JPWO2003097865A1 - N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムの誤発色防止方法および前記方法を用いた試薬溶液ならびに測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムの誤発色を防止する方法および前記方法を用いた試薬溶液ならびに酸化還元反応を利用した測定方法に関する。
背景技術
従来から、試料中の測定対象物の量を酸化還元反応を利用して測定する方法が、広く実施されており、例えば、以下のように行われている。まず、酸化物質である測定対象物や、測定対象物から発生した酸化物質に、ペルオキシダーゼ(以下、「POD」という)および還元剤を添加し、前記PODを触媒として前記酸化物質と前記還元剤との間で酸化還元反応させる。前記還元剤として、酸化されることによって発色する還元剤を用いれば、その発色量と前記酸化物質量とは相関関係にあるため、前記発色量の測定により前記酸化物質量を決定できる。このような酸化により発色する還元剤として、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムが使用されている。
しかしながら、このような測定方法は、測定感度が十分ではないために、測定精度が向上しない場合があった。
発明の開示
そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムの存在下で前記酸化還元反応を行えば、測定感度を向上できることを見出し、別途出願している。しかし、この方法によると、前述のように測定感度は向上するが、新たな問題として、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムとテトラゾリウム化合物とアジ化ナトリウムとの3成分が溶液中で共存することによって、前記酸化還元反応前に、発色基質であるN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムが誤発色を起すことがわかった。このように誤発色が生じると、例えば、前述のように発色量を測定する場合に、バックグラウンドが高くなるという問題があり、また、十分量添加したはずの発色基質が、酸化還元反応において不足する場合もある。
そこで、本発明の目的は、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムの誤発色を防止する方法の提供である。
前記目的を達成するために、本発明の誤発色防止方法は、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを含む水性溶媒中におけるN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム(以下、「DA−64」ともいう)の誤発色を防止する方法であって、界面活性剤を前記水性溶媒に共存させ、テトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウムおよびDA−64を前記水性溶媒中で混合し、かつ、前記DA−64 1μmolに対するテトラゾリウム化合物の割合を0.01〜1mmolの範囲、アジ化ナトリウムの割合を0.003〜0.5mmolの範囲および前記界面活性剤の割合を0.006〜0.4mmolの範囲とし、DA−64、テトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウムおよび界面活性剤を含む前記水性溶媒のpHを6〜9とすることを特徴とする。
このように、界面活性剤の存在下で前記3つの成分を混合し、かつ、各成分の濃度および混合液のpHを前記範囲に設定すれば、「DA−64、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウム」が水性溶媒中で共存しても、前述のようなDA−64の誤発色を抑制できる。したがって、このような誤発色防止方法を利用して、後述するような酸化還元反応を用いた測定を行えば、吸光度測定におけるバックグラウンドの上昇が抑制でき、測定対象物を高精度で測定できる。なお、これらの各成分の添加順序は、特に制限されず、DA−64、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムの全てを水性溶媒中で混合する際に、前記界面活性剤が共存していればよい。このため、例えば、予め水性溶媒に界面活性剤を添加してから、他の3成分をそれぞれ添加してもよいし、水性溶媒にテトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを添加した後に、界面活性剤の存在下、DA−64を添加してもよく、これらの添加順序には制限されない。
つぎに、本発明の試薬溶液は、DA−64、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを含むDA−64試薬溶液であって、さらに界面活性剤を含み、かつ、前記DA−64 1μmolに対して、テトラゾリウム化合物が0.01〜1mmolの範囲、アジ化ナトリウムが0.003〜0.5mmolの範囲および界面活性剤が0.006〜0.4mmolの範囲であり、そのpHが6〜9の範囲である。
このような組成の試薬溶液も、前述の誤発色防止方法と同様に、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムの存在下であっても、DA−64の誤発色を防止できる。このため、溶液状態で、安定に保存することが可能となり、例えば、以下の測定方法等に有用である。
つぎに、本発明の測定方法は、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムの存在下、試料中の測定対象物由来の酸化物質と発色基質であるDA−64とを酸化還元酵素により反応させ、前記発色基質の発色量を測定することにより、前記酸化物質の量を測定する方法であって、界面活性剤の存在下、テトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウムおよび発色基質を水性溶媒中で混合し、かつ、前記発色基質DA−64 1μmolに対するテトラゾリウム化合物の割合を0.01〜1mmolの範囲、アジ化ナトリウムの割合を0.003〜0.5mmolの範囲および界面活性剤の割合を0.006〜0.4mmolの範囲とし、前記混合液のpHを6〜9とすることを特徴とする。
このような測定方法は、測定感度に優れるだけでなく、DA−64の誤発色によるバックグラウンドの上昇も抑制できるため、測定精度にも優れる。なお、本発明において、「測定対象物由来の酸化物質」とは、測定対象物そのもの、もしくは、その中の酸化物質、または測定対象物から酸化還元酵素等を用いて発生した酸化物質の双方を意味する。
本発明の測定方法において、前記水性溶媒は、測定対象物を含む試料溶液であることが好ましく、例えば、前記試料溶液に、テトラゾリウム化およびアジ化ナトリウムを添加した後、界面活性剤の存在下、さらにN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムおよび酸化還元酵素を添加して、前記酸化還元酵素による反応を行うことが好ましい。
本発明の測定方法において、前記測定試料の種類は、特に制限されず、例えば、全血、血漿、血清、血球等の血液試料の他に、尿、髄液等の生体試料や、ジュース等の飲料水、醤油、ソース等の食品類等の試料に対しても適用できる。
本発明の測定方法において、測定対象物としては、前記酸化還元反応を利用するものであれば特に制限されない。例えば、全血中成分、赤血球内成分、血漿中成分、血清中成分、尿成分、髄液成分等があげられるが、好ましくは赤血球内成分である。例えば、前記赤血球成分を測定する場合、全血をそのまま溶血させたものを試料としてもよいし、全血から赤血球を分離して、前記赤血球を溶血させたものを試料として用いてもよい。また、具体的な測定対象物としては、例えば、糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン等の糖化タンパク質、糖化ペプチド、糖化アミノ酸、グルコース、尿酸、コレステロール、クレアチニン、サルコシン、グリセロール等もあげられ、より好ましくは糖化タンパク質であり、特に好ましくは糖化ヘモグロビンである。糖化ヘモグロビンは、生体血糖値の過去の履歴を反映するため、糖尿病診断や治療等における重要な指標とされている。本発明によれば、その量を高精度に測定できるため、糖化ヘモグロビンの指標としての信頼性が向上し、臨床医療の分野においても有益だからである。
本発明の測定方法において、測定対象物が糖化タンパク質の場合、前記糖化タンパク質の糖化部分をフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(以下、「FAOD」という)で酸化分解することにより過酸化水素を生成させることが好ましい。また、前記糖化ペプチド、糖化アミノ酸も、同様にFAODを作用させることが好ましい。このようにして生成した過酸化水素は、前述の測定対象物由来の酸化物質に相当する。なお、前記糖化タンパク質や糖化ペプチドは、必要に応じて、前記FAOD処理前に、プロテアーゼ処理することが好ましい。
前記FAODとしては、下記式(1)に示す反応を触媒するFAODであることが好ましい。
R1−CO−CH2−NH−R2 + H2O + O2
→R1−CO−CHO + NH2−R2 + H2O2 …(1)
前記式(1)において、R1は、水酸基もしくは糖化反応前の糖に由来する残基(糖残基)を示す。前記糖残基(R1)は、反応前の糖がアルドースの場合はアルドース残基であり、反応前の糖がケトースの場合、ケトース残基である。例えば、反応前の糖がグルコースの場合は、アマドリ転位により、反応後の構造はフルクトース構造をとるが、この場合、糖残基(R1)は、グルコース残基(アルドース残基)となる。この糖残基(R1)は、例えば、
−[CH(OH)]n−CH2OH
で示すことができ、nは、0〜6の整数である。
前記式(1)において、R2は、特に制限されないが、例えば、糖化アミノ酸、糖化ペプチドまたは糖化タンパク質の場合、α−アミノ基が糖化されている場合と、それ以外のアミノ基が糖化されている場合とで異なる。
前記式(1)において、α−アミノ基が糖化されている場合、R2は、下記式(2)で示すアミノ酸残基またはペプチド残基である。
−CHR3−CO−R4 …(2)
前記式(2)において、R3はアミノ酸側鎖基を示す。また、R4は水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基を示し、例えば、下記式(3)で示すことができる。下記式(3)において、nは、0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(NH−CHR3−CO)n−OH …(3)
また、前記式(1)において、α−アミノ基以外のアミノ基が糖化されている(アミノ酸側鎖基が糖化されている)場合、R2は下記式(4)で示すことができる。
−R5−CH(NH−R6)−CO−R7 …(4)
前記式(4)において、R5は、アミノ酸側鎖基のうち、糖化されたアミノ基以外の部分を示す。例えば、糖化されたアミノ酸がリジンの場合、R5は
−CH2−CH2−CH2−CH2−
であり、
例えば、糖化されたアミノ酸がアルギニンの場合、R5は、
−CH2−CH2−CH2−NH−CH(NH2)−
である。
また、前記式(4)において、R6は、水素、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(5)で示すことができる。なお、下記式(5)において、nは0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(CO−CHR3−NH)n−H …(5)
また、前記式(4)において、R7は、水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(6)で示すことができる。なお、下記式(6)において、nは0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(NH−CHR3−CO)n−OH …(6)
前記FAODとしては、例えば、α−アミノ基が糖化された糖化アミノ酸に特異的に作用する市販の商品名フルクトシル−アミノ酸オキシダーゼ(FAOX−E)(キッコーマン社製)、α−アミノ基およびリジン等のε−アミノ基等が糖化された糖化アミノ酸に特異的に作用する商品名FOD(旭化成社製)、商品名KAO(ジェンザイム社製)等があげられる。
発明を実施するための最良の形態
本発明によるDA−64の誤発色の防止は、例えば、以下に示すように行うことができる。
水性溶媒に界面活性剤を溶解し、この溶液にテトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウムおよびDA−64を混合する。この際、DA−64 1μmolに対して、テトラゾリウム化合物を0.01〜1mmolの範囲、アジ化ナトリウムを0.003〜0.5mmolの範囲および前記界面活性剤を0.006〜0.4mmolの範囲に設定し、前記混合液のpHを6〜9に調整すればよい。
各成分の割合は、好ましくは、DA−64 1μmolに対して、テトラゾリウム化合物0.02〜0.8mmolの範囲、アジ化ナトリウム0.01〜0.3mmolの範囲および前記界面活性剤0.01〜0.4mmolの範囲であり、特に好ましくはDA−64 1μmolに対して、テトラゾリウム化合物0.03〜0.6mmolの範囲、アジ化ナトリウム0.01〜0.2mmolの範囲および前記界面活性剤0.04〜0.3mmolの範囲である。また、前記混合液のpHは、好ましくは6〜9であり、より好ましくは6.5〜8である。
各成分の添加順序は、前述のように特に制限されず、テトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウムおよびDA−64の3成分を混合する際に、前記界面活性剤が前記範囲で共存していればよい。
前記水性溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水、各種緩衝液等があげられる。前記緩衝液としては、例えば、Tris−HCl、リン酸ナトリウム、EPPS、HEPES、TES等が使用でき、好ましくはTris−HCl、リン酸ナトリウムである。また、前記緩衝液の濃度は、例えば、10〜300mMの範囲であり、好ましくは50〜300mMである。
前記界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、Brij35、Brij58、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテルや、TritonX−100、TritonX−114等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルや、Tween20、Tween60等のポリオキシエチレンソルビタンエーテル等があげられる。
前記テトラゾリウム化合物としては、例えば、テトラゾール環の少なくとも2箇所に環構造置換基を有する構造であることが好ましく、より好ましくは、3箇所に環構造置換基を有する構造である。
前記テトラゾリウム化合物が、前述のように、前記テトラゾール環の少なくとも2箇所に環構造置換基を有する場合、前記置換基を、前記テトラゾール環の2位および3位に有することが好ましい。また、テトラゾリウム化合物が3箇所に環構造置換基を有する場合は、前記置換基を、前記テトラゾール環の2位、3位および5位に有することが好ましい。
また、テトラゾリウム化合物は、少なくとも2つの環構造置換基の環構造がベンゼン環であることが好ましい。前記ベンゼン環以外の環構造置換基としては、例えば、環骨格にSまたはOを含み、かつ共鳴構造である置換基があげられ、例えば、チエニル基、チアゾイル基等である。
また、前記テトラゾリウム化合物は、テトラゾール環の少なくとも3箇所に環構造置換基を有し、前記環構造置換基のうち少なくとも2つの環構造置換基の環構造がベンゼン環であることが好ましい。
また、少なくとも1つの環構造置換基が官能基を有することが好ましく、前記官能基の数が多いことがより好ましい。
前記官能基としては、電子吸引性の官能基が好ましく、例えば、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、カルボキシ基、アシル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルホ基等があげられる。この他にも、例えば、ヒドロペルオキシ基、オキシ基、エポキシ基、エピジオキシ基、オキソ基等の酸素を含む特性基や、メルカプト基、アルキルチオ基、メチルチオメチル基、チオキソ基、スルフィノ基、ベンゼンスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、p−トリルスルホニル基、トシル基、スルファモイル基、イソチオシアネート基等の硫黄を含む特性基等があげられる。これらの電子吸引性官能基の中でも、好ましくは、ニトロ基、スルホ基、ハロゲン基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基である。また、前記電子吸引性の官能基の他に、例えば、フェニル基(C6H5−)、スチリル基(C6H5CH=CH−)等の不飽和炭化水素基等もあげられる。なお、前記官能基は、解離によりイオン化していてもよい。
前記テトラゾリウム化合物は、テトラゾール環の2位および3位にベンゼン環を有し、前記ベンゼン環のうち少なくとも一方が、ハロゲン基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、スルホ基、メトキシ基およびエトキシ基からなる群から選択された少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。なお、前記両方のベンゼン環が、前記官能基を有してもよい。前記ベンゼン環において、いずれの箇所(ortho−、meta−、pra−)に前記官能基を有してもよい。また、官能基の数も特に制限されず、同じ官能基を有しても、異なる官能基を有してもよい。
前記テトラゾリウム化合物は、例えば、前記テトラゾール環の2位、3位および5位にベンゼン環構造置換基を有する化合物として、例えば、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウム塩、3,3’−(1,1’−ビフェニル−4,4’−ジル)−ビス(2,5−ジフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、3,3’−[3,3’ジメトキシ−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジル]−ビス[2−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウム塩]、2,3−ジフェニル−5−(4−クロロフェニル)テトラゾリウム塩、2,5−ジフェニル−3−(p−ジフェニル)テトラゾリウム塩、2,3−ジフェニル−5−(p−ジフェニル)テトラゾリウム塩、2,5−ジフェニル−3−(4−スチリルフェニル)テトラゾリウム塩、2,5−ジフェニル−3−(m−トリル)テトラゾリウム塩および2,5−ジフェニル−3−(p−トリル)テトラゾリウム塩等があげられる。
また、前記テトラゾリウム化合物は、前述のような化合物には制限されず、この他に、前記テトラゾール環の2箇所にベンゼン環構造置換基および1箇所にその他の環構造置換基を有する化合物も使用でき、例えば、2,3−ジフェニル−5−(2−チエニル)テトラゾリウム塩、2−ベンゾチアゾイル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5−[4−(2−スルホエチル カルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウム塩、2,2’−ジベンゾチアゾイル−5,5’−ビス[4−ジ(2−スルホエチル)カルバモイルフェニル]−3,3’−(3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレン)ジテトラゾリウム塩および3−(4,5−ジメチル−2−チアゾイル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム塩等があげられる。
また、前記テトラゾール環の2箇所にベンゼン環構造置換基および1箇所に環構造でない置換基を有するテトラゾリウム化合物も使用でき、例えば、2,3−ジフェニル−5−シアノテトラゾリウム塩、2,3−ジフェニル−5−カルボキシテトラゾリウム塩、2,3−ジフェニル−5−メチルテトラゾリウム塩、2,3−ジフェニル−5−エチルテトラゾリウム塩等があげられる。
前述のテトラゾリウム化合物の中でも、前述のように、環構造置換基を3つ有する化合物が好ましく、より好ましくは、環構造がベンゼン環である置換基を3つ有し、かつ電子吸引性官能基を多く有するものであり、特に好ましくは、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩である。なお、このようなテトラゾリウム化合物は、例えば、塩でもよいし、イオン化された状態等であってもよい。また、前記テトラゾリウム化合物は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
このように、DA−64の誤発色を防止するために調製された溶液は、DA−64試薬溶液として使用できる。用途としては、特に制限されないが、例えば、後述する酸化還元反応における発色基質の試薬溶液として使用できる。
つぎに、本発明の酸化還元反応を用いた測定方法について、血球中の糖化タンパク質を測定する例をあげて説明する。
まず、全血をそのまま溶血することによって、または全血から遠心分離等の常法により血球画分を分離してこれを溶血することによって、溶血試料を調製する。この溶血方法は、特に制限されず、例えば、界面活性剤を用いる方法、超音波による方法、浸透圧の差を利用する方法等が使用できる。この中でも、操作の簡便性等の理由から、前記界面活性剤を用いる方法が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェニルエーテル(Triton系界面活性剤等)、ポリエチレンソルビタンアルキルエステル(Tween系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij系界面活性剤等)等の非イオン性界面活性剤が使用でき、具体的には、例えば、TritonX−100、Tween−20、Brij35等があげられる。前記界面活性剤による処理条件は、通常、処理溶液中の血球濃度が、1〜10体積%の場合、前記処理溶液中の濃度が0.01〜5重量%になるように前記界面活性剤を添加し、室温で、数秒(約5秒)〜10分程度攪拌すればよい。
つぎに、前記溶血試料に対し界面活性剤を添加する。なお、前述のような界面活性剤による溶血処理を行った場合、すでに下記添加割合となっていれば界面活性剤をさらに添加する必要はなく、また、下記添加割合に満たない場合は、不足分を添加すればよい。
界面活性剤は、後述する酸化還元反応溶液における終濃度が、0.006〜80mmol/Lの範囲になるよう添加すればよく、好ましくは0.05〜40mmol/Lの範囲、特に好ましくは0.2〜20mmol/Lの範囲である。また、界面活性剤を添加した溶血試料における界面活性剤の濃度は、例えば、0.1〜200mmol/Lの範囲であり、好ましくは0.5〜100mmol/Lの範囲、特に好ましくは2〜100mmol/Lの範囲である。
続いて、前記界面活性剤を含む溶血試料に対し、さらにテトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを添加する。
テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムは、前記酸化還元反応溶液における終濃度がそれぞれ、テトラゾリウム化合物0.01〜40mmol/Lの範囲、アジ化ナトリウム0.015〜20mmol/Lの範囲となるように添加すればよく、好ましくはテトラゾリウム化合物0.1〜32mmol/Lの範囲、アジ化ナトリウム0.05〜12mmol/Lの範囲であり、特に好ましくはテトラゾリウム化合物0.15〜24mmol/Lの範囲、アジ化ナトリウム0.05〜8mmol/Lの範囲である。
また、前記テトラゾリウム化合物(A)とアジ化ナトリウム(B)の添加割合(モル比A:B)は、例えば、A:B=10:1〜1:1の範囲であり、好ましくは6:1〜1.5:1の範囲、より好ましくは4:1〜2:1の範囲である。
具体的には、前記テトラゾリウム化合物は、例えば、処理溶液中の血球濃度が、1〜10体積%の場合、濃度0.02〜2000mmol/Lの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜1000mmol/Lの範囲、特に好ましくは0.4〜200mmol/Lの範囲である。また、アジ化ナトリウムは、例えば、処理溶液中の血球濃度が、1〜10体積%の場合、濃度0.006〜800mmol/Lの範囲になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.04〜400mmol/Lの範囲、特に好ましくは0.1〜80mmol/Lの範囲である。
前記テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムは、そのまま前記溶血試料に添加してもよい。しかし、操作の簡便性等の点から、溶媒に溶解したテトラゾリウム化合物溶液およびアジ化ナトリウム溶液として、または、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムの両方を含有する溶液(テトラゾリウム化合物・アジ化ナトリウム混合液)として使用することが好ましい。
前記溶液の溶媒としては、例えば、MOPS、CHES、Tris−HCl、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、HEPES、TES等の緩衝液が使用できる。前記溶媒のpHは、例えば、5〜12の範囲であり、好ましくは、6〜10の範囲である。
また、より一層の感度向上が可能であることから、調製した前記テトラゾリウム化合物・アジ化ナトリウム混合液を、前記溶血試料に添加する前に、一定時間放置することによってエージングすることが好ましい。このエージング処理によって、感度が、エージングしない場合よりも、例えば、約1.2〜3倍に向上する。
前記エージングにおいて、例えば、処理温度は、4〜80℃の範囲が好ましく、より好ましくは25〜75℃の範囲であり、特に好ましくは40〜70℃の範囲である。処理時間は、例えば、10分〜200時間の範囲であり、好ましくは1時間〜180時間の範囲であり、より好ましくは3時間〜100時間の範囲である。
前記溶血試料に対して、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを直接または前記溶液として添加した後、通常、処理温度10〜40℃の範囲で、1〜10分インキュベートし、前記試料の前処理を行う。このように試料をテトラゾリウム化合物で前処理することによって、前記試料中に含まれる還元物質等が酸化還元反応に与える影響を除去でき、測定精度も向上できるからである。このようにテトラゾリウム化合物は、還元物質の影響除去による測定精度の向上にも寄与するが、テトラゾリウム化合物とアジ化ナトリウムとの共存によって測定感度も向上する。
続いて、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを添加した前処理済み溶血試料について、プロテアーゼ処理を行う。これは、後の処理に使用するFAODを測定対象物に作用し易くするためである。
前記プロテアーゼとしては、特に制限されないが、例えば、セリンプロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、メタロプロテイナーゼ等が使用でき、具体的には、トリプシン、プロテナーゼK、キモトリプシン、パパイン、ブロメライン、ズブチリシン、エラスターゼ、アミノペプチダーゼ等が好ましい。また、分解する糖化タンパク質が糖化ヘモグロビンの場合、前記プロテアーゼは、前記糖化ヘモグロビンを選択的に分解するプロテアーゼであり、ブロメライン、パパイン、ブタ膵臓由来トリプシン、メタロプロテイナーゼ、Bacillus subtilis由来のプロテアーゼ等が好ましい。前記Bacillus subtilis由来プロテアーゼとしては、商品名プロテアーゼN(例えば、フルカ社製)、商品名プロテアーゼN「アマノ」(天野製薬社製)等があげられる。前記メタロプロテイナーゼとしては、Bacillus属由来メタロプロテイナーゼ(EC3.4.24.4)等があげられる。これらの中でもより好ましくはメタロプロテイナーゼ、ブロメライン、パパインであり、特に好ましくはメタロプロテイナーゼである。このように、選択的に分解するプロテアーゼを使用すれば、特定のタンパク質の分解物を選択的に調製できる。前記プロテアーゼ処理は、通常、緩衝液中で行われ、その処理条件は、使用するプロテアーゼの種類、測定対象物である糖化タンパク質の種類およびその濃度等により適宜決定される。
前記緩衝液としては、例えば、CHES緩衝液、CAPSO緩衝液、CAPS緩衝液、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、EPPS緩衝液、HEPES緩衝液等が使用できる。そのpHは、例えば、6〜13の範囲であり、好ましくは7〜10の範囲である。また、プロテアーゼ処理溶液における前記緩衝液の最終濃度は、例えば、1〜200mmol/Lの範囲である。
具体的には、例えば、前記プロテアーゼとしてメタロプロテイナーゼを用いて前記前処理済み溶血試料を処理する場合、通常、反応液中のメタロプロテイナーゼ濃度2〜20,000KU/L、反応液中の血球濃度0.05〜15体積%、反応温度15〜37℃、反応時間1分〜24時間、pH6〜12の範囲である。
また、例えば、前記プロテアーゼとしてプロテアーゼKを用いて前記前処理済み溶血試料を処理する場合、通常、反応液中のプロテアーゼ濃度1〜10,000KU/L、反応液中の血球濃度0.05〜15体積%、反応温度15〜37℃、反応時間1分〜24時間、pH6〜12の範囲である。また、前記緩衝液の種類も特に制限されず、例えば、トリス塩酸緩衝液、EPPS緩衝液、PIPES緩衝液等が使用できる。
つぎに、前記プロテアーゼ処理により得られた分解物を、前記FAODで処理する。このFAOD処理により、前記式(1)に示す反応が触媒される。
このFAOD処理は、前記プロテアーゼ処理と同様に緩衝液中で行うことが好ましく、その処理条件は、使用するFAODの種類、測定対象物である糖化タンパク質の種類およびその濃度等により適宜決定される。
具体的には、例えば、反応液中のFAOD濃度50〜50,000U/L、反応液中の血球濃度0.01〜1体積%、反応温度15〜37℃、反応時間1〜60分、pH6〜9の範囲である。また、前記緩衝液の種類も特に制限されず、前記プロテアーゼ処理と同様の緩衝液が使用できる。
つぎに、前記FAOD処理で生成した過酸化水素を、PODおよびDA−64を用いて酸化還元反応により測定する。
発色基質であるDA−64は、この酸化還元反応溶液における終濃度が、0.001〜20mmol/Lの範囲となるように添加すればよく、好ましくは0.005〜2mmol/Lの範囲、特に好ましくは0.01〜0.5mmol/Lの範囲である。
また、DA−64(C)と、すでに添加した界面活性剤(D)、テトラゾリウム化合物(E)およびアジ化ナトリウム(F)との添加割合(モル比C:D:E:F)は、1:6:10:3〜1:2000:1000:500の範囲であり、好ましくは1:10:20:10〜1:1000:800:300の範囲であり、より好ましくは1:40:30:10〜1:500:600:200の範囲である。
この酸化還元反応溶液のpHは、6〜9の範囲であり、好ましくは6〜8の範囲である。
前記酸化還元反応は、通常、緩衝液中で行われ、その条件は、前記生成した過酸化水素の濃度等により適宜決定される。具体的には、例えば、反応液中のPOD濃度10〜100,000IU/L、発色性基質濃度0.001〜20mmol/L、反応温度15〜37℃、反応時間0.1〜30分、pH6〜8である。また、前記緩衝液は、特に制限されず、例えば、前記プロテアーゼ処理およびFAOD処理等と同様の緩衝液等が使用できる。
前記DA−64は、酸化還元反応により発色するため、この反応液について、例えば、検出波長650〜760nmの範囲における吸光度(発色程度)を分光光度計で測定すれば、過酸化水素の量を測定できる。そして、測定した過酸化水素量と、予め準備した過酸化水素量と糖化タンパク質量との相関関係を示す検量線とを用いて、試料中の糖化タンパク質量を求めることができる。
このように、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムだけでなく、さらに界面活性剤を添加し、その添加割合を前述の範囲に設定すれば、DA−64の誤発色を防止できるため、バックグラウンドの上昇を抑制した、高い測定精度が実現できる。
また、前述のように、測定対象物は、酸化還元反応を利用するものであれば、特に制限されず、前記糖化タンパク質の他に、例えば、糖化ペプチド、糖化アミノ酸、グルコース、コレステロール、尿酸、クレアチニン、サルコシン、グリセロール等があげられる。これらを測定する場合は、例えば、前述と同様にして測定対象物由来の酸化物質を生成して、その量を酸化還元反応によって測定すればよい。
前記測定対象物由来の酸化物質として、例えば、過酸化水素を発生させ、前記各測定対象物の量を測定する場合は、例えば、前記グルコースにはグルコースオキシダーゼを、前記コレステロールにはコレステロールオキシダーゼを、前記尿酸にはウリカーゼを、前記クレアチニンにはサルコシンオキシダーゼを、前記サルコシンにはサルコシンオキシダーゼを、前記グリセロールにはグリセロールオキシダーゼを、それぞれ作用させて過酸化水素を発生させればよい。この過酸化水素量の測定方法は、前述と同様にして行うことができる。また、糖化ペプチド、糖化アミノ酸は、例えば、前記糖化タンパク質の測定と同様にして測定できる。
実施例
(処理液A)
A−1:ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(PEGLE)7g/L(12mmol/L)を含む40mmol/L CHES緩衝液(pH9.5)
A−2:PEGLE 50g/L(85mmol/L)を含む40mmol/L CHES緩衝液(pH9.5)
(処理液B)
2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩(商品名WST−3、同仁化学社製)5mmol/Lとアジ化ナトリウム1.5mmol/Lとを混合し、50℃で24時間インキュベートした。この混合溶液3mLと、メタロプロテアーゼ(アークレイ社製、10,000KU/L)1mL、MES緩衝液(50mmol/L pH5.5)1mL、NaCl溶液(500mmol/L)および精製水3mLとを混合したものを処理液Bとした。
(処理液C)
C−1:DA−64 80μmol/L
Tris緩衝液(pH7.0)300mmol/L
FAOD(アークレイ社製)30KU/L
POD100KU/U
C−2:DA−64 1000μmol/L
Tris緩衝液(pH7.0)300mmol/L
FAOD(アークレイ社製)30KU/L
POD 100KU/U
(方法)
血液を遠心分離(3000rpm)して血球を回収した。この血球10μLと前記処理液A(A−1、A−2)300μLを混合して、溶血試料を調製した。この溶血試料10μLに、前記処理液B100μLを添加して37℃で5分間インキュベートし、さらに前記処理液C(C−1、C−2)22μLを加えて37℃でインキュベートし、この反応液の吸光度(波長751nm)を自動分析装置JCA−BM8(日本電子株式会社製)を用いて測定した。溶血試料と前記処理液Bとを混合した時点を0秒、処理液C添加時を300秒とした。そして、FAODとPODとによる反応が終了した後に継続して生じる誤発色を測定するために、486秒〜603秒間の吸光度変化量を求めた。下記表1に、反応液における各成分の終濃度およびDA−64 1μmolに対する添加割合を示し、また、吸光度変化量の結果を図1および下記表2に示す。前記図1は、反応液における吸光度の経時変化を示すグラフである。
前記表1に示すように,比較例1は、DA−64 1μmolに対するPEGLEが多く(>0.4mmol)、比較例2は、DA−64 1μmolに対するPEGLE(<0.006mmol)、WST−3(<0.01mmol)、NaN3(<0.003mmol)がそれぞれ少なく、比較例3は、DA−64 1μmolに対するWST−3(<0.01mmol)、NaN3(<0.003mmol)がそれぞれ少ない。このため、比較例1〜3は、図1に示すように誤発色によって高い吸光度を示し、前記表2に示すように吸光度変化量が大きくなるが、実施例1によれば、誤発色が防止されることによって、図1に示すように吸光度が低くなり、前記表2に示すように吸光度変化量も抑制された。これらの結果から、本発明の方法によれば、DA−64の誤発色を防止し、これによって測定精度を向上できることがわかる。
産業上の利用の可能性
以上のように、本発明によれば、発色基質であるDA−64の誤発色を防止できるため、この誤発色防止方法を、酸化還元反応を用いた測定に適用すれば、誤発色によるバックグラウンドの増加を抑制でき、測定精度が向上される。また、このような測定方法を、例えば、赤血球中のHbA1cの測定に適用すれば、従来よりも測定精度が高い測定を実現でき、この結果、HbA1cの糖尿病診断等の指標物質としての重要性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の測定方法の実施例における、吸光度の経時的変化を示したグラフである。
Claims (17)
- テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを含む水性溶媒中におけるN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムの誤発色を防止する方法であって、界面活性剤を前記水性溶媒に共存させた状態で、テトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウムおよびN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムを前記水性溶媒中で混合し、かつ、前記N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリム 1μmolに対するテトラゾリウム化合物の割合を0.01〜1mmolの範囲、アジ化ナトリウムの割合を0.003〜0.5mmolの範囲および前記界面活性剤の割合を0.006〜0.4mmolの範囲とし、前記テトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウム、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムおよび界面活性剤を混合した水性溶媒のpHを6〜9とする方法。
- N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム1μmolに対するテトラゾリウム化合物の割合を0.02〜0.8mmolの範囲、アジ化ナトリウムの割合を0.003〜0.5mmolの範囲および前記界面活性剤の割合を0.01〜0.4mmolの範囲とする請求の範囲1記載の方法。
- テトラゾリウム化合物が2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩である請求の範囲1記載の方法。
- 前記水性溶媒に界面活性剤を添加した後に、テトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウムおよびN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムを添加する請求の範囲1記載の方法。
- 前記水性溶媒に、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを添加した後に、界面活性剤の存在下、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムを添加する請求の範囲1記載の方法。
- N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム、テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムを含むN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム試薬溶液であって、さらに界面活性剤を含み、かつ、前記N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム 1μmolに対し、テトラゾリウム化合物が0.01〜1mmolの範囲、アジ化ナトリウムが0.003〜0.5mmolの範囲および界面活性剤が0.006〜0.4mmolの範囲で含まれており、pHが6〜9の範囲である試薬溶液。
- テトラゾリウム化合物が、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩である請求の範囲6記載の試薬溶液。
- テトラゾリウム化合物およびアジ化ナトリウムの存在下、試料中の測定対象物由来の酸化物質と発色基質であるN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムとを酸化還元酵素により反応させ、前記発色基質の発色量を測定することにより、前記酸化物質の量を測定する方法であって、界面活性剤の存在下、テトラゾリウム化合物、アジ化ナトリウムおよび発色基質を水性溶媒中で混合し、かつ、前記発色基質N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム1μmolに対するテトラゾリウム化合物の割合を0.01〜1mmolの範囲、アジ化ナトリウムの割合を0.003〜0.5mmolの範囲および界面活性剤の割合を0.006〜0.4mmolの範囲とし、前記混合液のpHを6〜9とする測定方法。
- 前記水性溶媒が、測定対象物を含む試料溶液である請求項8記載の測定方法。
- 前記試料溶液に、テトラゾリウム化およびアジ化ナトリウムを添加した後、界面活性剤の存在下、さらにN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムおよび酸化還元酵素を添加して、前記酸化還元酵素による反応を行う請求の範囲9記載の測定方法
- 前記酸化還元酵素による反応に先立って、前記測定対象物をプロテアーゼ処理する請求の範囲10記載の測定方法。
- 前記測定対象物のプロテアーゼ分解物に、前記酸化還元酵素を作用させる請求の範囲11記載の測定方法。
- 前記酸化還元酵素が、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼである請求の範囲8記載の測定方法。
- 測定対象物由来の酸化物質が過酸化水素である請求の範囲8記載の測定方法。
- 測定対象物が糖化タンパク質である請求の範囲8記載の測定方法。
- 測定対象物が、糖化ヘモグロビンである請求の範囲15記載の測定方法。
- テトラゾリウム化合物が2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩である請求の範囲8記載の測定方法。
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