコイル13cが巻かれる。エッジ7cは、その外周が背面フレーム3cの外周に固着される。エッジ7cの内周は振動板9cの外周に固着される。なお、振動板9cおよびエッジ7cが一体のものを用いてもよい。ダンパー8cは、その外周が背面フレーム3cに固着される。ダンパー8cの内周は振動板9cの外周に固着される。スピーカユニット2cにおいて、振動板9cと、第1および第2のボイスコイルボビンと、第1および第2のボイスコイルとは、入力される電気信号によって振動する振動系部材である。また、エッジ7cおよびダンパー8cは、第1の磁気回路5cと第2の磁気回路6cとの間の空隙中で非マグネット部材91cが振動可能となるように、当該振動系部材を支持する支持系部材である。
第1の磁気回路5cは、ヨーク51c、第1のマグネット52c、磁気プレート53cおよび第2のマグネット54cを有する。ヨーク51cは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク51cの底面は、背面フレーム3cの底面の中央部に固着される。第1のマグネット52cは、円柱形状であり、ヨーク51cの前面側中央部に固着される。磁気プレート53cは、円柱形状であり、第1のマグネット52cの前面側に固着される。第2のマグネット54cは、円柱形状であり、磁気プレート53cの前面側に固着される。第1のマグネット52c、磁気プレート53cおよび第2のマグネット54cの各外周面とヨーク51cの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート53cの外周面とヨーク51cの内周面との間に形成される。なお、第1のボイスコイル11cは、非マグネット部材91cに固着された第1のボイスコイルボビン10cによって、第1の磁気回路5cに形成された磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット52cおよび第2のマグネット54cは、それぞれ振動板9cの振動方向(x軸方向)に着磁される。第1のマグネット52cおよび第2のマグネット54cの着磁方向は、互いに反対である。
ここで、第2のマグネット54cは、自身の磁束を磁気プレート53cを介して磁気ギャップに通す。また、第2のマグネット54cは、第1のマグネット52cと反発する方向に着磁されているので、第1のマグネット52cの磁束がより集中して磁気ギャップに通るように作用する。つまり、第2のマグネット54cは、磁気ギャップ内の磁束密度を上げて、第1のボイスコイル11cの駆動力を増強させる。
第2の磁気回路6cは、ヨーク61c、第1のマグネット62c、磁気プレート63cおよび第2のマグネット64cを有する。ヨーク61cは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク61cの底面は、前面フレーム4cの背面側中央部に固着される。第1のマグネット62cは、円柱形状であり、ヨーク51cの背面側中央部に固着される。磁気プレート63cは、円柱形状であり、第1のマグネット62cの背面側に固着される。第2のマグネット64cは、円柱形状であり、磁気プレート63cの背面側に固着される。ここで、上記第1の磁気回路5cと同様に、第1のマグネット62c、磁気プレート63cおよび第2のマグネット64cの各外周面とヨーク61cの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート63cの外周面とヨーク61cとの間に形成される。なお、第2のボイスコイル13cは、非マグネット部材91cに固着された第2のボイスコイルボビン12cによって、第2の磁気回路6cに形成された磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット62cおよび第2のマグネット64cはそれぞれ振動板9cの振動方向に着磁される。第1のマグネット62cおよび第2のマグネット64cの着磁方向は互いに反対である。なお、第2のマグネット64cは、上述した第2のマグネット54cと同様に、第2のボイスコイル13cの駆動力を増強させる。
ここで、第2のマグネット54cおよび第2のマグネット64cの着磁方向と、第1および第2のボイスコイルの巻き方向とについて説明する。第2のマグネット54cの着磁方向を第2のマグネット64cと同方向とする場合は、第1および第2のボイスコイルの巻き方向を互いに反対方向となるように設定する。第2のマグネット54cの着磁方向を第2のマグネット64cと反対方向とする場合は、第1および第2のボイスコイルの巻き方向を互いに同方向となるように設定する。これにより、第1および第2のボイスコイルに電流が印加されたとき、同方向の駆動力が得られる。
振動板9cは、上述した第1の実施形態と同様に、少なくとも一部が非マグネット部材91cで構成される。当該非マグネット部材91cは、マグネット以外の磁性体である。非マグネット部材91cの位置、振動板9cの構造は、上述した第1の実施形態における振動板9aおよび非マグネット部材91aと同様であるので説明を省略する。
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。第1のボイスコイル11cおよび第2のボイスコイル13cに電気信号が印加されると、各ボイスコイルに流れる電流と各磁気ギャップに形成された磁界とにより、同方向の駆動力がそれぞれ発生する。そして、当該各駆動力が振動板9cを振動させて音が発生する。
少なくとも一部が非マグネット部材91cで構成された振動板9cは、第1の磁気回路5cと第2の磁気回路6cとの間の空隙中を振動する。振動板9cの振動方向は、前背面方向(x軸方向)である。このとき、非マグネット部材91cは、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、振動板9cの振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。つまり、本実施形態においては、非マグネット部材91c、第1の磁気回路5cおよび第2の磁気回路6cが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。なお、負スティフネス発生機構については、上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。この負スティフネス発生機構によって、振動板9cは、キャビネット1、振動板9cおよびエッジ7cで仕切られた空室の音響スティフネスによる抑制が緩和され、振動しやすくなる。つまり、振動板9cは、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、スピーカユニット2cの最低共振周波数は低くなる。その結果、低音域の再生限界を拡大することができる。
以上のように、上記負スティフネス発生機構は、キャビネット1、振動板9cおよびエッジ7cで仕切られた空室の音響スティフネスの影響を緩和する。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、小型のキャビネットであっても、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。
また、本実施形態に係るスピーカユニット2cは、第1および第2のボイスコイルにそれぞれ駆動力が発生するので、第1の実施形態と比べて駆動力が増している。その結果、本実施形態では、更なる出力音圧レベルの向上を図ることができる。
また、本実施形態に係るスピーカユニット2cは、第1および第2の磁気回路が非マグネット部材91cを挟んで対称構造となる。これにより、第1および第2の磁気回路の空隙には、その空隙の平衡位置から振動方向に対称な磁界分布が形成されるので、磁界分布が非対称となることによって生じるひずみを小さくすることができる。
なお、第1の実施形態と同様に、上述した第1および第2の磁気回路は、それぞれ図4に示す第1の磁気回路5dおよび第2の磁気回路6dとしてもよい。図4は、第1の磁気回路5dおよび第2の磁気回路6dで構成するスピーカユニット2dを用いたスピーカ装置の構造断面図である。図4において、前面フレーム4dは、第2の磁気回路6dが固着される中央部の形状のみが第1の実施形態で説明した前面フレーム4aと異なるフレームである。背面フレーム3dは、第1の磁気回路5dが固着される中央部の形状のみが上述した背面フレーム3cと異なるフレームである。第1の磁気回路5dは、背面フレーム3dの底面の中央部に固着される。第2の磁気回路6dは、前面フレーム4dの背面側中央部に固着される。
第1の磁気回路5dは、ヨーク51d、マグネット54dおよび磁気プレート53dを有する。磁気プレート53dは、円柱形状であり、背面フレーム3dの底面の中央部に固着される。マグネット54dは、円柱形状であり、磁気プレート53dの前面側に固着される。ヨーク51dは、リング形状であり、その内周に磁気プレート53dおよびマグネット54dが配置されるように、背面フレーム3dの底面に固着される。磁気ギャップは、磁気プレート53dの外周面とヨーク51dの内周面との間に形成される。なお、マグネット54dは、振動板9cの振動方向に着磁される。
第2の磁気回路6dは、ヨーク61d、マグネット64dおよび磁気プレート63dを有する。磁気プレート63dは、円柱形状であり、前面フレーム4dの背面側中央部に固着される。マグネット64dは、円柱形状であり、磁気プレート63dの背面側に固着される。ヨーク61dは、リング形状であり、その内周に磁気プレート63dおよびマグネット64dが配置されるように、前面フレーム4dの背面側に固着される。磁気ギャップは、磁気プレート63dの外周面とヨーク61dの周面との間に形成される。なお、マグネット64dは、振動板9cの振動方向に着磁される。また図4において、第1の磁気回路5d、第2の磁気回路6dおよび非マグネット部材91cが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。
以上のように、第1および第2の磁気回路は、それぞれ図4に示す第1の磁気回路5dおよび第2の磁気回路6dとしてもよい。この場合、スピーカユニット2dは、スピーカユニット2cと比べて、マグネットの構成数が少なく、コスト面で有利である。
また、スピーカユニット2cおよび2dは、例えば円形状のスピーカユニットとしたが、上述した第1の実施形態同様に、楕円形状、トラック形状、矩形形状、細長形状などの形状を有するスピーカユニットであってもよい。各スピーカユニットに含まれる部品(例えばマグネットなど)の形状についても、上述した第1の実施形態と同様である。
(第3の実施形態)
図5を参照して、本発明における第3の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図5は、第3の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図5において、第3の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1およびスピーカユニット2eを備える。スピーカユニット2eは、例えば円形状のスピーカユニットであり、キャビネット1の前面(x軸の正方向)に形成された開口部に取り付けられる。また、キャビネット1は、スピーカユニット2eに対して音響スティフネスを与える筐体である。また、スピーカユニット2eにおいて、第2の実施形態に係るスピーカユニット2cと異なる点は、第2の磁気回路が第1の磁気回路との空隙中に配置された支柱によって支持されることで前面フレームが不要であり、従来のスピーカユニットと外観が変わらない点と、磁性体は振動板の一部を構成せず、ボイスコイルボビンに固着される点である。以下、スピーカユニット2eの構造について説明する。
スピーカユニット2eは、背面フレーム3e、第1の磁気回路5e、第2の磁気回路6e、エッジ7e、ダンパー8e、振動板9e、第1のボイスコイルボビン10e、第1のボイスコイル11e、第2のボイスコイルボビン12e、第2のボイスコイル13e、非マグネット部材15eおよび支柱16eで構成される。
背面フレーム3eは、外周部分に対して内側部分が凸状に突起した形状である。背面フレーム3eは、その外周がキャビネット1の開口部に取り付けられ、キャビネット1の内部側に向いて凸形状となるように配置される。背面フレーム3eには、キャビネット1内部と通気する音孔3ehが形成されている。第1の磁気回路5eは、背面フレーム3eの底面(上記内側部分)の中央部に固着される。第2の磁気回路6eは、支柱16eを介して第1の磁気回路5eと対向する位置に配置される。また、第1および第2の磁気回路5eおよび6eは、円柱状の外形を有しており、磁気回路6eは、その中心軸が第1の磁気回路5eの中心軸と一致するように配置される。非マグネット部材15eは、リング状の平板であり、マグネットを含まない磁性体である。非マグネット部材15eは、第1の磁気回路5eと第2の磁気回路6eとの間の空隙中に配置される。なお、支柱16eは、非マグネット部材15eの内周部の開孔に位置している。第1のボイスコイルボビン10eは、非マグネット部材15eの第1の磁気回路5e側に固着される筒状部材である。第1のボイスコイルボビン10eの外周面には、第1のボイスコイル11eが巻かれる。第2のボイスコイルボビン12eは、その一方端が非マグネット部材15eの第2の磁気回路6e側に固着される筒状部材である。第2のボイスコイルボビン12eの他方端の外周面には、第2のボイスコイル13eが巻かれる。振動板9eは、その内周に第2のボイスコイルボビン12eの他方端が固着される。エッジ7eは、その外周が背面フレーム3eの外周近傍に固着される。エッジ7eの内周は振動板9eの外周に固着される。なお、振動板9eおよびエッジ7eが一体のものを用いてもよい。ダンパー8eは、その外周が背面フレーム3eに固着される。ダンパー8eの内周は、振動板9eの外周に固着される。スピーカユニット2eにおいて、振動板9eと、第1および第2のボイスコイルボビンと、非マグネット部材15eと、第1および第2のボイスコイルとは、入力される電気信号によって振動する振動系部材である。また、エッジ7eおよびダンパー8eは、第1の磁気回路5eと第2の磁気回路6eとの間の空隙中で非マグネット部材15eが振動可能となるように、当該振動系部材を支持する支持系部材である。ダストキャップ14eは、振動板9eの一部である。
第1の磁気回路5eは、ヨーク51e、マグネット54eおよび磁気プレート53eを有する。磁気プレート53eは、円柱形状であり、背面フレーム3eの底面の中央部に固着される。マグネット54eは、円柱形状であり、磁気プレート53eの前面側に固着される。ヨーク51eは、リング形状であり、その内周に磁気プレート53eおよびマグネット54eが配置されるように、背面フレーム3eの前面側に固着される。磁気プレート53eおよびマグネット54eの各外周面とヨーク51eの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、磁気プレート53eの外周面とヨーク51eの内周面との間に形成される。なお、マグネット54eは、振動板9eおよび非マグネット部材15eの振動方向(x軸方向)に着磁される。また、第1のボイスコイル11eは、非マグネット部材15eに固着された第1のボイスコイルボビン10eによって、第1の磁気回路5eに形成された磁気ギャップ中に配置される。
第2の磁気回路6eは、ヨーク61e、磁気プレート63eおよびマグネット64eを有する。ヨーク61eは、その外周面が背面フレーム3eに固着されるリング形状のヨークである。マグネット64eは、円柱形状であり、マグネット54eに固着された支柱16eに固着される。つまり、マグネット64eは、支柱16eによって、マグネット54eと対向する位置に配置される。磁気プレート63eは、円柱形状であり、マグネット64eの前面側に固着される。磁気プレート63eおよびマグネット64eの各外周面とヨーク1eの内周面との間には、第2のボイスコイルボビン12eが貫通可能な間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート63eの外周面とヨーク61eの内周面との間に形成される。なお、マグネット64eは、振動板9eおよび非マグネット部材15eの振動方向に着磁される。また、第2のボイスコイル13eは、非マグネット部材15eに固着された第2のボイスコイルボビン12eによって、第2の磁気回路6eに形成された磁気ギャップ中に配置される。
ここで、マグネット54eおよびマグネット64eの着磁方向と、第1および第2のボイスコイルの巻き方向とについて説明する。マグネット54eの着磁方向をマグネット64eと同方向とする場合は、第1および第2のボイスコイルの巻き方向を互いに反対方向となるように設定する。マグネット54eの着磁方向をマグネット64eと反対方向とする場合は、第1および第2のボイスコイルの巻き方向を互いに同方向となるように設定する。これにより、第1および第2のボイスコイルに電流が印加されたとき、同方向の駆動力が得られる。
非マグネット部材15eは、リング状の平板であり、マグネットを含まない磁性体である。また、非マグネット部材15eは、第1および第2の磁気回路の空隙中に配置されればよい。したがって、非マグネット部材15eは、例えばヨーク51またはヨーク61の円形状に相当するものであってもよい。また、上記第1および第2の磁気回路で形成される間隙を非マグネット部材15eに対して垂直に投影させた領域は、環状の領域となる。当該環状の領域付近の磁場は、非マグネット部材15eに対して、離反力を最も強く発生させることができる。したがって、非マグネット部材15eが当該環状の領域に相当するものであればより好ましい。
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。第1のボイスコイル11eおよび第2のボイスコイル13eに電気信号が印加されると、各ボイスコイルに流れる電流と各磁気ギャップに形成された磁界とにより、同方向の駆動力がそれぞれ発生する。そして、当該各駆動力が振動板9eを振動させて音が発生する。
第1および第2のボイスコイルボビン固着された非マグネット部材15eは、第1の磁気回路5eと第2の磁気回路6eとの間の空隙中を振動する。非マグネット部材15eの振動方向は、前背面方向(x軸方向)である。このとき、非マグネット部材15eは、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、非マグネット部材15eの振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。つまり、本実施形態においては、非マグネット部材15e、第1の磁気回路5eおよび第2の磁気回路6eが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。なお、負スティフネス発生機構については、上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。この負スティフネス発生機構によって、非マグネット部材15eおよび振動板9eは、キャビネット1、振動板9eおよびエッジ7eで仕切られた空室の音響スティフネスによる抑制が緩和され、振動しやすくなる。つまり、振動板9eは、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、スピーカユニット2eの最低共振周波数は低くなる。その結果、低音域の再生限界を拡大することができる。
以上のように、上記負スティフネス発生機構は、キャビネット1、振動板9eおよびエッジ7eで仕切られた空室の音響スティフネスの影響を緩和する。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、小型のキャビネットであっても、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。
また、本実施形態では、上述した第2の実施形態と比べて、振動板9eの前面にフレームがないので、音質が阻害されないという利点がある。
また、本実施形態に係るスピーカユニット2eは、上述した第2の実施形態と同様に第1および第2の磁気回路が非マグネット部材15eを挟んで対称構造となる。これにより、第1および第2の磁気回路の空隙には、その空隙の平衡位置から振動方向に対称な磁界分布が形成されるので、磁界分布が非対称となることによって生じるひずみを小さくすることができる。
なお、上述した本実施形態において、磁気プレート53e、第1のボイスコイルボビン10eおよびボイスコイル11eとを省略してもよい。また、磁気プレート63eおよび第2のボイスコイル13eを省略してもよい。このとき、第2のボイスコイルボビン12eは、非マグネット部材15eと振動板14eとを接続する接続部材としての役割を果たす。この場合では、本実施形態のスピーカユニット2eと比べて、マグネットの構成数を減らすことができ、コスト面で有利である。
また、スピーカユニット2eは、例えば円形状のスピーカユニットとしたが、上述した第1の実施形態同様に、楕円形状、トラック形状、矩形形状、細長形状などの形状を有するスピーカユニットであってもよい。各スピーカユニットに含まれる部品(例えばマグネットなど)の形状についても、上述した第1の実施形態と同様である。
(第4の実施形態)
図6および図7を参照して、本発明における第4の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図6は、第4の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図7は、第4の実施形態に係るスピーカ装置の斜視図である。
図6において、第4の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的に背面フレーム3f、駆動部201f、駆動部201g、エッジ7f、振動板9f、アーム17fおよびアーム17gを備える。背面フレーム3fは、上面(y軸の正方向)に開口部が形成された筐体である。駆動部201fは、背面フレーム3f内部に形成された凸形状のガイド18fに固着される。駆動部201gは、もう一方のガイド18gに固着される。なお、駆動部201gは駆動部201fと同様の構成とし、詳細な説明を省略する。振動板9fは、駆動部201fおよび201gにおいて共通に用いられる振動板であり、トラック形状を有する。また、振動板9fは、少なくとも一部が非マグネット部材91fおよび非マグネット部材91gで構成される。エッジ7fは、その外周が背面フレーム3fの上面に形成された開口部に固着される。また、エッジ7fの内周は、振動板9fの外周に固着される。なお、振動板9fおよびエッジ7fが一体のものを用いてもよい。また、背面フレーム3fの上面から見た形状は、例えば図7に示すように、トラック形状である。また、背面フレーム3fは、駆動部201fおよび201gに対して、音響スティフネスを与える筐体である。また、本実施形態において、上述した第1〜3の実施形態と異なる点は、キャビネットに代わりにフレームが音響スティフネスを与える筐体である点と、複数の磁気回路(駆動部)を用いて振動板を多点駆動する点である。以下、駆動部201fの構造を中心に説明する。
駆動部201fは、第1の磁気回路5f、第2の磁気回路6f、ボイスコイルボビン10fおよびボイスコイル11fを有する。第1の磁気回路5fは、背面フレーム3f内部に形成された凸形状のガイド18fに固着される。アーム17fは、アーチ形状であり、背面フレーム3fに固着される。第2の磁気回路6fは、アーム17fに固着され、第1の磁気回路5fと対向する位置に配置される。また、第1の磁気回路5fと対向する面での第2の磁気回路6fの中心軸は、第1の磁気回路5fの中心軸と一致する。ボイスコイルボビン10fは、非マグネット部材91fの第1の磁気回路5f側に固着される筒状部材である。ボイスコイルボビン10fの外周面には、ボイスコイル11fが巻かれる。ここで、振動板9fは、それぞれの駆動部201fおよび201gにおける第1および第2の磁気回路の空隙中に配置される。本実施形態では、振動板9fと、非マグネット部材91fおよび91gと、ボイスコイルボビン10fおよびボイスコイル11fと、駆動部201gのボイスコイルボビン10fおよびボイスコイル11fとは、入力される電気信号によって振動する振動系部材である。エッジ7fは、第1および第2の磁気回路の空隙中で非マグネット部材91fおよび非マグネット部材91gが振動可能となるように、上記振動系部材を支持する支持系部材である。
第1の磁気回路5fは、ヨーク51f、第1のマグネット52f、磁気プレート53fおよび第2のマグネット54fを有する。ヨーク51fは、円筒状の側面を有し、当該側面の一方端に底面が形成されるとともに他方端が開口した形状である。ヨーク51fは、背面フレーム3f内部に形成された凸形状のガイド18fに固着される。第1のマグネット52fは、円柱形状であり、ヨーク51fの上面側中央部に固着される。磁気プレート53fは、円柱形状であり、第1のマグネット52fの上面に固着される。第2のマグネット54fは、円柱形状であり、磁気プレート53fの上面に固着される。第1のマグネット52f、磁気プレート53fおよび第2のマグネット54fの各外周面とヨーク51fの内周面との間には、間隙が形成される。磁気ギャップは、当該間隙において、磁気プレート53fの外周面とヨーク51fの内周面との間に形成される。なお、ボイスコイル11fは、非マグネット部材91fに固着されたボイスコイルボビン10fによって、上記磁気ギャップ中に配置される。また、第1のマグネット52fおよび第2のマグネット54fは、それぞれ振動板9fの振動方向に着磁される。第1のマグネット52fおよび第2のマグネット54fの着磁方向は、互いに反対である。
ここで、第2のマグネット54fは、自身の磁束を磁気プレート53fを介して磁気ギャップに通す。また、第2のマグネット54fは、第1のマグネット52fに対して反発する方向に着磁されているので、第1のマグネット52fの磁束がより集中して磁気ギャップに通るように作用する。つまり、第2のマグネット54fは、磁気ギャップ内の磁束密度を上げて、ボイスコイル11fの駆動力を増強させる。
第2の磁気回路6fは、ヨーク61fおよびマグネット62fを有する。ヨーク61fは、円形の底面と円筒状の側面とを有する。そして、円形の底面と逆側には開口部が形成される。ヨーク61fは、アーム17fに固着される。マグネット62fは、円柱形状であり、ヨーク61fの下面側中央部に固着される。ここで、上記第1の磁気回路5fと同様に、マグネット62fの外周面とヨーク61の内周面との間には、間隙が形成される。なお、マグネット62fは、振動板9fの振動方向(y軸方向)に着磁される。マグネット62fの着磁方向は、第2のマグネット54fに対して同方向であってもよいし、反対方向であってもよい。
振動板9fは、駆動部201fおよび201gにおいて共通に用いられる振動板であり、トラック形状を有する。また、振動板9fは、少なくとも一部が非マグネット部材91fおよび非マグネット部材91gで構成される。図6において、非マグネット部材91fおよび91gは、それぞれの駆動部201fおよび201gにおける第1および第2の磁気回路の空隙中に配置されるように、振動板9fに接合される例えば円形状の平板である。なお、上記第1および第2の磁気回路で形成される間隙を振動板9fに対して垂直に投影させた領域は、環状の領域となる。当該環状の領域付近の磁場は、非マグネット部材91fに対して、離反力を最も強く発生させることができる。したがって、非マグネット部材91fが当該環状の領域に相当するものであればより好ましい。また例えば、非マグネット部材91fは、ヨーク51fまたはヨーク61fの円形状に相当するものであってもよい。非マグネット部材91gについても非マグネット部材91fと同様である。また例えば、振動板9fの全面が非マグネット部材91fで構成されてもよい。
次に、本実施形態に係るスピーカ装置の動作について説明する。駆動部201fにおいて、ボイスコイル11fに電気信号が印加されると、ボイスコイル11fに流れる電流と磁気ギャップに形成された磁界とにより駆動力が発生する。当該駆動力が振動板9fを振動させて音が発生する。駆動部201gにおいても、駆動部201fと同様にして振動板9fを振動させる。以下、駆動部201fの動作について説明する。
非マグネット部材91fを含む振動板9fは、第1の磁気回路5fと第2の磁気回路6fとの間の空隙中を振動する。振動板9fの振動方向は、上下方向(y軸方向)である。このとき、非マグネット部材91fは、第1および第2の磁気回路が形成する磁場によって、振動板9fの振動に応じて交互にその振動方向の引力を受ける。つまり、本実施形態においては、非マグネット部材91f、第1の磁気回路5fおよび第2の磁気回路6fが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。駆動部201gについては、非マグネット部材91g、第1および第2の磁気回路に相当するものが負スティフネス発生機構としての役割を果たす。負スティフネス発生機構については、上述した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。この負スティフネス発生機構によって、駆動部201fおよび201gは、背面フレーム3f、振動板9fおよびエッジ7fで仕切られた空室の音響スティフネスによる抑制が緩和され、振動しやすくなる。つまり、振動板9fは、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、駆動部201fおよび201gの最低共振周波数はそれぞれ低くなる。その結果、低音域の再生限界は拡大される。
以上のように、上記負スティフネス発生機構は、背面フレーム3f、振動板9fおよびエッジ7fで仕切られた空室の音響スティフネスの影響を緩和する。これにより、本実施形態に係るスピーカ装置は、小型のキャビネットであっても、あたかもキャビネット容積が大きくなったように動作し、低音域の再生限界を拡大することができる。
また、本実施形態では、トラック形状の振動板9fに対して、駆動部201fおよび201gの2点で振動板9fが駆動される。ここで、振動板の外周のいずれかの点と振動板の重心との距離に大きな差がある形状(例えば、トラック形状や楕円形状など)の場合においては、分割共振が発生しやすいという問題がある。このため、コーン形状などの振動板を用いて振動板の剛性をあげる必要がある。しかし、例えば薄型スピーカにおいては、コーン形状の深さを深くすることができず、剛性を上げることが困難である。本実施形態によれば、例えば、振動板9fを駆動する駆動部201fおよび201gの位置を上記分割共振の節となる位置に配置することで、振動板9fの剛性が高くなくても分割共振を抑えることができる。したがって、コーン形状の振動板であっても分割共振が抑えられるので、更なる薄型スピーカを実現することができる。
また、本実施形態では、駆動部201fおよび201gのボイスコイルは1個であったが、ボイスコイルをさらに追加してもよい。この場合、第2の磁気回路6fと駆動部201gの第2の磁気回路とに磁気ギャップが形成されるように、それぞれ磁気プレートおよびマグネットを追加する。これにより、駆動部201fおよび201gの駆動力が増加し、出力音圧レベルを向上させることができる。
なお、本実施形態では、駆動部201fおよび201gの2点で振動板9fを駆動したが、さらにスピーカユニットを追加して駆動点を3点以上としてもよい。また、振動板9fおよび背面フレーム3fの形状は、矩形形状や楕円形状などの形状であってもよい。また、ヨーク、磁気プレート、マグネットなどは円柱状に限定されず、適宜他の形状(例えば四角柱など)としてもよい。また、本実施形態における第1および第2の磁気回路は、第1〜第3の実施形態で説明した磁気回路のいずれかの構成であってもよい。
(第5の実施形態)
図8を参照して、本発明における第5の実施形態に係るスピーカ装置について説明する。図8は、第5の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図である。図8において、第5の実施形態に係るスピーカ装置は、大略的にキャビネット1、スピーカユニット2hおよび制御回路20hを備える。本実施形態において、上述した第1〜4の実施形態と異なる点は、レーザ変位計および制御回路を新たに備える点である。
スピーカユニット2hは、キャビネット1の前面に形成された開口部に取り付けられる。スピーカユニット2hは、背面フレーム3h、前面フレーム4h、第1の磁気回路5h、第2の磁気回路6h、エッジ7h、ダンパー8h、振動板9h、第1のボイスコイルボビン10h、第1のボイスコイル11h、第2のボイスコイルボビン12h、第2のボイスコイル13hおよびレーザ変位計19hを有する。
スピーカユニット2hの構造は、図4において説明したスピーカユニット2dに対して、背面フレーム3h、前面フレーム4h、ヨーク51h、ヨーク61hの形状のみが異なる構造であるので詳細な説明は省略する。また、スピーカユニット2hには、レーザ変位計19hが配置される点で異なる。以下、図8および図9を用いて、この異なる点を中心に説明する。なお、図9は、第5の実施形態に係るスピーカ装置の回路ブロック図である。
図9において、レーザ変位計19hは、振動板9hの変位を検出し、その検出信号を制御回路20hに出力する。また図8において、レーザ変位計19hはヨーク51hに設置され、制御回路20hと配線で結ばれる。なお、レーザ変位計19hは、ヨーク51hに限らず、例えば前面フレーム4hおよびキャビネット1など、振動板9hの変位を検出できる位置に配置されてもよい。また、振動板9hの変位を検出する方法として、レーザ変位計を用いる方法としたが、振動板9hに小型マグネットを固着して、ホール素子を用いて位置を検出する方法でもよい。
図9において、制御回路20hは、レーザ変位計19hで検出された振動板9hの変位に基づいて、非マグネット部材91hの振幅の中心が第1および第2の磁気回路の空隙における平衡位置となるような制御信号を生成する。制御回路20hで生成された制御信号は、入力音響信号に加えられる。入力された音響信号および制御信号は、増幅器などで適宜増幅されて、スピーカユニット2hに印加される。なお、制御信号は、例えば非マグネット部材91hの平衡位置からのずれを修正する分の直流電気信号などである。また、図8において、制御回路20hは、キャビネット内部に設置され、スピーカユニット2hの入力端子およびレーザ変位計19hとそれぞれ配線で結ばれている。なお、制御回路20hは、キャビネット外部に配置されてもよい。
スピーカユニット2hにおいて、振動板9hの駆動原理および負スティフネスの発生原理は、上述したスピーカユニット2dと同様である。負スティフネス発生機構によって、非マグネット部材91hは、当該平衡位置から離反する方向に離反力を受ける。ここで、キャビネット1内部の温度が上昇した場合を考える。第1のボイスコイル11hおよび第2のボイスコイル13hは電流が流れると発熱する。第1および第2のボイスコイルの発熱などでキャビネット1内部の温度が上昇した場合、キャビネット1内部の空気が膨張あるいは収縮し、内部圧力が変化する。この圧力変化によって、振動板9hが力を受け、非マグネット部材91hの振幅の中心は平衡位置からずれる。また、上記離反力は、平衡位置を基準として振動方向に対称である。したがって、非マグネット部材91hの振幅の中心が平衡位置からずれると、離反力の対称性が極端に崩れてしまい、再生音のひずみが大きくなるという問題が生じる。また、この平衡位置からのずれが大きくなると、振動板9hが第1の磁気回路5hまたは第2の磁気回路6hに引き寄せられたまま振動できなくなる問題もある。しかしながら、本実施形態では、制御回路20hにおいて非マグネット部材91hの振幅の中心が平衡位置となるような制御信号が生成され、入力音響信号に加えられる。これにより、振動板9hは、温度変化などの周囲環境の変化に関係なく、非マグネット部材91hの振幅の中心を平衡位置とした安定な動作が可能となり、ひずみの少ない音を再生することができる。なお、本実施形態に係るスピーカ装置では、スピーカユニット2hを用いるとしたが、第1〜第4の実施形態で説明したスピーカユニットを用いてもよい。
なお、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、一例として、自動車の車体の内部に配置される。車体内部としては、例えば自動車のドアに搭載される。図10は、スピーカユニットが自動車のドアに搭載された一例を示す図である。
図10において、自動車のドアは、窓部21、ドア本体22およびスピーカユニット23で構成される。ここで、スピーカユニット23は、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカユニットのいずれかであり、詳細な説明を省略する。スピーカユニット23は、ドア本体22内部に取り付けられる。ドア本体22内部には、空間が形成されている。つまり、当該ドア本体22は、スピーカユニット2のキャビネットとしての役割を果たすので、スピーカユニット23とドア本体22でスピーカ装置を構成することとなる。このように、スピーカユニット23を自動車のドアに搭載することによって、従来と同じドア本体22に取り付けられた場合であっても、低音の再生帯域を拡大することが可能な車内リスニング環境を提供することが可能となる。
また、ドア本体22内部には、窓ガラス収納部、窓ガラス自動開閉機構、ドアロック、配線および制御回路などが搭載されているため、内部容積が限定される。このような内部容積が限定される自動車のドアであっても、従来のスピーカユニットを搭載する場合と比べ、より低域の音を再生することができる。
また、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、例えば車体内部に配置される車載用のスピーカ装置であってもよい。図11は、自動車の車内に設置されたスピーカ装置の一例を示す図である。図11において、当該スピーカ装置25は、例えば座席24の下に設置される。ここで、スピーカ装置25は、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置のいずれかであり、詳細な説明を省略する。以上のように、スピーカ装置25を車両に搭載することによって、従来と同じキャビネット容積であっても低音の再生帯域を拡大することが可能な車内リスニング環境を提供することが可能となる。
また、従来と同じレベルの低音の再生帯域を目指すとき、スピーカ装置25のキャビネットを従来と比べて小型化できる。したがって、自動車の車内にスピーカ装置25を搭載することで、より広い車内空間が確保される。また、サブウーファなどの低音用スピーカ装置においては、一般的に容積の大きなキャビネットが必要となるので特に有効である。
また、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、図12に示すような車載用のスピーカ装置であってもよい。図12は、自動車の車内に設置されたスピーカ装置の他の例を示す図である。図12において、スピーカ装置は、キャビネット26、台座27、スピーカユニット28およびパンチングネット29を備える。ここで、スピーカユニット28は、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカユニットのいずれかであり、詳細な説明を省略する。以上のように、図12に示すスピーカ装置を自動車の車内に搭載することによって、従来と同じキャビネット容積であっても低音の再生帯域を拡大することが可能な車内リスニング環境を提供することが可能となる。
また、従来と同じレベルの低音の再生帯域を目指すとき、上記スピーカ装置のキャビネットを従来と比べて小型化できる。したがって、自動車の車内に上記スピーカ装置を搭載することで、より広い車内空間が確保される。また、サブウーファなどの低音用スピーカ装置においては、一般的に容積の大きなキャビネットが必要となるので特に有効である。なお、キャビネット26の形状は、図12に示す円筒形状に限定されず、直方体形状などであってもよい。
また、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、例えばAVシステムなどに搭載される。一例として、上述した第1〜第5の実施形態に係るスピーカ装置は、映像機器(例えば、ブラウン管テレビ、液晶テレビ、プラズマテレビなど)に搭載される。
図13は、上記スピーカ装置を薄型テレビに搭載した構成の一例を示す図であり、当該薄型テレビの正面図と、その一部を線OAにおける断面図で示した側面図である。図13において、当該薄型テレビは、薄型テレビ本体30、ディスプレイ31、および2個のスピーカ装置32を備える。スピーカ装置32は、第1〜第5の実施形態において説明したスピーカ装置のいずれかであり、詳細な説明を省略する。
スピーカ装置32のキャビネット33は、ディスプレイ31の下部に設けられた筐体の内部に配置される。スピーカユニット34は、例えば楕円形状のスピーカユニットであり、キャビネット33に取り付けられる。以上のように、本発明におけるスピーカ装置を薄型テレビ本体30に搭載することで、従来と同じキャビネット容積であっても低音の再生帯域を拡大することが可能な薄型テレビ本体30を実現することが可能となる。
また、従来と同じレベルの低音の再生帯域を薄型テレビ本体30で目指す場合、スピーカ装置32のキャビネット33を従来と比べて小型化できる。したがって、薄型テレビ本体30をさらに薄型化や小型化する際にスピーカ装置を搭載するスペースが問題となっている場合、スピーカ装置32を搭載することによって薄型テレビ本体30の薄型化や小型化が実現できる。なお、図13に示すスピーカ装置32のキャビネット33は、ディスプレイ31の下部に取り付けられる形態であるが、ディスプレイ31の両脇に配置される形態であってもよい。
本発明に係るスピーカ装置は、小型のキャビネット容積であっても低音域再生が可能であり、液晶テレビ、PDP(プラズマディスプレイ)、ステレオ装置、5.1チャンネル再生のホームシアター用スピーカ、車載用スピーカ等の用途にも適用できる。
第1の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図 第1の磁気回路5bで構成されるスピーカユニット2bを用いたスピーカ装置の構造断面図 第2の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図 第1の磁気回路5dおよび第2の磁気回路6dで構成するスピーカユニット2dを用いたスピーカ装置の構造断面図 第3の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図 第4の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図 第4の実施形態に係るスピーカ装置の斜視図 第5の実施形態に係るスピーカ装置の構造断面図 第5の実施形態に係るスピーカ装置の回路ブロック図 スピーカユニットが自動車のドアに搭載された一例を示す図 自動車の車内に設置されたスピーカ装置の一例を示す図 自動車の車内に設置されたスピーカ装置の他の例を示す図 スピーカ装置を薄型テレビに搭載した構成の一例を示す図 従来のスピーカ装置の断面構造図
符号の説明
1、26、33 キャビネット
2、23、28、34 スピーカユニット
3 背面フレーム
4 前面フレーム
5 第1の磁気回路
6 第2の磁気回路
7 エッジ
8 ダンパー
9 振動板
10、12 ボイスコイルボビン
11、13 ボイスコイル
14 ダストキャップ
15、91 非マグネット部材
16 支柱
17 アーム
18 ガイド
19 レーザ変位計
20 制御回路
21 窓部
22 ドア本体
24 座席
25、32 スピーカ装置
27 台座
29 パンチングネット
30 薄型テレビ本体
31 ディスプレイ
51、61 ヨーク
52、54、62、64 マグネット
53、63 磁気プレート
201 駆動部

Claims (17)

  1. 開口部を有する筐体と、
    振動することによって音を発生させる振動系部材と、
    前記筐体に接続され、前記振動系部材を振動可能に支持する支持系部材と、
    前記筐体の内部に配置され、前記開口部側の一方面に第1のマグネットを有する第1の磁気回路と、
    前記筐体の内部において空隙を介して前記第1のマグネットに対向して配置される第2のマグネットを有する第2の磁気回路とを備え、
    前記第1および第2の磁気回路の少なくとも一方には、磁気ギャップが形成されており、
    前記振動系部材は、
    第1のボイスコイルと、
    前記磁気ギャップに前記第1のボイスコイルを配置する第1のボイスコイルボビンと、
    マグネットを含まない磁性体であり、前記第1のマグネットと第2のマグネットとの間に形成される第1の空隙に配置されるように前記第1のボイスコイルボビンに直接または間接的に接続される非マグネット部材とを含む、スピーカ装置。
  2. 前記振動系部材は、少なくとも一部が前記非マグネット部材で構成される振動板をさらに含み、
    前記第1のボイスコイルボビンは、前記振動板に固着され、
    前記支持系部材は、前記第1の空隙において前記振動板を振動可能に支持することを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  3. 前記第2の磁気回路は、
    前記第2のマグネットの前記開口部側に固着された磁気プレートと、
    前記第2のマグネットおよび前記磁気プレートの周囲の少なくとも一部に配置され、当該第2のマグネットおよび当該磁気プレートとの間に第2の空隙を形成するヨークとを含み、
    前記振動系部材は、前記第2の磁気回路に対して前記筐体の開口部側に配置される振動板をさらに含み、
    前記第1のボイスコイルボビンは、前記第2の空隙を通って前記振動板と前記非マグネット部材とを接続し、
    前記第1のボイスコイルは、前記第2の磁気回路に形成された磁気ギャップに配置されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  4. 前記振動系部材は、
    第2のボイスコイルと、
    前記非マグネット部材に固着され、前記第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに前記第2のボイスコイルを配置する第2のボイスコイルボビンとをさらに含む、請求項3に記載のスピーカ装置。
  5. 前記第2の磁気回路は、
    前記第2のマグネットの前記開口部側に固着された磁気プレートと、
    前記第2のマグネットおよび前記磁気プレートの周囲の少なくとも一部に配置され、当該第2のマグネットおよび当該磁気プレートとの間に第2の空隙を形成するヨークとを含み、
    前記振動系部材は、
    前記第2の磁気回路に対して前記筐体の開口部側に配置される振動板と、
    前記第2の空隙を通って前記振動板と前記非マグネット部材とを接続する接続部材とをさらに含み、
    前記第1のボイスコイルボビンは、前記第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに前記第1のボイスコイルを配置することを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  6. 前記第1および第2の磁気回路は、同構造の磁気回路であり、
    前記第2の磁気回路は、前記非マグネット部材に対して前記第1の磁気回路と対称に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  7. 前記振動系部材は、
    第2のボイスコイルと、
    前記非マグネット部材に直接または間接的に接続され、前記第1の磁気回路に形成された磁気ギャップに前記第2のボイスコイルを配置する第2のボイスコイルボビンとをさらに含み、
    前記第1のボイスコイルボビンは、前記第2の磁気回路に形成された磁気ギャップに前記第1のボイスコイルを配置することを特徴とする、請求項6に記載のスピーカ装置。
  8. 前記第1の磁気回路は、
    前記第1のマグネットに固着された磁気プレートと、
    前記磁気プレートに固着される第3のマグネットと、
    前記磁気プレートとの間に磁気ギャップを形成するヨークとを含み、
    前記第1のマグネットと前記第3のマグネットとは、前記振動系部材の振動方向であって、互いに反対方向に着磁されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  9. 前記第2の磁気回路は、
    前記第2のマグネットに固着された磁気プレートと、
    前記磁気プレートに固着される第3のマグネットと、
    前記磁気プレートとの間に磁気ギャップを形成するヨークとを含み、
    前記第2のマグネットと前記第3のマグネットとは、前記振動系部材の振動方向であって、互いに反対方向に着磁されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  10. 前記第1の磁気回路は、
    前記第1のマグネットに固着された磁気プレートと、
    前記磁気プレートとの間に磁気ギャップを形成するヨークとを含み、
    前記第1のマグネットは、前記振動系部材の振動方向に着磁されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  11. 前記第2の磁気回路は、
    前記第2のマグネットに固着された磁気プレートと、
    前記磁気プレートとの間に磁気ギャップを形成するヨークとを含み、
    前記第2のマグネットは、前記振動系部材の振動方向に着磁されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  12. 前記スピーカ装置は、前記第1および第2の磁気回路で構成される磁気回路ユニットを複数備え、
    前記振動系部材は、
    前記磁気回路ユニットと同数の前記第1のボイスコイルと、
    各前記磁気回路ユニットにおける磁気ギャップに各前記第1のボイスコイルを1つずつ配置する、前記磁気回路ユニットと同数の前記第1のボイスコイルボビンと、
    各前記第1のボイスコイルボビンと固着され、少なくとも一部が前記非マグネット部材で構成される振動板とを含む、請求項1に記載のスピーカ装置。
  13. 前記スピーカ装置は、
    前記振動系部材の位置を検出する位置検出部と、
    前記位置検出部で検出された前記振動系部材の位置に基づいて、前記非マグネット部材の振幅の中心が前記第1の空隙に形成される磁場の釣り合う位置となるように、音響信号に直流成分を加えた信号を前記ボイスコイルに印加することによって当該振動系部材の振動を制御する制御部とをさらに備える、請求項1に記載のスピーカ装置。
  14. 前記位置検出部は、レーザ変位計であることを特徴とする、請求項13に記載のスピーカ装置。
  15. 前記支持系部材と固着されるフレームをさらに備え、
    前記振動系部材と、前記支持系部材と、前記第1および第2の磁気回路と、前記フレームとによって構成されるスピーカユニットは、前記フレームが前記開口部に固着されることによって前記開口部に取り付けられる、請求項1に記載のスピーカ装置。
  16. 請求項1から15のいずれかに記載のスピーカ装置と、
    前記スピーカ装置を内部に配置する車体とを備える、車両。
  17. 請求項1から15のいずれかに記載のスピーカ装置と、
    前記スピーカ装置を内部に配置する機器筐体とを備える、映像機器。
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