JPWO2004035038A1 - 慢性閉塞性肺疾患治療剤 - Google Patents
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Abstract
式(I)(式中、R1は(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、または(iii)−OR2で置換されたC1〜8アルキルを表わし、R2は(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、(iii)ベンジル、または(iv)C1〜8アルコキシで置換されたC1〜8アルキルを表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、その塩、それらの溶媒和物またはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する慢性閉塞性肺疾患の予防および/または治療剤。
Description
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)とは、不可逆性の気道閉塞により呼吸困難を起こす病気の総称であり、気管支、細気管支および肺胞に炎症が生じ、それらの炎症および肺の弾性低下により、肺への空気の流れが慢性的に悪くなったために引き起こされる。COPD患者の大半が肺気腫、慢性気管支炎および/または気管支喘息の特徴を有することが多く、区別が困難である。しかし、現在では前記三疾患を一括してCOPDとすることは避け、典型的な疾患はそれぞれ固有の診断名を用いるべきとされている。現在、COPDの治療には抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリン製剤等が用いられているが、副作用の問題があり充分に満足できるものではない。
一方、WO99/19296号パンフレットには、一般式(Z)
(式中、R1Zは−COOR10Z、−CONHOR10Z等を表わし、R10Zは水素原子、C1〜8アルキル基等を表わし、R2Z、R3Z、R4Z、R5Z、R6Z、R7Zはそれぞれ独立して(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)C2〜8アルケニル基、(4)−OR11Z等を表わし、R8Zが(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基等を表わす場合、
R25Zは−EZ−GZを表わし、EZは(1)単結合、(2)−CONR33Z−、(3)−NR33ZCO−、(4)−CO−O−等を表わし、GZは(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)Cyc4Z等を表わす。)
で示されるアミノブタン酸誘導体が、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害活性を有していることが開示されている。また、その適用疾患としてリウマチ、骨関節炎、病的骨吸収、骨粗鬆症、歯周病、間質性腎炎、動脈硬化、肺気腫、肝硬変、角膜損傷、ガン細胞の転移浸潤や増殖の疾患、自己免疫疾患(クローン病、シュグレン病等)、白血球系の細胞の血管遊出や浸潤による疾患、血管新生、多発性硬化症、大動脈瘤、子宮内膜症が挙げられている。
しかし、上記パンフレットには、一般式(Z)で示される化合物がCOPDに適用できることについては記載も示唆もされていない。
さらに、MMP阻害作用を有する化合物のCOPD治療への適用は、一般的に確立されたのものではない。
一方、WO99/19296号パンフレットには、一般式(Z)
(式中、R1Zは−COOR10Z、−CONHOR10Z等を表わし、R10Zは水素原子、C1〜8アルキル基等を表わし、R2Z、R3Z、R4Z、R5Z、R6Z、R7Zはそれぞれ独立して(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)C2〜8アルケニル基、(4)−OR11Z等を表わし、R8Zが(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基等を表わす場合、
R25Zは−EZ−GZを表わし、EZは(1)単結合、(2)−CONR33Z−、(3)−NR33ZCO−、(4)−CO−O−等を表わし、GZは(1)水素原子、(2)C1〜8アルキル基、(3)Cyc4Z等を表わす。)
で示されるアミノブタン酸誘導体が、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害活性を有していることが開示されている。また、その適用疾患としてリウマチ、骨関節炎、病的骨吸収、骨粗鬆症、歯周病、間質性腎炎、動脈硬化、肺気腫、肝硬変、角膜損傷、ガン細胞の転移浸潤や増殖の疾患、自己免疫疾患(クローン病、シュグレン病等)、白血球系の細胞の血管遊出や浸潤による疾患、血管新生、多発性硬化症、大動脈瘤、子宮内膜症が挙げられている。
しかし、上記パンフレットには、一般式(Z)で示される化合物がCOPDに適用できることについては記載も示唆もされていない。
さらに、MMP阻害作用を有する化合物のCOPD治療への適用は、一般的に確立されたのものではない。
COPDの予防剤および/または治療剤の提供が望まれている状況下で、本発明者らは鋭意検討を行った結果、式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグがCOPDに有効であることを初めて見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、式(I)
(式中、R1は(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、または(iii)−OR2で置換されたC1〜8アルキルを表わし、R2は(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、(iii)ベンジル、または(iv)C1〜8アルコキシで置換されたC1〜8アルキルを表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する慢性閉塞性肺疾患予防および/または治療剤に関する。
本明細書において、C1〜8アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、およびオクチル基から選ばれるC1〜8の直鎖状または分枝状アルキル基が挙げられる。
本発明において、−OR2で置換されたC1〜8アルキルとしては、1個の−OR2で置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、およびオクチル基から選ばれるC1〜8の直鎖状または分枝状アルキル基が挙げられる。
本発明において、C1〜8アルコキシ基で置換されたC1〜8アルキルとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、およびオクチルオキシ基から選ばれる1個のC1〜8の直鎖状または分枝状アルコキシ基で置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、およびオクチル基から選ばれるC1〜8の直鎖状または分枝状アルキル基が挙げられる。
の混合物を表わす結合であり、具体的には紙面の手前に結合していることを
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、およびアルコキシ基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
本発明においては、R1が表わす基はすべて好ましいが、より好ましくは(i)水素原子、(ii)C1〜4アルキル、または(iii)1個の−OR2で置換されたC1〜4アルキルであり、好ましいR2は、(i)水素原子、(ii)C1〜4アルキル、(iii)ベンジル、または(iv)1個のC1〜4アルコキシで置換されたC1〜4アルキルである。特に好ましいR1は、(i)水素原子、または(ii)1個の−O−(C1〜4アルキル)で置換されたC1〜4アルキルである。
C1〜4アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられる。
C1〜4アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシが挙げられ、特にメチル、エチルが好ましい。
本発明中、式(I)で示される化合物において、より好ましい化合物は式(Ia)
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を意味する。)で示される化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグである。
本発明に用いられる具体的な化合物としては、
N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−メトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(R)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(S)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−ベンジルオキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、および
N−ヒドロキシ−5−(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグが挙げられる。
特に好ましい化合物は、
N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、または
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグである。
本発明に用いられる化合物は、以下の塩の形で用いてもよい。
塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。
適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
本発明化合物の溶媒和物としては、非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系溶媒(エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。また、アルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩の溶媒和物も含まれる。
本発明化合物のプロドラッグとしては、生物学的利用率および生体膜透過性の改善されるものが好ましい。本発明化合物はヒドロキサム酸化合物であるため、プロドラッグとしては生体内で切断され、ヒドロキサム酸に変換されるものが挙げられる。
また、R1が水素原子である場合、またはR1基中に水酸基を有する場合、生体内で切断され、それらが水酸基に変換されるものが挙げられる。
生体内で切断されてヒドロキサム酸または水酸基に変換されるものとしては、ヒドロキサム酸中の水酸基、または水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物が挙げられる。具体的には、ヒドロキサム酸中の水酸基、または水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物などが挙げられる。
これらの化合物は自体公知の方法によって製造することができる。また、本発明化合物のプロドラッグは溶媒和物および非溶媒和物のいずれであってもよい。
式(I)で示される化合物は、例えばWO99/19296号パンフレットに記載された方法により製造することができる。
[毒性]
本発明に用いる化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。例えば、N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドおよびN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドのラットを用いた単回の経口投与での最低致死量は、共に2000mg/kgであった。
[医薬品への適用]
本発明に用いられる、式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグは、ヒトを含めた動物、特にヒトにおいて、COPDの予防および/または治療に有用である。
式(I)で示される化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグは、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)その化合物の副作用の軽減
のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
式(I)で示される化合物と他の薬剤との併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、式(I)で示される化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、式(I)で示される化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
式(I)で示される化合物の慢性閉塞性肺疾患に対する治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリン製剤用薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、トロンボキサン合成酵素阻害薬、トロンボキサンA2受容体拮抗薬、メディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、キサンチン誘導体、サイトカイン阻害薬、プロスタグランジン類、フォルスコリン製剤用薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、エラスターゼ阻害薬、吸入ステロイド薬、去痰薬、抗生物質等が挙げられる。
抗コリン薬としては、例えば、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げられる。
β2刺激薬としては、例えば、臭化水素酸フェノテロール、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン、フマル酸フォルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、硫酸イソプロテレノール、硫酸オルシプレナリン、硫酸クロルプレナリン、エピネフリン、塩酸トリメトキノール、硫酸ヘキソプレナリンメシル、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、ツロブテロール、塩酸ピルブテロール、塩酸クレンブテロール、塩酸マブテロール、塩酸リトドリン、バンブテロール、塩酸ドペキサミン、酒石酸メルアドリン、AR−C68397、レボサルブタモール、R,R−フォルモテロール、KUR−1246、KUL−7211、AR−C89855、S−1319等が挙げられる。
テオフィリン製剤用薬としては、テオフィリン、アミノフィリン等が挙げられる。
ロイコトリエン受容体拮抗薬としては、例えば、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ザフィルルカスト、セラトロダスト、MCC−847、KCA−757、CS−615、YM−158、L−740515、CP−195494、LM−1484、RS−635、A−93178、S−36496、BIIL−284、ONO−4057等が挙げられる。
トロンボキサンA2受容体拮抗薬としては、例えば、セラトロダスト、ラマトロパン、ドミトロバンカルシウム水和物、KT−2−962等が挙げられる。
エラスターゼ阻害薬としては、ONO−5046、ONO−6818、MR−889、PBI−1101、EPI−HNE−4、R−665、ZD−0892、ZD−8321、GW−311616、AE−3763等が挙げられる。
吸入ステロイド薬としては、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ST−126P、シクレソニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート等が挙げられる。
去痰薬としては、例えば、アンモニアウイキョウ精、炭酸水素ナトリウム、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸アンブロキソール、塩酸アンブロキゾール徐放剤、メチルシステイン塩酸塩、アセチルシステイン、塩酸L−エチルシステイン、チロキサポール等が挙げられる。
式(I)で示される化合物と他の薬剤の質量比は特に限定されない。
他の薬剤は、同群すなわち同じメカニズムを有する薬剤群、および/または異種群すなわち異なるメカニズムを有する薬剤群から、任意の1種または2種以上を組み合わせて投与してよい。
また、式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
本発明で用いる式(I)で示される化合物、または式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、0.1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
経口投与の場合の好ましい投与量は適用対象の病態により、(i)12.5mg/l固形製剤、(ii)25mg/l固形製剤、(iii)50mg/l固形製剤もしくは(iv)100mg/l固形製剤から選択されるか、またはこれらを組合せた固形製剤を、成人一人あたり、一回当たり1〜4錠を一日1〜3回から選ばれる回数で投与する量であり、一日当たり1〜12錠が投与できる。好ましくは、成人一人あたり、一日当たり12.5mg〜600mgの投与量が好ましい。
式(I)で示される本発明化合物、または式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤、および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。また錠剤には、舌下錠、バッカル錠、トローチ、口腔内貼付剤、口腔内崩壊錠などが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により調製される。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤または吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
すなわち、本発明は、式(I)
(式中、R1は(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、または(iii)−OR2で置換されたC1〜8アルキルを表わし、R2は(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル、(iii)ベンジル、または(iv)C1〜8アルコキシで置換されたC1〜8アルキルを表わす。)で示されるヒドロキサム酸化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する慢性閉塞性肺疾患予防および/または治療剤に関する。
本明細書において、C1〜8アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、およびオクチル基から選ばれるC1〜8の直鎖状または分枝状アルキル基が挙げられる。
本発明において、−OR2で置換されたC1〜8アルキルとしては、1個の−OR2で置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、およびオクチル基から選ばれるC1〜8の直鎖状または分枝状アルキル基が挙げられる。
本発明において、C1〜8アルコキシ基で置換されたC1〜8アルキルとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、およびオクチルオキシ基から選ばれる1個のC1〜8の直鎖状または分枝状アルコキシ基で置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、およびオクチル基から選ばれるC1〜8の直鎖状または分枝状アルキル基が挙げられる。
の混合物を表わす結合であり、具体的には紙面の手前に結合していることを
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、およびアルコキシ基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
本発明においては、R1が表わす基はすべて好ましいが、より好ましくは(i)水素原子、(ii)C1〜4アルキル、または(iii)1個の−OR2で置換されたC1〜4アルキルであり、好ましいR2は、(i)水素原子、(ii)C1〜4アルキル、(iii)ベンジル、または(iv)1個のC1〜4アルコキシで置換されたC1〜4アルキルである。特に好ましいR1は、(i)水素原子、または(ii)1個の−O−(C1〜4アルキル)で置換されたC1〜4アルキルである。
C1〜4アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられる。
C1〜4アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシが挙げられ、特にメチル、エチルが好ましい。
本発明中、式(I)で示される化合物において、より好ましい化合物は式(Ia)
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を意味する。)で示される化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグである。
本発明に用いられる具体的な化合物としては、
N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−メトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(R)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(R)−メチル−4(S)−[N−(4−フェノキシフェニルカルボニル)アミノ]ペンタンアミド、
N−ヒドロキシ−5−ベンジルオキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、および
N−ヒドロキシ−5−(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグが挙げられる。
特に好ましい化合物は、
N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、または
N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、
その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグである。
本発明に用いられる化合物は、以下の塩の形で用いてもよい。
塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。
適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
本発明化合物の溶媒和物としては、非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系溶媒(エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。また、アルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩の溶媒和物も含まれる。
本発明化合物のプロドラッグとしては、生物学的利用率および生体膜透過性の改善されるものが好ましい。本発明化合物はヒドロキサム酸化合物であるため、プロドラッグとしては生体内で切断され、ヒドロキサム酸に変換されるものが挙げられる。
また、R1が水素原子である場合、またはR1基中に水酸基を有する場合、生体内で切断され、それらが水酸基に変換されるものが挙げられる。
生体内で切断されてヒドロキサム酸または水酸基に変換されるものとしては、ヒドロキサム酸中の水酸基、または水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物が挙げられる。具体的には、ヒドロキサム酸中の水酸基、または水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物などが挙げられる。
これらの化合物は自体公知の方法によって製造することができる。また、本発明化合物のプロドラッグは溶媒和物および非溶媒和物のいずれであってもよい。
式(I)で示される化合物は、例えばWO99/19296号パンフレットに記載された方法により製造することができる。
[毒性]
本発明に用いる化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。例えば、N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドおよびN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドのラットを用いた単回の経口投与での最低致死量は、共に2000mg/kgであった。
[医薬品への適用]
本発明に用いられる、式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグは、ヒトを含めた動物、特にヒトにおいて、COPDの予防および/または治療に有用である。
式(I)で示される化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグは、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)その化合物の副作用の軽減
のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
式(I)で示される化合物と他の薬剤との併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、式(I)で示される化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、式(I)で示される化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
式(I)で示される化合物の慢性閉塞性肺疾患に対する治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、抗コリン薬、β2刺激薬、テオフィリン製剤用薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、トロンボキサン合成酵素阻害薬、トロンボキサンA2受容体拮抗薬、メディエーター遊離抑制薬、抗ヒスタミン薬、キサンチン誘導体、サイトカイン阻害薬、プロスタグランジン類、フォルスコリン製剤用薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、エラスターゼ阻害薬、吸入ステロイド薬、去痰薬、抗生物質等が挙げられる。
抗コリン薬としては、例えば、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げられる。
β2刺激薬としては、例えば、臭化水素酸フェノテロール、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン、フマル酸フォルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、硫酸イソプロテレノール、硫酸オルシプレナリン、硫酸クロルプレナリン、エピネフリン、塩酸トリメトキノール、硫酸ヘキソプレナリンメシル、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、ツロブテロール、塩酸ピルブテロール、塩酸クレンブテロール、塩酸マブテロール、塩酸リトドリン、バンブテロール、塩酸ドペキサミン、酒石酸メルアドリン、AR−C68397、レボサルブタモール、R,R−フォルモテロール、KUR−1246、KUL−7211、AR−C89855、S−1319等が挙げられる。
テオフィリン製剤用薬としては、テオフィリン、アミノフィリン等が挙げられる。
ロイコトリエン受容体拮抗薬としては、例えば、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ザフィルルカスト、セラトロダスト、MCC−847、KCA−757、CS−615、YM−158、L−740515、CP−195494、LM−1484、RS−635、A−93178、S−36496、BIIL−284、ONO−4057等が挙げられる。
トロンボキサンA2受容体拮抗薬としては、例えば、セラトロダスト、ラマトロパン、ドミトロバンカルシウム水和物、KT−2−962等が挙げられる。
エラスターゼ阻害薬としては、ONO−5046、ONO−6818、MR−889、PBI−1101、EPI−HNE−4、R−665、ZD−0892、ZD−8321、GW−311616、AE−3763等が挙げられる。
吸入ステロイド薬としては、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ST−126P、シクレソニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート等が挙げられる。
去痰薬としては、例えば、アンモニアウイキョウ精、炭酸水素ナトリウム、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸アンブロキソール、塩酸アンブロキゾール徐放剤、メチルシステイン塩酸塩、アセチルシステイン、塩酸L−エチルシステイン、チロキサポール等が挙げられる。
式(I)で示される化合物と他の薬剤の質量比は特に限定されない。
他の薬剤は、同群すなわち同じメカニズムを有する薬剤群、および/または異種群すなわち異なるメカニズムを有する薬剤群から、任意の1種または2種以上を組み合わせて投与してよい。
また、式(I)で示される化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
本発明で用いる式(I)で示される化合物、または式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、0.1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
経口投与の場合の好ましい投与量は適用対象の病態により、(i)12.5mg/l固形製剤、(ii)25mg/l固形製剤、(iii)50mg/l固形製剤もしくは(iv)100mg/l固形製剤から選択されるか、またはこれらを組合せた固形製剤を、成人一人あたり、一回当たり1〜4錠を一日1〜3回から選ばれる回数で投与する量であり、一日当たり1〜12錠が投与できる。好ましくは、成人一人あたり、一日当たり12.5mg〜600mgの投与量が好ましい。
式(I)で示される本発明化合物、または式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤、および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。また錠剤には、舌下錠、バッカル錠、トローチ、口腔内貼付剤、口腔内崩壊錠などが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により調製される。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤または吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
図1は、化合物(1)1および30mg/kgを一日2回経口投与したときの平均肺胞径を示す。
図2は、化合物(2)100mg/kgを一日2回経口投与したときの平均肺胞径を示す。
図2は、化合物(2)100mg/kgを一日2回経口投与したときの平均肺胞径を示す。
一般式(I)で示される化合物は、COPDの予防および/または治療において大変有効である。
以下に本発明化合物のCOPDにおける有効性を示す実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に本発明化合物のCOPDにおける有効性を示す実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
被験薬として、1回投与量が1mg/kgまたは30mg/kgの化合物(1):N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、および1回投与量が100mg/kgの化合物(2):N−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドを用いた。
Wistar系雄性ラット(6週齢)に、ケタミン(動物用ケタラール50、100mg/2mL/kg)麻酔下、ミスト発生ノズルを装着した1mlシリンジを気管内に挿入し、ブタ膵エラスターゼ(PPE;200μL/lung)を気道内へ噴霧した。被験薬は惹起1時間前に経口投与し、以後はそれぞれ1日2回、6時間以上の間隔をあけて経口投与した。
惹起4週間後に、動物をケタミン(100mg/2mL/kg)麻酔下、腹部大動脈より放血致死させた。気管を露出し、開胸後、心臓と共に気管および肺を摘出した。組織固定用10%中性緩衝ホルマリン液を充填した50mlシリンジを装着したJMSカットダウンチューブC3を気管に挿入し、25cmH2O圧まで10%ホルマリン液を注入し、拡張固定した。拡張固定20〜26時間後に、甲状腺、心臓、胸腺および周囲の脂肪組織を除去し、肺全葉のうち最も大きい左葉を回収し、病理組織切片を作製した。完成した病理組織切片の平均肺胞径(mean linear intercept:MLI)を計測した。
結果を図1および図2に示す。
図1および2から明らかなように、本モデルにおいて、被験薬は対象群に比べ、MLIを有意に低下させた。このことより、式(I)で示される化合物はMMPによる進行性の肺胞壁破壊を抑制するためCOPDに対して有効であると判断できる。
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−
フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ・・・・・500g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・ 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・ 10g
・微結晶セルロース ・・・・・470g
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−
フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ・・・・・200g
・マンニトール ・・・・・ 2kg
・蒸留水 ・・・・・ 50L
Wistar系雄性ラット(6週齢)に、ケタミン(動物用ケタラール50、100mg/2mL/kg)麻酔下、ミスト発生ノズルを装着した1mlシリンジを気管内に挿入し、ブタ膵エラスターゼ(PPE;200μL/lung)を気道内へ噴霧した。被験薬は惹起1時間前に経口投与し、以後はそれぞれ1日2回、6時間以上の間隔をあけて経口投与した。
惹起4週間後に、動物をケタミン(100mg/2mL/kg)麻酔下、腹部大動脈より放血致死させた。気管を露出し、開胸後、心臓と共に気管および肺を摘出した。組織固定用10%中性緩衝ホルマリン液を充填した50mlシリンジを装着したJMSカットダウンチューブC3を気管に挿入し、25cmH2O圧まで10%ホルマリン液を注入し、拡張固定した。拡張固定20〜26時間後に、甲状腺、心臓、胸腺および周囲の脂肪組織を除去し、肺全葉のうち最も大きい左葉を回収し、病理組織切片を作製した。完成した病理組織切片の平均肺胞径(mean linear intercept:MLI)を計測した。
結果を図1および図2に示す。
図1および2から明らかなように、本モデルにおいて、被験薬は対象群に比べ、MLIを有意に低下させた。このことより、式(I)で示される化合物はMMPによる進行性の肺胞壁破壊を抑制するためCOPDに対して有効であると判断できる。
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−
フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ・・・・・500g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・・・ 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・・・ 10g
・微結晶セルロース ・・・・・470g
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−
フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド ・・・・・200g
・マンニトール ・・・・・ 2kg
・蒸留水 ・・・・・ 50L
式(I)で示されるヒドロキサム酸化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物、またはそれらのプロドラッグは、慢性閉塞性肺疾患の予防および/または治療剤に用いられる。
Claims (8)
- 化合物が、N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、またはN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドである請求の範囲1記載の慢性閉塞性肺疾患の予防および/または治療剤。
- 一日当たりの投与量が12.5mg〜600mgである請求の範囲2記載の慢性閉塞性肺疾患の予防および/または治療剤。
- 化合物が、N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、またはN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドである請求の範囲5記載の使用。
- 化合物が、N−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミド、またはN−ヒドロキシ−5−エトキシメチルオキシ−2(S)−メチル−4(S)−(4−フェノキシベンゾイル)アミノペンタンアミドである請求の範囲7記載の予防および/または治療方法。
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