JPS646407Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業の利用分野 本考案は薄肉鋼板を断面Ｕ字状に形成してテー
ブルやベツドにし、これらの側壁面の一部に軌道
溝を長手方向に形成し、テーブルとベツドの軌道
溝をむかい合わせて、ボールを介して結合してな
る有限の直線運動用転がり軸受におけるボール、
ころ等の転動体の保持器に関するものである。

従来の技術 第８図に従来のこの種玉軸受の保持器の１例を
示すと、１はテーブル、２はベツド、３はボー
ル、４′はボールを孔に係合する板状の保持器、
５はテーブルに固定された上側板、６はベツドに
固定された下側板である。

考案が解決しようとする問題点 ところで実際の両軌道部材と保持器の関係は第
９図に示すような複雑な動きをする。図中保持器
４′の実線は正常な位置、点線は最も多くローリ
ングした状態である。この最大のローリング角度
については、実用上5゜の値である。

保持器の動きは大別すると次のようになる。

(1) ボール中心Ｃを回転中心とした保持器の左右
の揺れ（ローリング）、又は平行移動 (2) ボールと保持器とのすきまによる上下の揺れ
（ヨーイング）、 (3) ボールと保持器とのすきまによる前後の揺れ
（ピツチング）、 この中では(1)と(2)の挙動が大きいため保持器を
停止させることができず、保持器がテーブルまた
はベツドの端面から飛び出してしまう欠点があつ
た。

従来の保持器は次の欠点があつた。

(1) ローリング量が大きく、運動中の保持器の自
由度が大きく不安定であつた。

(2) ボールと保持器のすきまが大きいと、保持器
はベツドまたはテーブルのいずれか一方に密着
してしまい、潤滑材の表面張力などにより摺動
抵抗が大きくなつた。

(3) オイルポケツトが少ないため安定した潤滑材
の供給に問題があつた。

(4) 不安定な保持器の挙動から摩耗しやすく、寿
命が短かくなつた。

本考案はこれらの欠点を解消し、ローリングが
少なくて側板から飛び出すことのない、摺動抵抗
の少ない安価軽量でボールを確実に保持し、オイ
ルポケツトの大きい保持器を提供することを目的
とする。

問題点を解決するための手段 本考案は上記目的を達成するため次の構成を有
する。

ボール等転動体を離して保持する保持器の側面
少なくとも幅方向の両端が凸凹の形状となつてい
る構成。

テーブルとベツドの側壁間の隙間よりも保持器
の最大厚さの方が小さい構成。

前記保持器の断面が略Ｉ字状となつている構
成。

前記保持器におけるボール等保持用の窓の周縁
部には円形又は対向した半月型等円弧状の突出部
が形成されている構成。

作 用 本考案においては、側板と保持器の実用上の接
触面積が増加して保持器を確実に停止させること
ができ、ピツチングやローリングが防止されると
ともに多量の潤滑材を保有することができる。

実施例 第１図〜第５図は本考案実施の１例を示すもの
で、１はテーブル、２はベツド、３はボール、４
はＩ字形断面の保持器、５はテーブルに固定され
た上側板、６はベツドに固定された台形の下側板
である。また１ａおよび２ａはボールの軌道溝で
ある。これら側板、５，６はプラスチツク製であ
つて、各軌道部材と熱かしめによつて固着されて
いる。（第５図）保持器４はＩ形断面をしており、
上下両端で補強されている。またボールの保持量
を増すために第４図に示すごとく両サイドに窓４
ａのまわりの突出部４ｂを半月状に形成してい
る。半月状にした理由は射出成形による中子の取
り出しを容易にするためで、突出部４ｂは半月で
なくてもよく、例えば４個所で突出部が分離する
変形も可能であり、条件によつてはエンドレスの
突出部でもよい。

第６図は本考案の変形例を示すもので、下側板
６の台形形状が逆の形状のものである。

本考案においては側板の形状を台形とすること
により保持器との実用上の接触面積を増加してこ
れを確実に停止させることができるが、必ずしも
台形でなくても従来のごとき長方形状の側板を用
いることも可能である。

第７図は本考案の実施第２例を示す保持器の一
部斜視図で、Ａは小角状の凸部４ｃを上下部附近
に密集して設けたもの、Ｂは凸部４ｃを上下両端
部に設けたもの、Ｃは小角状の代りに球状の凸部
４ｃを設けたものである。

考案の効果 (1) 保持器の凹凸により、保持器の一方の側面と
ベツド又はテーブルとの接触面積が減少し、保
持器とベツドやテーブルとの付着力が減少し、
摺動抵抗の少ない軸受となる。

(2) 側面の凹凸と窓の突出部とにより保持器の側
面に凹凸が広く形成され、多量の潤滑材を保有
することができる。

(3) Ｉ字形断面の両端フランジ部で保持器が補強
される上に、ピツチングやローリングを防止す
る効果がある。

(4) 保持器はプラスチツクによる射出成形で形成
されるが、射出成形後、鋳型から保持器を引抜
く（無理抜き）とき、保持部分が間欠環状の突
出形状となつている場合、窓内の中子が容易に
窓から引抜かれ、窓の突出部を塑性変形させな
いですむ。よつてボールの保持精度がより高く
なる。

(5) (4)運転中、ローリングなど保持器の動きが安
定しているため、側板の停止効果がより発揮さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施の１例を示す一部切断斜視
図、第２図は同じく一部横断側面図、第３図は同
じく要部拡大側面図、第４図は同じく保持器の断
面図および一部側面図、第５図は同じく一部縦断
正面図、第６図は同じく変形例を示す一部横断側
面図である。第７図Ａ，Ｂ，Ｃは本考案の実施第
２例を示す一部斜視図であり、第８図は従来例を
示す一部切断斜視図、第９図は同じく要部拡大側
面図である。図中の符号はそれぞれ下記部材を示
す。 １：テーブル、２：ベツド、３：ボール、４，
４′：保持器、５：上側板、６：下側板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 断面Ｕ字状のテーブルとベツドが側壁の長手
   方向に形成された軌道溝に位置する転動体を介
   して組立てられた有限直線運動用転がり軸受に
   おいて、転動体は保持器に保持されており、保
   持器の側面は少なくとも幅方向の両端が凹凸の
   形状となつているとともにテーブルとベツドの
   側壁間の隙間よりも保持器の最大厚の方が小さ
   いことを特徴とする薄肉鋼板製直線運動用転が
   り軸受の保持器。 ２ 前記保持器の断面が略Ｉ字状となつているこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   に記載の薄肉鋼板製直線運動用転がり軸受の保
   持器。 ３ 前記保持器の窓の周縁部には円形又は円弧状
   の突出部が形成されていることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載の薄肉鋼板
   製直線運動用転がり軸受の保持器。