JPS647559Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は陰極線管の外囲器のネツク部端縁部に
溶着されるステムに関し、特にステムに植設され
た導入線を囲んで形成されたフイレツトを改善し
て製造歩留ならびに特性の向上をはかることを目
的とする。 陰極線管、たとえばカラー受像管は内面にけい
光面の形成されたパネルと内面に導電膜の形成さ
れたフアンネルとが封着され、このフアンネルの
ネツク部に電子銃を封止し、その際ネツク部の端
縁部にステムが溶着され、以下排気など所定の工
程を経て形成されるものである。 このようにネツク部に溶着されるステムは、第
１図に断面図を示すようにステム１の中央部の排
気管２の周囲に形成された複数のフイレツト３の
中心にそれぞれ導入線４が配置して植設されてい
る。このようなステムをフアンネルに溶着したと
きの状態を第２図に示す。ネツク部５の端縁部に
ステム１が溶着され、ステム１に植設された導入
線４のまわりにフイレツト３が形成されている。
２はステムの排気管である。 陰極線管たとえばカラー受像管のステムには通
常10本の導入線が配置されていて、この導入線の
まわりに管内方向にむかつてガラスの盛りあがり
部としてのフイレツトが形成されている。このフ
イレツトは導入線の曲げ耐力をあげると共に、真
空気密を維持するだけの長さを確保することと、
高電圧下における導入線間の絶縁性すなわち表面
電気リーク防止を確保することと、さらにステム
の破壊を防止することをその目的として形成され
ている。 フイレツトの径はフイレツトの機械的外力によ
る破壊強度を左右する大きな要素の一つである
が、従来のステムでは種々の制約条件からフイレ
ツトの径を大きくすることは限界に来ている。こ
のようなフイレツトの径の制約は、最近偏向ヨー
クの消費電力をより少なくするためネツク径を出
来得る限り細くする傾向のために、たとえば22.5
mmφという超細ネツクのカラー受像管の場合に著
しい。すなわちネツク部の外径および内径が小さ
いので、その中に入れて溶着するステムはさらに
小さい外径のものであることが必要で、このよう
な小さいステムに10本の導入線を植設するのでこ
れら導入線の配列径すなわちピンサークルはさら
に小さくなる。その結果としてフイレツトの径は
小さくしておかなければならない。 このようにフイレツトの径を大きくすることが
できないので、例えば第３図に示すようにステム
１０に電子銃１１を組みたてるときの導入線１２
を曲げ加工する曲げ力や、その後の製造工程にお
ける曲げ力や、さらに陰極線管輸送時の衝撃力等
によつてフイレツト１３は破損することが多い。 管内側の導入線はネツク部に電子銃を挿入する
圧力に耐えなければならないし、また振動等によ
つて電子銃がゆれると画像がちらつくので強固な
ものでなければならないので、導入線の直径はあ
まり小さくすることはできない。これらの結果と
してフイレツト径は非常に小さいものとせざるを
得ないためフイレツトの機械的強度は小さいもの
となる。 又、管外側の導入線はソケツトの寸法との相対
関係があるのでピンサークルを余り変えることが
出来ない。たとえば14インチ形ミニネツクカラー
受像管においてステムのフイレツト径を0.5mm大
きくすると、第４図に示すように封止されたとき
にフイレツト２０とネツク部２１とが接触すると
いう不具合が起こる。このようになると接触部が
鋭角となるので後にステムが破壊されやすくなつ
てしまう。 さらにミニネツクカラー受像管の真空度をよく
して寿命を長くしたり、排気速度を上げて生産性
を向上させるため、ステム中央部に設けられた排
気管を大きくするときにはソケツトへの着脱性か
らピンサークルを大きくする必要があるが、この
ときは前記したようにフイレツトとネツク部との
接触を防ぐためにフイレツトの径をさらに小さく
しなければならない。その結果フイレツトの強度
はますます小さくなつてしまい、前記したような
不具合がおこり歩留の低下を来たすことになる。 本考案はこのような点にかんがみなされたもの
で、フイレツトの強度を増大させかつ効率よく溶
着できるように改善された陰極線管用のステムを
提供するものである。すなわちネツク部と接触し
ないようにしてフイレツトの径を大きくしたこと
を特徴とする。 以下図面を参照して本考案の実施例について説
明する。第５図，第６図に本考案のステムの平面
図を示す。第５図の３１はステム、３２はフイレ
ツト、３３は導入線、３４は排気管である。第５
図に示すように、導入線をとりかこんで形成され
たフイレツト３２はその中心を導入線の中心より
排気管側によせて形成し、その径が大きくされ、
断面形状は円形である。 また第６図の４１はステム、４２はフイレツ
ト、４３は導入線、４４は排気管であつて、フイ
レツト４２はその中心が導入線の中心とは前記例
のようにずれていて、かつその径がステムの中心
軸の方向に長く、断面形状はほぼ長円状に形成さ
れている。 第５図と第６図に示すステムにおいては何れも
導入線の植設位置は従来と変らない。 このようなフイレツトの形成されたステムをネ
ツク端縁部に溶着したときの状態を調べると共
に、強制ヒートシヨツク試験を行つた結果を次の
表に示す。表−１には試験した試料の形状等を示
し、表−２には封止状態、試験結果を示す。 なおヒートシヨツク試験は次のようにして行つ
た。すなわちミニネツクカラー受像管のステム部
をふくむネツクの部分70mmを100℃の湯に１分間
漬け、さらに15℃の水に１分間漬けてステムクラ
ツクの有無をしらべた。又フイレツト先端の導入
線部をフイレツト軸に直角方向に押してフイレツ
トの破壊強度を調べた。

【表】 ステムの溶着されたネツク部の内径は17.6mmで
ある。 試料番号１，２は本考案のもので、３は従来の
ものである。なお参考のためフイレツト径３mmで
中心が導入線の中心と同じものを４に示した。

【表】 封止状態とヒートシヨツク耐力の欄は試験数に
対する不良数と破損数をあらわす。 この表から分るように、本考案による中心をず
らしてフイレツトの径を大きくしたステムにおい
ては、二次的の欠陥を併発することなくフイレツ
トの強度を大きくすることが出来て、このような
ステムを用いると電子銃を封止するにあたり、ス
テムの破損をおこすなどの不具合の発生もなく製
造歩留を向上させ、ひいては良好な画像特性が得
られるものである。 なおフイレツトの形状等については図示したも
のばかりでなく、本考案の要旨にしたがつて種々
変形構造も得られること勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の陰極線管用ステムの平面図、第
２図はステムをネツク部に溶着した状態を示す説
明図、第３図は電子銃封止時のフイレツトの破損
を示す説明図、第４図はフイレツト径の大きいス
テムをネツク部に溶着した状態を示す説明図、第
５図は本考案の陰極線管用のステムの平面図、第
６図は同じく他の実施例の平面図である。 １……ステム、２……排気管、３……フイレツ
ト、４……導入線、５……ネツク部、３１，４１
……ステム、３２，４２……フイレツト、３３，
４３……導入線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 電子銃の封止された陰極線管のネツク部の端
   縁部に溶着され中央部に設けられた排気管のま
   わりに複数個の導入線が植設されたステムにお
   いて、前記各導入線を囲んでそれぞれステム表
   面から管内方向に盛りあがつて形成されたフイ
   レツトの中心を導入線の中心から前記排気管側
   にずらしてフイレツトの径を大きく形成したこ
   とを特徴とする陰極線管用ステム。 (2) フイレツトの横断面形状が円形であることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の陰極線管用ステム。 (3) フイレツトの横断面形状がステムの中心軸方
   向に長いほぼ長円形に形成されたことを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載の陰極
   線管用ステム。