JPWO2002052008A1 - 新規癌関連遺伝子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、以下の(a)又は(b)のポリペプチド(蛋白質)をコードする塩基配列を含むDNA:(a)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列から成るポリペプチド、(b)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、(a)のポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド、に係る。本発明は、更に、該蛋白質に結合する抗体、該抗体を含む該抗癌剤、及び、上記蛋白質又はその部分ペプチドに結合する物質のスクリーニング方法、並びに、本発明DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、少なくとも15塩基から成るポリヌクレオチド、及び、該ポリヌクレオチドをプローブとして使用する癌の検出方法に係る。本発明DNAは癌に関連した遺伝子であり、本発明蛋白質へのリガンドの結合を阻害すること等により癌を抑制することが可能であると考えられる。従って、本発明抗体は本発明蛋白質の検出等だけでなく、前立腺癌、卵巣癌などの癌の治療薬又は予防薬として用いることもできる

Description

技術分野
本発明は、新規DNA及び該DNAを含む癌関連遺伝子、該DNAにコードされる組換え蛋白質、該蛋白質に結合する抗体、該抗体を含む抗癌剤、及び、該蛋白質又はその部分ペプチドに結合する物質のスクリーニング方法に関する。
背景技術
ヒトゲノム計画における大規模シークエンシングによって、ヒトゲノムの塩基配列に関する情報が日々産出されている。
ヒトゲノム計画の最終目的は単にゲノム全塩基配列を決定することではなく、その構造情報、即ち、DNAの塩基配列情報からヒトのさまざまな生命現象を読み解くことにあろう。
ヒトゲノム配列中で蛋白質をコードしている領域はその極一部であり、現在は、ニューラルネットワークや隠れマルコフモデルと呼ばれる情報科学の手法を用いて、そのコード領域の予測が行われている。しかしながら、それらの予測精度はまだ充分なものではない。
今回、本発明者は新規な遺伝子を見出すべく、ヒト成人全脳、ヒト扁桃、ヒト成人海馬及びヒト胎児全脳由来のcDNAライブラリーから、蛋白質をコードしている領域を含む新規なDNAを直接クローニングすることに成功し、それらの塩基配列を決定して本発明を完成させた。
発明の開示
即ち、本発明は第一の態様として、以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNAに係る:
(a)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、(a)のポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド。
本発明の第二の態様として、以下の(a)又は(b)のDNAに係る:
(a)配列番号:1又は配列番号:2で示される塩基配列において、配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNA、
(b)(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、(a)のアミノ酸配列から成るポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有する蛋白質をコードするDNA。
以上の本発明の第一及び第二の態様であるDNAをまとめて、以下、「本発明DNA」ともいう。又、本発明はこれらDNAを含む遺伝子にも係る。
更に、本発明の第三の態様として、以下の(a)又は(b)のポリペプチドを含む蛋白質:
(a)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列から成るポリペプチド、
(b)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、(a)のポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド、及び、本発明遺伝子を発現させることにより得られる組換え蛋白質に係る。
更に、本発明の第四の態様として、上記蛋白質に結合する各種抗体に係る。
更に、本発明の第五の態様として、抗体を含む各種抗癌剤に係る。
更に、本発明の第六の態様として、上記蛋白質又はその部分ペプチドに結合する物質のスクリーニング方法であって、
(a)該蛋白質又はその部分ペプチドに被験試料を接触させる工程、
(b)該蛋白質又はその部分ペプチドと被験試料との結合活性を検出する工程、及び
(c)該蛋白質又はその部分ペプチドに結合する活性を有する化合物を選択する工程、を含む前記方法、に係る。
更に、本発明の第七の態様として、本発明DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、少なくとも15塩基から成るポリヌクレオチドに係る。
更に、本発明の第八の態様として、上記ポリヌクレオチドをプローブとして使用する癌の検出方法であって、
(a)該ポリヌクレオチドに被験試料を接触させる工程、及び
(b)該ポリヌクレオチドと被験試料とのハイブリダイズ活性を検出する工程、を含む前記方法、に係る。
発明を実施する為の最良の形態
[本発明DNA]
本発明DNAは、市販されている(クロンテック社)ヒト成人全脳、ヒト扁桃、ヒト成人海馬及びヒト胎児全脳のmRNAを出発材料として、本発明者が調製したcDNAライブラリーから、cDNA断片として単離した後に、塩基配列を決定し同定したものである。
即ち、具体的には、小原他の方法(DNA Research Vol.4,53−59(1997))に従って調製したヒト成人全脳、ヒト扁桃、ヒト成人海馬及びヒト胎児全脳由来のcDNAライブラリーからクローンをランダムに単離する。
次に、ハイブリダイゼーションにより、重複クローン(繰り返し出てくるクローン)を除き、その後インビトロでの転写翻訳を行い50kDa以上の産物が認められるクローンについてその両末端の塩基配列を決定する。
更に、こうして得られた末端塩基配列をクエリーとして既知遺伝子のデータベースにて相同性検索を行い、その結果、新規であることが判明したクローンについて全塩基配列を決定する。
また、上記のスクリーニング法に加えて、cDNAの5’および3’の末端配列をヒトのゲノム配列に対応させ、それらが挟む領域に未知の長鎖遺伝子が確認された場合には、そのcDNAの全長解析をおこなう。
このようにして既知の遺伝子に依存した従来のクローニング方法では得られなかった未知の遺伝子も、システマチックにクローニングを行なうことができる
又、短い断片や得られた配列に人工的な間違いが起こらないように十分な注意を払いながら、RACE等のPCR法を使用することによっても、本発明DNAを含むヒト由来遺伝子の全領域を調製することも可能である。
このようにして本発明DNAを有するクローン(KIAA1742)を得ることが出来る。該クローンに含まれる遺伝子にコードされる本発明蛋白質の機能等については、本明細書中に示されている。
本発明DNAのクローニングの別の手段としては、本発明ポリペプチドの部分等の適当な塩基配列を有する合成DNAプライマーを作成し、適当なライブラリーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明ポリペプチドの一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。
ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、上記のCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M.Ausubel et al.,1987)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
本発明DNAとしては、前述した本発明ポリペプチドをコードする塩基配列から成るものであればいかなるものであってもよい。また、ヒトの脳、又は、それ以外の組織、例えば、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、精巣、等の細胞・組織に由来するcDNAライブラリー等から同定・単離されたcDNA、又は、合成DNAのいずれでもよい。
ライブラリー作成に使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNA画分またはmRNA画分を調製したものを用いて、直接Reverse Transcription coupled Polymerase Chain Reaction(以下、「RT−PCR法」と略称する)によって増幅することもできる。
配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、配列番号:1又は配列番号:2で示される全アミノ酸配列との相同性の程度が、全体の平均で約70%以上、好ましくは約80%以上、更に好ましくは約90%以上、特に好ましくは約95%以上であるアミノ酸配列を意味する。
従って、本発明の配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列から成るポリペプチドとしては、例えば、前記の配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列に対して上記の相同性を有し、該アミノ酸配列から成るポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性(機能)を有するポリペプチドを挙げることが出来る。ここで、実質的に同質とは、それらの活性(機能)が性質的に同質であることを示す。
又、本発明ポリペプチドには、例えば、配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列中の一部(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列、或いはそれらを組み合わせたアミノ酸配列から成り、配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性(機能)を有するポリペプチドも含まれる。
上記の配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列から成るポリペプチド、又はその一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするDNAは、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法、及びPCR法等の当業者に周知の方法を適宜組み合わせて、容易に作成することが可能である。
尚、その際に、実質的に同質の生物学的活性を有するためには、当該ポリペプチドを構成するアミノ酸のうち、同族アミノ酸(極性・非極性アミノ酸、疎水性・親水性アミノ酸、陽性・陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸など)同士の置換が可能性として考えられる。又、実質的に同質の生物学的活性の維持のためには、本発明の各ポリペプチドに含まれる機能ドメイン内のアミノ酸は保持されることが望ましい。
更に、本発明DNAは、配列番号:1又は配列番号:2に示される塩基配列において、配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNA、及び、該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドの機能と同質の生物学的活性(機能)を有するポリペプチド(蛋白質)をコードするDNAを包含する。
かかる条件下で、配列番号:1又は配列番号:2に示される塩基配列において、配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNAとハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、該DNAの全塩基配列との相同性の程度が、全体の平均で約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上である塩基配列を含有するDNA等を挙げることが出来る。
ハイブリダイゼーションは、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M.Ausubel et al.,1987))に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、65℃の1mM EDTAナトリウム、0.5Mリン酸水素ナトリウム(pH7.2)、7%SDS水溶液中でハイブリダイズさせ、65℃の1mM EDTAナトリウム、40mMリン酸水素ナトリウム(pH7.2)、1%SDS水溶液中でメンブレンを洗浄する条件でのサザンブロットハイブリダイゼーションで本発明DNAプローブにハイブリダイズする程度の条件である。
クローン化された本発明DNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
[本発明ポリゴヌクレオチド]
本発明DNA(遺伝子)は、以下の実施例で示されるように、癌細胞で高発現していることから、本発明遺伝子を検出することにより、かかる癌の検出を行うことが可能である。
従って、配列番号:1又は配列番号:2に示された塩基配列を含む本発明DNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクオチドは、このような癌の検査にプローブとして使用することが出来る。
このようなポリヌクオチドの長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上、更に好ましくは500塩基以上、特に好ましくは1000塩基以上である。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、65℃の1mM EDTAナトリウム、0.5Mリン酸水素ナトリウム(pH7.2)、7%SDS水溶液中でハイブリダイズさせ、65℃の1mM EDTAナトリウム、40mMリン酸水素ナトリウム(pH7.2)、1%SDS水溶液中でメンブレンを洗浄する条件でのサザンブロットハイブリダイゼーションで本発明DNAにハイブリダイズする程度の条件である。
[本発明蛋白質]
本発明蛋白質は、当業者に公知の任意の方法によって、本発明DNA又は本発明DNAを含む遺伝子を含有する発現ベクターを作成し、該発現ベクターにより形質転換させた形質転換体を培養し、本発明ポリペプチド若しくは該ポリペプチドを含む組換え蛋白質を生成、蓄積せしめ、これを採取することによって、容易に調製することが出来る。
上記発現ベクターは、当該技術分野で公知の方法に従って作成することが出来る。例えば、(1)本発明DNA又は本発明DNAを含む遺伝子を含有するDNA断片を切り出し、(2)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC18,pUC118)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルス等を利用することが出来る。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応した適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、宿主が大腸菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主が枯草菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーターなどが挙げられる。
発現ベクターには、以上の他に、所望により当該技術分野で公知の、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン等を付加することができる。また、必要に応じて、本発明のDNAにコードされた蛋白質を他の蛋白質(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ及びプロテインA)との融合蛋白質として発現させることも可能である。このような融合蛋白質は、適当なプロテアーゼを使用して切断し、それぞれの蛋白質に分離することが出来る。
宿主細胞としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,60巻,160(1968)),JM103(Nucleic Acids Research,9巻,309(1981)),JA221(Journal of Molecular Biology,120巻,517(1978)),及びHB101(Journal of Molecular Biology,41巻,459(1969))等が用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114(Gene,24巻,255(1983)),207−21〔Journal of Biochemistry,95巻,87(1984)〕等が用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)AH22,AH22R−,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccaromyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、サッカロマイセス ピキア パストリス(Saccaromyces picjia pastoris)等が用いられる。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損CHO細胞,マウスL細胞,マウスAtT−20細胞,マウスミエローマ細胞,ラットGH3細胞,ヒトFL細胞などが用いられる。
これら宿主細胞の形質転換は、当該技術分野で公知の方法に従って行うことが出来る。例えば、以下に記載の文献を参照することが出来る。
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69巻,2110(1972);Gene,17巻,107(1982);Molecular & General Genetics,168巻,111(1979);Methods in Enzymology,194巻,182−187(1991);Proc.Natl.Acad.Sci.USA),75巻,1929(1978);細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行);及びVirology,52巻,456(1973)。
このようにして得られた、本発明DNA又は本発明DNAを含む遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、当該技術分野で公知の方法に従って培養することが出来る。例えば、以下に記載の文献を参照することが出来る。
例えば、宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常、約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培養は通常、pH約5〜8に調整された培地を用いて約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、pHは約6〜8に調整された培地を用いて、通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加えることもできる。
上記培養物から本発明ポリペプチド又は蛋白質を分離精製するには、例えば、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により蛋白質の粗抽出液を得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中に蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。
こうして得られた本発明ポリペプチド(蛋白質)は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。更に、組換え体が産生する蛋白質を、精製前または精製後に、トリプシン及びキモトリプシンのような適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。
本発明ポリペプチド(蛋白質)又はその塩の存在は、様々な結合アッセイ及び特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイ等により測定することができる。
[本発明抗体]
本発明の抗体は、本発明蛋白質と結合する限り特に制限はなく、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるもの等を含む。尚、本発明抗体は、本発明蛋白質と特異的に結合することが好ましい。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、本発明蛋白質を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。
本発明蛋白質をコードする遺伝子配列を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主胞を形質転換させた後、その宿主細胞中または培養上清中から目的の本発明蛋白質を公知の方法で精製する。
次に、この本発明蛋白質を感作抗原として用いる。あるいは、本発明蛋白質の部分ペプチドを感作抗原として使用することもできる。この際、部分ペプチドは本発明蛋白質のアミノ酸配列より当業者に公知の一般的な方法による化学合成により得ることができる。
ここで、本発明の蛋白質の部分ポリペプチドとしては、例えば、本発明蛋白質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも10個以上、好ましくは50個以上、さらに好ましくは70個以上、より好ましくは100個以上、最も好ましくは200個以上のアミノ酸配列を有し、例えば、本発明のポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有するペプチドなどが用いられる。本発明の部分ポリペプチドとしては、例えば、後述するような各機能ドメインを含むものが特に好ましい。又、本発明の部分ペプチドはC末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO−)であるが、前記した本発明の蛋白質のごとく、C末端がアミド(−CONH)またはエステル(−COOR)であってもよい。さらに、本発明の部分ペプチドには、前記した本発明の蛋白質と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明抗体は、本発明蛋白質の検出、精製等に用いることが出来、又、以下の実施例で示されるように本発明遺伝子は癌細胞で高発現しているので、本発明抗体に放射性同位元素、化学療法剤、細菌由来トキシン等の細胞傷害性物質を結合させることにより、細胞増殖を抑制し得ることから、本発明抗体の認識する本発明蛋白質分子上のエピトープは特定のものに限定されず、本発明蛋白質分子上に存在するエピトープならばどのエピトープを認識してもよい。従って、本発明抗体を作製するための抗原は、本発明蛋白質分子上に存在するエピトープを含む断片ならば、如何なる断片も用いることが可能である。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate−Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4−21日毎に数回投与する。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。
このように哺乳動物を免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合に付されるが、好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞は、公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J.Immnol.(1979)123,1548−1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81,1−7)、NS−1(Kohler.G.and Milstein,C.Eur.J.Immunol.(1976)6,511−519)、MPC−11(Margulies.D.H.et al.,Cell(1976)8,405−415)、SP2/0(Shulman,M.et al.,Nature(1978)276,269−270)、FO(de St.Groth,S.F.et al.,J,Immunol.Methods(1980)35,1−21)、S194(Trowbridge,I.S.J.Exp.Med.(1978)148,313−323)、R210(Galfre,G.et al.,Nature(1979)277,131−133)等が好適に使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler.G.and Milstein,C.、Methods Enzymol.(1981)73,3−46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウィルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定することができる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1−10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液(例えば平均分子量1000−6000程度)を通常30−60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)を形成する。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングを行う。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroで本発明蛋白質に感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞と融合させ、本発明蛋白質への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878号公報参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となる本発明蛋白質を投与して本発明抗体産生細胞を取得し、これを不死化させた細胞から本発明蛋白質に対するヒト抗体を取得してもよい(国際特許出願公開番号WO94/25585号公報、WO93/12227号公報、WO92/03918号公報、WO94/02602号公報参照)。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
本発明では、モノクローナル抗体として、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型のものを用いることができる(例えば、Vandamme,A.M.et al.,Eur.J.Biochem.(1990)192,767−775,1990参照)。
具体的には、本発明抗体を産生するハイブリドーマから、本発明抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin,J.M.et al.,Biochemistry(1979)18,5294−5299)、AGPC法(Chomczynski,P.et al.,Anal.Biochem.(1987)162,156−159)等により行って全RNAを調製し、mRNA Purification Kit(Pharmacia製)等を使用して目的のmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First−strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等を用いて行う。また、cDNAの合成および増幅を行うには、5’−Ampli FINDER RACE Kit(Clontech製)およびPCRを用いた5’−RACE法(Frohman,M.A.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85,8998−9002、Belyavsky,A.et al.,Nucleic Acids Res.(1989)17,2919−2932)等を使用することができる。
得られたPCR産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作製し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。そして、目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認する。
目的とする本発明抗体のV領域をコードするDNAを得たのち、これを、所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAを含有する発現ベクターへ組み込む。
本発明で使用される本発明抗体を製造するには、抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより、宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させる。
抗体遺伝子の発現は、抗体重鎖(H鎖)または軽鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を同時形質転換させてもよいし、あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換させてもよい(WO94/11523号公報参照)。
また、組換え型抗体の産生には上記宿主細胞だけではなく、トランスジェニック動物を使用することができる。例えば、抗体遺伝子を、乳汁中に固有に産生される蛋白質(ヤギのカゼインなど)をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギまたはその子孫が産生する乳汁から所望の抗体を得る。また、トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert,K.M.et al.,Bio/Technology(1994)12,699−702)。
本発明では、上記抗体のほかに、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト型化(Humanized)抗体を使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体は、前記のようにして得た抗体V領域をコードするDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる。この既知の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗体を得ることができる。
ヒト型化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、これは、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP125023号公報、WO96/02576号公報参照)。
具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)とを連結するように設計したDNA配列を、CDR及びFR両方の末端領域にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCR法により合成する(WO98/13388号公報に記載の方法を参照)。
CDRを介して連結されるヒト抗体のフレームワーク領域は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように、抗体の可変領域におけるフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato,K.et al.,Cancer Res.(1993)53,851−856)。
キメラ抗体及びヒト型化抗体のC領域には、ヒト抗体のものが使用され、例えばH鎖では、C1、C2、C3、C4を、L鎖ではCκ、Cλを使用することができる。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾してもよい。
キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来の定常領域とからなる。一方、ヒト型化抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域と、ヒト抗体由来のフレームワーク領域およびC領域とからなる。ヒト型化抗体はヒト体内における抗原性が低下されているため、本発明の治療剤の有効成分として有用である。
本発明で使用される抗体は、抗体の全体分子に限られず本発明蛋白質に結合する限り、抗体の断片又はその修飾物であってもよく、二価抗体も一価抗体も含まれる。例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)2、Fv、1個のFabと完全なFcを有するEab/c、またはH鎖若しくはL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)が挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えばパパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、または、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.(1994)152,2968−2976、Beter,M.& Horwitz,A.H.Methods in Enzymology(1989)178,476−496,Academic Press,Inc.、Plueckthun,A.& Skerra,A.Methods in Enzymology(1989)178,476−496,Academic Press,Inc.、Lamoyi,E.,Methods in Enzymology(1989)121,652−663、Rousseaux,J.et al.,Methods in Enzymology(1989)121,663−669、Bird,R.E.et al.,TIBTECH(1991)9,132−137参照)。
scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域とを連結することにより得られる。このscFvにおいて、H鎖V領域とL鎖V領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結される(Huston,J.S.et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988)85,5879−5883)。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域は、本明細書に抗体として記載されたもののいずれの由来であってもよい。V領域を連結するペプチドリンカーとしては、例えばアミノ酸12−19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。
scFvをコードするDNAは、前記抗体のH鎖またはH鎖V領域をコードするDNA、およびL鎖またはL鎖V領域をコードするDNAのうち、それらの配列のうちの全部又は所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端が各々H鎖、L鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合せて増幅することにより得られる。
また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いることにより、常法に従ってscFvを得ることができる。
これら抗体の断片は、前記と同様にしてその遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。本発明における「抗体」にはこれらの抗体の断片も包含される。
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した本発明抗体を使用することもできる。抗体に放射性同位元素、化学療法剤、細菌由来トキシン等の細胞障害性物質などを結合することも可能である。本発明における「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。
さらに、本発明で使用される抗体は、二重特異性抗体(bispecific antibody)であってもよい。二重特異性抗体は本発明蛋白質分子上の異なるエピトープを認識する抗原結合部位を有する二重特異性抗体であってもよいし、一方の抗原結合部位が本発明蛋白質を認識し、他方の抗原結合部位が化学療法剤、細胞由来トキシン等の細胞傷害性物質を認識してもよい。この場合、本発明蛋白質を発現している細胞に直接細胞傷害性物質を作用させ腫瘍細胞に特異的に傷害を与え、腫瘍細胞の増殖を抑えることが可能である。二重特異性抗体は2種類の抗体のHL対を結合させて作製することもできるし、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて二重特異性抗体産生融合細胞を作製し、得ることもできる。さらに、遺伝子工学的手法により二重特異性抗体を作製することも可能である。
前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により発現させ、取得することができる。哺乳類細胞の場合、常用される有用なプロモーター、発現させる抗体遺伝子、その3’側下流にポリAシグナルを機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウィルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer)を挙げることができる。
また、その他に本発明で使用される抗体発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウィルス、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、シミアンウィルス40(SV40)等のウィルスプロモーター/エンハンサー、あるいはヒトエロンゲーションファクター1α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサー等が挙げられる。
SV40プロモーター/エンハンサーを使用する場合はMulliganらの方法(Nature(1979)277,108)により、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合はMizushimaらの方法(Nucleic Acids Res.(1990)18,5322)により、容易に遺伝子発現を行うことができる。
複製起源としては、SV40、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV)等の由来のものを用いることができ、さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは、選択マーカーとしてアミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列及び発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させて当該遺伝子を発現させることができる。プロモーターとしては、例えばlaczプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。laczプロモーターを使用する場合はWardらの方法(Nature(1098)341,544−546;FASEB J.(1992)6,2422−2427)により、あるいはaraBプロモーターを使用する場合はBetterらの方法(Science(1988)240,1041−1043)により発現することができる。
抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei,S.P.et al J.Bacteriol.(1987)169,4379)を使用すればよい。そして、ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、抗体の構造を適切に組み直して(refold)使用する。
本発明で使用される抗体の製造のために、任意の発現系、例えば真核細胞又は原核細胞系を使用することができる。真核細胞としては、例えば樹立された哺乳類細胞系、昆虫細胞系、真糸状菌細胞および酵母細胞などの動物細胞等が挙げられ、原核細胞としては、例えば大腸菌細胞等の細菌細胞が挙げられる。好ましくは、本発明で使用される抗体は、哺乳類細胞、例えばCHO、COS、ミエローマ、BHK、Vero、HeLa細胞中で発現される。
次に、形質転換された宿主細胞をin vitroまたはin vivoで培養して目的とする抗体を産生させる。宿主細胞の培養は公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使用することができ、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
前記のように発現、産生された抗体は、細胞、宿主動物から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティーカラムを用いて行うことができる。例えば、プロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D、POROS、Sepharose F.F.(Pharmacia製)等が挙げられる。その他、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、上記アフィニティーカラム以外のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual.Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)。
本発明で使用される抗体の抗原結合活性(Antibodies A Laboratory Manual.Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)、リガンドレセプター結合阻害活性(Harada,A.et al.,International Immunology(1993)5,681−690)の測定には公知の手段を使用することができる。
本発明抗体の抗原結合活性を測定する方法として、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)あるいは蛍光抗体法を用いることができる。例えば、酵素免疫測定法を用いる場合、本発明蛋白質をコーティングしたプレートに、本発明抗体を含む試料、例えば、本発明抗体産生細胞の培養上清や精製抗体を加える。アルカリフォスファターゼ等の酵素で標識した二次抗体を添加し、プレートをインキュベートし、洗浄した後、p−ニトロフェニル燐酸などの酵素基質を加えて吸光度を測定することで抗原結合活性を評価することができる。
本発明抗体は細胞障害活性を有していてもよい。本発明における細胞障害活性とは、例えば補体依存性細胞障害(complement−dependent cytotoxicity:CDC)活性、抗体依存性細胞介在性細胞障害(antibody−dependent cell−mediated cytotoxicity:ADCC)活性などを挙げることができる。本発明において、CDC活性とは補体系による細胞障害活性を意味し、ADCC活性とは標的細胞の細胞表面抗原に特異的抗体が付着した際、そのFc部分にFcγ受容体保有細胞(免疫細胞等)がFcγ受容体を介して結合し、標的細胞に障害を与える活性を意味する。
本発明抗体がADCC活性を有するか否か、又はCDC活性を有するか否かは公知の方法により測定することができる(例えば、Current protocols in Immunology,Chapter7.Immunologic studies in humans,Editor,John E,Coligan et al.,John Wiley & Sons,Inc.,(1993)等)。
具体的には、例えば、細胞障害活性の測定は以下の方法により行うことが可能である。
・エフェクター細胞の調整
CBA/Nマウスなどから脾臓を摘出し、RPMI1640培地(GIBCO社製)中で脾臓細胞を分離する。10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone社製)を含む同培地で洗浄後、細胞濃度を5×10/mlに調製し、エフェクター細胞を調整する。
・補体溶液の調製
Baby Rabbit Complement(CEDARLANE社製)を10%FBS含有培地(GIBCO社製)にて10倍希釈し、補体溶液を調製する。
・標的細胞の調整
本発明蛋白質発現細胞(前立腺癌細胞、卵巣癌細胞、大腸癌細胞など)を0.2mCiの51Cr−sodium chromate(Amersham Pharmacia Biotech社製)とともに、10%FBS含有DMEM培地中で37℃にて1時間培養することにより放射性標識する。放射性標識後、細胞を10%FBS含有RPMI1640培地にて3回洗浄し、細胞濃度を2×10/mlに調製して、標的細胞を調整する。
・ADCC活性の測定
96ウェルU底プレート(Beckton Dickinson社製)に、標的細胞と、本発明抗体を50μlずつ加え、氷上にて15分間反応させる。その後、エフェクター細胞100μlを加え、炭酸ガスインキュベーター内で4時間培養する。抗体の終濃度は0または10μg/mlとする。培養後、100μlの上清を回収し、ガンマカウンター(COBRAIIAUTO−GMMA、MODEL D5005、Packard Instrument Company社製)で放射活性を測定する。細胞障害活性(%)は(A−C)/(B−C)×100により求めることができる。Aは各試料における放射活性(cpm)、Bは1%NP−40(半井社製)を加えた試料における放射活性(cpm)、Cは標的細胞のみを含む試料の放射活性(cpm)を示す。
・CDC活性の測定
96ウェル平底プレート(Becton Dickinson社製)に、標的細胞と、本発明抗体を50μlずつ加え、氷上にて15分間反応させる。その後、補体溶液100μlを加え、炭酸ガスインキュベーター内で4時間培養する。抗体の終濃度は0または3μg/mlとする。培養後、100μlの上清を回収し、ガンマカウンターで放射活性を測定する。細胞障害活性はADCC活性の測定と同様にして求めることができる。
[本発明抗癌剤]
本発明の抗癌剤(癌治療剤)の有効投与量は、一回につき体重1kgあたり0.001mgから1000mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり0.01〜100000mg/bodyの投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明の治療剤はこれらの投与量に制限されるものではない。また、本発明の治療剤の投与時期としては、疾患の臨床症状が生ずる前後を問わず投与することができる。本発明の治療剤は、常法にしたがって製剤化することができ(Remington’s Pharmaceutical Science,latest edition,Mark Publishing Company,Easton,米国)、医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。このような担体および医薬添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤等が挙げられる。実際の添加物は、本発明治療剤の剤型に応じて上記の中から単独で又は適宜組み合わせて選ばれるが、もちろんこれらに限定するものではない。例えば、注射用製剤として使用する場合には、溶剤、例えば生理食塩水、緩衝液、ブドウ糖溶液等に溶解し、これに吸着防止剤、例えばTween80、Tween20、ゼラチン、ヒト血清アルブミン等を加えたものを使用することができる。あるいは、使用前に溶解再構成する剤形とするために凍結乾燥したものであってもよく、凍結乾燥のための賦形剤としては、例えば、マンニトール、ブドウ糖等の糖アルコールや糖類を使用することができる。本発明の治療剤は通常非経口投与経路で、例えば注射剤(皮下注、静注、筋注、腹腔内注など)、経皮、経粘膜、経鼻、経肺などで投与されるが、経口投与も可能である。
[本発明蛋白質又はその部分ペプチドに結合する物質のスクリーニング方法]
本発明の蛋白質は、これに結合する物質のスクリーニングに有用である。すなわち、本発明の蛋白質と、これに結合する化合物を含むと予想される被験試料とを接触せしめ、本発明の蛋白質と被験試料との結合活性を検出し、本発明の蛋白質に結合する活性を有する化合物を選択する、ことを含む本発明の蛋白質に結合する化合物をスクリーニングする方法において使用される。
スクリーニングに用いられる本発明の蛋白質は組換え蛋白質であっても、天然由来の蛋白質であってもよい。また部分ペプチドであってもよい。被験試料としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、精製若しくは粗精製蛋白質、ペプチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物、天然化合物などが挙げられる。被験試料を接触させる本発明の蛋白質は、例えば、精製した蛋白質として、可溶型蛋白質として、担体に結合させた形態として、他の蛋白質との融合蛋白質として、細胞膜上に発現させた形態として、また、膜画分として被験試料に接触させることができる。本発明の蛋白質を用いて、例えば該蛋白質に結合する蛋白質(リガンド等)をスクリーニングする方法としては当業者に公知の多くの方法を用いることが可能である。このようなスクリーニング方法としては、例えば、免疫沈降法(Harlow,E.and Lane,D.:Antibodies,pp.511−552,Cold Spring Harbor Laboratory publications,New York(1988))、ウエストウエスタンブロッティング法(Skolnik,E.Y.et al.,Cell(1991)65,83−90)、細胞を用いた2−ハイブリッドシステム(Fields,S.,and Sternglanz,R.,Trend.Genet.(1994)10,286−292、Dalton S,and Treisman R.,(1992)Characterization of SAP−1,a protein recruited by serum response factor to the c−fos serum response element.Cell,68,597−612、「MATCHMAKER Two−Hybrid System」「Mammalian MATCHMAKER Two−Hybrid Assay Kit」「MATCHMAKER One−Hybrid System」(いずれもClontech社製)、「HybriZAP Two−Hybrid Vector System」(Stratagene社製))、アフィニティクロマトグラフィーを利用した方法、表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを用いた方法、などが挙げられる。
また、蛋白質に限らず、本発明の蛋白質に結合する化合物を単離する方法としては、例えば、固定した本発明の蛋白質に、合成化合物、天然物バンク、もしくはランダムファージペプチドディスプレイライブラリーなどを作用させ、本発明の蛋白質に結合する分子をスクリーニングする方法や、コンビナトリアルケミストリー技術によるハイスループットを用いたスクリーニング方法(Wrighton NC;Farrell FX;Chang R;Kashyap AK;Barbone FP;Mulcahy LS;Johnson DL;Barrett RW;Jolliffe LK;Dower WJ.,Small peptides as potent mimetics of the protein hormone erythropoietin,Science(UNITED STATES)Jul 26 1996,273 p458−464、Verdine GL.,The combinatorial chemistly of nature.Nature(ENGLAND)Nov 7 1996,384 p11−13、Hogan JC Jr.,Directed combinatorial chemistry.Nature(ENGLAND)Nov 7 1996,384 p17−17)などが当業者に公知である。
本発明のスクリーニング方法により単離され得る化合物は、本発明の蛋白質とリガンドとの結合を阻害するための物質となり得る為、抗癌剤への応用が考えられる。すなわち、本発明のスクリーニング方法により単離された化合物と薬理学上許容される担体とを混ぜ合わせて抗癌剤を製造することも可能である。
[その他]
本発明蛋白質又はその部分ポリペプチドをコードするDNAに実質的に相補的な塩基配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド(DNA)としては、当該DNAの塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのアンチセンスDNAであってもよい。実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明DNAに相補的な塩基配列の全塩基配列または部分塩基配列と好ましくは約90以上、より好ましくは約95%以上、最も好ましくは100%の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。又、これらアンチセンスDNAと同様の作用を有する核酸配列(RNAまたはDNAの修飾体)も本発明でいうアンチセンスDNAに含まれる。これらのアンチセンスDNAは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
本発明DNA及び該DNAを含む遺伝子をプローブとして使用することにより、本発明ポリペプチド又はその部分ペプチドをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(Genomics,第5巻,874〜879頁(1989年)、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。
更に、本発明DNA又は遺伝子に異常があったり、欠損している場合あるいは発現量が減少している場合、生体内において正常な機能を発揮できない患者に対しては、公知手段に従って(1)レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターをベヒクルとして使用する遺伝子治療によって、本発明DNA又は遺伝子を該患者体内に導入し、発現させるか、又は(2)本発明の蛋白質等を該患者に注入すること等によって、該患者において本発明の蛋白質等の機能を発揮させることができるものと考えられる。
本発明DNA又は遺伝子を、該DNAを単独、又は、摂取促進のための補助剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与することも可能である。
又、本発明のDNA若しくは遺伝子又はそれらの一部の塩基配列に基づき作成した合成DNAプライマーを使用し、ヒトの血液又は組織から抽出した染色体DNAを用いてPCRを行い、その産物の塩基配列を決定することにより、本発明のDNA又は遺伝子中にある個体によって異なる一塩基の変異、即ち、cSNPsを見出すことが出来る。これにより、個体の体質等が予測され、各自に適した医薬の開発等が可能となる。
又、クロスハイブリダイゼーションにより、マウス等のモデル生物における本発明のDNA又は遺伝子に対するオルソログ(ホモログ、カウンターパート)遺伝子を単離し、例えば、これら遺伝子をノックアウトすることによってヒトの疾患モデル動物を作成し、ヒトの病因となる遺伝子を探索・同定することも可能である。
尚、本明細書および表において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
実施例
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。なお、実施例における各種遺伝子操作は、上記のCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M.Ausubel et al.,1987)に記載されている方法に従った。
(1)ヒト成人全脳、ヒト扁桃、ヒト成人海馬及びヒト胎児全脳由来cDNAライブラリーの構築
NotI部位を有するオリゴヌクレオチド(GACTAGTTCTAGATCGCGAGCGGCCGCCC(T)15)(インビトロジェン社)をプライマーとして、ヒト成人全脳、ヒト扁桃、ヒト成人海馬及びヒト胎児全脳由来mRNA(クローンテック社)を鋳型にSuperScriptII逆転写酵素キット(インビトロジェン社)で2本鎖cDNAを合成した。SalI部位を有するアダプター(インビトロジェン社)をcDNAとライゲーションした。その後、NotI消化し、1%濃度の低融解アガロース電気泳動により、3kb以上のDNA断片を精製した。
精製cDNA断片を、SalI−NotI制限酵素処理したpBluescript IISK+プラスミドとライゲーションした。大腸菌ElectroMax DH10B株(インビトロジェン社)にエレクトロポレーション法によりこの組換えプラスミドを導入した。
(2)スクリーニング(その1)
次いで、こうして構築したcDNAライブラリーからランダムにクローンをピックアップし、メンブランにスポッティングした。次に、これまでに本発明者等によって既に全長の解析が行われている約1,300個のクローンの塩基配列に基づき作成したオリゴDNA(各21塩基)の混合物の各3’末端をターミナルトランスフェラーゼでDIGラベルし、これらをプルーブとして使用してドットハイブリダイゼーション(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M.Ausubel et al.,1987))により、重複クローン(繰り返し出てくるクローン)を除いた。
次に、インビトロでの転写翻訳(プロメガ社 TNT T7 Quick Coupled Transcription/Translation System cat.no.L1107)を行い、50kDa以上の産物が認められるクローンを選択した。
次に、選択したクローンの末端塩基配列を決定し、得られた配列をクエリーとして相同検索プログラムBLASTN 2.2.1(Altschul,Stephen F.,Thomas L.Madden,Alejandro A.Schaffer,Jinghui Zhang,Zheng Zhang,Webb Miller,and David J.Lipman(1997),″Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs″,Nucleic Acids Res.25:3389−3402)を用いて、nr(All GenBank+EMBL+DDBJ+PDB sequences(but no EST,STS,GSS,or phase 0,1 or 2HTGS sequences))データベースに対して相同検索を行った。その結果、相同遺伝子が存在しなかったもの、即ち、新規遺伝子であるものについて全塩基配列を決定した。
スクリーニング(その2)
cDNAの5’および3’の末端配列を、相同検索プログラムBLASTN2.2.1を用いて、ヒトのゲノム配列(ftp://ncbi.nlm.nih.gov/genomes/H_sapiens/)に対応させた。
次に、それらが挟むゲノム領域から、Genscanプログラム(Burge,C.and Karlin,S.1997,Prediction of complete gene structures in human genomic DNA,J Mol.Biol.,268,78−94、ゲノムから遺伝子を予測するコンピューターソフト)を用いて、コードされる遺伝子を抜き出した。これをクエリーとして、相同検索プログラムBLASTN2.1.3を用いて、mergedb(かずさDNA研究所で決定したヒトのcDNAの配列とGenBankのhomosapiensデータベースからESTとゲノムを除いたものを重複なく混ぜ合わせた、かずさDNA研究所で独自に作成したDNA配列データベース)に対応させ、新規の長鎖(Genscan予想cdsが1200bp以上)遺伝子が確認された場合には、5’および3’の末端配列決定をおこなったcDNAの全長解析をおこなった。
配列決定には、PEアプライドバイオシステム社製のDNAシークエンサー(ABIPRISM377)と同社製反応キットを使用した。大部分の配列はショットガンクローンをダイターミネーター法を用いて決定した。一部の塩基配列については、決定した塩基配列を元にしてオリゴヌクレオチドを合成し、プライマーウォーキング法で決定した。
このようにして新規DNA又は遺伝子のスクリーニングを行なった。その結果、クローンpj01304を見出した。更に、上記の小原らの方法で作成した脳のcDNAライブリーから単離した約10万個のクローンの5’及び3’の末端配列と約2000個の全長クローン配列をアッセンブルし、同じ遺伝子由来のcDNAクローンのグループ化を行った。
その結果、最終的に、クローンpj01304を含むグループの中に、クローンpj01304の上流領域を含む、クローンhj05443を見い出した。
次に、クローンhj05443からクローンpj01304の上流領域を切り出し、pj01304に繋ぎ合わせることにより、最終的に、配列表の配列番号:1又は配列番号:2に示された本発明の新規DNA又は遺伝子を含むクローンpj01304s1(KIAA1742)を得た。クローンpj01304s1の1bpから820bpは、クローンhj05443に由来し、クローンpj01304s1の821bpから5035bpはクローンpj01304に由来する。
(3)本発明遺伝子にコードされる蛋白質の発現
インビトロでの転写翻訳系(プロメガ社,TNT T7 Quick Coupled Transcioption/Translation System cat.no.L1107)を用いて、cDNAクローンpj01304からの遺伝子産物を発現させた。
35S標識メチオニンを取り込ませた産物を12.5%のSDS−PAGEで泳動した。ゲルを乾燥させ、BAS2000(Fujifilm)のシステムでオートラジオグラフィーをおこない、クローンpj01304の遺伝子産物を検出した。
その結果、135kDaのサイズマーカーに対応する位置に、クローンpj01304の転写翻訳産物と思われるバンドを確認した。
Pj01304がコードするタンパク質は、最初のメチオニンから数えると1137アミノ酸残基からなり、分子量は、約124kDaと予想され、実験結果によく一致するものであった。
(4)本発明DNAの相同性検索
次に、こうして得られた全塩基配列に基づき、クローンのアミノ酸配列を既知配列ライブラリーnrに対して解析プログラムBLASTP 2.2.1(Altschul,Stephen F.,Thomas L.Madden,Alejandro A.Schaffer,Jinghui Zhang,Zheng Zhang,Webb Miller,and David J.Lipman(1997),″Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs″,Nucleic Acids Res.25:3389−3402)を用いて検索したところ、以下の表1に示した遺伝子と相同性を示すことが明らかになった。表1には、該相同遺伝子に関する情報、即ち、その名称、データベースID、生物種、蛋白質長、及び記載文献が挙げられている。尚、表1中の各項目の意味は以下の通りである。
「相同領域 クローン」クローンの相同領域の起点及び終点
「相同領域 相同遺伝子」相同遺伝子の相同領域の起点及び終点
「Score」この値が高ければ高いほど信頼度が高い
「E−value」この値が0に近ければ近いほど信頼度が高い
「相同性」相同領域のアミノ酸残基の一致の割合
「相同範囲率」相同遺伝子中の相同領域の割合
Figure 2002052008
(5)各種ドメインの検索
本発明DNA(KIAA1742遺伝子)は1245個のアミノ酸からなる蛋白質をコードする5035bpからなる遺伝子である。HMMER2.1.1(S.R.Eddy.Profile hidden Markov models.Bioinformatics 14:755−763,1998.)によるモチーフ検索の結果、アミノ酸145番−954番の領城にhedgehog−smoothendのシグナルに関与するPatched familyのモチーフが存在した。
又、Sosui(Bioinformatics(1998)May;14(4):378−379.)による検索の結果、以下の表2に示されるように、12個の膜貫通領域の存在が予測された。アミノ酸39番目から328番目の領域(1番目と2番目の膜貫通領域の間)、560番目から802番目の領域(7番目と8番目の膜貫通領域の間)の2個所が大きなループを形成していることが予想される。この構造は図1にあるようなPatched(Cell 59,751(1989);Cancer Letter(2001)173,1−7)の構造と非常に類似している。
Figure 2002052008
表2の簡単な説明
Sosuiで予測された12個の膜貫通領域のアミノ酸配列と位置を示す。
No.は何番目の膜貫通領域であるかを示す。N terminalは膜貫通領域のN末端のアミノ酸の番号を、C terminalは膜貫通領域のC末端のアミノ酸の配列を示す。Lengthは膜貫通領域の長さを示す。
PatchedはDrosophilaで見つかった12回膜貫通蛋白質であり、Smoothendのシグナルを遮断するtumor suppressorとして働く。Patchedは2つの大きな親水性の細胞外のループを持っており、Smoothendと直接あるいは間接に相互作用してシグナルを伝えるが、Hedgehogの結合により、Smoothendのシグナルの遮断が解除されることがbasal cell carcinomaの原因ではないかと想定されている。PatchedはBMPなどTGFβやWntファミリーのメンバーの転写を調節していることが知られている。(EMBO J(1998)17,3505−3511),Cancer Letter(2001)173,1−7)。Hptc(human gene homologue toptc)は皮膚癌に関与していることが報告されている(Am J Pathol(2001)158,381−385,PNAS(1999)96,5117−5122)。
同じPatchedファミリーに属する本発明蛋白質についてはPatchedファミリーのDispatchedとアミノ酸配列の同一性31%であり、Patchedと同じく12回膜貫通型の膜蛋白質である。遺伝子の発現分布から本発明蛋白質は前立腺がんや卵巣がんにおいて発現の上昇が見られることから、Patchedのような癌抑制遺伝子ではなく癌遺伝子として機能していることが類推される。2つの大きな細胞外ループが存在しており、Patchedと同じようにこのループを介してSmoothendまたは別の蛋白質と相互作用して癌化のシグナルを伝達していることが考えられる。あるいは、本発明蛋白質はHedgehogとPatchedの結合に対して競合的には働き、癌化のシグナルを伝達している可能性もある。
以上の知見から、本発明DNAの生物学的活性(機能)としては、癌に関連した遺伝子であり、本発明蛋白質へのリガンドの結合を阻害すること等により癌を抑制することが可能であるものと考えられる。
従って、本発明抗体は本発明蛋白質の検出等だけでなく、前立腺癌、及び卵巣癌などの癌の治療薬又は予防薬として用いることもできる。
(6)リアルタイムPCRによる転写物の解析
Figure 2002052008
物の量を各種組織のcDNAを用いて解析した。GAPDH遺伝子の発現量の解析には、Pre−Developed TaqMan PCR Assay Kit(ABI社#4310884E)を使用した。PCR反応の組成は、1.25μl 20X Control Mix(GAPDH),DEPC−treated water(Ambion社#9920)6.25μl,TaqMan Universal PCR Master Mix(ABI社#4304437)12.5μlを混合したMaster Mixに対してクロンテック社のMTC Panel cDNA5μlを加えて25μlとして、ABI社のMicroAmp Optical 96−Well Reaction Plate(ABI社#N801−0560)上でABI社ABI
Figure 2002052008
秒−60度1分を40サイクルの遺伝子増幅を行なった。MTC Panel cDNAはクロンテック社のHuman MTCTM Panel I(K1420−1)、Human MTCTM Panel II(K1421−1)、Human Tumor MTCTM Panel I(K1422−1)を使用した。
本発明遺伝子の発現量については、プライマー1742−3538(5’−CAGCACTCACACGTCAGGCT−3’)、プライマー1742−3658(5’−AGAAATACCTTCGGGCTCCAG−3’)を使って遺伝子増幅を行なった。10μMのプライマー1742−3538 0.5μl、10μMのプライマー1742−3658 0.5μl、6.5μlのDEPC−treated water、12.5μlのSYBR Green PCR Master Mix(ABI社#4309155)を混合し20μlとして、これに対してクロンテック社のMTC Panel cDNA1μl及びDEPC−treated water(処理水)4μlを加えて25μlとした。ABI社のMicro Amp Optical 96−Well Reaction
Figure 2002052008
を用いて50度2分、95度10分、95度20秒−59度30秒−72度30秒を40サイクルの遺伝子増幅を行なった。GAPDH遺伝子の発現量をスタンダードコントロールとしておいたMTC Panel添付のcontrol cDNAを標準曲線を引き、それをもとにして相対値を算出した。本発明遺伝子がpBluescriptにクローニングされているベクターを40pg/μlに調製し、5倍ずつ希釈した溶液を用意してリファレンスとして使用した。本発明遺伝子の発現量をGAPDH遺伝子の発量で割って得られた相対値で、各組織での発現量を比較した結果を以下の表3に示す。
表3において、左側は組織の名前を示し、右側の数値は各々の組織におけるGAPDH遺伝子の発現量を使ってノーマライズしたKIAA1742遺伝子の発現量を示している。前立腺(prostate)の値を1として他の組織での発現量を相対値として示した。
この表3から判るように、前立腺癌(prostatic adenocarcinoma)、卵巣癌(ovarian carcinoma)において高値を示した。
Figure 2002052008
(7)染色体位置
更に、RT−PCR Coupled ELISAを用いて、本発明遺伝子が小脳で発現されていることを確認した。又、本発明のクローンのDNA配列を、相同検索プログラムBLASTN 2.2.1を用いてヒトゲノムをコードするクローンのライブラリー(ftp://ncbi.nlm.nih.gov/genomes/H_sapiens/)に対応させた。その結果、本発明遺伝子は第15染色体に位置することが判明した。
(8)pj01304s1(KIAA1742)遺伝子ファミリーの取得
pj01304s1遺伝子のDNA配列をBLSTN2.2.1を用いて、ヒトゲノム配列(ftp://ncbi.nlm.nih.gov/genomes/H_sapiens/)に対して相同検索を行ったところ、特定のゲノム断片(Genbank ID NT_010194.6)にヒットした。
このゲノム断片から、Genscanプログラム(Burge,C.and Karlin,S.1997,Prediction of complete gene structures in human genomic DNA,J Mol.Biol.,268,78−94、ゲノムから遺伝子を予測するコンピューターソフト)を用いて、pj01304s1遺伝子に高い相同性(DNAレベルで100%、タンパク質レベルで100%、GenWorks(インテリジェネティクス社)でアラインメントを持つpj01304GS遺伝子を見い出した。その、塩基配列及びアミノ酸配列を配列番号2として示す。pj01304GS遺伝子は1492個のアミノ酸からなる蛋白質をコードする4479bpからなる遺伝子である。
更に、pj01304s1遺伝子及びpj01304GS遺伝子にコードされるアミノ酸のアライメントを以下の表4に示す。表4から明らかなように、pj01304GS遺伝子にコードされる第248〜1492番目のアミノ酸配列は、pj01304s1遺伝子にコードされる第1〜1245番目のアミノ酸配列と同一であり、pj01304GS遺伝子は、pj01304s1遺伝子の更に5’上流に第1〜247番目のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むものであることが判る。従って、pj01304GS遺伝子とpj01304s1遺伝子は、同一のゲノムから、選択的スプライシングの結果得られたものであると考えられる。又、pj01304GS遺伝子も、pj01304s1遺伝子と同じドメインを有しているために、同様な機能を示すものと考えられる。従って、pj01304GS遺伝子及びそれにコードされる蛋白質も、夫々、本発明DNA及び本発明蛋白質に包含される。
尚、同業者であれば、RT−PCRなどをもちいて、この遺伝子を得ることは容易である。具体的には、上流プライマー5’−ATGGGAAGAAAGACCCAACC−3’(配列番号2の1bpから20bp)と下流プライマー5’−CAAGTCCTGGCAGGGAACTG−3’(配列番号2の588bpから607bp)を用いて、ヒトの成人の小脳のmRNAから、ランダム配列プライマーを用いて逆転写したcDNAを鋳型として、PCRを行う。得られたDNAをpj01304s1にLic方等(Chuan Li et al,Ligation independent cloning irrespective of restriction site compatibility,Nucleic Acids Res.1997 25;20(4165−4166)を用いてつなぐことにより、pj01304GSタンパク質をコードするクローンを得る。
Figure 2002052008
Figure 2002052008
産業上の利用分野
以上の知見から、本発明DNAは癌に関連した遺伝子であり、本発明蛋白質へのリガンドの結合を阻害すること等により癌を抑制することが可能であると考えられる。
従って、本発明抗体は本発明蛋白質の検出等だけでなく、前立腺癌、卵巣癌などの癌の治療薬又は予防薬として用いることもできる。
【配列表】
Figure 2002052008
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【図面の簡単な説明】
本発明蛋白質(pj01304s1)及び(pj01304GS)とDrosophilaのPatched蛋白質構造を模式的に示した。膜貫通領域、細胞外ドメインは、それぞれ塗りつぶし、薄い塗りつぶしで示されている。図1から、大きな細胞外ドメインが2つ存在することがわかる。

Claims (14)

  1. 以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNA:
    (a)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列から成るポリペプチド、
    (b)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、(a)のポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド。
  2. 以下の(a)又は(b)のDNA:
    (a)配列番号:1又は配列番号:2で示される塩基配列において、配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNA、
    (b)(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、(a)のアミノ酸配列から成るポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有する蛋白質をコードするDNA。
  3. 請求項1又は2記載のDNAを含む遺伝子。
  4. 以下の(a)又は(b)のポリペプチドを含む蛋白質:
    (a)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列から成るポリペプチド、
    (b)配列番号:1又は配列番号:2で示されるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、(a)のポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有するポリペプチド。
  5. 請求項1又は2記載のDNAを含む遺伝子を発現させることにより得られる組換え蛋白質。
  6. 請求項4又は5に記載の蛋白質に結合する抗体。
  7. モノクローナル抗体である、請求項6記載の上記抗体。
  8. ヒト型化抗体である、請求項7記載の抗体。
  9. 請求項6乃至8のいずれか一項に記載の抗体を含む抗癌剤。
  10. 前立腺癌である、請求項9記載の抗癌剤。
  11. 卵巣癌である、請求項9記載の抗癌剤。
  12. 請求項4若しくは5に記載の蛋白質又はその部分ペプチドに結合する物質のスクリーニング方法であって、
    (a)該蛋白質又はその部分ペプチドに被験試料を接触させる工程、
    (b)該蛋白質又はその部分ペプチドと被験試料との結合活性を検出する工程、及び
    (c)該蛋白質又はその部分ペプチドに結合する活性を有する化合物を選択する工程、を含む前記方法。
  13. 請求項1又は2記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、少なくとも15塩基から成るポリヌクレオチド。
  14. 請求項13記載のポリヌクレオチドをプローブとして使用する癌の検出方法であって、
    (a)該ポリヌクレオチドに被験試料を接触させる工程、及び
    (b)該ポリヌクレオチドと被験試料とのハイブリダイズ活性を検出する工程、を含む前記方法。
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