JPWO2005052150A1 - インスリン遺伝子の転写調節方法 - Google Patents
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Abstract
IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合阻害工程を含むインスリン遺伝子の転写促進方法:(i)HNF3G、(ii)PHF1、及び(iii)DLX4、並びにインスリン遺伝子の転写を促進する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:(i)HNF3G、(ii)PHF1、及び(iii)DLX4。
Description
本発明は、インスリン遺伝子の転写調節方法に関する。より具体的には、本発明は、IPF1(インスリン・プロモーター・ファクター1:Insulin promoter factor−1、以下、本明細書で「IPF1」と略す。)と該IPF1と結合する蛋白質との結合を阻害する工程を含むインスリン遺伝子の転写調節方法に関するものである。
IPF1は、膵臓のβ細胞で発現している転写因子であり、インスリン、グルコキナーゼ(Glucokinase)、GLUT2など糖代謝に重要な遺伝子群の発現促進因子である(総説:Diabetologia 44,1203−1214,2001;Eur.J.Endocrinol.146,129−141,2002;Diabetologia 45,309−326,2002)。IPF1の機能欠損は糖代謝の異常を招き、遺伝性2型糖尿病MODY4(Maturity−onset diabetes of the young)を発症させることから(J.Clin.Invest.104,R41−R48,1999)、IPF1はインスリン分泌等の糖代謝系や膵臓の機能維持において重要な因子であると考えられている。
IPF1は、抗グルコース刺激によりフォスファチジルイノシトール3−キナーゼ及びストレス−アクティベーテッドプロテインキナーゼのシグナル伝達系を介してリン酸化を受けて核内へ移行し、インスリン遺伝子のプロモーター活性を促進することが報告されているが(J.Biol.Chem.272,20936−20944,1997;J.Biol.Chem.274,1011−1016,1999)、これまでIPF1をリン酸化する酵素は同定されていない。また、IPF1依存的なインスリン遺伝子プロモーター活性がヘパトサイト・ニュクリアー・ファクター−1α(HNF−1α)により抑制されることが報告されており(Endocr.Res.27,63−74,2001)、インスリン遺伝子プロモーター領域へのIPF1の結合をHNF−1αが競合的に阻害するためであると考えられているが、IPF1とHNF−1αが直接結合するかどうかについては従来知られていない。
一方、遺伝子の転写を制御する因子がいくつか知られている。例えば、HNF3G(Hepatocyte nuclear factor 3−gamma)はForkhead boxを有する転写因子であり、肝臓特異的な遺伝子の転写制御因子であると考えられている(Genomics 20,377−385,1994;Genomics 39,417−419,1997;Mol.Cell.Biol.18,4245−4251,1998)。DLX4(Distal−less homeobox 4、BP1と呼ばれる場合もある)はホメオドメインを有する転写因子であり、β−globin遺伝子の転写を抑制することが知られている(Mol.Cell.Biol.22,2505−2514,2002)。TCF4(Transcription factor 4)はhelix−loop−helix構造を有する転写因子であり、somatostatin receptor II遺伝子のイニシエーターエレメントや、immunoglobulin遺伝子のエンハンサーエレメントに結合し、転写を活性化することが知られている(EMBO J.15,6680−6690;Science 247,467−470)。また、PHF1(PHD finger protein 1)はPHD finger domainを有する蛋白質であり、転写調節因子ではないかと考えられているが、その機能は不明である(Genomics 48,381−383,1998)。しかしながら、これらの転写因子がインスリン遺伝子転写の調節因子であることは従来全く知られていない。さらに、TMPO(Thymopoietin)は核蛋白質であり、核構造の維持や細胞周期に関与している可能性が考えられているが、その機能の詳細は不明であり(Genomics 28,198−205,1995;Genome Res.6,361−370,1996)、この蛋白質がインスリン遺伝子転写に関与しているとの報告はない。
IPF1は、抗グルコース刺激によりフォスファチジルイノシトール3−キナーゼ及びストレス−アクティベーテッドプロテインキナーゼのシグナル伝達系を介してリン酸化を受けて核内へ移行し、インスリン遺伝子のプロモーター活性を促進することが報告されているが(J.Biol.Chem.272,20936−20944,1997;J.Biol.Chem.274,1011−1016,1999)、これまでIPF1をリン酸化する酵素は同定されていない。また、IPF1依存的なインスリン遺伝子プロモーター活性がヘパトサイト・ニュクリアー・ファクター−1α(HNF−1α)により抑制されることが報告されており(Endocr.Res.27,63−74,2001)、インスリン遺伝子プロモーター領域へのIPF1の結合をHNF−1αが競合的に阻害するためであると考えられているが、IPF1とHNF−1αが直接結合するかどうかについては従来知られていない。
一方、遺伝子の転写を制御する因子がいくつか知られている。例えば、HNF3G(Hepatocyte nuclear factor 3−gamma)はForkhead boxを有する転写因子であり、肝臓特異的な遺伝子の転写制御因子であると考えられている(Genomics 20,377−385,1994;Genomics 39,417−419,1997;Mol.Cell.Biol.18,4245−4251,1998)。DLX4(Distal−less homeobox 4、BP1と呼ばれる場合もある)はホメオドメインを有する転写因子であり、β−globin遺伝子の転写を抑制することが知られている(Mol.Cell.Biol.22,2505−2514,2002)。TCF4(Transcription factor 4)はhelix−loop−helix構造を有する転写因子であり、somatostatin receptor II遺伝子のイニシエーターエレメントや、immunoglobulin遺伝子のエンハンサーエレメントに結合し、転写を活性化することが知られている(EMBO J.15,6680−6690;Science 247,467−470)。また、PHF1(PHD finger protein 1)はPHD finger domainを有する蛋白質であり、転写調節因子ではないかと考えられているが、その機能は不明である(Genomics 48,381−383,1998)。しかしながら、これらの転写因子がインスリン遺伝子転写の調節因子であることは従来全く知られていない。さらに、TMPO(Thymopoietin)は核蛋白質であり、核構造の維持や細胞周期に関与している可能性が考えられているが、その機能の詳細は不明であり(Genomics 28,198−205,1995;Genome Res.6,361−370,1996)、この蛋白質がインスリン遺伝子転写に関与しているとの報告はない。
上記のように、IPF1はインスリン遺伝子転写における重要な転写促進因子であることから、IPF1と結合する蛋白質を同定することは糖尿病の予防及び/又は治療のための手段を提供するために極めて重要である。また、IPF1と該蛋白質との結合を阻害することによりインスリン遺伝子の転写を調節する手段を提供できる可能性がある。従って、本発明の課題は、IPF1と結合する蛋白質を提供し、さらにIPF1と該蛋白質との結合を阻害することによりインスリン遺伝子転写を調節する手段を提供することにある。
本発明者らはIPF1と結合する蛋白質を同定してその機能を明らかにすべく、国際公開第WO01/67299号公報に記載の予測方法に従って、IPF1のアミノ酸配列をある長さのオリゴペプチドに分解し、各オリゴペプチドのアミノ酸配列あるいはそのアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を持った蛋白質をデータベース中で検索し、選抜された蛋白質とIPF1との間でローカルアライメントを行いローカルアライメントのスコアの高い蛋白質をIPF1と結合可能な蛋白質であると予測した。その結果、IPF1由来のアミノ酸配列からなるオリゴペプチドと相同性のあるオリゴペプチドを有する数種の蛋白質が見出された。そして、本発明者らは、これらの蛋白質がIPF1と結合すること、及びその結合に基づいてインスリン遺伝子の転写を調節する方法を見出した。さらに、これらの蛋白質がインスリンプロモーターの活性抑制作用を有することを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合阻害工程を含むインスリン遺伝子の転写促進方法:
(i)HNF3G(hepatocyte nuclear factor 3−gamma)、
(ii)PHF1(PHD finger protein 1)
及び
(iii)DLX4(distal−less homeobox4)
が提供される。
また、本発明により、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び該蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
(iii)DLX4、
(iv)TCF4(transcription factor4)
及び
(v)TMPO(thymopoietin)
も提供される。
さらに、本発明により、インスリン遺伝子の転写を促進する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4
も提供される。
また、本発明により、インスリン遺伝子の転写を促進する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させることによりインスリン遺伝子の転写が促進するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4
も提供される。
別の観点からは、本発明により、上記のいずれかのスクリーニング方法によりスクリーニングされた物質が提供される。
また、本発明により、インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する医薬:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4;並びに
糖尿病の予防及び/又は治療のための医薬であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する医薬:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4
が提供される。これらの医薬の好ましい態様によれば、上記のいずれかのスクリーニング方法によりスクリーニングされた物質を有効成分として含有する医薬が提供される。
さらに、インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療方法であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する工程を含む方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4;並びに
糖尿病の予防及び/又は治療方法であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する工程を含む方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4
が提供される。これらの方法の好ましい態様によれば、上記のいずれかのスクリーニング方法によりスクリーニングされた物質を投与する工程を含む方法が提供される。
さらに別の観点からは、上記のスクリーニング方法に用いる試薬キットであって、
(a)IPF1及び/又はIPF1をコードするDNA、並びに
(b)IPF1と結合する蛋白質及び/又は該蛋白質をコードするDNA
を含有する試薬キット
が本発明により提供される。この発明の好ましい態様によれば、
(a)IPF1及び/又はIPF1をコードするDNA、並びに
(b)下記の群より選ばれる1又は2以上の蛋白質及び/又は該蛋白質をコードするDNA:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4
を含有する試薬キットが提供される。
本発明者らはIPF1と結合する蛋白質を同定してその機能を明らかにすべく、国際公開第WO01/67299号公報に記載の予測方法に従って、IPF1のアミノ酸配列をある長さのオリゴペプチドに分解し、各オリゴペプチドのアミノ酸配列あるいはそのアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を持った蛋白質をデータベース中で検索し、選抜された蛋白質とIPF1との間でローカルアライメントを行いローカルアライメントのスコアの高い蛋白質をIPF1と結合可能な蛋白質であると予測した。その結果、IPF1由来のアミノ酸配列からなるオリゴペプチドと相同性のあるオリゴペプチドを有する数種の蛋白質が見出された。そして、本発明者らは、これらの蛋白質がIPF1と結合すること、及びその結合に基づいてインスリン遺伝子の転写を調節する方法を見出した。さらに、これらの蛋白質がインスリンプロモーターの活性抑制作用を有することを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合阻害工程を含むインスリン遺伝子の転写促進方法:
(i)HNF3G(hepatocyte nuclear factor 3−gamma)、
(ii)PHF1(PHD finger protein 1)
及び
(iii)DLX4(distal−less homeobox4)
が提供される。
また、本発明により、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び該蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
(iii)DLX4、
(iv)TCF4(transcription factor4)
及び
(v)TMPO(thymopoietin)
も提供される。
さらに、本発明により、インスリン遺伝子の転写を促進する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4
も提供される。
また、本発明により、インスリン遺伝子の転写を促進する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させることによりインスリン遺伝子の転写が促進するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4
も提供される。
別の観点からは、本発明により、上記のいずれかのスクリーニング方法によりスクリーニングされた物質が提供される。
また、本発明により、インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する医薬:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4;並びに
糖尿病の予防及び/又は治療のための医薬であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する医薬:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4
が提供される。これらの医薬の好ましい態様によれば、上記のいずれかのスクリーニング方法によりスクリーニングされた物質を有効成分として含有する医薬が提供される。
さらに、インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療方法であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する工程を含む方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4;並びに
糖尿病の予防及び/又は治療方法であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する工程を含む方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1
及び
(iii)DLX4
が提供される。これらの方法の好ましい態様によれば、上記のいずれかのスクリーニング方法によりスクリーニングされた物質を投与する工程を含む方法が提供される。
さらに別の観点からは、上記のスクリーニング方法に用いる試薬キットであって、
(a)IPF1及び/又はIPF1をコードするDNA、並びに
(b)IPF1と結合する蛋白質及び/又は該蛋白質をコードするDNA
を含有する試薬キット
が本発明により提供される。この発明の好ましい態様によれば、
(a)IPF1及び/又はIPF1をコードするDNA、並びに
(b)下記の群より選ばれる1又は2以上の蛋白質及び/又は該蛋白質をコードするDNA:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4
を含有する試薬キットが提供される。
第1図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドPPGLSASPQPS、EGAEPGV、及びPFPGALGAとHNF3G中の相同性のあるオリゴペプチドPGGLPASPLPS、EGGEPGV、及びPYPGGLPAとのローカルアライメントの結果を示す。
第2図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドPPDISPYE及びGEELLとPHF1中の相同性のあるオリゴペプチドPPDRSPLE及びGEELLとのローカルアライメントの結果を示す。
第3図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドIKIWFQNRRMKWKK、SPQPS、及びRRPQEPとDLX4中の相同性のあるオリゴペプチドVKIWFQNKRSKYKK、SPEPS、及びRRPQAPとのローカルアライメントの結果を示す。
第4図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドHHHLPAQ、PPGLSAS、及びGPAPEFSAとTCF4中の相同性のあるオリゴペプチドHSLLPNQ、PPGLPSS、及びGSPPSLSAとのローカルアライメントの結果を示す。
第5図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドFQRGPAPEFSASPPとTMPO中の相同性のあるオリゴペプチドFQGISFPEISTRPPとのローカルアライメントの結果を示す。
第6図は、IPF1とHNF3G、PHF1、DLX4、TCF4、又はTMPOとの結合試験の結果を示す。
第7図は、HeLa細胞系でのIPF1依存的ヒトインスリンプロモーター活性の検出結果を示す。
第8図は、HeLa細胞系でのHNF3G、PHF1、及びDLX4過剰発現のIPF1依存的ヒトインスリンプロモーター活性への影響を示す。
第9図は、MIN6細胞系でのHNF3G、PHF1、及びDLX4過剰発現のヒトインスリンプロモーター活性への影響を示す。
第10図は、ヒト膵臓におけるヒトHNF3G、ヒトPHF1、及びヒトDLX4の発現を確認した結果(RT−PCR法)を示す。
第11図は、MIN6細胞におけるマウスHNF3G、マウスPHF1、及びマウスDLX4の発現を確認した結果(RT−PCR法)を示す。
第2図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドPPDISPYE及びGEELLとPHF1中の相同性のあるオリゴペプチドPPDRSPLE及びGEELLとのローカルアライメントの結果を示す。
第3図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドIKIWFQNRRMKWKK、SPQPS、及びRRPQEPとDLX4中の相同性のあるオリゴペプチドVKIWFQNKRSKYKK、SPEPS、及びRRPQAPとのローカルアライメントの結果を示す。
第4図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドHHHLPAQ、PPGLSAS、及びGPAPEFSAとTCF4中の相同性のあるオリゴペプチドHSLLPNQ、PPGLPSS、及びGSPPSLSAとのローカルアライメントの結果を示す。
第5図は、IPF1由来のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドFQRGPAPEFSASPPとTMPO中の相同性のあるオリゴペプチドFQGISFPEISTRPPとのローカルアライメントの結果を示す。
第6図は、IPF1とHNF3G、PHF1、DLX4、TCF4、又はTMPOとの結合試験の結果を示す。
第7図は、HeLa細胞系でのIPF1依存的ヒトインスリンプロモーター活性の検出結果を示す。
第8図は、HeLa細胞系でのHNF3G、PHF1、及びDLX4過剰発現のIPF1依存的ヒトインスリンプロモーター活性への影響を示す。
第9図は、MIN6細胞系でのHNF3G、PHF1、及びDLX4過剰発現のヒトインスリンプロモーター活性への影響を示す。
第10図は、ヒト膵臓におけるヒトHNF3G、ヒトPHF1、及びヒトDLX4の発現を確認した結果(RT−PCR法)を示す。
第11図は、MIN6細胞におけるマウスHNF3G、マウスPHF1、及びマウスDLX4の発現を確認した結果(RT−PCR法)を示す。
本発明に用いられる(i)ないし(v)の蛋白質(これらを野生型の相互作用蛋白質と呼ぶ場合がある)は、それぞれ配列表の配列番号4、6、8、10および12に記載のアミノ酸配列で表される蛋白質である。本発明に用いられるIPF1(これを野生型のIPF1と呼ぶ場合がある)は、配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列で表される蛋白質である。よって、当業者はこれらの記載から、野生型の相互作用蛋白質及び野生型のIPF1を容易に入手可能である。例えば、これらの蛋白質の産生が認められる試料(例えばヒト膵臓由来の細胞)から、自体公知の精製方法(それぞれの蛋白質を抗原とするモノクローナル抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィー法)を用いて、回収し精製すればよい。
また、本明細書において、(i)ないし(v)の蛋白質には、上記の野生型の相互作用蛋白質のアミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸が置換、挿入または欠失したアミノ酸配列を含み、ヒトを含む哺乳動物生体において上記の野生型の相互作用蛋白質と実質的に同一のインスリン遺伝子転写調節作用を有する蛋白質、または実質的に同一のインスリンプロモーター活性抑制作用を有する蛋白質(これらの蛋白質を変異型の相互作用蛋白質と呼ぶ場合がある)も含まれる。
さらに、本明細書において、IPF1には、上記の野生型のIPF1のアミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸が置換、挿入または欠失したアミノ酸配列を含み、ヒトを含む哺乳動物生体において上記の野生型のIPF1と実質的に同一のインスリンプロモーター活性化作用を有する蛋白質、または実質的に同一のインスリン遺伝子転写促進作用を有する蛋白質(これらの蛋白質を変異型のIPF1と呼ぶ場合がある)も含まれる。
一般的には、変異型の相互作用蛋白質は、野生型の相互作用蛋白質のアミノ酸配列と一定上(例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上)の相同性を有するアミノ酸配列を有していることが好ましい。同様に、変異型のIPF1は、野生型のIPF1のアミノ酸配列と一定上(例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上)の相同性を有するアミノ酸配列を有していることが好ましい。
これらの変異蛋白質をコードする遺伝子の取得方法は公知であり、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら編、コールドスプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年)等に記載された方法またはそれに準じる方法により適宜入手することができ、所望の変異蛋白質を容易に入手することができる。得られた変異蛋白質が、野生型の相互作用蛋白質と実質的に同一のインスリン遺伝子転写調節作用を有するか否かは、本明細書の実施例3に具体的に示されたインスリンプロモーター活性の抑制作用検出方法を用いて、当業者が容易に確認できる。また、得られた変異蛋白質が、野生型のIPF1同一のインスリンプロモーター活性化作用を有するか否かは、本明細書の実施例3に具体的に示されたインスリンプロモーター活性測定方法を用いて、当業者が容易に確認できる。
本発明により提供されるインスリン遺伝子の転写促進方法は、IPF1と上記の蛋白質(i)、(ii)、及び(iii)からなる群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合阻害工程を含むことを特徴としている。いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、IPF1と結合する上記の(i)、(ii)、又は(iii)の蛋白質は、一般的にはIPF1のインスリンプロモーター活性を抑制することが期待される。従って、この結合を阻害する物質は該蛋白質のインスリンプロモーター活性抑制作用を阻害することにより、インスリンプロモーターを活性化し、インスリン遺伝子の転写を促進することができる。上記の結合を阻害する物質の種類は特に限定されず、例えば、有機化合物、無機化合物、糖化合物などの低分子化合物のほか、抗体などの蛋白質類、アンチセンス核酸などの核酸類、多糖類、脂質類などの高分子化合物であってもよい。また、天然物質又は非天然物質のいずれであってもよい。
本明細書において、IPF1とある蛋白質の結合とはIPF1と該蛋白質が複合体を形成するように、水素結合、疎水結合および静電的相互作用などの非共有結合により、IPF1と該蛋白質が相互作用することを意味する。ここでの結合とは、IPF1と該蛋白質が全体として結合すれば足りる。例えば、IPF1または該蛋白質を構成するアミノ酸の中に、IPF1と該蛋白質の結合に関与しないアミノ酸が含まれていてもよい。
IPF1と該蛋白質の結合は、免疫沈降法による共沈物の確認、ツーハイブリッド法、プルダウン法、ウエスタンブロット法および蛍光共鳴エネルギー転移法などの自体公知の方法またはこれらの方法を組合せることにより検出され得る。
上記の阻害作用を有する物質は、例えば、本発明により提供される以下の方法によってスクリーニングすることができる。該方法は、IPF1と上記の(i)ないし(v)からなる群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する物質をスクリーニングするための方法であり、IPF1及び該蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むことを特徴としている。この方法の好ましい態様によれば、上記の(i)、(ii)、及び(iii)からなる群から選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する物質をスクリーニングすることができる。
上記の工程において、IPF1及びある蛋白質の結合を可能にする条件とは、例えば、IPF1及び該蛋白質を細胞内において共発現させた条件である。IPF1及び該蛋白質をそれぞれコードするポリヌクレオチドを組み込んだ適当なベクターを慣用の遺伝子工学的手法により、細胞にトランスフェクションすることにより、該条件を満たすことが可能である。
さらに、上記の工程において、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナルとはIPF1及び該蛋白質の結合により生じるものであってそのもの自体がその物理的または化学的性質により直接検出され得るものを意味し、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるマーカーとはIPF1及び該蛋白質の結合により生じるものであってそのものの物理的または生物学的性質を指標として間接的に検出され得るものを意味する。シグナルとしては、ルシフェラーゼ、放射性同位体等、マーカーとしては、レポーター遺伝子、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等、または検出のエピトープタグ、例えば6×His−tag等が例示される。これらシグナルまたはマーカーの検出方法は当業者に周知のものである。
また、上記の工程においてIPF1と該蛋白質の結合を可能にする条件下において、それらと該披験物質を共存させた場合に、該披験物質を共存させない場合と比較して、IPF1と該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/またはマーカーが低減または消失した場合に、該披験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害すると決定することができる。
本発明のスクリーニング方法に供される被験物質の種類は特に限定されず、任意の化合物を被験物質として使用することができる。被験物質は有機化合物、無機化合物、糖化合物などの低分子化合物のほか、蛋白質、核酸、多糖類、脂質類などの高分子化合物であってもよい。また、天然物質又は非天然物質のいずれであってもよい。スクリーニングに供されるライブラリーとしては、例えば、低分子化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリー、コンビナトリアルライブラリーなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
また、上記の方法において、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出する工程はインスリン遺伝子の転写が促進するか否かを決定する工程として行われるものでもよく、その結果、上記の方法に従ってインスリン遺伝子の転写を促進する物質をスクリーニングすることができる。
また、本発明により上記のスクリーニングを行うためのキットが提供されるが、該キットは(a)IPF1及び/又はIPF1をコードするDNA、並びに(b)IPF1と相互作用する蛋白質及び/又は該蛋白質をコードするDNAを含有することを特徴としている。キットの要素は、蛋白質として提供されてもよく、あるいは該蛋白質を発現可能な遺伝子、好ましくは該遺伝子を含む組換えベクターなどの形態で提供されてもよい。
本発明の方法によりスクリーニングされた物質を有効成分として含む医薬は、インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬として、ヒトを含む哺乳類動物に投与することができる。インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患としては、例えば、糖尿病(糖尿病の合併症を含む)を挙げることができる。本発明の医薬の投与形態は特に制限されず、経口的又は非経口的に投与することができる。本発明の医薬としては、有効成分である物質をそのまま用いてもよいが、有効成分である物質とともに薬理学的及び製剤学的に許容される製剤用添加物とを含む医薬組成物を調製して投与することが望ましい。
例えば、蛋白質を有効成分として含む本発明の医薬は、通常の蛋白質製剤の調製方法に従って製剤化することができ、核酸を有効成分として含む本発明の医薬も、当業界で利用可能な手段で製剤化して用いることができる。本明細書において「核酸」の用語はDNA又はRNAを包含する。核酸を含む本発明の医薬は、例えば有効成分である核酸を含む組換えベクターの形態で用いることができる。上記の組換えベクターには、有効成分である該核酸から生体内で効率的に遺伝子産物を発現されるように、遺伝子発現のために必要な、あるいは遺伝子発現を促進する各種の配列を適宜の順番で組み込んでおいてもよい。本発明の医薬がアンチセンス核酸を含む場合、該核酸はDNA又はRNAのいずれでもよく、全長も特に制限されることはない。アンチセンス核酸は、例えば、相補的結合が可能になるように10塩基以上、好ましくは15塩基以上のオリゴヌクレオチドであってもよい。また、本発明の医薬の有効成分として上記の蛋白質に結合可能な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を用いる場合には、抗体は通常の方法で製造することができ、上記の蛋白質に特異的に結合可能なモノクローナル抗体も当業者に汎用の方法で製造することができる。
薬理学的及び製剤学的に許容しうる製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を用いることができる。経口投与に適する医薬組成物の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、又はシロップ剤等を挙げることができる。非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、点眼剤、点耳剤、軟膏剤、クリーム剤、又は貼付剤等を挙げることができる。本発明の医薬の投与量は特に限定されず、有効成分である物質の種類、治療又は予防の目的、患者の年齢や症状、投与経路などの種々の条件に応じて適宜の投与量を選択することが可能であるが、一般的には、成人1日あたり0.001mg〜1000mg程度の投与量範囲から選択することができる。
また、本発明は、インスリン遺伝子の遺伝子産物の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療方法を提供する。該方法は、IPF1と該IPF1と結合する蛋白質(好ましくは、HNF3G、PHF1またはDLX4)との結合を阻害することを特徴とする。インスリン遺伝子の遺伝子産物の低減に起因する疾患とは、例えば、糖尿病を挙げることができる。上記の医薬を用いて、該方法を実施することが可能である。
また、本明細書において、(i)ないし(v)の蛋白質には、上記の野生型の相互作用蛋白質のアミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸が置換、挿入または欠失したアミノ酸配列を含み、ヒトを含む哺乳動物生体において上記の野生型の相互作用蛋白質と実質的に同一のインスリン遺伝子転写調節作用を有する蛋白質、または実質的に同一のインスリンプロモーター活性抑制作用を有する蛋白質(これらの蛋白質を変異型の相互作用蛋白質と呼ぶ場合がある)も含まれる。
さらに、本明細書において、IPF1には、上記の野生型のIPF1のアミノ酸配列において1個ないし数個のアミノ酸が置換、挿入または欠失したアミノ酸配列を含み、ヒトを含む哺乳動物生体において上記の野生型のIPF1と実質的に同一のインスリンプロモーター活性化作用を有する蛋白質、または実質的に同一のインスリン遺伝子転写促進作用を有する蛋白質(これらの蛋白質を変異型のIPF1と呼ぶ場合がある)も含まれる。
一般的には、変異型の相互作用蛋白質は、野生型の相互作用蛋白質のアミノ酸配列と一定上(例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上)の相同性を有するアミノ酸配列を有していることが好ましい。同様に、変異型のIPF1は、野生型のIPF1のアミノ酸配列と一定上(例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上)の相同性を有するアミノ酸配列を有していることが好ましい。
これらの変異蛋白質をコードする遺伝子の取得方法は公知であり、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら編、コールドスプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年)等に記載された方法またはそれに準じる方法により適宜入手することができ、所望の変異蛋白質を容易に入手することができる。得られた変異蛋白質が、野生型の相互作用蛋白質と実質的に同一のインスリン遺伝子転写調節作用を有するか否かは、本明細書の実施例3に具体的に示されたインスリンプロモーター活性の抑制作用検出方法を用いて、当業者が容易に確認できる。また、得られた変異蛋白質が、野生型のIPF1同一のインスリンプロモーター活性化作用を有するか否かは、本明細書の実施例3に具体的に示されたインスリンプロモーター活性測定方法を用いて、当業者が容易に確認できる。
本発明により提供されるインスリン遺伝子の転写促進方法は、IPF1と上記の蛋白質(i)、(ii)、及び(iii)からなる群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合阻害工程を含むことを特徴としている。いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、IPF1と結合する上記の(i)、(ii)、又は(iii)の蛋白質は、一般的にはIPF1のインスリンプロモーター活性を抑制することが期待される。従って、この結合を阻害する物質は該蛋白質のインスリンプロモーター活性抑制作用を阻害することにより、インスリンプロモーターを活性化し、インスリン遺伝子の転写を促進することができる。上記の結合を阻害する物質の種類は特に限定されず、例えば、有機化合物、無機化合物、糖化合物などの低分子化合物のほか、抗体などの蛋白質類、アンチセンス核酸などの核酸類、多糖類、脂質類などの高分子化合物であってもよい。また、天然物質又は非天然物質のいずれであってもよい。
本明細書において、IPF1とある蛋白質の結合とはIPF1と該蛋白質が複合体を形成するように、水素結合、疎水結合および静電的相互作用などの非共有結合により、IPF1と該蛋白質が相互作用することを意味する。ここでの結合とは、IPF1と該蛋白質が全体として結合すれば足りる。例えば、IPF1または該蛋白質を構成するアミノ酸の中に、IPF1と該蛋白質の結合に関与しないアミノ酸が含まれていてもよい。
IPF1と該蛋白質の結合は、免疫沈降法による共沈物の確認、ツーハイブリッド法、プルダウン法、ウエスタンブロット法および蛍光共鳴エネルギー転移法などの自体公知の方法またはこれらの方法を組合せることにより検出され得る。
上記の阻害作用を有する物質は、例えば、本発明により提供される以下の方法によってスクリーニングすることができる。該方法は、IPF1と上記の(i)ないし(v)からなる群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する物質をスクリーニングするための方法であり、IPF1及び該蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むことを特徴としている。この方法の好ましい態様によれば、上記の(i)、(ii)、及び(iii)からなる群から選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する物質をスクリーニングすることができる。
上記の工程において、IPF1及びある蛋白質の結合を可能にする条件とは、例えば、IPF1及び該蛋白質を細胞内において共発現させた条件である。IPF1及び該蛋白質をそれぞれコードするポリヌクレオチドを組み込んだ適当なベクターを慣用の遺伝子工学的手法により、細胞にトランスフェクションすることにより、該条件を満たすことが可能である。
さらに、上記の工程において、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナルとはIPF1及び該蛋白質の結合により生じるものであってそのもの自体がその物理的または化学的性質により直接検出され得るものを意味し、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるマーカーとはIPF1及び該蛋白質の結合により生じるものであってそのものの物理的または生物学的性質を指標として間接的に検出され得るものを意味する。シグナルとしては、ルシフェラーゼ、放射性同位体等、マーカーとしては、レポーター遺伝子、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等、または検出のエピトープタグ、例えば6×His−tag等が例示される。これらシグナルまたはマーカーの検出方法は当業者に周知のものである。
また、上記の工程においてIPF1と該蛋白質の結合を可能にする条件下において、それらと該披験物質を共存させた場合に、該披験物質を共存させない場合と比較して、IPF1と該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/またはマーカーが低減または消失した場合に、該披験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害すると決定することができる。
本発明のスクリーニング方法に供される被験物質の種類は特に限定されず、任意の化合物を被験物質として使用することができる。被験物質は有機化合物、無機化合物、糖化合物などの低分子化合物のほか、蛋白質、核酸、多糖類、脂質類などの高分子化合物であってもよい。また、天然物質又は非天然物質のいずれであってもよい。スクリーニングに供されるライブラリーとしては、例えば、低分子化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリー、コンビナトリアルライブラリーなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
また、上記の方法において、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出する工程はインスリン遺伝子の転写が促進するか否かを決定する工程として行われるものでもよく、その結果、上記の方法に従ってインスリン遺伝子の転写を促進する物質をスクリーニングすることができる。
また、本発明により上記のスクリーニングを行うためのキットが提供されるが、該キットは(a)IPF1及び/又はIPF1をコードするDNA、並びに(b)IPF1と相互作用する蛋白質及び/又は該蛋白質をコードするDNAを含有することを特徴としている。キットの要素は、蛋白質として提供されてもよく、あるいは該蛋白質を発現可能な遺伝子、好ましくは該遺伝子を含む組換えベクターなどの形態で提供されてもよい。
本発明の方法によりスクリーニングされた物質を有効成分として含む医薬は、インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬として、ヒトを含む哺乳類動物に投与することができる。インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患としては、例えば、糖尿病(糖尿病の合併症を含む)を挙げることができる。本発明の医薬の投与形態は特に制限されず、経口的又は非経口的に投与することができる。本発明の医薬としては、有効成分である物質をそのまま用いてもよいが、有効成分である物質とともに薬理学的及び製剤学的に許容される製剤用添加物とを含む医薬組成物を調製して投与することが望ましい。
例えば、蛋白質を有効成分として含む本発明の医薬は、通常の蛋白質製剤の調製方法に従って製剤化することができ、核酸を有効成分として含む本発明の医薬も、当業界で利用可能な手段で製剤化して用いることができる。本明細書において「核酸」の用語はDNA又はRNAを包含する。核酸を含む本発明の医薬は、例えば有効成分である核酸を含む組換えベクターの形態で用いることができる。上記の組換えベクターには、有効成分である該核酸から生体内で効率的に遺伝子産物を発現されるように、遺伝子発現のために必要な、あるいは遺伝子発現を促進する各種の配列を適宜の順番で組み込んでおいてもよい。本発明の医薬がアンチセンス核酸を含む場合、該核酸はDNA又はRNAのいずれでもよく、全長も特に制限されることはない。アンチセンス核酸は、例えば、相補的結合が可能になるように10塩基以上、好ましくは15塩基以上のオリゴヌクレオチドであってもよい。また、本発明の医薬の有効成分として上記の蛋白質に結合可能な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を用いる場合には、抗体は通常の方法で製造することができ、上記の蛋白質に特異的に結合可能なモノクローナル抗体も当業者に汎用の方法で製造することができる。
薬理学的及び製剤学的に許容しうる製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を用いることができる。経口投与に適する医薬組成物の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、又はシロップ剤等を挙げることができる。非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、点眼剤、点耳剤、軟膏剤、クリーム剤、又は貼付剤等を挙げることができる。本発明の医薬の投与量は特に限定されず、有効成分である物質の種類、治療又は予防の目的、患者の年齢や症状、投与経路などの種々の条件に応じて適宜の投与量を選択することが可能であるが、一般的には、成人1日あたり0.001mg〜1000mg程度の投与量範囲から選択することができる。
また、本発明は、インスリン遺伝子の遺伝子産物の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療方法を提供する。該方法は、IPF1と該IPF1と結合する蛋白質(好ましくは、HNF3G、PHF1またはDLX4)との結合を阻害することを特徴とする。インスリン遺伝子の遺伝子産物の低減に起因する疾患とは、例えば、糖尿病を挙げることができる。上記の医薬を用いて、該方法を実施することが可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:IPF1と相互作用する蛋白質の抽出
IPF1と相互作用する蛋白質を、国際公開第WO 1/67299号公報に記載の予測方法に従って予測した。IPF1のアミノ酸配列を適宜の長さのオリゴペプチドに分解し、各オリゴペプチドのアミノ酸配列あるいはそのアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を持った蛋白質をデータベース中で検索し、得られた蛋白質とIPF1との間でローカルアライメントを行い、ローカルアライメントのスコアの高いものをIPF1と相互作用すると予測した。ローカルアライメントのスコアは国際公開第WO01/67299号公報に記載の方法と同様に25.0以上とした。
予測の結果、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号47に記載のオリゴペプチド、配列番号48に記載のオリゴペプチド、及び配列番号49に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号50に記載のオリゴペプチド、配列番号51に記載のオリゴペプチド、及び配列番号52に記載のオリゴペプチドがHNF3Gのアミノ酸配列中に存在することが分かった。第1図にIPF1とHNF3Gとのローカルアライメントの結果を示す。また、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号53に記載のオリゴペプチド及び配列番号54に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号55に記載のオリゴペプチド、配列番号56に記載のオリゴペプチドがPHF1のアミノ酸配列中に存在しており(第2図)、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号57に記載のオリゴペプチド、配列番号58に記載のオリゴペプチド、及び配列番号59に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号60に記載のオリゴペプチド、配列番号61に記載のオリゴペプチド、及び配列番号62に記載のオリゴペプチドがDLX4のアミノ酸配列中に存在しており(第3図)、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号63に記載のオリゴペプチド、配列番号64に記載のオリゴペプチド、及び配列番号65に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号66に記載のオリゴペプチド、配列番号67に記載のオリゴペプチド、及び配列番号68に記載のオリゴペプチドがTCF4のアミノ酸配列中に存在しており(第4図)、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号69に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号70に記載のオリゴペプチドがTMPOのアミノ酸配列中に存在することが分かった(第5図)。
例2:ヒトIPF1との結合試験
ヒトIPF1とヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4、ヒトTCF4、又はヒトTMPOと結合するか否かをGST−pull down法により検討した。
<材料>
(1)各cDNAのクローニング
ヒトIPF1 cDNAはヒト肝臓由来cDNA(Clontech社)から、ヒトHNF3G cDNAはヒト肝臓由来cDNA(Clontech社)から、ヒトPHF1 cDNA、ヒトTCF4 cDNA及びヒトTMPO cDNAはヒト脳由来cDNA(Clontech社)から、ヒトDLX4 cDNAはヒト胎盤由来cDNA(Clontech社)からそれぞれPCRによりクローニングした。
(2)各種発現プラスミド
ヒトIPF1 cDNAをGST融合蛋白質発現用ベクターであるpGEX−4T(Amersham biosciences社)に組み込み、N末GST融合IPF1発現プラスミド、pGEX−4T/IPF1を構築した。また、ヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4、ヒトTCF4及びヒトTMPOの各cDNAをin vitro蛋白質合成及び動物細胞用発現ベクターであるpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)に組み込み、各発現プラスミドを構築した(pcDNA−HA−HNF3G、pcDNA−HA−PHF1、pcDNA−HA−DLX4、pcDNA−HA−TCF4及びpcDNA−HA−TMPO)。なお、その際、各蛋白質がN末HAタグ付加型蛋白質として発現されるよう、HAタグコード配列を各cDNAの5’末に挿入した。陰性コントロールとして用いるLacZの発現プラスミドは、pCruzHA−LacZ(N末HAクグ付加型LacZ発現プラスミド)(Santa cruz社)を用いた。
(3)N末GST融合IPF1(GST−IPF1)の精製
GST−IPF1は、pGEX−4T/IPF1を保持する大腸菌にて誘導発現後、Glutathione sepharose 4B(Amersham biosciences社)を用いて精製した。
<方法>
(1)GST−pull down法による結合試験
ヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4、ヒトTCF4、ヒトTMPO及びLacZは、TNT quick coupled transcription/translation systems(Promega社)を使用してin vitroにて35S−メチオニン標識した蛋白質として合成した。20μlの合成反応液と5μgのGST−IPF1又はGSTを、500μlのBinding buffer(40mM HEPES,pH7.5/50mM KCl/5mM MgCl2/0.2mM EDTA/1mM DTT/0.5% NP−40)中にて、氷上、1時間静置した。その後、20μl(bed volume)のGlutathione sepharose 4Bを添加し、4°Cにて一晩、転倒混和した後、遠心によりビーズを回収した。ビーズを500μlのBinding bufferで4回洗浄した後、20μlの2×SDS sample buffer(125mM Tris−HCl,pH6.8/4% SDS/20% glycerol/0.01% Bromophenol blue)を加え、3分間煮沸後、上清を5−20% SDS−PAGEにより分離した。その後、BAS2000(Fuji film社)により結合した蛋白質を検出した。
<結果>
IPF1とHNF3G、PHF1、DLX4、TCF4、及びTMPOとの結合が認められた(第6図)。なお、LacZとIPF1との結合は認められなかったことから、検出されたIPF1と各蛋白質との結合は非特異的なものではないと言える(第6図)。第6図中、GST(GSTのレーン)あるいはGST−IPF1(GST−IPF1のレーン)とin vitro転写/翻訳系にて32S−メチオニン標識蛋白質として合成した各蛋白質(HNF3G、PHF1、DLX4、TCF4、TMPO及びLacZ)(inputのレーン)を混合後、グルタチオンセファロースによりGSTあるいはGST−IPF1を回収し、SDS−PAGEにより分離した。その後、結合蛋白質をオートラジオグラフィーにより検出した。矢頭は、in vitro系にて合成した各蛋白質(HNF3G、PHF1、DLX4、TCF4、TMPO及びLacZ)の位置を示す。
例3:ヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4によるヒトインスリン遺伝子プロモーター活性の抑制
IPF1との結合が認められたヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4、ヒトTCF4、及びヒトTMPOのうち、ヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4を用いてヒトインスリン遺伝子プロモーター活性の抑制作用をレポーターアッセイ系を用いて検討した。
<材料>
(1)ヒトインスリン遺伝子プロモーター領域のクローニング及びルシフェラーゼレポータープラスミドの構築
ヒトインスリン遺伝子プロモーター領域(−392/+237、転写開始点を+1とする)は、Human genomic DNA(Clontech社)からPCRによりクローニングした。クローニングしたプロモーター領域をルシフェラーゼレポーターベクターであるpGL3−Basic(Promega社)に組み込み、ヒトインスリン遺伝子プロモーター活性測定用レポータープラスミドであるpInsPro(−392/+237)−GL3を構築した。
(2)各種発現プラスミド
ヒトIPF1のcDNAをpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)に組み込みIPF1発現プラスミドを構築した(pcDNA−FLAG−IPF1)。その際、N末FLAGタグ付加型蛋白質として発現されるよう、FLAGタグコード配列をIPF1cDNAの5’末に挿入した。ヒトHNF3G、ヒトPHF1、及びヒトDLX4の各発現プラスミドは、pcDNA−HA−HNF3G、pcDNA−HA−PHF1、及びpcDNA−HA−DLX4をそれぞれ使用した。
<方法>
(1)トランスフェクション及びレポーターアッセイ
前日に2×105個のHeLa細胞を6well plateに散種し、一晩培養後、FuGENE6(Roche Diagnostics社)を用いてトランスフェクションを行った。プラスミドは、200ngのpInsPro(−392/+237)−GL3、400ngのpcDNA−FLAG−IPF1、1μgの各発現プラスミド(pcDNA−HA−HNF3G、pcDNA−HA−PHF1、及びpcDNA−HA−DLX4)及びinternal controlとして0.5ngのpRL−SV40(Promega社)をそれぞれ用いた。また、DNAの総量は1.6μgとなるようにpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)にて調整した。48時間培養後、Dual−Luciferase Reporter Assay System(Promega社)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。なお、測定値は、Renillaルシフェラーゼ活性により補正した。マウスインスリノーマ由来β細胞株であるMIN6細胞を用いる場合は、前日に、5×105個のMIN6細胞を6well plateに散種し、一晩培養後、FuGENE6(Roche Diagnostics社)を用いてトランスフェクションを行った。プラスミドは、200ngのpInsPro(−392/+237)−GL3、1μgの各発現プラスミド(pcDNA−HA−HNF3G、pcDNA−HA−PHF1、及びpcDNA−HA−DLX4)及びinternal controlとして5ngのpRL−SV40をそれぞれ用いた。また、DNAの総量は1.2μgとなるようにpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)にて調整した。48時間培養後、上記と同様の方法にてルシフェラーゼ活性を測定した。
<結果>
まず、IPF1を発現していないHeLa細胞でのルシフェラーゼレポーター系を用いたIPF1依存的なヒトインスリンプロモーター活性検出系の構築を行った。その結果、第7図に示すように、IPF1発現プラスミド量依存的なヒトインスリンプロモーター活性の増大が認められた。第7図中、縦軸はpcDNA−FLAG−IPF1未導入の時のルシフェラーゼ活性を1とした場合の相対的ルシフェラーゼ活性を、横軸は導入したpcDNA−FLAG−IPF1量を表す。そこで、この系を用いて各蛋白質の影響について検討した。その結果、HNF3G、PHF1及びDLX4の過剰発現によりIPF1依存的なヒトインスリンプロモーター活性がそれぞれ約45%、約25%及び約60%抑制されることが明らかとなった(第8図)。第8図中、縦軸はpcDNA−FLAG−IPF1のみ導入時のルシフェラーゼ活性を100とした場合の相対的ルシフェラーゼ活性を表す。−は発現プラスミド未導入、+は発現プラスミドを導入したことを示す。また、HNF3G、PHF1、及びDLX4はそれぞれ対応する発現プラスミドを導入したことを示す。
次に、IPF1を内在的に発現しているマウスインスリノーマ由来β細胞株であるMIN6細胞を用いて、HNF3G、PHF1、及びDLX4のヒトインスリンプロモーター活性への影響をレポーターアッセイにより検討した。その結果、HNF3G、PHF1及びDLX4の過剰発現によりヒトインスリンプロモーター活性が約60%、約30%及び約45%抑制されることが明らかとなった(第9図)。第9図中、縦軸は各発現プラスミド未導入時のルシフェラーゼ活性を100とした場合の相対的ルシフェラーゼ活性を表す。−は発現プラスミド未導入、HNF3G、PHF1、及びDLX4はそれぞれ対応する発現プラスミドを導入したことを示す。以上の結果より、HNF3G、PHF1、及びDLX4が、HeLa細胞系でのIPF1依存的なヒトインスリン遺伝子プロモーター活性及びMIN6細胞系でのヒトインスリンプロモーター活性の両活性を抑制することが明らかとなった。
例4:HNF3G、PHF1、及びDLX4のヒト膵臓及びMIN6細胞での発現確認(RT−PCR法)
インスリン分泌組織であるヒト膵臓及びマウスインスリノーマ由来β細胞株であるMIN6細胞においてHNF3G、PHF1、及びDLX4が発現しているか否かについてをRT−PCR法により検討した。
<方法>
(1)RT−PCR法による各mRNAの確認
ヒト膵臓、ヒト脳及びヒト胎盤由来cDNAはそれぞれInvitrogen社から購入した。マウスMIN6細胞の場合は、RNeasy Mini Kit(Qiagen社)を用いてtotal RNAを調製後、RNA PCR Kit(AMV)Ver.2.1(Takara社)を用いてMIN6細胞由来cDNAを合成した。各cDNAを鋳型として、KOD Plus DNA polymerase(Toyobo社)及び各遺伝子特異的プライマーを用いてPCRを実施した。反応液を2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイド染色により目的のPCR産物を検出した。
プライマーとしては、
ヒトHNF3Gの場合は、
配列番号35に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号36に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
ヒトPHF1の場合は
配列番号37に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号38に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
ヒトDLX4の場合は
配列番号39に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号40に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
をそれぞれ使用した。
また、マウスHNF3Gの場合には
配列番号41に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号42に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
マウスPHF1の場合には
配列番号43に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号44に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
マウスDLX4の場合には
配列番号45に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号46に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
をそれぞれ使用した。
<結果>
HNF3G、PHF1、及びDLX4のインスリン分泌組織であるヒト膵臓における発現をRT−PCR法により検討した結果、各遺伝子のmRNAの存在が確認された。第10図は、ヒト膵臓(Pancreasのレーン)、ヒト脳(Brainのレーン)又はヒト胎盤(Placentaのレーン)由来の各cDNAを鋳型とし、各遺伝子特異的プライマーを用いてPCRを実施した結果を示しており(それぞれHNF3G、PHF1及びDLX4のパネル)。反応液を2%アガロースゲル電気泳動により分離後、エチジウムブロマイド染色により目的のPCR産物を検出した。左の数字はサイズマーカーの値(bp)を、矢頭は各mRNA由来の増幅産物の位置を表す。また、Brain、Pancreas及びPlacentaはそれぞれ各臓器由来のcDNAを鋳型としたことを示す。
また、インスリンは膵臓に存在するβ細胞により分泌されることから、マウスインスリノーマ由来のβ細胞株であるMIN6細胞での各マウス遺伝子の発現をRT−PCRにより検討した結果、各マウス遺伝子のmRNAの存在が確認された。第11図は、マウスMIN6細胞由来cDNAを鋳型とし、各遺伝子特異的プライマー(それぞれHNF3G、PHF1及びDLX4のレーン)を用いてPCRを実施した結果を示した図である。反応液を2%アガロースゲル電気泳動により分離後、エチジウムブロマイド染色により目的のPCR産物を検出した。左の数字はサイズマーカーの値(bp)を、矢頭は各mRNA由来の増幅産物の位置を表す。なお、各遺伝子検出用のプライマーは、イントロンをはさむように設計してあるため、増幅されたPCR産物はゲノミックDNA由来のものではない。
例1:IPF1と相互作用する蛋白質の抽出
IPF1と相互作用する蛋白質を、国際公開第WO 1/67299号公報に記載の予測方法に従って予測した。IPF1のアミノ酸配列を適宜の長さのオリゴペプチドに分解し、各オリゴペプチドのアミノ酸配列あるいはそのアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を持った蛋白質をデータベース中で検索し、得られた蛋白質とIPF1との間でローカルアライメントを行い、ローカルアライメントのスコアの高いものをIPF1と相互作用すると予測した。ローカルアライメントのスコアは国際公開第WO01/67299号公報に記載の方法と同様に25.0以上とした。
予測の結果、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号47に記載のオリゴペプチド、配列番号48に記載のオリゴペプチド、及び配列番号49に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号50に記載のオリゴペプチド、配列番号51に記載のオリゴペプチド、及び配列番号52に記載のオリゴペプチドがHNF3Gのアミノ酸配列中に存在することが分かった。第1図にIPF1とHNF3Gとのローカルアライメントの結果を示す。また、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号53に記載のオリゴペプチド及び配列番号54に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号55に記載のオリゴペプチド、配列番号56に記載のオリゴペプチドがPHF1のアミノ酸配列中に存在しており(第2図)、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号57に記載のオリゴペプチド、配列番号58に記載のオリゴペプチド、及び配列番号59に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号60に記載のオリゴペプチド、配列番号61に記載のオリゴペプチド、及び配列番号62に記載のオリゴペプチドがDLX4のアミノ酸配列中に存在しており(第3図)、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号63に記載のオリゴペプチド、配列番号64に記載のオリゴペプチド、及び配列番号65に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号66に記載のオリゴペプチド、配列番号67に記載のオリゴペプチド、及び配列番号68に記載のオリゴペプチドがTCF4のアミノ酸配列中に存在しており(第4図)、IPF1由来のアミノ酸残基からなる配列番号69に記載のオリゴペプチドと相同性のある配列番号70に記載のオリゴペプチドがTMPOのアミノ酸配列中に存在することが分かった(第5図)。
例2:ヒトIPF1との結合試験
ヒトIPF1とヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4、ヒトTCF4、又はヒトTMPOと結合するか否かをGST−pull down法により検討した。
<材料>
(1)各cDNAのクローニング
ヒトIPF1 cDNAはヒト肝臓由来cDNA(Clontech社)から、ヒトHNF3G cDNAはヒト肝臓由来cDNA(Clontech社)から、ヒトPHF1 cDNA、ヒトTCF4 cDNA及びヒトTMPO cDNAはヒト脳由来cDNA(Clontech社)から、ヒトDLX4 cDNAはヒト胎盤由来cDNA(Clontech社)からそれぞれPCRによりクローニングした。
(2)各種発現プラスミド
ヒトIPF1 cDNAをGST融合蛋白質発現用ベクターであるpGEX−4T(Amersham biosciences社)に組み込み、N末GST融合IPF1発現プラスミド、pGEX−4T/IPF1を構築した。また、ヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4、ヒトTCF4及びヒトTMPOの各cDNAをin vitro蛋白質合成及び動物細胞用発現ベクターであるpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)に組み込み、各発現プラスミドを構築した(pcDNA−HA−HNF3G、pcDNA−HA−PHF1、pcDNA−HA−DLX4、pcDNA−HA−TCF4及びpcDNA−HA−TMPO)。なお、その際、各蛋白質がN末HAタグ付加型蛋白質として発現されるよう、HAタグコード配列を各cDNAの5’末に挿入した。陰性コントロールとして用いるLacZの発現プラスミドは、pCruzHA−LacZ(N末HAクグ付加型LacZ発現プラスミド)(Santa cruz社)を用いた。
(3)N末GST融合IPF1(GST−IPF1)の精製
GST−IPF1は、pGEX−4T/IPF1を保持する大腸菌にて誘導発現後、Glutathione sepharose 4B(Amersham biosciences社)を用いて精製した。
<方法>
(1)GST−pull down法による結合試験
ヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4、ヒトTCF4、ヒトTMPO及びLacZは、TNT quick coupled transcription/translation systems(Promega社)を使用してin vitroにて35S−メチオニン標識した蛋白質として合成した。20μlの合成反応液と5μgのGST−IPF1又はGSTを、500μlのBinding buffer(40mM HEPES,pH7.5/50mM KCl/5mM MgCl2/0.2mM EDTA/1mM DTT/0.5% NP−40)中にて、氷上、1時間静置した。その後、20μl(bed volume)のGlutathione sepharose 4Bを添加し、4°Cにて一晩、転倒混和した後、遠心によりビーズを回収した。ビーズを500μlのBinding bufferで4回洗浄した後、20μlの2×SDS sample buffer(125mM Tris−HCl,pH6.8/4% SDS/20% glycerol/0.01% Bromophenol blue)を加え、3分間煮沸後、上清を5−20% SDS−PAGEにより分離した。その後、BAS2000(Fuji film社)により結合した蛋白質を検出した。
<結果>
IPF1とHNF3G、PHF1、DLX4、TCF4、及びTMPOとの結合が認められた(第6図)。なお、LacZとIPF1との結合は認められなかったことから、検出されたIPF1と各蛋白質との結合は非特異的なものではないと言える(第6図)。第6図中、GST(GSTのレーン)あるいはGST−IPF1(GST−IPF1のレーン)とin vitro転写/翻訳系にて32S−メチオニン標識蛋白質として合成した各蛋白質(HNF3G、PHF1、DLX4、TCF4、TMPO及びLacZ)(inputのレーン)を混合後、グルタチオンセファロースによりGSTあるいはGST−IPF1を回収し、SDS−PAGEにより分離した。その後、結合蛋白質をオートラジオグラフィーにより検出した。矢頭は、in vitro系にて合成した各蛋白質(HNF3G、PHF1、DLX4、TCF4、TMPO及びLacZ)の位置を示す。
例3:ヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4によるヒトインスリン遺伝子プロモーター活性の抑制
IPF1との結合が認められたヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4、ヒトTCF4、及びヒトTMPOのうち、ヒトHNF3G、ヒトPHF1、ヒトDLX4を用いてヒトインスリン遺伝子プロモーター活性の抑制作用をレポーターアッセイ系を用いて検討した。
<材料>
(1)ヒトインスリン遺伝子プロモーター領域のクローニング及びルシフェラーゼレポータープラスミドの構築
ヒトインスリン遺伝子プロモーター領域(−392/+237、転写開始点を+1とする)は、Human genomic DNA(Clontech社)からPCRによりクローニングした。クローニングしたプロモーター領域をルシフェラーゼレポーターベクターであるpGL3−Basic(Promega社)に組み込み、ヒトインスリン遺伝子プロモーター活性測定用レポータープラスミドであるpInsPro(−392/+237)−GL3を構築した。
(2)各種発現プラスミド
ヒトIPF1のcDNAをpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)に組み込みIPF1発現プラスミドを構築した(pcDNA−FLAG−IPF1)。その際、N末FLAGタグ付加型蛋白質として発現されるよう、FLAGタグコード配列をIPF1cDNAの5’末に挿入した。ヒトHNF3G、ヒトPHF1、及びヒトDLX4の各発現プラスミドは、pcDNA−HA−HNF3G、pcDNA−HA−PHF1、及びpcDNA−HA−DLX4をそれぞれ使用した。
<方法>
(1)トランスフェクション及びレポーターアッセイ
前日に2×105個のHeLa細胞を6well plateに散種し、一晩培養後、FuGENE6(Roche Diagnostics社)を用いてトランスフェクションを行った。プラスミドは、200ngのpInsPro(−392/+237)−GL3、400ngのpcDNA−FLAG−IPF1、1μgの各発現プラスミド(pcDNA−HA−HNF3G、pcDNA−HA−PHF1、及びpcDNA−HA−DLX4)及びinternal controlとして0.5ngのpRL−SV40(Promega社)をそれぞれ用いた。また、DNAの総量は1.6μgとなるようにpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)にて調整した。48時間培養後、Dual−Luciferase Reporter Assay System(Promega社)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。なお、測定値は、Renillaルシフェラーゼ活性により補正した。マウスインスリノーマ由来β細胞株であるMIN6細胞を用いる場合は、前日に、5×105個のMIN6細胞を6well plateに散種し、一晩培養後、FuGENE6(Roche Diagnostics社)を用いてトランスフェクションを行った。プラスミドは、200ngのpInsPro(−392/+237)−GL3、1μgの各発現プラスミド(pcDNA−HA−HNF3G、pcDNA−HA−PHF1、及びpcDNA−HA−DLX4)及びinternal controlとして5ngのpRL−SV40をそれぞれ用いた。また、DNAの総量は1.2μgとなるようにpcDNA3.1(+)(Invitrogen社)にて調整した。48時間培養後、上記と同様の方法にてルシフェラーゼ活性を測定した。
<結果>
まず、IPF1を発現していないHeLa細胞でのルシフェラーゼレポーター系を用いたIPF1依存的なヒトインスリンプロモーター活性検出系の構築を行った。その結果、第7図に示すように、IPF1発現プラスミド量依存的なヒトインスリンプロモーター活性の増大が認められた。第7図中、縦軸はpcDNA−FLAG−IPF1未導入の時のルシフェラーゼ活性を1とした場合の相対的ルシフェラーゼ活性を、横軸は導入したpcDNA−FLAG−IPF1量を表す。そこで、この系を用いて各蛋白質の影響について検討した。その結果、HNF3G、PHF1及びDLX4の過剰発現によりIPF1依存的なヒトインスリンプロモーター活性がそれぞれ約45%、約25%及び約60%抑制されることが明らかとなった(第8図)。第8図中、縦軸はpcDNA−FLAG−IPF1のみ導入時のルシフェラーゼ活性を100とした場合の相対的ルシフェラーゼ活性を表す。−は発現プラスミド未導入、+は発現プラスミドを導入したことを示す。また、HNF3G、PHF1、及びDLX4はそれぞれ対応する発現プラスミドを導入したことを示す。
次に、IPF1を内在的に発現しているマウスインスリノーマ由来β細胞株であるMIN6細胞を用いて、HNF3G、PHF1、及びDLX4のヒトインスリンプロモーター活性への影響をレポーターアッセイにより検討した。その結果、HNF3G、PHF1及びDLX4の過剰発現によりヒトインスリンプロモーター活性が約60%、約30%及び約45%抑制されることが明らかとなった(第9図)。第9図中、縦軸は各発現プラスミド未導入時のルシフェラーゼ活性を100とした場合の相対的ルシフェラーゼ活性を表す。−は発現プラスミド未導入、HNF3G、PHF1、及びDLX4はそれぞれ対応する発現プラスミドを導入したことを示す。以上の結果より、HNF3G、PHF1、及びDLX4が、HeLa細胞系でのIPF1依存的なヒトインスリン遺伝子プロモーター活性及びMIN6細胞系でのヒトインスリンプロモーター活性の両活性を抑制することが明らかとなった。
例4:HNF3G、PHF1、及びDLX4のヒト膵臓及びMIN6細胞での発現確認(RT−PCR法)
インスリン分泌組織であるヒト膵臓及びマウスインスリノーマ由来β細胞株であるMIN6細胞においてHNF3G、PHF1、及びDLX4が発現しているか否かについてをRT−PCR法により検討した。
<方法>
(1)RT−PCR法による各mRNAの確認
ヒト膵臓、ヒト脳及びヒト胎盤由来cDNAはそれぞれInvitrogen社から購入した。マウスMIN6細胞の場合は、RNeasy Mini Kit(Qiagen社)を用いてtotal RNAを調製後、RNA PCR Kit(AMV)Ver.2.1(Takara社)を用いてMIN6細胞由来cDNAを合成した。各cDNAを鋳型として、KOD Plus DNA polymerase(Toyobo社)及び各遺伝子特異的プライマーを用いてPCRを実施した。反応液を2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイド染色により目的のPCR産物を検出した。
プライマーとしては、
ヒトHNF3Gの場合は、
配列番号35に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号36に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
ヒトPHF1の場合は
配列番号37に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号38に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
ヒトDLX4の場合は
配列番号39に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号40に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
をそれぞれ使用した。
また、マウスHNF3Gの場合には
配列番号41に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号42に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
マウスPHF1の場合には
配列番号43に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号44に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
マウスDLX4の場合には
配列番号45に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び
配列番号46に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
をそれぞれ使用した。
<結果>
HNF3G、PHF1、及びDLX4のインスリン分泌組織であるヒト膵臓における発現をRT−PCR法により検討した結果、各遺伝子のmRNAの存在が確認された。第10図は、ヒト膵臓(Pancreasのレーン)、ヒト脳(Brainのレーン)又はヒト胎盤(Placentaのレーン)由来の各cDNAを鋳型とし、各遺伝子特異的プライマーを用いてPCRを実施した結果を示しており(それぞれHNF3G、PHF1及びDLX4のパネル)。反応液を2%アガロースゲル電気泳動により分離後、エチジウムブロマイド染色により目的のPCR産物を検出した。左の数字はサイズマーカーの値(bp)を、矢頭は各mRNA由来の増幅産物の位置を表す。また、Brain、Pancreas及びPlacentaはそれぞれ各臓器由来のcDNAを鋳型としたことを示す。
また、インスリンは膵臓に存在するβ細胞により分泌されることから、マウスインスリノーマ由来のβ細胞株であるMIN6細胞での各マウス遺伝子の発現をRT−PCRにより検討した結果、各マウス遺伝子のmRNAの存在が確認された。第11図は、マウスMIN6細胞由来cDNAを鋳型とし、各遺伝子特異的プライマー(それぞれHNF3G、PHF1及びDLX4のレーン)を用いてPCRを実施した結果を示した図である。反応液を2%アガロースゲル電気泳動により分離後、エチジウムブロマイド染色により目的のPCR産物を検出した。左の数字はサイズマーカーの値(bp)を、矢頭は各mRNA由来の増幅産物の位置を表す。なお、各遺伝子検出用のプライマーは、イントロンをはさむように設計してあるため、増幅されたPCR産物はゲノミックDNA由来のものではない。
配列番号13:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号14:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号15:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号16:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号17:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号18:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号19:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいで高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号20:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号21:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したPHF1の部分オリゴペプチド。
配列番号22:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したPHF1の部分オリゴペプチド。
配列番号23:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号24:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号25:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号26:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号27:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号28:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号29:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号30:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号31:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号32:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号33:IPF1とTMPOのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号34:IPF1とTMPOのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTMPOの部分オリゴペプチド。
配列番号35:配列番号3に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号36:配列番号3に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号37:配列番号5に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号38:配列番号5に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号39:配列番号7に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号40:配列番号7に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号41:マウスHNF3G遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号42:マウスHNF3G遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号43:マウスPHF1遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号44:マウスPHF1遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号45:マウスDLX4遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号46:マウスDLX4遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号47:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号48:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号49:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号50:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号51:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号52:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号53:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号54:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号55:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したPHF1の部分オリゴペプチド。
配列番号56:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したPHF1の部分オリゴペプチド。
配列番号57:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号58:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号59:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号60:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号61:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号62:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号63:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号64:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号65:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号66:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号67:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号68:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号69:IPF1とTMPOのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号70:IPF1とTMPOのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTMPOの部分オリゴペプチド。
配列番号14:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号15:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号16:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号17:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号18:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号19:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいで高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号20:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号21:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したPHF1の部分オリゴペプチド。
配列番号22:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したPHF1の部分オリゴペプチド。
配列番号23:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号24:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号25:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号26:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号27:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号28:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号29:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号30:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号31:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号32:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号33:IPF1とTMPOのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号34:IPF1とTMPOのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTMPOの部分オリゴペプチド。
配列番号35:配列番号3に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号36:配列番号3に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号37:配列番号5に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号38:配列番号5に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号39:配列番号7に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号40:配列番号7に記載の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号41:マウスHNF3G遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号42:マウスHNF3G遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号43:マウスPHF1遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号44:マウスPHF1遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号45:マウスDLX4遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号46:マウスDLX4遺伝子の塩基配列に基づいて設計したプライマー用オリゴヌクレオチド。
配列番号47:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号48:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号49:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号50:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号51:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号52:IPF1とHNF3Gのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したHNF3Gの部分オリゴペプチド。
配列番号53:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号54:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号55:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したPHF1の部分オリゴペプチド。
配列番号56:IPF1とPHF1のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したPHF1の部分オリゴペプチド。
配列番号57:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号58:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号59:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号60:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号61:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号62:IPF1とDLX4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したDLX4の部分オリゴペプチド。
配列番号63:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号64:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号65:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号66:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号67:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号68:IPF1とTCF4のローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTCF4の部分オリゴペプチド。
配列番号69:IPF1とTMPOのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したIPF1の部分オリゴペプチド。
配列番号70:IPF1とTMPOのローカルアライメントにおいて高いスコアを示したTMPOの部分オリゴペプチド。
本発明により、IPF1と結合する蛋白質(i)ないし(v)が提供され、IPF1と該蛋白質との結合を阻害することによりインスリン遺伝子転写を調節する手段が提供された。この手段を用いた本発明のスクリーニング方法により、例えば、インスリン遺伝子転写を促進する物質を容易にスクリーニングすることができ、該物質は、糖尿病などの疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として用いることできる。
Claims (12)
- IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合阻害工程を含むインスリン遺伝子の転写促進方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4。 - IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び該蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
(iii)DLX4、
(iv)TCF4、
及び
(V)TMPO。 - インスリン遺伝子の転写を促進する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させ、次いで、IPF1及び該蛋白質の結合により生じるシグナル及び/又はマーカーを検出可能な系において、該シグナル及び/又はマーカーの存在若しくは不存在又は変化を検出することにより、該被験物質がIPF1と該蛋白質との結合を阻害するか否かを決定する工程を含むスクリーニング方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4。 - インスリン遺伝子の転写を促進する物質のスクリーニング方法であって、IPF1及び以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質の結合を可能にする条件下で、被験物質とIPF1及び/又は該蛋白質を接触させることによりインスリン遺伝子の転写が促進するか否かを決定する工程を含む方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4。 - 請求の範囲第2項ないし第4項のいずれか1項に記載のスクリーニング方法によりスクリーニングされた物質。
- インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する医薬:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4。 - 糖尿病の予防及び/又は治療のための医薬であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する医薬:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4。 - 請求の範囲第5項に記載の物質を有効成分として含有する請求の範囲第6項又は第7項に記載の医薬。
- インスリン遺伝子の遺伝子産物量の低減に起因する疾患の予防及び/又は治療方法であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する工程を含む方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4。 - 糖尿病の予防及び/又は治療方法であって、IPF1と以下の群より選ばれるいずれか1つの蛋白質との結合を阻害する工程を含む方法:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4。 - 請求の範囲第5項に記載の物質の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む請求の範囲第9項または第10項に記載の方法。
- 請求の範囲第1項ないし第4項に記載のスクリーニング方法に用いる試薬キットであって、
(a)IPF1及び/又はIPF1をコードするDNA、並びに
(b)下記の群より選ばれる1又は2以上の蛋白質及び/又は該蛋白質をコードするDNA:
(i)HNF3G、
(ii)PHF1、
及び
(iii)DLX4
を含有する試薬キット。
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