JPWO2003083122A1 - 血管狭窄の処置および予防 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、血管平滑筋特異的に遺伝子を発現し自己複製する、成体では正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクターおよび該ベクターの血管狭窄を処置および予防するうえでの利用に関し、詳細には血管平滑筋特異的に発現する遺伝子の転写開始制御領域を所定の遺伝子の上流に組み込んだことを特徴とする成体正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクター、およびそれを含有する、血管狭窄を処置および予防するための医薬組成物およびそのための方法に関する。
背景技術
動脈硬化性病変、ことに頚動脈、冠動脈等の主幹動脈の狭窄性病変は、本邦でも大きな問題となりつつある。これら病変に対して、最近血管内手術法の進歩に伴い、balloon angioplastyによる治療法が確立されつつある。しかしながら、この血管内手術により一度は狭窄が是正されても、30−50%の頻度で再狭窄をきたし、本治療法の大きな問題となっている。
また、最近話題となっている各種臓器移植は今後急速に需要が高まることが予想される。臓器の生着自体は免疫抑制剤によりコントロール良好となってきているが、移植臓器と患者の血管吻合部の狭窄が問題として残り、移植臓器の機能不全やその脱落の原因となる。例えば心臓移植後の狭心症、心筋梗塞等は克服すべき問題点である。これら動脈硬化および臓器移植後の血管狭窄の主病態は血管平滑筋の増殖性変化にあり、この病態の治療法を開発することは大きな関心事である。
血管再狭窄の治療として、各種薬剤や抗体等、さまざまなアプローチが行われているが、有効な治療法は未だ確立されていない。米国では、c−mycアンチセンスとE2Fデコイを用いた細胞増殖抑制療法による臨床試験が行われているが、これらのアプローチは細胞特異性を持たない。また、いろいろな遺伝子導入用ベクターを用いた遺伝子治療が試みられているが、in vivoでの遺伝子導入効率の低さが問題となり、良好な治療効果は得られていない。
本発明者らは複製可能型遺伝子組み換え単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターを用いた悪性腫瘍に対する遺伝子治療の研究を続けている。HSV DNAの複製極初期に発現し、自己遺伝子の複製に必須なICP4に着目し、ICP4遺伝子を組織特異的な遺伝子プロモーターの下流に接続し、ICP4欠損変異型HSVに導入することにより特定の細胞特異的な組換えHSVを作成している。Martuzaと本発明者の一人である宮武らは1998年3月に発行の米国特許第5728379号(「腫瘍あるいは細胞特異的単純ヘルペスウイルスの複製」)を取得している。
増殖期の細胞を破壊する複製可能型HSVベクターを用いた悪性脳腫瘍への臨床試験が米国、英国で行われているが、同ベクターを血管障害、臓器移植に応用する試みは未だ為されていない。この研究はウイルスベクターを単なる遺伝子導入の担体として用いる従来の遺伝子治療とは全く異なり、目的とする組織もしくは細胞にわずかでも本ウイルスが感染すれば、その感染が周辺の細胞に波及し破壊するという点が全く独創的なポイントである。しかし、増殖期の細胞をすべて破壊するウイルスベクターでは、動脈硬化の主病態である血管平滑筋の増殖のみならず、血管内皮をも障害する可能性が残り、この問題を解決するためには増殖期の血管平滑筋のみで複製破壊を行うベクターの開発が必要である。
発明の開示
そこで、本発明者らは平滑筋に特異的に発現する蛋白であるカルポニンに着目し、カルポニンのプロモーターを利用し、平滑筋の表現形を有し、増殖する細胞を破壊するHSVベクターを開発し、平滑筋肉腫である腫瘍に対する遺伝子治療の効果、安全性を確認し報告している(Cancer Res.61:3969−77,2001、特願2001−143999)。
本発明においては、この細胞、組織特異的なHSVベクターを用いて、動脈硬化性病変の治療に当たることが目的の一つである。
一方、臓器移植に伴う移植血管の狭窄性病変も問題であり、その病態がホスト由来の血管平滑筋の増殖に有ることが最近、Shimizu等により明らかにされ、狭窄の主体である新生内膜に多数のカルポニン陽性血管平滑筋由来細胞の増殖を認めた(Nat Med.7:738−41,2001)。よって、この病態の治療にも本ウイルスが応用できると考えられる。
すなわち本発明は、
(1)血管平滑筋特異的に発現する遺伝子の転写開始制御領域を、所定の遺伝子の上流に組み込んだことを特徴とする成体正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクター、具体的には該転写開始制御領域が、配列番号1に示される塩基配列を含む領域、配列番号2に示される塩基配列からなるヒトカルポニン遺伝子プロモーターを含む領域または配列番号3に示される塩基配列を含む領域である本発明のウイルスベクター、または該転写開始制御領域が、配列番号1、配列番号2または配列番号3に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ当該遺伝子の転写開始制御活性と同等の活性を有する塩基配列を含む領域である本発明のウイルスベクター、または;
該転写開始制御領域の上流にエンハンサー、好ましくは4F2エンハンサーが組み込まれている本発明のウイルスベクター、または;
該発現複製ウイルスベクターが単純ヘルペスウイルスベクターまたはアデノウイルスベクターである本発明のウイルスベクター、または;
該発現複製ウイルスベクターが、リボヌクレオチドリダクターゼ(Ribonucleotide reductase)をコードするDNAおよび/またはチミジンキナーゼ(Thymidine kinase)をコードするDNAを欠失している本発明のウイルスベクター、または;
該所定の遺伝子がウイルス複製関連遺伝子、具体的にはウイルスの複製開始に必須な転写因子をコードする遺伝子ICP4である本発明のウイルスベクター、または;
所定の遺伝子のさらに下流に、アポトーシス関連遺伝子が連結され、前記転写開始制御領域とエンハンサーの制御下に発現することを特徴とする本発明のウイルスベクター、または該所定の遺伝子のさらに下流に、血管新生抑制作用をもつタンパク質をコードするDNAが連結され、前記転写開始制御領域とエンハンサーの制御下に発現することを特徴とする本発明のウイルスベクター;あるいは
(2)上記本発明のウイルスベクターを含む、血管狭窄を処置および予防するための医薬組成物、好ましくは該血管狭窄が動脈硬化性病変または臓器移植に由来する本発明の医薬組成物;あるいは
(3)上記本発明のウイルスベクターの有効量を生体に導入し、発現複製させることを特徴とする、血管狭窄を処置および予防するための方法、好ましくは該血管狭窄が動脈硬化性病変または臓器移植に由来する本発明の方法;
に関する。
発明を実施するための最良の形態
(1)血管平滑筋特異的に発現する遺伝子の転写開始制御領域を、所定の遺伝子の上流に組み込んだことを特徴とする成体正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクター
本発明において、「血管平滑筋特異的に発現する遺伝子」としては、平滑筋に特異的に発現するカルポニン遺伝子、ヒトSM22α遺伝子(ヒトSM22α遺伝子では−480から−26までの配列;GenBank accession#D84342−D84344)、増殖期の平滑筋に発現するSmemb−ミオシンなどを挙げることができる。
ヒト由来の肉腫の腫瘍細胞に平滑筋の分化マーカーとされるカルポニン遺伝子が発現していることが見い出されている(Int.J.Cancer 79,245−250,1998、Sarcoma 3,107−113,1999、Intern.J.Cancer 82,678−686,1999)。その後、骨・軟部肉腫に加えて消化管ストローマ腫瘍(GIST)や唾液腺肉腫、繊維肉腫、悪性神経鞘腫など20種類近い間葉系細胞由来のヒト悪性腫瘍で、カルポニン遺伝子が異常発現していることが国内外で相次いで報告されている。上記カルポニン(h1またはbasic)は、X線結晶構造と、インビトロおよびインビボの機能解析により、アクチン分子のC末端に結合して、アクチン・ミオシンの滑り運動を抑制することが明らかにされている(Biochem.Biophys.Res.Commun.279,150−157,2000、J.Physiol.529,811−824,2000)。カルポニン遺伝子は、成体では、平滑筋細胞に選択的に発現し、血管分化のマーカーと考えられている(Physiol.Rev.75,487−517,1995)。
SM22α遺伝子は平滑筋での特異的発現が知られており、そのプロモーター領域もクローニングされている(J Clin Invest.100:1006−1014,1997,J Biochem.122:157−167,1997)。
増殖期の平滑筋に発現するSmemb−ミオシンはCirculation 94:1118−1124,1996に記載されている。
本発明において、「転写開始制御領域」とは、上記遺伝子の転写開始制御領域であり、プロモーターとして知られている領域を意味する。この転写開始制御領域は対応する構造遺伝子の一部を含んでいてもよい。
この具体例としては、カルポニン遺伝子の場合、ヒトカルポニン遺伝子のプロモーターの−260から−219までの配列番号1に示される塩基配列を含む領域、好ましくは配列番号2に示される塩基配列からなるヒトカルポニン遺伝子プロモーター、より好ましくは配列番号3に示される塩基配列からなるヒトカルポニン遺伝子プロモーターとその構造遺伝子の一部を含む領域を例示することができる。また、転写開始制御領域として、配列番号1、配列番号2または配列番号3に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ血管平滑筋特異的に発現する遺伝子の転写開始制御活性と同等の活性を有する塩基配列が挙げられる。
このような変異を有する塩基配列は当業者ならば、容易に調製することができる。また、該遺伝子の転写開始制御活性と同等の活性とは該遺伝子の転写開始を制御できる活性であれば、該遺伝子のプロモーターと同じ活性を有する必要はなく、転写開始制御活性は当業者ならば、通常の手法により測定することができる。このような変異を有する配列としては、マウス、ラットおよびブタ由来のカルポニンプロモーターなど、ヒトのそれに相同な領域を含む領域を例示することができる。
上記の他、増殖平滑筋細胞を攻撃の標的にする場合は、SM22α遺伝子のプロモーター領域、具体的にはヒトSM22α遺伝子では−480から−26までの配列;GenBank accession# D84342−D84344、マウスやラットまたはその他の哺乳動物由来のSM22α遺伝子プロモーターに相同な領域を、また内皮細胞を標的にする場合は、Flk−1遺伝子のプロモーター領域を用いることができる。これらの場合にも、一部構造遺伝子を含む領域を転写開始制御領域とすることもできる。
上記転写開始制御領域の上流に、転写を活性化するエンハンサーを連結することが好ましく、かかるエンハンサーとしてはアデノウイルス初期遺伝子のエンハンサー、モロニーマウス白血病ウイルス末端反復配列のエンハンサー、ヒストンH2A遺伝子エンハンサー、免疫グロブリンエンハンサー、インスリン遺伝子エンハンサー、c−fos遺伝子エンハンサー、T細胞抗原受容体遺伝子エンハンサー、筋型クレアチンキナーゼ遺伝子エンハンサー、ヒト4F2重鎖(ヘビーチェイン)配列エンハンサー等を例示できる。転写開始制御領域がカルポニン遺伝子のプロモーターの−260から+73までの配列を含む領域の場合、アミノ酸トランスポーターの活性化因子であると考えられている膜貫通構造を一回しか持たない二型膜糖タンパク質である4F2ヘビーチェイン遺伝子のエンハンサーであるヒト4F2重鎖転写エンハンサー(配列番号4)等の4F2エンハンサーが転写効率を著しく高め得る点で好ましい。
本発明の、成体において正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクターの作製に用いられる所定の遺伝子とは、血管の狭窄または再狭窄を引き起こす血管平滑筋増殖を停止させ、あるいは該増殖に由来する細胞または組織を傷害または破壊する因子をコードする遺伝子を意味する。かかる因子遺伝子としては、用いるウイルスの複製開始または維持に必要な遺伝子を利用することができ、例えばアデノウイルスのE1A遺伝子、ICP6(Ribonucleotide reductase)遺伝子(Virology.1988 Sep;166(1):41−51.、J Virol.1988Aug;62(8):2970−7.)などのウイルス複製関連遺伝子を挙げることができる。特にヘルペスウイルスの複製開始に必要な転写因子をコードする遺伝子であるICP4(J Virol 56:558−570,1985)を好適に例示することができる。また、これら遺伝子としては、転写開始制御領域の下流に位置する本来の構造遺伝子の一部または全部と上記所定の遺伝子がインフレームで結合したものでもよく、例えば、カルポニンタンパク質のN末側の一部とICP4タンパク質との融合タンパク質をコードするDNAを具体的に挙げることができる。
また、別の血管の狭窄または再狭窄を引き起こす血管平滑筋増殖を停止させ、あるいは該増殖に由来する細胞または組織を傷害または破壊する因子の遺伝子としては、アポトーシス関連遺伝子としてBcl−xs、Bok/Mtd、Bcl−Gs/Bra、Bcl−GL、Bcl−Rambo、Hrk/DP5、Bik/Nbk/Blk、Bad、Bid、BimL,S,EL/BodL,M,S、Noxa/APR、Puma等のアポトーシス促進遺伝子を、または血管新生抑制作用をもつタンパク質をコードするDNAとしてアンジオスタチン、エンドスタチン、FLK1、FLT1、FLT4、Tie1、Tie2などのタンパク質をコードするDNAを、それぞれ具体的に例示することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の成体正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクターとして、所定の遺伝子のさらに下流に、先に説明したアポトーシス関連遺伝子や血管新生抑制作用をもつタンパク質をコードするDNAなどが1または2以上連結され、前記転写開始制御領域とエンハンサーの制御下に発現することができる細胞特異的発現複製ウイルスベクターを用いることができる。
本発明の成体では正常細胞に作用しない細胞特異的発現複製ウイルスベクターの作製に用いられるベクターの骨格としては、平滑筋細胞、特に血管平滑筋に感染しまたは遺伝子を導入し発現できるベクターが好ましい。ウイルスベクターとしては、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスベクター、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス由来のベクター、単純ヘルペスウイルスベクター(HSVベクター)等のウイルスベクターが好ましく、中でも、HSVベクターとアデノウイルスベクター、特に条件付き複製可能型HSVベクター、または条件付き複製可能型アデノウイルスベクターが、遺伝子発現の高効率性、増殖細胞特異性細胞傷害活性などの点で好ましい。上記条件付き複製可能型HSVベクターとして、例えば、リボヌクレオチドリダクターゼをコードするDNAやチミジンキナーゼをコードするDNAやこれらを共に欠失しているベクターを用いることにより、本発明の成体正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ベクターを好適に作製することができる。
「成体正常細胞に作用しない」における「成体」とは幼小児期をのぞいた個体を意味し、総じて成人を意味する。
(2)上記本発明のウイルスベクターを含む、血管狭窄を処置および予防するための医薬組成物、および該ベクターの有効量を生体に導入し、発現複製させることを特徴とする、血管狭窄を処置および予防するための方法
本発明において、血管狭窄とは新生内膜の肥厚に起因する血管の内腔狭窄を意味し、それが動脈硬化性病変または臓器移植のいずれに由来するかは問わない。
また、本発明において、血管狭窄には血管の血管内手術後の再狭窄も含まれる。
本発明の医薬組成物により血管狭窄が予防されれば、移植臓器の機能不全やその脱落が予防され、また例えば心臓移植後の狭心症、心筋梗塞等なども予防することができる。
本発明ウイルスベクターを血管狭窄の処置および予防に適用する際には、以下の方法が適用され得る。
本発明における成体では正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクターを、生体細胞組織、好ましくは血管狭窄が生じている血管から注入し発現複製させる。
本発明のウイルスベクターを実際に医薬として作用させる導入、注入は治療目的の疾患、症状等に応じた適当な投与経路により行う。例えば、血管内(静脈もしくは動脈)に投与することができる。剤型としては例えば、液剤等の形態をとりうるが、一般には有効成分である本発明ウイルスベクターを含有する注射剤等とし、必要に応じて当業界に周知の担体を加えてもよい。
製剤中の本発明ウイルスベクターの含量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体重等により適宜調整することができるが、通常、ウイルス量として109−1010pfu/ml(PFU:plaque forming unit)の濃度で0.1ml程度の投与量になると予想される。
以上のような本発明ウイルスベクターの投与により、血管狭窄が起こっている、または起ころうとしている部位において所望遺伝子の発現または本発明ウイルスベクターの感染、複製が生じ、狭窄を退縮あるいは消失させる。このようにして、血管狭窄または血管再狭窄の処置または予防が達成される。
以下、調製例および実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
調製例
I.使用細胞
ヒト平滑筋肉腫細胞株SK−LMS−1(HTB−88)、ヒト骨肉腫細胞株HOS(CRL−1543)、MNNG−HOS(CRL−1547)、およびベロ細胞(CCL−81)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culuture Collection)から購入した。
ヒト平滑筋肉腫細胞株SKN(RCB0513)およびヒト骨肉腫細胞株OST(RCB0454)は、理研ジーンバンク(RIKEN GENE BANK)から購入した。
ヒト滑膜肉腫およびデスモイド細胞株は、各腫瘍患者から切除した腫瘍サンプルから樹立した。滑膜肉腫の診断は文献(Sarcoma 3,107−113,1999)に記載のようにSYT−SSX融合遺伝子の発現を確認することにより行った。
初期培養されたヒトメサンギウム細胞(HMC;弘前大学医学部の山部博士より供与;Nephrol.Dial.Transplant.12,438−442,1997)をヒト胎児の腎臓(妊娠16および18週)から調製し(University Hospital of LeidenのDr.M.R.Dahaによって樹立されたもの)、4〜6回継代培養したものを以下の実施例に用いた。
ヒト臍帯静脈内皮細胞株HUVEC(T200−05)は、東洋紡バイオケミカルから購入した。
ICP4遺伝子を導入したベロ細胞、E5細胞(ベロ細胞にICP4遺伝子をトランスフェクションしたもの))、N.Deluca(University of Pittsburgh School of Medicine,Pittsburgh)から供与されたものを用いた。)
II.培養方法
SK−LMS−1は1mMのピルビン酸ナトリウムを添加したイーグルMEMで培養した。HOS、MNNG−HOS、OST、ベロおよびE5細胞は、DMEMで培養した。SKN細胞は、F12培地で培養した。滑膜肉腫細胞およびデスモイド腫瘍細胞は、RPMI1640培地で培養した。ヒトメサンギウム細胞は1mg/mlのD−グルコースを添加したDMEMで培養した。全ての培地には、最終濃度で10%,15%(SKNの場合)または20%(滑膜肉腫細胞およびデスモイドの場合)の熱不活性化ウシ胎仔血清(Upstate Biotechnologies)、2mMのL−グルタミン、100unit/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンがそれぞれ含まれている。HUVECは、製造者の指示に従った培地で培養した。
上記全ての細胞は、加湿された5%のCO2条件下で37℃にて培養した。
III.検定方法
化学ルミネッセンス(ECL;Amersham Pharmacia Biotech社製)は、製造者のプロトコルに従って結合抗体を視覚化した。
IV.ウイルス
それぞれE5細胞またはベロ細胞に低多重度で感染させることにより生成した、HSVのICP4欠損変異体d120(J.Virol.56,558−570,1985)およびHSVのICP6(ribonucleotide reductase)欠損変異体hrR3は、N.DelucaまたはS.Weller博士(University of Connecticut Health Center,Farmington)からそれぞれ供与されたものを用いた。
実施例中、統計学的分析として、無対のStudent’s t−testを使って、統計的差異を確認した。差異はp<0.05で、統計的に有意であると考えた。
調製例1
ヒトカルポニンプロモーターの発現制御領域の同定
I.RNAの調製とRT−PCR分析
全RNAはIsogene RNA extraction kit(Nippon Gene社製)を用いて培養した細胞(OST、SK−LMS−1、滑膜細胞肉腫(Synovial cell sarcoma))から抽出し、文献(Int.J.Cancer 79,245−250,1998)記載の半定量的RT−PCR分析を行った。PCR増幅の条件としては、94℃で40秒間変性させ、60℃で30秒間アニーリングし、72℃で90秒間伸長反応させるというサイクルを30回繰返し行った。ヒトカルポニンプライマーとしては、5’−gagtgtgcagacggaacttcagcc−3’[フォーワードプライマー1(FP1);nt#10−33GenBank D17408;配列番号5]と5’−gtctgtgcccagcttggggtc−3’[リバースプライマー1(RP1);nt#660−680;配列番号6]を、コントロールとしてのGAPDH(glyceraldehyde 3−phosphate dehydrogenase)のプライマーとしては、5’−cccatcaccatcttccagga−3’[フォーワードプライマー2(FP2);nt#342−360;配列番号7]と5’−ttgtcataccaggaaatgagc−3’[リバースプライマー2(RP2);nt#1052−1070;配列番号8]を用いて、それぞれ671bpと731bpのDNAを増幅させた。
II.ヒトカルポニンプロモーターの単離
文献(J.Biochem.120,18−21.1996)記載の方法に従い、ヒトゲノムλEMBL3ファージライブラリーを上記増幅した671bpおよび731bpのDNAを用いてスクリーニングし、ヒトカルポニン遺伝子の5’上流側を含むゲノムクローンを単離した。PCR法で増幅することにより、5’側が欠失した断片であるp−1159Luc、p−385Luc、p−343Luc、p−310Luc、p−299Luc、p−288Luc、p−260Luc、p−239Luc、p−219Luc、p−201Luc、p−176Luc、p−153Lucを作製した。次いで、それぞれの断片を、pGL2−Basicベクター(Promega)のルシフェラーゼ遺伝子の5’側に位置する多重クローニング部位にサブクローニングした。
上記番号は、以後+1と表示されるATG翻訳開始コドンの上流に位置するDNA断片の5’末端を示している。欠失したこれらの断片は+73の位置まで伸びる共通の3’末端を有している。DQS−2000L DNA sequencer(SHIMADZU社製)を製造者のプロトコールに従って使用し、該クローン断片のヌクレオチド配列を決定し、その配列は文献(J.Biochem.120,18−21,1996)に記載の配列(DDBJ/GenBankTM/EMBL database;accession No.D85611)と同一であることを確認した。
III.ヒトカルポニンプロモーターの発現制御領域の同定
ヒトカルポニンの発現を制御する最小のプロモーター領域を同定するため、上記IIにて作製した5’部分が欠失している各種カルポニンプロモータールシフェラーゼ構築物をもつプラスミドを、ヒト骨肉腫細胞株MNNG−HOSおよびHOS、ならびにメサンギウム細胞株HMCにトランスフェクトした。
トランスフェクションする24時間前に、あらかじめ培養した細胞を分割し、プレート上に播いた。製造者のプロトコルに従い1ウェル当たり、1.2μgのプロモータープラスミドと、0.3μgのpCAGGS/β−gal関連プラスミドと、3.75μlのFuGENETM6トランスフェクション試薬(Roche社製)とを6ウエルディッシュに注入し、細胞(5×104)をトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後、100μl/ウエルの細胞溶解緩衝液(PicaGeneTMルシフェラーゼ分析システム、Toyo Ink社製)中で細胞を回収した。4℃で12000g×5分間の遠心分離を行った後、上清(20μlまたは30μl)をルシフェラーゼアッセイおよびβ−ガラクトシダーゼアッセイにそれぞれ使用した。ルシフェラーゼ活性はBLR−201 luminescence reader(Aloka社製)を用いて測定した。β−ガラクトシダーゼアッセイは、文献(J.Biochem.(Tokyo)122,157−167,1997)記載の方法に準じてβ−ガラクトシダーゼ酵素分析システム(Promega社製)を用いて行った。再現性を確認するため、全実験は最低三回繰り返した。細胞抽出物のβ−ガラクトシダーゼ活性を測定することによりトランスフェクション効率を決定し、その値に応じて、ルシフェラーゼ活性(光ユニット)を補正した。SV40エンハンサーおよびSV40プロモーターを含むpSV2−Luc遺伝子の発現を比較することにより、種々の細胞株のトランスフェクション効率を評価した。データは、pSV2−Lucの値に対してノーマライズした吸光度±S.E.を100%を1として相対比を表示している。
メサンギウム細胞株HMCは、平滑筋様表現型に特徴的な成長パターン(山と谷)を安定的に示し、α−平滑筋アクチンおよびSM22αといった平滑筋に特異的な遺伝子を発現している。トランスフェクトした3つの細胞株の中でカルポニン遺伝子の発現が最も高かったのは、HMCだった(図1)。以前の報告にもあるように(Int.J.Cancer 79,245−250,1998)、カルポニンは、ヒト骨肉腫細胞株HOSにおいて中程度の発現を示すが、MNNG−HOSでは全く発現していなかった(図1)。
p−288Luc断片とp−260Luc断片をpGL2−Basicベクター(Promega)にサブクローンして作製したプラスミドp−288Lucとp−260LucのHOSおよびHMC細胞への一時的トランスフェクションアッセイ(transient transfection assay)の結果、両者のルシフェラーゼの活性がp−1159Lucをトランスフェクションした場合よりも、HOS細胞においては4倍、HMC細胞においては6倍に増大した。これは、カルポニンプロモーター領域の−1159から−288の間に発現抑制領域があることを示している。カルポニンmRNAの発現とプロモーター領域−385から−260の転写活性との間にはかなりの相関関係があった。−260から−219まで、塩基をさらに除去するに従い、HOS細胞とHMC細胞において、共にプロモーター活性が大きく減少した。さらにカルポニン遺伝子プロモーター領域の5’部分の広い範囲が除去された構築物(p−201Luc、p−176Lucおよびp−153Luc)をトランスフェクションした場合は、p−219Lucを用いた場合とルシフェラーゼ活性が同程度であった。これらの結果により、−260から−219の配列は、HOS細胞とHMC細胞の両方におけるカルポニン遺伝子転写の正の発現制御領域であることがわかる。
上記カルポニン遺伝子プロモーターの−260から−219の領域は、−258のSox(AACAAT)および−250のGATA−1(CACAATCAGC)のコンセンサス結合配列に似たいくつかの配列モチーフを含んでいる。p−260Lucからカルポニン遺伝子プロモーターの−260から−239の部分を除去すると、転写活性が50%減少する。SoxおよびGATA−1の推定結合部位と−239の下流領域が発現制御機能を示すかを調べるため、プラスミドp−260Lucの−255/−254(AAからGG)、−246/−244(−246ではAからG、−244ではCからT)、−232/−231(CCからTT)の置換をした3つの変異体を作製し、そのプラスミドのトランスフェクトを行った。HMC細胞におけるトランスフェクション実験では、上記3つの変異体は、p−260Luc活性がそれぞれ73±0.2%、76±0.2%、39±0.1%だった。これらの結果により、カルポニンプロモーターの転写活性には、−260から−219までの全体の配列が必要であることがわかった。
IV.ヒト軟部組織腫瘍および骨腫瘍細胞でのカルポニン遺伝子発現による転写レベルでの調節
ヒト軟部組織腫瘍および骨腫瘍細胞において、カルポニンの発現とカルポニンプロモーターの転写活性との間の相関関係の存在についてさらに検討するため、カルポニンが発現している、または発現していない各種ヒト細胞株(図2参照)に、p−260Lucあるいは、p−260Lucの上流にヒト4F2重鎖転写エンハンサー(Mol.Cell Biol.9,2588−2597,1989)が挿入された構築物(p4F2−260Luc)をトランスフェクトした。RT−PCR分析により、カルポニンmRNAの発現が、滑膜肉腫細胞および平滑筋肉腫細胞SK−LMS−1で認められた。これに対し、骨肉腫細胞OSTでのカルポニンmRNAの発現は、ごくわずかだった(図2)。図2に示されるように、p−260Lucおよびp4F2−260Lucの転写活性は測定したすべての細胞において、カルポニンmRNAの転写物の発現レベルと相関関係があった。これらの実験結果は、ヒト軟部組織腫瘍および骨腫瘍細胞におけるカルポニン遺伝子の発現が、翻訳開始点の上流260bpの配列により、転写レベルで制御されている可能性を示している。
上記のように、カルポニンプロモーターの上流に4F2エンハンサーを挿入したところ、カルポニン陽性の滑膜肉腫細胞およびSK−LMS−1細胞において、p−260Lucの転写活性が3倍から5倍に増大した。そのため、以下の実験では、ヒト軟部組織腫瘍および骨腫瘍細胞におけるHSVのICP4遺伝子の発現の調節には、4F2エンハンサー/−260カルポニンプロモーター配列を使用した。
実施例1
組換えHSVベクターの調製
上記調製例1の知見に基づき、カルポニン陽性細胞および増殖細胞中で選択的に複製するHSVベクターを構築するため、4F2エンハンサー/−260カルポニンプロモーター/ICP4(pTKΔ−CALP−ICP4)を含むDNA断片を、HSVのICP4欠損変異体d120(J.Virol.56,558−570,1985)のTK遺伝子座(UL23)に挿入し、d12.CALPを作製した。なお、プラスミドpTKΔ−CALP−ICP4は、大腸菌由来のLacZを挿入したICP4タンパク質とβ−ガラクトシダーゼを発現する二つのキメラ導入遺伝子を含んでいる(図3A)。
d12.CALPの具体的作製手法は次の通りである。
ICP4のコード領域を含むpGH108(J.Virol.56,558−570,1985)由来の4.1kbの平滑末端SalI−MseI断片(Johns Hopkins School of MedicineのHayward博士より提供)を、pAMP1ベクター(pUC系のplasmid)にクローニングした333bpヒトカルポニンプロモーター(−260〜+73)の下流の平滑末端HindIIIサイトに挿入し、次いでこのベクターのSmaIサイトにヒト4F2重鎖転写エンハンサー(Mol.Cell Biol.9,2588−2597,1989)(Harvard Medical SchoolのLeiden氏より提供)の444bpのNotI断片をサブクローンした。得られたpAMP1/CALP−ICP4ベクターをSalIとHindIIIとを用いて二重消化させることにより得られた4.7kb断片を、pTKΔL組換えベクターのXbaI平滑末端サイトにサブクローンした。pTKΔL組換えベクターは、0.5kbのBglII−KpnI領域が欠失したTKコード配列、大腸菌(Escharicia coli)由来のLacZ、TK配列の上流(TKの+53)(J.Virol.71,5124−5132,1997)、およびSV40由来ポリAシグナルから構成されている(pTKΔL組換えベクターはGIBCO/BRLより発売されているpHSV106よりJ Virol.71(No.7):5124−5132,1997を参照して調製)。製造者のプロトコルに従ってLipofectamineTM(GIBCO/BRL社)を使用し、上記プラスミドをSalIサイトで線状化したpTKΔ−CALP−ICP4とd120DNAとを、E5細胞に同時トランスフェクションした。ガンシクロビア(1μ/ml)の存在下、単一のプラークとして同定された組換えウイルスベクターd12.CALPを、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−gal)アガロースオーバーレイで青色に染色し、単離を行うという方法で、プラーク精製を三回行った。DNAを精製した後、制限酵素で分解し、サザンブロット、およびPCR分析によりその組換えを確認した。
10〜20個の150cm2/tissue culture flasks(IWAKI CLASS社製)中のE5細胞に感染させ、48時間後に剥離した細胞を回収することにより、ウイルス感染細胞懸濁液を調製した。
次いで、ウイルス回収のため、4℃で5分間、400×gで遠心分離を行って感染E5細胞を収集し、10mlの冷ウイルス緩衝液(150mMのNaClを含む20mMのTris−HCl;pH7.5)に懸濁した。超音波処理(1分間を6回)を組み合わせた凍結処理と解凍処理を三回行い、上記細胞を溶解した。4℃で5分間、1500×gで遠心分離を行ったあと、その上清に対してさらに4℃で45分間、15000×gで遠心分離を行った。その結果得られたペレットを冷ウイルス緩衝液に懸濁し、E5細胞におけるプラークアッセイにより精製したd12.CALPの力価を測定した。
実施例2
カルポニン陽性細胞における組換えHSVベクターのインビトロでの選択的複製I.インビトロでの細胞崩壊分析
カルポニン発現ヒト細胞株またはカルポニン非発現ヒト細胞株を使用し、d12.CALPのウイルス複製の選択性を評価した(図3B:RT−PCRの結果)。
上記作製した細胞株(図3C参照)に、感染多重度0.001のd12.CALPまたはICP6欠損変異体hrR3を48時間感染させた。ウイルス複製は、プラーク形成を指標として評価した(図3C)。hrR3による感染はポジティブ対照である。カルポニン陽性の滑膜肉腫細胞、SK−LMS−1細胞、およびHOS細胞では、d12.CALPはhrR3と同様の細胞変性効果を示した。これに対して、カルポニン陰性のSKN細胞、OST細胞、MNNG−HOS細胞、およびHUVEC細胞では、d12.CALPによる明らかな細胞溶解は認められなかった。もっとも緩慢な増殖速度を示したデスモイド細胞はSK−LMS−1細胞と同じレベルでカルポニンのmRNAを発現しているが、d12.CALPによる明らかなプラーク形成は認められなかった。以上の結果は、d12.CALPによる細胞変性効果が、カルポニン発現と細胞増殖速度の両方に依存していることを示している。
図4Aおよび4Bからわかるように、SK−LMS−1細胞および滑膜肉腫細胞にd12.CALPを低感染多重度(MOI:0.001)で感染させた場合、感染の96時間後には、10cmディッシュ中の培養物の完全な腫瘍崩壊が生じる。滑膜肉腫細胞の崩壊が細胞から細胞へと拡大していくことも確認できた(図4A)。感染したSK−LMS−1細胞の中には、溶解前に多核化したものも見られた(図4B、矢印部分)。
II.インビトロでのウイルス複製分析
1%の熱不活性FBS/PBS中、感染多重度(MOI)が0.01〜0.001pfu/cellで6ウエル組織培養プレート中のSK−LMS−1細胞またはOST細胞のサブコンフルエント単層にウイルスを感染させた。かかる感染細胞を37℃で1時間インキュベートし、その後、1%のFBSと11.3μg/mlのヒトIgG(Jackson ImmunoResearch Lab.社製)を含む前記培地で培養した。感染の48時間後、プラーク/ウエルの数を計測した。ウイルス複製分析のために、12ウエル組織培養プレート中のSK−LMS−1細胞またはOST細胞の単層培養(2×105細胞/well)に、1%のFBS/PBS中にて、感染多重度(MOI)が0.1となるようにd12.CALPを感染させた。接種したウイルスを1時間後に取り除き、上記細胞を前記培地でインキュベートした。所定の時間(12時間、24時間、48時間)に、100μlのウイルス緩衝液を用いて感染細胞をウエルから剥がした。細胞溶解物(1μl)を10−3、10−4および10−5に希釈し、その後E5細胞におけるウイルスの力価をシングルステップグロースアッセイで評価した。
d12.CALPは、カルポニン陽性SK−LMS−1細胞中で複製したが、d12.CALPの力価は感染の48時間後のカルポニン陰性OST細胞中ではSK−LMS−1細胞に比べて1/106から1/107程度に減少した(図5A)。
ICP4発現のイムノブロット分析は文献(Int.J.Cancer 79,245−250,1998)記載の方法と同様に行った。SK−LMS−1細胞およびOST細胞に、感染多重度(MOI)が0.01となるようにd12.CALPまたはウイルスバッファーのみをそれぞれ感染させ、22時間培養したのち回収した。同量のタンパク質を9%のSDS−PAGEゲル電気泳動にかけ、ニトロセルロース膜(Bio−Rad社製)に移した。5%のスキムミルク(DIFCO Laboratories社製)を用いて、膜を室温で2時間ブロッキングし、その後、HSV−1またはHSV−2のICP4タンパク質に対するモノクローナル抗体(clone No.1101、Goodwin Institute for Cancer Research)(希釈率1:500)を用いて、4℃で一晩インキュベートした。
感染22時間後の細胞抽出物のイムノブロット分析を行った結果、SK−LMS−1細胞ではICP4タンパク質が発現しているが、OST細胞ではICP4タンパク質が発現していないことがわかった。これはウイルス複製分析結果と一致していた(図5B)。これに対し、d120ウイルスベクターは、SK−LMS−1およびOSTの培養物において子孫ウイルスの産生はまったく見られなかった。
実施例3
組換えHSVベクターによるヒト平滑筋肉腫異種移植片の処理
治療におけるd12.CALPの効果をインビボで評価するため、平滑筋肉腫異種移植片としてSK−LMS−1細胞あるいは骨肉腫移植片としてOST細胞を、6週齢の雌の無胸腺症ヌードマウス(BALB/c Slc−nu/nu)(日本SLC社製)の体側部に皮下注射し、腫瘍を定着させた。腫瘍は、ヌードマウス内で直径6から7mm程度に成長した。1×107pfuのd12.CALPを含む50μl(1腫瘍塊あたり)のウイルス懸濁液、あるいは同量のウイルス緩衝液(150mMのNaClを含む20mMのTris−HCl;pH7.5)を、30ゲージの針を用いてそれぞれ腫瘍内に注入した。9日後に、全く同じ処理を繰り返した。注入後所定の時間に腫瘍を測定し、式[0.53×長さ×幅の2乗]を用いて腫瘍容積を計算した。なお、処理前には、腫瘍の容積(それぞれ138±20と139±28mm3、n=5)においても、免疫反応性カルポニンの発現レベルにおいても、d12.CALPで処理した腫瘍と対照腫瘍との間には有意な差は見られなかった。
d12.CALPの感染は、SK−LMS−1腫瘍の成長抑制とは関連性を示したが、カルポニン陰性OST腫瘍の成長抑制とは関連性がなかった(図6A)。これに対し、SK−LMS−1異種移植片のウイルスバッファーのみでの処理は、処理後89日目までに、進行性腫瘍の成長と全ての動物の死(n=5)が確認でき、進行性腫瘍の成長と動物の死に関連があることがわかった(図6B)。最初のd12.CALP感染から5週間後には、5匹中4匹のマウスにおいて、腫瘍が完全に退縮しているのが確認できた(図7)。1匹のマウスでは腫瘍が再成長していた。そこでかかるマウスの再発した腫瘍をd12.CALPで再処理したところ、腫瘍の成長が安定的に抑制された。
X−galを用いた組織化学的分析のため、1×107pfu/腫瘍容積100mm3のd12.CALPを一回投与した後、所定の日数で、腫瘍があるマウスを絶命させた。皮下腫瘍を取り出し、2%のパラホルムアルデヒド、0.5%のグルタルアルデヒドを用いて、1mMのMgCl2を含むPBSで、4℃で一晩固定した。続いて、X−gal(1mg/ml)、5mMのK3Fe(CN6)、5mMのK4Fe(CN6)および1mMのMgCl2をPBS中に含む基質溶液に、該腫瘍を37℃で3時間浸し、その後、3%のDMSOを含むPBSで洗浄した。
X−galを使った組織化学的染色法では、TK遺伝子座へLacZを挿入することによるβ−ガラクトシダーゼの発現は、d12.CALPで処理したSK−LMS−1腫瘍細胞(図8Aおよび8B)において確認されたが、対照腫瘍細胞では確認することができなかった。これにより、インビボにおいてd12.CALPウイルスが拡散する領域が同定された。8日目には壊死が目立つようになり、この領域においてはLacZの発現が欠乏していた(図8A、矢印)。倍率を上げると、インビトロの細胞変性分析で観察されたように、青く染色された腫瘍細胞のなかに多核化したものが見られ(図8C、矢印)、それらはSK−LMS−1細胞の典型的な形態学的外見を失っていた。しかし、図8Dに示されるように、ウイルス感染マウスにおいて、正常血管を取り巻く平滑筋細胞のLacZ発現は陰性であった。血管平滑筋がカルポニンを発現しても増殖しない細胞集団である。LacZ発現が陰性であるということはウイルスの複製を認めないことを意味し、本発明における「成体正常細胞に作用しない」という安全性が確認されたことを示している。
感染させたウイルスの分布をPCRにより調べるため、感染腫瘍あるいは非感染腫瘍、並びに脳、肺、肝臓、腎臓、心臓、小腸および子宮あるいは精巣の新鮮な組織から、DNAを調製した。PCR増幅の条件としては、94℃で40秒間変性させ、60℃で30秒間アニーリングし、72℃で90秒間伸長反応させるというサイクルを30回繰返し行った。ICP6(リボヌクレオチド リダクターゼ)プライマーとしては、5’−gacagccatatcctgagc−3’[フォーワードプライマー3(FP3);配列番号9]と5’−actcacagatcgttgacgaccg−3’[リバースプライマー3(RP3);配列番号10]を、グリコプロテインEのプライマーとしては、5’−gagatgcgaatatacgaat−3’[フォーワードプライマー4(FP4);配列番号11]と5’−gtgggtgggctcggccaaat−3’[リバースプライマー4(RP4);配列番号12]を、大腸菌のLacZのプライマーとしては、5’−gcgttacccaacttaatcg−’[フォーワードプライマー5(FP5);配列番号13]と5’−tgtgagcgagtaacaacc−3’[リバースプライマー5(RP5);配列番号14]を、グリセロアルデヒド3リン酸脱水素酵素(glyceraldehyde 3−phosphate dehydrogenase:GAPDH)のプライマーとしては、5’−cccatcaccatcttccagga−3’[フォーワードプライマー6(FP6);配列番号15]と5’−ttgtcataccaggaaatggc−3’[リバースプライマー6(RP6);配列番号16]を用いて、それぞれ221bpと320bp、320bp、731bpのDNAを増幅させた(J.Virol.74,3832−3841,2000)。
d12.CALPを腫瘍内に投与した後8日目に調製した脳、肺、肝臓、腎臓、心臓、小腸または子宮のDNA中には、d12.CALPに特異的なLacZ配列は確認できなかった。大動脈や胃腸の平滑筋を含む器官において、組織学的にウイルス複製とLacZ発現は生じていなかった。ここでも本ウイルスの安全性が確認された。
実施例4
腫瘍における組換えHSVベクターの拡散
複製したd12.CALPが、血管を経由して離れた場所にある腫瘍細胞を標的とすることができるか否かを評価するために、6週齢の雄のヌードマウスの両側背部皮下に、SK−LMS−1腫瘍塊を生着させ、ウイルスを一方の腫瘍内に注入した。即ち、右脇腹におけるSK−LMS−1腫瘍塊にd12.CALPを腫瘍内接種し、左脇腹におけるSK−LMS−1腫瘍塊におけるウイルスの分布を調べてみた。図9Aに示されるように、20日目に接種部位と同様に反対側の脇腹で腫瘍細胞においてβ−ガラクトシダーゼの発現が確認できた。組織学的には、右脇腹における腫瘍と左脇腹における腫瘍の双方において、広範囲にわたり腫瘍壊死が見られたが、図9Bに示されるように、正常血管を取り巻くカルポニン陽性平滑筋細胞ではd12.CALPによる効果が見られなかった。TK遺伝子座に挿入された、リボヌクレオチドレダクターゼ(ICP6)、糖タンパク質E、または大腸菌由来のLacZに対するプライマーを用いてPCR法を行うことにより、両脇腹の腫瘍組織ではd12.CALP由来のウイルスDNAが拡散するが、脳や精巣の腫瘍組織には拡散しないことがわかった(図9C)。
実施例5
実施例1により作成したd12.CALPの血管内膜肥厚抑制効果を示すために、以下の実験を行った。
以下のように、Wisterラット頚動脈7本にバルーン傷害を作成した:
右総頚動脈、内頚動脈、外頚動脈を遮断後、外頚動脈に小切開を置き、2FのFogartyカテーテルを総頚動脈へ進めた。これに600μLの空気を注入することでバルーンを膨張させ、総頚動脈を6回擦過した。
5日後、このうち4本に、2.5×107pfuのd12.CALPを含むリン酸緩衝生理食塩水100μLを注入して感染させた。対照として、残り3本にリン酸緩衝生理食塩水100μLを注入した。傷害作成の14日後に、ラットを犠牲にし、組織切片を作成した。
d12.CALP処置血管4本中3本では、対照と比較して、顕著な血管内腔狭窄の抑制が観察された(図10Aおよび図10B)。d12.CALP処置群のいずれにも血栓の付着は見られなかった(hrR3を使用した予備実験では高率に血栓形成が認められた)。
以下に実験の統計学的データを示す。
両処置群の分散分析における有意差 p=0.0055
処置された血管に関して、その断面の新生内膜/中膜平滑筋層面積比が小さいほど、内膜肥厚の抑制効果が優れていることを示している。
d12.CALP感染血管4本中、血管内膜肥厚抑制効果が示された3本では、中膜平滑筋細胞に変性が認められたが、残りの1本では組織学的変化が観察されなかった。このことから、内膜肥厚抑制効果が観察されなかったこのd12.CALP処置血管では、操作的失敗により感染自体が成立していなかったものと考えられる。
産業上の利用の可能性
本発明は、治療遺伝子を導入するのではなく、標的となる細胞群を次々と破壊し感染が波及する、複製可能型単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターを用いた、全くあたらしいものであり、Stroke 30:2431−2439,1999に示しているようにその治療効果は画期的と言える。その細胞障害性を、目的とする細胞のみに限局する技法は、本発明者らが開発し、世界的にも他に例がないものである。本発明によれば、我が国でも年間10万人を越える血管再狭窄の患者に適応され、経カテーテル的に血管内にウイルス投与が可能であり、従って巨額の医療費の削減に繋がる。また、臓器移植時の一大問題を解決し、患者を死への恐怖より解放できる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1: カルポニン遺伝子プロモーターの5’欠失変異体をトランスフェクションした場合の転写活性の結果を示す図である。
図2: カルポニン陽性腫瘍細胞におけるヒトカルポニン発現制御領域の転写レベルでのエンハンサーの効果を示す図である。
図3: d12.CALPの構造とインビトロでの細胞変性アッセイの結果を示す図である。
図4: インビトロにおけるd12.CALPによる腫瘍細胞への傷害効果を示す図である。
図5: インビトロにおいてのカルポニン陽性細胞におけるd12.CALPの選択的傷害活性を示す図である。
図6: インビボにおけるd12.CALPの腫瘍形成抑制効果を示す図である。
図7: d12.CALP処理したヌードマウスにおけるSK−LMS−1異種移植片の完全退縮を示す図である。
図8: インビボにおけるd12.CALPの複製を示す図である。
図9: インビボにおいて、d12.CALPが感染部位から離れた部位に拡散および複製することを示す図である。
図10: インビボにおけるd12.CALPの血管内膜肥厚抑制効果を示す図である。図10Aはd12.CALP処置群ラットおよび対照群ラット各3個体由来の血管の断面を表す。図10Bはd12.CALP処置群ラット2個体および対照群ラット1個体由来の血管の断面(高倍率)を表す。
Claims (15)
- 血管平滑筋特異的に発現する遺伝子の転写開始制御領域を、所定の遺伝子の上流に組み込んだことを特徴とする成体正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクター。
- 該転写開始制御領域が配列番号1に示される塩基配列を含む領域である、請求項1記載のウイルスベクター。
- 該転写開始制御領域が配列番号2に示される塩基配列からなるヒトカルポニン遺伝子プロモーターを含む領域である、請求項1記載のウイルスベクター。
- 該転写開始制御領域が配列番号3に示される塩基配列を含む領域である、請求項1記載のウイルスベクター。
- 該転写開始制御領域が、配列番号1、配列番号2または配列番号3に示される塩基配列において、1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ当該遺伝子の転写開始制御活性と同等の活性を有する塩基配列を含む領域である、請求項1記載のウイルスベクター。
- 単純ヘルペスウイルスベクターまたはアデノウイルスベクターである、請求項1記載のウイルスベクター。
- リボヌクレオチドリダクターゼをコードするDNAおよび/またはチミジンキナーゼをコードするDNAを欠失している、請求項1記載のウイルスベクター。
- 所定の遺伝子が、ウイルス複製関連遺伝子である、請求項1から7までのいずれか記載のベクター。
- ウイルス複製関連遺伝子が、ウイルスの複製開始に必須な転写因子をコードする遺伝子、ICP4である、請求項8記載のベクター。
- 請求項1から9までのいずれか記載のベクターを含む、血管狭窄を処置および予防するための医薬組成物。
- 血管狭窄が動脈硬化性病変に由来する、請求項10記載の医薬組成物。
- 血管狭窄が臓器移植に由来する、請求項10記載の医薬組成物。
- 血管平滑筋特異的に発現する遺伝子の転写開始制御領域を、所定の遺伝子の上流に組み込んだことを特徴とする成体正常細胞に作用しない血管平滑筋特異的発現複製ウイルスベクターの有効量を生体に導入し、発現複製させることを特徴とする、血管狭窄を処置および予防するための方法。
- 血管狭窄が動脈硬化性病変に由来する、請求項13記載の方法。
- 血管狭窄が臓器移植に由来する、請求項13記載の方法。
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