JPWO2005095431A1 - 5α−プレグナン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、一般式(I)で示されるプレグナン誘導体に、プロトン供給体、アミンおよび/またはアンモニアの存在下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる金属を作用させることを特徴とする、一般式(II)および一般式(III)で示される5α−プレグナン誘導体の混合物の製造方法に関する。本発明により、スクアラミンの合成中間体として有用な5α−プレグナン誘導体を、入手容易な原料より、高収率に製造し得る方法を提供できる。 (式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または水酸基の保護基を表す。)
Description
本発明は、スクアラミンの合成中間体として有用な5α−プレグナン誘導体の製造方法に関する。
式(VIII)
で示されるスクアラミン(squalamine)は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌などに対する強力な抗菌活性を有するとともに、抗ガン活性を有することが報告され、新たな抗生物質として注目されている化合物である。
従来、スクアラミンはサメの肝臓から抽出されていたが、その含有率が0.001〜0.002重量%と極めて低く、抽出効率が悪いため、化学的合成方法が種々検討されてきた。特に、式(VI)
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(WO01/79255、Organic Letters,Vol.2,p.2921(2000))および式(IX)
で示される(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(WO03/51904)は比較的短工程でスクアラミンに導くことができる有用な中間体であることが知られている。
従来、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを製造する方法としては、5位をα体に立体選択的に還元することを目的として(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−4−エン−3−オンを液体アンモニア中で30当量以上の金属リチウムを用いる、いわゆるバーチ還元に付する方法(WO01/79255)、または(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンを液体アンモニア中で10当量の金属リチウムを用いてバーチ還元する方法(WO02/20552)などが開発されてきた。
また、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを製造する方法としては、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンを上記と同様に還元して(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを得た後、21位の水酸基をtert−ブチルジメチルシリル基で保護する方法(WO03/51904)が知られている。
で示されるスクアラミン(squalamine)は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌などに対する強力な抗菌活性を有するとともに、抗ガン活性を有することが報告され、新たな抗生物質として注目されている化合物である。
従来、スクアラミンはサメの肝臓から抽出されていたが、その含有率が0.001〜0.002重量%と極めて低く、抽出効率が悪いため、化学的合成方法が種々検討されてきた。特に、式(VI)
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(WO01/79255、Organic Letters,Vol.2,p.2921(2000))および式(IX)
で示される(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(WO03/51904)は比較的短工程でスクアラミンに導くことができる有用な中間体であることが知られている。
従来、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを製造する方法としては、5位をα体に立体選択的に還元することを目的として(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−4−エン−3−オンを液体アンモニア中で30当量以上の金属リチウムを用いる、いわゆるバーチ還元に付する方法(WO01/79255)、または(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンを液体アンモニア中で10当量の金属リチウムを用いてバーチ還元する方法(WO02/20552)などが開発されてきた。
また、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを製造する方法としては、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンを上記と同様に還元して(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを得た後、21位の水酸基をtert−ブチルジメチルシリル基で保護する方法(WO03/51904)が知られている。
しかしながら、上記の方法の収率は高いものでも71%にとどまり、プレグナン誘導体が高価な原料であることを考えれば、好適な製造方法とは言えず、工業的に実施を行うにはなお改良の余地がある。
しかして、本発明の目的は、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン誘導体または(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−4−エン−3−オン誘導体を5α体に立体選択的に還元し、さらに必要に応じて水酸基の保護基を脱保護することによりスクアラミンの合成中間体として有用な(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンおよび、その21位および/または7位の水酸基が保護基により保護された(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン誘導体を効率よく製造する方法を提供することにある。
前記した従来の反応は、少なくとも4,5位に炭素−炭素二重結合を持つ不飽和ケトンを原料化合物として、立体選択的に5α体に変換されたケトン誘導体を得ており、不飽和ケトンを飽和ケトンに変換する、いわゆる部分還元に相当する。しかし、従来の反応では、副反応として、飽和ケトンがさらに還元されることによりアルコール体を生成することが判明している。この副反応を抑制するためには、部分還元に必要なだけの当量に近い量の還元剤を使用して反応を行うことが重要であるが、従来の反応では金属リチウムが大過剰で使用されている。
本発明者らは、従来法が低収率である原因を鋭意検討した結果、原料プレグナン誘導体の21位に水酸基が存在すること、すなわち、還元剤である金属リチウムが21位に存在する反応性の高い1級水酸基によって分解して還元能力を失うため、過剰の金属リチウムを使用せざるを得ず、また、該1級水酸基は還元反応の際にプロトン供給体としても作用するため、結果として反応がさらに進行してしまうことによるアルコール体の副生を引き起こしていたことによることを突き止めた。
この知見に基づき、21位の水酸基を保護した化合物を原料化合物として還元反応を行ったところ、該水酸基による還元剤の分解およびプロトン供給体としての作用が抑制され、さらに、当該反応において、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン誘導体の4,5位の炭素−炭素二重結合の還元反応が1,2位の炭素−炭素二重結合の還元反応より有意に速く進行するという新たな知見が得られた。当該知見に基づき、4,5位の炭素−炭素二重結合の還元はほぼ完結するが、1,2位の炭素−炭素二重結合が一部残存する程度に還元剤の量を低減させて還元反応を行ったところ、立体選択的に5α体に変換したケトン誘導体を5α−飽和ケトン体および5α−1−エン−3−オン体の混合物として、両化合物の総和として高収率で得られることを見出した。
また、本発明者らがさらに鋭意検討したところ、5α−飽和ケトン体および5α−1−エン−3−オン体の混合物それぞれが有する水酸基の保護基を必要に応じて脱保護した後に、混入する5α−1−エン−3−オン体の1,2位の炭素−炭素二重結合の還元を行うことによって、飽和ケトンの還元を有意に抑制して、目的物である5α−飽和ケトン体に高収率で導くことができることを見出した。その結果、還元剤の使用量が低減されるとともに、副反応を抑制し、目的とする5α−プレグナン誘導体の収率を向上させ、従来法における問題点を解決するに到った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)一般式(I)
(式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示されるプレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(I)と呼ぶことがある。)に、プロトン供給体、アミンおよび/またはアンモニアの存在下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる金属を作用させることを特徴とする、一般式(II)
(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(II)と呼ぶことがある。)および一般式(III)
(式中、R11およびR12は前記定義のとおりである。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(III)と呼ぶことがある。)の混合物の製造方法。
(2)R2およびR12が水素原子である上記(1)記載の製造方法。
(3)R1およびR11が三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる、同一または異なる置換基を3つ有する。)である上記(2)記載の製造方法。
(4)R1およびR11がtert−ブチルジメチルシリル基である上記(3)記載の製造方法。
(5)金属がアルカリ金属である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の製造方法。
(6)アルカリ金属がリチウムである上記(5)記載の製造方法。
(7)(a)化合物(I)に、プロトン供給体、アミンおよび/またはアンモニアの存在下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる金属を作用させることにより、一般式(IV)
(式中、R21は水酸基の保護基を表し、R22は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(IV)と呼ぶことがある。)および一般式(V)
(式中、R21およびR22は前記定義のとおりである。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(V)と呼ぶことがある。)の混合物を得る工程;および
(b)前記工程で得られる混合物の有する水酸基の保護基を脱保護する工程を包含することを特徴とする、式(VI)
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(以下、本明細書において化合物(VI)と呼ぶことがある。)および式(VII)
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(以下、本明細書において化合物(VII)と呼ぶことがある。)の混合物の製造方法。
(8)R2およびR22が水素原子である上記(7)記載の製造方法。
(9)R1およびR21が三置換シリル基(該三置換シリル基は、前記定義のとおりである。)である上記(8)記載の製造方法。
(10)R1およびR21がtert−ブチルジメチルシリル基である上記(9)記載の製造方法。
(11)金属がアルカリ金属である上記(7)〜(10)のいずれか1つに記載の製造方法。
(12)アルカリ金属がリチウムである上記(11)記載の製造方法。
本発明によれば、プレグナン−1,4−ジエン誘導体を立体選択的に還元して5α−プレグナン誘導体を製造する際、21位水酸基を保護した化合物を原料化合物として使用することによって還元剤の使用量を低減して反応を行うことができる。また、本発明の方法は、従来より少ない量の還元剤を使用して還元するので、副反応によるアルコール体生成を抑制できる。さらに、該還元反応において完全には還元されずに生成物中に残存する1,2位に炭素−炭素二重結合を有する化合物(V)または化合物(VII)の炭素−炭素二重結合のみをさらに還元するという2段階の還元処理を行うことにより、スクアラミンの製造中間体として有用な5α−プレグナン誘導体を高収率で製造できる。そして、本発明の方法によれば、従来法におけるような還元剤の過剰使用が不要となり、副反応を抑制できるばかりでなく、経済効果も大きい。
しかして、本発明の目的は、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン誘導体または(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−4−エン−3−オン誘導体を5α体に立体選択的に還元し、さらに必要に応じて水酸基の保護基を脱保護することによりスクアラミンの合成中間体として有用な(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンおよび、その21位および/または7位の水酸基が保護基により保護された(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン誘導体を効率よく製造する方法を提供することにある。
前記した従来の反応は、少なくとも4,5位に炭素−炭素二重結合を持つ不飽和ケトンを原料化合物として、立体選択的に5α体に変換されたケトン誘導体を得ており、不飽和ケトンを飽和ケトンに変換する、いわゆる部分還元に相当する。しかし、従来の反応では、副反応として、飽和ケトンがさらに還元されることによりアルコール体を生成することが判明している。この副反応を抑制するためには、部分還元に必要なだけの当量に近い量の還元剤を使用して反応を行うことが重要であるが、従来の反応では金属リチウムが大過剰で使用されている。
本発明者らは、従来法が低収率である原因を鋭意検討した結果、原料プレグナン誘導体の21位に水酸基が存在すること、すなわち、還元剤である金属リチウムが21位に存在する反応性の高い1級水酸基によって分解して還元能力を失うため、過剰の金属リチウムを使用せざるを得ず、また、該1級水酸基は還元反応の際にプロトン供給体としても作用するため、結果として反応がさらに進行してしまうことによるアルコール体の副生を引き起こしていたことによることを突き止めた。
この知見に基づき、21位の水酸基を保護した化合物を原料化合物として還元反応を行ったところ、該水酸基による還元剤の分解およびプロトン供給体としての作用が抑制され、さらに、当該反応において、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン誘導体の4,5位の炭素−炭素二重結合の還元反応が1,2位の炭素−炭素二重結合の還元反応より有意に速く進行するという新たな知見が得られた。当該知見に基づき、4,5位の炭素−炭素二重結合の還元はほぼ完結するが、1,2位の炭素−炭素二重結合が一部残存する程度に還元剤の量を低減させて還元反応を行ったところ、立体選択的に5α体に変換したケトン誘導体を5α−飽和ケトン体および5α−1−エン−3−オン体の混合物として、両化合物の総和として高収率で得られることを見出した。
また、本発明者らがさらに鋭意検討したところ、5α−飽和ケトン体および5α−1−エン−3−オン体の混合物それぞれが有する水酸基の保護基を必要に応じて脱保護した後に、混入する5α−1−エン−3−オン体の1,2位の炭素−炭素二重結合の還元を行うことによって、飽和ケトンの還元を有意に抑制して、目的物である5α−飽和ケトン体に高収率で導くことができることを見出した。その結果、還元剤の使用量が低減されるとともに、副反応を抑制し、目的とする5α−プレグナン誘導体の収率を向上させ、従来法における問題点を解決するに到った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)一般式(I)
(式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示されるプレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(I)と呼ぶことがある。)に、プロトン供給体、アミンおよび/またはアンモニアの存在下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる金属を作用させることを特徴とする、一般式(II)
(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(II)と呼ぶことがある。)および一般式(III)
(式中、R11およびR12は前記定義のとおりである。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(III)と呼ぶことがある。)の混合物の製造方法。
(2)R2およびR12が水素原子である上記(1)記載の製造方法。
(3)R1およびR11が三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる、同一または異なる置換基を3つ有する。)である上記(2)記載の製造方法。
(4)R1およびR11がtert−ブチルジメチルシリル基である上記(3)記載の製造方法。
(5)金属がアルカリ金属である上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の製造方法。
(6)アルカリ金属がリチウムである上記(5)記載の製造方法。
(7)(a)化合物(I)に、プロトン供給体、アミンおよび/またはアンモニアの存在下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる金属を作用させることにより、一般式(IV)
(式中、R21は水酸基の保護基を表し、R22は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(IV)と呼ぶことがある。)および一般式(V)
(式中、R21およびR22は前記定義のとおりである。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(V)と呼ぶことがある。)の混合物を得る工程;および
(b)前記工程で得られる混合物の有する水酸基の保護基を脱保護する工程を包含することを特徴とする、式(VI)
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(以下、本明細書において化合物(VI)と呼ぶことがある。)および式(VII)
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(以下、本明細書において化合物(VII)と呼ぶことがある。)の混合物の製造方法。
(8)R2およびR22が水素原子である上記(7)記載の製造方法。
(9)R1およびR21が三置換シリル基(該三置換シリル基は、前記定義のとおりである。)である上記(8)記載の製造方法。
(10)R1およびR21がtert−ブチルジメチルシリル基である上記(9)記載の製造方法。
(11)金属がアルカリ金属である上記(7)〜(10)のいずれか1つに記載の製造方法。
(12)アルカリ金属がリチウムである上記(11)記載の製造方法。
本発明によれば、プレグナン−1,4−ジエン誘導体を立体選択的に還元して5α−プレグナン誘導体を製造する際、21位水酸基を保護した化合物を原料化合物として使用することによって還元剤の使用量を低減して反応を行うことができる。また、本発明の方法は、従来より少ない量の還元剤を使用して還元するので、副反応によるアルコール体生成を抑制できる。さらに、該還元反応において完全には還元されずに生成物中に残存する1,2位に炭素−炭素二重結合を有する化合物(V)または化合物(VII)の炭素−炭素二重結合のみをさらに還元するという2段階の還元処理を行うことにより、スクアラミンの製造中間体として有用な5α−プレグナン誘導体を高収率で製造できる。そして、本発明の方法によれば、従来法におけるような還元剤の過剰使用が不要となり、副反応を抑制できるばかりでなく、経済効果も大きい。
1.記号の説明
上記一般式中、R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基としては、水酸基の保護基として作用する限りどのような保護基でもよく、例えば置換基を有していてもよいアルキル基;置換基を有していてもよいアシル基(例えばホルミル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基など);置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基;カルバモイル基(例えば窒素原子が置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基で置換されていてもよいカルバモイル基);または三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる、同一または異なる置換基を3つ有する。)などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基としてのアルキル基;アシル基の部分としてのアルキル基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアルキル基;アルコキシカルボニル基の部分としてのアルキル基;カルバモイル基が有していてもよい置換基としてのアルキル基;三置換シリル基が有するアルキル基、ならびに三置換シリル基が有するアルコキシル基の部分としてのアルキル基、三置換シリル基が有するアリール基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、その炭素数は1〜12であるのが好ましく、1〜8であるのがより好ましい。かかるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記のアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばフェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリール基;ビニル基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜10であり、置換基を有していてもよいアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8のアルコキシル基(当該アルコキシル基は、水酸基の保護基であるアルキル基と一緒になって環構造(例えばテトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環など)を形成していてもよい。);ベンジルオキシ基などの炭素数が7〜12、好ましくは7〜11のアラルキルオキシ基;アリルオキシ基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜8のアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリールオキシ基などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基としてのアシル基の部分としてのアルケニル基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基;アリールオキシカルボニル基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基;三置換シリル基が有するアリール基、アルコキシル基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、その炭素数は2〜12であるのが好ましく、2〜8であるのがより好ましい。かかるアルケニル基としては、例えばビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、1−オクテニル基、1−ドデセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基などが挙げられる。
上記のアルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばフェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8のアルコキシル基;ベンジルオキシ基などの炭素数が7〜12、好ましくは7〜11のアラルキルオキシ基;アリルオキシ基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜8のアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリールオキシ基などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基としてのアシル基の部分としてのアリール基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;アリールオキシカルボニル基の部分としてのアリール基およびアリールオキシカルボニル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;カルバモイル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;三置換シリル基が有するアリール基、三置換シリル基が有するアリールオキシ基の部分としてのアリール基ならびに三置換シリル基が有するアリール基、アルコキシル基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアリール基は、炭素数6〜10であることが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記のアリール基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアルコキシル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、シクロペンタンカルボニルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシベンゾイルオキシ基、ニトロベンゾイルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアシルオキシ基;ニトロ基;シアノ基などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基が好ましい。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ドデカノイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、メトキシアセチル基、クロトノイル基、シンナモイル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基、ニトロベンゾイル基などが挙げられ、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基が好ましい。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などが挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基が好ましい。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基の具体例としては、フェノキシカルボニル基、p−ニトロフェノキシカルボニル基などが挙げられ、フェノキシカルボニル基が好ましい。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、カルバモイル基の具体例としては、窒素原子が有する任意の水素原子が、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数が1〜12であるアルキル基、ベンジル基などの炭素数が7〜12であるアラルキル基、アリル基などの炭素数が2〜12であるアルケニル基またはフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基などの置換基を有していてもよい炭素数が6〜10であるアリール基で置換されていてもよいカルバモイル基などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、三置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、tert−ブチルメトキシフェニルシリル基などが挙げられ、tert−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基が好ましく、tert−ブチルジメチルシリル基がより好ましい。
R1、R11およびR21としては、三置換シリル基が好ましく、中でもtert−ブチルジメチルシリル基がより好ましい。
化合物(I)における7位水酸基は立体的な制約によって金属還元剤との反応が遅く、反応に悪影響を及ぼさないため、保護されていても保護されていなくてもどちらでもよいが、保護基の導入反応を省略できるという観点からは保護されていないことが好ましい。すなわち、R2、R12およびR22としては、水素原子が好ましい。
2.還元方法、反応条件
本発明における化合物(I)から化合物(II)および化合物(III)の混合物を製造する方法、または化合物(I)から化合物(IV)および化合物(V)の混合物を製造する方法では、化合物(I)にリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属またはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属などの金属を作用させる工程が含まれる。これらの中でも、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属が好ましく、リチウムがより好ましい。
これらのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の使用量は、化合物(I)の4,5位の炭素−炭素二重結合の還元はほぼ完結し、かつ1,2位の炭素−炭素二重結合が一部残存する程度に制御し得る量であれば特に限定はないが、ケトンの還元を有意に抑制するため、通常、化合物(I)の4,5位の炭素−炭素二重結合を還元するのに必要な量の0.8〜2.5倍の範囲である。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の使用量が当該範囲より少ない場合は、化合物(I)の4,5位の炭素−炭素二重結合の還元が完結しない傾向となり、当該範囲より多い場合は、ケトンの還元などの副反応が進行する傾向となる。
反応温度は、好ましくは−100℃〜50℃の範囲であり、より好ましくは−50℃〜20℃の範囲である。反応時間は反応条件によって異なるが、工業的な観点からは、0.1〜20時間の範囲であるのが好ましく、1〜10時間の範囲であるのがより好ましい。
また、還元反応はアンモニアおよび/またはアミンの存在下で行う。アミンの種類に特に限定はなく、例えばメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミンなどの第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピロリジン、ピペリジンなどの第2級アミン;エチレンジアミン、ジアミノプロパン、N,N’−ジメチルエチレンジアミンなどの多価アミン;などの直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数が1〜6のアミンが挙げられるが、アンモニアの使用が好ましい。
アンモニアおよび/またはアミンの使用量は、好ましくは化合物(I)に対して1〜100質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
また、反応にはプロトン供給体を使用することが必要である。プロトン供給体の種類に特に限定はなく、例えば塩酸、硫酸、炭酸などの無機酸もしくはギ酸、酢酸、安息香酸などのカルボン酸またはそれらのアンモニウム塩またはアミン塩;水;アルコールなどが挙げられ、アルコールの使用が好ましい。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−オクタノール、1−ドデカノールなどの第1級アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、2−オクタノールなどの第2級アルコール;tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、2−メチルヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノールなどの第3級アルコール;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール;などの直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜12のアルコールが挙げられる。これらの中でも、第3級アルコールが好ましく、tert−ブタノールがより好ましい。
プロトン供給体の使用量は、通常、還元される炭素−炭素二重結合1つあたり1.5〜3モル倍の範囲である。
プロトン供給体を反応系に添加する時期は特に制限されず、例えば化合物(I)がアルカリ金属またはアルカリ土類金属と反応する前に反応系に添加する方法、あるいは化合物(I)がアルカリ金属またはアルカリ土類金属と反応した後に反応系に添加する方法などから任意に選択でき、中でも前者の方法が好ましい。
また、還元反応は溶媒の存在下で行ってもよい。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶媒を使用する場合、その使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(I)に対して1〜100質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
かかる還元反応により、化合物(I)は、プレグナン5位の水素原子がα配置となるように立体選択的に還元される。ここで、立体選択的とは、プレグナン5位の水素原子がβ配置となる異性体よりも、化合物(II)および化合物(III)、あるいは化合物(IV)および化合物(V)が多く生成することを意味する。
還元反応後の生成物の単離・精製方法は特に制限されず、有機化合物の単離・精製に通常用いられる方法を採用することができる。例えば、抽出操作などを行った後、濃縮することによって化合物(II)および化合物(III)の混合物、あるいは化合物(IV)および化合物(V)の混合物を得ることができる。
化合物(I)におけるR1およびR2で表される水酸基の保護基は、化合物(II)および化合物(III)の混合物におけるR11およびR12で表される水酸基の保護基、または化合物(IV)および化合物(V)の混合物におけるR21およびR22で表される水酸基の保護基と同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、R1およびR2が表す水酸基の保護基は、脱保護可能な範囲において還元反応(バーチ還元反応)を実施することにより任意に変化してもよい。例えばベンゾイル基は、還元反応によって2,5−シクロヘキサジエンカルボニル基に変化してもよい。
また、化合物(I)から化合物(II)および化合物(III)の混合物を製造する工程において、化合物(I)におけるR1およびR2で表される水酸基の保護基は還元反応を実施することによって脱保護されてもよい。
3.水酸基の保護基の脱保護方法、反応条件
水酸基の保護基の脱保護に用いられる反応条件は特に限定されるものではないが、保護基の種類に応じて通常用いられる反応条件を選択して使用することができる。
例えば水酸基の保護基が好ましい態様である三置換シリル基である場合は、化合物(II)および化合物(III)の混合物、あるいは化合物(IV)および化合物(V)の混合物を酸またはフッ化物塩と反応させることにより、脱保護することができる。以下、当該態様について説明するが、脱保護反応がこれに限定されるものではない。
酸の種類としては特に限定はなく、例えば塩酸、硫酸、フッ化水素酸、臭化水素酸などの無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸などが挙げられる。フッ化物塩としては、例えばフッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムなどが挙げられる。
酸の使用量は、原料に対して0.01〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは0.1〜5モル倍の範囲である。
フッ化物塩の使用量は、原料に含有される脱保護されるべき保護基の数によって決定される。好ましくは保護基1つに対して1〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは1〜5モル倍の範囲である。
また、脱保護反応は溶媒の存在下で行ってもよい。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶媒を使用する場合、その使用量は特に制限されないが、好ましくは原料に対して1〜100質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
反応温度は、好ましくは−20℃〜120℃の範囲であり、より好ましくは0℃〜80℃の範囲である。反応時間は、好ましくは0.1〜20時間の範囲であり、より好ましくは1〜10時間の範囲である。
得られる生成物の単離・精製方法は特に制限されず、有機化合物の単離・精製に通常用いられる方法を採用することができる。例えば、抽出操作などを行った後、濃縮することによって化合物(VI)および化合物(VII)の混合物を得ることができる。
4.化合物(II)および化合物(III)の混合物、または化合物(IV)および化合物(V)の混合物の還元
化合物(II)および化合物(III)の混合物中の化合物(III)、または化合物(IV)および化合物(V)の混合物中の化合物(V)は、それらの1,2位の炭素−炭素二重結合を還元することにより、目的物である飽和ケトンへ導くことができる。かかる還元方法は、例えば遷移金属触媒を用いた接触還元、ヒドリド還元剤による還元、および化合物(I)から化合物(II)および化合物(III)の混合物を製造する方法として上述してきた還元方法などが挙げられる。これらの中でも、ケトンの還元を抑制し易いという観点から、遷移金属触媒を用いた接触還元が好ましい。以下、好ましい態様である遷移金属触媒を用いた接触還元について説明するが、還元工程はこれに限定されるものではない。
接触還元は、化合物(II)および化合物(III)の混合物、または化合物(IV)および化合物(V)の混合物を、遷移金属触媒の存在下、還元剤と反応させることにより行なう。
接触還元に用いる遷移金属触媒の金属種としては、例えばルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金などが挙げられる。これらの中でも、ニッケル、パラジウム、白金が好ましく、パラジウムが最も好ましい。遷移金属触媒の形態は、反応系で溶解する錯体触媒(例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、酢酸パラジウム)、反応系に溶解しない不均一系触媒(例えばパラジウムカーボン、水酸化パラジウム、パラジウム黒、酸化白金)のどちらでもよいが、反応系からの分離が容易な不均一系触媒、中でもパラジウムカーボン、パラジウム黒が好ましい。
遷移金属触媒の使用量は、原料混合物に混入する化合物(III)または化合物(V)の割合にもよるが、通常、原料混合物の全質量に対して0.01〜100質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。
還元剤としては、分子状水素、ギ酸およびその塩などが挙げられ、分子状水素が好ましい。
分子状水素を還元剤に用いる場合の水素分圧は、1×104〜1×107Paの範囲であるのが好ましく、1×105〜1×106Paの範囲であるのがより好ましい。
接触還元の反応温度は、好ましくは0℃〜150℃の範囲であり、より好ましくは20℃〜100℃の範囲である。反応時間は反応条件によって異なるが、工業的な観点からは、好ましくは0.1〜20時間の範囲であり、より好ましくは1〜10時間の範囲である。
また、接触還元反応は通常、溶媒の存在下で行なわれる。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロプロピルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルなどのエステル;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−オクタノールなどのアルコール;アセトニトリルなどのニトリル;N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、これらは単独あるいは組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロプロピルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶媒の使用量は特に制限されないが、好ましくは原料混合物の全質量に対して1〜200質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
当該還元反応で得られる化合物(II)または化合物(IV)の単離・精製方法は特に限定されず、有機化合物の単離・精製に通常用いられる方法を採用することができる。例えば、触媒の除去、抽出操作などの後、再結晶またはカラムクロマトグラフィーを行うことにより化合物(II)または化合物(IV)を単離・精製できる。
5.原料の確保
原料として使用する化合物(I)の製造方法は特に限定されない。例えば(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンは、3α,7α−ジヒドロキシ−5β−コラン酸および/またはその塩を微生物を用いた変換反応に付す(JP−B−2525049)ことにより7α−ヒドロキシ−3−オキソ−プレグナ−1,4−ジエン−20α−カルバルデヒドに誘導し、さらに水素化ホウ素ナトリウムで20位を還元する(WO02/20552)ことにより容易に得ることができ、また(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−4−エン−3−オンは、3α,7α−ジヒドロキシ−5β−コラン酸を微生物を用いた変換反応に付すことにより7α−ヒドロキシ−3−オキソ−プレグナ−4−エン−20α−カルバルデヒドに誘導し、さらに水素化ホウ素ナトリウムでアルデヒド基を還元する(WO03/23047)ことにより容易に得ることができる。これらの化合物の21位および7位の水酸基をそれ自体公知の方法により必要に応じて保護することにより、本発明に供する化合物(I)とすることができる。
上記一般式中、R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基としては、水酸基の保護基として作用する限りどのような保護基でもよく、例えば置換基を有していてもよいアルキル基;置換基を有していてもよいアシル基(例えばホルミル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基など);置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基;カルバモイル基(例えば窒素原子が置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基で置換されていてもよいカルバモイル基);または三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる、同一または異なる置換基を3つ有する。)などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基としてのアルキル基;アシル基の部分としてのアルキル基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアルキル基;アルコキシカルボニル基の部分としてのアルキル基;カルバモイル基が有していてもよい置換基としてのアルキル基;三置換シリル基が有するアルキル基、ならびに三置換シリル基が有するアルコキシル基の部分としてのアルキル基、三置換シリル基が有するアリール基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、その炭素数は1〜12であるのが好ましく、1〜8であるのがより好ましい。かかるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記のアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばフェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリール基;ビニル基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜10であり、置換基を有していてもよいアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8のアルコキシル基(当該アルコキシル基は、水酸基の保護基であるアルキル基と一緒になって環構造(例えばテトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環など)を形成していてもよい。);ベンジルオキシ基などの炭素数が7〜12、好ましくは7〜11のアラルキルオキシ基;アリルオキシ基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜8のアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリールオキシ基などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基としてのアシル基の部分としてのアルケニル基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基;アリールオキシカルボニル基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基;三置換シリル基が有するアリール基、アルコキシル基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、その炭素数は2〜12であるのが好ましく、2〜8であるのがより好ましい。かかるアルケニル基としては、例えばビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、1−オクテニル基、1−ドデセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基などが挙げられる。
上記のアルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばフェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8のアルコキシル基;ベンジルオキシ基などの炭素数が7〜12、好ましくは7〜11のアラルキルオキシ基;アリルオキシ基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜8のアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリールオキシ基などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基としてのアシル基の部分としてのアリール基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;アリールオキシカルボニル基の部分としてのアリール基およびアリールオキシカルボニル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;カルバモイル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;三置換シリル基が有するアリール基、三置換シリル基が有するアリールオキシ基の部分としてのアリール基ならびに三置換シリル基が有するアリール基、アルコキシル基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアリール基は、炭素数6〜10であることが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記のアリール基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアルコキシル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、シクロペンタンカルボニルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシベンゾイルオキシ基、ニトロベンゾイルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアシルオキシ基;ニトロ基;シアノ基などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基が好ましい。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ドデカノイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、メトキシアセチル基、クロトノイル基、シンナモイル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基、ニトロベンゾイル基などが挙げられ、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基が好ましい。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などが挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基が好ましい。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基の具体例としては、フェノキシカルボニル基、p−ニトロフェノキシカルボニル基などが挙げられ、フェノキシカルボニル基が好ましい。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、カルバモイル基の具体例としては、窒素原子が有する任意の水素原子が、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数が1〜12であるアルキル基、ベンジル基などの炭素数が7〜12であるアラルキル基、アリル基などの炭素数が2〜12であるアルケニル基またはフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基などの置換基を有していてもよい炭素数が6〜10であるアリール基で置換されていてもよいカルバモイル基などが挙げられる。
R1、R2、R11、R12、R21およびR22が表す水酸基の保護基のうち、三置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、tert−ブチルメトキシフェニルシリル基などが挙げられ、tert−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基が好ましく、tert−ブチルジメチルシリル基がより好ましい。
R1、R11およびR21としては、三置換シリル基が好ましく、中でもtert−ブチルジメチルシリル基がより好ましい。
化合物(I)における7位水酸基は立体的な制約によって金属還元剤との反応が遅く、反応に悪影響を及ぼさないため、保護されていても保護されていなくてもどちらでもよいが、保護基の導入反応を省略できるという観点からは保護されていないことが好ましい。すなわち、R2、R12およびR22としては、水素原子が好ましい。
2.還元方法、反応条件
本発明における化合物(I)から化合物(II)および化合物(III)の混合物を製造する方法、または化合物(I)から化合物(IV)および化合物(V)の混合物を製造する方法では、化合物(I)にリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属またはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属などの金属を作用させる工程が含まれる。これらの中でも、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属が好ましく、リチウムがより好ましい。
これらのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の使用量は、化合物(I)の4,5位の炭素−炭素二重結合の還元はほぼ完結し、かつ1,2位の炭素−炭素二重結合が一部残存する程度に制御し得る量であれば特に限定はないが、ケトンの還元を有意に抑制するため、通常、化合物(I)の4,5位の炭素−炭素二重結合を還元するのに必要な量の0.8〜2.5倍の範囲である。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の使用量が当該範囲より少ない場合は、化合物(I)の4,5位の炭素−炭素二重結合の還元が完結しない傾向となり、当該範囲より多い場合は、ケトンの還元などの副反応が進行する傾向となる。
反応温度は、好ましくは−100℃〜50℃の範囲であり、より好ましくは−50℃〜20℃の範囲である。反応時間は反応条件によって異なるが、工業的な観点からは、0.1〜20時間の範囲であるのが好ましく、1〜10時間の範囲であるのがより好ましい。
また、還元反応はアンモニアおよび/またはアミンの存在下で行う。アミンの種類に特に限定はなく、例えばメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミンなどの第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピロリジン、ピペリジンなどの第2級アミン;エチレンジアミン、ジアミノプロパン、N,N’−ジメチルエチレンジアミンなどの多価アミン;などの直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数が1〜6のアミンが挙げられるが、アンモニアの使用が好ましい。
アンモニアおよび/またはアミンの使用量は、好ましくは化合物(I)に対して1〜100質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
また、反応にはプロトン供給体を使用することが必要である。プロトン供給体の種類に特に限定はなく、例えば塩酸、硫酸、炭酸などの無機酸もしくはギ酸、酢酸、安息香酸などのカルボン酸またはそれらのアンモニウム塩またはアミン塩;水;アルコールなどが挙げられ、アルコールの使用が好ましい。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−オクタノール、1−ドデカノールなどの第1級アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、2−オクタノールなどの第2級アルコール;tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、2−メチルヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノールなどの第3級アルコール;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール;などの直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜12のアルコールが挙げられる。これらの中でも、第3級アルコールが好ましく、tert−ブタノールがより好ましい。
プロトン供給体の使用量は、通常、還元される炭素−炭素二重結合1つあたり1.5〜3モル倍の範囲である。
プロトン供給体を反応系に添加する時期は特に制限されず、例えば化合物(I)がアルカリ金属またはアルカリ土類金属と反応する前に反応系に添加する方法、あるいは化合物(I)がアルカリ金属またはアルカリ土類金属と反応した後に反応系に添加する方法などから任意に選択でき、中でも前者の方法が好ましい。
また、還元反応は溶媒の存在下で行ってもよい。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶媒を使用する場合、その使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(I)に対して1〜100質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
かかる還元反応により、化合物(I)は、プレグナン5位の水素原子がα配置となるように立体選択的に還元される。ここで、立体選択的とは、プレグナン5位の水素原子がβ配置となる異性体よりも、化合物(II)および化合物(III)、あるいは化合物(IV)および化合物(V)が多く生成することを意味する。
還元反応後の生成物の単離・精製方法は特に制限されず、有機化合物の単離・精製に通常用いられる方法を採用することができる。例えば、抽出操作などを行った後、濃縮することによって化合物(II)および化合物(III)の混合物、あるいは化合物(IV)および化合物(V)の混合物を得ることができる。
化合物(I)におけるR1およびR2で表される水酸基の保護基は、化合物(II)および化合物(III)の混合物におけるR11およびR12で表される水酸基の保護基、または化合物(IV)および化合物(V)の混合物におけるR21およびR22で表される水酸基の保護基と同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、R1およびR2が表す水酸基の保護基は、脱保護可能な範囲において還元反応(バーチ還元反応)を実施することにより任意に変化してもよい。例えばベンゾイル基は、還元反応によって2,5−シクロヘキサジエンカルボニル基に変化してもよい。
また、化合物(I)から化合物(II)および化合物(III)の混合物を製造する工程において、化合物(I)におけるR1およびR2で表される水酸基の保護基は還元反応を実施することによって脱保護されてもよい。
3.水酸基の保護基の脱保護方法、反応条件
水酸基の保護基の脱保護に用いられる反応条件は特に限定されるものではないが、保護基の種類に応じて通常用いられる反応条件を選択して使用することができる。
例えば水酸基の保護基が好ましい態様である三置換シリル基である場合は、化合物(II)および化合物(III)の混合物、あるいは化合物(IV)および化合物(V)の混合物を酸またはフッ化物塩と反応させることにより、脱保護することができる。以下、当該態様について説明するが、脱保護反応がこれに限定されるものではない。
酸の種類としては特に限定はなく、例えば塩酸、硫酸、フッ化水素酸、臭化水素酸などの無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸などが挙げられる。フッ化物塩としては、例えばフッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムなどが挙げられる。
酸の使用量は、原料に対して0.01〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは0.1〜5モル倍の範囲である。
フッ化物塩の使用量は、原料に含有される脱保護されるべき保護基の数によって決定される。好ましくは保護基1つに対して1〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは1〜5モル倍の範囲である。
また、脱保護反応は溶媒の存在下で行ってもよい。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶媒を使用する場合、その使用量は特に制限されないが、好ましくは原料に対して1〜100質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
反応温度は、好ましくは−20℃〜120℃の範囲であり、より好ましくは0℃〜80℃の範囲である。反応時間は、好ましくは0.1〜20時間の範囲であり、より好ましくは1〜10時間の範囲である。
得られる生成物の単離・精製方法は特に制限されず、有機化合物の単離・精製に通常用いられる方法を採用することができる。例えば、抽出操作などを行った後、濃縮することによって化合物(VI)および化合物(VII)の混合物を得ることができる。
4.化合物(II)および化合物(III)の混合物、または化合物(IV)および化合物(V)の混合物の還元
化合物(II)および化合物(III)の混合物中の化合物(III)、または化合物(IV)および化合物(V)の混合物中の化合物(V)は、それらの1,2位の炭素−炭素二重結合を還元することにより、目的物である飽和ケトンへ導くことができる。かかる還元方法は、例えば遷移金属触媒を用いた接触還元、ヒドリド還元剤による還元、および化合物(I)から化合物(II)および化合物(III)の混合物を製造する方法として上述してきた還元方法などが挙げられる。これらの中でも、ケトンの還元を抑制し易いという観点から、遷移金属触媒を用いた接触還元が好ましい。以下、好ましい態様である遷移金属触媒を用いた接触還元について説明するが、還元工程はこれに限定されるものではない。
接触還元は、化合物(II)および化合物(III)の混合物、または化合物(IV)および化合物(V)の混合物を、遷移金属触媒の存在下、還元剤と反応させることにより行なう。
接触還元に用いる遷移金属触媒の金属種としては、例えばルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金などが挙げられる。これらの中でも、ニッケル、パラジウム、白金が好ましく、パラジウムが最も好ましい。遷移金属触媒の形態は、反応系で溶解する錯体触媒(例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、酢酸パラジウム)、反応系に溶解しない不均一系触媒(例えばパラジウムカーボン、水酸化パラジウム、パラジウム黒、酸化白金)のどちらでもよいが、反応系からの分離が容易な不均一系触媒、中でもパラジウムカーボン、パラジウム黒が好ましい。
遷移金属触媒の使用量は、原料混合物に混入する化合物(III)または化合物(V)の割合にもよるが、通常、原料混合物の全質量に対して0.01〜100質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。
還元剤としては、分子状水素、ギ酸およびその塩などが挙げられ、分子状水素が好ましい。
分子状水素を還元剤に用いる場合の水素分圧は、1×104〜1×107Paの範囲であるのが好ましく、1×105〜1×106Paの範囲であるのがより好ましい。
接触還元の反応温度は、好ましくは0℃〜150℃の範囲であり、より好ましくは20℃〜100℃の範囲である。反応時間は反応条件によって異なるが、工業的な観点からは、好ましくは0.1〜20時間の範囲であり、より好ましくは1〜10時間の範囲である。
また、接触還元反応は通常、溶媒の存在下で行なわれる。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロプロピルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルなどのエステル;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−オクタノールなどのアルコール;アセトニトリルなどのニトリル;N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、これらは単独あるいは組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロプロピルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶媒の使用量は特に制限されないが、好ましくは原料混合物の全質量に対して1〜200質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
当該還元反応で得られる化合物(II)または化合物(IV)の単離・精製方法は特に限定されず、有機化合物の単離・精製に通常用いられる方法を採用することができる。例えば、触媒の除去、抽出操作などの後、再結晶またはカラムクロマトグラフィーを行うことにより化合物(II)または化合物(IV)を単離・精製できる。
5.原料の確保
原料として使用する化合物(I)の製造方法は特に限定されない。例えば(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンは、3α,7α−ジヒドロキシ−5β−コラン酸および/またはその塩を微生物を用いた変換反応に付す(JP−B−2525049)ことにより7α−ヒドロキシ−3−オキソ−プレグナ−1,4−ジエン−20α−カルバルデヒドに誘導し、さらに水素化ホウ素ナトリウムで20位を還元する(WO02/20552)ことにより容易に得ることができ、また(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−4−エン−3−オンは、3α,7α−ジヒドロキシ−5β−コラン酸を微生物を用いた変換反応に付すことにより7α−ヒドロキシ−3−オキソ−プレグナ−4−エン−20α−カルバルデヒドに誘導し、さらに水素化ホウ素ナトリウムでアルデヒド基を還元する(WO03/23047)ことにより容易に得ることができる。これらの化合物の21位および7位の水酸基をそれ自体公知の方法により必要に応じて保護することにより、本発明に供する化合物(I)とすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
参考例1
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンの製造
窒素雰囲気下、容量200mlのフラスコに、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(8.79g、25.5mmol)、イミダゾール(2.60g、38.3mmol)およびテトラヒドロフラン(100ml)を入れて攪拌しながら溶解させ、氷冷した。この溶液に、tert−ブチルジメチルクロロシラン(5.00g、33.2mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解した溶液を内温が0℃〜10℃に保たれるように滴下し、添加終了後、室温まで昇温してさらに1時間攪拌した。反応液を水(200ml)に加え、酢酸エチル(100ml)で2回抽出した。水層を分離し、有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記の物性を有する(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(11.11g)を得た(収率95%)。
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:0.03(s,6H),0.76(s,3H),0.89(s,9H),0.99(d,3H,J=6.9Hz),1.1−1.8(15H),2.03(dt,1H,J=3.0,12.9Hz),2.48(dd,1H,J=3.0,13.9Hz),2.75(dt,1H,J=2.0,13.9Hz),3.28(dd,1H,J=6.9,9.9Hz),3.56(dd,1H,J=3.0,9.9Hz),4.05(bs,1H),6.14(dd,1H,J=0.9,2.0Hz),6.24(dd,1H,J=2.0,9.9Hz),7.08(d,1H,J=9.9Hz).
実施例1
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンおよび(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの混合物の製造
窒素雰囲気下、容量300mlの3つ口フラスコに、テトラヒドロフラン(85ml)、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(5.00g、10.9mmol)、tert−ブタノール(3.47g、46.8mmol)を加え、−50℃以下に冷却し、液体アンモニア(85ml)を加えた。次いで、金属リチウム(0.32g、46.1mmol)を内温−50℃〜−40℃に保ちながらゆっくり加え、添加終了後さらに−40℃で2時間攪拌した。反応液に酢酸アンモニウム(3.61g、46.8mmol)を加えた後、反応液を室温まで徐々に昇温しながら12時間攪拌し、アンモニアを除去した。得られたテトラヒドロフラン溶液に15質量%硫酸水溶液を加えて水層のpHを4〜6とした後、有機層と水層を分離した。有機層をHPLCにて分析したところ、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.81g、収率76%)、および(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.65g、収率13%)を含有していた。
HPLC条件 カラム:TSK−gel80TM,内径4.6mm×長さ250mm、カラム温度:35℃、移動相:アセトニトリル/水=9/1、流速:1ml/min、検出波長:210nm、保持時間:(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン=30min、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン=24min
実施例2
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンおよび(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの混合物の製造
窒素雰囲気下、容量200mlの3つ口フラスコに、実施例1で得られた(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.81g、8.2mmol)および(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.65g、1.4mmol)を含有するテトラヒドロフラン溶液、次いで、6N塩酸(2ml)を加え、40℃で2時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、反応液を室温に冷却し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で水層のpHを8に調節した後、有機層を分離した。有機層をHPLCにて分析したところ、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(2.76g、収率96%)および(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.46g、収率95%)を含有していた。
HPLC条件 カラム:Vydac218TP54 300A5u,内径4.6mm×長さ250mm、カラム温度:35℃、移動相:アセトニトリル/水=3/7、流速:1ml/min、検出波長:210nm、保持時間:(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン=30min、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン=24min
参考例2
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
窒素雰囲気下、200mlの3つ口フラスコに、実施例2で得られた(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(2.76g、7.9mmol)および(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.46g、1.3mmol)を含有するテトラヒドロフラン溶液を加え、10%パラジウムカーボン(50mg)を加えた後、水素雰囲気に置換して常圧下、50℃で5時間反応させた。HPLC分析にて(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの消失を確認した後、室温に冷却し、触媒をろ別してろ液を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記の物性を有する(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.06g)を得た{収率95%(含有していた(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンと(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの和を基準)}。
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:0.71(s,3H),1.01(s,3H),1.04(d,3H,J=6.9Hz),1.0−2.5(22H),3.34(dd,1H,J=6.9,10.9Hz),3.61(dd,1H,J=3.0,10.9Hz),3.84−3.85(brs,1H)。
参考例3
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
窒素雰囲気下、200mlの3つ口フラスコに、実施例1と同一の操作で得られた(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(4.09g、8.8mmol)、および(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.52g、1.1mmol)を含有するテトラヒドロフラン溶液を加え、10%パラジウムカーボン(50mg)を加えた後、水素雰囲気に置換して常圧下、50℃で5時間反応させた。HPLC分析にて(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの消失を確認した後、室温に冷却し、触媒をろ別した。ろ液をHPLCにて分析したところ、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを(4.47g)含有していた{収率97%(含有していた(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンと(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの和を基準)}。
参考例4
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
窒素雰囲気下、容量200mlの3つ口フラスコに、参考例3で得られた(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(4.47g、9.7mmol)を含有するテトラヒドロフラン溶液および6N塩酸(2ml)を加え、40℃で2時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、反応液を室温に冷却し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で水層のpHを8に調節した後、有機層を分離して濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.15g)を得た(収率94%)。
参考例1
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンの製造
窒素雰囲気下、容量200mlのフラスコに、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(8.79g、25.5mmol)、イミダゾール(2.60g、38.3mmol)およびテトラヒドロフラン(100ml)を入れて攪拌しながら溶解させ、氷冷した。この溶液に、tert−ブチルジメチルクロロシラン(5.00g、33.2mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解した溶液を内温が0℃〜10℃に保たれるように滴下し、添加終了後、室温まで昇温してさらに1時間攪拌した。反応液を水(200ml)に加え、酢酸エチル(100ml)で2回抽出した。水層を分離し、有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記の物性を有する(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(11.11g)を得た(収率95%)。
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:0.03(s,6H),0.76(s,3H),0.89(s,9H),0.99(d,3H,J=6.9Hz),1.1−1.8(15H),2.03(dt,1H,J=3.0,12.9Hz),2.48(dd,1H,J=3.0,13.9Hz),2.75(dt,1H,J=2.0,13.9Hz),3.28(dd,1H,J=6.9,9.9Hz),3.56(dd,1H,J=3.0,9.9Hz),4.05(bs,1H),6.14(dd,1H,J=0.9,2.0Hz),6.24(dd,1H,J=2.0,9.9Hz),7.08(d,1H,J=9.9Hz).
実施例1
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンおよび(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの混合物の製造
窒素雰囲気下、容量300mlの3つ口フラスコに、テトラヒドロフラン(85ml)、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(5.00g、10.9mmol)、tert−ブタノール(3.47g、46.8mmol)を加え、−50℃以下に冷却し、液体アンモニア(85ml)を加えた。次いで、金属リチウム(0.32g、46.1mmol)を内温−50℃〜−40℃に保ちながらゆっくり加え、添加終了後さらに−40℃で2時間攪拌した。反応液に酢酸アンモニウム(3.61g、46.8mmol)を加えた後、反応液を室温まで徐々に昇温しながら12時間攪拌し、アンモニアを除去した。得られたテトラヒドロフラン溶液に15質量%硫酸水溶液を加えて水層のpHを4〜6とした後、有機層と水層を分離した。有機層をHPLCにて分析したところ、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.81g、収率76%)、および(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.65g、収率13%)を含有していた。
HPLC条件 カラム:TSK−gel80TM,内径4.6mm×長さ250mm、カラム温度:35℃、移動相:アセトニトリル/水=9/1、流速:1ml/min、検出波長:210nm、保持時間:(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン=30min、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン=24min
実施例2
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンおよび(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの混合物の製造
窒素雰囲気下、容量200mlの3つ口フラスコに、実施例1で得られた(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.81g、8.2mmol)および(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.65g、1.4mmol)を含有するテトラヒドロフラン溶液、次いで、6N塩酸(2ml)を加え、40℃で2時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、反応液を室温に冷却し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で水層のpHを8に調節した後、有機層を分離した。有機層をHPLCにて分析したところ、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(2.76g、収率96%)および(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.46g、収率95%)を含有していた。
HPLC条件 カラム:Vydac218TP54 300A5u,内径4.6mm×長さ250mm、カラム温度:35℃、移動相:アセトニトリル/水=3/7、流速:1ml/min、検出波長:210nm、保持時間:(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン=30min、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン=24min
参考例2
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
窒素雰囲気下、200mlの3つ口フラスコに、実施例2で得られた(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(2.76g、7.9mmol)および(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.46g、1.3mmol)を含有するテトラヒドロフラン溶液を加え、10%パラジウムカーボン(50mg)を加えた後、水素雰囲気に置換して常圧下、50℃で5時間反応させた。HPLC分析にて(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの消失を確認した後、室温に冷却し、触媒をろ別してろ液を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記の物性を有する(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.06g)を得た{収率95%(含有していた(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンと(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの和を基準)}。
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl3、TMS、ppm)δ:0.71(s,3H),1.01(s,3H),1.04(d,3H,J=6.9Hz),1.0−2.5(22H),3.34(dd,1H,J=6.9,10.9Hz),3.61(dd,1H,J=3.0,10.9Hz),3.84−3.85(brs,1H)。
参考例3
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
窒素雰囲気下、200mlの3つ口フラスコに、実施例1と同一の操作で得られた(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(4.09g、8.8mmol)、および(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(0.52g、1.1mmol)を含有するテトラヒドロフラン溶液を加え、10%パラジウムカーボン(50mg)を加えた後、水素雰囲気に置換して常圧下、50℃で5時間反応させた。HPLC分析にて(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの消失を確認した後、室温に冷却し、触媒をろ別した。ろ液をHPLCにて分析したところ、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを(4.47g)含有していた{収率97%(含有していた(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンと(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの和を基準)}。
参考例4
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
窒素雰囲気下、容量200mlの3つ口フラスコに、参考例3で得られた(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(4.47g、9.7mmol)を含有するテトラヒドロフラン溶液および6N塩酸(2ml)を加え、40℃で2時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、反応液を室温に冷却し、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で水層のpHを8に調節した後、有機層を分離して濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.15g)を得た(収率94%)。
本発明により製造される化合物(II)、化合物(IV)および化合物(VI)((20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン)は、WO01/79255に記載の方法により、スクアラミンに容易に導くことができる。したがって、本発明の方法は、スクアラミンの合成中間体の製造に有利に利用される。
本出願は、2004年3月31日に日本で出願された特願2004−108434を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。
本出願は、2004年3月31日に日本で出願された特願2004−108434を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。
Claims (12)
- R2およびR12が水素原子である請求項1記載の製造方法。
- R1およびR11が三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる同一または異なる置換基を3つ有する。)である請求項2記載の製造方法。
- R1およびR11がtert−ブチルジメチルシリル基である請求項3記載の製造方法。
- 金属がアルカリ金属である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- アルカリ金属がリチウムである請求項5記載の製造方法。
- (a)一般式(I)
(式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示されるプレグナン誘導体に、プロトン供給体、アミンおよび/またはアンモニアの存在下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる金属を作用させることにより、一般式(IV)
(式中、R21は水酸基の保護基を表し、R22は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で表される5α−プレグナン誘導体および一般式(V)
(式中、R21およびR22は前記定義のとおりである。)で示される5α−プレグナン誘導体の混合物を得る工程;および
(b)前記工程で得られる混合物の有する水酸基の保護基を脱保護する工程を包含することを特徴とする、式(VI)
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンおよび式(VII)
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの混合物の製造方法。 - R2およびR22が水素原子である請求項7に記載の製造方法。
- R1およびR21が三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる同一または異なる置換基を3つ有する。)である請求項8記載の製造方法。
- R1およびR21がtert−ブチルジメチルシリル基である請求項9記載の製造方法。
- 金属がアルカリ金属である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
- アルカリ金属がリチウムである請求項11に記載の製造方法。
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