JPS6482Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は軟質合成樹脂の成形品からなるサン
ダルに関するものである。

〔従来の技術とその課題〕

軟質合成樹脂の成形品からなるサンダルは、ヒ
ール部の肉厚が大であり、冷却に時間を要するた
め、作業能率が低下する。そこで、ヒール部に複
数の凹所を形成することが従来から行われてい
る。

しかし、従来の凹所は、ヒール部の底面に開放
されているため、歩行中に小石等の塊状物を噛み
込み易い不都合がある。また、凹所相互間の隔壁
は、体重を支えると共に適当なクツシヨンを与え
る機能を発揮するが、ヒール底面の摩耗に従つて
隔壁が次第に短くなり、体重支持機能とクツシヨ
ン機能が早期に喪失する欠点もある。

一方、ヒール部の両側面に開放する凹所を形成
したものとして、実公昭37−11641号公報に開示
のサンダルがある。このヒール部は、両側面にそ
れぞれ１箇所の凹所を設け、隔壁をヒール部の長
さ方向に形成した中央隔壁のみにより構成したも
のである。このような構成のヒール部は、中央隔
壁のみでかかとに作用する体重を支持する必要が
あるため、相当強度のある硬質合成樹脂で成形せ
ざるをえない。このため、クツシヨン機能が全然
発揮されず、はき心地の悪いものになる。

そこで、この考案は、ヒール底面の摩耗の進行
にもかかわらず、隔壁の高さが不変で、しかも体
重支持機能及びクツシヨン機能をもつたサンダル
を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

前記の課題を解決するために、この考案は軟質
合成樹脂により一体成形されたサンダルにおい
て、ヒール部を上下に対向する底面部、上面部、
両部間を一体に連結する隔壁及び隔壁により区画
されかつヒール部両側面に開放された複数の凹所
により構成し、上記隔壁をヒール部の中心にその
長さ方向に形成される中央隔壁と、その中央隔壁
にそれぞれヒール部側面に達する複数の補強隔壁
とにより構成したものである。

〔実施例〕

第１図は、この考案に係るサンダルの一例を示
し、塩化ビニルの如き軟質合成樹脂の一体成形品
であり、１はサンダル底、２は甲皮である。

サンダルの底１のヒール部３は、第２図及び第
３図に示すように、上下に対向した底面部４と表
面部５を有し、その底面部４と表面部５との間を
一体の連結する隔壁６，７及びこれらの隔壁６，
７により区画された複数の凹所８から成る。

隔壁６，７は、中央隔壁６と補強隔壁７とから
成り、中央隔壁６はヒール部３の中央部にその長
さに形成される。また、補強隔壁７は中央隔壁６
の両側に一体に形成され、ヒール部３の両側面に
達している。補強隔壁７は、中央隔壁６の長さ方
向に沿つて所要の間隔をおいて複数箇所に形成さ
れる。これにより、中央隔壁６の両側にそれぞれ
複数の凹所８が形成され、かつ各凹所８がヒール
部の両側面に開放される。

第４図は他の実施例であり、この場合はヒール
部３の底面部４と表面部５との間に中間部９を設
け、底面部４と中間部９との間、中間部９と表面
部５との間に、それぞれ前記の場合と同様の隔壁
６，７が形成される。図示の場合は、下段の凹所
８と上段の凹所８の位置が、ヒール部３の側面か
ら見て千鳥状にずれて配列される。

第５図はこの考案のサンダルに係る成形用金型
の開いた状態を示し、９ａ，９ｂは左右の割型、
１０はサンダル底用中子、１１は甲皮用中子、１
２は左右の割型９ａ，９ｂの対向面に形成され、
中子１０，１１が1/2嵌合する凹部、１３は凹部
１２においてサンダルのヒール成形部に突設した
ピンである。

中子１０は割型９ａ，９ｂが嵌合した後、中子
１１下面に向け上昇するようにしてあり、１４は
中子１０を固定する下面テーパの基板、１５は割
型９ｂに固定された中子１０を押し上げるための
上面テーパの部材である。

第６図は上記金型を閉じ、且つ合成樹脂１６を
注入した状態の要部断面図であり、１７は中子１
１に形成されたランナー、１８はゲートを示す。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案は軟質合成樹脂で一体
成形されるサンダルのヒール部において、凹所を
ヒール部の両側面に開放したことにより、凹所に
小石等の塊状物を噛み込む支障がなく、履き心地
がよい。また底面部が摩耗しても隔壁の高さに直
接影響しないので、その高さが不変である。従つ
て、長期にわたり体重支持機能及びクツシヨン機
能を維持することができる。

更に、隔壁を中間隔壁とその両側に形成される
補強隔壁とにより構成したため、隔壁が相互に補
強し合い、腰折れを生じることがない。また、隔
壁の下部と上部には、ヒール部の底面部と表面部
とが一体に形成されているため、道路等の凹凸部
分に載つた際、底面部に作用する集中荷重は、底
面部、各隔壁及び表面部において分散され、人体
の足裏に均等に作用する。また、人体の体重に対
向する表面部に現われる反作用も各隔壁及び表面
部に分散される。従つて、足裏の一部分が固いと
いう感触がなく、全体として柔軟になるので、履
心地がよい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るサンダルの一例を示す
正面図、第２図は同上のヒール部の拡大縦断面
図、第３図は同上の横断平面図、第４図は他例の
一部を示す正面図、第５図はサンダル成形金型の
開いた状態の一部を示す斜視図、第６図は同上の
合成樹脂注入の断面図である。 １……サンダル底、２……甲皮、３……ヒール
部、４……底面部、５……上面部、６……中央隔
壁、７……補強隔壁、８……凹所、９……中間
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軟質合成樹脂により一体成形されたサンダルに
   おいて、ヒール部を上下に対向する底面部、上面
   部、両部間を一体に連結する隔壁及び隔壁により
   区画されかつヒール部両側面に開放された複数の
   凹所により構成し、上記隔壁をヒール部の中心に
   その長さ方向に形成される中央隔壁と、その中央
   隔壁にそれぞれヒール部側面に達する複数の補強
   隔壁とにより構成したことを特徴とするサンダ
   ル。