JPWO2004092003A1 - クランク装置、それを備えた乗り物用クランクペダル装置、及びそれらを備えた乗り物 - Google Patents

クランク装置、それを備えた乗り物用クランクペダル装置、及びそれらを備えた乗り物 Download PDF

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Abstract

ペダルが上死点と下死点に位置する場合には、これらの各点が思案点(死点)となってしまい、ペダルを踏み込む力が大きくなり、自転車の運転が困難になる問題があった。また、ペダルをこぐときの体重移動を少なくしてふらつきを抑制する。【解決手段】内転歯車5L、5Rが上死点またはその近傍にある場合には、内転歯車5L、5Rに設けられる入力部材(ペダル)10L、10Rの摺動軸31L、31Rの位置を、常に内転歯車5L、5Rと、クランク軸3との各中心を結ぶ線L上に存在しないようにオフセット配置するように形成することで、ペダル10L、10Rを上下方向に往復運動させ、内転歯車5L、5Rを、固定歯車6L、6Rとの接触点を支点とする挺子の作用で固定歯車6に噛合させながら転動させ、これにより、ペダルの上下方向の往復運動をクランク軸3の回転駆動に変換して、回転力取り出し手段(スプロケット)7から外部に回転力を取り出すようにする。

Description

本発明は、クランク腕に内転歯車を軸支し、その内転歯車に設けられた入力部材(ペダル)の上下方向への往復運動を、クランク腕を回転させる回転運動に転換して、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフトドライブシステムやチェーンスプロケットシステム等でなる回転力取り出し手段から回転駆動力を取り出すようにしたクランク装置、それを備えた乗り物用ペダルクランク装置、及びそれらを備えた乗り物に関するものである。
従来、自転車に設けられたクランクペダル装置は、ペダルを下死点に向けて踏み込む回転運動を、クランク腕を介してクランク軸を回転させる回転運動に転換し、クランク軸に一体固定したスプロケットに巻き掛けたチェーンにより車輪のスプロケットを回転することにより、車輪を駆動するようにしている。しかし、ペダルを踏み込んでクランク軸に回転運動を与えるときに、体重を移動させてペダルを踏み込むため、ハンドルがふらつき、不安定な走行をするようになると共に、クランク装置の動力伝達効率を損ねていた。このような問題を解消するために工夫された技術として、例えば、実公平2−44628号公報の技術が知られている。この公報に記載された自転車のペダルクランク装置は、クランク軸に固定したスプロケットの上にも別のスプロケットを設け、これら左右に設けた上下一対のスプロケット間に一対のチェーンを巻き掛けし、左右のペダルをチェーンの張り側に係脱するようにして取り付け、ペダルを上から下方向に踏み込む動作を繰り返すことで車輪に駆動力を伝達し、走行できるようにしているものである。
ところが、上記のペダルクランク装置を備えた自転車であっても、ペダルの取り付け位置と、スプロケットの回転軸心との間に存する距離が、梃子の腕として機能するため、ペダルの踏み込み力によるモーメントが作用し、結果として体重移動による自転車のふらつき現象が生じてしまい、依然としてハンドルがふらつき、不安定な走行をするようになると共に、クランク装置の動力伝達効率を損ねるという問題が解消されなかった。そこで、このような問題点を解決するために、内転歯車が上死点近傍にある場合には、内転歯車に設けられる入力部材(ペダル)の取り付け軸の位置を、入力時に内転歯車と、クランク軸との各中心を結ぶ線上に存在しないようにオフセット配置するように形成することで、クランク軸を円滑に回転駆動して回転力を取り出し手段(例えば、スプロケットやベベル軸)から外部に取り出すようにしたクランク装置と、それを備えた乗り物用ペダルクランク装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、固定部材に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、このクランク軸両側に設けられた一対のクランク腕、上記各クランク腕に回転自在に設けた一対の内転歯車、上記固定部材に設けられ、上記各内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記各内転歯車に設けられた一対の駆動力伝達手段、各駆動力伝達手段に係合された一対の入力部材、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記各内転歯車から上記各クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記入力部材を介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させる構成を採用した。
請求項1記載の発明では、軸受け部に回転自在に設けたクランク軸両側の一対のクランク腕に内転歯車を設け、この内転歯車を固定歯車に内接させながら噛合して転動するように形成する。そして、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段に入力部材を係合するようにしているので、入力部材を上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、これにより回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができる。このため、左右一対の入力部材を、左右交互にこぐ(押し下げ運動)とき、振れの少ない態様で上下方向に往復運動を行わせることができ、この結果、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できるようになる。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができ、エネルギ伝達効率を向上できるようになる。
また、クランク軸の両側に設けられるクランク腕は、互いにクランク軸に対して反対方向に伸びるような腕に形成されるが、この代わりに位相角度のない状態、すなわち互いに同じ方向に伸びるような腕に形成してもよく、要するにクランク軸から伸びる方向は任意に設定した形態に形成してよいものであるのは言うまでもない。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のクランク装置に係り、上記駆動力伝達手段は、上記入力部材に形成した摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする。
この請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載のものに加えて、更に、次のような作用を呈することとなる。すなわち、駆動力伝達手段を、入力部材の摺動子と、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部とで形成し、さらに、摺動子を軌道案内部の最下方近傍に常に存置するようにしている。このため、摺動子は軌道案内部の最下方近傍に存置しているので、例えば、内転歯車が固定歯車に対して上死点またはその近傍で接触するとき、摺動子は内転歯車の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置に配置することとなり、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車を容易に転動させることができるようになり、スムーズにクランク軸を回転駆動させて推進力を与えることができる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のクランク装置に係り、上記軌道誘導部は、楕円、多角形状、略直線状または曲線状の軌道を画く形状に形成されていることを特徴とする。
この請求項3記載の発明により、入力部材の摺動子は、楕円、多角形状、略直線状または曲線状の軌道を画く溝またはレール(一本で形成したレールを含む)で形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するよになっているので、内転歯車が固定歯車に噛合しながら転動するときに、内転歯車がどのような回転角度の状態にあっても、梃子の作用により常に内転歯車を円滑に転動させる回転モーメントを生じさせることができ、入力部材に加えられるエネルギーを回転運動に効率よく変換して推進力を得ることができるようになる。
請求項4記載の発明は、請求項2記載のクランク装置に係り、上記軌道誘導部は、略直線状または曲線状を有する傾斜溝で形成したことを特徴とする。
このような構成を採ることにより、請求項4記載の発明は、請求項2記載のものに加えて、次のような作用を有する。すなわち、入力部材の摺動子は、傾斜溝で形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するため、入力部材の上下方向の往復運動を効率良く回転運動に変換することができるようになる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のクランク装置に係り、上記傾斜溝に、ばね部材を設け、このばね部材のばね力により上記摺動子を入力時上記最下方近傍に存置せしめるようにしたことを特徴とする。
この請求項5記載の発明では、傾斜溝に設けたばね部材のばね力により摺動子を常に最下方近傍に強制的に存置させるように付勢しているため、内転歯車が固定歯車に対してどのような転動位置にあっても、摺動子を傾斜溝の最下方近傍に存在させることができ、そのため、内転歯車を確実に転動させることができ、入力部材の上下方向の往復運動を効率的に回転運動に変換して推進力を得ることができるようになる。
また、請求項6記載の発明は、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のクランク装置に係り、上記内転歯車と上記固定歯車との噛合部を、外部と干渉しないようにカバーで覆うことを特徴とする。
この請求項6記載の発明によれば、カバーにより内転歯車と固定歯車とが全体として覆われているため、例えば、本クランク装置を自転車等の乗り物に搭載した場合には、両歯車の噛合部により衣服や飛び石等が噛み込んだりしてケガをしないようにすることができる。
また、請求項7記載の発明は、請求項2乃至6のいずれか1項に記載のクランク装置に係り、上記固定歯車に、上記入力部材を上記上下方向に往復運動させるように規定するガイド手段を設けるようにしたことを特徴とする。
この請求項7記載の発明によれば、ガイド手段により入力部材の上下方向への往復運動を規定するので、急ブレーキ等によるペダルの大きな移動(変位)を避けることで、ペダルからの足の離脱を防ぐことができるようになるとともに、例えば、自転車等の乗り物にこのクランク装置を搭載した場合には、自転車転倒時に受ける衝撃力により、固定歯車や内転歯車の歯が切損して噛合状態を悪くしてしまう事態を未然に回避することができるようになる。
請求項8記載の発明は、請求項2乃至7のいずれか一項に記載のクランク装置に係り、上記内転歯車は、スプロケット形態で形成され、上記固定歯車は、チェーン形態又はピン形態で形成されたことを特徴とする。
この請求項8記載の発明によれば、スプロケット形態の内転歯車をチェーン形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、スプロケットとチェーン形態又はピン形態との係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、入力部材からの回転力取り出し手段への駆動力の伝達効率を低下させることはない。
請求項9記載の発明は、請求項2乃至7のいずれか一項に記載のクランク装置に係り、上記内転歯車は、チェーン形態又はピン形態で形成され、上記固定歯車は、スプロケット形態で形成されたことを特徴とする。
この請求項9記載の発明によれば、チェーン形態又はピン形態の内転歯車をスプロケット形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、チェーンとスプロケットとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、入力部材からの回転力取り出し手段へ駆動力を取り出すとき、駆動力の伝達効率を低下させることはない。
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のクランク装置に係り、上記回転力取り出し手段を、楕円形状のスプロケットで形成したことを特徴とする。
この請求項10記載の発明では、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にできるようになる。
次に、請求項11の発明について説明する。本発明は、乗り物用クランクペダル装置であって、乗り物本体に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、このクランク軸両側に設けられた一対のクランク腕、上記各クランク腕に回転自在に設けた一対の内転歯車、上記乗り物本体に設けられ、上記各内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記各内転歯車に設けられた一対の駆動力伝達手段、各駆動力伝達手段に係合された一対の入力部材、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記各内転歯車から上記各クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記入力部材を介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とする。
このような構成を採ることにより、請求項11の本発明においては、例えば、自転車、車椅子であって自転車のように走行するハンドサイクル、水上足こぎボート、人力飛行機等といった乗り物のクランク装置に採用され、これにより次のような作用を呈することとなる。すなわち、軸受け部に回転自在に設けられたクランク軸両側のクランク腕に一対の内転歯車を設け、この内転歯車に固定歯車に内接させながら噛合して転動させるように設ける一方で、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段にペダルの取り付け軸を係合しているので、ペダルを上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、これにより回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができる。このため、左右一対の入力部材を、左右交互にこぐ(押し下げ運動)とき、振れの少ない態様で上下方向に往復運動を行わせることができ、この結果、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物用クランクペダル装置を実現できるようになる。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができ、エネルギー伝達効率を向上できるようになる。
なおまた、クランク軸の両側に設けられるクランク腕は、互いにクランク軸に対して反対方向に伸びるような腕に形成されるが、この代わりに位相角度のない状態、すなわち互いに同じ方向に伸びるような腕に形成してもよく、要するにクランク軸から伸びる方向は任意に設定した形態に形成してよいものであるのは言うまでもない。
請求項12記載の発明は、請求項11記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記駆動力伝達手段は、上記ペダルの取り付け軸に設けた摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする。
この請求項12記載の発明によれば、請求11記載のものに加えて、次のような作用を有する。すなわち、ペダルの取り付け軸は、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部に係合し、しかも軌道誘導部において偏倚した最下方近傍に常に存置されるため、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とし、ペダルの取り付け軸が存置(係合)する軌道誘導部の最下方近傍に駆動力が作用すると、梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、上下支点からの起動が円滑、且つ設定方向に転動可能となり、クランク軸が回転してスプロケット等の回転力取り出し手段を介して乗り物に推進力を与え、乗り物が移動できるようになる。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記軌道誘導部は、楕円、多角形状、略直線状または曲線状の軌道を画く形状に形成されていることを特徴とする。
この請求項13記載の発明によれば、軌道案内部を、例えば溝やレール(一本のレールの場合も含む)で形成した場合に、溝やレールを楕円形状や多角形状等に形成しているので、ペダルの取り付け軸に設けた摺動子は、軌道誘導部の最下方近傍に存在するよになるため、内転歯車が固定歯車に噛合しながら転動するときに、どのような回転角度にあっても、梃子の作用により常にスムーズに内転歯車を転動させることができ、ペダルの往復運動を円滑に回転運動に変換でき、従来のように体重移動に伴う動作により乗り物のふらつきを抑制できるようになる。
請求項14記載の発明は、請求項12記載の乗り物用ペダルクランク装置に係り、上記軌道誘導部は、略直線状または曲線状を有する傾斜溝で形成したことを特徴とする。
この請求項14記載の発明では、入力部材の摺動子は、傾斜溝で形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するため、入力部材の上下方向の往復運動を効率良く回転運動に変換することができるようになる。
請求項15記載の発明は、請求項14記載のクランク装置に係り、上記傾斜溝に、ばね部材を設け、このばね部材のばね力により上記摺動子を入力時上記最下方近傍に存置せしめるようにしたことを特徴とする。
この請求項15記載の発明では、傾斜溝に設けたばね部材のばね力により摺動子を常に最下方近傍に強制的に存置させるように付勢しているため、内転歯車が固定歯車に対してどのような転動位置にあっても、摺動子を傾斜溝の最下方近傍に存在させることができ、そのため、内転歯車を確実に転動させることができ、入力部材の上下方向の往復運動を効率的に回転運動に変換して推進力を得ることができるようになる。
請求項16記載の発明は、請求項12乃至15のいずれか一項に記載の乗り物用ペダルクランク装置に係り、上記内転歯車と上記固定歯車との噛合部を、外部と干渉しないようにカバーで覆うことを特徴とする。
この請求項16記載の発明によれば、カバーにより内転歯車と固定歯車とが全体として覆われているため、乗り物が自転車等である場合には、両歯車の噛合部により衣服や飛び石等が噛み込むのを未然に回避するため、転車が急停止するような事態を阻止でき、安全運転を実現できるようになる。
また、請求項17の発明は、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の乗り物用ペダルクランク装置に係り、上記固定歯車に、上記ペダルの取り付け軸を上記上下方向に往復運動させるように規定するガイド手段を設けるようにしたことを特徴とする。
この請求項17記載の発明によれば、ペダルの取り付け軸はガイド手段によって上下方向への往復移動を規定されるため、急ブレーキ等によりペダルに大きな外力が作用しても、ペダルの取り付け軸はガイド手段に沿って移動(変位)し、ペダルから足が不用意に離脱したりするのを防ぐことができ、また、例えば自転車が転倒してペダルが衝撃力を受けても、固定歯車や内転歯車の歯が切損したりして噛み合いに不具合を生じる事態を良好に回避することができるようになる。
請求項18記載の発明は、諸求項12乃至17のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記内転歯車は、スプロケット形態で形成され、上記固定歯車は、チェーン形態またはピン形態で形成されたことを特徴とする。
この請求項18記載の発明によれば、スプロケット形態の内転歯車をチェーン形態またはピン形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、スプロケットとチェーンとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、ペダルの取り付け軸から軌道誘導部に入力される駆動力は効率良く回転力取り出し手段へ伝達されるようになる。
請求項19記載の発明は、請求項12乃至18のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記内転歯車は、チェーン形態またはピン形態で形成され、上記固定歯車は、スプロケット形態で形成されたことを特徴とする。
この請求項19記載の発明によれば、チェーン形態またはピン形態の内転歯車をスプロケット形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、チェーンとスプロケットとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、ペダルの取り付け軸から軌道誘導部に入力された駆動力は、効率よく回転力取り出し手段へ伝達されるようになる。
請求項20記載の発明は、請求項11乃至19のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記回転力取り出し手段を、楕円形状のスプロケットで形成したことを特徴とする。
この請求項20記載の発明では、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にできるようになる。
請求項21記載の発明は、乗り物であって、請求項1乃至10記載のいずれか一項に記載のクランク装置を乗り物に装備し、ペダル等を下方向踏込み、前方向踏み出しするようにしたことを特徴とする。
この請求項21記載の発明では、乗り物にクランク装置を設け、これによってペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにしているので、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種用途の乗り物に用いることで、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物を実現できるようになる。
請求項22記載の発明は、乗り物であって、請求項11乃至20記載の乗り物用クランクペダル装置を乗り物に装備し、ペダル等を下方向踏込み、前方向踏み出しするようにしたことを特徴とする。
この請求項22記載の発明では、乗り物に乗り物用クランクペダル装置を設け、これによってペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにしているので、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種用途の乗り物に用いることで、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物を実現できるようになる。
次に、請求項23記載の発明について説明する。この請求項23記載の発明が、請求項1記載の発明と構成上異なる点は、請求項1記載の発明に係るではクランク腕、内転歯車、駆動力伝達手段、および入力部材をクランク軸の両側に設けた構成にしたが、請求項23記載の発明ではクランク軸の片側に設けた構成において異なるものであり、その他の構成は共通するものである。
すなわち、この請求項23記載の発明は、クランク装置であって、固定部材に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、上記クランク軸に設けられたクランク腕、上記クランク腕に回転自在に設けた内転歯車、上記固定部材に設けられ、上記内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記内転歯車に設けられた駆動力伝達手段、上記駆動力伝達手段に係合された入力部材、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記内転歯車から上記クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記入力部材を介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とする。
したがって、この請求項23記載の発明によれば、軸受け部に回転するように設けたクランク軸のクランク腕に内転歯車を設け、その内転歯車を固定歯車に内接させながら噛合して転動させるように形成する一方で、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段に入力部材を係合するようにしているので、入力部材を上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動して、回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に効率よく取り出すことができる。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができるようになる。
また、請求項24記載の発明は、請求項23記載のクランク装置に係り、上記駆動力伝達手段は、上記入力部材に形成した摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする。
この請求項24記載の発明によれば、上記請求項23記載のものに加えて、更に、次のような作用を呈することとなる。すなわち、駆動力伝達手段を、入力部材の摺動子と、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部とで形成し、さらに、摺動子を軌道案内部の最下方近傍に常に存置するようにしている。このため、摺動子は軌道案内部の最下方近傍に存置しているので、例えば、内転歯車が固定歯車に対して上死点またはその近傍で接触するとき、摺動子は内転歯車の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置に配置することとなり、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車を容易に転動させることができるようになり、スムーズにクランク軸を回転駆動させて推進力を与えることができる。
次に、請求項25記載の発明を説明する。この請求項25記載の発明は、請求項11記載の発明と大きく異なる点は、請求項11記載の発明では、クランク軸の両側に、クランク腕、内転歯車、駆動力伝達手段、および入力部材(本請求項25の発明では、「ハンドル型ペダル」に対応する)をそれぞれ設けた構成であるのに対して、本請求項25記載の発明では、クランク軸の片側にそれらを配置した構成において相違する。
すなわち、請求項25記載の発明は、乗り物用クランクペダル装置であって、乗り物本体に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、上記クランク軸に設けられたクランク腕、上記クランク腕に回転自在に設けた内転歯車、上記乗り物本体に設けられ、上記内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記内転歯車に設けられた駆動力伝達手段、上記駆動力伝達手段に係合されたハンドル型ペダル、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記内転歯車から上記クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記ハンドル型ペダルを介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とする。
したがって、請求項25記載の発明によれば、例えば、自転車ハンドル部のハンドルにペダル機能を付与してハンドル(以下「ハンドル型ペダル」という)を手で駆動操作することで走行する型式のハンドサイクル(ハンド自転車)、あるいは車椅子に装着して車椅子の搭乗者が自身の手でハンドル型ペダルを駆動操作することで走行する型式のハンド型車椅子、その他水上足こぎボート、あるいは人力飛行機等といった各種乗り物のクランク装置等に探用され、これらにより次のような作用を呈することとなる。
すなわち、軸受け部に回転自在に設けられたクランク軸のクランク腕に内転歯車を設け、この内転歯車を固定歯車に内接させながら噛合して転動させるようにする一方で、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段にハンドル型ペダルの取り付け軸を係合しているので、ハンドル型ペダルを駆動操作することにより、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、これにより回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができる。
このため、請求項25記載の発明を、例えば、ハンド型自転車等に適用することにより、脚力に乏しい身障者でも、自身の手の力でハンドル型ペダルを駆動操作することで、回転力取り出し手段が駆動し、ハンド型自転車を容易に走行させることができるようになる。なお、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ハンドル型ペダルに加えられた手の力をロスすることなくハンド型自転車の車輪に伝達することができる。
また、請求項26記載の発明は、請求項25記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記駆動力伝達手段は、上記ハンドル型ペダルの取り付け軸に設けた摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする。
この請求項26記載の発明によれば、請求項25記載のものに加えて、次のような作用を有する。すなわち、ハンドル型ペダルの取り付け軸は、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部に係合し、しかも軌道誘導部において偏倚した最下方近傍に常に存置されるため、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とし、ハンドル型ペダルの取り付け軸が存置(係合)する軌道誘導部の最下方近傍に駆動力が作用すると、梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車が円滑に転動するようになり、クランク軸が回転してスプロケット等の回転力取り出し手段を介してハンド型自転車や車椅子等の乗り物に推進力を与えて移動できるようになる。したがって、脚力を十分に発揮できない高齢者や身障者でも、容易にハンド型自転車やハンド型車椅子を走行させることができるようになる。
図1は、本実施の形態における自転車のクランク装置の機構の構成の概要を模式的に示した外観斜視図である。
図2は、本実施の形態に係り、自転車用のペダルクランク装置の一部を断面図で示した正面図である。
図3は、図2の左側面図である。
図4は、図3のIV部における要部拡大側面図である。
図5は、軌道誘導手段の説明図であり、(a)は図4のV−V線における断面図、(b)はピン部の外観斜視図である。
図6は、図2のペダルクランク装置における組み立て分解を説明する外観斜視図である。
図7は、上死点近傍から15度間隔で195度までの間を転動する間におけるピン部の移動軌跡を画いた作用説明図である。
図8は、上死点近傍における内転歯車と固定歯車とピン部との相対位置関係を示す要部拡大作用説明図である。
図9は、下死点近傍における内転歯車と固定歯車とピン部との相対位置関係を示す要部拡大作用説明図である。
図10は、軌道誘導手段の変形例における拡大断面図である。
図11は、軌道誘導手段の別の変形例における要部側面図である。
図12は、上記別の変形例に係り、内転歯車の45度ごとのピン部の移動軌跡を説明する作用説明図である。
図13は、同じく、上記別の変形例に係り、図12に示した移動軌跡の続きを説明する作用説明図である。
図14は、同じく、上記別の変形例に係り、図13に示した移動軌跡の続きを説明する作用説明図である。
図15は、同じく、本実施の形態のさらに別の変形例における概略外観斜視図である。
図16は、さらに別の変形例を模式的に示した概略平面図である。
図17は、上記実施形態の別の変形例における固定歯車を示す外観斜視である。
図18は、図17の固定歯車に、スプロケット形態の内転歯車が噛合する状態を示す正面図である。
図19は、スプロケット形態の固定歯車に、チェーン形態の内転歯車が噛合する変形例を示す正面図である。
図20は、上記実施形態のさらに別の変形例における概略外観斜視図である。
各図面において、 1は固定部材(乗り物本体)、1aはベースプレート、2は軸受け部、3はクランク軸、4はクランク腕、4Lは(左側の)クランク腕、4Rは(右側の)クランク腕、5は内転歯車、5Lは(左側の)内転歯車、5Rは(右側の)内転歯車、6は固定歯車、6Lは(左側の)固定歯車、6Rは(右側の)固定歯車、7 は原動スプロケット、8は従動スプロケット、9はチェーン、10はペダル(入力部材)、10Lは(左側の)ペダル、10Rは(右側の)ペダル、11Lは(左側の)ペダル軸、11Rは(右側の)ペダル軸、30Lは(左側の)駆動力伝達手段、30Rは(右側の)駆動力伝達手段、31Lは(左側の)摺動子、31Rは(右側の)摺動子、32Lは(左側の)軌道誘導部、32Rは(右側の)軌道誘導部、34Lは(左側の)案内溝、40は案内レール、41はスライダ、50は傾斜溝、51は軌道誘導部、52はスプリング、70はカバー、71はガイド、81〜84はベベル歯車、85はドライブ軸、900はハンドサイクル、901は車椅子部、902はハンドサイクル部、905はハンドル型ペダル、906はチェーン、907は前輪、Lは軸心P1とクランク軸3の軸心P2とを結ぶ線、P1は内転歯車の軸心、P2はクランク軸の軸心を表す。
本発明の実施の形態を、図1乃至図6に基づいて詳述する。なお、本実施の形態に係るクランク装置を、乗り物の一例として自転車に適用した場合を例に挙げて説明していくこととする。図1は、本実施の形態における自転車のクランク装置の概要を示した斜め前方から視た外観斜視図である。以下において、自転車の左側の部品、部材には、符号Lを、右側のそれらには符号Rを付すこととする。なお、図1においては装置全体の構成を把握し易いようにするため、原動スプロケット7をL側に配置して図示する。
先ず、クランク装置の構成の概要を説明する。自転車本体(フレーム)1の軸受け部2にクランク軸3が回転自在に支持されていて、このクランク軸3のフレーム1を挟んだ左右両側には、同一面内において互いに反対方向に屈曲して伸びるクランク腕4L,4Rがあり、これらクランク腕4L,4Rに外歯を有する平歯車である内転歯車5L,5Rがそれぞれ回転自在に設けられている。また、自転車の前後方向に沿う長手方向軸線に対する左右両側に、上記内転歯車5L,5Rに噛合する固定歯車6L,6Rが固定して取り付けられている。これらの固定歯車6L,6Rは、上記内転歯車5L,5Rを噛合しながら転動させるもので、内転歯車5L,5Rと固定歯車6L,6Rとの歯数比は、内転歯車5L,5Rが固定歯車6L,6Rを転動しながら1周するときに1回転し終えるような歯数比として、1対2になるように設定されているものである。
また、入力部材としてのペダル10L,10Rは、取り付け軸11L,11R(以下「ペダル軸」という)に回転自在に設けられ、ペダル軸11L,11Rの先端に摺動子11L1,11R1が形成される。内転歯車5L,5Rの側面には、駆動力伝達手段30L,30Rの一構成要素である軌道誘導部32L,32Rが設けられ、摺動子31L、31Rが係合する。
軸受け部2近傍のクランク軸3には、このクランク軸3と一体的に回転するようにしてクランク軸の回転力を取り出す原動スプロケット7(回転力取り出し手段)が設けられ、自転車の車輪側には従動スプロケット8が設けられ、両スプロケット7,8間にチェーン9が巻き掛けされ、クランク軸の回転力を取り出してチェーン9を介して従動スプロケット8に駆動力が伝達される。すなわち、チェーン9が図1の矢印Aに示す方向に駆動されることで、自転車は前進に推進して走行するようになっている。
次に、上記クランク装置の構造をより具体的に説明していくこととする。すなわち、図2乃至図6に示されるように、自転車のフレーム1には、ベースプレート1aが固定的に取り付けられ、その中心部に形成した孔に、ジャーナル、すなわち軸受け部2が溶接により水平に固定され、クランク軸3が貫通している。クランク軸3は、段差付きの形状に形成され、その左側には、クランク腕4Lがボルト20により締結され、右側には、クランク腕4Rが溶接により結合されている。なお、左側のクランク腕4Lは、溶接により溶着するようにしてもよい。これら左右両クランク腕4L,4Rは、同一面内において互いに正反対の方向に屈曲して伸びている。
クランク腕4L,4Rには、軸部材5L1,5R1が水平方向に指向して固定されており、これらにスペースワッシャ5L2,5R2を介して平歯を有する内転歯車5Lおよび内転歯車5Rが回転自在に取り付けられる。
また、ベースプレート1aの左右には、ベースプレート1aと平行に固定歯車6L,6Rが配置される。固定歯車6L,6Rは平歯を有する内歯歯車であり、左右に配置した各4本のスペーサ21L、21Rにボルト22を挿入することによりベースプレート1aの両側に固定される。これら左右の固定歯車6L,6Rには、左右両内転歯車5L,5Rが、それぞれ内接して噛合するように組み込まれる。この場合、内転歯車5L,5Rと固定歯車6L,6Rとの歯数比は、内転歯車5L,5Rが固定歯車6L,6Rを転動しながら1周するときに1回転するような歯数比に、すなわち、1対2となるような関係に設定される。こうして、内転歯車5L、5Rは、固定歯車6L、6Rを転動するとき、図3に示されるように、互いにクランク軸3に関して点対称となるような位置関係で運動することとなる。
次に、駆動力伝達手段30L、30Rを説明する。すなわち、駆動力伝達手段30L、30Rは、ペダル軸11L,11Rに形成した摺動子31L、31Rと、内転歯車5L、5Rに設けた軌道誘導部32L、32Rとで形成される。軌道誘導部32L、32RはねじBにより内転歯車5L、5Rの側面に取り付けられる。軌道誘導部32L、32Rには、楕円形状の案内溝34L(右側の案内溝は図示しないので、そお符号は省略する)が形成され、摺動子31L、31Rを摺動自在に受容している。ペダル10L、10Rに加えられた駆動力は、摺動子31L、31R、案内溝34Lを介して内転歯車5L、5Rに伝達されるように形成される。また、図3に示すように、ペダル11L,11Rが上死点またはその近傍にあるとき、すなわち、内転歯車5L,5Rが固定歯車6L,6Rに対して上死点またはその近傍にあるとき、ペダル軸11L,11Rは内転歯車5L,5Rの軸心とクランク軸3の軸心とを結んだ略上下方向に沿う線Lに関して、常に後側へ偏倚した位置となるように設定される。
軌道誘導部の具体的な構造を、例えば、左側の軌道誘導部32Lを例に挙げて説明する。図4,図5において、楕円形状の案内溝34Lが形成された第1部材33Lと、この第1部材33Lにビス34Lを介して蓋をするようにして設けられた第2部材35Lとを有しており、これらの第1部材33Lと第2部材35Lとで内部に案内溝34Lが形成されることとなる。左側の軌道誘導部32Rも同様にして形成される。
入力部材たるペダル10Lは、取り付け軸11L、すなわちペダル軸11Lに対して回転自在に設けられ、ペダル11L端部には、ピン状の摺動子31Lが設けられ、案内溝34Lに係合する。摺動子31Lは、内転歯車5Lの案内溝34Lにはまりこんでいるとき、終始、案内溝34Lの最下方の位置に存置するようになり、これにより、上死点またはその付近にあるペダル11Lを踏み込んでこぐ場合の入力点として機能することとなる。また、摺動子31Lが、このよう入力点に位置する場合においては、図3に示す内転歯車5Lの軸心P1と、クランク軸3の軸心P2とを結ぶ線L(クランク3を通る上下方向の中心線)から偏倚した位置にオフセットされている。なお、このオフセット方向は、図3において線Lの右方、すなわち、自転車の進行する方向に対して後方向にオフセットされている。
したがって、図3に示す状態にあるペダル軸11Lに対して、上から下に向かって足の踏み込み力(作動力)が作用した場合には、内転歯車5Lと固定歯車6Lとの噛合部、すなわち、接点が梃子の支点となり、この接点と摺動子31Lとの距離が梃子の長さとなり、梃子の作用により内転歯車5Lに時計方向の回転(自転)を与えると同時に、内転歯車5Lは、固定歯車6Lに噛合しながら矢印X方向(反時計方向)に転動していくこととなる。
また、このような機構にすることにより、ペダルを踏み込んで下方に移動していくときのペダルの速度は、歯車が噛合する上記接点から摺動子31Lまでの長さ(梃子の腕の長さ)の変化に応じた大きさとなるものである。
他方、右側のペダル10Rのペダル軸11Rも、左側のペダル10Lと同じようにして、内転歯車5Rに軌道誘導部32Lと同じ構造を有する軌道誘導部32Rの案内溝(図示しない)を介して係合される。
また、ベースプレート1aと右側の固定歯車6Lとの間のクランク3には、回転力を取り出すための原動スプロケット7がクランク軸3と一体回転可能になるように設けられ、チェーン9(図1参照)を巻き掛けして車輪側の従動スプロケット(図1の符号8)に結合されることとなる。
こうして、クランク装置は、図6の組み立て分解斜視図に示すようにして上記した各構成要素を順次組み立てていくことにより図2のように製作される。なお、図6において、符号23は軸部材5L1,5R1の軸端に圧入されて各内転歯車5L、5Rを軸部材5L1,5R1に取り付けるためのプッシュナットを示すと共に、原動スプロケット7の図示は省略している。
次に、本実施の形態のクランク装置を備えた自転車のペダルクランク装置の作用を、図7、図8、図9を参照して説明する。図7は、ペダル軸11L、11Rの軸端に設けた摺動子31L、31Rが、左右各内転歯車5L、5Rに設けた各案内溝34Lを、上死点近傍から下死点過ぎまでの間における移動軌跡を画いた作用説明図である。実線は、左側の内転歯車5Lの移動軌跡を示し、点線は反対側にある右側の内転歯車5Rの摺動子31Rの移動軌跡をそれぞれ示している。
自転車のペダル10L、10Rのうち、図8に示すように、例えば、上死点またはその付近にある左側のペダル10Lからこぎ出す場合において、内転歯車5Lには、ペダル11Lの摺動子31Lから案内溝34Lを介して、梃子の作用により時計方向に回転(自転)する回転力が作用する。すると、内転歯車5Lは、固定歯車6Lに噛合しながら矢印C方向に転動(公転)していく。内転歯車5Lが、下死点またはその近傍に転動してくると、摺動子31Lと案内溝34Lとの相対位置関係は、図9に示す状態となる。内転歯車5Lが下死点またはその近傍までくると、今度は反対側にある右側の内転歯車5Rが上死点またはその近傍に移動し上昇してくる。左側のペダル10Lをこいだ場合と同様にして右側のペダル10Rをこぐと、それに作用する踏み込み力は、ペダル軸11Rの摺動子31Rから駆動力伝達手段30Rの案内溝を介して内転歯車5Rに伝達される。
こうして、図7に示すように、各内転歯車5L、5Rが固定歯車6L、6Rに対してどのような転動位置にあっても、常に各摺動子31L、31Rは、案内溝34L、34Rに対して最下方の位置に存置されるように位置するので、上下方向に往復運動する左右のペダル10L、10Rを交互に踏み込んでこいでいくことで、各内転歯車5L、5Rが梃子の作用により各固定歯車6L、6Rを噛合しながら転動していき、出力軸たるクランク軸3が回転運動し、その回転駆動力を原動スプロケット7からチェーン9を介して従動スプロケット8に伝達され、車輪を駆動して推進力を生じて前進走行することができるようになる。
上記したごとく、本実施の形態によれば、自転車のペダルをこぐとき、ペダル10L、10Rの取り付け軸であるペダル軸11L、11Rの摺動子31L、31Rの移動軌跡は、図7に示されるように、各内転歯車5L、5Rが上死点またはその近傍に転動してきたときに、思案点(死点)とならない位置に、各摺動子31L、31Rが存在し、かつ、各摺動子31L、31Rは、略上下方向に沿った軌跡上を往復運動するようになっている。このため、従来のようにペダルをこぐときペダルに体重を移動してこいでいたために生じていた自転車のふらつきは、体重移動を少なくできるため、ふらつきの発生を抑制することができるようになり、その結果、ペダル10L、10Rを上下に往復運動させるだけで原動スプロケット7に円滑、且つ、安定して回転運動を伝達することができ、自転車の駆動力ロスを有効に低減することができるようになる。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明の範囲に含まれるものである。
すなわち、上記実施の形態に係るクランク装置は、自転車に適用した場合について説明したが、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種乗り物に用いた乗り物用クランクペダル装置、さらにはこれらクランク装置や乗り物用クランクペダル装置を備え、ペダル等を下方向へ踏み込み、前方法へ踏み出すようにした乗り物にも適宜に応用できるものであることは勿論である。
また、上記実施形態に係るクランク装置では、図2、図6に示される構成要素(部品)で形成し、これら部品を組み立てて構成したが、実施に際しては、これら以外の構成要素(部品)で構成して組み立てる態様にできることは言うまでもない。
また、本実施の形態では、案内溝34L、34Rに摺動子31L、31Rを嵌め込んだ構成とした場合について説明したが、この代わりに図10に示すように、軌道誘導部32L、32Rに、楕円形状の案内レール40を取り付け、この案内レール40にスライドするスライダ41を係合させることもできる。なお、この場合には、スライダ41はペダル軸11L、11Rを回転自在に取り付けるようにする。これによって、スライダ41は案内レール40の最下方近傍で存置する状態で滑動し、内転歯車5L、5Rを転動させることができる。
また、上記では、軌道誘導部32L、32Rを、楕円形状の案内溝34Lや、案内レール40により形成したが、この代わりに、略直線状や湾曲した曲線形状を呈した1本のレールの形態で構成したものであってもよい。
また、図11に示すように、略直線状の傾斜溝50を有する案内溝に形成し、この傾斜溝50を備えた軌道誘導部51を内転歯車5に取り付けるようにした態様であってもよい。この場合において、傾斜溝50内にスプリング52を収縮した状態で収納し、入力時摺動子31L、31Rを最下方近傍に存置するようにばね力を作用させるようにしておく。これによって、摺動子31L、31Rが、内転歯車5の転動位置に関係なく、常に内転歯車5の軸心P1と、クランク軸3の軸心P2とを結ぶ線L(クランク軸3を通る上下方向の中心線)から偏倚した位置にオフセットしておくことができる(図3参照)。
また、軌道誘導部に形成される案内溝を、図11に示される上記変形例のように略直線状の形状に形成するのではなく、湾曲を画くような曲線状に形成するようにしてもよい。
また、図11に示すように、傾斜溝50にばね部材としてのスプリング52を設けたが、スプリング52を設けない態様にしてもよいものである。
したがって、このような構成とすることで、図12〜図14において示したように、摺動子31L、31Rは、軌道誘導手段51の傾斜溝50の最下方近傍に存置されながら、内転歯車5が固定歯車6に噛合して転動していく。このとき、内転歯車5は、固定歯車6を反時計方向に転動(公転)していくと共に、自身は時計方向に自転していくこととなり、摺動子31L、31Rは図12〜図14に示すような移動軌跡を画いて上死点から下死点に移動していく。その結果、係る変形例においても、上記実施の形態と同様に、ふらつきの少ない駆動力伝達を行うことができる効果を有する。
また、図15に示す変形例のように、例えば、内転歯車5Lと固定歯車6Lとの噛合状態が外部から見えないようにするため、二点鎖線で示すごとく内転歯車5Lと固定歯車6Lとを覆うカバー70をとりつけるように形成することもできる。この場合、カバー70は固定歯車6L側に取り付けるが、結果として2つの歯車5L,6Lの噛合部に外部から小石や衣服が噛み込むことがないように設けるのであれば、カバー70は自転車等の車体本体に取り付けるように形成してもよい。したがって、この変形例によれば、両歯車5L,6Lの噛合部に衣服や飛び石等が噛み込んだりしてケガするのを確実に阻止することができるようになる。
また、この場合において、上記カバー70の代わりに、図15(b)の二点鎖線に示すように、内転歯車5Lの外側に、この内転歯車5Lの外径よりも若干大きめの内盤状のカバー701を一体に同心円的な配置関係で取り付けるようにすることもでき、これにより図15(a)の場合と同様に、内転歯車5Lと固定歯車6Lとの噛み合いを長く良好な状態に保持することができるようになる。
また、別の変形例として、図15において、固定歯車6に、上下方向に沿って配置した2本の棒部材でなるガイド71を取り付け、このガイド71に入力部材であるペダルの取り付け軸(ペダル軸)11Lが上下方向の往復運動を規定されるようにすることもできる。この変形例によれば、急ブレーキ等によるペダルの大きな移動(変位)を避けることで、ペダルからの足の離脱するのを防ぐことができ、自転車転倒時にペダル軸11Lが受ける衝撃力により、固定歯車6Lや内転歯車5Lの歯が切損したりして噛み合わせに不具合を生じるといった事態を未然に回避することができるようになる。もちろん、このガイド71単体を設ける代わりに、上記カバー70自体にガイド機能を有するスリットを往復運動方向に指向して設け、これによりペダル軸11Lを上下方向に案内するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、回転力取り出し手段として原動スプロケット7と従動スプロケット8との間にチェーン9を巻き掛けしてなる巻き掛けリンク機構で形成した場合について説明したが、例えば、クランク装置を模式的に表した図16に示すように、シャフトドライブシステムで動力を伝達する構造にすることも可能である。すなわち、原動スプロケット7の代わりにクランク軸3にベベル歯車81を一体回転可能に取り付け、従動側の車輪スプロケット8の代わりにベベル歯車82を設け、チェーン9の代わりに両端にベベル歯車83,84を有するドライブ軸85を設けた構造にしたものである。これにより、クランク腕4からクランク軸3に伝達した駆動力が、ベベル歯車81からドライブ軸85のベベル歯車83に伝わるとき、ベベル歯車82にドライブ軸85のベベル歯車84がにそれぞれ噛合する構成にしたため、チェーン9のように弛みを生じることがなく、ペダル10を踏み込んでこぐ力は、効率的に回転運動に変換して従動側に伝達することができる効果を有する。
また、上記実施の形態では、固定歯車として平歯を刻んで形成した固定歯車6L,6Rを使用した場合について説明したが、この代わりに図17、図18に示すような固定歯車60と、内転歯車5との組み合わせによる噛み合い装置の態様とすることも可能である。なお、この噛み合い装置は、上記実施の形態と同様に、自転車等の乗り物フレームに対して左右にそれぞれ設けられるが、以下では便宜上、いずれか一方側にある噛み合い装置を代表して説明していくこととする。
すなわち、固定歯車60は、図17(a)に示すように、一対のリング板状基部60aの間に、複数のピン部材60bを配置して設け、あるいは、図17(b)に示す固定歯車61のように、一個のリング板状基部61aから片持ち梁状に突出させたピン部材61bを配置して設けた、実質的にチェーン機能を有する形態に形成する。この場合、これらピン部材60bをリング状基板部60aに対して相対回転するローラー状のピンとし、機械的摩擦を低減するようにしてもよい。そして、これら固定歯車60あるいは固定歯車61の内側に噛み合って回る内転歯車5を、図18に示すように、スプロケットの形態に形成することもできる。これにより、チェーン形態とスプロケット形態との噛み合いにより噛み合い装置が構成されることとなり、上記実施の形態と同様にペダルの踏み込み力を円滑に伝達することが可能となる。なお、この場合、固定歯車60に直接、チェーンを取り付けるようにしてもよいことは言うまでもない。
この変形例によれば、噛み合い装置を、チェーン・アンド・スプロケットの噛み合い形態で形成しているため、走行中に砂利等がチェーン形態・スプロケット形態の噛み合い部に噛み込むのを防止でき、安全走行を確保でき、また、内転歯車あるいは固定歯車をコスト安価に形成でき、且つ、重量低減を図ったクランク装置、乗り物等を得ることができるようになる。
また、上記噛み合い装置の別の変形例として、図19に示すように、固定歯車としては、スプロケット歯62aを有するスプロケット形態の固定歯車62に形成し、この固定歯車62の内側を回る内転歯車として、上記スプロケット歯62aに噛み合うピン状の歯63aを設けたチェーン形態の内転歯車63に形成する変形例とすることもできる。なお、この場合、内転歯車63にチェーンを直接に設ける態様にしてもよいのは勿論である。
この変形例によれば、噛み合い装置を、チェーン・アンド・スプロケットの噛み合い形態で形成しているため、走行中に砂利等がチェーン形態・スプロケット形態の噛み合い部に噛み込むのを防止でき、安全走行を確保でき、また、内転歯車あるいは固定歯車をコスト安価に形成でき、且つ、重量低減を図ったクランク装置、乗り物等を得ることができるようになる。
また、上記実施形態では、回転力取り出し手段としての原動スプロケット7を円形状の形態のものを使用したが、この代わりに楕円形状のスプロケットを使用することも可能である。かかる変形例によれば、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にでき、安定した踏み込み操作フィーリングを得ることができるようになる。
また、上記実施形態では、クランク装置を、ペダルを足の踏み込み力でこぐ形態の通常タイプの自転車本体(フレーム)1に組み込んだ場合について説明したが、この代わりに、図20に示す変形例ように、車椅子部901にハンドサイクル部902を着脱自在に装着したり、あるいはハンドサイクル部902を固定的に取りつけたりすることにより形成されるタイプのハンドサイクル900のフレーム903に組み込み、手や腕の力で駆動させることも可能である。すなわち、本変形例では、クランク軸の左右両側のクランク腕を同じ位相角度の方向、つまり対称な配置構成となるような方向に伸ばし、その先端に上記実施形態のペダル10に相当するハンドル型ペダル905を取り付けた構成であり、それ以外の構成は上記実施形態と同じである。係る変形例において、ペダル機能を付与されたハンドル型ペダル905を左右の手で駆動すると、その駆動力は、内転歯車を回転させ、チェーン906等の回転力取り出し手段であるチェーン906を介して前輪907を駆動し、ハンドサイクル900を走行させることができる。
このため、上記変形例によれば、車椅子部901の搭乗者自身が手でハンドル型ペダル905を駆動させるだけの簡単な操作で、容易にハンドサイクル900を走行操作することができ、上記実施形態と同様に、エネルギー損失を抑制した状態で走行させることができるのは勿論のこと、脚力の乏しい高齢者や身障者等でも容易にハンドサイクルを操作でき、ひいては筋肉訓練、体力向上に資する効果を有する。
なお、上記変形例においては、ハンドル型ペダル905をハンドサイクル本体に対して左右対称に設けて、左右同時に駆動操作する場合であったが、いずれか片側にだけハンドル型ペダルを設けて駆動するようにした形態でも可能であるのは言うまでもない。
なおまた、係るハンドサイクルは、上記変形例で適用した車椅子型のハンドサイクルだけでなく、通常の自転車型のハンドサイクルにも応用することも可能である。
発明の効果
請求項1記載の発明によれば、軸受け部に回転自在に設けられたクランク軸両側の一対のクランク腕に設けた内転歯車を固定歯車に内接させながら噛合して転動させるるように設け、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段に入力部材を係合するようにしているので、入力部材を上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると(入力時)、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、これにより回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができる。このため、左右一対の入力部材を、左右交互にこぐ(押し下げ運動)とき、振れの少ない態様で上下方向に往復運動を行わせることができ、この結果、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる効果を奏する。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができ、エネルギ伝達効率を向上できる効果を奏する。
また、請求項2記載の発明によれば、駆動力伝達手段を、入力部材の摺動子と、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部とで形成し、さらに、摺動子を軌道案内部の最下方近傍に常に存置するようにしている。このため、摺動子は軌道案内部の最下方近傍に存置しているので、例えば、内転歯車が固定歯車に対して上死点またはその近傍で接触するとき、摺動子は内転歯車の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置に配置することとなり、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車を容易に転動させることができるようになり、スムーズにクランク軸を回転駆動させて推進力を与えることができる効果を奏する。
また、請求項3記載の発明によれば、入力部材の摺動子は、楕円、多角形状、略直線状あるいは曲線状を呈する軌道、または楕円、多角形状、略直線状あるいは曲線状を呈するレールで形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するよになっているので、内転歯車が固定歯車に噛合しながら転動するときに、内転歯車がどのような回転角度の状態にあっても、梃子の作用により常に内転歯車を円滑に転動させる回転モーメントを生じさせることができ、入力部材に加えられるエネルギーを回転運動に効率よく変換して推進力を得ることができる効果を奏する。 なお、レールで軌道を形成する場合には、一本のレールで形成するようにしてもよいのは言うまでもない。
また、請求項4記載の発明によれば、摺動子が係合する軌道誘導部を、略直線状または曲線状の傾斜溝で形成しているので、摺動子は軌道誘導部の最下方近傍に存在することとなり、内転歯車が転動され、入力部材の上下運動を効率良く回転運動に変換することができ、しかも、傾斜溝を略直線状あるいは曲線状に湾曲した溝に形成するため、軌道誘導部の構造を簡単にすることができるといった効果を奏する。
また、請求項5記載の発明によれば、摺動子は傾斜溝においてばね部材により入力時最下方近傍に強制的に存置されているため、内転歯車が固定歯車に対してどのような転動位置にあっても、摺動子を傾斜溝の最下方近傍に存在させることができ、そのため、内転歯車を確実に転動させることができ、入力部材の上下方向の往復運動を効率的に回転運動に変換して推進力を得ることができる効果を奏する。
また、請求項6記載の発明によれば、カバーにより内転歯車と固定歯車とが全体として外部に干渉しないように覆われているため、例えば、本クランク装置を自転車等の乗り物に搭載した場合には、両歯車の噛合部により衣服や飛び石等が噛み込んだりするの防止して、ケガを回避できる効果を奏する。
また、請求項7記載の発明によれば、ガイド手段により入力部材の上下方向への往復運動を規定するので、急ブレーキ等によるペダルの大きな移動(変位)を避けることで、ペダルからの足の離脱を防ぐことができるようになるとともに、例えば、自転車等の乗り物にこのクランク装置を搭載した場合には、自転車転倒時に受ける衝撃力により、固定歯車や内転歯車の歯が切損して噛合状態を悪くしてしまう事態を未然に回避することができる効果を奏する。
また、請求項8記載の発明によれば、スプロケット形態の内転歯車をチェーン形態またはピン形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、スプロケットとチェーンとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、入力部材からの回転力取り出し手段への駆動力の伝達効率のロスを回避できる効果を奏する。
また、請求項9記載の発明によれば、チェーン形態またはピン形態の内転歯車をスプロケット形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、チェーンとスプロケットとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、入力部材からの回転力取り出し手段へ駆動力を取り出すとき、駆動力の伝達効率を低下を回避できる効果を奏する。
また、請求項10記載の発明によれば、この請求項10記載の発明では、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にでき、快適で安定した踏み込み操作フィーリングを有するクランク装置を得ることができる効果を奏する。
また、請求項11の発明に係る乗り物のクランク装置によれば、左右一対の入力部材を、左右交互にこぐ(押し下げ運動)とき、振れの少ない態様で上下方向に往復運動を行わせることができ、この結果、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物用クランクペダル装置を得ることができ、かつ、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができ、エネルギー伝達効率を向上できる効果を奏する。
また、請求項12記載の発明によれば、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とし、ペダルの取り付け軸が存置(係合)する軌道誘導部の最下方において駆動力が作用すると(入力時)、梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車が円滑に転動するようになり、クランク軸が回転駆動させてスプロケット等の回転力取り出し手段により乗り物に推進力を与え、移動できる効果を奏する。
また、請求項13記載の発明によれば、軌道案内部を、例えば溝やレールの形態で形成した場合に、溝やレールを楕円、多角形、略直線または曲線等の形状に形成しているので、ペダルの取り付け軸に設けた摺動子は、軌道誘導部の最下方近傍に存在するよになるため、内転歯車が固定歯車に噛合しながら転動するときに、どのような回転角度にあっても、梃子の作用により常にスムーズに内転歯車を転動させることができ、ペダルの往復運動を円滑に回転運動に変換でき、従来のように体重移動に伴う動作により乗り物のふらつきを抑制できる効果を奏する。
また、請求項14記載の発明によれば、入力部材の摺動子は、略直線状または曲線状を有する傾斜溝で形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するため、入力部材の上下方向の往復運動を効率良く回転運動に変換することができる効果を奏する。
また、請求項15記載の発明によれば、略直線状または曲線状を有する傾斜溝に設けたばね部材のばね力により摺動子を、入力時最下方近傍に強制的に存置させるように付勢しているため、ペダルの取り付け軸、すなわち、内転歯車が固定歯車に対してどのような転動位置にあっても、摺動子を傾斜溝の最下方近傍に存在させることができ、そのため、内転歯車を確実に転動させることができ、入力部材の上下方向の往復運動を効率的に回転運動に変換して推進力を得ることができる効果を奏する。
また、請求項16記載の発明によれば、カバーにより内転歯車と固定歯車とが全体として覆われているため、乗り物が自転車等である場合には、両歯車の噛合部により衣服や飛び石等が噛み込むのを未然に回避するため、転車が急停止するような事態を阻止でき、安全運転を実現できる効果を奏する。
また、請求項17の発明によれば、ペダルの取り付け軸はガイド手段によって上下方向への往復移動を規定されるため、急ブレーキ等によりペダルに大きな外力が作用しても、ペダルの取り付け軸はガイド手段に沿って移動(変位)し、ペダルから足が不用意に離脱したりするのを防ぐことができ、また、例えば自転車が転倒してペダルが衝撃力を受け手も、固定歯車や内転歯車の歯が切損したりして噛み合いに不具合を生じる事態を良好に回避できる効果を奏する。
また、請求項18記載の発明によれば、スプロケット形態の内転歯車をチェーン形態またはピン形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、スプロケットとチェーンとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、ペダルの取り付け軸から軌道誘導部に入力される駆動力は効率良く回転力取り出し手段へ伝達できる効果を奏する。
また、請求項19記載の発明によれば、チェーン形態またはピン形態の内転歯車をスプロケット形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、チェーンとスプロケットとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、ペダルの取り付け軸から軌道誘導部に入力された駆動力は、効率よく回転力取り出し手段へ伝達できる効果を奏する。
また、請求項20記載の発明によれば、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にでき、安定した踏み込み操作フィーリングを得ることができる効果がある。
また、請求項21記載の発明によれば、乗り物にクランク装置を設け、これによってペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにしているので、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種用途の乗り物に用いることで、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物を実現できる効果がある。
また、請求項22記載の発明によれば、乗り物に乗り物用クランクペダル装置を設け、これによってペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにしているので、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種用途の乗り物に用いることで、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物を実現できる効果がある。
また、請求項23記載の発明によれば、入力部材を上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じるので、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動して、回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に効率よく取り出すことができる効果を奏する。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができる効果を奏する。
また、請求項24記載の発明によれば、摺動子は軌道案内部の最下方近傍に存置しているので、例えば、内転歯車が固定歯車に対して上死点またはその近傍で接触するとき、摺動子は内転歯車の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置に配置することとなり、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車を容易に転動させることができ、スムーズにクランク軸を回転駆動させて推進力を与えることができる効果を奏する。
また、請求項25記載の発明によれば、これを、例えば、通常の自転車や車椅子に装着したいわゆるハンドサイクルに適用した場合には、次のような作用を呈することとなる。
すなわち、ハンドル型ペダルまたはハンドルから離れた場所に設置した手動ペダルを動かすことにより、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができ、脚力に乏しい身障者や高齢者等でも、自身の手の力でハンドル型ペダルを回転するだけの簡単な操作を行うことで、回転力取り出し手段が駆動し、ハンド型自転車を容易に走行でき、リハビリテーション効果も向上できる効果を奏する。
また、請求項26記載の発明によれば、請求項25記載のものに加えて、次のような作用を有する。すなわち、ハンドル型ペダルの取り付け軸は、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部に係合し、しかも軌道誘導部において偏倚した最下方近傍に常に存置されるため、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とし、ハンドル型ペダルまたはハンドルから離れた場所に設置した手動ペダルの取り付け軸が存置(係合)する軌道誘導部の最下方近傍に駆動力が作用すると、梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車が円滑に転動するようになり、クランク軸が回転してスプロケット等の回転力取り出し手段を介してハンド型自転車や車椅子等の乗り物に推進力を与えて移動できるようになる。したがって、脚力を十分に発揮できない高齢者や身障者でも、容易にハンドサイクルを操作して走行させることができる効果を奏する。
本発明は、クランク腕に内転歯車を軸支し、その内転歯車に設けられた入力部材(ペダル)の上下方向への往復運動を、クランク腕を回転させる回転運動に転換して、べベルギヤとドライブシャフトでなるシャフトドライブシステムやチェーンスプロケットシステム等でなる回転力取り出し手段から回転駆動力を取り出すようにしたクランク装置、それを備えた乗り物用ペダルクランク装置、及びそれらを備えた乗り物に関するものである。
従来、自転車に設けられたクランクペダル装置は、ペダルを下死点に向けて踏み込む回転運動を、クランク腕を介してクランク軸を回転させる回転運動に転換し、クランク軸に一体固定したスプロケットに巻き掛けたチェーンにより車輪のスプロケットを回転することにより、車輪を駆動するようにしている。しかし、ペダルを踏み込んでクランク軸に回転運動を与えるときに、体重を移動させてペダルを踏み込むため、ハンドルの揺動を生じる場合があると共に、クランク装置の動力伝達効率を損ねていた。
このような問題を解消するために工夫された技術として、例えば、特許文献1の技術が知られている。この特許文献1に記載された自転車のペダルクランク装置は、クランク軸に固定したスプロケットの上にも別のスプロケットを設け、これら左右に設けた上下一対のスプロケット間に一対のチェーンを巻き掛けし、左右のペダルをチェーンの張り側に係脱するようにして取り付け、ペダルを上から下方向に踏み込む動作を繰り返すことで車輪に駆動力を伝達し、走行できるようにしているものである。
実公平2−44628号公報
ところが、上記のペダルクランク装置を備えた自転車であっても、ペダルの取り付け位置と、スプロケットの回転軸心との間に存する距離が、挺子の腕として機能するため、ペダルの踏み込み力によるモーメントが作用し、ハンドルの揺動を生じる場合があると共に、クランク装置の動力伝達効率を損ねるという問題が解消されなかった。
そこで、このような間題点を解決するために、内転歯軍が上死点近傍にある場合には、内転歯車に設けられる入力部材(ペダル)の取り付け軸の位置を、入力時に内転歯軍と、クランク軸との各中心を結ぶ線上に存在しないようにオフセット配置するように形成することで、クランク軸を円滑に回転駆動して回転力を取り出し手段(例えば、スプロケットやべベル軸)から外部に取り出すようにしたクランク装置と、それを備えた乗り物用ペダルクランク装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、固定部材に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、このクランク軸両側に設けられた一対のクランク腕、上記各クランク腕に回転自在に設けた一対の内転歯車、上記固定部材に設けられ、上記各内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記各内転歯車に設けられた一対の駆動力伝達手段、各駆動力伝達手段に係合された一対の入力部材、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記各内転歯車から上記各クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記入力部材を介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させる構成を採用した。
請求項1記載の発明では、軸受け部に回転自在に設けたクランク軸両側の一対のクランク腕に内転歯車を設け、この内転歯車を固定歯車に内接させながら噛合して転動するように形成する。そして、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段に入力部材を係合するようにしているので、入力部材を上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、これにより回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができる。このため、左右一対の入力部材を、左右交互にこぐ(押し下げ運動)とき、入力部材を上下方向に往復運動を行わせることができるようになる。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、べベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができ、エネルギー伝達効率を向上できるようになる。
また、クランク軸の両側に設けられるクランク腕は、宜いにクランク軸に対して反対方向に伸びるような腕に形成されるが、この代わりに位相角度のない状態、すなわち互いに同じ方向に伸びるような腕に形成してもよく、要するにクランク軸から伸びる方向は任意に設定した形態に形成してよいものであるのは言うまでもない。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のクランク装置に係り、上記駆動力伝達手段は、上記入力部材に形成した摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする。
この請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載のものに加えて、更に、次のような作用を呈することとなる。すなわち、駆動力伝達手段を、入力部材の摺動子と、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部とで形成し、さらに、摺動子を軌道案内部の最下方近傍に常に存置するようにしている。このため、摺動子は軌道案内部の最下方近傍に存置しているので、例えば、内転歯車が固定歯車に対して上死点またはその近傍で接触するとき、摺動子は内転歯車の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置に配置することとなり、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車を容易に転動させることができるようになり、スムーズにクランク軸を回転駆動させて推進力を与えることができる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のクランク装置に係り、上記軌道誘導部は、楕円、多角形状、略直線状または曲線状の軌道を画く形状に形成されていることを特徴とする。
この請求項3記載の発明により、入力部材の摺動子は、楕円、多角形状、略直線状または曲線状の軌道を画く溝またはレール(一本で形成したレールを含む)で形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するよになっているので、内転歯車が固定歯車に噛合しながら転動するときに、内転歯車がどのような回転角度の状態にあっても、挺子の作用により常に内転歯車を円滑に転動させる回転モーメントを生じさせることができ、入力部材に加えられるエネルギーを回転運動に効率よく変換して推進力を得ることができるようになる。
請求項4記載の発明は、請求項2記載のクランク装置に係り、上記軌道誘導部は、略直線状または曲線状を有する傾斜溝で形成したことを特徴とする。
このような構成を採ることにより、請求項4記載の発明は、請求項2記載のものに加えて、次のような作用を有する。すなわち、入力部材の摺動子は、傾斜溝で形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するため、入力部材の上下方向の往復運動を効率良く回転運動に変換することができるようになる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のクランク装置に係り、上記傾斜溝に、ばね部材を設け、このばね部材のばね力により上記摺動子を入力時上記最下方近傍に存置せしめるようにしたことを特徴とする。
この請求項5記載の発明では、傾斜溝に設けたばね部材のばね力により摺動子を常に最下方近傍に強制的に存置させるように付勢しているため、内転歯車が固定歯車に対してどのような転動位置にあっても、摺動子を傾斜溝の最下方近傍に存在させることができ、そのため、内転歯車を確実に転動させることができ、入力部材の上下方向の往復運動を効率的に回転運動に変換して推進力を得ることができるようになる。
また、請求項6記載の発明は、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のクランク装置に係り、上記内転歯車と上記固定歯車との噛合部を、外部と干渉しないようにカバーで覆うことを特徴とする。
この請求項6記載の発明によれば、カバーにより内転歯車と固定歯車とが全体として覆われているため、例えば、本クランク装置を自転車等の乗り物に搭載した場合には、両歯車の噛合部に飛び石等が噛み込むのを防止することができる。
また、請求項7記載の発明は、請求項2乃至6のいずれか1項に記載のクランク装置に係り、上記固定歯車に、上記入力部材を上記上下方向に往復運動させるように規定するガイド手段を設けるようにしたことを特徴とする。
この請求項7記載の発明によれば、ガイド手段により入力部材の上下方向への往復運動を規定するので、急ブレーキ等によるペダルの大きな移動(変位)を避けることで、ペダルからの足の離脱を防ぐことができるようになるとともに、例えば、自転車等の乗り物にこのクランク装置を搭載した場合には、外力により固定歯車や内転歯車の歯が折損するのを防止することができるようになる。
請求項8記載の発明は、請求項2乃至7のいずれか一項に記載のクランク装置に係り、上記内転歯車は、スプロケット形態で形成され、上記固定歯車は、チェーン形態又はピン形態で形成されたことを特徴とする。
この請求項8記載の発明によれば、スプロケット形態の内転歯車をチェーン形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、スプロケットとチェーン形態又はピン形態との係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、入力部材からの回転力取り出し手段への駆動力の伝達効率を低下させることはない。
請求項9記載の発明は、請求項2乃至7のいずれか一項に記載のクランク装置に係り、上記内転歯車は、チェーン形態又はピン形態で形成され、上記固定歯車は、スプロケット形態で形成されたことを特徴とする。
この請求項9記載の発明によれば、チェーン形態又はピン形態の内転歯車をスプロケット形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、チェーンとスプロケットとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、入力部材からの回転力取り出し手段へ駆動力を取り出すとき、駆動力の伝達効率を低下させることはない。
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のクランク装置に係り、上記回転力取り出し手段を、楕円形状のスプロケットで形成したことを特徴とする。
この請求項10記載の発明では、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にできるようになる。
次に、請求項11の発明について説明する。本発明は、乗り物用クランクペダル装置であって、乗り物本体に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、このクランク軸両側に設けられた一対のクランク腕、上記各クランク腕に回転自在に設けた一対の内転歯車、上記乗り物本体に設けられ、上記各内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記各内転歯車に設けられた一対の駆動力伝逢手段、各駆動力伝達手段に係合された一対の入力部材、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記各内転歯車から上記各クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯卓を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記入力部材を介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とする。
このような構成を採ることにより、請求項11の本発明においては、例えば、自転車、車椅子であって自転車のように走行するハンドサイクル、水上足こぎボート、人力飛行機等といった乗り物のクランク装置に採用され、これにより次のような作用を呈することとなる。すなわち、軸受け部に回転自在に設けられたクランク軸両側のクランク腕に一対の内転歯車を設け、この内転歯車に固定歯車に内接させながら噛合して転動させるように設ける一方で、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段にペダルの取り付け軸を係合しているので、ペダルを上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、これにより回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができる。このため、左右一対の入力部材を、左右交互にこぐ(押し下げ運動)とき、ペダルを上下方向に往復運動を行わせることができ、この結果、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物用クランクペダル装置を実現できるようになる。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、べベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができ、エネルギー伝達効率を向上できるようになる。
なおまた、クランク軸の両側に設けられるクランク腕は、互いにクランク軸に対して反対方向に伸びるような腕に形成されるが、この代わりに位相角度のない状態、すなわち互いに同じ方向に伸びるような腕に形成してもよく、要するにクランク軸から伸びる方向は任意に設定した形態に形成してよいものであるのは言うまでもない。
請求項12記載の発明は、請求項11記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記駆動力伝達手段は、上記ペダルの取り付け軸に設けた摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする。
この請求項12記載の発明によれば、請求11記載のものに加えて、次のような作用を有する。すなわち、ペダルの取り付け軸は、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部に係合し、しかも軌道誘導都において偏倚した最下方近傍に常に存置されるため、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とし、ペダルの取り付け軸が存置(係合)する軌道誘導部の最下方近傍に駆動力が作用すると、挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、上下支点からの起動が円滑、且つ設定方向に転動可能となり、クランク軸が回転してスプロケット等の回転力取り出し手段を介して乗り物に推進力を与え、乗り物が移動できるようになる。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記軌道誘導部は、楕円、多角形状、略直線状または曲線状の軌道を画く形状に形成されていることを特徴とする。
この請求項13記載の発明によれば、軌道案内部を、例えば溝やレール(一本のレールの場合も含む)で形成した場合に、溝やレールを楕円形状や多角形状等に形成しているので、ペダルの取り付け軸に設けた摺動子は、軌道誘導部の最下方近傍に存在するようになるため、内転歯車が固定歯車に噛合しながら転動するときに、どのような回転角度にあっても、挺子の作用により常にスムーズに内転歯車を転動させることができ、ペダルの往復運動を円滑に回転運動に変換できるようになる。
請求項14記載の発明は、請求項12記載の乗り物用ペダルクランク装置に係り、上記軌道誘導部は、略直線状または曲線状を有する傾斜溝で形成したことを特徴とする。
この請求項14記載の発明では、入力部材の摺動子は、傾斜溝で形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するため、入力部材の上下方向の往復運動を効率良く回転運動に変換することができるようになる。
請求項15記載の発明は、請求項14記載のクランク装置に係り、上記傾斜溝に、ばね部材を設け、このばね部材のばね力により上記摺動子を入力時上記最下方近傍に存置せしめるようにしたことを特徴とする。
この請求項15記載の発明では、傾斜溝に設けたばね部材のばね力により摺動子を常に最下方近傍に強制的に存置させるように付勢しているため、内転歯車が固定歯車に対してどのような転動位置にあっても、摺動子を傾斜溝の最下方近傍に存在させることができ、そのため、内転歯車を確実に転動させることができ、入力部材の上下方向の往復運動を効率的に回転運動に変換して推進力を得ることができるようになる。
請求項16記載の発明は、請求項12乃至15のいずれか一項に記載の乗り物用ペダルクランク装置に係り、上記内転歯車と上記固定歯車との噛合部を、外部と干渉しないようにカバーで覆うことを特徴とする。
この請求項16記載の発明によれば、カバーにより内転歯車と固定歯車とが全体として覆われているため、乗り物が自転車等である場合には、両歯車の噛合部に飛び石等が噛み込むのを防止できるようになる。
また、請求項17の発明は、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の乗り物用ペダルクランク装置に係り、上記固定歯車に、上記ペダルの取り付け軸を上記上下方向に往復運動させるように規定するガイド手段を設けるようにしたことを特徴とする。
この請求項17記載の発明によれば、ペダルの取り付け軸はガイド手段によって上下方向への往復移動を規定されるため、急ブレーキ等によりペダルに大きな外力が作用しても、ペダルの取り付け軸はガイド手段に沿って移動(変位)し、ペダルから足が不用意に離脱したりするのを防ぐことができ、また、例えば自転車が転倒してペダルが衝撃力を受けても、固定歯車や内転歯車の歯が折損するのを防止することができるようになる。
請求項18記載の発明は、請求項12乃至17のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記内転歯車は、スプロケット形態で形成され、上記固定歯車は、チェーン形態またはピン形態で形成されたことを特徴とする。
この請求項18記載の発明によれば、スプロケット形態の内転歯車をチェーン形態またはピン形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、スプロケットとチェーンとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、ペダルの取り付け軸から軌道誘導部に入力される駆動力は効率良く回転力取り出し手段へ伝達されるようになる。
請求項19記載の発明は、請求項12乃至18のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記内転歯車は、チェーン形態またはピン形態で形成され、上記固定歯車は、スプロケット形態で形成されたことを特徴とする。
この請求項19記載の発明によれば、チェーン形態またはピン形態の内転歯車をスプロケット形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、チェーンとスプロケットとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、ペダルの取り付け軸から軌道誘導部に入力された駆動力は、効率よく回転力取り出し手段へ伝達されるようになる。
請求項20記載の発明は、請求項11乃至19のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記回転力取り出し手段を、楕円形状のスプロケットで形成したことを特徴とする。
この請求項20記載の発明では、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にできるようになる。
請求項21記載の発明は、乗り物であって、請求項1乃至10記載のいずれか一項に記載のクランク装置を乗り物に装備し、ペダル等を下方向踏込み、前方向踏み出しするようにしたことを特徴とする。
この請求項21記載の発明では、乗り物にクランク装置を設け、これによってペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにしているので、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種用途の乗り物に用いることで、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物を実現できるようになる。
請求項22記載の発明は、乗り物であって、請求項11乃至20記載の乗り物用クランクペダル装置を乗り物に装備し、ペダル等を下方向踏込み、前方向踏み出しするようにしたことを特徴とする。
この請求項22記載の発明では、乗り物に乗り物用クランクペダル装置を設け、これによってペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにしているので、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種用途の乗り物に用いることで、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物を実現できるようになる。
次に、請求項23記載の発明について説明する。この請求項23記載の発明が、請求項1記載の発明と構成上異なる点は、請求項1記載の発明に係るではクランク腕、内転歯車、駆動力伝達手段、および入力部材をクランク軸の両側に設けた構成にしたが、請求項23記載の発明ではクランク軸の片側に設けた構成において異なるものであり、その他の構成は共通するものである。
すなわち、この請求項23記載の発明は、クランク装置であって、固定部材に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、上記クランク軸に設けられたクランク腕、上記クランク腕に回転自在に設けた内転歯車、上記固定部材に設けられ、上記内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記内転歯車に設けられた駆動力伝達手段、上記駆動力伝達手段に係合された入力部材、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記内転歯車から上記クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記入力部材を介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とする。
したがって、この請求項23記載の発明によれば、軸受け部に回転するように設けたクランク軸のクランク腕に内転歯車を設け、その内転歯車を固定歯車に内接させながら噛合して転動させるように形成する一方で、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段に入力部材を係合するようにしているので、入力部材を上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動して、回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に効率よく取り出すことができる。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができるようになる。
また、請求項24記載の発明は、請求項23記載のクランク装置に係り、上記駆動力伝達手段は、上記入力部材に形成した摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする。
この請求項24記載の発明によれば、上記請求項23記載のものに加えて、更に、次のような作用を呈することとなる。すなわち、駆動力伝達手段を、入力部材の摺動子と、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部とで形成し、さらに、摺動子を軌道案内部の最下方近傍に常に存置するようにしている。このため、摺動子は軌道案内部の最下方近傍に存置しているので、例えば、内転歯車が固定歯車に対して上死点またはその近傍で接触するとき、摺動子は内転歯車の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置に配置することとなり、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車を容易に転動させることができるようになり、スムーズにクランク軸を回転駆動させて推進力を与えることができる。
次に、請求項25記載の発明を説明する。この請求項25記載の発明は、請求項11記載の発明と大きく異なる点は、請求項11記載の発明では、クランク軸の両側に、クランク腕、内転歯車、駆動力伝達手段、および入力部材(本請求項25の発明では、「ハンドル型ペダル」に対応する)をそれぞれ設けた構成であるのに対して、本請求項25記載の発明では、クランク軸の片側にそれらを配置した構成において相違する。
すなわち、請求項25記載の発明は、乗り物用クランクペダル装置であって、乗り物本体に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、上記クランク軸に設けられたクランク腕、上記クランク腕に回転自在に設けた内転歯車、上記乗り物本体に設けられ、上記内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記内転歯車に設けられた駆動力伝達手段、上記駆動力伝達手段に係合されたハンドル型ペダル、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記内転歯車から上記クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記ハンドル型ペダルを介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とする。
したがって、請求項25記載の発明によれば、例えば、自転車ハンドル部のハンドルにペダル機能を付与してハンドル(以下「ハンドル型ペダル」という)を手で駆動操作することで走行する型式のハンドサイクル(ハンド自転車)、あるいは車椅子に装着して車椅子の搭乗者が自身の手でハンドル型ペダルを駆動操作することで走行する型式のハンド型車椅子、その他水上足こぎボート、あるいは人力飛行機等といった各種乗り物のクランク装置等に採用され、これらにより次のような作用を呈することとなる。
すなわち、軸受け部に回転自在に設けられたクランク軸のクランク腕に内転歯車を設け、この内転歯車を固定歯車に内接させながら噛合して転動させるようにする一方で、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯車に設けた駆動力伝達手段にハンドル型ペダルの取り付け軸を係合しているので、ハンドル型ペダルを駆動操作することにより、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、これにより回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができる。
このため、請求項25記載の発明を、例えば、ハンド型自転車等に適用することにより、脚力に乏しい運転者でも、自身の手の力でハンドル型ぺダルを駆動操作することで、回転力取リ出し手段が駆動し、ハンド型自転車を容易に走行させることができるようになる。なお、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ハンドル型ペダルに加えられた手の力をロスすることなくハンド型自転車の車輪に伝達することができる。
また、請求項26記載の発明は、請求項25記載の乗り物用クランクペダル装置に係り、上記駆動力伝達手段は、上記ハンドル型ペダルの取り付け軸に設けた摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係な<、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする。
この請求項26記載の発明によれば、請求項25記載のものに加えて、次のような作用を有する。すなわち、ハンドル型ペダルの取り付け軸は、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部に係合し、しかも軌道誘導部において偏倚した最下方近傍に常に存置されるため、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とし、ハンドル型ペダルの取り付け軸が存置(係合)する軌道誘導部の最下方近傍に駆動力が作用すると、挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車が円滑に転動するようになり、クランク軸が回転してスプロケット等の回転力取り出し手段を介してハンド型自転車や車椅子等の乗り物に推進力を与えて移動できるようになる。したがって、脚力を十分に発揮できない運転者でも、容易にハンド型自転車やハンド型車椅子を走行させることができるようになる。
請求項1記載の発明によれば、軸受け部に回転自在に設けられたクランク軸両側の一対のクランク腕に設けた内転歯車を固定歯車に内接させながら噛合して転動させるように設け、内転歯車が固定歯車を1周する間に1回転するような歯数比に設定し、さらに内転歯軍に設けた駆動力伝達手段に入力部材を係合するようにしているので、入力部材を上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると(入力時)、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする挺手の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、これにより回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができる。このため、左右一対の入力部材を、左右交互にこぐ(押し下げ運動)とき、ペダルを上下方向に往復運動を行わせることができる効果を奏する。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができ、エネルギー伝達効率を向上できる効果を奏する。
また、請求項2記載の発明によれば、駆動力伝達手段を、入力部材の摺動子と、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部とで形成し、さらに、摺動子を軌道案内部の最下方近傍に常に存置するようにしている。このため、摺動子は軌道案内部の最下方近傍に存置しているので、例えば、内転歯車が固定歯車に対して上死点またはその近傍で接触するとき、摺動子は内転歯車の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置に配置することとなり、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とする梃子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車を容易に転動させることができるようになり、スムーズにクランク軸を回転駆動させて推進力を与えることができる効果を奏する。
また、請求項3記載の発明によれば、入力部材の摺動子は、楕円、多角形状、略直線状あるいは曲線状を呈する軌道、または楕円、多角形状、略直線状あるいは曲線状を呈するレールで形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するようになっているので、内転歯車が固定歯車に噛合しながら転動するときに、内転歯車がどのような回転角度の状態にあっても、挺子の作用により常に内転歯車を円滑に転動させる回転モーメントを生じさせることができ、入力部材に加えられるエネルギーを回転運動に効率よく変換して推進力を得ることができる効果を奏する。なお、レールで軌道を形成する場合には、一本のレールで形成するようにしてもよいのは言うまでもない。
また、請求項4記載の発明によれば、摺動手が係合する軌道誘導部を、略直線状または曲線状の傾斜溝で形成しているので、摺動子は軌道誘導部の最下方近傍に存在することとなり、内転歯車が転動され、入力部材の上下運動を効率良く回転運動に変換することができ、しかも、傾斜溝を略直線状あるいは曲線状に湾曲した溝に形成するため、軌道誘導部の構造を簡単にすることができるといった効果を奏する。
また、請求項5記載の発明によれば、摺動子は傾斜溝においてばね部材により入力時最下方近傍に強制的に存置されているため、内転歯車が固定歯車に対してどのような転動位置にあっても、摺動子を傾斜溝の最下方近傍に存在させることができ、そのため、内転歯車を確実に転動させることができ、入力部材の上下方向の往復運動を効率的に回転運動に変換して推進力を得ることができる効果を奏する。
また、請求項6記載の発明によれば、カバーにより内転歯車と固定歯車とが全体として外部に干渉しないように覆われているため、例えば、本クランク装置を自転車等の乗り物に搭載した場合には、両歯車の噛合部に飛び石等が噛み込むのを防止できる効果を奏する。
また、請求項7記載の発明によれば、ガイド手段により入力部材の上下方向への往復運動を規定するので、急ブレーキ等によるペダルの大きな移動(変位)を避けることで、ペダルからの足の離脱を防ぐことができるようになるとともに、例えば、自転車等の乗り物にこのクランク装置を搭載した場合には、外力により固定歯車や内転歯車の歯が折損するのを防止できる効果を奏する。
また、請求項8記載の発明によれば、スプロケット形態の内転歯車をチェーン形態またはピン形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、スプロケットとチェーンとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、入力部材からの回転力取り出し手段への駆動力の伝達効率のロスを回避できる効果を奏する。
また、請求項9記載の発明によれば、チェーン形態またはピン形態の内転歯車をスプロケット形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、チェーンとスプロケットとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、入力部材からの回転力取り出し手段へ駆動力を取り出すとき、駆動力の伝達効率の低下を回避できる効果を奏する。
また、請求項10記載の発明によれば、この請求項10記載の発明では、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にでき、快適で安定した踏み込み操作フィーリングを有するクランク装置を得ることができる効果を奏する。
また、請求項11の発明に係る乗り物のクランク装置によれば、左右一対の入力部材を、左右交互にこぐ(押し下げ運動)とき、ペダルを上下方向に往復運動を行わせることができ、この結果、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物用クランクペダル装置を得ることができ、かつ、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやべルトといった巻き掛けリンク機構でなく、べベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができ、エネルギー伝達効率を向上できる効果を奏する。
また、請求項12記載の発明によれば、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とし、ペダルの取り付け軸が存置(係合)する軌道誘導部の最下方において駆動力が作用すると(入力時)、挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車が円滑に転動するようになり、クランク軸が回転駆動させてスプロケット等の回転力取り出し手段により乗り物に推進力を与え、移動できる効果を奏する。
また、請求項13記載の発明によれば、軌道案内部を、例えば溝やレールの形態で形成した場合に、溝やレールを楕円、多角形、略直線または曲線等の形状に形成しているので、ペダルの取り付け軸に設けた摺動子は、軌道誘導部の最下方近傍に存在するようになるため、内転歯車が固定歯車に噛合しながら転動するときに、どのような回転角度にあっても、挺子の作用により常にスムーズに内転歯車を転動させることができ、ペダルの往復運動を円滑に回転運動に変換できる効果を奏する。
また、請求項14記載の発明によれば、入力部材の摺動子は、略直線状または曲線状を有する傾斜溝で形成された軌道誘導部の最下方近傍に存在するため、入力部材の上下方向の往復運動を効率良く回転運動に変換することができる効果を奏する。
また、請求項15記載の発明によれば、略直線状または曲線状を有する傾斜溝に設けたばね部材のばね力により摺動子を、入力時最下方近傍に強制的に存置させるように付勢しているため、ペダルの取り付け軸、すなわち、内転歯車が固定歯車に対してどのような転動位置にあっても、摺動子を傾斜溝の最下方近傍に存在させることができ、そのため、内転歯車を確実に転動させることができ、入力部材の上下方向の往復運動を効率的に回転運動に変換して推進力を得ることができる効果を奏する。
また、請求項16記載の発明によれば、カバーにより内転歯車と固定歯車とが全体として覆われているため、乗り物が自転車等である場合には、両歯車の噛合部により衣服や飛び石等が噛み込むのを防止できる効果を奏する。
また、請求項17の発明によれば、ペダルの取り付け軸はガイド手段によって上下方向への往復移動を規定されるため、急ブレーキ等によりペダルに大きな外力が作用しても、ペダルの取り付け軸はガイド手段に沿って移動(変位)する。また、例えばペダルが衝撃力を受けても、固定歯車や内転歯車の歯が折損するのを防止できる効果を奏する。
また、請求項18記載の発明によれば、スプロケット形態の内転歯車をチェーン形態またはピン形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、スプロケットとチェーンとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、ペダルの取り付け軸から軌道誘導部に入力される駆動力は効率良く回転力取り出し手段へ伝達できる効果を奏する。
また、請求項19記載の発明によれば、チェーン形態またはピン形態の内転歯車をスプロケット形態の固定歯車に噛み合うように形成しているので、チェーンとスプロケットとの係合、すなわち、内転歯車と固定歯車との係合が確実なものとなり、ペダルの取り付け軸から軌道誘導部に入力された駆動力は、効率よく回転力取り出し手段へ伝達できる効果を奏する。
また、請求項20記載の発明によれば、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にでき、踏み込み操作フィーリングを向上することができる効果がある。
また、請求項21記載の発明によれば、乗り物にクランク装置を設け、これによってペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにしているので、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種用途の乗り物に用いることで、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物を実現できる効果がある。
また、請求項22記載の発明によれば、乗り物に乗り物用クランクペダル装置を設け、これによってペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにしているので、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペタルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種用途の乗り物に用いることで、往復運動による作動力を、効率よく回転運動力に変換できる乗り物を実現できる効果がある。
また、請求項23記載の発明によれば、入力部材を上死点近傍から下死点近傍に向かって押し下げると、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じるので、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動して、回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に効率よく取り出すことができる効果を奏する。
また、回転力取り出し手段を、例えばチェーンやベルトといった巻き掛けリンク機構でなく、ベベルギヤとドライブシャフトでなるシャフト駆動システムで形成した場合には、巻き掛けリンク機構の遊びやたるみが発生しないので、ペダルに加えられた回転力をロスすることなく車輪に伝達することができる効果を奏する。
また、請求項24記載の発明によれば、摺動子は軌道案内部の最下方近傍に存置しているので、例えば、内転歯車が固定歯車に対して上死点またはその近傍で接触するとき、摺動子は内転歯車の軸心とクランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置に配置することとなり、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車を容易に転動させることができ、スムーズにクランク軸を回転駆動させて推進力を与えることができる効果を奏する。
また、請求項25記載の発明によれば、これを、例えば、通常の自転車や車椅子に装着したいわゆるハンドサイクルに適用した場合には、次のような作用を呈することとなる。
すなわち、ハンドル型ペダルまたはハンドルから離れた場所に設置した手動ペダルを動かすことにより、内転歯車と固定歯車との接点を支点とする挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが生じる。これにより、内転歯車が固定歯車に転動すると同時にクランク腕を介してクランク軸が回転運動をし、回転力取り出し手段から回転駆動力を外部に取り出すことができ、脚力に乏しい運転者でも、自身の手の力でハンドル型ペダルを回転するだけの簡単な操作を行うことで、回転力取り出し手段が駆動し、ハンド型自転車を容易に走行でき、リハビリテーション効果も向上できる効果を奏する。
また、請求項26記載の発明によれば、請求項25記載のものに加えて、次のような作用を有する。すなわち、ハンドル型ペダルの取り付け軸は、例えば、曲線状、楕円状、多角形状、直線状等の形状を有する軌道誘導部に係合し、しかも軌道誘導部において偏倚した最下方近傍に常に存置されるため、内転歯車と固定歯車とが噛合して接触する部分(接点)を支点とし、ハンドル型ペダルまたはハンドルから離れた場所に設置した手動ペダルの取り付け軸が存置(係合)する軌道誘導部の最下方近傍に駆動力が作用すると、挺子の作用により、内転歯車に回転モーメントが作用し、内転歯車が円滑に転動するようになり、クランク軸が回転してスプロケット等の回転力取り出し手段を介してハンド型自転車や車椅子等の乗り物に推進力を与えて移動できるようになる。したがって、脚力を十分に発揮できない運転者でも、容易にハンドサイクルを操作して走行させることができる効果を奏する。
本発明の実施の形態を、図1乃至図6に基づいて群述する。なお、本実施の形態に係るクランク装置を、乗り物の一例として自転車に適用した場合を例に挙げて脱明していくこととする。図1は、本実施の形態における自転車のクランク装置の概要を示した斜め前方から視た外観斜視図である。以下において、自転車の左側の部品、部材には、符号Lを、右側のそれらには符号Rを付すこととする。なお、図1においては装置全体の構成を把握し易いようにするため、原動スプロケット7をL側に配置して図示する。
先ず、クランク装置の構成の概要を説明する。自転車本体(フレーム)1の軸受け部2にクランク軸3が回転自在に支持されていて、このクランク軸3のフレーム1を挟んだ左右両側には、同一面内において互いに反対方向に屈曲して伸びるクランク腕4L,4Rがあり、これらクランク腕4L,4Rに外歯を有する平歯車である内転歯車5L,5Rがそれぞれ回転自在に設けられている。また、自転車の前後方向に沿う長手方向軸線に対する左右両側に、上記内転歯車5L、5Rに噛合する固定歯車6L、6Rが固定して取り付けられている。これらの固定歯車6L、6Rは、上記内転歯車5L、5Rを噛合しながら転動させるもので、内転歯車5L、5Rと固定歯車6L、6Rとの歯数比は、内転歯車5L、5Rが固定歯車6L、6Rを転動しながら1周するときに1回転し終えるような歯数比として、1対2になるように設定されているものである。
また、入力部材としてのペダル10L、10Rは、取り付け軸11L、11R(以下「ペダル軸」という)に回転自在に設けられ、ペダル軸11L、11Rの先端に摺動子11L1、11Rが形成される。内転歯車5L、5Rの側面には、駆動力伝達手段30L、30Rの一構成要素である軌道誘導部32L、32Rが設けられ、摺動子31L、31Rが係合する。
軸受け部2近傍のクランク軸3には、このクランク軸3と一体的に回転するようにしてクランク軸の回転力を取り出す原動スプロケット7(回転力取り出し手段)が設けられ、自転車の車輪側には従動スプロケット8が設けられ、両スプロケット7、8間にチェーン9が巻き掛けされ、クランク軸の回転力を取り出してチェーン9を介して従動スプロケット8に駆動力が伝達される。すなわち、チェーン9が図1の矢印Aに示す方向に駆動されることで、自転車は前進に推進して走行するようになっている。
次に、上記クランク装置の構造をより具体的に説明していくこととする。すなわち、図2乃至図6に示されるように、自転車のフレーム1には、べースプレート1aが固定的に取り付けられ、その中心部に形成した孔に、ジャーナル、すなわち軸受け部2が溶接により水平に固定され、クランク軸3が貫通している。クランク軸3は、段差付きの形状に形成され、その左側には、クランク腕4Lがボルト20により締結され、右側には、クランク腕4Rが溶接により結合されている。なお、左側のクランク腕4Lは、溶接により溶着するようにしてもよい。これら左右両クランク腕4L、4Rは、同一面内において互いに正反対の方向に屈曲して伸びている。
クランク腕4L、4Rには、軸部材5L1、5R1が水平方向に指向して固定されており、これらにスペースワッシャ5L2、5R2を介して平歯を有する内転歯車5Lおよび内転歯車5Rが回転自在に取り付けられる。
また、ベースプレート1aの左右には、ベースプレート1aと平行に固定歯車6L、6Rが配置される。固定歯車6L、6Rは平歯を有する内歯歯車であり、左右に配置した各4本のスペーサ21L、21Rにボルト22を挿入することによりベースプレート1aの両側に固定される。これら左右の固定歯車6L、6Rには、左右両内転歯車5L、5Rが、それぞれ内接して噛合するように組み込まれる。この場合、内転歯車5L、5Rと固定歯車6L、6Rとの歯数比は、内転歯車5L、5Rが固定歯車6L、6Rを転動しながら1周するときに1回転するような歯数比に、すなわち、1対2となるような関係に設定される。こうして、内転歯車5L、5Rは、固定歯車6L、6Rを転動するとき、図3に示されるように、互いにクランク軸3に関して点対称となるような位置関係で運動することとなる。
次に、駆動力伝達手段30L、30Rを説明する。すなわち、駆動力伝達手段30L、30Rは、ペダル軸11L、11Rに形成した摺動子31L、31Rと、内転歯車5L、5Rに設けた軌道誘導部32L、32Rとで形成される。軌道誘導部32L、32RはねじBにより内転歯車5L、5Rの側面に取り付けられる。軌道誘導部32L、32Rには、楕円形状の案内溝34L(右側の案内溝は図示しないので、その符号は省略する)が形成され、摺動子31L、31Rを摺動自在に受容している。ペダル10L、10Rに加えられた駆動力は、摺動子31L、31R、案内溝34Lを介して内転歯車5L、5Rに伝達されるように形成される。また、図3に示すように、ペダル11L、11Rが上死点またはその近傍にあるとき、すなわち、内転歯車5L、5Rが固定歯車6L、6Rに対して上死点またはその近傍にあるとき、ペダル軸11L、11Rは内転歯車5L、5Rの軸心とクランク軸3の軸心とを結んだ略上下方向に沿う線Lに関して、常に後側へ偏倚した位置となるように設定される。
軌道誘導部の具体的な構造を、例えば、左側の軌道誘導部32Lを例に挙げて説明する。図4、図5において、楕円形状の案内溝34Lが形成された第1部材33Lと、この第1部材33Lにビス34Lを介して蓋をするようにして設けられた第2部材35Lとを有しており、これらの第1部材33Lと第2部材35Lとで内部に案内溝34Lが形成されることとなる。左側の軌道誘導部32Rも同様にして形成される。
入力部材たるペダル10Lは、取り付け軸11L、すなわちペダル軸11Lに対して回転自在に設けられ、ぺダル11L端部には、ピン状の摺動子31Lが設けられ、案内溝34Lに係合する。摺動子31Lは、内転歯車5Lの案内溝34Lにはまりこんでいるとき、終始、案内溝34Lの最下方の位置に存置するようになり、これにより、上死点またはその付近にあるペダル11Lを踏み込んでこぐ場合の入力点として機能することとなる。また、摺動子31Lが、このように入力点に位置する場合においては、図3に示す内転歯車5Lの軸心P1と、クランク軸3の軸心P2とを結ぶ線L(クランク3を通る上下方向の中心線)から偏倚した位置にオフセットされている。なお、このオフセット方向は、図3において線Lの右方、すなわち、自転車の進行する方向に対して後方向にオフセットされている。
したがって、図3に示す状態にあるペダル軸11Lに対して、上から下に向かって足の踏み込み力(作動力)が作用した場合には、内転歯車5Lと固定歯車6Lとの噛合部、すなわち、接点が挺子の支点となり、この接点と摺動子31Lとの距離が挺子の長さとなり、挺子の作用により内転歯車5Lに時計方向の回転(自転)を与えると同時に、内転歯車5Lは、固定歯車6Lに噛合しながら矢印X方向(反時計方向)に転動していくこととなる。
また、このような機構にすることにより、ペダルを踏み込んで下方に移動してい<ときのペダルの速度は、歯車が噛合する上記接点から摺動子31Lまでの長さ(挺子の腕の長さ)の変化に応じた大きさとなるものである。
他方、右側のペダル10Rのペダル軸11Rも、左側のペダル10Lと同じようにして、内転歯車5Rに軌道誘導部32Lと同じ構造を有する軌道誘導部32Rの案内溝(図示しない)を介して係合される。
また、べースプレート1aと右側の固定歯車6Lとの間のクランク3には、回転力を取り出すための原動スプロケット7がクランク軸3と一体回転可能になるように設けられ、チェーン9(図1参照)を巻き掛けして車輪側の従動スプロケット(図1の符号8)に結合されることとなる。
こうして、クランク装置は、図6の組み立て分解斜視図に示すようにして上記した各構成要素を順次組み立てていくことにより図2のように製作される。なお、図6において、符号23は軸部材5L1、5R1の軸端に圧入されて各内転歯車5L、5Rを軸部材5L1、5R1に取り付けるためのプッシュナットを示すと共に、原動スプロケット7の図示は省略している。
次に、本実施の形態のクランク装置を備えた自転車のペダルクランク装置の作用を、図7、図8、図9を参照して説明する。図7は、ぺダル軸11L、11Rの軸端に設けた摺動子31L、31Rが、左右各内転歯車5L、5Rに設けた各案内溝34Lを、上死点近傍から下死点過ぎまでの間における移動軌跡を画いた作用説明図である。実線は、左側の内転歯車5Lの移動軌跡を示し、点線は反対側にある右側の内転歯車5Rの摺動子31Rの移動軌跡をそれぞれ示している。
自転車のペダル10L、10Rのうち、図8に示すように、例えば、上死点またはその付近にある左側のペダル10Lからこぎ出す場合において、内転歯車5Lには、ペダル11Lの摺動子31Lから案内溝34Lを介して、挺子の作用により時計方向に回転(自転)する回転力が作用する。すると、内転歯車5L は、固定歯車6Lに噛合しながら矢印C方向に転動(公転)していく。内転歯車5Lが、下死点またはその近傍に転動してくると、摺動子31Lと案内溝34Lとの相対位置関係は、図9に示す状態となる。内転歯車5Lが下死点またはその近傍までくると、今度は反対側にある右側の内転歯車5Rが上死点またはその近傍に移動し上昇してくる。左側のペダル10Lをこいだ場合と同様にして右側のペダル10Rをこぐと、それに作用する踏み込み力は、ペダル軸11Rの摺動子31Rから駆動力伝達手段30Rの案内溝を介して内転歯車5Rに伝達される。
こうして、図7に示すように、各内転歯車5L、5Rが固定歯車6L、6Rに対してどのような転動位置にあっても、常に各摺動子31L、31Rは、案内溝34L、34Rに対して最下方の位置に存置されるように位置するので、上下方向に往復運動する左右のペダル10L、10Rを交互に踏み込んでこいでいくことで、各内転歯車5L、5Rが挺子の作用により各固定歯車6L、6Rを噛合しながら転動していき、出力軸たるクランク軸3が回転運動し、その回転駆動力を原動スプロケット7からチェーン9を介して従動スプロケット8に伝達され、車輪を駆動して推進力を生じて前進走行することができるようになる。
上記したごとく、本実施の形態によれば、自転車のペダルをこぐとき、ペダル10L、10Rの取り付け軸であるペダル軸11L、11Rの摺動子31L、31Rの移動軌跡は、図7に示されるように、各内転歯車5L、5Rが上死点またはその近傍に転動してきたときに、思案点(死点)とならない位置に、各摺動子31L、31Rが存在し、かつ、各摺動子31L、31Rは、略上下方向に沿った軌跡上を往復運動するようになっている。このため、ペダル10L、10Rを上下に往復運動させるだけで原動スプロケット7に円滑に回転運動を伝達することができ、自転車の駆動力ロスを有効に低減することができるようになる。
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明の範囲に含まれるものである。
すなわち、上記実施の形態に係るクランク装置は、自転車に適用した場合について説明したが、自転車の他に、3輪自転車、4輪自転車、水上をペダルクランク装置で踏み込んでこぐボートや、トレーニング機器用具や人力飛行機といった各種乗り物に用いた乗り物用クランクペダル装置、さらにはこれらクランク装置や乗り物用クランクペダル装置を備え、ペダル等を下方向へ踏み込み、前方向へ踏み出すようにした乗り物にも適宜に応用できるものであることは勿論である。
また、上記実施形態に係るクランク装置では、図2、図6に示される構成要素(部品)で形成し、これら部品を組み立てて構成したが、実施に際しては、これら以外の構成要素(部品)で構成して組み立てる態様にできることは言うまでもない。
また、本実施の形態では、案内溝34L、34Rに摺動子31L、31Rを嵌め込んだ構成とした場合について説明したが、この代わりに図10に示すように、軌道誘導部32L、32Rに、楕円形状の案内レール40を取り付け、この案内レール40にスライドするスライダ41を係合させることもできる。なお、この場合には、スライダ41はペダル軸11L、11Rを回転自在に取り付けるようにする。これによって、スライダ41は案内レール40の最下方近傍で存置する状態で滑動し、内転歯車5L、5Rを転動させることができる。
また、上記では、軌道誘導部32L、32Rを、楕円形状の案内溝34Lや、案内レール40により形成したが、この代わりに、略直線状や湾曲した曲線形状を呈した1本のレールの形態で構成したものであってもよい。
また、図11に示すように、略直線状の傾斜溝50を有する案内溝に形成し、この傾斜溝50を備えた軌道誘導部51を内転歯車5に取り付けるようにした態様であってもよい。この場合において、傾斜溝50内にスプリング52を収縮した状態で収納し、入力時摺動子31L、31Rを最下方近傍に存置するようにばね力を作用させるようにしておく。これによって、摺動子31L、31Rが、内転歯車5の転動位置に関係なく、常に内転歯車5の軸心P1と、クランク軸3の軸心P2とを結ぶ線L(クランク軸3を通る上下方向の中心線)から偏倚した位置にオフセットしておくことができる(図3参照)。
また、軌道誘導部に形成される案内溝を、図11に示される上記変形例のように略直線状の形状に形成するのではなく、湾曲を画くような曲線状に形成するようにしてもよい。
また、図11に示すように、傾斜溝50にばね部材としてのスプリング52を設けたが、スプリング52を設けない態様にしてもよいものである。
したがって、このような構成とすることで、図12〜図14において示したように、摺動子31L、31Rは、軌道誘導手段51の傾斜溝50の最下方近傍に存置されながら、内転歯車5が固定歯車6に噛合して転動していく。このとき、内転歯車5は、固定歯車6を反時計方向に転動(公転)していくと共に、自身は時計方向に自転していくこととなり、摺動子31L、31Rは図12〜図14に示すような移動軌跡を画いて上死点から下死点に移動していく。その結果、係る変形例においても、上記実施の形態と同様に、ふらつきの少ない駆動力伝達を行うことができる効果を有する。
また、図15に示す変形例のように、例えば、内転歯車5Lと固定歯車6Lとの噛合状態が外部から見えないようにするため、二点鎖線で示すごとく内転歯車5Lと固定歯車6Lとを覆うカバー70をとりつけるように形成することもできる。この場合、カバー70は固定歯車6L側に取り付けるが、結果として2つの歯車5L、6Lの噛合部に外部から小石や衣服が噛み込むことがないように設けるのであれば、カバー70は自転車等の車体本体に取り付けるように形成してもよい。したがって、この変形例によれば、両歯車5L、6Lの噛合部に飛び石等が噛み込むのを阻止することができるようになる。
また、この場合において、上記カバー70の代わりに、図15(b)の二点鎖線に示すように、内転歯車5Lの外側に、この内転歯車5Lの外径よりも若干大きめの内盤状のカバー701を一体に同心円的な配置関係で取り付けるようにすることもでき、これにより図15(a)の場合と同様に、内転歯車5Lと固定歯車6Lとの噛み合いを長く良好な状態に保持することができるようになる。
また、別の変形例として、図15において、固定歯車6に、上下方向に沿って配置した2本の棒部材でなるガイド71を取り付け、このガイド71に入力部材であるペダルの取り付け軸(ペダル軸)11Lが上下方向の往復運動を規定されるようにすることもできる。この変形例によれば、急ブレーキ等によるペダルの大きな移動(変位)を避けることができ、外力にペダル軸11Lが受ける外力により、固定歯車6Lや内転歯車5Lの歯が折損するのを防止することができるようになる。もちろん、このガイド71単体を設ける代わりに、上記カバー70自体にガイド機能を有するスリットを往復運動方向に指向して設け、これによりペダル軸11Lを上下方向に案内するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、回転力取り出し手段として原動スプロケット7と従動スプロケット8との聞にチェーン9を巻き掛けしてなる巻き掛けリンク機構で形成した場合について説明したが、例えば、クランク装置を模式的に表した図16に示すように、シャフトドライブシステムで動力を伝達する構造にすることも可能である。すなわち、原動スプロケット7の代わりにクランク軸3にベベル歯車81を一体回転可能に取り付け、従動側の車輸スプロケット8の代わりにべベル歯車82を設け、チェーン9の代わりに両端にベベル歯車83、84を有するドライブ軸85を設けた構造にしたものである。これにより、クランク腕4からクランク軸3に伝達した駆動力が、べベル歯車81からドライブ軸85のべベル歯車83に伝わるとき、べベル歯車82にドライブ軸85のべベル歯車84がそれぞれ噛合する構成にしたため、チェーン9のように弛みを生じることがなく、ペダル10を踏み込んでこぐ力は、効率的に回転運動に変換して従動側に伝達することができる効果を有する。
また、上記実施の形態では、固定歯車として平歯を刻んで形成した固定歯車6L、6Rを使用した場合について説明したが、この代わりに図17、図18に示すような固定歯車60と、内転歯車5との組み合わせによる噛み合い装置の態様とすることも可能である。なお、この噛み合い装置は、上記実施の形態と同様に、自転車等の乗り物フレームに対して左右にそれぞれ設けられるが、以下では便宜上、いずれか一方側にある噛み合い装置を代表して説明していくこととする。
すなわち、固定歯車60は、図17(a)に示すように、一対のリング板状基部60aの間に、複数のピン部材60bを配置して設け、あるいは、図17(b)に示す固定歯車61のように、一個のリング板状基部61aから片持ち梁状に突出させたピン部材61bを配置して設けた、実質的にチェーン機能を有する形態に形成する。この場合、これらピン部材60bをリング状基板部60aに対して相対回転するローラー状のピンとし、機械的摩擦を低減するようにしてもよい。そして、これら固定歯車60あるいは固定歯車61の内側に噛み合って回る内転歯車5を、図18に示すように、スプロケットの形態に形成することもできる。これにより、チェーン形態とスプロケット形態との噛み合いにより噛み合い装置が構成されることとなり、上記実施の形態と同様にペダルの踏み込み力を円滑に伝達することが可能となる。なお、この場合、固定歯車60に直接、チェーンを取り付けるようにしてもよいことは言うまでもない。
この変形例によれば、噛み合い装置を、チェーン・アンド・スプロケットの噛み合い形態で形成しているため、走行中に砂利等がチェーン形態・スプロケット形態の噛み合い部に噛み込むのを防止でき、また、内転歯車あるいは固定歯車をコスト安価に形成でき、且つ、重量低減を図ったクランク装置、乗リ物等を得ることができるようになる。
また、上記噛み合い装置の別の変形例として、図19に示すように、固定歯車としては、スプロケット歯62aを有するスプロケット形態の固定歯車62に形成し、この固定歯車62の内側を回る内転歯車として、上記スプロケット歯62aに噛み合うピン状の歯63aを設けたチェーン形態の内転歯車63に形成する変形例とすることもできる。なお、この場合、内転歯車63にチェーンを直接に設ける態様にしてもよいのは勿論である。
この変形例によれば、噛み合い装置を、チェーン・アンド・スプロケットの噛み合い形態で形成しているため、走行中に砂利等がチェーン形態・スプロケット形態の噛み合い部に噛み込むのを防止でき、また、内転歯車あるいは固定歯車をコスト安価に形成でき、且つ、重量低減を図ったクランク装置、乗り物等を得ることができるようになる。
また、上記実施形態では、回転力取リ出し手段としての原動スプロケット7を円形状の形態のものを使用したが、この代わりに楕円形状のスプロケットを使用することも可能である。かかる変形例によれば、ペダルを下方に踏み込むときの速度変化をキャンセルして平均化した速度にでき、踏み込み操作フィーリングを向上することができるようになる。
また、上記実施形態では、クランク装置を、ペダルを足の踏み込み力でこぐ形態の通常タイプの自転車本体(フレーム)1に組み込んだ場合について説明したが、この代わりに、図20に示す変形例のように、車椅子部901にハンドサイクル部902を着脱自在に装着したり、あるいはハンドサイクル部902を固定的に取りつけたりすることにより形成されるタイプのハンドサイクル900のフレーム903に組み込み、手や腕の力で駆動させることも可能である。すなわち、本変形例では、クランク軸の左右両側のクランク腕を同じ位相角度の方向、つまり対称な配置構成となるような方向に伸ばし、その先端に上記実施形態のペダル10に相当するハンドル型ペダル905を取り付けた構成であり、それ以外の構成は上記実施形態と同じである。係る変形例において、ペダル機能を付与されたハンドル型ペダル905を左右の手で駆動すると、その駆動力は、内転歯車を回転させ、チェーン906等の回転力取り出し手段であるチェーン906を介して前輪907を駆動し、ハンドサイクル900を走行させることができる。
このため、上記変形例によれば、車椅子部901の搭乗者自身が手でハンドル型ペダル905を駆動させるだけの簡単な操作で、容易にハンドサイクル900を走行操作することができ、上記実施形態と同様に、エネルギー損失を抑制した状態で走行させることができるのは勿論のこと、脚力の乏しい運転者でも容易にハンドサイクルを操作でき、ひいては筋肉訓練、体力向上に資する効果を有する。
なお、上記変形例においては、ハンドル型ペダル905をハンドサイクル本体に対して左右対称に設けて、左右同時に駆動操作する場合であったが、いずれか片側にだけハンドル型ペダルを設けて駆動するようにした形態でも可能であるのは言うまでもない。
なおまた、係るハンドサイクルは、上記変形例で適用した車椅子型のハンドサイクルだけでなく、通常の自転車型のハンドサイクルにも応用することも可能である。
本実施の形態における自転車のクランク装置の機構の構成の概要を模式的に示した外観斜視図である。 本実施の形態に係り、自転車用のペダルクランク装置の一部を断面図で示した正面図である。 図2の左側面図である。 図3のIV部における要部拡大側面図である。 軌道誘導手段の説明図であり、(a)は図4のV-V線における断面図、(b)はピン部の外観斜視図である。 図2のペダルクランク装置における組み立て分解を説明する外観斜視図である。 上死点近傍から15度間隔で195度までの間を転動する間におけるピン部の移動軌跡を画いた作用説明図である。 上死点近傍における内転歯車と固定歯車とピン部との相対位置関係を示す要部拡大作用説明図である。 下死点近傍における内転歯車と固定歯車とピン部との相対位置関係を示す要部拡大作用説明図である。 軌道誘導手段の変形例における拡大断面図である。 軌道誘導手段の別の変形例における要部側面図である。 上記別の変形例に係り、内転歯車の45度ごとのピン部の移動軌跡を説明する作用説明図である。 同じく、上記別の変形例に係り、図12に示した移動軌跡の続きを説明する作用説明図である。 同じく、上記別の変形例に係り、図13に示した移動軌跡の続きを説明する作用説明図である。 同じく、本実施の形態のさらに別の変形例における概略外観斜視図である。 さらに別の変形例を模式的に示した概略平面図である。 上記実施形態の別の変形例における固定歯車を示す外観斜視である。 図17の固定歯車に、スプロケット形態の内転歯車が噛合する状態を示す正面図である。 スプロケット形態の固定歯車に、チェーン形態の内転歯車が噛合する変形例を示す正面図である。 上記実施形態のさらに別の変形例における概略外観斜視図である。
符号の説明
1 固定部材(乗り物本体)
1a べ一スプレート
2 軸受け部
3 クランク軸
4 クランク腕
4L (左側の)クランク腕
4R (右側の)クランク腕
5 内転歯車
5L (左側の)内転歯車
5R (右側の)内転歯車
6 固定歯車
6L (左側の)固定歯車
6R (右側の)固定歯車
7 原動スプロケット
8 従動スプロケット
9 チェーン
10 ペダル(入力部材)
10L (左側の)ペダル
10R (右側の)ペダル
11L (左側の)ペダル軸
11R (右側の)ペダル軸
30L (左側の)駆動力伝達手段
30R (右側の)駆動力伝達手段
31L (左側の)摺動子
31R (右側の)摺動子
32L (左側の)軌道誘導部
32R (右側の)軌道誘導部
34L (左側の)案内溝
40 案内レール
41 スライダ
50 傾斜溝
51 軌道誘導部
52 スプリング
70 カバー
71 ガイド
81〜84 べベル歯車
85 ドライブ軸
900 ハンドサイクル
901 車椅子部
902 ハンドサイクル部
905 ハンドル型ペダル
906 チェーン
907 前輪
L 内転歯車5が上死点または下死点に位置しているときの軸心P1とクランク軸3の軸心P2を結ぶ線
P1 内転歯車の軸心
P2 クランク軸の軸心

Claims (26)

  1. 固定部材に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、このクランク軸両側に設けられた一対のクランク腕、上記各クランク腕に回転自在に設けた一対の内転歯車、上記固定部材に設けられ、上記各内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記各内転歯車に設けられた一対の駆動力伝達手段、各駆動力伝達手段に係合された一対の入力部材、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記各内転歯車から上記各クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記入力部材を介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とするクランク装置。
  2. 上記駆動力伝達手段は、上記入力部材に形成した摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする請求項1記載のクランク装置。
  3. 上記軌道誘導部は、楕円、多角形状、略直線状、または曲線状の軌道を画く形状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のクランク装置。
  4. 上記軌道誘導部は、略直線状または曲線状を有する傾斜溝で形成したことを 特徴とする請求項2記載のクランク装置。
  5. 上記傾斜溝に、ばね部材を設け、このばね部材のばね力により上記摺動子を入力時上記最下方近傍に存置せしめるようにしたことを特徴とする請求項4記載のクランク装置。
  6. 上記内転歯車と上記固定歯車との噛合部を、外部と干渉しないようにカバーで覆うことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載のクランク装置。
  7. 上記固定歯車に、上記入力部材を上記上下方向に往復運動させるように規定するガイド手段を設けるようにしたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のクランク装置。
  8. 上記内転歯車は、スプロケット形態で形成され、上記固定歯車は、チェーン形態またはピン形態で形成されたことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載のクランク装置。
  9. 上記内転歯車は、チェーン形態またはピン形態で形成され、上記固定歯車は、スプロケット形態で形成されたことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載のクランク装置。
  10. 上記回転力取り出し手段を、楕円形状のスプロケットで形成したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のクランク装置。
  11. 乗り物本体に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、このクランク軸両側に設けられた一対のクランク腕、上記各クランク腕に回転自在に設けた一対の内転歯車、上記乗り物本体に設けられ、上記各内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記各内転歯車に設けられた一対の駆動力伝達手段、各駆動力伝達手段に係合された一対のペダル、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記各内転歯車から上記各クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記ペダルを介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とする乗り物用クランクペダル装置。
  12. 上記駆動力伝達手段は、上記ペダルの取り付け軸に設けた摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする請求項11記載の乗り物用クランクペダル装置。
  13. 上記軌道誘導部は、楕円、多角形状、略直線状または曲線状の軌道を画く形状に形成されていることを特徴とする請求項12記載の乗り物用クランクペダル装置。
  14. 上記軌道誘導部は、略直線状または曲線状を有する傾斜溝で形成したことを 特徴とする請求項12記載の乗り物用クランクペダル装置。
  15. 上記傾斜溝に、ばね部材を設け、このばね部材のばね力により上記摺動子を入力時上記最下方近傍に存置せしめるようにしたことを特徴とする請求項14記載の乗り物用クランクペダル装置。
  16. 上記内転歯車と上記固定歯車との噛合部を、外部と干渉しないようにカバーで覆うことを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置。
  17. 上記固定歯車に、上記ペダルの取り付け軸を上記上下方向に往復運動させるように規定するガイド手段を設けるようにしたことを特徴とする請求項12乃至16のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置。
  18. 上記内転歯車は、スプロケット形態で形成され、上記固定歯車は、チェーン形態またはピン形態で形成されたことを特徴とする請求項12乃至17のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置。
  19. 上記内転歯車は、チェーン形態またはピン形態で形成され、上記固定歯車は、スプロケット形態で形成されたことを特徴とする請求項12乃至18のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置。
  20. 上記回転力取り出し手段を、楕円形状のスプロケットで形成したことを特徴とする請求項11乃至19のいずれか一項に記載の乗り物用クランクペダル装置。
  21. 請求項1乃至10記載のいずれか一項に記載のクランク装置を乗り物に装備し、ペダル等を下方向踏込み、前方向踏み出しするようにしたことを特徴とする乗り物。
  22. 請求項11乃至20記載の乗り物用クランクペダル装置を乗り物に装備し、ペダル等を下方向踏込み、前方向踏み出しするようにしたことを特徴とする乗り物。
  23. 固定部材に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、上記クランク軸に設けられたクランク腕、上記クランク腕に回転自在に設けた内転歯車、上記固定部材に設けられ、上記内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記内転歯車に設けられた駆動力伝達手段、上記駆動力伝達手段に係合された入力部材、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記内転歯車から上記クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記入力部材を介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とするクランク装置。
  24. 上記駆動力伝達手段は、上記入力部材に形成した摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする請求項23記載のクランク装置。
  25. 乗り物本体に軸受け部を介して回転自在に設けられたクランク軸、上記クランク軸に設けられたクランク腕、上記クランク腕に回転自在に設けた内転歯車、上記乗り物本体に設けられ、上記内転歯車を遊星歯車的に内接させて噛合する固定歯車、上記内転歯車に設けられた駆動力伝達手段、上記駆動力伝達手段に係合されたハンドル型ペダル、および上記クランク軸に一体的に設けられ、上記内転歯車から上記クランク腕に伝達された回転力を推進力として取り出す回転力取り出し手段を具備すると共に、上記内転歯車と上記固定歯車との歯数比を、上記内転歯車が上記固定歯車を転動しながら1周するときに1回転するように形成し、さらに、上記ハンドル型ペダルを介して上記駆動力伝達手段に駆動力を作用させたとき(入力時)に、上記内転歯車と上記固定歯車とが噛合する接点を支点として、上記内転歯車に回転モーメントが生じ、上記回転力取り出し手段を駆動させるように構成されたことを特徴とする乗り物用クランクペダル装置。
  26. 上記駆動力伝達手段は、上記ハンドル型ペダルの取り付け軸に設けた摺動子と、上記内転歯車に設けられ、上記摺動子を受容して案内する軌道誘導部とで形成されると共に、上記摺動子は、上記内転歯車の位置に関係なく、上記内転歯車の軸心と上記クランク軸の軸心とを結ぶ線から偏倚した位置で、かつ、上記軌道誘導部の最下方近傍に誘導されて存置するようにしたことを特徴とする請求項25記載の乗り物用クランクペダル装置。
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