JPWO2002073099A1 - ソーラーポンドを有する太陽熱システム及びソーラーポンドの維持方法 - Google Patents
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Abstract
太陽放射により加熱される塩水を蓄積するソーラーポンド(10)と、海水などの不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させる水分提供装置(20)とを有する太陽熱システム、該ソーラーポンドの維持方法、及び該ソーラーポンドの形成方法が提供される。該水分提供装置は該塩水及び該不純物を有する水の供給を受ける吸収ヒートポンプを有していてもよい。該水分提供装置の動作により清浄性が良好な該塩水が該ソーラーポンドに還流する為、スケール析出や該ソーラーポンド内での藻類の繁殖が防止される。
Description
技術分野
本発明はソーラーポンドを有する太陽熱システム、ソーラーポンドの維持方法、及びソーラーポンドの形成方法に関する。
背景技術
太陽熱システムの一種として、ソーラーポンドが知られている。ソーラーポンドには所定の濃度分布を有する透明な塩水が蓄積される。該塩水の下層は太陽放射により高温に加熱される。該ソーラーポンドの下層の濃度は、上層の濃度より高い。このため、下層の塩水が高温に加熱されても対流は生じず、高温の下層から低温の上層へ向けての熱伝達は極めて小さい。これにより該ソーラーポンドの下層に高温の塩水が得られる。
該塩水の濃度差等に起因して、塩類の拡散が生じる。この塩類の拡散による該塩水の濃度分布の変化を抑制するため、該塩水の上部には水分が補給される。更に、該塩水の下層は濃縮される。このように、ソーラーポンドの維持において上層の塩水への水分の補給と下層の塩水の濃縮を適切に行うことは重要である。特に、ソーラーポンドの上部が開放されている場合、上層部で水分の蒸発が生じるため、多量の水分の補給が要求される。
補給する水の水質に関し、清浄度が要求されている。例えば、補給する水分に栄養塩類などの不純物が含まれている場合、好ましくない微生物や藻類が繁殖するため、透明度が低下する。水の供給に関するコストを削減するため、所定の清浄度を有する水を安価に供給することが、従来技術によるソーラーポンドにおいて、求められている。
また、海水などをこのような塩水として使用する場合、海水の濃縮に伴い、スケールが析出するという問題点があった。
本発明は上記に鑑みなされたもので、本発明の一目的は、上記問題及びその他の諸問題の解決にある。本発明の別の一目的は、維持が容易なソーラーポンド及びソーラーポンドの維持方法の提供にある。本発明の更に別の一目的は、維持が容易なソーラーポンドを有する太陽熱システムの提供にある。本発明の更に別の一目的は、安価な海水を補給水の原料として利用可能なソーラーポンドを有する太陽熱システム及びソーラーポンドの維持方法の提供にある。本発明の更に別の一目的は、ソーラーポンドの形成におけるコスト低減にある。
発明の開示
本発明の一実施形態によれば、新規な太陽熱システムが提供される。該太陽熱システムは、太陽放射により加熱される塩水を蓄積するソーラーポンドと、不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させる水分提供装置とを有する。該水分提供装置は該塩水及び該不純物を有する水の供給を受ける吸収ヒートポンプを有していてもよい。該太陽熱システムは該塩水を濃縮するための濃縮装置を更に有していてもよい。
本発明の別の一実施形態によれば、新規なソーラーポンドの維持方法が提供される。該ソーラーポンドの維持方法は、ソーラーポンドに所定の濃度分布を有する塩水を蓄積する工程と、不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させる工程とを有する。該ソーラーポンドの維持方法は、該塩水を濃縮する工程を更に有していてもよい。
本発明の更に別の一実施形態によれば、新規なソーラーポンドの形成方法が提供される。該ソーラーポンドの形成方法は、未飽和の塩水により固形の塩を溶解する工程と、該固形の塩が溶解した該塩水を水分提供装置に供給する工程と、該水分提供装置内において不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該固形の塩が溶解した該塩水に吸収させる工程と、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気を吸収した該塩水の一部を該固形の塩に還流することにより該固形の塩を更に溶解する工程と、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気を吸収した該塩水の残余をソーラーポンドに送る工程とを有する。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面を引用して本発明を説明する。いくつかの図を通して、同一の参照番号は同一もしくは対応する部分を示す。
本発明の一実施形態による太陽熱システムは、第1−3図に言及して説述される。第1図は本発明の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。
第1図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、水分提供装置20と、濃縮装置50とを有する。
該ソーラーポンド10には、透明な塩水70が蓄積される。該ソーラーポンド10は太陽放射を吸収する。第2図は、該ソーラーポンド10に蓄積される該塩水70の層構造を説示する概念図である。上層70Aの塩分濃度は下層70Cの塩分濃度より低い。中層70Bの塩分濃度は連続的に変化する。該中層70Bの塩分濃度分布は、熱による対流が生じないような所定の範囲に制御される。このために図示されない濃度分布調整手段が配備されてもよい。塩類として、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、及び/または塩化カルシウムを含有する塩が使用されてもよい。例えば、該上層70Aの塩分濃度及び該下層70Cの塩分濃度は、それぞれ6wt.%及び25wt.%であってもよい。該下層70Cの温度は、該上層70Aの温度より高い。第2図の破線は、上記層の境界を概念的に説示する。
該水分提供装置20と図示されない水源との間に、給水管40及び排水管42が配備される。該給水管40を経由して、該水分提供装置20に、不純物を有する水が供給される。例えば、該不純物を有する水として、海水、地下水、河川水、湖水、あるいは下水処理水が供給されてもよい。該塩水70の上層70Aモル沸点上昇の値は、該不純物を有する水のモル沸点上昇の値より大きい。
更に、給水管30及び排水管32が該塩水70と該水分提供装置20との間に配備される。該給水管30を経由して、該上層70Aに蓄積される該塩水が該水分提供装置20に供給される。
該水分提供装置20内において、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気は該塩水に吸収される。これにより該塩水は希釈される。希釈された該塩水は該排水管32を経由してソーラーポンド10内に蓄積される該塩水の上層に還流される。該塩水に水分を提供することにより濃縮された該不純物を有する水は、排水管42を経由して系外に排出される。
第3図は、該水分提供装置20の構造の例を説示する概念図である。第3図において、該水分提供装置20は一種の吸収ヒートポンプである。即ち、該水分提供装置20は、複数の板22と、複数の浸透部材24と、複数の浸透部材26とを有する。
それぞれの浸透部材24は、該板22の一面上に接着される。それぞれの浸透部材24には、上記給水管30を経由して該塩水が供給される。それぞれの浸透部材24は該塩水を浸透する。
それぞれの浸透部材26は、該板22の別の一面上に接着される。それぞれの浸透部材26は、該浸透部材24に対向するように配置される。それぞれの浸透部材26には、上記給水管40を経由して該不純物を有する水が供給される。それぞれの浸透部材26は該不純物を有する水を浸透する。それぞれの板22は該塩水を浸透しない。即ち、該不純物を有する水と該塩水との間で、塩等の不揮発性の物質は移動しない。
上記のように、該塩水のモル沸点上昇の値は、該不純物を有する水のモル沸点上昇の値より大きい。このため、それぞれの浸透部材26に浸透した該不純物を有する水から蒸発した水蒸気は空隙中を拡散し、対向する浸透部材24に浸透した該塩水に吸収される。水分を喪失して濃縮された該不純物を有する水は、該排水管42を経由して排出される。水分を吸収して希釈された該塩水は、該排水管32を経由して該ソーラーポンド10に蓄積された該塩水70の表面上に排出される。該排出管32の出口は、第1図の右側まで延長されてもよい。これにより、該塩水70の上層の濃度は、所定の範囲に維持される。該不純物を有する水中の不揮発性の不純物は該塩水中へ移動しないため、該塩水の清浄度は良好に維持される。即ち、蒸留水を用いて該塩水を希釈する場合の清浄度と同等の清浄度が得られる。
該不純物を有する水から蒸発した水蒸気の拡散量を増加させるため、該水分提供装置20内は、図示されない真空槽を有する真空システムを用いて真空状態に排気されてもよい。これに替わり、該水分提供装置20内は、図示されない断熱性を有する容器を有する加熱システムを用いて所定の高温に加熱されてもよい。更に、加熱に関する効率を高めるため、図示されない熱交換手段が配備されてもよい。更に、該複数の板22は、閉じた線に沿って配列されてもよい。
該濃縮装置50は、給水管60を経由して該塩水の供給を受ける。該濃縮装置50は該ソーラーポンド10の下層に蓄積される該塩水を濃縮し、濃縮された該塩水を該ソーラーポンドの下層に排水管62を経由して供給する。これにより該ソーラーポンド10の下層に蓄積される該塩水の濃度は所定の範囲に維持される。
該濃縮装置50は、例えば、多重効用の蒸留装置であってもよい。この場合、生成される蒸留水を排出するため、蒸留水排出管64が配備される。更に、該濃縮装置50は、該ソーラーポンドに蓄積される塩水の上層と下層との温度差を利用して該塩水を蒸留してもよい。該ソーラーポンド10の上層に蓄積される該塩水は、蒸発により冷却されてもよい。これに替わり、該塩水は自然通風による冷却により濃縮されてもよい。
該ソーラーポンド10の形成において、まず、濃厚な濃度を有する塩水が所定の水位まで蓄積されてもよい。この後、該水分提供装置20に該塩水を供給することにより、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させてもよい。このように希釈された該塩水を該ソーラーポンド10に供給することにより上記濃度分布を有する塩水層が形成されてもよい。
第4図は、本発明の別の実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。第1図に説示された太陽熱システムに加え、塩水淡水化装置80と、該塩水淡水化装置80に接続される高温熱源管90と、該塩水淡水化装置80に接続される冷却源管92とを有する。
該高温熱源管90中を熱伝達媒体が循環する。該高温熱源管90は、ソーラーポンド10の下層に蓄積される塩水が有する熱エネルギーを該塩水淡水化装置80に供給する。
該冷却源管92中を熱伝達媒体が循環する。該冷却源管92は、該塩水淡水化装置80から放出される熱を該ソーラーポンド10の上層に蓄積される該塩水中に放出する。該上層は蒸発冷却、放射冷却、及び通風による冷却等により冷却される。
該塩水淡水化装置80として、多重効用蒸留装置または多段フラッシュ蒸発装置等が使用されてもよい。該塩水淡水化装置80は、水分提供装置20により供給される塩水を淡水化してもよい。
該塩水淡水化装置80、該高温熱源管90、及び該冷却源管92は、第4図の矢印により示される方向に移動する。
第5図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。第5図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、第1の水分提供装置20と、第2の水分提供装置120と、フラッシュ蒸発槽210と、蒸気発電装置220と、冷却槽230とを有する。
該ソーラーポンド10内には塩水が蓄積される。該ソーラーポンド10の上層は開放されており、この上層の塩水は蒸発冷却等により冷却される。該ソーラーポンド10は複数であってもよい。
該第1の水分提供装置20には海310から海水が供給される。該水分提供装置20内において、該塩水は海水から蒸発した水蒸気を吸収する。これにより該塩水は希釈される。水分の提供後に濃縮された海水は塩田320に蓄積される。該塩田320に蓄積された海水は更に濃縮され、これにより該塩田320内において固形の塩類が析出する。このような固形の塩類は、新規なソーラーポンドの形成の為に使用されてもよい。
該フラッシュ蒸発槽210内に該ソーラーポンド10の下層に蓄積される高温の該塩水が導入される。これにより該塩水は該フラッシュ蒸発槽210内でフラッシュ蒸発を行い、水蒸気を放出する。この水蒸気は該蒸気発電装置220に導入される。該蒸気発電装置220を通過後の凝結水及び水蒸気は該冷却槽230内において冷却される。この冷却に伴い水蒸気は凝結して水となる。この冷却は該冷却槽230に供給される冷却水により行われる。該冷却水として、該ソーラーポンド10の上層の該塩水が使用される。該凝結水は淡水として淡水タンク260に排出される。即ち、該太陽熱システムは発電と淡水製造を同時に行う。
排気装置240は該冷却槽230内の空間を排気するが、これにより該冷却槽230内に残存する非凝縮性のガスは排気される。
該塩水のフラッシュ蒸発に伴い該塩水は濃縮される。該フラッシュ蒸発後の該塩水は該ソーラーポンド10の下層に還流される。還流される該塩水の塩分濃度を制御することにより、該下層の塩分濃度は所定の値に維持される。該フラッシュ蒸発後の該塩水を希釈する必要がある場合、弁128開放が開放される。海310から海水の供給を受ける該第2の水分提供装置120の動作により該塩水は海水から蒸発した水蒸気を吸収することにより希釈される。弁456が開放される場合、該塩水はそのまま該ソーラーポンドに還流される。更に、該塩水を濃縮する必要がある場合に備える為、図示されない濃縮装置が配備されてもよい。
第6図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。第6図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、第1の水分提供装置20と、第2の水分提供装置120と、フラッシュ蒸発槽210と、蒸気発電装置220と、冷却槽232とを有する。更に、弁456、弁128、及び排気装置240が配備される。
第7図は、該冷却槽232の内部を説示する概念図である。該ソーラーポンド10の上層の塩水は直接該冷却槽232に注入される。塩水排出部610及び塩水導入部620の高度は、該冷却槽232より低い位置にある。このため該冷却槽232の内部はトリチェリの真空状態が実現する。該冷却槽232内には棚状の流路234が設置され、塩水は該冷却槽232内の矢印により説示される方向に流れる。該塩水は水蒸気を直接吸収して排出される。該排気装置240は該冷却槽232内の空間を排気する。
第8図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。第8図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、第1の水分提供装置20と、第2の水分提供装置120と、フラッシュ蒸発槽210と、蒸気発電装置220と、冷却槽232と、熱交換器250と、濃縮装置50とを有する。更に、弁56、弁456、弁128、及び排気装置240、及び淡水タンク260が配備される。
該熱交換器250は該ソーラーポンド10の上層の塩水の供給を受け、これを利用して該熱交換器250と該冷却槽232との間を循環する淡水を冷却する。該熱交換器250を通過して冷却された該淡水は該冷却槽232に直接注入される。該淡水は該冷却槽232内で水蒸気を吸収する。注入量に相当する量の該淡水は該熱交換器250に還流される。余剰の該淡水は淡水タンク260に排出される。即ち、該太陽熱システムは発電と淡水製造を同時に行う。
該弁56が開放される場合、該塩水は該濃縮装置50により更に濃縮されて該ソーラーポンド10の下層に還流される。該弁128が開放される場合、該塩水は該水分提供装置120により希釈されて該ソーラーポンドの下層に還流される。該弁456が開放される場合、該塩水はそのまま該ソーラーポンド10の下層に還流される。該ソーラーポンド10に蓄積される塩水の濃度分布を制御する為、図示されないコントローラが配備されてもよい。この場合、該コントローラは、該弁56、該弁128、該弁456、該第1の水分提供装置20、該第2の水分提供装置120、及び該濃縮装置50の動作を制御する。
第9図は、本発明の更に別の一実施形態によるソーラーポンドの形成方法におけるフローを説示する概念図である。第9図において、塩水溶解槽330がソーラーポンド10内に塩水を蓄積する為に配備される。該塩水溶解槽330内には固体の塩及び該塩が飽和した少量の塩水が蓄積される。この飽和状態にある該塩水は水分提供装置20に供給される。
海310から海水が該水分提供装置20に供給される。該飽和状態にある該塩水のモル沸点上昇の値は該海水のモル沸点上昇の値より大きい。このため、該水分提供装置20内において海水から蒸発した水蒸気が該塩水に吸収される。この際該塩水の体積が増加する。該水分提供装置20の動作により所定の濃度に希釈された該塩水の一部は該ソーラーポンド10に供給され、これにより所定の濃度の該塩水が蓄積される。水分の供給により未飽和状態となった残りの該塩水は該溶解槽330に還流される。該溶解槽330内において該未飽和の該塩水中に該固形の塩が溶解し、該溶解槽330の出口において飽和状態となった該塩水が再び水分提供装置20に供給される。これを繰り返すことにより該ソーラーポンド内に所定の濃度分布を有する該塩水を蓄積することが実現する。該塩水中には海水に含まれる不揮発性の不純物が混入しない為、該塩水は清浄である。このように、安価な海水を水源とするソーラーポンドの形成方法が提供される。
水分の提供により濃縮された海水は塩田320に排水されてもよい。該塩田320に析出した固形の塩類は該溶解槽330に供給されてもよい。更に、該固形の塩類は別のソーラーポンド内に塩水を蓄積する為に使用されてもよい。
第10図は、本発明の更に別の一実施形態によるソーラーポンドに配備される水分提供装置の内部を説示する概念図である。該水分提供装置120は、閉流路440と、送風手段470と、塩水が流下する複数の棚460と、不純物を有する水が流下する複数の棚450とを有する。
それぞれの棚450の上部から該不純物を有する水が供給され、該不純物を有する水は該棚を流下し、この下部から系外に排出される。
それぞれの棚460の上部から該ソーラーポンドの下層の該塩水が供給され、該塩水は棚を流下し、この下部から該ソーラーポンドに還流される。該複数の棚450及び該複数の棚460は交互に該閉流路440内に配置される。
該閉流路440内には図10の複数の矢印で説示される循環気流が該送風手段470により発生する。該気流が該棚450を通過する際に該気流は該不純物を有する水から蒸発した水蒸気により加湿される。次に、該気流が該棚460を通過する際に、該塩水により該気流は除湿される。この過程で、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気が該塩水に吸収される。これにより該塩水は希釈される。
第11図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。第11図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、水分提供装置20と、太陽放射集中装置900と、反射鏡910とを有する。該太陽放射集中装置900は太陽放射を該反射鏡910に向けて集中する。該反射鏡910により反射された太陽放射は該ソーラーポンド10に照射される。第11図の複数の矢印は、太陽放射の進行方向を示す。これにより該ソーラーポンド10に照射される太陽放射のエネルギー密度が増加する。これにより高温の熱エネルギーが供給される。
第12図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。第12図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、水分提供装置20と、複数の蒸気透過撥水管810と、太陽熱発電装置820とを有する。
該複数の蒸気透過撥水管810は水を浸透せず、蒸気を透過する。該複数の蒸気透過撥水管810は該ソーラーポンドに蓄積される塩水の下層の上部に設置される。該複数の蒸気透過撥水管810を直列に連結する蒸気流路が形成される。該蒸気流路内を水蒸気が循環する。該蒸気流路内の圧力は蒸気透過撥水管における該塩水の圧力に近い値を有していてもよい。この場合、該蒸気流路内に、非凝縮性ガスが含有されてもよい。これに替わり、該蒸気流路内にこのような非凝縮性のガスが含有されないように該非凝縮性のガスを排気する図示されない排気装置が配備されてもよい。該蒸気流路の上面は太陽放射を吸収するように黒色に着色されてもよい。該蒸気流路は該太陽熱発電装置820に熱を供給する。
以上において、本発明によるソーラーポンドを有する太陽熱システム、ソーラーポンドの維持方法、及びソーラーポンドの形成方法は詳細に説明された。その他、本発明による太陽熱システム、ソーラーポンドの維持方法、及びソーラーポンドの形成方法を好適に動作させるための補助的な手段、例えば、太陽熱集熱手段、蓄熱手段、真空システム、温度センサ、塩分濃度センサ、曝気装置、濾過器、透明度センサ、ヒートパイプ、防風側壁、塩水表面に配備される波消手段、該水分提供装置を収容する容器、送液手段、流量調節手段、及び/または熱交換手段等を伴って本発明が実施されてもよい。
ここに開示された本発明は、新規なソーラーポンドを有する太陽熱システム、ソーラーポンドの維持方法、及びソーラーポンドの形成方法を提供するが、以上の詳細な説明に開示された教唆に鑑み、本発明の実施は、本発明の最良の形態を説明するためになされた上記実施例に限定されるものではなく、以下の請求の範囲の中で、諸変化を伴ってその他の形態で実施してもよく、あるいは上記実施例の中の最良の一実施形態を説明するために附加された付加的な形態や構成要素を伴わずに実施されてもよい。
産業上の利用可能性
本発明は上記のごとくなした故に、海水などの不純物を有する水を水源とする新規なソーラーポンドを有する太陽熱システム及びソーラーポンドの維持方法が提供される。該太陽熱システムは、ソーラーシステム用の熱源、太陽熱発電システム用の熱源、海水淡水化用の熱源、あるいは太陽熱発電システムの廃熱を蓄積するための蓄熱手段として利用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。
第2図は、第1図に説示されたソーラーポンドに蓄積される塩水の層構造を説示する概念図である。
第3図は、第1図に説示された水分提供装置の構造の一例を説示する概念図である。
第4図は、本発明の別の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。
第5図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。
第6図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。
第7図は、第6図の冷却槽の内部を説示する概念図である。
第8図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。
第9図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムの形成方法におけるフローを説示する概念図である。
第10図は、本発明の更に別の一実施形態によるソーラーポンドに配備される水分提供装置の内部を説示する概念図である。
第11図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。
第12図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。
本発明はソーラーポンドを有する太陽熱システム、ソーラーポンドの維持方法、及びソーラーポンドの形成方法に関する。
背景技術
太陽熱システムの一種として、ソーラーポンドが知られている。ソーラーポンドには所定の濃度分布を有する透明な塩水が蓄積される。該塩水の下層は太陽放射により高温に加熱される。該ソーラーポンドの下層の濃度は、上層の濃度より高い。このため、下層の塩水が高温に加熱されても対流は生じず、高温の下層から低温の上層へ向けての熱伝達は極めて小さい。これにより該ソーラーポンドの下層に高温の塩水が得られる。
該塩水の濃度差等に起因して、塩類の拡散が生じる。この塩類の拡散による該塩水の濃度分布の変化を抑制するため、該塩水の上部には水分が補給される。更に、該塩水の下層は濃縮される。このように、ソーラーポンドの維持において上層の塩水への水分の補給と下層の塩水の濃縮を適切に行うことは重要である。特に、ソーラーポンドの上部が開放されている場合、上層部で水分の蒸発が生じるため、多量の水分の補給が要求される。
補給する水の水質に関し、清浄度が要求されている。例えば、補給する水分に栄養塩類などの不純物が含まれている場合、好ましくない微生物や藻類が繁殖するため、透明度が低下する。水の供給に関するコストを削減するため、所定の清浄度を有する水を安価に供給することが、従来技術によるソーラーポンドにおいて、求められている。
また、海水などをこのような塩水として使用する場合、海水の濃縮に伴い、スケールが析出するという問題点があった。
本発明は上記に鑑みなされたもので、本発明の一目的は、上記問題及びその他の諸問題の解決にある。本発明の別の一目的は、維持が容易なソーラーポンド及びソーラーポンドの維持方法の提供にある。本発明の更に別の一目的は、維持が容易なソーラーポンドを有する太陽熱システムの提供にある。本発明の更に別の一目的は、安価な海水を補給水の原料として利用可能なソーラーポンドを有する太陽熱システム及びソーラーポンドの維持方法の提供にある。本発明の更に別の一目的は、ソーラーポンドの形成におけるコスト低減にある。
発明の開示
本発明の一実施形態によれば、新規な太陽熱システムが提供される。該太陽熱システムは、太陽放射により加熱される塩水を蓄積するソーラーポンドと、不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させる水分提供装置とを有する。該水分提供装置は該塩水及び該不純物を有する水の供給を受ける吸収ヒートポンプを有していてもよい。該太陽熱システムは該塩水を濃縮するための濃縮装置を更に有していてもよい。
本発明の別の一実施形態によれば、新規なソーラーポンドの維持方法が提供される。該ソーラーポンドの維持方法は、ソーラーポンドに所定の濃度分布を有する塩水を蓄積する工程と、不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させる工程とを有する。該ソーラーポンドの維持方法は、該塩水を濃縮する工程を更に有していてもよい。
本発明の更に別の一実施形態によれば、新規なソーラーポンドの形成方法が提供される。該ソーラーポンドの形成方法は、未飽和の塩水により固形の塩を溶解する工程と、該固形の塩が溶解した該塩水を水分提供装置に供給する工程と、該水分提供装置内において不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該固形の塩が溶解した該塩水に吸収させる工程と、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気を吸収した該塩水の一部を該固形の塩に還流することにより該固形の塩を更に溶解する工程と、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気を吸収した該塩水の残余をソーラーポンドに送る工程とを有する。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面を引用して本発明を説明する。いくつかの図を通して、同一の参照番号は同一もしくは対応する部分を示す。
本発明の一実施形態による太陽熱システムは、第1−3図に言及して説述される。第1図は本発明の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。
第1図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、水分提供装置20と、濃縮装置50とを有する。
該ソーラーポンド10には、透明な塩水70が蓄積される。該ソーラーポンド10は太陽放射を吸収する。第2図は、該ソーラーポンド10に蓄積される該塩水70の層構造を説示する概念図である。上層70Aの塩分濃度は下層70Cの塩分濃度より低い。中層70Bの塩分濃度は連続的に変化する。該中層70Bの塩分濃度分布は、熱による対流が生じないような所定の範囲に制御される。このために図示されない濃度分布調整手段が配備されてもよい。塩類として、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、及び/または塩化カルシウムを含有する塩が使用されてもよい。例えば、該上層70Aの塩分濃度及び該下層70Cの塩分濃度は、それぞれ6wt.%及び25wt.%であってもよい。該下層70Cの温度は、該上層70Aの温度より高い。第2図の破線は、上記層の境界を概念的に説示する。
該水分提供装置20と図示されない水源との間に、給水管40及び排水管42が配備される。該給水管40を経由して、該水分提供装置20に、不純物を有する水が供給される。例えば、該不純物を有する水として、海水、地下水、河川水、湖水、あるいは下水処理水が供給されてもよい。該塩水70の上層70Aモル沸点上昇の値は、該不純物を有する水のモル沸点上昇の値より大きい。
更に、給水管30及び排水管32が該塩水70と該水分提供装置20との間に配備される。該給水管30を経由して、該上層70Aに蓄積される該塩水が該水分提供装置20に供給される。
該水分提供装置20内において、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気は該塩水に吸収される。これにより該塩水は希釈される。希釈された該塩水は該排水管32を経由してソーラーポンド10内に蓄積される該塩水の上層に還流される。該塩水に水分を提供することにより濃縮された該不純物を有する水は、排水管42を経由して系外に排出される。
第3図は、該水分提供装置20の構造の例を説示する概念図である。第3図において、該水分提供装置20は一種の吸収ヒートポンプである。即ち、該水分提供装置20は、複数の板22と、複数の浸透部材24と、複数の浸透部材26とを有する。
それぞれの浸透部材24は、該板22の一面上に接着される。それぞれの浸透部材24には、上記給水管30を経由して該塩水が供給される。それぞれの浸透部材24は該塩水を浸透する。
それぞれの浸透部材26は、該板22の別の一面上に接着される。それぞれの浸透部材26は、該浸透部材24に対向するように配置される。それぞれの浸透部材26には、上記給水管40を経由して該不純物を有する水が供給される。それぞれの浸透部材26は該不純物を有する水を浸透する。それぞれの板22は該塩水を浸透しない。即ち、該不純物を有する水と該塩水との間で、塩等の不揮発性の物質は移動しない。
上記のように、該塩水のモル沸点上昇の値は、該不純物を有する水のモル沸点上昇の値より大きい。このため、それぞれの浸透部材26に浸透した該不純物を有する水から蒸発した水蒸気は空隙中を拡散し、対向する浸透部材24に浸透した該塩水に吸収される。水分を喪失して濃縮された該不純物を有する水は、該排水管42を経由して排出される。水分を吸収して希釈された該塩水は、該排水管32を経由して該ソーラーポンド10に蓄積された該塩水70の表面上に排出される。該排出管32の出口は、第1図の右側まで延長されてもよい。これにより、該塩水70の上層の濃度は、所定の範囲に維持される。該不純物を有する水中の不揮発性の不純物は該塩水中へ移動しないため、該塩水の清浄度は良好に維持される。即ち、蒸留水を用いて該塩水を希釈する場合の清浄度と同等の清浄度が得られる。
該不純物を有する水から蒸発した水蒸気の拡散量を増加させるため、該水分提供装置20内は、図示されない真空槽を有する真空システムを用いて真空状態に排気されてもよい。これに替わり、該水分提供装置20内は、図示されない断熱性を有する容器を有する加熱システムを用いて所定の高温に加熱されてもよい。更に、加熱に関する効率を高めるため、図示されない熱交換手段が配備されてもよい。更に、該複数の板22は、閉じた線に沿って配列されてもよい。
該濃縮装置50は、給水管60を経由して該塩水の供給を受ける。該濃縮装置50は該ソーラーポンド10の下層に蓄積される該塩水を濃縮し、濃縮された該塩水を該ソーラーポンドの下層に排水管62を経由して供給する。これにより該ソーラーポンド10の下層に蓄積される該塩水の濃度は所定の範囲に維持される。
該濃縮装置50は、例えば、多重効用の蒸留装置であってもよい。この場合、生成される蒸留水を排出するため、蒸留水排出管64が配備される。更に、該濃縮装置50は、該ソーラーポンドに蓄積される塩水の上層と下層との温度差を利用して該塩水を蒸留してもよい。該ソーラーポンド10の上層に蓄積される該塩水は、蒸発により冷却されてもよい。これに替わり、該塩水は自然通風による冷却により濃縮されてもよい。
該ソーラーポンド10の形成において、まず、濃厚な濃度を有する塩水が所定の水位まで蓄積されてもよい。この後、該水分提供装置20に該塩水を供給することにより、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させてもよい。このように希釈された該塩水を該ソーラーポンド10に供給することにより上記濃度分布を有する塩水層が形成されてもよい。
第4図は、本発明の別の実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。第1図に説示された太陽熱システムに加え、塩水淡水化装置80と、該塩水淡水化装置80に接続される高温熱源管90と、該塩水淡水化装置80に接続される冷却源管92とを有する。
該高温熱源管90中を熱伝達媒体が循環する。該高温熱源管90は、ソーラーポンド10の下層に蓄積される塩水が有する熱エネルギーを該塩水淡水化装置80に供給する。
該冷却源管92中を熱伝達媒体が循環する。該冷却源管92は、該塩水淡水化装置80から放出される熱を該ソーラーポンド10の上層に蓄積される該塩水中に放出する。該上層は蒸発冷却、放射冷却、及び通風による冷却等により冷却される。
該塩水淡水化装置80として、多重効用蒸留装置または多段フラッシュ蒸発装置等が使用されてもよい。該塩水淡水化装置80は、水分提供装置20により供給される塩水を淡水化してもよい。
該塩水淡水化装置80、該高温熱源管90、及び該冷却源管92は、第4図の矢印により示される方向に移動する。
第5図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。第5図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、第1の水分提供装置20と、第2の水分提供装置120と、フラッシュ蒸発槽210と、蒸気発電装置220と、冷却槽230とを有する。
該ソーラーポンド10内には塩水が蓄積される。該ソーラーポンド10の上層は開放されており、この上層の塩水は蒸発冷却等により冷却される。該ソーラーポンド10は複数であってもよい。
該第1の水分提供装置20には海310から海水が供給される。該水分提供装置20内において、該塩水は海水から蒸発した水蒸気を吸収する。これにより該塩水は希釈される。水分の提供後に濃縮された海水は塩田320に蓄積される。該塩田320に蓄積された海水は更に濃縮され、これにより該塩田320内において固形の塩類が析出する。このような固形の塩類は、新規なソーラーポンドの形成の為に使用されてもよい。
該フラッシュ蒸発槽210内に該ソーラーポンド10の下層に蓄積される高温の該塩水が導入される。これにより該塩水は該フラッシュ蒸発槽210内でフラッシュ蒸発を行い、水蒸気を放出する。この水蒸気は該蒸気発電装置220に導入される。該蒸気発電装置220を通過後の凝結水及び水蒸気は該冷却槽230内において冷却される。この冷却に伴い水蒸気は凝結して水となる。この冷却は該冷却槽230に供給される冷却水により行われる。該冷却水として、該ソーラーポンド10の上層の該塩水が使用される。該凝結水は淡水として淡水タンク260に排出される。即ち、該太陽熱システムは発電と淡水製造を同時に行う。
排気装置240は該冷却槽230内の空間を排気するが、これにより該冷却槽230内に残存する非凝縮性のガスは排気される。
該塩水のフラッシュ蒸発に伴い該塩水は濃縮される。該フラッシュ蒸発後の該塩水は該ソーラーポンド10の下層に還流される。還流される該塩水の塩分濃度を制御することにより、該下層の塩分濃度は所定の値に維持される。該フラッシュ蒸発後の該塩水を希釈する必要がある場合、弁128開放が開放される。海310から海水の供給を受ける該第2の水分提供装置120の動作により該塩水は海水から蒸発した水蒸気を吸収することにより希釈される。弁456が開放される場合、該塩水はそのまま該ソーラーポンドに還流される。更に、該塩水を濃縮する必要がある場合に備える為、図示されない濃縮装置が配備されてもよい。
第6図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。第6図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、第1の水分提供装置20と、第2の水分提供装置120と、フラッシュ蒸発槽210と、蒸気発電装置220と、冷却槽232とを有する。更に、弁456、弁128、及び排気装置240が配備される。
第7図は、該冷却槽232の内部を説示する概念図である。該ソーラーポンド10の上層の塩水は直接該冷却槽232に注入される。塩水排出部610及び塩水導入部620の高度は、該冷却槽232より低い位置にある。このため該冷却槽232の内部はトリチェリの真空状態が実現する。該冷却槽232内には棚状の流路234が設置され、塩水は該冷却槽232内の矢印により説示される方向に流れる。該塩水は水蒸気を直接吸収して排出される。該排気装置240は該冷却槽232内の空間を排気する。
第8図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。第8図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、第1の水分提供装置20と、第2の水分提供装置120と、フラッシュ蒸発槽210と、蒸気発電装置220と、冷却槽232と、熱交換器250と、濃縮装置50とを有する。更に、弁56、弁456、弁128、及び排気装置240、及び淡水タンク260が配備される。
該熱交換器250は該ソーラーポンド10の上層の塩水の供給を受け、これを利用して該熱交換器250と該冷却槽232との間を循環する淡水を冷却する。該熱交換器250を通過して冷却された該淡水は該冷却槽232に直接注入される。該淡水は該冷却槽232内で水蒸気を吸収する。注入量に相当する量の該淡水は該熱交換器250に還流される。余剰の該淡水は淡水タンク260に排出される。即ち、該太陽熱システムは発電と淡水製造を同時に行う。
該弁56が開放される場合、該塩水は該濃縮装置50により更に濃縮されて該ソーラーポンド10の下層に還流される。該弁128が開放される場合、該塩水は該水分提供装置120により希釈されて該ソーラーポンドの下層に還流される。該弁456が開放される場合、該塩水はそのまま該ソーラーポンド10の下層に還流される。該ソーラーポンド10に蓄積される塩水の濃度分布を制御する為、図示されないコントローラが配備されてもよい。この場合、該コントローラは、該弁56、該弁128、該弁456、該第1の水分提供装置20、該第2の水分提供装置120、及び該濃縮装置50の動作を制御する。
第9図は、本発明の更に別の一実施形態によるソーラーポンドの形成方法におけるフローを説示する概念図である。第9図において、塩水溶解槽330がソーラーポンド10内に塩水を蓄積する為に配備される。該塩水溶解槽330内には固体の塩及び該塩が飽和した少量の塩水が蓄積される。この飽和状態にある該塩水は水分提供装置20に供給される。
海310から海水が該水分提供装置20に供給される。該飽和状態にある該塩水のモル沸点上昇の値は該海水のモル沸点上昇の値より大きい。このため、該水分提供装置20内において海水から蒸発した水蒸気が該塩水に吸収される。この際該塩水の体積が増加する。該水分提供装置20の動作により所定の濃度に希釈された該塩水の一部は該ソーラーポンド10に供給され、これにより所定の濃度の該塩水が蓄積される。水分の供給により未飽和状態となった残りの該塩水は該溶解槽330に還流される。該溶解槽330内において該未飽和の該塩水中に該固形の塩が溶解し、該溶解槽330の出口において飽和状態となった該塩水が再び水分提供装置20に供給される。これを繰り返すことにより該ソーラーポンド内に所定の濃度分布を有する該塩水を蓄積することが実現する。該塩水中には海水に含まれる不揮発性の不純物が混入しない為、該塩水は清浄である。このように、安価な海水を水源とするソーラーポンドの形成方法が提供される。
水分の提供により濃縮された海水は塩田320に排水されてもよい。該塩田320に析出した固形の塩類は該溶解槽330に供給されてもよい。更に、該固形の塩類は別のソーラーポンド内に塩水を蓄積する為に使用されてもよい。
第10図は、本発明の更に別の一実施形態によるソーラーポンドに配備される水分提供装置の内部を説示する概念図である。該水分提供装置120は、閉流路440と、送風手段470と、塩水が流下する複数の棚460と、不純物を有する水が流下する複数の棚450とを有する。
それぞれの棚450の上部から該不純物を有する水が供給され、該不純物を有する水は該棚を流下し、この下部から系外に排出される。
それぞれの棚460の上部から該ソーラーポンドの下層の該塩水が供給され、該塩水は棚を流下し、この下部から該ソーラーポンドに還流される。該複数の棚450及び該複数の棚460は交互に該閉流路440内に配置される。
該閉流路440内には図10の複数の矢印で説示される循環気流が該送風手段470により発生する。該気流が該棚450を通過する際に該気流は該不純物を有する水から蒸発した水蒸気により加湿される。次に、該気流が該棚460を通過する際に、該塩水により該気流は除湿される。この過程で、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気が該塩水に吸収される。これにより該塩水は希釈される。
第11図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。第11図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、水分提供装置20と、太陽放射集中装置900と、反射鏡910とを有する。該太陽放射集中装置900は太陽放射を該反射鏡910に向けて集中する。該反射鏡910により反射された太陽放射は該ソーラーポンド10に照射される。第11図の複数の矢印は、太陽放射の進行方向を示す。これにより該ソーラーポンド10に照射される太陽放射のエネルギー密度が増加する。これにより高温の熱エネルギーが供給される。
第12図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。第12図において、該太陽熱システムは、ソーラーポンド10と、水分提供装置20と、複数の蒸気透過撥水管810と、太陽熱発電装置820とを有する。
該複数の蒸気透過撥水管810は水を浸透せず、蒸気を透過する。該複数の蒸気透過撥水管810は該ソーラーポンドに蓄積される塩水の下層の上部に設置される。該複数の蒸気透過撥水管810を直列に連結する蒸気流路が形成される。該蒸気流路内を水蒸気が循環する。該蒸気流路内の圧力は蒸気透過撥水管における該塩水の圧力に近い値を有していてもよい。この場合、該蒸気流路内に、非凝縮性ガスが含有されてもよい。これに替わり、該蒸気流路内にこのような非凝縮性のガスが含有されないように該非凝縮性のガスを排気する図示されない排気装置が配備されてもよい。該蒸気流路の上面は太陽放射を吸収するように黒色に着色されてもよい。該蒸気流路は該太陽熱発電装置820に熱を供給する。
以上において、本発明によるソーラーポンドを有する太陽熱システム、ソーラーポンドの維持方法、及びソーラーポンドの形成方法は詳細に説明された。その他、本発明による太陽熱システム、ソーラーポンドの維持方法、及びソーラーポンドの形成方法を好適に動作させるための補助的な手段、例えば、太陽熱集熱手段、蓄熱手段、真空システム、温度センサ、塩分濃度センサ、曝気装置、濾過器、透明度センサ、ヒートパイプ、防風側壁、塩水表面に配備される波消手段、該水分提供装置を収容する容器、送液手段、流量調節手段、及び/または熱交換手段等を伴って本発明が実施されてもよい。
ここに開示された本発明は、新規なソーラーポンドを有する太陽熱システム、ソーラーポンドの維持方法、及びソーラーポンドの形成方法を提供するが、以上の詳細な説明に開示された教唆に鑑み、本発明の実施は、本発明の最良の形態を説明するためになされた上記実施例に限定されるものではなく、以下の請求の範囲の中で、諸変化を伴ってその他の形態で実施してもよく、あるいは上記実施例の中の最良の一実施形態を説明するために附加された付加的な形態や構成要素を伴わずに実施されてもよい。
産業上の利用可能性
本発明は上記のごとくなした故に、海水などの不純物を有する水を水源とする新規なソーラーポンドを有する太陽熱システム及びソーラーポンドの維持方法が提供される。該太陽熱システムは、ソーラーシステム用の熱源、太陽熱発電システム用の熱源、海水淡水化用の熱源、あるいは太陽熱発電システムの廃熱を蓄積するための蓄熱手段として利用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。
第2図は、第1図に説示されたソーラーポンドに蓄積される塩水の層構造を説示する概念図である。
第3図は、第1図に説示された水分提供装置の構造の一例を説示する概念図である。
第4図は、本発明の別の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。
第5図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。
第6図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。
第7図は、第6図の冷却槽の内部を説示する概念図である。
第8図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。
第9図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムの形成方法におけるフローを説示する概念図である。
第10図は、本発明の更に別の一実施形態によるソーラーポンドに配備される水分提供装置の内部を説示する概念図である。
第11図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムを説示する概念図である。
第12図は、本発明の更に別の一実施形態による太陽熱システムのフローを説示する概念図である。
Claims (7)
- 太陽放射により加熱される塩水を蓄積するソーラーポンドと、不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させる水分提供装置とを有することを特徴とする太陽熱システム。
- 該水分提供装置が、該塩水及び該不純物を有する水の供給を受ける吸収ヒートポンプを有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の太陽熱システム。
- 該塩水を濃縮するための濃縮装置を更に有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の太陽熱システム。
- 該濃縮装置が蒸留装置であることを特徴とする請求の範囲第3項記載の太陽熱システム。
- ソーラーポンドに所定の濃度分布を有する塩水を蓄積する工程と、不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該塩水に吸収させる工程とを有することを特徴とするソーラーポンドの維持方法。
- 該塩水を濃縮する工程を更に有することを特徴とする請求の範囲第5項記載のソーラーポンドの維持方法。
- 未飽和の塩水により固形の塩を溶解する工程と、該固形の塩が溶解した該塩水を水分提供装置に供給する工程と、該水分提供装置内において不純物を有する水から蒸発した水蒸気を該固形の塩が溶解した該塩水に吸収させる工程と、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気を吸収した該塩水の一部を該固形の塩に還流することにより該固形の塩を更に溶解する工程と、該不純物を有する水から蒸発した水蒸気を吸収した該塩水の残余をソーラーポンドに送る工程とを有することを特徴とするソーラーポンドの形成方法。
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