JPS647253Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は密閉型圧縮機のオイルポンプ構造に係
り、特に、圧縮機を小型化することができ、且つ
組立工数及び加工工数を低減してその組立てを簡
略化し、更にコスト低減にも寄与し得るオイルポ
ンプ構造に関するものである。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

一般に冷蔵庫やルームエアコン等に採用される
密閉型圧縮機は第１図に示す如く、電動部１の下
方に圧縮部２が設けられ、駆動軸３によつて双方
が連結されている。駆動軸３はその中間にクラン
ク４，コンロツド５を介して圧縮部２のピストン
６に往復動を与えるが、このクランク４の上下で
主軸部７及び副軸部８に分割され、それぞれが主
軸受９及び副軸受１０によつて軸支されている。

また、圧縮機１１の外郭を区画形成するハウジ
ング１２の内底部には潤滑用及び冷却用のオイル
１３が貯留されており、このオイル１３を循環さ
せるためのオイルポンプ１４は、オイル１３内に
浸漬されるべく副軸部８の下端部１５に設けられ
ている。尚、図中、仮想線で示した１６はこのオ
イル１３がポンプアツプされる径路となる油溝で
ある。

オイルポンプ１４の詳細な構造は第２図に示す
如く、副軸部８の下端面１７に羽根軸１８が植設
されて下方に垂下しており、この羽根軸１８の下
端部１９にその径方向外方へ放射状に延出された
遠心羽根２０が設けられている。遠心羽根２０の
周囲にはこれを囲繞して所定のオイルポンプ室２
１を形成すべくポンプハウジング２２が形成さ
れ、副軸受１０に係合されている。このポンプハ
ウジング２２の羽根軸１８の下方にはオイル吸入
口２３が開口されており、側壁部２４には吐出口
２５が形成され、マフラ高温部（図示せず）への
冷却用オイルの径路として導かれるポンプ導管２
６がこの吐出口２５に接続されている。また副軸
部８の内部にはその軸心Ｏから偏心しつつ軸方向
に沿つて油溝１６が形成されており、これは第１
図で示した主軸部７，クランク４及びコンロツド
５へ潤滑用オイルを給油する油溝１６に連通して
いる。更に副軸部８の下端部１５には、これに嵌
合し、上記羽根軸１８が挿通されてその周囲にオ
イル流入口２７が形成されるキヤツプ部材２８が
設けられており、オイル流入口２７よりキヤツプ
部材２８内部へ流入したオイルは遠心力により加
速されて油溝１６内をポンプアツプされるように
構成されている。

また、副軸部８と副軸受１０との摺動部にも潤
滑されるように油溝２９が形成されている。

ところで上述の如き構成にあつては副軸部８の
下端面１７から羽根軸１８及び遠心羽根２０が突
設される形となり、そのスベースを確保しなけれ
ばならなかつた。即ち圧縮機１１の全体の高さが
このことによつてその分だけ高くなり小型化，省
スペース化に逆行する要因となつていた。

また、部品点数も多いためにその組立工数や加
工工数も多くなり、生産コストの増大要因及び生
産能率の低下要因となつていた。

〔考案の目的〕

本考案は上述の如き問題点に鑑み、これらを解
決すべく創案されたものである。

本考案の目的は、圧縮機を小型化することがで
き、且つ組立工数及び加工工数を低減してその組
立てを簡略化し、更にコスト低減にも寄与し得る
密閉型圧縮機のオイルポンプ構造を提供すること
にある。

〔考案の概要〕

本考案は密閉型圧縮機のオイルポンプ構造にお
いて、従来の駆動軸と遠心羽根の回転軸とを別部
材とする二軸部材構造を排し、駆動軸が遠心羽根
の回転軸を兼ねることによつて一軸部材構造に構
成し、このことによつて上記目的を達成するもの
である。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例について添付図面に従つ
て説明する。

第１図の説明で述べたように、電動部１の下方
に圧縮部２が設けられ、駆動軸３によつて双方が
連結されている。駆動軸３は主軸部７と副軸部８
とからなり、それぞれ主軸受９及び副軸受１０に
よつて軸支されており、密閉型圧縮機の圧縮部２
を駆動する駆動軸３を構成する副軸部８の下端部
１５に、潤滑用及び冷却用オイルを循環させるオ
イルポンプ１４が設けられている。

本考案に係るオイルポンプ構造の詳細は第３図
に示す如く、副軸部８の下端部１５においてその
外周部３０に沿つてオイルポンプ室２１を区画形
成すべくその外周面から所定の距離を隔ててこの
外周部３０を囲繞すべくポンプハウジング２２が
形成されている。このポンプハウジング２２は副
軸部８の下端部を軸支する軸受たる副軸受１０の
駆動軸に沿つて突出形成された下端外周部３１に
嵌装されるべくキヤツプ状に成形されており、副
軸部８の軸心Ｏの延長上に位置するその下端面に
開口されてオイル吸入口２３が形成され、その側
壁部２４には吐出口２５が形成されてマフラ高温
部（図示せず）への冷却用オイルの径路として導
かれるポンプ導管２６がこの吐出口２５に接続さ
れている。

またポンプハウジング２２内には、副軸受１０
の下端外周部３１より内方にあつて副軸部８の下
端外周部３０上に軸心Ｏに対して放射状にポンプ
導管２６が接続された吐出口２５に臨ませて遠心
羽根２０が配設されている。更に詳述すると、副
軸部８の内部には、その軸心Ｏから偏心しつつ軸
方向に沿つて油溝１６が形成されている。この油
溝１６は第１図に示した主軸部７，クランク４及
びコンロツド５へ潤滑用オイルを給油するために
設けられているが、そのオイル流入口２７を副軸
部８の下端面の軸心Ｏ上に形成するため、且つ副
軸部８の表面上に開口された他の無駄穴３２（油
溝１６を加工工作する際に形成される穴）を閉じ
るために、副軸部８の下端部１５にその外周面及
び下端面を覆うようにキヤツプ部材２８が圧入等
により固定されて被せられている。上記遠心羽根
２０は、このキヤツプ部材２８の外周面上に溶接
されるか、あるいは一体成形されることにより軸
心Ｏに対して放射状に配設されている。

また、副軸部８と副軸受１０との摺動部にも潤
滑されるように油溝２９が形成されている。

次に本考案の作用について説明する。

このオイルポンプ構造により加速されて循環す
るオイルの径路は３径路ある。

第１の径路は油溝１６から主軸７，クランク
４，コンロツド５へ給油される潤滑系の径路でオ
イル吸入口２３より吸入されたオイルの一部は副
軸部８乃至駆動軸３の回転による遠心力によつて
加速され、ポンプアツプされる。

第２の径路は油溝２９で遠心羽根２０によつて
加速されたオイルが油溝２９内を流れて副軸部８
と副軸受１０との摺動部を潤滑する。

第３の径路はポンプ導管２６で、上記油溝２９
と同様、遠心羽根２０によつて加速されたオイル
がポンプ導管２６内を流れてマフラ高温部（図示
せず）、バルブカバー（図示せず）等の高温部へ
供給され、これを冷却する。特に遠心羽根２０が
吐出口２５に臨んでいるので、ポンプ導管２６に
円滑にオイルを送出できる。

また、遠心羽根２０の配設スペースとしては、
副軸部８の外周部３０の径方向外方に占められる
ことになり、軸方向の下方には突出しないので圧
縮機１１（第１図に図示）全体の高さは低くな
る。

組立工数及び加工工数に関しては、羽根軸１８
（第２図に図示）が部品として削減されており、
その分の組立工数及び加工工数が低減され、更に
は部品点数がが低減されることによつてコスト低
減が図られる。

〔考案の効果〕

以上の説明より明らかなように本考案によれば
次の如き優れた効果が発揮される。

(1) 圧縮機の高さを低くすることができ、その小
型化を達成できる。

(2) 部品点数を低減することができ、その組立工
数及び加工工数も低減されるのでその組立が簡
略化される。

(3) 部品点数が低減されるのでその分のコストが
低減される。

(4) 構造が簡単で容易に採用し得る。

(5) 遠心羽根を、ポンプ導管が接続された吐出口
に臨ませたので、オイルを円滑にポンプ導管へ
送出させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は密閉型圧縮機の概略構成を示す部分破
断側面図、第２図は従来のオイルポンプを示す部
分破断側面図、第３図は本考案に係るオイルポン
プの一実施例を示す部分破断側面図である。 尚、図中、２は圧縮部、３は駆動軸、Ｏはその
軸心、１５はその下端部、１０は軸受たる副軸
受、３１はその下端外周部、１４はオイルポン
プ、２０は遠心羽根、２１はオイルポンプ室、２
２はポンプハウジング、２３はオイル吸入口、２
５は吐出口、２６はポンプ導管、３０は駆動軸の
下端部の外周部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉型圧縮機の圧縮部を駆動する駆動軸の下端
   部に設けられて潤滑用及び冷却用オイルを循環さ
   せるオイルポンプにおいて、上記駆動軸の下端部
   を軸支する軸受と、該軸受の上記駆動軸に沿つて
   突出形成された下端外周部に嵌装され、該駆動軸
   の下端外周部を覆つてオイルポンプ室を区画形成
   すると共に、オイル吸入口及びポンプ導管が接続
   された吐出口とを有するポンプハウジングと、該
   ポンプハウジング内に上記軸受の下端外周部より
   内方にあつて上記駆動軸下端外周部に軸心に対し
   放射状に且つ上記吐出口に臨ませて配設され、上
   記オイルポンプ室内にオイルを吸入し加速して吐
   出循環させる遠心羽根とを備えたことを特徴とす
   る密閉型圧縮機のオイルポンプ構造。