JPWO2002058060A1 - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

繰り返しの読み書きにも劣化せず、応答性に優れた、高い記録密度を有する光情報記録媒体である。基板(1)の上面に、基板面に対して配向した化合物半導体の微結晶から成る超解像膜(2)を設け、その上面に保護膜(3)を介して光による情報を記録する光記録膜(4)及び反射膜(5)を設ける。

Description

技術分野
この発明は、光情報記録媒体に係り、特に高い記録密度で読み書きが可能で、かつ繰り返しの記録再生動作に対して高い信頼性を有し、かつ高速回転に対しても対応可能な光情報記録媒体に関する。
背景技術
光情報記録媒体として、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク(LD)、さらに最近ではCDの7倍以上の記録密度を有するDVDが実用化されている。DVDは画像やコンピューター用の情報を記録した再生専用のROMとして用いられているほか、記録膜を有する書き換え可能なRAMとしても実用化されている。このRAMを動画などを収録するビデオ信号の記録媒体として用い、さらに高精細記録用の媒体として用いるためには、更なる大容量化が必要となっており、デジタルハイビジョン放送などを2時間収録するためには片面で20GB〜100GBの記録容量が必要である。これを達成するために、記録波長の短波長化、高いNAを有する照射レンズ系の開発、多重記録方式のほか、記録媒体にフォトンモードの超解像膜を搭載する方式が検討されている。
この超解像膜は、記録媒体の入射面側に形成される薄膜で、この膜を透過した入射光のビームスポットを縮小することにより、高記録密度化を達成できる。超解像効果は、この膜のレーザー光照射による吸収飽和、屈折率変化などの現象を利用したものである。吸収飽和現象は、超解像膜がその吸収飽和量以上の強度を持つ光は透過させ、それ以下の強度の光は吸収するという非線形な光学特性を利用したものである。また、屈折率変化はレーザー光照射により膜が加熱されたり分極が生じたりすることよって膜の屈折率が変化する現象を利用したものである。
現在このような超解像膜として、特開平8−96412号公報等にみられるようなフタロシアニン系の有機膜、特開平10−320857号公報に記載の遷移金属酸化物粒子系無機超解像膜、特開平11−273148号公報に記載の半導体膜、あるいは半導体微粒子分散膜等が挙げられる。
特開平8−96412号公報記載の有機材料系超解像膜では、記録あるいは読み出し時に照射されるレーザービームのエネルギー密度が局所的に非常に高くなるため、記録再生の繰り返しによって膜が劣化するという問題があった。このため、コンピュータ用のRAM等、過酷な使用条件下では十分な記録再生動作回数を保証しにくかった。また近年のレーザー波長の短波長化のため、問題解決が難しくなる懸念があった。また、特開平10−320857号公報に記載の遷移金属酸化物粒子系超解像膜では、波長400nm程度の短波長レーザーに対して十分な超解像効果が得られないという問題があった。さらに特開平11−273148号公報に記載の半導体膜、あるいは半導体微粒子分散膜では、非線形光学特性が十分とはいえず、十分な超解像特性が得られにくいという問題があった。
そこで、本発明の目的は、大容量で、さらに繰り返しの読み出しに対して劣化が少なく、また応答性に優れた読み出し専用光情報記録媒体(ROMディスク)を提供することにある。また、本発明の他の目的は、繰り返しの読み書きに対して劣化が少なく、高応答性、大容量書き換え可能光情報記録媒体(RAMディスク)を提供することにある。
発明の開示
上記課題を解決するため、本発明による光情報記録媒体は、基板と、基板に直接又は他の薄膜を介して形成された無機材料からなる超解像膜と、超解像膜に直接又は他の薄膜を介して形成された情報記録膜とを含む光情報記録媒体において、超解像膜は、吸収端波長が情報の記録又は再生に使用されるレーザー波長の±10%以内に存在する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った結晶質の粒子から構成され、結晶質の粒子は配向性を有することを特徴とする。この光情報記録媒体は、書き換え可能な光情報記録媒体として用いることができる。
また、本発明による光情報記録媒体は、情報を有するピットの形成された基板と、基板に直接又は他の薄膜を介して形成された無機材料からなる超解像膜とを含む光情報記録媒体において、超解像膜は、吸収端波長が情報の記録又は再生に使用されるレーザー波長の±10%以内に存在する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った結晶質の粒子から構成され、結晶質の粒子は配向性を有することを特徴とする。この光情報記録媒体は、再生専用の光情報記録媒体として用いることができる。
上記書き換え可能型あるいは再生専用型として用いることができる光情報記録媒体において、前記超解像膜は、吸収端波長が情報の記録又は再生に使用されるレーザー波長の±5%以内に存在することがより好ましい。
また、前記超解像膜はウルツァイト型もしくは閃亜鉛鉱型の結晶構造を有するII−VI族化合物半導体の配向性を有する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った配向性を有する結晶質の粒子から構成され、粒界相はシリコン、アルミニウム、チタン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちから選択された1又は複数の金属の酸化物もしくはそれらと結晶粒子を構成する成分との混合物であることが好ましい。
本発明による光情報記録媒体は、また、基板と、基板に直接又は他の薄膜を介して形成された無機材料からなる超解像膜と、超解像膜に直接又は他の薄膜を介して形成された情報記録膜とを含む光情報記録媒体において、超解像膜はウルツァイト型もしくは閃亜鉛鉱型の結晶構造を有するII−VI族化合物半導体の配向性を有する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った配向性を有する結晶質の粒子から構成され、粒界相はシリコン、アルミニウム、チタン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちから選択された1又は複数の金属の酸化物もしくはそれらと結晶粒子を構成する成分との混合物であることを特徴とする。この光情報記録媒体は、書き換え可能な光情報記録媒体として用いることができる。
本発明による光情報記録媒体は、また、情報を有するピットの形成された基板と、基板に直接又は他の薄膜を介して形成された無機材料からなる超解像膜とを含む光情報記録媒体において、超解像膜はウルツァイト型もしくは閃亜鉛鉱型の結晶構造を有するII−VI族化合物半導体の配向性を有する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った配向性を有する結晶質の粒子から構成され、粒界相はシリコン、アルミニウム、チタン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちから選択された1又は複数の金属の酸化物もしくはそれらと結晶粒子を構成する成分との混合物であることを特徴とする。この光情報記録媒体は、再生専用の光情報記録媒体として用いることができる。
上記書き換え可能型あるいは再生専用型として用いることができる光情報記録媒体において、前記II−VI族化合物半導体はカドミウム及び/又は亜鉛と、硫黄、セレン、テルルのうちから選択された1又は複数の元素との化合物とすることができる。また、前記ウルツァイト化合物は基板面に対して(001)配向であり、前記閃亜鉛鉱型化合物は基板面に対して(111)配向である。
超解像膜中に含有されるII−VI族化合物半導体の含有量はモル%で23%以上であることが望ましく、35%以上95%以下であることが更に望ましい。また、超解像膜中の前記結晶粒子は、平均粒径が3.2nm以上17nm以下であることが好ましく、平均粒径が3.5nm以上10.1nm以下であることが更に好ましい。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
〔実施例1〕
図1に、本実施例で作製したRAMディスクの部分断面の概略図を示す。図1において、1は基板、2は超解像膜、3、3′は保護膜、4は記録膜、5は反射膜である。また、10は記録された部分(記録ピット)である。基板1はポリカーボネート、ポリオレフィン、ガラスなどが仕様に応じて用いられるが、本実施例ではポリカーボネートを用いた。保護膜3,3′には、SiO系の非晶質膜を用いた。記録膜4としてはGe−Sb−Te系相変化材料を用いた。反射膜5としてAl−Ti系反射膜を用いた。超解像膜としては、II−VI族化合物半導体単体、もしくはそれらとSiO,TiO,SiO−TiO等のガラス材料との混合物薄膜を検討した。
以上の成膜は全てスパッタリング法を用いて行った。保護膜3、3′、超解像膜の成膜には高周波マグネトロンスパッタ法(RFスパッタ)を用い、また記録膜4、反射膜5の成膜にはDCマグネトロンスパッタ法を用いた。いずれの薄膜も原料となるターゲットサイズは6″とし、スパッタガスにはArを用いた。またスパッタ時のパワーは600W〜1.5kWとし、所望の膜厚となるように成膜時間を調整した。
図1に示すRAMディスクは、以下の工程によって作製した。厚さ0.6mm、外径120mm、内径10mmの円盤状のポリカーボネート基板1の上面に超解像膜2を50nm成膜した。その上に保護膜3を90nm形成後、記録膜4を約20nm成膜した。さらに保護膜3′を約40〜100nm形成後、その上に反射膜を約200nm成膜した。膜を形成した基板を反射膜5を背にして紫外線硬化樹脂を用いて2枚貼り合わせることによって所望のRAMディスクを得た。保護膜3′の膜厚は、用いる超解像膜の光学特性に合わせ、最も反射光の強度が高くなる膜厚となるようにした。
得られた光ディスクに波長400nmの半導体レーザーを照射して書き込みを行った。この際、記録される情報によりレーザー出力を調整し、光ディスクにパルスを照射して記録ピットを形成した。本実施例では、記録された部分(記録ピット)と記録されない部分を同じ周期で書き込んだ。この周期の半周期分の長さ(記録ピットの長さ)をマーク長と呼ぶ。
書き込みのためのレーザー出力は15mWとした。このことによって記録膜が加熱され、結晶部分が溶解、急冷されることによって非晶質化し、情報が書き込まれる。この元々の結晶質部の光の反射率と書き込まれた後の非晶質部の反射率の違いから、情報を読み出すことができる。
ピット形成後、レーザー出力を2mWとし、書き込んだピットを読み出した。この時の結晶質部と非晶質部の反射率の差を信号(キャリア)とし、それと電気系統などの他の要因で現れるノイズ信号との比(C/N比)を評価することにより記録された情報が読み出される否かを判断することができる。本実施例では、記録ピットのマーク長を0.1μm〜0.6μmまで変化させて、それぞれのピットに対するC/N比を評価することでより細かい情報が読み出せているかどうかを判断した。また比較例として、超解像膜を形成しない場合についても同様に検討した。この時、比較例の超解像膜以外の膜構成は上記実施例と同一とした。なお、本実施例では、ディスク回転の線速度を7m/秒で一定とした。
表1に、作製したRAMディスクの超解像膜組成と、この膜のX線回折図形より得られた析出相、及び配向性、また配向した膜については配向面のピーク強度を示す。また、マーク長0.2μmでピットを形成したときのC/N比を示す。また、後に述べる方法で観察した膜面内の透過型電子顕微鏡写真(Transmission Electron Microscope;TEM)より観察された析出粒子の平均粒径も合わせて示す。各粒子の粒径は、得られたTEM像に見られた微粒子と等しい面積の円を仮定し、その直径をもって各粒子の粒径を算出した。そして各試料について100〜300個の微粒子について粒径を算出し、その平均値をもって平均粒径とした。
Figure 2002058060
試料No.1〜7は、化合物半導体成分として吸収端が約400nmにあるCd0.5Zn0.5Sを、また粒界相形成成分としてSiOを選択した場合の実施例であり、その混合比を変化させた。また試料No.7は、Cd0.5Zn0.5S単体の超解像膜である。
図2に、表1中の試料No.2,5,6,7の超解像膜単層膜の分光透過率曲線を示す。いずれの薄膜においても矢印に示す400nmの位置に吸収端が有り、それ以上の波長域では透明であるため、裏面反射との干渉により波長に対して振動が観察された。一方、吸収端より短波長側では、透過率が0.3以下に低下していた。このことから、これらの材料は400nm以下の波長の光に対して吸収が大きく、光との相互作用が大きいことが期待される。
図3に、超解像膜を形成しない比較例、及び試料No.2,6,7のマーク長に対するC/N比の変化を示す。比較例では、マーク長0.35μm以上では約40dB以上と比較的良好なC/N比を示したが、それよりマーク長を小さくしていくと、C/N比が低下し、0.2μmでは約20dBとなっていた。これに対して試料No.2では、比較例より若干C/N比が改善されているものの、比較例と同程度のC/N比であった。
一方、試料No.6,7では、マーク長が0.2μm程度まで約45dBと高いC/N比を保持しており、0.1μmでも40dBと高いC/N比が得られた。このことから、試料No.6,7のような超解像膜を形成することにより超解像効果が得られ、同じレーザー光源でもより小さいマーク長でも記録再生可能であることが分かった。この試料No.6,7はいずれも大きな超解像効果が得られていたが、試料No.6の方が、試料No.7よりもさらに大きな超解像特性が得られていることが分かった。
表1の各組成の超解像膜を形成した場合のマーク長0.2μmにおけるC/N比を図4に示す。この値を比較すると、Cd0.5Zn0.5S含有量が10モル%、19モル%の試料No.1,2では10dB,15dBと、比較例の10dBに比べてそれほど大きく向上していなかった。一方、Cd0.5Zn0.5S含有量が23〜100モル%の試料No.3〜7ではC/N比が30dB〜45dBと高い値になっていた。このことから、試料No.3〜7のような薄膜では、超解像効果が得られると判断できた。また試料No.5,6の試料では、試料No.7のCd0.5Zn0.5S含有量が100%よりも高い超解像特性を示していた。図4より判断すると、Cd0.5Zn0.5S含有量が35モル%以上95モル%以下のとき、C/Nが40dB以上となることが分かった。
上記の試料No.6の超解像膜を搭載した光ディスクについて回転の線速度を上昇していったところ、15m/sという高速回転までほとんどC/N比が変化することなく読み書きすることが可能であった。さらに同一周回上を書き込みパワー15mW、読み出しパワー2mWのレーザーパワーで照射して読み書きを行ったところ、10回まではほとんどC/N比の劣化は見られなかった。以上のように、本実施例の超解像膜を搭載した光ディスクは高速回転にも対応しており、且つレーザー照射による耐久性にも優れていた。
以上の現象の原因を追求するため、表1に示した試料の超解像膜の微構造をX線回折によって解析した。解析は、各超解像膜の単体をランド・グルーブが形成されていないポリカーボネート基板上に成膜して解析した。図5〜7に、試料No.2,6,7のX線回折図形を示す。図5に示す試料No.2の薄膜では、ハローパターンのみが観察された。一方、図6,7に示した試料No.6,7の薄膜では、上記ハローパターンの他に2θ=26.4°に鋭いピークが観察された。このピークは六方晶のウルツァイト型のCd0.5Zn0.5Sのc軸に垂直な(002)面であることが分かった。
ここで、上記のCd0.5Zn0.5SのようなCdS系材料の結晶系について記述する。CdS系は、これらの薄膜のような六方晶のウルツァイト型の結晶系と、立方晶の閃亜鉛鉱型の結晶系の2種類が知られている。図8、図9にそれぞれウルツァイト型CdSと閃亜鉛鉱型CdSの結晶構造の模式図を示す。いずれの構造においても、硫黄(S)イオンが最密充填しており、その最密充填面を図の上下方向に示している。最密充填を構成する面は、イオンが六角形に配置されており、このイオン球の凹部にその上の面を形成するイオン球が配置されることで最密構造を形成している。
各々の面をA,B,Cと定義すると、図8のウルツァイト構造では、3層目の面のイオン球はA面と同じ位置に配置される。従ってA,B,A,B,…の周期が成されている。このため六角柱状の構造となり、六方晶系となる。この最密充填方向が(001)軸(c軸)と定義されている。
一方、閃亜鉛鉱型構造では、第3層目はAのイオン球とは異なる位置に存在するため、A,B,C,A,B,C…の周期となる。このような構造のとき、最密充填方向を(111)方向とすることにより立方体の単位胞を定義することができる。
通常のランダムな方位を有するCd0.5Zn0.5S粉末から得られるX線回折では、図8に示す結晶がランダムな方位を向いていることから、2θ=26.4°((002)面)、2θ=24°((100)面)、28°((101)面)、47°((103)面)などの位置に大きなピークが見られる。
上記試料No.6,7の薄膜ではこのうち(002)面のみが観察されたことから、この薄膜では、析出している粒子の多くが、図8に示すc軸が基板に対して垂直に成長していることを示している。このように多くの結晶粒子がある方位に優先的に成長している様子を、配向しているという。従って、試料No.6,7の薄膜はc軸方向に配向している薄膜であるということができる。
これに対して図5に示した試料No.2の薄膜では、このような配向していることを示すピークが観察されなかった。このことから、この薄膜はランダムな方位を向いているか、あるいは結晶粒子が析出していないかのいずれかと考えられる。
さらに詳細にこれらの薄膜の構造を評価するため、透過型電子顕微鏡観察を行った。図10〜12に薄膜の断面方向から観察した場合の透過電子顕微鏡像の模式図を示す。また、図13〜15には、膜面内を観察した透過型電子顕微鏡像の模式図を示す。得られた透過型電子顕微鏡像から、各薄膜中に見られる粒子の平均粒径を算出した。各粒子の粒径は、得られたTEM像に見られた微粒子と等しい面積の円を仮定し、その直径をもって各粒子の粒径を算出した。そして各試料について100〜300個の微粒子について粒径を算出し、その平均値をもって平均粒径とした。
試料No.2の薄膜の断面方向からの電子顕微鏡像の模式図を図10に、薄膜の面内方向の透過型電子顕微鏡像の模式図を図13に示す。これらの電子顕微鏡像から、SiOを主成分とする非晶質のガラスマトリックス7の中に平均粒径約3nmのCd0.5Zn0.5Sの微粒子6が分散している様子が観察された。電子線回折図形を評価したところ、これらの析出している粒子の方位はランダムであった。このため、図5に示したX線回折図形では各粒子から得られるX線光量が少ないために結晶のピークが確認できなかったものと考えられる。
試料No.6の薄膜の断面方向からの電子顕微鏡像の模式図を図11に、薄膜の面内方向の透過型電子顕微鏡像の模式図を図14に示す。図11に示すように、試料No.6の薄膜では、平均粒径約5nmのCd0.5Zn0.5S粒子8が非常に密に充填されていた。電子線回折、高分解能像による格子像観察により、これらの粒子は基板に対してc軸方向に配向していることが分かった。この結果は、図6に示すX線回折の結果と一致するものであった。また、図14に示す面内透過型電子顕微鏡像からも、この薄膜は約5nmの微粒子が集合している構造であることが分かった。
さらに詳細に観察すると、図11、図14に示すように各結晶粒子の周りにはそれらを取り囲む約0.5nm程度の非晶質様の粒界相9が存在していた。この粒界相をエネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて組成分析すると、この粒界相は添加したSiOがリッチな相であった。以上より、この試料No.6に示す薄膜では、Cd0.5Zn0.5S粒子8の側面をSiOリッチな粒界相9が取り囲んでおり、さらに各粒子はc軸が基板面に対して垂直になるように配向している構造となっていることが判明した。
次に、試料No.7の薄膜の断面及び平面の透過型電子顕微鏡像を図12、図15に示す。この薄膜においてもCd0.5Zn0.5S微粒子8が密に充填している構造になっており、かつc軸が基板に対して垂直に成長していることが観察された。この断面像と、図15に示す平面像から、粒子の平均粒径は6nm程度と、試料No.6に比較して若干大きいことが確認できた。また試料No.7ではSiO成分を添加していないため、試料No.6で見られたような非晶質様の粒界相は形成されておらず、粒子同士が緻密に存在していた。
以上のように、試料No.2に見られるようにガラスマトリックス中に微粒子が分散され、配向していない構造の薄膜では、超解像効果を得ることが難しく、試料No.6,7のように、Cd0.5Zn0.5S粒子が緻密に存在し、かつc軸が基板に対して配向した薄膜であれば大きな超解像効果を得ることができた。さらに試料No.6のようにCd0.5Zn0.5S粒子の粒界部分をSiOのガラス成分が取り囲む構造であり、かつ微粒子の平均粒径が小さい場合に、より大きな超解像効果が得られた。
図8に示すウルツァイト型結晶において、CdとSはc軸に平行に並んだ一対の原子とみなすことが可能である。このc軸と平行にレーザー光が照射されると、CdとSの結合によって生じるバンド構造から得られるフェルミ面はこのc軸と垂直に形成される。つまり、電子の充満している荷電子帯と伝導帯がc軸に垂直に形成されている。ここにレーザー光が照射されると、レーザー光のエネルギーによって荷電子帯に存在していた電子が伝導帯に励起され、電子とホールの対が形成される。
この電子とホールの対によって分極が生じ、この分極によって屈折率変化などの光学的な非線形性が誘発される。この分極の向きがレーザービームと平行であると、分極の成分すべてが非線形性に寄与するため、高い非線形光学特性が得られる。この分極の向きがレーザー光に対して傾いていると、非線形性は低下する。このことから、このウルツァイト型化合物の場合、六方晶系のc軸に配向した膜であれば分極成分が非常に多いため、大きな非線形性が得られると考えられる。
一方、試料No.2のような微粒子の集合では、上記のような分極が生じても方位がランダムなため、大きな非線形性に寄与できる粒子数が不足している。このため、大きな非線形性が生じず、超解像効果が得られにくかったと考察できる。
またSiO成分を添加した試料No.6の方が試料No.7よりも超解像効果が良好であった。これは、試料No.6の場合、図11、図14に示すようにSiO成分の添加によってCd0.5Zn0.5S結晶の粒成長が阻害され、結晶粒径が8.5nm以下にとどまっており、さらに粒子間にSiOの粒界相が存在するためにCd0.5Zn0.5S粒子同士の結合がなくなるため、伝導帯に生じた電子の粒子間の移動がなくなり、分極が保持されやすくなるためと考えられる。試料No.7の場合には平均粒径が10nmと大きく、さらに隣接する粒子同士が粒界相を介さずに接しているため、上記のような量子効果が生じにくいと考えられる。
試料No.3,4,5についても、試料No.6,7と同様な超解像効果が得られ、さらにウルツァイト型Cd0.5Zn0.5Sの(001)方向に配向していた。しかし、ピーク強度が異なり、Cd0.5Zn0.5S含有量が多いほどCd0.5Zn0.5S(002)のピーク強度が増大していた。また、このCd0.5Zn0.5S含有量の増加及びCd0.5Zn0.5S(002)ピーク強度の増加に伴ってC/N比が増加している傾向が見られた。このことからも、分極するCd0.5Zn0.5S量の増大によって非線形性も増大すると考えられる。
以上のように、試料No.1,2のようにCd0.5Zn0.5S含有量が少ない場合には微結晶粒子の分散型の構造となり、Cd0.5Zn0.5S微結晶粒子がランダムな方位を向くために非線形性が小さかった。また試料No.3〜7に示すようにCd0.5Zn0.5S含有量が多い場合には六方晶Cd0.5Zn0.5Sのc軸に配向した構造となった。この場合に大きな非線形性が得られ、超解像効果を得ることができた。
さらにSiO成分が適切であるとCd0.5Zn0.5Sの配向を保持しながら結晶粒子径が縮小し、さらに粒子同士が隔離されるため、光学的非線形性による大きな超解像効果が得られた。
表1及び図4に示したように、Cd0.5Zn0.5Sの含有量がモル比で23%以上であれば、配向したCd0.5Zn0.5Sの結晶粒子が得られ、C/Nが30dBを超え、超解像効果を得ることができた。またC/Nが40dBを超える更に高い超解像効果を得るためには、Cd0.5Zn0.5S含有量をモル比で35%以上95%以下とすればよい。
Cd0.5Zn0.5S含有量が23%未満であると、Cd0.5Zn0.5S粒子の配向がランダムとなり、高い超解像効果が得られにくい。またCd0.5Zn0.5S含有量が35%未満であると超解像効果が得られるものの、十分高いC/N比が得られにくい。さらにCd0.5Zn0.5S含有量が95%を超えるとSiO含有量が十分でなく、粒界相成分が少なくなり、粒子の粗大化が生じ、特性が若干低下する。
〔実施例2〕
表2に、化合物半導体成分を実施例1と同様のCd0.5Zn0.5Sとし、粒界相の成分をSiO・TiO、Al、TiO、SiO−NaO−CaOガラス、SiO−KO−CaOガラス、SiO−NaO−MgOガラス、SiO−Bガラスとした場合の試料No.8〜14を示す。評価項目、媒体構造などは実施例1と同様とした。
Figure 2002058060
化合物半導体成分のCd0.5Zn0.5S含有量は、実施例1で良好な結果の得られた90モル%に固定した。いずれの粒界相成分を用いた場合でもCd0.5Zn0.5S(001)配向が得られ、かつ高い超解像効果を得ることができた。しかし、生じているCd0.5Zn0.5S結晶粒子の粒径が若干異なっており、そのため得られるC/N比が粒界相成分を変化させることで若干変化していた。
粒界相成分としてSiO・TiOを用いた場合には平均粒径が約6.2nmと小さく、そのためC/N比が46と大きかった。Al,TiOを用いた場合には、平均粒径が約7nm程度であり、平均粒径、C/N比とも試料No.1のSiO系の場合とほぼ同じであった。
粒界相成分としてSiO−NaO−CaO,SiO−KO−CaO,SiO−NaO−MgO,SiO−Bの各ガラスを用いた試料No.11〜14の場合には、逆に平均粒径は9.5nm前後と増大しており、このためC/N比は若干低下していた。しかし、いずれの場合も、表1の試料No.6と同等の超解像効果が得られており、粒界相成分として良好であった。
以上のように、粒界相成分としてはSiO,TiO,Al若しくはNaO,KO等のアルカリ金属、CaO,MgOなどのアルカリ土類金属を含有したガラスであることが好ましい。
〔実施例3〕
次に、いろいろなレーザー波長に対して超解像膜として最適な組成を有する化合物半導体物質の検討を詳細に行った。化合物半導体では、2種類以上の半導体物質の化合物(混晶)を作ることによって、吸収波長を任意に変化させることが可能である。実施例1,2に示したCd0.5Zn0.5Sの吸収端は403nmであるため、波長400nmのレーザー光とより強い相互作用を持っているものと考えられる。従って、使用するレーザー波長において超解像効果を持たせるためには、使用するレーザー波長に近い吸収端を有する組成費の化合物半導体を利用することが必要である。
本実施例では、CdSと、320nm(3.83eV)に吸収を有するZnSの混晶の配合組成を変化させ、いろいろな波長のレーザーに対する超解像効果について検討した。また、これらの膜をSiOとの混合物薄膜とした薄膜についても超解像特性を検討した。
用いるレーザー波長が長くなると、高いC/Nで読み出せるマーク長が長くなる。従って各波長における超解像効果を適正に評価するため、下記のような方法で超解像特性の評価を行った。
各波長において超解像膜を形成しない比較例の光ディスクに対して実施例1で述べたマーク長に対するC/N比を実測し、マーク長を短くしていった時のC/Nが8dBまで低下するときのマーク長を測定した。そして超解像膜を形成した実施例試料において比較例のC/Nが8dBとなるマーク長におけるC/Nを評価した。
作製した混晶の組成、及び実施例1と同様の方法で測定した吸収波長、析出相、X線回折により評価した配向性、配向したときの配向面のX線回折のピーク強度、各レーザー波長に対するC/N比を表3に示す。
Figure 2002058060
表3のNo.15〜19に示すように、CdSにZnSを添加してその含有量を変化させると、吸収波長は481nmから320nmとほぼZn含有量に比例して低下していった。また、No.20〜24のようにSiOを10mol%添加しても同様の傾向になった。また、いずれの薄膜においても析出相はウルツァイト型結晶であり、(001)に配向した薄膜であることが分かった。また、試料No.25はZnSeの単相を用いたものであり、これは443nmに吸収端を有している。
各レーザー波長に対する各組成の超解像膜を用いた場合のC/Nを図16、及び図17に示す。図16にはSiO含有量が0mol%のもの、図17には10mol%のものについて示す。この図を見ると、各半導体化合物成分の吸収波長に対応して、高いC/Nが得られる波長域が存在していることが分かる。例えば、試料No.15のCdSを用いた場合では、吸収端が480nmであり、この時、レーザー波長425nm〜550nmの間で30dBと高いC/Nが得られた。さらに、レーザー波長450nm〜500nmでは40dB以上と、非常に高いC/Nが得られた。また、試料No.17は吸収端が403nmであり、レーザー波長が355nm〜520nmの範囲では30dB以上、380〜420nmのときC/Nが40dB以上となった。さらにZnSe単相の試料No.25は、吸収端波長が443nmであり、レーザー波長が370nm〜530nmのとき30dB以上、420nm〜450nmのとき40dB以上の高いC/Nが得られた。
このように各吸収波長を中心として30dB,あるいはさらに良好な場合として40dB以上のC/Nの得られるレーザー波長域が存在するが、図16、図17に示す試料No.15〜25の検討では、吸収端波長の±10%以内の波長レーザーを用いると、30dB以上の高いC/Nを得ることができた。さらに±5%以内の波長のレーザーを用いれば、40dB以上のさらに高いC/Nを得ることができた。
表3の試料No.15〜24の検討では、CdSの吸収端が480nm、ZnSの吸収端が320nmであったため、この範囲のレーザー波長に対応することが可能であったが、さらに長波長側に吸収端を有するCdSe,ZnTe,CdTe等の化合物半導体を用いることにより、より長波長側のレーザーに対しても同様の効果を得ることができる。
表4に、CdSにCdSeを添加したCdSSe系半導体材料を用いた場合の吸収波長、析出相、配向性、C/N比を示す。それぞれの測定法は、表3に示した方法と同一とした。
Figure 2002058060
このCdSSe系半導体材料を用いた試料No.26〜35では、CdSにCdSeを含有させるにつれて、吸収波長が長くなった。CdS:CdSeのモル比が1:1の試料No.28の場合、吸収波長は577nmであり、CdSe単体の試料No.30の場合には吸収は長は674nmであった。
またCdSにCdSeを添加していくと、CdS単体のときに見られたウルツァイト型化合物のほか、試料No.29のCdS0.3Se0.7のとき立方晶の閃亜鉛鉱型化合物が析出していた。この場合は立方晶の(111)のピークのみが観察されており、やはり配向性を有していた。また、この立方晶の(111)方向は六方晶の(001)方向に相当する方位であり、分極の生じ易い方位に配向していた。またTEMによる観察の結果、析出している相の結晶系によらず、試料No.26〜30の試料では粒界相を伴わない粒径約10nm程度の微粒子が析出していた。また試料No.31〜38の場合では、非晶質の粒界相を伴った粒径10nmを切る微少な粒子の集合であった。
レーザー波長を変化させたときのC/N比の変化を図18、図19に示す。表3の試料と同様に、表4の各試料とも吸収端波長に依存して高いC/Nが得られるレーザー波長領域が異なっており、吸収端波長の±5%以内であれば40dB以上の高いC/Nが得られることが分かる。また表4の試料No.35〜37に示すように、CdSe,ZnTe,CdTe等の単相の膜を用いても、各吸収端波長に対応した領域で超解像効果が得られた。さらに試料No.38のようにCdSeとCdTeとの混晶であるCdSe0.5Te0.5については波長730nm付近に吸収端があり、その波長付近のレーザー波長で高い超解像効果が得られた。
以上の検討より、化合物半導体の混晶や単相、あるいはこれらをSiO等のガラス材料と複合させた場合、用いるレーザー波長が各吸収端波長の±10%以内、さらに好ましくは±5%以内であれば高い超解像効果を得ることができた。このとき用いる化合物半導体が、カドミウム、亜鉛等のVI族の元素と、硫黄、セレン、テルル等のII族の元素から構成される化合物半導体であれば、近紫外から可視光、及び近赤外に至る波長域において高い超解像効果を得ることができた。
また析出相はウルツァイト型化合物のみならず立方晶の閃亜鉛鉱型化合物であっても高い超解像効果を得ることが出来た。ウルツァイト型化合物が析出する場合には(001)配向していることが好ましく、また閃亜鉛鉱型化合物の場合にはこの化合物は(111)配向していることが好ましい。
〔実施例4〕
次に、スパッタリング条件を変化させることにより析出する超解像膜の粒径を変化させて、粒径に対する超解像特性の変化を検討した。超解像膜として表1のNo.6の薄膜を用い、図1に示す構造と同じDVD−RAMディスクを作製し、実施例1と同様にマーク長0.2μmのときのC/N比を評価した。
表5に、スパッタリングパワーを変化させたときの超解像膜の平均粒径及びその超解像膜を搭載したDVD−RAMディスクのC/N比を示す。また表5より得られたスパッタパワーに対する平均粒径の変化を図20に、またこの平均粒径に対するC/N比を図21に示す。平均粒径の評価は実施例1と同様に透過型電子顕微鏡の平面像から算出した。
Figure 2002058060
表5、図20に示すように、スパッタパワーが上昇するに伴って平均粒径が小さくなっていく傾向が見られた。また図21に示すように、平均粒径が約6.0nm程度までは平均粒径の増加に伴ってC/Nが上昇したが、さらに平均粒径が増大すると逆にC/Nが低下していく傾向が見られた。図21から判断すると、平均粒径が3.2nm以上17nm以下では、C/N比が30dB以上となり、超解像効果が得られていた。また平均粒径が3.5nm以上10.1nm以下では、C/N比が40dB以上となり、さらに良好な結果が得られた。平均粒径が3.2nmを下回り、又は17nmを上回ると、C/N比が30dBを下回るため、好ましくなかった。
以上より、超解像効果を得るためには、析出する半導体化合物の微粒子の平均粒径が3.2nm以上17nm以下であることが好ましかった。また更に高いC/N比を得るためには、析出する半導体化合物の微粒子の平均粒径が3.5nm以上10.1nm以下であることが好ましかった。
〔実施例5〕
次に、図22に示すROM構造の光ディスクを作製してその超解像特性を評価した。図22において、1はポリカーボネート基板、10は情報を持って記録された記録ピット、2は超解像膜、3は保護膜、5は反射膜である。本実施例では、3の超解像膜には表1の試料No.6に示したCdS系薄膜を用いた。また3の保護膜にはSiO保護膜を用いた。また5の反射膜にはAl−Ti系合金を用いた。
また、図22に示すように本光ディスクはトラッキングのためにランド(丘)とグルーブ(谷)が形成されており、その両方に情報を有する記録ピットが形成されている。
ROMディスクは以下の工程によって作製した。まず、フォトレジスト上にレーザーを用いて0.1〜0.6μmのマーク長を有するピットパターンを形成した。その後Ni金型にピットパターンを複写し、この金型にポリカーボネートを射出成形することによって基板を形成した。この基板上に膜厚50nmの超解像膜をスパッタリングにて形成し、SiO保護膜90nmを形成した後、Al−Ti系反射膜を100nm形成した。基板1の厚さは0.6mmであり、本実施例では成膜した2枚の基板を反射膜を背にして紫外線硬化樹脂を用いて貼り合わせ、1.2mm厚のROMディスクを得た。
再生波長を400nmとし、このROMディスクを用いてマーク長に対するC/N比を評価したところ、マーク長0.2μmに対して42dBであった。高い超解像特性を有していることが分かった。このように、本発明の超解像膜をROM、RAM等の光ディスクに搭載することにより、高速回転に対応した大容量記録媒体に適応可能であった。
産業上の利用可能性
本発明によると、配向したII−VI族の化合物半導体を用いることにより、近紫外から可視光、さらに近赤外領域のあらゆる波長域において高い超解像効果を有する光ディスクが得られる。また、この超解像膜を光ディスクに搭載することにより、繰り返しの読み書きに対して劣化が少なく、高応答性、大容量書き換え可能光ディスク(RAMディスク)が得られる。また、大容量で、さらに繰り返しの読み書きに対して劣化が少なく、また応答性に優れた読み出し専用光ディスク(ROMディスク)が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施例で作製したRAMディスクの部分断面の概略図である。
図2は、試料No.2,5,6,7の超解像膜の分光透過率曲線を表す図である。
図3は、マーク長に対するC/N比の変化を示すグラフである。
図4は、CdZnS含有量に対するC/Nの変化を示す図である。
図5は、試料No.2の超解像膜のX線回折図形を示す図である。
図6は、試料No.6の超解像膜のX線回折図形を示す図である。
図7は、試料No.7の超解像膜のX線回折図形を示す図である。
図8は、ウルツァイト型化合物の結晶構造の模式図である。
図9は、閃亜鉛鉱型化合物の結晶構造の模式図である。
図10は、試料No.2の超解像膜の断面透過型電子顕微鏡像の模式図である。
図11は、試料No.6の超解像膜の断面透過型電子顕微鏡像の模式図である。
図12は、試料No.7の超解像膜の断面透過型電子顕微鏡像の模式図である。
図13は、試料No.2の超解像膜の平面透過型電子顕微鏡像の模式図である。
図14は、試料No.6の超解像膜の平面透過型電子顕微鏡像の模式図である。
図15は、試料No.7の超解像膜の平面透過型電子顕微鏡像の模式図である。
図16は、レーザー波長を変化させたときのC/Nの変化を示す図である。
図17は、レーザー波長を変化させたときのC/Nの変化を示す図である。
図18は、レーザー波長を変化させたときのC/Nの変化を示す図である。
図19は、レーザー波長を変化させたときのC/Nの変化を示す図である。
図20は、スパッタパワーに対する平均粒径の変化を示す図である。
図21は、析出半導体化合物の微粒子の平均粒径に対するC/Nの変化を示す図である。
図22は、本発明の実施例で作製したROMディスクの部分断面の模式図である。

Claims (12)

  1. 基板と、前記基板に直接又は他の薄膜を介して形成された無機材料からなる超解像膜と、前記超解像膜に直接又は他の薄膜を介して形成された情報記録膜とを含む光情報記録媒体において、
    前記超解像膜は、吸収端波長が情報の記録又は再生に使用されるレーザー波長の±10%以内に存在する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った結晶質の粒子から構成され、前記結晶質の粒子は配向性を有することを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 情報を有するピットの形成された基板と、前記基板に直接又は他の薄膜を介して形成された無機材料からなる超解像膜とを含む光情報記録媒体において、前記超解像膜は、吸収端波長が情報の記録又は再生に使用されるレーザー波長の±10%以内に存在する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った結晶質の粒子から構成され、前記結晶質の粒子は配向性を有することを特徴とする光情報記録媒体。
  3. 請求項1又は2記載の光情報記録媒体において、前記超解像膜は、吸収端波長が情報の記録又は再生に使用されるレーザー波長の±5%以内に存在することを特徴とする光情報記録媒体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の光情報記録媒体において、前記超解像膜はウルツァイト型もしくは閃亜鉛鉱型の結晶構造を有するII−VI族化合物半導体の配向性を有する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った配向性を有する結晶質の粒子から構成され、前記粒界相はシリコン、アルミニウム、チタン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちから選択された1又は複数の金属の酸化物もしくはそれらと結晶粒子を構成する成分との混合物であることを特徴とする光情報記録媒体。
  5. 基板と、前記基板に直接又は他の薄膜を介して形成された無機材料からなる超解像膜と、前記超解像膜に直接又は他の薄膜を介して形成された情報記録膜とを含む光情報記録媒体において、
    前記超解像膜はウルツァイト型もしくは閃亜鉛鉱型の結晶構造を有するII−VI族化合物半導体の配向性を有する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った配向性を有する結晶質の粒子から構成され、前記粒界相はシリコン、アルミニウム、チタン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちから選択された1又は複数の金属の酸化物もしくはそれらと結晶粒子を構成する成分との混合物であることを特徴とする光情報記録媒体。
  6. 情報を有するピットの形成された基板と、前記基板に直接又は他の薄膜を介して形成された無機材料からなる超解像膜とを含む光情報記録媒体において、
    前記超解像膜はウルツァイト型もしくは閃亜鉛鉱型の結晶構造を有するII−VI族化合物半導体の配向性を有する結晶質の粒子もしくは粒界相を伴った配向性を有する結晶質の粒子から構成され、前記粒界相はシリコン、アルミニウム、チタン、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちから選択された1又は複数の金属の酸化物もしくはそれらと結晶粒子を構成する成分との混合物であることを特徴とする光情報記録媒体。
  7. 請求項5又は6記載の光情報記録媒体において、前記II−VI族化合物半導体はカドミウム及び/又は亜鉛と、硫黄、セレン、テルルのうちから選択された1又は複数の元素との化合物であることを特徴とする光情報記録媒体。
  8. 請求項5,6又は7記載の光情報記録媒体において、前記ウルツァイト化合物は基板面に対して(001)配向であり、前記閃亜鉛鉱型化合物は基板面に対して(111)配向であることを特徴とする光情報記録媒体。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項記載の光情報記録媒体において、前記超解像膜中に含有されるII−VI族化合物半導体の含有量がモル%で23%以上であることを特徴とする光情報記録媒体。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項記載の光情報記録媒体において、前記超解像膜中に含有されるII−VI族化合物半導体の含有量がモル%で35%以上95%以下であることを特徴とする光情報記録媒体。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載の光情報記録媒体において、前記超解像膜中の前記結晶粒子は、平均粒径が3.2nm以上17nm以下であることを特徴とする光情報記録媒体。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項記載の光情報記録媒体において、前記超解像膜中の前記結晶粒子は、平均粒径が3.5nm以上10.1nm以下であることを特徴とする光情報記録媒体。
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