JPWO2002025670A1 - 核燃料輸送容器 - Google Patents
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Abstract
本発明の核燃料輸送容器は、炭素鋼(またはステンレス鋼)によって構成される第1筒状体及び第2筒状体を有する。第1筒状体は、内部に収納される複数の使用済燃料集合体を取囲む。第2筒状体は、第1筒状体を取囲む。これら筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料(例えば、W,Gd,Mn)によって構成された第1中性子遮へい体は、第1筒状体と第2筒状体との間に設けられる。水素を含む第2中性子遮へい体は、外側筒状体の内側で第2筒状体の外側で環状に配置される。第1中性子遮へい体は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する遮へい能力を向上させ、核燃料輸送容器の重量を低減する。
Description
技術分野
本発明は、核燃料輸送容器に係り、特に、原子力発電所で発生した使用済核燃料集合体を輸送する核燃料輸送容器に関する。
背景技術
原子力発電所で発生した使用済核燃料集合体は、(1)放射線のしゃへいの確保、(2)未臨界の確保、(3)密封の確保、(4)構造強度の確保ができる専用の核燃料輸送容器(または核燃料輸送兼貯蔵容器)内に装荷され、原子力発電所から貯蔵場所まで輸送される。
従来、使用済核燃料用の核燃料輸送容器は、核燃料輸送工学(財電力中央研究所バックエンド研究会編、福田佐登志・有富正憲監修、P76)に記載のように、高エネルギー中性子の遮へい材として炭素鋼またはステンレス鋼を用いている。この高エネルギー中性子の遮へい材は、核燃料輸送容器の容器本体の構造材としても用いられる。従来の核燃料輸送容器は、炭素鋼(またはステンレス鋼)製の外筒、外筒内に設置された、炭素鋼(またはステンレス鋼)製の内筒、及び外筒と内筒との間に配置された中性子遮へい体(水素またはボロンを含む材料で構成)を備えている。更に、その核燃料輸送容器は、内筒の内側に使用済燃料集合体を収納する複数の空間を形成するバスケットを備える。バスケット内に装荷された使用済燃料集合体から放射される中性子は、内筒で遮へいされた後に、中性子遮へい体により減速,遮へいされる。
核燃料輸送容器に用いられる中性子遮へい体は、一般的に有機物で構成されているため、安全解析評価上、特別の試験条件下の試験評価(火災時の評価)では燃えて焼失する関係上、存在しないものとして遮へい解析を実施する。このとき、核燃料輸送容器の表面(外筒の表面)から1m離れた場所での線量当量率は、10mSv/hrを下回る必要があることが日本の法律で規定されている。線量当量率のその値は、IAEAの輸送基準値であって日本以外の各国でも守られており、制限線量当量率と呼ばれる。現在、日本において輸送の対象となっているBWR用の使用済燃料集合体は、8行8列の燃料棒配列、及び小径の水ロッドを有する燃料集合体(ステップI燃料集合体という)である。小径の水ロッドの直径は燃料棒の直径よりも大きいが燃料棒の配列ピッチよりも小さい。ステップI燃料集合体は原子炉に装荷される前の状態で約33GWd/tの燃焼度が得られる、8行8列の燃料棒配列を有する燃料集合体(ステップI燃料集合体という)である。このステップI燃料集合体は、従来の核燃料輸送容器において制限線量当量率(10mSv/hr)以下を達成する。
現在、BWRを用いた原子力発電所で使用されている、太径の水ロッドを設け燃料棒を8行8列に配置した高燃焼度(約39GWd/t)の燃料集合体(ステップII燃料集合体という)、その原子力発電所で使用が開始されつつある燃料棒を9行9列に配置した更に高燃焼度(約45GWd/t)の燃料集合体、及び使用が予定されているMOX燃料集合体は、ステップI燃料集合体に比べ中性子発生量が格段に多くなる。これらの高燃焼度燃料集合体及びMOX燃料集合体を輸送する核燃料輸送容器は、上記の制限線量当量率を満足する必要があるため、炭素鋼(またはステンレス鋼)製の内筒の厚さを非常に厚くしなければならない。内筒の厚みの増加は、核燃料輸送容器重量の増加につながり、ひいては核燃料輸送容器の制限重量を満足させるために内部に収納できる使用済核燃料集合体の収納体数の減少につながる。これは、核燃料輸送容器1基当たりの収納体数が減少し、使用済燃料集合体の輸送効率が低下する。
発明の開示
本発明の目的は、使用済燃料集合体の輸送効率を向上できる核燃料輸送容器を提供することにある。
本発明の特徴は、内部に収納される複数の使用済燃料集合体を取囲んで炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された筒状体に隣接して設けられ、かつその筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体を備えたことにある。
筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体は、この中性子遮へい体を炭素鋼及びステンレス鋼にて構成した場合に比べて、厚みを薄くできる。このため、核燃料輸送容器の重量を低減でき、核燃料輸送容器内に収納できる使用済燃料集合体が増加できる。これは、核燃料輸送容器による使用済燃料集合体の輸送効率を向上できる。
本発明の第1実施形態の特徴は、筒状体に隣接して設けられた上記中性子遮へい体が、水素を含む他の中性子遮へい体よりも内側に配置されていることにある。前者の中性子遮へい体が後者の中性子遮へい体よりも内側に位置しているため、核燃料輸送容器の重量が軽減される。これは、前者の中性子遮へい体が半径方向において内側に位置するほど、前者の中性子遮へい体の重量が小さくなるためである。
本発明の第2実施態様の特徴は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する、筒状体に隣接して設けられた上記中性子遮へい体の非弾性散乱断面積が、そのエネルギーの中性子に対する、その筒状体の非弾性散乱断面積よりも大きいことにある。中性子遮へい体は105〜107eVのエネルギーの中性子に対する遮へい能力が向上する。このため、中性子遮へい体の半径方向における厚みが薄くなり、核燃料輸送容器内に収納できる使用済燃料集合体の体数が増加する。その中性子遮へい体は、好ましくはタングステン,ガドリニウム及びマンガンのいずれかで構成される。
本発明の他の特徴は、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された第1筒状体と、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成されて第1筒状体を取囲む第2筒状体と、第1筒状体と第2筒状体との間に設けられ、筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体とを備えたことにある。この他の特徴によれば、前述の本発明の特徴によって得られる効果を得ることができる。更に、その他の特徴によれば、第2筒状体よりも内側に位置しているため、万が一の核燃料輸送容器の落下事故においても、筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体が外部に飛散して核燃料輸送容器の遮へい能力が低下することを防止できる。また、その中性子遮へい体が第1筒状体よりも外側に位置するので、中性子遮へい体の重量増加が抑制され、核燃料輸送容器の重量が更に低減される。
本発明の第3実施形態の特徴は、前記第1筒状体,前記第2筒状体、及び前記第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられた前記中性子遮へい体である第1中性子遮へい体が、水素を含んで環状に配置された第2中性子遮へい体の内側に配置されたことにある。第3実施形態によれば、第1中性子遮へい体が第2中性子遮へい体の内側に配置されているので、前述の第1実施形態の特徴によって得られる効果と同じ効果を生じる。
本発明の第4実施形態の特徴は、第1筒状体の半径方向における厚みは前記第2筒状体の半径方向における厚みよりも薄くすることにある。第1筒状体の半径方向における厚みの減少は、第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられた中性子遮へい体が配置される位置を、核燃料輸送容器の軸心により近づけることになる。このため、その中性子遮へい体の重量が低減され、核燃料輸送容器の重量が更に低減される。
本発明の更に他の特徴は、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された第1金属部、及びこの第1金属部の内部に設けられ、第1金属部がよりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された第3中性子遮へい体を有し、容器本体に取付けられる第1蓋と、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された第2金属部、及びこの第2金属部の内部に設けられ、水素を含む第4中性子遮へい体を有し、第1蓋を覆って容器本体に取付けられる第2蓋とを備えたことにある。容器本体は、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成され、内部に収納される複数の使用済燃料集合体を取囲む第1筒状体、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成されて前記第1筒状体を取囲む第2筒状体、前記第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられ、前記筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された第1中性子遮へい体、前記第2筒状体を取囲んで環状に配置された、水素を含む第2中性子遮へい体、及び前記環状に配置された第2中性子遮へい体の外側を取囲む外側筒状体を有する。
本発明のこの他の特徴によれば、一次蓋及び二次蓋によって二重に容器本体を密封しているため、万が一、収納している使用済燃料集合体の燃料棒被覆管が損傷しても燃料棒内の放射性物質は、核燃料輸送容器外に放出されない。一次蓋内に第3中性子遮へい体を、外側に位置する二次蓋内に第4中性子遮へい体を設けているので、一次蓋及び二次蓋はコンパクトになりそれぞれの重量が低減される。一次蓋及び二次蓋の重量低減は、核燃料輸送容器の重量低減につながる。
本発明の第5実施形態の特徴は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する、第3中性子遮へい体の非弾性散乱断面積が、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する、第1金属部の非弾性散乱断面積よりも大きいことにある。第3中性子遮へい体は105〜107eVのエネルギーの中性子に対する遮へい能力が向上する。このため、第3中性子遮へい体の軸方向における厚みが薄くなり、核燃料輸送容器の重量が低減される。その第3中性子遮へい体は、好ましくはタングステン,ガドリニウム及びマンガンのいずれかで構成される。
発明を実施するための最良の形態
発明者らは、核燃料輸送容器の中性子遮へい特性を検討した。特に、ステップII燃料集合体、ステップIII燃料集合体及びMOX燃料集合体の各々を装荷した場合における核燃料輸送容器の中性子遮へい特性を検討した。これらの検討は、解析計算に基づいて行われた。例えば、高燃焼度燃料集合体の線源スペクトルを考慮して詳細な中性子の遮へい計算を行い、特別の試験条件下の試験評価(火災時の評価)時における核燃料輸送容器の制限線量当量率を評価した。この解析,評価は、中性子スペクトルの変化と線量当量率に着目して行った。炭素鋼にて製造された内筒及び外筒を備えた核燃料輸送容器に対する計算結果を、第1図に示す。第1図において、横軸は中性子のエネルギー、左側の縦軸は核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での中性子束(相対値)、右側の縦軸は核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での線量当量率(相対値)をそれぞれ示している。第1図に示された計算結果は、核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での中性子束が1eVから107eVまで広範囲にわたって分布しているが、核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での制限線量当量率が主に105〜107eVの高速中性子に支配されていることを示している。すなわち、核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での制限線量当量率は主に105〜107eVの高速中性子によって決定されるため、このエネルギー領域の中性子を遮へいすることにより、線量当量率を非常に小さくできることが分かった。発明者らは、上記の核燃料輸送容器において、105〜107eVの高速中性子が遮へいされにくい原因を解析的に究明した。この結果、発明者らは、炭素鋼の主成分である鉄(Fe)の非弾性散乱断面積が、106〜107eVでは約1barn(第2図参照)と比較的大きいものの、106eV以下では約10−2barnに急激に小さくなることに気が付いた。この106eV以下で鉄の非弾性散乱断面積が急激に小さくなることが、従来の核燃料輸送容器で高速中性子が遮へいされにくい原因であることが明らかになった。
この結果より、発明者らは、核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での線量当量率を主に決めている105〜107eVの高速中性子を効率良く遮へいできれば、線量当量率を小さくできると考えた。そして、中性子のエネルギー105〜107eVの範囲における非弾性散乱断面積が炭素鋼またはステンレス鋼より大きい物質を核燃料輸送容器に用いれば良いとの結論に至った。この条件を満足する物質としては、タングステン(W),ガドリニウム(Gd)及びマンガン(Mn)がある。タングステン,ガドリニウム及びマンガンにおける、それぞれの中性子のエネルギーと非弾性散乱断面積を中心とした各断面積との関係を、第2図,第3図及び第4図にそれぞれ示している。これらの図から明らかであるように、タングステン,ガドリニウム及びマンガンは、中性子のエネルギー105〜107eVの範囲における非弾性散乱断面積は、1barn程度と大きくなっており、炭素鋼(またはステンレス鋼)にて遮へいできないエネルギー領域105〜107eVの中性子を遮へいできる。
核燃料輸送容器に、中性子のエネルギーが105〜107eV領域の非弾性散乱断面積が大きい材料(元素),タングステン(W),ガドリニウム(Gd),マンガン(Mn)を用いることによって、核燃料輸送容器の遮へい性能が向上する。このため、中性子の遮へいに必要な、核燃料輸送容器の厚さ(例えば炭素鋼(またはステンレス鋼)製の内筒及び外筒の少なくとも一方の厚さ)を薄くすることができ、核燃料輸送容器の直径が小さくなる。これは、核燃料輸送容器の重量が低減につながる。核燃料輸送容器の重量低減により、核燃料輸送容器一基当たりに収納できる使用済核燃料集合体の体数を増加できる。このため、使用済燃料集合体の輸送効率が向上する。
本発明の好適な一実施例である核燃料輸送容器を、第6図及び第7図を用いて以下に説明する。
本実施例の核燃料輸送容器1は、沸騰水型原子炉で発生した使用済燃料集合体を収納する。核燃料輸送容器1は、一次蓋11,二次蓋13及び容器本体15を備える。容器本体15は、バスケット3,第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6,中性子遮へい体7及び外側筒状体9を備える。第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6,中性子遮へい体7及び外側筒状体9は、同心円状に配置される。第1内側筒状体4,第2内側筒状体6及び外側筒状体9は炭素鋼製であるが、ステンレス鋼製にすることも可能である。第1内側筒状体4,第2内側筒状体6及び外側筒状体9は、それぞれ筒状の側壁部、及び側壁部につながる底部を有する容器形状となっている。中性子遮へい体5は、タングステンである。格子状に仕切られた複数の燃料収納空間を有するバスケット3が、第1内側筒状体4の内側に設けられる。バスケット3から水平方向に伸びる支持部16が第1内側筒状体4の内面に接している。第1内側筒状体4は第2内側筒状体6の内側に位置する。中性子遮へい体5は、第1内側筒状体4と第2内側筒状体6との間に配置される。すなわち、中性子遮へい体5は、第1内側筒状体4の側壁と第2内側筒状体6の側壁との間のみならず、第1内側筒状体4の底部と第2内側筒状体6の底部との間にも設けられる。外側筒状体9は第2内側筒状体6の外側に位置している。第2内側筒状体6の軸方向に伸びる複数のフィン8が、第2内側筒状体6の外面に取付けられ、外側筒状体9の内面付近まで達している。中性子遮へい体7は第2内側筒状体6と外側筒状体9との間に配置される。中性子遮へい体7は、水素を含む物質である有機物(例えばレジン)で構成される。
一次蓋11は、炭素鋼で作られている。この一次蓋11は、タングステンで構成された中性子遮へい体10を内部に有し、第8図に示すようにねじ17によって容器本体15の第1内側筒状体4に取付けられる。二次蓋13も炭素鋼で作られている。レジンで構成される中性子遮へい体12が二次蓋13の内部に設けられる。二次蓋13は第8図に示すように容器本体15の第2内側筒状体6にねじ18によって取付けられる。環状ガスケット19が一次蓋11と第1内側筒状体4との間をシールし、環状ガスケット20が二次蓋13と第2内側筒状体6との間をシールする。一次蓋11及び二次蓋13は、ステンレス鋼で作成してもよい。
沸騰水型原子炉から発生した使用済燃料集合体は、原子炉建屋内の使用済燃料貯蔵プールに貯蔵される。そこで所定期間貯蔵された使用済燃料集合体14が核燃料輸送容器1内に収納される。すなわち、一次蓋11及び二次蓋13が取外された状態で、使用済燃料集合体14がバスケット3内に収納される。バスケット3内の全ての燃料収納空間内に使用済燃料集合体が収納された後、一次蓋11及び二次蓋13によって核燃料輸送容器1を密封する。使用済燃料集合体14を収納した核燃料輸送容器1は、原子力発電所から核燃料再処理施設に輸送される。核燃料再処理施設内で核燃料輸送容器1の二次蓋13及び一次蓋11が順次はずされる。バスケット3内の使用済燃料集合体14は、核燃料輸送容器1から取出されて核燃料再処理施設内の使用済燃料貯蔵プール内に移送され、ここで再処理されるまで貯蔵される。バスケット3は、ボロン含有ステンレス鋼で構成される。バスケット3はボロンを含んでいるので、隣接して収納された使用済燃料集合体内の核燃料物質の臨界を防止できる。核燃料輸送容器1にて使用済燃料集合体14の輸送中において、使用済燃料集合体14において発生する熱は、バスケット3からの輻射、及びバスケット3及び支持部16を介する伝熱によって、第1内側筒状体4に伝えられる。この熱は、第1内側筒状体4から、中性子遮へい体5,第2内側筒状体6、及びフィン8を介して外側筒状体9まで伝えられ、外側筒状体9から外部の空気に放出される。中性子遮へい体7はレジンで構成されるため熱伝導率が低く、第2内側筒状体6から外側筒状体9への熱の移動がフィン8の設置によって促進される。
通常の状態では、使用済核燃料集合体14から放出された中性子は、核燃料輸送容器1の半径方向においては、バスケット3のプレート、第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6,中性子遮へい体7及び外側筒状体9によって遮へいされる。特に、第1内側筒状体4及び第2内側筒状体6は、使用済核燃料集合体14から放出された高エネルギー中性子を遮へいする。中性子遮へい体5は、金属のタングステンで構成されており、前述したように、105〜107eVのエネルギーを有する高エネルギー中性子に対する非弾性散乱断面積が大きい。このため、中性子遮へい体5は、第1内側筒状体4及び第2内側筒状体6において遮へい能力が低下する、105〜107eVの高エネルギー中性子を効率良く遮へいする。中性子遮へい体7は、第2内側筒状体6を透過した中性子を減速させて遮へいする。核燃料輸送容器1の底部(第6図において下側)においても、中性子は、バスケット3の底板,第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6,中性子遮へい体7及び外側筒状体9によって遮へいされる。なお、核燃料輸送容器1の蓋の部分でも、中性子は、一次蓋11の金属部(炭素鋼)、中性子遮へい体10、二次蓋13の金属部(炭素鋼)及び中性子遮へい体12によって遮へいされる。中性子遮へい体10は、中性子遮へい体5と同様に、105〜107eVの高エネルギー中性子を効率良く遮へいする。中性子遮へい体10は、一次蓋11の金属部において遮へい能力が低下する、105〜107eVの高エネルギー中性子を遮へいする。
次に、火災時における核燃料輸送容器1の放射線遮へい能力について説明する。火災時においては、有機物で構成されている中性子遮へい体7及び12は焼失する。従って、使用済核燃料集合体14から放出された中性子は、核燃料輸送容器1の半径方向及び底部においては、バスケット3,第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6及び外側筒状体9によって遮へいされる。また、核燃料輸送容器1の蓋の部分においては、中性子は、一次蓋11の金属部,中性子遮へい体10及び二次蓋13の金属部によって遮へいされる。
火災によって中性子遮へい体7及び12が焼失した際における、▲1▼本実施例における半径方向における中性子遮へい能力と、▲2▼中性子遮へい体5の替りに炭素鋼を用いた場合における核燃料輸送容器の半径方向における中性子の遮へい能力を、それぞれ検討した。ケース▲2▼(炭素鋼設置)では、火災時の制限線量当量率(10mSv/hr以下)を満足する炭素鋼の板厚は約330mmとなった。ケース▲1▼(中性子遮へい体5設置)では、火災時の制限線量当量率(10mSv/hr以下)を満足する中性子遮へい体5の厚みは約130mmであった。比重は炭素鋼が7.89g/cm3、タングステンが19.1g/cm3である。タングステンは、比重が炭素鋼に比べて高いけれども、中性子遮へい体5の厚みは炭素鋼の厚みに比べて約200mm薄くできる。したがって、ケース▲1▼における核燃料輸送容器の総重量は、使用済燃料集合体が収納されていない状態で、ケース▲2▼におけるその総重量に比べて軽くなる。その総重量の低減分は、ケース▲1▼での核燃料輸送容器内に収納できる使用済核燃料集合体の収納体数を、ケース▲2▼のその収納対数の約2倍に増加できる。すなわち、中性子エネルギー105〜107eV領域の非弾性散乱断面積が大きいタングステンにより構成された中性子遮へい体5を用いた場合は、中性子遮へい体5の替りに炭素鋼を用いた場合に比べて、核燃料輸送容器に収納できる使用済核燃料集合体の収納体数を約2倍に増加できる。これは、使用済燃料集合体の輸送効率を増大する。
中性子遮へい体5は、中性子遮へい体7よりも内側に位置しているため、核燃料輸送容器1の重量が軽減される。すなわち、中性子遮へい体5は、半径方向においてどの位置に配置されても105〜107eVのエネルギーの中性子を遮へいするために前述した所定の厚さを必要とする。このため、中性子遮へい体5の重量は、中性子遮へい体5の内径が小さいほど、軽くなる。
中性子遮へい体5を構成するタングステンは、もろいが、剛体である第1内側筒状体4及び第2内側筒状体6によって取囲まれているので、周囲に飛散せず、中性子遮へい体5としての機能を発揮する。例えば、中性子遮へい体5を、第2内側筒状体6よりも外側、例えば第2内側筒状体6と中性子遮へい体7との間に配置した場合には、輸送中に核燃料輸送容器が落下して外側筒状体9が損傷を受けて中性子遮へい体7が外部に飛散したとき、中性子遮へい体5も外部に飛散する可能性がある。中性子遮へい体7の外部への飛散は、核燃料輸送容器1における、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する遮へい能力を低下させる。本実施例は、中性子遮へい体5を第2内側筒状体6の内側に配置しているので、そのような遮へい能力の低下を防止できる。また、第1内側筒状体4を設けることによって第2内側筒状体6の内側で中性子遮へい体5をほぼ均一な厚みで環状に配置できる。バスケット3の横断面は第7図に示すように正方形をしている。このため、第1内側筒状体4を設けない場合は、中性子遮へい体5は、第2内側筒状体6とバスケット3との間に配置される。この場合、中性子遮へい体5の半径方向の厚みは、一番厚みの薄い位置で前述の所定の厚みを満足させる必要がある。したがって、中性子遮へい体5の半径方向の厚みが必要以上に厚くなる場所も有り、核燃料輸送容器の重量が増加することになる。
第1内側筒状体4の半径方向における厚みは、第2内側筒状体4の半径方向における厚みよりも薄い。このため、第2内側筒状体4に隣接している比重の大きな中性子遮へい体5の内径が小さくなる。これは、中性子遮へい体5の重量低減につながり、核燃料輸送容器1の重量を低減する。
本実施例は、一次蓋11及び二次蓋13によって二重に容器本体15を密封しているため、万が一、収納している使用済燃料集合体の燃料棒被覆管が損傷しても燃料棒内の放射性物質は、核燃料輸送容器1外に放出されない。また、内側に位置する一次蓋11内に中性子遮へい体10を、外側に位置する二次蓋13内に中性子遮へい体12を、中性子遮へい体10及び中性子遮へい体12を分けて設けているので、一次蓋11及び二次蓋13はコンパクトになりそれぞれの重量が低減される。
中性子遮へい体5,10は、金属のタングステンではなく、W−Fe及びW−Pbのようなタングステン合金、及びタングステンの焼結体のいずれかで構成してもよい。更には、中性子遮へい体5,10は、ガドリニウムまたはマンガンで構成してもよい。ここで、ガドリニウムは、金属のガドリニウム,Gd−Fe及びGd−Pbのようなガドリニウム合金、及びガドリニウムの焼結体のいずれかの形態で用いられる。また、マンガンを用いる場合には、金属のマンガン,Mn−Fe及びMn−Pbのようなマンガン合金、及びマンガンの焼結体のいずれかの形態になる。中性子遮へい体5,10は、タングステン,ガドリニウム及びマンガンのうち少なくとも1つの物質を含んでいればよい。
加圧水型原子炉から発生した使用済燃料集合体も、核燃料輸送容器を用いて輸送される。この核燃料輸送容器にも、核燃料輸送容器1と同じ構造を適用できる。しかし、加圧水型原子炉から発生する使用済燃料集合体の横断面積は、沸騰水型原子炉から発生する使用済燃料集合体のそれよりも大きい。このため、加圧水型原子炉から発生した使用済燃料集合体を収納する核燃料輸送容器は、バスケット内に形成される燃料収納空間の横断面積が、沸騰水型原子炉から発生した使用済燃料集合体を収納するその横断面積よりも大きい。中性子遮へい体5,12を備えている、加圧水型原子炉から発生した使用済燃料集合体を収納する核燃料輸送容器は、前述の核燃料輸送容器1で生じる効果を得ることができる。
核燃料輸送・貯蔵容器は、使用済燃料集合体の輸送及び貯蔵に用いられる。この核燃料輸送・貯蔵容器に、核燃料輸送容器1で用いられた中性子遮へい体5,12を適用することもできる。中性子遮へい体5,12を適用した核燃料輸送・貯蔵容器は、核燃料輸送容器1の構成を有する。核燃料輸送・貯蔵容器も、核燃料輸送容器である。
産業上の利用可能性
本発明は、沸騰水型原子力発電所で発生する使用済燃料集合体を収納する核燃料輸送容器だけでなく、加圧水型原子力発電所で発生する使用済燃料集合体を収納する核燃料輸送容器に適用することが可能である。また、本発明は、貯蔵機能を有する核燃料輸送・貯蔵容器への適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は炭素鋼を用いた核燃料輸送容器における中性子エネルギーと核燃料輸送容器の表面から1m離れた場所での中性子束及び線量当量率との関係を示す特性図、第2図は中性子エネルギーと鉄(Fe)の各断面積との関係を示す特性図、第3図は中性子エネルギーとタングステン(W)の各断面積との関係を示す特性図、第4図は中性子エネルギーとガドリニウム(Gd)の各断面積との関係を示す特性図、第5図は中性子エネルギーとマンガン(Mn)の各断面積との関係を示す特性図、第6図は本発明の好適な一実施例である核燃料輸送容器の縦断面図、第7図は第6図の横断面図、第8図は第6図の蓋部の拡大縦断面図である。
本発明は、核燃料輸送容器に係り、特に、原子力発電所で発生した使用済核燃料集合体を輸送する核燃料輸送容器に関する。
背景技術
原子力発電所で発生した使用済核燃料集合体は、(1)放射線のしゃへいの確保、(2)未臨界の確保、(3)密封の確保、(4)構造強度の確保ができる専用の核燃料輸送容器(または核燃料輸送兼貯蔵容器)内に装荷され、原子力発電所から貯蔵場所まで輸送される。
従来、使用済核燃料用の核燃料輸送容器は、核燃料輸送工学(財電力中央研究所バックエンド研究会編、福田佐登志・有富正憲監修、P76)に記載のように、高エネルギー中性子の遮へい材として炭素鋼またはステンレス鋼を用いている。この高エネルギー中性子の遮へい材は、核燃料輸送容器の容器本体の構造材としても用いられる。従来の核燃料輸送容器は、炭素鋼(またはステンレス鋼)製の外筒、外筒内に設置された、炭素鋼(またはステンレス鋼)製の内筒、及び外筒と内筒との間に配置された中性子遮へい体(水素またはボロンを含む材料で構成)を備えている。更に、その核燃料輸送容器は、内筒の内側に使用済燃料集合体を収納する複数の空間を形成するバスケットを備える。バスケット内に装荷された使用済燃料集合体から放射される中性子は、内筒で遮へいされた後に、中性子遮へい体により減速,遮へいされる。
核燃料輸送容器に用いられる中性子遮へい体は、一般的に有機物で構成されているため、安全解析評価上、特別の試験条件下の試験評価(火災時の評価)では燃えて焼失する関係上、存在しないものとして遮へい解析を実施する。このとき、核燃料輸送容器の表面(外筒の表面)から1m離れた場所での線量当量率は、10mSv/hrを下回る必要があることが日本の法律で規定されている。線量当量率のその値は、IAEAの輸送基準値であって日本以外の各国でも守られており、制限線量当量率と呼ばれる。現在、日本において輸送の対象となっているBWR用の使用済燃料集合体は、8行8列の燃料棒配列、及び小径の水ロッドを有する燃料集合体(ステップI燃料集合体という)である。小径の水ロッドの直径は燃料棒の直径よりも大きいが燃料棒の配列ピッチよりも小さい。ステップI燃料集合体は原子炉に装荷される前の状態で約33GWd/tの燃焼度が得られる、8行8列の燃料棒配列を有する燃料集合体(ステップI燃料集合体という)である。このステップI燃料集合体は、従来の核燃料輸送容器において制限線量当量率(10mSv/hr)以下を達成する。
現在、BWRを用いた原子力発電所で使用されている、太径の水ロッドを設け燃料棒を8行8列に配置した高燃焼度(約39GWd/t)の燃料集合体(ステップII燃料集合体という)、その原子力発電所で使用が開始されつつある燃料棒を9行9列に配置した更に高燃焼度(約45GWd/t)の燃料集合体、及び使用が予定されているMOX燃料集合体は、ステップI燃料集合体に比べ中性子発生量が格段に多くなる。これらの高燃焼度燃料集合体及びMOX燃料集合体を輸送する核燃料輸送容器は、上記の制限線量当量率を満足する必要があるため、炭素鋼(またはステンレス鋼)製の内筒の厚さを非常に厚くしなければならない。内筒の厚みの増加は、核燃料輸送容器重量の増加につながり、ひいては核燃料輸送容器の制限重量を満足させるために内部に収納できる使用済核燃料集合体の収納体数の減少につながる。これは、核燃料輸送容器1基当たりの収納体数が減少し、使用済燃料集合体の輸送効率が低下する。
発明の開示
本発明の目的は、使用済燃料集合体の輸送効率を向上できる核燃料輸送容器を提供することにある。
本発明の特徴は、内部に収納される複数の使用済燃料集合体を取囲んで炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された筒状体に隣接して設けられ、かつその筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体を備えたことにある。
筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体は、この中性子遮へい体を炭素鋼及びステンレス鋼にて構成した場合に比べて、厚みを薄くできる。このため、核燃料輸送容器の重量を低減でき、核燃料輸送容器内に収納できる使用済燃料集合体が増加できる。これは、核燃料輸送容器による使用済燃料集合体の輸送効率を向上できる。
本発明の第1実施形態の特徴は、筒状体に隣接して設けられた上記中性子遮へい体が、水素を含む他の中性子遮へい体よりも内側に配置されていることにある。前者の中性子遮へい体が後者の中性子遮へい体よりも内側に位置しているため、核燃料輸送容器の重量が軽減される。これは、前者の中性子遮へい体が半径方向において内側に位置するほど、前者の中性子遮へい体の重量が小さくなるためである。
本発明の第2実施態様の特徴は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する、筒状体に隣接して設けられた上記中性子遮へい体の非弾性散乱断面積が、そのエネルギーの中性子に対する、その筒状体の非弾性散乱断面積よりも大きいことにある。中性子遮へい体は105〜107eVのエネルギーの中性子に対する遮へい能力が向上する。このため、中性子遮へい体の半径方向における厚みが薄くなり、核燃料輸送容器内に収納できる使用済燃料集合体の体数が増加する。その中性子遮へい体は、好ましくはタングステン,ガドリニウム及びマンガンのいずれかで構成される。
本発明の他の特徴は、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された第1筒状体と、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成されて第1筒状体を取囲む第2筒状体と、第1筒状体と第2筒状体との間に設けられ、筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体とを備えたことにある。この他の特徴によれば、前述の本発明の特徴によって得られる効果を得ることができる。更に、その他の特徴によれば、第2筒状体よりも内側に位置しているため、万が一の核燃料輸送容器の落下事故においても、筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体が外部に飛散して核燃料輸送容器の遮へい能力が低下することを防止できる。また、その中性子遮へい体が第1筒状体よりも外側に位置するので、中性子遮へい体の重量増加が抑制され、核燃料輸送容器の重量が更に低減される。
本発明の第3実施形態の特徴は、前記第1筒状体,前記第2筒状体、及び前記第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられた前記中性子遮へい体である第1中性子遮へい体が、水素を含んで環状に配置された第2中性子遮へい体の内側に配置されたことにある。第3実施形態によれば、第1中性子遮へい体が第2中性子遮へい体の内側に配置されているので、前述の第1実施形態の特徴によって得られる効果と同じ効果を生じる。
本発明の第4実施形態の特徴は、第1筒状体の半径方向における厚みは前記第2筒状体の半径方向における厚みよりも薄くすることにある。第1筒状体の半径方向における厚みの減少は、第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられた中性子遮へい体が配置される位置を、核燃料輸送容器の軸心により近づけることになる。このため、その中性子遮へい体の重量が低減され、核燃料輸送容器の重量が更に低減される。
本発明の更に他の特徴は、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された第1金属部、及びこの第1金属部の内部に設けられ、第1金属部がよりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された第3中性子遮へい体を有し、容器本体に取付けられる第1蓋と、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された第2金属部、及びこの第2金属部の内部に設けられ、水素を含む第4中性子遮へい体を有し、第1蓋を覆って容器本体に取付けられる第2蓋とを備えたことにある。容器本体は、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成され、内部に収納される複数の使用済燃料集合体を取囲む第1筒状体、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成されて前記第1筒状体を取囲む第2筒状体、前記第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられ、前記筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された第1中性子遮へい体、前記第2筒状体を取囲んで環状に配置された、水素を含む第2中性子遮へい体、及び前記環状に配置された第2中性子遮へい体の外側を取囲む外側筒状体を有する。
本発明のこの他の特徴によれば、一次蓋及び二次蓋によって二重に容器本体を密封しているため、万が一、収納している使用済燃料集合体の燃料棒被覆管が損傷しても燃料棒内の放射性物質は、核燃料輸送容器外に放出されない。一次蓋内に第3中性子遮へい体を、外側に位置する二次蓋内に第4中性子遮へい体を設けているので、一次蓋及び二次蓋はコンパクトになりそれぞれの重量が低減される。一次蓋及び二次蓋の重量低減は、核燃料輸送容器の重量低減につながる。
本発明の第5実施形態の特徴は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する、第3中性子遮へい体の非弾性散乱断面積が、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する、第1金属部の非弾性散乱断面積よりも大きいことにある。第3中性子遮へい体は105〜107eVのエネルギーの中性子に対する遮へい能力が向上する。このため、第3中性子遮へい体の軸方向における厚みが薄くなり、核燃料輸送容器の重量が低減される。その第3中性子遮へい体は、好ましくはタングステン,ガドリニウム及びマンガンのいずれかで構成される。
発明を実施するための最良の形態
発明者らは、核燃料輸送容器の中性子遮へい特性を検討した。特に、ステップII燃料集合体、ステップIII燃料集合体及びMOX燃料集合体の各々を装荷した場合における核燃料輸送容器の中性子遮へい特性を検討した。これらの検討は、解析計算に基づいて行われた。例えば、高燃焼度燃料集合体の線源スペクトルを考慮して詳細な中性子の遮へい計算を行い、特別の試験条件下の試験評価(火災時の評価)時における核燃料輸送容器の制限線量当量率を評価した。この解析,評価は、中性子スペクトルの変化と線量当量率に着目して行った。炭素鋼にて製造された内筒及び外筒を備えた核燃料輸送容器に対する計算結果を、第1図に示す。第1図において、横軸は中性子のエネルギー、左側の縦軸は核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での中性子束(相対値)、右側の縦軸は核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での線量当量率(相対値)をそれぞれ示している。第1図に示された計算結果は、核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での中性子束が1eVから107eVまで広範囲にわたって分布しているが、核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での制限線量当量率が主に105〜107eVの高速中性子に支配されていることを示している。すなわち、核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での制限線量当量率は主に105〜107eVの高速中性子によって決定されるため、このエネルギー領域の中性子を遮へいすることにより、線量当量率を非常に小さくできることが分かった。発明者らは、上記の核燃料輸送容器において、105〜107eVの高速中性子が遮へいされにくい原因を解析的に究明した。この結果、発明者らは、炭素鋼の主成分である鉄(Fe)の非弾性散乱断面積が、106〜107eVでは約1barn(第2図参照)と比較的大きいものの、106eV以下では約10−2barnに急激に小さくなることに気が付いた。この106eV以下で鉄の非弾性散乱断面積が急激に小さくなることが、従来の核燃料輸送容器で高速中性子が遮へいされにくい原因であることが明らかになった。
この結果より、発明者らは、核燃料輸送容器表面から1m離れた場所での線量当量率を主に決めている105〜107eVの高速中性子を効率良く遮へいできれば、線量当量率を小さくできると考えた。そして、中性子のエネルギー105〜107eVの範囲における非弾性散乱断面積が炭素鋼またはステンレス鋼より大きい物質を核燃料輸送容器に用いれば良いとの結論に至った。この条件を満足する物質としては、タングステン(W),ガドリニウム(Gd)及びマンガン(Mn)がある。タングステン,ガドリニウム及びマンガンにおける、それぞれの中性子のエネルギーと非弾性散乱断面積を中心とした各断面積との関係を、第2図,第3図及び第4図にそれぞれ示している。これらの図から明らかであるように、タングステン,ガドリニウム及びマンガンは、中性子のエネルギー105〜107eVの範囲における非弾性散乱断面積は、1barn程度と大きくなっており、炭素鋼(またはステンレス鋼)にて遮へいできないエネルギー領域105〜107eVの中性子を遮へいできる。
核燃料輸送容器に、中性子のエネルギーが105〜107eV領域の非弾性散乱断面積が大きい材料(元素),タングステン(W),ガドリニウム(Gd),マンガン(Mn)を用いることによって、核燃料輸送容器の遮へい性能が向上する。このため、中性子の遮へいに必要な、核燃料輸送容器の厚さ(例えば炭素鋼(またはステンレス鋼)製の内筒及び外筒の少なくとも一方の厚さ)を薄くすることができ、核燃料輸送容器の直径が小さくなる。これは、核燃料輸送容器の重量が低減につながる。核燃料輸送容器の重量低減により、核燃料輸送容器一基当たりに収納できる使用済核燃料集合体の体数を増加できる。このため、使用済燃料集合体の輸送効率が向上する。
本発明の好適な一実施例である核燃料輸送容器を、第6図及び第7図を用いて以下に説明する。
本実施例の核燃料輸送容器1は、沸騰水型原子炉で発生した使用済燃料集合体を収納する。核燃料輸送容器1は、一次蓋11,二次蓋13及び容器本体15を備える。容器本体15は、バスケット3,第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6,中性子遮へい体7及び外側筒状体9を備える。第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6,中性子遮へい体7及び外側筒状体9は、同心円状に配置される。第1内側筒状体4,第2内側筒状体6及び外側筒状体9は炭素鋼製であるが、ステンレス鋼製にすることも可能である。第1内側筒状体4,第2内側筒状体6及び外側筒状体9は、それぞれ筒状の側壁部、及び側壁部につながる底部を有する容器形状となっている。中性子遮へい体5は、タングステンである。格子状に仕切られた複数の燃料収納空間を有するバスケット3が、第1内側筒状体4の内側に設けられる。バスケット3から水平方向に伸びる支持部16が第1内側筒状体4の内面に接している。第1内側筒状体4は第2内側筒状体6の内側に位置する。中性子遮へい体5は、第1内側筒状体4と第2内側筒状体6との間に配置される。すなわち、中性子遮へい体5は、第1内側筒状体4の側壁と第2内側筒状体6の側壁との間のみならず、第1内側筒状体4の底部と第2内側筒状体6の底部との間にも設けられる。外側筒状体9は第2内側筒状体6の外側に位置している。第2内側筒状体6の軸方向に伸びる複数のフィン8が、第2内側筒状体6の外面に取付けられ、外側筒状体9の内面付近まで達している。中性子遮へい体7は第2内側筒状体6と外側筒状体9との間に配置される。中性子遮へい体7は、水素を含む物質である有機物(例えばレジン)で構成される。
一次蓋11は、炭素鋼で作られている。この一次蓋11は、タングステンで構成された中性子遮へい体10を内部に有し、第8図に示すようにねじ17によって容器本体15の第1内側筒状体4に取付けられる。二次蓋13も炭素鋼で作られている。レジンで構成される中性子遮へい体12が二次蓋13の内部に設けられる。二次蓋13は第8図に示すように容器本体15の第2内側筒状体6にねじ18によって取付けられる。環状ガスケット19が一次蓋11と第1内側筒状体4との間をシールし、環状ガスケット20が二次蓋13と第2内側筒状体6との間をシールする。一次蓋11及び二次蓋13は、ステンレス鋼で作成してもよい。
沸騰水型原子炉から発生した使用済燃料集合体は、原子炉建屋内の使用済燃料貯蔵プールに貯蔵される。そこで所定期間貯蔵された使用済燃料集合体14が核燃料輸送容器1内に収納される。すなわち、一次蓋11及び二次蓋13が取外された状態で、使用済燃料集合体14がバスケット3内に収納される。バスケット3内の全ての燃料収納空間内に使用済燃料集合体が収納された後、一次蓋11及び二次蓋13によって核燃料輸送容器1を密封する。使用済燃料集合体14を収納した核燃料輸送容器1は、原子力発電所から核燃料再処理施設に輸送される。核燃料再処理施設内で核燃料輸送容器1の二次蓋13及び一次蓋11が順次はずされる。バスケット3内の使用済燃料集合体14は、核燃料輸送容器1から取出されて核燃料再処理施設内の使用済燃料貯蔵プール内に移送され、ここで再処理されるまで貯蔵される。バスケット3は、ボロン含有ステンレス鋼で構成される。バスケット3はボロンを含んでいるので、隣接して収納された使用済燃料集合体内の核燃料物質の臨界を防止できる。核燃料輸送容器1にて使用済燃料集合体14の輸送中において、使用済燃料集合体14において発生する熱は、バスケット3からの輻射、及びバスケット3及び支持部16を介する伝熱によって、第1内側筒状体4に伝えられる。この熱は、第1内側筒状体4から、中性子遮へい体5,第2内側筒状体6、及びフィン8を介して外側筒状体9まで伝えられ、外側筒状体9から外部の空気に放出される。中性子遮へい体7はレジンで構成されるため熱伝導率が低く、第2内側筒状体6から外側筒状体9への熱の移動がフィン8の設置によって促進される。
通常の状態では、使用済核燃料集合体14から放出された中性子は、核燃料輸送容器1の半径方向においては、バスケット3のプレート、第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6,中性子遮へい体7及び外側筒状体9によって遮へいされる。特に、第1内側筒状体4及び第2内側筒状体6は、使用済核燃料集合体14から放出された高エネルギー中性子を遮へいする。中性子遮へい体5は、金属のタングステンで構成されており、前述したように、105〜107eVのエネルギーを有する高エネルギー中性子に対する非弾性散乱断面積が大きい。このため、中性子遮へい体5は、第1内側筒状体4及び第2内側筒状体6において遮へい能力が低下する、105〜107eVの高エネルギー中性子を効率良く遮へいする。中性子遮へい体7は、第2内側筒状体6を透過した中性子を減速させて遮へいする。核燃料輸送容器1の底部(第6図において下側)においても、中性子は、バスケット3の底板,第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6,中性子遮へい体7及び外側筒状体9によって遮へいされる。なお、核燃料輸送容器1の蓋の部分でも、中性子は、一次蓋11の金属部(炭素鋼)、中性子遮へい体10、二次蓋13の金属部(炭素鋼)及び中性子遮へい体12によって遮へいされる。中性子遮へい体10は、中性子遮へい体5と同様に、105〜107eVの高エネルギー中性子を効率良く遮へいする。中性子遮へい体10は、一次蓋11の金属部において遮へい能力が低下する、105〜107eVの高エネルギー中性子を遮へいする。
次に、火災時における核燃料輸送容器1の放射線遮へい能力について説明する。火災時においては、有機物で構成されている中性子遮へい体7及び12は焼失する。従って、使用済核燃料集合体14から放出された中性子は、核燃料輸送容器1の半径方向及び底部においては、バスケット3,第1内側筒状体4,中性子遮へい体5,第2内側筒状体6及び外側筒状体9によって遮へいされる。また、核燃料輸送容器1の蓋の部分においては、中性子は、一次蓋11の金属部,中性子遮へい体10及び二次蓋13の金属部によって遮へいされる。
火災によって中性子遮へい体7及び12が焼失した際における、▲1▼本実施例における半径方向における中性子遮へい能力と、▲2▼中性子遮へい体5の替りに炭素鋼を用いた場合における核燃料輸送容器の半径方向における中性子の遮へい能力を、それぞれ検討した。ケース▲2▼(炭素鋼設置)では、火災時の制限線量当量率(10mSv/hr以下)を満足する炭素鋼の板厚は約330mmとなった。ケース▲1▼(中性子遮へい体5設置)では、火災時の制限線量当量率(10mSv/hr以下)を満足する中性子遮へい体5の厚みは約130mmであった。比重は炭素鋼が7.89g/cm3、タングステンが19.1g/cm3である。タングステンは、比重が炭素鋼に比べて高いけれども、中性子遮へい体5の厚みは炭素鋼の厚みに比べて約200mm薄くできる。したがって、ケース▲1▼における核燃料輸送容器の総重量は、使用済燃料集合体が収納されていない状態で、ケース▲2▼におけるその総重量に比べて軽くなる。その総重量の低減分は、ケース▲1▼での核燃料輸送容器内に収納できる使用済核燃料集合体の収納体数を、ケース▲2▼のその収納対数の約2倍に増加できる。すなわち、中性子エネルギー105〜107eV領域の非弾性散乱断面積が大きいタングステンにより構成された中性子遮へい体5を用いた場合は、中性子遮へい体5の替りに炭素鋼を用いた場合に比べて、核燃料輸送容器に収納できる使用済核燃料集合体の収納体数を約2倍に増加できる。これは、使用済燃料集合体の輸送効率を増大する。
中性子遮へい体5は、中性子遮へい体7よりも内側に位置しているため、核燃料輸送容器1の重量が軽減される。すなわち、中性子遮へい体5は、半径方向においてどの位置に配置されても105〜107eVのエネルギーの中性子を遮へいするために前述した所定の厚さを必要とする。このため、中性子遮へい体5の重量は、中性子遮へい体5の内径が小さいほど、軽くなる。
中性子遮へい体5を構成するタングステンは、もろいが、剛体である第1内側筒状体4及び第2内側筒状体6によって取囲まれているので、周囲に飛散せず、中性子遮へい体5としての機能を発揮する。例えば、中性子遮へい体5を、第2内側筒状体6よりも外側、例えば第2内側筒状体6と中性子遮へい体7との間に配置した場合には、輸送中に核燃料輸送容器が落下して外側筒状体9が損傷を受けて中性子遮へい体7が外部に飛散したとき、中性子遮へい体5も外部に飛散する可能性がある。中性子遮へい体7の外部への飛散は、核燃料輸送容器1における、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する遮へい能力を低下させる。本実施例は、中性子遮へい体5を第2内側筒状体6の内側に配置しているので、そのような遮へい能力の低下を防止できる。また、第1内側筒状体4を設けることによって第2内側筒状体6の内側で中性子遮へい体5をほぼ均一な厚みで環状に配置できる。バスケット3の横断面は第7図に示すように正方形をしている。このため、第1内側筒状体4を設けない場合は、中性子遮へい体5は、第2内側筒状体6とバスケット3との間に配置される。この場合、中性子遮へい体5の半径方向の厚みは、一番厚みの薄い位置で前述の所定の厚みを満足させる必要がある。したがって、中性子遮へい体5の半径方向の厚みが必要以上に厚くなる場所も有り、核燃料輸送容器の重量が増加することになる。
第1内側筒状体4の半径方向における厚みは、第2内側筒状体4の半径方向における厚みよりも薄い。このため、第2内側筒状体4に隣接している比重の大きな中性子遮へい体5の内径が小さくなる。これは、中性子遮へい体5の重量低減につながり、核燃料輸送容器1の重量を低減する。
本実施例は、一次蓋11及び二次蓋13によって二重に容器本体15を密封しているため、万が一、収納している使用済燃料集合体の燃料棒被覆管が損傷しても燃料棒内の放射性物質は、核燃料輸送容器1外に放出されない。また、内側に位置する一次蓋11内に中性子遮へい体10を、外側に位置する二次蓋13内に中性子遮へい体12を、中性子遮へい体10及び中性子遮へい体12を分けて設けているので、一次蓋11及び二次蓋13はコンパクトになりそれぞれの重量が低減される。
中性子遮へい体5,10は、金属のタングステンではなく、W−Fe及びW−Pbのようなタングステン合金、及びタングステンの焼結体のいずれかで構成してもよい。更には、中性子遮へい体5,10は、ガドリニウムまたはマンガンで構成してもよい。ここで、ガドリニウムは、金属のガドリニウム,Gd−Fe及びGd−Pbのようなガドリニウム合金、及びガドリニウムの焼結体のいずれかの形態で用いられる。また、マンガンを用いる場合には、金属のマンガン,Mn−Fe及びMn−Pbのようなマンガン合金、及びマンガンの焼結体のいずれかの形態になる。中性子遮へい体5,10は、タングステン,ガドリニウム及びマンガンのうち少なくとも1つの物質を含んでいればよい。
加圧水型原子炉から発生した使用済燃料集合体も、核燃料輸送容器を用いて輸送される。この核燃料輸送容器にも、核燃料輸送容器1と同じ構造を適用できる。しかし、加圧水型原子炉から発生する使用済燃料集合体の横断面積は、沸騰水型原子炉から発生する使用済燃料集合体のそれよりも大きい。このため、加圧水型原子炉から発生した使用済燃料集合体を収納する核燃料輸送容器は、バスケット内に形成される燃料収納空間の横断面積が、沸騰水型原子炉から発生した使用済燃料集合体を収納するその横断面積よりも大きい。中性子遮へい体5,12を備えている、加圧水型原子炉から発生した使用済燃料集合体を収納する核燃料輸送容器は、前述の核燃料輸送容器1で生じる効果を得ることができる。
核燃料輸送・貯蔵容器は、使用済燃料集合体の輸送及び貯蔵に用いられる。この核燃料輸送・貯蔵容器に、核燃料輸送容器1で用いられた中性子遮へい体5,12を適用することもできる。中性子遮へい体5,12を適用した核燃料輸送・貯蔵容器は、核燃料輸送容器1の構成を有する。核燃料輸送・貯蔵容器も、核燃料輸送容器である。
産業上の利用可能性
本発明は、沸騰水型原子力発電所で発生する使用済燃料集合体を収納する核燃料輸送容器だけでなく、加圧水型原子力発電所で発生する使用済燃料集合体を収納する核燃料輸送容器に適用することが可能である。また、本発明は、貯蔵機能を有する核燃料輸送・貯蔵容器への適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は炭素鋼を用いた核燃料輸送容器における中性子エネルギーと核燃料輸送容器の表面から1m離れた場所での中性子束及び線量当量率との関係を示す特性図、第2図は中性子エネルギーと鉄(Fe)の各断面積との関係を示す特性図、第3図は中性子エネルギーとタングステン(W)の各断面積との関係を示す特性図、第4図は中性子エネルギーとガドリニウム(Gd)の各断面積との関係を示す特性図、第5図は中性子エネルギーとマンガン(Mn)の各断面積との関係を示す特性図、第6図は本発明の好適な一実施例である核燃料輸送容器の縦断面図、第7図は第6図の横断面図、第8図は第6図の蓋部の拡大縦断面図である。
Claims (12)
- 炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成され、内部に収納される複数の使用済燃料集合体を取囲む筒状体と、前記筒状体に隣接して設けられ、かつ前記筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体とを備えたことを特徴とする核燃料輸送容器。
- 水素を含む第2中性子遮へい体が環状に配置され、前記環状に配置された第2中性子遮へい体の外側を取囲む外側筒状体が設けられ、前記中性子遮へい体である第1中性子遮へい体、及び前記内側筒状体が、前記第2中性子遮へい体よりも内側に配置された請求項1の核燃料輸送容器。
- 前記第1中性子遮へい体は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する非弾性散乱断面積が前記筒状体のその非弾性散乱断面積よりも大きい請求項1の核燃料輸送容器。
- 前記第1中性子遮へい体は、タングステン,ガドリニウム及びマンガンのいずれかを含んでいる請求項3の核燃料輸送容器。
- 炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成され、内部に収納される複数の使用済燃料集合体を取囲む第1筒状体と、炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成されて前記第1筒状体を取囲む第2筒状体と、前記第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられ、前記筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された中性子遮へい体とを備えたことを特徴とする核燃料輸送容器。
- 前記第1筒状体,前記第2筒状体、及び前記第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられた前記中性子遮へい体である第1中性子遮へい体が、水素を含んで環状に配置された第2中性子遮へい体の内側に配置され、前記環状に配置された第2中性子遮へい体の外側を取囲む外側筒状体が設けられた請求項5の核燃料輸送容器。
- 前記第1筒状体の半径方向における厚みは前記第2筒状体の半径方向における厚みよりも薄い請求項5または請求項6の核燃料輸送容器。
- 前記中性子遮へい体は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する非弾性散乱断面積が前記筒状体のその非弾性散乱断面積よりも大きい請求項5の核燃料輸送容器。
- 前記中性子遮へい体は、タングステン,ガドリニウム及びマンガンのいずれかを含んでいる請求項8の核燃料輸送容器。
- 炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成され、内部に収納される複数の使用済燃料集合体を取囲む第1筒状体,炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成されて前記第1筒状体を取囲む第2筒状体、前記第1筒状体と前記第2筒状体との間に設けられ、前記筒状体よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された第1中性子遮へい体、前記第2筒状体を取囲んで環状に配置された、水素を含む第2中性子遮へい体、及び前記環状に配置された第2中性子遮へい体の外側を取囲む外側筒状体を有する容器本体と、
炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された第1金属部、及びこの第1金属部の内部に設けられ、前記第1金属部よりも非弾性散乱断面積が大きい材料によって構成された第3中性子遮へい体を有し、前記容器本体に取付けられる第1蓋と、
炭素鋼及びステンレス鋼のいずれかによって構成された第2金属部、及びこの第2金属部の内部に設けられ、水素を含む第4中性子遮へい体を有し、前記第1蓋を覆って前記容器本体に取付けられる第2蓋とを備えた核燃料輸送容器。 - 前記第1中性子遮へい体は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する非弾性散乱断面積が前記筒状体のその非弾性散乱断面積よりも大きく、前記第3中性子遮へい体は、105〜107eVのエネルギーの中性子に対する非弾性散乱断面積が前記第1金属部のその非弾性散乱断面積よりも大きい請求項10の核燃料輸送容器。
- 前記第1中性子遮へい体及び前記第3中性子遮へい体は、タングステン、ガドリニウム及びマンガンのいずれかを含んでいる請求項11の核燃料輸送容器。
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