JPS649384B2 - - Google Patents
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- JPS649384B2 JPS649384B2 JP17811680A JP17811680A JPS649384B2 JP S649384 B2 JPS649384 B2 JP S649384B2 JP 17811680 A JP17811680 A JP 17811680A JP 17811680 A JP17811680 A JP 17811680A JP S649384 B2 JPS649384 B2 JP S649384B2
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D9/00—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
- C21D9/50—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for welded joints
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- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
本発明は、9%Ni鋼管の製造法に関するもの
で、更に詳しく説明すれば熱間圧延ままの9%
Ni鋼板をUOE方式(注U:Uing,O:Oing,
E:Expandingを示す工程をいう。)で管状に成
形しシーム部を共金系溶接ワイヤーを用いてサブ
マージド・アーク溶接(SAW)又はMIG溶接を
行い、拡管サイジング後これを連続的に焼入−焼
戻処理する9%Ni鋼管の製造法において、前記
成形前に熱間圧延鋼板を予め焼鈍処理しておくこ
とを特徴とする9%Ni鋼管の製造法に関するも
のである。 従来、LNGの貯蔵、輸送に適している極低温
用材料として9%Ni鋼、ステンレス鋼、36%Ni
鋼、Al合金などが使用されている。9%Ni鋼は
前記材料中で最も強度が高く大型タンクやライン
パイプには最も有利な材料であり、近年のエネル
ギー需用の増大に伴つて極低温用材料として需用
が拡大してきた。ところが、9%Ni鋼は焼入−
焼戻または焼準−焼戻などの熱処理を施して強度
と低温靭性を確保しているので、これが原因とな
つて前述の熱処理を施した鋼板を溶接して使用す
る場合には、溶接面でで種々の問題があり、その
性能を有利に利用できない場合が多かつた。例え
ば、従来はインコネル系やハステロイ系などの
Ni基合金の被覆棒またはワイヤーによる溶接が
大部分であつたが、これらのオーステナイト系溶
接材料は母材の9%Ni鋼よりも強度が低く、か
つコスト的に高価であるなどの問題があつた。近
年MIGまたはTIGによる共金溶接法が開発され
たが、これらの溶接法では溶接金属の硬度が母材
に比べて著しく高くなり、また溶接条件範囲が狭
いなどの問題がある。一方、サブマージド・アー
ク溶接の場合は、共金系の9%Ni鋼溶接材料で
は溶接ままの状態では靭性が確保できず、また従
来のNi基合金ではコスト的に高価であり、溶接
入熱増大による熱影響部(HAZ)の靭性劣化の
問題などがあつた。 そして、これらの溶接上の問題が解消されれ
ば、9%Ni鋼を使用した例えばLNG輸送パイプ
ラインなどはより安価に製造できるようになり、
9%Ni鋼をより有利な材料とすることができる。 発明者らは先に、前記の従来技術の諸問題を解
決すべく種々実験検討の結果、熱間圧延材の9%
Ni鋼板をUOE方式で管状に成形後そのシーム部
を共金系の溶接ワイヤーと溶融型フラツクスを用
いてSAW溶接し、さらに拡管サイジングしてな
る鋼管を連続的に焼入−焼戻しすることが有効で
あるのを見出し、昭和53年日本鉄鋼協会第95回講
演大会で発表した。その内容は雑誌「鉄と鋼」No.
4 March1978Vol.64第324頁に掲載されてい
る。これにより溶接ワイヤーとしては従来の高価
なNi基合金を必ずしも使用する必要がなくなり、
従来ともすれば問題になり勝ちであつた溶接部の
最高硬さやHAZの靭性の劣化などは一挙に解決
されることになつたが、9%Ni鋼板は熱間圧延
ままの状態であつても強度が高く、これが製管工
程における前記UOE方式で管状に成形するとき
に一つの未解決の問題となつている。即ち、板厚
によつては既存の設備では管状に成形することが
不可能であつたり、また一応管状成形が可能であ
つても形状が不良であつたり、またスプリングバ
ツク量が大きいため薄肉管の場合においても仮付
溶接時に問題を生じている。尚、UOE方式で鋼
管を製造する際は9%Ni鋼に限らずその他の低
合金鋼においても熱間圧延ままの状態で成形し必
要に応じてその後熱処理するのが一般である。 そこで、発明者らは前述の如く9%Ni鋼板が
強度大で他の低合金鋼の場合と異なり熱間圧延の
ままであつても管状に成形する段階で問題がある
ことに着目し、これを解決するために更に実験検
討の結果本発明をなすに至つたものである。 即ち、本発明は、熱間圧延ままの9%Ni鋼板
をUOE方式により成形しそのシーム部を共金系
溶接ワイヤーを用いてSAW溶接又はMIG溶接を
行い拡管サイジングした後これを連続的に焼入−
焼戻処理する9%Ni鋼管の製造法において、前
記成形前に熱間圧延鋼板を予め600〜640℃にて焼
鈍処理することを特徴とする9%Ni鋼管の製造
法である。 本発明によるときは成形前に予め焼鈍処理が施
されているため9%Ni鋼板が十分に軟化してお
り、管状に成形する際に必要な力が少くて済むの
で、同一能力の成形機でより厚い板厚まで成形で
きるだけでなく、容易に形状の良好な管に成形し
得る。また予め鋼板にこのような焼鈍処理を施し
ておいても焼入−焼戻処理後の母材、HAZには
何ら悪影響がないことも確認された。 本発明でいう9%Ni鋼板とは、ASTMA−553
で規定されているところの、重量基準(以下%は
重量基準にて示す)にて、C0.13%以下、Mn0.90
%以下、Si0.15〜0.30%、Ni8.5〜9.5%、B,S
夫々0.040%以下、残留鉄および不可避不純物か
らなる組成を有するもの或いは必要に応じて前記
の組成に更にMo0.5%以下、Cr0.3%以下の一種
又は二種を含有する組成のものである。又、共金
系溶接ワイヤーとは従来のNi基溶接ワイヤーと
は異なり、母材の組成に近い組成を有するワイヤ
ーという意味を示すもので、Niとして8.5〜11%
を含有するものをいう。Ni以外の含有元素につ
いては特に限定する必要はないが、C0.1%以下、
Si0.25%以下、Mn0.5%以下、P0.01%以下、
S0.01%以下であることが好ましく必要に応じて
更にTi0.15%以下を含有してもかまわない。この
共金系溶接ワイヤーを用いて行うSAW溶接には、
当然溶融型フラツクスを使用する。本発明でいう
MIG溶接とは、従来アルゴンを主体とする雰囲
気中で3.0mmφ未満の小径ワイヤーを用い
500Amp以下の溶接電流で行う低入熱のものだけ
でなく、出願人が開発し、先に特公昭53−9571号
で提案したような溶接能率が略SAW溶接に匹敵
する高速高能率のMIG溶接をも含む。更に、本
発明の特徴とする成形前の熱間圧延ままの9%
Ni鋼板を焼鈍処理するときの温度条件は600〜
640℃とすることが好ましい。次に本発明法の実
施例を従来法と比較して示す。第1表は9%Ni
鋼(鋼Aは本発明法に、鋼Bは従来法に夫々供し
た)の組成を、又第2表は鋼管の製造工程を、又
第3表、第4表は夫々SAW溶接とMIG溶接の溶
接条件を示したものである。
で、更に詳しく説明すれば熱間圧延ままの9%
Ni鋼板をUOE方式(注U:Uing,O:Oing,
E:Expandingを示す工程をいう。)で管状に成
形しシーム部を共金系溶接ワイヤーを用いてサブ
マージド・アーク溶接(SAW)又はMIG溶接を
行い、拡管サイジング後これを連続的に焼入−焼
戻処理する9%Ni鋼管の製造法において、前記
成形前に熱間圧延鋼板を予め焼鈍処理しておくこ
とを特徴とする9%Ni鋼管の製造法に関するも
のである。 従来、LNGの貯蔵、輸送に適している極低温
用材料として9%Ni鋼、ステンレス鋼、36%Ni
鋼、Al合金などが使用されている。9%Ni鋼は
前記材料中で最も強度が高く大型タンクやライン
パイプには最も有利な材料であり、近年のエネル
ギー需用の増大に伴つて極低温用材料として需用
が拡大してきた。ところが、9%Ni鋼は焼入−
焼戻または焼準−焼戻などの熱処理を施して強度
と低温靭性を確保しているので、これが原因とな
つて前述の熱処理を施した鋼板を溶接して使用す
る場合には、溶接面でで種々の問題があり、その
性能を有利に利用できない場合が多かつた。例え
ば、従来はインコネル系やハステロイ系などの
Ni基合金の被覆棒またはワイヤーによる溶接が
大部分であつたが、これらのオーステナイト系溶
接材料は母材の9%Ni鋼よりも強度が低く、か
つコスト的に高価であるなどの問題があつた。近
年MIGまたはTIGによる共金溶接法が開発され
たが、これらの溶接法では溶接金属の硬度が母材
に比べて著しく高くなり、また溶接条件範囲が狭
いなどの問題がある。一方、サブマージド・アー
ク溶接の場合は、共金系の9%Ni鋼溶接材料で
は溶接ままの状態では靭性が確保できず、また従
来のNi基合金ではコスト的に高価であり、溶接
入熱増大による熱影響部(HAZ)の靭性劣化の
問題などがあつた。 そして、これらの溶接上の問題が解消されれ
ば、9%Ni鋼を使用した例えばLNG輸送パイプ
ラインなどはより安価に製造できるようになり、
9%Ni鋼をより有利な材料とすることができる。 発明者らは先に、前記の従来技術の諸問題を解
決すべく種々実験検討の結果、熱間圧延材の9%
Ni鋼板をUOE方式で管状に成形後そのシーム部
を共金系の溶接ワイヤーと溶融型フラツクスを用
いてSAW溶接し、さらに拡管サイジングしてな
る鋼管を連続的に焼入−焼戻しすることが有効で
あるのを見出し、昭和53年日本鉄鋼協会第95回講
演大会で発表した。その内容は雑誌「鉄と鋼」No.
4 March1978Vol.64第324頁に掲載されてい
る。これにより溶接ワイヤーとしては従来の高価
なNi基合金を必ずしも使用する必要がなくなり、
従来ともすれば問題になり勝ちであつた溶接部の
最高硬さやHAZの靭性の劣化などは一挙に解決
されることになつたが、9%Ni鋼板は熱間圧延
ままの状態であつても強度が高く、これが製管工
程における前記UOE方式で管状に成形するとき
に一つの未解決の問題となつている。即ち、板厚
によつては既存の設備では管状に成形することが
不可能であつたり、また一応管状成形が可能であ
つても形状が不良であつたり、またスプリングバ
ツク量が大きいため薄肉管の場合においても仮付
溶接時に問題を生じている。尚、UOE方式で鋼
管を製造する際は9%Ni鋼に限らずその他の低
合金鋼においても熱間圧延ままの状態で成形し必
要に応じてその後熱処理するのが一般である。 そこで、発明者らは前述の如く9%Ni鋼板が
強度大で他の低合金鋼の場合と異なり熱間圧延の
ままであつても管状に成形する段階で問題がある
ことに着目し、これを解決するために更に実験検
討の結果本発明をなすに至つたものである。 即ち、本発明は、熱間圧延ままの9%Ni鋼板
をUOE方式により成形しそのシーム部を共金系
溶接ワイヤーを用いてSAW溶接又はMIG溶接を
行い拡管サイジングした後これを連続的に焼入−
焼戻処理する9%Ni鋼管の製造法において、前
記成形前に熱間圧延鋼板を予め600〜640℃にて焼
鈍処理することを特徴とする9%Ni鋼管の製造
法である。 本発明によるときは成形前に予め焼鈍処理が施
されているため9%Ni鋼板が十分に軟化してお
り、管状に成形する際に必要な力が少くて済むの
で、同一能力の成形機でより厚い板厚まで成形で
きるだけでなく、容易に形状の良好な管に成形し
得る。また予め鋼板にこのような焼鈍処理を施し
ておいても焼入−焼戻処理後の母材、HAZには
何ら悪影響がないことも確認された。 本発明でいう9%Ni鋼板とは、ASTMA−553
で規定されているところの、重量基準(以下%は
重量基準にて示す)にて、C0.13%以下、Mn0.90
%以下、Si0.15〜0.30%、Ni8.5〜9.5%、B,S
夫々0.040%以下、残留鉄および不可避不純物か
らなる組成を有するもの或いは必要に応じて前記
の組成に更にMo0.5%以下、Cr0.3%以下の一種
又は二種を含有する組成のものである。又、共金
系溶接ワイヤーとは従来のNi基溶接ワイヤーと
は異なり、母材の組成に近い組成を有するワイヤ
ーという意味を示すもので、Niとして8.5〜11%
を含有するものをいう。Ni以外の含有元素につ
いては特に限定する必要はないが、C0.1%以下、
Si0.25%以下、Mn0.5%以下、P0.01%以下、
S0.01%以下であることが好ましく必要に応じて
更にTi0.15%以下を含有してもかまわない。この
共金系溶接ワイヤーを用いて行うSAW溶接には、
当然溶融型フラツクスを使用する。本発明でいう
MIG溶接とは、従来アルゴンを主体とする雰囲
気中で3.0mmφ未満の小径ワイヤーを用い
500Amp以下の溶接電流で行う低入熱のものだけ
でなく、出願人が開発し、先に特公昭53−9571号
で提案したような溶接能率が略SAW溶接に匹敵
する高速高能率のMIG溶接をも含む。更に、本
発明の特徴とする成形前の熱間圧延ままの9%
Ni鋼板を焼鈍処理するときの温度条件は600〜
640℃とすることが好ましい。次に本発明法の実
施例を従来法と比較して示す。第1表は9%Ni
鋼(鋼Aは本発明法に、鋼Bは従来法に夫々供し
た)の組成を、又第2表は鋼管の製造工程を、又
第3表、第4表は夫々SAW溶接とMIG溶接の溶
接条件を示したものである。
【表】
【表】
【表】
【表】
又、第6図はこの実施例において本発明法が採
用した製造工程図である。 第1図は、鋼Aの熱間圧延ままの鋼板を焼鈍処
理した場合の焼鈍温度を鋼の引張り強度ならびに
0.2%耐力およびUOE製管時の歪量と同じ3%歪
での応力とを併せて示したグラフである。第1図
から明らかなように、焼鈍温度620℃までは温度
の増加に伴い0.2%耐力および3%歪での応力は
低下するが、焼鈍温度が620℃以上になると再び
上昇する。ここに図示される如く、適正な温度で
焼鈍を行うことにより製管時の歪量に相当する応
力は、熱間圧延ままの約120Kg/mm2から80Kg/mm2
と約3/4またはそれ以下に低下すると共に、引張
強さとの差も拡大してくる(熱間圧延ままの状態
では図の如く3%歪での応力と引張強さの差が殆
んどない)ので、製管時には容易に良好な形状の
管とすることができる。第1図に示すような傾向
は前記鋼Aとして示したものに限らず本発明が対
象とする9%Ni鋼について広く確認されており、
焼鈍温度としては600〜640℃の範囲が適当である
ことも確められている。 第2図は前記の焼鈍処理を施した鋼Aの鋼管を
UOE方式により全形しそのシーム部を第2,3,
4表に示すSAW,MIGのいずれかの溶接方法に
より溶接したのち、拡管して得た鋼管Aを誘導加
熱設備を用いて790℃から連続的に焼入した場合
の、加熱,冷却の温度パターンを示したグラフ図
である。図から理解されるように、700℃→200℃
間の冷却速度は50℃/secであつた。又、第3図
は前記鋼管Aの焼戻時の加熱,冷却パターンを示
したグラフ図である。焼戻は620℃、4分均熱に
なるように設定した。焼戻後の冷却は空冷であ
り、その冷却速度は600℃→400℃間で0.62℃/
secであつた。 前記の本発明実施例による鋼管Aと従来法によ
る鋼管Bの鋼本体(母材部)の機械的性質および
溶接部の機械的性質を夫々第5表、第6表に示
す。先に示した如く鋼管Aは製管後焼入−焼戻処
理を施したものであり、鋼管Bは材料鋼板を焼入
−焼戻処理した後製管したものである。
用した製造工程図である。 第1図は、鋼Aの熱間圧延ままの鋼板を焼鈍処
理した場合の焼鈍温度を鋼の引張り強度ならびに
0.2%耐力およびUOE製管時の歪量と同じ3%歪
での応力とを併せて示したグラフである。第1図
から明らかなように、焼鈍温度620℃までは温度
の増加に伴い0.2%耐力および3%歪での応力は
低下するが、焼鈍温度が620℃以上になると再び
上昇する。ここに図示される如く、適正な温度で
焼鈍を行うことにより製管時の歪量に相当する応
力は、熱間圧延ままの約120Kg/mm2から80Kg/mm2
と約3/4またはそれ以下に低下すると共に、引張
強さとの差も拡大してくる(熱間圧延ままの状態
では図の如く3%歪での応力と引張強さの差が殆
んどない)ので、製管時には容易に良好な形状の
管とすることができる。第1図に示すような傾向
は前記鋼Aとして示したものに限らず本発明が対
象とする9%Ni鋼について広く確認されており、
焼鈍温度としては600〜640℃の範囲が適当である
ことも確められている。 第2図は前記の焼鈍処理を施した鋼Aの鋼管を
UOE方式により全形しそのシーム部を第2,3,
4表に示すSAW,MIGのいずれかの溶接方法に
より溶接したのち、拡管して得た鋼管Aを誘導加
熱設備を用いて790℃から連続的に焼入した場合
の、加熱,冷却の温度パターンを示したグラフ図
である。図から理解されるように、700℃→200℃
間の冷却速度は50℃/secであつた。又、第3図
は前記鋼管Aの焼戻時の加熱,冷却パターンを示
したグラフ図である。焼戻は620℃、4分均熱に
なるように設定した。焼戻後の冷却は空冷であ
り、その冷却速度は600℃→400℃間で0.62℃/
secであつた。 前記の本発明実施例による鋼管Aと従来法によ
る鋼管Bの鋼本体(母材部)の機械的性質および
溶接部の機械的性質を夫々第5表、第6表に示
す。先に示した如く鋼管Aは製管後焼入−焼戻処
理を施したものであり、鋼管Bは材料鋼板を焼入
−焼戻処理した後製管したものである。
【表】
【表】
尚、第4図に示したWはWeld Metal、Bは
Bond(Meld:HAZ・50:50)、HはHAZを夫々
示しており、第6表のシヤルピー試験結果は溶接
部の該当箇所にノツチ位置を一致せしめたものか
ら採取したシヤルピー試験片によるものである。
またVE−196℃は−196℃の吸収エネルギーでLE
−196℃は−196℃のラテラルエキスパンジヨンで
ある。先づ鋼本体(母材部)についてみるに第5
表から明らかなように、本発明実施例による鋼管
Aに比べて、従来法による鋼管Bは成形による加
工硬化が残存するために、降伏比(Y.R)が高
い。これに対し鋼管Aは降伏比(Y.R)が80%以
下と良好であるとともに降伏応力(Y.S)、引張
強さ(T.S)もASTM規格A333(Gr,8)を十分
満足する値が得られた。また衝撃特性においても
鋼管Aは鋼管Bよりも良好である。その理由は、
鋼管Aは成形による加工硬化が製管後の焼入−焼
戻処理により消滅するのに対し、鋼管Bには残存
していることによると思考される。 第6表から明らかなように、溶接金属の−196
℃の靭性は、鋼管Bの方がコストの高いNi基合
金ワイヤーで溶接しているので、共金系ワイヤー
で溶接している鋼Aよりは高いけれども、鋼管A
の靭性もASTM規格に十分満足する。Bondおよ
びHAZの靭性は鋼管Aの方が鋼管Bよりも良好
であり、鋼管AのHAZは母材と均一組織をして
おり、HAZの脆化は全く認められない。 第5図aは鋼管Aの溶接継手の硬度分布を、ま
たbは鋼管Bの溶接継手の硬度(Hv)分布を示
すグラフ図である。この第5図a及び第5図bか
ら明らかなように、鋼管AのHAZは母材と均一
組織の焼戻マルテンサイトと一部残留オーステナ
イトになるため硬度もmaxHvが264であり、溶接
金属HAZの硬度の均一性が優れているのに対し、
鋼管Bは溶接のままであるためHAZ粗粒域はマ
ルテンサイト組織になり、硬度もmaxHvが364で
あつて後熱処理又は焼戻処理が必要になる。更
に、鋼管BにおいてはNi基合金ワイヤーで溶接
しているので安定したオーステナイトになつてお
り、母材硬度よりも低く溶接金属とHAZおよび
母材との強度差が大きい。このため鋼管AはG・
Bテストが良好であるのに対し、鋼管BはG・B
テストで溶接金属部に歪が集中して問題が生じる
ことがある。また、マクロ組織、顕微鏡組織にお
いても本発明による鋼管Aの方が従来法による鋼
管Bより均一性が優れており、溶接継手の性能が
良好なことが確認されている。又、本発明により
熱延9%Ni鋼板を管状成形する前に焼鈍処理を
行えば、母材部、溶接熱影響部の性質が少しも損
われていないことは前記「鉄と鋼」No.
4March1978Vol.64第324頁によつても明らかで
ある。
Bond(Meld:HAZ・50:50)、HはHAZを夫々
示しており、第6表のシヤルピー試験結果は溶接
部の該当箇所にノツチ位置を一致せしめたものか
ら採取したシヤルピー試験片によるものである。
またVE−196℃は−196℃の吸収エネルギーでLE
−196℃は−196℃のラテラルエキスパンジヨンで
ある。先づ鋼本体(母材部)についてみるに第5
表から明らかなように、本発明実施例による鋼管
Aに比べて、従来法による鋼管Bは成形による加
工硬化が残存するために、降伏比(Y.R)が高
い。これに対し鋼管Aは降伏比(Y.R)が80%以
下と良好であるとともに降伏応力(Y.S)、引張
強さ(T.S)もASTM規格A333(Gr,8)を十分
満足する値が得られた。また衝撃特性においても
鋼管Aは鋼管Bよりも良好である。その理由は、
鋼管Aは成形による加工硬化が製管後の焼入−焼
戻処理により消滅するのに対し、鋼管Bには残存
していることによると思考される。 第6表から明らかなように、溶接金属の−196
℃の靭性は、鋼管Bの方がコストの高いNi基合
金ワイヤーで溶接しているので、共金系ワイヤー
で溶接している鋼Aよりは高いけれども、鋼管A
の靭性もASTM規格に十分満足する。Bondおよ
びHAZの靭性は鋼管Aの方が鋼管Bよりも良好
であり、鋼管AのHAZは母材と均一組織をして
おり、HAZの脆化は全く認められない。 第5図aは鋼管Aの溶接継手の硬度分布を、ま
たbは鋼管Bの溶接継手の硬度(Hv)分布を示
すグラフ図である。この第5図a及び第5図bか
ら明らかなように、鋼管AのHAZは母材と均一
組織の焼戻マルテンサイトと一部残留オーステナ
イトになるため硬度もmaxHvが264であり、溶接
金属HAZの硬度の均一性が優れているのに対し、
鋼管Bは溶接のままであるためHAZ粗粒域はマ
ルテンサイト組織になり、硬度もmaxHvが364で
あつて後熱処理又は焼戻処理が必要になる。更
に、鋼管BにおいてはNi基合金ワイヤーで溶接
しているので安定したオーステナイトになつてお
り、母材硬度よりも低く溶接金属とHAZおよび
母材との強度差が大きい。このため鋼管AはG・
Bテストが良好であるのに対し、鋼管BはG・B
テストで溶接金属部に歪が集中して問題が生じる
ことがある。また、マクロ組織、顕微鏡組織にお
いても本発明による鋼管Aの方が従来法による鋼
管Bより均一性が優れており、溶接継手の性能が
良好なことが確認されている。又、本発明により
熱延9%Ni鋼板を管状成形する前に焼鈍処理を
行えば、母材部、溶接熱影響部の性質が少しも損
われていないことは前記「鉄と鋼」No.
4March1978Vol.64第324頁によつても明らかで
ある。
第1図は本発明における鋼板の焼鈍温度と強度
の関係を示したグラフ図、第2図は本発明による
鋼管を連続的に焼入した場合の加熱、冷却の温度
パターンを示すグラフ図、第3図は本発明による
鋼管の焼戻時の加熱、冷却パターンを示したグラ
フ図、第4図は溶接部のシヤルビー試験箇処を示
した説明図、第5図a,bは夫々本発明による鋼
管と従来法による鋼管の溶接部の硬度分布を示す
グラフ図、第6図は本発明の製造工程図である。
の関係を示したグラフ図、第2図は本発明による
鋼管を連続的に焼入した場合の加熱、冷却の温度
パターンを示すグラフ図、第3図は本発明による
鋼管の焼戻時の加熱、冷却パターンを示したグラ
フ図、第4図は溶接部のシヤルビー試験箇処を示
した説明図、第5図a,bは夫々本発明による鋼
管と従来法による鋼管の溶接部の硬度分布を示す
グラフ図、第6図は本発明の製造工程図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 熱間圧延ままの9%Ni鋼板をUOE方式によ
り管状に成形しそのシーム部を共金系溶接ワイヤ
ーを用いてサブマージド・アーク溶接又はMIG
溶接を行い拡管サイジングした後、これを連続的
に焼入−焼戻処理する9%Ni鋼板の製造法にお
いて、 前記成形前に、熱間圧延鋼板を予め600〜640℃
にて焼鈍処理することを特徴とする9%Ni鋼板
の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17811680A JPS57101617A (en) | 1980-12-18 | 1980-12-18 | Manufacture of 9%ni steel pipe |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17811680A JPS57101617A (en) | 1980-12-18 | 1980-12-18 | Manufacture of 9%ni steel pipe |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS57101617A JPS57101617A (en) | 1982-06-24 |
JPS649384B2 true JPS649384B2 (ja) | 1989-02-17 |
Family
ID=16042931
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17811680A Granted JPS57101617A (en) | 1980-12-18 | 1980-12-18 | Manufacture of 9%ni steel pipe |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS57101617A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4535890B2 (ja) * | 2005-01-21 | 2010-09-01 | ナカジマ鋼管株式会社 | 鉄骨構造物 |
JP4760299B2 (ja) * | 2005-10-26 | 2011-08-31 | 住友金属工業株式会社 | 溶接継手及びその製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5341614A (en) * | 1976-09-29 | 1978-04-15 | Toshihiko Kojima | Complex vortex producing apparatus for diesel engine |
-
1980
- 1980-12-18 JP JP17811680A patent/JPS57101617A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS57101617A (en) | 1982-06-24 |
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