JPS645531B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はプラスチツク成形装置に関し、特にプ
ラスチツク射出成形装置のノズル、ゲート等の樹
脂注入口の改良に関するものである。

プラスチツク射出成形装置には、樹脂をシリン
ダーから金型に注入する部分にノズルが設けら
れ、金型のランナーから成形部へ樹脂を注入する
部分にゲートが設けられる。前記ノズル、あるい
はランナーがホツトランナーである場合のゲート
（以下「樹脂注入口」という）には、溶融した樹
脂を射出圧力を減損させずに注入することができ
るようにするためバンドヒーターがこれらの樹脂
注入口を加熱するように設けられる一方、金型を
開き製品を取り出す場合はこの部分を冷却して樹
脂が糸を引いたり不必要な樹脂が金型内に入り込
んで次の製品を不良化することがないようにして
いる。

このような加熱、冷却を繰返す成形サイクルで
は、射出・冷却・計量・型開き・製品払出し・型
閉め・加熱の各工程が繰返されるが、サイクル全
体の速度を上げて高速成形をするためには、注入
口の加熱・冷却に要する時間を短縮して、射出や
計量が早くできるようにしなければならない。し
かしながら、従来のバンドヒーターを使用する成
形装置においては注入口の温度に対する応答性が
悪く、成形サイクルの高速化には限界がある。

そこで、この高速化のため、ノズルあるいはゲ
ートにニードルバルブあるいはバルブピン等の機
械的開閉手段を設け、注入口を機械的に開閉して
サイクルへの応答性を向上させる方式が採用され
ている。しかしながら、この方式はノズル構造を
複雑にしてコストを高くするとともに、機械的摩
擦を繰返す間に金属部に摩耗が生じ、樹脂もれを
起こすおそれがあり、さらに樹脂流動路にニード
ルがあるために射出圧力が減損される上に、メイ
ンテナンスが面倒であるという欠点を有してい
る。

そこで本発明は安価な構成により加熱・冷却の
応答性を向上させ、加熱・冷却のサイクルを数秒
間で行なうことができるようにした樹脂注入口を
備えた成形設備を提供することを目的とするもの
である。

本発明の成形装置は、樹脂注入口にセラミツク
を使用し、このセラミツクによつて強度を維持し
て高圧の射出に耐える一方、このセラミツクの注
入口の内壁に熱溶量の小さい発熱体を設け、セラ
ミツクの外部にこの発熱体を加熱する加熱手段を
配設し、この熱容量の小さい発熱体を加熱させて
応答性の高い加熱、および冷却を実現するように
したことを特徴とするものである。

発熱体としては例えばニクロム線あるいはニク
ロム管を使用し、加熱手段としてはこれに電流を
供給する電源を使用することができる。あるい
は、セラミツクを絶縁体として使用し、発熱体に
導電体を使用し、加熱手段としてはセラミツクの
外周に巻回した電磁誘導コイルを使用し、電磁誘
導により導電体の発熱体を加熱することができ
る。

加熱は発熱体の熱容量が小さいため短時間に行
なうことができ、冷却もやはり発熱体の熱容量が
小さいため自然放熱と金型への熱伝導により短時
間に行なうことができる。また、注入口はセラミ
ツクで形成されているため、耐圧強度は十分大き
く、また、電磁誘導の場合はそのための絶縁を兼
ねることができる。この方法ではニードルを使用
しないから射出圧力の減損はないし、メインテナ
ンスも楽である上、機械的摩耗による性能低下の
おそれもない。さらに、構造が簡単であるからコ
ストも低く、実用上の利益はきわめて大きい。

なお、冷却には自然放熱と併行して水あるいは
空気を使用した強制冷却を用いれば応答性をより
向上させることができることは言うまでもない。

以下、図面によつて本発明の実施例を説明す
る。

第１図は本発明をノズルに応用した例を示す断
面図である。溶融した樹脂を射出するための加熱
シリンダー１の先端１ａにノズル金属部２の後端
部２ａを螺着する。ノズル金属部２の先端部２ｂ
は細くなつており、先端に細い円筒状の導電体か
らなる発熱体３が接続されている。この発熱体３
はノズル金属部２と一体的に形成されてもよい
し、別体であつてもよい。ノズル金属部２の先端
部２ｂと発熱体３の周囲にはセラミツクの円筒体
４が設けられ、この円筒体４の外周に電磁誘導コ
イル５が巻回される。この電磁誘導コイル５は高
周波電流を流して発熱体３を電磁誘導により加熱
するものである。このように構成されたノズル
は、従来と同様に金型６のランナー部７の入口に
圧接され、加熱シリンダー１から押し出されてく
る溶融した樹脂をランナー部へ射出する。

ノズルの先端は、セラミツクの円筒体４の先端
を、第２図の４′に示すように発熱体３より前方
へ振り出させて金属の発熱体３が金型６に接しな
いようにしてもよいし（この場合は発熱体３の加
熱時の応答性を高くすることができる）、第３図
の４″に示すように先端をカツトしてその部分に
発熱体３′を被せて冷却効率を上げる一方、セラ
ミツク４″が金型に衝突して破損することがない
ようにしてノズルの衝撃強度を向上させるように
してもよい。

第１，２および３図に示す本発明によるノズル
では、注入口がセラミツク円筒体４，４′，４″に
よつて囲まれて耐圧強度が確保され、このセラミ
ツク円筒体４，４′，４″の内壁に熱容量の小さい
発熱体３，３′が設けられ、セラミツク円筒体４，
４′，４″の外周に電磁誘導コイル５が巻回されて
いるので、高い応答性をもつて発熱体３，３′の
加熱冷却を行なうことができ、高速の成形サイク
ルを実現することができる。

第４図および第５図は金型１０（第１図の６に
相当）のランナー部１１（第１図の７に相当）か
ら成形部１２へ樹脂を注入するゲートに本発明を
応用した例を示すもので、ランナー部１１の、成
形部１２に隣接する端部１１ａ近辺に、ランナー
部１１の内壁に発熱体１３を設け、この発熱体１
３の周囲にセラミツク円筒体１４を設け、その外
周に電磁誘導コイル１５を巻回してなるものであ
る。

上述のノズルの実施例と同様に、セラミツク円
筒体１４が射出圧力に対する耐圧強度を担うとと
もに電磁誘導加熱に必要な絶縁体の機能を果し、
熱容量の小さい発熱体１３が応答性の高い加熱・
冷却を実現する。

第５図の実施例において、ゲート部の加熱・冷
却に対する応答性を一層高めるため、発熱体１３
の先端を第６図に１３ａで示すように、金型１０
の成形部の方へ張り出させてもよい。

第７図は誘導加熱を使わないノズルの実施例を
示すもので、金属製のノズル基体２１の先端部２
１ａを細くし、さらにこの先端にニクロム製の発
熱体２２を電気的に接続し、この発熱体２２とノ
ズル基体２１の先端部２１ａの外周に十分な厚さ
を持つたセラミツクの円筒体２３を設け、発熱体
２２の先端２２ａにはセラミツク円筒体２３の表
面を被覆する導電体層２４を設ける。この導電体
層２４は、前記発熱体２２の一端２２ａに電気的
に接続され、この発熱体２２の他端２２ｂに接続
されたノズル基体２１とともに発熱体２２に電流
を流すための電極を構成する。導電体層２４には
端子２５を介して導線２６が、ノズル基体２１に
は端子２７を介して導線２８が接続され、これら
の導線２６，２８はスイツチを備えた温度コント
ロール部２９を経て電源３０に接続され、発熱体
２２に電流が供給される。

第８図は誘電加熱とニクロムを使用したヒータ
ー加熱とを併用したゲートの実施例を示すもの
で、固定側金型３１のゲート３１ａ近辺にセラミ
ツク円筒体３２を嵌装し、このセラミツク円筒体
３２の内壁には導電体の発熱体３３を設けるとと
もに、ゲート３１ａに近い部分の内壁にはニクロ
ムヒーター３４を設け、ニクロムヒーター３４の
加熱用にはこのニクロムヒーター３４の外周の対
向する位置に一対の棒状電極３５ａ，３５ｂを介
してリード線３６ａ，３６ｂを接続し、一方セラ
ミツク円筒体３２の外周には電磁誘導コイル３７
を巻回する。

電磁誘導コイル３７に高周波の電源を接続して
電磁誘導加熱により発熱体３３を加熱するととも
に、ニクロムヒーター３４に電流を供給して加熱
し、ゲート３１ａ近辺の温度コントロールを行な
う。

もちろん、この第８図の実施例において電磁誘
導コイルは省いてもよい。

本発明は、以上の各実施例に示したように、プ
ラスチツクの射出成形において樹脂が注入される
ノズル、ゲート等の注入口にセラミツクを主体と
した注入口を形成し、この内壁に熱容量の小さい
発熱体を配設し、このセラミツクの外部に設けた
加熱手段によつて注入口を加熱するようにしたか
ら、加熱・冷却の応答性を高めることができ、高
速の成形サイクルを実現することができる。

従来のニードルなしのノズルでは成形サイクル
を10秒程度の高速にするのが限度であつたが、本
発明では５−６秒程度の成形サイクルを容易に実
現することができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例によるノズルの例を
示す断面図、第２図および第３図はその変形例を
示す断面図、第４図は本発明の他の実施例による
ゲートの例を示す断面図、第５図はそのゲート部
を拡大して示す断面図、第６図はその変形例を示
す断面図、第７図は本発明のさらに異なる実施例
によるノズルの例を示す断面図、第８図はさらに
異なるもう一つの実施例によるゲートの例を示す
断面図である。 ３，３′，１３，２２……発熱体、４，４′，
４″，１４，２３……セラミツク円筒体、５，１
５，３７……電磁誘導コイル、６，１０，３１…
…金型、７，１１……ランナー部、１２……成形
部、３４……ニクロムヒーター。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プラスチツク射出成形用の樹脂注入口の内壁
   に発熱体を設け、この発熱体の周囲にセラミツク
   を設けて注入口を形成するとともに、このセラミ
   ツクの外に前記発熱体を加熱する加熱手段を設け
   て前記注入口を加熱するようにしたことを特徴と
   するプラスチツク成形装置。 ２ 前記発熱体が導電性の発熱体であり、前記加
   熱手段が前記セラミツクの外周に巻回された電磁
   誘導用コイルであることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載のプラスチツク成形装置。 ３ 前記発熱体が電気抵抗の高い導電体であり、
   前記加熱手段がこの発熱体に電流を流す電源であ
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   プラスチツク成形装置。 ４ 前記注入口が金型に樹脂を注入するノズルで
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１項、第
   ２項または第３項記載のプラスチツク成形装置。 ５ 前記注入口が、金型のホツトランナーから成
   形部へ樹脂を注入するゲートであることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項、第２項または第３項
   記載のプラスチツク成形装置。