JPWO2003091727A1 - 血液適合性の評価方法 - Google Patents
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Abstract
フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価することを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法を開示する。
Description
技術分野
本発明は、医用材料の血液適合性を評価するための方法に関する。更に詳細には、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価することを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法に関する。本発明の血液適合性の評価方法を用いると、個体差などによって評価結果に違いが生じる血小板過剰血漿を使うことなく、再現性良く、簡便に血液適合性を評価することが可能となる。
従来技術
近年、各種の高分子材料の医用への適応について検討が進められており、人工腎臓用膜、血漿分離用膜、カテーテル、人工肺用膜、人工血管、癒着防止膜、人工皮膚等への高分子材料の利用が期待されている。これらの用途においては、生体にとって異物である合成材料(高分子材料)を生体組織や体液と接触させて使用することになるので、医用材料となる高分子材料は生体適合性を有することが必要である。医用材料に要求される生体適合性はその目的や使用法によって異なるが、血液と接する医用材料には、血液凝固系の抑制、血小板の粘着・活性化の抑制、補体系の活性化の抑制という特性が求められる。このような特性を有する抗血栓性材料は、疾患の診断や治療に使われる機器や用具などに使われており、例えば、ディスポーザブル注射針、ディスポーザブル注射筒、ディスポーザブルチューブ、ディスポーザブルカテーテル、人工腎臓用ディスポーザブルカニューレ、採血用器具、血液バッグ、輸血用器具、輸液用器具、人工腎臓用血液回路、中空糸透析器、人工関節、眼内レンズ、人工肺、人工血管などに使用されている。
種々の材料を生体組織や血液と接触させた場合、最初に起こる現象が蛋白質吸着であり、吸着した蛋白質を介して細胞接着が生じる。このような細胞接着によって血栓形成、炎症、貧食などが生じることになる。血栓形成は血液中の多成分が関与する複雑な階級反応であるが、主に2つのプロセスからなるとされている。1つは凝固因子のカスケード反応による不溶性フィブリンの生成であり、他の1つは血小板の凝集による血栓の生成である。この2つのプロセスにより典型的な血栓が形成される。医療器具等に血栓が形成されると、器具の本来果たすべき機能は著しく損なわれることになる。例えば、人工血管であれば栓塞し、機能の発現は困難となるばかりでなく、剥離した血栓が血流に乗り、他の臓器において栓塞を起こすことも十分予想される。
また、血清中には補体系という20種の血漿蛋白より構成される生体防御に重要な役割を担う系が存在する。補体系は抗体の殺菌活性に重要な役割を果たし、その活性経路は古典経路および第2経路の2つに大別される。血液が医用材料に接触すると、補体の活性化が主に第2経路によって起こり、免疫応答の異常や血圧上昇といった症状を引き起こす。
上述したように、医用材料にはその目的、使用法に応じた生体適合性が要求されるが、特に血小板吸着量評価は抗血栓性との相関の良さから、抗血栓性材料を評価する際に初めに選択する評価方法となっている。血栓形成反応には、凝固因子に加え血小板も重要な役割を担っている。血小板の働きは血管への付着から始まるが、これには凝固第VIII因子が関与し、続く凝固反応には第XII因子が関与する。現在使用されている医用材料の多くは血液と接触する箇所で使用されているため、生体から血小板過剰血漿(Platelet Rich Plasma、“PRP”と略す)を調製し、PRPを用いてそこに存在する血小板の材料に対する付着を評価することで血小板吸着量評価が行われている。この方法は、測定手技が確立されており、血栓形成の評価として採用されている(”Blood compatibility aspects of poly(2−methoxyethylacrylate)(PMEA)−relationship between protein adsorption and platelet adhesion on PMEA surface”,Masaru Tanaka,Tadashi Motomura,Miho Kawada,Takao Anzai,Yuu Kasori,Toshifumi Shiroya,Kenichi Shimura,Makoto Onishi,Akira Mochizuki,Biomaterials,21,1471−1481(2000))。
上述した血液適合性の評価方法は生体由来の材料であるPRPを用いるため、個体差や血漿採血の日時、採血方法などがPRPの血小板量および血小板の形態に影響を与える。このようなPRPの性質のばらつきが測定系の不安定要因となっている。従って、再現性の高い、簡便な血液適合性の評価方法の確立が望まれている。
その他の血液適合性の評価方法としては、例えば、単離した血小板をRI(111In等の放射性同位元素)でラベルし、材料に接触させ、材料に吸着した血小板の放射活性を評価することで、血小板吸着量を求める方法(”Baboon Fibrinogen Adsorption and Platelet Adhesion to Polymeric Materi−als”,Joseph A.Chinn,Thomas A.Horbett,and Buddy D.Ratner,Thombosis and Haemotasis,65,608−617(1991))が報告されている。しかし、この評価方法は、血小板の単離やRIによるラベル化といった複雑な操作が必要であるため、再現性の高い、簡便な血液適合性の評価方法の確立が望まれている。
発明の概要
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、驚くべきことに、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を医用材料の試験片と接触させることで、試験片に吸着させたフィブリノーゲンの量は、PRPを用いて測定した血小板吸着量と良好な相関性を示すことを知見し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の主の目的は、再現性良く、簡便に血液適合性の評価を行うための方法を提供することにある。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、添付の図面を参照しながら行う以下の詳細な説明及び請求の範囲から明らかになる。
発明の詳細な説明
本発明によれば、(a)フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、
(b)該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、
(c)該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして
(d)該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価する、
ことを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法が提供される。
次に、本発明の理解を容易にするために、まず本発明の基本的特徴及び好ましい態様を列挙する。
1.(a)フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、
(b)該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、
(c)該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして
(d)該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価する、
ことを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法。
2.該少なくとも1種の他の血漿蛋白がアルブミン及び免疫グロブリンを包含することを特徴とする、前項1に記載の方法。
3.該水溶液中のフィブリノーゲン/アルブミン/免疫グロブリンの重量比が、2/60/10〜8/90/40であることを特徴とする、前項2に記載の方法。
4.該水溶液が100〜400ppmのフィブリノーゲン、3,000〜4,500ppmのアルブミン及び500〜2,000ppmの免疫グロブリンを含むことを特徴とする、前項2又は3に記載の方法。
5.該水溶液が200〜400ppmのフィブリノーゲン、3,500〜4,500ppmのアルブミン及び600〜1,700ppmの免疫グロブリンを含むことを特徴とする、前項4に記載の方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、(a)フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、
(b)該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、
(c)該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして
(d)該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価する、
ことを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法である。
本発明の評価方法の工程(a)においては、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液(以下、屡々、「血漿蛋白混合水溶液」と称する)を提供する。フィブリノーゲンは血漿蛋白の1種であり、血栓形成に最も関与する細胞の一つである血小板の粘着に影響を与える吸着蛋白質である。フィブリノーゲンは細胞の接着を強めることが知られていることから、本発明においては、フィブリノーゲンに着目した。
本発明で用いるフィブリノーゲン以外の血漿蛋白に特に限定はないが、アルブミン、α1−セロムコイド、α1−アンチトリプシン、α1−マクログロブリン、α1−ハプトグロブリン、α1−セルロプラスミン、トランスフェリン、リポプロテイン、IgA、γ−グロブリン(IgG)、IgM等の免疫グロブリン、Clq、C3、C4、フィブロネクチン等が挙げられる。本発明者は、フィブリノーゲンのみならず、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白とを組み合わせて用いると、フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との間に良好な相関性が存在することを知見した。その理由は明らかではないが、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白とを組み合わせて用いると、生体内における環境と同様の相互作用が血漿蛋白の間に生じるためであると考えられる。
フィブリノーゲンと共に用いる少なくとも1種の他の血漿蛋白としては、アルブミンと免疫グロブリンが好ましい。血小板の接着に影響を与える血中に存在する吸着蛋白質は、フィブリノーゲン、アルブミン、γ−グロブリンの3種類であると言われており(「バイオマテリアル(Biomaterials Science)」、p.56−65、中原宣男、石原一彦、岩崎泰彦共著、コロナ社(1999))、フィブリノーゲンは細胞の接着を強め、アルブミンやγ−グロブリンは細胞の接着を弱めると報告されている。これら3種の血漿蛋白を組み合わせて用いた場合に、フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との間に極めて良好な相関性が見られる。本発明で使用する免疫グロブリンに特に限定はなく、IgG、IgA、IgMやIgEなどが挙げられ、入手容易性からIgGが好ましい。
フィブリノーゲンやその他の血漿蛋白としては、ヒト、牛、羊、ウサギ、ラット、マウスなどの蛋白や、遺伝子組み換え蛋白を用いることができる。しかし、ヒトの血液に対する血液適合性を評価する場合には、ヒト由来の蛋白を用いることが好ましい。
本発明の評価方法は、医用材料のヒト血液に対する適合性を評価することを主な目的とするため、血漿蛋白混合水溶液に含まれる血漿蛋白の割合(即ち、フィブリノーゲンに対する他の血漿蛋白の重量比)が、ヒト血液中に存在する血漿蛋白の割合と同一であることが好ましい。血漿蛋白の割合が血液中に存在する割合と同一であるということは、フィブリノーゲンの置かれている環境がヒト血液中の環境に近いということであり、このことが血小板吸着量とフィブリノーゲン吸着量との間に高い相関性が見られる理由の一つと考えられる。
血液中に存在する血漿蛋白の割合は、血液中の血漿蛋白濃度から容易に求めることができる。例えば、ワラック検査値ハンドブック(Interpretation of Diagnostic Tests、原著第6版、Jacques Wallach著、福井次矢監訳、田島裕訳、医歯薬出版株式会社、(1997))によると、フィブリノーゲン、アルブミン及びγ−グロブリンのヒトの正常値は以下の値である。
本発明で用いる血漿蛋白混合水溶液がフィブリノーゲン、アルブミン及び免疫グロブリンの3種の血漿蛋白を含有する場合には、血漿蛋白混合水溶液におけるフィブリノーゲン/アルブミン/免疫グロブリンの重量比は、2/60/10〜8/90/40であることが好ましく、4/70/12〜8/90/34であることが更に好ましい。
更に本発明においては、血漿蛋白混合水溶液に含まれる血漿蛋白濃度に特に限定はないが、血液に存在する蛋白濃度の1/10であることが好ましい。本発明の方法においては、血漿蛋白混合水溶液の血漿蛋白濃度が血液に存在する蛋白濃度の1/10でも医用材料の血液適合性を評価するのに十分である。本発明で用いる血漿蛋白混合水溶液がフィブリノーゲン、アルブミン及び免疫グロブリンの3種の血漿蛋白を含有する場合には、上記表1に記載のヒト血液の血漿蛋白濃度に基づき、好ましいフィブリノーゲンの濃度は100〜400ppm(即ち、mg/リットル)、更に好ましくは200〜400ppmとする。また、好ましいアルブミン濃度は3,000〜4,500ppm、更に好ましくは3,500〜4,500ppmとし、好ましい免疫グロブリン濃度は500〜2,000ppm、更に好ましくは600〜1,700ppmとする。
フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解する水系の溶媒としては、蛋白の変性などを防ぐためにpH6〜8を維持することが可能な緩衝液であれば特に限定はない。入手の容易さから、生理食塩水やリン酸緩衝液が好ましい。血漿蛋白の混合物を溶解してなる水溶液は、蛋白溶液の調製に通常用いる方法で調製すればよく、水系の溶媒に血漿蛋白を0℃〜室温で静かに溶解するだけで調製することが可能である。
このようにして得られた血漿蛋白混合水溶液には、血漿蛋白の他に、緩衝液中の塩が含まれる。また、例えばショ糖などの糖類が含まれていてもかまわない。
本発明の評価方法の工程(b)においては、血漿蛋白混合水溶液を医用材料の試験片と接触させて、血漿蛋白混合水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させる。血漿蛋白混合水溶液と試験片を接触させる方法は、フィブリノーゲンが試験片に吸着することのできる方法であれば特に限定はなく、例えば、37℃の血漿蛋白溶液に試験片を1〜3時間浸漬すればよい。
次に、本発明の評価方法の工程(c)においては、試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定する。試験片にはフィブリノーゲンと共に、少なくとも1種の他の血漿蛋白も吸着しているので、フィブリノーゲンの吸着量を選択的に測定しなければならない。具体的には、RI(放射性同位元素、例えば、125I)でラベルしたフィブリノーゲンを用い、試験片の放射活性を評価することで、フィブリノーゲンの吸着量を求める方法(Human plasma fibirinogen adsorption and platelet adhesion to polystylene,Wei−Bor Tsai,John M.Grunkemeier,Thomas A.Horbett,J.Biomed.Mater.Res.,44,130−139(1999))や、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)で標識したフィブリノーゲンに特異的に結合する抗体を用いる酵素免疫学的評価法(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay;以下、屡々、“ELISA”と略す)が挙げられる。特異性が高いことと測定の簡便さから、本発明の工程(c)で用いる方法としてはELISAが好ましい。
次に、本発明の評価方法の工程(d)においては、吸着したフィブリノーゲンの量から医用材料の血液適合性を評価する。上述したように、本発明の方法で測定したフィブリノーゲンの吸着量と血小板吸着量の間には高い相関性が見られるので、フィブリノーゲン吸着量から血小板吸着量を算出することができる。具体的には、本願の図1のような、フィブリノーゲンの吸着量と血小板吸着量との関係を示す検量線を作成し、それを用いてフィブリノーゲン吸着量から血小板吸着量を求めることができる。従って、本発明の方法によれば、血漿、PRPや血小板といった生体由来材料を使うことがないので、個体差や採血日時、採血方法などの影響による評価結果のばらつきを考慮することなく、血小板吸着量に基づく血液適合性を評価することができる。また、本発明の方法においては、例えば、評価対象となる高分子などで被覆したフィルムと未被覆フィルムのそれぞれのフィブリノーゲン吸着量を測定し、被覆したフィルムと未被覆フィルムの間に見られるフィブリノーゲン吸着量の差から血液適合性を比較することもできる。
本発明の方法によって血液適合性を評価することのできる医用材料に特に限定はないが、疾患の診断や治療に使われる機器・用具などを構成する材料もしくはそれらの表面に被膜を形成するための材料が挙げられる。具体的には、ディスポーザブル注射針、ディスポーザブル注射筒、ディスポーザブルチューブ、ディスポーザブルカテーテル、人工腎臓用ディスポーザブルカニューレ、採血用器具、血液バッグ、輸血用器具、輸液用器具、人工腎臓用血液回路、中空糸透析器、人工関節、眼内レンズ、人工肺や人工血管を構成する材料もしくはその表面に被膜を形成するための材料の血液適合性を本発明の方法によって評価することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、参考例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
参考例1
医用材料の試験片となるポリスルフォンフィルムの調製
5gのポリスルフォン(平均分子量3,500)を100mlの1,2−ジクロロエタンに溶解してポリスルフォンポリマー溶液を調製した。この溶液10gを直径9cmのシャーレ上に塗布して常圧・室温下で乾燥し、膜厚が約70μmのフィルムを得た。得られたフィルムを直径12.7mmの円状に切り抜き、これを基盤フィルムとした。このフィルムをポロクサマー(Poloxamer)(日本国、旭電化工業(株)製のアデカプルロニックF−68(商標))の水溶液(ポロクサマー濃度は0.1,0.5,1,2又は5重量%)に浸漬し、常圧・室温下で乾燥することで基盤フィルムを被覆し、被覆量の異なる5種の医用材料の試験片を得た。
実施例1
フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を用いた血液適合性の評価
血漿蛋白としてヒト フィブリノーゲン、ヒトIgGおよびヒト アルブミンを用いて血液適合性を評価した。精製抗原であるヒトIgG、ヒト フィブリノーゲンおよびヒト アルブミンをPBSに溶解し、ヒトIgGが1,000ppm、ヒト フィブリノーゲンが300ppm、そしてヒト アルブミンが4,000ppmの水溶液を得た。参考例1で作製した、被覆量の異なる種々の試験片をそれぞれ上記の水溶液に浸漬し、37℃で2時間試験片と血漿蛋白を接触させ、血漿蛋白を試験片に吸着させた。フィブリノーゲン、IgGおよびアルブミンの吸着量をそれぞれの精製抗原に対応するHRP(Horse Radish Peroxidase)標識化抗体を用いたELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)法により定量した。試験片に対する精製抗原(フィブリノーゲン、IgG又はアルブミン)の吸着量は、吸光度(波長450nm)で表した。
更に参考例1で作製した試験片について、ヒト血小板過剰血漿(Platelet Rich Plasma;以下、“PRP”と略す)に由来する血小板の吸着量を測定した。クエン酸で抗凝固したヒト新鮮全血を1,200rpmで10分間遠心し、遠心分離後の上層となるPRPを分取した。参考例1で作成した、被覆量の異なる種々の試験片を24穴プレートのウエルに入れ、そこに1mlのPRPを添加し、37℃で2時間浸漬することで血小板を試験片に吸着させた。ヒトPRP由来血小板吸着量は、Masaru Tanaka et al.,Biomaterials,21,1471−1481(2000)を参考に、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって求めた。具体的には、拡大倍率500倍の条件下で、同一視野に存在する血小板の数(x104/cm2)を血小板吸着数とした。
フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との関係を図1に示し、IgG吸着量と血小板吸着量との関係を図2に示し、アルブミン吸着量と血小板吸着量との関係を図3に示した。フィブリノーゲン吸着量(図1)と血小板吸着量との間に相関性(相関係数=0.747)が見られた。一方、ヒトIgG(図2)およびヒトアルブミン(図3)の場合は、いずれも血漿蛋白吸着量と血小板吸着量との間に相関性は見られなかった。
比較例1〜3
血漿蛋白として、ヒトIgGのみを含む溶液、ヒトフィブリノーゲンのみを含む溶液及びヒトアルブミンのみを含む溶液をそれぞれ用いて血液適合性を評価した。
5,000ppmのヒトIgG溶液、300ppmのヒトフィブリノーゲン溶液及び5,000ppmのヒトアルブミン溶液をそれぞれ用い、実施例1と同様に、参考例1で作成した被覆量の異なる種々の試験片に対する各血漿蛋白の結合量を測定した。
更に参考例1で作製した被覆量の異なる種々の試験片について、実施例1と同様にヒトPRP由来血小板の吸着量を測定した。
フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との関係を図4に示し、IgG吸着量と血小板吸着量との関係を図5に示し、アルブミン吸着量と血小板吸着量との関係を図6に示した。図4〜6から明らかなように、フィブリノーゲン単独や、他の血漿蛋白を単独で用いても、図1に見られるようなフィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との間の相関性は見られなかった。
参考例2
PRPを用いた血小板吸着量の測定
実施例1と同様にクエン酸で抗凝固したヒト新鮮全血からPRPを調製し、PET製の試験フィルムに対するヒトPRP由来血小板の吸着量を測定した。PET製の試験フィルムを24穴プレートのウエルに入れ、そこに1mlのPRPを添加した。試験フィルムをPRPに37℃で2時間浸漬することで血小板を吸着させた。血小板の吸着したフィルムは走査型電子顕微鏡(倍率2,000倍)で観察した。この血小板吸着実験は、同じ試験フィルムと異なる個体の供血から調製したPRPを用いて再度実施した。1回目の結果を図7に示し、2回目の結果を図8に示す。図7及び図8から明らかなように、同じ試験フィルムに吸着した血小板でも、ヒト個体差および血漿採血の日時、採血方法などの影響を大きく受けて、吸着量および血小板の形態が大きく異なっている。従って、PRPを用いた従来の血液適合性の評価方法は、PRPの調製などの複雑な工程が必要な上に、再現性が低い。
産業上の利用可能性
本発明の血液適合性の評価方法を用いると、生体由来の材料である血漿、血小板過剰血漿や血小板などを用いることなく、医用材料の血液適合性を評価することができる。従って、個体差や血漿採血の日時、採血方法などによる評価結果のばらつきを考慮することなく、再現性良く、簡便に血液適合性を評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図面において:
図1は、フィブリノーゲン、IgG及びアルブミンを含む水溶液を用いて測定した、フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図2は、フィブリノーゲン、IgG及びアルブミンを含む水溶液を用いて測定したIgG吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図3は、フィブリノーゲン、IgG及びアルブミンを含む水溶液を用いて測定したアルブミン吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図4は、フィブリノーゲンのみを含む水溶液を用いて測定したフィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図5は、IgGのみを含む水溶液を用いて測定したIgG吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図6は、アルブミンのみを含む水溶液を用いて測定したアルブミン吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図7は、PRP由来血小板の吸着した試験片のSEM画像であり;そして
図8は、PRP由来血小板の吸着した試験片のSEM画像である。
本発明は、医用材料の血液適合性を評価するための方法に関する。更に詳細には、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価することを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法に関する。本発明の血液適合性の評価方法を用いると、個体差などによって評価結果に違いが生じる血小板過剰血漿を使うことなく、再現性良く、簡便に血液適合性を評価することが可能となる。
従来技術
近年、各種の高分子材料の医用への適応について検討が進められており、人工腎臓用膜、血漿分離用膜、カテーテル、人工肺用膜、人工血管、癒着防止膜、人工皮膚等への高分子材料の利用が期待されている。これらの用途においては、生体にとって異物である合成材料(高分子材料)を生体組織や体液と接触させて使用することになるので、医用材料となる高分子材料は生体適合性を有することが必要である。医用材料に要求される生体適合性はその目的や使用法によって異なるが、血液と接する医用材料には、血液凝固系の抑制、血小板の粘着・活性化の抑制、補体系の活性化の抑制という特性が求められる。このような特性を有する抗血栓性材料は、疾患の診断や治療に使われる機器や用具などに使われており、例えば、ディスポーザブル注射針、ディスポーザブル注射筒、ディスポーザブルチューブ、ディスポーザブルカテーテル、人工腎臓用ディスポーザブルカニューレ、採血用器具、血液バッグ、輸血用器具、輸液用器具、人工腎臓用血液回路、中空糸透析器、人工関節、眼内レンズ、人工肺、人工血管などに使用されている。
種々の材料を生体組織や血液と接触させた場合、最初に起こる現象が蛋白質吸着であり、吸着した蛋白質を介して細胞接着が生じる。このような細胞接着によって血栓形成、炎症、貧食などが生じることになる。血栓形成は血液中の多成分が関与する複雑な階級反応であるが、主に2つのプロセスからなるとされている。1つは凝固因子のカスケード反応による不溶性フィブリンの生成であり、他の1つは血小板の凝集による血栓の生成である。この2つのプロセスにより典型的な血栓が形成される。医療器具等に血栓が形成されると、器具の本来果たすべき機能は著しく損なわれることになる。例えば、人工血管であれば栓塞し、機能の発現は困難となるばかりでなく、剥離した血栓が血流に乗り、他の臓器において栓塞を起こすことも十分予想される。
また、血清中には補体系という20種の血漿蛋白より構成される生体防御に重要な役割を担う系が存在する。補体系は抗体の殺菌活性に重要な役割を果たし、その活性経路は古典経路および第2経路の2つに大別される。血液が医用材料に接触すると、補体の活性化が主に第2経路によって起こり、免疫応答の異常や血圧上昇といった症状を引き起こす。
上述したように、医用材料にはその目的、使用法に応じた生体適合性が要求されるが、特に血小板吸着量評価は抗血栓性との相関の良さから、抗血栓性材料を評価する際に初めに選択する評価方法となっている。血栓形成反応には、凝固因子に加え血小板も重要な役割を担っている。血小板の働きは血管への付着から始まるが、これには凝固第VIII因子が関与し、続く凝固反応には第XII因子が関与する。現在使用されている医用材料の多くは血液と接触する箇所で使用されているため、生体から血小板過剰血漿(Platelet Rich Plasma、“PRP”と略す)を調製し、PRPを用いてそこに存在する血小板の材料に対する付着を評価することで血小板吸着量評価が行われている。この方法は、測定手技が確立されており、血栓形成の評価として採用されている(”Blood compatibility aspects of poly(2−methoxyethylacrylate)(PMEA)−relationship between protein adsorption and platelet adhesion on PMEA surface”,Masaru Tanaka,Tadashi Motomura,Miho Kawada,Takao Anzai,Yuu Kasori,Toshifumi Shiroya,Kenichi Shimura,Makoto Onishi,Akira Mochizuki,Biomaterials,21,1471−1481(2000))。
上述した血液適合性の評価方法は生体由来の材料であるPRPを用いるため、個体差や血漿採血の日時、採血方法などがPRPの血小板量および血小板の形態に影響を与える。このようなPRPの性質のばらつきが測定系の不安定要因となっている。従って、再現性の高い、簡便な血液適合性の評価方法の確立が望まれている。
その他の血液適合性の評価方法としては、例えば、単離した血小板をRI(111In等の放射性同位元素)でラベルし、材料に接触させ、材料に吸着した血小板の放射活性を評価することで、血小板吸着量を求める方法(”Baboon Fibrinogen Adsorption and Platelet Adhesion to Polymeric Materi−als”,Joseph A.Chinn,Thomas A.Horbett,and Buddy D.Ratner,Thombosis and Haemotasis,65,608−617(1991))が報告されている。しかし、この評価方法は、血小板の単離やRIによるラベル化といった複雑な操作が必要であるため、再現性の高い、簡便な血液適合性の評価方法の確立が望まれている。
発明の概要
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、驚くべきことに、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を医用材料の試験片と接触させることで、試験片に吸着させたフィブリノーゲンの量は、PRPを用いて測定した血小板吸着量と良好な相関性を示すことを知見し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の主の目的は、再現性良く、簡便に血液適合性の評価を行うための方法を提供することにある。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、添付の図面を参照しながら行う以下の詳細な説明及び請求の範囲から明らかになる。
発明の詳細な説明
本発明によれば、(a)フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、
(b)該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、
(c)該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして
(d)該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価する、
ことを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法が提供される。
次に、本発明の理解を容易にするために、まず本発明の基本的特徴及び好ましい態様を列挙する。
1.(a)フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、
(b)該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、
(c)該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして
(d)該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価する、
ことを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法。
2.該少なくとも1種の他の血漿蛋白がアルブミン及び免疫グロブリンを包含することを特徴とする、前項1に記載の方法。
3.該水溶液中のフィブリノーゲン/アルブミン/免疫グロブリンの重量比が、2/60/10〜8/90/40であることを特徴とする、前項2に記載の方法。
4.該水溶液が100〜400ppmのフィブリノーゲン、3,000〜4,500ppmのアルブミン及び500〜2,000ppmの免疫グロブリンを含むことを特徴とする、前項2又は3に記載の方法。
5.該水溶液が200〜400ppmのフィブリノーゲン、3,500〜4,500ppmのアルブミン及び600〜1,700ppmの免疫グロブリンを含むことを特徴とする、前項4に記載の方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、(a)フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、
(b)該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、
(c)該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして
(d)該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価する、
ことを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法である。
本発明の評価方法の工程(a)においては、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液(以下、屡々、「血漿蛋白混合水溶液」と称する)を提供する。フィブリノーゲンは血漿蛋白の1種であり、血栓形成に最も関与する細胞の一つである血小板の粘着に影響を与える吸着蛋白質である。フィブリノーゲンは細胞の接着を強めることが知られていることから、本発明においては、フィブリノーゲンに着目した。
本発明で用いるフィブリノーゲン以外の血漿蛋白に特に限定はないが、アルブミン、α1−セロムコイド、α1−アンチトリプシン、α1−マクログロブリン、α1−ハプトグロブリン、α1−セルロプラスミン、トランスフェリン、リポプロテイン、IgA、γ−グロブリン(IgG)、IgM等の免疫グロブリン、Clq、C3、C4、フィブロネクチン等が挙げられる。本発明者は、フィブリノーゲンのみならず、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白とを組み合わせて用いると、フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との間に良好な相関性が存在することを知見した。その理由は明らかではないが、フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白とを組み合わせて用いると、生体内における環境と同様の相互作用が血漿蛋白の間に生じるためであると考えられる。
フィブリノーゲンと共に用いる少なくとも1種の他の血漿蛋白としては、アルブミンと免疫グロブリンが好ましい。血小板の接着に影響を与える血中に存在する吸着蛋白質は、フィブリノーゲン、アルブミン、γ−グロブリンの3種類であると言われており(「バイオマテリアル(Biomaterials Science)」、p.56−65、中原宣男、石原一彦、岩崎泰彦共著、コロナ社(1999))、フィブリノーゲンは細胞の接着を強め、アルブミンやγ−グロブリンは細胞の接着を弱めると報告されている。これら3種の血漿蛋白を組み合わせて用いた場合に、フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との間に極めて良好な相関性が見られる。本発明で使用する免疫グロブリンに特に限定はなく、IgG、IgA、IgMやIgEなどが挙げられ、入手容易性からIgGが好ましい。
フィブリノーゲンやその他の血漿蛋白としては、ヒト、牛、羊、ウサギ、ラット、マウスなどの蛋白や、遺伝子組み換え蛋白を用いることができる。しかし、ヒトの血液に対する血液適合性を評価する場合には、ヒト由来の蛋白を用いることが好ましい。
本発明の評価方法は、医用材料のヒト血液に対する適合性を評価することを主な目的とするため、血漿蛋白混合水溶液に含まれる血漿蛋白の割合(即ち、フィブリノーゲンに対する他の血漿蛋白の重量比)が、ヒト血液中に存在する血漿蛋白の割合と同一であることが好ましい。血漿蛋白の割合が血液中に存在する割合と同一であるということは、フィブリノーゲンの置かれている環境がヒト血液中の環境に近いということであり、このことが血小板吸着量とフィブリノーゲン吸着量との間に高い相関性が見られる理由の一つと考えられる。
血液中に存在する血漿蛋白の割合は、血液中の血漿蛋白濃度から容易に求めることができる。例えば、ワラック検査値ハンドブック(Interpretation of Diagnostic Tests、原著第6版、Jacques Wallach著、福井次矢監訳、田島裕訳、医歯薬出版株式会社、(1997))によると、フィブリノーゲン、アルブミン及びγ−グロブリンのヒトの正常値は以下の値である。
本発明で用いる血漿蛋白混合水溶液がフィブリノーゲン、アルブミン及び免疫グロブリンの3種の血漿蛋白を含有する場合には、血漿蛋白混合水溶液におけるフィブリノーゲン/アルブミン/免疫グロブリンの重量比は、2/60/10〜8/90/40であることが好ましく、4/70/12〜8/90/34であることが更に好ましい。
更に本発明においては、血漿蛋白混合水溶液に含まれる血漿蛋白濃度に特に限定はないが、血液に存在する蛋白濃度の1/10であることが好ましい。本発明の方法においては、血漿蛋白混合水溶液の血漿蛋白濃度が血液に存在する蛋白濃度の1/10でも医用材料の血液適合性を評価するのに十分である。本発明で用いる血漿蛋白混合水溶液がフィブリノーゲン、アルブミン及び免疫グロブリンの3種の血漿蛋白を含有する場合には、上記表1に記載のヒト血液の血漿蛋白濃度に基づき、好ましいフィブリノーゲンの濃度は100〜400ppm(即ち、mg/リットル)、更に好ましくは200〜400ppmとする。また、好ましいアルブミン濃度は3,000〜4,500ppm、更に好ましくは3,500〜4,500ppmとし、好ましい免疫グロブリン濃度は500〜2,000ppm、更に好ましくは600〜1,700ppmとする。
フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解する水系の溶媒としては、蛋白の変性などを防ぐためにpH6〜8を維持することが可能な緩衝液であれば特に限定はない。入手の容易さから、生理食塩水やリン酸緩衝液が好ましい。血漿蛋白の混合物を溶解してなる水溶液は、蛋白溶液の調製に通常用いる方法で調製すればよく、水系の溶媒に血漿蛋白を0℃〜室温で静かに溶解するだけで調製することが可能である。
このようにして得られた血漿蛋白混合水溶液には、血漿蛋白の他に、緩衝液中の塩が含まれる。また、例えばショ糖などの糖類が含まれていてもかまわない。
本発明の評価方法の工程(b)においては、血漿蛋白混合水溶液を医用材料の試験片と接触させて、血漿蛋白混合水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させる。血漿蛋白混合水溶液と試験片を接触させる方法は、フィブリノーゲンが試験片に吸着することのできる方法であれば特に限定はなく、例えば、37℃の血漿蛋白溶液に試験片を1〜3時間浸漬すればよい。
次に、本発明の評価方法の工程(c)においては、試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定する。試験片にはフィブリノーゲンと共に、少なくとも1種の他の血漿蛋白も吸着しているので、フィブリノーゲンの吸着量を選択的に測定しなければならない。具体的には、RI(放射性同位元素、例えば、125I)でラベルしたフィブリノーゲンを用い、試験片の放射活性を評価することで、フィブリノーゲンの吸着量を求める方法(Human plasma fibirinogen adsorption and platelet adhesion to polystylene,Wei−Bor Tsai,John M.Grunkemeier,Thomas A.Horbett,J.Biomed.Mater.Res.,44,130−139(1999))や、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)で標識したフィブリノーゲンに特異的に結合する抗体を用いる酵素免疫学的評価法(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay;以下、屡々、“ELISA”と略す)が挙げられる。特異性が高いことと測定の簡便さから、本発明の工程(c)で用いる方法としてはELISAが好ましい。
次に、本発明の評価方法の工程(d)においては、吸着したフィブリノーゲンの量から医用材料の血液適合性を評価する。上述したように、本発明の方法で測定したフィブリノーゲンの吸着量と血小板吸着量の間には高い相関性が見られるので、フィブリノーゲン吸着量から血小板吸着量を算出することができる。具体的には、本願の図1のような、フィブリノーゲンの吸着量と血小板吸着量との関係を示す検量線を作成し、それを用いてフィブリノーゲン吸着量から血小板吸着量を求めることができる。従って、本発明の方法によれば、血漿、PRPや血小板といった生体由来材料を使うことがないので、個体差や採血日時、採血方法などの影響による評価結果のばらつきを考慮することなく、血小板吸着量に基づく血液適合性を評価することができる。また、本発明の方法においては、例えば、評価対象となる高分子などで被覆したフィルムと未被覆フィルムのそれぞれのフィブリノーゲン吸着量を測定し、被覆したフィルムと未被覆フィルムの間に見られるフィブリノーゲン吸着量の差から血液適合性を比較することもできる。
本発明の方法によって血液適合性を評価することのできる医用材料に特に限定はないが、疾患の診断や治療に使われる機器・用具などを構成する材料もしくはそれらの表面に被膜を形成するための材料が挙げられる。具体的には、ディスポーザブル注射針、ディスポーザブル注射筒、ディスポーザブルチューブ、ディスポーザブルカテーテル、人工腎臓用ディスポーザブルカニューレ、採血用器具、血液バッグ、輸血用器具、輸液用器具、人工腎臓用血液回路、中空糸透析器、人工関節、眼内レンズ、人工肺や人工血管を構成する材料もしくはその表面に被膜を形成するための材料の血液適合性を本発明の方法によって評価することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、参考例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
参考例1
医用材料の試験片となるポリスルフォンフィルムの調製
5gのポリスルフォン(平均分子量3,500)を100mlの1,2−ジクロロエタンに溶解してポリスルフォンポリマー溶液を調製した。この溶液10gを直径9cmのシャーレ上に塗布して常圧・室温下で乾燥し、膜厚が約70μmのフィルムを得た。得られたフィルムを直径12.7mmの円状に切り抜き、これを基盤フィルムとした。このフィルムをポロクサマー(Poloxamer)(日本国、旭電化工業(株)製のアデカプルロニックF−68(商標))の水溶液(ポロクサマー濃度は0.1,0.5,1,2又は5重量%)に浸漬し、常圧・室温下で乾燥することで基盤フィルムを被覆し、被覆量の異なる5種の医用材料の試験片を得た。
実施例1
フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を用いた血液適合性の評価
血漿蛋白としてヒト フィブリノーゲン、ヒトIgGおよびヒト アルブミンを用いて血液適合性を評価した。精製抗原であるヒトIgG、ヒト フィブリノーゲンおよびヒト アルブミンをPBSに溶解し、ヒトIgGが1,000ppm、ヒト フィブリノーゲンが300ppm、そしてヒト アルブミンが4,000ppmの水溶液を得た。参考例1で作製した、被覆量の異なる種々の試験片をそれぞれ上記の水溶液に浸漬し、37℃で2時間試験片と血漿蛋白を接触させ、血漿蛋白を試験片に吸着させた。フィブリノーゲン、IgGおよびアルブミンの吸着量をそれぞれの精製抗原に対応するHRP(Horse Radish Peroxidase)標識化抗体を用いたELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)法により定量した。試験片に対する精製抗原(フィブリノーゲン、IgG又はアルブミン)の吸着量は、吸光度(波長450nm)で表した。
更に参考例1で作製した試験片について、ヒト血小板過剰血漿(Platelet Rich Plasma;以下、“PRP”と略す)に由来する血小板の吸着量を測定した。クエン酸で抗凝固したヒト新鮮全血を1,200rpmで10分間遠心し、遠心分離後の上層となるPRPを分取した。参考例1で作成した、被覆量の異なる種々の試験片を24穴プレートのウエルに入れ、そこに1mlのPRPを添加し、37℃で2時間浸漬することで血小板を試験片に吸着させた。ヒトPRP由来血小板吸着量は、Masaru Tanaka et al.,Biomaterials,21,1471−1481(2000)を参考に、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって求めた。具体的には、拡大倍率500倍の条件下で、同一視野に存在する血小板の数(x104/cm2)を血小板吸着数とした。
フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との関係を図1に示し、IgG吸着量と血小板吸着量との関係を図2に示し、アルブミン吸着量と血小板吸着量との関係を図3に示した。フィブリノーゲン吸着量(図1)と血小板吸着量との間に相関性(相関係数=0.747)が見られた。一方、ヒトIgG(図2)およびヒトアルブミン(図3)の場合は、いずれも血漿蛋白吸着量と血小板吸着量との間に相関性は見られなかった。
比較例1〜3
血漿蛋白として、ヒトIgGのみを含む溶液、ヒトフィブリノーゲンのみを含む溶液及びヒトアルブミンのみを含む溶液をそれぞれ用いて血液適合性を評価した。
5,000ppmのヒトIgG溶液、300ppmのヒトフィブリノーゲン溶液及び5,000ppmのヒトアルブミン溶液をそれぞれ用い、実施例1と同様に、参考例1で作成した被覆量の異なる種々の試験片に対する各血漿蛋白の結合量を測定した。
更に参考例1で作製した被覆量の異なる種々の試験片について、実施例1と同様にヒトPRP由来血小板の吸着量を測定した。
フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との関係を図4に示し、IgG吸着量と血小板吸着量との関係を図5に示し、アルブミン吸着量と血小板吸着量との関係を図6に示した。図4〜6から明らかなように、フィブリノーゲン単独や、他の血漿蛋白を単独で用いても、図1に見られるようなフィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量との間の相関性は見られなかった。
参考例2
PRPを用いた血小板吸着量の測定
実施例1と同様にクエン酸で抗凝固したヒト新鮮全血からPRPを調製し、PET製の試験フィルムに対するヒトPRP由来血小板の吸着量を測定した。PET製の試験フィルムを24穴プレートのウエルに入れ、そこに1mlのPRPを添加した。試験フィルムをPRPに37℃で2時間浸漬することで血小板を吸着させた。血小板の吸着したフィルムは走査型電子顕微鏡(倍率2,000倍)で観察した。この血小板吸着実験は、同じ試験フィルムと異なる個体の供血から調製したPRPを用いて再度実施した。1回目の結果を図7に示し、2回目の結果を図8に示す。図7及び図8から明らかなように、同じ試験フィルムに吸着した血小板でも、ヒト個体差および血漿採血の日時、採血方法などの影響を大きく受けて、吸着量および血小板の形態が大きく異なっている。従って、PRPを用いた従来の血液適合性の評価方法は、PRPの調製などの複雑な工程が必要な上に、再現性が低い。
産業上の利用可能性
本発明の血液適合性の評価方法を用いると、生体由来の材料である血漿、血小板過剰血漿や血小板などを用いることなく、医用材料の血液適合性を評価することができる。従って、個体差や血漿採血の日時、採血方法などによる評価結果のばらつきを考慮することなく、再現性良く、簡便に血液適合性を評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図面において:
図1は、フィブリノーゲン、IgG及びアルブミンを含む水溶液を用いて測定した、フィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図2は、フィブリノーゲン、IgG及びアルブミンを含む水溶液を用いて測定したIgG吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図3は、フィブリノーゲン、IgG及びアルブミンを含む水溶液を用いて測定したアルブミン吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図4は、フィブリノーゲンのみを含む水溶液を用いて測定したフィブリノーゲン吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図5は、IgGのみを含む水溶液を用いて測定したIgG吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図6は、アルブミンのみを含む水溶液を用いて測定したアルブミン吸着量と血小板吸着量の相関関係を示すグラフであり;
図7は、PRP由来血小板の吸着した試験片のSEM画像であり;そして
図8は、PRP由来血小板の吸着した試験片のSEM画像である。
Claims (5)
- (a)フィブリノーゲンと少なくとも1種の他の血漿蛋白との混合物を溶解してなる水溶液を提供し、
(b)該水溶液を医用材料の試験片と接触させて、該水溶液に含まれるフィブリノーゲンを該試験片に吸着させ、
(c)該試験片に吸着したフィブリノーゲンの量を測定し、そして
(d)該吸着したフィブリノーゲンの量から該医用材料の血液適合性を評価する、
ことを包含する、医用材料の血液適合性を評価するための方法。 - 該少なくとも1種の他の血漿蛋白がアルブミン及び免疫グロブリンを包含することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 該水溶液中のフィブリノーゲン/アルブミン/免疫グロブリンの重量比が、2/60/10〜8/90/40であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 該水溶液が100〜400ppmのフィブリノーゲン、3,000〜4,500ppmのアルブミン及び500〜2,000ppmの免疫グロブリンを含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
- 該水溶液が200〜400ppmのフィブリノーゲン、3,500〜4,500ppmのアルブミン及び600〜1,700ppmの免疫グロブリンを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
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