JPWO2003091181A1 - モルタル組成物 - Google Patents

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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
    • C04B28/04Portland cements

Abstract

早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部と、水10〜25重量部とを少なくとも含み、かつ有機系接着剤を含まないモルタル材料を混練することによりモルタル組成物を調製する方法である。モルタル材料の混練は、少なくとも攪拌負荷が急減するに至るまで、攪拌機によりモルタル材料を攪拌することにより行われる。本発明により調製されるモルタル組成物は、セメント粒子が水に均一に分散されているので、被接着面への浸透力が高く硬化後の付着強度が高い。

Description

技術分野
この発明は、目地材やコンクリート面の仕上げ等の用途、さらには、接着材や補強用表面被覆材としても好適なモルタル組成物に係り、特に、高付着強度且つ高ひずみ度を呈する無機系のモルタル組成物に関する。
背景技術
従前より、目地材やコンクリート面の仕上げ材などの用途に使用されるモルタル組成物としては、セメントモルタルや樹脂モルタルなどが知られている。セメントモルタルは、ポルトランドセメントや混合セメントなどのセメントに骨材と水とを加えて混練した混合物であり、主に切土・盛土の法面の吹きつけ工法やコンクリートの調整材等として用いられる。このようなセメントモルタルのうち一般的に使用されるものとしては、セメントと骨材との使用量比率が1対2である1:2モルタル、同様に比率が1対3である1:3モルタル等がある。
一方、樹脂モルタルは、上述のセメントモルタルにスチレンブタジエンゴムラテックス(SBR)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアクリル酸エステル(PAB)エマルジョン等の樹脂(有機系接着剤)を混入した混合物である。樹脂モルタルにあっては、セメントモルタルに樹脂を混入したことにより、付着強度、曲げ強度、耐酸性等の性質が向上し、華飾材の固着や床や壁等の補修等の用途に好適とされる。
しかしながら、セメントモルタルは付着強度が一般的に0.3N/mm〜0.5N/mm程度と非常に弱く、耐震安全性の観点から好ましいとされる付着強度2.0N/mmには遠く及ばず、日常安全性の目安とされる付着強度1.2N/mmにすら届かない。その上、吸水性が高いために膨張・収縮が起こりやすく、膨張・収縮が繰り返されることにより劣化が生じ、剥落やひび割れ等の原因につながる。
一方、樹脂モルタルは、セメントモルタルに樹脂を混入することにより付着強度は増しているものの、樹脂自体の性質を引き継いでいるために、紫外線や雨水などの環境的要因による劣化が著しい。従って、充分な付着強度を得るべく多量の樹脂を使用すると、それだけ環境的要因による劣化が著しくなって耐久性に劣り、実用に供し得ない。また、樹脂自体が可燃性であることから、火気を用いる場所での使用には適さず、加えて、樹脂が皮膚に付着することによるかぶれや有機溶剤の揮発による環境汚染など多くの問題を含む。
近時の従来技術として、特開平11−092205号公報には、高い圧縮強度と低い静弾性係数とを兼ね備えたモルタル組成物が開示されており、また特開2000−072518号公報には、高い流動性を有する吹き付け用のセメントが開示されている。
しかしながら、高付着強度、高圧縮強度、高ひずみ度、高曲げ強度の全てを充足し、且つ安価で提供可能なモルタル組成物に関する発明は未だなされていないのが現状である。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐震安全性の基準を満たす高い付着強度を有し、しかも高ひずみ度を有するモルタル組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、圧縮強度と曲げ強度が高く、高い追随性を有し、ひび割れ等が生じにくいモルタル組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、膨張・収縮が起きにくく、かつ経時的変化(時間の経過による劣化)の少ないモルタル組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、有機系接着剤を使用せず、その他の有機系原料や揮発性の溶剤などの使用も極力抑えて作業安全性に配慮したモルタル組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、材料コストが安価であり、作業性も良好なモルタル組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
発明の開示
本発明者等は、施工後に所要の付着強度を発現し得るモルタル組成物を、有機系接着剤を使用することなく、しかも安価に提供するために、比較的に安価で入手が容易なポルトランドセメントと高性能AE減水剤との組合せに着目し、モルタル組成物中においてセメント粒子を均一に分散させ、セメント粒子やセメントゲルが被接着体の微細な溝や隙間に浸透し易くすることにより、所謂『投錨効果』を通じて所要の付着強度を発現させることを試みた。当業者にはよく知られているように、高性能AE減水剤によりマイナス電荷を与えられたセメント粒子間には静電気的な反発力が作用するため、セメント粒子はモルタル組成物中に均一に分散される。
高性能AE減水剤は、一般に、ナフタリン系、メラミン系、アミノスルホン系、ポリカルボン酸系の4種類に分類される。中でも、ポリカルボン酸系減水剤は、ナフタリン系と比較すると分散機構が嵩高い吸着形態を有するために、粒子間の静電気的な反発作用と吸着層の立体障害作用によって、優れた分散能力と分散保持能力とを有することが知られている。そのため、セメント粒子を分散させると言う観点からのみすれば、使用される高性能AE減水剤としては、ポリカルボン酸系減水剤が最も好ましい。
ポルトランドセメントには、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント等が知られている。入手容易性並びに価格の面からは、普通ポルトランドセメントが好ましい。しかし、ポリカルボン酸系減水剤には強い硬化遅延作用があるため、セメントとして普通ポルトランドセメントを使用したセメントモルタルにポリカルボン酸系減水剤を混入すると、初期強度が十分な値にまで達しないことから施工性を阻害する。このことは、従前よりポリカルボン酸系減水剤の欠点の1つとして知られており、ナフタリン系減水剤等の他の種類の減水剤が多用される理由でもある。
ここにおいて、本発明者等は、鋭意研究の結果、セメントとして早強ポルトランドセメントを使用したセメントモルタルであれば、ポリカルボン酸系減水剤を混入した場合であっても、セメント粒子の均一分散作用を維持して所要の付着強度を満足させつつも、実用上十分な初期強度を発現でき、施工性を阻害することもない、との知見を得るに至った。なお、超早強ポルトランドセメントを使用したセメントモルタルにおいても、同様な初期強度発現作用が期待されるが、セメント調達コストの面からは著しく採用が困難である。
本発明者等の試行錯誤の中で、ポリカルボン酸系減水剤製品の中には、早強ポルトランドセメントとの組合せにおいても、所要の初期強度並びに付着強度が得られないものも事実存在することが確認された。本発明者等の鋭意研究によれば、良好な初期強度並びに付着強度が得られるポリカルボン酸系減水剤製品については、主鎖が短くかつグラフト鎖(−CHCHO−)が長いと言う分子構造上の特徴を有するものと推定される。すなわち、グラフト鎖が長いものであれば、高いセメント粒子分散能力が得られる一方、主鎖が短いものであれば、セメント粒子と水との接触が生じ易いことから、水和反応が促進されて強度が向上する。現在までのところ、原理解明は十分とは言えないが、いずれにせよ、本発明に好適なポリカルボン酸系減水剤は、早強ポルトランドセメントとの組合せにおいて、一定の初期強度が得られるものでなければならない。逆に、この初期強度の有無により、本発明におけるポリカルボン酸系減水剤の適否を判定することができる。
ポリカルボン酸系減水剤が粉末であれば、セメントと砂と減水剤とを予め混合してモルタル材料混合粉体を調製し、これを袋詰めして販売することで、販売取扱性は良好なものとなり、また現場でも水を加えて混練するだけで、目的とするモルタル組成物を即座に調製することができる。
もっとも、ポリカルボン酸系減水剤が粉末であることにより、モルタル材料混合粉体の十分な混練には特別な配慮が必要となる。本発明者等の鋭意研究によれば、電動撹拌機を使用する場合、撹拌羽乃至撹拌子の形状は、その動きに連れてモルタル材料混合物に対して十分な混練圧力が掛かるものであることが好ましいとの知見が得られた。
均一に混練されたことの確認は、撹拌羽の形状や回転態様により一概に規定することはできないが、一般的には、撹拌負荷が急減することで確認できるとの知見が得られた。ここで、撹拌負荷が急減することは電動ハンドミキサーの場合には手元に加わる撹拌圧力の反作用で確認できる。一方、容器据付型の電動撹拌機であれば、撹拌用電動機の負荷電流や回転速度を目視することにより、容易に確認することができる。加えて、均一に混練されたことの確認は、モルタル組成物のフロースピードにより判定することもできる。本発明者等の鋭意研究によれば、混練が十分に完了した状態にあるモルタル組成物のフロー値と混練が未了状態にあるモルタル組成物のフロー値とはさほど大差は見られないものの、そのフロースピード(一定距離流動するための所要時間)においては、2倍近い差が生ずることが知見された。したがって、このフロースピードの差によっても、均一混練の可否を判断することができる。
以上述べた本発明は、(1)モルタル組成物の調製方法、(2)モルタル組成物それ自体、(3)モルタル組成物調製用のモルタル材料混合粉体、(4)モルタル材料混合粉体を使用したモルタル組成物の調製方法として、把握することができる。
すなわち、本発明のモルタル組成物の調製方法は、早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部と、水10〜25重量部とを少なくとも含み、かつ有機系接着剤を含まないモルタル材料を混練することにより、モルタル組成物を調製する方法である。ここで、ポリカルボン酸系減水剤粉末の量は、0.05重量部未満であるとセメント粒子は十分均一に分散されない虞がある一方、0.12重量部を越えると硬化遅延作用が働いて初期強度が十分に上がらず、施工性に支障を来す虞がある。
モルタル材料の混練は、少なくとも撹拌負荷が急減するに至るまで、撹拌機によりモルタル材料を撹拌することにより行われる。こうして調製されたモルタル組成物は、セメント粒子が水に均一に分散されているため、JIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上、であると言った優れた物性を有する。
本発明のモルタル組成物は、早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部と、水10〜25重量部とを少なくとも含みかつ有機系接着剤を含まないモルタル材料を混練してなるモルタル組成物である。このとき、モルタル材料の混練は、少なくとも撹拌負荷が急減するに至るまで、撹拌機によりモルタル材料を撹拌することにより行われる。こうして得られたモルタル組成物は、セメント粒子が水に均一に分散されているため、JIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上、であると言った物性を有する。
本発明のモルタル組成物調製用のモルタル材料混合粉体は、早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部とを含み、且つ有機系接着剤を含まない混合粉体である。この混合粉体は、水10〜25重量部を注入したのち、撹拌負荷が急減するに至るまで撹拌することによりモルタル組成物が調製される。こうして得られるモルタル組成物は、セメント粒子が水に均一に分散されているため、JIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上であり、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上であり、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上となると言った物性を有する。
本発明のモルタル材料混合粉体を使用したモルタル組成物の調製方法は、早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部とを含み、且つ有機系接着剤を含まないモルタル材料混合粉体に対して、水10〜25重量部を注入したのち、混練してモルタル組成物を調製する方法である。このとき、モルタル材料混合粉体の混練は、少なくとも撹拌負荷が急減するに至るまで、撹拌機によりモルタル材料を撹拌することにより行われる。こうして調製されたモルタル組成物は、セメント粒子が水に均一に分散されているため、JIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上、である、と言った物性を有する。
『付着強度』とは、被接着体に本モルタル組成物が一面のみ接した状態での張り付き強度のことである。セメントやモルタルなどにおいては、日常安全性の点からは1.2N/mm以上(28日目)、耐震安全性の点からは2.0N/mm以上(28日目)の付着強度が望ましいとされる。
『ひずみ度』とは、円柱供試体に圧縮荷重を掛けた際のその縮み量、及び伸び量を表した係数であり、値が大きいほど縮み量・伸び量が大きく追随性が高い。逆に値が小さくなると縮み量・伸び量が小さく追随性が低い。
本発明により得られるモルタル組成物は、耐震安全性の面から十分な付着強度と高い追随性とを兼ね備えていることから、硬化した後に施工面から剥離しにくく、しかも施工面の伸び縮みにも耐えうる、壁面等のコンクリート面の補修材、或いは鉄柱表面の補強用被覆材等として好適である。
加えて、本発明により得られるモルタル組成物は、硬化した後の圧縮強度が十分に高いことにより施工面に対して垂直方向にかかる力に強く、破損やひび割れなどが生じにくい。また、曲げ強度が十分に高いことにより施工面と水平方向(曲げる方向)にかかる力に強く、破損やひび割れなどが生じにくい。
なお、ポリカルボン酸系減水剤には、早強ポルトランドセメントとの間に相性の良否が存在するが、調製されたモルタル組成物の施工後3日目の圧縮強度が、早強ポルトランドセメントとポリカルボン酸系減水剤と硅砂と水だけの配合(第1図参照)において、18.0N/mm以上であることをもって、相性の良好なることを確認することができる。
本発明のモルタル組成物又はモルタル材料混合粉体には、保水剤(増粘剤)0.05〜1.0重量部が含まれていることが望ましい。モルタル原料に保水剤が含まれることにより、より高い保水性と浸透性とを付与することができる。セメントやモルタルにおいては、急激に水分が蒸発するとドライアウトを起こし、強度が発現しない。そのため、保水性を有する添加剤を使用することにより、被接着体への強度な付着を可能とする。また、強度発現時(初期段階)において、強度発現の妨げになる外的要因を防ぐ役割を果たし、正常な強度発現を可能としている。保水剤はメチルセルロースであることが好ましい。保水剤としてメチルセルロースを用いることにより、より高い保水性と浸透性が得られ、作業性や付着強度の向上に寄与する。
本発明のモルタル組成物又はモルタル材料混合粉体には、炭素系粉末剤0.5〜2.0重量部が含まれていることが望ましい。モルタル原料に0.5〜2.0重量部の炭素系粉末剤が含まれることにより、表面硬度が向上し、セメントの水和反応も促進される。
本発明のモルタル組成物又はモルタル材料混合粉体には、消泡剤0.1〜0.3重量部が含まれていることが望ましい。本発明のモルタル組成物は、強度向上を目的としてバインダ(砂と水以外の原料)の割合を多くしているため、空気泡が残りやすい傾向にあるが、モルタル原料に0.1〜0.3重量部の消泡剤が含まれていると、気泡が適当な量となって作業性と強度の向上に寄与する。
本発明のモルタル組成物又はモルタル材料混合粉体には、石膏0.2〜1.0重量部が含まれていることが望ましい。モルタル原料に0.2〜1.0重量部の石膏が含まれることにより、石膏の膨張力でセメントが硬化収縮する際のひび割れを防ぐことが出来る。また、付着強度、圧縮強度、曲げ強度の初期強度の向上にも寄与する。
なお、本発明を応用することにより、機能性モルタル組成物の調製方法を実現することができる。この方法は、早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤0.05〜0.12重量部とを含み、且つ有機系接着剤を含まないモルタル材料混合粉体を用意するステップと、このモルタル材料混合粉体に対して、水10〜25重量部、さらに機能性粉体、粒体、又は液体を加えて、撹拌負荷が急減するに至るまで撹拌するステップとを有する、ものである。機能性粉体としては、単に、珪砂等でもよいが、金属粉やゴムの粉等の任意の機能性粉体を導入して、様々な機能特性を備えたモルタル組成物を実現することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、この発明の好適な実施の一形態を詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
この実施形態にかかるモルタル組成物の調製方法は、予め調製されたモルタル材料混合粉体に対して、水10〜25重量部を注入したのち、これを所定の撹拌態様で混練してモルタル組成物を調製するものである。
モルタル材料混合粉体には、早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部とが少なくとも含まれている。もっとも、様々な弊害を及ぼす虞のある有機系接着剤は一切含まれていない。加えて、このモルタル材料混合粉体には、保水剤であるメチルセルロース0.05〜1.0重量部と、炭素系粉末0.5〜2.0重量部と、消泡剤0.1〜0.3重量部と、石膏0.2〜1.0重量部とがさらに含まれている。
モルタル材料混合粉体の混練は、電動撹拌機によりモルタル材料を撹拌することにより行われる。電動撹拌機としては、ハンドミキサー、容器据付型撹拌装置等の一般的な混練器具を用いることができる。容器据付型撹拌装置としては、例えば日本国登録実用新案公報第3023035号に開示されている容器据付型撹拌装置を用いることができる。撹拌時間は、使用水量、気温、湿度等の各種条件により異なるが、ハンドミキサーならば500〜750rpmで5〜7分程度行われる。
尚、本発明に係るモルタル組成物を有効に作用させるためには、言うまでもないが、各原料は可及的均一に混練されねばならない。本発明者等の鋭意研究によれば、各原料が均一に混練されたことは、撹拌機における撹拌負荷が急激に減少することで確認できる、との知見が得られた。しかも、本発明者等の経験によれば、従前のモルタル組成物においては、材料が均一に混練されたとしても、撹拌負荷が急激に減少するという現象は見られないことも知見された。撹拌負荷の急減は、ハンドミキサーの場合には、ミキサーを把持する手に伝わる撹拌反作用の大きさで確認することができる。容器据付型撹拌装置の場合には、電動機の負荷電流の急減や撹拌羽の回転数上昇等を通じて確認することができる。
加えて、均一に混練されたことの確認は、モルタル組成物のフロースピードにより判定することもできる。本発明者等の鋭意研究によれば、混練が十分に完了した状態にあるモルタル組成物のフロー値と混練が未了状態にモルタル組成物のフロー値とはさほど大差は見られないものの、そのフロースピード(一定距離流動するための所要時間)においては、2倍近い差が生ずることが知見された。したがって、このフロースピードの差によっても、均一混練の完了を判断することができる。
このようにして調製されたモルタル組成物は、JIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上、と言った優れた物性を呈する。
なお、調製されたモルタル組成物の施工後3日目の圧縮強度が、早強ポルトランドセメントとポリカルボン酸系減水剤と硅砂と水だけの配合(第1図参照)において、18.0N/mm以上とならない場合には、使用されたポリカルボン酸系減水剤粉末の製品としての相性が悪いものと判断される。その場合には、ポリカルボン酸系減水剤粉末を別の製品に代える必要がある。その場合、本発明者等の鋭意研究によれば、主鎖が短くかつグラフト鎖が長いと言う分子構造を有するポリカルボン酸系減水剤が最適であると推定された。
こうして得られるモルタル組成物は、硬化後の付着強度が従前のモルタル組成物よりも高く、また硬化時間が短く、初期強度も高いという格別の作用乃至効果を有するものである。
ここで、『付着強度』とは、被接着体にモルタル組成物が一面のみ接した状態での張り付き強度のことである。セメントやモルタルなどにおいては、日常安全性の点からは1.2N/mm以上、耐震安全性の点からは2.0N/mm以上の付着強度が望ましいとされる。尚、この付着強度はJIS A 6916による施工後28日目の付着強度である。以下において特に記述しない限りは、各種強度は施工後28日目の強度である。
本発明においては、コンクリート表面の微細な溝やくぼみにセメントゲルが浸透充填され、浸透充填されたセメントゲルが溝やくぼみの中で硬化し膨張することによって錨のような効果をもたらすものだと推定される。セメントゲルの浸透性の向上と、錨状部分の強度の向上は付着強度の向上に寄与する。
付着強度のみを高くするのであれば樹脂量を増やした樹脂モルタルを用いれば良いが、樹脂量を増やせば耐久性、作業安全性、コスト増加など他の問題が生じる。そこで本発明においては、耐震安全性を満たす2.0N/mm以上の付着強度を確保しつつ、高ひずみ度、高圧縮強度、高曲げ強度、耐久性向上、低コストなど、他の必要要件とのバランスを考慮して使用材料や材料の撹拌時間などを決定した。
尚、他の物性で好ましい値を確保しつつ、2.5N/mm以上の付着強度が得られればより好ましい。これらの数値はJIS A 6916による施工後28日目の付着強度である。
『ひずみ度』とは、円柱供試体に圧縮荷重を掛けた際のその縮み量、及び伸び量を表した係数であり、値が大きいほど縮み量・伸び量が大きく追随性が高くなり、値が小さいほど縮み量・伸び量が小さくなり追随性が低くなる。ひずみ度が高い物質と低い物質とに同じだけの力を加えた場合、ひずみ度が高い物質の方が変形が大きい。本発明に係るモルタル組成物は、従前のセメントモルタルよりもひずみ度が高いため、圧力が掛かった場合に変形が大きく伸び能力(追随性)が高い。本発明においてはひずみ度5000μ以上が獲得される。これらの数値はJIS A 1149による施工後28日目のひずみ度である。
『圧縮強度』とは、圧縮応力が作用した場合の抵抗力であり、『曲げ強度』とは、曲げ応力が作用した場合の抵抗力である。曲げ強度が高いと、より曲がっても割れにくい。従って、高圧縮強度かつ高ひずみ度の物質は、大きい力を加えても破壊されにくく、しかも曲がっても割れにくい物質、ということになる。本発明においては、圧縮強度は60.0N/mm以上、曲げ強度は6.0N/mm以上が獲得される。これらの数値はJIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度、曲げ強度である。
発明の実施例
次に、本発明に係るモルタル組成物の材料であるポリカルボン酸系減水剤、無水石膏、保水剤、炭素系粉末、消泡剤、水のそれぞれについて、適量の確認のための実施例について説明する。
[ポリカルボン酸系減水剤の最適化]
本発明においては、モルタル組成物に対してポリカルボン酸系の減水剤を添加することにより、モルタル原料(セメント粒子)を水に均一に分散させる。これにより、同時に、モルタル組成物内の水分を減らし、作業性が確保される程度の軟らかさを保つことができる。
従前より、ポリカルボン酸系の減水剤はモルタル組成物への使用が研究されていたが、ポリカルボン酸系の減水剤はモルタル原料を均一に分散させる能力が高いが、反面使用した場合硬化に非常に時間がかかるという欠点がある。このため、ポリカルボン酸系の減水剤を添加する際には、促進剤等の初期強度を高めるための薬剤が必要とされており、これらの初期強度を高めるための薬剤が耐久性や作業性に悪影響を及ぼすことがあった。本発明者らは、ポリカルボン酸系減水剤と早強ポルトランドセメントとの組み合わせに着目し、混練態様によっては、促進剤等の初期強度を高めるための薬剤を用いずとも、硬化時間を短縮し初期強度を向上させることが可能であるとの知見を得た。換言すれば、本発明に好適な早強ポルトランドセメントによれば、「JIS A 6916による施工後3日目の圧縮強度が、早強ポルトランドセメントとポリカルボン酸系減水剤と硅砂と水だけの配合(第1図参照)において、18.0N/mm以上」となることが確認された。これにより、十分な初期強度を確保しつつも、被接着面への浸透力が高く投錨効果により高い付着強度を有するモルタル組成物を得ることができる。
ポリカルボン酸系の減水剤の種類としては、市販されたポリカルボン酸系減水剤の中からその1つを選択し、添加量を変化させて比較検討を行うこととした。試験は、減水剤を0.5g、1g、1.5g、3gとし、3日、7日、14日、28日の圧縮強度、7日、14日、28日の曲げ強度、7日、14日、28日の付着強度をそれぞれ測定した。これらの物性を、早強ポルトランドセメント380gと6号珪砂600gと水200gとを混練してなるモルタル組成物について測定した結果が第1図に示されている。
同図に示されるように、全ての試料1−1〜1−5について、早強ポルトランドセメント(380g)、6号珪砂(600g)、水(200g)の量を固定して、ポリカルボン酸系減水剤粉末の量だけを0g(1−1),0.5g(1−2),1.0g(1−3),1.5g(1−4),3.0g(1−5)と変化させて、流動性、作業性、圧縮強度、曲げ強度、付着強度の各物性値の変化を観察した。図から明らかなように、この例にあっては、圧縮強度(38.2N/mm)、曲げ強度(4.9N/mm)、付着強度(2.23N/mm)のいずれにおいても、試料1−3(1.0g)の場合が最も高い値を示すことが確認された。したがって、この例にあっては、ポリカルボン酸系減水剤の添加量は1gが最適であると判断される。
ポリカルボン酸系減水剤は、使用量が少なすぎると十分な浸透投錨効果が得られない虞があり、逆に使用量が多すぎると凝結が遅延すると言う問題がある。試験の結果、ポリカルボン酸系減水剤の使用量は1.0g〜1.5g程度が適切であることが確認された。加えて、ポリカルボン酸系減水剤と早強ポルトランドセメントとの間には、相性の良否が存在するが、この例にあっては、施工後3日後の圧縮強度は18.2N/mmとされており、相性は良好(施工後3日後の圧縮強度>18N/mm)なることが確認された。
なお、図において、『バインダ』にはセメントと減水剤とが含まれ、『粉』にはセメントと減水剤と砂とが含まれる。減水剤の種類によって強度に多少のバラツキはあるものの、適切な使用量を用いれば、十分実用に供する浸透投錨効果が得られた。
[石膏及び/又はその水和物の添加]
本発明においては、モルタル組成物の原料として石膏または/及びその水和物を用いることにより、膨張力が向上しセメントが硬化する際の硬化収縮によりひび割れが生じることを防止できる。また、付着強度、圧縮強度、曲げ強度などの初期強度も向上する。
本発明において用いる石膏としては、二水石膏、半水石膏、無水石膏などの中から一種または二種以上を適宜選択して用いることができるが、硬化後の安定性が高いという理由から、無水石膏が最も好ましい。
配合量と物性値の相関を確認するため、石膏量を0g(2−1)、5g(2−2)、10g(2−3)、15g(2−4)とし、3日、7日、14日、28日の圧縮強度、7日、14日、28日の曲げ強度、7日、14日、28日の付着強度をそれぞれ測定した。これらの物性を、早強ポルトランドセメント380gと減水剤1.0gと6号珪砂600gと水200gとを混練してなるモルタル組成物について測定した結果が第2図に示されている。
同図に示されるように、全ての試料2−1〜2−4について、早強ポルトランドセメント(380g)、ポリカルボン酸系減水剤粉末(1.0g)、6号珪砂(600g)、水(200g)の量を固定して、無水石膏の量だけを0g(2−1),5g(2−2),10g(2−3),15g(2−4)と変化させて、流動性、作業性、圧縮強度、曲げ強度、付着強度の各物性値の変化を観察した。図から明らかなように、この例にあっては、圧縮強度(41.4N/mm)、曲げ強度(5.3N/mm)、付着強度(2.42N/mm)のいずれにおいても、試料2−2(5g)の場合が最も高い値を示すことが確認された。したがって、この例にあっては、無水石膏の添加量は5gが最適であると判断される。なお、図において、『バインダ』にはセメントと石膏と減水剤とが含まれ、『粉』にはセメントと石膏と減水剤と砂とが含まれる。
石膏は、配合量が少なすぎると硬化収縮によるひび割れが生じやすくなるという問題があり、逆に配合量が多すぎると、膨張力が高すぎるためひび割れが発生しやすくなるという問題がある。尚、石膏はセメント自体にも含まれているため、セメントの種類によっては、石膏の外添は不要な場合もある。本発明においては、作業性と各種強度とのバランスの点から石膏の外添量は10g以下が好ましいとの結論が得られた。
[保水剤の添加]
モルタル組成物に保水剤を加えることにより、より高い保水性と浸透性を付与することができる。セメントやモルタルにおいては、水分が蒸発しすぎると粘性が大きくなり取扱い難くなるため、保水性を有する添加剤を用いることにより作業性に寄与する。また、保水剤を用いることにより親和性が増し、被接着体表面の細かい溝やくぼみに本モルタル組成物が入り込むことにより、被接着体により強固に付着する。
本発明において用いる保水剤としては、セルロース系保水剤、アクリル系保水剤、ビニル系保水剤など一般的な保水剤から一種または二種以上を適宜選択して用いることができるが、好ましくはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどであり、保水性と浸透性に特に寄与するという理由から、最も好ましくはメチルセルロースである。
保水剤の種類としては、メチルセルロースを主成分とする保水剤の中から、製品の1つを選択し、その添加量を変化させて比較検討を行うこととした。保水剤の配合量について確認するため、保水剤の量を0g(3−1)、0.5g(3−2)、1g(3−3)、1.5g(3−4)、3g(3−5)とし、3日、7日、14日、28日の圧縮強度、7日、14日、28日の曲げ強度、7日、14日、28日の付着強度をそれぞれ測定した。これらの物性を、セメントC380gと無水石膏5gと減水剤B1gと6号珪砂600gと水200gとを混練してなるモルタル組成物について測定した結果が第3図に示されている。
同図に示されるように、全ての試料3−1〜3−5について、早強ポルトランドセメント(380g)、無水石膏(5.0g)、ポリカルボン酸系減水剤粉末(1.0g)、6号珪砂(600g)、水(200g)の量を固定して、保水剤の量だけを0g(3−1),0.5g(3−2),1.0g(3−3),1.5g(3−4),3.0g(3−5)と変化させて、流動性、作業性、圧縮強度、曲げ強度、付着強度の各物性値の変化を観察した。
図から明らかなように、この例にあっては、圧縮強度(49.6N/mm)、曲げ強度(6.3N/mm)、付着強度(2.90N/mm)のいずれにおいても、試料3−3(1.0g)の場合が最も高い値を示すことが確認された。したがって、この例にあっては、保水剤の添加量は1.0gが最適であると判断される。なお、図において、『バインダ』にはセメントと石膏と減水剤と保水剤とが含まれ、『粉』にはセメントと石膏と減水剤と保水剤と砂とが含まれる。
保水剤は、使用量が少なすぎると十分な保水性が得られないため作業性が悪化する可能性があり、逆に使用量が多すぎると、過度に粘性が向上してフロー値が低下して作業性が悪化する可能性がある。本発明においては、作業性と各種強度とのバランスの点から保水剤の使用量は0.5〜1.5gが好ましいとの結論が得られた。保水剤の種類によって強度に多少のバラツキはあるものの、適切な使用量を用いれば、いずれの保水剤も十分実用に供する範囲であった。
[炭素系粉末剤の添加]
本発明に係るモルタル組成物においては、炭素系粉末剤を添加することにより、作業性の向上、表面硬度の強化、セメントの水和反応の促進などの効果が得られ、より好ましい。
炭素系粉末剤の微粒子は水の存在下でミキシングすると、電極化し電子を放出するようになり、この電子が水の分子やセメント粒子にぶつかるときに熱を発生することにより、セメントの水和反応を促進する。一般的にセメントは、温度が高いほど水和反応が促進される。
本発明において用いる炭素系粉末剤としては、粒炭、粉炭など一般的な炭素系粉末剤から一種または二種以上を適宜選択して用いることができるが、均一に表面硬度が高くなるという理由から、粉炭が好ましい。
配合量について確認するため、炭素系粉末剤の量を0g(4−1)、10g(4−2)、20g(4−3)、40g(4−4)、15g(4−5)とし、3日、7日、14日、28日の圧縮強度、7日、14日、28日の曲げ強度、7日、14日、28日の付着強度をそれぞれ測定した。これらの物性を、早強ポルトランドセメント380gと無水石膏5gとポリカルボン酸系減水剤1gと保水剤1.0gと6号珪砂600gと水200gとを混練してなるモルタル組成物について測定した結果が第4図に示されている。
図から明らかなように、この例にあっては、圧縮強度(55.0N/mm)、曲げ強度(6.3N/mm)、付着強度(2.73N/mm)のいずれにおいても、試料4−5(15g)の場合が最も高い値を示すことが確認された。したがって、この例にあっては、炭素系粉末の添加量は15gが最適であると判断される。なお、図において、『バインダ』にはセメントと石膏と減水剤と保水剤と炭素系粉末剤とが含まれ、『粉』にはセメントと石膏と減水剤と保水剤と炭素系粉末剤と珪砂とが含まれる。
炭素系粉末剤は、使用量が少なすぎると十分な表面硬度が得られない可能性があり、逆に使用量が多すぎると、長期の圧縮強度が低下する虞がある。本発明においては、特に初期強度を必要とする用途の場合には炭素系粉末剤を添加してもよく、添加する場合は作業性と各種強度とのバランスの点から使用量は10〜20gが好ましいとの結論が得られた。
[消泡剤の添加]
本発明に係るモルタル組成物においては、強度とフロー値という相反するものを両方とも水準以上の値にするため、使用原料と配合量について考察をおこなっている。特に、強度の向上を重視しておりバインダ(砂と水以外の原料)の割合を多くしているため、強度は高いが粘性も高く混練した際に取り込まれる空気泡が残りやすいという傾向がある。そこで、ここでは消泡剤を用いてこの課題を解決することにした。消泡剤を添加することにより、モルタル組成物中の空気泡の量を調整し目標とするフロー値を達成しやすくなる。
消泡剤の配合量を確認するため、消泡剤の量を0g(5−1)、1g(5−2)、2g(5−3)、3g(5−4)とし、3日、7日、14日、28日の圧縮強度、7日、14日、28日の曲げ強度、7日、14日、28日の付着強度をそれぞれ測定した。これらの物性を、早強ポルトランドセメント380gと無水石膏5.0gとポリカルボン酸系減水剤1.0gと保水剤1.0gと炭素系粉末剤15.0gと珪砂600gと水200gとを混練してなるモルタル組成物について測定した結果が第5図に示されている。
図から明らかなように、この例にあっては、圧縮強度(62.6N/mm)、曲げ強度(7.2N/mm)、付着強度(3.11N/mm)のいずれにおいても、試料5−3(2.0g)の場合が最も高い値を示すことが確認された。したがって、この例にあっては、消泡剤の添加量は2.0gが最適であると判断される。なお、図において、『バインダ』にはセメントと石膏と減水剤と保水剤と炭素系粉末剤と消泡剤とが含まれ、『粉』にはセメントと石膏と減水剤と保水剤と炭素系粉末剤と消泡剤と砂とが含まれる。
消泡剤は使用量が少なすぎると、気泡が多く残り強度低下を生じる虞があり、逆に使用量が多すぎると、気泡が減りすぎて流動性が低下し作業性が悪化する。本発明においては、作業性と各種強度とのバランスの点から消泡剤の使用量は1〜2gが好ましいとの結論が得られた。
[水の使用量]
セメント、モルタルなどを扱う場合において、好適な作業性を確保するためには水は必要であるが、水を多量に用いると製品の付着強度、圧縮強度、曲げ強度などが非常に弱くなってしまうという問題がある。このため、水の使用割合、減水剤や保水剤の使用量とその種類はセメント、モルタルなどの製品を作る上で重要な課題となっている。本発明のモルタル組成物は、モルタル材料混合粉体を使用することで、現場毎の施工条件に合わせてフロー値の調整を行うため、水の使用量も調整可能である。
十分な強度が保持できる範囲での水の使用量を特定するため、水の量を100g(6−2)、150g(6−3)、200g(6−1)、250g(6−4)、300g(6−5)とし、3日、7日、14日、28日の圧縮強度、7日、14日、28日の曲げ強度、7日、14日、28日の付着強度をそれぞれ測定した。これらの物性を、早強ポルトランドセメント380gと石膏5.0gとポリカルボン酸系減水剤1.0gと保水剤1.0gと炭素系粉末剤15gと消泡剤2.0gと6号珪砂600gとを混練してなるモルタル組成物について測定した結果が第6図に示されている。
なお、図において、『バインダ』にはセメントと石膏と減水剤と保水剤と炭素系粉末剤と消泡剤とが含まれ、『粉』にはセメントと石膏と減水剤と保水剤と炭素系粉末剤と消泡剤と骨材とが含まれる。
水の使用量が少なすぎると粘度が上がり作業性が悪化する虞があり、逆に水の使用量が多すぎると硬化後に十分な強度が得られない可能性があり、また、コテ仕上げ時に余剰水(ブリージング)が発生するなど作業性が悪化する虞がある。以上の点を考慮して、試験の結果から本件においては水の使用量を150〜250gとした。フロー値は、作業性等を考慮して150〜250mm程度の値であることが好ましい。
[作用起序]
従前のセメントモルタルの問題点の一つである、膨張・収縮を繰り返すことにより劣化するという性質は、従前のセメントモルタルが気泡を多く含むために吸水しやすく、その結果として膨張・収縮が起こりやすい、という作用起序によるものである。これに対して、本発明に係るモルタル組成物は、原材料同士が相性が良いために均一に分散しやすく、そのため各成分粒子間に大きな空隙が生じ難く施工後の気泡の量も少なくなり、結果として膨張・収縮がほとんど起こらないものだと推定される。
また、本発明に係るモルタル組成物は、付着強度が高く、ひずみ度も高いために被接着体に対する追随性もあるという、従来のモルタル組成物では得られない優れた性質を有する。このような性質は、セメント粒子が水中に均一に分散されており、被接着面の微細な溝にもセメント粒子やセメントゲルが入り込み、これが硬化する過程で膨張することで所謂投錨効果が発揮されるためであると推定される。このことは、本発明に係るモルタル組成物は、切削された御影石の表面(極めて微細な溝しか存在しない)にも接着し得ると言う顕著な事実によっても裏付けられている。
さらに、本発明に係るモルタル組成物は、圧縮強度並びに曲げ強度についても高いために、比較的に大なる加重にも耐え得ると言う性質を兼ね備えている。このような性質も、セメント粒子が水中に均一分散することで、個々のセメント粒子の全周に満遍なく水和反応が生じてエトリンガイドが密に生成されることから、個々のセメント粒子が均一に分散して、外部からの荷重を分散するためであろうと推定される。
本発明者等が推定するセメント粒子分散態様は次のように説明される。本発明に係るモルタル組成物におけるセメント粒子分散状態が第10図に、同モルタル組成物と被接着体との界面構造モデルが第11図に示されている。また、従来のセメントモルタル組成物におけるセメント粒子分散状態が第12図に、同セメントモルタル組成物と被接着体との界面構造モデルが第13図に示されている。
なお、それらの図において、1はセメント粒子、2はセメントゲル、3は被接着体(例えば、コンクリート壁面等)、4は被接着体の表面に存在するセメント粒子に比較してやや大径な穴や窪み(以下、『大径穴』と言う)、5は被接着体の表面に存在するセメント粒子に比較して十分に小径な穴や窪み(以下、『小径穴』と言う)、6はセメント粒子凝集体、7は気泡(未充填部分)、8はセメント粒子凝集体内部に生ずる未水和領域である。
本発明に係るモルタル材料混合粉体(すなわち、早強ポルトランドセメントとポリカルボン酸系減水剤粉末と砂のほか、保水剤粉末、消泡剤粉末、炭素系粉末等を適宜に混入してなる混合物)に対して水を注入後、これを十分に混練(撹拌負荷が急減するに至るまで電動撹拌機にて撹拌)することにより得られたペースト状モルタル組成物の場合、第10図に示されるように、セメント粒子1は凝集することなく均一に(バラバラに)分散された状態となり、個々のセメント粒子1はその全周面において水と接触して水和反応が起こり、セメント粒子1の周囲には十分な量のセメントゲル2が生成されるものと推定される。そのため、このようなペースト状モルタル組成物を被接着体3の表面に適当な厚さで塗布等すれば、第11図に示されるように、セメントゲル2は大径穴4及び小径穴5の奥深くにまで浸透して内部を満たすと共に、セメント粒子1それ自体も大径穴4に入り込むため、それらが硬化膨張することにより投錨効果が発揮されて、極めて強力な付着強度が発現するものと推定される。本発明に言う『付着強度』とは、『投錨力』と言い代えることもできる。ここで、『投錨力』とは、コンクリート表面の微細な溝やくぼみにセメントゲルが浸透充填され錨状となり、この錨状部分の強度の大きさによって決まる力である。この点において、本発明に言う『付着強度』は、界面における付着力により規定される有機系接着剤における『付着強度』とは顕著に相違する。尚、本発明に係るモルタル組成物において、保水剤を加えた場合には、より界面活性が向上し、モルタル組成物が塗工面の微細な溝に入り込みやすくなり、投錨力(即ち接着力)がより上昇する。
加えて、隣接する個々のセメント粒子1同士は、モルタル組成物中に整然と配列されることに加えて、セメントゲル2の硬化過程で生ずるエトリンガイドを介して均一に分散されるため、外部から加えられる力はそれらのセメント粒子に分散して受容されて局部集中が生じにくく、これにより高圧縮強度、高曲げ強度、並びに、高ひずみ度と言った特有の性質が発現されるものと推定とされる。
これに対して、従来のペースト状モルタル組成物の場合には、第12図に示されるように、セメント粒子1は隣接するもの同士が寄せ集まってセメント粒子凝集体6を形成しているため、水和反応に寄与するものはセメント粒子凝集体6の外面に露出するセメント粒子1のみとなり、モルタル組成物全体として生成されるセメントゲル2の量が本発明の場合に比べてかなり少ないものと推定される。そのため、このようなペースト状モルタル組成物を被接着体3の表面に適当な厚さで塗布等したとしても、第13図に示されるように、セメントゲル2は大径穴4の内部にはある程度侵入するものの、小径穴5に関しては殆ど侵入することができないし、セメント粒子1も凝集体6を形成して塊状をなすために、大径穴4には入り込むことができない。そのため、それらが硬化膨張したとしても、投錨効果は殆ど発揮されず、強力な付着強度は発現されないものと推定される。
加えて、セメント粒子凝集体6の中心部の水と接触し難い部分には強度的に脆弱な未水和領域8が残されるため、外部から大きな力が加えられると未水和領域8において応力集中による圧壊乃至粒子間剥離が生ずるほか、この未水和領域8は経年劣化の原因ともなると推定とされる。さらに、水和反応により生成されるセメントゲル2それ自体が量的に少ないことから、セメント粒子1同士乃至セメント凝集体6同士の結合力も比較的に弱く、そのため本発明のような高圧縮強度、高曲げ強度、並びに、高ひずみ度と言った性質は発現されないものと推定とされる。
[材料の混練]
先に述べたように、本発明のモルタル組成物は、ポリカルボン酸系減水剤粉末を含むモルタル材料混合粉体に対して水を注入したのち、これを混練することにより調製することができる。このとき、混練作業は、電動ハンドミキサーや容器据付型電動撹拌装置等の一般的な混練器具を用いて行うことができる。混練作業に好適な容器据付型電動撹拌装置としては、日本国登録実用新案公報第3023035号に開示された容器据付型撹拌装置を挙げることができる。撹拌時間は、使用水量、気温、湿度等の各種条件により異なるが、ハンドミキサーならば500〜750rpmで5〜7分程度行われる。
尚、本発明に係るモルタル組成物を有効に作用させるためには、言うまでもないが、各原料は可及的均一に混練されねばならない。本発明者等の鋭意研究によれば、各原料が均一に混練されたことは、撹拌機における撹拌負荷が急激に減少することで確認できる、との知見が得られた。しかも、本発明者等の経験によれば、従前のモルタル組成物においては、材料が均一に混練されたとしても、撹拌負荷が急激に減少するという現象は見られないことも知見された。撹拌負荷の急減は、ハンドミキサーの場合には、ミキサーを把持する手に伝わる撹拌反作用の大きさで確認することができる。容器据付型撹拌装置の場合には、電動機の負荷電流の急減や撹拌羽の回転数上昇等を通じて確認することができる。
加えて、均一に混練されたことの確認は、モルタル組成物のフロースピードにより判定することもできる。本発明者等の鋭意研究によれば、混練が十分に完了した状態にあるモルタル組成物のフロー値と混練が未了状態にあるモルタル組成物のフロー値とはさほど大差は見られないものの、そのフロースピード(一定距離流動するための所要時間)においては、2倍近い差が生ずることが知見された。したがって、このフロースピードの差によっても、均一混練の完了を判断することができる。
本発明に係るモルタル組成物の撹拌度合いと流動態様との関係が第9図に示されている。本発明者等は、撹拌負荷が急減するまで撹拌された本発明モルタル組成物(撹拌十分な試料)と撹拌負荷が急減するのを待たずに撹拌を停止した本発明モルタル組成物(撹拌不足な試料)との2種類の試料を用意して、それぞれについてフロースピードを測定した。測定には、通常のフロー値測定器具を使用した。当業者にはよく知られているように、このフロー値測定器具は、同図(a)に示されるフロー値測定用の鋼板製底板と、この鋼板製底板の中央部に直立姿勢で配置される円筒容器とを備えている。この例では、円筒容器は直径5cm、高さ10cmのものが使用された。鋼板製底板には、中心から順に、フロー値(到達距離)50mm,100mm,150mm,200mm,250mmに相当する同心円が描かれている。鋼板製底板の中心(50mm)に円筒容器を配置して、同容器に試料を満たしたのち、円筒容器を持ち上げて試料を放射状に流れ出させ、その到達距離をもってフロー値とするのが通例である。この例では、鋼板製底板の下には、試料の流動を促進するために低速(10Hz)のバイブレータが設置された。本発明に言う『フロースピード』とは、各到達距離(50mm,100mm,150mm,200mm,250mm)に至る所要時間として定義される。
以上の前提の下にフロースピードを測定したところ、撹拌十分な試料の場合には、同図(b)に示されるように、フロー値100mm,150mm,200mm,250mmに対応して、フロースピード1.6秒、7.8秒、19.2秒、52.3秒が得られた。これに対して、撹拌不足な試料の場合には、同図(c)に示されるように、100mm,150mm,200mm,250mmに対応して、フロースピード5.5秒、14.5秒、42.2秒、104.8秒が得られた。このことからすると、撹拌不足/撹拌十分の比は、フロー値100mm,150mm,200mm,250mmに対応して、3.43倍,1.86倍,2.19倍,2.0倍となり、大きな差(2倍程度の差)が現れることが確認された。
[性能比較試験]
以下、実施例1〜3及び比較例1〜3においては、所要のモルタル材料をそれぞれ第7図及び第8図に示される割合で混合し、高速ハンドミキサー(回転数:500rpm以上、出力:750W以上)で混練して調整したものである。第7図において、保水剤としてはメチルセルロース、珪砂としては6号珪砂、炭素系粉末としては粉炭がそれぞれ使用された。また、第8図において、珪砂としては3号珪砂、樹脂としてはスチレンブタジエンゴムがそれぞれ使用された。
尚、混練が均一に行われたことの確認は、撹拌負荷が急減することで行うことが出来る。実施例1〜3、比較例1〜3で得られたモルタル組成物について、圧縮強度、曲げ強度、付着強度、ひずみ度の測定を行った結果についても第7図及び第8図に併記してある。
実施例1〜3、比較例1〜3で得られたモルタル組成物について、圧縮強度、曲げ強度、付着強度、ひずみ度の測定は以下の試験方法に従って行った。
圧縮強度の試験はJIS R 5201に準じて行った。供試体寸法は4×4×16cmとし、材料を型枠に打設後、温度20℃、湿度80%の試験室に24時間静置し脱型後試験室にて気中養生とした。試験材令は28日とし、荷重用加圧板を用い、圧縮試験機にて圧縮試験を実施した。圧縮強度は60.0N/mm以上であることが好ましい。
曲げ強度の試験はJIS R 5201に準じて行った。供試体寸法は4×4×16cmとし、材料を型枠に打設後、温度20℃、湿度80%の試験室に24時間静置し脱型後試験室にて気中養生とした。試験材令は28日とし、荷重用加圧板を用い、圧縮試験機にて曲げ試験を実施した。ひび割れ防止などの効果を考慮すると、曲げ強度は6.0N/mm以上であることが好ましい。
付着強度の試験はJIS A 6916に準じて行った。被接着体(一般のモルタル板)に試料を1.5mm厚で塗布し、温度20℃、湿度80%以上の試験室にて養生した。試験前日に試料表面に4×4cmの引っ張り用ジグを取り付け、材令28日で鉛直方向に引っ張り力を加えて付着強度試験を実施した。耐震安全性などを考慮すると、付着強度は2.0N/mm以上であることが好ましい。
ひずみ度の試験はJIS A 1149に準じて行った。JIS A 1132「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」によって作製した円柱形供試体の中央部にひずみ測定器を取り付け、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度の試験方法」の4項に規定する圧縮試験機により供試体に荷重をかけひずみ度(縦ひずみ)を測定した。材令は28日である。追随性の高さという点を考慮すると、ひずみ度は5000μ以上であることが好ましい。
実施例1〜3で得られたモルタル組成物は、比較例1〜3で得られたモルタル組成物と比較して、圧縮強度及び曲げ強度の値が高い。圧縮強度及び曲げ強度の高い物質は、より大きな力を加えても破損やひび割れなどが生じにくく部材厚を薄くしても十分な圧縮強度及び曲げ強度が得られるため、モルタル組成物の使用量が少なく済み経済的である。また、圧縮強度及び曲げ強度が高いため、従来のモルタル製品よりも広範な用途に使用可能である。
実施例1〜3で得られたモルタル組成物の付着強度は、比較例1〜3で得られたモルタル組成物と比較して高く、2.0N/mmを超えているために耐震安全性の点からも十分な付着強度を有する。ここで、比較例3のような有機系接着剤を添加した樹脂系モルタルにおいては、有機系接着剤の使用量を増やすことにより付着強度が2.0N/mmを遙かに超える物質を製造することも可能であるが、有機系接着剤を多量に使用すると原価が高くなり耐久性も劣るため、使用に適さなくなる。
第7図より明らかなように、実施例1〜3で得られたモルタル組成物のひずみ度は、比較的非常に高い値を有する。先にも述べたように、ひずみ度が高いということは追随性が高く伸び能力が優れているということであり、このため本発明に係るモルタル組成物は地震や経時的劣化などにより被接着体にひび割れが生じても、その上に貼り付けた本発明に係るモルタル組成物にはひび割れが生じにくく、安全性に優れる。
加えて、実施例1〜3に示された配合比によれば、原料の大半(両実施例においては約99.8%)が無機系の材料であるため、製造コストが低く耐久性も高い。
産業上の利用可能性
以上の説明で明らかなように、本発明に係るモルタル組成物は、耐震性の観点から充分な付着強度を有するものであり、しかも高い追随性も有するため、剥離、ひび割れなどが生じ難いというものである。
また、原材料中の無機系原料の占める割合が従来のモルタル製品と比べて多いために、耐久性や作業安全性の点で非常に優れており、且つ安価なコストで提供できるものである。
このような本発明に係るモルタル組成物は、床材、コンクリートの仕上げ材などの従来よりモルタル製品を使用していた用途以外にも、利用が考えられる。例えば、コンクリート壁の補修といった用途にも、付着強度が高いため金網などの補助具なしで用いることが可能である。また、フロー値を調整することによって、吹き付け剤や充填剤等の流動性を必要とする用途にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のモルタル組成物において、減水剤の添加量と物性との関係を表にして示す図である。
第2図は、本発明のモルタル組成物において、石膏の添加量と物性との関係を表にして示す図である。
第3図は、本発明のモルタル組成物において、保水剤の添加量と物性との関係を表にして示す図である。
第4図は、本発明のモルタル組成物において、炭素系粉末の添加量と物性との関係を表にして示す図である。
第5図は、本発明のモルタル組成物において、消泡剤の添加量と物性との関係を表にして示す図である。
第6図は、本発明のモルタル組成物において、水の注入量と物性との関係を表にして示す図である。
第7図は、本発明のモルタル組成物の実施例を表にして示す図である。
第8図は、本発明のモルタル組成物の本発明に対する比較例を表にして示す図である。
第9図は、モルタル組成物の撹拌度合いと流動態様との関係を説明するための図である。
第10図は、セメント粒子の均一分散状態を示す図である。
第11図は、モルタル組成物と被接着体との界面構造(均一分散状態)を示す図である。
第12図は、セメント粒子の凝集状態を示す図である。
第13図は、モルタル組成物と被接着体との界面構造(凝集状態)を示す図である。

Claims (31)

  1. 早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部と、水10〜25重量部とを少なくとも含み、かつ有機系接着剤を含まないモルタル材料を混練することにより、モルタル組成物を調製する方法であって、
    モルタル材料の混練は、少なくとも撹拌負荷が急減するに至るまで、撹拌機によりモルタル材料を撹拌することにより行われ、かつ
    調製されたモルタル組成物は、JIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上、であることを特徴とするモルタル組成物の調製方法。
  2. 調製されたモルタル組成物の施工後3日目の圧縮強度が、早強ポルトランドセメントとポリカルボン酸系減水剤と硅砂と水だけの配合において、18.0N/mm以上であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のモルタル組成物の調製方法。
  3. 前記モルタル材料には、保水剤0.05〜1.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のモルタル組成物の調製方法。
  4. 前記保水剤はメチルセルロースであることを特徴とする請求の範囲第3項に記載のモルタル組成物の調製方法。
  5. 前記モルタル材料には、炭素系粉末0.5〜2.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のモルタル組成物の調製方法。
  6. 前記モルタル材料には、消泡剤0.1〜0.3重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載のモルタル組成物の調製方法。
  7. 前記モルタル材料には、石膏0.2〜1.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載のモルタル組成物の調製方法。
  8. 早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部と、水10〜25重量部とを少なくとも含みかつ有機系接着剤を含まないモルタル材料を混練してなるモルタル組成物であって、
    モルタル材料の混練は、少なくとも撹拌負荷が急減するに至るまで、撹拌機によりモルタル材料を撹拌することにより行われ、かつ
    JIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上、であることを特徴とするモルタル組成物。
  9. 施工後3日目の圧縮強度が、早強ポルトランドセメントとポリカルボン酸系減水剤と硅砂と水だけの配合において、18.0N/mm以上であることを特徴とする請求の範囲第8項に記載のモルタル組成物。
  10. 前記モルタル材料には、保水剤0.05〜1.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第8項又は第9項に記載のモルタル組成物。
  11. 前記保水剤はメチルセルロースであることを特徴とする請求の範囲第10項に記載のモルタル組成物。
  12. 前記モルタル材料には、炭素系粉末0.5〜2.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第8項〜第11項のいずれかに記載のモルタル組成物。
  13. 前記モルタル材料には、消泡剤0.1〜0.3重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第8項〜第12項のいずれかに記載のモルタル組成物。
  14. 前記モルタル材料には、石膏0.2〜1.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第8項〜第13項のいずれかに記載のモルタル組成物。
  15. 早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部とを含み、且つ有機系接着剤を含まない混合粉体であって、
    水10〜25重量部を注入したのち、撹拌負荷が急減するに至るまで撹拌することによりモルタル組成物が調製され、かつ
    そのモルタル組成物のJIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上であり、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上であり、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上となることを特徴とするモルタル材料混合粉体。
  16. 調製されたモルタル組成物の施工後3日目の圧縮強度が、早強ポルトランドセメントとポリカルボン酸系減水剤と硅砂と水だけの配合において、18.0N/mm以上であることを特徴とする請求の範囲第15項に記載のモルタル材料混合粉体。
  17. 前記混合粉体には、保水剤0.05〜1.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第15項又は第16項に記載のモルタル材料混合粉体。
  18. 前記保水剤はメチルセルロースであることを特徴とする請求の範囲第17項のいずれかに記載のモルタル材料混合粉体。
  19. 前記粉体には、炭素系粉末0.5〜2.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第15項〜第18項のいずれかに記載のモルタル材料混合粉体。
  20. 前記粉体には、消泡剤0.1〜0.3重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第15項〜第19項のいずれかに記載のモルタル材料混合粉体。
  21. 前記粉体には、石膏0.2〜1.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第15項〜第20項のいずれかに記載のモルタル材料混合粉体対。
  22. 早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部とを含み、且つ有機系接着剤を含まないモルタル材料混合粉体に対して、水10〜25重量部を注入したのち、混練してモルタル組成物を調製する方法であって、
    モルタル材料混合粉体の混練は、少なくとも撹拌負荷が急減するに至るまで、撹拌機によりモルタル材料を撹拌することにより行われ、かつ
    調製されたモルタル組成物は、JIS A 6916による施工後28日目の付着強度が2.5N/mm以上、JIS A 1149による施工後28日目のひずみ度が5000μ以上、JIS R 5201による施工後28日目の圧縮強度が60.0N/mm以上、かつJIS R 5201による施工後28日目の曲げ強度が6.0N/mm以上、であることを特徴とするモルタル組成物の調製方法。
  23. 調製されたモルタル組成物の施工後3日目の圧縮強度が、早強ポルトランドセメントとポリカルボン酸系減水剤と硅砂と水だけの配合において、18.0N/mm以上であることを特徴とする請求の範囲第22項に記載のモルタル組成物の調製方法。
  24. 前記モルタル材料混合粉体には、保水剤0.05〜1.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第22項又は第23項に記載のモルタル材料。
  25. 前記保水剤はメチルセルロースであることを特徴とする請求の範囲第24項に記載のモルタル組成物の調製方法。
  26. 前記モルタル材料混合粉体には、炭素系粉末0.5〜2.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第22項〜第25項のいずれかに記載のモルタル組成物の調製方法。
  27. 前記モルタル材料混合粉体には、消泡剤0.1〜0.3重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第22項〜第26項のいずれかに記載のモルタル組成物の調製方法。
  28. 前記モルタル材料混合粉体には、石膏0.2〜1.0重量部がさらに含まれていることを特徴とする請求の範囲第22項〜第27項のいずれかに記載のモルタル組成物の調製方法。
  29. 早強ポルトランドセメント25〜45重量部と、砂40〜60重量部と、ポリカルボン酸系減水剤粉末0.05〜0.12重量部とを含み、且つ有機系接着剤を含まないモルタル材料混合粉体を用意するステップと、
    このモルタル材料混合粉体に対して、水10〜25重量部、さらに機能性粉体、粒体、又は液体を加えて、撹拌負荷が急減するに至るまで撹拌するステップとを有する、ことを特徴とする機能性モルタル組成物の調製方法。
  30. 調製されたモルタル組成物が接着材であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載のモルタル組成物の調整方法。
  31. モルタル材料を混練してなるモルタル組成物が接着材であることを特徴とする請求の範囲第8項〜第14項のいずれかに記載のモルタル組成物。
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