JPWO2005034994A1 - 固形腫瘍治療剤 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、骨髄腫以外にもリンパ球系腫瘍において、HM1.24抗原が発現していること、および抗HM1.24抗体がリンパ球系腫瘍に対し、抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性(antibody−dependent cell−mediated cytotoxicity,ADCC活性)や補体依存性細胞傷害活性(complement−dependent cytotoxicity,CDC活性)による細胞傷害活性を有し、抗腫瘍効果を発現することが示されている(国際出願公開WO98/35698号公報)。また、造血器腫瘍をinterferon αあるいはγ刺激することで、HM1.24抗原の発現量が増加することが明らかにされており、抗HM1.24抗体の抗腫瘍効果を増強できることが明らかになっている(国際出願公開WO02/64159号公報)。
このように、HM1.24抗原は造血器腫瘍での発現は認められていたものの、肺癌、乳癌、大腸癌を初めとする固形癌に発現していることは知られておらず、さらに、ADCCによりこれらの固形癌細胞を傷害できることも、知られていなかった。
造血器腫瘍を除く固形癌としては、頭頸部癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌、腺扁平上皮癌、及び多形、肉腫様あるいは肉腫成分を含む癌、などを含む)、食道癌、乳癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆道癌、膵臟癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、小児固形癌、悪性骨腫瘍などが挙げられる。
近年の医療技術の進歩により、これら固形癌に対し新たな治療法が提案され、試みられているが、進行期にある固形癌に対してはほとんど治癒が見込めず、未だ不十分であるといわざるを得ない。
本発明者らは、かかる治療剤を提供すべく、抗HM1.24抗体を用いて、固形腫瘍細胞での発現量を検討するフローサイトメトリー(FCM)解析、ADCC活性、CDC活性のような細胞傷害活性の測定などの研究を重ねた結果、抗HM1.24抗体が認識する抗原蛋白質が造血器腫瘍以外にも様々な固形癌に発現していること、および抗HM1.24抗体が固形癌に対し、抗腫瘍効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合し、かつ細胞傷害活性を有する抗体を有効成分として含有する、固形癌治療剤を提供する。
前記の抗体は、好ましくは、モノクローナル抗体、ヒト抗体の定常領域とマウス抗体の可変領域とから成るキメラ抗体、マウス抗体の相補性決定領域とヒト抗体のフレームワーク領域および定常領域とから成るヒト化抗体、または、相補性決定領域、フレームワーク領域および定常領域がいずれもヒト抗体に由来する抗体である。
前記の抗体は、糖鎖が改変された抗体であってもよい。
前記の抗体断片は、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2またはFv断片である。
前記の固形腫瘍は、例えば、頭頸部癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌、腺扁平上皮癌、及び多形、肉腫様あるいは肉腫成分を含む癌、などを含む)、食道癌、乳癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、小児固形癌および悪性骨腫瘍、並びにこれらの固形癌の転移癌である。
図2は、ヒト固形癌細胞株(MDA−MB−231,BxPc−3およびPA−1)に対するヒト化抗HM1.24抗体の反応性を示すグラフである。実線は蛍光標識したヒト化抗HM1.24抗体、点線は蛍光標識ヒトIgG1と反応させた試料である。
図3は、ヒト固形癌細胞株(COLO 205およびUCC−5)に対するヒト化抗HM1.24抗体の反応性を示すグラフである。実線は蛍光標識したヒト化抗HM1.24抗体、点線は蛍光標識ヒトIgG1と反応させた試料である。
図4は、ヒト化抗HM1.24抗体のヒト固形癌細胞株に対するADCC活性を示すグラフである。
図5は、YB2/0で発現させた精製ヒト化抗HM1.24抗体のSDS−PAGE(12%T)のパターンを示す。左図:還元条件下、右図:非還元条件下。精製ヒト化抗HM1.24抗体各4μgをアプライした。
図6は、HM1.24抗体−DG44とHM1.24抗体−YBの各抗体濃度におけるヒトPBMCのADCC活性を、4種類のHM1.24抗原発現CHO細胞(HM26,HM31,HM21,HM36)を標的細胞として、E/T ratio=25で測定した結果である。
図7は、HM1.24抗体−DG44とHM1.24抗体−YB1μg/mLにおけるヒトPBMCのADCC活性を、HM31を標的細胞として、E/T ratio=1,5,25で測定した結果である。
図8は、CHO由来の抗体(a)及びYB2/0由来抗体(b)から調製したPA化糖鎖の逆相HPLCクロマトグラムである。産生細胞の種類により糖鎖パターンが変化し、特にYB2/0由来抗体では、フコース無しと推定されるピーク群(A−D)が増加していることを示している。
図9は、第8図と第1表で示した糖A〜Hの構造を示す。
図10は、第8図と第1表で示した糖I〜Oの構造を示す。
図11は、ヒトGnTIII cDNAのPCRによる全合成に使用したプライマー配列と組合わせを示した。予めプライマーに導入したBamHI配列の前後のPCR断片を同部位で連結し、ヒトGnTIII cDNA全配列を取得した。
図12は、HM1.24抗体−DG44及びGnTIII発現ヒト化抗HM1.24抗体産生株由来抗体100ng/mLにおけるADCC活性の比較。GnTIIIを発現させることによりADCC活性が増強している抗体産生株が得られた。
図13は、HM1.24抗体−DG44とGnTIII発現CHO細胞由来ヒト化抗HM1.24抗体の各抗体濃度におけるヒトPBMCのADCC活性を、HM36を標的細胞として、E/T ratio=25で測定した結果である。
図14は、生来型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:30)(GnTIII ori.nuc)と変異型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:31)(GnTIII mut.nuc)と対比を示す。図中、星印は、両配列の対応する塩基が同一であることを示す。
図15は、生来型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:30)(GnTIII ori.nuc)と変異型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:31)(GnTIII mut.nuc)と対比を示す。図中、星印は、両配列の対応する塩基が同一であることを示す。
図16は、生来型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:30)(GnTIII ori.nuc)と変異型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:31)(GnTIII mut.nuc)と対比を示す。図中、星印は、両配列の対応する塩基が同一であることを示す。
図17は、生来型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:30)(GnTIII ori.nuc)と変異型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:31)(GnTIII mut.nuc)と対比を示す。図中、星印は、両配列の対応する塩基が同一であることを示す。
図18は、生来型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:30)(GnTIII ori.nuc)と変異型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:31)(GnTIII mut.nuc)と対比を示す。図中、星印は、両配列の対応する塩基が同一であることを示す。
図19は、生来型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:30)(GnTIII ori.nuc)と変異型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:31)(GnTIII mut.nuc)と対比を示す。図中、星印は、両配列の対応する塩基が同一であることを示す。
次に、本発明に用いる抗体について説明する。抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体の方が好ましい。次に、モノクローナル抗体の作製方法について説明する。
ハイブリドーマ
本発明で使用される抗体を産生するハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、HM1.24抗原蛋白質やHM1.24抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。例えば、抗体取得の感作抗原であるHM1.24抗原発現細胞としては、ヒト多発性骨髄腫細胞株であるKPMM2(特開平7−236475)やKPC−32(Goto,T.et al.,Jpn.J.Clin.Hematol.(1991)32,1400)を用いることができる。また、感作抗原として配列番号2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質、あるいは抗HM1.24抗体が認識するエピトープを含むペプチドまたはポリペプチドを使用することができる。
なお、感作抗原として使用される、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質のcDNAはpUC19ベクターのXbaI切断部位の間に挿入されて、プラスミドpRS38−pUC19として調製されている。このプラスミドpRS38−pUC19を含む大腸菌(E.coli)は、平成5年(1993年)10月5日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、Escherichia coli DH5α(pRS38−pUC19)として、受託番号FERM BP−4434としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(特開平7−196694参照)。このプラスミドpRS38−pUC19に含まれるcDNA断片を用いて遺伝子工学的手法により、抗HM1.24抗体が認識するエピトープを含むペプチドまたはポリペプチドを作製することができる。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または、皮下に注射することにより行われる。
具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate−Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものを所望により通常のアジュバント、例えば、フロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4〜21日毎に数回投与するのが好ましい。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することができる。
このように免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞が取り出され、細胞融合に付される。細胞融合に付される好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物のミエローマ細胞は、すでに、公知の種々の細胞株、例えば、P3X63Ag8.653(J.Immunol.(1979)123:1548−1550),P3X63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81:1−7),NS−1(Kohler.G.and Milstein,C.Eur.J.Immunol.(1976)6:511−519),MPC−11(Margulies.D.H.et al.,Cell(1976)8:405−415),SP2/0(Shulman,M.et al.,Nature(1978)276:269−270),FO(de St.Groth,S.F.et al.,J.Immunol.Methods(1980)35:1−21),S194(Trowbridge,I.S.J.Exp.Med.(1978)148:313−323),R210(Galfre,G.et al.,Nature(1979)277:131−133)等が適宜使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融合は基本的には公知の方法、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler.G.and Milstein,C.,Methods Enzymol.(1981)73:3−46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は例えば、細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、センダイウィルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は、例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1〜10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め、37℃程度に加温したPEG溶液、例えば、平均分子量1000−6000程度のPEG溶液を通常、30〜60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去できる。
当該ハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えば、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。当該HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、通常数曰〜数週間継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングが行われる。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroでHM1.24抗原またはHM1.24抗原発現細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、HM1.24抗原またはHM1.24抗原発現細胞への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となるHM1.24抗原またはHM1.24抗原発現細胞を投与し、前述の方法に従い所望のヒト抗体を取得してもよい(国際特許出願公開番号WO93/12227,WO92/03918,WO94/02602,WO94/25585,WO96/34096,WO96/33735参照)。
さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングにより所望のヒト抗体を単離することもできる。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、HM1.24抗原を固定化したプレートを用いて、HM1.24抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、HM1.24抗原に結合する抗体の可変領域をコードする遺伝子を同定することができる。これらの遺伝子配列を用いれば、ヒト抗HM1.24抗体を作製することができる。これらの方法は既に周知の方法であり、WO92/01047,WO92/20791,WO93/06213,WO93/11236,WO93/19172,WO95/01438,WO95/15388を参考にすることができる。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
モノクローナル抗体
具体的には、抗HM1.24抗体産生ハイブリドーマの作製は、Goto,T.らの方法(Blood(1994)84.1922−1930)により行うことができる。独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、平成7年4月27日にFERM BP−5233としてブダペスト条約に基づき国際寄託された抗HM1.24抗体産生ハイブリドーマをBALB/cマウス(日本クレア製)の腹腔内に注入して腹水を得、この腹水から抗HM1.24抗体を精製する方法や、本ハイブリドーマを適当な培地、例えば、10%ウシ胎児血清、5%BM−CondimedH1(Boehringer Mannheim製)含有RPMI1640培地、ハイブリドーマSFM培地(GIBCO−BRL製)、PFHM−II培地(GIBCO−BRL製)等で培養し、その培養上清から抗HM1.24抗体を精製する方法で行うことができる。
組換え型抗体
本発明では、モノクローナル抗体として、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体を用いることができる(例えば、Carl,A.K.Borrebaeck,James,W.Larrick,THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES,Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD,1990参照)。
具体的には、目的とする抗体を産生するハイブリドーマから、抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin,J.M.ら、Biochemistry(1979)18,5294−5299)、AGPC法(Chmczynski,P.ら、(1987)162,156−159)等により全RNAを調製し、mRNA Purification Kit(Pharmacia製)等を使用してmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAを直接調製することができる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First−strand cDNA Synthesis Kit等を用いて行うことができる。また、cDNAの合成および増幅を行うには5′−Ampli FINDER RACE Kit(Clontech製)およびPCRを用いた5′−RACE法(Frohman,M.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85,8998−9002;Belyavsky,A.ら、Nucleic Acids Res.(1989)17,2919−2932)を使用することができる。得られたPCR産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作成し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシ法により確認する。
目的とする抗体のV領域をコードするDNAが得られれば、これを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターへ組み込む。または、抗体のV領域をコードするDNAを、抗体C領域のDNAを含む発現ベクターへ組み込んでもよい。
本発明で使用される抗体を製造するには、後述のように抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。
改変抗体
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体などを使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体は、前記のようにして得た抗体V領域をコードするDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 125023、国際特許出願公開番号WO96/02576参照)。この既知の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗体を得ることができる。
例えば、キメラ抗HM1.24抗体のL鎖およびH鎖を含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia coli DH5α(pUC19−1.24L−gκ)およびEscherichia coli DH5α(pUC19−1.24H−gγ1)として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、平成8年8月29日に、各々FERM BP−5646およびFERM BP−5644としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(国際特許出願公開番号WO98/14580参照)。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP 125023、国際特許出願公開番号WO96/02576参照)。
具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework−region;FR)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400、国際特許出願公開番号WO96/02576参照)。
CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato,K.et al.,Cancer Res.(1993)53,851−856)。
例えば、ヒト化抗HM1.24抗体のL鎖およびH鎖を含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia coli DH5α(pUC19−RVLa−AHM−gκ)およびEscherichia coli DH5α(pUC19−RVHr−AHM−gγ1)として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、平成8年8月29日に、各々FERM BP−5645およびFERM BP−5643としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(国際特許出願公開WO98/14580参照)。
キメラ抗体、ヒト化抗体には、ヒト抗体C領域が使用され、細胞傷害活性を呈するヒト抗体C領域として、ヒトCγ例えば、Cγ1,Cγ2,Cγ3,Cγ4を使用することができる。これらのうち、特にCγ1,Cγ3を有する抗体が強力な細胞傷害活性、すなわち、ADCC活性、CDC活性を有し、本発明に好適に使用される。
キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来のC領域からなり、ヒト化抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域とヒト抗体由来のフレームワーク領域(framework region;FR)およびC領域からなり、ヒト体内における抗原性が低下しているため、本発明の治療剤の有効成分として有用である。
本発明に使用されるヒト化抗体の好ましい具体例としては、ヒト化抗HM1.24抗体が挙げられる(WO98/14580参照)。
本発明では、糖鎖が改変された抗体も使用できる。(特願2003−207165参照)
本発明の抗体として、α−1,6コアーフコース(α−1,6core fucose)(還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位とがα結合している。)を含まない糖鎖を有する抗HM1.24抗体、及びバイセクティング(bisecting)N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)構造を有する糖鎖を有する抗体が高いADCC活性を有するほか、α−1,6コアーフコース(α−1,6core fucose)を含まない糖鎖とバイセクティング(bisecting)N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)構造を有する糖鎖を共に有する抗HM1.24抗体が、一層高いADCC活性を有する。
従って本発明で使用する抗体として、糖鎖の改変によりADCC活性が増強された、HM1.24抗原に対する抗体(抗HM1.24抗体)を使用することができる。この抗体は、典型的にはモノクローナル抗体またはそれに由来する抗体であり、例えばキメラ抗体、又は更に好ましくはヒト化抗体である。より具体的には、本発明では、α−1,6コアーフコース(α−1,6core fucose)を含まない糖鎖を有する抗体、及びバイセクティング(bisecting)N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)構造を有する糖鎖を有する抗体、更には、α−1,6コアーフコース(α−1,6core fucose)を含まない糖鎖を有し、且つバイセクティング(bisecting)N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)構造を有する糖鎖を有する抗体を使用することができる。
上記の糖鎖が修飾された抗体は、HM1.24抗原に対する抗体(抗HM1.24抗体)をコードする核酸が導入されたYB2/0細胞を培養し、そして当該培養物から当該抗体を採取することを特徴とする方法;N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)をコードする核酸を導入した宿主細胞を培養し、当該培養物から当該抗体を採取することを特徴とする方法;並びに、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)をコードする核酸を導入したYB2/0細胞を培養し、そして当該培養物から当該抗体を採取することを特徴とする方法などにより製造することができる。
本発明で使用する糖鎖の修飾によりADCC活性が増強された抗HM1.24抗体を得るには、α−1,6コアーフコース(α−1,6core fucose)を付加する能力を有しないか又はその能力が低い宿主細胞中で抗HM1.24抗体を発現させるか、あるいは糖鎖にバイセクティング(bisecting)N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)構造を形成する能力を有する宿主細胞中で抗HM1.24抗体を発現させる必要がある。そして、そのためには、目的とする抗HM1.24抗体をコードする遺伝子がクローニングされなければならない。そして、クローニングされた遺伝子によりコードされた抗HM1.24抗体としては、モノクローナル抗体、可変領域がマウスなどのヒト以外の動物に由来し、不変領域がヒトの抗体に由来するキメラ抗体、可変領域中の相補性決定領域のみがマウスなどのヒト以外の動物の抗体に由来し、それ以外の抗体部分はヒト抗体に由来するヒト化抗体などが上げられる。
WO 98/14580の記載から明らかな通り、モノクローナル抗HM1.24抗体を産生するハイブリドーマは既に樹立されており、このハイブリドーマは、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、平成7年4月27日に、FERM BP−5233として寄託されている。また、このハイブリドーマから、軽鎖可変領域(L鎖V領域)をコードするDNA及び重鎖可変領域(H鎖V領域)をコードするDNAがクローニングされ、そしてこれらのDNAを含むプラスミドを収容した大腸菌が、それぞれ、Escherichia coli DH5α(pUC19−1.24L−gκ)(FERM BP−5646)及びEscherichia coli DH5α(pUC19−1.24H−gγ1)(FERM BP−5644)として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、平成8年8月29日に寄託されている。
さらに、上にクローニングしたL鎖V領域をコードするDNA及びH鎖V領域をコードするDNAから、キメラ抗HM1.24抗体及びヒト化抗HM1.24抗体が作成された。ヒト化抗体については、WO 98/14580の第37頁〜第40頁の表1〜表4に示されるように、ヒト化抗体のL鎖についてはバージョンa及びbが作製され、H鎖については、バージョンa〜sが作製され、これらを込み合わせたヒト化抗体の抗原結合活性の測定の結果、L鎖バージョンaとH鎖バージョンr又はsとの組合わせから成るヒト化抗体が強力な抗原結合活性を有することが確認された。
従って、本発明においては、上に引用したWO 98/14580に記載されている種々のモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などを使用することができる。しかしながら、上記の抗体のみならず、HM1.24に対する他のモノクローナル抗体に由来するキメラ抗体、ヒト化抗体などを使用することもできる。その場合、これらの調製方法としては、例えばWO 98/14580に記載されている方法を用いることができる。
抗HM1.24抗体に結合する糖鎖には、抗体分子のアスパラギンの側鎖のN原子に結合するN−グリコシド結合糖鎖と、抗体分子のセリン又はスレオニンの側鎖ヒドロキシル基に結合するO−グリコシル結合糖鎖とがあり、本発明においてフコースの存否が問題となるのはN−グリコシル結合糖鎖である。このN−グリコシル結合糖鎖は、図9及び図10に示すごとく、1個のマンノース(Man)と2個のN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)がβ1,4結合で結合した基本構造(コア)「−Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNc−」を有し、この構造の右のGlNAcを還元末端と称し、左側のManを非還元末端と称する。フコース(Fuc)が結合している場合、これは主として、還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位とがα結合している。
本発明の一つの態様によれば、抗HM1.24抗体は上記のフコースを含まない糖鎖を有する。抗体分子が複数のN−グリコシル糖鎖を有する場合、少なくとも1個の糖鎖は上記のフコースを有しない。このような、フコースを含まない糖鎖を有する抗体は、当該抗体を、糖鎖へのフコース付加能を欠失した細胞、すなわち、フコース転移活性を有しないか又はこの活性が低い宿主中で発現させれば良い。
本発明で使用する抗体製造においては、フコース転移活性を有しないか又はこの活性が低い任意の宿主を用いることができるが、具体例として、ラットミエローマYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞(YB2/0細胞と略される)(ATCC CRL1662として保存されている)が挙げられる。本発明で用いることができるその他の細胞としては、例えば、FTVIIIノックアウトCHO細胞(WO 02/31140)、Lec13細胞(WO03/035835)、フコーストランスポーター欠損細胞(特願2003−174006、特願2003−282081、特願2003−174010、特願2003−282102)を挙げることができる。
本発明のもう一つの態様によれば、本発明で使用する抗HM1.24抗体は、バイセクティング(bisecting)N−アセチルグルコサミンを有する糖鎖を有する。N−グリコシル結合糖鎖は前記の如き基本構造(コアー)を有し、その非還元末端には、図9に示すごとく、マンノースを含む2個の鎖がα1,6結合及びα1,3結合により結合している。他方、図10に示す糖鎖においては、基本構造(コアー)の非還元末端に、前記2個の糖鎖のほかに、1個のN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)がβ1,4結合により結合している。このN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)が、「バイセクテングN−アセチルグルコサミン」である。
バイセクティングN−アセチルグルコサミンを有する糖鎖は、O−グリコシル結合糖鎖又はN−グリコシル結合糖鎖であり、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)により、N−アセチルグルコサミンを糖鎖に転移させることにより形成される。この酵素をコードする遺伝子は既にクローニングされており、そのアミノ酸配列及びそれをコードするDNAの塩基配列は記載されている(NCBIデーターベース(ACCESSION D13789))。また、このDNAは、上記の配列情報に基づいてPCR法など、常法に従って、クローニングすることができる。
GnTIIIをコードするDNAを用いて、バイセクティングN−アセチルグルコサミンを有する糖鎖を形成するには、このDNAを含んでなる発現ベクターにより、抗HM1.24抗体を産生する宿主細胞を形質転換すればよい。すなわち、GnTIIIをコードするDNAを含んで成る発現ベクターと抗HM1.24抗体をコードするDNAを含んで成る発現ベクターとにより、宿主細胞を形質転換し、これを培養すればよい。
本発明の第三の態様によれば、本発明の抗HM1.24抗体は、α−1,6コアーフコース(α−1,6core fucose)を有しない糖鎖とバイセクティングN−アセチルグルコサミンを有する糖鎖の両方を有する。このタイプの抗体を製造するには、GnTIIIをコードするDNAを含んで成る発現ベクターと抗HM1.24抗体をコードするDNAを含んで成る発現ベクターとにより、α−1,6コアーフコースを有する糖鎖を形成する活性を有しないか又はこの活性が弱い宿主細胞、例えばYB2/0細胞、を形質転換し、これを培養すればよい。
宿主細胞の形質転換方法、培養方法、及び培養物からの抗体の単離・精製方法は、常法に従って行うことができる。
抗体断片
本発明において、全長抗体の一部すなわち抗体断片を人為的に作製して、抗体の効果を部分的ないしは全て代替させることができる。
抗体断片とは、一般に、抗原結合領域または可変領域のことである。例えば、抗体断片にはFab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片が含まれる。抗体のパパイン消化により、Fab断片と呼ばれる、それぞれ1つの抗原結合部位を有する2つの同じ抗原結合断片、及び、残りの容易に結晶化するためにFcと呼ばれる断片が生じる。また、ペプシン消化により2つの抗原結合部位を有し、抗原を交差結合し得るF(ab’)2断片、及び、残りの別な断片(pFc’と呼ばれる)が得られる。その他の断片としては、diabody(diabodies)、線状抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体断片より形成された多特異性抗体が含まれる。
ここで、Fv断片は最小の抗体断片であり、完全な抗原認識部位と結合部位を含む。この領域は1つの重鎖及び軽鎖の可変ドメインが非共有結合により強く連結されたダイマーである(VH−VLダイマー)。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用し、VH−VLダイマーの表面に抗原結合部位を形成する。6つのCDRは、抗体に抗原結合部位を付与するものである。しかしながら、1つの可変ドメイン(または、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、全結合部位よりは低い親和性ではあるが、抗原を認識し結合する能力を有する。
また、Fab断片(F(ab)とも呼ばれる)はさらに、軽鎖の定常ドメイン、及び、重鎖の定常ドメイン(CH1)を含む。Fab’断片はFab断片と、抗体のヒンジ領域からの1またはそれ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端由来の数個の残基を付加的に有する点で異なる。
本発明において、diabody(diabodies)とは、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、該断片は、同じポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)(VH−VL)を含む。同じ鎖中で2つのドメインの間を結合できない位に短いリンカーを用いると、2つのドメインはもう一方の鎖の定常ドメインとペアを形成し、2つの抗原結合部位が創り出される。Diabodyはより詳細に、例えば、EP404,097号、WO93/11161号、及びHolliner et al.(Proc.Natl.Aead.Sci.USA(1993)90,6444)に記載される。
一本鎖抗体(以下、一本鎖Fv若しくはsFvとも呼ぶ)、またはsFv抗体断片には、抗体のVH及びVLドメインが含まれ、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、Fvポリペプチドはさらに、VH及びVLドメインの間にポリペプチドリンカーを含み、それによりsFvは、抗原結合のために必要な構造が形成できる。sFvについては、Pluckthun『The Pharmacology of Monoclonal Antibodies』Vol.113(Rosenburg及びMoore編、Springer Verlag,New York,pp.269−315(1994))に記載されている。
抗体ファージライブラリー
本発明では、目的とするモノクローナル抗体をコードするDNAを得るために、抗体ファージライブラリーを使用することができる。
抗体ファージライブラリーより抗体、または抗体断片を単離するためには、例えば、McCaffertyら(Nature(1990)348,552)により記載された技術を用いて製造された抗体ファージライブラリーを用いることができる。ファージライブラリーを用いたマウスおよびヒト抗体の単離は、Clacksonら(Nature(1991)352,624)、およびMarksら(J.Mol.Biol.(1991)222,581)が記載した方法を用いることができる。
また、チェーンシャッフリングによる方法(Marks et al.,Bio/Technology(1992)10,779)を用いることで高親和性(nM程度)のヒト抗体を得ることができる。また、巨大なファージライブラリーを構築するための方法としては、コンビナトリアル感染、およびin vivo組換え(Waterhouse et al.,Nucleic Acids Res.21:2265−2266(1993))などが知られている。これらの技術も、従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に代えて利用することができる。
ヒト抗体産生トランスジェニック動物
本発明では、ヒト抗体産生トランスジェニック動物を用いることで、ヒト抗体を産生するハイブリドーマを直接得ることができる。
ヒト抗体は、免疫原(抗原)をヒト抗体産生トランスジェニック哺乳動物に免疫し、既存の一般的な抗体産生方法によって取得することができる。その抗体遺伝子は、該細胞からクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて組換え抗体を作製することができる。
用いるヒト抗体産生非ヒト哺乳動物、特にヒト抗体産生トランスジェニックマウスの作製方法は公知である(Nature Genetics(1994)7,13;Nature Genetics(1997)15,146;特表平4−504365号公報;特表平7−509137号公報;日経サイエンス(1995)6,40;国際出願公開WO94/25585号公報;Nature(1994)368,856;特表平6−500233号公報等)。該ヒト抗体産生トランスジェニック非ヒト哺乳動物は具体的には、次のような手順により製造することができる:
(1)非ヒト哺乳動物の内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の少なくとも一部を相同組換えにより薬剤耐性マーカー遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子等)で置換することにより該動物内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子が機能的に不活性化されたノックアウト非ヒト哺乳動物を作製する工程、
(2)非ヒト哺乳動物内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座の少なくとも一部を相同組換えにより薬剤耐性マーカー遺伝子(ネオマイシン耐性遺伝子等)で置換することによる該動物内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子(特にκ鎖遺伝子)が機能的に不活性化されたノックアウト非ヒト哺乳動物を作製する工程、
(3)酵母人工染色体(Yeast artificial chromosome,YAC)ベクター等に代表されるような巨大遺伝子を運搬可能なベクターを用いて、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座の所望の領域がマウス染色体中に組込まれたトランスジェニック非ヒト哺乳動物を作製する工程、
(4)YAC等に代表されるような巨大遺伝子を運搬可能なベクターを用いて、ヒト免疫グロブリン軽鎖(特にκ鎖)遺伝子座の所望の領域がマウス染色体中に組込まれたトランスジェニック非ヒト哺乳動物を作製する工程、
(5)前期(1)〜(4)のノックアウト非ヒト哺乳動物及びトランスジェニック非ヒト哺乳動物を任意の順序で交配することにより、非ヒト哺乳動物内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座及び非ヒト哺乳動物内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座がともに機能的に不活性化され、且つヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座の所望の領域及びヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座の所望の領域が共に非ヒト哺乳動物染色体上に組込まれたトランスジェニック非ヒト哺乳動物を作製する工程。
上述のように、非ヒト哺乳動物の内在性免疫グロブリン遺伝子座の適当な領域を外来性マーカー遺伝子(ネオマイシン耐性遺伝子等)で相同組換えにより置換することにより該遺伝子座が再構成できないように不活性化することができる。該相同組換えを用いた不活性化には、例えば、ポジティブ・ネガティブ・セレクション(PNS)と呼ばれる方法を用いることができる(曰経サイエンス(1994)5,52)。また、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の機能的な不活性化には、例えば、J領域またはC領域(例えばCμ領域)の一部に障害を導入することにより達成でき、免疫グロブリン軽鎖(例えばκ鎖)の機能的不活性化には、例えば、J領域若しくはC領域の一部、またはJ領域及びC領域にまたがる領域を含む領域に障害を導入することにより達成可能である。
トランスジェニック動物は、通常の方法により製造することができる(例えば、最新動物細胞実験マニュアル、エル・アイ・シー発行、第7章、第361から408頁(1990))。具体的には、例えば、正常な非ヒト動物胚盤胞に由来するヒポキサンチングアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HRPT)陰性胚性幹(ES)細胞を、該ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座または軽鎖遺伝子座をコードする遺伝子またはその一部並びにHRPT遺伝子が挿入されたYACベクターを含む酵母とスフェロプラスト融合法により融合する。
該外来遺伝子がマウス内在性遺伝子上にインテグレートされたES細胞をHATセレクションにより選別する。次いで、選別したES細胞を別の正常非ヒト哺乳動物から取得した受精卵(胚盤胞)にマイクロインジェクションする(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77,7380;米国特許第4,873,191号)。該胚盤胞を仮親となる別の非ヒト哺乳動物の子宮に移植することにより、キメラトランスジェニック非ヒト哺乳動物が誕生する。該キメラ動物を正常な非ヒト哺乳動物と交配させ、ヘテロトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得る。該ヘテロ動物同士を交配することにより、メンデルの法則に従い、ホモトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができる。
発現および産生
前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により発現させ、取得することができる。哺乳類細胞の場合、常用される有用なプロモーター、発現される抗体遺伝子、その3′側下流にポリAシグナルを機能的に結合させたDNAあるいはそれを含むベクターにより発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウィルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer)を挙げることができる。
また、その他に本発明で使用される抗体発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウィルス、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、シミアンウィルス40(SV40)等のウィルスプロモーター/エンハンサーやヒトエロンゲーションファクター1α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサーを用いればよい。
例えば、SV40プロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mulliganらの方法(Nature(1979)277,108)、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mizushimaらの方法(Nucleic Acids Res.(1990)18,5322)に従えば容易に実施することができる。
大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列、発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーターとしては、lacZプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。lacZプロモーターを使用する場合、Wardらの方法(Nature(1098)341,544−546;FASEB J.(1992)6,2422−2427)、araBプロモーターを使用する場合、Betterらの方法(Science(1988)240,1041−1043)に従えばよい。
抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei,S.P.et al J.Bacteriol.(1987)169,4379)を使用すればよい。ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、抗体の構造を適切にリフォールド(refold)して使用する(例えば、WO96/30394を参照)。
複製起源としては、SV40、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV)等の由来のものを用いることができ、さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
本発明で使用される抗体の製造のために、任意の産生系を使用することができる。抗体製造のための産生系は、in vitroおよびin vivoの産生系がある。in vitroの産生系としては、真核細胞を使用する産生系や原核細胞を使用する産生系が挙げられる。
真核細胞を使用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いる産生系がある。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例えば、CHO,COS、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa,Vero、(2)両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3)昆虫細胞、例えば、sf9,sf21,Tn5などが知られている。植物細胞としては、ニコティアナ(Nicotiana)属、例えばニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが知られている。
原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E.coli)、枯草菌が知られている。
これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。培養は、公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM,MEM,RPMI1640,IMDMを使用することができ、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。また、抗体遺伝子を導入した細胞を動物の腹腔等へ移すことにより、in vivoにて抗体を産生してもよい。
一方、in vivoの産生系としては、動物を使用する産生系や植物を使用する産生系が挙げられる。動物を使用する場合、哺乳類動物、昆虫を用いる産生系がある。
哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツジ、マウス、ウシなどを用いることができる(Vicki Glaser,SPECTRUM Biotechnology Application,1993)。また、昆虫としては、カイコなどを用いることができる。
植物を使用する場合、タバコなどを用いることができる。
これらの動物または植物に抗体遺伝子を導入し、動物または植物の体内で抗体を産生させ、回収する。例えば、抗体遺伝子をヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産生される蛋白質をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギまたはその子孫が産生する乳汁から所望の抗体を得る。トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert,K.M.et al.,Bio/Technology(1994)12,699−702)。
また、カイコを用いる場合、目的の抗体遺伝子を挿入したバキュロウィルスをカイコに感染させ、このカイコの体液より所望の抗体を得る(Susumu,M.et al.,Nature(1985)315,592−594)。さらに、タバコを用いる場合、目的の抗体遺伝子を植物発現用ベクター、例えばpMON530に挿入し、このベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のようなバクテリアに導入する。このバクテリアをタバコ、例えばニコチニア・タバカム(Nicotiana tabacum)に感染させ、本タバコの葉より所望の抗体を得る(Julian,K.−C.Ma et al.,Eur.J.Immunol.(1994)24,131−138)。
上述のようにin vitroまたはin vivoの産生系にて抗体を産生する場合、抗体重鎖(H鎖)または軽鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主を同時形質転換させてもよいし、あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで、宿主を形質転換させてもよい(国際特許出願公開番号WO94−11523参照)。
上述のように得られた抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合させ抗体修飾物として使用することもできる。本願特許請求の範囲でいう「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野においてすでに確立されている。
抗体の分離、精製
前記のように産生、発現された抗体は、細胞内外、宿主から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティークロマトグラフィーにより行うことができる。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、プロテインAカラム、プロテインGカラムが挙げられる。プロテインAカラムに用いる担体として、例えば、Hyper D,POROS,Sepharose F.F.等が挙げられる。
その他、通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、上記アフィニティークロマトグラフィー以外のクロマトグラフィー、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせれば、本発明で使用される抗体を分離、精製することができる。クロマトグラフィーとしては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。
薬物・毒物などとの結合体
本発明では、治療目的として抗体に各種試薬を結合して使用することもできる。このような試薬としては、ドキソルビシン、メトトレキサート、タキソールなどの化学療法剤、重金属、Iodine−131,Yttrium−90などの放射核種、Pseudomonas毒素などのトキシン類、を挙げることができる。治療用試薬との結合体を生産する方法および治療用に使用する方法については、米国特許5057313号、米国特許5156840号に記載されている。
抗体の濃度測定
上記方法で得られた抗体の濃度測定は吸光度の測定またはELISA等により行うことができる。すなわち、吸光度の測定による場合には、本発明で使用される抗体又は抗体を含むサンプルをPBS(−)で適当に希釈した後、280nmの吸光度を測定し、1mg/mlを1.350Dとして算出する。また、ELISAによる場合は以下のように測定することができる。すなわち、0.1M重炭酸緩衝液(pH9.6)で1μg/mlに希釈したヤギ抗ヒトIgG(BIO SOURCE製)100μlを96穴プレート(Nunc製)に加え、4℃で一晩インキュベーションし、抗体を固相化する。
ブロッキングの後、適宜希釈した本発明で使用される抗体または抗体を含むサンプル、あるいは標品としてヒトIgG(CAPPEL製)100μlを添加し、室温にて1時間インキュベーションする。洗浄後、5000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG(BIO SOURCE製)100μlを加え、室温にて1時間インキュベートする。洗浄後、基質溶液を加えインキュベーションの後、MICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad製)を用いて405nmでの吸光度を測定し、目的の抗体の濃度を算出する。
FCM解析
骨髄腫細胞と本発明で使用される抗体との反応性は、FCM(フローサイトメトリー)解析で行うことができる。細胞としては、樹立細胞株あるいは新鮮分離細胞を用いることができる。樹立細胞株としては、ヒト乳癌細胞株MCF7(ATCC HTB−22)およびMDA−MB−231(ATCC HTB−26)、ヒト大腸癌細胞株COLO 205(ATCC CCL−222)およびWiDr(ATCC CCL−218)、ヒト膵臓癌細胞株BxPC−3(ATCC CRL−1687)、ヒト子宮頚癌細胞株UCC−5(実験動物中央研究所)、ヒト腎臓癌細胞株Caki−1(ATCC HTB−46)、ヒト卵巣癌細胞株PA−1(ATCC CRL−1572)などを用いることができる。
上記細胞をPBS(−)で洗浄した後、FACS緩衝液(2%ウシ胎児血清、0.05%アジ化ナトリウム含有PBS(−))で25μg/mlに希釈した抗体あるいはコントロール抗体100μlを加え、氷温化30分インキュベートする。FACS緩衝液で洗浄した後、25μg/mlのFITC標識ヤギ抗マウス抗体(GAM,Becton Dickinson製)100μlを加え、氷温化30分間インキュベートする。FACS緩衝液で洗浄した後、600μlあるいは1mlのFACS緩衝液に懸濁し、FACScan(Becton Dickinson製)で各細胞の蛍光強度を測定すればよい。
また、前記の間接法による染色ではなく、細胞を高濃度の免疫グロブリンで処理し、Fcレセプターをブロックした後にFITC標識した抗HM1.24抗体を用いた直接法による染色によりFCM解析することもできる。
細胞傷害活性
ADCC活性の測定
本発明に使用される抗体は、細胞傷害活性として、例えば、ADCC活性を有する抗体である。
本発明において腫瘍細胞に対するADCC活性は、次のようにして測定することができる。まず、ヒトの末梢血や骨髄より比重遠心法で単核球を分離し、エフェクター細胞(Effector cell:E)として調製する。
また、標的細胞(Target cell:T)としては、ヒト乳癌細胞株MCF7(ATCC HTB−22)、MDA−MB−231(ATCC HTB−26)、ヒト大腸癌細胞株COLO 205(ATCC CCL−222)およびWiDr(ATCC CCL−218)、ヒト子宮頚癌細胞株UCC−5(実験動物中央研究所)、ヒト卵巣癌細胞株PA−1(ATCC CRL−1572)、患者由来の細胞などを51Crにより標識して、標的細胞として調製する。次いで、標識した標的細胞にADCC活性を測定する抗体を加えインキュベートし、その後、標的細胞に対し適切な比のエフェクター細胞を加えインキュベートする。
インキュベートした後上清を取り、ガンマカウンターで放射活性を測定する。その際、最大遊離放射能測定用に、1%のNP−40を用いることができる。細胞傷害活性(%)は、(A−C)/(B−C)×100で計算することができる。なお、Aは抗体存在下において遊離された放射活性(cpm)、BはNP−40により遊離された放射活性(cpm)、Cは抗体を含まず培養液のみで遊離された放射活性(cpm)である。
細胞傷害活性の増強
ADCC活性のような細胞傷害活性を発揮するには、ヒトにおいては抗体定常領域(C領域)としてCγ、特にCγ1,Cγ3を使用することが好ましい。さらに、抗体C領域のアミノ酸を一部付加、改変、修飾することにより、より強力なADCC活性、あるいはCDC活性を誘導することができる。
例えば、アミノ酸置換によるIgGのIgM様ポリマー化(Smith,R.I.F.& Morrison,S.L.BIO/TECHNOLOGY(1994)12,683−688)、アミノ酸付加によるIgGのIgM様ポリマー化(Smith,R.I.F.et al.,J.Immunol.(1995)154,2226−2236)、L鎖をコードする遺伝子の直列連結での発現(Shuford,W.et al.,Science(1991)252,724−727)、アミノ酸置換によるIgGの二量体化(Caron,P.C.et al.,J.Exp.Med.(1992)176,1191−1195,Shopes,B.,J.Immunol.(1992)148,2918−2922)、化学修飾によるIgGの二量体化(Wolff,E.A.et al.,Cancer Res.(1993)53,2560−2565)、および抗体ヒンジ領域のアミノ酸改変によるエフェクター機能の導入(Norderhaug,L.et al.,Eur.J.Immunol.(1991)21,2379−2384)が挙げられる。
これらは、プライマーを利用したオリゴマー部位特異的変異導入法、制限酵素切断部位を利用した塩基配列の付加、共有結合をもたらす化学修飾剤を使用することによって達成される。
投与経路および製剤
本発明の固形癌治療剤は、非経口的にあるいは経口的に、全身あるいは局所的に投与することができる。例えば、点滴などの静脈内注射、筋肉内注射、胸腔内注射、腹腔内注射、皮下注射を選択することができ、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。有効投与量は、一回につき体重1kgあたり0.01〜100mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり10−2000mg、好ましくは100−1000mgの投与量を選ぶことができる。
本発明の固形癌治療剤は、投与経路次第で医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであっても良い。
このような担体および添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などが挙げられる。使用される添加物は、剤型に応じて上記の中から適宜あるいは組合せて選択されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の治療対象疾患としては、標的とする腫瘍細胞上に本発明で使用される抗体が結合する抗原が存在する造血器腫瘍を除く固形癌である。具体的には、頭頸部癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、食道癌、乳癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、小児固形癌、悪性骨腫瘍などが挙げられる。また、これら固形癌の転移ならびに転移巣、固形癌に伴うがん性胸膜炎、がん性腹膜炎、がん性髄膜炎なども挙げられる。本発明の治療剤は、これら造血器腫瘍を除く固形癌の治療剤として有用である。
[実施例1]抗HM1.24抗体の固形癌細胞株に対する反応性
1.フローサイトメトリー解析
ヒト乳癌細胞株MCF7(ATCC HTB−22)およびMDA−MB−231(ATCC HTB−26)、ヒト大腸癌細胞株COLO 205(ATCC CCL−222)およびWiDr(ATCC CCL−218)、ヒト膵臓癌細胞株BxPC−3(ATCC CRL−1687)、ヒト子宮頚癌細胞株UCC−5(実験動物中央研究所)、ヒト腎臓癌細胞株Caki−1(ATCC HTB−46)、ヒト卵巣癌細胞株PA−1(ATCC CRL−1572)を用いた。
これらの細胞について、それぞれ約1×106個の細胞を、80μLのFACS/PBS(1gのウシ血清アルブミン(SIGMA社製)を1LのCellWASH(Becton Dickinson社製)に溶解して調製)に懸濁後、200μg/mLの蛍光標識ヒト化抗HM1.24抗体(NHS−fluorescein(PIERCE社製)にて、ヒト化抗HM1.24抗体を標識して調製)または蛍光標識ヒトIgG1(NHS−fluoresceinにてヒトIgG1(SIGMA社製)を標識して調製)またはFACS/PBSを20μL加え、氷上にて30分間反応させた。1mLのFACS/PBSにて2回洗浄後、1mLのFACS/PBSに懸濁し、フローサイトメーター(EPICS XL、BECKMAN COULTER社製)にて細胞の蛍光強度を測定した。
2.結果
抗HM1.24抗体は全ての細胞株に対し、反応性を示した(図1、図2及び図3)。
[実施例2]固形癌細胞株に対する抗HM1.24抗体によるADCC活性
ADCC活性の測定はCurrent protocols in Immunology,Chapter 7.Immunologic studies in humans,Editor,John E,Coligan et al.,John Wiley & Sons,Inc.,1993の方法に従った。
1.標的細胞の調製
ヒト乳癌細胞株MCF7(ATCC HTB−22)およびMDA−MB−231(ATCC HTB−26)、ヒト大腸癌細胞株COLO 205(ATCC CCL−222)およびWiDr(ATCC CCL−218)、ヒト子宮頚癌細胞株UCC−5(実験動物中央研究所)、ヒト卵巣癌細胞株PA−1(ATCC CRL−1572)を標的細胞として用いた。
各細胞を96ウェル平底プレート(Becton Dickinson社製)に3×103/ウェル(COLO 205およびWiDrは2×103/ウェル、UCC5は5×103/ウェル、PA−1は1×103/ウェル)播種し、3日間培養した。培養後、51Cr−sodium chromate(Amersham Pharmacia Biotech社製)を添加し終濃度を50μCi/mLとし、37℃にて1時間培養することにより放射性標識した。標識後、細胞を10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone社製)を含むRPMI1640培地(GIBCO社製)にて1回洗浄し、同培地50μLを添加し、標的細胞とした。
2.エフェクター細胞の調製
健康成人ボランティアの末梢血からFicoll−PaqueTM PLUS(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いて単核球を分離した。10%FBS含有RPMI1640培地にて細胞濃度を1×107/mLに調製し、エフェクター細胞とした。
3.ADCC活性の測定
ヒト化抗HM1.24抗体またはヒトIgG1を10%FBS含有RPMI1640培地にて希釈し、標的細胞に50μLずつ加え、氷上にて15分間反応させた。次にエフェクター細胞を100μL加え、炭酸ガスインキュベーター内で37℃にて4時間培養した。抗体の終濃度は0または10μg/mLとした。培養後、上清を100μL回収し、ガンマカウンター(COBRAIIAUTO−GAMMA、MODEL D5005、Packard Instrument Company社製)にて放射活性を測定した。ADCCによる細胞傷害活性を以下の計算式により求めた。なお、最大遊離放射活性は、標的細胞に1%NP−40(半井社製)を加えることで細胞を破壊して測定した。細胞傷害活性(%)は、(A−C)/(B−C)×100で計算した。なお、Aは抗体存在下において遊離された放射活性(cpm)、BはNP−40により遊離された放射活性(cpm)、Cは抗体を含まず培養液のみで遊離された放射活性(cpm)である。
4.結果
ヒト化抗HM1.24抗体はMCF7、MDA−MB−231、COLO 205、WiDr、UCC−5、PA−1に対して、ADCC活性を示した(図4)。
参考例1. ラットミエローマYB2/0でのヒト化抗HM1.24抗体の発現
10μgのヒト化抗HM1.24抗体発現ベクター(AHi/N5KG1V−lark,Barnett,R.S.et al.Antibody Production in Chinese Hamster Ovary Cells Using an Impaired Selectable Marker. In: Wang,H.Y.& Imanaka,T.(eds)ACS Symposium Series Vol 604:Antibody Expression and Engineering,27,1995,WO98/4580)を2×106/0.6mL PBS(−)のYB2/0(ATCC CRT−1662)へ、エレクトロポレーション法で1.5kV,25μFの条件で導入した。培養は5%CO2インキュベーター内で37℃で行った。
10%FCSを含むRPMI1640培地(Gibco社)に400μg/mL Geneticinを加えて選択した後、50nM MTX,100nM MTX,200nM MTXと順次MTX濃度をあげ、遺伝子増幅を行った。また、96ウェルプレート(Falcon社)に200nM MTX、400μg/mL Geneticinを含む10%FCS/RPMI1640中、0.5cells/100μL/wellで蒔きこみ、限界希釈法にて細胞のクローニングを行った。
ヒト化抗ヒトHM1.24抗体遺伝子を導入したYB2/0細胞の培養上清は参考例2で示すELISAにより定量した。
参考例2. ヒト化抗HM1.24抗体の定量(ELISA法)
96−ウエルELISA用プレート(Nunc社製)にコート緩衝液(100mmol/L炭酸水素ナトリウム,pH9.6)で100ng/ml程度に希釈した可溶型HM1.24抗原を100μLずつ添加し、4℃で1晩以上反応させた。反応後、1%BSA−PBSを200μL/ウエルで加え室温で約2時間放置し、作製したプレートは4℃で保存した。1%BSA−PBSを転倒除去した後、各wellをTween−PBSで洗浄した。
適宜希釈したヒト化抗HM1.24抗体標準液又はサンプル溶液と100ng/mLに希釈したビオチン標識ヒト化抗HM1.24抗体を1:1で混ぜた後、100μL/wellで分注した。室温で、約1時間反応させた後、各ウエルをTween−PBSで洗浄した。アビジン標識HRPを各ウエルに添加し、室温で15分以上反応させ、TMB liqid(Sigma社製)を100μL/ウエルで加え、2mol/L硫酸を50μL/ウエル加えることにより反応を止めた後、450nmの吸光度を測定した。ヒト化抗HM1.24抗体標準液の濃度−吸光度の検量線から、サンプル溶液のヒト化HM1.24抗体濃度を算出した。
参考例3. YB2/0で発現させたヒト化抗ヒトHM1.24抗体の精製
ヒト化抗HM1.24抗体の発現が確認された細胞は、1700cm2のローラーボトル(CORNING社)で拡大培養を行った。すなわち1×109個のヒト化抗HM1.24抗体発現YB2/0細胞を400mLの200nM MTX、400μg/mLゲンタマイシンを含む10%FCS/RPMI1640培地で(2.5rpm)でコンフルエントになるまで培養した。その後、培養上清の回収用にFCSをPBS(−)で平衡化したrProteinA FF(AmershamPharmacia社)を予め素通りさせることでウシ由来IgGを除き(FCS(−))、このFCS(−)を用いた200nM MTX、400μg/mLゲンタマイシンを含む10%FCS(−)/RPMI1640培地で3〜4日間培養した。
培養上清は0.22μmフィルター処理した後、rProteinA FF(PBS/PBS−クエン酸:リニアグラジエント溶出)およびSource15S(20mM酢酸、0−0.5mM NaCl:リニアグラジエント溶出)で精製した。精製したヒト化抗HM1.24抗体はHM1.24抗体−YBと名付けた(図5)。
参考例4. HM1.24抗原(BST−2)を発現するCHO細胞の作製
HM1.24抗原蛋白質を発現するCHO細胞を次のようにして作製した(Ohtomo T.et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 258(1999),583−591)。即ち、DHFRを欠損したCHO細胞株に、HM1.24抗原をコードする発現ベクターp3.19(上記文献)を導入し、500μg/mlのG418で選択し、さらに限界希釈法によりHM26、HM31、HM21及びHM36の4つの細胞株を得た。細胞表面上のHM1.24抗原の発現数は特願2001−115889に記された方法にてフローサイトメトリーで測定したところ、それぞれ細胞あたり3.8×103、2.2×104、2.2×104及び1.8×105個であった。
参考例5. ヒト末梢血由来PBMCを用いたADCC活性の測定
(1)ヒトPBMC溶液の調製
健常人よりヘパリン加採血した末梢血を、PBS(−)で2倍に希釈し、Ficoll−PaqueTMPLUS(Amersham Pharmacia Biotech AB)に重層した。これを遠心(500×g、30分間、20℃)した後、単核球画分である中間層を分取した。3回洗浄後、10%FBS/RPMIに懸濁し、ヒトPBMC溶液とした。
(2)標的細胞溶液の調製
参考例4に示したHM1.24抗原(BST−2)を発現するCHO細胞は、細胞剥離緩衝液(Invitrogen Corp)を用いてディッシュから剥離し、10%FBS/RPMI 200μLに浮遊し、5.55MBqのChromium−51を加え、5%炭酸ガスインキュベータ中37℃1時間培養した。この細胞を3回洗浄した後、10%FBS−RPMI1640培地中個々の細胞濃度に調製し、標的細胞溶液とした。
(3)クロム遊離試験(ADCC活性)
標的細胞溶液を96ウェルU底プレートに50μLずつ分注し、各濃度に調製した抗体溶液50μLを添加し、氷上で1時間反応させた後に、ヒトPBMC溶液100μLを加え、5%炭酸ガスインキュベータ中37℃4時間培養し、培養後培養上清100μL中の放射活性をガンマカウンターで測定した。下式により特異的クロム遊離率を求めた。
特異的クロム遊離率(%)=(A−C)×100/(B−C)
Aは各ウェルにおける放射活性(cpm)の平均値、Bは標的細胞浮遊液を50μL、10%NP−40水溶液(Nonidet(商標)P−40,ナカライテスク社製)を20μL、10%FBS/RPMI培地を130μL添加したウェルにおける放射活性(cpm)の平均値、Cは標的細胞浮遊液を50μL、10%FBS/RPMI培地を150μL添加したウェルにおける放射活性(cpm)の平均値を示す。
参考例6. βガラクトシダーゼ安定発現CHO細胞株を用いたADCC活性測定法
エフェクター細胞として健常人の末梢血より比重遠心法で分離した単核球を用いた。すなわち、健常人の末梢血に等量のPBSを加え、Ficoll−PaquePLUS(Pharmacia)に積層し、500gで30分間遠心した。単核球相を分取し、10%FCSを含むRPMI1640で3回洗浄後、10%FCSを含むα−MEMで細胞数が5x106/mLになるように調製した。
トリプシン−EDTAで剥がし、10%FCSを含むα−MEMで懸濁した2x105細胞/mLのβガラクトシダーゼ安定発現CHO#30細胞株50μLと、様々な濃度の抗HM1.24抗体50μLを96ウエルU底プレートに加え、4℃で15分間反応させた。ついでエフェクター細胞100μLを加え、37℃で4時間培養した。培養後、20μLの培養上清を採取し、βガラクトシダーゼ活性を測定した。最大遊離酵素量はGalactone−starアッセイキットの細胞溶解緩衝液により遊離される酵素量とした。
細胞傷害活性は、
細胞傷害活性(%)=(A−C)×100/(B−C)
(%β−ガラクトシダーゼ)
として計算した。ここでAは抗体存在下において遊離されたβガラクトシダーゼ活性(RLU/sec)、Bは細胞溶解緩衝液により遊離されたβガラクトシダーゼ活性(RLU/sec)、Cは抗体を含まず培養液のみで遊離されたβガラクトシダーゼ活性(RLU/sec)を示す。
参考例7. YB2/0由来ヒト化抗ヒトHM1.24抗体のADCC活性の測定
YB2/0で発現させたHM1.24抗体(HM1.24抗体−YB)のADCC活性を参考例5の方法にて測定した結果を図6〜図7に示した。図6に示したように、いずれの標的細胞においても、HM1.24抗体−YBは、DG44(DHFR欠損CHO細胞:Urlaub,G.et al.(1986)Effect of Gamma Rays at the Dihydrofolate Reductase Locus: Deletions)and Inversions.Somatic Cell and Molecular Genetics,12:555,1986)で産生したHM1.24抗体(HM1.24抗体−DG44)よりも高いADCC活性を示した。
具体的には、より低濃度でADCC活性の誘導が認められ、最大のADCC活性にも向上が見られた。特にHM1.24抗原の発現数が少ない標的細胞HM26,HM31を用いた場合、HM1.24抗体−DG44では非常に低いADCC活性しか示さなかったのに対してHM1.24抗体−YBでは高いADCC活性が出現した。また、図7に示したように、標的細胞数に対するPBMC数の割合(E/T比)が25の時のみならず、E/T比が5の場合もHM1.24抗体−YBはHM1.24抗体−DG44よりも高いADCC活性を示した。
参考例8. 糖鎖の解析
1.2−アミノピリジン標識糖鎖(PA化糖鎖)の調製
本発明のYB2/0由来抗体、及び対照試料としてCHO由来の抗体に、N−グリコシダーゼF(Roche)を作用させ、糖鎖を蛋白質から遊離させた(Weitzhandler M.et al., Journal of Pharmaceutical Sciences 83:12(1994),1670−1675)。セルロースカートリッジ(TAKARA製)を用いた固相抽出(Shimizu Y.et al.,Carbohydrate Research 332(2001),381−388)により脱塩した後濃縮乾固し、2−アミノピリジンによる蛍光標識を行った(Kondo A.et al.,Agricultural and Biological Chemistry 54:8(1990),2169−2170)。得られたPA化糖鎖を、セルロースカートリッジを用いた固相抽出により脱試薬した後遠心濃縮し、精製PA化糖鎖とした。
2.精製PA化糖鎖の逆相HPLCによる分析
上記参考例8の1項の方法で、本発明のYB2/0由来抗体、及び対照試料としてCHO由来の抗体についてPA化糖鎖の調製を行った後、ODSカラム(TAKARA製Palpak Type R)による逆相HPLC分析を打い、クロマトグラムを比較した。CHO由来抗体の糖鎖に比較して、YB2/0由来抗体の糖鎖は、20分から35分までに溶出するフコース無しと推定される糖鎖(A−D)のピーク増加が確認された(図8)。
3.精製PA化糖鎖の二次元マッピングによる分析
上記参考例.8の1項の方法で、本発明のYB2/0由来抗体についてPA化糖鎖の調製を行った後、ODSカラムによる逆相HPLC分析及びアミンカラム(TAKARA製Palpak Type N)による順相HPLC分析を組み合わせた、二次元マッピングを実施した。具体的には、アミンカラムによる順相HPLCで、精製PA化糖鎖のメインピークを粗分画し、各分画を逆相HPLCにて分析した。
各糖鎖の同定は、PA化糖鎖標準品(TAKARA製、ホーネン製、生化学工業製;図9のK,O,Pを除く)とのHPLCにおける溶出位置の比較及びTOF−MSによる分子量確認にて行った。同定された各糖鎖の相対比を第1表に示す(J,Kの区別及びN,Oの区別は本参考例においては行っていない)。また、表1に示す糖鎖の構造を図9及び図10に示す。この結果本発明のYB2/0由来抗体は、フコースの無い糖鎖が30%以上存在し、且つバイセクティングGlcNAcを持つ糖鎖が存在することが確認された。
参考例9. ヒトGnTIII発現ベクターの作製
ヒトGnTIII遺伝子配列はNCBIデーターベース(ACCESSION D13789)より入手した。配列はGENETYX−SV/RCで解析し、繰返し配列が多いことから、PCRによる増幅を容易にする目的で、サイレント変異を複数箇所導入したプライマーをデザインし、PCRによる合成にて取得した。PCRにはKODポリメラーゼ(TOYOBO社)を用い、塩基番号801から870までの二本鎖を最初の鋳型とし、下に示すプライマーを用いて順次、PCRを行った。下記のプライマー配列において、大文字はサイレント変異を導入した塩基を示す。また、数字は翻訳開始部位からの何塩基目かを示す。図11は、GnTIII遺伝子に対する各プライマーの位置を示す。
必要に応じて増幅断片をアガロースゲル電気泳動して、目的断片をゲルから切り出して精製したものを次のPCRの鋳型とした。最終的にPCRのみで全長を増幅することが困難であったため、予めプライマー内にサイレント変異として挿入しておいたBamHI部位を用いて、その前後の断片を増幅後に連結することにより、全長ヒトGnTIII遺伝子を取得した。図15〜図19に、生来型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:30)(GnTIII ori.nuc)と変異型ヒトGnTIIIをコードする塩基配列(配列番号:31)(GnTIII mut.nuc)と対比を示す。図中、星印は、両配列の対応する塩基が同一であることを示す。
ヒトGnTIIIは、pcDNA3.1(Hygro−)(Invitrogen社)のXhoI/HindIII部位に組込み、配列を確認した。
参考例10. HM1.24抗体−DG44発現CHO細胞でのGnTIIIの発現
上記参考例9で得られた10μgのGnTIII/pcDNA3.1(Hygro−)をHM1.24抗体−DG44発現CHO株にエレクトロポレーション法で1.5kV,25μFの条件で導入した。培養は5%CO2インキュベーター内で37℃で行った。96ウェルプレート(Falcon社)に、10%FCSを含むIMDM培地(Gibco社)を用いて、10細胞/100μL/wellで蒔きこみ、2日間培養した。400μg/mLハイグロマイシンを含む10%FCS−IMDM培地に代え、1〜2週間、細胞の選択を行った。ハイグロマイシン耐性コロニーが出現し、増殖の認められた細胞の培養上清を回収し、ヒト化抗HM1.24抗体抗体量を参考例2のELISA法により測定した。
参考例11. GnTIII発現ヒト化抗HM1.24抗体産生CHO細胞のADCC活性によるスクリーニング
GnTIIIを強制的に発現させたヒト化抗HM1.24抗体産生細胞(クローンNo.1〜31)に由来するヒト化抗HM1.24抗体及びHM1.24抗体−DG44の培養液を抗体濃度400ng/mlに培地を用いて希釈し、参考例6に示した方法を用いてADCC活性を測定し比較した(図12)。
最終的にADCC活性とヒト化抗HM1.24抗体発現量および増殖速度を考慮してスクリーニングを行い、クローンNo.6(57B2)を得た。
参考例12. GnTIII発現CHO細胞由来ヒト化抗HM1.24抗体のADCC活性の測定
GnTIIIを強制的に発現させたヒト化抗HM1.24抗体産生細胞に由来するヒト化抗HM1.24抗体のADCC活性を参考例5の方法にて測定した結果を図13に示した。クローンNo.3,No.6(57B2)とHM1.24抗体−DG44を比較した結果、いずれのクローンもHM1.24抗体−DG44よりも高いADCC活性を示した。
Claims (21)
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合する抗体または抗体活性を維持している抗体断片を有効成分として含有する固形腫瘍治療剤。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記抗体が、ヒト抗体の定常領域とマウス抗体の可変領域とから成るキメラ抗体である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記抗体が、マウス抗体の相補性決定領域とヒト抗体のフレームワーク領域および定常領域とから成るヒト化抗体である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記抗体がヒト抗体である、請求項1に記載の治療剤。
- 前記抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2またはFv断片である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の治療剤。
- 前記固形腫瘍が、頭頸部癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、食道癌、乳癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、小児固形癌もしくは悪性骨腫瘍、またはこれらの固形癌の転移癌である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の治療剤。
- 固形腫瘍治療剤の製造のための、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合する抗体または抗体活性を維持している抗体断片の使用。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項8に記載の使用。
- 前記抗体が、ヒト抗体の定常領域とマウス抗体の可変領域とから成るキメラ抗体である、請求項8に記載の使用。
- 前記抗体が、マウス抗体の相補性決定領域とヒト抗体のフレームワーク領域および定常領域とから成るヒト化抗体である、請求項8に記載の使用。
- 前記抗体がヒト抗体である、請求項8に記載の使用。
- 前記抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2またはFv断片である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の使用。
- 前記固形腫瘍が、頭頸部癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、食道癌、乳癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、小児固形癌もしくは悪性骨腫瘍、またはこれらの固形癌の転移癌である、請求項8〜13のいずれか1項に記載の使用。
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する蛋白質に特異的に結合する抗体または抗体活性を維持している抗体断片を治療を必要とする対象に投与することを含んで成る固形腫瘍の治療方法。
- 前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項15に記載の方法。
- 前記抗体が、ヒト抗体の定常領域とマウス抗体の可変領域とから成るキメラ抗体である、請求項15に記載の方法。
- 前記抗体が、マウス抗体の相補性決定領域とヒト抗体のフレームワーク領域および定常領域とから成るヒト化抗体である、請求項15に記載の方法。
- 前記抗体がヒト抗体である、請求項15に記載の方法。
- 前記抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2またはFv断片である、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 前記固形腫瘍が、頭頸部癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、食道癌、乳癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮体癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、脳腫瘍、小児固形癌もしくは悪性骨腫瘍、またはこれらの固形癌の転移癌である、請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
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